説明

建設機械のトラックフレーム構造

【課題】分解及び組立作業を要することなく、車高を下げると共に車幅も減少させることができる建設機械のトラックフレーム構造の提供。
【解決手段】走行体に設けられ、旋回体を支持するセンタフレーム14と、このセンタフレーム14の左右に配置される一対のサイドフレーム11と、センタフレーム14に対してサイドフレーム11のそれぞれを上側リンク部材17及び下側リンク部材18を介して回動可能に連結するリンク機構16とを備え、このリンク機構16は、サイドフレーム11を旋回体に近づく方向へ回動させることによって車高を下げると共に車幅を減少させ、サイドフレーム11を旋回体から離れる方向へ回動させることによって車高を上げると共に車幅を増加させる油圧シリンダ20を含む車高車幅調整手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行体のセンタフレームに対してサイドフレームを回動可能に連結するリンク機構を備えた建設機械のトラックフレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は従来の建設機械のトラックフレーム構造の第1例の構成を示す図、図8は従来の建設機械のトラックフレーム構造の第2例の構成及び動作を説明する図であり、(a)図はサイドフレームを外側へ回動させた状態の図、(b)図はサイドフレームを内側へ回動させた状態の図である。
【0003】
一般的に、油圧ショベル等の旋回式の建設機械は、左右方向に旋回する旋回体と、この旋回体の前方に設けられ、各アクチュエータを有して掘削等の作業を行うフロント作業機と、旋回体の下方に設けられ、旋回体を支持するトラックフレーム構造を有する走行体とを備えている。
【0004】
例えば、図7に示すように従来の建設機械のトラックフレーム構造は、旋回体3を支持するセンタフレーム26と、履帯12が無端状に取り付けられ、センタフレーム26の左右に配置される一対のサイドフレーム27とを備えており、これらセンタフレーム26及びサイドフレーム27は溶接等によって一体型に取り付けられていた。
【0005】
ここで、油圧ショベル等の建設機械を輸送する場合には、道路法等の法律に規定される車幅や車高等の制限を受ける。そのため、上述した従来の建設機械のトラックフレーム構造は、センタフレーム26及びサイドフレーム27が溶接等によって一体型に取り付けられており、車幅を変更することができないので、この車幅が法律に規定された車幅の制限値を超える場合に車道上を通ってそのまま輸送することができない問題があった。特に、大型の建設機械の場合には車幅が大きくなるので、この問題が顕著となっていた。
【0006】
そこで、例えば特許文献1及び2に示すように、走行体に設けられ、旋回体を支持するセンタフレームと、このセンタフレームの左右に配置される一対のサイドフレームと、センタフレームに対してサイドフレームのそれぞれをリンク部材を介して回動可能に連結するリンク機構とを備え、リンク部材を回動させて車幅を調整する従来の建設機械のトラックフレーム構造が提案されている。
【0007】
このようなリンク機構を備えた従来の建設機械のトラックフレーム構造は、例えば図8に示すようにリンク機構35が、センタフレーム32と一対のサイドフレーム33のうちの一方のサイドフレーム33とを連結するリンク機構35、及びセンタフレーム32と一対のサイドフレーム33のうちの他方のサイドフレーム33とを連結するリンク機構35とを含んでいる。
【0008】
また、それぞれのリンク機構35は、一対の連結ピン38a,38bを介してセンタフレーム32及びサイドフレーム33に回動可能に取り付けられ、上側に配置される上側リンク部材36と、一対の連結ピン40a,40bを介してセンタフレーム32及びサイドフレーム33に回動可能に取り付けられ、下側に配置される下側リンク部材37とを有している。
【0009】
さらに、このリンク機構35は、上側リンク部材36に取り付けられる連結ピン38aと下側リンク部材37に取り付けられる連結ピン40bとに接続される油圧シリンダ39を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平3−148388号公報
【特許文献2】特開2002−87337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような特許文献1、2に示される従来技術、すなわち図8に示す従来の建設機械のトラックフレーム構造は、上述したように油圧シリンダ39が、上側リンク部材36に取り付けられる連結ピン38aと下側リンク部材37に取り付けられる連結ピン40bとに接続されており、すなわちセンタフレーム32からサイドフレーム33へ下方に向かって接続されている。
【0012】
そのため、油圧シリンダ39が縮むことによって一対のサイドフレーム33のそれぞれが外側へ拡がるように回動するので、図8の(a)図に示すように車高は下がるが車幅は増加する。一方、油圧シリンダ39が伸びることによって一対のサイドフレーム33のそれぞれが内側へ狭まるように回動するので、図8の(b)図に示すように車幅は減少するが、サイドフレーム33が旋回体3から離れて車高が上がる。
【0013】
従って、サイドフレーム33を内側へ回動させることにより、車幅を減少させて道路法等の法律に規定された車幅の制限値以内に抑えたとしても車高が上がって法律に規定された車高の制限値を超える懸念がある。この場合、建設機械を分解して輸送しなければならず、建設機械の分解及び組立作業が煩雑となってしまう。
【0014】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、分解及び組立作業を要することなく、車高を下げると共に車幅も減少させることができる建設機械のトラックフレーム構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明の建設機械のトラックフレーム構造は、走行体に設けられ、旋回体を支持するセンタフレームと、このセンタフレームの左右に配置される一対のサイドフレームと、前記センタフレームに対して前記サイドフレームのそれぞれをリンク部材を介して回動可能に連結するリンク機構とを備え、このリンク機構は、前記サイドフレームを前記旋回体に近づく方向へ回動させることによって車高を下げると共に車幅を減少させ、前記サイドフレームを前記旋回体から離れる方向へ回動させることによって車高を上げると共に車幅を増加させる車高車幅調整手段を有することを特徴としている。
【0016】
このように構成した本発明は、リンク機構がセンタフレームに対してサイドフレームをリンク部材を介して回動可能に連結しており、リンク部材は両端のうちセンタフレームに取り付けられた一端を中心軸として自由に回動する。そして、例えば輸送に際してリンク機構に備えられた車高車幅調整手段がサイドフレームを旋回体に近づく方向へ回動させることにより、すなわちリンク部材を両端のうちセンタフレームに取り付けられた一端を中心軸として旋回体の方向へ回動させることにより、サイドフレームと旋回体との距離が小さくなると共にサイドフレームとセンタフレームとの距離も小さくなり、分解及び組立作業を要することなく、車高を下げると共に車幅を減少させることができる。これにより、車幅を減少させて道路法等の法律に規定された車幅の制限値以内に抑えても車高が上がる心配もなく、自由に車幅及び車高を調整することができる。なお、輸送後の作業に際しては、リンク機構に備えられた車高車幅調整手段がサイドフレームを旋回体から離れる方向へ回動させることにより、すなわちリンク部材を両端のうちセンタフレームに取り付けられた一端を中心軸として旋回体の方向と反対方向へ回動させることにより、サイドフレームと旋回体との距離が大きくなると共にサイドフレームとセンタフレームとの距離も大きくなるので、車高を上げると共に車幅を増加させることもでき、容易に元の状態に戻すことができる。
【0017】
また、本発明に係る建設機械のトラックフレーム構造は、前記発明において、前記車高車幅調整手段は油圧シリンダを含み、この油圧シリンダが伸びることによって前記サイドフレームを前記旋回体に近づく方向へ回動させ、前記油圧シリンダが縮むことによって前記サイドフレームを前記旋回体から離れる方向へ回動させることを特徴としている。このように構成すると、車高車幅調整手段は油圧シリンダの伸縮だけでサイドフレームを旋回体に近づく方向、あるいは旋回体から離れる方向へ自由に回動させることができるので、車幅及び車高を容易に調整することができる。
【0018】
また、本発明に係る建設機械のトラックフレーム構造は、前記発明において、前記リンク機構は、前記センタフレームと前記一対のサイドフレームのうちの一方のサイドフレームとを連結するリンク機構、及び前記センタフレームと前記一対のサイドフレームのうちの他方のサイドフレームとを連結するリンク機構とを含み、それぞれのリンク機構は、一対の連結ピンを介して前記センタフレーム及び前記サイドフレームに回動可能に取り付けられ、上側に配置される上側リンク部材と、一対の連結ピンを介して前記センタフレーム及び前記サイドフレームに回動可能に取り付けられ、下側に配置される下側リンク部材とを有し、前記車高車幅調整手段に含まれる前記油圧シリンダは、一端が前記下側リンク部材に取り付けられた前記連結ピンのうち前記センタフレーム側の連結ピンに取り付けられ、他端が前記上側リンク部材に取り付けられた前記連結ピンのうち前記サイドフレーム側の連結ピンに取り付けられたことを特徴としている。
【0019】
このように構成した本発明は、リンク機構が、上側に配置される上側リンク部材及び下側に配置される下側リンク部材の2つのリンク部材でサイドフレームを回動可能に支持しているので、安定した構造を実現することができ、高い耐久性を確保することができる。さらに、油圧シリンダの一端を下側リンク部材に取り付けられた連結ピンのうちセンタフレーム側の連結ピンに取り付け、他端を上側リンク部材に取り付けられた連結ピンのうちサイドフレーム側の連結ピンに取り付けているので、リンク機構を少ない部品工数で組み立てることができ、コストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の建設機械のトラックフレーム構造は、走行体に設けられ、旋回体を支持するセンタフレームと、このセンタフレームの左右に配置される一対のサイドフレームと、センタフレームに対してサイドフレームのそれぞれをリンク部材を介して回動可能に連結するリンク機構とを備えている。そして、このリンク機構は、サイドフレームを旋回体に近づく方向へ回動させることによって車高を下げると共に車幅を減少させ、サイドフレームを前記旋回体から離れる方向へ回動させることによって車高を上げると共に車幅を増加させる車高車幅調整手段を有している。そのため、この車高車幅調整手段がリンク部材を両端のうちセンタフレームに取り付けられた一端を中心軸として旋回体の方向へ回動させることにより、サイドフレームと旋回体との距離が小さくなると共にサイドフレームとセンタフレームとの距離も小さくなるので、分解及び組立作業を要することなく、車高を下げると共に車幅を減少させることができる。
【0021】
なお、輸送後の作業に際しては、リンク機構に備えられた車高車幅調整手段がサイドフレームを旋回体から離れる方向へ回動させることにより、サイドフレームと旋回体との距離が大きくなると共にサイドフレームとセンタフレームとの距離も大きくなるので、車高を上げると共に車幅を増加させることもでき、容易に元の状態に戻すことができる。
【0022】
このように、分解及び組立作業を要せずに車幅を減少させると同時に車高を下げることができるので、車幅及び車高のいずれか一方が道路法等の法律に規定された制限値を越えている場合でも、輸送時に法律に規定された車幅及び車高の制限値以内に収まるように車幅と車高を容易に調整することができる。これにより、当該建設機械の輸送のための準備作業、及び輸送後の当該建設機械で実施される作業に際しての準備作業を能率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るトラックフレーム構造の一実施形態が適用される建設機械の一例として挙げた油圧ショベルを示す側面図である。
【図2】図1に示す油圧ショベルの走行体を拡大して示す側面図である。
【図3】図2に示す走行体に備えられた本発明のトラックフレーム構造の一実施形態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す本実施形態の平面図である。
【図5】本実施形態の動作を示す正面図である。
【図6】本実施形態の動作を説明する図であり、(a)図はサイドフレームを旋回体から離れる方向へ回動させた状態の図、(b)図はサイドフレームを旋回体へ近づく方向へ回動させた状態の図である。
【図7】従来の建設機械のトラックフレーム構造の第1例の構成を示す図である。
【図8】従来の建設機械のトラックフレーム構造の第2例の構成及び動作を説明する図であり、(a)図はサイドフレームを外側へ回動させた状態の図、(b)図はサイドフレームを内側へ回動させた状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る建設機械のトラックフレーム構造を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0025】
本発明に係る建設機械のトラックフレーム構造の一実施形態は、例えば図1に示すように油圧ショベル1に備えられる。この油圧ショベル1は、本実施形態が備えられる走行体2と、この走行体2の上側に配置され、旋回フレーム3aを有する旋回体3と、この旋回体3の前方に取り付けられて上下方向に回動するフロント作業機4とを備えている。また、旋回体3は、前方に位置するキャブ7と、後方に配置されたカウンタウェイト6と、これらキャブ7及びカウンタウェイト6の間にエンジンルーム5とを備えている。
【0026】
図2〜4に示すように、走行体2に備えられる本実施形態は、旋回体3を支持するセンタフレーム14と、このセンタフレーム14の左右に配置される一対のサイドフレーム11と、センタフレーム14に対してサイドフレーム11のそれぞれを上側リンク部材17及び下側リンク部材18を介して回動可能に連結するリンク機構16とを備えている。なお、各サイドフレーム11には作業者がキャブ7内に乗降するために足を掛ける一対のステップ13が設けられている。
【0027】
リンク機構16は、具体的には、センタフレーム14と一対のサイドフレーム11のうちの一方のサイドフレーム11とを連結する一対のリンク機構16、及びセンタフレーム14と一対のサイドフレーム11のうちの他方のサイドフレーム11とを連結する一対のリンク機構16とを含んでいる。
【0028】
これら各リンク機構16は、一対の連結ピン19a,19bを介してセンタフレーム14及びサイドフレーム11に回動可能に取り付けられ、上側に配置される前述の上側リンク部材17と、一対の連結ピン21a,21bを介してセンタフレーム14及びサイドフレーム11に回動可能に取り付けられ、下側に配置される前述の下側リンク部材18とを有している。
【0029】
また、これら各リンク機構16は、サイドフレーム11を旋回体3に近づく方向へ回動させることによって車高を下げると共に車幅を減少させ、サイドフレーム11を旋回体3から離れる方向へ回動させることによって車高を上げると共に車幅を増加させる車高車幅調整手段を有している。
【0030】
この車高車幅調整手段は、油圧シリンダ20を含み、油圧シリンダ20が伸びることによってサイドフレーム11を旋回体3に近づく方向へ回動させ、油圧シリンダ20が縮むことによってサイドフレーム11を旋回体3から離れる方向へ回動させるようにしている。例えば、この車高車幅調整手段は、油圧シリンダと、この油圧シリンダ20の一端を下側リンク部材18に取り付ける連結ピン、すなわち連結ピン21a,21bのうちセンタフレーム14側の連結ピン21aと、油圧シリンダ20の他端を上側リンク部材17に取り付ける連結ピン、すなわち連結ピン19a,19bのうちサイドフレーム11側の連結ピン19bとによって構成されている。
【0031】
そして、図5、図6の(b)図に示すように、油圧シリンダ20が伸びることによって上側リンク部材17及び下側リンク部材18がそれぞれ連結ピン19a,21aを中心として上方へ回動する。これに伴い、サイドフレーム11が旋回体3に近づく方向へ回動する。一方、図5、図6の(a)図に示すように、油圧シリンダ20が縮むことによって上側リンク部材17及び下側リンク部材18がそれぞれ連結ピン19a,21aを中心として下方へ回動する。これに伴い、サイドフレーム11が旋回体3から離れる方向へ回動する。
【0032】
このように構成した本実施形態は、リンク機構16がセンタフレーム14に対してサイドフレーム11を上側リンク部材17及び下側リンク部材18を介して回動可能に連結しており、センタフレーム14に取り付けられた連結ピン19a,21aを中心軸として自由に回動する。そして、車高車幅調整手段が、連結ピン19bと連結ピン21aとに接続された油圧シリンダ20が伸びることで上側リンク部材17及び下側リンク部材18をこれらの連結ピン19a,21aを中心軸として上方へ回動させるようにしている。
【0033】
そのため、図6の(b)図に示すように上側リンク部材17及び下側リンク部材18がこれらの連結ピン19a,21aを中心軸として上方へ回動することにより、サイドフレーム11と旋回体3との距離が小さくなると共にサイドフレーム11とセンタフレーム14との距離も小さくなるので、油圧ショベル1の分解及び組立作業を要することなく、車高を下げると共に車幅を減少させることができる。
【0034】
なお、車高車幅調整手段は、連結ピン19bと連結ピン21aとに接続された油圧シリンダ20が縮むことで上側リンク部材17及び下側リンク部材18をこれらの連結ピン19a,21aを中心軸として下方へ回動させるようにしている。そのため、図6の(a)図に示すように上側リンク部材17及び下側リンク部材18がこれらの連結ピン19a,21aを中心軸として下方へ回動することにより、サイドフレーム11と旋回体3との距離が大きくなると共にサイドフレーム11とセンタフレーム14との距離も大きくなるので、車高を上げると共に車幅を増加させることもでき、容易に油圧ショベル1を元の状態に戻すことができる。
【0035】
このように、油圧ショベル1の分解及び組立作業を要せずに車幅を減少させると同時に車高も下げることができるので、車幅及び車高のいずれか一方が道路法等の法律に規定された制限値を越えている場合でも、油圧ショベル1を輸送するに際して法律に規定された車幅及び車高の制限値以内に収まるように車幅と車高を容易に調整することができる。これにより、油圧ショベル1の輸送のための準備作業、及び輸送後の油圧ショベル1で実施される作業に際しての準備作業を能率良く行うことができる。
【0036】
また、本実施形態は、上述したように車高車幅調整手段が、連結ピン19bと連結ピン21aとに接続された油圧シリンダ20が縮むことで上側リンク部材17及び下側リンク部材18をこれらの連結ピン19a,21aを中心軸として下方へ回動させることにより、車高を上げると共に車幅を増加させることもできるので、油圧ショベル1の掘削等の作業において安定性を高めることができる。
【0037】
また、本実施形態は、車高車幅調整手段は油圧シリンダ20を含み、この油圧シリンダ20が伸びることによってサイドフレーム11を旋回体3に近づく方向へ回動させ、油圧シリンダ20が縮むことによってサイドフレーム11を旋回体3から離れる方向へ回動させるようにしているので、車高車幅調整手段は油圧シリンダ20の伸縮だけでサイドフレーム11を旋回体3に近づく方向、あるいは旋回体3から離れる方向へ自由に回動させることができるので、車幅及び車高を容易に調整することができ、利便性が良い。
【0038】
また、本実施形態は、車高車幅調整手段の油圧シリンダ20をセンタフレーム14からサイドフレーム11へ上方に向かって取り付けているので、この油圧シリンダ20の伸縮運動によってサイドフレーム11を旋回体3に近づく方向、あるいは旋回体3から離れる方向へ容易に回動させることができる。また、車高車幅調整手段は油圧シリンダ20をセンタフレーム14からサイドフレーム11へ上方に向かって取り付けるだけの簡単な構成しているので、油圧シリンダ20の取り付け及び取り外し作業を容易に行うことができる。これにより、車高車幅調整手段のメンテナンス作業の能率を向上させることができる。
【0039】
また、本実施形態は、センタフレーム14と左右のサイドフレーム11とを連結する4つのリンク機構16のそれぞれが、上側に配置される上側リンク部材17及び下側に配置される下側リンク部材18の2つのリンク部材でサイドフレーム11を回動可能に支持しており、また4つの油圧シリンダでセンタフレーム14に対する各サイドフレーム11の回動を規制しているので、安定した構造を実現することができる。これにより、高い耐久性を確保することができる。
【0040】
さらに、各リンク機構16は、油圧シリンダ20の一端を下側リンク部材18に取り付けられた連結ピン21a,21bのうちセンタフレーム14側の連結ピン21aに取り付け、他端を上側リンク部材17に取り付けられた連結ピン19a,19bのうちサイドフレーム11側の連結ピン19bに取り付けており、油圧シリンダ20を取り付けるために他の連結ピンを使用しないので、リンク機構16を少ない部品工数で組み立てることができ、コストを抑えることができる。
【0041】
また、本実施形態は、センタフレーム14と一対のサイドフレーム11のうちの一方のサイドフレーム11とを連結する一対のリンク機構16と、センタフレーム14と一対のサイドフレーム11のうちの他方のサイドフレーム11とを連結する一対のリンク機構16とをそれぞれ独立に動かすことにより、センタフレーム14の左右に配置された一対のサイドフレーム11のうち一方のサイドフレーム11だけを動かすこともできる。そのため、例えば段差や傾斜等の足場の状態が悪い場所で掘削等の作業をする際に旋回体3が左右のいずれかの方向へ傾く場合に、一対のサイドフレーム11のうち一方のサイドフレーム11だけを動かすことによって旋回体3を水平に保つことができるので、作業を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0042】
1 油圧ショベル
2 走行体
3 旋回体
3a 旋回フレーム
4 フロント作業機
5 エンジンルーム
6 カウンタウェイト
7 キャブ
11 サイドフレーム
12 履帯
13 ステップ
14 センタフレーム
15 トラックフレーム
16 リンク機構
17 上側リンク部材
18 下側リンク部材
19a 連結ピン
19b 連結ピン(車高車幅調整手段)
20 油圧シリンダ(車高車幅調整手段)
21a 連結ピン(車高車幅調整手段)
21b 連結ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体に設けられ、旋回体を支持するセンタフレームと、このセンタフレームの左右に配置される一対のサイドフレームと、前記センタフレームに対して前記サイドフレームのそれぞれをリンク部材を介して回動可能に連結するリンク機構とを備え、
このリンク機構は、前記サイドフレームを前記旋回体に近づく方向へ回動させることによって車高を下げると共に車幅を減少させ、前記サイドフレームを前記旋回体から離れる方向へ回動させることによって車高を上げると共に車幅を増加させる車高車幅調整手段を有することを特徴とする建設機械のトラックフレーム構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械のトラックフレーム構造において、
前記車高車幅調整手段は油圧シリンダを含み、この油圧シリンダが伸びることによって前記サイドフレームを前記旋回体に近づく方向へ回動させ、前記油圧シリンダが縮むことによって前記サイドフレームを前記旋回体から離れる方向へ回動させることを特徴とする建設機械のトラックフレーム構造。
【請求項3】
請求項2に記載の建設機械のトラックフレーム構造において、
前記リンク機構は、前記センタフレームと前記一対のサイドフレームのうちの一方のサイドフレームとを連結するリンク機構、及び前記センタフレームと前記一対のサイドフレームのうちの他方のサイドフレームとを連結するリンク機構とを含み、それぞれのリンク機構は、一対の連結ピンを介して前記センタフレーム及び前記サイドフレームに回動可能に取り付けられ、上側に配置される上側リンク部材と、一対の連結ピンを介して前記センタフレーム及び前記サイドフレームに回動可能に取り付けられ、下側に配置される下側リンク部材とを有し、
前記車高車幅調整手段に含まれる前記油圧シリンダは、一端が前記下側リンク部材に取り付けられた前記連結ピンのうち前記センタフレーム側の連結ピンに取り付けられ、他端が前記上側リンク部材に取り付けられた前記連結ピンのうち前記サイドフレーム側の連結ピンに取り付けられたことを特徴とする建設機械のトラックフレーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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