建設機械
【課題】排気ガス処理装置の重量が嵩む場合でも、この排気ガス処理装置をがたつきなく支持する。
【解決手段】排気ガス処理装置18を支持するための支持部材17に、油圧ポンプ13のフランジ部14に締結ボルト10を用いて共締めされる固定部17Aだけでなく、追加固定部17Cも設ける。この追加固定部17Cは、エンジン8のうちポンプ取付部9とは異なる位置に設けられた支持部材取付部11に固定されるもので、支持部材17に加わる排気ガス処理装置18の荷重を固定部17Aと共に支承する。これにより、排気ガス処理装置18の重量が嵩む場合でも、この排気ガス処理装置18をがたつきなく支持できる。
【解決手段】排気ガス処理装置18を支持するための支持部材17に、油圧ポンプ13のフランジ部14に締結ボルト10を用いて共締めされる固定部17Aだけでなく、追加固定部17Cも設ける。この追加固定部17Cは、エンジン8のうちポンプ取付部9とは異なる位置に設けられた支持部材取付部11に固定されるもので、支持部材17に加わる排気ガス処理装置18の荷重を固定部17Aと共に支承する。これにより、排気ガス処理装置18の重量が嵩む場合でも、この排気ガス処理装置18をがたつきなく支持できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に関し、特に、エンジンの排気ガスを処理する排気ガス処理装置を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより構成されている。
【0003】
また、上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレームの前側に設けられ、オペレータが搭乗するキャブと、前記旋回フレームの後側に搭載されたエンジンと、該エンジンの長さ方向の一方側に設けられた油圧ポンプと、前記エンジンのエキゾーストマニホールドに排気管を介して接続された排気ガス処理装置とにより大略構成されている。
【0004】
この排気ガス処理装置としては、排気ガス中の有害物質を除去する排気ガス浄化装置、排気ガスの騒音を低減する消音装置等が知られている。また、排気ガス浄化装置としては、パティキュレートマター(PM)と呼ばれる粒子状物質を捕集して除去する粒子状物質除去装置、窒素酸化物(NOx)を浄化するNOx浄化装置等があり、これらは組合せて使用することもできる。
【0005】
ここで、エンジンには、油圧ポンプの上側に迫り出すように支持部材が取付けられ、該支持部材上に排気ガス処理装置を取付ける構成となっている(例えば、特許文献1,2,3または4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−340114号公報
【特許文献2】特開2005−68810号公報
【特許文献3】特開2004−293495号公報
【特許文献4】特開2003−104071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来技術では、排気ガス処理装置を支持するための支持部材をエンジンにボルトにより取付ける構成となっている。即ち、支持部材の取付部分では、支持部材を介して加わる排気ガス処理装置の垂直荷重を、ボルトの締結力に基づく摩擦力により支承している。一方、排気ガスの排出基準を満たすために必要とされる排気ガス浄化装置を備えた排気ガス処理装置は、単なる消音装置(排気マフラ)のみを備えた排気ガス処理装置に比べて重量が嵩む。
【0008】
このため、上述した従来技術では、排気ガス処理装置の重量が嵩んだ場合に、支持部材に加わる排気ガス処理装置の垂直荷重を十分に支承できない虞がある。即ち、エンジンに対する支持部材の取付強度(支持強度、保持強度)を十分に確保できず、例えば長期の使用に伴って排気ガス処理装置ががたつく虞がある。
【0009】
なお、支持部材の取付強度を確保すべく、ボルトの寸法を大きく(サイズアップ)したり本数を増やすことが考えられる。しかし、例えば、エンジンに油圧ポンプを取付けるためのボルトを用いて、この油圧ポンプと共にエンジンに支持部材を共締めする構成を採用している場合には、共締めのボルトのサイズアップや増やせる本数に限界があり、十分な取付強度を確保できない虞がある。
【0010】
また、共締めのボルトをサイズアップしたり本数を増やしても、共締めされる部分のみで支持部材が取付けられることには変わりなく、排気ガス処理装置の重量の増大に伴って重心位置が不安定になり、エンジン等からの振動に基づき支持部材が変形したり損傷する虞がある。なお、このような変形や損傷を防止すべく、支持部材を補強することが考えられるが、単に補強するだけでは支持部材が大型化するという問題がある。
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、排気ガス処理装置の重量が嵩んでも、この排気ガス処理装置ががたつくことを防止でき、しかも支持部材の大型化を抑えられるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するため、本発明は、自走可能な車体と、該車体に搭載され出力軸を囲んでポンプ取付部を有するエンジンと、該エンジンのポンプ取付部に突き合わせて締結部材により取付けられるフランジ部を有し、前記エンジンにより回転駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプの上側に配置される支持部材と、該支持部材上に載置され前記エンジンの排気ガスを処理する排気ガス処理装置とを備えてなる建設機械に適用される。
【0013】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記エンジンには、前記ポンプ取付部とは異なる位置に前記支持部材を取付ける支持部材取付部を設け、前記支持部材は、前記油圧ポンプのフランジ部に前記締結部材を用いて共締めにより固定される固定部と、該固定部から前記油圧ポンプ上を延在し前記排気ガス処理装置を載置する載置部と、前記固定部とは異なる位置で前記エンジンの支持部材取付部に固定される追加固定部とにより構成したことにある。
【0014】
また、請求項2の発明は、前記エンジンのポンプ取付部は前記出力軸と直交する垂直面を有し、前記支持部材取付部は前記垂直面に対して直角の位置関係となる水平取付面を有し、前記支持部材の追加固定部は前記エンジンの水平取付面に当接させて固定する構成としたことにある。
【0015】
また、請求項3の発明は、前記エンジンのポンプ取付部は前記出力軸と直交する垂直面を有し、前記支持部材取付部は前記垂直面に対して平行の位置関係となる垂直取付面を有し、前記支持部材の追加固定部は前記エンジンの垂直取付面に当接させて固定する構成としたことにある。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、支持部材に固定部と追加固定部とを設ける構成としているので、該固定部と追加固定部とにより支持部材に加わる排気ガス処理装置の荷重を分担して支承することができる。このため、排気ガス処理装置の重量が嵩む場合でも、支持部材の取付強度を十分に確保できる。この結果、長期の使用に係わらず排気ガス処理装置ががたつくことを防止して、排気ガス処理装置によって排気ガス中の有害物質を長期に亘って確実に除去することができるので、建設機械の信頼性を高めることができる。
【0017】
しかも、追加固定部により支持部材に加わる排気ガス処理装置の荷重を分担して支承することができるため、油圧ポンプのフランジ部に固定部を共締めする締結部材の寸法を大きく(サイズアップ)したり、この締結部材の数を多くすることなく、支持部材の取付強度を確保できる。また、追加固定部は、固定部と異なる位置でエンジンの支持部材取付部に固定されるため、支持部材の重心位置を安定させることもできる。このため、共締めの構成を採用しても、支持部材を過度に補強する必要がなく、この支持部材の大型化を抑えることにより、支持部材の周囲のスペースを有効に利用することができる。
【0018】
また、請求項2の発明によれば、支持部材の追加固定部が、エンジンに設けた支持部材取付部の水平取付面に当接する構成としているので、支持部材に加わる排気ガス処理装置の垂直荷重を、水平取付面により大きな受圧面積をもって受けることができると共に、追加固定部と水平取付面との当接(摩擦)により、支持部材に加わる水平荷重も支承できる。このため、支持部材の取付強度を確実に確保でき、排気ガス処理装置ががたつくことをより確実に防止できる。
【0019】
また、請求項3の発明によれば、支持部材の追加固定部が、エンジンに設けた支持部材取付部の垂直取付面に当接する構成としているので、追加固定部をボルト等を用いて垂直取付面に押し付けることにより、支持部材に加わる垂直荷重並びに水平荷重を確実に支承できる。このため、支持部材の取付強度を確実に確保でき、排気ガス処理装置ががたつくことをより確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に適用される油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】図1中の上部旋回体をキャブ等を省略して示す拡大平面図である。
【図3】エンジン、支持部材取付部、油圧ポンプ等を支持部材を取り外して示す一部破断の斜視図である。
【図4】エンジン、支持部材取付部、油圧ポンプ、支持部材、排気ガス処理装置等を図2中の矢示IV−IV方向からみた要部拡大図である。
【図5】エンジン、支持部材取付部、油圧ポンプ、支持部材、排気ガス処理装置等を図4中の矢示V−V方向からみた要部拡大図である。
【図6】エンジン、支持部材取付部、油圧ポンプ、支持部材、排気ガス処理装置等を示す一部破断の斜視図である。
【図7】エンジン、支持部材取付部、油圧ポンプ、支持部材等を図5中の矢示VII−VII方向からみた要部拡大の断面図である。
【図8】支持部材を単体で示す斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態による支持部材を単体で示す斜視図である。
【図10】エンジン、支持部材取付部、油圧ポンプ等を支持部材を取り外して示す一部破断の斜視図である。
【図11】エンジン、支持部材取付部、油圧ポンプ、支持部材等を示す図7と同様な断面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態による支持部材を単体で示す斜視図である。
【図13】エンジン、支持部材取付部、油圧ポンプ、支持部材等を示す図7と同様な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械として、クローラ式の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
まず、図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、1は建設機械としてのクローラ式の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に俯仰動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置4とにより大略構成されている。
【0023】
ここで、油圧ショベル1を構成する上部旋回体3は、後述の旋回フレーム5、キャブ6、カウンタウエイト7、エンジン8、油圧ポンプ13、排気ガス処理装置18等により構成されている。
【0024】
5は上部旋回体3の旋回フレームで、該旋回フレーム5は、強固な支持構造体として構成されている。そして、旋回フレーム5は、図2に示す如く、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板5Aと、該底板5A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板5B,右縦板5Cと、該各縦板5B,5Cの左,右方向に間隔をもって配置され、前,後方向に延びた左サイドフレーム5D,右サイドフレーム5Eと、前記底板5A、各縦板5B,5Cから左,右方向に張出し、その先端部に左,右のサイドフレーム5D,5Eを支持する複数本の張出しビーム5Fとにより大略構成されている。そして、各縦板5B,5Cの前側には左,右方向の中央に位置して作業装置4が俯仰動可能に取付けられ、旋回フレーム5の後側には後述のエンジン8等が設けられている。
【0025】
6は旋回フレーム5の左前側(作業装置4のフート部左側)に搭載されたキャブ(図1参照)を示している。このキャブ6は、オペレータが搭乗するもので、その内部にはオペレータが着座する運転席、走行用の操作レバー、作業用の操作レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。
【0026】
7は旋回フレーム5の後端部に取付けられたカウンタウエイトを示している。このカウンタウエイト7は、作業装置4との重量バランスをとるものであり、後面側が湾曲するように突出している。
【0027】
8は旋回フレーム5の後側に設けられたエンジンで、該エンジン8は、カウンタウエイト7の前側に位置して左,右方向に延在する横置き状態に搭載されている。また、エンジン8の左側には、熱交換器8Aに冷却風を供給するための冷却ファン8Bが設けられている。一方、エンジン8の右側は、後述の油圧ポンプ13を取付けるためのポンプ取付部9となっている。また、エンジン8の右側の上部には、排気ガスを排出するための排気管8Cが設けられ、該排気管8Cの途中部位には後述の排気ガス処理装置18が取付けられている。
【0028】
9はエンジン8の外殻をなすハウジング8Dの右端部に設けられたポンプ取付部を示している。このポンプ取付部9は、エンジン8の出力軸8E(図6参照)の周囲にこの出力軸8Eを囲む状態で環状に設けられており、後述する油圧ポンプ13のフランジ部14が突き合わされて取付けられるものである。このために、このポンプ取付部9には、その全周に亘り出力軸8Eの軸方向と直交する垂直面9Aを設けると共に、この垂直面9Aに環状に複数の有底なボルト穴9Bを設けている。そして、これら各ボルト穴9Bに螺合する締結ボルト10を用いて、ポンプ取付部9に油圧ポンプ13のフランジ部14を取付ける構成となっている。
【0029】
11はエンジン8のハウジング8Dに設けられた1対の支持部材取付部で、該各支持部材取付部11は、後述の支持部材17の追加固定部17Cを取付けるものである。ここで、各支持部材取付部11は、図3に示すように、エンジン8のハウジング8Dのうちポンプ取付部9とは異なる位置、即ち、ポンプ取付部9を挟んで油圧ポンプ13と反対側に設けられたフライホイールハウジング8D1の外面の上側に、互いに前後方向に離隔して設けられている。
【0030】
この場合、各支持部材取付部11の上面は、ポンプ取付部9の垂直面9Aに対して直角の位置関係、即ち、エンジン8の出力軸8Eの軸方向に対して平行な位置関係となる水平取付面11Aとなっている。また、これら各水平取付面11Aには、それぞれ有底の固定ボルト穴11B(図3参照)を設けている。そして、これら各固定ボルト穴11Bに螺合する1対の固定ボルト12を用いて、各支持部材取付部11に後述する支持部材17の追加固定部17Cを固定する構成となっている(図4参照)。
【0031】
13はエンジン8の右側に取付けられた油圧ポンプで、該油圧ポンプ13は、エンジン8によって回転駆動されることにより、油圧ショベル1に搭載された各種油圧アクチュエータに向けて作動用の圧油を吐出するものである。ここで、図4に示すように、油圧ポンプ13の外殻をなすハウジング13Aのうちエンジン8に対向する左側の端部には、エンジン8のポンプ取付部9に対応する環状のフランジ部14が設けられ、このフランジ部14には、エンジン8のポンプ取付部9の各ボルト穴9Bに対応して、複数のボルト挿通孔14Aが環状に設けられている。そして、ポンプ取付部9の垂直面9Aにフランジ部14を突き合わせた状態で、各締結ボルト10を各ボルト挿通孔14Aに挿通して各ボルト穴9Bに螺合することにより、油圧ポンプ13をエンジン8に取付けている。
【0032】
15は油圧ポンプ13の前側に位置して旋回フレーム5の右側に設けられた作動油タンク(図2参照)で、該作動油タンク15は、下部走行体2、作業装置4等を駆動する各種油圧アクチュエータに供給される作動油を貯えるものである。また、16は作動油タンク15の前側に設けられた燃料タンク(図2参照)を示し、該燃料タンク16は、エンジン8に供給される燃料を貯えるものである。
【0033】
17は油圧ポンプ13の上側に配置される支持部材で、該支持部材17は後述の排気ガス処理装置18を油圧ポンプ13の上側に支持するためのものである。ここで、支持部材17は、図4ないし図8に示すように、上方から見てコ字型の枠状に形成された固定部17Aと、該固定部17Aの上端部に溶接等の手段を用いて固定され水平方向に延びる四角形状の平板からなる載置部17Bと、側方から見てL字型に形成され固定部17Aの左端面に溶接等の手段を用いて固定される追加固定部17Cとにより大略構成されている。
【0034】
ここで、固定部17Aは、排気ガス処理装置18の長さ方向(前,後方向)に延びる取付部17A1と、該取付部17A1の両端側からコ字型に折り曲げられた前,後の補強部17A2とからなる。また、取付部17A1の下端側には、油圧ポンプ13のフランジ部14に設けられたボルト挿通孔14Aに対応して複数の固定部側ボルト挿通孔17A3が形成されている。そして、固定部17Aを構成する取付部17A1の下端側を油圧ポンプ13のフランジ部14の端面に当接させると共に、固定部側ボルト挿通孔17A3、フランジ部14のボルト挿通孔14Aに挿通した締結ボルト10をポンプ取付部9のボルト穴9Bに螺合することにより、支持部材17の固定部17Aを、油圧ポンプ13のフランジ部14に締結ボルト10を用いて共締めにより固定している。
【0035】
一方、支持部材17を構成する載置部17Bは、上面に後述の取付ブラケット19を介して排気ガス処理装置18を載置するもので、固定部17Aから油圧ポンプ13上を延在する状態でこの固定部17Aに固定されている。また、載置部17Bの中央部には、支持部材17を軽量化するための矩形孔17B1が形成され、載置部17Bの四隅には、載置部側ボルト挿通孔17B2が形成されている。
【0036】
さらに、支持部材17を構成する追加固定部17Cは、固定部17Aとは異なる位置でエンジン8の支持部材取付部11に固定されることにより、固定部17Aと共に支持部材17に加わる排気ガス処理装置18の荷重を支承するものである。ここで、追加固定部17Cは、金属製で矩形状の平板に折り曲げ加工を施すことにより断面L字型に形成されたもので、固定部17Aの左端面に溶接等の手段を用いて固定される固定板部17C1と、該固定板部17C1に対して直角に折り曲げられた取付板部17C2とから成る。この場合、取付板部17C2の下面は、固定部17Aの取付部17A1に対して直角の位置関係となり、支持部材取付部11の水平取付面11Aと正対する水平追加固定面17C3となっている。また、取付板部17C2には、上下方向に貫通する固定ボルト挿通孔17C4を設けている。
【0037】
そして、図7に示すように、締結ボルト10を用いて支持部材17の固定部17Aを油圧ポンプ13のフランジ部14に共締めした状態で、支持部材取付部11の水平取付面11Aと追加固定部17Cの水平追加固定面17C3とを水平方向に当接させ、追加固定部17Cの各固定ボルト挿通孔17C4を通じて支持部材取付部11の固定ボルト穴11Bにそれぞれ固定ボルト12を螺合することにより、各支持部材取付部11に支持部材17の追加固定部17Cを固定している。
【0038】
このように、支持部材17の固定部17Aを締結ボルト10を用いて油圧ポンプ13のフランジ部14に共締めすることに加え、支持部材17に設けた追加固定部17Cを固定ボルト12を用いてエンジン8の支持部材取付部11に固定することにより、例えば支持部材17により支持する排気ガス処理装置18の重量が嵩む場合でも、支持部材17の取付け強度を十分に確保できる構成となっている。
【0039】
18は支持部材17上に載置された排気ガス処理装置で、該排気ガス処理装置18はエンジン8から排出される排気ガスを処理するものである。この排気ガス処理装置18は、図5および図6に示すように、前,後方向に延びる1個の円管状容器として形成された筒状ケース18Aと、該筒状ケース18Aの前側(上流側)からエンジン8側に突出した流入側の接続管18Bと、筒状ケース18Aの後側(下流側)から上向きに延びた排気口となる尾管18Cと、前記筒状ケース18A内に収容された処理装置本体(図示せず)とにより大略構成されている。
【0040】
ここで、筒状ケース18Aに収容される処理装置本体について説明すると、この処理装置本体としては、排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集して除去するために酸化触媒やフィルタから構成された粒子状物質除去装置、排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を尿素水溶液を用いて浄化するNOx浄化装置、排気ガスの騒音を低減する消音装置(排気マフラ)等が知られている。これらの処理装置本体は、消音装置単体で使用することもあるが、近年は排気ガスの排出基準を満たすために粒子状物質除去装置やNOx浄化装置等の排気ガス浄化装置と組合せて使用することが多い。
【0041】
19は排気ガス処理装置18の筒状ケース18Aに設けられた1対の取付ブラケットで、該取付ブラケット19は、図4に示すように、中央に筒状ケース18Aの外周面と同じ曲率を有する円弧状の凹湾曲部19Aを有する板体からなり、凹湾曲部19Aは筒状ケース18Aの下面に溶接されている。また、支持部材17の載置部17Bに当接する取付ブラケット19の両端部には、長孔状のボルト挿通孔19Bが穿設されている。そして、これら各ボルト挿通孔19Bと載置部17Bの載置部側ボルト挿通孔17B2とに挿通した支持ボルト20にナット21を螺合することにより、取付ブラケット19を介して排気ガス処理装置18が支持部材17の載置部17B上に取付けられている。
【0042】
第1の実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、この油圧ショベル1の動作について説明する。
【0043】
まず、オペレータは、キャブ6に搭乗して運転席に着座する。この状態で走行用の操作レバーを操作することにより、下部走行体2を駆動して油圧ショベル1を前進または後退させることができる。また、運転席に着座したオペレータは、作業用の操作レバーを操作することにより、作業装置4を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0044】
この油圧ショベル1の運転時には、エンジン8から排出される排気ガスが排気ガス処理装置18を通じて大気中に排出される。この場合、排気ガス処理装置18は、例えば排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集して除去する粒子状物質除去装置、排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化するNOx浄化装置等の排気ガス浄化装置を内蔵しているため、排気ガス処理装置18の重量が嵩む傾向にある。
【0045】
これに対し、本実施の形態では、排気ガス処理装置18を支持する支持部材17に固定部17Aだけでなく追加固定部17Cを設けている。そして、図5ないし図7に示すように、固定部17Aを締結ボルト10を用いて油圧ポンプ13のフランジ部14に共締めすることに加え、追加固定部17Cを固定ボルト12を用いてエンジン8の支持部材取付部11に固定することにより、支持部材17に加わる荷重を固定部17Aと追加固定部17Cとにより分担して支承している。
【0046】
このように、第1の実施の形態によれば、固定部17Aと追加固定部17Cとにより支持部材17に加わる排気ガス処理装置18の荷重を分担して支承することができるため、排気ガス処理装置18の重量が嵩む場合でも、支持部材17の取付強度を十分に確保できる。この結果、長期の使用に係わらず排気ガス処理装置18ががたつくことを防止して、排気ガス処理装置18によって排気ガス中の有害物質を長期に亘って確実に除去することができるので、油圧ショベル1の信頼性を高めることができる。
【0047】
しかも、上述のように追加固定部17Cにより支持部材17に加わる排気ガス処理装置18の荷重を分担して支承することができるため、共締めする締結ボルト10の寸法を大きく(サイズアップ)したり、この締結ボルト10の数を増加することなく、支持部材17の取付強度を確保できる。また、固定部17Aと異なる位置(固定部17Aから離れた位置)で追加固定部17Cがエンジン8の支持部材取付部11に固定されるため、支持部材17の重心位置を安定させることもできる。このため、共締めの構成を採用した場合でも、支持部材17を過度に補強する必要がなく、この支持部材17の大型化を抑えることにより、支持部材17の周囲のスペースを有効に利用することができる。
【0048】
さらに、追加固定部17Cの水平追加固定面17C3と支持部材取付部11の水平取付面11Aとが水平方向に当接するので、支持部材17に加わる排気ガス処理装置18の垂直荷重を、水平取付面11Aにより大きな受圧面積をもって受けることができる。また、水平追加固定面17C3と水平取付面11Aとの当接(摩擦)により、支持部材17に加わる水平荷重も支承できる。このため、支持部材17の取付強度を確実に確保でき、排気ガス処理装置18ががたつくことをより確実に防止できる。
【0049】
次に、図9ないし図11は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、支持部材取付部と追加固定部とを垂直方向に当接させて固定したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0050】
図中、31はエンジン8のハウジング8Dに設けられた支持部材取付部で、該支持部材取付部31は、上述した第1の実施の形態による支持部材取付部11に代えて本実施の形態に用いたものである。ここで、支持部材取付部11は、図10に示すように、エンジン8のハウジング8Dのうちポンプ取付部9とは異なる位置、即ち、該ポンプ取付部9に隣接して設けられたフライホイールハウジング8D1を挟んで油圧ポンプ13とは反対側で、かつ、このフライホイールハウジング8D1よりも上側となる位置に設けられている。
【0051】
この場合、支持部材取付部31の端面は、ポンプ取付部9の垂直面9Aに対して平行の位置関係、即ち、エンジン8の出力軸8Eの軸方向に対して垂直な位置関係となる垂直取付面31Aとなっている。また、この垂直取付面31Aには、1対の固定ボルト穴31Bを設けている。そして、これら各固定ボルト穴31Bに螺合する1対の固定ボルト32を用いて、支持部材取付部31に後述する支持部材33の追加固定部33Cを固定する構成となっている。
【0052】
33は油圧ポンプ13の上側に配置される支持部材で、該支持部材33は、第1の実施の形態による支持部材17に代えて本実施の形態に用いたものである。ここで、支持部材33は、取付部33A1と前,後の補強部材33A2とによりコ字型の枠状に形成された固定部33Aと、該固定部33Aの上端部に溶接等の手段を用いて固定され水平方向に延びる載置部33Bと、該載置部33Bの端部から上方に折り曲げ形成することによりこの載置部33Bと一体に形成された追加固定部33Cとにより大略構成されている。また、固定部33Aの取付部31A1の下端側には、複数の固定部側ボルト挿通孔33A3が円弧状に並んで形成されている。さらに、載置部33Bの中央部には矩形孔33B1が形成され、載置部33Bの四隅には載置部側ボルト挿通孔33B2が形成されている。
【0053】
一方、追加固定部33Cは、固定部33Aとは異なる位置でエンジン8の支持部材取付部31に固定されるものである。ここで、追加固定部33Cの端面は、固定部33Aの取付部33A1に対して平行の位置関係となり、支持部材取付部31の垂直取付面31Aに正対する垂直追加固定面33C1となっている。また、追加固定部33Cには、板厚方向に貫通する固定ボルト挿通孔33C2が設けられている。
【0054】
そして、図11に示すように、締結ボルト10を用いて支持部材33の固定部33Aを油圧ポンプ13のフランジ部14に共締めした状態で、支持部材取付部31の垂直取付面31Aと追加固定部33Cの垂直追加固定面33C1とを垂直方向に当接させ、追加固定部33Cの各固定ボルト挿通孔33C2を通じて、支持部材取付部31の固定ボルト穴31Bにそれぞれ固定ボルト32を螺合することにより、支持部材取付部31に支持部材33の追加固定部33Cを固定している。
【0055】
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き支持部材取付部31と支持部材33とを有するもので、排気ガス処理装置18の重量が嵩む場合でも、支持部材33の固定部33Aと追加固定部33Cとによりその荷重を分担して支承することができ、支持部材33の取付け強度を十分に確保できる。従って、本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
また、第2の実施の形態では、追加固定部33Cの垂直追加固定面33C1と支持部材取付部31の垂直取付面31Aとを垂直方向に当接させた状態で、この垂直追加固定面33C1を垂直取付面31Aに固定ボルト32により押し付けているため、支持部材33に加わる垂直荷重並びに水平荷重を確実に支承できる。このため、支持部材33の取付強度を確実に確保でき、排気ガス処理装置18ががたつくことを確実に防止できる。
【0057】
しかも、第2の実施の形態では、支持部材33の追加固定部33Cと載置部33Bとを一体に形成しているため、部品点数の増大を伴うことなく追加固定部33Cを設けることができ、支持部材33の製造コストの低減を図ることができる。
【0058】
次に、図12ないし図13は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、支持部材取付部と追加固定部とを水平方向に当接させて固定させると共に、この追加固定部と載置部とを一体に形成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0059】
図中、41は油圧ポンプ13の上側に配置される支持部材で、該支持部材41は、第1の実施の形態による支持部材17に代えて本実施の形態に用いたものである。ここで、支持部材41は、取付部41A1と前,後の補強部材41A2とによりコ字型の枠状に形成された固定部41Aと、該固定部41Aの上端部に溶接等の手段を用いて固定され水平方向に延びる載置部41Bと、該載置部41Bの端部から連続する状態でこの載置部41Bと一体に形成された追加固定部41Cとにより大略構成されている。また、固定部41Aの取付部41A1の下端側には複数の固定部側ボルト挿通孔41A3が円弧状に並んで形成されている。さらに、載置部41Bの中央部には矩形孔41B1が形成され、載置部41Bの四隅には載置部側ボルト挿通孔41B2が形成されている。
【0060】
一方、追加固定部41Cは、固定部41Aとは異なる位置でエンジン8の支持部材取付部11に固定されるもので、載置部41Bの端部から下方に折り曲げられた連続板部41C1と、この連続板部41C1の下端から水平方向に折り曲げられた取付板部41C2とから成る。この場合、取付板部41C2の下面は、固定部41Aの取付部41A1に対して直角の位置関係となり、支持部材取付部11の水平取付面11Aと正対する水平追加固定面41C3となっている。また、取付板部41C2には、上下方向に貫通する固定ボルト挿通孔41C4が設けられている。
【0061】
そして、図13に示すように、締結ボルト10を用いて支持部材41の固定部41Aを油圧ポンプ13のフランジ部14に共締めした状態で、支持部材取付部11の水平取付面11Aと追加固定部41Cの水平追加固定面41C3とを水平方向に当接させ、追加固定部41Cの各固定ボルト挿通孔41C4を通じて支持部材取付部11の固定ボルト穴11Bにそれぞれ固定ボルト12を螺合することにより、各支持部材取付部11に支持部材41の追加固定部41Cを固定している。
【0062】
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き支持部材41を有するもので、排気ガス処理装置18の重量が嵩む場合でも、支持部材41の固定部41Aと追加固定部41Cとによりその荷重を分担して支承することができ、支持部材41の取付け強度を十分に確保できる。従って、本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0063】
しかも、第3の実施の形態では、支持部材41の追加固定部41Cと載置部41Bとを一体に形成しているため、部品点数の増大を伴うことなく追加固定部41Cを設けることができ、支持部材41の製造コストの低減を図ることができる。
【0064】
なお、上述した各実施の形態では、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばタイヤ等からなるホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに搭載する構成としてもよい。それ以外にも、リフトトラック、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 油圧ショベル
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
8 エンジン
8E 出力軸
9 ポンプ取付部
10 締結ボルト(締結部材)
11、31 支持部材取付部
11A 水平取付面
13 油圧ポンプ
14 フランジ部
17、33、41 支持部材
17A、33A、41A 固定部
17B、33B、41B 載置部
17C、33C、41C 追加固定部
17C3、41C3 水平追加固定面
18 排気ガス処理装置
31A 垂直取付面
33C1 垂直追加固定面
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に関し、特に、エンジンの排気ガスを処理する排気ガス処理装置を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより構成されている。
【0003】
また、上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレームの前側に設けられ、オペレータが搭乗するキャブと、前記旋回フレームの後側に搭載されたエンジンと、該エンジンの長さ方向の一方側に設けられた油圧ポンプと、前記エンジンのエキゾーストマニホールドに排気管を介して接続された排気ガス処理装置とにより大略構成されている。
【0004】
この排気ガス処理装置としては、排気ガス中の有害物質を除去する排気ガス浄化装置、排気ガスの騒音を低減する消音装置等が知られている。また、排気ガス浄化装置としては、パティキュレートマター(PM)と呼ばれる粒子状物質を捕集して除去する粒子状物質除去装置、窒素酸化物(NOx)を浄化するNOx浄化装置等があり、これらは組合せて使用することもできる。
【0005】
ここで、エンジンには、油圧ポンプの上側に迫り出すように支持部材が取付けられ、該支持部材上に排気ガス処理装置を取付ける構成となっている(例えば、特許文献1,2,3または4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−340114号公報
【特許文献2】特開2005−68810号公報
【特許文献3】特開2004−293495号公報
【特許文献4】特開2003−104071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来技術では、排気ガス処理装置を支持するための支持部材をエンジンにボルトにより取付ける構成となっている。即ち、支持部材の取付部分では、支持部材を介して加わる排気ガス処理装置の垂直荷重を、ボルトの締結力に基づく摩擦力により支承している。一方、排気ガスの排出基準を満たすために必要とされる排気ガス浄化装置を備えた排気ガス処理装置は、単なる消音装置(排気マフラ)のみを備えた排気ガス処理装置に比べて重量が嵩む。
【0008】
このため、上述した従来技術では、排気ガス処理装置の重量が嵩んだ場合に、支持部材に加わる排気ガス処理装置の垂直荷重を十分に支承できない虞がある。即ち、エンジンに対する支持部材の取付強度(支持強度、保持強度)を十分に確保できず、例えば長期の使用に伴って排気ガス処理装置ががたつく虞がある。
【0009】
なお、支持部材の取付強度を確保すべく、ボルトの寸法を大きく(サイズアップ)したり本数を増やすことが考えられる。しかし、例えば、エンジンに油圧ポンプを取付けるためのボルトを用いて、この油圧ポンプと共にエンジンに支持部材を共締めする構成を採用している場合には、共締めのボルトのサイズアップや増やせる本数に限界があり、十分な取付強度を確保できない虞がある。
【0010】
また、共締めのボルトをサイズアップしたり本数を増やしても、共締めされる部分のみで支持部材が取付けられることには変わりなく、排気ガス処理装置の重量の増大に伴って重心位置が不安定になり、エンジン等からの振動に基づき支持部材が変形したり損傷する虞がある。なお、このような変形や損傷を防止すべく、支持部材を補強することが考えられるが、単に補強するだけでは支持部材が大型化するという問題がある。
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、排気ガス処理装置の重量が嵩んでも、この排気ガス処理装置ががたつくことを防止でき、しかも支持部材の大型化を抑えられるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するため、本発明は、自走可能な車体と、該車体に搭載され出力軸を囲んでポンプ取付部を有するエンジンと、該エンジンのポンプ取付部に突き合わせて締結部材により取付けられるフランジ部を有し、前記エンジンにより回転駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプの上側に配置される支持部材と、該支持部材上に載置され前記エンジンの排気ガスを処理する排気ガス処理装置とを備えてなる建設機械に適用される。
【0013】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記エンジンには、前記ポンプ取付部とは異なる位置に前記支持部材を取付ける支持部材取付部を設け、前記支持部材は、前記油圧ポンプのフランジ部に前記締結部材を用いて共締めにより固定される固定部と、該固定部から前記油圧ポンプ上を延在し前記排気ガス処理装置を載置する載置部と、前記固定部とは異なる位置で前記エンジンの支持部材取付部に固定される追加固定部とにより構成したことにある。
【0014】
また、請求項2の発明は、前記エンジンのポンプ取付部は前記出力軸と直交する垂直面を有し、前記支持部材取付部は前記垂直面に対して直角の位置関係となる水平取付面を有し、前記支持部材の追加固定部は前記エンジンの水平取付面に当接させて固定する構成としたことにある。
【0015】
また、請求項3の発明は、前記エンジンのポンプ取付部は前記出力軸と直交する垂直面を有し、前記支持部材取付部は前記垂直面に対して平行の位置関係となる垂直取付面を有し、前記支持部材の追加固定部は前記エンジンの垂直取付面に当接させて固定する構成としたことにある。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、支持部材に固定部と追加固定部とを設ける構成としているので、該固定部と追加固定部とにより支持部材に加わる排気ガス処理装置の荷重を分担して支承することができる。このため、排気ガス処理装置の重量が嵩む場合でも、支持部材の取付強度を十分に確保できる。この結果、長期の使用に係わらず排気ガス処理装置ががたつくことを防止して、排気ガス処理装置によって排気ガス中の有害物質を長期に亘って確実に除去することができるので、建設機械の信頼性を高めることができる。
【0017】
しかも、追加固定部により支持部材に加わる排気ガス処理装置の荷重を分担して支承することができるため、油圧ポンプのフランジ部に固定部を共締めする締結部材の寸法を大きく(サイズアップ)したり、この締結部材の数を多くすることなく、支持部材の取付強度を確保できる。また、追加固定部は、固定部と異なる位置でエンジンの支持部材取付部に固定されるため、支持部材の重心位置を安定させることもできる。このため、共締めの構成を採用しても、支持部材を過度に補強する必要がなく、この支持部材の大型化を抑えることにより、支持部材の周囲のスペースを有効に利用することができる。
【0018】
また、請求項2の発明によれば、支持部材の追加固定部が、エンジンに設けた支持部材取付部の水平取付面に当接する構成としているので、支持部材に加わる排気ガス処理装置の垂直荷重を、水平取付面により大きな受圧面積をもって受けることができると共に、追加固定部と水平取付面との当接(摩擦)により、支持部材に加わる水平荷重も支承できる。このため、支持部材の取付強度を確実に確保でき、排気ガス処理装置ががたつくことをより確実に防止できる。
【0019】
また、請求項3の発明によれば、支持部材の追加固定部が、エンジンに設けた支持部材取付部の垂直取付面に当接する構成としているので、追加固定部をボルト等を用いて垂直取付面に押し付けることにより、支持部材に加わる垂直荷重並びに水平荷重を確実に支承できる。このため、支持部材の取付強度を確実に確保でき、排気ガス処理装置ががたつくことをより確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に適用される油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】図1中の上部旋回体をキャブ等を省略して示す拡大平面図である。
【図3】エンジン、支持部材取付部、油圧ポンプ等を支持部材を取り外して示す一部破断の斜視図である。
【図4】エンジン、支持部材取付部、油圧ポンプ、支持部材、排気ガス処理装置等を図2中の矢示IV−IV方向からみた要部拡大図である。
【図5】エンジン、支持部材取付部、油圧ポンプ、支持部材、排気ガス処理装置等を図4中の矢示V−V方向からみた要部拡大図である。
【図6】エンジン、支持部材取付部、油圧ポンプ、支持部材、排気ガス処理装置等を示す一部破断の斜視図である。
【図7】エンジン、支持部材取付部、油圧ポンプ、支持部材等を図5中の矢示VII−VII方向からみた要部拡大の断面図である。
【図8】支持部材を単体で示す斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態による支持部材を単体で示す斜視図である。
【図10】エンジン、支持部材取付部、油圧ポンプ等を支持部材を取り外して示す一部破断の斜視図である。
【図11】エンジン、支持部材取付部、油圧ポンプ、支持部材等を示す図7と同様な断面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態による支持部材を単体で示す斜視図である。
【図13】エンジン、支持部材取付部、油圧ポンプ、支持部材等を示す図7と同様な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械として、クローラ式の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
まず、図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、1は建設機械としてのクローラ式の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に俯仰動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置4とにより大略構成されている。
【0023】
ここで、油圧ショベル1を構成する上部旋回体3は、後述の旋回フレーム5、キャブ6、カウンタウエイト7、エンジン8、油圧ポンプ13、排気ガス処理装置18等により構成されている。
【0024】
5は上部旋回体3の旋回フレームで、該旋回フレーム5は、強固な支持構造体として構成されている。そして、旋回フレーム5は、図2に示す如く、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板5Aと、該底板5A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板5B,右縦板5Cと、該各縦板5B,5Cの左,右方向に間隔をもって配置され、前,後方向に延びた左サイドフレーム5D,右サイドフレーム5Eと、前記底板5A、各縦板5B,5Cから左,右方向に張出し、その先端部に左,右のサイドフレーム5D,5Eを支持する複数本の張出しビーム5Fとにより大略構成されている。そして、各縦板5B,5Cの前側には左,右方向の中央に位置して作業装置4が俯仰動可能に取付けられ、旋回フレーム5の後側には後述のエンジン8等が設けられている。
【0025】
6は旋回フレーム5の左前側(作業装置4のフート部左側)に搭載されたキャブ(図1参照)を示している。このキャブ6は、オペレータが搭乗するもので、その内部にはオペレータが着座する運転席、走行用の操作レバー、作業用の操作レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。
【0026】
7は旋回フレーム5の後端部に取付けられたカウンタウエイトを示している。このカウンタウエイト7は、作業装置4との重量バランスをとるものであり、後面側が湾曲するように突出している。
【0027】
8は旋回フレーム5の後側に設けられたエンジンで、該エンジン8は、カウンタウエイト7の前側に位置して左,右方向に延在する横置き状態に搭載されている。また、エンジン8の左側には、熱交換器8Aに冷却風を供給するための冷却ファン8Bが設けられている。一方、エンジン8の右側は、後述の油圧ポンプ13を取付けるためのポンプ取付部9となっている。また、エンジン8の右側の上部には、排気ガスを排出するための排気管8Cが設けられ、該排気管8Cの途中部位には後述の排気ガス処理装置18が取付けられている。
【0028】
9はエンジン8の外殻をなすハウジング8Dの右端部に設けられたポンプ取付部を示している。このポンプ取付部9は、エンジン8の出力軸8E(図6参照)の周囲にこの出力軸8Eを囲む状態で環状に設けられており、後述する油圧ポンプ13のフランジ部14が突き合わされて取付けられるものである。このために、このポンプ取付部9には、その全周に亘り出力軸8Eの軸方向と直交する垂直面9Aを設けると共に、この垂直面9Aに環状に複数の有底なボルト穴9Bを設けている。そして、これら各ボルト穴9Bに螺合する締結ボルト10を用いて、ポンプ取付部9に油圧ポンプ13のフランジ部14を取付ける構成となっている。
【0029】
11はエンジン8のハウジング8Dに設けられた1対の支持部材取付部で、該各支持部材取付部11は、後述の支持部材17の追加固定部17Cを取付けるものである。ここで、各支持部材取付部11は、図3に示すように、エンジン8のハウジング8Dのうちポンプ取付部9とは異なる位置、即ち、ポンプ取付部9を挟んで油圧ポンプ13と反対側に設けられたフライホイールハウジング8D1の外面の上側に、互いに前後方向に離隔して設けられている。
【0030】
この場合、各支持部材取付部11の上面は、ポンプ取付部9の垂直面9Aに対して直角の位置関係、即ち、エンジン8の出力軸8Eの軸方向に対して平行な位置関係となる水平取付面11Aとなっている。また、これら各水平取付面11Aには、それぞれ有底の固定ボルト穴11B(図3参照)を設けている。そして、これら各固定ボルト穴11Bに螺合する1対の固定ボルト12を用いて、各支持部材取付部11に後述する支持部材17の追加固定部17Cを固定する構成となっている(図4参照)。
【0031】
13はエンジン8の右側に取付けられた油圧ポンプで、該油圧ポンプ13は、エンジン8によって回転駆動されることにより、油圧ショベル1に搭載された各種油圧アクチュエータに向けて作動用の圧油を吐出するものである。ここで、図4に示すように、油圧ポンプ13の外殻をなすハウジング13Aのうちエンジン8に対向する左側の端部には、エンジン8のポンプ取付部9に対応する環状のフランジ部14が設けられ、このフランジ部14には、エンジン8のポンプ取付部9の各ボルト穴9Bに対応して、複数のボルト挿通孔14Aが環状に設けられている。そして、ポンプ取付部9の垂直面9Aにフランジ部14を突き合わせた状態で、各締結ボルト10を各ボルト挿通孔14Aに挿通して各ボルト穴9Bに螺合することにより、油圧ポンプ13をエンジン8に取付けている。
【0032】
15は油圧ポンプ13の前側に位置して旋回フレーム5の右側に設けられた作動油タンク(図2参照)で、該作動油タンク15は、下部走行体2、作業装置4等を駆動する各種油圧アクチュエータに供給される作動油を貯えるものである。また、16は作動油タンク15の前側に設けられた燃料タンク(図2参照)を示し、該燃料タンク16は、エンジン8に供給される燃料を貯えるものである。
【0033】
17は油圧ポンプ13の上側に配置される支持部材で、該支持部材17は後述の排気ガス処理装置18を油圧ポンプ13の上側に支持するためのものである。ここで、支持部材17は、図4ないし図8に示すように、上方から見てコ字型の枠状に形成された固定部17Aと、該固定部17Aの上端部に溶接等の手段を用いて固定され水平方向に延びる四角形状の平板からなる載置部17Bと、側方から見てL字型に形成され固定部17Aの左端面に溶接等の手段を用いて固定される追加固定部17Cとにより大略構成されている。
【0034】
ここで、固定部17Aは、排気ガス処理装置18の長さ方向(前,後方向)に延びる取付部17A1と、該取付部17A1の両端側からコ字型に折り曲げられた前,後の補強部17A2とからなる。また、取付部17A1の下端側には、油圧ポンプ13のフランジ部14に設けられたボルト挿通孔14Aに対応して複数の固定部側ボルト挿通孔17A3が形成されている。そして、固定部17Aを構成する取付部17A1の下端側を油圧ポンプ13のフランジ部14の端面に当接させると共に、固定部側ボルト挿通孔17A3、フランジ部14のボルト挿通孔14Aに挿通した締結ボルト10をポンプ取付部9のボルト穴9Bに螺合することにより、支持部材17の固定部17Aを、油圧ポンプ13のフランジ部14に締結ボルト10を用いて共締めにより固定している。
【0035】
一方、支持部材17を構成する載置部17Bは、上面に後述の取付ブラケット19を介して排気ガス処理装置18を載置するもので、固定部17Aから油圧ポンプ13上を延在する状態でこの固定部17Aに固定されている。また、載置部17Bの中央部には、支持部材17を軽量化するための矩形孔17B1が形成され、載置部17Bの四隅には、載置部側ボルト挿通孔17B2が形成されている。
【0036】
さらに、支持部材17を構成する追加固定部17Cは、固定部17Aとは異なる位置でエンジン8の支持部材取付部11に固定されることにより、固定部17Aと共に支持部材17に加わる排気ガス処理装置18の荷重を支承するものである。ここで、追加固定部17Cは、金属製で矩形状の平板に折り曲げ加工を施すことにより断面L字型に形成されたもので、固定部17Aの左端面に溶接等の手段を用いて固定される固定板部17C1と、該固定板部17C1に対して直角に折り曲げられた取付板部17C2とから成る。この場合、取付板部17C2の下面は、固定部17Aの取付部17A1に対して直角の位置関係となり、支持部材取付部11の水平取付面11Aと正対する水平追加固定面17C3となっている。また、取付板部17C2には、上下方向に貫通する固定ボルト挿通孔17C4を設けている。
【0037】
そして、図7に示すように、締結ボルト10を用いて支持部材17の固定部17Aを油圧ポンプ13のフランジ部14に共締めした状態で、支持部材取付部11の水平取付面11Aと追加固定部17Cの水平追加固定面17C3とを水平方向に当接させ、追加固定部17Cの各固定ボルト挿通孔17C4を通じて支持部材取付部11の固定ボルト穴11Bにそれぞれ固定ボルト12を螺合することにより、各支持部材取付部11に支持部材17の追加固定部17Cを固定している。
【0038】
このように、支持部材17の固定部17Aを締結ボルト10を用いて油圧ポンプ13のフランジ部14に共締めすることに加え、支持部材17に設けた追加固定部17Cを固定ボルト12を用いてエンジン8の支持部材取付部11に固定することにより、例えば支持部材17により支持する排気ガス処理装置18の重量が嵩む場合でも、支持部材17の取付け強度を十分に確保できる構成となっている。
【0039】
18は支持部材17上に載置された排気ガス処理装置で、該排気ガス処理装置18はエンジン8から排出される排気ガスを処理するものである。この排気ガス処理装置18は、図5および図6に示すように、前,後方向に延びる1個の円管状容器として形成された筒状ケース18Aと、該筒状ケース18Aの前側(上流側)からエンジン8側に突出した流入側の接続管18Bと、筒状ケース18Aの後側(下流側)から上向きに延びた排気口となる尾管18Cと、前記筒状ケース18A内に収容された処理装置本体(図示せず)とにより大略構成されている。
【0040】
ここで、筒状ケース18Aに収容される処理装置本体について説明すると、この処理装置本体としては、排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集して除去するために酸化触媒やフィルタから構成された粒子状物質除去装置、排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を尿素水溶液を用いて浄化するNOx浄化装置、排気ガスの騒音を低減する消音装置(排気マフラ)等が知られている。これらの処理装置本体は、消音装置単体で使用することもあるが、近年は排気ガスの排出基準を満たすために粒子状物質除去装置やNOx浄化装置等の排気ガス浄化装置と組合せて使用することが多い。
【0041】
19は排気ガス処理装置18の筒状ケース18Aに設けられた1対の取付ブラケットで、該取付ブラケット19は、図4に示すように、中央に筒状ケース18Aの外周面と同じ曲率を有する円弧状の凹湾曲部19Aを有する板体からなり、凹湾曲部19Aは筒状ケース18Aの下面に溶接されている。また、支持部材17の載置部17Bに当接する取付ブラケット19の両端部には、長孔状のボルト挿通孔19Bが穿設されている。そして、これら各ボルト挿通孔19Bと載置部17Bの載置部側ボルト挿通孔17B2とに挿通した支持ボルト20にナット21を螺合することにより、取付ブラケット19を介して排気ガス処理装置18が支持部材17の載置部17B上に取付けられている。
【0042】
第1の実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、この油圧ショベル1の動作について説明する。
【0043】
まず、オペレータは、キャブ6に搭乗して運転席に着座する。この状態で走行用の操作レバーを操作することにより、下部走行体2を駆動して油圧ショベル1を前進または後退させることができる。また、運転席に着座したオペレータは、作業用の操作レバーを操作することにより、作業装置4を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0044】
この油圧ショベル1の運転時には、エンジン8から排出される排気ガスが排気ガス処理装置18を通じて大気中に排出される。この場合、排気ガス処理装置18は、例えば排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集して除去する粒子状物質除去装置、排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化するNOx浄化装置等の排気ガス浄化装置を内蔵しているため、排気ガス処理装置18の重量が嵩む傾向にある。
【0045】
これに対し、本実施の形態では、排気ガス処理装置18を支持する支持部材17に固定部17Aだけでなく追加固定部17Cを設けている。そして、図5ないし図7に示すように、固定部17Aを締結ボルト10を用いて油圧ポンプ13のフランジ部14に共締めすることに加え、追加固定部17Cを固定ボルト12を用いてエンジン8の支持部材取付部11に固定することにより、支持部材17に加わる荷重を固定部17Aと追加固定部17Cとにより分担して支承している。
【0046】
このように、第1の実施の形態によれば、固定部17Aと追加固定部17Cとにより支持部材17に加わる排気ガス処理装置18の荷重を分担して支承することができるため、排気ガス処理装置18の重量が嵩む場合でも、支持部材17の取付強度を十分に確保できる。この結果、長期の使用に係わらず排気ガス処理装置18ががたつくことを防止して、排気ガス処理装置18によって排気ガス中の有害物質を長期に亘って確実に除去することができるので、油圧ショベル1の信頼性を高めることができる。
【0047】
しかも、上述のように追加固定部17Cにより支持部材17に加わる排気ガス処理装置18の荷重を分担して支承することができるため、共締めする締結ボルト10の寸法を大きく(サイズアップ)したり、この締結ボルト10の数を増加することなく、支持部材17の取付強度を確保できる。また、固定部17Aと異なる位置(固定部17Aから離れた位置)で追加固定部17Cがエンジン8の支持部材取付部11に固定されるため、支持部材17の重心位置を安定させることもできる。このため、共締めの構成を採用した場合でも、支持部材17を過度に補強する必要がなく、この支持部材17の大型化を抑えることにより、支持部材17の周囲のスペースを有効に利用することができる。
【0048】
さらに、追加固定部17Cの水平追加固定面17C3と支持部材取付部11の水平取付面11Aとが水平方向に当接するので、支持部材17に加わる排気ガス処理装置18の垂直荷重を、水平取付面11Aにより大きな受圧面積をもって受けることができる。また、水平追加固定面17C3と水平取付面11Aとの当接(摩擦)により、支持部材17に加わる水平荷重も支承できる。このため、支持部材17の取付強度を確実に確保でき、排気ガス処理装置18ががたつくことをより確実に防止できる。
【0049】
次に、図9ないし図11は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、支持部材取付部と追加固定部とを垂直方向に当接させて固定したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0050】
図中、31はエンジン8のハウジング8Dに設けられた支持部材取付部で、該支持部材取付部31は、上述した第1の実施の形態による支持部材取付部11に代えて本実施の形態に用いたものである。ここで、支持部材取付部11は、図10に示すように、エンジン8のハウジング8Dのうちポンプ取付部9とは異なる位置、即ち、該ポンプ取付部9に隣接して設けられたフライホイールハウジング8D1を挟んで油圧ポンプ13とは反対側で、かつ、このフライホイールハウジング8D1よりも上側となる位置に設けられている。
【0051】
この場合、支持部材取付部31の端面は、ポンプ取付部9の垂直面9Aに対して平行の位置関係、即ち、エンジン8の出力軸8Eの軸方向に対して垂直な位置関係となる垂直取付面31Aとなっている。また、この垂直取付面31Aには、1対の固定ボルト穴31Bを設けている。そして、これら各固定ボルト穴31Bに螺合する1対の固定ボルト32を用いて、支持部材取付部31に後述する支持部材33の追加固定部33Cを固定する構成となっている。
【0052】
33は油圧ポンプ13の上側に配置される支持部材で、該支持部材33は、第1の実施の形態による支持部材17に代えて本実施の形態に用いたものである。ここで、支持部材33は、取付部33A1と前,後の補強部材33A2とによりコ字型の枠状に形成された固定部33Aと、該固定部33Aの上端部に溶接等の手段を用いて固定され水平方向に延びる載置部33Bと、該載置部33Bの端部から上方に折り曲げ形成することによりこの載置部33Bと一体に形成された追加固定部33Cとにより大略構成されている。また、固定部33Aの取付部31A1の下端側には、複数の固定部側ボルト挿通孔33A3が円弧状に並んで形成されている。さらに、載置部33Bの中央部には矩形孔33B1が形成され、載置部33Bの四隅には載置部側ボルト挿通孔33B2が形成されている。
【0053】
一方、追加固定部33Cは、固定部33Aとは異なる位置でエンジン8の支持部材取付部31に固定されるものである。ここで、追加固定部33Cの端面は、固定部33Aの取付部33A1に対して平行の位置関係となり、支持部材取付部31の垂直取付面31Aに正対する垂直追加固定面33C1となっている。また、追加固定部33Cには、板厚方向に貫通する固定ボルト挿通孔33C2が設けられている。
【0054】
そして、図11に示すように、締結ボルト10を用いて支持部材33の固定部33Aを油圧ポンプ13のフランジ部14に共締めした状態で、支持部材取付部31の垂直取付面31Aと追加固定部33Cの垂直追加固定面33C1とを垂直方向に当接させ、追加固定部33Cの各固定ボルト挿通孔33C2を通じて、支持部材取付部31の固定ボルト穴31Bにそれぞれ固定ボルト32を螺合することにより、支持部材取付部31に支持部材33の追加固定部33Cを固定している。
【0055】
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き支持部材取付部31と支持部材33とを有するもので、排気ガス処理装置18の重量が嵩む場合でも、支持部材33の固定部33Aと追加固定部33Cとによりその荷重を分担して支承することができ、支持部材33の取付け強度を十分に確保できる。従って、本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
また、第2の実施の形態では、追加固定部33Cの垂直追加固定面33C1と支持部材取付部31の垂直取付面31Aとを垂直方向に当接させた状態で、この垂直追加固定面33C1を垂直取付面31Aに固定ボルト32により押し付けているため、支持部材33に加わる垂直荷重並びに水平荷重を確実に支承できる。このため、支持部材33の取付強度を確実に確保でき、排気ガス処理装置18ががたつくことを確実に防止できる。
【0057】
しかも、第2の実施の形態では、支持部材33の追加固定部33Cと載置部33Bとを一体に形成しているため、部品点数の増大を伴うことなく追加固定部33Cを設けることができ、支持部材33の製造コストの低減を図ることができる。
【0058】
次に、図12ないし図13は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、支持部材取付部と追加固定部とを水平方向に当接させて固定させると共に、この追加固定部と載置部とを一体に形成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0059】
図中、41は油圧ポンプ13の上側に配置される支持部材で、該支持部材41は、第1の実施の形態による支持部材17に代えて本実施の形態に用いたものである。ここで、支持部材41は、取付部41A1と前,後の補強部材41A2とによりコ字型の枠状に形成された固定部41Aと、該固定部41Aの上端部に溶接等の手段を用いて固定され水平方向に延びる載置部41Bと、該載置部41Bの端部から連続する状態でこの載置部41Bと一体に形成された追加固定部41Cとにより大略構成されている。また、固定部41Aの取付部41A1の下端側には複数の固定部側ボルト挿通孔41A3が円弧状に並んで形成されている。さらに、載置部41Bの中央部には矩形孔41B1が形成され、載置部41Bの四隅には載置部側ボルト挿通孔41B2が形成されている。
【0060】
一方、追加固定部41Cは、固定部41Aとは異なる位置でエンジン8の支持部材取付部11に固定されるもので、載置部41Bの端部から下方に折り曲げられた連続板部41C1と、この連続板部41C1の下端から水平方向に折り曲げられた取付板部41C2とから成る。この場合、取付板部41C2の下面は、固定部41Aの取付部41A1に対して直角の位置関係となり、支持部材取付部11の水平取付面11Aと正対する水平追加固定面41C3となっている。また、取付板部41C2には、上下方向に貫通する固定ボルト挿通孔41C4が設けられている。
【0061】
そして、図13に示すように、締結ボルト10を用いて支持部材41の固定部41Aを油圧ポンプ13のフランジ部14に共締めした状態で、支持部材取付部11の水平取付面11Aと追加固定部41Cの水平追加固定面41C3とを水平方向に当接させ、追加固定部41Cの各固定ボルト挿通孔41C4を通じて支持部材取付部11の固定ボルト穴11Bにそれぞれ固定ボルト12を螺合することにより、各支持部材取付部11に支持部材41の追加固定部41Cを固定している。
【0062】
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き支持部材41を有するもので、排気ガス処理装置18の重量が嵩む場合でも、支持部材41の固定部41Aと追加固定部41Cとによりその荷重を分担して支承することができ、支持部材41の取付け強度を十分に確保できる。従って、本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0063】
しかも、第3の実施の形態では、支持部材41の追加固定部41Cと載置部41Bとを一体に形成しているため、部品点数の増大を伴うことなく追加固定部41Cを設けることができ、支持部材41の製造コストの低減を図ることができる。
【0064】
なお、上述した各実施の形態では、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばタイヤ等からなるホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに搭載する構成としてもよい。それ以外にも、リフトトラック、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 油圧ショベル
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
8 エンジン
8E 出力軸
9 ポンプ取付部
10 締結ボルト(締結部材)
11、31 支持部材取付部
11A 水平取付面
13 油圧ポンプ
14 フランジ部
17、33、41 支持部材
17A、33A、41A 固定部
17B、33B、41B 載置部
17C、33C、41C 追加固定部
17C3、41C3 水平追加固定面
18 排気ガス処理装置
31A 垂直取付面
33C1 垂直追加固定面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な車体と、該車体に搭載され出力軸を囲んでポンプ取付部を有するエンジンと、該エンジンのポンプ取付部に突き合わせて締結部材により取付けられるフランジ部を有し、前記エンジンにより回転駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプの上側に配置される支持部材と、該支持部材上に載置され前記エンジンの排気ガスを処理する排気ガス処理装置とを備えてなる建設機械において、
前記エンジンには、前記ポンプ取付部とは異なる位置に前記支持部材を取付ける支持部材取付部を設け、
前記支持部材は、前記油圧ポンプのフランジ部に前記締結部材を用いて共締めにより固定される固定部と、該固定部から前記油圧ポンプ上を延在し前記排気ガス処理装置を載置する載置部と、前記固定部とは異なる位置で前記エンジンの支持部材取付部に固定される追加固定部とにより構成したことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記エンジンのポンプ取付部は前記出力軸と直交する垂直面を有し、前記支持部材取付部は前記垂直面に対して直角の位置関係となる水平取付面を有し、
前記支持部材の追加固定部は前記エンジンの水平取付面に当接させて固定する構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記エンジンのポンプ取付部は前記出力軸と直交する垂直面を有し、前記支持部材取付部は前記垂直面に対して平行の位置関係となる垂直取付面を有し、
前記支持部材の追加固定部は前記エンジンの垂直取付面に当接させて固定する構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項1】
自走可能な車体と、該車体に搭載され出力軸を囲んでポンプ取付部を有するエンジンと、該エンジンのポンプ取付部に突き合わせて締結部材により取付けられるフランジ部を有し、前記エンジンにより回転駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプの上側に配置される支持部材と、該支持部材上に載置され前記エンジンの排気ガスを処理する排気ガス処理装置とを備えてなる建設機械において、
前記エンジンには、前記ポンプ取付部とは異なる位置に前記支持部材を取付ける支持部材取付部を設け、
前記支持部材は、前記油圧ポンプのフランジ部に前記締結部材を用いて共締めにより固定される固定部と、該固定部から前記油圧ポンプ上を延在し前記排気ガス処理装置を載置する載置部と、前記固定部とは異なる位置で前記エンジンの支持部材取付部に固定される追加固定部とにより構成したことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記エンジンのポンプ取付部は前記出力軸と直交する垂直面を有し、前記支持部材取付部は前記垂直面に対して直角の位置関係となる水平取付面を有し、
前記支持部材の追加固定部は前記エンジンの水平取付面に当接させて固定する構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記エンジンのポンプ取付部は前記出力軸と直交する垂直面を有し、前記支持部材取付部は前記垂直面に対して平行の位置関係となる垂直取付面を有し、
前記支持部材の追加固定部は前記エンジンの垂直取付面に当接させて固定する構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−140932(P2011−140932A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3460(P2010−3460)
【出願日】平成22年1月9日(2010.1.9)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月9日(2010.1.9)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
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