説明

建造物特に堤防を構築又は再建するための建設材料、その使用及び製造方法

建造物特に堤防の構築又は再建のための材料が提案され、この材料は、疎水剤で表面処理することにより水を退けるようにされる砂及び/又は岩石粉から実質的に成っている。この材料は、なるべくプラスチックから成る袋に包装され、ミキサ中で適当な量の砂及び/又は岩石粉と疎水剤に混合することにより製造される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、建造物特に堤防を構築又は再建するための建設材料、その使用及び製造方法に関する。
【0002】
甚だしい降水、融雪等の際はんらん及び水害を防止するため、永久堤防の形の保護ダムを設けるのが普通である。しかしこのような堤防は、特に流れに沿って、増加する建設のため及び多くの他の理由から、特に予想される最高の洪水が数mの永久堤防設備を必要とする時、必ずしも必要ではない。
【0003】
堤防を欠くことの結果は、水位の危険な上昇の場合適時に対抗手段がとられない場合、全市街地部分及び地域のはんらんである。
【0004】
高潮災害及びこれにより生じる洪水を回避するため通常使用されかつ比較的安価な一般に公知の手段は、砂、コンクリート等から成る廃物で満たされた袋及び他の容器による堤防の一時的な構築である。これにより有効な保護を行うことができるけれども、構築されるダムが破壊するか又は少なくとも漏るようになることはまれではない。その主な理由は、砂等から形成されるばら材料へ水が容易に侵入して、これを軟らかくしかつ変形し、それにより最後には構築された保護ダムに少なくとも局部的にその密封作用を奪い取るからである。このことは、特にゆるいばら物を包装するため、ジュート又は他の容易に腐る材料から成る袋が使用される場合に当てはまる。その結果、砂袋で構築される保護ダム等は、常にその密封作用を監視され、大きい面積の堤防破壊を避けようとすれば、漏れる個所を直ちに修理せねばならない。
【0005】
例えば記念碑保護下にある物体のような建造物の再建の際、同じような欠点が生じる。この場合ばら物として存在する鉱物質建造材料を使用することがしばしば望まれ、これらの材料は、一方では防壁、壁等に永久に組込む際、湿気の侵入に耐え、他方では安価に製造され、組込まれ、処理されることができる。
【0006】
これから出発して本発明の基礎になっている技術的問題は、堤防及び他の水を退けるか水を防ぐ建造物の製造又は密封又は再建に適した建設材料を提案し、この建設材料が砂及び対比可能なばら材料のように包装されかつ取扱われるけれども、水に対して著しく良好な密封作用及び抵抗力を持つようにすることである。更に建設材料の使用及び製造方法も提案する。
【0007】
この問題を解決するため、疎水剤による表面処理によって水を退けるようにされる砂、岩石粉又はその混合物から実質的に成る建設材料が提案される。疎水剤として安価なステアリン酸カルシウム、大豆油又はパルプ廃液から得られる樹脂と脂肪酸との混合物が考慮される。建設材料の使用及び製造方法は請求項7及び13からわかる。
【0008】
本発明は、砂又は岩石粉又はその個々の粒が、疎水剤で行われる表面処理のため、水を退けるという重要な利点を持っている。これは、水滴が粒をぬらすことなくこれらの粒に滴下し、このような建設材料で満たされる容器特に可撓性袋が、水に対して容易に侵入できない障害を形成することを意味する。普通の砂とは異なり、疎水剤により疎水被覆を設けられる砂は、長い間でも水中で軟化しないので、ダムの破壊が効果的に防止され、建造物が液体の侵入又は漏出に対して保護される。疎水性にされる岩石粉を使用する際にも、同じことが当てはまる。
【0009】
本発明の別の有利な特徴は、従属請求項からわかる。
【0010】
岩石粉としてなるべく石灰岩が使用される。爆破(例えば大径穴爆破)後に得られる採掘鉱石は、岩石たがね等により粗く砕かれ、それから破砕設備へ供給される。砕かれた材料は、例えば振動格子で行われる第1の浄化段階において破砕機へ供給され、別の振動ふるいを介して分類される。例えばボールミルによる微粉砕後、空気分離機等を介して微粉(例えば10〜40μm)の選別が行われ、この粉砕が疎水化装置へ供給される。強く汚れている岩石粉は、必要な場合疎水化前に第2の浄化段階を受けることができる。粒部分全体の疎水化又は表面被覆は、ステアリン酸塩(例えばステアリン酸カルシウム又は適当な油の添加によりミキサ設備において行われる。疎水剤は、組成に応じて粉末状又は80℃〜200℃への予熱による得られる流動形式で添加可能である。他の岩石からの建設材料の製造も適当に行われる。
【0011】
疎水剤の割合が約1〜2重量%だけであっても、砂又は岩石粉の充分な疎水化が起こる。その際特に有利に、約200μmより小さい粒度を持つ砂又は岩石粉、即ち微細ないし極微細な砂又は微細ないし極微細な岩石粉が使用される。この場合非常に密なコンパクトな建設材料が得られ、場合によっては存在する包装層を通る際にも水に対して、大きい流れ抵抗を与える。
【0012】
ステアリン酸カルシウム、大豆油及び例えばドイツとうひ又は松のような樹脂の多い木材からパルプを製造する際生じる副産物であるパルプの廃液から得られる樹脂と脂肪酸との混合物のほかに、前記の目的に適した他の疎水剤及び/又は前記の又は例えば菜種油のような他の疎水剤の混合物も当然使用することができる。
【0013】
前述した建設材料の製造は、前もって選ばれた量の砂及び/又は岩石粉と疎水剤とを例えば5〜20分の充分長い時間ミキサにおいて互いに混合することによってなるべく行われる。それにより行われる砂又は岩石粉の表面処理により、上述した特性を持つ疎水化が行われる。ミキサとして、例えば向流ミキサのような強制ミキサがなるべく使用される。
【0014】

実施例において、原料として砂が使用された。空気分離機における分類により得られた最大200μmの粒度を持つこの砂50kgが、振動可能な充填ボールを添加された強制ミキサにおいて、1kgのステアリン酸カルシウムで、10分間処理された。結果として水を退ける疎水性ばら物が得られた。
【0015】
表面処理のための混合時間は、使用される粒度に関係して選ばれ、微細な粒では、粗い粒におけるより長いようにする。
【0016】
砂(例えば乾いた川砂、海砂又は砂漠の砂)のほかに、多数の岩石粉(例えば大理石、ドロマイト、黒鉛、珪岩、長石、蛇紋岩、玄武岩、輝緑岩、重晶石、石こう、白亜又はカオリンの粉)も使用でき、これらは全く結晶鉱物、天然鉱物であるが、例えばパーライト又は膨化パーライトのような無定形岩石ガラスではない。
【0017】
例えばパルプの廃液から得られる樹脂と脂肪酸との混合物、菜種油等のような液状疎水剤を使用する場合、液状成分を噴霧により原材料へ入れることができる。
【0018】
本発明による建設材料は、なるべくよく取扱い可能な量で、袋へ、必要な場合区域に分割されたマット等へ包装され、これらの袋は、例えばポリ塩化ビニル箔のように腐らない材料から成り、従来の砂袋のように堤防の構築又は改良のために使用される。洪水の去った後に、本発明による建設材料を満たされた袋を再び集めて保管することができる。その際腐る危険は、腐り易く更に比較的高価なジュート袋の使用に比較して、ずっと少ない。
【0019】
本発明による建設材料の別の使用は、既に存在するか又は新たに構築すべき堤防設備、又は例えば防護壁のような別の建造物に、疎水化される建設材料から成る芯を設けることである。このため既に存在する堤防は、深堀りパワーショベルにより、例えば所望の幅及びなるべく地下水位の下まで達する深さで掘り出され、それから芯区域として疎水性砂又は岩石粉を満たされることができる。古い設備及び新しい設備において、側方区画面は、腐らないか腐り難い(例えばPVC製の)箔で覆われ、場合によっては付加的な支持素子により固定され、続いて通常のように構築される。堤防設備を監視するため、更に付加的に水位計を組込むことができる。その際適当な作業機械により、疎水性にされた建設材料が、ゆるいばら積みの形でも比較的大きい容器に包装されるか、又は前もって製造された比較的大きい部材の形で、堤防設備へ組込まれることができることは、明らかである。更に芯区域は、耐震のため複数の層から構成されることができる。
【0020】
これを別として、特に続いての再使用を伴う後での分解が必要でない時、使用目的に応じて、PVC袋の代わりに、腐る可能性があり少なくとも少し多孔質の物質から成る袋、特にジュート織布等から成る袋へ、上述した建設材料を包装することが可能である。更に弁袋の使用が有利なことがある。なぜならば、この場合種々の場所で、弁へ導入可能な充填管片を持つ充填機械により、簡単で安価な充填が可能だからである。多孔質包装体の使用は、建設材料がこれらの孔へ侵入し、それにより包装体の外面においても疎水作用を生じることができるからである。
【0021】
本発明による建設材料の別の有利な使用は、建築物又は物体又は記念物を保護する際、洪水の危険がある地域であるか否かに関係ないことである。上述した建設材料を板、面素子(滑走路)等となるように包装し、永久防壁、壁等の構築のため構成素子又は構成ブロックのような形で使用することが可能である。更に例えば液状又は塵埃状にし、セメントのように圧縮空気等で、立入りの不可能か又は困難な空間へ圧入することによって、建造物又は地下の空所へ上述した建設材料を入れることができ、その際空所は、再建すべき建築物に前もって設けられた穴であってもよい。
【0022】
本発明の範囲内において″堤防″という表現は、前記の目的に適したすべての種類の防護壁、壁等を含み、永久的に構築される堤防設備であっても、短時間のみ必要な保護ダムであってもよい。
【0023】
更に本発明のよる建設材料は、地下水被害の除去、低減又は予防のため、あらゆる種類の水の影響に対して、霜の作用においても、また建造物の亀裂の入った外壁の再建又は密封のために使用することができる。後者の場合は、例えば圧縮空気によるか又は注入後再び気化する液状物質により、れんが積みへ入れることができる。
【0024】
最後に、本発明による建設材料は、永久又は可動貯水設備、水槽、地下水層等の密封又は包囲に利用することによって、水貯蔵(水保存)のためにも同じように使用することができる。
【0025】
本発明は、多様に変更できる上述した実施例に限定されない。このことは、表面処理中における疎水剤の量に特に当てはまる。疎水剤及び所望の疎水の程度に応じて、ミキサ中にある混合物に、1〜2重量%より多く又は少なく添加することができる。更に上述した方法とは異なる方法及び上述した疎水剤とは異なる疎水剤で、疎水化を行うことができる。更に本発明による建設材料は、包装した形又は異なるように包装した形のほかに、例えば適当な形状で固体構造部材に形成して焼成することにより、焼成された形でも使用することができる。更に上述した組合わせとは異なる組合わせで種々の特徴を使用できることはあきらかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水剤による表面処理によって水を退けるようにされる砂及び/又は岩石粉から実質的に成る、水を退けかつ水を防ぐ建造物特に堤防を構築又は再建するための建設材料。
【請求項2】
建設材料が、疎水剤として1〜2重量%のステアリン酸カルシウムを含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の建設材料。
【請求項3】
建設材料が、疎水剤として、パルプの廃液から得られる樹脂と脂肪酸との混合物、大豆油又は菜種油を含んでいることを特徴とする、請求項1又は2に記載の建設材料。
【請求項4】
建設材料が200μmより小さい粒度を持っていることを特徴とする、請求項1〜3の1つに記載の建造物。
【請求項5】
岩石粉が天然の破砕された岩石から成っていることを特徴とする、請求項1〜4の1つに記載の建設材料。
【請求項6】
建設材料が炭酸カルシウムを含む岩石粉から実質的に製造されていることを特徴とする、請求項1〜5の1つに記載の建設材料。
【請求項7】
疎水剤による表面処理によって水を退けるようにされた砂及び/又は岩石粉から実質的に成っている材料の、建造物特に堤防を構築又は再建するための使用。
【請求項8】
材料が容器に満たされたばら物として存在することを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
可撓プラスチック特にポリ塩化ビニルから成る袋に包装されていることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
容器が弁袋であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の使用。
【請求項11】
容器が多孔質材料から製造されていることを特徴とする、請求項8〜10の1つに記載の使用。
【請求項12】
建造物が、液体の侵入から保護するために、請求項1〜6の少なくとも1つに記載の材料及び/又は請求項8〜11の1つに記載の容器により製造されている少なくとも1つの芯区域を含んでいることを特徴とする、建造物特に堤防。
【請求項13】
前もって選ばれた量の砂及び/又は岩石粉及び疎水剤が、粒度に関係して選ばれた時間、ミキサにおいて混合されることを特徴とする、請求項1〜6の1つ又は複数に記載の材料の製造方法。
【請求項14】
天然の破砕された岩石が粉砕されかつ疎水化前に洗浄されることによって、この岩石粉が製造されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水剤による表面処理によって水を退けるようにされる砂及び/又は岩石粉から実質的に成る、水を退けかつ水を防ぐ建造物特に堤防を構築又は再建するためのばら物の形の建設材料。
【請求項2】
建設材料が、疎水剤として1〜2重量%のステアリン酸カルシウムを含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の建設材料。
【請求項3】
建設材料が、疎水剤として、パルプの廃液から得られる樹脂と脂肪酸との混合物、大豆油又は菜種油を含んでいることを特徴とする、請求項1又は2に記載の建設材料。
【請求項4】
建設材料が200μmより小さい粒度を持っていることを特徴とする、請求項1〜3の1つに記載の建造物。
【請求項5】
岩石粉が天然の破砕された岩石から成っていることを特徴とする、請求項1〜4の1つに記載の建設材料。
【請求項6】
建設材料が炭酸カルシウムを含む岩石粉から実質的に製造されていることを特徴とする、請求項1〜5の1つに記載の建設材料。
【請求項7】
疎水剤による表面処理によって水を退けるようにされた砂及び/又は岩石粉から実質的に成っている材料の、建造物特に堤防を構築又は再建するための使用。
【請求項8】
材料が容器に満たされたばら物として存在することを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
可撓プラスチック特にポリ塩化ビニルから成る袋に包装されていることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
容器が弁袋であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の使用。
【請求項11】
容器が多孔質材料から製造されていることを特徴とする、請求項8〜10の1つに記載の使用。
【請求項12】
建造物が、液体の侵入から保護するために、請求項1〜6の少なくとも1つに記載の材料及び/又は請求項8〜11の1つに記載の容器により製造されている少なくとも1つの芯区域を含んでいることを特徴とする、建造物特に堤防。
【請求項13】
前もって選ばれた量の砂及び/又は岩石粉及び疎水剤が、粒度に関係して選ばれた時間、ミキサにおいて混合されることを特徴とする、請求項1〜6の1つ又は複数に記載の材料の製造方法。
【請求項14】
天然の破砕された岩石が粉砕されかつ疎水化前に洗浄されることによって、この岩石粉が製造されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2006−508282(P2006−508282A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543964(P2004−543964)
【出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【国際出願番号】PCT/DE2003/003407
【国際公開番号】WO2004/035943
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(505171300)
【Fターム(参考)】