説明

弁装置

【課題】 弁体の自励振動を効果的に抑制することができる弁装置を提供する。
【解決手段】 流路3,5,19が形成された筐体7と、流路3,5,19を流れる流体の流量を調節する弁座9および弁体11と、弁体11を筐体7に設けられた弁座9に対して接触離間させる軸体15と、弁体11の移動方向と交差する方向への弁体11の移動を許容するとともに、弁体11の振動を抑制する抑制部17と、が設けられたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁装置、特に管路内を流れる流体の流量を制御する弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管路内を流れる流体の流量を制御するのに玉形弁などの弁装置が広く用いられている(例えば、特許文献1および2参照。)。
このような玉形弁において、弁体と弁座とが極めて接近した状態となると、弁体と弁座との間に発生する高速流により弁体に自励振動が生じ、弁体と弁座とが衝突(チャタリング)するという問題があった。特に、玉形弁の上流側と下流側との圧力差が大きい条件下では、弁体の自励振動が発生しやすいという問題があった。
【0003】
上述の特許文献2では、玉形弁を2つ平行に接続して、接続された2つの玉形弁を使い分けることにより、弁体と弁座との距離を広くして弁体の自励振動の発生を抑制する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−161529号公報
【特許文献2】特開2000−081163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献2に記載の技術を用いても、弁体が自励振動を起こす使用条件が存在し、弁体の自励振動の発生を効果的に抑制することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、弁体の自励振動を効果的に抑制することができる弁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の弁装置は、流路が形成された筐体と、前記流路を流れる流体の流量を調節する弁座および弁体と、前記弁体を前記筐体に設けられた前記弁座に対して接触離間させる軸体と、前記弁体の移動方向と交差する方向への前記弁体の移動を許容するとともに、前記弁体の振動を抑制する抑制部と、が設けられたことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、弁体に自励振動が発生しても振動は抑制部により抑制されるため、弁体の自励振動を抑制することができる。
弁体の移動方向と交差する方向への弁体の移動は許容されるため、弁体の中心軸線と弁座の中心軸線とを一致させることができ、弁体と弁座を接触させたときの流体の漏れを防止することができる。
【0008】
例えば、弁座における弁体との弁座接触面が、弁体に向かって弁座の中心軸線から離れるように傾斜する傾斜面であり、弁体における弁座との弁体接触面が、弁座に向かって弁体の中心軸線に近づくように傾斜する傾斜面である場合には、上述の両接触面の間を流れる流体における周方向の圧力分布が不均一となり、弁体の移動方向と交差する方向に振動する自励振動が弁体に発生していた。本発明の弁装置における抑制部は、上述のように発生した自励振動を抑制するとともに、弁体と弁座を接触させたときの流体の漏れを防止することができる。
【0009】
上記発明においては、前記抑制部は、前記軸体と前記弁体との間に設けられ、前記弁体の振動を減衰させる減衰部であることが望ましい。
【0010】
本発明によれば、弁体に自励振動が発生しても、振動は減衰部により減衰されて抑制されるため、弁体の自励振動を抑制することができる。
減衰部は、弁体と軸体との相対移動に対して抵抗力を発揮するものであるため、弁体の移動方向と交差する方向への弁体の移動は許容される。
【0011】
上記発明においては、前記抑制部には、前記軸体と前記弁体との間に設けられ、前記弁体の固有振動数を変更させる弾性体が設けられていることが望ましい。
【0012】
本発明によれば、弁体の固有振動数を、弁体と弁座との間に働く高速流に基づく振動の周波数、つまり自励振動の振動数と異なる振動数に変更することで弁体の自励振動の発生を抑制することができる。
弾性体は変形することにより、弁体の移動方向と交差する方向への弁体の移動を許容できるため、弁体と弁座を接触させたときの流体の漏れを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の弁装置によれば、弁体に自励振動が発生しても振動は抑制部により抑制されるため、弁体の自励振動を効果的に抑制することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る玉形弁ついて図1から図3を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る玉形弁の全体構成を説明する断面図である。
玉形弁(弁装置)1には、図1に示すように、水などの液体(流体)が流れる入口流路(流路)3および出口流路(流路)5等が形成された弁箱(筐体)7と、玉形弁1を流れる液体の流量を制御する弁座9および弁体11と、弁体11を弁座9に接触離間させる軸体15と、弁体11の自励振動を減衰させる減衰部(抑制部)17と、が設けられている。
【0015】
弁箱7には、内部に入口流路3と、出口流路5と、両流路を接続する連通流路(流路)19と、が設けられている。連通流路19には弁座9が配置され、弁体11が連通流路19に沿って移動し、弁座9に対して接触離間が可能に配置されている。
【0016】
弁座9は連通流路19に配置され、弁体11とともに液体の流量を制御する絞り機構を形成するものである。弁座9における弁体11と接触する弁座接触面21は、弁体11に向かって弁座9の中心軸線から離れるように傾斜する円錐面状の傾斜面に形成されている。
【0017】
弁体11は連通流路19内に配置され、弁座9とともに液体の流量を制御する絞り機構を形成するものである。弁体11は、弁体11の中心軸線および連通流路19に沿って移動し、弁座9に対して接触離間が可能に配置されている。弁体11における弁座9と接触する弁体接触面23は、弁座9に向かって弁座9の中心軸線に近づくように傾斜する円錐面状の傾斜面に形成されている。
【0018】
軸体15は弁箱7に設けられ、弁体11を弁座9に対して接触離間させるものである。軸体15の一方の端部は弁箱7内に、他方の端部は弁箱7の外に位置するように配置されている。軸体15における弁箱7内の端部には、減衰部17を介して弁体11が配置されている。
【0019】
図2は、図1の減衰部の構成を説明するA−A断面図である。
減衰部17は軸体15と弁体11との間に配置され、弁体11の自励振動を減衰させるものである。減衰部17には、図1および図2に示すように、弁体11の自励振動を減衰させる突起部25および液体室27が設けられている。
突起部25は、軸体15から液体室27に向かって突出する板状部材であり、軸体15の中心軸線に沿って延びるように配置されている。本実施形態では、4つの突起部25が軸体15の周囲に約90°の位相間隔をあけて配置された例に適用して説明する。一対の突起部25は、入口流路3、出口流路5、連通流路19が含まれる平面(図1における紙面)に含まれるように配置され、残りの一対の突起部25は、上述の平面に対して直交するとともに軸体15の中心軸線を含む平面に含まれるように配置されている。このように配置することで、弁体11において自励振動が多く発生する振動方向に対する減衰力を効果的に発揮することができる。
【0020】
液体室27は、軸体15の外周面および弁体11の内周面の間に形成されたほぼ円筒状の空間であって、内部にショックアブソーバ用の油等として働く粘性液体が満たされたものである。
なお、軸体15の中心軸線と弁体11の中心軸線とが一致した状態における、液体室27における軸体15の外周面から弁体11の内周面までの距離を10とすると、突起部25の外側端面から弁体11の内周面までの距離は、1以下であることが好ましい。このように設定することで、減衰部17における減衰力を効果的に発揮することができる。
【0021】
次に、上記の構成からなる玉形弁1における流量調整作用について説明する。
玉形弁1において液体は、図1に示すように、入口流路3から玉形弁1に流入し、連通流路19における弁座9および弁体11の間を通過し、出口流路5を通って玉形弁1から流出する。このとき、弁体11と弁座9との間隔を制御することにより、玉形弁1を通過する液体の流量が制御されている。具体的には、軸体15により弁体11を弁座9に接触離間させることにより、上述の間隔が制御されている。
なお、軸体15における弁体11を移動させる機構等は、公知の機構等を用いることができ、特に限定するものではない。
【0022】
ここで、本実施形態の特徴である弁体11の自励振動の減衰作用、および、弁体11の中心軸線と弁座9の中心軸線との調整作用について説明する。
まず、本実施形態における弁体11の自励振動について説明する。
図3は、図1の玉形弁における弁体の自励振動を説明する模式図である。
弁座9と弁体11との隙間が、図3に示すように微小な隙間であって、弁座9および弁体11の上流側と下流側との圧力差が大きな状況(例えば、1MPaから2MPa以上の差圧がある状況)では、弁座9と弁体11との隙間に液体の高速流が形成される。一方、弁体11は、弁座9と接触した際に弁座接触面21と弁体接触面23とを密着させるため、弁体11の中心軸線と直交する方向に移動可能とされている。
【0023】
弁座9と弁体11との隙間では、高速流が形成されることにより圧力が低下し、隙間における弁体11の周方向に係る圧力分布は、高速流の流速の分布、つまり上述の隙間の長さの分布に影響される。そのため、圧力分布に不均一が発生すると、圧力差により弁体11は低圧側、つまり、間隔が狭い側に弁座9に接触するまで移動する。
移動後、弁体11は新たに形成された周方向に係る圧力分布の不均一にしたがって移動を繰り返す。この移動周期と弁体11等の固有振動周期とが所定の関係を満たすと、弁体11に自励振動が励起される。
【0024】
次に、減衰部17による弁体11の自励振動の減衰作用に付いて説明する。
弁体11に、弁体11の中心軸線に対して直交する方向の振動である自励振動が励起されると、図2に示すように、弁体11は振動することにより軸体15に対する相対位置が変化し、液体室27の形状も変化する。液体室27の内部の粘性液体は、上述の液体室27の形状変化に応じて、液体室27内を軸体15の周方向に沿って流動する。
【0025】
減衰部17の突起部25は弁体11の内周面とともに、上述の粘性液体の流動に対して絞りとして働き、粘性液体の流動に対する抵抗として働く。
このような、液体室27内の粘性液体の流動、および、突起部25の流動に対する抵抗としての働きにより弁体11の振動に対する減衰力が働くため、弁体11は高速で動くことができない。
【0026】
次に、弁体11の中心軸線と弁座9の中心軸線との調整作用について説明する。
弁体11と弁座9とが、互いの中心軸線がずれた状態で接近すると、最初に弁体接触面23の一部と弁座接触面21の一部とが接触する。この状態でさらに弁体11と弁座9とが接近すると、弁体11は、弁座9により互いの中心軸線が一致する方向に押される。
【0027】
弁座9に押されることにより、弁体11の軸体15に対する相対位置が変化し、液体室27の形状も変化する。液体室27の内部の粘性液体は、上述の液体室27の形状変化に応じて、液体室27内を軸体15の周方向に沿って流動する。この流動は、上述の振動による流動と比較して、流速が遅く弁体11に働く抵抗力は小さいため、弁体11は容易に動くことができる。
そのため、弁体11と弁座9とが接近し続けることにより、互いの中心軸線はより接近した状態となり、弁体11の中心軸線と弁座9の中心軸線とが調整される。
【0028】
上記の構成によれば、弁体11に自励振動が発生しても振動はショックアブソーバとして働く減衰部17により減衰されるため、弁体11の自励振動を抑制することができる。
減衰部17は、弁体と軸体との比較的速い相対移動に対して抵抗力を発揮するショックアブソーバであって、弁体11の中心軸線と直交する方向への弁体11の移動は許容するため、弁体11の中心軸線と弁座9の中心軸線とを一致させることができる。そのため、弁体11と弁座9を接触させたときに、弁体接触面23と弁座接触面21とが密着するため、液体の漏れを防止することができる。

【0029】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図4および図5を参照して説明する。
本実施形態の玉形弁の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、減衰部の変わりに抑制部が設けられている点が異なっている。よって、本実施形態においては、図4および図5を用いて抑制部の構成のみを説明し、その他の構成等の説明を省略する。
図4は、本実施形態に係る玉形弁の全体構成を説明する断面図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0030】
玉形弁(弁装置)101には、図4に示すように、水などの液体(流体)が流れる入口流路3および出口流路5等が形成された弁箱7と、玉形弁1を流れる液体の流量を制御する弁座9および弁体11と、弁体11を弁座9に接触離間させる軸体15と、弁体11の自励振動を抑制する抑制部117と、が設けられている。
【0031】
図5は、図4の抑制部の構成を説明するB−B断面図である。
抑制部117は軸体15と弁体11との間に配置され、弁体11の自励振動を抑制するものである。抑制部117には、図4および図5に示すように、弁体11の自励振動を抑制するコイルバネ(弾性体)125および緩衝室127が設けられている。
【0032】
コイルバネ125は、軸体15から弁体11に向かって延びるように配置された部材である。本実施形態では、4つのコイルバネ125が軸体15の周囲に約90°の位相間隔をあけて配置された例に適用して説明する。一対のコイルバネ125は、入口流路3、出口流路5、連通流路19が含まれる平面(図4における紙面)に含まれるように配置され、残りの一対のコイルバネ125は、上述の平面に対して直交するとともに軸体15の中心軸線を含む平面に含まれるように配置されている。このように配置することで、弁体11において自励振動が多く発生する振動方向に対する抑制力を効果的に発揮することができる。
【0033】
なお、配置されるコイルバネ125は、最低限、上述のように4個配置されていればよく、4個よりも多く配置してもよく、特に限定するものではない。
また、上述のように、抑制部117にコイルバネ125を設けてもよいし、コイルバネ125の代わりに板バネを設けてもよく、特に限定するものではない。
【0034】
緩衝室127は、軸体15の外周面および弁体11の内周面の間に形成されたほぼ円筒状の空間であって、内部にコイルバネ125が配置されたものである。
【0035】
ここで、本実施形態の特徴である弁体11の自励振動の減衰作用、および、弁体11の中心軸線と弁座9の中心軸線との調整作用について説明する。
弁体11はコイルバネ125を介して軸体15に相対移動可能に固定されており、コイルバネ125がない場合と比較して、弁体11の固有振動数が高くなっている。すると、弁体11と弁座9との間に形成される圧力分布の不均一に起因する振動周期と、弁体11の振動周期との差が大きくなり、弁体11の自励振動が抑制される。
そのため、コイルバネ125のバネ定数が高いほど弁体11の自励振動の抑制効果が高くなる。
【0036】
次に、弁体11の中心軸線と弁座9の中心軸線との調整作用について説明する。
弁体11と弁座9とが、互いの中心軸線がずれた状態で接近すると、最初に弁体接触面23の一部と弁座接触面21の一部とが接触する。この状態でさらに弁体11と弁座9とが接近すると、弁体11は、弁座9により互いの中心軸線が一致する方向に押される。
【0037】
弁座9に押されることにより、弁体11の軸体15に対する相対位置が変化し、コイルバネ125の形状も変化する。そのため、弁体11と弁座9とが接近し続けることにより、互いの中心軸線はより接近した状態となり、弁体11の中心軸線と弁座9の中心軸線とが調整される。
【0038】
上記の構成によれば、弁体11の固有振動数を、弁体11と弁座9との間に働く高速流に基づく振動の周波数、つまり自励振動の振動数と異なる振動数に変更することで弁体11の自励振動の発生を抑制することができる。
コイルバネ125は変形することにより、弁体11の中心軸線と直交する方向への弁体11の移動を許容できるため、弁体11と弁座9を接触させたときに、弁体接触面23と弁座接触面21とが密着するため、液体の漏れを防止することができる。
【0039】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図6および図7を参照して説明する。
本実施形態の玉形弁の基本構成は、第2の実施形態と同様であるが、第2の実施形態とは、抑制部の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図6および図7を用いて抑制部の構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図6は、本実施形態に係る玉形弁の全体構成を説明する断面図である。
なお、第2の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0040】
玉形弁(弁装置)201には、図6に示すように、水などの液体(流体)が流れる入口流路3および出口流路5等が形成された弁箱7と、玉形弁1を流れる液体の流量を制御する弁座9および弁体11と、弁体11を弁座9に接触離間させる軸体15と、弁体11の自励振動を抑制する抑制部217と、が設けられている。
【0041】
図7は、図6の抑制部の構成を説明するB−B断面図である。
抑制部217は軸体15と弁体11との間に配置され、弁体11の自励振動を抑制するものである。抑制部217には、図6および図7に示すように、弁体11を支持するとともに自励振動を抑制する支持バネ(弾性体)225および緩衝室227が設けられている。
【0042】
支持バネ225は、軸体15に固定される上端板227と、弁体11に固定される下端板229と、上端板227と下端板229との間に配置されたバネ部231とから構成されている。バネ部231は、互いに直交するとともに、弁体11の中心軸線に沿って延びる板バネから構成されている。バネ部231を構成する板バネの一つは、入口流路3、出口流路5、連通流路19が含まれる平面(図6における紙面)に含まれるように配置され、残りの板バネは上述の平面に対して直交するとともに軸体15の中心軸線を含む平面に含まれるように配置されている。このように配置することで、弁体11において自励振動が多く発生する振動方向に対する抑制力を効果的に発揮することができる。
【0043】
緩衝室227は、軸体15および弁体11の内周面の間に形成されたほぼ円柱状の空間であって、内部に支持バネ225が配置されたものである。
【0044】
ここで、本実施形態の特徴である弁体11の自励振動の減衰作用、および、弁体11の中心軸線と弁座9の中心軸線との調整作用について説明する。
弁体11は支持バネ225を介して軸体15に相対移動可能に固定されており、支持バネ225がない場合と比較して、弁体11の固有振動数が高くなっている。すると、弁体11と弁座9との間に形成される圧力分布の不均一に起因する振動周期と、弁体11の振動周期との差が大きくなり、弁体11の自励振動が抑制される。
そのため、支持バネ225のバネ定数が高いほど弁体11の自励振動の抑制効果が高くなる。
【0045】
次に、弁体11の中心軸線と弁座9の中心軸線との調整作用について説明する。
弁体11と弁座9とが、互いの中心軸線がずれた状態で接近すると、最初に弁体接触面23の一部と弁座接触面21の一部とが接触する。この状態でさらに弁体11と弁座9とが接近すると、弁体11は、弁座9により互いの中心軸線が一致する方向に押される。
【0046】
弁座9に押されることにより、弁体11の軸体15に対する相対位置が変化し、支持バネ225の形状も変化する。そのため、弁体11と弁座9とが接近し続けることにより、互いの中心軸線はより接近した状態となり、弁体11の中心軸線と弁座9の中心軸線とが調整される。
【0047】
上記の構成によれば、弁体11の固有振動数を、弁体11と弁座9との間に働く高速流に基づく振動の周波数、つまり自励振動の振動数と異なる振動数に変更することで弁体11の自励振動の発生を抑制することができる。
支持バネ225は変形することにより、弁体11の中心軸線と直交する方向への弁体11の移動を許容できるため、弁体11と弁座9を接触させたときに、弁体接触面23と弁座接触面21とが密着するため、液体の漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る玉形弁の全体構成を説明する断面図である。
【図2】図1の減衰部の構成を説明するA−A断面図である。
【図3】図1の玉形弁における弁体の自励振動を説明する模式図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る玉形弁の全体構成を説明する断面図である。
【図5】図4の抑制部の構成を説明するB−B断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る玉形弁の全体構成を説明する断面図である。
【図7】図6の抑制部の構成を説明するB−B断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1,101,201 玉形弁(弁装置)
3 入口流路(流路)
5 出口流路(流路)
7 弁箱(筐体)
9 弁座
11 弁体
15 軸体
17 減衰部(抑制部)
19 連通流路(流路)
117,217 抑制部
125 コイルバネ(弾性体)
225 支持バネ(弾性体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路が形成された筐体と、
前記流路を流れる流体の流量を調節する弁座および弁体と、
前記弁体を前記筐体に設けられた前記弁座に対して接触離間させる軸体と、
前記弁体の移動方向と交差する方向への前記弁体の移動を許容するとともに、前記弁体の振動を抑制する抑制部と、
が設けられたことを特徴とする弁装置。
【請求項2】
前記抑制部は、前記軸体と前記弁体との間に設けられ、前記弁体の振動を減衰させる減衰部であることを特徴とする請求項1記載の弁装置。
【請求項3】
前記抑制部には、前記軸体と前記弁体との間に設けられ、前記弁体の固有振動数を変更させる弾性体が設けられていることを特徴とする請求項1記載の弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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