説明

引き戸の閉止装置

【課題】閉動限近くまで閉じられた引き戸を確実に閉動限まで移動させて保持させることができる引き戸閉止装置を提案する。
【解決手段】取付けユニット8には、引き戸移動方向に移動自在な可動体11と、可動体11に水平揺動自在に軸支され且つ引き戸側の係合片7と係脱自在な被係合片12と、可動体11を引き戸閉動方向側の行程限に付勢保持するスプリング13と、被係合片12に設けられたカム従動部25に作用する姿勢制御用カム29が設けられ、この姿勢制御用カム29は、直線経路部29aと折曲経路部29bとを備え、この折曲経路部29bによって被係合片12が、係合片7の係脱動作を許す傾倒姿勢に保持されると共に可動体11が引き戸開動方向側の行程限で保持され、被係合片12が傾倒姿勢から係合姿勢に切り換わったときにカム従動部25が当接する直線経路部29aに、カム従動部25との摩擦抵抗を増大させる制動面36が形成された構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉動限近くまで閉じられた引き戸を確実に閉動限まで自動的に移動させて保持させることが出来る引き戸の閉止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の引き戸の閉止装置としては、先行技術文献を例示するまでもなく従来周知のように、引き戸側に設けられた係合片を一対のバネ板などから成るキャッチ手段で閉動限まで引き込んで保持するものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら従来のキャッチ手段では、引き戸の引き込み量は僅かであり、引き戸の操作者は、引き戸を実質的に閉動限まで移動させる必要があり、閉動限の少し手前まで移動させれば後は自動的に閉じるというようなものではなかった。又、比較的大重量の引き戸の場合、当該引き戸を勢い良く閉じたときは、閉動限で確実に保持させることが困難であり、反動で開いたままになる恐れも大きかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することの出来る引き戸の閉止装置を提案するものであって、請求項1に記載の本発明に係る引き戸の閉止装置は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、引き戸(4,5)に取り付けられる係合片(6,7)と、引き戸移動経路脇に取り付けられる取付けユニット(8)とから成り、取付けユニット(8)には、引き戸移動方向と平行に移動自在な可動体(11)と、この可動体(11)に垂直支軸(23)の周りで水平揺動自在に支承され且つ前記係合片(6,7)と係脱自在な被係合片(12)と、前記可動体(11)を引き戸閉動方向(CD)側の行程限に付勢保持するスプリング(13)と、前記被係合片(12)に設けられたカム従動部(25)に作用する姿勢制御用カム(29)が設けられ、この姿勢制御用カム(29)は、前記可動体(11)が引き戸閉動方向(CD)側の行程限から引き戸開動方向(OD)側の行程限直前迄の間にあるときには前記被係合片(12)を前記係合片(6,7)に対する係合姿勢に保持する直線経路部(29a)と、前記可動体(11)が引き戸開動方向(OD)側の行程限に達したときに、前記係合片(6,7)の係脱動作を許す傾倒姿勢と前記係合姿勢との間で前記被係合片(12)が揺動するのを許す折曲経路部(29b)とを備え、この折曲経路部(29b)は、前記被係合片(12)のカム従動部(25)と前記スプリング(13)の付勢力とを介して、前記被係合片(12)を傾倒姿勢に保持すると共に前記可動体(11)を引き戸開動方向(OD)側の行程限に保持するように形成され、傾倒姿勢に保持されている前記被係合片(12)に引き戸(4,5)の前記係合片(6,7)が係合して引き戸閉動方向(CD)に移動することにより、当該被係合片(12)が係合姿勢に切り換えられると共に引き戸開動方向(OD)側の行程限での前記可動体(11)の保持が解除されるように構成され、前記姿勢制御用カム(29)には、前記被係合片(12)が傾倒姿勢から係合姿勢に切り換わったときにカム従動部(25)が当接する前記直線経路部(29a)に、当該カム従動部(25)との摩擦抵抗を増大させる制動面(36)が形成された構成になっている。
【0005】
上記本発明を実施する場合、具体的には請求項2に記載のように、前記取付けユニット(8)には、前記可動体(11)の往復移動に連動して回転し且つ前記可動体(11)の引き戸閉動方向(CD)への移動に対して負荷をかけるロータリーダンパ(14)を設けることが出来る。尚、引き戸(4,5)の開動操作は前記スプリング(13)の付勢力に抗して開始されることになり、このとき、可動体(11)の移動に連動してロータリーダンパー(14)の受動軸(14b)も回転するが、このときのロータリーダンパー受動軸(14b)の回転方向では負荷が掛からないロータリーダンパー、又は可動体(11)の引き戸開動方向(OD)への移動時はロータリーダンパー受動軸(14b)が回転しない一方向伝動手段を当該可動体(11)とロータリーダンパー受動軸(14b)との間に介装すれば、引き戸(4,5)の開動操作開始時にロータリーダンパー(14)が負荷として働くのを防ぐことが出来る。
【0006】
又、請求項3に記載のように、前記被係合片(12)のカム従動部(25)は、被係合片(12)から垂直に突設された円柱状ピンで構成し、前記姿勢制御用カム(29)の直線経路部(29a)と折曲経路部(29b)とは、前記カム従動部(25)が嵌合して移動する溝形に構成し、前記制動面(36)は、前記折曲経路部(29b)に続く直線経路部(29a)の終端側領域の両側面の内、前記折曲経路部(29b)が折曲する側とは反対の外側面に沿って付設された軟質合成樹脂製の帯状体(15)で構成することが出来る。この場合、請求項4に記載のように、前記帯状体(15)は、前記姿勢制御用カム(29)の折曲経路部(29b)側の端部に柱状膨大部(15a)を一体成形すると共に、前記姿勢制御用カム(29)の直線経路部(29a)内に面しない外側面側に長さ方向適当間隔おきに外向きに突出する複数の突起(15b)を一体成形し、取付けユニット(8)の前記姿勢制御用カム(29)が設けられたケース部材(9)には、前記柱状膨大部(15a)が垂直に嵌入固定される柱状凹部(35a)と、前記各突起(15b)が水平に嵌入固定される複数の孔(35b)とを、前記姿勢制御用カム(29)の直線経路部(29a)の外側に連通連設することが出来る。
【0007】
又、請求項5に記載のように、前記被係合片(12)の前記可動体(11)と重なる側には、前記可動体(11)の端部に設けられた軸受け孔(22)に嵌合する前記垂直支軸(23)を突設し、当該被係合片(12)の反対側には、前記垂直支軸(23)と同心状に突出する第二垂直支軸(24)と前記カム従動部(25)とを突設し、前記取付けユニット(8)の前記姿勢制御用カム(29)が設けられたケース部材(9)には、前記第二垂直支軸(24)が嵌合して滑動する案内溝(28)を前記可動体(11)の移動方向と平行に設け、この案内溝(28)の両側面の内、前記姿勢制御用カム(29)の直線経路部(29a)のある側とは反対側の側面で、前記姿勢制御用カム(29)の折曲経路部(29b)に近い終端側領域には、前記第二垂直支軸(24)との摩擦抵抗を増大させる第二制動面(38)を形成することが出来る。この場合、請求項6に記載のように、前記第二制動面(38)は、前記案内溝(28)の側面に付設された軟質合成樹脂製の帯状体(16)で構成することが出来る。更にこの場合、請求項7に記載のように、前記第二制動面(38)を構成する帯状体(16)は、その長さ方向の両端に柱状膨大部(16a,16b)を一体成形し、取付けユニット(8)の前記案内溝(28)が設けられたケース部材(9)には、帯状体両端の前記柱状膨大部(16a,16b)が垂直に嵌入固定される柱状凹部(37a,37b)を前記案内溝(28)の外側に連通連設することが出来る。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の本発明の構成によれば、傾倒姿勢に保持されている被係合片に引き戸側の係合片が係合して当該被係合片を係合姿勢に切り換える位置まで引き戸を閉動させれば、後は、前記被係合片を軸支する可動体を引き戸閉動方向側の行程限に付勢保持するスプリングの付勢力で引き戸を閉動限位置まで確実に移動させ、閉動限位置で引き戸を保持させることが出来る。又、引き戸を開くときは、引き戸側の係合片が係合している係合姿勢の被係合片が姿勢制御用カムによって傾倒姿勢に切り換えられる引き戸開動方向の行程限に前記可動体が達するまで、引き戸を前記スプリングの付勢力に抗して開動方向に移動させるだけで、後は、引き戸のみを単独で自由に開動させることが出来る。
【0009】
しかも本発明の構成によれば、閉じる引き戸の係合片が傾倒姿勢に保持されている被係合片に係合するときの勢いが強くとも、傾倒姿勢から係合姿勢に切り換わるときのカム従動部が姿勢制御用カムの直線経路部の側面に形成された摩擦抵抗を増大させる制動面に衝突し、当該引き戸の閉動方向の勢いを前記制動面で吸収して制動することになるので、当該引き戸がそのままの勢いとスプリングの付勢力で閉動限まで移動して、衝撃を受けて停止するというような不都合な事態になるのを防止出来る。換言すれば、可動体を引き戸閉動方向に付勢するスプリングを強くすると、大重量の引き戸でも確実に閉動限まで移動させて保持することが出来るのであるが、当該スプリングは、被係合片を傾倒姿勢に保持する付勢力源でもあるので、当該スプリングを強くすると、引き戸を閉じる操作力が小さいときに当該引き戸が傾倒姿勢の被係合片で受け止められて停止してしまう恐れがある。従って、引き戸を勢い良く閉じる傾向になるが、このような場合でも、上記のように本発明の構成によれば、引き戸がそのままの勢いとスプリングの付勢力で閉動限まで移動して、衝撃を受けて停止するというような不都合な事態になるのを防止出来るのである。
【0010】
尚、請求項2に記載の構成によれば、可動体を引き戸閉動方向に付勢するスプリング力で引き戸を閉動させる段階において、この閉動する引き戸をロータリーダンパーにより制動減速させて、閉動限に引き戸が衝撃的に衝突するのを防止し、緩やかに且つ安全に制止させることが出来る。しかもロータリーダンパーを採用しているので、引き戸移動経路脇に取り付けられる取付けユニットの全長を、引き戸移動方向に往復移動する可動体の全長に当該可動体の往復移動距離を加えた程度に短く構成することが出来るので、閉止装置全体を簡単容易且つ安価に実施することが出来る。
【0011】
又、請求項3に記載の構成によれば、傾倒姿勢から係合姿勢に切り換わるときのカム従動部が当接する、摩擦抵抗を増大させる制動面を、軟質合成樹脂製の帯状体で簡単且つ安価に構成することが出来るのであるが、更に請求項4に記載の構成によれば、この軟質合成樹脂製の帯状体を所定位置に簡単容易に、しかも強固に取り付けることが出来、接着剤を併用しなければ、損傷又は劣化した前記軟質合成樹脂製の帯状体の取替えも簡単に行なえる。
【0012】
本発明の構成では、閉じられる引き戸側の係合片が被係合片に係合して、当該被係合片を軸支している可動体と一体に閉動方向に移動するとき、被係合片を軸支している垂直支軸を介して可動体が引き戸移動方向に対し横向きの力を受ける。この横向きの力によって可動体の円滑な往復動が阻害される恐れがあるが、請求項5に記載の構成によれば、被係合片を軸支する垂直支軸と同心の第二垂直支軸を介して前記横向きの力を案内溝の側面で受けさせることが出来る。即ち、可動体に直接横向きの力が作用することがなくなるので、可動体を円滑に移動させることが出来るのであるが、更に請求項5に記載の構成によれば、前記第二垂直支軸と前記案内溝側の第二制動面とにより、引き戸が勢い良く閉じられるときのショックを更に吸収緩和させることが出来る。この場合、請求項6に記載の構成によれば、前記第二制動面を、軟質合成樹脂製の帯状体で簡単且つ安価に構成することが出来るのであるが、更に請求項7に記載の構成によれば、この第二制動面を構成する軟質合成樹脂製の帯状体を所定位置に簡単容易に、しかも強固に取り付けることが出来、接着剤を併用しなければ、損傷又は劣化した当該軟質合成樹脂製の帯状体の取替えも簡単に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】A図は引き戸で開閉される収納空間の天井板を省いた状態での一部切欠き平面図、B図は天井板のある状態でのA図のA−A線断面図、C図は天井板のある状態でのA図のB−B線断面図である。
【図2】A図は取付けユニットの斜視図、B図は取付けユニットの分解斜視図である。
【図3】取付けユニットのスプリング側ケース部材を省いた状態での平面図である。
【図4】A図はスプリング側ケース部材のある状態での図3のC−C線断面図、B図は同D−D線断面図である。
【図5】スプリング側ケース部材のある状態での図3のE−E線断面図である。
【図6】スプリング側ケース部材のある状態での図3のF−F線断面図である。
【図7】スプリング側ケース部材のある状態での図3のG−G線断面図である。
【図8】取付けユニットのスプリング側ケース部材を省いた状態での要部の一部横断平面図である。
【図9】図8のH−H線断面図である。
【図10】被係合片を軸支した可動体の平面図である。
【図11】図10の底面図である。
【図12】図10の拡大右側面図である。
【図13】図10のI−I線断面図である。
【図14】図10のJ−J線断面図である。
【図15】図10のK−K線断面図である。
【図16】A図は図1Aの右側取付けユニットとこれに係合する引き戸側係合片とを示す一部縦断拡大右側面図、B図は図1Aの左側取付けユニットとこれに係合する引き戸側係合片とを示す一部縦断拡大左側面図である。
【図17】図1Aの右側取付けユニットとこれに係合する引き戸側係合片とを示す横断平面図である。
【図18】図17の被係合片と引き戸側係合片とが係脱動作するときの横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示す本発明の一実施例では、左右両側板1,2と天井板3とで囲まれた収納空間を開閉する2枚の引き違い引き戸4,5の閉止装置として、各引き戸4,5に係合片6,7が取り付けられると共に、天井板3の下側に2つの取付けユニット8が取り付けられている。係合片6,7は、各引き戸4,5の裏面の閉動側端部の上端近傍位置に取付け板部6a,7aを介して取り付けられたもので、取付け板部6a,7aの上端から内向きに連設された水平座部6b,7bの上に垂直に突設された円柱状ピンから構成されている。内側の引き戸4に取り付けられる係合片6は、短い水平座部6b上に当該引き戸4の裏面に接近するように突設されているが、外側の引き戸5に取り付けられる係合片7は、内側の引き戸4に取り付けられた係合片6と引き戸移動方向と平行な同一線上に位置するように、長い水平座部7bの先端部上に突設されている。各係合片6,7を介して引き戸4,5を閉動限位置に保持する2つの取付けユニット8は、同一構造のものであって、上下が逆になるように左右に反転させた状態で天井板3の底面に、引き戸移動方向と平行な同一線上に位置するように取り付けられている。
【0015】
以下、取付けユニット8の構造を、図2〜図15に基づいて説明すると、取付けユニット8は、互いに重ね合わされる2つの細長いケース部材9,10、可動体11、被係合片12、引張コイルスプリング13、ロータリーダンパー14、及び2つの軟質合成樹脂製の帯状体15,16から構成されている。両ケース部材9,10には、その長さ方向の両端間で内側辺に沿って結合用座部9a,10aが形成され、ケース部材9側の結合用座部9aには、ケース部材9の長さ方向適当間隔おきに所要深さの結合用下孔17が、当該結合用座部9aの内側面から形成され、ケース部材10側の結合用座部10aには、各結合用下孔17に対応して複数の座繰り孔18が形成され、ケース部材10の外側から各座繰り孔18を経由してケース部材9側の結合用下孔17にタッピングネジ19をねじ込むことにより、両ケース部材9,10が一体化される。このとき、タッピングネジ19の頭部は座繰り孔18の座繰り部に嵌合して、ケース部材10の外側には突出しない。
【0016】
ケース部材9の内側には、結合用座部9aに沿って全長にわたって凹溝部20が形成され、可動体11は、ケース部材9の凹溝部20とケース部材10との間にこれらケース部材9,10の長さ方向に沿って滑動自在に嵌合している。この可動体11には、ケース部材10の内側に嵌合する部分に、引張コイルスプリング13が遊嵌する凹窪部11aが当該可動体11の移動方向(長さ方向)に沿って形成されると共に、この凹窪部11aを形成する内側の突条部11bが当該可動体11の長さ方向の一端、即ち、引き戸閉動方向CDの一端から延出し、この突条部11bの内側辺には、その延出先端部から所要長さ領域にわたってラックギヤ21が一体形成され、突条部11bの延出先端部には、垂直な軸受け孔22が穿設されている。又、凹窪部11aの引き戸閉動方向CD側とは反対側、即ち、引き戸開動方向OD側の端部には、引張コイルスプリング13の一端を係止する係止軸部11cが一体形成されている。
【0017】
被係合片12は、可動体11の一端から延出する突条部11bの下側に配置されたもので、突条部11b側の軸受け孔22に下から嵌合する垂直支軸23と、この垂直支軸23と同心状に反対側へ突出する第二垂直支軸24と、この第二垂直支軸24と同一側に突出する円柱状ピンから構成されたカム従動部25と、引き戸4,5側の係合片6,7が嵌合する二股状係合部26が一体形成されたものである。ケース部材9,10の凹溝部20に隣接する前側には、当該ケース部材9,10の引き戸閉動方向CD側の端部から所要長さのスリット状開口27が、両ケース部材9,10の前側壁部の切欠きにより形成され、このスリット状開口27から被係合片12の二股状係合部26が前側へ水平に突出するように構成されている。
【0018】
ケース部材9の凹溝部20の底面には、被係合片12の第二垂直支軸24が滑動自在に嵌合する案内溝28と、被係合片12のカム従動部25が従動する姿勢制御用カム29とが形成されている。案内溝28は、凹溝部20の引き戸閉動方向CD側の一端部20aから当該凹溝部20の長さ方向に沿って所要長さだけ直線状に延びている。姿勢制御用カム29は、カム従動部25が滑動自在に嵌合する凹溝から形成されたもので、凹溝部20の引き戸閉動方向CD側の一端部20aから当該凹溝部20の長さ方向に沿って直線状に延びる、前記案内溝28より少し長い直線経路部29aと、この直線経路部29aの終端から内側へ折曲連設された折曲経路部29bから構成されている。この折曲経路部29bの内側面29cは、直線経路部29aの長さ方向に対して直角より大きな角度で折曲している。
【0019】
ケース部材10の内側には、当該ケース部材10の引き戸閉動方向CD側の端部で、前記係止軸部11cを通るケース部材10の長さ方向と平行な直線上において、係止軸部30が一体形成されている。引張コイルスプリング13は、可動体11の凹窪部11aに遊嵌する状態で、その一端が当該可動体11側の係止軸部11cに係止され、他端がケース部材10側の係止軸部30に係止されて、その引張力により可動体11を引き戸閉動方向CDに引っ張り、当該可動体11の突条部11bの延出先端部が凹溝部20の一端部20aに当接する位置、即ち、引き戸閉動方向CD側の行程限に可動体11を保持している。従って、垂直支軸23を介して可動体11と一体に移動する被係合片12は、凹溝部20の一端部20aに隣接する引き戸閉動方向CD側の行程限にあって、その二股状係合部26が、ケース部材9,10間の前側のスリット状開口27から水平に突出している。
【0020】
ロータリーダンパー14は、円形平盤状のダンパー本体14aから上側に突出する受動軸14bにピニオンギヤ31が取り付けられたもので、ダンパー本体14aから直径方向両側に取付け片14c,14dが突設されている。ケース部材9の結合用座部9aの長さ方向中間位置には、ダンパー本体14aを支持する凹部32と両取付け片14c,14dを各別に挟んで位置決めする4本の柱状突起33が一体形成され、ケース部材10の結合用座部10aには、ピニオンギヤ31が遊嵌する凹部34が形成され、当該凹部34の両側で結合用座部10aが柱状突起33の上端に当接して、両ケース部材9,10の結合用座部9a,10a間でダンパー本体14aを位置決め固定している。
【0021】
軟質合成樹脂製の帯状体15は、姿勢制御用カム29を構成する凹溝の深さと同一高さで、長さは、当該姿勢制御用カム29の直線経路部29aの長さより少し短い程度のものであって、一端には柱状膨大部15aが一体形成されると共に、その外側面には、長さ方向適当間隔おきに複数の突起15bが一体形成されている。これら各突起15bは、外端径が内端径より若干大きい裁頭円錐形のものである。この帯状体15は、姿勢制御用カム29の直線経路部の終端(折曲経路部29bに続く引き戸開動方向OD側の端部)側領域の両側面の内、折曲経路部29bが折曲する側とは反対の外側面に形成された切欠き凹部35内に面一に取り付けられる。即ち、切欠き凹部35の一端には、当該帯状体15の一端の柱状膨大部15aが垂直に嵌入固定される柱状凹部35aが連設されると共に、当該切欠き凹部35の内側面には、当該帯状体15の各突起15bが水平に嵌入固定される複数の孔35bが設けられている。これら各孔35bは、帯状体15側の各突起15bの長さと略同一厚さのケース部材9の前側壁部を水平に貫通するもので、帯状体15側の各突起15bの内端径と略同一内径の円柱状孔である。従って、帯状体15の取り付けは、一端の柱状膨大部15aを柱状凹部35aに垂直に嵌入固定した状態で、各突起15bを、その外端大径部を弾性に抗して縮小させた状態で各孔35bに押し込むようにして、帯状体15を切欠き凹部35内に面一に嵌合固定することが出来る。勿論、必要に応じて接着剤を併用しても良い。このようにして姿勢制御用カム29の直線経路部29aの終端側領域の外側の面に取り付けられた軟質合成樹脂製の帯状体15は、その直線経路部29aに面する側面が、被係合片12のカム従動部25に対する制動面36を構成している。
【0022】
軟質合成樹脂製の第二の帯状体16は、案内溝28を構成する凹溝の深さと同一高さで、長さは、当該案内溝28の長さより十分に短いものであって、両端には柱状膨大部16a,16bが互いに反対側に突出するように一体形成されている。これら各柱状膨大部16a,16bには、その下端側に大径鍔部16cが一体形成されている。この帯状体16は、案内溝28の両側面の内、姿勢制御用カム29の直線経路部29aのある側とは反対側の側面に形成された切欠き凹部37内に面一に取り付けられる。即ち、切欠き凹部37の両端には、前記柱状膨大部16a,16bが垂直に嵌入される柱状凹部37a,37bが連設され、これら柱状凹部37a,37bの下端には、前記大径鍔部16c,16dと略同一厚さのケース部材9の底壁部を貫通する大径孔部37cが同心状に形成されている。従って、この第二の帯状体16の取り付けは、両端の柱状膨大部16a,16bを、その下端の大径鍔部16cを弾性に抗して縮小させた状態で柱状凹部37a,37b内に垂直に押し込み、下端の大径鍔部16cを各柱状凹部37a,37bの下端の大径孔部37c内に弾性復帰により嵌合させることにより、切欠き凹部37内に面一に取り付けられる。勿論、必要に応じて接着剤を併用しても良い。このようにして案内溝28の終端側領域の内側の面に取り付けられた軟質合成樹脂製の第二の帯状体16は、その案内溝28に面する側面が、被係合片12の第二垂直支軸24に対する第二の制動面38を構成する。
【0023】
以上のように構成された取付けユニット8は、軟質合成樹脂製の帯状体15,16が取り付けられたケース部材9とケース部材10との間に、可動体11、被係合片12、引張コイルスプリング13、及びロータリーダンパー14を収納した状態で、タッピングネジ19により両ケース部材9,10を互いに締結一体化して組み立てられるが、両ケース部材9,10には、その結合用座部9a,10aの長さ方向の2箇所において、垂直に貫通する取付け用孔39が設けられている。これら取付け用孔39は、両端にそれぞれ座繰り部39a,39bが形成された対称形状のものである。又、取付けユニット8の前側のスリット状開口27から水平に突出する被係合片12の二股状係合部26は、取付けユニット8の厚さ方向の中央に位置している。
【0024】
従って、同一構造の2つの取付けユニット8を準備し、これら2つの取付けユニット8を、図1に示すように、上下が逆になるように左右を反転させ、それぞれの引き戸閉動方向CDの端部が左右両側板1,2に隣接するように配置し、図16に示すように、天井板3の底面にケース部材9の外側面又はケース部材10の外側面を当て付け、それぞれ取付け用孔39に下側から挿通した取付け用ネジ40を天井板3にねじ込むことにより取り付けられる。
【0025】
被係合片12を垂直支軸23により軸支した可動体11は、引張コイルスプリング13の引張力により引き戸閉動方向の行程限に保持されるが、このとき、図17に示すように、当該可動体11に垂直支軸23を介して軸支されている被係合片12は、そのカム従動部25が、垂直支軸23に対して引き戸開動方向OD側で且つ垂直支軸23と同心状の第二垂直支軸24が嵌合する案内溝28より前側に位置する姿勢制御用カム29の直線経路部29a内に嵌合していて、垂直支軸23の周りでの回転が止められ、その二股状係合部26がケース部材9,10間のスリット状開口27から直角横向きに突出する係合姿勢に規制されている。
【0026】
この係合姿勢にある被係合片12は、その二股状係合部26を指先で引き戸開動方向ODに引張コイルスプリング13の付勢力に抗して引っ張ることにより、引き戸開動方向ODに移動させることが出来る。引き戸開動方向ODへ移動する被係合片12が、そのカム従動部25が姿勢制御用カム29の直線経路部29aの終端から折曲経路部29b内に進入する位置に達すると、以降の被係合片12の二股状係合部26に対する引き戸開動方向ODへの操作力により、カム従動部25が折曲経路部29b内に進入するのに伴って、被係合片12が垂直支軸23の周りに引き戸開動方向ODへ水平に回動し、図18に示すように、カム従動部25が折曲経路部29bの終端に達したときには、被係合片12は傾倒姿勢に切り換わり、その二股状係合部26は、この二股状係合部26を構成する一対の爪部26a,26bの内、引き戸閉動方向CD側の爪部26aのみが引き戸4,5側の係合片6,7の移動経路中に突出する状態になる。この引き戸開動方向ODの行程限まで移動して傾倒姿勢に切り換えられた被係合片12は、垂直支軸23及び可動体11を介して引張コイルスプリング13の引き戸閉動方向CDの引張力を受けているので、そのカム従動部25が折曲経路部29bの傾斜した内側面29cに圧接し、当該折曲経路部29bの終端位置から直線経路部29a側へ移動することは阻止されている。即ち、引き戸開動方向ODの行程限に達した被係合片12は、二股状係合部26に対する引き戸開動方向ODへの操作力から開放させても、傾倒姿勢に自動的に保持される。
【0027】
従って、上記のように所定位置に取付けユニット8を取り付けたならば、或いは取り付ける前に、被係合片12を引き戸開動方向ODの行程限まで移動させて傾倒姿勢に切り換えておく。この後、閉じ限位置から離れた位置にある引き戸4,5を閉動させると、図18に示すように、引き戸開動方向ODの行程限で傾倒姿勢に保持されている被係合片12の二股状係合部26の爪部26aを引き戸4,5側の係合片6,7が引き戸閉動方向CDに押すことになり、傾倒姿勢に保持されている被係合片12が垂直支軸23の周りに引き戸閉動方向CDに回動し、そのカム従動部25が姿勢制御用カム29の折曲経路部29bから直線経路部29aへ移動する。カム従動部25が直線経路部29a内に進入したとき、当該被係合片12は傾倒姿勢から係合姿勢に切り換わり、引き戸4,5側の係合片6,7が二股状係合部26の一対の爪部26a,26b間に相対的に嵌入することになる。この後は、引き戸閉動方向CDの行程限に達するまで被係合片12は、カム従動部25と姿勢制御用カム29の直線経路部29aとの嵌合により係合姿勢を維持するので、引き戸4,5から手を離しても、当該引き戸4,5は、引張コイルスプリング13の引張力を可動体11から係合姿勢の被係合片12及び係合片6,7を経由して継続的に受けることになるので、確実に閉動限まで自動的に閉じさせることが出来ると共に、閉動限に達した引き戸4,5を当該閉動限位置に保持することが出来る。
【0028】
以上にようにして各引き戸4,5の係合片6,7を各取付けユニット8の係合姿勢の被係合片12の二股状係合部26に係合させたならば、後は、通常通りに引き戸4,5を開閉操作することが出来る。即ち、閉じている引き戸4,5は、前記のように引き戸側の係合片6,7が係合する各取付けユニット8の係合姿勢にある被係合片12から引張コイルスプリング13の引き戸閉動方向CDへの引張力を受けて、閉動限位置に付勢保持されているが、この引き戸4,5を開くために引き戸開動方向ODに引っ張ると、引き戸側の係合片6,7が係合している係合姿勢の被係合片12と可動体11とが引張コイルスプリング13の引張力に抗して引き戸4,5と一体に引き戸開動方向ODへ移動し、引き戸4,5の開動を許す。被係合片12及び可動体11が引き戸開動方向ODの行程限に達するまでは、被係合片12のカム従動部25が姿勢制御用カム29の直線経路部29a内を滑動し、被係合片12を係合姿勢に保持しているが、被係合片12及び可動体11が引き戸開動方向ODの行程限に達する位置まで引き戸4,5が開かれると、図18に基づいて先に説明したように、その後の引き戸4,5の開動に伴って被係合片12が係合姿勢から傾倒姿勢に切り換えられ、引き戸側の係合片6,7が被係合片12の二股状係合部26から引き戸開動方向ODへ離脱し、その後は引き戸4,5のみが開動することになり、被係合片12は、引き戸開動方向ODの行程限において傾倒姿勢のまま停止し保持される。
【0029】
開いている引き戸4,5を閉じるために閉動方向に移動させると、図18に基づいて先に説明したように、引き戸開動方向ODの行程限において傾倒姿勢のまま待機している被係合片12の位置を引き戸側の係合片6,7が引き戸閉動方向に通過するとき、当該引き戸側の係合片6,7が傾倒姿勢の被係合片12の二股状係合部26内に嵌入しながら当該被係合片12を傾倒姿勢から係合姿勢に切り換えると共に、当該被係合片12が可動体11と共に引き戸閉動方向CDに移動出来る状態に切り換えるので、この後は、係合姿勢の被係合片12と可動体11とが閉動する引き戸4,5と一体に引き戸閉動方向CDに移動することになる。このとき、係合姿勢の被係合片12と可動体11には、引張コイルスプリング13の引張力が引き戸閉動方向CDに作用しているので、引き戸4,5から手を離しても、当該引き戸4,5を引張コイルスプリング13の引張力により確実に閉動限位置まで移動させることが出来る。そして閉動限位置に達した引き戸4,5は、図17に基づいて説明したように、可動体11、係合姿勢の被係合片12、及び係合片6,7を介して引張コイルスプリング13の引き戸閉動方向CDへの引張力を継続的に受けるので、閉動限位置に確実に保持される。
【0030】
又、引き戸側の係合片6,7が傾倒姿勢の被係合片12の二股状係合部26内に嵌入しながら当該被係合片12を傾倒姿勢から係合姿勢に切り換えるとき、垂直支軸23の周りに回動する被係合片12のカム従動部25が、姿勢制御用カム29の折曲経路部29b内から直線経路部29a内に進入すると共に、当該直線経路部29aの外側の側面を構成する帯状体15、即ち、制動面36に衝突することになる。そしてそのときの反力で、被係合片12の第二垂直支軸24が案内溝28の側面を構成する第二の帯状体16、即ち、第二の制動面38に圧接することになる。この結果、そのときの引き戸4,5の閉動方向への移動に対して、被係合片12のカム従動部25と制動面36との圧接、及び被係合片12の第二垂直支軸24と第二の制動面38との圧接が制動力として働き、引き戸4,5の閉動方向への移動にブレーキがかけられる。即ち、引き戸4,5が不当に勢い良く閉じられる状況でも、引き戸側の係合片6,7が被係合片12を傾倒姿勢から係合姿勢に切り換えるときに自動的に制動減速される。
【0031】
この後、減速された引き戸4,5から手を離しても、先に説明したように、当該引き戸4,5は引張コイルスプリング13の引張力により自動的に閉動限位置まで移動して保持されるのであるが、この閉動限までの引き戸4,5の移動時には、引張コイルスプリング13の引張力が係合姿勢の被係合片12の垂直支軸23に作用するので、当該被係合片12のカム従動部25は制動面36から離れる方向の回転力を受け、当該カム従動部25は、姿勢制御用カム29の直線経路部29aにおける内側の側面(制動面36に対面する側の側面)に摺接しながら、円滑に引き戸閉動方向CDに移動することが出来る。勿論、被係合片12の第二垂直支軸24も、案内溝28の第二の制動面38に圧接することはなく、円滑に引き戸閉動方向CDに移動することが出来る。
【0032】
而して、引き戸4,5は、係合姿勢の被係合片12及び可動体11と一体に閉動方向に移動することになるが、このとき、可動体11側のラックギヤ21にピニオンギヤ31を介して連動するロータリーダンパー14の受動軸14bが回転することになる。即ち、係合姿勢の被係合片12及び可動体11と一体に閉動方向に移動する引き戸4,5に対して、ロータリーダンパー14がその閉動方向の移動に対して制動をかけることになり、引き戸4,5は緩やかに閉動限位置に達することになる。引き戸4,5が閉動限位置に達したとき、図17に示すように、可動体11側のラックギヤ21からロータリーダンパー14側のピニオンギヤ31が離れるように構成しておけば、閉動限に達した引き戸4,5を引張コイルスプリング13の引張力で左右両側板1,2に強く押し当てて保持させることが出来る。
【0033】
勿論、引き戸4,5が閉動限位置から開かれるときも、被係合片12が引き戸開動方向ODの行程限に達するまでは、可動体11が当該引き戸4,5と一体に引き戸開動方向ODに移動するのであるから、このときの可動体11の移動に連動してロータリーダンパー14の受動軸14bが逆方向に回転する。受動軸14bの正逆何れの回転に対しても制動作用が機能するロータリーダンパー14であるときは、開動方向に移動させる引き戸4,5に対しては、引張コイルスプリング13を引き伸ばすときの負荷とロータリーダンパー14の制動力の両方が作用することになるので、このときの引き戸4,5に作用する負荷を減らすために、可動体11が引き戸開動方向ODに移動するときにはロータリーダンパー14の制動力が引き戸4,5側に作用しないように構成するのが望ましい。具体的には、受動軸14bが一方向に回転するときのみ制動作用が働く一方向ロータリーダンパーを採用するか又は、受動軸14bとピニオンギヤ31との間に一方向クラッチを介装すれば良い。
【0034】
尚、本発明に係る引き戸の閉止装置は、ロータリーダンパー14や第二の制動面38は必須のものではなく、場合によっては省いて実施することも出来る。又、引き戸4,5によって開閉される収納空間内に中間棚が設けられているときは、取付けユニット8を中間棚の前側辺の下側又は上側に取り付け、引き戸4,5側の係合片6,7も当該取り付けユニット8に対応する引き戸中間高さに取り付けることができる。勿論、1枚の引き戸のみが使用される場合にも、本発明の引き戸の閉止装置は活用できる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の引き戸の閉止装置は、各種収納家具の収納空間や、建物の一部に作り付けされた収納空間を開閉するための引き戸を、閉動限近くまで閉じられさえすれば確実に閉動限まで自動的に移動させて保持させることが出来る引き戸の閉止装置として活用出来る。
【符号の説明】
【0036】
1,2 収納空間の左右両側板
3 収納空間の天井板
4,5 引き戸
6,7 係合片
8 取付けユニット
9,10 ケース部材
11 可動体
12 被係合片
13 引張コイルスプリング
14 ロータリーダンパー
15,16 軟質合成樹脂製の帯状体
15a,16a,16b 柱状膨大部
15b 突起
16c,16d 大径鍔部
19 タッピングネジ
20 凹溝部
21 ラックギヤ
23 垂直支軸
24 第二垂直支軸
25 カム従動部
26 二股状係合部
27 スリット状開口
28 案内溝
29 姿勢制御用カム
29a 直線経路部
29b 折曲経路部
29c 傾斜した内側面
31 ピニオンギヤ
36,38 制動面
40 取付け用ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き戸に取り付けられる係合片と、引き戸移動経路脇に取り付けられる取付けユニットとから成り、取付けユニットには、引き戸移動方向と平行に移動自在な可動体と、この可動体に垂直支軸の周りで水平揺動自在に支承され且つ前記係合片と係脱自在な被係合片と、前記可動体を引き戸閉動方向側の行程限に付勢保持するスプリングと、前記被係合片に設けられたカム従動部に作用する姿勢制御用カムが設けられ、この姿勢制御用カムは、前記可動体が引き戸閉動方向側の行程限から引き戸開動方向側の行程限直前迄の間にあるときには前記被係合片を前記係合片に対する係合姿勢に保持する直線経路部と、前記可動体が引き戸開動方向側の行程限に達したときに、前記係合片の係脱動作を許す傾倒姿勢と前記係合姿勢との間で前記被係合片が揺動するのを許す折曲経路部とを備え、この折曲経路部は、前記被係合片のカム従動部と前記スプリングの付勢力とを介して、前記被係合片を傾倒姿勢に保持すると共に前記可動体を引き戸開動方向側の行程限に保持するように形成され、傾倒姿勢に保持されている前記被係合片に引き戸の前記係合片が係合して引き戸閉動方向に移動することにより、当該被係合片が係合姿勢に切り換えられると共に引き戸開動方向側の行程限での前記可動体の保持が解除されるように構成され、前記姿勢制御用カムには、前記被係合片が傾倒姿勢から係合姿勢に切り換わったときにカム従動部が当接する前記直線経路部に、当該カム従動部との摩擦抵抗を増大させる制動面が形成されている、引き戸の閉止装置。
【請求項2】
前記取付けユニットには、前記可動体の往復移動に連動して回転し且つ前記可動体の引き戸閉動方向への移動に対して負荷をかけるロータリーダンパーが設けられている、請求項1に記載の引き戸の閉止装置。
【請求項3】
前記被係合片のカム従動部は、被係合片から垂直に突設された円柱状ピンで構成され、前記姿勢制御用カムの直線経路部と折曲経路部とは、前記カム従動部が嵌合して移動する溝形に構成され、前記制動面は、前記折曲経路部に続く直線経路部の終端側領域の両側面の内、前記折曲経路部が折曲する側とは反対の外側面に沿って付設された軟質合成樹脂製の帯状体で構成されている、請求項1又は2に記載の引き戸の閉止装置。
【請求項4】
前記帯状体は、前記姿勢制御用カムの折曲経路部側の端部に柱状膨大部が一体成形されると共に、前記姿勢制御用カムの直線経路部内に面しない外側面側に長さ方向適当間隔おきに外向きに突出する複数の突起が一体成形され、取付けユニットの前記姿勢制御用カムが設けられたケース部材には、前記柱状膨大部が垂直に嵌入固定される柱状凹部と、前記各突起が水平に嵌入固定される複数の孔とが、前記姿勢制御用カムの直線経路部の外側に連通連設されている、請求項3に記載の引き戸の閉止装置。
【請求項5】
前記被係合片の前記可動体と重なる側には、前記可動体の端部に設けられた軸受け孔に嵌合する前記垂直支軸が突設され、当該被係合片の反対側には、前記垂直支軸と同心状に突出する第二垂直支軸と前記カム従動部とが突設され、前記取付けユニットの前記姿勢制御用カムが設けられたケース部材には、前記第二垂直支軸が嵌合して滑動する案内溝が前記可動体の移動方向と平行に設けられ、この案内溝の両側面の内、前記姿勢制御用カムの直線経路部のある側とは反対側の側面で、前記姿勢制御用カムの折曲経路部に近い終端側領域には、前記第二垂直支軸との摩擦抵抗を増大させる第二制動面が形成されている、請求項1〜4の何れか1項に記載の引き戸の閉止装置。
【請求項6】
前記第二制動面は、前記案内溝の側面に付設された軟質合成樹脂製の帯状体で構成されている、請求項5に記載の引き戸の閉止装置。
【請求項7】
前記第二制動面を構成する帯状体は、その長さ方向の両端に柱状膨大部が一体成形され、取付けユニットの前記案内溝が設けられたケース部材には、帯状体両端の前記柱状膨大部が垂直に嵌入固定される柱状凹部が前記案内溝の外側に連通連設されている、請求項6に記載の引き戸の閉止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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