説明

引き込み可能な針を有する安全な医療用注射器

【課題】安全な医療用注射器を提供すること。
【解決手段】注射器(20)は中空のバレル(24)、バレルの中で動作可能な中空のプランジャー(30)、およびバレルの遠位端(26)の中およびバレルの遠位端(26)で固定される針アセンブリ(56)を含む。針アセンブリは、針ホルダ(58)、バレルの近位端の開口へ向けて針ホルダを押す、弾力のあるメンバー(84)および縮小された材料部分によって針ホルダを解放可能に固定する、保持メンバー(64)を含む。保持メンバーは針ホルダをバレルの遠位端において、弾力のあるメンバーのバイアス力に対抗して維持する。プランジャーがバレルの中に完全に押し込まれるときには、プランジャーは針ホルダと係合し、保持メンバーが壊れ、縮小された材料部分に沿って針ホルダから破断することを強いられ、針ホルダおよび針ホルダに固定された針をプランジャーの中に配置される引き込み空洞(48)へ引き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、「Safety Medical Syringe With Retractable Needle」と題される米国特許仮出願第60/618,137号(2004年10月14日出願)、「Safety Medical Syringe With Retractable Needle」と題される米国特許仮出願第60/626,916号(2004年11月12日出願)および「Safety Medical Syringe With Retractable Needle」と題される米国特許仮出願第60/657,700号(2005年3月3日出願)にからの優先権を主張する。これらの特許出願の開示は本明細書において、その全体が参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は安全な医療用の注射器に関し、詳細には、引き込みかつ1回の使用に限定される針を含む注射器に関する。
【背景技術】
【0003】
引き込み可能な注射器は、複数の理由で、病院および医療機関においての使用がより一層重要になりかつ所望される。特に、引き込み可能な注射器は一般的に1回の使用に限定され、注射器の皮下注射針は、流体の吸引および注射の後で、注射器の中に引き込まれ、注射器の複数回の使用を阻止し、かつヒト免疫不全ウイルス(HIV)だけでなく他の病気の人から人へ潜在的な感染を阻止する。使用後の注射器の中への針の引き込みはまた、針を遮蔽し、かつ偶然に針の突き刺しまたは針の引っかかりが患者およびヘルスケアの提供者に対して生じることを防止する。
【0004】
引き込み可能な様々な異なる注射器デバイスが、使用後に注射器の中に、針が効果的に引き込まれるように設計されている。しかしながら、1回の使用に限定される引き込み可能な注射器を設計するために存在する問題は、設計および組み立ての単純化であり、注射器が大量生産の規模で生産され得、同時に生産コストを最小化することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、使用するのが単純であり、かつ再利用のできない引き込み可能な注射器を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は設計が単純であり、生産するのに費用のかからない引き込み可能な注射器を提供することである。
【0007】
上記の目的は、別個に、および組み合わせて達成されるものであり、本明細書に添付の特許請求の範囲によって明示的に要求される場合を除いて、2つ以上の目的が組み合わされることが要求されるとして解釈されることを意図していない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にしたがって、注射器は、バレルの近位端における開口、バレルの遠位端における開口、およびバレルの中に配置される流体空間を含む中空のバレル、および近位端の開口を通ってバレルの中へ延伸し、遠位端の開口へ向かいかつ遠位端の開口から離れるように軸方向に動作可能な中空のプランジャーを含み、プランジャーはエンドウォールを含み、エンドウォールはプランジャーの遠位端に配置される開口でプランジャーに解放可能に固定され、注射器の使用中にプランジャーの遠位端の開口から移動され、プランジャーの中に配置される引き込み空洞へのアクセスを助長する。注射器はさらに、バレルの遠位端の中およびバレルの遠位端に固定される針アセンブリを含む。針アセンブリは針ホルダ、バレルの近位端の開口へ向けて針ホルダを押す弾力のあるメンバー、および縮小された部分によって針ホルダに解放可能に固定される保持メンバーを含み、針ホルダは、針を針ホルダに固定するコネクタを含み、針がバレルの遠位端の開口を通って延伸するのを可能にする。
【0009】
保持メンバーは、バレルの遠位端において針ホルダを弾力のあるメンバーのバイアス力に対抗して維持し、プランジャーがバレルの中に完全に押し込まれたときには、プランジャーは針ホルダと係合するように構成され、プランジャーのエンドウォールはプランジャーの中へ押し込まれ、保持メンバーは縮小された材料部分に沿って針ホルダから破断しかつ分離され、エンドウォール、針ホルダおよび針ホルダに固定された針の引き込み空洞への引き込みを助長する。
【0010】
例示的な実施形態において、プランジャーのエンドウォールは、プランジャーの遠位端の開口においてプランジャーと摩擦により係合するプラグを備え、バレルの遠位端へ向けたプランジャーの押し込みにおいて、プラグは針ホルダと係合するように構成され、プランジャーからプラグを取外し、プラグ、針ホルダおよび針ホルダに固定された針の引き込み空洞への引き込みを助長する。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
バレルの近位端における開口、該バレルの遠位端における開口、および該バレルの中に配置される流体チャンバーを含む、中空のバレルと、
該近位端の開口を通って該バレルの中に延伸し、該バレルの中で該遠位端の開口へ向かいかつ該遠位端の開口から離れるように、軸方向に移動可能な中空のプランジャーであって、該プランジャーはエンドウォールを含み、該エンドウォールは、該プランジャーの遠位端に配置される開口において該プランジャーに解放可能に固定され、かつ該プランジャーの中に配置される引き込み空洞へのアクセスを助長するために、注射器の使用中に該プランジャーの遠位端の開口から移動可能である、プランジャーと、
該バレルの遠位端の中および該バレルの遠位端において固定される針アセンブリであって、該針アセンブリは、針ホルダ、該バレルの該近位端の開口へ向けて該針ホルダを押す弾力のあるメンバー、および縮小された材料部分を介して該針ホルダに解放可能に固定される、保持メンバーを含み、該針ホルダは、針が該バレルの該遠位端の開口を通って延伸することを可能にするために、該針を該針ホルダへ固定するコネクタを含む、針アセンブリと
を備える、注射器であって、
該プランジャー、保持メンバーおよび針ホルダは、該保持メンバーが弾力のあるメンバーのバイアス力に対抗して該バレルの該遠位端において該針ホルダを維持し、該プランジャーが該バレルの中に完全に押し込まれたときには、該プランジャーは該針ホルダと係合し、該プランジャーの該エンドウォールを該プランジャーの中に押し込み、かつ該保持メンバーを、該縮小された部分に沿って破断し該針ホルダから分離するように押し込み、該エンドウォール、該針ホルダおよび該針ホルダに固定された針の該引き込み空洞への引き込みを助長するように構成される、注射器。
(項目2)
上記プランジャーおよび上記針アセンブリはさらに、プランジャーの遠位端と上記保持メンバーの少なくとも1つの部分との接触において、上記針ホルダからの該保持メンバーの最初の破断を助長し、該保持メンバーの該少なくとも1つの部分を上記バレルの遠位端へ向けて押し、上記縮小された材料部分に沿って該針ホルダからの該保持メンバーの少なくとも1つの部分の逐次の破断を誘発するように構成され、同時に、少なくとも該保持メンバーの別の部分は該針ホルダに付着したままであり、該少なくとも別の部分が該針ホルダから破断するまでは、該バレルの遠位端へ向けた移動を阻止する、項目1に記載の注射器。
(項目3)
上記保持メンバーは注射器ホルダの近位端の近くに配置される保持リングを備え、かつ上記縮小された材料部分は、該保持リングと該注射器ホルダとの間に定義される、少なくとも1つの環状の刻み目部分を備える、項目1に記載の注射器。
(項目4)
上記保持リングは、上記プランジャーに対面する該保持リングの表面から延伸した少なくとも1つの突起を含み、該プランジャーおよび針アセンブリはさらに、上記バレルの遠位端へ向けた該プランジャーの動作と共に、該保持リングの少なくとも1つの突起と該プランジャーの遠位端との係合において、上記環状の刻み目部分に沿った上記針ホルダからの該保持リングの逐次の破断を開始するように構成される、項目3に記載の注射器。
(項目5)
上記プランジャーのエンドウォールは、上記プランジャーの遠位端の開口において該プランジャーに摩擦により係合するプラグを備え、該プラグは、上記バレルの遠位端へ向けた該プランジャーの押し込みにおいて、該プラグが上記針ホルダと係合し、該プラグを該プランジャーから取外し、該プラグ、針ホルダ、および該針ホルダに固定される針の上記引き込み空洞への引き込みを助長するように構成される、項目1に記載の注射器。
(項目6)
上記プランジャーのエンドウォールは縮小された材料部分を介して該プランジャーの遠位端に解放可能に固定され、該プランジャーは、該プランジャーが上記バレルの中に完全に押し込まれたときには、該プランジャーは、上記針ホルダに係合し、該プランジャーの該エンドウォールを、該エンドウォールを該プランジャーに接続する該縮小された材料部分に沿って破断させ該針ホルダから分離させ、それによって該エンドウォール、該針ホルダ、および該針ホルダに固定される針の上記引き込み空洞への引き込みを助長するように構成される、項目1に記載の注射器。
(項目7)
上記バレルは、上記引き込み空洞への上記針ホルダの引き込みの開始に先立ち、上記保持メンバーおよび針ホルダと係合し、該保持メンバーおよび針ホルダが該バレルの上記近位端へ向けて動くことを阻止するための、該バレルの内側の面の部分から延伸した少なくとも1つの突起を含む、項目1に記載の注射器。
(項目8)
上記プランジャーは該プランジャーの遠位端におけるフランジを含み、上記バレルは、該プランジャーが完全に押し込まれたときには、上記引き込み空洞への上記針ホルダ引き込みの後に、該バレルからの該プランジャーの軸方向への移動を阻止するために、該プランジャーのフランジを受容するための、該バレルの近位端における延伸した部分を含む、項目1に記載の注射器。
(項目9)
上記バレルからの上記プランジャーの近位端の移動を阻止するために、該バレルの中への該プランジャーの完全な押し込みおよび上記引き込み空洞への上記針ホルダの引き込みにおいて上記プランジャーのフランジと係合する、該バレルの延伸した部分の中に配置されるロックをさらに備える、項目8に記載の注射器。
(項目10)
上記バレルの延伸した部分は少なくとも1つの切り抜き部分を含み、該切り抜き部分において、該バレルの延伸した部分の内側を露出させる、項目8に記載の注射器。
(項目11)
上記針ホルダおよび上記バレルは、補完的な固定部分を含み、該補完的な固定部分は、該針ホルダが該バレルの中に固定されるときには、該バレルに対する該針ホルダの回転移動を制限するように互いに係合する、項目1に記載の注射器。
(項目12)
上記補完的な固定部分は、上記針ホルダの外側の面の部分から延伸した突起、および上記バレルの内側の面の部分に沿って配置される対応する溝を含み、該突起および該溝は、該針ホルダが該バレルの中に固定されるときには、該バレルに対する該針ホルダの回転運動を阻止するように互いに係合する、項目11に記載の注射器。
(項目13)
上記プランジャーのエンドウォールおよび上記針ホルダの近位端は、補完的に係合する面を含み、該補完的に係合する面は、該プランジャーの上記バレルの遠位端に向かう運動の間に互いに係合する、項目1に記載の注射器。
(項目14)
上記プランジャーのエンドウォールの上記係合する面は凸状であり、上記針ホルダの上記係合する面は凹状である、項目13に記載の注射器。
(項目15)
上記プランジャーのエンドウォールは上記係合する面の近くに配置される少なくとも1つのノッチを含む、項目14に記載の注射器。
(項目16)
上記プランジャーは、該プランジャーの遠位端の近くの該プランジャーの部分の周りに延伸し、かつ上記バレルの中への該プランジャーの完全な押し込みによって、該バレルの内壁面に対して選択された程度に圧縮するように構成されるシールを含む、項目1に記載の注射器。
(項目17)
上記針ホルダのコネクタは雄ねじ接続を含み、該雄ねじ接続は、針ホルダに固定される針の対応する雌ねじコネクタに接続する、項目1に記載の注射器。
(項目18)
上記プランジャーは、該プランジャーの上記近位端の開口の中に固定されるキャップを含み、該キャップは、該キャップが該近位端の開口の中に固定されたときには、該プランジャーの近位端に隣接して配置されるフランジを含む、項目1に記載の注射器。
(項目19)
上記プランジャーの遠位端において該プランジャーの部分の周りに配置されるシールであって、該シールはさらに該プランジャーの該遠位端を少なくとも部分的に越えて延伸した、シール
をさらに備える、項目1に記載の注射器。
(項目20)
上記プランジャーの上記エンドウォールは、該プランジャーおよび該エンドウォールのうちの一方の上に配置される、少なくとも1つの突起を介して該プランジャーに解放可能に固定され、該突起は、該プランジャーおよび該エンドウォールの他方の上に配置される、少なくとも1つの補完的な溝と係合する、項目1に記載の注射器。
(項目21)
上記針ホルダの上記コネクタへ上記針を解放可能に固定するための、該針へ固定される針コネクタであって、該針コネクタおよび該針ホルダのコネクタは、少なくとも1つの突起および対応する溝を有する補完的な係合部分を含み、該突起および該対応する溝は、該針コネクタが該針ホルダへ固定されたときには互いに係合する、針コネクタ
をさらに備える、項目1に記載の注射器。
(項目22)
バレルの近位端における開口、該バレルの遠位端における開口、および該バレルの中に配置される流体チャンバーを含む、中空のバレルと、
該近位端の開口を通って該バレルの中を延伸し、該バレルの中で該遠位端の開口へ向かいかつ該遠位端の開口から離れるように軸方向に運動可能な中空のプランジャーであって、該プランジャーはエンドウォールを含み、該エンドウォールは、該プランジャーの遠位端に配置される開口において該プランジャーに解放可能に固定され、かつ該プランジャーの中に配置される引き込み空洞へのアクセスを助長するために、注射器の使用中に該プランジャーの遠位端の開口から移動可能である、プランジャーと、
該バレルの遠位端の中および該バレルの遠位端において固定される針アセンブリであって、該針アセンブリは、針ホルダ、該バレルの該近位端の開口へ向けて該針ホルダを押す弾力のあるメンバー、および該弾力のあるメンバーのバイアス力に対抗して該バレルの遠位端において該針ホルダを解放可能に固定するための固定手段を含む、針アセンブリと
を備える、注射器であって、
該プランジャーの遠位端および該固定手段は、該バレルの中への該プランジャーの完全な押し込みにおいて、該固定手段は該針ホルダから逐次的に破られ、かつ該バレルの遠位端へ向けて押し込まれる第1の部分を含み、同時に、該針ホルダからの該第1の部分の破れの後で、少なくとも1つの他の部分が該針ホルダから破れるまでは、該固定手段の少なくとも1つの他の部分が、該バレルの遠位端へ向けた動作を阻止するように構成され、
該プランジャーのエンドウォール、該針ホルダおよび該針ホルダに固定された針は、固定手段の該第1の部分および該少なくとも1つの他の部分の該針ホルダからの完全な破れにおいて、該弾力のあるメンバーによって該引き込み空洞の中に押し込まれる、注射器。
(項目23)
バレルの近位端における開口と、該バレルの遠位端における開口および該バレルの中に配置される流体チャンバーを有する中空のバレルと、該近位端の開口を通って該バレルの中に延伸し、該遠位端の開口へ向けてかつ該遠位端の開口から離れてバレルの中で軸方向に運動可能な中空のプランジャーであって、該プランジャーは該プランジャーの遠位端に配置される開口において該プランジャーへ解放可能に固定されるエンドウォールを含む、プランジャーと、該バレルの中かつ該バレルの遠位端に固定される針アセンブリであって、該針アセンブリは、針ホルダ、該針ホルダを該バレルの該近位端の開口へ向けて押す弾力のあるメンバー、縮小された材料部分によって該針ホルダへ解放可能に固定される保持メンバー、および該針ホルダに固定される針を含む、針アセンブリと、を含むタイプの注射器を利用する方法であって、該方法は、
該バレルの該近位端へ向けて該プランジャーの該遠位端を動かすことによって、該針を通じて該バレルの中の流体チャンバーの中への流体の吸引を助長することと、
該バレルの該遠位端に向けて該プランジャーの該遠位端を動かすことによって、該バレルの中の流体チャンバーからの吸引された流体の引き出しを助長することと、
該バレルの中への該プランジャーの完全な移動によって、該プランジャーに中に定義される引き込み空洞の中への該針ホルダの引き込みを助長することであって、該プランジャーは、該バレルの中への該プランジャーの完全な移動によって該針ホルダと係合し、その結果として該プランジャーの該エンドウォールは該プランジャーの中に押し込まれ、該保持メンバーが該縮小された材料部分に沿って該針ホルダから破断されかつ分離され、該エンドウォール、該針ホルダおよび該針ホルダに固定された該針の該引き込み空洞への引き込みを助長するように構成される、助長することと
を包含する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、針が注射器のバレルから延伸し、注射器がいつでも使用可能である、本発明の実施形態に従った注射器の断面の側面図である。
【図2】図2は、本発明に従った注射器の中への針アセンブリの引き込みを助長するために、プランジャーの押し込みの様々な段階における、プランジャーの遠位端と針アセンブリの近位端との相互作用を詳細に示す、図1の注射器の断面の部分側面図である。
【図3】図3は、本発明に従った注射器の中への針アセンブリの引き込みを助長するために、プランジャーの押し込みの様々な段階における、プランジャーの遠位端と針アセンブリの近位端との相互作用を詳細に示す、図1の注射器の断面の部分側面図である。
【図4】図4は、本発明に従った注射器の中への針アセンブリの引き込みを助長するために、プランジャーの押し込みの様々な段階における、プランジャーの遠位端と針アセンブリの近位端との相互作用を詳細に示す、図1の注射器の断面の部分側面図である。
【図5】図5は、本発明に従った注射器の中への針アセンブリの引き込みを助長するために、プランジャーの押し込みの様々な段階における、プランジャーの遠位端と針アセンブリの近位端との相互作用を詳細に示す、図1の注射器の断面の部分側面図である。
【図6】図6は、使用後に注射器へ完全に引き込まれた針を有する、図1の注射器の断面の側面図である。
【図7】図7は、注射器の中への針アセンブリの引き込みを助長するための、プランジャーの押し込みの様々な段階におけるプランジャーの遠位端と針アセンブリの近位端との相互作用を詳細に示す、本発明に従った注射器の代わりの実施形態の断面の部分側面図である。
【図8】図8は、注射器の中への針アセンブリの引き込みを助長するための、プランジャーの押し込みの様々な段階におけるプランジャーの遠位端と針アセンブリの近位端との相互作用を詳細に示す、本発明に従った注射器の代わりの実施形態の断面の部分側面図である。
【図9】図9は、注射器の中への針アセンブリの引き込みを助長するための、プランジャーの押し込みの様々な段階におけるプランジャーの遠位端と針アセンブリの近位端との相互作用を詳細に示す、本発明に従った注射器の代わりの実施形態の断面の部分側面図である。
【図10】図10は、注射器の中への針アセンブリの引き込みを助長するための、プランジャーの押し込みの様々な段階におけるプランジャーの遠位端と針アセンブリの近位端との相互作用を詳細に示す、本発明に従った注射器の代わりの実施形態の断面の部分側面図である。
【図11】図11は、本発明に従った注射器の別の代わりの実施形態の断面の部分側面図である。
【図12】図12は、本発明に従った代わりの注射器の実施形態のプランジャーの断面の部分図である。
【図13】図13は、本発明に従った代わりの注射器の実施形態のプランジャーの断面の部分図である。
【図14】図14は、針が注射器のバレルから延伸し、注射器がいつでも使用できる、本発明のさらなる実施形態に従った注射器の断面の側面図である。
【図15】図15は、注射器バレルの近位端の部分を含む、図14の注射器の斜視部断面図および部分断面の部分図である。
【図16】図16は、針アセンブリ、およびバレルの内部を示すために取外された部分を有する、注射器のバレルの遠位端部分を含む、図14の注射器の一部分の斜視図の分解図である。
【図17】図17は、本発明に従った注射器の中への針アセンブリの引き込みを助長するために、プランジャーの押し込みの様々な段階における、プランジャーの遠位端と針アセンブリの近位端との相互作用を詳細に示す、図14の注射器の断面の部分側面図である。
【図18】図18は、本発明に従った注射器の中への針アセンブリの引き込みを助長するために、プランジャーの押し込みの様々な段階における、プランジャーの遠位端と針アセンブリの近位端との相互作用を詳細に示す、図14の注射器の断面の部分側面図である。
【図19】図19は、本発明に従った注射器の中への針アセンブリの引き込みを助長するために、プランジャーの押し込みの様々な段階における、プランジャーの遠位端と針アセンブリの近位端との相互作用を詳細に示す、図14の注射器の断面の部分側面図である。
【図20】図20は、本発明に従った、注射器の中への針アセンブリの引き込みを助長するために、プランジャーの押し込みの様々な段階における、プランジャーの遠位端と針アセンブリの近位端との相互作用を詳細に示す、図14の注射器の断面の部分側面図である。
【図21】図21は、使用後に注射器の中へ完全に引き込まれた針を有する、図14の注射器の断面の側面図である。
【図22】図22は、本発明に従った注射器の別の実施形態の一部分の断面の部分的な分解側面図である。
【図23】図23は、本発明に従った注射器のさらに別の実施形態の断面の部分側面図である。
【図24】図24は、本発明に従った注射器のさらに別の実施形態の断面の部分側面図である。
【図25】図25は、本発明に従った注射器のさらなる実施形態の断面の部分側面図である。
【図26A】図26Aは、本発明の別の実施形態に従った注射器の針ホルダの部分側面図である。
【図26B】図26Bは、図26Aの針ホルダを含む、本発明に従った注射器の実施形態の断面の部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記およびさらなる目的、本発明の特性および利点は、特定の実施形態の以下の詳細な記述の考慮において、特に、添付の図面と共に参照するときに、明らかになり得る。図面においては、様々な図における同じ参照番号は同じコンポーネント示すために用いられる。
【0013】
図1を参照すると、医療用の注射器20は、中空のプランジャー30を受容するために適切にサイズ付けされる、近位端における開口23を有する中空の円柱状のバレル22、および注射器から針60の露出を可能にする遠位端における開口を含む。バレル22は、プランジャー30の部分を受容しかつ保持する主胴体部24、および主胴体部24に対して内径が縮小している遠位端延伸部26を含み、遠位端延伸部26は以下に示されるように針アセンブリ56を受容する。プランジャー30は遠位端においてプランジャーを取り囲んでいる弾力のあるシール32を含む。流体用の空洞50は、バレル22の中の弾力のあるシール32とプランジャーの他の遠位端部とバレルの主胴体部24の遠位端25との間にあるとして定義され、そこでは流体チャンバーはバレルに対するプランジャーの軸方向の移動に基づき量が変化する。シース68は、注射器の使用に先立って、以下に述べられるようにバレルの中に固定される針60を囲むために、バレル22の遠位端へ取外し可能なように固定される。バレル、プランジャー、弾力のあるシール、シース、および注射器の他のすべてのコンポーネントは、以下に示されるように注射器の操作性を助長する任意の適切な医療レベルの材料(例えばプラスチックおよび/またはステンレス鋼)で構成され得る。
【0014】
プランジャー30の近位端は、凸面状または半球状の親指パッド38、および注射器の操作中に使用者の指および/または親指の係合を助長する、放射状に延伸したフランジ39を含む。同様に、バレルの主胴体部24は、操作中に使用者の指および/または親指の係合を助長するために、近位端付近に配置される放射状に延伸したフランジ28を含む。延伸したバレル部27はフランジ28とバレルの近位端との間で延伸し、主胴体部24の残りの部分と比較すると内径はわずかに広い。延伸したバレル部27はまた、プランジャー30がバレルの中に完全に押し込まれたときには、プランジャーのフランジ28はバレルの近位端において、フランジ28が延伸したバレルの部分に入ることを可能にするために、延伸したバレル部27がわずかに屈曲することを強いるように、充分な長手方向の長さがあり、かつフランジ39において定義されるプランジャーの横のサイズよりも内径はわずかに小さい。バレルの中にプランジャー30を完全に押し込むと、プランジャーのフランジ39はプランジャーがバレルから外れるのを阻止するために(図6に示されているように)、環状の溝29にスナップタイト(snap−tight)なロッキング関係で係合する。
【0015】
図2を参照すると、プランジャー30の遠位端はエンドウォール44によって密閉するようにと閉じられており、エンドウォールはプランジャーの一部分として構成されることが好ましい。エンドウォール44は、エンドウォールの周辺にわたって延伸している、環状のノッチまたは刻み目部46を含む。刻み目部46は薄い膜または縮小された材料として定められ、薄い膜または縮小された材料は、注射器の使用中に、以下に示されるようにプランジャーの引き込み空洞48へ入ることを助長するために、プランジャーの押し込みの間に破れまたは破断する。エンドウォール44はさらにフラストコニカル(frusto−conical)な面45を含み、フラストコニカルな面45は、バレルの遠位端へ延伸し、以下で示すように、プランジャーが完全にバレルへ押し込まれるときには、針アセンブリ56のフラストコニカルな空洞部分59に部分的に係合する。代わりに、エンドウォールは任意の適切な外側または内側へ延伸した面(例えば、円錐状、凸状、V字状、多面状など)または特定のアプリケーションにおいて所望されるような平面さえも用いて形成され得る。
【0016】
針アセンブリ56は針ホルダまたは基部58を含み、針ホルダまたは基部58は、(図1に示されるように)使用に先立ちかつ使用中に、針60がバレルの遠位端から延伸するように、注射針60と接続し、かつバレルの遠位端延伸部26の中に付着される。針の基部58および針60は、(例えばねじ込み係合を用いて)互いに取り外れるように係合することが好ましい。軸方向に延伸した空洞部分57は、バレルの中の針と流体用の空洞部分50との間の流体の伝達を助長するために、針の基部58の近位端から針60の接続部へ延伸する。さらに、空洞57は針の基部58の近位端における広がった部分59を含み、広がった部分59はフラストコニカルな形状であり、プランジャー30のフラストコニカルな面45に概ね対応するように、バレルの近位端に向かい広がっている。特に、広がった部分59は針の基部58の中央軸のアライメントからわずかに片寄り(例えば約3度〜5度で)、かつ角度のついた面を含み、その角度のついた面は、プランジャーが針アセンブリに向けて押し込まれたときには、プランジャーのフラスココニカルなエンドウォールの面45が広がった部分59に完全に並ばず、かつ完全に一致しないように、プランジャーのエンドウォール44の角度のついた面とは少し異なっている。針の基部58はさらに近位端における放射状に延伸したフランジ62を含み、放射状に延伸したフランジ62は、プランジャーをバレルの遠位端へ向けて押し込む間、レッジ21を遠位方向に越えて針アセンブリが動作するのを阻止するために、遠位端延伸部26の内面に沿って配置されるステップまたはレッジ21に係合するように、適切にサイズ付けされる。
【0017】
ディスク状の基部リング64は、バレルの遠位端延伸部26の内壁面と係合するように、針の基部58のフランジ62に固定され、かつ針の基部58のフランジ62から放射状に延伸する。基部リング64はフランジ62と針の基部58との一部分として構成されるのが好ましく、基部リング64と針の基部58との接続部分における、ノッチまたは刻み目部分65を含む。刻み目部分65は薄い膜または縮小された材料部分として定義され、その薄い膜または縮小された材料部分は、以下に示される方法で針アセンブリ56の引き込みを助長するために、注射器の操作中に破れまたは破断する。基部リング64は、プランジャーが、以下に示されるように針の基部58と係合するように押し込まれるときには、バレルの内壁面に沿って基部リングの破断した部分の部分的な滑りを助長するように、サイズ付けされるのが好ましい。
【0018】
基部リングの直径は、基部リングがバレルに係合する場所において、遠位端延伸部26の内壁面の直径よりもわずかに小さくなる、遠位端延伸部26の内壁面の直径と同じになる、または遠位端延伸部26の内壁面の直径よりもわずかに大きくなるように選択され得る。図1〜図6に示される実施形態において、基部リング64の直径は基部リングと係合するバレルの内壁面の直径と比較するとわずかに大きく、バレルの内壁面は、基部リングが、バレルと係合する間に、わずかに圧縮され、効果的な流体密封シールを構成する。基部リングのサイズはさらに、プランジャーがバレルの中に完全に押し込まれたときには、基部リング/バレルの内壁の係合部分において圧縮フィット/流体密封シールを提供し、一方バレルの内壁面に対する基部リングの滑りを助長するように、選択される。
【0019】
放射状の突起または肩(shoulder)66は、内面に沿ってかつバレルの遠位端延伸部26の近位端の近くに配置される。肩66は、バレルの近位端へ向けた針アセンブリの動作を阻止するために、基部リング64と係合し、一方基部リングは針の基部58に付着したままである。代わりに、一連の放射状に破断している突起は、バレルの近位端へ向けた針アセンブリの動作を阻止するために、バレルの遠位端延伸部において基部リングを係合またはロッキングするという同じ結果を達成するために提供され得、一方基部リングがなお針の基部に付着することが示される。弾力のあるメンバー84(例えば、コイルばね)は針の基部58のフランジ62と内部のレッジ86との間に配置され、内部のレッジ86は放射状の突起64とバレルの遠位端との間の位置において、遠位端延伸部26の内面の上に配置される。基部リング64がバレルの放射状の突起66を遠位方向に越えて延伸するように、針アセンブリ56がバレルの遠位端延伸部26へ圧入されるときには(以下に示されるように)、弾力のあるメンバー84はバレルの近位端に向けて針アセンブリを押すように圧縮される。
【0020】
注射器20は、バレル22の中へのプランジャー30の完全な押し込みがプランジャーのエンドウォール44の破れまたは破断の組み合わせを助長し、かつまた針の基部58のフランジ62からの基部リング64の破れまたは破断を助長し、引き込み空洞の中への針の基部および針60の引き込みを助長するように設計される。特に、プランジャー30は遠位端において環状の縁78を含み、環状の縁78は注射器の中央軸に対して垂直である平面に対してわずかな角度(例えば約3度〜5度)傾斜している。同様に、針の基部58は近位端において環状の縁80を含み、環状の縁80は注射器の中央軸に対して垂直である平面に対してわずかな角度(例えば約3度〜5度)傾斜している。
【0021】
プランジャーおよび針の基部は、対面する環状の面78および環状の面80によって構成される先端が互いに対してそれぞれ任意の選択される方向へ並べられるように、注射器の中で組み立てられ得る。注射器の中でのプランジャーの先端と針の基部の先端との互いに対する先端の特定の方向は、注射器の機能に関しては特に重要ではない。よって、図1〜図5は、プランジャーおよび針の基部の環状の面78および環状の面80の先端が約180度の回転角度によって互いにずれるとして示すが、注射器の引き込みの特性である操作性に影響することなく、先端は互いに実質的に並べられ得、または任意の他の選択される回転角度(例えば45度、90度など)で実質的にずれ得る。プランジャーおよび針の基部の環状の面78および環状の面80はさらに、プランジャーを完全に押し込むときには、刻み目部分46および刻み目部分65において、および/または刻み目部分45および刻み目部分65の近くで、プランジャーのエンドウォール44と基部リング64との係合を助長するために、注射器の長手方向において適切にサイズ付けされ、そのことが、代わりに、プランジャーからのエンドウォール44の破れまたは破断、および針の基部のフランジ58からの基部リング64の破れまたは破断を助長し、プランジャーの引き込み空洞48への針アセンブリ56の引き込みを開始する。代わりに、プランジャーの環状の面78は針の基部の一部分に係合するように向けられ得、針の基部の一部分は刻み目部分65から適切な距離(例えば、基部リングおよびバレルの内壁面の外径に近い)だけ移動され、刻み目部分65に対してプランジャーの所望の程度のレバレッジ(leverage)を確立し、注射器の操作中、プランジャーが針の基部に係合し、針の基部のフランジからの基部リングのより容易なより効率的な破れまたは破断を助長する。
【0022】
注射器の組み立ては、最初に弾力のあるメンバー84を挿入し、針アセンブリ56(針60と共に、または針60なしで)をバレル22の近位端における開口23に挿入し、主胴体部24を通って遠位端延伸部26へ挿入される。針の基部58の基部リング64は、バレルの環状の肩66に当たるので、基部リングはわずかに圧縮され、かつスナップフィットな係合で肩66を遠位方向に越えるように押し込まれる。いったん基部リング64が肩66を遠位方向に越えるように押し込まれると、針アセンブリ56は遠位端延伸部26の中で適切にロックされ、弾力のあるメンバー84は注射器の中で近位方向に針アセンブリが押されるように圧縮される。基部リング64は、このロックされた構成において、フランジ62とバレルの内壁面との間で選択された程度に圧縮されたままであり、バレルとの圧縮されたフィットの係合地点において、効果的な流体密封シールを提供する。プランジャー30はバレル22の開口23に挿入され、注射器の使用を助長するために適切な距離だけ軸方向に移動される。針60はバレル22への針アセンブリの挿入に先立ち、針の基部58と接続される。代わりに、針60は針の基部をバレルの中へ固定された後で、針の基部58の接続部分に接続され得る。どちらの場合であれ、針60は、注射器の使用を助長するために、組み立ての後で、バレルの遠位端における開口から突出する。
【0023】
操作において、プランジャーの遠位端は、針60から流体用の空洞50へ流体を引き込むために、バレルの近位端へ向けて適切な距離だけ移動する。注射部分へ針を注射する際に、流体が空洞50から針60を通ることを強いるように、プランジャーがバレルの遠位端に向けて押し込まれる。図2から図5を参照すると、プランジャーがさらにバレルの中に押し込まれるにつれて、プランジャーのエンドウォール44のフラストコニカルな面45は、針の基部58の中央の空洞57の広がった部分59へ移動し、引き込みに先立って、任意の残りの液体が針を通過することを強いる(こうして、プランジャーと針アセンブリとの係合部分の間の「デッド」スペースが縮小する)。さらに、針の基部58の環状の縁80の先端は、フラストコニカルな面45において、またはフラストコニカルな面45の近くで、エンドウォール44の一部分に係合し、プランジャー30からエンドウォール44の破れまたは破断を開始する。ほぼ同時に、プランジャーの環状の縁78の先端は、刻み目部分65において、または刻み目部分65の近くで基部リング64の一部分と係合し、基部リングとプランジャーとの間の係合部分において、刻み目部分65に沿ったフランジ62からの基部リングの破れまたは破断を強いる。
【0024】
バレルの中へのプランジャーの完全な押し込みはさらに、プランジャーの環状の縁78が基部64に対して押し付けられ、フランジ62からすでに破断した基部リングの一部分が、バレルの内壁面に沿ってわずかな距離だけ遠位方向へ滑ることを生じさせ、針の基部58の中央軸に対してわずかな角度をつけて向けられるようにする(図4を参照)。さらに、破断していない基部リングの一部分は、針の基部から破断するまで、遠位方向に移動するのを妨げられる。プランジャーを基部リングに対して完全に押し込むことによって加えられる継続する圧縮と共に、バレルの内壁面に沿った基部リング64の破断した部分の滑りが、基部リングがタブ62から完全に破断するまで、刻み目部分65に沿った両方向への基部リングの逐次の破れまた破断という結果となる。さらに、プランジャーのエンドウォール44と針の基部58の環状の縁80の強制された係合は、刻み目部分46に沿った両方向へのエンドウォールの逐次の破れまたは壊れという結果となり、プランジャー30からのエンドウォールの完全な破断という結果となる。プランジャーからエンドウォールを破断し、また針の基部のタブから基部リングを破断することは、プランジャーおよび針の基部の環状の縁78および環状の縁80による切り離し動作を必要としないことが意味される。実際、プランジャーと針の基部の係合する端の面によって加えられる反対の力は、プランジャーからプランジャーのエンドウォール44が完全に破断し、針の基部から基部リング64が完全に破断することを実行するには充分なので、破れまたは破断を実行するために、環状の縁78および環状の縁80が刻み目部分65および46に対してどんな係合もする必要はない。
【0025】
注射器の設計は、タブ62からの基部リング64の完全な破断の直前、または実質的に同時に、エンドウォール44がプランジャー30から完全に破断するように構成される。代わりに、注射器はまた、針の基部のタブからの基部リングの完全な破断が、プランジャーからのエンドウォールの完全な破断の直前に起こり、針アセンブリの近位方向へのバイアス力がプランジャーのエンドウォールの完全な破れを強いることを促進するように、構成され得る。いったん、針の基部のタブからの基部リングの完全な破断およびプランジャーからのエンドウォールの完全な破断が達成されると、弾力のあるメンバー84は、針の基部58および針60をエンドウォール44と共に、プランジャーの中の引き込み空洞48の中に近位方向に押し込む(図5および図6を参照)。
【0026】
図6から分かるように、プランジャー30がバレル22に中に完全に押し込まれ、針アセンブリ56の引き込みが生じるときには、プランジャーのフランジ39は延伸したバレル部27の中にわずかに延伸し、環状の溝29の中にロックされる。このロックされた位置において、バレルからのプランジャーの取外しが阻止される。
【0027】
注射器の代わりの実施形態が図7〜図10および以下に示される。注射器は、設計、組み立て、および操作性は、上記および図1〜図6に示される注射器と同様であり、同じ数字は同様のコンポーネントを示す。図1〜図6の注射器と図7〜図10の注射器との間の主な違いは、プランジャーのエンドウォール、針アセンブリに関する基部リング、および引き込みに先立ち一定の方法で針アセンブリをロックする機能を果たす、バレルの内壁面に沿った、ロッキングするレッジ/突起の設計である。図7を参照すると、注射器20’の針の基部58は、放射状に延伸したフランジ62および基部リング64’を含み、基部リング64’は、フランジ62に付着し(好ましくは、基部リングはフランジの一部分として構成される)、放射状に延伸しており、バレル22の内壁面に係合し、係合部分における効果的な流体密封シールを提供する。図7の実施形態の基部リング64’は、先の実施形態(図1〜図6に示される)の基部リング64よりもわずかに大きい厚みのサイズを有し、バレルの内壁に沿って定義される環状の肩またはシート21’の中にフィットし、係合する、遠位方向に延伸した部分を含む。基部リング64’はさらに、針の基部58がバレルの中に挿入され、バレルの中の環状の肩66を遠位方向に越えるように押し込まれるときには、基部リング64’が環状の肩66とシート21’との間にきちんとフィットし、針アセンブリの引き込みに先立ちバレルの中で、針の基部の任意の近位方向への動作または任意の遠位方向への動作を実質的に阻止するように、適切にサイズ付けされている。基部リング64’はさらに基部リング64’の接続部分における環状のノッチまたは刻み目部分65’および注射器の引き込みの間に、破れまたは破断する薄い膜または縮小された材料部分を定義する針の基部58を含む。
【0028】
プランジャー30の遠位端に固定されるエンドウォール44’(エンドウォールはプランジャーの一部分として構成されるのが好ましい)は、環状のノッチまたは刻み目部分46’を含み、環状のノッチまたは刻み目部分46’は、プランジャーの押し込みの間に、破れまたは破断する、薄い膜または縮小された材料部分を定めるエンドウォールの周辺に延伸する。針アセンブリに対面するエンドウォール面45’は、図1〜図6に示される実施形態のフラストコニカルな面45とは対照的に実質的に平坦である。先の実施形態と同様に、プランジャー30および針の基部58の対面する環状の面78’および環状の面80’は両方とも、注射器の中央軸に対して垂直である平坦な面に対して、わずかな角度(例えば3度〜5度)傾斜し、バレルの中でのプランジャーの押し込みの間に、プランジャーのエンドウォール44’および基部リング64’の両方に対する圧力の適用を助長する。
【0029】
注射器20’の操作は、ここで図7〜図10を参照して示される。注射器の使用は、針から流体用の空洞50に流体を引き込むために、バレルの近位端に向かい適切な距離だけプランジャーの遠位端を移動させることによって開始される。注射部分への針の注射において、プランジャーはバレルの遠位端へ向けて押し込まれ、液体が空洞50から押し込まれ針を通る。プランジャーがさらにバレルの中に押し込まれると、針の基部58の環状の縁80’の先端は、エンドウォールの表面45’においてまたはエンドウォールの表面45’の近くで、エンドウォール44’の一部分に係合し、プランジャー30からのエンドウォール44’の破れおよび破断を開始する。
【0030】
ほぼ同時に、プランジャーの環状の縁78’の先端は、刻み目部分65’においてまたは刻み目部分65’の近くで、基部リング64’の一部分と係合し、基部リングとプランジャーとの間の係合部分において、刻み目部分65’に沿ってフランジ62からの基部リングの破れまたは破断を強いる。しかしながら、先の実施形態とは異なり、フランジ62からすでに破断した基部リング64’の破断した部分は、バレルの内壁面に沿って滑らない。むしろ基部リング64’の破断した部分は、基部リングにつながるシート21’に対してバレルの中で遠位方向へ動作することを実質的に阻止する。
【0031】
バレルの中にプランジャーが完全に押し込まれることはさらに、フランジ62から刻み目部分65’に沿った両方向における基部リング64’と、プランジャー30から刻み目部分46’に沿った両方向におけるエンドウォール44’との両方の逐次の破れまたは破断を阻止する。先の実施形態においてのように、エンドウォール44’が、タブ62からの基部リング64’の完全な分離の直前または実質的に同時に、プランジャー30から完全に分離するように、注射器20’が設計されるのが好ましい。代わりに、注射器はまた、針の基部のタブからの基部リングの完全な分離が、プランジャーからのエンドウォールの完全な分離の直前に生じ、針アセンブリの近位方向へのバイアス力が、プランジャーのエンドウォールの完全な断裂を強いることを助長するように、構成され得る。いったん、針の基部のタブからの基部リングの完全な分離およびプランジャーからのエンドウォールの完全な分離が達成されると、弾力のあるメンバー84は、エンドウォール44’と共に、針の基部58および針をプランジャーの中の引き込み空洞48に近位方向に押し込む。したがって、針アセンブリの引き込みが開始される方法は、先の実施形態のように、プランジャーおよび針の基部の環状の縁78’および環状の縁80’による切断活動を一切要求しない。
【0032】
注射器のさらなる実施形態が図11および以下に示される。注射器は、設計、組み立ておよび操作性については、上記および図1〜図6に示される注射器と同様であり、同じ数字は同様なコンポーネントを示す。しかしながら、図11の注射器の基部リングは、基部リングの1つ以上の面に沿った、ノッチ部分または刻み目部分から放射状に破断する、1つ以上の追加のノッチを含むように、わずかに改変される。追加のノッチは、刻み目部分に沿った針の基部からの基部リングの破れまたは破断を促進する。任意の適切な数のノッチ(例えば1つ以上)が、基部リングの任意の1つ以上の面に沿った任意の適切な位置において配置され得る。ノッチはさらに、基部リングの中央に対して、任意の選択された放射長(radial length)(例えば45度、90度、180度、360度など)で放射状に延伸し得る。
【0033】
図11を参照すると、基部リング64’’は、針の基部58のフランジ62の接続部分の近くの刻み目部分65’’、および基部リング64’’の反対の面の上および刻み目部分65’’と基部リングの周辺との間の放射状に破断した位置に配置される1対のノッチ部分92およびノッチ部分94を含む。基部リングはさらに、外側の周辺の面に沿って延伸した溝を含み、その溝は環状の肩66とレッジ21’’との間のバレルの主胴体部24の内面に沿って配置されるノッチ94と係合する。
【0034】
注射器20’’の組み立ては、上記の注射器の組み立てと実質的に同様であるが、基部リングの周辺の溝がバレルの突起96とかみ合うように、基部リング64’’がバレルの中の位置へ押し込まれるという追加的な特徴を有する。プランジャーの遠位端が基部リング64’’へ係合し、刻み目部分65’’において針の基部58からの基部リングの破れまたは破断が始まると、周辺に位置する溝およびバレルの突起96における基部リングの係合のために、基部リングはレッジ21’’へ向けた滑りを実質的に阻止される。さらに、ノッチ部分92およびノッチ部分94は、ノッチ部分65’’において基部リングの破れをさらに促進するために、プランジャーによって係合されるので、基部リングのフレキシビリティを高める。
【0035】
上記および図に示される注射器は、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の数の方法で、改変され得る。例えば、針の基部に対する基部リングは、バレルの壁との摩擦/圧縮によるタイトフィットに保持されるよりも、任意の適切な方法(例えば熱または超音波接着、粘着など)で、バレルの壁の内面に付着され得る。そのような実施形態において、バレルの壁の内面へ付着する基部リングの一部分は、針の基部からの基部リングの分離の間、注射器の中央軸に対して角度を付けることを強い得ない。しかしながら、分離はさらに、針の基部からの基部リングの破断を助長するように、基部リングの刻み目部分に沿って引き起こされ得る。
【0036】
他の例示的な実施形態において、プランジャーのエンドウォールはプラグまたは膜であり得、そのプラグまたは膜は中空のプランジャーの中で内面の部分と係合するように摩擦によりフィットし、または代わりに、中空のプランジャーの内面の部分の中の1つ以上の溝とスナップフィットする。例えば、図12を参照すると、中空のプランジャー30’はプラグ44’を含み、プラグ44’は内壁面に摩擦により係合し、プランジャーの遠位端において、プランジャーの中に保持される。図13に示される別の実施形態において、中空のプランジャー30’’は、プラグ44’’を含み、プラグ44’’はプランジャーの遠位端の近くの内壁面に沿って配置される、対応する環状の溝にスナップフィットする。これらの実施形態のそれぞれにおいて、プランジャーの膜またはプラグは、適切なサイズであり、バレルの中でのプランジャーの移動の間、プランジャーに対して適切に保持される。針の基部の一部分とプランジャーのプラグとの係合において、プランジャーのプラグは、プランジャーとのそのような係合から押し込まれ、針の基部および針と共にプランジャーの引き込み空洞へ引き込まれる。
【0037】
他の特性がまた、注射器の組み立ての後で、バレルの中で基部リングまたは針ホルダの回転を阻止するために、基部リングまたは針ホルダとバレルとの間で提供される(例えば、針のハブがねじ込み係合によって針ホルダに付着するときには、基部リングおよび針ホルダが回転移動に抵抗し得る)。例えば、基部リング/針ホルダは、溝、ノッチのある突起、および/または歯を提供され得、それらは、針ホルダがバレルの中に組み立てられるときには、バレルの中で補完的な溝、ノッチ、および/または歯と係合する。針ホルダとバレルとの間のこの係合は、例えば、針が(ねじ込み係合によって)針ホルダと接続されるときには、バレルの中での針ホルダの回転移動を阻止する。歯および溝の代わりに、または歯および溝に加えて、任意の他の補完的な係合構造がまた、注射器が完全に組み立てられたときには、バレルに対する針ホルダの任意の回転を最小化し、または実質的に阻止するように、針ホルダとバレルとの間に提供され得る。
【0038】
注射器に対する他の改変はバレルの近位端における延伸部において切り離し部分を提供することを含み、切り離し部分は、注射器の流体用の空洞への流体の吸引の間(すなわち、プランジャーの部分がバレルから引かれるとき)、プランジャーの親指パッドのグリッピング面およびフランジのグリッピング面への係合を使用者に対して提供する。例えば、二つ以上の完全に相対する切り離し部分が延伸したバレル部に沿って提供され得る。しかしながら、任意の適切な数の切り離し部分(例えば1つ以上)が、特定のアプリケーションに対して所望されるような、延伸したバレル部分に沿って任意の適切な配置で提供され得る。延伸したバレル部分の残りの部分はロッキングする溝を含み得、ロッキングする溝はプランジャーの親指パッドに係合し、注射器の使用の後に、上記のものと同様の方法でバレルの中でプランジャーをロックする。
【0039】
さらなる追加的な特性と共に、上記のような特性の一部を組み込む注射器の実施形態が、図14〜図21に示される。注射器は、設計、組み立て、または操作性において上記および図1〜図6に示される注射器と同様であり、以下に追加的な特性が示される。図14を参照すると、医療用の注射器120は、近位端に開口123を有する中空の円柱状のバレル122を含み、中空のプランジャー130を受容するように適切にサイズ付けされる。バレルはさらに遠位端において開口を含み、注射器から針160の露出を可能にする。バレル122は、プランジャー130の一部分を受け止めかつ保持する主胴体部124、および以下に示すように針アセンブリ156を受容する主胴体部124に対して縮小された内径の遠位端延伸部126を含む。少なくとも1つの隆起またはリッジ212がバレルの近位端の中およびバレルの近位端の近くの主胴体部124の内壁面の部分に沿って配置され、注射器の操作中、バレルからのプランジャーの完全な外れに抵抗しかつ阻止する。例えば、リッジはバレルの中に連続して存在し得る(例えば突出する環状のリングの形成)。代わりに一連(例えば二つ以上)のリッジが、バレルの内面に沿って放射状に離れた位置で提供され得る。
【0040】
プランジャー130は、遠位端の近くでプランジャーを囲んでいる弾力のあるシール132を含む。流体用の空洞150は、バレルの中の、弾力のあるシール132とプランジャーの遠位端部分とバレルの主胴体部124の遠位端125との間に定義され、流体用の空洞は、バレルに対するプランジャーの軸方向への移動に基づき、容積が変化する。シース168は、注射器の使用に先立ち、バレル122の遠位端に取外し可能なように固定され、バレルの中に固定される針160を囲む。先の実施形態においてのように、バレル、プランジャー、弾力のあるシール、シース、および注射器の他のすべてのコンポーネントは、任意の適切な医療レベルの材料(例えば、プラスチック、および/またはステンレス鋼)で構成され得、それらの材料は以下に示すような注射器の操作性を促進する。さらに、注射器は、特定のアプリケーションに対する任意の流体の容量(例えば、1立方センチメートルつまり1cc、3cc、5ccなど)を満たすために、適切な流体用の空洞を有するように設計され得る。
【0041】
プランジャー130の近位端は、凸面または半球状の親指パッド138および放射状に延伸したフランジ139を含み、フランジ139は注射器の操作中に、使用者の指および/または親指との係合を助長する。同様に、バレルの主胴体部124は、操作中、使用者の指および/または親指が係合するのを助長するために、近位端の近くに配置される放射状に延伸したフランジ128を含む。延伸したバレル部分127は、フランジ128とバレルの近位端との間に延伸し、主胴体部124の残りの部分に対して内径がわずかに大きい。延伸したバレル部分127はまた、充分な長手方向のサイズがあり、プランジャー130がバレルの中に完全に押し込まれたときには、フランジ128はバレルの近位端において、延伸したバレル部分127のわずかな屈曲を強い、フランジが延伸したバレル部分へ入ることを可能にする。
【0042】
図15を参照すると、2つの完全に相対する部分が、延伸したバレルの周辺に沿って切り抜き範囲または部分210を形成するために、延伸したバレル部分127から取り外される。取り外された部分210は、プランジャーがバレルから引かれて、以下で示すようにバレルの流体用の空洞の中への流体の吸引を開始するときには、注射器の使用者がプランジャーを握るのを助長するために、プランジャーの親指パッド138およびフランジ139の充分な部分の露出を助長する。2つの切り抜き部分が描かれているが、任意の適切な数(例えば1つ以上)の切り抜き部分が、延伸したバレル部分に沿った任意の1つ以上の選択された位置において提供され得る。好ましくは、延伸したバレル部分の壁の厚みおよび/またはプラスチックまたはこの部分が構成される他の材料は、バレルの中への流体の吸入の間、バレルからプランジャーの部分を軸方向に移動するのを促進するために、使用者によって握られるときには、延伸したバレル部分のわずかに弾力がありかつ可逆性のゆがみを助長するように選択される。
【0043】
環状の溝129は、バレルの近位端の近くの延伸したバレル部分の残りの内壁の部分(すなわち、切り取り部分によって分離される壁の部分)に沿って配置される。バレルの中へのプランジャーの完全な押し込みおよびプランジャーの中への注射器の引き込みにおいて、プランジャーのフランジ139は、バレルからのプランジャーの外れを阻止するために、環状の溝129とスナップタイトなロッキング関係で係合する。
【0044】
図17を参照すると、プランジャー130は、プランジャーの遠位端に配置され、プランジャーの内壁の部分の間に摩擦により保持(例えば、上記および図12に示されるものと同様な摩擦による係合)される膜またはプラグ144を含む。プラグ144は、以下に示されるように針アセンブリの引き込みが生じるまで、中空の内部つまりプランジャー130の引き込み空洞148を、プラグとプランジャーとの間の摩擦による係合がプランジャーとプラグとの係合を維持するのを適切にするようにふさぐ。代わりに、プランジャーの膜またはプラグはプランジャーの遠位端において、スナップタイトなフィッティング関係(例えば、図13に示される実施形態においてのような)または任意の他の適切な方法で固定される。
【0045】
図17に見られるように、プランジャー130の遠位端は開口を含み、開口は引き込み空洞148と通じ、開口の中へプラグ144は固定される。プランジャーの遠位端における内部の環状の壁は内部に延伸した放射状のレッジ141を含む。レッジ141において定義されるプランジャーの開口の直径または横断面は、プランジャーの中に定義され、レッジ141を越えて広がる引き込み空洞148の直径または横断面よりも小さい。同様に、プラグ144はプラグの近位端から横方向に延伸した延伸した部分147を含む。プラグ144の延伸した部分147は横断面のサイズはレッジ141で定義されるプランジャーの開口の横断面のサイズよりもわずかに大きく、レッジ141とプラグ144の延伸した部分147との間の摩擦による係合を助長する。プラグ144の残りの横断面のサイズと共に延伸した部分147の横断面のサイズは、プランジャーのレッジ141とプランジャーの近位端との間の引き込み空洞148の横断面のサイズよりも小さい。さらに、延伸した部分147の間に延伸した残りのプラグ部分の横断面のサイズおよびプラグ144の遠位端の横断面のサイズは、プランジャーの開口の横断面のサイズよりもわずかに小さい。針アセンブリの引き込みの間におけるプランジャー130のレッジ141からのプラグ144の延伸した部分147の軸方向の移動において、プランジャーとプラグとの間の摩擦による係合は解放され、プラグは自由に引き込み空洞に移動することができる。
【0046】
プランジャーのプラグ144は凸状およびフラストコニカルな面145を含み、凸状およびフラストコニカルな面145は、以下に示されるようにプランジャーがバレルの中に完全に押し込まれるときには、バレルの遠位端に向けて延伸し、針アセンブリ156の概ね補完的な凹状およびフラストコニカルな空洞部分159に係合する。上記の先の実施形態においてのように、エンドウォールは任意の適切な外側または内側へ延伸した面(例えば円錐状、凸状、V字状、多面状など)または特定のアプリケーションにおいて所望されるような平坦または平面さえも用いて、代わりに構成され得る。しかしながら、プランジャーのプラグおよび針アセンブリの係合する面の補完的な特性は、流体用の空洞からの流体の移動の間、流体用の空洞の中の空いているスペースまたは「デッド」スペースを最小化または削除するために、好まれる。
【0047】
少なくとも1つのノッチ146はプラグの上のフラストコニカルな面の基部において構成される。ノッチ146は、フラストコニカルな面の基部においてプラグの周辺を延伸し得、代わりに単一のノッチまたは1つ以上の破断したノッチ部分を構成し得る。ノッチは基本的に、プラグが実質的または完全に針アセンブリと係合するときには、バレルの中の流体用の空洞と針アセンブリの中の流体チャネルとの間に流体が流れる経路を提供するのに役立つ。さらに、ノッチのあるプランジャーのプラグは、針アセンブリに向かうプランジャーの移動の間、流体用の空洞の中の水圧の増加または高まりの可能性を最小化または消去する。
【0048】
針アセンブリ156は針ホルダまたは基部158を含み、針ホルダまたは基部158は注射器の針160と接続しかつバレルの遠位端延伸部126の中に付着され、針160が、使用に先立ちまたは使用中に、バレルの遠位端から延伸する。針の基部158および針160は任意の適切な流体密封係合によって互いに解放可能に係合するのが好ましい。好ましい実施形態において、針の基部と針との間の解放可能な係合はねじ込み係合であり、針の基部は雄ねじの形状を含み、かつ針は針の基部と解放可能に接続する雌ねじコネクタを含む。図14および図17〜図20に示されるこの接続は、Luer Lockの形状のような従来の注射針の接続とは異なる。さらに、このねじ込み形状は様々な規格および様々なタイプの針と容易で万能な接続を提供する。しかしながら、針はまた、解放可能なまたは解放可能ではない任意の他の適切な方法で、針の基部に付着され得ることが示される。
【0049】
空洞157は、針とバレルの中の流体用の空洞150との間の流体の伝達を助長するために、針の基部158の近位端から針160との接続部分へ軸方向に延伸する。さらに、空洞157は針の基部158の近位端における広がった部分159を含み、広がった部分159は、フラストコニカルな形状であり、概ね揃いかつプランジャー130のフラストコニカルな面145を補完するように、バレルの近位端へ向けて広がる。上記のように、プランジャーが針アセンブリへ向けて押し込まれたときには、プラグ144のフラストコニカルな面145は概ね、広がった部分159と並び、かつ広がった部分159と係合する。プランジャーのプラグが、針アセンブリの広がった部分159へ向かって導かれ、かつ完全に針アセンブリの広がった部分159と係合するときには、プラグ144の上に定義される切込み146は、流体の流れる経路が流体用の空洞150と針アセンブリの空洞157との間に存在し、かつ流体用の空洞の中の水圧の任意の高まりを低減しまたは除去することを、確実にする。
【0050】
針の基部158はさらに、近位端において放射状に延伸したフランジ162を含み、放射状に延伸したフランジ162は、バレルの遠位端に向けたプランジャーの押し込みの間に、レッジ121を遠位方向に越えた針アセンブリの動作を阻止するために、遠位端延伸部126の内面に沿って配置されるステップまたはレッジ121と係合するように適切にサイズ付けされる。
【0051】
基部リング164は、バレルの遠位端延伸部126の内壁面と係合するように、針の基部158のフランジ162に固定され、かつ針の基部158のフランジ162から放射状に延伸する。基部リング164はフランジ162および基部リング158の一部分として構成または形成されるのが好ましく、かつ基部リング164と針の基部158の接続部分においてノッチまたは刻み目部分165を含み、刻み目部分は針の基部のフランジと基部リングとの両方の相対する面の上に構成される。刻み目部分165は薄い膜または縮小された材料部分として定義され、薄い膜または縮小された材料部分は、以下に示される方法で針アセンブリ156の引き込みを助長するために、注射器の操作中に破れまたは破断する。基部リング164は、プランジャーが以下に示されるように針の基部158と係合するように押し込まれたときには、バレルの内壁面に沿った基部リングの破断した部分の部分的な滑りを助長するように、サイズ付けされるのが好ましい。
【0052】
基部リングの直径は、基部リングがバレルと係合する場所における遠位端延伸部126の内壁面の直径よりもわずかに小さく、遠位端延伸部の内壁面の直径と同じに、または遠位端延伸部の内壁面の直径よりもわずかに大きくなるように、選択され得る。本実施形態において、基部リング164の直径は、バレルの内壁面の直径とアプリケーションしてわずかに大きく、バレルの内壁面は基部リングと係合し、基部リングはバレルとの係合の間に、わずかに圧縮され、効果的な流体密封シールを構成する。基部リングのサイズはさらに、プランジャーがバレルの中に完全に押し込まれたときには、バレルの内壁面に対する基部リングの滑りを助長する一方で、基部リング/バレルの内壁の係合部分において圧縮フィット/流体密封シールを提供するように、選択される。代わりに、基部リングはバレルの内壁面に直接的に接続され得る(例えば、粘着性の接続、溶接など)ことが示される。
【0053】
放射状の突起または環状の肩166は、バレルの遠位端延伸部126の内側の面に沿ってかつバレルの遠位端延伸部126の近位端の近くに配置される。肩166は、バレルの近位端へ向けた針アセンブリの動作を阻止するために基部リング164と係合し、一方基部リングは針の基部158に付着したままである。弾力のある膜184(例えばコイルばね)は針の基部158のフランジ162と内側のレッジ186との間に配置され、内側のレッジ186はレッジ121とバレルの遠位端との間の位置で遠位端延伸部126の内側に配置される。針アセンブリ156が、基部リング164がバレルの放射状の突起166を遠位方向に越えて延伸するように、バレルの遠位端延伸部126に圧入されるときには(以下に示されるように)、弾力のあるメンバー184は圧縮され、バレルの近位端へ向けて針アセンブリを押す。
【0054】
図16を参照すると、針の基部およびバレルは補完的な突起および溝を含み、補完的な突起および溝は、バレルの中の針の基部の容易な組立てを促進し、さらに組立ての後および注射器の操作中にバレルに対する針の基部の任意の回転を制限または阻止する。特に、針の基部158は一組の突起または歯200を含み、歯200は基部リング164の近くの位置で針の基部の外面から横方向に延伸する。歯は針の基部の周りに間隔付けられて、補完的な溝202に対応するように並べられ、補完的な溝202は遠位端延伸部126およびバレルのレッジ121に概ね対応する位置においてバレルの内壁面に沿って配置される。図16に見ることができるように、歯200および補完的な溝202はバレル122の中の針の基部150の容易な組立てを助長するように構成され、針の基部は、歯が溝と適切に並び、針の基部がバレルの遠位端部分に適切に押し込まれるまで、バレル内への挿入によって必要に応じて回転する。いったん、針の基部158がバレル122の中で組み立てられ、歯200が溝202と係合すると、針の基部は、注射器の操作中(例えば、針の基部に針を取付けまたは針の基部から針を取外すとき、およびプランジャーの中の針アセンブリの取り出しの間)に、バレルに対して回転するのを阻止される。
【0055】
代わりに、注射器は他の針の基部の構成およびバレルの構成を提供され得、他の針の基部の構成およびバレルの構成は針の基部とバレルとの間にロッキングする係合を提供する。例えば、針の基部およびバレルは、ラチェッティング構成またはカム構成を達成するために適切で補完的な突起および/または溝を含み得、ラチェッティング構成またはカム構成は、バレルの中での1方向への針の基部の選択された程度の回転動作を可能にし、一方バレルの中での反対方向への針の基部の回転動作を制限または阻止する。
【0056】
先の実施形態においてのように、注射器120は、バレル122の中へのプランジャー130の完全な押し込みが、プランジャーからのプランジャーのプラグ144の移動およびまた針の基部158のフランジ162からの基部リング164の破れまたは破断を助長し、引き込み空洞148への針の基部および針160の引き込みを助長するように、設計される。この実施形態において、針の基部158の基部リング164は、少なくとも1つの隆起するリッジ172を含み、隆起するリッジ172は、プランジャーがバレルの中を移動させられるときには、プランジャーの環状の遠位先端178と最初の係合を行うように構成される。1つだけのリッジ172が図17〜図20に示されるが、任意の選択された数のリッジが、任意の適切な位置で提供され得、かつプランジャーに面する針の基部の近位端に沿って互いに適切に間隔付けられ得る。本実施形態において、リッジ172は、上記および図1〜図6に示される実施形態における先端を有する角度のある面と同様の目的に役立つ。しかしながら、リッジ172はさらに、流体用の空洞の中への流体の吸入の後で、バレルの内壁面に沿った1つ以上の位置において蓄積し得る気泡が、あるアプリケーション(例えば、患者への注射)において、注射器からの流体の押し込みに先立ち、アプリケーション的容易に注射器から取外されることを可能にする。プランジャーの環状の遠位先端178は概ね平面である。しかしながら、プランジャーの遠位端は、針の基部のような任意の1つ以上の突起を含み得、代わりに、上記および図1〜図6に示される実施形態においてのように、先端を形成するために角度のある形状を有し得る。
【0057】
プランジャーの弾力のあるシール132はさらに、バレルの中へのプランジャーの完全な押し込みによって、弾力のあるシールの遠位端が、主胴体部124と遠位端延伸部126との間の変化を定義するバレルの内壁面の狭い部分190と係合し、わずかに圧縮するように設計され、適切にサイズ付けされ、プランジャーの遠位端の近くに位置付けられる。弾力のあるシールは、プランジャーに対して滑らず、むしろ針の引き込みを開始するプランジャーの動作の終わりに、バレルの狭まる部分に対して、わずかに圧縮し、このことは任意の残余の液体が流体用の空洞から針の基部の空洞157へ移動するのに役立つだけでなく、流体用の空洞150の中の「デッド」スペースを最小化または消去するのに役立つ。
【0058】
針の基部は1つのリッジ(または複数のリッジ)がプランジャーの遠位端に対して任意の選択される方向へ並ぶように、注射器の中に組み立てられ得る。基部リングのリッジ、プランジャー、およびプランジャーの環状の遠位端および針の基部の環状の遠位端は、注射器の長手方向に適切にサイズ付けされ、さらに互いに適切に並び、プランジャーの完全な押し込みによって、基部リングのリッジ172および/または基部リング164の他の近位端の面の一部分とプランジャーの環状の遠位の縁178およびプランジャーのプラグ144との係合と針の基部158との係合を助長し、同様に、刻み目部分165における針の基部のフランジ158からの基部リング164の破れまたは破断、プランジャーのレッジ141との摩擦による係合からプランジャーのプラグ144が押し込みを助長し、プランジャーの引き込み空洞48の中へプランジャーのプラグと共に針アセンブリ56の引き込みを開始する。
【0059】
注射器の組み立ては上記の他の注射器の実施形態と同様の方法で達成される。弾力のあるメンバー184および針アセンブリ156(針60を有すまたは針を有さない)は、最初にバレル122の近位端において開口123へ挿入され、主胴体部124を通過し、遠位端延伸部126へ挿入される。針の基部158の基部リング164がバレルの環状の肩166にぶつかると、基部リングはわずかに圧縮され、スナップフィットな係合で肩166を遠位方向に越えて押し込まれる。いったん基部リング164が肩166を遠位方向に越えて押し込まれると、針アセンブリ156は、遠位端延伸部126の中で適切にロックされ、弾力のあるメンバー184は圧縮され、注射器の中で近位方向に針アセンブリを押す。基部リング164は、このロックされた構成でフランジ162とバレルの内壁面との間で選択された程度圧縮されたままであり、バレルとの圧縮されたフィットの接続地点において、効果的な流体密封シールを提供する。
【0060】
プランジャー130は、プランジャーのプラグ144をプランジャーに挿入することによって組み立てられ、プラグの延伸した部分147はプランジャーの開いた遠位端に位置するプランジャーのレッジ141に摩擦により係合し、プランジャーのプラグの遠位部分(プラグ面145およびノッチ146を含む)はプランジャーから延伸する。プランジャーのプラグは、プランジャーの開いた遠位端から摩擦するフィッティング位置まで直接挿入され得る。図14〜図21に示される実施形態において、親指パッド138およびフランジ139を含むプランジャーの近位端は、単一成形または単一構成された部分である。代わりに、プランジャーのフランジおよび親指パッドがプランジャーの残りの部分から独立している実施形態において(以下および図22に示される実施形態においてのように)、プランジャーのプラグは最初にプランジャーの開いた近位端を通して挿入され、フランジおよび親指パッドを用いてこの開いた端を密閉するのに先立ち、摩擦するフィッティング位置に押し込まれる。
【0061】
プランジャーの組み立ての後で、プランジャーはバレル122の開口123へ挿入され、注射器の使用を助長するために適切な距離だけ軸方向へ移動される。針160は、針アセンブリのバレル122への挿入に先立ち、針の基部158に接続され得る(例えば、図16に示されるようなねじ込み接続によって)。代わりに、針160は、バレルの中に針の基部を固定した後で、針の基部158の接続部分と接続され得る。いったん固定されると、針160は、注射器の使用を助長するために組み立ての後で、バレルの遠位端における開口から突き出す。
【0062】
操作において、プランジャーの遠位端は、針160から流体用の空洞150に流体を引き込むために、バレルの近位端へ向けて適切な距離だけ移動される。注射部分への針の注射において、プランジャーは、流体を空洞150から針160へ押し込むために、バレルの遠位端へ向けて押し込まれる。図17〜図20を参照すると、プランジャーがさらにバレルの中に押し込まれるにつれ、プランジャーのプラグ144のフラストコニカルな面145は、針の基部158の中央の空洞157の広がった部分159の中へ移動し、引き込みに先立って、任意の残っている流体が針を通して押し込まれる(こうして、プランジャーの係合部分と針アセンブリとの間の「デッド」スペースを低減する)。プランジャーのプラグの上のノッチ146は、プランジャーの表面145が広がる空洞部分159に実質的に係合するときでさえ、流体が中央の空洞157へ流れ続ける流体の経路を提供する。さらに、針の基部158のリッジ172はまず、プランジャーの環状の遠位の先端178の一部分と係合し、刻み目部分165に沿って針の基部158からの基部リング164の破れまたは破断を開始する。ほぼ同時に、プランジャーのプラグ144の表面145が、広がった空洞部分159の中で針の基部158と係合し、針アセンブリへ向かうプランジャーのそのような継続する押し込みは、プランジャーのプラグをプランジャーの中に保持する摩擦力を克服し、プランジャーのプラグをプランジャーの近位端へ向かいかつ引き込み空洞148へ押し込む。
【0063】
バレルの中へのプランジャーの完全な押し込みはさらに、プランジャーの環状の遠位端の先端178を基部リング164の他の面の部分に対して押し込み、フランジ62からすでに破断した基部リングの一部分をバレルの内壁に沿って短い距離だけ遠位方向に滑らせ、針の基部158の中央軸に対してわずかな角度だけ方向付けられる。さらに、破断していない基部リングの部分は、針の基部から破断するまで、遠位方向に移動するのを阻止される。プランジャーの基部リングに対する完全な押し込みによって加えられる継続する圧縮に伴う、バレルの内壁に沿った基部リング164の破断した部分の滑りは、基部リングが完全にタブ162から破断するまで、刻み目部分165に沿った両方向への基部リングの逐次の破れまたは破断をもたらす。さらに、針の基部158とプランジャーのプラグ144の強いられた係合は、プランジャーの遠位端のレッジ141との摩擦による係合からのプランジャーのプラグのさらなる動作となり、プランジャーからのプランジャーのプラグの取外しをもたらす。プランジャーの弾力のあるシール132はバレルの内壁面の狭い部分190に対してわずかに圧縮し、残余の流体を針アセンブリに押し込み、一方プランジャーのプラグのノッチ146は、プランジャーの表面145が広い空洞部分159の中の針の基部158と係合するときには、そのような流体に対して流体が流れる経路を提供する。
【0064】
注射器の設計は、基部リング164が、プランジャーからのプランジャーのプラグ144の完全な取外しの直前、プランジャーからのプランジャーのプラグ144の完全な取外しと実質的に同時、またはプランジャーからのプランジャーのプラグ144の完全な取外しの直後に、針の基部158からの完全に破断するように構成され得る。一連の図17〜図20に示されるように、プランジャーのプラグ144の最初の取外しおよび軸方向の移動は、基部リングのリッジ172とプランジャーの遠位端178との間の最初の係合および針の基部のタブ162からの基部リング164の部分的な破断の直前に開始する。しかしながら、注射器はまた、基部リングの最初の破断および部分的な破断が、プランジャーのプラグの最初の取外しおよび軸方向の移動に先立ち生じる。いったん針の基部のタブからの基部リングの完全な分離、および少なくとも、プランジャーのプラグとプランジャーとの間の摩擦による係合の部分的な取外しが達成されると、弾力のあるメンバー184は、プランジャーのプラグ144と共に針の基部158および針160を、プランジャーの中の引き込み空洞148へ近位方向に押し込む。
【0065】
図21に見ることができるように、プランジャー130がバレル122の中へ完全に押し込まれ、かつ針アセンブリ156の引き込みが生じるときには、プランジャーのフランジ139は延伸したバレル部分127の中へわずかに延伸し、かつ環状の溝129の中にロックされる。このロックされた位置において、バレルからのプランジャーの取外しが阻止される。
【0066】
上記のように、注射器の図14〜図21は、プランジャーが親指パッドまたは親指キャップを含み、親指パッドまたは親指キャップはプランジャーの主胴体部と別個の部分または別個のコンポーネントであるように、改変され得る。例示的な実施形態が図22に示される。注射器220はバレル122および針アセンブリを含み、バレル122および針アセンブリは、上記および図14〜図21に示されるような同じ部分または同じコンポーネントと実質的に同様である。プランジャーは主胴体部230を含み、主胴体部230は、主胴体部の遠位端の近くに配置され、かつ先の実施形態において上記されたプランジャーのシールと実質的に同様である、弾力のあるシール232を含む。親指パッドまたは親指キャップ238は挿入部242を含み、挿入部242は、主胴体部230の近位端において定義される開口の中にはめ込まれ、かつ摩擦により係合するように、適切にサイズ付けされる。親指キャップはさらにフランジ239を含み、フランジ239は、挿入部242よりも横断面の直径が大きく、プランジャーの中での挿入部の係合によって、プランジャーの近位端と係合する。フランジ239はさらに、プランジャーが完全に押し込まれ、バレルの中に固定されたときには、延伸したバレル部127の環状の溝129と係合する傾斜した縁と共に、注射器の使用中にプランジャーにグリッピング面を提供する。
【0067】
プランジャーのプラグ244が、先の実施形態で示されるものと実質的に同様の方法で、プランジャーの遠位端における開口の中に摩擦により保持される。しかしながら、プラグ244は、概ね平面または平坦な遠位端の面245を含み、遠位端の面245はこの面に沿って配置されるノッチ247を有する点で、先の実施形態のプランジャーのプラグとは異なる。プラグ244の平坦な面245は、針の基部158の広がる空洞部分159の部分と係合し、一方ノッチ247は、針の引き込みを開始するために針アセンブリへ向けたプランジャーの軸方向の移動の間に、注射器の空洞の中の水圧の高まりを最小化するのに役立つ。
【0068】
この方法でのプランジャーの設計はプランジャーのプラグの容易な組み立てを可能にする。特に、プラグ244は、主胴体部と親指キャップ238の接続に先立ち、開口する近位端において、プランジャーの主胴体部230の中に挿入され得る。プランジャーのプラグはプランジャーの主胴体部の開口する遠位端において、摩擦による係合になるようにプランジャーの引き込み空洞248を通して押し込まれ得、プランジャーの近位端における開口に親指キャップの挿入部242の挿入が続く。親指キャップ238は、任意の適切な方法(例えば、接着剤、溶接などによって)で主胴体部230へしっかりと固定され得、組み立ての後に主胴体部からの親指パッドの取外しを阻止する。いったんプランジャーがバレル122の中に組み立てられると、注射器220は、上記および図14〜図21に示される先の実施形態と実質的に同様な方法で操作し、単一の使用および針の引き込みを助長する。
【0069】
本発明は上記の注射器の実施形態に限定されず、さらなる特性を含み得る。例えば、注射器はさらに、特定のアプリケーションに対応するように、針ホルダおよび適合する針のカバーに対する色分け(color coding)を含む。特に、ISO6009および/または任意の他の選択された色分けの基準に従って、適した色分けが選択され得る。
【0070】
プランジャーの弾力のあるシールは、シールの一部分が、少なくともプランジャーの遠位端の部分を越えて延伸するように、改変され得る。弾力のあるシールはさらに、先の実施形態の一部で示されるようなプランジャーのプラグの部分を保持し、かつ摩擦により維持する開口を含み得る。この方法でプランジャーの遠位端をこえて延伸した弾力のあるシールを提供することはさらに、そうでなければ注射器の流体用の空洞の中に存在し得る、潜在的な「デッド」スペースを縮小する。
【0071】
プランジャーの遠位端の周りに延伸したプランジャーの弾力のあるシールを含む、注射器の例示的な実施形態が図23に示される。図23の注射器の実施形態は、設計および操作において、上記および図14〜図21に示される注射器と同様であるが、プランジャーの弾力のあるシール132’がプランジャー130の遠位端を越えて延伸した遠位端302を含む例外を有する。弾力のあるシール132’の遠位端302はさらに開口を含み、開口はプランジャーのプラグ144を受け止めかつ摩擦により係合するように、適切にサイズ付けされる。この実施形態において、プランジャーのプラグは弾力のあるシールとプランジャーの遠位端のレッジとの両方と摩擦により係合し、弾力のあるシールおよびプランジャーとプランジャーのプラグとの摩擦による係合は、針の引き込みの間のバレルへのプランジャーの完全な移動および完全な押し込みによって克服される。プランジャーの開口はまた、針の引き込みの間、針を有する針の基部がプランジャーのシールを通って動作するのを可能にするように、適切にサイズ付けされる。
【0072】
図23に示される注射器は、プランジャーのプラグが弾力のあるシールおよびプランジャーのうちの1つのみと摩擦により係合するように改変され得る。図23の注射器の別の改変において、基部リングのリッジ172’は、プランジャーの遠位端に対面し、かつバレルの中へのプランジャーの完全な移動によって弾力のあるシールの遠位端302と係合する、尖ったまたは鋭い端を含む。弾力のあるシール132’は、プランジャーがバレルの中に完全に押し込まれたときには、流体用の空洞に中の「デッド」スペースの存在を、実質的に最小化または阻止する。
【0073】
上記のように、プランジャーのプラグはまた、プランジャーの一つ以上の部分に対して、スナップタイトな構成または解放可能なロッキングの構成で保持され得、スナップタイトなフィッティング配置は、バレルの中へのプランジャーの充分または完全な押し込みによって、克服される。スナップタイトなフィット配置または解放可能なロッキングの配置は、プランジャーおよびプランジャーのプラグのうちの1つまたは両方において、任意の適切な数(例えば1つ以上)の突起および/または補完的な溝を提供することによって達成され得る。
【0074】
図24を参照すると、上記および図14〜図21に示される注射器のプランジャーは、1つ以上の突起を含むように改変され、1つ以上の突起は、使用中および針の引き込みに先立ち、プランジャーのプラグを適切にロックするのに役立つ。特に、プランジャー130’は内側に延伸した放射状の突起320を含み、突起320はプランジャーの遠位端の近くかつ内側に延伸した放射状のレッジ141から近位方向に配置される。プランジャーのプラグ144が、プランジャーの遠位端の開口の中に固定されるときには、突起320は、プランジャーのプラグの延伸した部分147と係合し、かつ注射器へ流体を吸入する間および注射器から流体を放出する間、引き込み空洞の中で近位方向にプランジャーのプラグが動作するのを阻止する。しかしながら、バレルの中へのプランジャーの完全な押し込みまたは移動によって、プランジャーのプラグと針の基部との間の係合はプラグの延伸した部分147がリッジ320を越えるように押し込み、そのことが、プランジャーのプラグが針の基部および針と共に引き込み空洞148へ引き込まれることを可能にする。
【0075】
同様の実施形態が図25に示され、そこでは、図23の注射器はプランジャーのプラグとプランジャーとの間のスナップなフィット要素またはロッキングの要素を含むように改変される。特に、プランジャー130’は、図24の実施形態で先に示されたように、内側に延伸した放射状の突起320を含む。さらに、プランジャーのプラグ144’は外側に延伸した隆起または突起400を含み、突起400は、弾力のあるシール132’’の内側の面に沿って配置される、対応する放射状の溝402と係合するように構成される。突起400は、スナップフィットなロッキングの配置で溝402と係合し、プラグが針の基部と係合し、針の基部と共に引き込み空洞148に押し込まれるまで、プランジャーに対するプランジャーのプラグの動作をさらに阻止する。
【0076】
注射器はさらに、注射器の使用中に、針の基部または針ホルダから注射器の針が偶然の取外れまたは解放を阻止するために、針ロッキング特性(needle locking feature)を用いて、設計され得る。例えば、針がねじ込み係合で針ホルダに取外し可能なように固定される実施形態において、針のロッキング特性が、針と針ホルダとの間の偶然の分離を防ぎ、さもなければ針と針ホルダとの間の偶然の分離は、針のカバーまたは針のシースが注射器から取外され、および/または他のねじる力が、注射器の操作中に使用者によって加えられるときに、針のホルダに対する針の偶然のねじれにより、生じ得る。
【0077】
針のロッキングの特性はさらに、針ホルダおよび針の雄ねじコネクタおよび針の雌ねじコネクタにおいて、少なくとも1つの突起および少なくとも1つの対応するロッキングする溝を提供することによって、上記および図14〜図21に示される注射器に実装され得る。図26Aおよび図26Bを参照すると、図14〜図21の注射器の改変された実施形態を示し、針アセンブリの針の基部158’は、針160に対応する雌ねじのコネクタ400に取外し可能に接続する雄ねじの構成を含む。図26Aに見ることができるように、針の基部158’の雄ねじの部分は基部から放射状に延伸し、基部の周りで屈曲する。雄ねじの部分はさらに、開始または導入部分402を含み、開始部分または導入部分402は雄ねじ部分の最後の放射状の面に到達するまで、針の基部から外側へ放射状に傾斜する。溝またはノッチ406は、針の基部の雄ねじ部分の導入部402の上に配置され、ノッチ406は、導入部分に渡って横方向に延伸する。対応する隆起または突起408は、コネクタ400の雌ねじ部分404の上に配置される。
【0078】
ノッチおよび突起は適切にサイズ付けされ、針アセンブリと針に対する雌ねじのコネクタのそれぞれの上で並べられ、針に対する雌ねじ接続と雄ねじの針アセンブリとの実質的に完全な接続によって、突起408は、針アセンブリと針との間の取外し可能なロッキングの接続を提供するために、ノッチ406に滑り込み、かつノッチ406と係合する。特に、突起408は、ノッチ406に当たりかつノッチ406に係合するまで、導入部分402の最初の傾斜する部分の上に乗る。このロッキングの接続は、(例えば、注射器からシース168の取外しの間)針に対して加えられる、わずかなかつ偶然のトルクまたはねじれの力に抵抗し、針アセンブリに対して針に充分なねじれの力を加えて克服され得る。
【0079】
オプションとして、突起および/または溝は多面体および傾斜面を含み、ラチェット状(ratchet−like)のロッキング行動を助長し、雄ねじおよび雌ねじのコネクタを係合させるために、第1の方向(例えば時計方向)に針アセンブリに対して針をねじることは、溝で突起をロックするためにアプリケーション的容易に助長され、一方第1の方向とは反対である第2の方向(例えば反時計方向)に針アセンブリに対して針をねじることは、溝の中での突起の係合によって阻止される。さらに、シースはまた、シースの取外しの間に注射器のバレルに対してシースのねじれを阻止するように設計され得、針アセンブリに対する針の偶然のねじれをさらに最小化または阻止する。
【0080】
本発明に従った注射器はまた、他の針のないアプリケーション(すなわち、針の使用を含まないアプリケーション)においての使用のために、構成され得る。例えば、本発明の注射器は、注射器から静脈(IV)ラインへ流体を注射する静脈(IV)流体ラインと直接的に接続する適切なコネクタを用いて構成され得る。針の基部の引き込みは単一の流体注射の後での注射器のさらなる使用を阻止し得る。
【0081】
本発明は、本発明の特定の実施形態を参照に詳細に記述されているが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な変更および改変が行われ得ることが、当業者には明らかになり得る。よって、本発明の改変および変更が特許請求の範囲およびその均等物の範囲である場合には、本発明はそれらを包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一使用注射器であって、
開放した近位端と開放した遠位端とを有する長手方向の通路を含む中空の注射器本体と、
該注射器本体の該開放した近位端を介して該注射器本体の中に延びる遠位端を含むプランジャーと、
該注射器本体の該遠位端内で、該遠位端の近くに少なくとも部分的に配置された針ホルダと
を備え、針は、該針ホルダに取り外し可能に、またはしっかりと取り付けられ、該注射器本体の遠位端のバネは、該プランジャーの遠位端を通って、該プランジャーの中に該針ホルダを突出させるように付勢され、
該針ホルダは、該長手方向の通路の壁と係合する外側外周部分を含み、該針は、該針と該外側外周部分との間に位置する破断部分において、該外側外周部分から破断するように構成され、
該外側外周部分は、該プランジャーの該遠位端に向けて方向付けられた隆起部分を収容し、
該隆起部分は、該針の周りの一部分にのみ延び、
該隆起部分は、該プランジャーに対する初期接触領域を、該針ホルダの該外側外周部分に提供することによって、該外側外周部分から該針を破断するために必要とされる力を低減するように構成されている、注射器。
【請求項2】
前記外側外周部分は、該外側外周部分に沿って互いから分離される複数の隆起部分を収容し、該隆起部分は、前記プランジャーが、該外側外周部分からの前記針の逐次的な破断を容易にするように前記針ホルダに接触するとき、該プランジャーの前記遠位端と係合するように構成される、請求項1に記載の注射器。
【請求項3】
前記針ホルダおよび前記針のうちの一方は、雄ネジ接続を含み、該針ホルダおよび該針のうちのもう一方は、該針ホルダコネクタと該針との間のネジ係合を提供するように構成された雌ねじ接続を含む、請求項1に記載の注射器。
【請求項4】
前記外側外周部分は、前記隆起部分と該外側外周部分の外側外周エッジとの間に配置される破断部分がないように、前記針から分離する単一の部品として構成される、請求項1に記載の注射器。
【請求項5】
中空のバレルであって、該バレルの近位端の開口と、該バレルの遠位端の開口と、該バレル内に配置された流体チャンバーとを含む、中空のバレルと、
プランジャー空洞を有し、該近位端の開口を介して該バレルの中に延び、該バレルの中で、該遠位端の開口に向かって、そして該遠位端の開口から離れるように軸方向に移動可能な中空のプランジャーと、
該バレルの遠位端内に少なくとも部分的に固定され、該バレルの遠位端近くに位置するように構成されている針アセンブリであって、該針アセンブリは、針ホルダと、該針ホルダを該バレルの近位端の開口に付勢する弾性部材と、該針ホルダの近位端の周りに配置された保持リングを備え、低減された材料部分を介して該針ホルダに解放可能に固定される保持部材とを備える、針アセンブリと
を備え、
該針ホルダは、該針が該バレルの該遠位端の開口を通して延びることを可能にするように、針を該針ホルダにしっかりと、または解放可能に固定するように構成され、該保持部材の該低減された材料部分は、該保持リングと該針ホルダとの間に規定された少なくとも1つの刻み目部分を備え、その結果、該保持部材および該針ホルダは、該針ホルダからの該保持部材の分離の前に、単一の一体化された部品として構成され、
該保持リングは、該プランジャーに向かって該保持リングの表面から延びる少なくとも1つの突起を含み、該少なくとも1つの突起は、該保持リングの外周エッジと該少なくとも1つの刻み目部分との間に配置され、該プランジャーおよび該少なくとも1つの突起は、さらに、該バレルの遠位端に向かう該プランジャーの動作と共に、該保持リングの少なくとも1つの突起と該プランジャーの遠位端との係合の際に、該少なくとも1つの刻み目部分に沿った該針ホルダからの該保持リングの逐次的な破断を開始するように構成され、その結果、破断の完了の際に、該針ホルダは該プランジャー引き込み空洞内に引き込まれる、注射器。
【請求項6】
前記バレルは、前記内部表面から内側に延びる保持部材を備え、該保持部材は、該針アセンブリが、該バレルの近位の開口から該保持部材を通過して位置付けられることを可能にするように構成され、該保持部材は、該プランジャーが該針アセンブリを係合するように前進したとき、かつ該針ホルダが該プランジャー空洞内に引き込まれるまで、該針アセンブリを軸方向に固定するように構成される、請求項5に記載の注射器。
【請求項7】
前記針アセンブリおよびバレル内部表面は、対応する固定部分を含み、該対応する固定部分は、互いに相互に係合し、該針アセンブリが該バレル内に少なくとも部分的に設置される場合には、該バレルに対する前記針ホルダの回転運動を制限するように構成されている、請求項5に記載の注射器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【公開番号】特開2011−206600(P2011−206600A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−164614(P2011−164614)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【分割の表示】特願2007−536809(P2007−536809)の分割
【原出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(507121194)セーフティー メディカル インターナショナル, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】