説明

引き込み用ポリエチレン絶縁電線

【課題】高い耐候性を有し、また、難燃性を有する、撚り合わせ形の引き込み用ポリエチレン絶縁電線を提供する。
【解決手段】低圧引き込み電線は、1本の黒色1層構造の電線12と、2本の識別色1層構造の電線13、14とを撚り合わせることにより製造されている。黒色1層構造の電線12の絶縁体16は、金属水酸化物を配合し且つ黒色に着色されたポリエチレンによって成形されている。これに対して識別色1層構造の電線13、14の絶縁体18、19は、ポリエチレンに金属水酸化物及び紫外線吸収剤を配合し且つ黒色以外に着色されたものとして成形されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き込み用ポリエチレン絶縁電線に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電線を撚り合わせてなる低圧引き込み電線は、屋外の電柱から各家の軒先へ電線の引き込みをするものとして知られている。下記特許文献1には3本の電線を撚り合わせてなる低圧引き込み電線の技術が開示されている。
【0003】
図4において、下記特許文献1の低圧引き込み電線(DVR電線)1は、第1の電線2と、2本の第2の電線3とを撚り合わせることによりなっている。3本の電線は、各々表面がポリ塩化ビニル系樹脂からなる絶縁体を有している。各電線について具体的に説明すると、第1の電線2は、ポリ塩化ビニル系樹脂からなる黒色の絶縁体4を導体5に被覆することによりなっている。一方、第2の電線3は、内側にポリ塩化ビニル系樹脂からなる黒色の内層6、外側にポリ塩化ビニル系樹脂からなる色彩の異なる着色外層7とを有する絶縁体8を導体9に被覆することによりなっている。下記特許文献1の低圧引き込み電線1は、3本の電線それぞれを識別することができるようになっている。
【特許文献1】特開2006−54056号公報 (第4頁、第1−2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポリ塩化ビニルはハロゲン含有ポリマーであることから、火災の際の燃焼時に、塩化水素等の有害なガスが発生してしまうという問題点を有している。このため、有害なハロゲン化水素ガスの発生がないポリエチレンを絶縁体に適用することが考えられる。しかしながら、絶縁体がポリエチレンであると端末部にてトラッキングが発生した場合には、発火してしまうという問題点を有している。
【0005】
ポリエチレンを絶縁体に適用する場合の問題点を更に挙げると、ポリエチレンは耐候性が良くないことが知られている。特に電線を撚り合わせる引き込み電線にあっては、長時間の使用により緑や青色の絶縁体が紫外線劣化によって脆くなり、また、薄くなる。そして、最終的には亀裂が生じて相間短絡などによる絶縁体破壊に至り、これが上記の問題点よりも大きなものとなってしまう。
【0006】
黒色以外に着色された絶縁体は紫外線劣化によって脆くなり、この紫外線劣化の優劣は着色する色により異なってくることを本願発明者は突き止めている(線心を比べると絶縁体劣化の状況が違っている)。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、高い耐候性を有し、また、難燃性を有する、撚り合わせ形の引き込み用ポリエチレン絶縁電線を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の引き込み用ポリエチレン絶縁電線は、黒色に着色されたポリエチレン製の絶縁体を導体に被覆してなる黒色1層構造の電線と、ポリエチレンに紫外線吸収剤を配合し且つ黒色以外に着色された絶縁体を導体に被覆してなる識別色1層構造の電線とを撚り合わせてなる、若しくは、前記黒色1層構造の電線と、異なる着色となる複数の前記識別色1層構造の電線とを撚り合わせてなることを特徴としている。
【0009】
このような特徴を有する本発明によれば、黒色1層構造の電線及び識別色1層構造の電線は、共に耐候性のある電線となる。識別色1層構造の電線は、黒色以外に着色されても紫外線吸収剤を配合することにより耐候性を有する。従って、紫外線劣化による絶縁体の脆さや薄肉になることが避けられる。これにより、黒色1層構造の電線及び識別色1層構造の電線を撚り合わせても相間短絡などによる絶縁体破壊が避けられる。識別色1層構造の電線は、複数使用の場合であっても識別可能である。
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の本発明の引き込み用ポリエチレン絶縁電線は、黒色に着色されたポリエチレン製の絶縁体を導体に被覆してなる黒色1層構造の電線と、黒色に着色されたポリエチレン製の内層とポリエチレンに紫外線吸収剤を配合し且つ黒色以外に着色された外層とで構成される絶縁体を導体に被覆してなる識別色2層構造の電線とを撚り合わせてなる、若しくは、前記黒色1層構造の電線と、異なる着色となる複数の前記識別色2層構造の電線とを撚り合わせてなることを特徴としている。
【0011】
このような特徴を有する本発明によれば、黒色1層構造の電線及び識別色2層構造の電線は、共に耐候性のある電線となる。識別色2層構造の電線は、絶縁体の外層が黒色以外に着色されても紫外線吸収剤を配合することにより内層同様に耐候性を有する。従って、紫外線劣化による絶縁体の脆さや薄肉になることが避けられる。これにより、黒色1層構造の電線及び識別色2層構造の電線を撚り合わせても相間短絡などによる絶縁体破壊が避けられる。識別色2層構造の電線は、複数使用の場合であっても識別可能である。
【0012】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の本発明の引き込み用ポリエチレン絶縁電線は、黒色に着色されたポリエチレン製の絶縁体を導体に被覆してなる黒色1層構造の電線と、黒色に着色されたポリエチレン製の絶縁体本体とポリエチレンに紫外線吸収剤を配合し且つ黒色以外に着色されて前記絶縁体本体の外面に一体化した識別用ストライプとで構成される絶縁体を導体に被覆してなる識別ストライプ含有構造の電線とを撚り合わせてなる、若しくは、前記黒色1層構造の電線と、異なる着色となる複数の前記識別ストライプ含有構造の電線とを撚り合わせてなることを特徴としている。
【0013】
このような特徴を有する本発明によれば、黒色1層構造の電線及び識別ストライプ含有構造の電線は、共に耐候性のある電線となる。識別ストライプ含有構造の電線は、絶縁体本体が黒色1層構造の電線と同じ構成になり耐候性を有する。また、識別ストライプ含有構造の電線における識別用ストライプは、黒色以外に着色されても紫外線吸収剤を配合することにより耐候性を有する。従って、紫外線劣化による絶縁体の脆さや薄肉になることが避けられる。これにより、黒色1層構造の電線及び識別ストライプ含有構造の電線を撚り合わせても相間短絡などによる絶縁体破壊が避けられる。識別ストライプ含有構造の電線は、複数使用の場合であっても識別可能である。
【0014】
請求項4記載の本発明の引き込み用ポリエチレン絶縁電線は、請求項1に記載の引き込み用ポリエチレン絶縁電線において、前記黒色1層構造の電線の絶縁体は、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物を0〜150重量部配合してなり、前記識別色1層構造の電線の絶縁体は、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物を0〜150重量部配合してなることを特徴としている。
【0015】
このような特徴を有する本発明によれば、黒色1層構造の電線の絶縁体は、黒色にすることによって耐候性のある部分となる他に、金属水酸化物の配合によって難燃性を有する。金属水酸化物の配合量の上限を150重量部としたのは、ポリエチレン100重量部に対して150重量部を超えると引張強度を満足することができなくなるからである。
【0016】
金属水酸化物は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムのいずれか1種類、又は2種類以上の混合物が用いられるものとする(一例であるものとする。他の請求項に係る発明も同じ)。この他、黒色にするためとして、カーボンブラックが用いられるものとする(一例であるものとする。他の請求項に係る発明も同じ)。
【0017】
識別色1層構造の電線は、紫外線吸収剤の配合によって耐候性のある電線となる他に、金属水酸化物の配合によって難燃性を有する。金属水酸化物の配合量の上限を150重量部としたのは、ポリエチレン100重量部に対して150重量部を超えると引張強度を満足することができなくなるからである。
【0018】
請求項5記載の本発明の引き込み用ポリエチレン絶縁電線は、請求項2に記載の引き込み用ポリエチレン絶縁電線において、前記黒色1層構造の電線の絶縁体は、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物を0〜150重量部配合してなり、前記識別色2層構造の電線の絶縁体における内層は、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物を0〜150重量部配合してなり、前記識別色2層構造の電線の絶縁体における外層は、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物を10〜300重量部配合してなることを特徴としている。
【0019】
このような特徴を有する本発明によれば、識別色2層構造の電線の絶縁体における内層は、黒色にすることによって耐候性のある部分となる他に、金属水酸化物の配合によって難燃性を有する。金属水酸化物の配合量の上限を150重量部としたのは、ポリエチレン100重量部に対して150重量部を超えると引張強度を満足することができなくなるからである。
【0020】
識別色2層構造の電線の絶縁体における外層は、紫外線吸収剤の配合によって耐候性のある部分となる他に、金属水酸化物の配合によって難燃性を有する。金属水酸化物の配合量の上限を300重量部としたのは、外層の場合、ポリエチレン100重量部に対して300重量部を超えると引張強度を満足することができなくなるからである。下限の10重量部は、外層の場合の難燃性に配慮しているからである。
【0021】
尚、黒色1層構造の電線の絶縁体に関しては、請求項4記載の本発明と同じである。
【0022】
請求項6記載の本発明の引き込み用ポリエチレン絶縁電線は、請求項3に記載の引き込み用ポリエチレン絶縁電線において、前記黒色1層構造の電線の絶縁体は、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物を0〜150重量部配合してなり、前記識別ストライプ含有構造の電線の絶縁体本体は、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物を0〜150重量部配合してなり、前記識別ストライプ含有構造の電線の識別用ストライプは、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物を10〜300重量部配合してなるとともに、ストライプ幅を前記絶縁体本体の全周に対し1/10〜1/4に形成してなることを特徴としている。
【0023】
このような特徴を有する本発明によれば、識別ストライプ含有構造の電線の絶縁体本体は、黒色にすることによって耐候性のある部分となる他に、金属水酸化物の配合によって難燃性を有する。金属水酸化物の配合量の上限を150重量部としたのは、ポリエチレン100重量部に対して150重量部を超えると引張強度を満足することができなくなるからである。
【0024】
識別ストライプ含有構造の電線の識別用ストライプは、紫外線吸収剤の配合によって耐候性のある部分となる他に、金属水酸化物の配合によって難燃性を有する。金属水酸化物の配合量の上限を300重量部としたのは、識別用ストライプの場合、ポリエチレン100重量部に対して300重量部を超えると引張強度を満足することができなくなるからである。下限の10重量部は、識別用ストライプの場合の難燃性に配慮しているからである。識別用ストライプのストライプ幅を絶縁体本体の全周に対して1/10〜1/4としたのは、着色部分を少なくすることに配慮しているからである。言い換えれば、耐候性に特に良好な黒色の部分を大きくするためである。
【0025】
尚、黒色1層構造の電線の絶縁体に関しては、請求項4記載の本発明と同じである。
【0026】
請求項7記載の本発明の引き込み用ポリエチレン絶縁電線は、請求項1ないし請求項6いずれか記載の引き込み用ポリエチレン絶縁電線において、前記紫外線吸収剤は、ポリエチレン100重量部に対して1〜10重量部の配合であることを特徴としている。
【0027】
このような特徴を有する本発明によれば、紫外線吸収剤の配合量は、ポリエチレン100重量部に対して1重量部を下回ると十分な耐候性が得られず、10重量部を超えると耐候性は良くなるものの絶縁抵抗を満足することができなくなるからである。
【発明の効果】
【0028】
請求項1〜3に記載されたそれぞれ本発明によれば、高い耐候性を有し、また、難燃性を有する、撚り合わせ形の引き込み用ポリエチレン絶縁電線を提供することができるという効果を奏する。
【0029】
請求項4〜6に記載されたそれぞれの本発明によれば、難燃性を有するとともに十分な引張強度を有する電線や部分にすることができるという効果を奏する。
【0030】
請求項6に記載された本発明によれば、難燃性を有するとともに十分な引張強度を有し、更に黒色以外の着色部分を少なくすることができるという効果を奏する。
【0031】
請求項7に記載された本発明によれば、絶縁抵抗の低下を抑制しつつ十分な耐候性を確保することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の引き込み用ポリエチレン絶縁電線の一実施の形態を示す断面図である。
【0033】
図1において、本発明の引き込み用ポリエチレン絶縁電線(DE電線)は、耐候性及び難燃性を有する低圧引き込み電線11であって、特に全体の数を限定するものでないが、1本の黒色1層構造の電線12と、2本の識別色1層構造の電線13、14とを撚り合わせることにより製造されている(1本の黒色1層構造の電線12と例えば1本の識別色1層構造の電線13とを撚り合わせて2本構成にしても良いものとする)。
【0034】
低圧引き込み電線11は、撚り合わせ形の引き込み用ポリエチレン絶縁電線となっている。
【0035】
低圧引き込み電線11における黒色1層構造の電線12は、導体15と、この導体15の外周を被覆する絶縁体16とを備えて構成されている。識別色1層構造の電線13は、導体17と、この導体17の外周を被覆する絶縁体18とを備えて構成されている。また、識別色1層構造の電線14は、導体17と、この導体17の外周を被覆する絶縁体19とを備えて構成されている。
【0036】
黒色1層構造の電線12及び識別色1層構造の電線13、14は、3本とも同じ所定の直径を有している(一例であるものとする)。導体15及び17は、銅又は硬アルミによって製造されている。
【0037】
黒色1層構造の電線12の絶縁体16は、金属水酸化物を配合し且つ黒色に着色されたポリエチレンによって成形されている。これに対して識別色1層構造の電線13、14の絶縁体18、19は、ポリエチレンに金属水酸化物及び紫外線吸収剤を配合し且つ黒色以外に着色されたものとして成形されている。絶縁体18、19は、着色が異なるだけでこの他は同一になっている。絶縁体18、19は、識別することが可能なものとなっている。
【0038】
金属水酸化物は、自己消化作用と絶縁体の機械的特性(引張強度など)とに配慮してポリエチレンに対する配合量が設定されている。本形態においては、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物0〜150重量部を配合するようになっている(金属水酸化物は難燃性を持たせる場合に配合するものとする。配合に関しては表を参照しながら後述する)。金属水酸化物は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムのいずれか1種類、又は2種類以上の混合物であるものとする。
【0039】
ポリエチレンを黒色に着色することに関して、本形態においては、カーボンブラックを添加するようになっている(一例であるものとする。カーボンブラックは耐候性に関して大変強い)。カーボンブラックを添加することにより、耐候性の面から紫外線劣化を避けることができるようになっている。識別色1層構造の電線13、14に係る紫外線吸収剤の配合は、耐候性及び絶縁抵抗に配慮してポリエチレンに対する配合量が設定されている。本形態においては、ポリエチレン100重量部に対して1〜10重量部を配合するようになっている(配合に関しては表を参照しながら後述する)。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、サリチル酸エステル類、ベンドトリアゾール類のものが一例として挙げられるものとする。
【0040】
上記構成において、低圧引き込み電線11は、これを構成する黒色1層構造の電線12及び識別色1層構造の電線13、14が共に耐候性のある電線となっている。識別色1層構造の電線13、14は、絶縁体18、19が黒色以外に着色されても紫外線吸収剤を配合することにより耐候性を有するようになっている。
【0041】
従って、低圧引き込み電線11は、高い耐候性を有するという効果を奏する。すなわち、紫外線劣化による絶縁体の脆さや薄肉になることを避けることができるという効果を奏する。また、低圧引き込み電線11は、黒色1層構造の電線12及び識別色1層構造の電線13、14を撚り合わせても相間短絡などによる絶縁体破壊を避けることができるという効果を奏する。
【0042】
さらに、低圧引き込み電線11は、この端末にて例えばトラッキングが発生し炎が絶縁体16の表面を燃え広がろうとしても、或いは、炎が絶縁体18、19の表面を燃え広がろうとしても、絶縁体16、18、19のポリエチレンに配合された金属水酸化物に含まれる結晶水が噴出して自己消化が行われるようになっている。従って、低圧引き込み電線11は、燃焼し難いもの、言い換えれば難燃性を有するという効果を奏する。さらにまた、低圧引き込み電線11は、塩化水素等の有害なガスの発生がない環境に優しい電線であるという効果を奏する。
【0043】
次に、図2を参照しながら本発明の引き込み用ポリエチレン絶縁電線の他の一実施の形態を説明する。図2は他の一実施の形態を示す断面図である。尚、図1での説明と基本的に同じ構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略するものとする。
【0044】
図2において、本発明の引き込み用ポリエチレン絶縁電線(DE電線)は、耐候性及び難燃性を有する低圧引き込み電線21であって、特に全体の数を限定するものでないが、1本の黒色1層構造の電線12と、2本の識別色2層構造の電線22、23とを撚り合わせることにより製造されている(1本の黒色1層構造の電線12と例えば1本の識別色2層構造の電線22とを撚り合わせて2本構成にしても良いものとする)。
【0045】
低圧引き込み電線21は、撚り合わせ形の引き込み用ポリエチレン絶縁電線となっている。
【0046】
低圧引き込み電線21における識別色2層構造の電線22は、導体24と、この導体24の外周を被覆する絶縁体25とを備えて構成されている。また、識別色2層構造の電線23は、導体24と、この導体24の外周を被覆する絶縁体26とを備えて構成されている。絶縁体25は、内層27と外層28とで構成されている。また、絶縁体26も内層27と外層29とで構成されている。
【0047】
黒色1層構造の電線12及び識別色2層構造の電線22、23は、3本とも同じ所定の直径を有している(一例であるものとする)。導体15及び24は、銅又は硬アルミによって製造されている。
【0048】
識別色2層構造の電線22、23の絶縁体25、26における内層27は、黒色1層構造の電線12の絶縁体16と同様に成形されている。すなわち、金属水酸化物を配合し且つ黒色に着色されたポリエチレンによって成形されている。これに対して識別色2層構造の電線22、23の絶縁体25、26における外層28、29は、ポリエチレンに金属水酸化物及び紫外線吸収剤を配合し且つ黒色以外に着色されたものとして成形されている。絶縁体25、26は、外層28、29の着色が異なるだけでこの他は同一になっている。絶縁体25、26は、識別することが可能なものとなっている。
【0049】
金属水酸化物は、自己消化作用と絶縁体の機械的特性(引張強度など)とに配慮してポリエチレンに対する配合量が設定されている。本形態において、黒色1層構造の電線12及び識別色2層構造の電線22、23の絶縁体25、26における内層27は、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物0〜150重量部を配合するようになっている(配合に関しては表を参照しながら後述する)。これに対して識別色2層構造の電線22、23の絶縁体25、26における外層28、29は、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物10〜300重量部を配合するようになっている(配合に関しては表を参照しながら後述する)。金属水酸化物は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムのいずれか1種類、又は2種類以上の混合物であるものとする。金属水酸化物は難燃性を持たせる場合に配合するものとする。
【0050】
ポリエチレンを黒色に着色することに関して、本形態においては、カーボンブラックを添加するようになっている(一例であるものとする。カーボンブラックは耐候性に関して大変強い)。カーボンブラックを添加することにより、耐候性の面から紫外線劣化を避けることができるようになっている。識別色2層構造の電線22、23に係る紫外線吸収剤の配合は、耐候性及び絶縁抵抗に配慮してポリエチレンに対する配合量が設定されている。本形態においては、ポリエチレン100重量部に対して1〜10重量部を配合するようになっている(配合に関しては表を参照しながら後述する)。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、サリチル酸エステル類、ベンドトリアゾール類のものが一例として挙げられるものとする。
【0051】
上記構成において、低圧引き込み電線21は、これを構成する黒色1層構造の電線12及び識別色2層構造の電線22、23が共に耐候性のある電線となっている。識別色2層構造の電線22、23は、絶縁体25、26における外層28、29が黒色以外に着色されても紫外線吸収剤を配合することにより内層27と同様に耐候性を有するようになっている。
【0052】
従って、低圧引き込み電線21は、高い耐候性を有するという効果を奏する。すなわち、紫外線劣化による絶縁体の脆さや薄肉になることを避けることができるという効果を奏する。また、低圧引き込み電線21は、黒色1層構造の電線12及び識別色2層構造の電線22、23を撚り合わせても相間短絡などによる絶縁体破壊を避けることができるという効果を奏する。
【0053】
さらに、低圧引き込み電線21は、この端末にて例えばトラッキングが発生し炎が絶縁体16の表面を燃え広がろうとしても、或いは、炎が絶縁体25、26における外層28、29の表面を燃え広がろうとしても、絶縁体16、25、26のポリエチレンに配合された金属水酸化物に含まれる結晶水が噴出して自己消化が行われるようになっている。従って、低圧引き込み電線21は、燃焼し難いもの、言い換えれば難燃性を有するという効果を奏する。さらにまた、低圧引き込み電線21は、塩化水素等の有害なガスの発生がない環境に優しい電線であるという効果を奏する。
【0054】
続いて、図3を参照しながら本発明の引き込み用ポリエチレン絶縁電線の更に他の一実施の形態を説明する。図3は更に他の一実施の形態を示す断面図である。尚、図1及び図2での説明と基本的に同じ構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略するものとする。
【0055】
図3において、本発明の引き込み用ポリエチレン絶縁電線(DE電線)は、耐候性及び難燃性を有する低圧引き込み電線31であって、特に全体の数を限定するものでないが、1本の黒色1層構造の電線12と、2本の識別ストライプ含有構造の電線32、33とを撚り合わせることにより製造されている(1本の黒色1層構造の電線12と例えば1本の識別ストライプ含有構造の電線32とを撚り合わせて2本構成にしても良いものとする)。
【0056】
低圧引き込み電線31は、撚り合わせ形の引き込み用ポリエチレン絶縁電線となっている。
【0057】
低圧引き込み電線31における識別ストライプ含有構造の電線32は、導体34と、この導体34の外周を被覆する絶縁体35とを備えて構成されている。また、識別ストライプ含有構造の電線33は、導体34と、この導体34の外周を被覆する絶縁体36とを備えて構成されている。絶縁体35は、絶縁体本体37と、一又は複数の識別用ストライプ38とで構成されている。また、絶縁体36も絶縁体本体37と、一又は複数の識別用ストライプ39とで構成されている。
【0058】
黒色1層構造の電線12及び識別ストライプ含有構造の電線32、33は、3本とも同じ所定の直径を有している(一例であるものとする)。導体15及び34は、銅又は硬アルミによって製造されている。
【0059】
識別ストライプ含有構造の電線32、33の絶縁体35、36における絶縁体本体37は、黒色1層構造の電線12の絶縁体16と同様に成形されている。すなわち、金属水酸化物を配合し且つ黒色に着色されたポリエチレンによって成形されている。これに対して識別ストライプ含有構造の電線32、33の絶縁体35、36における識別用ストライプ38、39は、ポリエチレンに金属水酸化物及び紫外線吸収剤を配合し且つ黒色以外に着色されたものとして成形されている。
【0060】
識別用ストライプ38、39は、絶縁体本体37の外面に一体化するように成形されている。また、識別用ストライプ38、39は、このストライプ幅が絶縁体本体37の全周に対して1/10〜1/4程度となるように形成されている。
【0061】
絶縁体35、36は、識別用ストライプ38、39の着色が異なるだけでこの他は同一になっている。絶縁体35、36は、識別することが可能なものとなっている。
【0062】
金属水酸化物は、自己消化作用と絶縁体の機械的特性(引張強度など)とに配慮してポリエチレンに対する配合量が設定されている。本形態において、黒色1層構造の電線12及び識別ストライプ含有構造の電線32、33の絶縁体35、36における絶縁体本体37は、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物0〜150重量部を配合するようになっている(配合に関しては表を参照しながら後述する)。これに対して識別ストライプ含有構造の電線32、33の絶縁体35、36における識別用ストライプ38、39は、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物10〜300重量部を配合するようになっている(配合に関しては表を参照しながら後述する)。金属水酸化物は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムのいずれか1種類、又は2種類以上の混合物であるものとする。金属水酸化物は難燃性を持たせる場合に配合するものとする。
【0063】
ポリエチレンを黒色に着色することに関して、本形態においては、カーボンブラックを添加するようになっている(一例であるものとする。カーボンブラックは耐候性に関して大変強い)。カーボンブラックを添加することにより、耐候性の面から紫外線劣化を避けることができるようになっている。識別ストライプ含有構造の電線32、33に係る紫外線吸収剤の配合は、耐候性及び絶縁抵抗に配慮してポリエチレンに対する配合量が設定されている。本形態においては、ポリエチレン100重量部に対して1〜10重量部を配合するようになっている(配合に関しては表を参照しながら後述する)。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、サリチル酸エステル類、ベンドトリアゾール類のものが一例として挙げられるものとする。
【0064】
上記構成において、低圧引き込み電線31は、これを構成する黒色1層構造の電線12及び識別ストライプ含有構造の電線32、33が共に耐候性のある電線となっている。識別ストライプ含有構造の電線32、33は、絶縁体35、36における識別用ストライプ38、39が黒色以外に着色されても紫外線吸収剤を配合することにより絶縁体本体37と同様に耐候性を有するようになっている。
【0065】
従って、低圧引き込み電線31は、高い耐候性を有するという効果を奏する。すなわち、紫外線劣化による絶縁体の脆さや薄肉になることを避けることができるという効果を奏する。また、低圧引き込み電線31は、黒色1層構造の電線12及び識別ストライプ含有構造の電線32、33を撚り合わせても相間短絡などによる絶縁体破壊を避けることができるという効果を奏する。さらに、低圧引き込み電線31は、識別用ストライプ38、39を有することから、耐候性のある黒色部分を多くして着色部分を少なくすることができるという効果を奏する。
【0066】
さらにまた、低圧引き込み電線31は、この端末にて例えばトラッキングが発生し炎が絶縁体16の表面を燃え広がろうとしても、或いは、炎が絶縁体35、36における絶縁体本体37の表面や識別用ストライプ38、39の表面を燃え広がろうとしても、絶縁体16、35、36のポリエチレンに配合された金属水酸化物に含まれる結晶水が噴出して自己消化が行われるようになっている。従って、低圧引き込み電線31は、燃焼し難いもの、言い換えれば難燃性を有するという効果を奏する。さらにまた、低圧引き込み電線31は、塩化水素等の有害なガスの発生がない環境に優しい電線であるという効果を奏する。
【0067】
続いて、表1〜表3を参照しながら上記配合について補足説明をする。表1は、黒色1層構造の電線における絶縁体、識別色2層構造の電線の絶縁体における内層、及び識別ストライプ含有構造の電線における絶縁体本体に係る金属水酸化物の配合と特性と判定とを示す表である。また、表2は識別色2層構造の電線の絶縁体における外層に係る金属水酸化物の配合と特性と判定とを示す表である。また、表3は識別色2層構造の電線の絶縁体における外層に係る紫外線吸収剤の配合と特性と判定とを示す表である。
【0068】
表1において、実施例1は、ポリエチレン(PE)100重量部に対して水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を0重量部配合、すなわち金属水酸化物を配合しない組成物で絶縁体16、18、19や内層27や絶縁体本体37を成形したものである。
【0069】
また、実施例2は、ポリエチレン(PE)100重量部に対して水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を50重量部配合した組成物で絶縁体16、18、19や内層27や絶縁体本体37を成形したものである。
【0070】
また、実施例3は、ポリエチレン(PE)100重量部に対して水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を150重量部配合した組成物で絶縁体16、18、19や内層27や絶縁体本体37を成形したものである。
【0071】
これに対して比較例1は、ポリエチレン(PE)100重量部に対して水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を155重量部配合した組成物で絶縁体16、18、19や内層27や絶縁体本体37を成形したものである。
【0072】
特性は、引張強度(単位:MPa)と引張伸び(単位:%)との測定を行い、判定は、引張強度の規格が10MPa以上、引張伸びの規格が350%以上として、これらを満足する場合に「○」の判定を、満足しない場合には「×」の判定をするものとする。
【0073】
【表1】

【0074】
実施例1は、引張強度が17.6MPa、引張伸びが636%であり、規格を満足するとして「○」の判定となっている。また、実施例2は、引張強度が15.2MPa、引張伸びが553%であり、規格を満足するとして「○」の判定となっている。また、実施例3は、引張強度が17.6MPa、引張伸びが636%であり、規格を満足するとして「○」の判定となっている。
【0075】
これに対して比較例1は、引張強度が9.7MPa、引張伸びが421%であり、規格を満足することができず「×」の判定となっている。
【0076】
表1から、金属水酸化物の配合量が多くなると引張強度が低下してしまうことが分かる。従って、黒色1層構造の電線12における絶縁体16、18、19、識別色2層構造の電線22、23の絶縁体25、26における内層27、及び識別ストライプ含有構造の電線32、33における絶縁体本体37に係る金属水酸化物の配合量は、ポリエチレン100重量部に対して0〜150重量部が好適である。
【0077】
表2において、実施例4は、ポリエチレン(PE)100重量部に対して水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を10重量部配合した組成物で絶縁体25、26における外層28、29を成形したものである。
【0078】
また、実施例5は、ポリエチレン(PE)100重量部に対して水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を50重量部配合した組成物で絶縁体25、26における外層28、29を成形したものである。
【0079】
また、実施例6は、ポリエチレン(PE)100重量部に対して水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を155重量部配合した組成物で絶縁体25、26における外層28、29を成形したものである。
【0080】
また、実施例7は、ポリエチレン(PE)100重量部に対して水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を200重量部配合した組成物で絶縁体25、26における外層28、29を成形したものである。
【0081】
また、実施例8は、ポリエチレン(PE)100重量部に対して水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を300重量部配合した組成物で絶縁体25、26における外層28、29を成形したものである。
【0082】
これに対して比較例2は、ポリエチレン(PE)100重量部に対して水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を310重量部配合した組成物で絶縁体25、26における外層28、29を成形したものである。
【0083】
また、比較例3は、ポリエチレン(PE)100重量部に対して水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を5重量部配合した組成物で絶縁体25、26における外層28、29を成形したものである。
【0084】
特性は、引張強度(単位:MPa)と引張伸び(単位:%)と耐トラッキング性の測定を行い、判定は、引張強度の規格が6MPa以上(通常、ポリエチレンは10MPa以上であるが、外層の場合は6MPa以上有していればよいものとする)、引張伸びの規格が350%以上、耐トラッキング性の規格が450回以上として、これらを満足する場合に「○」の判定を、満足しない場合には「×」の判定をするものとする。
【0085】
【表2】

【0086】
実施例4は、引張強度が16.8MPa、引張伸びが608%、耐トラッキング性が500回であり、規格を満足するとして「○」の判定となっている。また、実施例5は、引張強度が15.2MPa、引張伸びが553%、耐トラッキング性が3500回であり、規格を満足するとして「○」の判定となっている。また、実施例6は、引張強度が9.7MPa、引張伸びが421%、耐トラッキング性が4200回であり、規格を満足するとして「○」の判定となっている。また、実施例7は、引張強度が8.1MPa、引張伸びが387%、耐トラッキング性が4800回であり、規格を満足するとして「○」の判定となっている。また、実施例8は、引張強度が6.1MPa、引張伸びが352%、耐トラッキング性が5000回であり、規格を満足するとして「○」の判定となっている。
【0087】
これに対して比較例2は、引張強度が5.8MPa、引張伸びが342%、耐トラッキング性が5000回であり、規格を満足することができず「×」の判定となっている。また、比較例3は、引張強度が17.2MPa、引張伸びが616%、耐トラッキング性が140回であり、規格を満足することができず「×」の判定となっている。
【0088】
表2から、金属水酸化物の配合量が多くなると外層28、29の場合、引張強度や引張伸びが低下してしまうことが分かる。また、外層28、29の場合、金属水酸化物の配合量が少なくなると耐トラッキング性が悪くなってしまうことが分かる。従って、識別色2層構造の電線22、23の絶縁体25、26における外層28、29に係る金属水酸化物の配合量は、ポリエチレン100重量部に対して10〜300重量部が好適であるものとする(尚、識別ストライプ含有構造の電線32、33における識別用ストライプ38、39も同様に、ポリエチレン100重量部に対して10〜300重量部の配合が好適であるものとする。また、低圧引き込み電線11の絶縁体16、18、19や、低圧引き込み電線21の絶縁体25、26における内層27も同様に、金属水酸化物の配合量の下限値は、ポリエチレン100重量部に対して10重量部の配合が好適であるものとする)。
【0089】
表3において、実施例9は、識別色2層構造の電線22、23の絶縁体25、26における外層28、29に係り、ポリエチレン(PE)100重量部に対して紫外線吸収剤を1重量部配合したものである。
【0090】
また、実施例10は、識別色2層構造の電線22、23の絶縁体25、26における外層28、29に係り、ポリエチレン(PE)100重量部に対して紫外線吸収剤を5重量部配合したものである。
【0091】
また、実施例11は、識別色2層構造の電線22、23の絶縁体25、26における外層28、29に係り、ポリエチレン(PE)100重量部に対して紫外線吸収剤を10重量部配合したものである。
【0092】
これに対して比較例4は、識別色2層構造の電線22、23の絶縁体25、26における外層28、29に係り、ポリエチレン(PE)100重量部に対して紫外線吸収剤を0重量部配合、すなわち紫外線吸収剤を配合しないものである。
【0093】
また、比較例5は、識別色2層構造の電線22、23の絶縁体25、26における外層28、29に係り、ポリエチレン(PE)100重量部に対して紫外線吸収剤を15重量部配合したものである。
【0094】
特性は、耐候性が良好な場合に「○」の判定を、耐候性が良好でない場合には「×」の判定をするものとする。また、絶縁抵抗が良好な場合に「○」の判定を、絶縁抵抗が良好でない場合には「×」の判定をするものとする。
【0095】
【表3】

【0096】
実施例9〜11は、耐候性及び絶縁抵抗が良好であり、共に「○」の判定となっている。これに対して比較例4は、耐候性が良好でなく、「×」の判定となっている。また、比較例5は、絶縁抵抗が良好でなく、「×」の判定となっている。
【0097】
表3から、紫外線吸収剤の配合量が多くなるほど耐候性に関しては良好になるが、反面、絶縁抵抗が低下してしまうことが分かる。従って、識別色2層構造の電線22、23の絶縁体25、26における外層28、29に係る紫外線吸収剤の配合量は、ポリエチレン100重量部に対して1〜10重量部が好適であるものとする(尚、識別色1層構造の電線13、14における絶縁体18、19や、識別ストライプ含有構造の電線32、33における識別用ストライプ38、39も同様に1〜10重量部が好適であるものとする)。
【0098】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の引き込み用ポリエチレン絶縁電線の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明の引き込み用ポリエチレン絶縁電線の他の一実施の形態を示す断面図である。
【図3】本発明の引き込み用ポリエチレン絶縁電線の更に他の一実施の形態を示す断面図である。
【図4】従来例の低圧引き込み電線の端面図である。
【符号の説明】
【0100】
11 低圧引き込み電線(引き込み用ポリエチレン絶縁電線)
12 黒色1層構造の電線
13、14 識別色1層構造の電線
15、17 導体
16、18、19 絶縁体
21 低圧引き込み電線(引き込み用ポリエチレン絶縁電線)
22、23 識別色2層構造の電線
24 導体
25、26 絶縁体
27 内層
28、29 外層
31 低圧引き込み電線(引き込み用ポリエチレン絶縁電線)
32、33 識別ストライプ含有構造の電線
34 導体
35、36 絶縁体
37 絶縁体本体
38、39 識別用ストライプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色に着色されたポリエチレン製の絶縁体を導体に被覆してなる黒色1層構造の電線と、ポリエチレンに紫外線吸収剤を配合し且つ黒色以外に着色された絶縁体を導体に被覆してなる識別色1層構造の電線とを撚り合わせてなる、
若しくは、前記黒色1層構造の電線と、異なる着色となる複数の前記識別色1層構造の電線とを撚り合わせてなる
ことを特徴とする引き込み用ポリエチレン絶縁電線。
【請求項2】
黒色に着色されたポリエチレン製の絶縁体を導体に被覆してなる黒色1層構造の電線と、黒色に着色されたポリエチレン製の内層とポリエチレンに紫外線吸収剤を配合し且つ黒色以外に着色された外層とで構成される絶縁体を導体に被覆してなる識別色2層構造の電線とを撚り合わせてなる、
若しくは、前記黒色1層構造の電線と、異なる着色となる複数の前記識別色2層構造の電線とを撚り合わせてなる
ことを特徴とする引き込み用ポリエチレン絶縁電線。
【請求項3】
黒色に着色されたポリエチレン製の絶縁体を導体に被覆してなる黒色1層構造の電線と、黒色に着色されたポリエチレン製の絶縁体本体とポリエチレンに紫外線吸収剤を配合し且つ黒色以外に着色されて前記絶縁体本体の外面に一体化した識別用ストライプとで構成される絶縁体を導体に被覆してなる識別ストライプ含有構造の電線とを撚り合わせてなる、
若しくは、前記黒色1層構造の電線と、異なる着色となる複数の前記識別ストライプ含有構造の電線とを撚り合わせてなる
ことを特徴とする引き込み用ポリエチレン絶縁電線。
【請求項4】
請求項1に記載の引き込み用ポリエチレン絶縁電線において、
前記黒色1層構造の電線の絶縁体は、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物を0〜150重量部配合してなり、
前記識別色1層構造の電線の絶縁体は、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物を0〜150重量部配合してなる
ことを特徴とする引き込み用ポリエチレン絶縁電線。
【請求項5】
請求項2に記載の引き込み用ポリエチレン絶縁電線において、
前記黒色1層構造の電線の絶縁体は、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物を0〜150重量部配合してなり、
前記識別色2層構造の電線の絶縁体における内層は、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物を0〜150重量部配合してなり、
前記識別色2層構造の電線の絶縁体における外層は、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物を10〜300重量部配合してなる
ことを特徴とする引き込み用ポリエチレン絶縁電線。
【請求項6】
請求項3に記載の引き込み用ポリエチレン絶縁電線において、
前記黒色1層構造の電線の絶縁体は、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物を0〜150重量部配合してなり、
前記識別ストライプ含有構造の電線の絶縁体本体は、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物を0〜150重量部配合してなり、
前記識別ストライプ含有構造の電線の識別用ストライプは、ポリエチレン100重量部に対して金属水酸化物を10〜300重量部配合してなるとともに、ストライプ幅を前記絶縁体本体の全周に対し1/10〜1/4に形成してなる
ことを特徴とする引き込み用ポリエチレン絶縁電線。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6いずれか記載の引き込み用ポリエチレン絶縁電線において、
前記紫外線吸収剤は、ポリエチレン100重量部に対して1〜10重量部の配合である
ことを特徴とする引き込み用ポリエチレン絶縁電線。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−99401(P2009−99401A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270326(P2007−270326)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】