説明

張力緩和機構付き縫合糸留め具システム

【課題】軟組織を骨に取り付けるための方法および装置を提供する。
【解決手段】配備装置、挿入組立体、および縫合糸留め具が提供される。挿入組立体は配備装置10と縫合糸留め具との間に連結され、配備装置が縫合糸留め具を骨内に配備することを可能にする。配備装置10は、該装置に連結されて装置から延びる挿入組立体100、該挿入組立体100の遠位端に連結された縫合糸留め具200とを有する。配備装置10は、ハウジング20から遠位方向に延びて挿入組立体100を受け入れる外側シャフト22を有し、ハウジング20と、該ハウジング20に連結されて挿入組立体100に係合するハンドル組立体30とを含み、ハンドル組立体30および挿入組立体100は、ハウジング20および外側シャフト22に対して共に移動して、留め具挿入組立体100の遠位端に連結されている縫合糸留め具200を配備することができる。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
この発明は、広くは医療装置および医療処置に関する。より詳細には、この発明は軟組織を骨に付着させるためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
靭帯、腱、および/またはその他の軟組織がそれらに関連した体内の骨から完全または部分的に剥離することは、特に運動選手の間における、比較的ありふれた負傷である。このような負傷は、一般にそれらの組織にかけられた過剰な応力の結果である。例として、組織の剥離は、仕事関連の活動中、競技種目経過中、あるいはその他の多くの事態および/または活動のいずれかにおける過度の努力、例えば転倒などの事故の結果として生じることがある。
【0003】
部分剥離の場合には、十分な時間を与え、かつ負傷を追加的な過度の応力に曝さないように注意を払えば、負傷は自ずと治ることが多い。しかしながら、完全剥離の場合には、軟組織をそれに関連する1つの骨または複数の骨に再付着させるために手術が必要とされることがある。現在は、軟組織を骨に再付着させるために多数の装置が利用可能となっている。このような現在利用可能な装置の例には、ネジ、ステープル、縫合糸留め具(suture anchors)、および鋲(tacks)が含まれる。ネジを利用する軟組織再付着処置では、典型的に剥離軟組織が骨を覆う元の位置に戻される。その後、ネジが軟組織を通して骨にねじ込まれ、結果としてネジのシャンクおよび頭部が軟組織を骨に保持する。同様に、ステープルを利用する軟組織再付着処置では、典型的に剥離軟組織が骨を覆う元の位置に戻される。その後、ステープルが軟組織を通して骨に打ち込まれ、結果としてステープルの脚部および橋部が軟組織を骨に保持する。
【0004】
縫合糸留め具を利用する軟組織再付着処置では、一般に留め具を受け入れる穴が最初に骨の組織再付着の所望の点で開けられる。その後、縫合糸留め具が適当な据付用具を用いて穴の中に配備される。このことは、縫合糸の1つまたは複数の自由端が骨から延びた状態で縫合糸を骨に効果的に固定する。次に、軟組織が、配備された縫合糸留め具を収容している穴を覆う所定の位置に動かされる。このことが行われる際に、縫合糸の1つまたは複数の自由端が軟組織に通されるか、あるいは軟組織の周囲に回され、結果として縫合糸の1つまたは複数の自由端が軟組織の向こう側(すなわち、非骨側)に存在するようになる。最後に、その縫合糸が、軟組織を骨にしっかりと結び付けるために利用される。
【0005】
代わりに、上述した種類の縫合糸留め具を利用する幾つかの軟組織再付着処置では、最初に軟組織が、骨を覆う所定の位置に動かされることがある。その後、軟組織が骨に当接して所定の位置にある間に、唯一の穴が、軟組織を通って骨に開けられることができる。次に、適当な据付用具を用いて縫合糸留め具が軟組織に通されて骨の中に配備される。これにより、縫合糸の1つまたは複数の自由端が骨から出て軟組織を通って延びている状態で、縫合糸留め具が骨に固定される結果となる。最後に、その縫合糸が、軟組織を骨にしっかりと結び付けるために使用される。場合によっては、縫合糸留め具がその遠位端に穿孔手段を含むことがある。これにより縫合糸留め具が骨に穴を開けることができ、あるいは軟組織を通って骨に穴を開けることができ、このために上述の穿孔工程および留め具配備工程が効果的に組み合わされる。
【0006】
同様に、鋲を利用する軟組織再付着処置では、典型的に剥離軟組織が骨を覆う元の位置に戻され、その後に一般には、鋲を受け入れる穴が軟組織を通って骨に開けられる。その後、鋲が軟組織を通して骨に打ち込まれ、結果として鋲のシャフトおよび頭部が軟組織を骨に保持する。
【0007】
上述のネジ、ステープル、縫合糸留め具、および鋲に基づくシステムおよび方法は一般に効果的であるが、それらはすべて1つ以上の不便さにも悩まされている。したがって、軟組織を骨に付着させる改良された方法および装置の必要性が依然として残っている。
【0008】
〔発明の概要〕
本発明は、軟組織を骨に付着させるための多様な方法および装置を提供する。一実施の形態においては、留め具挿入装置を提供する。その留め具挿入装置は、ハウジングおよび縫合糸保持要素を含む。ハウジングは、このハウジングから遠位方向に延びて留め具挿入組立体を受け入れるように構成された外側シャフトを有する。縫合糸保持要素は、ハウジング上に形成され、留め具挿入組立体の遠位端に結合された縫合糸留め具に連結された縫合糸を保持するように構成されている。ハンドル組立体がハウジングにスライド可能に連結され、そのハンドル組立体は、外側シャフトおよびハウジングを通って配置された留め具挿入組立体に係合するように構成されている。これにより、ハンドル組立体および留め具挿入組立体が、ハウジングおよび外側シャフトに対してスライド可能に移動することができ、それによって留め具挿入組立体の遠位端に連結された縫合糸留め具を配備する。
【0009】
ハンドル組立体は多様な形態を有することができるが、一実施の形態においてハンドル組立体は、このハンドル組立体に旋回可能に連結されてハンドル組立体をハウジングに対してスライド可能に移動させるために旋回するように構成された、引金(trigger)を含むことができる。歯車機構をハンドル組立体内に配置することができ、これにより引金の旋回運動は、歯車機構を作動させてハンドル組立体をハウジングに対してスライド可能に移動させるのに有効である。例示的な実施の形態において、歯車機構は、ハンドル組立体をハウジングに対して近位方向にスライド可能に移動させるように構成されている。
【0010】
縫合糸保持要素も多様な形態を有することができるが、一実施の形態において縫合糸保持要素は、縫合糸伸張組立体(suture tensioning assembly)を含むことができる。この縫合糸伸張組立体は、縫合糸留め具と縫合糸伸張組立体との間に延在する縫合糸に張力をかけるように構成されている。縫合糸伸張組立体は、例えば、ハウジングに回転可能に連結されたホイールと、ホイールの周りに配置された縫合糸に張力をかけることができるようにこのホイールの一定方向への回転を可能にする歯止め機構(ratchet mechanism)であって、ホイールが第2の反対方向に回転するのを阻止する、歯止め機構と、を含むことができる。この装置は、縫合糸伸張組立体に連結されたレバーも含むことができ、このレバーは、歯止め機構を解除してホイールが第2の反対方向に自由に回転するのを許容するように構成されている。
【0011】
もう一つの実施の形態においては、縫合糸留め具組立体が提供される。この縫合糸留め具組立体には、縫合糸が結合されたインサートを有する縫合糸留め具と、このインサートを覆うように配置可能なスリーブと、が含まれている。スリーブは、縫合糸をインサートとスリーブとの間に固定するように構成されている。縫合糸留め具組立体は、ハウジングおよび作動機構を有する、配備装置(deployment device)も含むことができる。そのハウジングは縫合糸伸張要素を備え、この縫合糸伸張要素は、インサートと縫合糸伸張要素との間で縫合糸に張力をかけるために縫合糸に結合されている。その作動機構はハウジングに移動可能に連結され、スリーブに結合された遠位端を有している。これにより、作動機構は、縫合糸が縫合糸伸張要素とインサートとの間で不動のままである間に、インサートを覆うようにスリーブを位置付けるように構成されている。縫合糸留め具組立体は、インサーターシャフト(inserter shaft)も含むことができる。このインサーターシャフトは、ハウジングを貫通しており、作動機構に連結された近位端と、スリーブに連結された遠位端と、を有している。一部の例示的な実施の形態において、インサーターシャフトは、ハウジングから遠位方向に延びる外側シャフトの中を通って延びることができる。縫合糸留め具組立体はプッシャ(pusher)も含むことができる。このプッシャは、インサーターシャフトの周りにスライド可能に配置され、外側シャフトの遠位端とインサートの近位端との間に位置している。その他の実施の形態において、作動機構は、ハウジングに対してスライド可能に移動可能であってよく、これにより、作動機構および留め具挿入組立体が、ハウジングおよび外側シャフトに対してスライドして、インサートを覆うようにスリーブを位置付けるようにしている。作動機構は、例えば、ハンドル組立体とすることができる。このハンドル組立体は、このハンドル組立体に旋回可能に連結された引金を有し、これにより、引金の旋回運動がハンドル組立体をハウジングに対して移動させるのに有効である。
【0012】
縫合糸留め具を配備するための例示的な方法も提供される。一実施の形態において、その方法は、配備装置の遠位端に連結された縫合糸留め具を骨に挿入する工程、縫合糸留め具の内側部品と配備装置のハウジング上に位置する縫合糸保持要素との間で縫合糸を連結する工程、および、ハンドル組立体を作動させて、縫合糸留め具の外側部品を、縫合糸留め具の内側部品を覆うように位置付けて、それにより、縫合糸を内側部品と外側部品との間に固定する工程、を含むことができる。ハウジングおよび内側部品は、ハンドル組立体が作動されているときに、互いに対してほぼ一定の位置に留まることができ、これにより、内側部品とハウジングとの間に延びる縫合糸に加えられた張力がほぼ一定のままであるようにする。一部の例示的な実施の形態において、ハンドル組立体は、ハンドル組立体が作動された際に、ハウジングに対して近位方向にスライドすることができる。ハンドル組立体を作動させる工程は、ハンドル組立体に連結された引金を旋回させる工程を含むことができる。もう一つの実施の形態において、縫合糸保持要素は、縫合糸伸張組立体とすることができ、その方法は、縫合糸伸張組立体を作動させて縫合糸伸張組立体と縫合糸留め具の内側部品との間で縫合糸に張力をかける工程を含むことができる。
【0013】
その他の態様において、縫合糸留め具を配備するための方法が提供される。この方法は、配備装置の遠位端に連結された縫合糸留め具を骨内に挿入する工程、縫合糸留め具の第1の部品に連結された縫合糸に張力をかける工程、および、ハンドル組立体を作動させてハンドル組立体を配備装置のハウジングに対してスライドさせ、これにより、縫合糸留め具の第2の部品を縫合糸留め具の第1の部品と結合して縫合糸を第1の部品と第2の部品との間に固定する工程、を含む。例示的な一実施の形態において、第2の部品は、ハンドル組立体が作動された際に、第1の部品を覆うように引き寄せられる。もう一つの実施の形態において、縫合糸に張力をかける工程は、縫合糸留め具の第1の部品と配備装置のハウジング上に位置する縫合糸保持要素との間で縫合糸を連結する工程を含むことができる。その他の態様において、縫合糸保持要素、第1の部品、および縫合糸は、ハンドル組立体がハウジングに対してスライドする間、ほぼ一定の位置に留まることができる。更にもう一つの実施の形態において、縫合糸保持要素は、例えば、縫合糸伸張組立体とすることができ、その方法は、縫合糸留め具の第1の部品と縫合糸伸張組立体との間で縫合糸に張力をかける工程を含むことができる。
【0014】
本発明は、多様な縫合糸留め具装置も提供する。一実施の形態においては、インサートを有する縫合糸留め具装置を提供する。インサートは、前端と後端との間に延在してインサートを貫通する内腔を画定する側壁と、この側壁に形成された少なくとも1つの穴であって、その穴を通して縫合糸を受け入れるように構成された、少なくとも1つの穴と、を備えている。縫合糸留め具装置は、インサートを覆うように配置可能な外側スリーブも含むことができる。この外側スリーブは、縫合糸を外側スリーブとインサートとの間に固定するように構成されている。インサートおよび外側スリーブは、それらの間に形成されてインサートおよび外側スリーブを共に固定するスナップロック式係合機構を含むことができる。
【0015】
様々なスナップロック式係合機構を利用することができるが、一実施の形態において、その装置は、インサートおよび外側スリーブのうちの少なくとも一方に形成された少なくとも1つのピンと、インサートおよび外側スリーブのうちの他方に形成された少なくとも1つの相補的穴を含むことができる。この装置は、その他の特徴部、例えばインサートと外側スリーブとの間に形成された位置合わせ機構(alignment mechanism)であって、インサート上に外側スリーブを差し込む間、インサートおよび外側スリーブを回転により位置合わせするように構成された、位置合わせ機構も含むことができる。位置合わせ機構は、例えば、インサートおよび外側スリーブのうちの少なくとも一方に形成された少なくとも1つの突起と、インサートおよび外側スリーブのうちの他方に形成された少なくとも1つの相補的回転止め(detent)とすることができる。もう一つの実施の形態において、インサートは、その前端近傍に形成された複数の回転止めを含むことができ、外側スリーブは、その後端近傍に形成された複数の突起を含むことができる。これらの複数の突起は、インサートおよび外側スリーブを回転により位置合わせするために、インサートに形成された複数の回転止めの中に位置するように構成されている。インサートの後端は、任意に外側に張り出させる(flared)ことができ、外側スリーブの後端に摩擦係合するように構成することができる。インサートの後端は、その後端に形成された切欠き(notch)を任意に含むことができる。この切欠きは、インサートをインサーターシャフトと回転で位置合わせするために、インサーターシャフトに形成された対応突起を受け入れるように構成されている。その他の実施の形態において、インサートおよび外側スリーブは、互いにほぼ同じ弾性係数を持つことができる。
【0016】
さらにもう一つの実施の形態において、縫合糸留め具組立体が提供される。この縫合糸留め具組立体には、少なくとも1つの穴が形成されこの穴を通して縫合糸を受け入れるように構成された中空のインサート、このインサートを覆うように配置可能な外側スリーブであって、縫合糸を外側スリーブとインサートとの間に固定するように構成された、外側スリーブ、および、インサートを通って延びる遠位端を有し、外側スリーブに取外し可能に結合されたインサーターシャフトが含まれている。インサーターシャフトは、そのインサーターシャフトを覆うようにスライド可能に配置されたプッシャを含むことができる。プッシャは、インサートの近位端に当接してプッシャおよびインサーターシャフトを互いに対して移動させ、中空のインサートを覆うように外側スリーブを位置付けることを可能とするように構成されている。インサートの近位端、およびプッシャの遠位端は、それらの間に形成された位置合わせ機構であって、回転によりインサートをプッシャと位置合わせするように構成された、位置合わせ機構を任意に含むことができる。もう一つの実施の形態において、インサートおよび外側スリーブは、それらの間に形成されてインサートおよび外側スリーブを共に固定するスナップロック式係合機構を含むことができる。スナップロック式係合機構は、例えば、インサートおよび外側スリーブのうちの少なくとも一方に形成された少なくとも1つのピン、ならびに、インサートおよび外側スリーブのうちの他方に形成された少なくとも1つの相補的穴とすることができる。インサートの後端は、任意に、外側に張り出させて外側スリーブの後端に摩擦係合するように構成することができる。
【0017】
もう一つの実施の形態において、縫合糸を骨に留めるための方法が提供される。この方法は、インサーターシャフトの遠位端に連結された縫合糸留め具を骨に挿入する工程であって、これにより、縫合糸留め具のインサートに連結されている縫合糸を骨から延びるようにする、工程、ならびに、インサーターシャフト、およびこのインサーターシャフトの周りにスライド可能に配置されたプッシャを互いに対して移動させて縫合糸留め具のスリーブをインサートの周りに位置付けて、縫合糸をスリーブとインサートとの間に固定する工程、を含む。インサートおよびスリーブは、スナップロック式接続を用いて互いに固定することができる。インサートおよびスリーブを固定することは、インサートおよびスリーブの少なくとも一方に形成された少なくとも1つの突起を、インサートおよびスリーブの他方に形成された少なくとも1つの対応する穴の中に位置付けてインサートおよびスリーブをスナップ式に共に固定することを含む。一部の例示的な実施の形態において、インサーターシャフトがプッシャに対して引っ込められている時に、プッシャは一定の位置に保持される。その代りに、プッシャがインサーターシャフトに対して前進させられている時に、インサーターシャフトを一定の位置に保持することができる。
【0018】
この方法は、インサーターシャフトおよびプッシャを移動させる前に、骨から延びている縫合糸に張力をかける工程も含むことができる。例えば、縫合糸は、骨から延びている縫合糸を縫合糸伸張組立体に連結し縫合糸伸張組立体とインサートとの間でその縫合糸に張力をかけることによって、張力をかけられることができる。縫合糸に加えられた張力は、スリーブがインサートを覆うように位置付けられた際に、ほぼ一定の張力に維持することができる。
【0019】
本発明は、添付の図面と共に理解される以下の詳細な説明からさらに十分に理解されるであろう。
【0020】
〔発明の詳細な説明〕
本明細書に開示する装置および方法の構成、機能、製造、および利用の原則を全体的に理解してもらうため、一部の例示的な実施の形態をこれから説明する。これらの実施の形態の1つ以上の例を添付の図面で説明する。当業者は、本明細書に特別に記載するとともに添付の図面で説明する装置および方法が、限定されない例示的な実施の形態であること、および、本発明の範囲が特許請求の範囲のみによって定められることを理解するであろう。例示的な一実施の形態に関連して図解または説明する特徴は、他の実施の形態の特徴と組み合わせることができる。このような修正および変更は、本発明の範囲内に含まれることを目的としている。
【0021】
本発明は、概して、軟組織を骨に付着させる方法および装置を提供する。広くは、配備装置、挿入組立体、および縫合糸留め具を提供する。挿入組立体が配備装置と縫合糸留め具との間に連結されて、これにより、配備装置が縫合留め具を骨の内に配備することができる。当業者は、本明細書に開示された多様な部品のそれぞれが、単独で、または相互の組合せにおいて、または他の多様な装置との組合せにおいて使用することができることを理解するであろう。
【0022】
図1は、縫合糸留め具配備装置10の例示的な一実施の形態を全体的に説明している。配備装置10は、この装置に連結されて装置から延びる挿入組立体100と、この挿入組立体100の遠位端に連結された縫合糸留め具200と、を有している。配備装置10は、図2および図3にさらに詳細に示すが、概して、ハウジング20であって、このハウジング20から遠位方向に延びて挿入組立体100を受け入れる外側シャフト22を有する、ハウジング20と、このハウジング20に連結されて挿入組立体100に係合するように構成されたハンドル組立体30と、を含んでいる。ハンドル組立体30および挿入組立体100は、ハウジング20および外側シャフト22に対して共に移動して、留め具挿入組立体100の遠位端に連結されている縫合糸留め具200を配備することができる。ハウジング20とハンドル組立体30との間の移動の形式は様々であってよいが、例示的な実施の形態において、ハウジング20およびハンドル組立体30は互いに対してスライド可能に移動することができる。図3は、互いに離されたハウジング20およびハンドル組立体30を図示している。図示するように、ハンドル組立体30は、その側壁に形成した1つ以上のスロットを含むことができる。図3はハンドル組立体30の側壁に形成した1つのスロット32を図示しているが、反対側の側壁に第2のスロットを形成することができる。ハウジング20は、このハウジング20に形成された1つ以上の対応する穴を含むことができ、対応する各穴は、スロットの中にスライド可能に配置されるように構成されたピンを受け入れることができる。図3は、ハウジング20の側壁に形成された穴22aであって、内部に配置されたピン22bを有する、穴22aを図示している。したがって、1つまたは複数のピン22b、および1つまたは複数の穴22aは、ハウジング20とハンドル組立体30との間のスライド運動を近位方向および遠位方向に案内する。例示的な実施の形態において、ハンドル組立体30が作動すると、ハウジング20が近位方向に移動し、および/または、ハンドル組立体30が遠位方向に移動する。
【0023】
図1に戻ると、挿入組立体100に連結されている縫合糸留め具200は、概して、インサート210と、このインサート210を覆うように配置可能なスリーブ220と、を含んでいる。スリーブ220は、挿入組立体100のインサーターシャフト110(図10)に連結され、インサート210は、インサーターシャフト110に周りにスライド可能に配置されている。インサート210は、そのインサートの近位に隣接して位置付けられたプッシャ120であって、インサーターシャフト110の周りにスライド可能に配置された、プッシャ120に当接している。プッシャ120は、ハウジング20から遠位方向に延びる外側シャフト22の直ぐ遠位側に位置付けられている。結果として、ハンドル組立体30が作動すると、ハンドル組立体30が近位方向に移動し、インサーターシャフト110およびスリーブ220を近位方向に引き寄せる。ハウジング20の外側シャフト22は、挿入組立体100のプッシャ120に当接し、プッシャ120は、今度はインサート210に当接し、インサート210をほぼ一定の位置に保持すると同時に、スリーブ220は、インサーターシャフト110およびハンドル組立体30によってインサート210を覆うように引き寄せられている。スリーブ220がインサート210を覆うように配置されると、縫合糸留め具200に連結されている縫合糸が、スリーブ220とインサート210との間に係合される。その縫合糸は、組織に結合されることができ、縫合糸留め具200が配置される骨にその組織を留めることを可能にする。
【0024】
当業者は、ハウジング20およびハンドル組立体30の移動が互いに対してであること、そして、本明細書に説明かつ請求されている各部品の移動方向が決して限定することを意図していないことを理解するであろう。すなわち、ハウジング20は、ハンドル組立体30が移動する間に不動でいることができ、あるいはハンドル組立体30は、ハウジング20が移動する間に不動でいることができ、あるいはハウジング20とハンドル組立体30の双方が移動することができる。移動する部品は、利用方法ばかりでなく、縫合糸留め具200および挿入組立体100の構成に応じても変わることができる。
【0025】
配備装置10のハウジング20は、図2〜図5に示すが、多様な構成をもつことができる。しかし、図示する実施の形態において、ハウジング20は、概して、対向する第1のハウジング半体20aと、第2のハウジング半体20b(図4)と、を含み、それらは共に概して細長い中空の本体を画定する。しかしながら、ハウジング20は、単一の部品から形成するか、または複数の部品から形成することができる。ハウジング20の内部は、ハンドル組立体30の一部を収容することができ、このことは以下にさらに詳細に説明する。例示的な実施の形態において、すでに上述したように、ハウジング20およびハンドル組立体30は、相互に対して近位および遠位の方向にスライド可能に移動するように構成されている。したがって、図4および図5に示すように、ハウジング20の近位端20pは、ハウジング20に形成された開口21aを含むことができ、この開口21aにハンドル組立体30の近位端30pをスライド可能に受け入れることができる。開口21aは、ハウジング半体20a、20bのそれぞれの近位側の壁に形成したカットアウトによって形成することができる。ハウジング20は、概して細長い中空の外側シャフト22も含むことができ、この外側シャフト22は、ハウジング20の遠位端20dに形成した開口21bを貫通している。例示的な実施の形態において、外側シャフト22は、この外側シャフト22がハウジング20と共に移動するように、ハウジング20に固定して連結されている。その詳しい結合場所は様々とすることができる。図4に示す実施の形態において、外側シャフト22は、ハウジング半体の一方、すなわち、ハウジング半体20bと、ハウジング20の遠位端20dにおいてハウジング半体20bに固定されたクランプ部材24との間に固定して取り込まれるように構成されている。これにより、外側シャフト22は、ハウジング20に対するハンドル組立体30のスライド運動を妨げることなく、ハウジング20と共に移動することができる。
【0026】
図4にさらに示すように、外側シャフト22は、ハンドル組立体30の一部を貫通することもでき、ハンドル組立体30の内部に配置された歯車組立体を外側シャフト22に係合させ、外側シャフト22およびハウジング20をハンドル組立体30に対してスライド可能に移動させることができる。歯車組立体と、外側シャフト22およびハウジング20をハンドル組立体30に対して移動させる技術とは、図7および図8に関して以下にさらに詳細に説明する。
【0027】
配備装置10は、この装置10に形成または配置された縫合糸保持要素も含むことができる。この縫合糸保持要素は、配備されている縫合糸留め具に連結された縫合糸と結合するように構成されている。縫合糸保持要素は、様々な形態を有することができ、クランプ、ファスナ、ピンの形、あるいは縫合糸を受け入れて保持するように構成されたその他の要素の形とすることができる。その形態にかかわらず、例示的な実施の形態において、縫合糸保持要素は、縫合糸保持要素と縫合糸留め具との間に延在する縫合糸に加えられた張力が、縫合糸留め具を配備する間、ほぼ一定の張力に維持されるように構成されている。このことは、図4および図5に示す実施の形態において、縫合糸保持要素をハウジング20に位置付けることによって達成される。縫合糸が、縫合糸留め具200のインサート210と縫合糸保持要素との間に延在する故に、そしてインサート210がハウジング20と共に移動する故に、縫合糸はハウジング20と共に移動する。結果として、縫合糸保持要素によって縫合糸に加えられた張力は、縫合糸留め具200を配備する間、すなわち、スリーブ220がインサート210を覆うように引き寄せられている間、維持される。上述したように、縫合糸保持要素の詳細な場所は、配備装置10、挿入組立体100、および縫合糸留め具200の構成に応じて変えることができる。例えば、縫合糸保持要素は、この要素がハンドル組立体30と協調して移動するように、ハンドル組立体30に形成または配置することができる。
【0028】
図5は、一つの例示的な縫合糸保持要素を縫合糸伸張組立体26の形で示す。全体的に、縫合糸伸張組立体26は、周りの縫合糸を受け入れるのに有効な伸張用ホイール(tensioning wheel)27を含み、これにより、伸張用ホイール27の回転が、縫合糸に加えられている張力を増加または減少させる。図示する伸張用ホイール27は、伸張用ホイール27を把持し、かつ回転させるためにハウジング27aの一端に形成されたノブ27bを有する円筒状のハウジング27aの形となっていて、ハウジング27aを貫通する中央シャフト27cを有している。中央シャフト27cは、ハウジング20を通って、特にハウジング半体の一方、すなわちハウジング半体20bを通って、回転可能に配置されている。図5に示すように、この装置は、ハウジング半体20bに形成された開口14の中に位置して伸張用ホイール27の一部を回転可能に収容するブッシュ(bushing)12を含んでいる。ブッシュ12は、その周りに配置されてハウジング半体20bの内部に位置付けられたバネクリップ16を用いて、ハウジング半体20bに結合されている。縫合糸伸張組立体26は、伸張用ホイール27を所望の回転位置に保持するための機構も含むことができる。図5に示すように、縫合糸伸張組立体26は、伸張用ホイール27の中央シャフト27cに連結された爪および歯止め機構(pawl and ratchet mechanism)を含んでいる。その歯止め機構は、中央シャフト27cの周りに配置されたホイール28aであって、ホイール28aの周りに形成された歯28bを含む、ホイール28aと、例えばハウジング半体20bの内面に形成された柱29bを用いてハウジング半体20bに回転可能に結合された爪29aであって、歯止め28aの周りに形成された歯28bと係合するように構成されたアーム29cを含む、爪29aと、の形となっている。使用の際には、1本の縫合糸を伸張用ホイール27に巻き付けて縫合糸を伸張用ホイール27に結合することができる。縫合糸に張力を加える方向に伸張用ホイール27を回転させると、すなわち、縫合糸を伸張用ホイール27の周りにさらに巻き付けると、爪29aが歯止め28aの歯28bに係合し、伸張用ホイール27が反対方向に回転するのを防止し、したがって、伸張用ホイール27を所望の回転位置に保持し、縫合糸の張力を維持する。
【0029】
縫合糸伸張組立体26は、縫合糸に加えられた張力を解放するため、すなわち、爪29aを歯止め28aの歯28bとの係合から解放するための機構も含むことができる。図5に示す実施の形態において、縫合糸伸張組立体26は、歯止め28aの周りに配置されたカム23であって、爪29aをカム運動させて歯止め28aとの係合から外し、伸張用ホイール27を自由に回転させることを可能にするように構成された、カム23を含んでいる。カム23は、このカムに形成されたレバー23aであって、ハウジング20の一部を貫通して使用者がム23を動かすことができるようにする、レバー23aを含むことができる。ハウジング20に対するカム23の旋回運動は、爪29aを歯止め28aから解放することができる。当業者は、カム23および歯止め機構がその他の多様な構成をもつことができることを理解するであろう。さらに、その他の多様な縫合糸伸張要素または縫合糸保持要素を使用することができる。
【0030】
図6A〜図6Cは、縫合糸保持要素のもう一つの例示的な実施の形態を示す。全体的に、図6Aは、ハウジング20’およびハンドル組立体30’を有する配備装置10’を示す。この実施の形態において、縫合糸保持要素26’は、ハウジング20’の後端に配置され、縫合糸を縫合糸保持要素26’に巻き付けるというよりもむしろ、縫合糸を捕捉するように構成されている。特に、図6Aおよび図6Bを参照すると、部品は、先の実施の形態と同様であるが、カム23’の回転により、移動板24’が固定板(stationary plate)25’の方にスライドし、それらの間に置かれた縫合糸を捕捉する。縫合糸を捕捉すると、伸張用ホイール27’は、縫合糸に加えられた張力を調整するために回転することができる。
【0031】
上述したように、ハウジング20は、作動時に縫合糸留め具を骨内に配備するのに有効なハンドル組立体30に、スライド可能に連結されることができる。ハンドル組立体30は多様な構成を有することができるが、図7および図8に示すように、例示的な実施の形態において、ハンドル組立体30は、概して、固定部材32と、この固定部材32に移動可能に連結された引金34と、を含んでいる。この実施の形態において、固定部材32は、挿入組立体100(図10)のインサーターシャフト110に係合するように構成され、引き金34は、固定部材32の方に旋回してハウジング20をハンドル組立体30に対してスライドさせるように構成されている。
【0032】
固定部材32は多様な形状および大きさを有することができるが、一実施の形態においては図示するように、概して細長い矩形の中空のハウジング部32aと、このハウジング部32aから延びており、使用者によって握られるように構成された固定ハンドル32bと、を有している。ハウジング部32aは、挿入組立体100(図10)のインサーターシャフト110を受け入れてこのシャフト110に結合するのに効果的である。特に、ハウジング部32aは、その遠位端32dに形成されてインサーターシャフト110の近位端を受け入れる開口33を含むことができる。ハウジング部32aは、このハウジング部32aに形成されてインサーターシャフト110に取外し可能に係合する結合要素も含むことができる。図7および図8に示す実施の形態において、ハウジング部32aは、ハウジング部32aの上面に形成された開口37を通って配置された固定部材36を含んでいる。この固定部材36は、この固定部材36を貫通するように形成されてインサーターシャフト110の近位端を受け入れる穴36bを含んでいる。図示する固定部材36は、ほぼ正方形または長方形の部材の形となっているが、固定機構は、その他の多様な形状および大きさを有することができる。固定部材36は、この固定部材36がインサーターシャフト110の近位端に形成された切欠きを把持するか、またはこの切欠きと係合してインサーターシャフト110が外れないようにするため、例えばハウジング部32aの内部に配置されたバネを用いて、固定位置に付勢することもできる。インサーターシャフト110をハウジング部32aから解放するためには、固定部材36を付勢力に打ち勝つように押し下げて、インサーターシャフト110をハウジング部32aに対して自由にスライド運動させることを可能にする。当業者は、インサーターシャフト110をハウジング部32aに結合するためにその他の多様な技術を利用することができることを理解するであろう。
【0033】
上述したように、ハンドル組立体30は、ハウジング部32aに移動可能に連結された引金34も含むことができる。引金34の動きの形式は様々とすることができるが、一実施の形態において、引金34は、図8に示すように引金34が固定ハンドル32bから間隔を置いて離れた開位置と、引金34が固定ハンドル32bに隣接して位置した閉位置との間を引金34が移動するように、ハウジング部32aに旋回可能に連結されている。図示する実施の形態において、引金34は、ハウジング部32aに、旋回ピン35によって旋回可能に結合されている。引金34は、開位置と閉位置との間における引金34の動きが、外側シャフト22をハンドル組立体30に対して近位位置と遠位位置との間で動かすのに有効であるように、固定部材32のハウジング部32aを貫通する外側シャフト22の部分に係合するのにも有効であることができる。結果として、外側シャフト22に連結されたハウジング20は、以下にさらに詳細に説明するように、外側シャフト22と共に動いて縫合糸留め具を配備することを可能にする。ハンドル組立体30のハウジング部32aの内部で引金34が外側シャフト22に係合し、この外側シャフト22をスライド可能に移動させることを可能にするために多様な技術を利用することができるが、例示的な実施の形態において、ハンドル組立体30はその内部に配置された歯車機構を含むことができる。図7および図8に示す実施の形態において、歯車機構は、引金34の末端34tに形成された複数の歯37aであって、後述するように、外側シャフト22の近位部に形成された対応する歯37bと係合するのに有効な複数の歯37aの形となっている。引金34は開位置から閉位置に旋回すると、引金34の歯37aは、外側シャフト22をハンドル組立体30に対して遠位方向に動かすために、外側シャフト22の歯37bと係合する。配備装置10の(図示しない)ハウジング20は、このように外側シャフト22と共に遠位方向に移動する。または、言い換えると、ハンドル組立体30と、このハンドル組立体30に連結された(図示しない)インサーターシャフトとは、ハウジング20および外側シャフト22に対して近位方向に移動する。
【0034】
引金34は開位置に付勢することもでき、そのため、付勢力に打ち勝って引金34を閉位置に動かすために力を引金34に加える必要があり、かつ引金34を閉位置から解放することにより引金34を自動的に開位置に戻すことができる。引金34を開位置に付勢するために多様な技術を利用することができるが、例示的な一実施の形態において、図7および図8に示すように、外側シャフト22の近位部とハンドル組立体30の固定部材32のハウジング部32aの一部分との間にバネ38を配置することができる。特に、ハンドル組立体30は、内部に配置された細長い中空の部材すなわちバレル40を含むことができる。このバレル40は、外側シャフト22の近位部に形成されるか、または近位部の周りに配置された近位ハウジング42をスライド可能に収容するように構成されている。バネ38は中空のバレル40の内部に配置することができ、バネ38の一部分は外側シャフト22の近位ハウジング42の一部分の周りに位置付けることができる。上述したように、歯37bは外側シャフト22の近位ハウジング42の下面または底面に形成することができると共に、歯37bはバネ38の近位に位置付けることができる。したがって、バネ38は、図8に示すように、外側シャフト22の近位ハウジング42の最遠位の歯とバレル40の遠位端の壁との間に延在している。バレル40は、引金34の末端34tを受け入れるためにバレル40の下面または底面に形成された細長いスロットまたは開口も含むことができる。
【0035】
引金34が開位置から閉位置に動かされた際に、外側シャフト22上の近位ハウジング42が遠位方向に移動し、したがって、バネ38を近位ハウジング42とバレル40の遠位端との間で圧縮する。その結果、引金34が解放された際には、バネ38が外側シャフト22上の近位ハウジング42を近位位置に押し戻す。これにより、外側シャフト22上の近位ハウジング42上の歯37bが、引金34の歯37aと係合し、引金34を開位置に戻すように旋回させる。図7にさらに示すように、近位ハウジング42は、その上面すなわち頂面に形成され、ハンドル組立体30の固定部材32のハウジング部32aを貫通したピン42bを受け入れるスロット42aも含むことができる。ピン42bおよびスロット42aは、近位ハウジング42の回転を防止して近位ハウジング42の歯37bを引金34の歯37aに整合させ続けながら、外側シャフト22上の近位ハウジング42を、固定部材32のハウジング部32aの内部で近位方向および遠位方向にスライド可能に移動させる。当業者は、引金34を開位置または閉位置に付勢するために、望みに応じて他の多様な技術を利用することができることを理解するであろう。
【0036】
挿入組立体100を図9A〜図10にさらに詳細に示す。図示するように、挿入組立体100は、概して、本明細書においてインサーターシャフト110と呼ばれる細長いシャフトと、インサーターシャフト110の一部分の周りに配置されたプッシャ120とを含んでいる。インサーターシャフト110は、上述したようにハンドル組立体30の固定部32に結合するように構成された近位端110aと、以下にさらに詳細に説明するようなスリーブ220などの縫合糸留め具200の一部品に結合するように構成された遠位端110bを含んでいる。多様な結合技術を利用することができるが、一実施の形態においてインサーターシャフト110の遠位端110bは、その一部分の周りに形成されたネジ山112であって、スリーブ220の内部に形成された対応するネジ山と係合するように構成された、ネジ山112を含むことができる。遠位端110bは、挿入組立体100の骨への穿刺を容易にするように構成された、尖ったすなわち鋭い先端114も含むことができる。
【0037】
上述したように、インサーターシャフト110は、その一部分の周りに配置されたプッシャ120も含むことができる。プッシャ120は多様な形態を有することができるが、例示的な実施の形態において、プッシャ120は、配備装置10の外側シャフト22の遠位端22b(図8)と、以下に説明する例えば留め具200のインサート210の近位端などの留め具の近位端との間に位置付けられるように構成されている。プッシャ120は、インサーターシャフト110の長さ方向軸に沿ってスライド可能に移動可能であるのも好ましい。これにより、プッシャ120は、インサート210をスリーブ220の中に進めるか、あるいはその代りに、スリーブ210がインサート210を覆うように近位方向に引かれている間にインサート210を一定の位置に保持することができる。換言すれば、インサート210、プッシャ120、外側シャフト22、およびハウジング20は、スリーブ220、インサーターシャフト110、およびハンドル組立体30に対して互いに協働して移動し、インサート210をスリーブ220の中に位置付ける。
【0038】
図9Aおよび図9Bに最良に示すように、例示的な一実施の形態においてプッシャ120は、インサーターシャフト110の遠位部分の周りにスライド可能に配置された細長い中空管の形とすることができる。細長いスロットすなわちカットアウト121をプッシャ120に形成することができる。ピン122は、カットアウト121を通して配置され、かつインサーターシャフト110に結合することができ、インサーターシャフト110の周りでのプッシャ120の回転を防止しながら、プッシャ120をインサーターシャフト110に対してスライド可能に移動させることができる。プッシャ120をインサーターシャフト110にスライド可能に結合するためには、その他の技術を任意に利用することができる。あるいはその代りに、プッシャ120はインサーターシャフト110の周りに浮かぶ(float)だけとすることができる。図10および図11に示すように、プッシャ120がインサーターシャフト110に結合されているときには、プッシャ120は、プッシャ120の遠位端120dがインサート210に当接するように、インサート210の直近位に位置付けられている。
【0039】
プッシャ120は、回転によりインサート210をプッシャ120と位置合わせするための位置合わせ機構も任意に含むことができる。これにより、インサート210をスリーブ220の中に適切に位置付けるのを容易にすることができる。多様な位置合わせ技術を利用することができるが、例示的な一実施の形態において、プッシャ120および/またはインサート210は、それらに形成されて、プッシャ120および/またはインサート210の他方に形成された対応する切欠きまたは突起の中に配置されるように構成された切欠きまたは突起も含むことができる。例えば、図9Bは、プッシャ120の最遠位端に形成されたカットアウトすなわち切欠き125および突起126を示す。インサート210の最近位端は、プッシャ120の最遠位端の形状を補完する形状を有することができる。すなわち、インサート210は、図16に示すように、インサート210に形成された対応する切欠き215および対応する突起216を含むことができる。インサート210の突起216は、プッシャ120の切欠き125の中に位置して、回転によりインサート210をプッシャ120と位置合わせすることができる。
【0040】
図11は、完全に組み立てられて縫合糸留め具200に結合された挿入組立体100を示す。当該技術分野で公知の多様な縫合糸留め具を、挿入組立体100および配備装置10と共用することができるが、図示する実施の形態において、縫合糸留め具200は、概して、骨トンネル(bone tunnel)の中に配置されるように構成された外側スリーブ220と、この外側スリーブ220の中に配置されるように構成されたインサート210と、を含んでいる。スリーブ220およびインサート210は、図12〜図16にさらに詳細に示される。全体的に、インサート210は、このインサート210が外側スリーブ220の中に配置された際に縫合糸がインサート210と外側のスリーブ220との間に固定されるように、縫合糸に結合するように構成することができる。インサート210は、外側スリーブ220の少なくとも一部分を変形可能に拡張して外側スリーブ220を骨トンネルの中に固定するように構成することもできる。
【0041】
図13および図14を参照すると、縫合糸留め具200の外側スリーブ220は、前方の遠位端220bおよび後方の近位端220aを備えた全体的に細長い中空の形態を有することができる。遠位端220bは多様な形状および大きさを有することができ、遠位端220bに形成された骨穿刺先端を含むことができる。あるいはその代りに、遠位端220bは、図示するように遠位端220に形成された穴すなわち開口221を含むことができ、インサーターシャフト110(図10)の先端が開口221を通り抜けてスリーブ220の遠位端220bを骨トンネルの中に案内することを可能にする。図13および図14にさらに示すように、遠位端220bは骨トンネルへの挿入を容易にするために先細とすることもできる。スリーブ220の近位部分の形状および大きさは様々とすることができるが、例示的な実施の形態において、近位部分は、その中にインサート210を受け入れるためにほぼ円筒状の形状を有する。図14にさらに示すように、そして上述したように、スリーブ220は、インサーターシャフト110に形成された対応するネジ山と結合するためにスリーブ220の内部に形成されたネジ山222も含むことができる。ネジ山222の場所は変えることができるが、例示的な実施の形態において、ネジ山222は、スリーブ220の先細の遠位端220bの直近位に位置している。スリーブ220は、以下にさらに詳細に説明するようなその他の特徴も含むことができる。
【0042】
インサート210は図15および図16にさらに詳細に示す。図示するように、インサート210は、前方の遠位端210bおよび後方の近位端210aを備えた全体的に細長い円筒状の構成を有することができる。例示的な実施の形態において、インサート210の少なくとも一部分は、インサート210をスリーブ220内に挿入した際にインサート210がスリーブ220を変形可能に拡張するように、スリーブ220の少なくとも一部分の内径よりも大きな外径を有している。これにより、スリーブ220を骨トンネル内に埋めることができ、それにより、縫合糸留め具220を骨トンネル内にしっかりと固定することができる。図15にさらに示すように、インサート210は、外側に張り出した近位端(flared proximal end)210aも有することができ、この近位端210aはインサート210の残りの部分と比較して増大した外径を有している。外側に張り出した近位端210aは、スリーブ220の後方の近位端220aを拡張するのに有効であって、スリーブ220とスリーブ220が配置された骨トンネルとの間の係合をさらに促進することができる。
【0043】
図15および図16にさらに示すように、インサート210は、インサーターシャフト110(図10)がこのインサート210を貫通して、この実施の形態においてはインサート210の遠位に位置付けられているスリーブ220と結合することを可能にするために中空とすることもできる。上述したように、インサート210は、縫合糸を骨にしっかりと固定するために縫合糸に結合するように構成するのも好ましい。インサート210は、縫合糸と結合するための多様な特徴を含むことができるが、図15および図16に示す実施の形態において、インサート210には、その内部に形成された第1の貫通孔214aおよび第2の貫通孔214bであって、これらを通して縫合糸を受け入れるように構成された、第1の貫通孔214aおよび第2の貫通孔214bを含む。2つの貫通孔214a、214bを使用することは、縫合糸が第1の貫通孔214aに入り第2の貫通孔214bから出ることを可能にし、縫合糸の輪を形成して縫合糸の2つの後端が縫合糸留め具200から延びるようにするので都合が良い。
【0044】
上述したように、一部の例示的な実施の形態において、インサート210は、スリーブ220の少なくとも一部分を骨トンネル内で変形可能に、かつ任意に不可逆的に拡張させるように構成することができる。当業者は、スリーブ220が拡張することを可能にするために多様な材料を使用することができることを理解するであろう。しかし、一つの例示的な実施の形態において、スリーブ220およびインサート210は、それぞれ十分に硬くすることができ、同じ弾性係数を有することができる。
【0045】
インサート210およびスリーブ220は、それらに形成されたその他の多様な特徴も含むことができる。例えば、インサート210およびスリーブ220は、それらの間に形成されてインサート210をスリーブ220と径方向に位置合わせするように構成された、位置合わせ機構を含むことができる。多様な位置合わせ技術を利用することができるが、図13および図14に示すように、スリーブ220の最近位端は、そこから近位方向に延びる複数の突起223を含むことができる。突起223は、図15および図16に示すように、インサート210の遠位端の周りに形成された対応する回転止め、すなわち対応する穴213内に位置するように構成されている。
【0046】
もう一つの実施の形態において、インサート210およびスリーブ220は、インサート210および外側のスリーブ220を共に固定するためにそれらの間に形成された係合機構を含み、縫合糸留め具200がいったん植え込まれるとインサート210がスリーブ220から誤って外れないようにすることができる。摩擦、締まり嵌め、機械的結合(mechanical interlock)などを含む多様な係合機構を利用することができるが、例示的な一実施の形態において、インサート210およびスリーブ220は、少なくとも1つのピンと、このピンを受けるための少なくとも1つの相補的な穴とを利用したスナップロック式係合機構を含んでいる。図15および図16に示すように、インサート210は、このインサート210に形成されてその外周周りに間隔を空けて設けられた複数のピン217を含んでいる。ピン217の高さは、遠位方向から近位方向に増大している。インサート210がスリーブ220内に位置付けられた際には、図13および図14に示すように、ピン217は、スリーブ220に形成されスリーブ220の外周周りに間隔を空けて設けられた対応する穴227の中に入り込む。ピン217の高さが増大していることにより、インサート210をスリーブ220内に挿入する間にピン217が穴227内に滑り込むことができ、かつ各ピン217の後端または遠位端が穴227内に延びて穴227に係合し、インサート210がスリーブ220から後退しないように、すなわち外れないようにすることができる。このように、インサート210は、スリーブ220内にスナップロック式に入って、2つの部品の間の確実な結合接続をもたらす。インサート210とプッシャ120との間、およびインサート210とスリーブ220との間に形成された上記位置合わせ機構は、使用中、ピン217を穴227と位置合わせするのに役立つ。
【0047】
当業者は、縫合糸留め具200がその他の多様な形態を有することができること、および、本明細書に説明および開示された縫合糸留め具200が本発明と共用するための縫合糸留め具の例示的な一実施の形態に過ぎないことを理解するであろう。
【0048】
図11に戻ると、図11は挿入組立体100に結合された縫合糸留め具200を示す。特に、インサーターシャフト110は、インサート210を通り抜けており、インサーターシャフト110の最遠位先端114がスリーブ220の遠位端220bの開口221を通り抜けるように、スリーブ220に螺合されている。このように、インサート210は、インサート210の前方の遠位端210bがスリーブ220の後方の近位端220aに隣接すなわち接触して位置付けられるように、スリーブ220の直近位に位置付けられている。スリーブ220の近位端220aの突起223をインサート210の遠位端210bの周りに形成された回転止めすなわち穴213内に位置させて、インサート210およびスリーブ220を径方向に、すなわち回転により位置合わせすることができる。インサート210の近位端210aは、インサート210の近位端210aのカットアウトすなわち切欠き215がプッシャ120の遠位端120dのカットアウトすなわち切欠き125の中に延びてこの切欠きと整合するように、プッシャ120の遠位端120dに隣接または接触させて位置付けることができる。図11はまた、縫合糸300が第1の貫通孔214aおよび第2の貫通孔214bに通され、縫合糸留め具200の片側に縫合糸の輪を形成しているのを示す。縫合糸300の2つの後端300a、300bは、縫合糸留め具200から近位方向に延びている。
【0049】
図17に示すと共に本明細書に上述したように、挿入組立体100は、縫合糸留め具200を挿入組立体100に結合した状態で、縫合糸留め具200を骨内に配備するための、例えば装置10などの配備装置に結合することができる。縫合糸300の後端300a、300bは、縫合糸300の後端300a、300bを伸張用ホイール27に巻き付けることにより、縫合糸伸張要素26に結合することができ、望みに応じて伸張用ホイール27を随意に回転させることにより、縫合糸300に加えられている張力を増加または減少させることができる。このように、縫合糸300は、縫合糸留め具200と縫合糸伸張要素26との間にぴんと張ったままである。
【0050】
縫合糸留め具200は、最初に、固定すべき軟組織に縫合糸を通し、その後にその縫合糸を縫合糸留め具200および縫合糸伸張要素26に結合することにより、植え込まれることができる。軟組織を縫合糸に結合した状態で、軟組織を骨の方へ引き寄せながら、インサーターシャフト110を遠位方向に推し進めて骨内に押し入れることができる。このことが生じる際に、縫合糸留め具200が、スリーブ220とインサーターシャフト110との間のネジ係合(threaded engagement)による事前配備構成で骨の中に運び入れられることは理解されるであろう。実際、インサーターシャフト110の遠位端110bと、スリーブ220の先細の遠位端220bとは互いに協働し、このため、事前穿孔を必要とすることなく骨に開口をこじ開ける。しかしながら、必要に応じて骨に事前穿孔を任意に行うことができ、あるいは、木槌またはその他の道具を用いて骨への挿入を容易にすることができる。
【0051】
その代りに、縫合糸留め具200は、インサーターシャフト110の鋭い遠位端110bを固定すべき軟組織(など)に突き通し、すなわち「突き刺し(stabbing)」、軟組織が固定されるべき骨に縫合糸留め具200を押し付けて位置付けることによって植え込まれることができる。縫合糸300の後端300a、300bは、縫合糸伸張要素26に取り付けられたままである。または、軟組織を他の器具(例えば鉗子など)で掴んで骨に接触する位置に動かしてもよく、それによってインサーターシャフト110を遠位方向に押し、軟組織を通して骨の中に進めることができる。この場合もやはり、このことが生じる際に、縫合糸留め具200が、スリーブ220とインサーターシャフト110との間のネジ係合による事前配備構成で骨に運び入れられることは理解されるであろう。実際、インサーターシャフト110の遠位端110bと、スリーブ220の先細の遠位端220bとは互いに協働し、このため、事前穿孔を必要とすることなく軟組織および骨に開口をこじ開ける。しかしながら、上述したように、必要に応じて骨に事前穿孔を任意に行うことができ、あるいは、木槌またはその他の道具を用いて骨への挿入を容易にすることができる。
【0052】
インサーターシャフト110は、様々な深さまで骨内に打ち込まれることができるが、例示的な実施の形態において、インサーターシャフト110は、インサート210の後方の近位端210aが骨の外面とほぼ同じ高さになるまで骨内に打ち込まれる。より好ましくは、インサーターシャフト110は、骨にさらに深く打ち込まれることができ、プッシャ120の遠位端120dは、インサーターシャフト110の穿刺深さを制限するストップショルダー部(stop shoulder)として作用することができる。その他の実施の形態において、適切な穿刺深さを達成することができるように、(図示しない)印を、インサーターシャフト110の外面に配置することができる。
【0053】
次に、配備装置10の引金34を握ることにより、引金34を図1に示す開位置から図17に示す閉位置まで動かすことができる。引金34が閉位置の方に旋回するにつれて、ハンドル組立体30がハウジング20に対して近位方向にスライドし、このようにして、インサーターシャフト110を外側シャフト22に対して近位方向に引き寄せる。ハウジング20、外側シャフト22、プッシャ120、およびインサート210は、ハンドル組立体30、インサーターシャフト110、およびスリーブ220が近位方向に移動する間、ほぼ一定の位置に留まる。したがって、縫合糸留め具200と縫合糸伸張要素26との間に延びる縫合糸300は、縫合糸300に加えられた張力を妨げないように、不動のままである。このように、張力は変化しないままである。スリーブ220がインサート210を覆うように近位方向に引き寄せられるにつれて、スリーブ220とインサート210との間の締まり嵌めがそれらの間に縫合糸300を捉えて固定し、上述したスナップフィット式係合(snap-fit engagement)を用いてインサート210がスリーブ220内に固定される。インサート210は、スリーブ220の少なくとも一部分、例えば近位部分を拡張させ、スリーブ220を骨トンネルに係合させることもできる。インサーターシャフト110を完全に配備すると、縫合糸留め具200を置き去りにして、インサーターシャフト110は、スリーブ220からネジを緩めてはずされ、取り除かれることができる。縫合糸留め具200から軟組織を通って延びる縫合糸300の後端300a、300bは、例えば結節要素(knotting element)を用いて結び目を作るか、そうでなければしっかり留めるかして、軟組織を骨に固定することができる。
【0054】
当業者は、スリーブ220がほぼ一定の位置に留まっているときに、インサート210をスリーブ220内に任意に進めることができることを理解するであろう。このような場合に縫合糸300に加えられた張力は、縫合糸300、およびこれに取り付けられた縫合糸伸張要素26がインサート210と共に移動する際に、依然として一定のままである。その他の実施の形態において、スリーブ220はインサート210の近位に位置付けることができ、インサート210はスリーブ220内に引っ込めることができ、あるいはスリーブ220はインサート210を覆うように押し込むことができる。
【0055】
当業者は、上述の実施の形態に基づく本発明のさらなる特徴および利点を理解するであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による指摘を除いて、特に図示かつ説明してきたことによって制限されるものではない。本明細書に引用した全ての刊行物および参考文献は、参照によってその全体が本明細書に明白に組み入れられる。
【0056】
〔実施の態様〕
本発明の好ましい実施の態様は次の通りである。
(1)留め具挿入装置において、
ハウジングであって、
前記ハウジングから遠位方向に延びており、留め具挿入組立体のインサーターシャフトを受け入れるように構成された外側シャフト、および、
前記ハウジングに形成されており、前記留め具挿入組立体の前記インサーターシャフトの遠位端に結合された縫合糸留め具に連結された縫合糸を保持するように構成された縫合糸保持要素、
を有する、ハウジングと、
前記ハウジングにスライド可能に連結されており、前記外側シャフトおよび前記ハウジングを通って配置された前記留め具挿入組立体に係合するように構成されたハンドル組立体であって、前記ハンドル組立体および前記留め具挿入組立体が前記ハウジングおよび前記外側シャフトに対してスライド可能に移動可能であることにより、前記留め具挿入組立体の遠位端に連結された前記縫合糸留め具を配備するようになっている、ハンドル組立体と、
を具備する、装置。
(2)実施態様1に記載の装置において、
前記ハンドル組立体は、前記ハンドル組立体に旋回可能に連結された引金であって、旋回して前記ハンドル組立体を前記ハウジングに対してスライド可能に移動させるように構成された、引金を含む、装置。
(3)実施態様2に記載の装置において、
前記ハンドル組立体内に配置された歯車機構、
をさらに具備し、
前記引金の旋回運動は、前記歯車機構を作動させて前記ハンドル組立体を前記ハウジングに対してスライド可能に移動させるのに有効である、装置。
(4)実施態様3に記載の装置において、
前記歯車機構は、前記ハウジングに対して近位方向に前記ハンドル組立体をスライド可能に移動させるように構成されている、装置。
(5)実施態様1に記載の装置において、
前記縫合糸保持要素は、縫合糸伸張組立体を具備し、
前記縫合糸伸張組立体は、前記縫合糸留め具と前記縫合糸伸張組立体との間に延在する縫合糸に張力をかけるように構成されている、装置。
(6)実施態様5に記載の装置において、
前記縫合糸伸張組立体は、
前記ハウジングに回転可能に連結されたホイールと、
前記ホイールの周囲に配置された縫合糸に張力をかけることができるように前記ホイールの一定方向への回転を許容するとともに、前記ホイールの第2の反対方向への回転を阻止する歯止め機構と、
を具備する、装置。
(7)実施態様6に記載の装置において、
前記縫合糸伸張組立体に連結されたレバー、
をさらに具備し、
前記レバーは、前記ホイールの前記第2の反対方向への自由な回転を許容するために前記歯止め機構を解除するように構成されている、装置。
【0057】
(8)縫合糸留め具組立体において、
縫合糸が結合されたインサート、および前記インサートを覆うように配置可能なスリーブを有する縫合糸留め具であって、前記インサートと前記スリーブとの間に前記縫合糸を固定するように構成された、縫合糸留め具と、
配備装置であって、
前記縫合糸に結合された縫合糸伸張要素を備えたハウジングであって、前記インサートと前記縫合糸伸張要素との間で前記縫合糸に張力をかける、ハウジング、および、
前記ハウジングに移動可能に連結され、前記スリーブに結合された遠位端を有する作動機構であって、前記縫合糸が前記縫合糸伸張要素と前記インサートとの間で不動のままである間に、前記作動機構は、前記スリーブが前記インサートを覆うように前記スリーブを位置付けるように構成されている、作動機構、
を有する、配備装置と、
を具備する、縫合糸留め具組立体。
(9)実施態様8に記載の縫合糸留め具組立体において、
前記ハウジングを貫いて延びるインサーターシャフトであって、前記作動機構に連結された近位端、および前記スリーブに連結された遠位端を有する、インサーターシャフト、
をさらに具備する、縫合糸留め具組立体。
(10)実施態様9に記載の縫合糸留め具組立体において、
前記ハウジングは、前記ハウジングから遠位方向に延びる外側シャフトを含み、
前記インサーターシャフトは、前記外側シャフトの中を通って延びる、縫合糸留め具組立体。
(11)実施態様10に記載の縫合糸留め具組立体において、
前記インサーターシャフトの周りにスライド可能に配置されたプッシャであって、前記外側シャフトの遠位端と前記インサートの近位端との間に位置付けられた、プッシャ、
をさらに具備する、縫合糸留め具組立体。
(12)実施態様9に記載の縫合糸留め具組立体において、
前記作動機構は、前記ハウジングに対してスライド可能に移動可能であり、前記作動機構および前記留め具挿入組立体が、前記ハウジングおよび前記外側シャフトに対してスライドして、前記インサートを覆うように前記スリーブを位置付けるようにしている、縫合糸留め具組立体。
(13)実施態様8に記載の縫合糸留め具組立体において、
前記作動機構は、ハンドル組立体であって、前記ハンドル組立体に旋回可能に連結された引金を有する、ハンドル組立体を具備し、
前記引金の旋回運動は、前記ハンドル組立体を前記ハウジングに対して移動させるのに有効である、縫合糸留め具組立体。
【0058】
(14)縫合糸留め具を配備する方法において、
配備装置の遠位端に連結された縫合糸留め具を骨に挿入する工程と、
前記縫合糸留め具の内側部品と前記配備装置のハウジングに位置する縫合糸保持要素との間に縫合糸を連結する工程と、
ハンドル組立体を作動させて前記縫合糸留め具の外側部品を前記縫合糸留め具の前記内側部品の上に位置付け、これにより、前記内側部品と前記外側部品との間に前記縫合糸を固定する工程であって、前記ハンドル組立体が作動された際に、前記ハウジングおよび前記内側部品が互いに対してほぼ一定の位置に留まり、前記内側部品と前記ハウジングとの間に延在する前記縫合糸に加えられた張力がほぼ一定に留まるようにする、工程と、
を含む、方法。
(15)実施態様14に記載の方法において、
前記縫合糸留め具の前記外側部品は、前記ハンドル組立体が作動された際に、前記縫合糸留め具の前記内側部品を覆うように引き寄せられる、方法。
(16)実施態様14に記載の方法において、
前記ハンドル組立体は、前記ハンドル組立体が作動された際に、前記ハウジングに対して近位方向にスライドする、方法。
(17)実施態様14に記載の方法において、
前記ハンドル組立体を作動する前記工程は、前記ハンドル組立体に連結された引金を旋回させる工程を含む、方法。
(18)実施態様14に記載の方法において、
前記縫合糸保持要素は、縫合糸伸張組立体を具備し、
前記方法は、
前記縫合糸伸張組立体を作動させて前記縫合糸伸張組立体と前記縫合糸留め具の前記内側部品との間で前記縫合糸に張力をかける工程、
をさらに含む、方法。
【0059】
(19)縫合糸留め具を配備する方法において、
配備装置の遠位端に連結された縫合糸留め具を骨に挿入する工程と、
前記縫合糸留め具の第1の部品に連結された縫合糸に張力をかける工程と、
ハンドル組立体を作動させて前記ハンドル組立体を前記配備装置のハウジングに対してスライドさせる工程であって、これにより前記縫合糸留め具の第2の部品を前記縫合糸留め具の前記第1の部品と結合して前記第1の部品と前記第2の部品との間に前記縫合糸を固定する、工程と、
を含む、方法。
(20)実施態様19に記載の方法において、
前記第2の部品は、前記ハンドル組立体が作動された際に、前記第1の部品を覆うように引き寄せられる、方法。
(21)実施態様19に記載の方法において、
前記縫合糸に張力をかける前記工程は、前記縫合糸留め具の前記第1の部品と前記配備装置のハウジングに位置する縫合糸保持要素との間に前記縫合糸を連結する工程を含む、方法。
(22)実施態様19に記載の方法において、
前記縫合糸保持要素、前記第1の部品、および前記縫合糸は、前記ハンドル組立体が前記ハウジングに対してスライドする際に、ほぼ一定の位置に留まる、方法。
(23)実施態様19に記載の方法において、
前記縫合糸保持要素は、縫合糸伸張組立体を具備し、
前記方法は、
前記縫合糸留め具の前記第1の部品と前記縫合糸伸張組立体との間で前記縫合糸に張力をかける工程、
をさらに含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】縫合糸留め具配備装置、挿入組立体、および縫合糸留め具の一実施の形態の斜視図である。
【図2】図1の配備装置の斜視図である。
【図3】図2の配備装置の部分分解図であって、互いにスライド可能に移動する第1の部分および第2部分を示す。
【図4】図2の配備装置の部分分解斜視図であって、配備装置に配置された縫合糸保持要素を示す。
【図5】図2の配備装置の一部分の分解斜視図である。
【図6A】配備装置の別の実施の形態の斜視図である。
【図6B】図6Aに示す配備装置の縫合糸伸張要素の斜視図である。
【図6C】図6Bの縫合糸伸張要素の分解斜視図である。
【図7】図2の配備装置のハンドル組立体の部分分解斜視図である。
【図8】図7のハンドル組立体の断面図である。
【図9A】図2の配備装置の挿入組立体の遠位部分の分解斜視図である。
【図9B】図9Aの挿入組立体のプッシャの斜視図である。
【図10】まさに縫合糸留め具が取り付けられようとする状態の図1の挿入組立体の斜視図である。
【図11】完全に組み立てられた図10の挿入組立体および縫合糸留め具の斜視図である。
【図12】スリーブおよびインサートを有する、図1に示す縫合糸留め具の分解図である。
【図13】図12の縫合糸留め具のスリーブの斜視図である。
【図14】図13に示すスリーブの断面図である。
【図15】図12の縫合糸留め具のインサートの斜視図である。
【図16】図15に示すインサートの断面図である。
【図17】図1の縫合糸留め具配備装置、挿入組立体、および縫合糸留め具の斜視図であって、縫合糸留め具に連結された縫合糸を有し、縫合糸留め具を配備するために装置が作動されたことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
留め具挿入装置において、
ハウジングであって、
前記ハウジングから遠位方向に延びており、留め具挿入組立体のインサーターシャフトを受け入れるように構成された外側シャフト、および、
前記ハウジングに形成されており、前記留め具挿入組立体の前記インサーターシャフトの遠位端に結合された縫合糸留め具に連結された縫合糸を保持するように構成された縫合糸保持要素、
を有する、ハウジングと、
前記ハウジングにスライド可能に連結されており、前記外側シャフトおよび前記ハウジングを通って配置された前記留め具挿入組立体に係合するように構成されたハンドル組立体であって、前記ハンドル組立体および前記留め具挿入組立体が前記ハウジングおよび前記外側シャフトに対してスライド可能に移動可能であることにより、前記留め具挿入組立体の遠位端に連結された前記縫合糸留め具を配備するようになっている、ハンドル組立体と、
を具備する、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記ハンドル組立体は、前記ハンドル組立体に旋回可能に連結された引金であって、旋回して前記ハンドル組立体を前記ハウジングに対してスライド可能に移動させるように構成された、引金を含む、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、
前記ハンドル組立体内に配置された歯車機構、
をさらに具備し、
前記引金の旋回運動は、前記歯車機構を作動させて前記ハンドル組立体を前記ハウジングに対してスライド可能に移動させるのに有効である、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、
前記歯車機構は、前記ハウジングに対して近位方向に前記ハンドル組立体をスライド可能に移動させるように構成されている、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、
前記縫合糸保持要素は、縫合糸伸張組立体を具備し、
前記縫合糸伸張組立体は、前記縫合糸留め具と前記縫合糸伸張組立体との間に延在する縫合糸に張力をかけるように構成されている、装置。
【請求項6】
実施態様5に記載の装置において、
前記縫合糸伸張組立体は、
前記ハウジングに回転可能に連結されたホイールと、
前記ホイールの周囲に配置された縫合糸に張力をかけることができるように前記ホイールの一定方向への回転を許容するとともに、前記ホイールの第2の反対方向への回転を阻止する歯止め機構と、
を具備する、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置において、
前記縫合糸伸張組立体に連結されたレバー、
をさらに具備し、
前記レバーは、前記ホイールの前記第2の反対方向への自由な回転を許容するために前記歯止め機構を解除するように構成されている、装置。
【請求項8】
縫合糸留め具組立体において、
縫合糸が結合されたインサート、および前記インサートを覆うように配置可能なスリーブを有する縫合糸留め具であって、前記インサートと前記スリーブとの間に前記縫合糸を固定するように構成された、縫合糸留め具と、
配備装置であって、
前記縫合糸に結合された縫合糸伸張要素を備えたハウジングであって、前記インサートと前記縫合糸伸張要素との間で前記縫合糸に張力をかける、ハウジング、および、
前記ハウジングに移動可能に連結され、前記スリーブに結合された遠位端を有する作動機構であって、前記縫合糸が前記縫合糸伸張要素と前記インサートとの間で不動のままである間に、前記作動機構は、前記スリーブが前記インサートを覆うように前記スリーブを位置付けるように構成されている、作動機構、
を有する、配備装置と、
を具備する、縫合糸留め具組立体。
【請求項9】
請求項8に記載の縫合糸留め具組立体において、
前記ハウジングを貫いて延びるインサーターシャフトであって、前記作動機構に連結された近位端、および前記スリーブに連結された遠位端を有する、インサーターシャフト、
をさらに具備する、縫合糸留め具組立体。
【請求項10】
請求項9に記載の縫合糸留め具組立体において、
前記ハウジングは、前記ハウジングから遠位方向に延びる外側シャフトを含み、
前記インサーターシャフトは、前記外側シャフトの中を通って延びる、縫合糸留め具組立体。
【請求項11】
請求項10に記載の縫合糸留め具組立体において、
前記インサーターシャフトの周りにスライド可能に配置されたプッシャであって、前記外側シャフトの遠位端と前記インサートの近位端との間に位置付けられた、プッシャ、
をさらに具備する、縫合糸留め具組立体。
【請求項12】
請求項9に記載の縫合糸留め具組立体において、
前記作動機構は、前記ハウジングに対してスライド可能に移動可能であり、前記作動機構および前記留め具挿入組立体が、前記ハウジングおよび前記外側シャフトに対してスライドして、前記インサートを覆うように前記スリーブを位置付けるようにしている、縫合糸留め具組立体。
【請求項13】
請求項8に記載の縫合糸留め具組立体において、
前記作動機構は、ハンドル組立体であって、前記ハンドル組立体に旋回可能に連結された引金を有する、ハンドル組立体を具備し、
前記引金の旋回運動は、前記ハンドル組立体を前記ハウジングに対して移動させるのに有効である、縫合糸留め具組立体。
【請求項14】
縫合糸留め具を配備する方法において、
配備装置の遠位端に連結された縫合糸留め具を骨に挿入する工程と、
前記縫合糸留め具の内側部品と前記配備装置のハウジングに位置する縫合糸保持要素との間に縫合糸を連結する工程と、
ハンドル組立体を作動させて前記縫合糸留め具の外側部品を前記縫合糸留め具の前記内側部品の上に位置付け、これにより、前記内側部品と前記外側部品との間に前記縫合糸を固定する工程であって、前記ハンドル組立体が作動された際に、前記ハウジングおよび前記内側部品が互いに対してほぼ一定の位置に留まり、前記内側部品と前記ハウジングとの間に延在する前記縫合糸に加えられた張力がほぼ一定に留まるようにする、工程と、
を含む、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2008−36435(P2008−36435A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−203520(P2007−203520)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(507083478)デピュイ・ミテック・インコーポレイテッド (47)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Mitek,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,Massachusetts 02767 United States of America
【Fターム(参考)】