説明

強化導電性ポリマー

本発明は、強化導電性ポリマー組成物に関する。本発明のポリマー組成物は、改善された剛性および導電性を有し、炭素フィブリルを含有し、このフィブリルの少なくとも一部分は凝集体の形態であり、そしてこの凝集体の実質的全部は、面積ベースで測定して、約35μmよりも小さい径を有する。この改善された剛性および導電性を有するポリマー組成物は、その少なくとも一部分は凝集体の形態である炭素フィブリルをポリマー材料と配合し、この配合物を混合して、当該フィブリルを当該ポリマー材料中に分布させ、次いでこの配合物に剪断力を適用して、当該凝集体の実質的全部が、約35μmよりも小さい径を有するまで、この凝集体を分解させることによって製造される。

【発明の詳細な説明】
強化導電性ポリマー 本出願は1993年3月31日付けで出願された米国出願出願番号08/040,895号の継続出願である。
発明の分野 本発明は一般的に伝導性ポリマー、さらに特に優れた剛性を有する、導電性、静電気放電性および静電気帯電防止性のポリマーに関するものである。
発明の背景 部品からの静電荷の放電、静電吹付塗装および電磁波の透過を防ぐための電気部品のシールディングを包含する多くの用途において、導電性ポリマー材料が望まれている。ポリマーの導電性を増大させるための初歩的方法は、ポリマーに導電性添加剤、例えば金属粉末、金属繊維、イオン性導電性ポリマー、内在的導電性ポリマー粉末(例えば、ポリピロール類)、炭素繊維またはカーボンブラックなどを充填する方法である。しかしながら、これらの方法はそれぞれ、いくつかの欠点を有する。金属繊維および粉末が補強されたポリマーは貧弱な腐食耐性および不充分な機械的強度を有する。さらにまた、それらの濃度は高荷重が必要である。従って、これらの使用は多くの場合に実用的ではない。
ポリアクリロニトリル(“PAN”)またはピッチ−ベース炭素繊維を添加して、導電性ポリマーを造り出した場合には、導電性を得るために要する多量の充填剤含有量が、原料樹脂に特異な特性を劣化させる結果をもたらす。複雑な形状を有する最終製品を射出成型により形成する場合には、当該繊維のサイズが比較的大きいことから、不均一な充填剤分布および繊維整列がもたらされる傾向があり、これによって不均一な導電性が生じる。
原則的に、これらの因子および価格の観点から、カーボンブラックがかなりの用途で添加剤として選択されるようになった。しかしながら、カーボンブラックの使用はまた、多くの格別の欠点を有する。第一に、ポリマーの導電性の達成に要するカーボンブラックの量は比較的多く、すなわち10〜60%である。第二に、導電性カーボンブラックの形態学的「構造」は、高剪断溶融処理中に破壊される。この形態学的構造は、ポリマーの剛性物性を多くの用途にとって低すぎる点にまで減少させる要因になる。剛性レベルが指定用途にとって適当である場合でも、カーボンブラックが製品の表面から脱落または擦り落とされる問題が生じることがある。さらにまた、代表的なカーボンブラック製造方法に固有であり、そこから生じる化学的夾雑物が、これらの物質の使用、例えば自動車部品における使用を非実用的なものとする。
多くの用途において、このカーボンブラックの代わりに、炭素フィブリルが使用されている。例えば、炭素フィブリルをカーボンブラックよりも少ない量でポリマーに添加すると、導電性最終製品を生成させることができることが認識されている。(例えば、1992年6月10日付けで出願された米国出願出願番号896,317号参照、この出願は本出願と同一譲渡人に譲渡されており、引用してここに組み入れる)。ポリマーに炭素フィブリルを添加すると、最終製品の引張物性および曲げ物性を増大させることができることも認識されている。(例えば、1990年4月18日付けで出願された米国出願出願番号511,780号
参照、この出願は本出願と同一譲渡人に譲渡されており、引用してここに組み入れる)。
炭素フィブリルは典型的に、当該フィブリルの円柱状軸に実質的に同心的に沿って沈着されているグラファイト外層を有するうねうねした管の形態を有する。
好適には、このフィブリルは実質的に、熱分解的に沈着した熱炭素(thermal carbon)外層を有していない。
炭素フィブリルは、少なくとも5の、さらに好ましくは少なくとも100の長さ−径比を有する。さらにより好適なフィブリルは、少なくとも1000の長さ−径比を有する。このフィブリルの壁厚みは、好ましくは3.5〜75ナノメーターである当該フィブリルの外径の約0.1−0.4倍である。強化フィブリルが要求される用途では、例えばフィブリルを補強材として使用する場合には、フィブリル外径はその長さ以上で実質的に一定である。
モイ(Moy)らにより1992年3月18日付けで出願された米国出願出願番号855,122号(この出願は本出願と同一譲渡人に譲渡されており、引用してここに組み入れる)およびウエハラ(Uehara)らにより1991年2月23日付けで出願された米国出願出願番号654,507号(この出願は本出願と同一譲渡人に譲渡されており、引用してここに組み入れる)には、フィブリル凝集体の製造およびそれらの導電性ポリマー製造における使用が開示されている。
モイらは、特定の形態の炭素フィブリル凝集体、すなわちコーマ糸形態の炭素フィブリル凝集体の製造を開示し、また複合物品におけるその使用に言及している。しかしながら、ポリマー組成物に導電性と許容されるノッチ付衝撃強さまたは引張伸びの両方を得るために、この凝集体をどの位の量で使用すべきかは教示していない。ウエハラらはまた、ポリマー材料におけるフィブリル凝集体の使用を開示している。このフィブリル凝集体は100〜250ミクロンの好適径範囲を有するものである。これらのフィブリル凝集体をポリマー組成物に添加し、次いで処理すると、導電性が得られる。しかしながら、ノッチ付衝撃強さは、大部分の衝撃を伴う状況で使用するには低すぎる。
発明の目的 本発明の目的は、満足な表面外観および工業基準と少なくとも同一の水準の剛性を有する最終目的製品に容易に成型することができる、導電性、静電気放電性または静電気帯電防止性のポリマー組成物を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、炭素フィブリルを含有し、このフィブリルが組成物の機械的物性を工業基準と少なくとも同一の水準にするような充分に小さい径の凝集体からなる導電性、静電気放電性または静電気帯電防止性のポリマー組成物を提供することにある。
本発明のさらにもう一つの目的は、充填剤を含有していない相当するポリマー組成物のノッチ付衝撃強さよりも75%より大きいノッチ付衝撃強さを有する、フィブリル充填した導電性、静電気放電性または静電気帯電防止性のポリマー組成物を提供することにある。
本発明のさらにもう一つの目的は、稀釈でき、これによって比較的少ないフィブリル充填量および工業基準と少なくとも同一の水準の機械的物性を有する導電性、静電気放電性または静電気帯電防止性の最終製品を製造することができる、ポリマーマスターバッチ組成物を提供することにある。
本発明のさらにもう一つの目的は、炭素フィブリルを含有し、このフィブリルの少なくとも一部分が凝集体の形態を有し、当該組成物を処理すると当該フィブリル凝集体のサイズが減少して、生成した目的製品の機械的物性を工業基準と少なくとも同一の水準することができる、導電性、静電気放電性または静電気帯電防止性ポリマー組成物の製造方法を提供することにある。
発明の要旨 その少なくとも一部分が凝集体の形態であり、この凝集体の実質的に全部のサイズが、面積ベースで測定して、35μm以下に減少されている場合に、このような炭素フィブリルを0.25〜50重量%の割合で添加すると、商業的に許容される導電性および剛性の両方を備えたポリマー組成物を提供することができることが予想外に見出だされた。好ましくは、この凝集体の少なくとも90%は、面積ベースで測定して、25μmよりも小さい径を有する。さらに好ましくは、この凝集体の少なくとも90%は、面積ベースで測定して、5μmよりも小さい径を有する。
本発明はまた、1.0〜60重量%の炭素フィブリルを含有し、面積ベースで測定して、約50μmよりも大きい径を有するフィブリル凝集体を実質的に含有していない、ポリマーマスターバッチ組成物を包含する。存在するフィブリル凝集体の少なくとも95%が35μmよりも小さい径を有すると好ましい。
1種または2種以上の選択されたポリマー材料と0.25〜50重量%の炭素フィブリルとを組み合わせることによって、許容される剛性を有する、導電性、静電気放電性または静電気帯電防止性のポリマー組成物を製造することができる。この配合物を混合して、その少なくとも一部分が凝集体の形態であるフィブリルをポリマー材料中に分布させる。この配合物に剪断力を適用して、この凝集体の実質的全部を、面積ベースで測定して、35μmよりも小さい径にまで分解させる。
この組成物は好ましくは、約1×1011オーム/cmより小さい体積抵抗率および0.5フィート−ポンド/インチよりも大きい、さらに好ましくは2フィート−ポンド/インチよりも大きい、最も好ましくは5フィート−ポンド/インチよりも大きい、IZODノッチ付衝撃強さまたは充填剤を含有していない相当するポリマー材料の引張伸びの少なくとも75%の引張伸びを有する、所望の形状の最終製品に成型される。この特性の組み合わせは、本発明を広範囲の剛性が要求される状況で使用するのに適するものとする。
図面の簡単な説明 図1は、マスターバッチ混合物中の炭素フィブリルの分散処理に使用されたものとして、粘度釣り合せ現象を描いたグラフである。
詳細な説明 炭素フィブリルの製造 フィブリルは、炭素含有気体を反応器内で、適当な期間にわたり、適当な圧力の下に、前記形態を有するフィブリルが生成されるのに充分の温度において、金属触媒と接触させることによって製造される。この反応温度は一般に、400〜850℃、さらに好ましくは600〜750℃である。有利には、フィブリルは、反応器を反応温度にし、金属触媒粒子を添加し、次いでこの触媒を炭素含有気体と連続的に接触させることによって連続的に製造する。
適当な供給気体の例には、脂肪族炭化水素、例えばエチレン、プロピレン、プロパンおよびメタン;一酸化炭素;芳香族炭化水素、例えばベンゼン、ナフタレンおよびトルエン;およびまた酸素含有炭化水素が包含される。
好適触媒は、鉄および好ましくは、第V族(例えば、モリブデン、タングステンまたはクロム)、第VII族(例えば、マンガン)あるいはランタニド類(例えば、セリウム)から選択される少なくとも1種の元素を含有する。好ましくは金属粒子の形態である、この触媒は、支持体、例えばアルミナおよびマグネシア上に沈着させることができる。
フィブリルは、その少なくとも一部分が凝集体の形態であるような方法で製造することができる。本明細書で使用するものとして、凝集体の用語は、2本または3本以上のフィブリルが絡み合っているものであると定義される。フィブリル凝集体は代表的に、走査電子顕微鏡で測定して、顕微鏡的形態を有しており、これらは相互に無作為に絡み合って、鳥の巣(“BN”)に似た、フィブリルが絡み合ったボールを形成している。あるいはまたこの凝集体は、実質的に同一の相対配列を有し、かつまたコーム糸(“CY”)の外観を有する、直線状ないし僅かに屈曲した、あるいは編み込まれた炭素フィブリルの束からなる凝集体であり、例えばこのコーム糸形態の凝集体は曲ったまたは編み込まれたフィブリルを除いて、各フィブリルの長軸が束の周囲のフィブリルの長軸と同一方向に伸びている、直線状ないし僅かに屈曲している束からなる。あるいはまた、この凝集体は、直線状ないし僅かに屈曲しているか、または編み込まれたフィブリルが相互にゆるく絡み合っている、「オープンネット」(“ON”)構造を形成しているフィブリルからなる。オープンネット構造において、そのフィブリルの絡み合い度はコーム糸形態凝集体で見られるものよりも大きいが(すなわち、コーム糸形態凝集体では、各フィブリルが実質的に同一の相対整列を有する)、鳥の巣形態の場合よりも小さい。CY凝集体およびON凝集体は、BN凝集体に比較して、より容易に分散され、これによって部分的応力集中が排除され、その構造全体にわたり良好な機械的物性が望まれる複合組立物品におけるこれらの有用性を高める。各フィブリルが実質的に直線状である凝集体は、EMIシールディングおよびその他の電気用途において、さらに効果的である。
当該凝集体の顕微鏡的形態は、触媒支持体の選択によって制御することができる。球状支持体は、フィブリルを全方向に延ばし、鳥の巣形態の凝集体の形成をもたらす。コーム糸形態およびオープンネット形態の凝集体は、1つまたは2つ以上の容易に引き裂くことができる平坦な表面を有する支持体を使用して製造され、例えば1つまたは2つ以上の容易に引き裂くことができる平坦な表面を有し、少なくとも1平方メーター/グラムの表面積を有する支持材料上に鉄または鉄含有金属触媒粒子を沈着させて使用することによって製造される。
好適支持材料には、管状、プリズム状または小片状結晶の凝集体の形態のアルミナまたはマグネシアが包含される。このような材料は、例えば活性アルミナの場合は、アルコア(Alcoa)から、そしてマグネシアの場合には、マーチン マリエッタ(Martin Marietta)から市販されている。活性アルミナ支持体は、主としてコーム糸形態凝集体を生成させ、他方マグネシア支持体は、主としてオープンネット形態の凝集体を生成させる。デグッサ(Degussa)から市販されている球状ガンマアルミナ粒子は、鳥の巣形態凝集体を生成させる。
容易に切り裂くことができる平坦な表面を有する支持体上に触媒を沈着させると、フィブリルが相互に支持し合って成長し、「隣接」(neigbor)効果が得られる。平坦な表面上に配置された触媒粒子がフィブリル成長を開始させるにしたがい、各フィブリルはそれらの「隣接」によって、影響を受ける。活性アルミナ支持体の場合に、これは各フィブリルが同一の相対配列を有するコーム糸形態のフィブリル凝集体を生成させる。マグネシア支持体は容易に切り裂くことができる平坦な表面を有するが、これらはフィブリル成長期間中に、活性アルミナ支持体に比較して、より小さい粒子に容易に分解することから、主として僅かに絡み合ったオープンネット形態のフィブリル凝集体を生成させる。これによって、コーム糸形態凝集体よりも低い整列度を有するが、堅く絡み合ったボール形態のフィブリルよりも高い整列度を有する凝集体が生成される。金属触媒粒子の生成に、酸化物前駆体を使用すると、当該支持体の分解傾向に影響を与える。この酸化物と支持体とは、それらの境界で混合酸化物をより容易に生成させることができるので、支持体はより容易に分解されるものと見做される。
炭素フィブリルおよび炭素フィブリル凝集体を製造するための触媒の生成は、フィブリル形成性触媒と収量増加有効量のカルボキシレート、例えば低級カルボン酸またはその塩とを接触させることによって実質的に改良することができる。
この方法は好もしくは、有効量のフィブリル形成性金属を、カルボキシレート、例えば好ましくは炭素原子1〜4個を有する、水溶性のカルボン酸のアニオンなどの存在の下に、水性溶液から支持材料粒子上に沈殿させることによって行う。
炭素フィブリルおよび炭素フィブリル凝集体を製造するための触媒の製造を実質的に改良するもう一つの方法は、フィブリル形成性触媒作用を有する金属とアルミニウムまたはマグネシウム化合物とを、制御pH条件の下に、共沈殿させ、アルミニウムまたはマグネシウムの化合物および金属(1種または2種以上)の化合物からなる触媒を生成させる工程を包含する。望ましくは、鉄および(または)モリブデンの塩の水性溶液およびアルミニウム塩の水性溶液を形成し、これらの金属を共沈殿させて、混合酸化物触媒を生成させる。
フィブリル形成性触媒はまた、炭素粒子上に、望ましくは特定の特性を有する炭素フィブリルからなる炭素フィブリル凝集体上に、有利に支持させることができる。活性フィブリル形成性金属は好ましくは、鉄または鉄とモリブデンであり、好ましくはこれらの活性金属触媒を、前記したアルミナまたはマグネシアとの混合酸化物として、フィブリル凝集体上に沈着させる。
これらのフィブリル形成性触媒の製造方法およびこれらの触媒それら自体は、フィブリル形成性触媒金属の単位あたりのフィブリル収量を増加させる。フィブリル形成性触媒の製造中に、カルボキシレート処理を行うと、さらに大きい生産性を有する触媒が得られる。触媒金属(1種または2種以上)とアルミニウムまたはマグネシウム化合物とを共沈殿させると、より多くの活性金属含有量を有し、従ってより大きい生産率を有する触媒が得られる。さらにまた、触媒支持体としてフィブリル凝集体を使用すると、これら自体が大規模フィブリル生産法を導く。これらの触媒を使用して、テンネント(Tennent)により米国特許第4,663,230号に開示されたもののようなフィブリル(本発明によるフィブリルは、このフィブリルよりも高い純度を有する)ばかりでなく、また相違する形態を有するフィブリル、例えばジェイ.ダブリュー.ゲウス(J.W.Geus)に対するヨーロッパ特許出願公開第198,558号(1986年10月22日発行)に開示されたもののような、いわゆる魚骨(“FB”)形態を有するフィブリルの製造にも使用することができる。
ポリマー 本発明に従い、0.25〜50重量%の炭素フィブリルが、選択した有機および無機ポリマーに添加される。さらに好ましくは、2〜5重量%の炭素フィブリルを、選択したポリマーに添加する。一般に、好適群のポリマーには、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、エラストマーおよび無機ポリマーが包含される。或る種のポリマーアロイ(この用語は、1種または2種以上の、混和性の、または部分的に混和性のポリマーと定義される)および配合物(この用語は、分離した非混和性相と定義される)もまた好適である。熱硬化性樹脂およびエラストマーの特定の例には、ポリウレタン類、天然ゴム、合成ゴム、エポキシ、フェノール系、ポリエステル類、ポリアミド類およびシリコーン類が包含される。熱可塑性樹脂の特定の例には、ポリアセタール、ポリアクリル系、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリカーボネート類、ポリスチレン類、ポリエチレン、スチレン−アクリロニトリル、ポリプロピレン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン類(6、6/6、6/10、6/12、11または12)、ポリアミド−イミド類、ポリアクリレート類、ポリウレタン類、熱可塑性オレフィン類(すなわち、ポリプロピレン/衝撃変性剤、例えばエチレン、プロピレンおよびゴム)、熱可塑性エラストマー類、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニルクロライド、塩素化ポリビニルクロライド、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、パーフルオロアルコキシ、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリエーテルケトンエーテルケトンケトンが包含される。
ポリマーアロイおよび配合物の特定の例には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン/ナイロン、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン/ポリビニルクロライド、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル/ナイロン、ポリスルホン/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリカーボネート/熱可塑性ウレタン、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート、熱可塑性エラストマーアロイ、ナイロン/エラストマー、ポリエステル/エラストマー、ポリエチレンテレフタレート/ポリブチルテレフタレート、アセタール/エラストマー、スチレン−無水マレイン酸/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリエーテル/エーテルケトン/ポリエーテルスルホン、ポリエチレン/ナイロンおよびポリエチレン/アセタールが包含される。無機ポリマーの特定の例には、リンベースの化合物およびシリコーン類が包含される。
本発明の好適態様において、ポリマーは、有利な物性を有するポリマーおよび相溶化剤またはポリマーの配合を容易にする変性樹脂と相溶化剤の配合物からなる。このような配合物の特定の例には、ポリアミド類(例えばナイロン類)またはポリカルボン酸反応剤とポリフェニレンオキサイド(PPO)またはポリフェニレンエーテル(PPE)が包含される。このような相溶化剤または相溶化剤および変性樹脂とポリマーとの配合物の例は、米国特許第4,988,775号および同第5,132,365号およびまたヨーロッパ特許出願第90124310.5号、同第90300841.5号、同第91112496.4号および同第92109100.5号に記載されている。
本発明のさらにもう一つの態様においては、フィブリルをPTC(正の温度係数)材料中に配合する。
炭素フィブリル 本発明に関連する炭素フィブリルは好ましくは、分離したフィブリルとフィブリル凝集体との組み合わせからなる。しかしながら、このフィブリルは全部が凝集体の形態であることもできる。存在する場合に、凝集体は一般に、鳥の巣形態、コーン糸形態またはオープンネット形態である。さらに「絡み合わされた」凝集体は、適当な組成物の生成により多くの処理を必要とする。これは、コーム糸形態またはオープンネット形態の凝集体の選択が大部分の用途に対してより好ましいことを意味する。しかしながら、鳥の巣形態凝集体も一般に、充分である。
以下で説明するように、フィブリル凝集体のサイズが一定点以下に減少されると、改善された剛性を有する導電性ポリマー組成物が得られる。従って、フィブリルの実質的部分が分離した形態を有すると好ましい。これは、減少させなければならず、あるいは最終製品において、剛性に有害に作用する物理的破裂をもたらすことがある、大型凝集体の数が最低であることを意味する。
ポリマー中への炭素フィブリルの分散 フィブリルは、例えばヘンシェル(Henschel)によって製造されている高速ミキサーを使用して、ポリマー中に分布させる。次いで、例えばベルナー−フェレイデラー(Werner−Pfleiderer)から入手することができる共回転式二軸スクリュー押出機、レイストリッツ(Leistritz)
により製造されている対向回転式二軸スクリュー押出機、またはバス(Buss)により生産されているコークニーダー(Ko−Kneader)を使用して、剪断力を施し、フィブリル凝集体のサイズを減少させる。この剪断力は、存在する凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約35μmより小さい径に減少されるまで、好ましくは存在する凝集体の少なくとも90%が、面積ベースで測定して、約25μmより小さい径に減少されるまで、適用する。さらに好ましくは、この剪断力は、存在する凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約5μmより小さい径に減少されるまで、さらに好ましくは存在する凝集体の98%が、面積ベースで測定して、約3μmより小さい径に減少されるまで適用する。
一般に、カーボンブラック充填ポリマーの生成に使用される分散技術は、炭素フィブリルのポリマー中への分散には有効ではない。例えば、通常のカーボンブラック処理技術に従い使用した場合に、2−ロールミルは一般に、炭素フィブリルのポリマー材料中への分散には有効ではない。同様に、一軸スクリュー押出機または密閉式ミキサーは一般に、ポリマー材料中にフィブリルを充分にかつまた均一に分散させない。
マスターバッチ混合物中への炭素フィブリルの分散 高濃度で炭素フィブリルを含有するマスターバッチは、選択したポリマー材料が低融点を有するか、または低加工粘度を有する場合に、好ましく使用される。
マスターバッチ中には、フィブリルがより高濃度で存在することによって、分散を生じさせる剪断力が高められることから、フィブリルがより容易に分散される。
引き続いて稀釈することができるマスターバッチは、1種または2種以上の選択したポリマーに、1.0〜60重量%の炭素フィブリルを添加することによって製造される。その少なくとも一部分が凝集体の形態であるフィブリルをポリマー中に分布させ、次いで剪断力を適用して、この凝集体の実質的全部を、面積ベースで測定して、約50μmより小さい径に減少させる、好ましくはこの凝集体の90%を、面積ベースで測定して、約35μmより小さい径に減少させる。さらに好ましくは、この凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約7μmより小さい径に減少されるまで、剪断力を適用する。
フィブリル マスターバッチに係わり望ましい性質を得るためには、カーボンブラックに関しては慣用ではない、或る種の処理指針に従わなければならない。
低融点で粘性の品質の樹脂はフィブリル凝集体が占めている容積中への樹脂の浸透を可能にすることから、マスターバッチ調製物に好適である。同様に、処理温度は、低粘度樹脂に対して、初期には高く設定すべきである。これは、浸透および効果的な「湿潤」または配合を可能にする。下流温度は好ましくは、低く設定して、より大きい剪断応力により凝集体サイズを減少させて、分布混合を助長することができる。この分布混合および引き続く分散混合を一工程で組み合わせることは、カーボーンブラック処理の場合には典型的ではない。
マスターバッチの製造に採用される配合方法に関わる変法は、改善された分散度および導電性を有する最終製品をもたらす。例えば、混合を促進させるために、レットダウン(letdown)樹脂を、配合処理の下流で添加すると、分散度および導電性を改善することができる。特定の理論に結び付けられないが、この理由は、このレットダウン樹脂とマスターバッチとの粘度釣り合わせが達成されることによるものと信じられる。溶融した濃縮物に稀釈樹脂を添加することによって、これらの2種の成分(すなわち、濃縮物と稀釈樹脂)が均等粘度段階に到達し、稀釈樹脂中への濃縮物の分布混合が促進される。この粘度釣り合い現象は図1に示されている。
若干の場合に、最終配合物は1工程で製造される。このマスターバッチを前記した技術を使用して溶融配合し、次いでレットダウン樹脂を下流で添加する。かなりの樹脂の場合に、フィブリルが配合機のこの添加部位に到達する以前に、フィブリルを完全に、またはほとんど分散させる。従って、配合工程の1つを省略することができ、このようなフィブリル含有配合物の製造費用を減少させることができる。
最終製品 フィブリル充填したポリマー組成物は最終的に、射出成型、吹込成型、RIM、押出成型などによって、予め選択された形状に形成される。このフィブリル充填し、成型した製品は、導電性であり、かつまた他の物質を充填した導電性、静電気放電性、または静電気帯電防止性のポリマー製品に比較して優れた剛性物性を有する。他の物質を充填した生成物は、最終製品に優れた曲げ強さおよび引張強さを付与することが証明されているが、現在まで、導電性、大きいノッチ付き衝撃強さおよび大きい引張強さと組み合わされて、これらの物性を提供する充填剤はなかった。前記したように、ポリマー材料中のフィブリル凝集体の実質的全部のサイズを特定のサイズ以下に減少させることによって、相当する無充填ポリマーから製造された最終製品のノッチ付き衝撃強さおよび(または)引張伸びに近いノッチ付き衝撃強さおよび(または)引張伸びを有する最終製品を得ることができる。これは、従来では、金属およびその他の固有に導電性を有する物質に制限されていた広範囲の用途で、未処理ポリマー材料を使用することを可能にする。最終製品の例には、静電塗装に適した自動車部品、静電塗装に適した家庭用電気器具、EMIシールド可能なコンピューター外装、および静電気放電に適した集積回路トレーおよびマイクロエレクトロニクスパッケージが包含される。本発明は、大きい耐衝撃強さ、大きい引張強さ、および溶剤耐性を有する、静電荷を放電することができる材料が望まれる用途に有用である。詳細に言えば、このような物性は、自動車工業において、燃料制御/供給部品、例えば燃料管、フィルター類、ポンプ類、タンク類、接続部品および手すりなどの最終製品に特に意義を有する。
本発明のもう一つの態様において、導電性媒体としてフィブリルを使用して、PTC材料が造り出される。PTC材料は、抵抗率の急峻な勾配を有する正の温度係数(positive temperature coefficient)を示すポリマー複合材料である。このような複合材料には、通常高密度ポリエチレンが選択される。PTC効果を示す導電性ポリマーは、かなりの用途を有するが、周辺温度に対して敏感な電気回路に特に適している。これらの材料はまた、特定温度に対して電流を制限する装置、すなわちサーモスタット、およびまた電流が高レベルへの電流に不慮に上昇するのを防止する、回路防護装置として働くことができる。
以下に、炭素フィブリルを含有する、導電性で高剛性を有するポリマー組成物の製造例を示し、この結果を表I〜IXに示す。
例I 標準的カーボンブラック処理方法例1 カーボンブラック補強した導電性ポリマーの製造に使用される標準方法は以下のとおりである。
ポリアミド三元重合体ペレット100gを、260℃で2−ロールミル上に分散させた。フィブリル塊の少なくとも95%が100μmよりも大きい径を有する鳥の巣形態凝集体からなるフィブリル5gを添加した。この混合物を次いで、カーボンブラック配合技術にしたがい、約10分間粉砕した。この配合物を次いで、一軸スクリュー押出機によりペレット化した。


例II 低耐衝撃性ポリマー組成物例2A 射出成型品種のポリアミド−6ペレットおよびフィブリル塊の少なくとも95%が100μmよりも大きい径を有する鳥の巣形態凝集体からなる炭素フィブリルを、110℃で12〜16時間乾燥させ、次いで95:5の樹脂:フィブリル重量比で、オーガー式供給装置を用いて、ベルナー−フェレイデラー(Werner−Pfleiderer)ZSK−30共回転式二軸スクリュー押出機に供給した。この押出機に25%より小さい高剪断混練エレメントを据え付けた。一定時間内に処理される原料の量は、15〜20ポンド/時間であった。処理温度は、供給口部位で265℃からダイ部位で250℃まで5℃のグラデーションに設定した。スクリュー速度は、115RPMであった。生成物をストランドペレット化し、次いで120℃で12時間乾燥させた。これを次いで、ネグリ−ボッシ(Negri−Bossi)から入手できる44−トン射出成形機において、250℃の溶融温度および65℃の成型温度で、1/4インチ×1/2インチ×6インチ寸法の棒形に成型した。
例2B 例2Aの方法を、85:15の樹脂:フィブリル比で反復して、中間マスターバッチを生成した。処理条件は例2Aと同一であったが、一定時間内に処理される原料の量は、8〜11ポンド/時間であった。このマスターバッチ材料100フィブリルの最終比を95:5にした。このペレット状配合物を次いで、例2Aで使用した条件と同一条件の下に、射出成型した。
例2C 例2Bの方法を、供給材料として500μmより小さい粒子サイズを有する、射出成型品種のポリアミド−6樹脂を用いて反復した。押出処理する前に、この樹脂を、ヘンシェル(Henschel)から入手できる高速ミキサーにおいて、鳥の巣形態凝集体からなる炭素フィブリルと、1〜3分間予備混合した。
例2D 例2Cの方法を、レイストリッツ(Leistritz)GG−34対向回転式二軸スクリュー押出機を用いて反復した。この押出機は高剪断モードに設定した。処理温度は、供給口部位で300℃からダイ部位で270℃まで10℃のグラデーションに設定した。スクリュー速度は、150RPMであった。一定時間内に処理される原料の量は、7〜10ポンド/時間であった。
例2E 炭素フィブリルを充填していないポリアミド−6ペレットを、例2Aに記載の処理条件と同一条件の下に、押出機に供給した。この組成物を次いで、ペレット化し、次いで射出成型した。


例III 耐衝撃性を有するポリマー組成物例3A 低粘度品種のポリカーボネート樹脂を、500μmより小さい粉末状にし、次いでヘンシェル(Henschel)高速ミキサーにおいて、フィブリル塊の少なくとも95%が100μmよりも大きい径を有するコーム糸形態凝集体からなる炭素フィブリルと、80:20の樹脂:フィブリル重量比で、予備配合した。
この配合物を次いで、中間剪断モードに設定したバス(Buss)70mmコ−クニーダー(Ko−Kneader)に供給して、このマスターバッチ生成物の配合およびペレット化を行った。処理温度は、280℃に設定した。スクリュー速度は、175RPMであった。一定時間内に処理される原料の量は、70〜100ポンド/時間であった。
このペレット化した生成物をポリカーボネート(“PC”)、ポリブタジエンおよびスチレン−アクリロニトリル(“SAN”)と配合して、炭素フィブリル2%、ポリカーボネート69%およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(“ABS”)29%を含有する混合物を生成した。この混合物を前記と同一の条件の下に、しかし温度は260℃にして、上記混練機に通した。この生成物を120℃で4時間乾燥させ、次いでバンドーン(Van Dorn)から入手できる70トン機械において、275℃の溶融温度および70℃の成型温度で射出成型した。
例3B 例3Aの方法を、90:10の樹脂:フィブリル比で反復し、ベルナー−フレイデラー(Werner−Pfleiderer)ZSK−30共回転式二軸スクリュー押出機に供給した。この押出機に50%より大きい高剪断混練エレメントを据え付けた。一定時間内に処理される原料の量は、9〜15ポンド/時間であった。処理温度は、供給口部位で300℃からダイ部位で280℃まで5℃のグラデーションに設定した。スクリュー速度は、150〜200RPMであった。
例3C ポリカーボネートを、スチレン−アクリロニトリルおよびポリブタジエンと配合し、例3Aに記載の条件と同一条件の下に、バス(Buss)コ−クニーダー(Ko−Kneader)に供給した。この組成物を次いで、ペレット化し、射出成型した。


導電性、凝集体サイズおよび機械的強度の評価 フィブリル凝集体を含有する各例に係わり、最終製品の少なくとも2片をダイアモンド刃を有する限外ミクロトームにより1μmより小さい大きさで、切り取り、分散度を測定した。各片は、100倍の光学顕微鏡の下で観察した。フィブリル凝集体の観察された最大流体力学的径を記録し、これらの凝集体により占拠されている目に見える領域の面積を計算した。体積抵抗率および(または)表面抵抗率は、ASTM法D−257に従い測定した。静電減衰(staticdecay)は、キースレイ(Keithley)から入手できるモデル617電位計により測定した。IZODノッチ付き衝撃強度は、ASTM法D−256に従い測定した。引張強さ、モジュラスと伸び;曲げ強度とモジュラス;およびまたノッチなし衝撃強さは、若干の例について測定した。




低耐衝撃性および高耐衝撃性ポリマー組成物におけるフィブリル充填 例Iは、一つの標準カーボンブラック処理技術が炭素フィブリルポリマー組成物には適用できないことを証明している。カーボンブラックの分散に慣用の2−ロールミルは、フィブリルのポリマー材料中での適度の分布および分散を失敗させた。このことは、試料の高い抵抗率によって示される。
例IIは、フィブリル充填したポリマー組成物における、処理技術と機械的性質との間に関係があることを示している。例2Aおよび2Bの充填ポリマーは例2Cの充填ポリマーに比較して、より小さい導電性および耐衝撃強さを示し、これらの充填ポリマーは、慣用のカーボンブラック処理技術が一般に、フィブリル充填ポリマー組成物において望ましい導電性および耐衝撃強さを得るためには不充分であることを確認させる。これらの例の試料のミクロ構造の評価は、それらのフィブリル凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、5μmよりも小さい径を有する組成物のみが、望ましい導電性と機械的強度または剛性との組み合わせをもたらすことを示した。
表VIは、表IVに示されている粒子サイズ対IZODノッチ付き衝撃強さのグラフである。全体として、これらの2種の特性の間には、基本的に単調な関係が存在するが、粒子サイズが5〜130μm内にある場合には、この関係は直線状であるように見做される。表VIの曲線を参照すると、最大凝集体サイズが35μmよりも小さい径を有するフィブリルが、無充填材料のノッチ付き衝撃強さの少なくとも75%であるノッチ付き衝撃強さを有する最終製品を生成させることが判る。自動車本体部品および家庭用電気器具などの用途では、導電性と大きいノッチ付き衝撃強さとの組み合わせが必要であり、これらの用途では、静電被膜の導電性および破壊耐性に関連するノッチ付き衝撃強さが要求される。


低耐衝撃性および高耐衝撃性フィブリルポリマー組成物における マスターバッチの使用 フィブリルポリマー組成物に係わり、マスターバッチを使用する最終組成物の製造は好適である。(例2B〜2Dおよび3Aおよび3B参照)。例2Aおよび2Bは同一組成を有し、同一出発材料から製造されている。しかしながら、例2Bの組成物の製造には、中間マスターバッチが使用されている。例2Cは、マスターバッチから製造されているが、粉末状樹脂中へのフィブリルの分布に採用されている予備混合工程が相違している。
マスターバッチは、最終生成物に比較して、フィブリルを高濃度で含有していることから、ポリマーマスターバッチ材料全体へのフィブリルの分散に使用される単位あたりの総合作業率は一般に小さい。しかしながら、マスターバッチを、追加のポリマー物質または別種の物質により引き続いて稀釈する場合には、この稀釈物質とマスターバッチとを適当に混合するために、追加の作業が発生する。
これらの特徴の結果として、マスターバッチ配合物中のフィブリル凝集体サイズは、最終組成物中のものに比較して、僅かに大きく、例えば約50μmよりも小さい。
例2A〜2Cで達成されているノッチ付き衝撃強さは大部分の用途における工業基準には適合していないが、粒子サイズとノッチ付き衝撃強さとの間の直線的関係は認識された。(表VI参照)。この認識に基づいて、フィブリル凝集体の実質的全部が、重量ベースで測定して、5μmよりも小さい径に減少されている炭素フィブリルと組み合わせて、高耐衝撃性を有する樹脂が選択された。(例III参照)。
例3Aでは、例2Cで採用された方法が高耐衝撃性を有する樹脂系に適合していた。表Vに示されているように、導電性配合物で、9.2フィート−ポンド/インチのIZODノッチ付き衝撃強さが得られた。この数値は、上記通常の工業基準を満たしており、相当する無充填材料のノッチ付き衝撃強さのほぼ90%である。
例3A〜3Cでは全て、ポリカーボネート(“PC”)連続マトリックス中に、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(“ABS”)が分離した相として残留しているポリマー配合物が使用された。フィブリルマスターバッチはPCからなり、ABSからなるものではないことから、フィブリルのほとんど全部がPC相に残される。この現象は、匹敵するホモポリマー系よりも小さい抵抗率をもたらすバルク組成物よりも実質的に多いフィブリル濃度を創造する。
フィブリルポリマー組成物の過労 例2Dおよび3Bは、過剰剪断および過剰分散がフィブリルポリマー組成物における電気的性質の劣化を生じさせることがあることを証明している。これらの例におけるスクリュー設定は、剪断力の点で非常に高い。この高剪断処理は、劇的に減少された導電性を示す試料をもたらした。すなわち、フィブリル凝集体の実質的全部のサイズを5μmよりも小さくするために、組成物に対して作業が付加された場合には、この組成物の導電性は監視されなければならない。
この追加の作業によって、ノッチ付き衝撃強さは増加するものと見做されることから、導電性の減少が始まった時点で、この追加の作業を中止する必要はないかもしれない。むしろ、導電性が許容レベルの末端に近づいた時点で、この作業を中止することができる。これは一般に、体積抵抗率が、静電気帯電防止または静電気放電の用途に係わり1×1011オーム/cmより大きい場合、静電塗装用途に係わり1×107オーム/cmより大きい場合、そしてまたEMIシールディング用途に係わり1×102オーム/cmより大きい場合に生じる。
例IV フィブリル充填ポリマー組成物のマスターバッチ稀釈例4A 例2Cで製造されたマスターバッチを、ポリアミドおよびポリ(フェニレンエーテル)(“PPE”)と配合して、炭素フィブリル3重量%および樹脂97重量%からなり、ポリアミドとPPEとの割合がほぼ同等である、最終組成を有する組成物を製造した。この組成物を次いで、ベルナー−フレイデラー(Werner−Pfleiderer)二軸スクリュー押出機に通して処理し、次いで射出成型した。
例4B アクゾ(Akzo)から入手できる高導電性カーボンブラックである、ケッジェン ブラック(Ketjen Black)EC−600JDを、ポリアミドおよびPPEと配合し、ケッジェン ブラック3重量%および樹脂97重量%からなり、ポリアミドとPPEとの割合がほぼ同等である、最終組成を有する組成物を製造した。この組成物を次いで、ベルナー−フレイデラー(Werner−Pfleiderer)二軸スクリュー押出機に通して処理し、次いで射出成型した。
例4C ポリアミドとPPEとをほぼ同部で配合し、次いで25%より小さい高速剪断混練エレメントを備えたスクリューを有するベルナー−フレイデラー(Werner−Pfleiderer)ZSK−30二軸スクリュー押出機に通して処理し、次いで射出成型した。
導電性、凝集体サイズおよび機械的強度の評価 導電性、凝集体サイズおよび機械的強度の測定は、例I、IIおよびIIIに前記されている方法にしたがって行った。


フィブリル充填組成物とカーボンブラック充填組成物および無充填ポリ マー組成物との比較 例4Aは、もう一種の高耐衝撃性樹脂系の場合に、フィブリル充填したポリマー配合物が、ホスト樹脂の物理学的性質の重大な劣化を生じることなく、導電性を獲得できることを示している。例3Aの場合と同様に、例4Aにおいて、相当する無充填ポリマー材料のノッチ付き衝撃強さの少なくとも90%が実現された。
例4Bにより示されているように、大きい導電性を有するカーボンブラック充填ポリマー組成物は許容される導電性を有するが、最終フィブリル充填ポリマー組成物と同一水準の物理学的特性は有していない。このカーボンブラック充填ポリマー組成物のIZODノッチ付き衝撃強さは、相当する無充填ポリマー組成物の40%よりも小さい。
例V 形態学的に相違するフィブリル凝集体を含有するポリマー組成物例5A 例3Aで製造されたマスターバッチを、ジー.イー.プラスティックス(G.
E.Plastics)による登録商品名、レキサン(LEXAN)101の高粘度品種のポリカーボネートと配合し、97:3の樹脂:フィブリル最終比にし、次いでベルナー−フレイデラー(Werner−Pfleiderer)二軸スクリュー押出機に供給して、混合し、ペレット形成した。この生成物を乾燥させ、次いで射出成型した。
例5B 鳥の巣形態凝集体からなる炭素フィブリルを、85:15の樹脂:フィブリル比で、25%より小さい高剪断混練エレメントを備えたスクリューを有するベルナー−フレイデラー(Werner−Pfleiderer)ZSK−30で使用して、例3Aの方法を反復した。処理温度は、供給口部位の300℃からダイ部位の280℃まで5℃の上昇率に設定した。スクリュー速度は、150〜175rpmであり、そしてマスターバッチ製造中の一定時間内に処理される原料の量は、12〜15ポンド/時間であった。
このマスターバッチの稀釈は、例5Aで使用した方法にしたがい行った。
例5C 標準カーボンブラック処理技術にしたがい、レキサン(LEXAN)101、ポリカーボネート樹脂を、97:3の樹脂:フィブリル重量比で、ベルナー−フレイデラー(Werner−Pfleiderer)ZSK二軸スクリュー押出機を用いて、ケッジェン ブラック(Ketjen Black)EC−600JDと配合し、次いで射出成型した。
例5D レキサン(LEXAN)101、ポリカーボネート樹脂を、95.5:4.5の樹脂:フィブリル重量比で、ベルナー−フレイデラー(Werner−Pfleiderer)ZSK二軸スクリュー押出機を用いて、ケッジェン ブラック(Ketjen Black)EC−600JDと配合した。この生成物を次いで、射出成型した。
例5E 無充填レキサン(LEXAN)101、ポリカーボネート材料は実際には製造しなかった。その代わりに、この無充填材料の機械的性質は、ジー.イー.プラスティックス(G.E.Plastics)から発行された製品目録から抜粋した。


導電性、凝集体サイズおよび機械的強度の評価 導電性、凝集体サイズおよび機械的強度の測定は、例I、IIおよびIIIに記載の方法にしたがい行った。例5Eのデータは、レキサン(LEXAN)101に係わるジー.イー.プラスティックス(G.E.Plastics)の製品目録から抜粋した。
形態学的に相違するフィブリル凝集体を含有するポリマー組成物とカーボンブ ラック充填ポリマー組成物および無充填ポリマー組成物との比較 例5A〜5Eは、炭素フィブリルを含有する導電性配合物が高導電性カーボンブラックを含有する配合物に比較して格別に大きい剛性を有することをまた示している。フィブリル充填ポリマー配合物と同一レベルの導電性を有するカーボンブラック充填ポリマー配合物は、フィブリル充填ポリマー配合物と同様に良好な機械的性質を有していない。(例5A、5Bおよび5D参照)。カーボンブラックと同一充填剤レベルを有するフィブリルポリマー配合物は、より良好なノッチ付き衝撃強さおよび導電性を有する。
例5Aと例5Bとの間のノッチ付き衝撃強さに係わる差異はフィブリル凝集体の形態によるものと見做すことができる。鳥の巣形態のフィブリルに比較して、初めはより平行で、絡み合い度が少ない凝集体であるコーム糸形態のフィブリルは、配合処理中に、より小さい凝集体に一層容易に分解する。従って、フィブリル凝集体の初期、絡み合い度が少ないほど、最終ポリマー組成物の機械的性質は良好になる。
例VI 屈曲性ポリマー組成物例6A 熱可塑性ウレタン(“TPU”)樹脂粉末を、鳥の巣形態凝集体からなる炭素フィブリルと85:15の樹脂:フィブリル比で、ヘンシェル(Henschel)高速ミキサーで配合し、次いでベルナー−フレイデラー(Werner−Pfleiderer)ZSK−30二軸スクリュー押出機で処理して、マスターバッチを生成した。このマスターバッチを、共回転式二軸スクリュー押出機でTPUペレットと混合して、3重量%の最終フィブリル含有量にした。この配合物を次いで、射出成型した。
例6B 例6Aのマスターバッチを、例6Aの方法にしたがい稀釈して、5重量%の最終フィブリル含有量にし、次いで、射出成型した。
例6C TPU粉末をフィブリルと混合し、97:3の樹脂:フィブリル比を得た。この混合物を、ヘンシェル(Henschel)高速ミキサーを用いて配合し、ベルナー−フレイデラー(Werner−Pfleiderer)ZSK−30二軸スクリュー押出機に供給し、次いで射出成型した。
例6D TPU粉末をフィブリルと混合し、95:5の樹脂:フィブリル比を得た。この混合物を、ヘンシェル(Henschel)高速ミキサーを用いて配合し、ベルナー−フレイデラー(Werner−Pfleiderer)ZSK−30二軸スクリュー押出機に供給し、次いで射出成型した。
例6E 例6Aのマスターバッチを、TPUペレットおよびガラス繊維と配合し、高剪断スクリューを備えた二軸スクリュー押出機に供給して、33:1の樹脂:フィブリル重量比を有する配合物を生成した。
例6F いかなる充填剤も含有していない、例6Aと同一品質のTPUペレットを射出成型した。
導電性、凝集体サイズおよび機械的強度の評価 導電性、凝集体サイズおよび機械的強度の測定は、例I、IIおよびIIIに記載の方法にしたがい行った。
屈曲性ポリマー組成物に対するフィブリル充填 例6Aと6Cおよび例6Bと6Dから、マスターバッチと直接配合技術との間の関係を比較することができる。この系において、両技術は共に、同等の導電性および機械的強度を有する試料をもたらした。この結果は例IIの結果とは相違しており、これは多分、ポリアミド−6に比較して、TPUがより高い溶融処理粘度を有するためである。より高い粘度を有するTPUは、フィブリルを低濃度で使用した場合に、このフィブリル凝集体をいずれも、そのサイズを減少させるのに適した剪断応力を備えているものと見做される。これによって、良好な導電性および剛性を有する配合物が得られる。本明細書において、この剛性は引張伸びで表されている。
例6Aおよび6Cを例6Eと比較すると、不活性充填剤が導電性に対して明確な効果を有していないことを示している。例6Eは、そのバルク組成物中に、2重量%より少ないが、樹脂に対しては3重量%のフィブリルを含有している。これらの例間の同等の導電性は、ガラス繊維が電気的性質に影響をおよぼさない、分離した第二の相であることを示している。


例6Cおよび6Eの試料は、検知できる表面導電性を有していなかった。しかしながら、これらの試料の静電気減衰は許容されるものであった。ポリマーの絶縁性表面層が導電性の検出を阻止するが、静電気を迅速に放電することができることから、この二分法が存在する。これは初期に測定された試料の表面における体積抵抗率よりも適度に小さい体積抵抗率により証明される。
本発明を特定の例を引用して説明したが、これらの例は本発明を単に説明するものであって、本発明を制限するものと解釈されるべきではない。本発明の精神および範囲を逸脱することなく、当業者は前記例を変更することができる。

【特許請求の範囲】
1.炭素フィブリル0.25〜50重量%を含有し、約2フィート−ポンド/インチよりも大きいIZODノッチ付き衝撃強さおよび約1×1011オーム/cmより小さい体積抵抗率を有するポリマー組成物。
2.上記フィブリルの少なくとも一部分が凝集体の形態である、請求項1に記載の組成物。
3.上記凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約35μmよりも小さい径を有する、請求項2に記載の組成物。
4.炭素フィブリル0.25〜50重量%を含有するポリマー組成物であって、改善された剛性および約1×1011オーム/cmより小さい体積抵抗率を有し、上記フィブリルの少なくとも一部分が凝集体の形態であって、この凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約35μmよりも小さい径を有するポリマー組成物。
5.上記凝集体の少なくとも90%が、面積ベースで測定して、約25μmよりも小さい径を有する、請求項4に記載の組成物。
6.上記凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約5μmよりも小さい径を有する、請求項4に記載の組成物。
7.上記凝集体の少なくとも98%が、面積ベースで測定して、約3μmよりも小さい径を有する、請求項6に記載の組成物。
8.上記組成物中の上記フィブリルの量が約2〜5重量%である、請求項4に記載の組成物。
9.上記組成物が約3フィート−ポンド/インチよりも大きいIZODノッチ付き衝撃強さを有する、請求項4に記載の組成物。
10.上記組成物が約5フィート−ポンド/インチよりも大きいIZODノッチ付き衝撃強さを有する、請求項9に記載の組成物。
11.上記組成物が約1×1012オーム/平方より小さい表面抵抗率を有する、請求項4に記載の組成物。
12.上記ポリマーが熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、アロイまたは配合物からなる、請求項4に記載の組成物。
13.炭素フィブリル0.25〜50重量%を含有し、このフィブリルは実質的に一定の径を有する実質的に円柱形態であり、それらの円柱軸に対して実質的に垂直なc−軸を有し、熱分解により沈着した炭素を実質的に有しておらず、かつまた約3.5〜70ナノメーターの径を有し、そしてまた上記フィブリルの少なくとも一部分は凝集体の形態であって、この凝集体の実質的全部は、面積ベースで測定して、約35μmよりも小さい径を有するポリマー組成物であって、約1×1011オーム/cmより小さい体積抵抗率を有するポリマー組成物。
14.上記凝集体の少なくとも90%が、面積ベースで測定して、約25μmよりも小さい径を有する、請求項13に記載の組成物。
15.上記凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約5μmよりも小さい径を有する、請求項13に記載の組成物。
16.上記凝集体の少なくとも98%が、面積ベースで測定して、約3μmよりも小さい径を有する、請求項15に記載の組成物。
17.炭素フィブリル0.25〜50重量%を含有し、このフィブリルの少なくとも一部分は凝集体の形態であるポリマー組成物であって、面積ベースで測定して、約35μmよりも大きい径を有するフィブリル凝集体を実質的に含有しておらず、およびまたこのフィブリル凝集体の少なくとも90%は、面積ベースで測定して、約25μmよりも小さい径を有し、かつまた約1×1011オーム/cmより小さい体積抵抗率を有するポリマー組成物。
18.上記凝集体の実質的全部が、各凝集体それぞれによって占拠された体積内でポリマー組成物で満たされている、請求項17に記載の組成物。
19.面積ベースで測定して、約5μmよりも大きいフィブリル凝集体を実質的に含有していない、請求項17に記載の組成物。
20.上記凝集体の少なくとも98%が、面積ベースで測定して、約3μmよりも小さい径を有する、請求項19に記載の組成物。
21.炭素フィブリル0.25〜50重量%を含有するポリマー組成物であって、この組成物は上記フィブリルを含有していない組成物のIZODノッチ付き衝撃強さの75%より大きいIZODノッチ付き衝撃強さを有し、かつまた約1×1011オーム/cmより小さい体積抵抗率を有するポリマー組成物。
22.上記炭素フィブリルの少なくとも一部分が凝集体の形態である、請求項21に記載の組成物。
23.上記凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約35μmよりも小さい径を有する、請求項22に記載の組成物。
24.上記凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約5μmよりも小さい径を有する、請求項23に記載の組成物。
25.上記フィブリルを含有していない組成物のIZODノッチ付き衝撃強さの85%より大きいIZODノッチ付き衝撃強さを有する、請求項21に記載の組成物。
26.炭素フィブリル0.25〜50重量%を含有し、このフィブリルは実質的に一定の径を有する実質的に円柱形態であり、それらの円柱軸に対して実質的に垂直なc−軸を有し、熱分解により沈着した炭素を実質的に有しておらず、かつまた約3.5〜70ナノメーターの径を有し、そしてまた上記フィブリルの少なくとも一部分は凝集体の形態であって、この凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約5μmよりも小さい径を有するポリマー組成物。
27.炭素フィブリル1.0〜60重量%を含有し、このフィブリルの少なくとも一部分は凝集体の形態であるポリマーマスターバッチ組成物であって、面積ベースで測定して、約50μmよりも大きい径を有するフィブリル凝集体を実質的に含有しておらず、およびまたこのフィブリル凝集体の少なくとも90%は、面積ベースで測定して、約35μmよりも小さい径を有するポリマーマスターバッチ組成物。
28.ポリマー組成物の製造方法であって、 (a)炭素フィブリル0.25〜50重量%をポリマー材料と配合し、ここでこのフィブリルの少なくとも一部分は凝集体の形態であり;
(b)この配合物を混合して、上記ポリマー材料中に上記フィブリルを分布させ;次いで (c)この配合物に剪断力を適用して、上記凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約35μmよりも小さい径を有するまで、この凝集体を分解させる;
工程からなる製造方法。
29.上記凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約5μmよりも小さい径を有するまで、上記配合物に剪断力を適用する、請求項28に記載の方法。
30.上記凝集体の少なくとも98%が、面積ベースで測定して、約3μmよりも小さい径を有するまで、上記配合物に剪断力を適用する、請求項29に記載の方法。
31.上記ポリマー材料中の上記凝集体の実質的全部を、各凝集体それぞれによって占拠された体積内でポリマー材料により満たす、請求項28に記載の方法。
32.改善された剛性および1×1011オーム/cmより小さい体積抵抗率を有する充填ポリマー組成物であって、 (a)炭素フィブリル0.25〜50重量%をポリマー材料と配合し、ここでこのフィブリルの少なくとも一部分は凝集体の形態であり;
(b)この配合物を混合して、上記ポリマー材料中に上記フィブリルを分布させ;次いで (c)この配合物に剪断力を適用して、上記凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約35μmよりも小さい径を有するまで、この凝集体を分解させる;
ことからなる方法によって製造される上記充填ポリマー組成物。
33.ポリマー組成物の製造方法であって、 (a)炭素フィブリル0.25〜50重量%をポリマー材料と配合し、ここでこのフィブリルの少なくとも一部分は凝集体の形態であり;
(b)この配合物を混合して、上記ポリマー材料中に上記フィブリルを分布させ;次いで (c)この配合物に剪断力を適用して、上記凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約5μmよりも小さい径を有するまで、この凝集体を分解させる;
工程からなり、しかし当該組成物の体積抵抗率は、1×1011オーム/cmより小さいポリマー組成物の製造方法。
34.炭素フィブリル0.25〜50重量%を含有し、このフィブリルの少なくとも一部分は凝集体の形態であり、そしてこの凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約35μmよりも小さい径を有するポリマーからなり、かつまた当該組成物が、1×102オーム/cmより小さい体積抵抗率を有するEMIシールド。
35.静電塗装法により塗装することができる自動車本体部品であって、炭素フィブリル0.25〜50重量%を含有するポリマーからなり、このフィブリルの少なくとも一部分は凝集体の形態であり、この凝集体の実質的全部は、面積ベースで測定して、約35μmよりも小さい径を有し、かつまた当該組成物は、約1×107オーム/cmより小さい体積抵抗率を有する上記自動車本体部品。
36.静電塗装法により塗装することができる家庭用電気器具であって、炭素フィブリル0.25〜50重量%を含有するポリマーからなり、このフィブリルの少なくとも一部分は凝集体の形態であり、この凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約35μmよりも小さい径を有し、かつまた当該組成物は、約1×107オーム/cmより小さい体積抵抗率を有する家庭用電気器具。
37.炭素フィブリル0.25〜50重量%を含有するポリマーからなる静電気放電性デバイスであって、このフィブリルの少なくとも一部分は凝集体の形態であり、この凝集体の実質的全部は、面積ベースで測定して、約35μmよりも小さい径を有し、かつまた当該組成物は、約1×1011オーム/cmより小さい体積抵抗率を有する静電気放電性デバイス。
38.炭素フィブリル0.25〜50重量%を含有するポリマーからなる静電気帯電防止性デバイスであって、このフィブリルの少なくとも一部分は凝集体の形態であり、この凝集体の実質的全部は、面積ベースで測定して、約35μmよりも小さい径を有し、かつまた当該組成物は、約1×1011オーム/cmより小さい体積抵抗率を有する静電気帯電防止性デバイス。
39.炭素フィブリル0.25〜50重量%を含有するポリマー組成物であって、この組成物は上記フィブリルを含有していない上記組成物の引張伸びの少なくとも75%の引張伸びを有し、かつまた約1×1011オーム/cmより小さい体積抵抗率を有するポリマー組成物。
40.上記記炭素フィブリルの少なくとも一部分が凝集体の形態である、請求項39に記載の組成物。
41.上記凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約35μmよりも小さい径を有する、請求項40に記載の組成物。
42.上記凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約5μmよりも小さい径を有する、請求項41に記載の組成物。
43.上記組成物が、上記フィブリルを含有していない上記組成物の引張伸びの少なくとも85%の引張伸びを有する、請求項39に記載の組成物。
44.相溶化剤をさらに含有する、請求項12に記載の組成物。
45.上記配合物が、ポリフェニレンエーテルおよびポリアミドからなる、請求項12に記載の組成物。
46.炭素フィブリル0.25〜50重量%を含有するポリマーからなる自動車燃料制御または供給装置あるいはその部品であって、このフィブリルの少なくとも一部分は凝集体の形態であり、この凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約35μmよりも小さい径を有し、かつまた当該組成物は、約2フィート−ポンド/インチよりも大きいIZODノッチ付き衝撃強さおよび約1×1011オーム/cmより小さい体積抵抗率を有する上記自動車燃料制御または供給装置またはその部品。
47.上記ポリマーが、ポリアミド−12、ポリフェニレンスルフィドまたはポリエーテルエーテルケトンである、請求項46に記載の自動車燃料制御または供給装置あるいはその部品。
48.ポリマーマスターバッチ組成物の製造方法であって、 (a)炭素フィブリル1.0〜60重量%を配合し、ここでこのフィブリルの少なくとも一部分は凝集体の形態であり;
(b)レットダウン樹脂を添加して、混合を促進させ;次いで (c)この配合物に剪断力を適用して、上記凝集体の実質的全部が、面積ベースで測定して、約35μmよりも小さい径を有するまで、この凝集体を分解させる;
工程からなる製造方法。
49.請求項48に記載の方法にしたがい製造されるポリマーマスターバッチ組成物。
50.抵抗率の正の温度係数を有する、請求項1に記載の組成物。
51.請求項50に記載の組成物からなるサーモスタット。
52.請求項50に記載の組成物からなる自己制限性加熱テープ。

【図1】
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【公表番号】特表平8−508534
【公表日】平成8年(1996)9月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−522357
【出願日】平成6年(1994)3月30日
【国際出願番号】PCT/US94/03514
【国際公開番号】WO94/23433
【国際公開日】平成6年(1994)10月13日
【出願人】
【氏名又は名称】ハイピリオン カタリシス インターナショナル インコーポレイテッド