説明

強化片付きトレー

【課題】強固かつ安定して保持することが可能な、強化片付きトレーを提供する。
【解決手段】トレー10は、底面5と各側面1,2,3,4を有し、各側面1,2,3,4のコーナー部分に、ブランクの一部を折込み貼り合せてなる折込みコーナー6を有する。短側面1の上辺からは、さらに、ミシン目等を介して強化片7を延設形成することにより、トレーを安定して保持可能に構成し、強化片7および側面3の一部に形成された突出部分9を外方へと折り込むことにより、トレー10の内面に形成されたフィルムの先端部分を露出させ、フィルムを突出部分9を起点に引き剥がして、トレー10とフィルムとを容易に分別できる構成としたことを特徴とする、強化片付きトレー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底面の各辺から延設された側面をそれぞれ有し、前記側面の端部間に折込みコーナーを有する、強化片付きトレー関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図10に示すように、種々の食料品をその場で食することを目的とした容器として、舟形のトレー10が知られている(例えば特許文献1)。このようなトレー10は、特に、遊園地やお祭りといった催し場所において、例えばたこ焼きや焼きそば等を、その場で食することが可能なトレー10として好適に用いられている。
【0003】
しかしながら、このようなトレー10は、内容物を好適に収容することができるものの、トレー10を片手で持って食する際に、人差指から小指までの4本の指をトレーの底面に添えて、親指を側面の上辺に掛けた状態で、トレーを保持するため、親指と側面1の上辺とが点接触となり、トレー10の保持が不安定なばかりでなく、側面1に掛けた親指が、トレー10の内部に入り込むと、熱い内容物で指先を火傷する恐れがあった。また、親指と側面1との間に力が集中して側面1が湾曲してしまうため、トレー10の形状保持に難がありトレーを安定して保持することが困難である。このため、片手でトレー10を保持しつつ、他方の手で割り箸等を持ち、内容物を食することが困難であった。
【0004】
【特許文献1】特開2007−161266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、主に、遊園地やお祭りといった催し場所において、例えばたこ焼きや焼きそば等を、その場で食するためのトレーにおいて、トレーを片手で強固かつ安定して保持することが可能なトレーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明の請求項1記載の発明は、底面の各辺から延設された側面をそれぞれ有し、前記側面間に折込みコーナーを有する、トレーにおいて、前記側面の上辺から延設した強化片を形成することにより、トレー使用時において、前記強化片を内方若しくは外方へと折り込み、トレーを安定して保持可能に構成したことを特徴とする、強化片付きトレーである。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、前記強化片は、短側面に形成したことを特徴とする、強化片付きトレーである。
【0008】
また、請求項3記載の発明は、前記折込みコーナーは、短側面に貼り合せることを特徴とする、強化片付きトレーである。
【0009】
また、請求項4記載の発明は、前記トレーの内面にフィルムを易剥離可能に形成したことを特徴とする、強化片付きトレーである。
【0010】
また、請求項5記載の発明は、前記強化片の一部に突出部分を形成することにより、該突出部分を起点に前記フィルムを引き剥がし容易に構成したことを特徴とする、強化片付きトレーである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1記載の発明は、底面の各辺から延設された側面をそれぞれ有し、前記側面間に折込みコーナーを有するトレーにおいて、前記側面の上辺から延設した強化片を形成することにより、トレー使用時において、前記強化片を内方若しくは外方へと折り込みトレーを安定して保持することが可能である。特に、親指と強化片とが面接触により当接するため、親指と側面との間に力が集中して側面が湾曲してしまうことを防ぐことが可能であり、さらには、トレーを持つ手が滑ることなく、安定してトレーを保持することが可能である。また、親指がトレーの内部に入り込むことを防ぎ、熱い内容物等で火傷してしまうことを防ぐことが可能であり、さらには、強化片を内方へと折り込むことにより、強化片に施した印刷が使用者方に向くため、高い宣伝効果を奏することが可能である。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、前記強化片は、短側面に形成したことを特徴とするから、強化片を有する短側面が外方へと折れ曲りにくく、強固かつ安定してトレーを保持することが可能である。さらには、短側面を把持して長側面を手前方に向けた状態で、トレーを保持することが可能であり、長い側面方から内容物を食しやすい効果がある。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、前記折込みコーナーは、短側面に貼り合せることを特徴とするから、短側面の強度が向上して外方へと折れ曲りにくくなる効果があるとともに、折込みコーナーの貼り合せ部分が剥がれにくくなる効果がある。
【0014】
また、請求項4記載の発明は、前記トレーの内面にフィルムを易剥離可能に形成したことを特徴とするから、液体を含む内容物を収容しても、トレーと液体とが直に接することを防止することが可能であり、トレーの紙材等に液体が浸透して、トレーの剛性が低下してしまうことを防止することが可能である。
【0015】
また、請求項5記載の発明は、前記強化片の一部に突出部分を形成することにより、該突出部分を起点に前記フィルムを容易に引き剥がすことが可能であり、さらには、視認性がよい強化片に、フィルムを剥がす旨のリサイクルを促す表示をすることにより、強化片に形成された突出部分を用いてフィルムを分別することを容易に認識可能である。
よって、高い分別性、環境性、操作性を有する、強化片付きトレーを提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る強化片付きトレー10(トレー10)の一例としては、図1(a)(b)に示すように、底面5と各側面1,2,3,4を有する舟形のトレー10であって、各側面1,2,3,4のコーナー部分に、ブランクの一部を折込み貼り合せてなる折込みコーナー6を有する、トレー10(強化片付きトレー10)である。
【0017】
特に、本発明のトレー10は、少なくとも1の側面1の上辺から延設された強化片7を有しており、後述する、トレー使用時において、前記強化片7を内方(若しくは外方)へと、折り込むことにより、片手で前記トレー10を強固かつ安定して保持することが可能である。よって、たとえ熱い内容物や重量の重い内容物であっても、トレー10を安定して保持することが可能であり、トレー10を保持した状態で好適に内容物を食することが可能である。
【0018】
前記トレー10は、該トレー10に収容する内容物の重量に耐えうる適宜の強度をもった紙材を使用することが好ましく、例えば、1人前のたこ焼き(約300g前後)を収容するためのトレーの形状は、長手方向が100〜200mm、短辺方向が50mm〜100mm程である場合、トレー10に使用する紙材としては、その坪量が190g/m2〜350g/m2、より好ましくは坪量が270g/m2〜310g/m2の単紙(板紙)を用いることにより、内容物を収容したトレーが折れ曲りにくく、強化片に親指を載せた状態で、トレーを強固かつ安定して保持することが可能である。
【0019】
次に、このような強化片付きトレー10の主な構成について説明する。
本発明の強化片付きトレー10は、図2に示すように、略長方形の底面5を有し、該底面5の各辺よりトレー10の側壁を形成するための側面1,2,3,4をそれぞれ有している。
【0020】
そして、各側面1,2,3,4のコーナー部分には、扇状の折込みコーナー6を有しており、後述する、トレー組立時において、各側面1,2,3,4を起立させた後、前記折込みコーナー6を外方へと折込み前記側面の外面に貼り合せることで、簡単にトレー10を形成することが可能である。
【0021】
特に、短い幅を有する前記側面1、3(短側面)のうち、短側面1の上辺からは、さらに、ミシン目等を介して強化片7が延設されており、後述する、トレー使用時において、前記強化片7をミシン目に沿って内方若しくは外方へと折込み、該強化片7に親指を載せ若しくは摘むことで、トレー10を安定して保持することが可能である。
【0022】
また、前記側面3および前記強化片7の一部には、突出した形状からなる突出部分9が形成されており、後述する、トレー使用後において、トレー内面に形成されたフィルム8を、前記突出部分9を起点に引き剥がして、トレー10とフィルム8とを容易に分別することが可能である。
【0023】
次に、このようなブランクから本発明の強化片付きトレー10を組み立てる構成について説明する。
まず、図3(a)に示すように、向い合う1対の前記短側面1,3を内方へと折込み起立させた後、他方の1対の側面2,4(長側面)を内方へと折込むとともに折込みコーナー6を外方へと折り込む。
【0024】
そして、図3(b)に示すように、外方へと突出した折込みコーナー6を、さらに前記短側面1、3方へと折込み、該短側面1,3の外面へと貼り合せることにより、本発明の強化片付きトレー10を形成することが可能である。
【0025】
このようにして形成された本発明の強化片付きトレー10は、図4(a)に示すように、側面1,2,3,4に囲まれた舟形の収容部を有し、特に、前記短側面1からは、ミシン目を介して起立する強化片7が形成されている。
そして、トレーの使用時において、図4(b)に示すように、前記強化片7をトレー内方へと折り込むことにより、親指を載せてトレーを強固に保持可能な強化片7を簡単に形成することが可能である。
【0026】
例えば、図5(a)に示すように、トレー使用時において、たこ焼き等の内容物をトレー10に収容した場合、図5(b)に示すように、前記強化片7を内方へと折り込むことにより、トレー10の底面に4本の指先を添えつつ、前記強化片7に親指を載せた状態でトレー10を強固かつ安定して保持することが可能である。
【0027】
特に、前記強化片7は、図6(a)(b)(c)に示すように、短側面1に形成されており、たとえ、重量の重い内容物を収容したトレーを保持しても、強化片7および短側面1が、トレー10の重さで外方へと折れ曲ってしまうことを防ぐことが可能である。さらには、図6(a)に示すように、折込みコーナー6を短側面1へと貼り合せることにより、短側面1の強度がさらに向上するため、短側面1が外方へと折れ曲ってしまうことを強固に防ぐことが可能である。
【0028】
よって、片手で保持したトレー10が傾くことなく、安定してトレー10を保持することが可能であり、他方の手で割り箸等を持ち、内容物を好適に食することが可能である。また、熱い内容物を収容したトレー10を片手で保持した際にも、広い面からなる強化片7に親指を載せることで、内容物に直接指先が触れることなく安全に内容物を食することが可能である。
【0029】
前記強化片7の長手方向の長さは、15mm〜60mm程度の長さが好適であり、さらに好ましくは20mm〜50mm程度の長さとすることにより、親指の先端が内容物と接することなく、かつトレー10を強固かつ安定して保持することが可能である。さらには、前記強化片7と前記短側面1とは、同一幅をもって連接することが望ましく、短側面1の強度を活かした耐強度を有する強化片7を形成することが可能である。
【0030】
また、前記強化片7は、該強化片7と側面1とミシン目やハーフカットを介して連接することが望ましく、使用時において、強化片7を少ない力でもって容易に折り込むことが可能である。さらには、前記強化片7に印刷を施してもよく、後述する、トレー使用時において、印刷面が使用者の方向を向くため、一見して印刷内容を認識することが可能である。
【0031】
次に、本発明の強化片付きトレー10は、トレー10の内面にフィルム8を形成することにより、例えば、内容物にソース等の液体を使用する場合において、トレー内面の紙材に液体が浸透してしまいトレー10の剛性が低下してしまうことを好適に防止することが可能である。前記フィルム8は、予め剥離し易いようにトレー10に全面弱接着若しくは部分的弱接着しておくことが望ましい。
【0032】
そして、内容物を食した後において、トレー10の内面に形成されたフィルム8を剥がすことにより、簡単にトレー10のフィルム8と紙材とを分別することが可能であり、高い環境性を奏することが可能なトレー10を提供することが可能である。
【0033】
この場合の一例としては、トレー使用後において、図7(a)に示すように、トレー10の強化片7および側面3の一部に形成された前記突出部分9を外方へと折り込むことにより、トレー10の内面に形成されたフィルム8の先端部分を露出させることが可能であり、図7(b)に示すように、前記フィルム8の先端部分を指先でつまんで引くことにより、簡単にトレー10からフィルム8を引き剥がすことが可能である。
【0034】
また、強化片7と対向する側面3にも、前記突出部分9を形成することにより、両方向からフィルム8を引き剥がし容易に構成してもよく、例えば、内容物を余した場合であっても、対向する側面1、3の両方向からフィルム8を引き剥がして、内容物を包み込んで分別、廃棄することが可能である。よって、トレーの廃棄時において、環境に配慮したトレー10を提供することが可能である。
【0035】
前記突出部分9は、対向する側面1,3の対角位置にそれぞれ形成することが好ましく、連続するブランクの突出部分が交互に配置されるため、単紙を余すことなく用いることが可能であり、さらなる省資源効果を奏することが可能である。
【0036】
また、本発明の強化片付きトレー10に種々の印刷を施してもよく、図5に示したように、トレー10の分別方法等を記載した印刷を施すことが望ましく、特に、前記強化片7に印刷を施すことにより、印刷面が使用者方に向くため、一見して印刷された分別方法等の表示を認識することが可能であり、トレー10の分別をさらに促進する効果がある。
【0037】
以上のように、本発明の強化片付きトレー10は、側面1の上辺から強化片7を延設する簡単な構成により、トレー使用時において、人差指から小指までの4本の指をトレーの底面に添えるとともに、親指を前記強化片7に載せた状態で、トレー10を強固かつ安定して保持することが可能である。また、上述の例では、トレー10の前記強化片7を内方へと折込み、トレー10を保持する例を示したが、これに限らず、前記強化片7を外方へと折込んで使用してもよく、外方へと折り込んだ強化片7を人差指と親指とで摘み、その他の指を底面5に添えた状態で、強固かつ安定してトレー10を保持することも可能である。
【0038】
本発明の強化片付きトレー10の形状は、上記例に限らず、例えば、多角形状のトレーであってもよく、少なくとも一の側面に前記強化片7を形成してもよい。また、前記強化片7は複数の側面に形成してもよい。
いずれにせよ、トレー使用時において、強化片7を内方若しくは外方へと折込み、該強化片7に親指を載せて若しくは指先で摘んだ状態で、強固かつ安定してトレー10を保持可能な構成であれば、トレー10の形状や強化片7の形状等は限定されるものではない。
【0039】
前記強化片7の形状は、上記例に限らず、例えば、図8(a)に示すように、湾曲面であってもよく、また、図8(b)に示すように、段差形状であってもよく、さらには、図8(c)に示すように、半月形状であってもよい。
【0040】
さらには、トレー使用前の強化片7が、側面1から延設して起立する形状であるから、図9に示すように、使用前のトレー10を複数積み上げた状態で保管、輸送することが可能であり、使用時においても、側面1から延設された強化片をつまんで、最上段のトレーを取り出しやすい効果がある。
【0041】
前記トレー10の内面にフィルム8を形成する方法の一例としては、易剥離性を有する接着剤を使用してフィルム8を貼り合せる方法や、ポリエチレン等の溶融樹脂を押し出しラミネート法により形成する方法など適宜方法を用いて、トレー10の内面にフィルム8を形成することが可能であり、フィルム8の形成方法は限定されるものではない。また、前記フィルム8の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の各種フィルム8を用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】(a)(b)本発明に係る強化片付きトレーの一例を示す説明図である。
【図2】本発明に係る強化片付きトレーのブランクの一例を示す説明図である。
【図3】(a)(b)本発明に係る強化片付きトレーの組立時の一例を示す説明図である。
【図4】(a)(b)本発明に係る強化片付きトレーの一例を示す説明図である。
【図5】(a)(b)本発明に係る強化片付きトレーの使用例を示す説明図である。
【図6】(a)(b)(c)本発明に係る強化片付きトレーの3面図である。
【図7】(a)(b)本発明に係る強化片付きトレーの使用例を示す説明図である。
【図8】(a)(b)(c)本発明に係る強化片付きトレーの別の例を示す説明図である。
【図9】本発明に係る強化片付きトレーの使用例を示す説明図である。
【図10】従来のトレーの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 側面(短側面)
2 側面(長側面)
3 側面(短側面)
4 側面(長側面)
5 底面
6 折込みコーナー
7 強化片
8 フィルム
9 突出部分
10 トレー(強化片付きトレー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面の各辺から延設された側面をそれぞれ有し、前記側面間に折込みコーナーを有するトレーであって、
前記側面の上辺から延設した強化片を形成することにより、トレー使用時において、前記強化片を内方若しくは外方へと折り込み、トレーを安定して保持可能に構成したことを特徴とする、強化片付きトレー。
【請求項2】
前記強化片は、短側面に形成したことを特徴とする、請求項1記載の強化片付きトレー。
【請求項3】
前記折込みコーナーは、短側面に貼り合せることを特徴とする、請求項1乃至2記載の強化片付きトレー。
【請求項4】
前記トレーの内面にフィルムを易剥離可能に形成したことを特徴とする、請求項1乃至3記載の強化片付きトレー。
【請求項5】
前記強化片の一部に突出部分を形成することにより、該突出部分を起点に前記フィルムを引き剥がし容易に構成したことを特徴とする、請求項4記載の強化片付きトレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−29457(P2009−29457A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−194478(P2007−194478)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】