説明

弾力性を有するグリップ及びその製造方法

用具のハンドルのための弾力性を有するグリップ及び該グリップの製造方法であり、グリップは、成形時のグリップの内面にネジ部のような表面を形成する螺旋状溝を有するコアまたはマンドレルを備えた型で成形される。型からの除去に際しては、コアは、コア及びグリップのいずれか一方を他方に対して相対的に回転させることで容易に除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動のハンドルを有するような用具のための弾力性を有するまたは「柔軟な」グリップに関するものである。詳細には、本発明は、スポーツ用品、例えばテニスラケット、ゴルフクラブのような用具のための弾力性を有するグリップ、及びハンマー、おの、園芸用具、ショベル及びそれと同等品のようなハンドルを有する他の手動用具のための弾力性を有するグリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような用具の弾力性を有するグリップは、エラストマーまたはゴム材料で成形され、ハンドルの端をグリップで覆うように組み付け、グリップは摩擦係合によってハンドルの表面に保持される。このようなグリップの形状及び製造においては、ゴムまたはエラストマー材料の機械的な圧入硬度を越えるような弾力性または柔軟性をグリップに備えることが要求される。この要求に対処するには、グリップの内面に、空洞部分または空間を備えるために環状溝を設けて成形され、動作中の用具との接触を維持すべく使用者の力を助勢しながらグリップとのより弾力性または柔軟性のある感触を提供するために、手の圧力にしたがってグリップのたわみを増加させるために減少された壁厚を局所的に集中させている。
【0003】
従来、用具のハンドル用のグリップを成形するための型として採用されるコアまたはマンドレルには、グリップの内面に空洞部分または空間を備えるための円周方向に延びる溝を形成するための、マンドレルに沿って間隔をおいて複数配置された環状リブが備えられている。
【0004】
しかしながら、前述のタイプのグリップの成形方法では、十分に半径方向に拡がる内面溝を形成するためのコアを提供することが困難であり、また、型からのグリップの除去に際して、コアから成形されたグリップを即座に除去することが困難であることが解った。従来では、圧縮空気がグリップを膨張させるためにコアとグリップとの間に導入され、コアから成形されたグリップを即座に除去していた。しかしながら、コアが、グリップ内面に要求された深い溝を備えるべく構成される時、グリップの材料が破断することなくコアを除去するために十分に膨張できない場合には、グリップとコアとの間に圧縮空気を導入する通常の方法によってコアからグリップを除去することは実質的に不可能であることが解った。
【0005】
このように、要求される弾力性または柔軟性を備えるために用具の成形グリップに局所的に壁厚を減少させる方法または手段を提供すること、さらに、型からの除去に際して、成形グリップからの即座のコアの除去が達成できる方法を提供することが要求されている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の開示は、用具のハンドルへのグリップの組み付けに際して、グリップの弾力性または柔軟性がハンドル周辺のグリップの壁厚を局所的に減少させることにより可能になるように、グリップの内面に備えられた空間またはスペースを有する、用具のハンドル用の特有の弾力性を有する成形グリップを記載して説明する。グリップに備えた空間または空洞部分は、グリップに溝を成形するためにマンドレルにネジ部のような表面を備え、そこに形成された螺旋状溝を有するマンドレルまたはコアによって成形される。型成形されたグリップからの成形グリップ及びマンドレルの除去に際して、グリップは、それらの即座の離間を提供するためにマンドレル及びグリップのいずれか一方を他方に対して回転することでマンドレルから離間される。マンドレルからのグリップの回転除去は、マンドレルから即座に除去するためにグリップを膨張させるための圧縮空気の導入の必要性が解消される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、ゴルフクラブのシャフトのような一実施形態の用具のハンドルに組みつけられた本発明のグリップを示す図である。
【図2】図2は、グリップの成形に採用されたコアまたはマンドレルの一部を示す図である。
【図3】図3は、内部に成形グリップを含む型の断面図である。
【図4】図4は、マンドレルまたはコアが除去された後の成形グリップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照すると、用具のハンドル用の成形された弾力性を有するグリップが、前述したタイプのような任意の用具のハンドル12の端部に組み付けられて符号10で示されている。
【0009】
グリップ10は、要求される弾力性を有するグリップを備えるために適切なゴムまたはエラストマー材料のような適切な弾力性を有する材料を成形することによって形成される。本発明の実施形態では、硬化状態でショアAスケールで測定した約30〜70のデュロメータ硬度を有する材料でグリップを成形することが適切であることが解ったが、要求されるならば表面硬さが相違した他の材料を採用してもよい。
【0010】
図2を参照すると、剛体材料のコアまたはマンドレル14は、図2の符号Lによって示された距離に沿って形成された螺旋状溝を有しており、その結果、螺旋状溝はマンドレルにネジ部16を形成する。加えて、マンドレルはその端部に備えられた、型のマンドレルまたはコアの挿入に際してグリップに通気孔を形成する小径の突起部18を有している。本発明の一実施形態では、アクメねじ(ACME thread)として一般に言及される四角形状の側面または外形のネジ部16を形成することが十分であることが解る。
【0011】
図3を参照すると、互いに一致する二分割される型、すなわち部位20、22は、それぞれ型凹部24、26を備え、型凹部24、26は、それぞれグリップ10の外形形状を形成するために構成され、この型部位は図3では閉まった状態で示されている。
【0012】
マンドレル14は、型凹部24、26によって形成されたキャビティに挿入され、蓋部材または閉鎖部材30が、凹部24、26によって形成された型のキャビティの開口端部を覆うように配置され、蓋部材は型スプルー30、32、34を有しており、該スプルー32、34は、型凹部24、26に連通している。一実施形態として、型スプルー32、34が型閉鎖部材30に形成されているように示されているが、他の実施形態として、要求されるならば、型部位20、22に形成されてもよいことを理解すべきである。グリップを成形するためのエラストマーまたはゴム材料は、型のキャビティ内にスプルー30、32、34を通じて導入され、符号36によって示されているように、成形されたグリップの外形形状が成形され、例えば、射出成形またはトランスファー成形のような公知の技術によって成形される。他の実施形態として、エラストマー材料の予め切断された細長い一片を、型を閉める前にマンドレル14を覆うように型のキャビティ24、26内に配置してもよい。
【0013】
本発明の実施形態では、約5mm〜25mmの範囲の外径を有するマンドレルを形成すれば満足することが解るが、他のサイズを、要求されたサイズ及び成形されたグリップの形状に対応して採用してもよい。
【0014】
図4を参照すると、成形完了のグリップが、マンドレル及びグリップのいずれか一方を他方に対して回転させ、マンドレルをグリップからその表面に係合したネジ部に沿ってねじって回転させることによって、マンドレル14から除去された状態で示されている。
【0015】
本発明は、マンドレルの表面にネジ部が形成されたコアまたはマンドレルを型内に挿入することによって螺旋状に成形された複数の空間または空洞部分を備えた、用具のハンドル用の独自に構成された弾力性を有するグリップが記載されている。
【0016】
具体的な一実施形態が図面に基いて記載されている。当然ながら、他の当業者によって、変更及び他の実施形態が前述の詳細な記載を読みまた理解することによって思慮されるであろう。具体的な一実施形態は、添付したクレーム及びその同等品の範囲内にある限りにおいて全ての変更及び他の実施形態を含むように解釈されることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用具のハンドルに組み付けられる弾力性を有するグリップの製造方法であって、
(a)型の部位内に、弾力性を有する成形可能な材料を配置するステップと、
(b)マンドレルを準備し、それに螺旋状溝を形成するステップと、
(c)成形可能な材料内にマンドレルを配置して型部位を閉めるステップと、
(d)型内の成形可能な材料を硬化させ、型部位を除去するステップと、
(e)硬化された成形可能な材料及びマンドレルのいずれか一方を他方に対して回転させて、マンドレルを除去するステップと、
を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
螺旋状溝を形成するステップは、ほぼ四角形状ネジ部を形成するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
四角形状ネジ部を形成するステップは、アクメねじ形状を備えたネジ部を形成するステップを含むことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
マンドレルを準備するステップは、約5mm〜25mmの範囲内の外径を有するマンドレルを準備するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
成形可能な材料を配置するステップは、ショアAスケールで測定した硬度約30〜70のデュロメータを有する材料を配置するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
硬化するステップは加熱するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
用具のハンドルに組み付けられる弾力性を有するグリップの製造方法であって、
(a)グリップを構成するキャビティを備えた型を準備するステップと、
(b)マンドレルに螺旋状溝を形成して、マンドレルをキャビティに挿入するステップと、
(c)型のキャビティに成形可能な弾力性のある材料を射出するステップと、
(d)型内の成形可能な材料を硬化させるステップと、
(e)型からマンドレル及び硬化されたグリップ材料を除去するステップと、
(f)硬化された成形可能な材料及びマンドレルのいずれか一方を他方に対して回転させて、グリップからマンドレルを除去するステップと、
を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項8】
螺旋状溝を形成するステップは、ほぼ四角形状ネジ部を形成するステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
成形可能な弾力性を有する材料を射出するステップは、ショアAスケールで測定した硬度約30〜70のデュロメータを有する材料を射出するステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
螺旋状溝を形成するステップは、外径が約5mm〜25mmのマンドレルに螺旋状溝を形成するステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項11】
硬化するステップは加熱するステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項12】
用具のハンドルのための弾力性を有するグリップであって、
(a)弾力性を有する材料で形成され、用具のハンドルを受け入れるために空洞に開口を有する空洞部材と、
(b)開口に挿入された用具のハンドルに接触するための螺旋状面を形成するために空洞の内面に形成された螺旋状溝と、
を含むことを特徴とするグリップ。
【請求項13】
部材は、その端部が実質的に閉鎖されたほぼ管形状であることを特徴とする請求項12に記載のグリップ。
【請求項14】
弾力性を有する材料は、エラストマー材料であることを特徴とする請求項12に記載のグリップ。
【請求項15】
弾力性を有する材料は、成形可能な材料であることを特徴とする請求項12に記載のグリップ。
【請求項16】
弾力性を有する材料は、ショアAスケールで測定した約30〜70のデュロメータ硬度を有することを特徴とする請求項12に記載のグリップ。
【請求項17】
螺旋状溝は、約5mm〜25mmの範囲の外径を有することを特徴とする請求項12に記載のグリップ。
【請求項18】
用具のハンドルに組み付けられる弾力性を有するグリップの製造方法であって、
(a)型内にキャビティを形成して、該キャビティの壁を成形されるグリップの要求された表面に設定するステップと、
(b)マンドレルに螺旋状溝を形成して、型のキャビティにマンドレルを配置するステップと、
(c)型のキャビティ内に成形可能な弾力性を有する材料を導入するステップと、
(d)マンドレルを覆うように型内で成形可能な材料を硬化させるステップと、
(e)型のキャビティからマンドレル及び硬化した材料を除去するステップと、
(f)硬化されたグリップ及びマンドレルのいずれか一方を他方に対して回転させて、マンドレルから硬化されたグリップを除去するステップと、
を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項19】
成形可能な弾力性を有する材料を導入するステップは、硬化されていないエラストマー材料を導入するステップを含むことを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
成形可能な弾力性を有する材料を導入するステップは、圧縮成形、トランスファ成形及び射出成形のいずれか一つを含むことを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
【請求項21】
成形可能な弾力性を有する材料を導入するステップは、ショアAスケールで測定した硬度約30〜70のデュロメータを有する材料を導入するステップを含むことを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
【請求項22】
螺旋状溝を形成するステップは、ほぼ四角形状ネジ部を形成するステップを含むことを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
【請求項23】
螺旋状溝を形成するステップは、約5mm〜25mmの範囲の外径を有するマンドレルに螺旋状溝を形成するステップを含むことを特徴とする請求項18に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−540187(P2010−540187A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528147(P2010−528147)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/078648
【国際公開番号】WO2009/046236
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】