説明

弾性を有し軟質でありかつ充填材粒子により点状に結合された不織布、その製造方法およびその使用

充填材料(特に潜熱蓄積材料)からなる粒子を含有するバインダによって選択された箇所で固化され、かつ選択された別の箇所で固化されていない不織布が記載されている。前記不織布は、柔かい手触りと良好な柔軟性とを特徴とする。前記不織布は、芯地材としてまたは中間芯地として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に芯地材料のとして好適である不織布、その製造方法ならびにその芯地材料の芯地製造のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
充填材を含む繊維平坦状成形物、特に熱調整特性(温度制御特性)を有する成形物は既に知られている。
【0003】
欧州特許出願公開第178,372号明細書は、医療用途で使用されるドレープ可能な(ドレープ性のある)微孔性多層不織布を開示する。中間層が極細繊維からなっており、その両面が不織布で覆われている。個々の層はパターン状に印刷された結合剤ペースト、例えばパラフィンエマルションによって結合されている。
【0004】
欧州特許出願公開第190,788号明細書には、パターン状に配置され、好ましくは発泡させた微小球体を含有し、プラスチック用の強化材料として使用できる不織布が記載されている。
【0005】
米国特許第5,366,801号明細書または欧州特許出願公開第611,330号明細書は、結合剤による織物の被覆と、その中に分散させた潜熱蓄積材料(latentwaermespeichermaterial)を含有するマイクロカプセルを記載する。
【0006】
国際特許出願公開第02/12,607号明細書からは、熱調整特性を有する不織布が知られている。この不織布は、そこに記載の一態様では、結合剤で含浸されており、その結合剤には、マイクロカプセル化された潜熱蓄積材料が分散されている。熱調整特性をもたらす材料が、不織布の内部全体に分配されている。全内部体積が前記材料で充填された実施形態の他に、材料が繊維の交点だけに存在し内部空間が空気で充填されている別の態様も記載されている。これらの態様ではいずれにせよ、不織布全体を前記材料で含浸させる。これは、形成された不織布を結合剤で浸漬させることによって行われる。出発材料としては、不織布、つまり機械的に安定化/結合させた材料が使用される。
【0007】
国際特許出願公開第02/59,414号明細書に、熱調整特性、改善された柔軟性および空気透過性を有する被覆材料が記載されている。この被覆材料は、その表面の一部に、結合剤の点または熱調整材料を含有する結合剤の塗布部を具備した基体からなる。結合剤は、表面に塗布されていてもよいし、または基体の内部空間に侵入して、該基体の一部または全部に浸透していてもよい。いずれの場合も、表面の一部は結合剤で含浸されていない。様々に被覆された基体、例えば織物、不織布、フィルム、発泡材または紙類が記載されている。
【0008】
国際特許出願公開第02/95,314号明細書からも、改善された熱調整特性を有する基体が知られている。この文書によれば、潜熱蓄積材料を含むポリマー分散液が、ステンシル(印刷)によってネップ状に繊維表面に塗布される。金属箔および繊維平物の他に、不織布、つまり機械的に安定化させた材料/結合した繊維ウェブが、可能な基体として挙げられている。
【0009】
従来技術でこれまで使用されてきた基体は繊維平物であるが、製造後に可能な限り安定化(結合、固化)され、それにより、難なく処理することができる成形物である。例えば機械的にまだ不安定な平物の繊維ウェブの形成(「フリース形成」)後に続いてフリース固化もしくはボンディングを行うことによって、不織布が製造される(例えば不織布、W. Albrecht、H. FuchsおよびW.Kittelmann編、Wiley-VCH(2000)、第II部、不織布の製造方法、第6章、フリース固化参照)。フリース固化の典型的な方法は、結合剤の塗布のような化学的方法、またはニードル、交絡、熱風もしくはカレンダ処理機による処理のような物理的方法(機械的および/または熱的方法)である。これらの方法は、機械的に非常に不安定な繊維ウェブを扱い易い形態に変えるためのものであり、フリース形成工程の直後に行う。
【0010】
本明細書の意味する不織布とは、加工された層、フリースまたは整列して配置されたまたは互いにランダムに存在する繊維からなる繊維ウェブが、摩擦および/または凝集および/または接着によって固化されたものである(ISO9092もしくはEN29092に定義されたものと同様)。
【0011】
円筒形ステンシルを利用して、まだ不安定な繊維ウェブにペースト状の結合液を塗布することによって、スクリーン印刷によって結合剤をフリース形成直後に塗布する実験も行われている(例えば不織布、W. Albrecht、H. FuchsおよびW. Kittelmann編、Wiley-VCH(2000)、第6.5章、化学的方法381頁参照)。「接着性」の結合剤を用いた場合には繊維ウェブの均一な結合に技術的問題が生じるので、上記方法は、これまで工業的には実施されていなかった。繊維ウェブのゆるい繊維は、印刷ステンシルに付着する傾向があり、短時間のうちに印刷工程を妨げてしまうものである。この現象を克服するために非常に強く、面状または点状に繊維ウェブを圧縮または加圧することもできるが、生じる生成物はそれによって極めて平坦になり、繊維性が小さくなる。また、結合剤も強く浸透する。
【0012】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第2914617号明細書に、繊維平坦状成形物の表面および裏面にペーストを均一かつ連続的に印刷する方法が記載されている。この例によれば、カーディングにより製造された繊維ウェブをカレンダ処理機を通して送給し、それによって予備固化する。続いて、この繊維平坦状成形物の両面に結合剤分散液をパターンの形態でローラを利用して塗布し、続いて乾燥し、その際に結合剤を架橋させる。
【0013】
従来、熱調整特性を有する不織布は、不織布を、つまり結合され機械的に安定化させた繊維平物を、熱調整材料を用いて後処理することによって製造されていた。しかし、前置の固化工程の制限があっても、この不織布の弾力性および柔軟性を残すことが望まれる場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記の従来技術から出発して、本発明の課題は、高い弾力性に加え、高い柔軟性も有する充填材を備えている不織布を提供することである。それによって、改善されたフィット形状および着衣快適性を有する繊維製品の製造が可能になる。
【0015】
本発明のもう1つの課題は、充填材料を備えている不織布のための改善された製造方法であって、フリース固化に前置された工程を省くことができ、それによって、不織布の製造コストの低下を可能にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、選択された箇所で、充填材料からなる粒子を含有する結合剤によって固化されかつ選択された別の箇所では固化されていない、巻縮されたならびに場合によっては巻縮されていない繊維および/またはフィラメントを有する不織布に関する。
【0017】
支持体への繊維ウェブの堆積後に、未固化のフリース、つまり繊維ウェブへ、充填材料を含有するバインダ(結合剤)を直接的に塗布し、場合によっては固化することによって、選択された平面領域で固化されていない、つまり前記平面領域でフリース形成(不織布形成)が生じていない平坦状成形物が製造される。未固化の領域が存在することによって、不織布の透過性、弾性および手触りが改善される。
【0018】
本発明では、繊維ウェブの製造時に熱により巻縮可能な繊維もしくはフィラメントが使用される。有利には、繊維ウェブは、付加的に未巻縮でかつ巻縮不能なまたは処理条件で巻縮不能な繊維もしくはフィラメントを含有する。
【0019】
つまり、本発明による不織布は、巻縮された繊維および/またはフィラメントならびに有利には、その他に未巻縮の繊維および/またはフィラメントを有する。
【0020】
繊維とは、本明細書の範囲内では、有限長の糸(ステープル繊維)、つまりデシメートル範囲までの長さを有する糸である。
【0021】
フィラメントとは、本明細書の範囲内では、実質的に無限長の糸、つまりデシメートル範囲を超える長さを有する糸である。
【0022】
熱によって巻縮可能な繊維もしくはフィラメントとしては、目下、従来技術から知られている製品が持つ問題を回避するために、二成分系繊維もしくは二成分系フィラメントを使用することができる。
【0023】
二成分系繊維もしくはフィラメントは、不織布製造で長年使用されてきた。この繊維もしくはフィラメントは、低融点シェル成分を結合繊維として含むコアシェル(芯鞘)型繊維もしくはフィラメントとして、不織布を面状または点状に熱固化する場合に利用することができる(例えば、W. Albrecht、H. FuchsおよびW. Kittelmann編、Wiley-VCH(2000)、第1.2章、Chemiefasern-Bikomponentenfasern、63頁に記載の不織布を参照)。
【0024】
本発明による不織布では、使用される上記二成分系繊維もしくはフィラメントは、低融点成分の接着/結合性質があるために使用されるのではない。同様の融点を有するポリマー成分からなる二成分系繊維もしくはフィラメントも使用でき、そのような繊維もしくはフィラメントは、例えばサイド・バイ・サイド構造または非対称のコアシェル型構造で、熱処理時に繊維もしくはフィラメント軸に沿って様々な収縮が引き起こされるように構成されている。二成分系繊維もしくはフィラメントに代わりまたはそれに加えて、製造中に繊維/フィラメントを断面にわたって非対称的に冷却したホモポリマー繊維もしくはフィラメントも使用することができる。
【0025】
このように巻縮可能な繊維もしくはフィラメントを含有させることによって、不織布製造において、印刷工程前に、温度変化を与えると、繊維ウェブのその場での収縮が生じる。このような巻縮する繊維もしくはフィラメントにより、繊維ウェブの内部結束保持(結合)が改善され、これにより、不織布の印刷が本質的に容易となる。さらに、不織布は体積および弾性を得る。熱処理時には、温度プロファイルは、その処理温度が多成分系繊維の低温で溶融または軟化するポリマーの溶融温度または軟化温度より低くなるように選択され、そのため、熱処理によって巻縮が引き起こされるが接着は生じない。
【0026】
巻縮繊維もしくはフィラメントは繊維マトリックス中に圧密な点を形成しないので、本発明による不織布の製造時に巻縮を生じさせることによって、印刷されたバインダの点の容積および柔軟性も増大する。バインダ点の発泡は不要であるが実施してもよい。
【0027】
特に柔軟でかつ弾性の製品を達成するために、2次元または3次元に巻縮された繊維および/またはフィラメントを含有する不織布が有利である。
【0028】
本発明によって使用される繊維ウェブは、様々な繊度範囲、例えば繊度0.5〜10dtex、有利には0.8〜6.7dtex、特に1.3〜3.3dtexの任意の繊維タイプから構成することができる。繊維混合物は、巻縮繊維もしくはフィラメントを少なくとも5重量%、有利には少なくとも20重量%含有するのが好ましい。これは、ヘテロフィル繊維/二成分系繊維または特殊なホモフィル繊維(または相当するフィラメント)であってよい。その他の繊維は、不織布製造でよく用いられるステープル繊維またはフィラメントであってよい。
【0029】
本発明によって使用される繊維ウェブは、様々なフリース形成技術によって製造することができる。まずは、カーディングされ乾燥して置かれた繊維ウェブがある。また、紡糸不織布法またはメルトブロー法による直接的な繊維配置技術も可能である。
【0030】
特に有利には、ステープル繊維からなる繊維ウェブが使用される。
【0031】
使用される繊維ウェブの繊維は、等方的にまたは進出方向、つまり異方的に堆積させることができる。繊維ウェブは、等しいまたは異なる繊度の同一の繊維からなっていてよい。繊維ウェブを構成する繊維は様々な繊維から構成されていてよく、例えばホモフィル繊維から、また二成分系繊維100%、または二成分系繊維と二成分系ホモフィル繊維との混合物から構成されていてよい。天然繊維と合成繊維との混合物も使用することができる。
【0032】
有利には、ポリエステルのサイド・バイ・サイド二成分系繊維のようなポリエステル二成分系繊維を含む混合物中の、例えばホモポリエステル繊維1.7dtex/38mmまたは3.3dtex/51mmのようなポリエステルホモフィル繊維が使用される。例えば3d/1.5″のPA66からなるポリアミド繊維も混合物中に使用することができる。少なくとも5%の、有利には少なくとも20%の割合のヘテロフィル繊維、有利には二成分系繊維が必要である。
【0033】
本発明で使用される繊維ウェブは、不織布の製造条件下で、添加されたヘテロフィル繊維の量によって、カーディングされた繊維ウェブの各配向につき50%まで収縮させることができる。しかし、不織布は、連続する作業工程で、例えば機械の方向に−3.0%および横方向に−1.5%の低収縮で安定化されると有利である。
【0034】
典型的には、使用される繊維ウェブは、単位面積当たりの重量15〜210g/mを有する。
【0035】
特に有利には、単位面積当たりの重量35〜140g/mを有するカーディングされた繊維ウェブが使用される。
【0036】
繊維材料の例は、ポリオレフィン、有利にはポリプロピレンまたはポリプロピレンエチレンコポリマー、ポリエステル、ポリアミドまたはポリアクリルリトリルならびに天然繊維、特にセルロース繊維、木綿繊維、羊毛またはそれらの混合物である。
【0037】
微細配分された充填材料を含有するバインダは、選択された面積領域での繊維ウェブの固化に使用できるのであれば、任意の性質を有していてよい。
【0038】
バインダの例は、化学的に架橋される、特に分散液の形態のプラスチック、例えば、通常利用される架橋基を有するエチルアクリレートおよびブチルアクリレートからなる混合物である。しかし、微細分散された充填材料を含有する熱可塑性ポリマーを使用してもよい。このポリマーは溶融接着剤(ホットメルト接着剤)として作用し、これにより、繊維ウェブで処理される領域で繊維の固化が得られる。この種の熱可塑性ポリマーバインダの例は、ポリオレフィン粉末、特にポリエチレン粉末またはポリプロピレン粉末、有利にはコポリエステル粉末であって、150℃を超える溶融範囲を有するものである。バインダのさらなる例は、米国特許第5,366,801号明細書、国際特許出願公開第02/12,607号パンフレット、国際特許出願公開第02/59,414号パンフレットおよび国際特許出願公開第02/95,314号パンフレットに見出される。
【0039】
充填材料としては、添加することで織布に所望の特性が付与され得る、任意の微細分散材料を使用できる。
【0040】
充填材料の例は、吸収性または吸着性の特性を有する粒子、イオン交換体、鉱物性充填剤、強化材料、導電性および/または導熱性材料/粒子、ならびに特に潜熱蓄積材料である。
【0041】
特に有利には、膨張性マイクロカプセル、活性炭からなる粒子、金属粒子、超吸収性材料からなる粒子または短繊維が使用される。
【0042】
特に有利な潜熱蓄積材料としては、自体公知の物質を使用することができる。その例は、上述の文献に記載されている。
【0043】
さらに特に有利には、マイクロカプセル化された炭化水素、特にマイクロカプセル化されたパラフィンが潜熱蓄積材料として使用される。
【0044】
潜熱蓄積材料の例を下表に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
本発明による不織布中のバインダおよび充填材料に対する繊維材料の重量割合は、典型的に、90:10〜10:90、有利には50:50〜30:70である。
【0047】
バインダおよび充填材料は、ばらの繊維ウェブの予め決められた領域に、印刷技術、有利にはスクリーン印刷を利用して塗布される。その際、塗布される材料の大部分が繊維ウェブ中に侵入し、この繊維ウェブにできるだけ浸透するのが望ましい。表面上にもいくらかのバインダが残留する。しかし、バインダ/充填材料からなる混合物を点状に塗布することによって、完成された製品中に、繊維ウェブの、バインダ/充填材料が全く存在しない領域が残るようになる。
【0048】
バインダ/充填材料による表面の被覆は、典型的には、面積の20%より大きく95%までの広い範囲を含むことができる。有利には、繊維ウェブ面積の35%より大きく80%までがバインダ/充填材料で被覆される。
【0049】
繊維ウェブ上へのバインダ/充填材料の塗布は、様々な所定のパターンに従って行うことができる。このパターンは、線状、六角状、円環状または点状の平面領域から形成することができる。点パターン、例えば規則的または不規則的な点パターンが有利である。
【0050】
本発明は、上述の不織布の製造方法であって、以下の措置、つまり、
a)自体公知の方法によって、熱で巻縮可能な繊維および/または熱で巻縮可能なフィラメントならびに場合によっては熱で巻縮不能な繊維および/または熱で巻縮不能なフィラメントを堆積装置で堆積させることによって繊維ウェブを製造し、
b)場合によっては、加熱されたローラによって、巻縮可能な繊維および/またはフィラメントの巻縮が生じるようにローラの温度を選択して、繊維ウェブを予備固化し、
c)自体公知の方法によって、繊維ウェブの選択された箇所へ充填材料からなる粒子を含有する結合剤を塗布し、
d)巻縮可能な繊維および/またはフィラメントの巻縮を完全に生じさせ、結合剤および場合によっては結合剤の架橋によって繊維ウェブの繊維を結合させるために、ステップc)で処理された繊維ウェブを加熱すること
を含む方法にも関する。
【0051】
繊維ウェブの製造は、上述のように様々な方法で行うことができる。
【0052】
繊維ウェブの表面上へのバインダ/充填材料の塗布は、やはり任意の方法で行うことができる。スクリーン印刷法、特に回転スクリーン印刷ステンシルの使用が有利である。
【0053】
よって、有利には、未結合繊維ウェブの製造直後および場合によっては該繊維ウェブの予備固化後にその表面に作用させる回転スクリーン印刷ステンシルによって結合剤を塗布する方法が有利である。
【0054】
バインダ/充填材料の塗布後、上記のように処理された繊維ウェブを加熱によって安定化させる。これは、自体公知の方法で行うことができる。
【0055】
有利には、処理された繊維ウェブを加熱ローラによって加熱し、これにより、繊維ウェブの巻縮を起こさせる。
【0056】
有利な実施態様では、ステップa)は、支持バンド上での繊維のカーディングおよび堆積によって行われる。
【0057】
別の有利な実施態様では、ステップb)は、圧力なしまたは低い圧力で加熱されたローラ間を繊維ウェブを通す工程として実施され、これにより、処理が繊維ウェブの厚みに影響を与えず、この場合、ローラの温度は、繊維を形成する材料の最も低溶点のポリマー成分の溶融温度を下回るように選択される。
【0058】
別の好ましい実施態様では、ステップc)は、繊維ウェブの表面の選択された箇所に、ステンシルによって、充填材料からなる粒子を含有する結合剤、好ましくは潜熱蓄積材料を点状に塗布する工程して行われる。
【0059】
本発明による不織布は、例えば芯地としてまたは中間芯地として様々な分野で使用することができる。使用例としては、衣料品、寝具分野、手袋または靴類が挙げられる。本発明による不織布は特に、芯地として使用される。
【0060】
これらの使用も同様に、本発明の対象である。
【0061】
以下の実施例は、本発明を説明するものであるが、それを制限するものではない。
【0062】
実施例
カーディング処理機上で、3.0dtex/60mmのポリエステル製サイド・バイ・サイド二成分系繊維40%、3.3dtex/60mmのポリエステル製ホモフィル繊維30%および1.7dtex/38mmのポリエステル製ホモフィル繊維30%の混合物からなる繊維ウェブを製造した。この繊維ウェブの単位面積当たりの重量は、50g/mであった。カーディングされた繊維ウェブを、2本の加熱ローラ間に125℃で圧力なしで通した。繊維ウェブ上に、回転スクリーン印刷ステンシルを用いて、比1:2で軟質のアクリレートバインダとmPCM潜熱蓄積材料とからなる40%混合物を点パターンの形態で塗布した。この塗布された混合物は90g/mであった。印刷された面積は82.5%であった。塗布後、印刷された繊維ウェブをマルチコンベヤ乾燥機により150℃で乾燥させ、バインダを架橋させた。できた製品は、以下、「40%二成分、点状」と呼ぶ。
【0063】
下表に、製造された不織布の、巻縮可能な二成分系繊維の使用量および種類による弾性特性を示す。
【0064】
ここで「CTV、全面」は全面にわたりバインダ/mPCMを含浸させた繊維ウェブを表す。
【0065】
「100%二成分、点状」は、上述の「40%二成分、点状」と同様に製造したが、二成分系繊維100%を使用するよう変更した本発明に係る不織布である。
【0066】
HZKは最大引張強度を表し、HZDは破断伸びを表す。弾性率は様々な延伸値で測定された。この測定はEN29073−3に準じて実施した。
【0067】
材料は、低い伸びでの弾性率が低いほど、容易に延伸させることができる。
【0068】
【表2】

【0069】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻縮された繊維および/または巻縮されたフィラメントならびに場合によっては巻縮されていない繊維および/または場合によっては巻縮されていないフィラメントの弾性不織布であって、選択された箇所で、充填材料からなる粒子を含有する結合剤によって固化され、かつ別の選択された箇所では固化されていない、弾性不織布。
【請求項2】
巻縮された繊維および/またはフィラメントと、それに加えて、巻縮されていない繊維および/またはフィラメントとを有する、請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
巻縮された繊維および/または巻縮されたフィラメントを、少なくとも20重量%有する、請求項1に記載の不織布。
【請求項4】
カーディングされたステープル繊維不織布である、請求項1に記載の不織布。
【請求項5】
巻縮された二成分系繊維を含有する、請求項1に記載の不織布。
【請求項6】
巻縮されたポリエステル二成分系繊維に加え、巻縮されていないポリエステルホモフィル繊維および場合によっては巻縮されていないポリアミド繊維を含有する、請求項1に記載の不織布。
【請求項7】
2次元および/または3次元に巻縮された繊維を含有する、請求項1に記載の不織布。
【請求項8】
前記結合剤が、化学的に架橋されたプラスチックを含有する、請求項1に記載の不織布。
【請求項9】
前記結合剤が、溶融接着によって前記繊維ウェブの繊維を結合させる熱可塑性ポリマーを含有する、請求項1に記載の不織布。
【請求項10】
前記充填材料として吸収性または吸着性の特性を有する粒子、イオン交換体、鉱物性充填剤、強化材料、導電性および/または導熱性材料/粒子ならびに特に潜熱蓄積材料が使用されている、請求項1に記載の不織布。
【請求項11】
前記充填材料として、膨張性のマイクロカプセル、活性炭からなる粒子、金属粒子、超吸収性材料からなる粒子または短繊維が使用されている、請求項10に記載の不織布。
【請求項12】
前記潜熱蓄積材料がマイクロカプセル化された炭化水素である、請求項10に記載の不織布。
【請求項13】
前記充填材料を含有する結合剤が、前記繊維ウェブに浸透している規則的または不規則的な点パターンの形態で塗布されている、請求項1に記載の不織布。
【請求項14】
請求項1に記載の不織布の製造方法であって、
a)自体公知の方法によって、熱で巻縮可能な繊維および/または熱で巻縮可能なフィラメントならびに場合によっては熱で巻縮不能な繊維および/または熱で巻縮不能なフィラメントを堆積装置に堆積させることによって繊維ウェブを製造し、
b)場合によっては、加熱されたローラによって前記繊維ウェブを予備固化し、前記ローラの温度が、前記巻縮可能な繊維および/またはフィラメントの巻縮が引き起こされるように選択されており、
c)自体公知の方法によって、前記繊維ウェブの選択された箇所へ、充填材料からなる粒子を含有する結合剤を塗布し、
d)前記巻縮可能な繊維および/またはフィラメントの巻縮を完全に生ぜしめ、かつ結合剤および場合によっては該結合剤の架橋によって前記繊維ウェブの繊維を結合させるために、前記ステップc)で処理された前記繊維ウェブを加熱すること
を含む、方法。
【請求項15】
前記ステップa)が、支持ベルト上での繊維のカーディングおよび堆積によって行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ステップb)が、圧力なしまたはごく低い圧力で前記繊維ウェブを加熱されたローラ間に通す工程として実施され、これにより、処理が前記繊維ウェブの厚みに影響を与えず、前記ローラの温度が、繊維形成材料の最も低い融点を有するポリマー成分の溶融温度を下回るように選択されている、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ステップc)が、前記繊維ウェブの選択された箇所にステンシルによって、充填材料からなる粒子を含有する結合剤、好ましくは潜熱蓄積材料を点状に塗布する工程として実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記結合剤の塗布が、未結合の繊維ウェブの製造直後および場合によっては該繊維ウェブの予備固化直後に当該繊維ウェブの表面に作用する回転スクリーン印刷ステンシルによって行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
特に衣料品、寝具分野、手袋または靴類における芯地材料としてまたは中間芯地としての請求項1に記載の不織布の使用。

【公表番号】特表2008−546927(P2008−546927A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518649(P2008−518649)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003954
【国際公開番号】WO2007/000206
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(501479868)カール・フロイデンベルク・カーゲー (73)
【Fターム(参考)】