説明

弾性部材を有する装置の組立方法

【課題】弾性部材を有する装置を組み立てる際の作業効率を向上することができる組み立て方法を提供すること。
【解決手段】弾性部材(80)を有する装置(1)の組立方法は、基体部60に弾性部材(80)の一端側81を取り付けると共に、該基体部60における取り付け部材(70)が取り付けられる側に前記弾性部材(80)の他端側82を突出させた状態で該弾性部材(80)を仮固定する仮固定工程と、前記取り付け部材(70)を前記基体部60から突出した前記弾性部材(80)の他端側82と当接させると共に該弾性部材(80)を弾性変形させながら、前記基体部60に設けられた被押圧部材(32)に対して前記弾性部材(80)が押圧する力を作用させ、前記取り付け部材(70)を、前記基体部60に取り付ける取り付け工程と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体部と、該基体部に取り付けられる取り付け部材と、前記基体部および前記取り付け部材に係合する弾性部材と、該弾性部材に押圧される被押圧部材とを備える装置の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、特許文献1および2に示す如く、弾性部材を有する装置の一例として記録装置があった。そして、記録装置は、基体部と、該基体部に取り付けられる取り付け部材と、前記基体部および前記取り付け部材と係合する弾性部材と、該弾性部材に押圧される被押圧部材とを備えていた。そして、装置が組み立てられた状態では、前記弾性部材が弾性変形した状態となり、該弾性部材が前記被押圧部材を押圧するように構成されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような弾性部材を有する装置を組み立てる際、先ず、前記基体部に前記被押圧部材を組み込んでいた。次に、前記基体部に前記取り付け部材を取り付けていた。その後、前記弾性部材の一端側を、前記基体部および前記取り付け部材の一方と係合させていた。そして、前記弾性部材を弾性変形させながら該弾性部材の他端側を、前記基体部および前記取り付け部材の他方と係合させて、前記被押圧部材が前記弾性部材に押圧されるように組み立てられていた。即ち、組み立て工程の数が多く、組み立てる際の作業効率がよくなかった。
【0004】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、弾性部材を有する装置を組み立てる際の作業効率を向上することができる組み立て方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様の弾性部材を有する装置の組立方法は、基体部に弾性部材の一端側を取り付けると共に、該基体部における取り付け部材が取り付けられる側に前記弾性部材の他端側を突出させた状態で該弾性部材を仮固定する仮固定工程と、前記取り付け部材を前記基体部から突出した前記弾性部材の他端側と当接させると共に該弾性部材を弾性変形させながら、前記基体部に設けられた被押圧部材に対して前記弾性部材が押圧する力を作用させ、前記取り付け部材を、前記基体部に取り付ける取り付け工程と、を具備することを特徴とする。
【0006】
ここで、「基体部における取り付け部材が取り付けられる側に前記弾性部材の他端側を突出させた状態」とは、前記取り付け部材が取り付けられる際に、前記弾性部材の他端側が前記取り付け部材と当接することができるように、前記基体部の任意の箇所を基準として前記取り付け部材が取り付けられる側に突出していることをいう。該任意の箇所は、前記基体部の形状および前記取り付け部材の形状によって決められる。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、前記弾性部材の一端側を前記基体部と係合させ、その後、前記取り付け部材を前記基体部に取り付けるだけでよい。即ち、前記弾性部材の一端側のみを係合させるだけでよく、他端側を係合させる工程を必要としない。該他端側については、前記取り付け部を前記基体部に取り付けるときに、前記取り付け部と係合させることができる。従って、従来技術である取り付け部材を基体部に取り付けた後にばね部材の一端側を基体部に固定し、他端側を取り付け部に固定する組立方法と比較して、組立工程の数を少なくすることができる。その結果、装置を組み立てる際の作業効率を向上させることができる。
【0008】
また、前記弾性部材を固定するための形状およびスペースを、前記基体部側のみに設けるだけでよい。即ち、従来は基体部側および取り付け部材側の両方の二箇所に設ける必要があったが、本態様では、前記取り付け部材側に設ける必要がなく、前記基体部側のみの一箇所だけでよい。その分、コストダウンすることが可能である。
【0009】
本発明の第2の態様の弾性部材を有する装置の組立方法は、取り付け部材に弾性部材の一端側を取り付けると共に、該取り付け部材における基体部へ取り付ける側に前記弾性部材の他端側を突出させた状態で該弾性部材を仮固定する仮固定工程と、前記取り付け部材から突出した前記弾性部材の他端側を前記基体部と当接させると共に該弾性部材を弾性変形させながら、前記基体部に設けられた被押圧部材に対して前記弾性部材が押圧する力を作用させ、前記取り付け部材を、前記基体部に取り付ける取り付け工程と、を具備することを特徴とする。
本発明の第2の態様によれば、第1の態様と同様の作用効果を得ることができる。
【0010】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記取り付け工程において、前記弾性部材と前記基体部とが接触する箇所を第1の点、前記弾性部材と前記取り付け部材とが接触する箇所を第2の点、前記弾性部材と前記被押圧部材とが接触する箇所を第3の点、としたとき、該第3の点は、前記第1の点と前記第2の点との間に位置することを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、第1または第2の態様と同様の作用効果に加え、「てこの原理」の関係を成立させることができる。前記第1の態様においては、前記第1の点を「支点」、前記第2の点を「力点」、前記第3の点を「作用点」とする「てこの原理」の関係を成立させることができる。一方、前記第2の態様においては、前記第1の点を「力点」、前記第2の点を「支点」、前記第3の点を「作用点」とする「てこの原理」の関係を成立させることができる。
【0012】
従って、より容易に組み立てることができる。具体的には、組み立ての際に必要な力を、上記「てこの原理」の関係が成立しない構成と比較して、小さくすることができる。
また、組み立てられた状態において、前記弾性部材が前記被押圧部材を押圧する力を比較的大きくして、確実に前記被押圧部材を押圧することができる。その結果、前記被押圧部材の位置を安定させることができる。
【0013】
またさらに、前記弾性部材と前記被押圧部材とを確実に接触させることができる。従って、前記弾性部材および前記取り付け部材を導電性素材で構成することにより、例えば、前記被押圧部材において発生する電荷を、接地した前記取り付け部材へ逃がすことができる。その結果、前記被押圧部材が帯電した状態になる虞がない。特に、前記被押圧部材が帯電すると不具合が生じる場合や、帯電しやすい場合に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る記録装置の内部側断面図。
【図2】本発明のばね部材を仮固定した状態を示す斜視図。
【図3】本発明のばね部材を仮固定した状態を示す平面図。
【図4】本発明のばね部材を仮固定した状態を示す側断面図。
【図5】本発明のフレーム部を取り付けた状態を示す斜視図。
【図6】本発明のフレーム部を取り付けた状態を示す平面図。
【図7】本発明のフレーム部を取り付けた状態を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、本発明に係る「記録装置」或いは「液体噴射装置」の一例としてのインクジェットプリンター(以下「プリンター」と言う)1の全体の概略を示す側断面図である。
ここで、液体噴射装置とは、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドから記録紙等の被記録材へインクを噴射して被記録材への記録を実行するインクジェット式記録装置、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えて特定の用途に対応する液体を前述した記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから、被記録材に相当する被噴射材に噴射して、液体を被噴射材に付着させる装置を含む意味で用いる。
【0016】
またさらに、液体噴射ヘッドとしては、前述した記録ヘッド以外に、液晶ディスプレイ等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイや面発光ディスプレイ(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料を噴射する試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【0017】
図1に示す如く、プリンター1は、載置部10と、給送部20と、搬送部30と、記録部40と、排出部50とを備えている。このうち、載置部10は、プリンター1の下方に配設され、用紙を積層することができる用紙トレイ11を有している。また、給送部20は、用紙トレイ11に積層された用紙を一枚ずつピックアップして送り方向下流側へ送ることができるように構成されている。具体的には、用紙トレイ11に積層された用紙と接触して図示しない給送用モーターの動力によって駆動する給送ローラー21を有している。
【0018】
給送ローラー21によって送られる用紙は、先ず、予備分離部22へ送られる。重送された場合は予備分離部22によって給送ローラー21に対して最上位の用紙と次位以降の用紙とに分離される。そして、最上位の用紙は、さらに送り方向下流側の本分離部23へ送られる。本分離部23は、図示しないモーターの動力によって駆動する中間ローラー25と、回転するために所定の負荷を有するリタードローラー24とを有する。そして、本分離部23まで重送された場合であっても、公知の摩擦係数の関係により中間ローラー25に対して最上位の用紙のみが本分離部23を通過することができるように構成されている。
【0019】
本分離部23を通過した用紙は、U字型の送り経路に沿って案内され、補助ローラー26および中間ローラー25によって、搬送部30へ送られる。
搬送部30は、用紙を記録部40へ精度よく搬送することができるように設けられている。具体的には、動力伝達手段(図示せず)によって搬送用モーター(図示せず)の動力が伝達され駆動する搬送駆動ローラー32と、従動回転する搬送従動ローラー33とを有する搬送ローラー対31を備えている。
【0020】
記録部40は、搬送部30から搬送された用紙に対してインクを吐出することにより記録を実行することができるように構成されている。具体的には、キャリッジ41と、記録ヘッド44と、第1ガイドレール部42と、第2ガイドレール部43と、用紙支持部45とを有している。このうち、キャリッジ41は、用紙の幅方向Xに延設された第1ガイドレール部42および第2ガイドレール部43によって案内されながら、図示しないキャリッジ用モーターの動力によって用紙の幅方向Xへ往復移動することができるように設けられている。また、記録ヘッド44は、キャリッジ41の下方に設けられ、用紙に対してインクを吐出することができるように設けられている。またさらに、用紙支持部45は、記録ヘッド44と対向する位置に設けられ、用紙を裏面から支持することができるように構成されている。
【0021】
また、第1ガイドレール部42は、導電部材で形成されたフレーム部70の一部に形成されている。またさらに、用紙支持部45は、非導電部材で形成された基体部60の一部に形成されている。そして、フレーム部70は、基体部60に取り付けられている。また、詳しくは後述するように、搬送駆動ローラー32に電荷が帯電しないように、導電部材で形成された接地ばね部材80が搬送駆動ローラー32とフレーム部70とを電気的に接続するように構成されている。フレーム部70は、図示しない箇所において接地されている。
【0022】
従って、搬送駆動ローラー32等において発生した電荷を、接地ばね部材80およびフレーム部70を介して逃がすことができる。記録時に搬送駆動ローラー32によって用紙を搬送するので、用紙を帯電していない状態にすることができる。その結果、帯電により記録ヘッド44から吐出されるインク滴の飛行に悪影響が生じることを防止することができる。
【0023】
排出部50は、記録部40によって記録された用紙をプリンター1の外部の排出トレイ(図示せず)に排出することができるように設けられている。具体的には、排出補助ローラー51と、排出ローラー対52とを有している。このうち、排出ローラー対52は、動力伝達手段(図示せず)によって搬送用モーター(図示せず)の動力が伝達され駆動する排出駆動ローラー53と、従動回転する排出従動ローラー54とを有している。
【0024】
尚、本実施例のプリンター1は、用紙の表面を記録した後、記録時の送り方向上流側(Y軸の矢印と逆向き)へ逆送して中間ローラー25を介してU字に反転送りして記録時の送り方向下流側へ送ることにより用紙を裏面に対して記録を実行することができるように構成されている。
【0025】
続いて、弾性部材の一例である接地ばね部材80の取り付けについて説明する。
本実施例では接地ばね部材を例に以下説明するが、本願発明の「弾性部材を有する装置の組み立て方法」としては、「弾性部材」は接地ばね部材に限られるものではない。
図2に示すのは、本発明の弾性部材の一例である接地ばね部材を仮固定した状態を示す斜視図である。また、図3に示すのは、図2の平面図である。またさらに、図4に示すのは、図2の側断面図である。
【0026】
図2〜図4に示す如く、基体部60には、用紙の幅方向Xに延設された搬送駆動ローラー32が取り付けられている。また、基体部60には、後にフレーム部70を取り付けるための、ねじ穴63と、基体部60とフレーム部70との相対的な位置関係を決める位置決め面66および位置決め凸部62、62とが設けられている。
尚、位置決め凸部は、幅方向Xの両側に設けられているが、一方のみについて図示して説明するものとし、他方については同様であるので、図示および説明を省略する。
【0027】
弾性部材の一例である接地ばね部材80の取り付け方法として、先ず、基体部60に、被押圧部材としての搬送駆動ローラー32を取り付ける。具体的には、搬送駆動ローラー32を、基体部60において用紙の幅方向Xに延設された凹部に配置し、基体部60に設けられた一対の爪部64、64と係合させる。
次に、仮固定工程として、接地ばね部材80の一端側81を、基体部60と係合させて仮固定する。
【0028】
具体的には、接地ばね部材80の一端側81を、基体部60に形成された係合部61と係合させる。このとき、接地ばね部材80の他端側82が、基体部60におけるフレーム部70が取り付けられる側に突出しているように構成されている(図4参照)。
ここで、「基体部60におけるフレーム部70が取り付けられる側に突出している」とは、フレーム部70が取り付けられる際に当接することができるように、基体部60の任意の箇所を基準としてフレーム部70が取り付けられる側に突出していることをいう。
【0029】
従って、位置決め凸部62より突出している必要はない。前記任意の箇所は、基体部60の形状およびフレーム部70の形状によって決められる。本実施例では、フレーム部70と接触する位置決め面66の近傍において、位置決め面66よりフレーム部70が取り付けられる側であるZ軸方向上方に突出している。
【0030】
また、このとき、接地ばね部材80の中間部83は、搬送駆動ローラー32と接触していてもよいし、していなくてもどちらでもよい。従って、図2〜図4に示す如く、接地ばね部材80の一端側81が基体部60と係合した仮固定した状態となる。
【0031】
図5に示すのは、本発明のフレーム部を取り付けた状態を示す斜視図である。また、図6に示すのは、図5の平面図である。またさらに、図7に示すのは、図5の側断面図である。
図5〜図7に示す如く、取り付け工程として、取り付け部材としてのフレーム部70を、基体部60に取り付ける。このとき、フレーム部70に形成された穴部71、71に、基体部60の凸部62、62を嵌め合わせる。
【0032】
従って、基体部60とフレーム部70とのX軸方向およびY軸方向における相対的な位置関係を決めることができる。そして、フレーム部70を鉛直方向であるZ軸方向下方へ移動させて、フレーム部70と、接地ばね部材80の他端側82とを当接させる。そして、さらに、フレーム部70をZ軸方向下方へ移動させてフレーム部自体を基体部60の位置決め面66と当接させる。従って、基体部60とフレーム部70とのZ軸方向における相対的な位置関係を決めることができる。
【0033】
このとき、フレーム部70が、基体部60からフレーム部70が取り付けられる側へ突出していた接地ばね部材80の他端側82を押さえるので、接地ばね部材80は弾性変形する。
尚、接地ばね部材80は基体部60に形成された支え部67に支えられるので、接地ばね部材80の他端側82はZ軸方向にのみ移動するように構成されている。即ち、接地ばね部材80の姿勢が大きく変化する虞がない。
【0034】
そして、弾性変形することによって、接地ばね部材80の中間部83は、搬送駆動ローラー32と接触し搬送駆動ローラー32を押圧した状態となる。その結果、接地ばね部材80が、搬送駆動ローラー32と、フレーム部70とを電気的に確実に接続した状態となる。
そして、ねじ65をフレーム部70の図示しない挿通穴を介して基体部60のねじ穴63において締結することにより、基体部60へのフレーム部70の取り付けが完了する。
【0035】
また、フレーム部70を取り付ける際の接地ばね部材80の位置関係についてさらに説明する。
図4および図7に示す如く、接地ばね部材80の一端側81と基体部60の係合部61とが係合している箇所を支点S、接地ばね部材80の他端側82とフレーム部70とが当接する箇所を力点T、接地ばね部材80の中間部83と搬送駆動ローラー32とが当接する箇所を作用点Uとする所謂「てこの原理」の関係が成り立つように構成されている。
【0036】
ここで、力点Tに作用する力の向きはZ軸方向であるので、Y軸方向におけるレバー比について説明する。Y軸方向における支点Sから作用点Uまでの距離をL1、同様に支点Sから力点Tまでの距離をL2としたとき、
支点Sから作用点Uまでの距離L1<支点Sから力点Tまでの距離L2
の関係が成り立つように構成されている。さらに、作用点Uは、力点Tと支点Sとの間に位置する。
【0037】
その結果、比較的小さな力でフレーム部70によって接地ばね部材80の他端側82をZ軸方向下方へ押圧しただけで、比較的大きな力が作用点Uに作用し、確実に接地ばね部材80の中間部83と搬送駆動ローラー32とを接触させることができる。これにより、プリンター1において、搬送駆動ローラー32が用紙を搬送するとき、用紙および搬送駆動ローラー32に発生した電荷を、接地ばね部材80を介してフレーム部70へ電気的に移動させることができる。ここで、フレーム部70は接地されているので、電荷を逃がすことができ、搬送駆動ローラー32が帯電することを確実に防止することができる。
【0038】
以上、説明したように、仮固定工程と、取り付け工程とによって組み立てるため、従来技術である弾性部材の一端側および他端側の両側を係合させる工程を必要としない。即ち、本発明では、一端側81のみを仮固定するだけでよい。従って、その分、接地ばね部材80を備えた装置を容易に組み立てることができる。また、接地ばね部材80の両側ではなく、一端側81のみを係合させるので、他端側82を係合させるための形状やスペースを積極的に設ける必要がない。
【0039】
即ち、一端側81を係合させるための形状やスペースを設けるだけでよい。その結果、小型化やコストダウンを図ることができる。
また、組み立てとは反対に、接地ばね部材80を備えた装置を分解する際、従来技術である弾性部材の一端側および他端側の両側の係合を解除する工程を必要としないため、従来技術と比較して、容易に分解することができる。装置を修理する場合や、分解して各部材を分別してリサイクルする場合に有効である。
【0040】
尚、上記実施例では、弾性部材の一例として接地ばね部材80を用いたが、これに限られるものではない。弾性部材によって被押圧部材を押圧して、被押圧部材を位置や姿勢を安定させる構成であってもよい。具体的には、コイルばね、ねじりコイルばね、板ばね、ゴム等の弾性部材でもよい。
また、被押圧部材の一例として搬送駆動ローラーを用いたが、これに限られるものではない。
【0041】
本実施形態の弾性部材の一例である接地ばね部材80を有する装置(例えばプリンター1)の組立方法は、基体部60に接地ばね部材80の一端側81を取り付けると共に、基体部60における取り付け部材としてのフレーム部70が取り付けられる側に接地ばね部材80の他端側82を突出させた状態で接地ばね部材80を仮固定する仮固定工程と、フレーム部70を基体部60から突出した接地ばね部材80の他端側82と当接させると共に接地ばね部材80を弾性変形させながら、基体部60に設けられた被押圧部材としての搬送駆動ローラー32に対して接地ばね部材80が押圧する力を作用させ、フレーム部70を、基体部60に取り付ける取り付け工程と、を具備することを特徴とする。
【0042】
また、本実施形態において、前記取り付け工程において、接地ばね部材80と基体部60とが接触する箇所を第1の点としての支点S、接地ばね部材80とフレーム部70とが接触する箇所を第2の点としての力点T、接地ばね部材80と搬送駆動ローラー32とが接触する箇所を第3の点としての作用点U、としたとき、作用点Uは、支点Sと力点Tとの間に位置することを特徴とする。即ち、「てこの原理」の関係が成立することを特徴とする。
【0043】
[他の実施形態]
前述した実施形態では、仮固定工程として、基体部側に接地ばね部材80の一端側81を仮固定したが、他の実施形態(図示せず)では、仮固定工程として、取り付け部材としてのフレーム部(前述した実施形態の符号70に相当)の係合部(図示せず)に接地ばね部材(前述した実施形態の符号80に相当)の一端側(前述した実施形態の符号81に相当)を仮固定する。このとき、フレーム部(70)における基体部(60)へ取り付ける側に接地ばね部材(80)の他端側(82)を突出させた状態で仮固定する。
【0044】
そして、取り付け工程として、接地ばね部材(80)の他端側(82)を基体部(60)に当接させると共に弾性変形させ、接地ばね部材(80)の中間部(83)と搬送駆動ローラー32とを当接させる。そして、接地ばね部材(80)の中間部(83)が搬送駆動ローラー32を押圧するように作用させる。その後、フレーム部(70)を基体部(60)にねじ65で固定して、取り付けが完了する。
【0045】
その結果、前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。具体的には、従来技術である弾性部材の一端側および他端側の両側を係合させる工程を必要としない。即ち、本発明では、一端側(81)のみを仮固定するだけでよい。従って、その分、接地ばね部材(80)を備えた装置(例えばプリンター1)を容易に組み立てることができる。また、接地ばね部材(80)の両側ではなく、一端側(81)のみを係合させるので、他端側(82)を係合させるための形状やスペースを積極的に設ける必要がない。即ち、一端側(81)を係合させるための形状やスペースを設けるだけでよい。その結果、小型化やコストダウンを図ることができる。
尚、その他の部材については前述した実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
また、他の実施形態における「てこの原理」については、前述した実施形態と比較して、「力点」と「支点」とが逆の構成となるが、同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
他の実施形態の弾性部材の一例である接地ばね部材(80)を有する装置の組立方法は、フレーム部(70)に接地ばね部材(80)の一端側(81)を取り付けると共に、フレーム部(70)における基体部(60)へ取り付ける側に接地ばね部材(80)の他端側(82)を突出させた状態で接地ばね部材(80)を仮固定する仮固定工程と、フレーム部(70)から突出した接地ばね部材(80)の他端側(82)を基体部(60)と当接させると共に接地ばね部材(80)を弾性変形させながら、基体部(60)に設けられた搬送駆動ローラー32に対して接地ばね部材(80)が押圧する力を作用させ、フレーム部(70)を、基体部(60)に取り付ける取り付け工程と、を具備することを特徴とする。
【0047】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
1 プリンター、10 載置部、11 用紙トレイ、20 給送部、
21 給送ローラー、22 予備分離部、23 本分離部、24 リタードローラー、
25 中間ローラー、26 補助ローラー、30 搬送部、31 搬送ローラー対、
32 搬送駆動ローラー、33 搬送従動ローラー、40 記録部、41 キャリッジ、
42 第1ガイドレール部、43 第2ガイドレール部、44 記録ヘッド、
45 用紙支持部、50 排出部、51 排出補助ローラー、52 排出ローラー対、
53 排出駆動ローラー、54 排出従動ローラー、60 基体部、61 係合部、
62 凸部、63 ねじ穴、64 爪部、65 ねじ、70 フレーム部、71 穴部、
80 接地ばね部材、81 一端側、82 他端側、83 中間部、S 支点、
T 力点、U 作用点、X 用紙の幅方向、Y 記録時の送り方向、Z 鉛直方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0049】
【特許文献1】特開2006−281762号公報
【特許文献2】特開平7−57797号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体部に弾性部材の一端側を取り付けると共に、該基体部における取り付け部材が取り付けられる側に前記弾性部材の他端側を突出させた状態で該弾性部材を仮固定する仮固定工程と、
前記取り付け部材を前記基体部から突出した前記弾性部材の他端側と当接させると共に該弾性部材を弾性変形させながら、前記基体部に設けられた被押圧部材に対して前記弾性部材が押圧する力を作用させ、前記取り付け部材を、前記基体部に取り付ける取り付け工程と、を具備する弾性部材を有する装置の組立方法。
【請求項2】
取り付け部材に弾性部材の一端側を取り付けると共に、該取り付け部材における基体部へ取り付ける側に前記弾性部材の他端側を突出させた状態で該弾性部材を仮固定する仮固定工程と、
前記取り付け部材から突出した前記弾性部材の他端側を前記基体部と当接させると共に該弾性部材を弾性変形させながら、前記基体部に設けられた被押圧部材に対して前記弾性部材が押圧する力を作用させ、前記取り付け部材を、前記基体部に取り付ける取り付け工程と、を具備する弾性部材を有する装置の組立方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の弾性部材を有する装置の組立方法において、前記取り付け工程において、前記弾性部材と前記基体部とが接触する箇所を第1の点、
前記弾性部材と前記取り付け部材とが接触する箇所を第2の点、
前記弾性部材と前記被押圧部材とが接触する箇所を第3の点、としたとき、
該第3の点は、前記第1の点と前記第2の点との間に位置することを特徴とする弾性部材を有する装置の組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−241537(P2010−241537A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90350(P2009−90350)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】