説明

弾球遊技機および遊技球発射装置

【課題】糸付きの遊技球を用いた不正行為が行なわれるのを防止する。
【解決手段】(b)の状態から球送りソレノイド41がOFFになると、(c)に示すように球送りレバー43が元の位置に戻り、球送りレバー43の凹部と球排出口49の位置が整合し、遊技球15は本図の手前方向に転動して球排出口49から流出し、図示しない発射台に載置される。そして、球送りソレノイド41がOFFの状態では、糸斬りソレノイド42がONとなり、カッター45が下降する。カッター45は球排出口49の右縁に位置し、遊技球15に糸がついていれば、下降するカッター45により糸を切断できる。従って糸付きの遊技球により不正行為が行なわれるのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機およびその遊技機に用いられる遊技球発射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より弾球遊技機(パチンコ遊技機、パチンコ機または単に遊技機ともいう)においては、発射された遊技球が入賞口に入ると、賞球が払い出される。これを悪用して、糸を付けた遊技球を用いる不正行為(糸付き球ゴトという)が行なわれることがある。これは、糸の一端を遊技球に固定し、他端を左手などに持ち、この遊技球を通常どおりに発射するという行為である。そしてこの糸付きの遊技球が入賞口に入って、入賞口内に設けられた球センサにこの遊技球が検出される(賞球が払い出される)と、糸の前記他端を引っ張って、球センサに検出されない位置まで遊技球を引っ張り出し、再び糸を緩めてこの遊技球を前記球センサに検出させると(賞球が払い出される)いうことを繰り返す。これにより、球センサは複数の遊技球が入賞口に入った、と誤認識をし、この不正行為者に賞球を付与してしまう。
【0003】
こうした不正行為を防止するために特許文献1では、玉通路に段差を設け、遊技球がこの段差を降りる際(遊技球の通常の流れ方向)には遊技球を検出し、遊技球がこの段差を上る際(遊技球の異常な流れ方向。不正の疑いあり)には、その段差を構成する壁部分に突出するレバーに遊技球が突き当たり、前記レバーを変位させたことをセンサで検出することにより、不正を検出する技術が開示されている。なお、特許文献1の装置は遊技機ではなくパチンコ玉計数機であるが、遊技機と同様の不正行為への対策に関する発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−85441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、糸付き球を用いた不正行為には、前記した以外のものも存在する。例えば、糸付き球を遊技領域の所定の場所に位置させることにより、いわゆるワープルートへと他の遊技球を誘導するというものである。ワープルートは通常、液晶表示装置を囲むセンターケースの左側面に入口が形成されており、ここに入った遊技球は、液晶表示装置の下方に形成されたステージと呼ばれる部位に誘導され、このステージの下方に設けられた始動口に高い確率で入球する。遊技球が始動口に入球すると乱数が発生され、この乱数の値に基づいて当否判定が行なわれる。当否判定の結果が当りであれば大当り遊技が発生し、遊技者に大量(例えば1000個以上)の賞球をもたらす。従って、ワープルートへ遊技球を誘導すると、前記乱数が発生し易くなり、これにより大当り遊技も発生し易くなる。「所定の位置」の具体例としては、ワープルートの入口の左方が挙げられ、ここに糸付き球を位置させることにより、糸付き球に衝突した遊技球がワープルートの入口へ向かうようにする。
【0006】
また、これ以外の不正行為として、糸付き球を用いて遊技領域内の遊技球の流下を妨害して、ブドウと呼ばれる遊技球の滞留物を発生させ、この滞留物により、所望の位置(例えば始動口)へそれ以外の遊技球を導くという行為も挙げられる。
これらいずれの不正行為も、糸付き球が玉センサに検出される訳でも、玉センサの前後を往復するわけではないので、特許文献1に記載の技術で、これらの不正を検出することも防止することも困難である。
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、糸付き球を用いた不正行為を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の請求項1記載の弾球遊技機は、遊技領域に発射するための遊技球を保持する皿部と、遊技球を1個ずつ前記遊技領域に向けて発射する遊技球発射装置と、前記皿部から前記遊技球発射装置へと遊技球を誘導するための遊技球通路とを備えた弾球遊技機において、前記遊技球通路、及び前記遊技球発射装置の少なくとも一方に、糸を切断するためのカッターを設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の弾球遊技機において、前記カッターを駆動するカッター駆動部を備え、該カッター駆動部により前記カッターが駆動されることにより、前記糸を切断することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、弾球遊技機に用いられ、遊技領域に遊技球を発射する遊技球発射装置であって、当該遊技球発射装置へ遊技球が流入するための導入口と、遊技領域へと発射される遊技球が載置される発射台と、該発射台に載置された遊技球を打撃して遊技領域へと発射するためのハンマーと、該ハンマーを駆動して遊技球を打撃するハンマー駆動部と、前記導入口から当該遊技球発射装置内へと流入した遊技球を1個ずつ前記発射台へと供給するための球供給機構と、前記球供給機構を駆動して遊技球を1個ずつ前記発射台へと供給する球供給機構駆動部と、該球供給機構駆動部による前記球供給機構の駆動と前記ハンマー駆動部による前記ハンマーの駆動とを同期させることにより、前記発射台へと供給された遊技球を1個ずつ遊技領域へと発射する発射制御部とを備え、前記導入口から前記発射台に至る遊技球の通路に、糸を切断するためのカッターを備えたことを特徴とする遊技球発射装置をその要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、請求項3に記載の遊技球発射装置において、前記カッターを駆動するカッター駆動部を備え、該カッター駆動部により前記カッターが駆動されることにより、前記糸を切断することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の本発明は、請求項4に記載の遊技球発射装置において、前記カッター駆動部は、前記発射制御部により、前記球供給機構駆動部、及び前記ハンマー駆動部と同期して前記カッターを駆動するものであることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の本発明は、請求項3〜5の何れか1項に記載の遊技球発射装置において、前記カッターにより前記糸の切断に失敗したか否かを検出する切断検出手段と、前記切断検出手段により前記糸の切断に失敗したことが検出された場合には、前記遊技球の発射を停止する発射停止手段とを備えたことを特徴とする。
なお、遊技球に糸がついていないがために、カッターを駆動しても糸を切断できなかったという事態は、「糸の切断に失敗した」とは言わないものとする(請求項7においても同様)。また、請求項1または請求項2に記載の弾球遊技機に請求項6に記載の本発明を適用しても構わない。
【0013】
請求項7に記載の本発明は、請求項3〜5の何れか1項に記載の遊技球発射装置において、前記カッターにより前記糸の切断に失敗したか否かを検出する切断検出手段と、前記切断検出手段により前記糸の切断に失敗したことが検出された場合には、前記糸の切断に失敗したことを報知する不正報知手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
なお、請求項7に記載の本発明を請求項6に記載の遊技球発射装置に適用してもよい。その場合は、切断検出手段は共通の構成としてもよいし、発射停止用と不正報知用とで別々の構成としてもよい。また、請求項1または請求項2に記載の弾球遊技機に、請求項7に記載の本発明を適用しても構わない。
【0015】
請求項8に記載の本発明は、請求項3〜7の何れか1項に記載の遊技球発射装置を備えたことを特徴とする弾球遊技機をその要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の弾球遊技機によれば、遊技球通路および遊技球発射装置の少なくとも一方にカッターが設けられているので、遊技球に糸がついていてもこのカッターにて切断することができる。従って、遊技球を球センサの前後で繰り返し往復させて賞球を得るという不正行為だけでなく、前述したワープルートへ遊技球を誘導する不正行為、及びブドウを発生させる不正行為も防ぐことができる。
【0017】
請求項2に記載の弾球遊技機によれば、カッターがカッター駆動部により駆動されるので、球に付けられた糸が、何らかの理由により殆ど動かない場合にも、この糸を切断することができる。
【0018】
請求項3に記載の遊技球発射装置によれば、カッターが設けられているため、遊技球に糸がついていてもこのカッターにて切断することができる。従って、遊技球を球センサの前後で繰り返し往復させて賞球を得るという不正行為だけでなく、ワープルートへ遊技球を誘導する不正行為、及びブドウを発生させる不正行為も防ぐことができる。
【0019】
請求項4に記載の遊技球発射装置によれば、カッターがカッター駆動部により駆動されるので、球に付けられた糸が、殆ど動かない場合にも、この糸を切断することができる。
【0020】
請求項5に記載の遊技球発射装置によれば、カッターがハンマーや球供給機構と同期して駆動されるため、適切なタイミング(例えば、ハンマーにより遊技球が発射される直前にカッターを駆動する、逆に、ハンマーにより遊技球が発射されてからカッターを駆動する、球供給機構が発射台に遊技球を供給する直前にカッターを駆動する、逆に、球供給機構が発射台に遊技球を供給してからカッターを駆動する等)で糸を切断することが可能となる。
【0021】
請求項6に記載の遊技球発射装置によれば、糸の切断に失敗したことが切断検出手段により検出された場合には、発射停止手段が遊技球の発射を停止するので、糸付き球により遊技場などが不利益を被るのを防止できる。但し、糸付き球を入賞口の玉センサに繰り返し検出させる不正に対しては効力を期待できない。こうした不正に対して糸を切断するのに失敗した場合を対策するには次のようにすると良い。
【0022】
すなわち請求項7に記載の遊技球発射装置によれば、糸の切断に失敗したことが切断検出手段により検出された場合には、不正報知手段が糸の切断に失敗したことを報知するので、糸付き球を入賞口の玉センサに繰り返し検出させる不正により遊技場などが不利益を被るのも防止することができる。
【0023】
請求項8に記載の弾球遊技機によれば、請求項3〜7の何れか1項に記載の遊技球発射装置と同じ効果を有するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施例のパチンコ機50の正面図
【図2】パチンコ機50の遊技盤1の正面図
【図3】パチンコ機50の背面図
【図4】パチンコ機50の電気構成図
【図5】上皿55の遊技球15が発射装置19に供給される様子を示す説明図
【図6】発射ハンドル64の説明図
【図7】発射装置19の外観図
【図8】球送りカセット44の背面図
【図9】糸斬り装置の動作説明図
【図10】糸斬り装置および球送り装置の動作を示すタイムチャート
【図11】第2実施例の糸斬り装置の動作説明図
【図12】第3実施例のパチンコ機50の電気構成図
【図13】糸付き不正検出処理のフローチャート
【図14】第3実施例の糸斬り装置の動作説明図
【図15】第4実施例の糸斬り装置の動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
[実施例1]
【0026】
図1に示すように、弾球遊技機の一種であるパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造である。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、該ヒンジ53の他方側には図3に記載する内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には図2に記載する遊技盤1が内枠70に取り付けられている。
【0027】
前枠52の上側左右には、スピーカ66が設けられており、パチンコ機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65も複数設けられている。前枠52の下方には、上皿55と下皿63が一体に形成されている。下皿63の右側には発射ハンドル64が取り付けられており、該発射ハンドル64を時計回りに回動操作することによって発射装置(後述)が稼働して、上皿55から供給された遊技球が遊技盤1に向けて発射される。
【0028】
上皿55の上部ほぼ中央には、遊技者が操作可能な演出ボタン67が備えられており、この演出ボタン67は、周囲にジョグダイヤル68を備えたものとなっている。遊技者が所定期間中に、演出ボタン67やジョグダイヤル68を操作することで後述する演出図柄表示装置6に表示される内容が変化したり、スピーカ66より出力される遊技音が変化したりする。また、このパチンコ機50はいわゆるCR機であって、プリペイドカードの読み書き等を行うためのプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属しており、パチンコ機50には、球貸スイッチ57、精算スイッチ58及び残高表示器59を有するCR精算表示装置が備わっている。
【0029】
図2は、本実施例のパチンコ機の遊技盤1の正面図である。なお、このパチンコ機の全体的な構成は公知技術に従っているので図示及び説明は省略する。図2に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられている。この遊技領域3には多数の遊技釘4が打ち付けられている。
【0030】
遊技領域3のほぼ中央部には、センターケース5が配されている。センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(液晶表示装置であり擬似図柄を表示する。)の画面を臨ませる窓等を備えている。センターケース5の下には、第1始動口11と第2始動口12とがユニット化された複合入賞装置が配置されている。第2始動口12は開閉可能な翼片を供えた普通電動役物を備えており、この翼片が開放しないと遊技球は第2始動口12に入球できない構成となっている。遊技領域の右下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7と、普通図柄保留数表示装置8と、特別図柄保留数表示装置18と、7セグメント表示装置からなる特別図柄表示装置9とが配置されている。なお、前記翼片は、普通図柄表示装置7に特定の普通図柄が表示される(「普通図柄が当る」ともいう)と開放される。普通図柄は、演出図柄表示装置6の左方に設けられたゲート17を遊技球が通過すると変動が開始され、所定時間経過後に停止される。この変動時間および停止される普通図柄は、ゲート通過を契機として抽出された乱数に基づいて決定され、ゲート17を遊技球が通過した際に普通図柄が変動中などの場合により、普通図柄の変動を開始できない場合には、これらの乱数が記憶され、その個数が普通図柄保留数表示装置8に表示される。
【0031】
複合入賞装置の下方にはアタッカー式の大入賞口14が配置されている。また、第1始動口11の左方には、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33及び第4左入賞口34が設けられている。なお、この第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34が、常時、入球率が変化しない普通入賞口である。
【0032】
パチンコ遊技機50の裏面は図3に示すとおり、前述した遊技盤1を脱着可能に取り付ける内枠70が前述した外枠51に収納されている。この内枠70には、上方から、球タンク71、タンクレール72及び払出装置73が設けられている。この構成により、遊技盤1上の入賞口に遊技球の入賞があれば球タンク71からタンクレール72を介して所定個数の遊技球を払出装置73により前述した上皿55に排出することができる。また、パチンコ機50の裏側には(図4も参照のこと)、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置84、電源基板85が設けられている。なお、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83がサブ制御装置に該当する。
【0033】
主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83は遊技盤1に設けられており、払出制御装置81、発射制御装置84、電源基板85が内枠70に設けられている。なお、図3では、発射制御装置84が描かれていないが、発射制御装置84は払出制御装置81の下に設けられている。また、球タンク71の右側には、外部接続端子板78が設けられており、この外部接続端子板78より、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータに送られる。
【0034】
このパチンコ機50の電気的構成は、図4のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
【0035】
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するための第1カウントスイッチ14a、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、及び第4左入賞口34に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ31a等の検出信号が入力される。
【0036】
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。
また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている特別図柄表示装置9及び普通図柄表示装置7の表示、特別図柄保留数表示装置18、及び普通図柄保留数表示装置8の点灯を制御する。
【0037】
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド(図4では普電役物ソレノイドと表記)12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が、裏中継端子板75、払出制御装置81および外部接続端子板78を介してホールコンピュータ87に送られる。主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
【0038】
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を稼働させて賞球を払い出させる。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出センサ21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出センサ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
【0039】
なお、払出制御装置81はガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力され、満杯スイッチ22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンクに遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
【0040】
また、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してCRユニット56と交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。なお、CRユニット端子板24は精算表示装置25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示装置25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸スイッチ57、精算を要求するための精算スイッチ58、残高表示器59(図1参照)が接続されている。
【0041】
また、払出制御装置81は、外部接続端子板78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータ87に送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。
【0042】
発射制御装置84は発射ソレノイド30を制御して、遊技球を遊技領域3に遊技球を発射させる。また、発射制御装置84は球送りソレノイド41を制御して、発射台(後述)に1個ずつ遊技球を供給し、これに同期して糸斬りソレノイド42(後述)を駆動する。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドル64(図1参照)からの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。
【0043】
回動量信号は、遊技者が発射ハンドル64を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル64を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル64を触っていても遊技球は発射できないようになっている。
【0044】
サブ統合制御装置83はサブ制御装置に該当し、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ66からの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。 また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67、ジョグダイヤル68が接続されており、遊技者がこれら67、68を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
【0045】
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、擬似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面6aに表示させる。
【0046】
上皿55の遊技球が発射装置に供給される様子を図5に示す。図5(a)は上皿55を上方から見た図である。上皿55にあった遊技球15は、上皿55の底面中ほどから右方手前に流れ、左折して奥方向(本図では上方)に流れ、更に左折して流入口55aから上皿55の底面の下方(本図では奥方向)に誘導される。図5(b)はパチンコ機50を一部断面にして、上皿55の右方から見た図である。図5(a)のように誘導された遊技球15は、上皿55の奥方向(本図では右方)に設けられた発射装置19に入り、発射ハンドル64(図1などを参照)が操作されると、1個ずつ遊技領域3に発射される。
【0047】
発射ハンドル64の説明図を図6に示す。図6(a)は発射レバー37が回動されていない状態、図6(b)は発射レバー37が回動された状態を示す。発射ハンドル64は、パチンコ機50に対して固定されたドーム状のタッチ部38の周りに発射レバー37が回動可能に設けられている。発射レバー37にはリブ39(通常はタッチ部38に覆われていて見えない)が設けられており、図6(a)に示す発射レバー37が回動されていない状態では、リブ39が発射停止ボタン40を押さえている。これにより発射停止スイッチ29がON状態、すなわち遊技球15の発射が行なわれない状態となっている。発射レバー37が回動されると、リブ39が発射停止ボタン40から離れ、発射停止スイッチ29がOFF状態となり、発射ソレノイド30、及び球送りソレノイド41が作動を開始する。なお、発射ソレノイド30、及び球送りソレノイド41が作動すると、糸斬りソレノイド42もこれらに同期して作動する。
【0048】
発射装置19の外観を図7に示す。図7(a)は発射装置19をパチンコ機50の正面側から見た図であり、図7(b)は発射装置19の斜視図である。球送りソレノイド41は、球送りレバー43と共に球送りカセット44の内部に設けられており、球送りソレノイド41が稼働する(「ONになる」ともいう)と球送りレバー43がPを軸として時計回りに揺動される。糸斬りソレノイド42も球送りカセット44の内部に設けられており、糸斬りソレノイド42が稼働されると、糸斬りソレノイド42のプランジャに固定されたカッター45が下降される(図7(a)はカッター45が上昇した状態)。カッター45は、本図の左右方向に垂直な板状部材であり、その下端に刃がついている。発射ソレノイド30は、図7(b)に示すように発射装置19の背面側に設けられており、発射ソレノイド30が稼働されると、ハンマー46を揺動させ、発射台47に載置された遊技球を発射する。なお、符号48は、上皿55から誘導された遊技球15が球送りカセット44に入るための導入口である。
【0049】
球送りソレノイド41と糸斬りソレノイド42の動作について図8に示す。図8(a)は球送りカセット44の背面図(図7(a)と逆方向から見た図)であり、図8(b)、図8(c)は図8(a)の前面を透視した図である。なお、図8(b)は球送りソレノイド41が稼働し、糸斬りソレノイド42が稼働していない状態、図8(c)は球送りソレノイド41が稼働しておらず(「OFF状態」または単に「OFF」ともいう)、糸斬りソレノイド42が稼働した状態を示している。
【0050】
球排出口49は、球送りカセット44から発射台47(図7(b)などを参照)に流れ出る遊技球15の出口であり、略長方形をした孔となっている。導入口48から球送りカセット44内に入って来た遊技球15は、図8(b)に示すように球送りソレノイド41が稼働した状態では、位置Pを軸として反時計回りに揺動された球送りレバー43の凹部(図9なども参照)に入り込む。これは球送りレバー43の凹部と導入口48の位置が整合していることによる。なお、図8(b)の状態では、導入口48に別の遊技球15が上皿55から流れ込む可能性があるが、図が煩雑になるのを避けるために図示していない。この状態は、上皿55が空になっている場合などに発生する。また、導入口48の左縁と球排出口49の右縁との間には距離aの間隔(間隔aという)が設定されている。図8(b)では球送りレバー43は上がった状態となっているが、球送りレバー43が下がった状態になっても、この間隔aに球送りレバー43の一部(例えば右縁)が入り込むことはない。
【0051】
この状態から球送りソレノイド41がOFFになると、図8(c)に示すように球送りレバー43が元の位置に戻り(具体的には、位置Pを軸として時計回りに揺動し)、球送りレバー43の凹部と球排出口49の位置が整合し、遊技球15は本図の手前方向に転動して球排出口49から流出し、図示しない発射台47に載置される。なお、図8(c)の状態では、球送りレバー43の凹部と球排出口49の位置がずれているので、遊技球15が球排出口49から流出しても、別の遊技球15が球送りレバー43の凹部に入り込むことはなく、発射台47に載置される遊技球15は1個のみとなる。そして、球送りソレノイド41がOFFの状態では、糸斬りソレノイド42がONとなり(正確には、この状態とならない期間がある。これについては後述)、カッター45が前述した間隔aを下降する。糸が遊技球15についていれば、この間隔aを確実に通過するので、下降するカッター45により糸を切断できる。前後するが、図8(b)の状態では、糸斬りソレノイド42がOFF状態となり、カッター45は上昇した状態であり、遊技球15が導入口48から球送りレバー43の凹部に入るのをカッター45が妨げることはない。なお、以下の説明では、球送りレバー43が図8(b)の姿勢(遊技球15が凹部にあるか否かは問わない)にあることを「上がった状態」、図8(c)の姿勢(遊技球15が凹部にあるか否かは問わない)にあることを「下がった状態」ともいう。
【0052】
球送り動作および糸斬り動作を、別方向から見たものを図9に示す。図9(a)は図8(c)の直後の状態から球送りソレノイド41、糸斬りソレノイド42、球送りレバー43、導入口48、発射台47などを取り出し、同図の逆方向(つまりパチンコ機50の正面側)から見た図であり、図9(b)は図9(a)の状態をA−A断面(図7(a)参照)にて示したものである。「直後の状態」とは、凹部43aにあった遊技球15が発射台47に流出し、凹部43aが空になり、カッター45が上昇した状態である。この状態が、前述した球送りソレノイド41がOFF状態で且つ、糸斬りソレノイド42もOFFの状態である。そして導入口48には「別の遊技球15」(以下、単に遊技球15という)が上皿55から供給されている。なお、図9(b)では発射台47に流出した遊技球15は図示されていない。
【0053】
図9(a)、図9(b)の状態では、球送りレバー43が下がった状態となっているので、導入口48と凹部43aの位置がずれ、導入口48内の遊技球15は球送りレバー43の上部に当接して、凹部43aに入ることができない。この状態から球送りソレノイド41が稼働した様子を示したのが図9(c)、そのA−A断面が図9(d)である。図9(c)、図9(d)の状態では、球送りレバー43が上がった状態となり、導入口48と凹部43aの位置が整合し、導入口48にあった遊技球15が凹部43aに入り込む。図9(c)には描かれていないが、たとえ導入口48に遊技球15が存在しても、球送りレバー43の凹部43aは遊技球15が1個だけ入る大きさとなっているために、2個以上の遊技球15が凹部43aに入り込んで、共に球送りレバー43により発射台47に送られることはない。
【0054】
この状態から球送りソレノイド41がOFFとなった様子を示したのが図9(e)、そのA−A断面が図9(f)である。なお、稼働されていた球送りソレノイド41がOFFになると同時に、糸斬りソレノイド42がONとなる。すなわち図9(e)、図9(f)の状態では、球送りレバー43が下がった状態となり、凹部43aと球排出口49の位置が図9(f)のように整合し(図8(c)も参照)、図9(c)で凹部43aに入っていた遊技球15が発射台47へと排出される(図9(f)参照)。この遊技球15に糸がついていれば、糸斬りソレノイド42が稼働したことにより下降したカッター45が糸を切断する。
【0055】
糸斬り装置および球送り装置の動作を示すタイムチャートを図10に示す。遊技者が発射ハンドル64を時計回りに回動させると、発射停止スイッチ29(図6参照)がOFF状態となり、発射ONの状態となる(時点t1 )。なお、上皿55及び発射装置19内に遊技球15が一切ない状態で発射ハンドル64が回動されることも考えられるが、以下の説明では、上皿55にはふんだんに遊技球15があり、その遊技球15は滞りなく発射装置19へと供給されるものとする。発射ONの状態になると、発射制御装置84が球送りソレノイド41を稼働させる。すると球送りレバー43が上がった状態となり、導入口48の遊技球15を凹部43aに受け入れる(図8(b)、図9(c)参照)。なお、図10では球送りソレノイド41および球送りレバー43を総称して「球送り装置」と表現している。同様に、糸斬りソレノイド42とカッター45を総称して「球送り装置」と表現している。そして時点t2 で発射制御装置84が球送りソレノイド41をOFFにすると共に、糸斬りソレノイド42をONにする。この結果、凹部43aの遊技球15は発射台47へと排出され、この遊技球15に糸がついていれば下降されたカッター45により切断される。下降されたカッター45は時点t3 にて糸斬りソレノイド42がOFFとなることにより上昇される。
【0056】
なお、本図には示されていないが、これら球送りソレノイド41、及び糸斬りソレノイド42の動作に連動して、発射ソレノイド30も発射制御装置84により稼働される。そのタイミングは、時点t2 と時点t3 の中間であり、より詳しくは、時点t2 から、凹部43a内の遊技球15が発射台47に移動するのに要する時間よりも長い時間だけ後の時点で発射ソレノイド30がONとなる。これにより、ハンマー46を揺動させて、発射台47に載置された遊技球15を打撃し、遊技領域3へと発射する。以下、発射停止スイッチ29がON状態となる(時点t12)まで、球送り、糸斬り、発射が繰り返される。なお、球送りソレノイド41、糸斬りソレノイド42、発射ソレノイド30の駆動周期がいずれも601.125msとなっており、これにより1分間に約99.8発の遊技球15を発射する仕様となっている。
【0057】
以上のように構成された発射装置19によれば、遊技球15に糸がついていても、糸斬りソレノイド42により駆動されるカッター45が糸を切断するので、糸付き球を用いた不正行為を防止することができる。糸を切断するので、遊技球15を球センサの前後で繰り返し往復させて賞球を得るという不正行為だけでなく、前述したワープルートへ遊技球15を誘導する不正行為、及びブドウを発生させる不正行為も防止できる。しかもカッター45は、球送り動作と同期して動作し、且つ球送りレバー43と導入口48の間という、遊技球15が静止しない位置を、遊技球15が該位置に存在しないタイミングで動作するので、カッター45の刃が遊技球15に当接することによる刃、及び遊技球15の傷みを最小限に抑えることができる。
【0058】
ここで本実施例の構成と、本発明の構成要件との対応関係を示す。上皿55が本発明の「皿部」に相当し、発射装置19が本発明の「遊技球発射装置」に相当し、流入口55aから発射装置19に至る流路が本発明の「遊技球通路」に相当し、糸斬りソレノイド42が本発明の「カッター駆動部」に相当し、発射ソレノイド30が本発明の「ハンマー駆動部」に相当し、球送りレバー43が本発明の「球供給機構」に相当し、球送りソレノイド41が本発明の「球供給機構駆動部」に相当し、発射制御装置84が本発明の「発射制御部」に相当する。
なお、本実施例の球供給機構は、「前記導入口と前記発射台の間で揺動される球送りレバーと、該球送りレバーに設けられ、遊技球を1個だけ保持可能な遊技球保持部と、を備え、前記球供給機構駆動部にて前記球送りレバーが揺動されるものであり、前記球送りレバーが前記導入口の位置に揺動された状態で該導入口から当該遊技球発射装置に流入してきた遊技球を前記遊技球保持部に保持し、前記発射台の位置に揺動されると前記遊技球保持部に保持された遊技球を前記発射台に排出するもの」と表現できる。凹部43aは遊技球保持部に相当する。そしてカッター45は導入口48と球送りレバー43の間に設定された空間を移動することにより糸を切断するものとなっている。
[実施例2]
【0059】
本発明の第2実施例について図11を用いて説明する。図11(a)、図11(b)、図11(c)は、それぞれ第1実施例の図9(a)、図9(c)、図9(e)に相当する図面である。第2実施例では糸斬りソレノイド42を廃し、カッター45を球送りレバー43に設けている。その他の構成は第1実施例と同様に構成され、第1実施例と同様に動作する。球送りソレノイド41がOFFの状態では、球送りレバー43が下がった状態となり、導入口48内の遊技球15はカッター45の側面に当接して、凹部43aに入ることができない。なお、このカッター45の位置は、球排出口49の右縁の位置(図8参照)と整合している。この状態から球送りソレノイド41が稼働すると図11(b)のように球送りレバー43が上がった状態となり、導入口48にあった遊技球15が凹部43aに入り込む。この状態から球送りソレノイド41がOFFとなると、図11(c)のようになり、凹部43aに入っていた遊技球15が発射台47へと排出される。この遊技球15に糸がついていれば、遊技球15が発射された際に、糸がカッター45に当接して、切断される。なぜなら図11(c)の状態で糸の、遊技球15に固定されていない側の一端は、導入口48、上皿55の流入口55aなどを通って、遊技者の手に握られている。遊技球15は、上皿55よりも上方に位置する遊技領域3に向けて発射されるので、糸は球排出口49の右縁の位置に引っかかることとなり、発射時にはこの位置にあるカッター45の刃に当接し、しかも糸が発射の勢いで、斜め上方に引かれることにより、刃に対して糸が摺動され、糸が切断される。
【0060】
以上のように構成された発射装置によっても、遊技球15についた糸を切断できるので、糸付き球を用いた不正行為を防止することができる。また、糸斬りソレノイド42が不要であるため、第1実施例よりも構成・制御共に簡素に実現することができる。
なお、第2実施例では、球送りソレノイド41は本発明の「球供給機構駆動部」と「カッター駆動部」を兼ねたものに相当する。他の構成については第1実施例の対応関係と共通である。
[実施例3]
【0061】
本発明の第3実施例について図12〜14を用いて説明する。なお、本実施例は実施例2と共通点が多いため、異なる点のみを重点的に説明する。まず図12は、本実施例のパチンコ機50の電気的構成を示すブロック図であり、発射装置19に糸不正検出センサ74を設け、その出力信号を払出制御装置81に入力した点が第1実施例とは異なる。糸不正検出センサ74は、球送りレバー43が下がった状態にあることを検出するためのフォトインタラプタであり、図14に示すような位置に設けられている。第3実施例の球送りレバー43には、その凹部43aの下部に突起76が設けられており、球送りレバー43が下がった状態になると、突起76が糸不正検出センサ74の光路を遮る(図14(a)参照)。球送りレバー43が上がった状態になると、突起76が糸不正検出センサ74の光路から離脱して、糸不正検出センサ74の出力電圧が変化する(図14(b)参照)。
【0062】
払出制御装置81にて実行される糸付き不正検出処理の概要を図13に示す。本処理が起動されると、まずS5にて糸不正フラグが0か否かを判定する。糸不正フラグについては後述する。否定判断(S5:no)であれば、そのまま当処理を終了(リターン)する。肯定判定(S5:yes)であれば、糸不正検出センサ74がオフか否かを判定する。糸不正検出センサ74がオフとは、糸不正検出センサ74の光路が遮られていない状態(例えば図14(b)の状態)である。肯定判定(S10:yes)であれば、不正タイマ更新処理を行なう(S15)。続くS20で不正タイマによる更新の結果、1秒が経過したか否かを判定する。否定判断(S20:no)であれば、そのまま当処理を終了する。肯定判断(S20:yes)であれば、S25にて糸不正フラグを1にする。つまり糸不正フラグとは、1秒以上、糸不正検出センサ74がオフになっていた場合に1になるものであり、それ以外の場合では0となる。糸不正フラグを1にすると、発射停止制御処理(S30)を行なう。発射停止制御処理とは、発射制御装置84に指令を発し、発射停止スイッチ29の状態に関わらず発射を禁止する処理である。そして糸付き不正検出信号を外部接続端子板78を介してホールコンピュータ87に送信し(S35)、当処理を終了する。糸付き不正検出信号とは、糸付き不正が発生した旨を外部に報知するための信号である。
【0063】
S10において、糸不正検出センサ74がONであると判定された場合(S10:no)は、S40に移行して、不正タイマを更新中か否かを判定し、否定判断(S40:no)ならそのまま当処理を終了する。肯定判断(S40:yes)なら不正タイマをクリア(S45)してから当処理を終了する。
つまり、糸付き不正検出処理は、糸不正検出センサ74が1秒以上連続してOFFとなった場合に、遊技球15の発射を停止して、ホールコンピュータ87に糸付き不正が発生した旨を報知する処理となっている。第1実施例で説明したように、球送りソレノイド41の起動周期は601.125msであって、1秒より短い。従って、1秒以上、糸不正検出センサ74がオフになっていることは、何らかの異常が発射装置に起きていると考えられる。その一因が遊技球15に糸がついていることである。これについて図14(c)に示す。
【0064】
遊技球15に糸77がついていて、カッター45で切れなかった場合、その切れなかった糸77が球送りレバー43を下がりきらない状態にする。なお、図14(c)では遊技球15が発射台47に載置された状態となっているが、この状態から遊技球が発射されても、糸77が切れなければ、球送りレバー43は下がりきらない(糸77が切れれば糸付き球ゴトを防止できる)。この状態では、1秒以上、突起76が糸不正検出センサ74を遮らないので、遊技球15の発射が停止され、ホールコンピュータ87に糸付き不正検出信号が送信される。
【0065】
以上のように構成された発射装置19によれば、遊技球15に糸がついていて、その糸を切断するのに失敗した場合には、発射を停止することができるので、不正行為により遊技場に不利益が発生するのを防止することができる。また、ホールコンピュータ87に糸付き不正検出信号が送信されるので、不正行為の摘発に役立てることができる。その不正行為を行なった者が逃走した場合にも、異常状態(球送りレバー43が下がりきらない状態)になった発射装置19を、正常な状態に速やかに復旧することができる。
【0066】
ここで第3実施例の構成と、本発明の構成要件との対応関係を示す。なお、対応関係が第2実施例と共通のものについては説明を省略する。糸不正検出センサ74および突起76が本発明の「切断検出手段」に相当し、S30の処理が本発明の「発射停止手段」に相当し、S35の処理が本発明の「不正報知手段」に相当する。
[実施例4]
【0067】
本発明の第4実施例について図15を用いて説明する。なお、本実施例は実施例1と共通点が多いため、異なる点のみを重点的に説明する。図15(a)は、第4実施例の発射装置19の球送りカセット44の背面図である。この実施例では、カッター45は球送りレバー43と導入口48の間でも、球送りレバー43でもなく、球送りカセット44に関して発射台47側に設けられている。カッター45の幅は球排出口49の幅よりやや広くされている。カッター45には略L字型のロッド91が固定されており、このロッド91の他端は、球送りカセット44に形成された長孔93を通して図示しない糸斬りソレノイド42のプランジャと接続されている。糸斬りソレノイド42が稼働すると、前記プランジャと共にロッド91が下降して図15(b)のようにカッター45が下降する。カッター45の可動範囲は、カッター45の下端(刃が形成されている部分)が球排出口49の上縁にほぼ重なる位置から、カッター45の下端が球排出口49の下縁にほぼ重なる位置までとなっている。つまりカッター45の刃は、球排出口49の上縁から下縁まで縦断することになり、カッター45の幅が、球排出口49の幅よりやや大きく、しかもカッター45と球排出口49との左右方向の位置がほぼ一致しているので、カッター45の刃は球排出口49内のほぼ全体を移動することになる。
【0068】
なお、カッター45が稼働するタイミングは第1実施例と同様である(図10参照)。これにより、発射台47に載置された遊技球15に糸がついている場合には、カッター45により切断することができる。しかも第4実施例においては、カッター45の刃が球排出口49内のほぼ全体を移動するので、発射台47に載置された遊技球15に糸がついていれば、カッター45により切断できる可能性が極めて高い。第4実施例では、カッター45は球排出口49と発射台47の間に設定された空間を移動することにより糸を切断するものとなっている。
[他の実施例]
【0069】
以上、説明をしてきたカッター45は、いずれも糸斬りソレノイド42や球送りソレノイド41により駆動(移動または揺動)されるものであったが、カッター45が全く駆動されない構成としても良い。これには例えば、図15(a)において、ロッド91、長孔93、及び図示しない糸斬りソレノイド42を廃し、カッター45をやや下(刃が球排出口49の上縁より下方へはみだし、遊技球15が球排出口49を通る際の妨げとならない程度)の位置に固定する。こうすると、カッター45が移動できない分、糸を切断する確実さは第4実施例よりも劣るものの、図14(c)に示したように、斜め上方に引っ張られた糸77を切断することが可能な発射装置19とすることができる。そしてカッター45を駆動する機構を備えていないことにより、糸斬りソレノイド42も、糸斬りソレノイド42を駆動するための制御も不要となるので、簡素な発射装置19とすることができる。
【0070】
前記いずれの実施例においても、遊技球15の発射周期は601.125msであったが、これ以外の周期で遊技球15を発射する構成としてもよい。また、第3実施例における糸付き不正検出信号は、ホールコンピュータ87以外の外部施設(例えば、警察庁、パチンコホールを経営する企業など)にも送信されるように構成してもよい。こうすれば、パチンコホールの外部においても、糸付き球による不正行為が発生したことを知ることができる。また、糸付き球が用いられていることが検出された際には、発射停止制御処理(S30)により発射を停止させ、更に糸付き不正検出信号送信処理(S35)により外部(ホールコンピュータ87)に糸付き不正検出信号を送信していたが、発射停止制御処理・糸付き不正検出信号送信処理の内、一方のみを行なってもよい。
【0071】
カッターが上がる時点(図10ではt3 、t6 、t9 など)は、球送りソレノイド41が稼働する時点(図10ではt4 、t7 、t10など)よりも前の時点となっていたが、後の時点としてもよい。前記実施例では、カッター45を上げてから(例えば時点t3 )、球送りレバー43を上がった状態にすることにより、凹部43aに遊技球15を受け入れる構成となっていた。これを、球送りレバー43を上がった状態にしてからカッター45を上げるようにすることになる。このようにしても遊技球15を1個ずつ送るごとにその遊技球15に付けられている糸を切断することができる。
【0072】
また、遊技球15はハンマー46により打撃されるものであったが、これ以外の構成にて発射されるもの(例えば、直動式のソレノイドのプランジャの動作で遊技球15を打撃するものや、バネの弾性力で遊技球を打撃するもの)に適用しても良い。こうした態様では、遊技球15を打撃する部材が本発明のハンマーに相当する。また、カッターを、球排出口49と球送りレバー43との間の空間を移動することにより糸を切断するものとしてもよい。また、球供給機構を前述した以外の構成により、遊技球15を1個ずつ発射台47に供給するものにしても構わない。
【符号の説明】
【0073】
1:遊技盤 3:遊技領域
19:発射装置 26:ランプ
28:タッチスイッチ 29:発射停止スイッチ
37:発射レバー 38:タッチ部
39:リブ 40:発射停止ボタン
41:球送りソレノイド 42:糸斬りソレノイド
43:球送りレバー 44:球送りカセット
45:カッター 46:ハンマー
47:発射台 48:導入口
49:球排出口 50:パチンコ機
55:上皿 55a:流入口
63:下皿 64:発射ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域に発射するための遊技球を保持する皿部と、遊技球を1個ずつ前記遊技領域に向けて発射する遊技球発射装置と、前記皿部から前記遊技球発射装置へと遊技球を誘導するための遊技球通路とを備えた弾球遊技機において、
前記遊技球通路、及び前記遊技球発射装置の少なくとも一方に、糸を切断するためのカッターを設けたことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記カッターを駆動するカッター駆動部を備え、該カッター駆動部により前記カッターが駆動されることにより、前記糸を切断することを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】
弾球遊技機に用いられ、遊技領域に遊技球を発射する遊技球発射装置であって、
当該遊技球発射装置へ遊技球が流入するための導入口と、
遊技領域へと発射される遊技球が載置される発射台と、
該発射台に載置された遊技球を打撃して遊技領域へと発射するためのハンマーと、
該ハンマーを駆動して遊技球を打撃するハンマー駆動部と、
前記導入口から当該遊技球発射装置内へと流入した遊技球を1個ずつ前記発射台へと供給するための球供給機構と、
前記球供給機構を駆動して遊技球を1個ずつ前記発射台へと供給する球供給機構駆動部と、
該球供給機構駆動部による前記球供給機構の駆動と前記ハンマー駆動部による前記ハンマーの駆動とを同期させることにより、前記発射台へと供給された遊技球を1個ずつ遊技領域へと発射する発射制御部と、
を備え、前記導入口から前記発射台に至る遊技球の通路に、糸を切断するためのカッターを備えたことを特徴とする遊技球発射装置。
【請求項4】
前記カッターを駆動するカッター駆動部を備え、該カッター駆動部により前記カッターが駆動されることにより、前記糸を切断することを特徴とする請求項3に記載の遊技球発射装置。
【請求項5】
前記カッター駆動部は、前記発射制御部により、前記球供給機構駆動部、及び前記ハンマー駆動部と同期して前記カッターを駆動するものであることを特徴とする請求項4に記載の遊技球発射装置。
【請求項6】
前記カッターにより前記糸の切断に失敗したか否かを検出する切断検出手段と、
前記切断検出手段により前記糸の切断に失敗したことが検出された場合には、前記遊技球の発射を停止する発射停止手段と
を備えたことを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の遊技球発射装置。
【請求項7】
前記カッターにより前記糸の切断に失敗したか否かを検出する切断検出手段と、
前記切断検出手段により前記糸の切断に失敗したことが検出された場合には、前記糸の切断に失敗したことを報知する不正報知手段と
を備えたことを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の遊技球発射装置。
【請求項8】
請求項3〜7の何れか1項に記載の遊技球発射装置を備えたことを特徴とする弾球遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−228394(P2012−228394A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98880(P2011−98880)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(395018239)株式会社高尾 (550)
【Fターム(参考)】