説明

弾球遊技機の遊技球通過検出装置

【課題】球検出器と判定器の間での断線等により判定器が誤って球通過と検出することを防止する。
【解決手段】遊技球通過検出装置が、遊技球通過部材内に配設され、常には高電位信号を出力し、遊技球が通過するときに低電位信号を出力する球検出器110と、この球検出器110から出力される電位信号を受けて遊技球の通過の有無を判定する判定器131と、球検出器の出力端子部と判定器131の入力端子部とを接続して電位信号を伝送する信号ライン102,104と、第1抵抗115を介して信号ライン102を接地接続させる接地ライン116と、第1抵抗よりも十分に大きな抵抗値を有した第2抵抗136を介して電源と信号ライン104とを接続する電源供給ライン137とを備える。その上で、電源供給ラインが判定器に近接する位置において信号ラインに接続され、接地ラインが球検出器に近接する位置において信号ラインに接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機に代表される弾球遊技機に関し、詳細には、遊技盤の前面に設けられた入賞具等での遊技球の通過を検出する遊技球通過検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機は、遊技盤の前面側に区画形成された遊技領域内に発射装置により遊技球を発射供給して遊技領域内を落下移動させ、その落下移動の途中で遊技領域内に形成された入賞口に遊技球を入賞させ、これに応じて賞球を獲得する遊技に供される。例えば、遊技領域内に発射された遊技球が入賞口(一般入賞口や大入賞口等)に入ると、この入賞を検出して賞球払出装置を作動させる制御が行われ、賞球払出装置により所定数量の賞球が払い出される。
【0003】
このため、パチンコ機には、遊技球の入賞を検出する球検出器と、検出器からの検出信号を受けて入賞の有無を判定する判定器とを有した遊技球通過検出装置が設けられており、判定器の判定結果に基づいて賞球払出装置の作動制御などが行われる。
【0004】
従来の遊技球通過検出装置の一例を図9に示しており、この装置は、入賞具の入賞口に設けられる球検出器110を備える。球検出器110は電源供給ライン101を介して電源100(例えば、+12Vの電圧を有する)に繋がるとともにその出力端子110bから第1信号ライン102が延びており、入賞口に入り込んだ遊技球が通過する球通過孔110aを有している。球検出器110は、常には電源100からの高電位信号を出力端子110bから第1信号ライン102に出力し、入賞口に入った遊技球が球通過孔110aを通過するときに電源からの電圧を低下させて出力端子110bから第1信号ライン102に低電位信号を出力する。
【0005】
第1信号ライン102は第1コネクタ103を介して中継基板120に繋がり、中継基板120内の内部信号ライン121から第2コネクタ105を介して第2信号ライン104に繋がる。第2信号ライン104は第3コネクタ106を介して主制御基板103内の判定器131に繋がる。なお、内部信号ライン121には第1抵抗122(例えば、抵抗値750Ω)を有して接地接続された接地ライン123が繋がり、さらに、抵抗126およびコンデンサ127からなる安定回路125を有している。
【0006】
このように構成された遊技球検出装置において、球検出器110の球通過孔110aを球が通過していない状態、すなわち常には、出力端子110bから高電位信号が出力される。この高電位信号は、第1抵抗122のために接地ライン123を介して若干の電圧低下はあるものの、第1および第2信号ライン102,104および内部信号ライン121を介して判定器131に伝送される。判定器131はこの高電位信号を受けている間は、球検出器110の球通過光110aを球が通過していないと判断する。一方、球検出器110の球通過孔110aを球が通過したときには、出力端子110bから低電位信号が出力され、これが判定器131に送られ、判定器131は球が通過したと判断する。なお、この球検出器110としては、例えば、特許文献1に開示のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−174731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように構成された遊技球検出装置において、第1もしくは第2コネクタ103,105が外れる等して、球検出器110の出力端子110bと主制御基板130の入力端子すなわち第3コネクタ106との間の信号ラインが断線した状態となると、判定器131には低電位信号しか入力されず、球検出器110が球通過を検出していないにも拘わらず、判定器131が球通過と誤って判定して、入賞制御を行うといったような不具合が発生する。特に、パチンコ機において中継基板は遊技機裏面側に配置されており、外部から第1もしくは第2コネクタ103,105に不正にアクセスして、これの着脱を行い、実際には入賞具への遊技球の入賞が無いのに、判定器131に入賞判断を行わせ、不正に賞球払出を行わせるという問題があることが判明した。
【0009】
このような課題に鑑み、本発明は、球検出器と判定器の間での断線等が生じた場合でも、判定器が誤って球通過と検出するおそれのない遊技球通過検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的達成のため、第1の本発明においては、遊技盤の前面に形成された遊技領域内に遊技球を発射し、遊技領域内における入賞具等へ遊技球を入れる遊技を行う弾球遊技機において遊技球の通過を検出する遊技球通過検出装置が、遊技球を通過させる通過部材内に配設され、常には電源からの高電位信号を出力し、前記通過部材内を遊技球が通過するときに前記電源からの電圧を低下させて低電位信号を出力する球検出器と、前記球検出器から出力される電位信号を受けて、前記通過部材の遊技球の通過の有無を判定する判定器と、前記球検出器の電位信号の出力端子部と前記判定器の電位信号の入力端子部とを接続して、前記球検出器から出力される前記電位信号を前記判定器に伝送する信号ラインと、所定の電気抵抗値を有した第1抵抗を介して前記信号ラインを接地接続させる接地ラインと、前記第1抵抗よりも十分に大きな抵抗値を有した第2抵抗を介して電源と前記信号ラインとを接続する電源供給ラインとを備えて構成される。その上で、前記電源供給ラインが前記信号ラインにおける前記判定器に近接する位置において前記信号ラインに接続され、前記接地ラインが前記信号ラインにおける前記球検出器に近接する位置において前記信号ラインに接続されている。
【0011】
なお、この遊技球通過検出装置において、前記信号ラインが中間部においてコネクタ接続されており、前記電源供給ラインが前記コネクタ接続部より前記判定器側において前記信号ラインに接続され、前記接地ラインが前記コネクタ接続部より前記球検出器側において前記信号ラインに接続されているのが好ましい。
【0012】
また、前記信号ラインの中間に中継基板が設けられ、前記信号ラインが前記球検出器と前記中継基板を繋ぐ第1信号ラインと、前記中継基板と前記判定器とを繋ぐ第2信号ラインとから構成され、前記電源供給ラインが前記第2信号ラインに接続され、前記接地ラインが前記第1信号ラインに接続されていても良い。
【0013】
また、第2の本発明においては、遊技盤の前面に形成された遊技領域内に遊技球を発射し、遊技領域内における入賞具等へ遊技球を入れる遊技を行う弾球遊技機において遊技球の通過を検出する遊技球通過検出装置が、遊技球を通過させる通過部材内に配設され、常には出力端子部を接地接続させて低電位信号を出力し、前記通過部材内を遊技球が通過するときに前記出力端子部に繋がる電源からの高電位信号を出力させる球検出器と、前記球検出器から出力される電位信号を受けて、前記通過部材の遊技球の通過の有無を判定する判定器と、前記球検出器の電位信号の出力端子部と前記判定器の電位信号の入力端子部とを接続して、前記球検出器から出力される前記電位信号を前記判定器に伝送する信号ラインと、所定の電気抵抗値を有した第1抵抗を介して前記信号ラインを接地接続させる接地ラインと、電源と前記信号ラインとを接続する電源供給ラインとを備えて構成される。その上で、前記電源供給ラインが前記信号ラインにおける前記球検出器に近接する位置において前記信号ラインに接続され、前記接地ラインが前記信号ラインにおける前記判定器に近接する位置において前記信号ラインに接続されている。
【0014】
なお、この遊技球通過検出装置において前記第2抵抗が前記球検出器に内蔵されていても良い。
【0015】
また、前記信号ラインが中間部においてコネクタ接続されており、前記電源供給ラインが前記コネクタ接続部より前記球検出器側において前記信号ラインに接続され、前記接地ラインが前記コネクタ接続部より前記判定器側において前記信号ラインに接続されているのが好ましい。
【0016】
また、前記信号ラインの中間に中継基板が設けられ、前記信号ラインが前記球検出器と前記中継基板を繋ぐ第1信号ラインと、前記中継基板と前記判定器とを繋ぐ第2信号ラインとから構成され、前記電源供給ラインが前記第1信号ラインに接続され、前記接地ラインが前記第2信号ラインに接続されていても良い。
【発明の効果】
【0017】
以上のように構成される第1の本発明に係る弾球遊技機によれば、電源供給ラインが判定器に近接する位置において信号ラインに接続され、接地ラインが球検出器に近接する位置において信号ラインに接続されているので、信号ラインの中間部において断線が発生した場合には、判定器に繋がる信号ラインは接地ラインとは遮断されて電源供給ラインと繋がる状態となり、判定器には高電位信号が伝達される状態が維持され、判定器により誤って球通過検出がなされることがない。なお、断線のない正常状態においては、球検出器により球通過検出がなされて低電位信号が出力されたときには、電源供給ラインに配置された第2抵抗の抵抗値は接地ラインに配置された第1抵抗の抵抗値より十分に大きいため、信号ラインの電位は低電位に保持され、判定器には低電位信号が入力されて正確に球通過検出が行われる。
【0018】
なお、遊技機において信号ラインを不正に断線状態とする操作は、信号ラインのコネクタの着脱を不正に行うことによりなされるのが典型的なものであるため、信号ラインが中間部においてコネクタ接続されている場合には、電源供給ラインをコネクタ接続部より判定器側において信号ラインに接続し、接地ラインをコネクタ接続部より球検出器側において信号ラインに接続することにより、このような不正を防止できる。
【0019】
同様に、信号ラインの中間に中継基板が設けられている場合には、中継基板の接続部すなわち接続コネクタに対して不正操作が行われることが典型的であるので、球検出器と中継基板を繋ぐ第1信号ラインに接地ラインを接続し、中継基板と判定器とを繋ぐ第2信号ラインに電源供給ラインを接続することにより、このような不正を防止できる。
【0020】
また、上記構成の第2の本発明に係る弾球遊技機によれば、電源供給ラインが球検出器に近接する位置において信号ラインに接続され、接地ラインが判定器に近接する位置において信号ラインに接続されているので、信号ラインの中間部において断線が発生した場合には、判定器に繋がる信号ラインは接地ラインと繋がって電源供給ラインと遮断される状態となり、判定器には低電位信号が伝達される状態が維持され、判定器により誤って球通過検出がなされることがない。
【0021】
なお、遊技機において信号ラインを不正に断線状態とする操作は、信号ラインのコネクタの着脱を不正に行うことによりなされるのが典型的なものであるため、信号ラインが中間部においてコネクタ接続されている場合には、電源供給ラインをコネクタ接続部より球検出器側において信号ラインに接続し、接地ラインをコネクタ接続部より判定器側において信号ラインに接続することにより、このような不正を防止できる。
【0022】
同様に、信号ラインの中間に中継基板が設けられている場合には、中継基板の接続部すなわち接続コネクタに対して不正操作が行われることが典型的であるので、球検出器と中継基板を繋ぐ第1信号ラインに電源ラインを接続し、中継基板と判定器とを繋ぐ第2信号ラインに接地ラインを接続することにより、このような不正を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る弾球遊技機の一例として示すパチンコ機の正面図である。
【図2】上記パチンコ機の背面図である。
【図3】裏セット盤を取り外した状態の上記パチンコ機の背面図である。
【図4】上記パチンコ機を構成する電気部品の電気的な接続を示す回路ブロック図である。
【図5】第1実施例に係る遊技球通過検出装置の構成を示す電気回路図である。
【図6】この第1実施例に係る遊技球通過検出装置における判定器への入力信号変化を示すグラフである。
【図7】第2実施例に係る遊技球通過検出装置の構成を示す電気回路図である。
【図8】この第2実施例に係る遊技球通過検出装置における判定器への入力信号変化を示すグラフである。
【図9】従来の遊技球通過検出装置の構成を示す電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1〜図4を参照して本発明に係る遊技球通過検出装置を備えたパチンコ機(弾球遊技機)PMの構成を説明する。なお、図1はパチンコ機PMの正面図、図2はパチンコ機PMの背面図、図3は裏セット盤30を取り外して示すパチンコ機PMの背面図、図4はパチンコ機PMを構成する電気部品の電気的な接続関係を示すブロック図である。
【0025】
パチンコ機PMは、外郭方形状の外枠1と前枠2が、左側縁部に設けられたヒンジ機構3a,3bを介して開閉および着脱自在に連結され、右側縁部に設けられた施錠装置4を利用して外枠1に閉鎖された状態に保持される。前枠2の前面側には、透明板が取り付けられたガラス扉5と、遊技球を貯留して打球発射装置9に導く上球皿6とが、それぞれ横開き開閉および着脱可能に組み付けられ、前枠2の前面を覆った閉止状態に保持されている。前枠2の下部には遊技球を貯留する下球皿7が設けられ、下球皿7の前面側に遊技球の発射操作を行う操作ハンドル8が取り付けられおり、前枠2の裏面側には、スピーカ17が取り付けられている。
【0026】
前枠2の裏面上部において、前枠2と一体に成形された収容枠11に遊技盤20が複数の係合レバー14により着脱可能に保持されている。遊技盤20が収容枠11に保持された状態で、遊技盤20の前面と閉止状態にあるガラス扉5の透明板とが所定間隔をおいて対向し、前面側からガラス扉5の透明板を通して遊技盤20を透視可能になる。収容枠11の後縁部には、裏セット盤30を横開き開閉および着脱可能に支持するための固定ヒンジ部材12,13が、上下に所定間隔をおいて締結されている。
【0027】
遊技盤20は、積層合板の表面に図柄が印刷されたセルを貼り付けた化粧板21を基板とし、その前面には外レール24aおよび内レール24bからなる案内レール24が左下方から右上方に向けて略円弧状に延びて設けられており、案内レール24で囲まれた内側に遊技領域PAが区画される。
【0028】
遊技領域PAには、多数本の遊技釘、ランプ風車25aや一般風車25b等の風車25、一般入賞具26aや始動具26bやアタッカー26c等の入賞具26、遊技の進行状況に応じて所定の画像を表示させる液晶パネル18を有した画像表示装置28が設けられている。遊技領域PAの下端には、遊技領域PAを落下した遊技球(アウト球)を遊技盤20の裏面側に排出させるアウト口27が化粧板21を貫通して形成されている。一般入賞具26aおよびアタッカー26cには、各々に対応して球検出器110が設けられており、始動具26bにも同様の球検出器110が設けられている。これら入賞具26に落入した遊技球(セーフ球)は、球検出器110により通過が検出され、化粧板21を貫通するセーフ球通路(図示せず)を通って遊技盤20の裏面側に排出される。
【0029】
遊技盤20の裏面側には、セーフ球を下方へ流下させるための球寄カバー50が取り付けられている。球寄カバー50は上部球寄カバー52下部球寄カバー51とから構成され、セーフ球は球寄カバー50の内部に形成されたセーフ球流下経路を流下し、下部球寄カバー51の下方に排出される。上部球寄カバー52には、画像表示装置28の画像表示制御を行う画像処理基板71、遊技盤20に取り付けられた各種遊技盤ランプ16への点灯信号の中継を行うランプ中継基板72、パチンコ機PMの作動状態を遊技施設側に出力するための外部出力端子基板74が着脱交換可能に取り付けられる。下部球寄カバー51には、入賞口スイッチ90からの検出信号や遊技盤20に取り付けられた各種ソレノイドへの駆動信号の中継を行うスイッチ・ソレノイド中継基板120が着脱交換可能に取り付けられる。前枠2の裏面下部には、さらに、遊技球を外レール24aに向けて発射する打球発射装置9が取り付けられており、打球発射装置9および収容枠11の間には、遊技補助盤15が設けられている。
【0030】
前枠2の背後には、裏セット盤30が取り付けられる。裏セット盤30は、外枠1の内寸より小さい方形状に形成されており、中央に遊技盤20から突出する画像処理基板71を受容する窓口が形成された基枠体31をベースに構成される。基枠体31の側縁部には、上下に所定間隔をおいて揺動ヒンジ部材32,33が固定されている。この揺動ヒンジ部材32,33と収容枠11側の固定ヒンジ部材12,13とが連結され、裏セット盤30が前枠2の背後に横開き開閉および着脱可能に設けられる。また、側縁部の上下に設けられた閉鎖レバー34を利用し、前枠2の背面を覆う閉鎖状態に保持されている。
【0031】
基枠体31の裏面側には、遊技球を貯留するタンク部材41、タンク部材41からの遊技球を整列させて流下させる整列樋部材42、整列樋部材42からの遊技球を待機させる賞球待機通路43、賞球待機通路43に待機された遊技球を所定の入賞条件等に基づいて払い出す賞球払出装置45、賞球払出装置45から払い出された遊技球を上下の球皿6,7に導く賞球払出経路47等からなる賞球装置および賞球経路が、窓口を取り囲むように設けられている。さらに、基枠体31の前面側には、窓口の下方に位置して遊技盤20の裏面側に排出されたアウト球およびセーフ球や、球抜き機構によって賞球通路から排出された遊技球等を集合させる集合通路が形成されており、基枠体31の裏面側には、この集合通路と繋がって集合された遊技球を遊技施設側の回収バケットに排出させる球排出経路が形成されている。
【0032】
裏セット盤30の裏面には、パチンコ機PMの作動を統括的に制御する主制御基板130、この主制御基板130からの指令信号に基づいて賞球払出装置45の作動制御を行う賞球制御基板83、打球発射装置9の作動制御を行う発射制御基板84、照明効果および効果音の作動制御を行うサブ制御基板85、これらの制御基板や各種電子機器等に電力を供給する電源基板86、電源基板86から供給される電力の中継を行う電源中継基板87等の回路基板が着脱交換可能に取り付けられている。
【0033】
各回路基板にはコネクタが実装されており、これらコネクタにハーネス(電気配線)が接続されることにより、回路基板間の電気的な接続や、回路基板と球検出器110等の電子機器との間の電気的な接続が行われてパチンコ機PMが構成される。なお、回路基板や電子機器等の電気部品間の電気的な接続は、図4に示すような構成になっている。
【0034】
パチンコ機PMは、ガラス扉5、上球皿6、裏セット盤30が閉止状態に保持され、前枠2が外枠2に閉鎖された状態に保持されて遊技に供される。遊技は、遊技球が上球皿6に貯留された状態で操作ハンドル8が回動操作されて開始する。遊技が開始されると、上球皿6に貯留された遊技球は、打球発射装置9に向けて1列に並んで流下し、操作ハンドル8の回動操作角度に応じた強度で1球ずつ打球発射装置9に叩打され、案内レール24により遊技領域PAの上方に導かれ、遊技釘に弾かれながら遊技領域PAを落下する。
【0035】
遊技球が一般入賞具26aやアタッカー26cの入賞口29を通過すると、球検出スイッチ110からの検出信号がスイッチ・ソレノイド中継基板120を介して主制御基板130に出力され、この検出信号に基づいて主制御基板130内の判定器131により入賞具26への球の入賞(球の通過)を判定し、この判定に基づいて主制御基板130から賞球払出を行わせる指令信号が賞球制御基板83に出力され、この指令信号に基づいて賞球払出装置45の作動制御が行われ、賞球装置および賞球経路を介して上下の球皿6,7に所定数量の賞球が払い出される。
【0036】
このように球検出スイッチ110からの検出信号をスイッチ・ソレノイド中継基板120を介して主制御基板130の判定器131に送出して入賞具26への球の入賞(球の通過)を判定する構成が、本発明の遊技球通過検出装置に該当し、この構成について以下に説明する。
【0037】
第1実施例
図5に第1実施例としての遊技球通過検出装置の電気回路構成を示している。この装置は、図9に示した従来の装置と構成が類似するため、同一機能部品については同一番号を付して説明する。
【0038】
この遊技球通過検出装置は、入賞具の入賞口に設けられる球検出器110を備える。球検出器110は第1電源供給ライン101を介して電源100(例えば、+12Vの電圧を有する)に繋がるとともにその出力端子110bが第1信号ライン102に繋がっており、入賞口に入り込んだ遊技球が通過する球通過孔110aを有している。球検出器110は、公知の高周波発振型の近接スイッチから構成され、貫通孔の外周部分に設けられたコイルに検出回路を接続して構成される。コイルは鋼製の遊技球が球通過孔110aを近接あるいは離反することによりインピーダンスが変化するので、これを検出回路により検出し、球通過検出が無いときには電源100からの高電位信号を出力端子110bから第1信号ライン102に出力し、入賞口に入った遊技球が球通過孔110aを通過するときに電源からの電圧を低下させて出力端子110bから第1信号ライン102に低電位信号を出力する。
【0039】
第1信号ライン102は第1コネクタ103を介してスイッチ・ソレノイド中継基板120(以下の説明においては、これを単に中継基板120と称する)に繋がり、中継基板120内の第1内部信号ライン121から第2コネクタ105を介して第2信号ライン104に繋がる。第2信号ライン104は第3コネクタ106および第2内部信号ライン132を介して主制御基板103内の判定器131に繋がる。中継基板120内には、抵抗126およびコンデンサ127からなる安定回路125が設けられている。
【0040】
第1信号ライン102には第1抵抗115(例えば、抵抗値750Ω)を有して接地接続された接地ライン116が繋がっている。また、主制御基板103内においては、非常に大きな抵抗値(例えば、1MΩ)を有した第2抵抗136が配設された第2電源供給ライン137を介して、電源135(例えば、+12Vの電圧電源)と第2内部信号ライン132とが接続されている。なお、この第2電源供給ライン137が請求項1の電源供給ラインに該当する。
【0041】
このように構成された遊技球検出装置において、球検出器110の球通過孔110aを球が通過していない状態では、出力端子110bから高電位信号が出力される。この高電位信号は、第1抵抗115のために接地ライン116を介して若干の電圧低下はあるものの、第1信号ライン102、第1内部信号ライン121、第2信号ライン104および第2内部信号ライン132を介して判定器131に伝送される。判定器131はこの高電位信号を受けている間は、球検出器110の球通過光110aを球が通過していないと判断する。このとき、第2電源供給ライン137を介して電源135から電力供給がなされるが、判定器131への入力信号は高電位信号であり、影響はない。
【0042】
一方、球検出器110の球通過孔110aを球が通過したときには、出力端子110bから低電位信号が出力され、第1信号ライン102、第1内部信号ライン121、第2信号ライン104および第2内部信号ライン132が低電位状態となる。この状態でも、第2電源供給ライン137を介して電源135から電力供給がなされるのであるが、第2電源供給ライン137に設けられている第2抵抗136の抵抗値は、接地ライン116に設けられている第1抵抗115の抵抗値に比べて十分に大きい(例えば、一千倍以上大きい)ため、これら信号ライン102,121,104,132の電位は低電位に維持される。このため、判定器131には低電位信号が送られて判定器131は球通過、すなわち、入賞具への遊技球の入賞があったと判断する。
【0043】
このときの判定器131への入力電位信号レベルの変化を図6に示しており、球検出器110の球通過孔110aを球が通過していないとき(t1〜t2の間およびt3〜t4の間)においては、入力電位信号は電源電圧V0(=+12V)より若干低い電圧V1の高電位信号α11となり、球が球通過孔110aを通過するとき(t2〜t3の間)においては、入力電位信号はグラウンド電圧(=0V)より若干高い電圧レベルV2の低電位信号α12となる。
【0044】
次に、第1コネクタ103、第2コネクタ105が外れる等して、球検出器110の出力端子110bから主制御基板130(の第3コネクタ106)に至る信号ラインが断線した場合について説明する。このような断線が発生すると、信号ライン側には電気が流れることができなくなるため、第2電源供給ライン137を介して電源135からの電圧供給がなされ、判定器131にはほぼ電源135の電圧が入力されるので、判定器131は球通過が無いと判定する。このときの判定器131への入力電位信号レベルの変化を図6に示しており、時間t4〜t5において断線が発生しており、判定器131にはほぼ電源電圧V0(=+12V)と同一電圧の信号が入力する。
【0045】
以上の説明から分かるように、信号ラインの途中のコネクタを外す等の不正が行われても判定回路131は球通過と判定することがなく、このような不正操作により不正に賞球払出が行われるようなことを防止できる。なお、図5に示す本発明に係る回路構成と、図9に示す従来の回路構成とを比較すれば分かるように、本発明においては、第2電源供給ライン137を追加するとともに、第2電源供給ライン137および接地ライン116の接続箇所を限定するだけであり、安価且つ簡単な構成で本発明の遊技球通過検出装置を構成することができ、且つ不正操作を確実に防止することができる。
【0046】
なお、以上の構成および作用から分かるように、第2電源供給ライン137は断線が発生する箇所より判定器131の側に接続されていれば良く、接地ライン116は断線が発生する箇所より球検出器110の側に接続されていれば良い。例えば、第1および第2コネクタ103,105の不正着脱による不正操作を防止するには、第2電源供給ライン137を第2信号ライン104もしくは第2内部信号ライン132に接続し、接地ライン116を第1信号ライン102に接続すれば良い。
【0047】
第2実施例
図7に第2実施例としての遊技球通過検出装置の電気回路構成を示している。この装置においても、上記第1実施例および図9に示した従来の装置と同一の機能部品については同一番号を付して説明する。
【0048】
この遊技球通過検出装置は、入賞具の入賞口に設けられる球検出器150を備える。球検出器150は入賞口に入り込んだ遊技球が通過する球通過孔150aを有し、アースライン111を介して接地接続され、出力端子150bは第1信号ライン102と繋がっている。この球検出器150も、公知の高周波発振型の近接スイッチから構成され、球通過検出が無いときには出力端子150bをアースライン111側に繋げて、低電位信号を出力端子150bから第1信号ライン102に出力する。
【0049】
一方、入賞口に入った遊技球が球通過孔150aを通過するときには、出力端子150bに繋がる内部信号ラインを電気的に切断するようになっている。ここで、第1信号ライン102には電源140に抵抗141を介して繋がる電源ライン142が繋がっており、通常は第1信号ライン102の電位は電源ライン142を介して電源140からの電圧供給を受けて高電位となる、すなわち、出力端子150bから第1信号ライン102に高電位信号が出力されることとなる。
【0050】
第1信号ライン102は第1コネクタ103を介して中継基板120に繋がり、中継基板120内の第1内部信号ライン121から第2コネクタ105を介して第2信号ライン104に繋がる。第2信号ライン104は第3コネクタ106および第2内部信号ライン132を介して主制御基板103内の判定器131に繋がる。中継基板120内には抵抗126およびコンデンサ127からなる安定回路125が設けられている。さらに、第2信号ライン104には抵抗117を有して接地接続された接地ライン118が繋がっている。
【0051】
このように構成された遊技球検出装置において、球検出器150の球通過孔150aを球が通過していない状態では、上述のように出力端子150bから第1信号ライン102に低電位信号が出力される。この低電位信号は、第1信号ライン102、第1内部信号ライン121、第2信号ライン104および第2内部信号ライン132を介して判定器131に伝送される。判定器131はこの低電位信号を受けている間は、球検出器150の球通過光150aを球が通過していないと判断する。
【0052】
一方、球検出器150の球通過孔150aを球が通過したときには、出力端子150bに繋がる内部信号ラインが電気的に切断され、第1信号ライン102の電位は電源ライン142を介して電源140からの電圧供給を受けて高電位となるので、出力端子150bから高電位信号が出力される状態となる。この高電位信号は、抵抗117のために接地ライン118を介して電圧低下はあるものの、第1および第2信号ライン102,104および内部信号ライン121,132を介して判定器131に伝送される。判定器131はこの高電位信号を受けたとき、球検出器150の球通過光150aを球が通過したと判断する。なお、接地ライン118による電圧低下を抑えるため、電源ライン142の抵抗141の抵抗値は接地ライン118の抵抗117の抵抗値より小さく設定される。
【0053】
このときの判定器131への入力電位信号レベルの変化を図8に示しており、球検出器150の球通過孔150aを球が通過していないとき(t11〜t12の間およびt13〜t14の間)においては、入力電位信号はグラウンド電圧(=0V)より若干高い電圧V2の低電位信号α21となり、球が球通過孔150aを通過するとき(t12〜t13の間)においては、入力電位信号は電源電圧(=+12V)より若干低い電圧V1の高電位信号α22となる。
【0054】
次に、第1コネクタ103、第2コネクタ105が外れる等して、球検出器110の出力端子150bから主制御基板130(の第3コネクタ106)に至る信号ラインが断線した場合について説明する。このような断線が発生すると、電源供給ライン142から第1信号ライン102に流れる電流が判定器131側に流れることができなくなり、判定器131は第2内部信号ライン132および第2信号ライン104から接地ライン118を介して接地接続され、判定器131には低電位信号が入力されるので、判定器131は球通過が無いと判定する。このときの判定器131への入力電位信号レベルの変化を図8に示しており、時間t14〜t15において断線が発生しており、判定器131にはほぼグラウンドレベルの低電位の電圧信号α23が入力する。
【0055】
以上の説明から分かるように、第2実施例の場合にも、信号ラインの途中のコネクタを外す等の不正が行われても判定回路131は球通過と判定することがなく、このような不正操作により不正に賞球払出が行われるようなことを防止できる。
【0056】
なお、以上の構成および作用から分かるように、電源供給ライン142は断線が発生する箇所より球検出器150の側に接続されていれば良く、接地ライン118は断線が発生する箇所より判定器131の側に接続されていれば良い。例えば、第1および第2コネクタ103,105の不正着脱による不正操作を防止するには、電源供給ライン142を第1信号ライン102に接続し、接地ライン118を第2信号ライン104に接続すれば良い。なお、電源供給ライン142の抵抗141を球検出器150に内蔵しても良い。
【符号の説明】
【0057】
PM パチンコ機
9 打球発射装置
20 遊技盤
26 入賞具
30 裏セット盤
45 賞球払出装置
83 賞球制御基板
100,135 電源
101 第1電源供給ライン
102 第1信号ライン
103 第1コネクタ
104 第2信号ライン
105 第2コネクタ
106 第3コネクタ
110,150 球検出器
110a,150a 球通過孔
110b,150b 出力端子
111 アースライン
115 第1抵抗
116 接地ライン
117 抵抗
118 接地ライン
120 スイッチ・ソレノイド中継基板
121 第1内部信号ライン
125 安定回路
130 主制御基板
131 判定器
136 第2抵抗
137 第2電源供給ライン
140 電源
141 抵抗
142 電源ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤の前面に形成された遊技領域内に遊技球を発射し、遊技領域内における入賞具等へ遊技球を入れる遊技を行う弾球遊技機において、遊技球の通過を検出する遊技球通過検出装置であって、
遊技球を通過させる通過部材内に配設され、常には電源からの高電位信号を出力し、前記通過部材内を遊技球が通過するときに前記電源からの電圧を低下させて低電位信号を出力する球検出器と、
前記球検出器から出力される電位信号を受けて、前記通過部材の遊技球の通過の有無を判定する判定器と、
前記球検出器の電位信号の出力端子部と前記判定器の電位信号の入力端子部とを接続して、前記球検出器から出力される前記電位信号を前記判定器に伝送する信号ラインと、
所定の電気抵抗値を有した第1抵抗を介して前記信号ラインを接地接続させる接地ラインと、
前記第1抵抗よりも十分に大きな抵抗値を有した第2抵抗を介して電源と前記信号ラインとを接続する電源供給ラインとを備えて構成され、
前記電源供給ラインが前記信号ラインにおける前記判定器に近接する位置において前記信号ラインに接続され、前記接地ラインが前記信号ラインにおける前記球検出器に近接する位置において前記信号ラインに接続されていることを特徴とする弾球遊技機の遊技球通過検出装置。
【請求項2】
前記信号ラインが中間部においてコネクタ接続されており、前記電源供給ラインが前記コネクタ接続部より前記判定器側において前記信号ラインに接続され、前記接地ラインが前記コネクタ接続部より前記球検出器側において前記信号ラインに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機の遊技球通過検出装置。
【請求項3】
前記信号ラインの中間に中継基板が設けられ、前記信号ラインが前記球検出器と前記中継基板を繋ぐ第1信号ラインと、前記中継基板と前記判定器とを繋ぐ第2信号ラインとから構成され、
前記電源供給ラインが前記第2信号ラインに接続され、前記接地ラインが前記第1信号ラインに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機の遊技球通過検出装置。
【請求項4】
遊技盤の前面に形成された遊技領域内に遊技球を発射し、遊技領域内における入賞具等へ遊技球を入れる遊技を行う弾球遊技機において、遊技球の通過を検出する遊技球通過検出装置であって、
遊技球を通過させる通過部材内に配設され、常には出力端子部を接地接続させて低電位信号を出力し、前記通過部材内を遊技球が通過するときに前記出力端子部に繋がる電源からの高電位信号を出力させる球検出器と、
前記球検出器から出力される電位信号を受けて、前記通過部材の遊技球の通過の有無を判定する判定器と、
前記球検出器の電位信号の出力端子部と前記判定器の電位信号の入力端子部とを接続して、前記球検出器から出力される前記電位信号を前記判定器に伝送する信号ラインと、
所定の電気抵抗値を有した第1抵抗を介して前記信号ラインを接地接続させる接地ラインと、
電源と前記信号ラインとを接続する電源供給ラインとを備えて構成され、
前記電源供給ラインが前記信号ラインにおける前記球検出器に近接する位置において前記信号ラインに接続され、前記接地ラインが前記信号ラインにおける前記判定器に近接する位置において前記信号ラインに接続されていることを特徴とする弾球遊技機の遊技球通過検出装置。
【請求項5】
前記第2抵抗が前記球検出器に内蔵されていることを特徴とする請求項4に記載の弾球遊技機の遊技球通過検出装置。
【請求項6】
前記信号ラインが中間部においてコネクタ接続されており、前記電源供給ラインが前記コネクタ接続部より前記球検出器側において前記信号ラインに接続され、前記接地ラインが前記コネクタ接続部より前記判定器側において前記信号ラインに接続されていることを特徴とする請求項4に記載の弾球遊技機の遊技球通過検出装置。
【請求項7】
前記信号ラインの中間に中継基板が設けられ、前記信号ラインが前記球検出器と前記中継基板を繋ぐ第1信号ラインと、前記中継基板と前記判定器とを繋ぐ第2信号ラインとから構成され、
前記電源供給ラインが前記第1信号ラインに接続され、前記接地ラインが前記第2信号ラインに接続されていることを特徴とする請求項4に記載の弾球遊技機の遊技球通過検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−110741(P2012−110741A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−23415(P2012−23415)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【分割の表示】特願2006−87679(P2006−87679)の分割
【原出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】