説明

弾球遊技機

【課題】特別遊技に移行する当否判定処理を迅速に処理することができ、制御装置の処理負担が軽減された弾球遊技機を提供すること。
【解決手段】遊技盤上に設けられた始動口への入球に基づいて抽出された乱数と予め当否判定テーブル設定された判定値とを当否判定し、当りであれば特別遊技に移行する弾球遊技機において、当否判定テーブルには複数の上記判定値が設定され、かつ当否判定テーブルを複数の判定値からなる複数の段階に分割し、遊技の進行状況が予め設定された所定の条件を達成したか否かによって変動するループ回数を決定し、上記当否判定処理を、当否判定テーブルの段階ごとに実行させ、かつ上記ループ回数に基づき、複数の段階にわたって実行させ、遊技進行状況に応じて当り確率を変更するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弾球遊技機、特に遊技者にとって有利な特別遊技に移行する当否判定が実行され、遊技進行状況に応じて上記当否判定の当り確率を低確率と高確率とに変更する弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機たるパチンコ機として、遊技盤上に発射された遊技球が予め設定された所定の始動口に入球すると、これに起因して乱数を抽出し、該乱数が当りか否か当否判定処理を行い、判定結果が当りであれば、大入賞口を開放して遊技者にとって賞球の獲得に有利な特別遊技を実行するようにしたもの(第1種のパチンコ機)がある。なお判定結果は、上記乱数に基づいて特別図柄が確定され、かつ演出図柄が選定されて、遊技盤上の特別図柄表示装置に上記特別図柄を変動し確定表示するとともに、演出図柄表示装置に上記演出図柄を変動し確定表示 (例えば3つの図柄を揃えるといった態様)して当りであることを報知する。
【0003】
この種のパチンコ機では一般に、特別遊技後、当りとなった上記特別図柄の種類に応じて当否判定の当り確率を通常の低確率から高確率に変動する確率変動機能を有する。また上記特別遊技において、通常の大当り遊技と、大入賞口の開放時間が短くかつ開放回数が少ない小当り遊技を実施するものや、下記特許文献1に記載されたように、遊技盤上に第1および第2の2つの始動口が設けられ、いずれの始動口へ入球したのかで当り確率を変更する構成としたものがある。
なお特許文献1のパチンコ機では、第1および第2のいずれの始動口も大当り遊技へ移行する当り確率を同じにする一方、第1および第2のいずれの始動口へ入球したかによって小当り遊技へ移行する小当りの確率を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−237434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで従来のパチンコ機において、当否判定処理はパチンコ遊技を制御する主制御装置のプログラム処理で実行され、上記当否判定用の乱数と当否判定テーブルの複数の判定値を各々比較して一致するか否か判定している。また当否判定テーブルには低確率用のテーブルと高確率用のテーブルとを設け、高確率用は低確率用よりも多くの判定値が設定されている。
しかしながら従来の当否判定処理では、乱数と判定値とをひとつずつ比較しているため、主制御装置が実行するプログラム処理が多く処理時間を要するので、主制御装置の処理負担が大きくなり、処理速度が十分とは言えない。特に多くの判定値と比較する高確率時にはその傾向が大きい。また当否判定テーブルとして、各判定値をひとつずつ記憶し、更に低確率用および高確率用を設定する分、主制御装置の記憶容量が大きくなるといった課題があり、実質的に確率変動を伴う当否判定が効率よく処理されない。
【0006】
そこで本発明は、制御装置のプログラム処理の負担を軽減して処理速度を向上し、確率変動を伴う当否判定を効率よく処理することができ、制御装置の記憶容量が軽減できる弾球遊技を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遊技球が遊技盤の所定の始動口に入球すると、当否判定用の乱数を抽出し、該乱数と予め設定された当否判定テーブルの判定値とが一致するか否かの当否判定処理を行い、一致していれば当りとなって遊技者にとって有利な特別遊技に移行する弾球遊技機において、
上記当否判定テーブルには複数の上記判定値が設定され、かつ当否判定テーブルを複数の上記判定値からなる複数の段階に分割し、
上記当否判定テーブルの段階ごとに上記当否判定処理を実行する当否判定手段と、当否判定処理を複数の上記段階にわたって実行させるようにループ制御するループ制御手段と、当否判定処理のループ回数を決定するループ回数決定手段とを具備し、
上記ループ回数決定手段は遊技の進行状況において予め設定された所定の条件が成立しているか否かに基づいてループ回数を決定し、上記ループ制御手段は上記決定されたループ回数に基づいて当否判定テーブルの複数の段階で当否判定処理を行い、上記遊技進行状況により特別遊技に移行する当り確率を変更するようになす(請求項1)。
【0008】
当否判定テーブルを段階的に分割し、遊技進行状況の条件により、当否判定テーブルの複数の段階にわたって実行する当否判定処理のループ回数を変更するようにしたので、ループ回数が少ないときは当否判定用の乱数と比較する判定値が少なく低確率の当否判定ができ、ループ回数が多いときは乱数と比較する判定値が多い高確率の当否判定ができ、よって確率変動を伴う当否判定を効率よく処理することができる。また、所定条件の成立に応じてループの実行回数を変更するように構成したので、条件の成立、不成立に関わらず当否判定処理のプログラムを共通化することができ、処理速度の向上、プログラムの記憶容量の軽減がはかれる。
【0009】
上記当否判定テーブルの上記各段階を、連続する複数の判定値からなる所定の範囲で構成し、
上記当否判定手段は、上記当否判定テーブルの段階ごとに、上記当否判定用の乱数と、上記各段階の判定値の上限値および下限値とを比較して、上記乱数が上記範囲内にあるか否か判定するようになす(請求項2)。
【0010】
当否判定処理は、当否判定用の乱数と各段階の上限値および下限値を比較することで、乱数が各段階の範囲内にあるか否か判定でき、当否判定処理の過程が軽減され、処理速度を向上させる。また当否判定テーブルは段階ごとに下限値と上限値とを記憶しておけばよく、記憶容量を軽減することができる。
【0011】
上記ループ制御手段は、上記当否判定処理を、上記当否判定テーブルの判定値の小さい範囲の段階から判定値の大きい範囲の段階へ、または判定値の大きい範囲の段階から判定値の小さい範囲の段階へ順次ループ制御せしめるようになし、
上記当否判定手段は、上記当否判定処理の初期に上記当否判定用の乱数と上記当否判定テーブルの判断値の最小値または最大値と比較して、上記乱数が上記最小値よりも小さい、または上記最大値よりも大きいと判定したときは、直ちに当否判定処理を終了するようにする。(請求項3)。
【0012】
当否判定処理の初期に、はずれ判定できるので、ループ回数と無関係に処理を終了することができ、処理速度の向上がはかれる。
【0013】
上記特別遊技に移行したときの特別図柄が予め設定された所定の図柄であると、上記当り確率を低確率または高確率に変更する確率変動機能を具備し、
上記ループ回数決定手段は、上記所定の条件として上記当り確率の変動状態に応じてループ回数を決定する(請求項4)。
【0014】
遊技盤に第1の始動口と第2の始動口を設け、上記第1の始動口への入球により抽出された第1の当否判定用の乱数に基づいて遊技盤の特別図柄表示装置に表示する第1の特別図柄が確定され、上記第2の始動口への入球により抽出された第2の当否判定用の乱数に基づいて上記特別図柄表示装置に表示する第2の特別図柄が確定され、
上記ループ回数決定手段は、上記所定の条件として上記第1または第2のいずれの特別図柄が選定されたかに応じてループ回数を決定する(請求項5)。
【0015】
上記請求項4,5に記載のいずれの構成もループ回数を決定する条件として好適で、遊技の興趣を豊かにできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用した弾球遊技機の全体斜視図である。
【図2】上記弾球遊技機の遊技盤の正面図である。
【図3】上記弾球遊技機の電気構成図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる弾球遊技機の主制御装置におけるメイン処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図5】上記弾球遊技機の主制御装置における保留記憶処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図6】上記弾球遊技機の主制御装置における先読み判定処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図7】上記弾球遊技機の主制御装置における当否判定処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図8】上記弾球遊技機の主制御装置における記憶乱数判定処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図9】上記弾球遊技機に用いる当否判定テーブルを示す図である。
【図10】上記弾球遊技機の主制御装置における図柄確定処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図11】図11(A)は上記弾球遊技機の特別図柄に対応する大当り遊技の種別を示す図、図11(B)はモードフラグに対応する各種機能の作動状況を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態にかかる弾球遊技機の主制御装置における当否判定処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図13】上記弾球遊技機に用いる当否判定テーブルを示す図である。
【図14】上記弾球遊技機の主制御装置における図柄確定処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図15】図15(A)は上記弾球遊技機の特別図柄に対応する当り遊技の種別を示す図、図15(B)はモードフラグに対応する各種機能の作動状況を示す図である。
【図16】本発明の第3の実施形態にかかる弾球遊技機の主制御装置における保留記憶処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図17】上記弾球遊技機の主制御装置における先読み判定処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図18】上記弾球遊技機の主制御装置における当否判定処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図19】上記弾球遊技機に用いる当否判定テーブルを示し、図19(A)は低確率時用のテーブルを示す図、図19(B)は高確率時用のテーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
弾球遊技機たるパチンコ機に本発明を適用した第1の実施形態を説明する。
本パチンコ機は従来構造と同様、複数の始動口を備え、いずれかの始動口に遊技球が入球すると、当否判定用の乱数が抽出され、これに基づいて当否判定を行ない、上記入球時に抽出された他の乱数に基づいて確定された特別図柄、演出図柄を特別図柄表示装置および演出図柄表示装置に表示し、判定結果が当りであれば遊技者にとって賞球の獲得に有利な特別遊技に移行する構成である。また特別遊技後、確定された特別図柄の種類によって当り確率が変動する確率変動(確変)機能を備えている。
図1はパチンコ機50の斜視図であり、図1に示すように、パチンコ機50は、長方形の外枠51と前面枠52とからなる筐体にて構成の各部を保持する構造である。なお、パチンコ機50には、プリペイドカードの読み書き等を行うためのプリペイドカードユニット(CRユニット)が付属することがある。
【0018】
前面枠52は、左端上下のヒンジ54により外枠51に対し開閉可能に取り付けられており、通常は図示するように閉じた状態とされる。
前面枠52には、窓状の意匠枠60が前面枠52に対して開放可能に取り付けられている。この意匠枠60には板ガラス61が二重にはめ込まれ、板ガラス61の奥には前面枠52に保持された遊技盤10が収納されている。
【0019】
意匠枠60の下方には上皿55が配され、前面枠52に対して開放可能に取り付けられている。
上皿55の下方にては下皿63が前面枠52に固定され、下皿63の右側には発射ハンドル64が取り付けられている。発射ハンドル64を時計回りに回動操作すれば発射装置(図示略)が稼働して、上皿55から供給された遊技球を遊技盤10に向けて発射する。
【0020】
図2に示すように、遊技盤10には外レール11と内レール12とによって囲まれた略円形の遊技領域13が形成されている。遊技領域13には、その中央部にセンターケース14が装着されており、センターケース14の左右両側には普通図柄の始動ゲート(通過口)21と、それらの下方には風車20が設置されている。
【0021】
センターケース14の直下には入球口たる第1の始動口(始動口1)22Aが設けられ、さらに第1の始動口22Aの直下位置にはチューリップ式普通電動役物からなる第2の始動口(始動口2)22Bが設置されている。第1の始動口22Aはこれに遊技球が入球すると第1の当否判定用の乱数(以下、第1の乱数という)が抽出されて第1の特別図柄(特図1)を確定するものである。第2の始動口22Bは入球により第2の当否判定用の乱数(第2の乱数)が抽出され第2の特別図柄(特図2)を確定する。第2の始動口22Bは遊技球がゲート21を通過したことに起因する普通図柄抽選で当りとなると所定の時間(約2.6秒)開放する。
【0022】
第2の始動口22Bの左右両側位置には普通入賞口24が配されている。また、第2の始動口22Bの下方には、開閉板にて開閉される大入賞口25が配され、盤面最下部にはアウト口28が設けられている。
なお、遊技盤10の遊技領域13には、多数の遊技釘が植設されている。
【0023】
センターケース14は中央に演出図柄表示装置15(全体の図示は省略)のLCDパネルが配設されている。該LCDパネルの外周には特図1、特図2をそれぞれ表示する特図1、特図2表示装置16A,16B、特図1、特図2の保留記憶をそれぞれ表示する特図1、特図2保留数表示装置17A,17Bが配設してある。
またセンターケース14には、周知のものと同様にワープ入口、ワープ樋、ステージなどが設けられている。
【0024】
図3は本パチンコ機50の電気的構成を示すもので、主制御装置30、払出制御装置32、発射制御装置34、サブ統合装置35および演出図柄制御装置36を備えている。詳細の図示は省略するが、これらの制御装置はいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えている。また、主制御装置30には当否抽選用の乱数カウンタ、その他の抽選や選択に使用する乱数カウンタ等も備わっている。
【0025】
主制御装置30は、裏配線中継端子板および外部接続端子板を介して遊技場のホールコンピュータと電気的に接続され、入賞や大当り等の情報を出力する。主制御装置30には、裏配線中継端子板や遊技盤中継端子板を介して、前面枠52および意匠枠60が閉じていることを検出する前面枠閉鎖SW(スイッチ)、意匠枠閉鎖SW、第1、第2の始動口22A,22Bへの入球を検出する特図1、特図2始動SW、遊技球がゲート21を通過したことを検出する普通図柄作動SW、大入賞口25への入賞球を検出するカウントSW、普通入賞口24への入賞球を検出する一般入賞口SW等の検出信号が入力される。
【0026】
また主制御装置30は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成し、払出制御装置32や、演出中継端子板を介してサブ統合装置35にコマンドを出力したり、図柄表示装置中継端子板を介して特図1、特図2表示装置16A,16B、特図1、特図2保留数表示装置17A,17B、普通図柄表示装置、普図保留数表示装置の表示制御を行なう。
主制御装置30は、大入賞口25の開閉板を駆動する大入賞口ソレノイドを制御して大入賞口を開放作動せしめる。また第2の始動口22Bを開閉する普通役物ソレノイドの作動を制御する。
【0027】
払出制御装置32は、球タンクが空状態になったことを検出する球切れSW、遊技球が払い出されたことを検出する払出SW、遊技球貯留皿が満杯状態になったことを検出する満杯SW等の検出信号が入力される。主制御装置30から送られてくるコマンドに応じて払出モータを稼働させて遊技球を払い出させる。また、CRユニットと電気的に接続され、精算表示装置を介して球貸および精算SWによる貸出要求、精算要求の操作信号を受け付け、CRユニットとデータを送受し、貸出要求信号に応じて払出モータを稼働させて貸球を払い出させ、CRユニットに挿入されているプリペイドカードの残高表示を制御する。
【0028】
発射制御装置34は、発射停止SW、発射ハンドルに遊技者が接触(操作)していることを検出するタッチSW、リミットSW等の検出信号が入力される。払出制御装置32を介して主制御装置30から送られてくるコマンド(タッチSWの信号や遊技状況を反映している)、発射ハンドルの回動信号および発射停止SWの信号に基づいて発射モータを制御して遊技球を発射および停止させ、タッチランプの点灯を制御する。
【0029】
サブ統合装置35は、音量調節SWや遊技SWなどの検出信号が入力される。主制御装置30から送られてくるコマンドに応じて、スピーカを駆動して音声を出力することや、各種LEDや各種ランプの点灯、消灯等を制御する。更に演出図柄制御装置36へ演出図柄の表示態様のコマンドを送信する。
【0030】
演出図柄制御装置36は、LCDパネルユニットや付属ユニットと共に演出図柄表示装置15を構成している。上記LCDパネルはLCDパネルユニットの一部である。演出図柄制御装置36は、サブ統合装置35から送られてくるコマンドに応じてLCDパネルの表示を制御する。
【0031】
次にパチンコ機50の作動を説明する。
先ず図4を参照して主制御装置30(厳密には、そのCPU)が実行する「メイン処理」の概要を説明する。「メイン処理」は本処理(S10〜S80)と残余処理(S90,S100)とで構成され、2ms周期の割り込み信号に起因して開始され、最初に正常割り込みか否かを判断する(S10)。この判断はRAMの特定アドレスに特定の数値が書き込まれているか否かに基づいて行われ、ここで否定判断(NO)なら初期設定(S11)を実行する。前述の正常割り込みか否かを判断するための数値は、この初期設定の一環としてRAMに書き込まれる。
【0032】
正常割り込みなら(S10:YES)、初期乱数更新処理(S20)、当否判定用の乱数の更新処理(S30)、当否判定の結果表示(当りの表示)に使用される当り図柄を決めるための特別図柄乱数の更新処理(S40)、普通図柄乱数更新処理(S50)、各入力処理(S60)、当否判定処理(S70)、各出力処理(S80)を行って、次に割り込み信号が入力されるまでの残余時間内には、当否判定の結果表示(はずれの表示)に使用されるはずれ図柄を決めるためのはずれ図柄乱数の更新処理(S90)および初期乱数更新処理(S100)をループ処理する。
【0033】
以下、主制御装置30が実行する処理で、本発明に関わりの深い当否判定処理(S70)を中心に、各入力処理(S60)や各出力処理(S80)の一部のサブルーチン処理について説明する。
【0034】
当否判定処理では、第1または第2の始動口22A,22Bの入球に起因して抽出された当否判定用の第1または第2の乱数と、予め設定された当否判定テーブルの判定値とが一致するか否か判定を行う。ここで上記サブルーチン処理の説明に先立って、本実施形態で用いる第1および第2の乱数と当否判定テーブルについて説明する。
第1および第2の乱数は0〜3999の4000通りの数値から抽出される。
これに対して図9に示すように、当否判定テーブルは内部が4段階に分割してあり、各段階は下限値と上限値とが設定され、これらの間で連続する複数の判断値の範囲で構成されている。例えば、第1段階では773(0305H)〜777(0309H)の5通りの判断値からなる範囲で、第2段階では1773(06EDH)〜1777(06F1H)の5通りの判断値からなる範囲で、第3段階では2733(0AADH)〜2777(0AD9H)の45通りの判断値からなる範囲で、第4段階では3733(0E95H)〜3777(0EC1H)の45通りの判断値からなる範囲で構成されている。
【0035】
そして当否判定テーブルは、段階ごとにそれぞれ、判定値の上限値の下位桁、判定値の上限値の上位桁、判定値の下限値の下位桁および判定値の下限値の上位桁を16進数のデータとして、主制御装置30の当否判定テーブル用のメモリの参照アドレスが示す位置に格納してある。
【0036】
図5に示す「保留記憶処理1」は各入力処理(S60)のサブルーチンで、始動口1への入球があるか確認し(S200)、入球があれば(yes)、特図1の保留記憶の保留数が最大値でないか確認する(S201)。保留数が最大値でなければ(yes)、第1の乱数を含む、確変乱数、大当り図柄決定乱数、リーチ図柄決定乱数、はずれ図柄決定乱数、移行決定乱数などの各種乱数を抽出する(S202)。
【0037】
次に、第1の乱数に基づき先読み判定を行う。(S203)、「先読み判定」は、新規に乱数が抽出されたときに、演出図柄表示装置15に表示する演出表示態様として当り予告を実行するかしないかを判断するための仮の当否判定である。なお「先読み判定処理1」(図6)は実質的に、図7に示す「当否判定処理1」と共通のサブルーチン処理があり、「当否判定処理1」の後に説明する。
S204において、抽出された各種乱数が特図1の保留記憶として主制御装置30のメモリに記憶される(最大4つ)。
【0038】
続くS205〜S209の処理では、始動口1側の処理と同様に、始動口2の入球を確認し、第2の乱数を含む各種乱数を抽出し、第2の乱数の先読み判定を行い、特図2の保留記憶が記憶される。
【0039】
図7に示すように、実質的に特別遊技に移行するか否かの判定を行なう「当否判定処理1」では、先ず特図2の保留記憶が有るか確認し(S401)、保留記憶が有れば(yes)、特図2の保留記憶をシフト処理する(S402)。この処理は、当否判定の対象となる保留記憶が最も古い記憶(記憶順位1位)で、当否判定される際には保留記憶1から例えばレジスタに移動される。これに伴って保留記憶エリアの記憶が、保留記憶4→保留記憶3、保留記憶3→保留記憶2、保留記憶2→保留記憶1というようにシフト処理される。このシフト処理により保留記憶エリアに空きができるので(既に空きがあるときには増えることになる)、新たな保留記憶が可能になる。
【0040】
S401で特図2の保留記憶が無ければ(no)、特図1の保留記憶が有るか確認し(S403)、保留記憶が有れば(yes)、特図1の保留記憶をシフト処理する(S404)。このように本実施形態は、第1の始動口22Aよりも第2の始動口22Bの当否判定を優先している。
【0041】
特図2または特図1のシフト処理後、確変中(確変中は確変フラグ=1)か否か確認する(S405)。確変中でなければ(yes)ループ回数を2回に設定し、確変中であれば(no)ループ回数を4回に設定する。上記ループ回数とは、「当否判定処理1」では当否判定テーブルの段階ごとに第1または第2の乱数と判定値とが一致するかどうか判定処理を実行するようにしており、この処理を当否判定テーブルの何段階にわたってループさせるかを示すものである。
【0042】
ループ回数を設定した後、S408ではメモリに記憶された第1または第2の乱数を比較値としてCPUに移動し(ロード)、記憶乱数判定処理を行う(S409)。
【0043】
図8、図9に示すように、「記憶乱数判定処理」は、先ず当否判定テーブルの1段階目から、判定値の下位データ(下位桁)として参照アドレス00Hに格納された内容をロードする(S501)とともに、判定値の上位データ(上位桁)として参照アドレス01Hの内容をロードする(S502)。これにより当否判定テーブルの1段階目の判定値の上限値がセットされる。
【0044】
そして上記比較値と1段階目の判定値の上限値とを比較し、比較値が判定値よりも大きいか否か判定する(S503)。比較値が判定値よりも小さければ(no)、次に、当否判定テーブルの1段階目から、判定値の下位データ(下位桁)として参照アドレス02Hの内容をロードする(S504)とともに、判定値の上位データとして参照アドレス03Hの内容をロードする(S505)。これにより当否判定テーブルの1段階目の判定値の下限値がセットされる。
【0045】
続いて比較値と1段階目の判定値の下限値とを比較し、比較値が判定値と同じないしこれ以上か否か判定する(S506)。判定結果がyes判定であれば、比較値、即ち乱数が当否判定テーブルの1段階目の範囲内の判定値と一致することとなり、特別遊技の当否が当り判定となり、S507で当否判定テーブルの参照アドレス04Hに格納された戻り値をロードし、既に当りであるため、ループ回数に0をセットして(S508)「記憶乱数判定処理」を終了する。
【0046】
S506の判定結果がno判定の場合、これは当否判定テーブルの1段階目の下限値、即ち当否判定テーブルの最小値よりも比較値が小さいので、当りの可能性がなく、ループ回数を0にセット(S508)して「記憶乱数判定処理」を終了する。
【0047】
S503の処理で比較値が判定値よりも大きければ(yes)、上記ループ回数から1減算し(S509)、ループ回数が0かどうか確認し(S510)、ループ回数が0であれば(yes)、「記憶乱数判定処理」を終了する。
【0048】
ループ回数が0でなければ(no)、当否判定テーブルの段階を一段シフトして、2段階目の判定処理を1段階目と同様に実行する。
【0049】
このように「記憶乱数判定処理」では、当否判定テーブルの段階ごとにその判定値の上限値および下限値と比較値(第1または第2の乱数)とを比較して、判定値の範囲内に比較値があるか判定し、あれば当り判定となし、なければ当否判定テーブルの次の段階に移行する構成で、これをループ回数分繰り返す。また1段階目の判定で、比較値が判断値の最小値よりも小さいと判定したときには直ちに処理を終了するようにしている。
【0050】
図7のS410では「記憶乱数判定処理」のS507(図8)で設定した戻り値をCPUにストアし、戻り値が7であるか確認し(S411)、戻り値が7であれば(yes)、大当りの設定処理を実行し(S412)、戻り値が7でなければ(no)、はずれ設定処理を行う(S413)。
【0051】
大当り設定処理(S412)およびはずれ設定処理(S413)では、変動パターン決定用乱数に基づいて変動パターンの選択や、大当り図柄決定用乱数に基づいて特図1または特図2の当り図柄の確定や、はずれの場合にはずれ図柄決定用乱数に基づいて特図1または特図2のはずれ図柄の確定などを実行し、コマンドをサブ統合装置35に送信すると共に、主制御装置30によって特図1または特図2の表示装置16A,16Bが直接制御され、主制御装置30の変動中フラグに1をセットする処理が実行される。
【0052】
図6に示す「先読み判定処理1」では、ループ回数を2回に設定し(S301)、比較値として第1または第2の乱数を比較値としてロードし(S303)、「当否判定処理1」と共通の「記憶乱数判定処理」を実行する(S303)。この判定結果に基づいて演出図柄表示装置15に当り予告を含む演出表示態様を実行させる。なお、「先読み判定処理1」では、先読み判定時の遊技状態から遊技状態が変化し、変動開始時には異なる遊技状態となっていることに起因する問題、即ち先読み時には確変(高確率)状態であったのに変動時には通常確率(低確率)に戻ると、先読み判定が意味をなさず、これを回避するために現状の遊技状態に応じたループ回数とせず、低確率時のループ回数(2回)をセットする。
【0053】
図10に示す「図柄確定処理1」では、確定された特図1または特図2のデータに基づいて、大当り遊技中の大入賞口の開放パターンを示す開閉フラグの値や、大当り遊技終了後の遊技状態を設定するモードフラグの値をセットする処理を実行する。本処理では、特図1または特図2が変動中であるか(変動中はフラグ=1)を確認し(S601)、変動中であれば(no)、変動時間が経過したかを確認し(S602)、変動時間が経過していれば(yes)、変動フラグに0をセットし(S603)、演出図柄の確定指示信号をサブ統合装置35へ送信し(S604)、特図の変動を停止した後、確定中フラグに1をセットする(S605)。
【0054】
特図の確定中フラグが1か確認し(S606)、1であれば(yes)、特図の確定時間が経過したか確認し(S607)、経過していれば(yes)、確定中フラグに0をする(S608)。以後の処理は、図10とともに図11の特図と大当たりの種別を示す図、および各種機能の作動状況を示す図を参照しつつ説明する。特図1または特図2が当り図柄か確認し(S609)、当り図柄であれば(yes)、2R図柄かどうか確認する(S610)。
【0055】
2R図柄でなければ(S610:no)、開閉フラグに1をセットし(S611)、低確図柄かどうか確認する(S612)。低確図柄でなければ(no)、モードフラグに0をセットし(S613)、低確図柄であれば(yes)、モードフラグに1をセットし(S614)、大当りフラグに1をセットする(S619)。
【0056】
S610で2R図柄であれば(yes)、開閉フラグに2をセットし(S615)、低確図柄か確認して(S616)、低確図柄でなければ(no)、モードフラグに2をセットし(S617)、低確図柄であれば(yes)、モードフラグに3をセットし(S618)、S619で大当りフラグに1をセットする。
【0057】
図11(A)に示すように、本パチンコ機は、確定された大当りの特図1または特図2の種類によって特別遊技の種別を決定する。この場合、特別遊技の種別は、開閉フラグ1によって規定され、大入賞口25を28秒間または入球数が規定数に達するまでを1ラウンドとする開放を15ラウンド継続するとともに時短機能が作動する大当り特別遊技、同様の大入賞口25の開放作動を継続するとともに確変機能・時短機能が作動する大当り特別遊技、開閉フラグ2によって規定され、大入賞口25の0.3秒間の開放を2ラウンド実行する大当り特別遊技、同様の大入賞口25の開放作動を実行するとともに確変機能が作動する大当り特別遊技の4種類から選定される。
また図11(B)に示すように、確定された当りの特図1または特図2の種類によって、高確率機能(確変)、変動時間短縮機能(時短)、開放時間延長機能および確率報知の各種機能が選定される。
【0058】
本実施形態のパチンコ機によれば、当否判定テーブルを複数の段階に分割した構成とし、段階ごとに、下限値と上限値を設定し、これらの間で連続する複数の判断値からなる範囲で構成した。そして当否判定処理では、遊技状況が低確率か高確率かによってループ回数を決定し、該ループ回数に基づき、当否判定テーブルの複数の段階で、第1または第2の始動口22A,22Bへの入球に起因して抽出された第1または第2の乱数と判定値とを比較する。即ち、低確率時にはループ回数を2回とし、当否判定テーブルの1段階目および2段階目と比較するようになし、高確率時にはループ回数を4回として当否判定テーブルの1段階目〜4段階目と比較するようにした。
【0059】
従って、遊技進行状況の確率の変動に対応して、上記乱数と比較する判定値の範囲を縮小拡大させるので、遊技進行状況に合わせて当否判定の確率を効率よく変動させることができる。本パチンコ機では、当否判定テーブルの1段階目の判定値は773〜777の5個、2段階目は1773〜1777の5個、3段階目は2733〜2777の45個、4段階目は3733〜3777の45個であり、低確率時に比べ高確率時では当り確率が10倍になる。乱数値は0〜3999の4000通りで、大当り確率としては低確率時1/400、高確率時1/40としている。
【0060】
また当否判定処理では、段階ごとに、上記乱数と上限値および下限値とを比較して各段階の範囲内にあるか判断するようにしたこと、1段階目の判定で上記乱数が当否判定テーブルの最小値よりも小さければ直ちに判定処理を終了するようにしたこと、更に実際の当否判定処理と先読み判定とで共通のサブルールチン処理を行うようにしたことによりプログラム処理の過程が少なくすみ、処理速度が向上して主制御装置30の処理負担を軽減できるうえ、ROM(プログラム記憶媒体)の容量を軽減できる。
【0061】
また当否判定テーブルは、低確率用の当否判定テーブルと高確率用の当否判定テーブルとを区別して設ける必要がなく、また当否判定テーブルは段階ごとに下限値と上限値とを主制御装置30のメモリの当否判定テーブル用の所定の参照アドレスに記憶すればよく、当否判定テーブル用のメモリ(記憶)容量を軽減できる。
【0062】
次に図12ないし図16に基づいて本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態の基本構造は第1の実施形態のそれとほぼ同じで相違点を中心に説明する。本実施形態にかかるパチンコ機は特別遊技として大当り遊技と小当たり遊技とが設定してある。図13に示すように、本パチンコ機に用いる当否判定テーブルを4段階に分割し、2つの大当り判定用の段階と2つの小当り判定用の段階とで構成してある。なお1段階目と3段階目が大当り用、2段階目と4段階目が小当り用にしてある。
【0063】
図12は本パチンコ機で実行する「当否判定処理2」を示す。本判定処理は、「当否判定処理1」(図7)と同様、遊技の進行状況が低確率状態であればループ回数を2回とし、高確率状態であれば4回に設定する(S426,S427)。記憶乱数判定処理(S429)では、第1の実施形態と同様に図8に示すサブルーチン処理(「記憶乱数判定処理」)により判定を実行する。決定されたループ回数が2回のときは当否判定テーブルの1,2段階目を、4回のときは当否判定テーブルの全ての段階をループし、いずれの場合も大当り用の段階と小当り用の段階とを交互にループする。1段階目または3段階目で大当りとなると戻り値に7がセットされ、2段階目または4段階目で小当りとなると戻り値に3がセットされる(図13参照)。
【0064】
「当否判定処理2」では、戻り値が7か確認し(S431)、7であれば(yes)、大当り設定処理を実行する(S432)。一方、戻り値が3であれば(S433)、小当り設定処理を実行し(S434)、戻り値が7でも3でもなければ、はずれ設定処理を実行する(S435)。その後、セットされた戻り値に基づいて大当りの特別遊技や、小当りの特別遊技が実行される。
【0065】
図14は本パチンコ機で実行する「図柄確定処理2」を示す。本判定処理は、「図柄確定処理1」(図10)と同様、特図1または特図2が当り図柄であれば(S629)、大当り図柄か小当り図柄か判定し(S630)、大当り図柄であれば(yes)、2R図柄かどうか確認する(S631)。
【0066】
2R図柄でなければ(S631:no)、開閉フラグに1をセットし(S632)、低確図柄でなければ(S633:no)、モードフラグに1をセットし(S634)、低確図柄であれば(S633:yes)、モードフラグに2をセットする(S635)。いずれもモードフラグのセット後、大当りフラグに1をセットする(S640)。
【0067】
一方、2R図柄であれば(S631:yes)、開閉フラグに2をセットし(S636)、低確図柄でなければ(S637:no)、モードフラグに3をセットし(S638)、低確図柄であれば(yes)、モードフラグに4をセットし(S639)、後にS640で大当りフラグに1をセットする。
なおS630で小当り図柄であれば(no)、開閉フラグに3をセットし(S641)、小当りフラグに1をセットし(S642)、モードフラグに0をセットする(S643)。
【0068】
図15(A)に示すように、本パチンコ機は、確定された当りの特図1または特図2の種類によって、第1の実施形態と同様、開閉フラグ1、2に規定された4種類の大当り特別遊技、および開閉フラグ3に規定され、大入賞口25を0.3秒間、2回開放する小当り特別遊技からなる5種類から特別遊技が選定される。
また図15(B)に示すように、第1の実施形態と同様に、特図1または特図2の種類によって、確変、時短、開放時間延長機能および確率報知の各種機能が選定される。なおモードフラグが0となる小当たり特別遊技ではいずれの機能も作動しない。
【0069】
本実施形態によれば、当否判定処理に関して第1の実施形態と同様の作用効果が得られるとともに、当否判定テーブルに大当り用の段階と小当り用の段階を設け、どの段階で当りとなるかによって大当り遊技と小当り遊技とを判定する。よって、当否判定と遊技の種別(大当り、小当り)の選択が同時にでき、主制御装置30によるプログラム処理の効率が向上する。
【0070】
遊技進行状況が低確率状態または高確率状態によって、ループ回数を2回または4回に設定するので、遊技進行状況の確率の変動に対応して、乱数と比較する大当り用および小当り用のいずれの判定値の範囲も縮小、拡大させ、大当り、小当りいずれの当否確率も効率よく変動させることができる。当否判定テーブルは、1段階目の大当り用の判定値を768〜777の10個、2段階目の小当り用の判定値を1768〜1777の10個、3段目の大当り用を2688〜2777の90個、4段目の小当り用を3768〜3777の10個とし、低確率時に対して高確率時では大当り確率が10倍に、小当り確率が2倍になる。
【0071】
次に図16ないし図19に基づいて本発明の第3の実施形態を説明する。なお本実施形態の基本構成は第1および第2の実施形態のそれと同じで、相違点を中心に説明する。図19に示すように、本実施形態の当否判定テーブルは、低確率時用と高確率時用の2種類の当否判定テーブルが設定してある。各当否判定テーブルは4段階に分割した構成で、1段階目および2段階目を大当り用の段階とし、3段階目および4段階目を小当り用の段階としてある。なお高確率時用の当否判定テーブルでは、各段階の判定値の範囲が低確率時用の当否判定テーブルの各段階に比べて広く設定してある。
【0072】
図16に示す「保留記憶処理2」では、始動口1への入球があり(S221)、保留数が最大値出なければ(S222)、特図フラグに1をセットする(S223)。続いて各種乱数の抽出処理を行い(S224)、先読み判定処理を実行し(S225)、各種乱数を保留記憶として記憶する(S226)。
【0073】
次に、始動口2への入球があり(S227)、保留数が最大値出なければ(S228)、特図フラグに2をセットする(S229)。そして、各種乱数の抽出処理を行い(S224)、先読み判定処理を実行し(S225)、各種乱数を保留記憶として記憶する(S226)。
【0074】
図17に示す「先読み判定処理2」では、特図フラグが2であるか確認し(S311)、特図フラグが2であれば(yes)、ループ回数を2回にセットする(S312)。特図フラグが2でなければ(no)、ループ回数を4回にセットする(S313)。以降、低確率時用の当否判定テーブルに基づいて先読み判定を実行する(S314〜S316)。
【0075】
なお、本パチンコ機は開放延長機能を備え、該開放延長機能作動時には主として特図2が変動することとなる。そこで「先読み判定処理2」では、始動口2への入球があり特図2の先読み判定時には、ループ回数を2回に設定し、当否判定テーブルの小当りの判定をすることなく、大当りに対する予告を行い、予告がなされた際の遊技者の期待感を高める。
【0076】
図18に示すように「当否判定処理3」では、始動口2への入球に起因する特図2の保留記憶があれば(S451)、特図2の保留記憶をシフト処理し(S452)、ループ回数を3回にセットする(S453)。一方、特図2の保留記憶がなく、始動口1への入球に起因する特図1の保留記憶があれば(S454)、特図1の保留記憶をシフト処理し(S455)、ループ回数を4回にセットする(S456)。
【0077】
次に遊技状態が確変中(確変中は確変フラグ=1)か否か確認し(S457)。確変中でなければ(yes)、低確率時用の当否判定テーブルを参照アドレスにセットする(S458)。一方、確変中であれば(S457:no)、高確率時用の当否判定テーブルを参照アドレスにセットする(S459)。
【0078】
続いて、第1または第2の乱数を比較値としてロードし、「記憶乱数判定処理」(図8)を実行し、この判定処理で得られた戻り値を特図当りフラグにストアする(S460〜S462)。そしてストアした、戻り値が7であれば(S463)、大当り設定処理を行い(S464)、戻り値が3であれば(S465)、小当り設定処理を行い(S466)、戻り値が7または3でなければはずれ設定処理を実行する(S467)。
【0079】
本実施形態によれば、当否判定処理に関して第1の実施形態と同様の作用効果が得られるとともに、第1の始動口22Aへの入球または第2の始動口22Bへの入球を条件としてループ回数を3回または4回に設定するようになし、また低確率用、高確率用の当否判定テーブルはいずれも1,2段階を大当り用とし、3,4段階を小当り用にしたことにより、第1の始動口22Aへの入球時と第2の始動口22Bへの入球時とで小当り判定の確率のみを効率よく変動させることができる。
【0080】
また本実施形態では、当否判定テーブルを低確率用および高確率用を設定したが、いずれの当否判定テーブルも段階ごとに、下限値と上限値を主制御装置30のメモリに記憶してあるので、従来の遊技機のようにメモリ容量が大きくならずにすむ。
【0081】
第1ないし第3の実施形態ではいずれも、当否判定テーブルの判定値の小さい段階から判定値の大きい段階に順にループして判定するように構成したが、これに限らず、判定値の大きい段階から判定値の小さい段階に順にループするように構成してもよい。この場合、乱数が当否判定テーブルの判定値の最大値よりも大きいと判定した時はループ回数が残っていても(ループ回数が0でなくても)判定処理を終了させる。
【符号の説明】
【0082】
10 遊技盤
16A,16B 特別図柄表示装置
22A,22B 始動口
25 大入賞口
30 主制御装置(当否判定手段、ループ制御手段、ループ回数決定手段)
50 弾球遊技機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が遊技盤の所定の始動口に入球すると、当否判定用の乱数を抽出し、該乱数と予め設定された当否判定テーブルの判定値とが一致するか否かの当否判定処理を行い、一致していれば当りとなって遊技者にとって有利な特別遊技に移行する弾球遊技機において、
上記当否判定テーブルには複数の上記判定値が設定され、かつ当否判定テーブルを複数の上記判定値からなる複数の段階に分割し、
上記当否判定テーブルの段階ごとに上記当否判定処理を実行する当否判定手段と、当否判定処理を複数の上記段階にわたって実行させるようにループ制御するループ制御手段と、当否判定処理のループ回数を決定するループ回数決定手段とを具備し、
上記ループ回数決定手段は遊技の進行状況において予め設定された所定の条件が成立しているか否かに基づいてループ回数を決定し、上記ループ制御手段は上記決定されたループ回数に基づいて当否判定テーブルの複数の段階で当否判定処理を行い、上記遊技進行状況により特別遊技に移行する当り確率を変更するように構成したことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の弾球遊技機において、
上記当否判定テーブルの上記各段階を、連続する複数の判定値からなる所定の範囲で構成し、
上記当否判定手段は、上記当否判定テーブルの段階ごとに、上記当否判定用の乱数と、上記各段階の判定値の上限値および下限値とを比較して、上記乱数が上記範囲内にあるか否か判定するようになした弾球遊技機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の弾球遊技機において、
上記ループ制御手段は、上記当否判定処理を、上記当否判定テーブルの判定値の小さい範囲の段階から判定値の大きい範囲の段階へ、または判定値の大きい範囲の段階から判定値の小さい範囲の段階へ順次ループ制御せしめるようになし、
上記当否判定手段は、上記当否判定処理の初期に上記当否判定用の乱数と上記当否判定テーブルの判断値の最小値または最大値と比較して、上記乱数が上記最小値よりも小さい、または上記最大値よりも大きいと判定したときは、直ちに当否判定処理を終了するようになした弾球遊技機。
【請求項4】
請求項1ないし3に記載の弾球遊技機において、
上記特別遊技に移行したときの特別図柄が予め設定された所定の図柄であると、上記当り確率を低確率または高確率に変更する確率変動機能を具備し、
上記ループ回数決定手段は、上記所定の条件として上記当り確率の変動状態に応じてループ回数を決定するようになした弾球遊技機。
【請求項5】
請求項1ないし3に記載の弾球遊技機において、
遊技盤に第1の始動口と第2の始動口を設け、上記第1の始動口への入球により抽出された第1の当否判定用の乱数に基づいて遊技盤の特別図柄表示装置に表示する第1の特別図柄が確定され、上記第2の始動口への入球により抽出された第2の当否判定用の乱数に基づいて上記特別図柄表示装置に表示する第2の特別図柄が確定され、
上記ループ回数決定手段は、上記所定の条件として上記第1または第2のいずれの特別図柄が選定されたかに応じてループ回数を決定するようになした弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−179036(P2010−179036A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27197(P2009−27197)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(395018239)株式会社高尾 (550)
【Fターム(参考)】