説明

弾球遊技機

【課題】遊技機に不測の事態が生じた場合でも遊技継続中のクレジット数の情報を全て消失するといった事態の発生を防ぐことができ、遊技者への損害を抑えることができるような構成の弾球遊技機を提供する。
【解決手段】入賞口への遊技球の入賞を検知する入賞検知手段B3と、クレジット情報管理部B24のメモリB24bに記憶された記憶クレジットに、入賞検知手段B3による遊技球の入賞の検知に応じて所定のクレジットを加算し、発射装置B15により発射された遊技球に対応するクレジットを減算して、記憶クレジットを更新するクレジット情報管理部B24と、クレジット情報管理部B24により更新された記憶クレジットが上限値を超えた場合に、その記憶クレジットのうちの所定の値のクレジット情報をパチンコ機PMの外部に設けられた外部記憶手段B17に送信し、前記所定の値のクレジットを外部記憶手段B17に記憶させるクレジット提示更新部B25とを備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発射装置から発射された遊技球を遊技領域内で落下させながら移動させて入賞具に入賞させる遊技を行うように構成された弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
このような構成の弾球遊技機は、パチンコ機等として従来から良く知られている。パチンコ機は、遊技者が遊技球を購入し、これを球皿上に投入した上で、発射ハンドルを操作して遊技を行うようになっている。具体的には、球皿に遊技球が投入されると、球皿に繋がる整列通路から遊技球が一球ずつ発射装置内に送り込まれ、遊技者の発射ハンドル操作に応じて、発射装置により遊技球が一球ずつ遊技領域内に発射されるように構成されている。このように発射されて遊技領域内に打ち出された遊技球は、遊技釘等に案内されて落下経路を変更しながら落下移動し、この移動の間において遊技領域内に設けられた入賞具に遊技球が入り込む、すなわち、入賞すると、この入賞に応じて所定の数の遊技球が賞球として球皿に払い出されるように構成されている。遊技者はこのようにして遊技を行い、払い出された賞球を貯めて、これを賞品と交換するというようなシステムとなっている。
【0003】
ところで、上記構成のパチンコ機等のような弾球遊技機では、遊技開始に先立って遊技球を購入して球皿に投入し、遊技により貯めた賞球を数えて、その数に応じて賞品を獲得するというシステムであるため、常に遊技球を用いた遊技となるが、多数の遊技球を必要とし、遊技球は鋼球からなり重いため、その扱いが面倒もしくは煩雑であるという問題がある。また、遊技球は遊技中に汚れたりするため、多数の遊技球の全てについて洗浄が必要となるという問題や、遊技中に遊技者が遊技球を落として遊技施設の床等に遊技球が散乱しがちであるという問題がある。
【0004】
このようなことから、遊技領域内での遊技球の落下移動に応じて入賞具へ遊技球を入賞させるという遊技形式を用いるが、遊技者側において遊技球を扱う必要をなくす形式の弾球遊技機、例えば、特許文献1に記載のように、封入循環式のパチンコ機が考えられている。このような封入循環式のパチンコ機においては、特許文献1に記載されているように、パチンコ機に併設された球貸し機に購入したカードを挿入し、カードに記録されている残高情報(遊技者が遊技できる遊技球の数)をクレジット(持ち球)に変換して、パチンコ機内に封入された所定の数の遊技球を当該クレジット数に対応する数だけ遊技領域内に打ち出すことが可能な構成となっており、これにより上述の問題の発生を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6‐170055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような封入循環式のパチンコ機等の弾球遊技機では、遊技領域内に設けられた入賞口に遊技球が入賞すると、その入賞に応じて所定数が賞球としてクレジット数(持ち球数)に加算されるように構成され、遊技終了の際に精算スイッチが操作されると、そのときのクレジット数を所定の遊技価値情報へ変換してカードに書き込むように構成されている。このように、遊技継続中のクレジット数の管理はパチンコ機内で行われているため、例えば、停電によりパチンコ機への電力供給が停止したり、もしくはパチンコ機自体に電機的な故障が生じた場合に、パチンコ機内で管理しているクレジット数の情報が消失して読み取り不可能となり、遊技者が損害を受ける結果となる虞があるという課題があった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、遊技機に不測の事態が生じた場合でも遊技継続中のクレジット数の情報を全て消失するといった事態の発生を防ぐことができ、遊技者への損害を抑えることができるような構成の弾球遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的達成のために、本発明に係る弾球遊技機は、少なくとも一つの入賞口が設けられた遊技領域を有した遊技装置と、前記遊技領域内に遊技球を打ち出す発射装置と、前記発射装置により発射可能な遊技球を付与するためのクレジットを記憶するクレジット記憶手段とを備え、前記クレジット記憶手段に記憶されたクレジットに対応して前記発射装置から遊技球を発射する制御を行い、発射された遊技球を前記遊技領域内で落下させながら移動させて前記入賞口に入賞させる遊技を行うように構成される。そして、前記入賞口への遊技球の入賞を検知する入賞検知手段と、前記クレジット記憶手段に記憶された記憶クレジットに、前記入賞検知手段による前記遊技球の入賞の検知に応じて所定のクレジットを加算し、前記発射装置により発射された遊技球に対応するクレジットを減算して、前記記憶クレジットを更新するクレジット更新手段と、前記クレジット更新手段により更新された前記記憶クレジットが上限値を超えた場合に、その前記記憶クレジットのうちの所定の値のクレジット情報を前記弾球遊技機の外部に設けられた外部記憶手段に送信し、前記所定の値のクレジットを前記外部記憶手段に記憶させるクレジット外部送信記憶手段とを備え、前記クレジット更新手段は、前記クレジット外部送信記憶手段により前記外部記憶手段に記憶された前記所定の値のクレジットを前記記憶クレジットから減算して前記記憶クレジットを前記上限値よりも小さな値の前記記憶クレジットに更新するように構成される。
【0009】
なお、上記構成の弾球遊技機において、前記クレジット記憶手段に記憶された記憶クレジットを遊技者に提示するクレジット提示手段と、前記クレジット外部送信記憶手段により前記外部記憶手段に記憶されたクレジットを遊技者に提示する外部記憶クレジット提示手段とを備えることが好ましい。
【0010】
また、上記構成の弾球遊技機において、前記クレジット更新手段により更新された前記記憶クレジットが下限値になった場合に、前記外部記憶手段にクレジット要求信号を出力し、前記外部記憶手段に記憶されているクレジットから所定の値のクレジットを取り戻して前記記憶クレジットに加算する外部記憶クレジット加算手段を備えることが好ましい。もしくは、遊技者による操作入力に基づいて前記外部記憶手段にクレジット要求信号を出力し、前記外部記憶手段に記憶されているクレジットから所定の値のクレジットを取り戻して前記記憶クレジットに加算する外部記憶クレジット加算手段を備えることが好ましい。
【0011】
また、上記構成の弾球遊技機において、遊技終了時に、前記クレジット記憶手段に記憶された記憶クレジットと前記外部記憶手段に記憶されたクレジットとを合算し、この合算クレジットを所定の遊技価値情報に変換して所定の記録媒体に書き込む遊技価値情報書き込み手段を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る弾球遊技機によれば、発射装置により発射可能な遊技球を付与するためのクレジットに、遊技球の入賞口への入賞に応じて所定のクレジットを加算し、発射装置により発射された遊技球に対応するクレジットを減算して、クレジットを更新する構成の弾球遊技機において、更新されたクレジットが上限値を超えた場合に、そのクレジットのうちの所定の値のクレジットを遊技機の外部に設けられた外部記憶手段に送信して記憶させるように構成されており、遊技継続中のクレジット数の管理をパチンコ機内だけで行っているわけではないので、停電によりパチンコ機への電力供給が停止するというような不測の事態が生じた場合でも、遊技継続中のクレジット数の情報を全て消失するといった事態の発生を防ぐことができ、遊技者への損害を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る封入循環式のパチンコ機の正面図である。
【図2】本実施形態に係る封入循環式のパチンコ機の背面図である。
【図3】本実施形態に係る封入循環式のパチンコ機のガラス扉を開放した状態での正面図である。
【図4】本実施形態に係る封入循環式のパチンコ機に設けられた制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】上記制御装置による制御内容全般を示すフローチャートである。
【図6】上記制御装置によるカード情報管理処理を示すフローチャートである。
【図7】上記制御装置による球貸し処理を示すフローチャートである。
【図8】上記制御装置による発射球検知処理を示すフローチャートである。
【図9】上記制御装置による入賞球検知処理を示すフローチャートである。
【図10】上記制御装置によるファール球検知処理を示すフローチャートである。
【図11】上記制御装置によるクレジット提示更新処理を示すフローチャートである。
【図12】上記制御装置による精算処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。本発明に係る弾球遊技機を適用した封入循環式のパチンコ機PMの正面図および背面図を図1及び図2に示すとともに、ガラス扉を開放した状態でのパチンコ機PMにおける前枠の前面領域の正面図を図3に示しており、先ずこれらの図を参照してパチンコ機PMの全体構成について概要説明する。
【0015】
パチンコ機PMは、図1に示すように、外郭方形枠サイズに構成された縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載枠をなす前枠2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構3により横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側縁部に設けられたダブル錠と称される施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持される。
【0016】
前枠2の前面側には、前枠2の前面域に合わせた方形状のガラス扉5が上下のヒンジ機構3を利用して横開き開閉および着脱可能に組み付けられ、施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉鎖状態に保持される。ガラス扉5の背後に位置する前枠2の前面側には、遊技盤20を着脱可能に収容する収容枠が設けられており、この収容枠の上部領域に遊技盤20が着脱可能にセット保持され、常には閉鎖保持されるガラス扉5を通して遊技盤20の正面の遊技領域PAを臨ませるようになっている。
【0017】
遊技盤20は、図3に示すように、所定板厚の積層合板の表面にセルを貼り付けてルータ加工した化粧板21を基板とし、その前面側に内外の案内レール22が円弧状に固設されて略円形の遊技領域PAが区画形成される。遊技領域PAには、多数本の遊技釘(図示せず)とともに風車23や各種の入賞具24,25,26、遊技の展開状況に応じた図柄を表示させる図柄表示装置28などの遊技構成部品が取り付けられている。また、遊技領域PAの下端部には、各入賞具に入賞せずに遊技領域PAを転動流下した遊技球を化粧盤21の裏面側に排出するアウト口27が設けられており、このアウト口27内にはアウト球を検出するための通過型センサからなるアウト球検知器27sが介装されている。
【0018】
一般入賞具(「一般入賞口」とも称する)24は、遊技球が落入可能な入賞口を有する固定入賞具であり、この入賞口に落入した遊技球は化粧板21の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた通過型センサからなる一般入賞球検知器24sを通過することによって入賞が検出される。
【0019】
始動入賞具(「始動入賞口」とも称する)25は、図柄の変動開始の条件を定める入賞具であり、この入賞口に落入した遊技球は化粧板21の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた始動入賞球検知器25sを通過することによって入賞が検出される。
【0020】
大入賞具(「大入賞口」とも称する)26は、いわゆるアタッカー型の可動入賞具であり、横長方形状の大入賞口を覆う開閉扉が開閉可能に取り付けられている。開閉扉は通常閉止されており、遊技中における所定の入賞条件の下で特別遊技状態が成立したときに、開閉扉の上部が前方にほぼ90度倒されて大入賞口が開放される。大入賞口に落入した遊技球は化粧板21の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた大入賞球検知器26sを通過することによって入賞が検出される。
【0021】
化粧板21の裏面側には、パチンコ機PMの作動を統括的に制御する主制御基板41を収容した主制御基板ユニット41Uや、図柄表示装置28の作動を制御する演出制御基板42を収容した演出制御基板ユニット42Uが取り付けられるとともに、各入賞具24,25,26に落入して化粧板21の裏面側に導かれたセーフ球、及びアウト口27を通って化粧板21の裏面側に導かれたアウト球(これらを纏めて「遊技済み球」と称する)を、化粧板21の裏面に沿って前枠2の背面側下部に設けられた遊技球循環装置100へと導く球寄せカバー(図示せず)が取り付けられている。
【0022】
前枠2の前面下部には遊技盤20と上下に整合し得る遊技補助盤30と称される補助機構部が設けられており、この遊技補助盤30の各部に、遊技盤20に設けられた案内レール22を介して遊技領域PAへ向けて遊技球を発射する発射機構31、この発射機構31から発射された遊技球を案内レール22へ導く発射レール部32、遊技領域PAに到達できずに案内レール22を戻ってくる遊技球(すなわちファール球)を回収するためのファール球戻り口33、前枠2裏面に配設された遊技球循環装置100から遊技球を発射レール部32の球着座部に1球ずつ供給するための球送り開口35などが設けられている。ここで、発射ハンドル7、発射機構31、及び発射レール部32などから遊技球発射装置50が構成されている。一方、この遊技補助盤30の背後に位置して前枠2の裏面側には、ファール球戻り口33に落下したファール球を検出するファール球検知器36s、発射機構31により遊技領域PAへ打ち出されて遊技盤20の裏面側に排出された遊技済み球及び遊技領域PAへ到達できずにファール球戻り口33に落入したファール球を球貯留部(図示略)に集めて貯留し、この球貯留部に貯留された遊技球を再び発射機構31に供給する遊技球循環装置100、この遊技球循環装置100から発射レール部32の球着座部に送出される遊技球を検出する発射球検知器37sなどが取り付けられている。遊技球循環装置100の詳細構成については後で詳述する。
【0023】
ガラス扉5は、図1に示すように、前枠2の前面に揺動開閉可能に取り付けられた窓枠6の背面側に、この窓枠6の窓口を閉止するようにしてガラスアッセンブリが取り付けられて構成されており、ガラス扉5の前面側下部には遊技球の発射操作を行うための発射ハンドル7が前方に突出して設けられ、その正面左側に位置して操作ユニット10が設けられている。この操作ユニット10には、遊技者の保有する持ち球数情報(遊技球の残高情報)を記録したカード(例えば、プリペイドカードなどの磁気カード)を投入するカード投入口11と、遊技者が必要とする要求球貸し数などの各種設定値を入力可能なテンキー12と、遊技者がパチンコ機正面側から押下操作可能な球貸しボタン13、スタートボタン14、及び精算ボタン15等の各種操作ボタンと、投入されたカードの残高を提示するカード残高提示部16a、遊技者の持ち球数(以下において「クレジット数」とも称する)を提示するクレジット提示部16b、及び後述する外部記憶手段B17に記憶されたクレジット数を提示する外部記憶クレジット提示部16cからなるクレジット提示装置16と、投入されたカードの読み取り・書き込み機能を有するカードリーダ・ライタ17などが取り付けられている。なお、ガラス扉5の前面側には発光ダイオード(LED)やランプ等の電飾装置や、遊技の展開状況に応じて効果音を発生させるスピーカー等が適宜設けられるが、図1においてはこれらの図示を省略している。
【0024】
窓枠2の裏面側には、図2に示すように、外枠1の内寸サイズよりも幾分小さめの矩形枠状に形成された裏セット盤40が着脱可能に取り付けられている。裏セット盤40は、遊技盤20の背後に位置する上部領域に、前後連通して開口する大型の窓口開口40aを有している。裏セット盤40の背面側には、パチンコ機PM各部に電力を供給する電源基板43(電源基板ユニット43U)、遊技球発射装置50及び遊技球循環装置100による発射・球送制御(循環作動制御)を行うとともに遊技球のクレジット情報に関する制御等を行うクレジット制御基板44(クレジット制御基板ユニット44U)などが取り付けられている。また、裏セット盤40の窓口開口40a内に位置して遊技盤20の背面側には、前述したように、パチンコ機PMにおける制御の中枢を担う主制御基板41(主制御基板ユニット41U)、遊技展開に応じた画像表示、効果照明、効果音等の演出の制御を行う演出制御基板42(演出制御基板ユニット42U)などが取り付けられ、これらの制御基板とパチンコ機PM各部の電気・電子部品がコネクタケーブルで接続されてパチンコ機PMが作動可能に構成されている。
【0025】
以上のように構成されるパチンコ機PMは、外枠1が遊技施設の遊技島(設置枠台)に固定設置され、前枠2やガラス扉5等が閉鎖施錠された状態で遊技に供される。遊技者の所有するカードが操作ユニット10のカード投入口11に投入されると、その記録情報が内部のカードリーダ・ライタ17により読み取られてクレジット表示装置16のカード残高提示部16aにカード残高が表示され、この残高(持ち球数)を限度として遊技者の要求する球貸し数が球貸しボタン13の押下操作回数に応じて設定される(テンキー12により設定してもよい)。球貸しボタン13が押下操作されると、要求球貸し数(クレジット数)が数値としてクレジット提示部16bに表示され、これに応じた個数の遊技球が遊技者に対して貸し出され、中央のスタートボタン14の押下操作をもって遊技球を発射し得る状態、すなわち遊技が開始可能な状態になる。発射ハンドル7が回動操作されると、遊技球循環装置100に貯留された遊技球(機内に所定個数封入された遊技球)が1球ずつ遊技補助盤30の発射レール部32に送り出され、発射機構31により遊技領域PAに打ち出されて、以降パチンコゲームが展開される。
【0026】
このパチンコゲームでは、発射機構31により打ち出された遊技球は、入賞球、アウト球、ファール球のいずれかとして検出されたのち遊技球循環装置100に回収・貯留され、発射機構31における打球位置(発射レール部32の球着座部)に再び供給されて発射され、以後循環使用されることになる。クレジット提示部16bにおいては、これに提示されるクレジット数が遊技の展開状況(遊技球の発射、入賞など)に応じて適時加減算されながら変動表示され、パチンコ機PMの正面側から遊技者がいつでも現在のクレジット数を視覚的に確認できるようになっている。このように遊技の展開状況に応じてクレジット数は加算又は減算されて変動されるが、クレジット数が「0」に至るまで、あるいは、遊技者によって操作パネル10上の精算ボタン15が押下操作されるまでは、遊技者は遊技を続行することが可能である。
【0027】
次に、このパチンコ機PMにおける制御装置の基本構成を、図4に示すブロック図を参照して説明する。制御装置は、主制御基板41、演出制御基板42、電源基板43、クレジット制御基板44等から構成されるコントロールユニットCUを有し、各種の作動制御を行うものである。以下においては、遊技球が遊技領域PA内に打ち出されたときにおける遊技球の入賞等に伴う払出制御関連を行う制御装置のシステム構成を説明するが、演出制御基板42による図柄表示装置28での演出表示制御、遊技領域PA内や、ガラス扉5の前面側に設けられた電飾装置による電飾制御、スピーカーによる遊技の展開状況に応じた効果音の発生制御、および、電源基板43によるパチンコ機PM各部への電力供給制御については、本願発明と関連しないため、それらの説明を省略する。
【0028】
図4に示す制御装置は、コントロールユニットCUに種々の装置を接続して構成される。具体的には、発射球検知手段B1(発射球検知器37s)、ファール球検知手段B2(ファール球検知器36s)、入賞検知手段B3(一般入賞球検知器24s、始動入賞球検知器25s、大入賞球検知器26s等)、アウト球検知手段B4(アウト球検知器27s)といった遊技球を検知する手段がコントロールユニットCUに接続されて、それらの検知信号を送出する。
【0029】
コントロールユニットCUには、さらに、カードリーダ・ライタ手段B11(カードリーダ・ライタ17)、カード残高提示手段B12(カード残高提示部16a)、操作手段B13(テンキー12、球貸しボタン13、スタートボタン14、精算ボタン15)、クレジット提示手段B14(クレジット提示部16b、外部記憶クレジット提示部16c)、遊技球発射手段B15(遊技球発射装置50)、遊技球循環手段B16(遊技球循環装置100)が接続されている。また、コントロールユニットCUには、パチンコ機PMの外部に設けられた外部記憶手段B17(例えば、遊技施設に設けられたサーバ)が接続されている。
【0030】
コントロールユニットCUは、循環球管理部B21、カード情報管理部B22、入賞管理部B23、クレジット情報管理部B24、クレジット提示更新部B25、循環制御部B26を備えている。
【0031】
循環球管理部B21は、発射球検知手段B1、ファール球検知手段B2、入賞検知手段B3およびアウト球検知手段B4により検知される遊技球の移動検知に基づいて、球詰まりの有無や、遊技領域PA内に居る遊技球の数を監視し、遊技機の内部で遊技球がスムーズに循環しているか否かを監視する。
【0032】
カード情報管理部B22は、カードの投入の有無や、このカードに書き込まれている遊技データ(クレジット情報など)の管理や演算処理およびその提示、遊技終了時におけるカード処理等を行う。例えば、カードリーダ・ライタ手段B11によりカード投入口11にカードが投入されたか否かを監視し、カードが投入されたときには、カードリーダ・ライタ17により、このカードに記憶されているクレジット情報を読み取り、且つ、必要に応じてカードにクレジット情報等を書き込み、カードを排出する処理を行う。また、操作手段B13の操作内容等に応じて、球貸し数の設定、貸し出し、クレジットの精算処理等を行うとともに、これらの処理を受けた現在のカードの残高情報をカード残高提示手段B12に提示させる。
【0033】
入賞管理部B23は、入賞検知手段B3(一般入賞球検知器24s、始動入賞球検知器25s、大入賞球検知器26s等)から各入賞具24,25,26等への遊技球の入賞情報を受け、各入賞具24,25,26等に対応する賞球クレジットを付与する処理を行う。
【0034】
クレジット情報管理部B24は、発射球検知手段B1、ファール球検知手段B2、入賞検知手段B3により遊技球が検知されると、その検知毎に持ち球数(クレジット数)を演算部B24aにより演算させ、メモリB24bに演算部B24aによる演算結果を記憶させる。また、クレジット情報管理部B24は、演算部B24aにより演算されたクレジット数が下限値になったときに、外部記憶手段B17にクレジット要求信号を出力し、外部記憶手段B17にクレジット情報が記憶されていれば、そのうちの所定の値のクレジット数を外部記憶手段B17から取り戻して前記下限値となったクレジット数に加算させ、その加算されたクレジット数をメモリB24bに記憶させる。
【0035】
クレジット提示更新部B25は、クレジット情報管理部B24のメモリB24bに記憶されているクレジット数(持ち球数)をクレジット提示手段B14(クレジット提示部16b)に提示させる。また、クレジット提示更新部B25は、演算部B24aにより演算されたクレジット数が上限値を超えた場合に、そのクレジット数のうちの所定の値のクレジット数を外部記憶手段B17に送信して記憶させるとともに、外部記憶手段B17に記憶された所定の値のクレジット数を差し引いた前記上限値よりも小さな値のクレジット数に更新してクレジット提示手段B14(クレジット提示部16b)に提示させる。またこのとき、クレジット提示更新部B25は、外部記憶手段B17に記憶されたクレジット数を累積してクレジット提示手段B14(外部記憶クレジット提示部16c)に提示させる。
【0036】
循環制御部B26は、遊技球発射手段B15により遊技球を遊技領域PA内に発射させるとともに、遊技球循環手段B16によりこの遊技領域PA内に発射されて遊技に使用された遊技球を回収して遊技球発射手段B15に供給して、再び遊技領域PA内に発射可能となるように循環させる。
【0037】
このような構成の制御装置による具体的な制御内容について、図5〜図12に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0038】
図5は、このパチンコ機PMのメインフローチャートである。制御装置は、パチンコ遊技機PMの稼働中、カード情報管理処理S10、球貸し処理S20、発射球検知処理S30、入賞球検知処理S40、ファール球検知処理S50、クレジット提示更新処理S60、精算処理S70等の処理を繰り返し実行する。
【0039】
まず、カード情報管理処理S10について、図6を参照して説明する。パチンコゲームに際しては、まずカードがカード投入口11へ投入されると、カードリーダ・ライタ17によりカードに記録された識別番号等が読み取られ(ステップS11)、制御装置により当該カードが有効か否かの判定処理が行われる(ステップS12)。この処理では、例えば当該カードが偽造品であるか否か、有効期限切れか否かなど、球貸しを受け得るカードであるか否かについての判定を行う。そして、球貸しを受け得るカードではないと判定した場合は、このカードをカード投入口11から排出する(ステップS13)。
【0040】
一方、球貸しを受け得るカードであると判定した場合、そのカードに記憶されているクレジット情報(カード残高)がカード残高提示部16aに提示されるとともに、遊技者は球貸しボタン13と精算ボタン15のいずれかを選択して押下することが可能となる。
【0041】
ここで、遊技者が精算ボタン15を押下することなく(ステップS14)、球貸しボタン13を押下操作した場合(ステップS15)、この球貸しボタン13の操作回数に応じて球貸し数が設定されるとともに(ステップS16)、カード残高提示部16aにはこの設定された球貸し数に対応する度数を差し引いたカード残高が提示される(ステップS17)。なお、球貸し数の設定方法については、上記の方法に限定されず、例えばテンキー12で所望の球貸し数を直接入力して設定できるようにしてもよい。
【0042】
一方、遊技者が精算ボタン15を押下操作した場合(ステップS14)、その時点での(後述する精算処理S70の処理結果を受けて)持ち球数等の遊技データをカードリーダ・ライタ17によりカードに書き込んだ後(ステップS18)、カードをカード投入口11から排出する(ステップS19)。
【0043】
次に、球貸し処理S20について、図7を参照して説明する。この処理は、ステップS16にて球貸し数の設定が行われると、これに同期して実行されるものである。本実施形態では、完全クレジット式のパチンコ機を想定しており、実際に遊技球の払い出し(球貸し)を受ける代わりに、これがクレジット数(持ち球数)に換算されて、当該パチンコ機PMにクレジットされるようになっている。例えば、遊技者に貸し出された球数が25個であれば、これがクレジット数「25」に換算される。
【0044】
このように球貸し数が設定された後に(ステップS21)、遊技者がスタートボタン14を押下操作した場合(ステップS22)、(制御装置にプログラムされた不図示の)持ち球数カウンタの値が当該クレジット数「25」だけ加算され(ステップS23)、このときの持ち球数カウンタの値はメモリB24bに記憶される(ステップS24)。また、これと同期又は追従して、クレジット提示処理が行われ、メモリB24bに記憶された情報、つまり新たにクレジットされたクレジット数「25」を反映した合計のクレジット数がクレジット提示部16bに提示される(ステップS25)。なお、遊技継続中に球貸しを受ける場合、スタートボタン14を操作することなく、球貸しボタン13のみを押下操作するだけで、この球貸しボタン13の操作回数に応じた球貸しが受けられる(クレジット数が加算される)ようにしてもよい。
【0045】
例えば、遊技開始前に球貸しを受ける場合、その時点での遊技者の持ち球数が「0」であれば、このときパチンコ機PMに新たにクレジットされたクレジット数「25」が、そのままクレジット提示部16bに「25」として提示される。これに対し、遊技継続中に球貸しを受ける場合、その時点での遊技者の持ち球数が「75」であれば、このときパチンコ機PMに新たにクレジットされたクレジット数「25」を加えた合計のクレジット数「100」が、クレジット提示部16bに提示される。
【0046】
なお、ステップS22において遊技者がスタートボタン14を押下操作した場合、遊技球循環装置100により発射機構31における打球位置に遊技球が供給され、パチンコゲームが開始可能な状態となる。この後、遊技者は、パチンコ機PMに設けられた発射ハンドル7を操作して、遊技球を遊技領域PA内に発射させることで、上記したようにクレジットされたクレジット数(持ち球数)の範囲内で遊技を行うことができる。
【0047】
一方、遊技者が球貸しボタン13の押下操作しなかった場合(ステップS21)、或いは球貸しボタン13を押下操作したもののこれに続けてスタートボタン14を押下操作しなかった場合(ステップSS22)は、本処理S20を終了する。
【0048】
発射球検知処理S30について、図8を参照して説明する。この発射球検知処理S30では、発射機構31により遊技領域PA内へ発射された遊技球が、発射球検知器37sによって1個ずつ検知されると(ステップS31)、その検知毎に、持ち球数カウンタの値(すなわち、メモリB24bに記憶されている持ち球数(クレジット数))から当該発射球数に対応して「1」ずつ減算され(ステップS32)、「1」ずつ減算された後の持ち球数カウンタの値がメモリB24bに更新記憶される(ステップS33)。
【0049】
入賞球検知処理S40について、図9を参照して説明する。この処理では、遊技領域PAに発射された遊技球が、各入賞具24,25,26のいずれかに入賞すると、それらが各入賞球検知器24s,25s,26sにより検知される(ステップS41)。そして、検知された入賞具24,25,26の種類に対応する値(賞球数)が、持ち球数カウンタの値(すなわち、メモリB24bに記憶されている持ち球数(クレジット数))に当該賞球数に対応して加算され(ステップS42)、この賞球数が加算された後の持ち球数カウンタの値がメモリB24bに更新記憶される(ステップS43)。
【0050】
なお、上記の賞球数は、各入賞具24,25,26の種類に応じて設定されている。例えば、一般入賞具24に入賞した場合の賞球数は「15」であり、この賞球数がクレジットへ加算される。また、始動入賞具25に入賞した場合の賞球数は「3」であり、この賞球数がクレジットへ加算される。また、大入賞具26に入賞した場合の賞球数は「12」であり、この賞球数がクレジットへ加算される。
【0051】
このように発射機構31によって遊技球が発射され、発射球検知器37sによって1個ずつ検知される毎に、当該パチンコ機PMにクレジットされているクレジット数から「1」ずつ減算されていく。また、発射球が入賞すると、その入賞具(例えば、一般入賞具24、始動入賞具25、大入賞具26など)の種類に対応する値(賞球数)がクレジット数に加算されていく。そして、所定の精算条件が成立するまで、例えば遊技者によって精算ボタン15が押下されるか、或いは、クレジット数が「0(ゼロ)」になるまで、遊技を行うことができる。
【0052】
なお、各入賞具24,25,26に入賞した遊技球、および、各入賞具24,25,26のいずれにも入賞することなく遊技領域PAを落下してアウト口27から排出された遊技球は、遊技盤20の裏面側に導かれた後、遊技球循環装置100へ導入され、再び発射機構31の打球位置に送られることで、再び遊技領域PAへ発射可能に循環されている。
【0053】
ファール球検知処理S50について、図10を参照して説明する。このファール球検知処理S50では、発射機構31により発射されたものの、遊技領域PAへ到達しないで戻って来た遊技球(ファール球)が、ファール球検知器36sによって1個ずつ検知されると(ステップS51)、その検知毎に、持ち球数カウンタの値(すなわち、メモリB24bに記憶されている持ち球数(クレジット数))に当該ファール球数に対応して「1」ずつ加算され(ステップS52)、「1」ずつ加算された後の持ち球数カウンタの値がメモリB24bに更新記憶される(ステップS53)。
【0054】
クレジット提示更新処理S60について、図11を参照して説明する。この処理では、メモリB24bに更新記憶されたクレジット数が上限値を超えたか否かの判定処理を行う(ステップS61)。ここで、クレジット数が上限値を超えたと判定された場合、そのクレジット数のうちの所定の値のクレジット情報を外部記憶手段B17に送信して記憶させ(ステップS62)、外部記憶手段B17に記憶された所定の値のクレジット数を差し引いた前記上限値よりも小さな値のクレジット数に更新してクレジット提示部16bに提示する(ステップS63)。またこのとき、外部記憶手段B17に記憶されたクレジット数を更新して外部記憶クレジット提示部16cに提示する。一方、クレジット数が上限値を超えていないと判定された場合、クレジット数が下限値になったか否かの判定処理を行う(ステップS64)。
【0055】
例えば、クレジット数の上限値が「1000」と設定されており、入賞球検知処理S40において一般入賞口24に入賞して賞球数「15」がクレジット数へ加算されてクレジット数が「1010」となった場合、例えばクレジット数「500」が外部記憶手段B17に送信されて記憶され、クレジット数「1010」から「500」を差し引いたクレジット数「510」がクレジット提示部16bに提示される。そして、それまでに外部記憶手段B17にクレジット情報が記憶されていなければ、クレジット数「500」が外部記憶クレジット提示部16cに提示される。または、それまでに外部記憶手段B17に記憶されているクレジット情報があれば、新たに記憶されたクレジット数「500」を加えた合計のクレジット数が外部記憶クレジット提示部16cに提示される。なお、クレジット数の上限値および外部記憶手段B17に送信されて記憶されるクレジット数はそれぞれ、任意の値に設定することができる。
【0056】
ステップS64の判定処理において、クレジット数が下限値になったと判定された場合、外部記憶手段B17にクレジット要求信号を出力し、外部記憶手段B17にクレジット情報が記憶されていれば(ステップS65)、そのうちの所定の値のクレジット数を外部記憶手段B17から取り戻して前記下限値となったクレジット数に加算し(ステップS66)、加算されたクレジット数をクレジット提示部16bに提示する(ステップS67)。またこのとき、外部記憶手段B17に記憶されたクレジット数を更新して外部記憶クレジット提示部16cに提示する。一方、クレジット数が下限値になっていない判定された場合、もしくはステップS65で外部記憶手段B17にクレジット情報が記憶されていない場合、メモリB24bに記憶されているクレジット数をそのままクレジット提示部16bに提示する(ステップS68)。
【0057】
例えば、クレジット数の下限値が「10」と設定され、外部記憶手段B17にクレジット数「1500」が記憶されており、発射球検知処理S30において発射機構31により遊技球が発射されてクレジット数が減算されて「10」となった場合、外部記憶手段B17からクレジット数「500」が取り戻され、クレジット数「10」に「500」を加えたクレジット数「510」がクレジット提示部16bに提示される。そして、外部記憶手段B17に記憶されていたクレジット数「1500」から「500」を差し引いたクレジット数「1000」が外部記憶クレジット提示部16cに提示される。なお、クレジット数の下限値および外部記憶手段B17から取り戻されるクレジット数はそれぞれ、任意の値に設定することができる。例えば、クレジット数の下限値を「0(ゼロ)」に設定してもよい。
【0058】
精算処理S70について、図12を参照して説明する。この処理では、遊技者が精算ボタン15を押下した場合(ステップS71)、精算条件が成立し、制御装置により、発射ハンドル7を操作しても発射機構31が作動しなくなり、発射機構31による遊技球の発射を停止させる(ステップS73)。なお、ゲームを続行する場合には、再度球貸しボタン13を操作すればよい。
【0059】
ここで、所定の精算条件が成立した後にファール球や入賞の検知の可能性があるため、この精算条件が成立してから所定時間(例えば、10秒間)経過した後に、その時点でメモリB24bに記憶されている持ち球数(クレジット数)の情報と外部記憶手段B17に記憶されている持ち球数(クレジット数)の情報とが合算されてカードリーダ・ライタ17に送信される(ステップS74)。そして、このクレジット情報を送信する処理が終了したとき、当該クレジット数はリセットされる。
【0060】
例えば、この段階で、貸し球数「25」+賞球数「30」−発射球数「11」なる演算によって、遊技者の所有する持ち球数(クレジット数)が「44」である場合、当該持ち球数(クレジット数)がカードリーダ・ライタ17に送信されることになる。また、上記のような待機処理によって、ファール球や入賞が検知された場合には、それに応じた値が持ち球数カウンタに加算されるので、かかる加算分を加えた持ち球数(クレジット数)情報が、カードリーダ・ライタ17に送信されることになる。
【0061】
また、(遊技者が精算ボタン15を押下操作したのではなく(ステップS71))遊技によって持ち球数(クレジット数)が「0」になった場合(ステップS72)も、精算条件が成立し、その後の処理は上記と同様の処理S73,S74となる。この場合も、ゲームを続行するためには、再度球貸しボタン13を操作すればよい。
【0062】
以上のように、本実施形態に係るパチンコ機PMによれば、メモリB24bに更新記憶されたクレジット数が上限値を超えた場合に、そのクレジット数のうちの所定の値のクレジット数を外部記憶手段B17に送信して記憶させるように構成されており、遊技継続中のクレジット数の管理をパチンコ機内だけで行っているわけではないので、停電によりパチンコ機への電力供給が停止するというような不測の事態が生じた場合でも、遊技継続中のクレジット数の情報を全て消失するといった事態の発生を防ぐことができ、遊技者への損害を抑えることができる。また、クレジット数の情報を外部記憶手段B17に送信して記憶させる構成であるため、遊技継続中にパチンコ機内に多大なクレジット数の情報を保有しているという状態をなくすことができる。このことにより、例えば、遊技者が遊技継続中にパチンコ機から短時間離れた隙に、他者が当該パチンコ機から全てのクレジット数の情報を盗み出すというような不正を防ぐことができ、パチンコ機のセキュリティ強化を図ることができる。また、メモリB24bに更新記憶されたクレジット数を遊技者に提示するクレジット提示部16bと、外部記憶手段B17に記憶されたクレジット数を遊技者に提示する外部記憶クレジット提示部16cとを備えて構成されているので、遊技者はこれらのクレジット数を常に把握して遊技を行うことができる。
【0063】
また、本実施形態に係るパチンコ機PMによれば、メモリB24bに更新記憶されたクレジット数が下限値になった場合に、自動的に外部記憶手段B17に記憶されているクレジット数から所定の値のクレジット数を取り戻してクレジット数を加算するように構成されているので、出球としてのクレジット数が外部記憶手段B17に記憶されているにもかかわらず、貸し球としてのクレジット数が遊技継続中に「0(ゼロ)」となり遊技が中断されるような事態を防止することができる。また、遊技終了時に、メモリB24bに記憶されているクレジット数と外部記憶手段B17に記憶されているクレジット数との合算された情報がカードリーダ・ライタ17によりカードに書き込まれるように構成されているので、外部記憶手段B17に記憶されたクレジット数の情報を取得し忘れて、遊技者が損害を受けるような事態を防止することができる。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。例えば、上記実施形態において、クレジット情報管理部B24は、演算部B24aにより演算されたクレジット数が下限値になったときに、自動的に外部記憶手段B17に記憶されているクレジット数のうちの所定の値のクレジット数を取り戻して前記下限値となったクレジット数に加算させる構成について説明したが、この構成に替えて、操作手段B13に球戻しボタンを設け、この球戻しボタンを遊技者が押下操作したときに、外部記憶手段B17に記憶されているクレジット数のうちの所定の値のクレジット数を取り戻して前記下限値となったクレジット数に加算させるように構成してもよい。
【0065】
また、上記実施形態において、外部記憶手段B17に記憶されたクレジット数を遊技施設に配置されたディスプレイ装置等に表示させるように構成してもよい。このよう構成すれば、遊技施設内の各々のパチンコ機において遊技者がどのくらいの賞球を得ているか(各々のパチンコ機の出玉)を、このディスプレイ装置を利用して遊技施設内の人々に広く知らせることができる。
【0066】
また、上記実施形態では、クレジットの提示は、操作ユニット10に設けられたクレジット提示装置16において行われているが、この構成に限定されるものではなく、例えば、遊技の展開状況に応じた図柄を表示させる図柄表示装置28において行うように構成してもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、カード投入口11、テンキー12、球貸しボタン13およびカードリーダ・ライタ17等からなるカードユニットをパチンコ機PMと一体に設けた構成について説明したが、この構成に限定されるものではない。例えば、カードユニットを、パチンコ機PMとは別の装置としてパチンコ機PMに隣接して併設し、このカードユニットとパチンコ機PMの相互間のやりとりで、上記のようなクレジットに関する制御を行うように構成してもよい。なおこのとき、上述の外部記憶手段B17をこのカードユニットに設けるようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態においては、封入循環式のパチンコ機に例に挙げて説明したが、弾球遊技機であれば、封入循環式のパチンコ機以外の遊技機にも適用することが可能である。例えば、払い出し方式のパチンコ機、雀球遊技機やアレンジボール機等においても、本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
PM パチンコ機
PA 遊技領域
B1 入賞検知手段
CU コントロールユニット
B3 入賞検知手段
B11 カードリーダ・ライタ手段(遊技価値情報書き込み手段)
B17 外部記憶手段
B23 入賞管理部
B24 クレジット情報管理部(クレジット更新手段、外部記憶クレジット加算手段)
B25 クレジット提示更新部(クレジット外部送信記憶手段)
16 クレジット提示装置
16a カード残高提示部
16b クレジット提示部(クレジット提示手段)
16c 外部記憶クレジット提示部(外部記憶クレジット提示手段)
24 一般入賞具
25 始動入賞具
26 大入賞具
31 発射機構(発射装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの入賞口が設けられた遊技領域を有した遊技装置と、前記遊技領域内に遊技球を打ち出す発射装置と、前記発射装置により発射可能な遊技球を付与するためのクレジットを記憶するクレジット記憶手段とを備え、前記クレジット記憶手段に記憶されたクレジットに対応して前記発射装置から遊技球を発射する制御を行い、発射された遊技球を前記遊技領域内で落下させながら移動させて前記入賞口に入賞させる遊技を行うように構成された弾球遊技機であって、
前記入賞口への遊技球の入賞を検知する入賞検知手段と、
前記クレジット記憶手段に記憶された記憶クレジットに、前記入賞検知手段による前記遊技球の入賞の検知に応じて所定のクレジットを加算し、前記発射装置により発射された遊技球に対応するクレジットを減算して、前記記憶クレジットを更新するクレジット更新手段と、
前記クレジット更新手段により更新された前記記憶クレジットが上限値を超えた場合に、その前記記憶クレジットのうちの所定の値のクレジット情報を前記弾球遊技機の外部に設けられた外部記憶手段に送信し、前記所定の値のクレジットを前記外部記憶手段に記憶させるクレジット外部送信記憶手段とを備え、
前記クレジット更新手段は、前記クレジット外部送信記憶手段により前記外部記憶手段に記憶された前記所定の値のクレジットを前記記憶クレジットから減算して前記記憶クレジットを前記上限値よりも小さな値の前記記憶クレジットに更新することを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記クレジット記憶手段に記憶された記憶クレジットを遊技者に提示するクレジット提示手段と、
前記クレジット外部送信記憶手段により前記外部記憶手段に記憶されたクレジットを遊技者に提示する外部記憶クレジット提示手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記クレジット更新手段により更新された前記記憶クレジットが下限値になった場合に、前記外部記憶手段にクレジット要求信号を出力し、前記外部記憶手段に記憶されているクレジットから所定の値のクレジットを取り戻して前記記憶クレジットに加算する外部記憶クレジット加算手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の弾球遊技機。
【請求項4】
遊技者による操作入力に基づいて前記外部記憶手段にクレジット要求信号を出力し、前記外部記憶手段に記憶されているクレジットから所定の値のクレジットを取り戻して前記記憶クレジットに加算する外部記憶クレジット加算手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の弾球遊技機。
【請求項5】
遊技終了時に、前記クレジット記憶手段に記憶された記憶クレジットと前記外部記憶手段に記憶されたクレジットとを合算し、この合算クレジットを所定の遊技価値情報に変換して所定の記録媒体に書き込む遊技価値情報書き込み手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−179259(P2012−179259A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44510(P2011−44510)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】