説明

弾球遊技機

【課題】貯留皿の媒体排出孔を開閉する開閉板の操作性と耐久性とをともに向上させる。
【解決手段】ラッチユニット14のラッチケース61は、所定の姿勢で開閉板12の開閉方向と略平行にラッチ係合凹部37に挿入されて係合することによって貯留皿11に取り付けられる。ラッチユニット14のラッチ機構62は、開放位置からさらに開方向へ移動する開閉板12の係合突起部42に押圧されることによって、係合突起部42と係合する係合状態と、係合突起部42との係合を解除する解除状態とに交互に切り替わる。下側ラッチガイド突条36は、ラッチ機構62と係合突起部42とが係合したまま開閉板12が開放位置から閉方向へ移動することによってラッチケース61がラッチ係合凹部37から離脱して開閉板12とともに開閉方向に移動するときに、この移動するラッチケース61の姿勢を上記所定の姿勢に規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技媒体の貯留構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スプリングによって常時玉抜孔を閉塞する位置に付勢される摺動体と、摺動体の操作部の内部に横方向へ出没自在に組み込まれた押圧部材と、摺動体が玉抜孔を開放する位置で係合して摺動体の復動を阻止するかぎ部及び係合部とを備えた玉受皿の玉抜き装置が記載されている。玉抜孔の開放を保持するかぎ部と係合部との係合は、押圧部材を押圧することによって解除される。
【0003】
特許文献2には、パチンコ機の前後方向に進退可能な枠体と、枠体の進退に連動して水平面内で回動するシャッター板と、ロック装置とを有する構造が記載されてる。枠体が前進端位置に配置されると、シャッター板は球抜開口を全閉し、枠体が前進端位置から後退端位置へ移動すると、シャッター板は枠体の移動に連動して回動し球抜開口を全開する。ロック装置は、拡開状態と挟閉状態とに切り替わる1対の爪体を有し、枠体を戻しばねの付勢力に抗して後方へ押し込むと、拡開状態の爪体が挟閉状態に切り替わり、枠体の係合突起部と爪体とが係合し、枠体が後退端位置に保持され、球抜開口が全開状態に維持される。この状態から枠体を後方へ押し込むと、挟閉状態の爪体が拡開状態に切り替わり、係合突起部と爪体との係合が解除され、戻しばねの付勢力によって枠体が前進端位置へ移動し、球抜開口が全閉状態に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平3−53954号公報
【特許文献2】特開2004−180890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に特許文献2のようなロック装置のラッチ機構を適用し、玉抜孔の開放位置の摺動体をラッチ機構によって保持することによって、遊技者は、玉抜孔の開閉を摺動体の操作部を操作するだけで行うことができ、操作性が向上する。
【0006】
しかし、特許文献1に特許文献2のラッチ機構を適用した場合において、係合突起部と爪体との係合によって玉抜孔を開放する位置に保持された摺動体を、玉抜孔を開放する方向へ押圧せずに、玉抜孔を閉塞する方向へ無理に移動させようとすると、ロック装置や係合突起部の破損を招き、耐久性が低下する可能性が生じる。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、操作性が良好で且つ耐久性に優れた遊技媒体の貯留構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の遊技媒体の貯留構造は、貯留皿と、媒体排出孔と、開閉板と、ストッパと、付勢手段と、ラッチ係合凹部と、ラッチユニットと、ラッチガイド手段とを備える。
【0009】
貯留皿は、遊技媒体を貯留する。媒体排出孔は、貯留皿に設けられ、貯留した遊技媒体の落下を許容する。開閉板は、操作部と係合突起部とを有し、媒体排出孔を閉止する閉止位置と媒体排出孔を開放する開放位置とを含む範囲で所定の開閉方向に沿ってスライド移動自在に貯留皿に支持される。ストッパは、貯留皿に設けられ、閉止位置の開閉板に当接して閉止板の閉方向への移動を規制する。付勢手段は、開閉板を閉方向に付勢する。ラッチ係合凹部は、貯留皿の所定位置に設けられる。
【0010】
ラッチユニットは、ラッチケースとラッチ機構とを有する。ラッチケースは、所定の姿勢で開閉板の開閉方向と略平行にラッチ係合凹部に挿入されて係合することによって貯留皿に取り付けられる。ラッチ機構は、ラッチケースに支持され、開放位置からさらに開方向へ移動する開閉板の係合突起部に押圧されることによって係合状態と解除状態とに交互に切り替わり、係合状態では係合突起部と係合して開閉板を開放位置に保持し、解除状態では係合突起部との係合を解除して開閉板の閉方向への移動を許容する。
【0011】
ラッチガイド手段は、貯留皿に設けられ、ラッチ機構と係合突起部とが係合したまま開閉板が開放位置から閉方向へ移動することによってラッチケースがラッチ係合凹部から離脱して開閉板とともに開閉方向に移動するときに、この移動するラッチケースの姿勢を上記所定の姿勢に規制する。
【0012】
上記構成では、ラッチ機構が解除状態のとき、開閉板は、付勢手段による閉方向への付勢とストッパによる閉方向への移動規制とによって閉止位置に維持されるので、遊技者は貯留皿に遊技媒体を貯留することができる。
【0013】
遊技皿に貯まった遊技媒体を排出させる場合、遊技者は、操作部を開方向へ操作し、開閉板を付勢手段の付勢力に抗して開方向へ移動させて媒体排出孔を開放し、遊技媒体を媒体排出孔から落下させる。媒体排出孔の開放を維持したい場合、遊技者は、操作部を開方向へ操作し、開閉板を開放位置からさらに開方向へ移動させ、係合突起部によってラッチ機構に押圧し、操作部の操作を終了する。このような1回の切替操作(係合突起部によってラッチ機構に1回押圧する操作)により、ラッチ機構は、解除状態から係合状態に切り替わって係合突起部と係合し、開閉板を開放位置に保持する。
【0014】
開放位置に保持された開閉板を閉止位置に戻す場合、遊技者は、開放時と同様の切替操作を行う。この切替操作により、ラッチ機構は、係合状態から解除状態に切り替わって係合突起部との係合を解除し、開閉板は、付勢手段による閉方向への付勢力によって閉止位置へ移動する。
【0015】
開放位置に保持された開閉板を閉止位置に戻す際に、遊技者が切替操作を行わず(操作部を開方向へ操作せず)に閉方向へ誤操作し、開閉板を閉方向へ無理に移動させてしまい、ラッチ機構と係合突起部とが係合したままラッチケースがラッチ係合凹部から離脱すると、この開閉板の移動時において、ラッチガイド手段は、開閉板に付随して移動するラッチケースを、ラッチ係合凹部に挿入されて係合する際の所定の姿勢に規制する。このため、遊技者が開閉板を開放位置へ移動させた際に、ラッチケースは、ラッチ係合凹部に挿入されて係合し、開閉板が開放位置に保持される。すなわち、ラッチケースがラッチ係合凹部から離脱する前の状態に戻り、ラッチユニットによる開閉板の保持機能が復元する。従って、遊技者が誤操作を行った場合であっても、ラッチユニット等が破損し難く、また、特に修理等を要することなく開閉板の開閉機能を復元させることができ、耐久性が向上する。
【0016】
なお、開放位置に保持された開閉板を閉方向へ無理に移動させた際に、ラッチケースがラッチ係合凹部から離脱せず、ラッチ機構が係合状態のままラッチ機構と係合突起部との係合が解除されてしまった場合、ラッチ機構は、1回目の切替操作によって係合状態から解除状態へ切り替わり、2回目の切替操作によって解除状態から係合状態に切り替わるので、このような2回の切替操作によって、開閉板は開放位置に適正に保持される。
【0017】
また、貯留皿は、遊技媒体を貯留する上側の皿本体と、皿本体に固定され、皿本体の下面との間に開閉板収容空間を区画する下側のカバー体とを有してもよい。媒体排出孔は、少なくとも皿本体に形成されてもよい。開閉板は、開閉板収容空間に配置されてカバー体の上面を移動してもよい。ラッチ係合凹部は、カバー体の上面に設けられてもよい。ラッチガイド手段は、カバー体の上面から上方へ突出し、移動するラッチケースの姿勢を側方から規制する1対の下ガイド部と、皿本体の下面から下方へ突出し、移動するラッチケースの姿勢を上方から規制する上ガイド部と、を有してよい。
【0018】
上記構成では、開閉板に付随して移動するラッチケースの姿勢は、1対の下ガイド部によって側方から規制されるとともに、上ガイド部によって上方から規制され、移動中のラッチケースの姿勢がさらに安定する。従って、遊技者が開閉板を開放位置へ移動させた際に、ラッチケースのラッチ係合凹部への挿入がより確実に行われ、耐久性がさらに向上する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、貯留皿の媒体排出孔を開閉する開閉板の操作性と耐久性とをともに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態の貯留構造を備えた弾球遊技機を前方から視た正面図である。
【図2】図1の貯留構造の要部拡大図である。
【図3】図1の貯留構造の分解斜視図である。
【図4】ラッチユニットが開閉板に付随して移動した状態における図2のIV−IV矢視断面図である。
【図5】カバー体及び閉止位置の開閉板を示す平面図である。
【図6】ラッチユニットを模式的に示す一部断面図であり、(a)はラッチ機構の解除状態を、(b)はラッチ機構の係合状態をそれぞれ示す。
【図7】カバー体及び開放位置の開閉板を示す平面図である。
【図8】ラッチユニットが開閉板に付随して移動した状態におけるカバー体及び開閉板を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、遊技盤の遊技領域に遊技球(遊技媒体)を発射して遊技する弾球遊技機(パチンコ機)を例に挙げて説明するが、本発明は、メダル(遊技媒体)によって遊技を行う回胴式遊技機(スロットマシン)などの他の遊技機にも適用可能である。また、以下では、遊技者側を前方とし、弾球遊技機側を後方とし、前方から視た左右を左右方向として説明する。
【0022】
[遊技機の概略構成]
図1に示すように、パチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた前面枠2と、前面枠2の内側に収容された遊技盤(図示省略)と、前面枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きく開口部8が形成されたガラス扉4と、このガラス扉4の開口部8に取り付けられた透明なガラス板10と、前面枠2の下側に開閉自在に配設され、遊技球をそれぞれ収容する上皿5及び下皿10を有する前面ボード6と、前面枠2の下部に設けられた発射装置(図示省略)と、前面ボード6に取り付けられたハンドル7等を具備している。下皿10は、本発明の貯留構造を有する。
【0023】
遊技者がハンドル7を回転操作すると、発射装置によって遊技球が発射され、遊技盤の遊技領域(図示省略)を流下する。遊技領域には複数の入賞口(図示省略)が設けられ、遊技球が入賞口に入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。上皿5は、賞球として払い出された遊技球を収容するとともに、発射装置へ遊技球を供給する。上皿5が満杯になると、オーバーフローした遊技球が内部通路(図示省略)に流入し、内部通路の下端開口9から下皿10に流下し貯留される。また、遊技者が上皿5から遊技球の排出するために所定の操作(例えばレバー操作)を行った場合も、上皿5の遊技球が内部通路の下端開口9から下皿10に流下し貯留される。
【0024】
図2〜図5に示すように、下皿10は、貯留皿11と、開閉板12と、コイルバネ(付勢手段)13と、ラッチユニット14とを備える。
【0025】
貯留皿11は、上側の皿本体20と、皿本体20の下面側に固定される下側のカバー体21とから構成される。皿本体20は、底板部22と、底板部22の前縁から起立する前板部29と、底壁部22の左右の側縁から起立する1対の側板部23とを一体的に有する腕形状であり、底板部22の上面22a上に遊技球が貯留される。
【0026】
皿本体20の底板部22の下面22bには、上側開閉板ガイド突条51と上側ラッチガイド突条(上ガイド部)52とが一体的に形成されている。上側開閉板ガイド突条51は、底板部22の下面22bの前側から下方に突出し、左右方向に直線状に延びる。上側ラッチガイド突条52は、上側開閉板ガイド突条51の後方で下面22bから下方に突出し、左右方向に直線状に延びる。上側開閉板ガイド突条51と上側ラッチガイド突条52とは、略平行に設定されている。
【0027】
カバー体21は、中央部に矩形状の開口部25aを有する枠状の外カバー体25と、外カバー体25の開口部25aに下方から装着されて開口部25aを閉止する矩形板状の内カバー体26とから構成され、全体として皿本体20の下面側を覆う。皿本体20の底板部22の下面22bと内カバー体26の上面26aとの間には、開閉板収容空間24が区画される。外カバー体25の前面部の中央部下縁と内カバー体26の前面部の中央部上縁との間には、左右方向に直線状に延びる操作部挿通孔27が区画形成される。
【0028】
皿本体20の底板部22と内カバー体26とには、底板部22及び内カバー体26の右端部で上下に連通し、皿本体20に貯留された遊技球の落下を許容する媒体排出孔28が形成されている。貯留された遊技球を媒体排出孔28から効率良く排出させるため、皿本体20の底板部22の上面22aは媒体排出孔28に向かって傾斜している。底板部22の板厚は一様であり、且つ上側開閉板ガイド突条51及び上側ラッチガイド突条52の各下端縁は、内カバー体26の上面26a及び開閉板12の上面12aと略平行に設定されるため、上側開閉板ガイド突条51及び上側ラッチガイド突条52の下面22bからの突出高さは、媒体排出孔28から離れるほど(右側から左側に向かって)漸次高くなる。
【0029】
内カバー体26の上面26aには、前後1対の前側開閉板ガイド突条31と、1本の後側開閉板ガイド突条32と、ストッパ33と、カバー側バネ係止部34と、ラッチ係合板35と、前後1対の下側ラッチガイド突条(下ガイド部)36とが一体的に形成されている。
【0030】
前側開閉板ガイド突条31は、内カバー体26の上面26aの前側から上方に突出し、左右方向に直線状に延びる。後側開閉板ガイド突条32は、上面26aの後側から上方に突出し、左右方向に直線状に延びる。ストッパ33は、1対の前側開閉板ガイド突条31の右端部の間で上面26aから上方に突出する。
【0031】
下側ラッチガイド突条36は、前後の開閉板ガイド突条31,32の間で内カバー体26の上面26aから上方に突出し、左右方向に直線状に延びる。ラッチ係合板35は、1対のラッチガイド突条36の左端部の間で上面26aから上方に突出し、前後方向に沿って起立する。ラッチ係合板35には、左右方向に貫通する矩形穴状のラッチ係合凹部37が形成されている。1対の前側開閉板ガイド突条31と後側開閉板ガイド突条32と1対の下側ラッチガイド突条36とは、略平行に設定されている。
【0032】
開閉板12は、開閉板収容空間24内で内カバー体26の上面26a上に載置される。開閉板12には、操作部41と、係合突起部42と、前後1対の前側下面ガイド溝43と、後側下面ガイド溝44と、前後1対の下側ラッチガイド収容溝47と、上面ガイド溝45と、上側ラッチガイド収容溝48と、開閉板側バネ係止部46とが一体的に形成されている。
【0033】
操作部41は、開閉板12の前面部から前方へ突出し、操作部挿通孔27を挿通して外部に露出する。係合突起部42は、矢尻状の先端を有し、開閉板12の左端面部から左側へ突出する。
【0034】
前側下面ガイド溝43は、開閉板12の下面12bの前側に凹設され、左右方向に直線状に延びる。後側下面ガイド溝44は、下面12bの後側に凹設され、左右方向に直線状に延びる。下側ラッチガイド収容溝47は、前側下面ガイド溝43と後側下面ガイド溝44との間で、下面12bに凹設されている。1対の前側下面ガイド溝43と後側下面ガイド溝44とは、略平行に設定されている。
【0035】
上面ガイド溝45は、開閉板12の上面12aの前側に凹設され、左右方向に直線状に延びる。上側ラッチガイド収容溝48は、上面ガイド溝45の後方に凹設され、左右方向に直線状に延びる。前側下面ガイド溝43と、後側下面ガイド溝44と、下側ラッチガイド収容溝47と、上面ガイド溝45と、上側ラッチガイド収容溝48とは、開閉板12の前端側から後端側に向かって、前側下面ガイド溝43、上面ガイド溝45、前側下面ガイド溝43、下側ラッチガイド収容溝47、上側ラッチガイド収容溝48、下側ラッチガイド収容溝47、後側下面ガイド溝44の順に並ぶ。
【0036】
開閉板12は、内カバー体26の開閉板ガイド突条31,32と下側ラッチガイド突条36とが開閉板12の下面ガイド溝43,44と下側ラッチガイド収容溝47とにそれぞれ挿入された状態で、内カバー体26の上面26a上に載置される。
【0037】
開閉板12が載置された内カバー体26を外カバー体25に下方から装着することによってカバー体21が形成され、カバー体21は、皿本体20に下方から装着される。内カバー体26には4箇所のネジ挿通孔38が形成され、各ネジ挿通孔38に下方からネジ(図示省略)を挿通して皿本体20に形成されたネジ孔(図示省略)に下方から螺合することによって、カバー体21及び開閉板12が皿本体20に組み付けられる。また、外カバー体25の左右両端部にはボルト挿通孔39が形成され、ボルト挿通孔39に後方から挿通するボルト(図示省略)を前面ボード6(図1参照)に形成されたボルト孔(図示省略)に螺合することによって、下皿10が前面ボード6の前面に固定される。
【0038】
カバー体21及び開閉板12が皿本体20に組み付けられた状態において、皿本体20の上側開閉板ガイド突条51と上側ラッチガイド突条52とは、開閉板12の上面ガイド溝45と上側ラッチガイド収容溝48とにそれぞれ挿入される。開閉板12の下面ガイド溝43,44に内カバー体26の開閉板ガイド突条31,32が挿入され、開閉板12の上面ガイド溝45に皿本体20の上側開閉板ガイド突条51が挿入されることによって、開閉板12は、媒体排出孔28を閉止する右側の閉止位置と媒体排出孔28を開放する左側の開放位置とを含む範囲で、前後方向の移動が規制された状態で左右方向にスライド移動自在に支持される。内カバー体26のストッパ33は、閉止位置の開閉板12の右端面に当接し、閉止位置の閉止板12の閉方向への移動を規制する。また、開閉板12の係合突起部42は、開閉板12の移動に伴って前後の下側ラッチガイド突条36の間を移動する。なお、開閉板12の下側ラッチガイド収容溝47及び上側ラッチガイド収容溝48は、移動時の開閉板12と下側ラッチガイド突条36及び上側ラッチガイド突条52と干渉を回避するために設けられているが、これらによって開閉板12のスライド移動をガイドしてもよい。
【0039】
コイルバネ13の一端部(右端部)13aは、内カバー体26のカバー側バネ係止部34に係止され、他端部(左端部)13bは、開閉板12の開閉板側バネ係止部46に係止される。この状態で、コイルバネ13は自然長よりも伸長し、開閉板12を閉方向(左方向)に付勢する。
【0040】
ラッチユニット14は、ラッチケース61とラッチ機構62とを有する。
【0041】
ラッチケース61は、一端部(右端部)にフランジ部63を備えた矩形箱体状であり、ラッチケース61のフランジ部63よりも他端側(左側)の前後の側面部には、前方及び後方にそれぞれ突出する係止突起64が設けられている。係止突起64の外面は、ラッチケース61の一端側から他端側に向かって(左方向に向かって)傾斜する傾斜面状である。内カバー体26の前後の下側ラッチガイド突条36の前後方向の間隙は、ラッチケース61のフランジ部63の幅よりも僅かに広く設定され、ラッチ係合板35のラッチ係合凹部37は、ラッチケース61を一端部からラッチ係合凹部37に挿入して押圧した際に、係止突起64とフランジ部63との間隙にラッチ係合凹部37が係合可能な大きさに設定されている。
【0042】
フランジ部63が右側を向く所定の姿勢でラッチケース61を下側ラッチガイド突条36の間に載置し、ラッチケース61を下側ラッチガイド突条36に沿ってラッチ係合板35に向かって左方向にスライド移動して、ラッチケース61の左端部をラッチ係合板35のラッチ係合凹部37に挿入して押圧すると、係止突起64がラッチ係合凹部37を超えてその左側に達し、ラッチケース61がラッチ係合凹部37に係合する。すなわち、ラッチケース61は、所定の姿勢で開閉板12の開閉方向と略平行にラッチ係合凹部37に挿入されて係合することによって貯留皿11に取り付けられる。
【0043】
図6に示すように、ラッチ機構62は、移動体66と、係止片67と、被係合部68と、第1突起部69と、第2突起部70と、圧縮バネ71とを有する。
【0044】
ラッチケース61の上面部には、左右方向に直線状に延びる長孔73が形成され、移動体66の上面には、長孔73に下方から挿入されるピン72が突設されている。ピン72が長孔73内を移動することにより、移動体66の移動方向が左右方向に規制される。圧縮バネ71は、移動体66の左端とラッチケース61の左面部との間に配置され、移動体66を右方向へ付勢する。移動体66は、前後1対の係止爪65を一体的に有する。係止爪65は、移動体66から右方向に突出して延びる。係合片67は、上下方向の回転軸を中心として回転自在に移動体66の上面に支持されている。係合片67の長手方向の両端部には、凹状の係合凹部67aが形成され、ラッチケース61の上面部の内面(下面)には、係合片67の各係合凹部67aと係合可能な被係合部68が設けられている。第1突起部69と第2突起部70とは、ラッチケース61の左面部の内面に固定され、第1突起部69には、カム面69aが形成されている。
【0045】
解除状態のラッチ機構62では、図6(a)に示すように、移動体66は、圧縮バネ71から右方向の付勢力を受けて右端位置に達する。この右端位置において、移動体66のピン72がラッチケース61の長孔73の前端部に当接し、移動体66の右方向への移動が阻止される。また、1対の係止爪65は、拡開状態でラッチケース61のフランジ部63から突出する。
【0046】
開閉板12が開方向へ移動し、係合突起部42が1対の係止爪65の間に進入して移動体66の前端面に当接して押圧し、圧縮バネ71の付勢力に抗して移動体66が左方向へ移動すると、拡開状態の1対の係止爪65は、ラッチケース61のフランジ部63の内面に当接することによって徐々に閉方向へ傾動し、係合突起部42を前後から挟持する。移動体66が左端位置に達すると、係合片67の左端がカム面69a上を移動することによって係合片67が反時計回りに回転する。移動体66が左端位置に達した後、係合突起部42による移動体66の押圧が解除され、圧縮バネ71の付勢力によって移動体66が右方向へ戻ると、図6(b)に示すように係合片67の係合凹部67aがラッチケース61の被係合部68と係合し、係合片67の回転が阻止されて、移動体66が係合位置に維持される。これにより、係止爪65は、係合突起部42と係合する挟閉状態に維持され、ラッチ機構14は、解除状態から係合状態に切り替わり、開閉板12が開放位置に保持される。
【0047】
係合状態のラッチ機構62に対し、係合突起部42が移動体66を押圧し、移動体66が圧縮バネ71の付勢力に抗して係合位置から左方向へ移動して左端位置に達すると、係合片67の左端が第2突起部70に当接することによって係合片67が反時計回りに回転する。移動体66が左端位置に達した後、係合突起部42による移動体66の押圧が解除され、圧縮バネ71の付勢力によって移動体66が右方向へ戻ると、係合片67が回転しているため係合凹部67aがラッチケース61の被係合部68と係合せず、移動体66が右端位置まで戻り、係止爪65が拡開状態となる。
【0048】
このように、ラッチケース61に支持されたラッチ機構62は、開放位置からさらに開方向へ移動する開閉板12の係合突起部42に押圧されることによって、係止爪65を挟閉状態(係合状態)と拡開状態(解除状態)とに交互に切り替える。挟閉状態では、係止爪65の先端間の幅が狭まり、左右の係止爪65が係合突起部42に両側から係合し、開閉板12が開放位置に保持される。拡開状態では、係止爪65の先端間の幅が拡がり、係止爪65と係合突起部42との係合が解除され、開閉板12の閉方向への移動が許容される。
【0049】
下側ラッチガイド突条36と上側ラッチガイド突条52とは、ラッチ機構62と係合突起部42とが係合したまま開閉板12が開放位置から閉方向へ移動することによってラッチケース61がラッチ係合凹部37(ラッチ係合板35)から離脱して開閉板12とともに開閉方向に移動するとき、この移動するラッチケース61の姿勢を、ラッチケース61をラッチ係合板35に挿入する際の上記所定の姿勢に規制する。下側ラッチガイド突条36は、移動するラッチケース61の姿勢を側方(前方及び後方)から規制して、ラッチケース61の前後方向に対する左右の傾きの発生を抑制する。上側ラッチガイド突条52は、移動するラッチケース61の姿勢を上方から規制し、ラッチケース61の浮き上がりや前後方向に対する上下の傾きの発生を抑制する。
【0050】
本実施形態によれば、係止爪65が拡開状態のとき、図5に示すように、開閉板12は、コイルバネ13による閉方向への付勢とストッパ33による閉方向への移動規制とによって閉止位置に維持されるので、遊技者は貯留皿11に遊技球を貯留することができる。
【0051】
遊技皿11に貯まった遊技球を排出させる場合、遊技者は、操作部41を開方向(左方向)へ操作し、開閉板12をコイルバネ13の付勢力に抗して開方向へ移動させて媒体排出孔28を開放し、遊技球を媒体排出孔28から落下させる。媒体排出孔28の開放を維持したい場合、遊技者は、操作部41を開方向へ操作し、開閉板12を開放位置からさらに開方向へ移動させ、係合突起部42によってラッチ機構62に押圧し、操作部41の操作を終了する。このような1回の切替操作(係合突起部42によってラッチ機構62に1回押圧する操作)により、係止爪65は、拡開状態から挟閉状態に切り替わって係合突起部42と係合し、図7に示すように、開閉板12が開放位置に保持される。
【0052】
開放位置に保持された開閉板12を閉止位置に戻す場合、遊技者は、開放時と同様の切替操作を行う。この切替操作により、係止爪65は、挟閉状態から拡開状態に切り替わって係合突起部42との係合を解除し、開閉板12は、コイルバネ13による閉方向への付勢力によって閉止位置へ移動する(図5参照)。
【0053】
開放位置に保持された開閉板12を閉止位置に戻す際に、遊技者が切替操作を行わず(操作部41を開方向へ操作せず)に閉方向へ誤操作し、開閉板12を閉方向へ無理に移動させてしまい、図8に示すように、挟閉状態の係止爪62と係合突起部42とが係合したままラッチケース61がラッチ係合凹部37(ラッチ係合板35)から離脱すると、この開閉板12の移動時において、下側ラッチガイド突条36と上側ラッチガイド突条52とは、開閉板12に付随して移動するラッチケース61を、ラッチ係合凹部37に挿入されて係合する際の所定の姿勢に規制する。このため、遊技者が操作部41を開方向に操作して開閉板12を開放位置へ移動させた際に、ラッチケース61は、ラッチ係合凹部37に挿入されて係合し、開閉板12が開放位置に保持される(図7参照)。すなわち、ラッチケース61がラッチ係合凹部37から離脱する前の元の状態に戻り、ラッチユニット14による開閉板12の保持機能が復元する。従って、遊技者が誤操作を行った場合であっても、ラッチユニット14等が破損し難く、また、特に修理等を要することなく開閉板12の開閉機能を復元させることができ、耐久性が向上する。
【0054】
また、開閉板12に付随して移動するラッチケース61の姿勢を、1対の下側ラッチガイド突条36によって前後から規制するとともに、上側ラッチガイド突条52によって上方から規制するので、移動中のラッチケース61の姿勢がさらに安定する。従って、遊技者が開閉板12を開放位置へ移動させた際に、ラッチケース61のラッチ係合凹部37への挿入がより確実に行われ、耐久性がさらに向上する。
【0055】
なお、開放位置に保持された開閉板12を閉方向へ無理に移動させた際に、ラッチケース61がラッチ係合凹部37から離脱せず、係止爪62が挟閉状態のまま係止爪62から係合突起部42が抜けてしまった場合、係止爪62は、1回目の切替操作によって挟閉状態から拡開状態へ切り替わり、2回目の切替操作によって拡開状態から挟閉状態に切り替わるので、このような2回の切替操作によって、開閉板12は開放位置に適正に保持される。
【0056】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。例えば、上記実施形態では、開閉板12の開閉方向が左右方向である場合について説明したが、その方向は任意であり、例えば前後方向など他の方向であってもよい。また、貯留皿11を皿本体20とカバー体21とに分割して形成し、カバー体21を外カバー体25と内カバー体26とに分割して形成する例について説明したが、これらを分割して形成するか否かは任意である。また、貯留皿11を皿本体20とカバー体21とに分割して形成する場合、皿本体20の遊技媒体排出孔28をカバー体21によって覆わないように構成してもよく、この場合には、皿本体20のみに遊技媒体排出孔28が設けられる。また、上側ラッチガイド突条52を省略し、下側ラッチガイド突条36のみを設けてもよい。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0057】
10:下皿
11:貯留皿
12:開閉板
13:コイルバネ(付勢手段)
14:ラッチユニット
20:皿本体
21:カバー体
24:開閉板収容空間
25:外カバー体
26:内カバー体
27:操作部挿通孔
28:媒体排出孔
31:前側開閉板ガイド突条
32:後側開閉板ガイド突条
33:ストッパ
34:カバー側バネ係止部
35:ラッチ係合板
36:下側ラッチガイド突条(下ガイド部)
37:ラッチ係合凹部37
41:操作部41
42:係合突起部
43:前側下面ガイド溝
44:後側下面ガイド溝
45:上面ガイド溝
46:開閉板側バネ係止部
47:下側ラッチガイド収容溝
48:上側ラッチガイド収容溝
51:上側開閉板ガイド突条
52:上側ラッチガイド突条(上ガイド部)
61:ラッチケース
62:ラッチ機構
63:フランジ部
64:係止突起
65:係止爪
P:パチンコ機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を貯留する貯留皿と、
前記貯留皿に設けられ、貯留した遊技媒体の落下を許容する媒体排出孔と、
操作部と係合突起部とを有し、前記媒体排出孔を閉止する閉止位置と前記媒体排出孔を開放する開放位置とを含む範囲で所定の開閉方向に沿ってスライド移動自在に前記貯留皿に支持される開閉板と、
前記貯留皿に設けられ、前記閉止位置の開閉板に当接して該閉止板の閉方向への移動を規制するストッパと、
前記開閉板を閉方向に付勢する付勢手段と、
前記貯留皿の所定位置に設けられたラッチ係合凹部と、
所定の姿勢で前記開閉板の開閉方向と略平行にラッチ係合凹部に挿入されて係合することによって貯留皿に取り付けられるラッチケースと、該ラッチケースに支持され、前記開放位置からさらに開方向へ移動する前記開閉板の前記係合突起部に押圧されることによって係合状態と解除状態とに交互に切り替わり、前記係合状態では前記係合突起部と係合して前記開閉板を前記開放位置に保持し、前記解除状態では前記係合突起部との係合を解除して前記開閉板の閉方向への移動を許容するラッチ機構と、を有するラッチユニットと、
前記貯留皿に設けられ、前記ラッチ機構と前記係合突起部とが係合したまま前記開閉板が前記開放位置から閉方向へ移動することによって前記ラッチケースが前記ラッチ係合凹部から離脱して前記開閉板とともに開閉方向に移動するとき、この移動するラッチケースの姿勢を上記所定の姿勢に規制するラッチガイド手段と、を備えた
ことを特徴とする遊技媒体の貯留構造。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技媒体の貯留構造であって、
前記貯留皿は、遊技媒体を貯留する上側の皿本体と、該皿本体に固定され、該皿本体の下面との間に開閉板収容空間を区画する下側のカバー体とを有し、
前記媒体排出孔は、少なくとも前記皿本体に形成され、
前記開閉板は、前記開閉板収容空間に配置されて前記カバー体の上面を移動し、
前記ラッチ係合凹部は、前記カバー体の上面に設けられ、
前記ラッチガイド手段は、前記カバー体の上面から上方へ突出し、前記移動するラッチケースの姿勢を側方から規制する1対の下ガイド部と、前記皿本体の下面から下方へ突出し、前記移動するラッチケースの姿勢を上方から規制する上ガイド部と、を有する
ことを特徴とする遊技媒体の貯留構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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