説明

当受体及び当受体を備える可動体のアシスト装置

【課題】位置調整可能あり、かつ外力の影響を低減できる当受体を提供する。
【解決手段】一実施形態にかかる当受体は、支持体と前記支持体に相対的に第1方向にスライド移動する可動体とのいずれか一方側に固定される固定片と、一方の端部に形成され前記固定片に揺動可能に係合支持される被支持部と、他方の端部に形成され前記支持体と前記可動体とのいずれか他方側に設けられた当接体と係合する係合部と、を有する係合片と、前記係合片の係合部の位置を調整する調整機構と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、当受体及び当受体を備える可動体のアシスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
引き戸等の可動体の動作を補助するため、付勢機構や制動機構を用いて強制移動や緩衝をする可動体のアシスト装置が知られている(例えば特許文献1参照)。可動体のアシスト装置では、例えば戸枠側には当受体が設けられ、引き戸側には当受体に係合可能な当接体が設けられている。引き戸が閉めきられていない開位置にあるとき、当接体と当受体とはスライド方向において離間している。この開位置から操作者が引き戸を閉位置に移動させると、その途中で当接体が当受体に突き当たり当受体に係合する。この係合状態で当接体が移動するとともに、この移動寸法の分引き戸が強制的に移動させられる構成となっている。
【0003】
当受体と当接体との位置精度を向上させるために、例えば当受体としてボルトにより枠に取り付けられる本体と、本体に形成された収納部と、収納部に設けられる当受体としてのフック体を有し、フック体の高さ調整を行う構造が提供されている。このフック体はピンを支点にして本体に軸支され、回動可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3929163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した技術では、次のような問題がある。すなわち、上記の構造では、外力を受けた場合に軸やねじに荷重がかかるため、機能欠如、破損、破壊などの恐れがある。
【0006】
そこで本発明は位置調整可能であり、かつ外力の影響を低減できる当受体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態にかかる当受体は、支持体と前記支持体に相対的に第1方向にスライド移動する可動体とのいずれか一方側に固定される固定片と、一方の端部に形成され前記固定片に揺動可能に係合支持される被支持部と、他方の端部に形成され前記支持体と前記可動体とのいずれか他方側に設けられた当接体と係合する係合部と、を有する係合片と、前記係合片の係合部の位置を調整する調整機構と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、位置調整可能であり、かつ外力の影響を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態にかかるアシスト装置を備えた引き戸の動作を示す説明図。
【図2】本発明の一実施形態にかかるアシスト装置を示す説明図。
【図3】同実施形態にかかるアシスト装置の一部を示す斜視図。
【図4】同実施形態にかかるストライカの側面図。
【図5】第2実施形態にかかるストライカの斜視図。
【図6】同実施形態にかかるストライカの下面図。
【図7】同実施形態にかかるストライカの組み立て工程を示す説明図。
【図8】同実施形態にかかるストライカの高さ調整を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態にかかるアシスト装置1及びストライカ10について、図1乃至図4を参照して説明する。各図中矢印X,Y,Zはそれぞれ互いに直交する3方向を示す。ここでは例えばX軸はスライド方向(第1方向)に、Y軸は幅方向(第3方向)に、Z軸は上下方向(第2方向)に、それぞれ沿っている。また、各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。
【0011】
図1及び図2に示すように、本実施形態にかかるストライカ10は例えば可動体の動作を補助するアシスト装置1に用いられる。アシスト装置1は、可動体及び支持体のうち一方に設けられる当受体としてのストライカ10と、可動体及び支持体のうち他方に設けられるアシストユニット20と、を備えて構成される。例えば支持体は戸枠F、可動体は引き戸Mであり、可動体としての引き戸Mにアシストユニット20が設けられ、支持体としての戸枠Fにストライカ10が設けられる。
【0012】
アシストユニット20は、引き戸Mの上部の溝M1に設けられた基体としてのハウジング21と、ハウジング21のスライド方向一方側(図1中左側)の端部に収められ待機位置と引込位置との間でスライド移動可能に支持された当接体としてのラッチ22と、ラッチ22をハウジングに対してスライド方向他方側(図1中右側)に付勢する付勢機構23と、ラッチ22に連結されラッチ22のスライド移動に抵抗力を付与して緩衝する制動機構24と、を備えている。
【0013】
戸枠Fの上端には引き戸溝F4が形成され、この引き戸溝F4に引き戸Mがスライド可能に支持されている。
【0014】
引き戸溝F4には、左端から一定の位置にストライカ10が設けられている。図1乃至図4に示すように、ストライカ10は、上枠F1に取り付けられる固定片11と、固定片11に回動調節可能に支持される係合片12と、調整機構13と、を備えて構成される。
【0015】
固定片11は、Z方向に直交する面を成し戸枠Fの引き戸溝F4に取り付けられる板状の取付部11aと、Y軸に直交する面を成し取付部11aから下方に突出する板状の支持部11bと、を有し、例えば樹脂成型により一体に構成されている。
【0016】
支持部11bのX方向一端側には他端方向に向かって凹み形成された凹部11cが形成されている。この凹部11cはX方向一端側に開口するとともに円弧状の曲面を有しており、この凹部11cに被支持部としての揺動軸12cが嵌合して支持される。
【0017】
支持部11bのX方向中央部分には、調整機構13として、ボルト15が羅合する雌ねじが形成されたナット部11dが設けられている。
【0018】
係合片12は、支持部11bの外周を囲むリブ部12aと、リブ部12aの先端部から下方に突出した係合部12bとを有し、例えば樹脂成型により一体に構成されている。
【0019】
リブ部12aは支持部11bよりもX方向及びY方向に外側に突出しており、ラッチ22等の部品との衝突の際に圧力を受けるようになっている。リブ部12aはX方向に長い矩形状でZ方向に一定の厚みを有する板状に構成されている。リブ部12aのY方向中央にはZ方向に貫通するとともにX方向に沿って延びるスリット12d(孔部)が形成されている。このスリット12dに支持部11b及びボルト15が挿通される。
【0020】
リブ部12aのX方向一端部は、Y方向に沿う円柱状を成すとともに凹部11cに係合する揺動軸12cを形成している。揺動軸12cが凹部11cに嵌合して配置され、一端側に僅かに移動可能かつ回転可能に支持される。ストライカ10とアシストユニット20との相対移動により、ラッチ22等の部品が衝突して一端側に押圧する圧力がかかる場合にはY方向及びX方向に突出するリブ部12aで圧力を受け、また揺動軸12cが僅かに一端側に退避するように移動できるため、各部品の破損を回避できる。
【0021】
係合部12bは、リブ部12aの先端において下方に突出して形成されている。この係合部12bは、引き戸Mの移動により、引き戸Mの上部の溝M1を通ってラッチ22に捕捉されてアシストユニット20内に入り込み、あるいはアシストユニット20から出て解放されるようになっている。
【0022】
調整機構13は、上述したナット部11dと、リブ部12aの下方に配置される受け部材14と、基端の頭部15bが受け部材14に保持されるとともに先端の雄ねじ部15aがナット部11dに羅合されるボルト15と、を備えて構成される。
【0023】
受け部材14は、例えば樹脂成型により係合片12とは別体で構成され、リブ部12aのスリット12dのX方向中央部分の下側に装着される。すなわち、受け部材14は、リブ部12aを挟んでナット部11dの下方に配置される。
【0024】
ボルト15は、リブ部12aのスリット12dを通ってナット部11dに羅合される雄ねじ部15aと、受け部材14に支持される頭部15bと、挿入隙14bに配置されるフランジ16と、を有する。
【0025】
受け部材14には、ボルト15の雄ねじ部15aが挿通される挿通孔14aと、ボルト15に設けられたフランジ16が挿入されるスリット状の挿入隙14bと、ボルト15の頭部15bが配置されるスリット状の溝部14cが形成されている。
【0026】
挿通孔14aはZ方向に貫通して形成され、Z方向一端側がナット部11dに連通し、他端側は挿入隙14bに連通している。
【0027】
挿入隙14bはY方向一端側に開口する半円状の空隙を形成し、挿通孔14aに連通する。この挿入隙14bにY方向にフランジ16が挿入され、保持されている。
【0028】
溝部14cは受け部材14の下面に形成され、挿入隙14bに連通するとともにY方向一端側に開口している。溝部14cはX方向において挿入隙14bよりも細いスリット形状を成し、この溝部14cにボルト15の頭部15bが配置される。溝部14cの開口を通じて下側からボルト15を回す操作が可能となっている。
【0029】
以上のように構成された調整機構13によって、係合片12のX方向中央部分が下方から支持される。すなわち、ナット部11dとボルト15の頭部15bの間に係合片12のリブ部12aが挟持され、ボルト15のねじ締めによって受け部材14に下方から支持される。
【0030】
この状態で、ボルト15を締めたり緩めたりして連結状態を調整する操作を行うと、フランジ部16の移動に応じて受け部材14が移動し、ナット部11dと受け部材14との距離が変化し、リブ部12aの中央部分が上下に移動する。このとき、揺動軸12cを中心として係合片12が回動することによりリブ部12aの先端に一体に形成された係合部12bの上下位置が変化する。
【0031】
図1乃至3に示すように、ハウジング21は、上面開口でスライド方向に細長い箱状を成し、一対の側壁21a,21aを有している。この一対の側壁21a,21a間にラッチベース22aが収まるようになっている。ハウジング21の下部には付勢機構23として例えば引張りコイルばね41が設けられている。引張りコイルばね41は、一端がラッチ22に連結され、他端がハウジング21に固定され、ラッチ22をハウジング21に対してスライド方向他端側に付勢する。
【0032】
ラッチ22はハウジング21内にスライド可能に保持されたラッチベース22aと、ラッチベース22aの先端に連結されるとともにY方向に沿う軸を中心に回動可能なキャッチャ22bと、を備えている。このキャッチャ22bは、R1,R2方向の回動により、ストライカ10の係合部12bを捕捉し、あるいは開放する。
【0033】
制動機構24は、ハウジング21内に設けられたピストンダンパ50を有して構成される。ピストンダンパ50は、内部に流体が封入されたシリンダ51と、シリンダ51内で往復動するピストンと、このピストンに連結されたピストンロッド52とを有している。制動機構24は、シリンダ51内に納められたピストンの動作にシリンダ51内の流体の流体対向を作用させることで、シリンダ51もしくはピストンロッド52の押し込み及び引張り動作に対して抵抗力を付与してラッチ22のハウジング21に対するスライド動作を制動する。なおシリンダ51に封入される流体としては典型的にはシリコンオイルなどの粘性流体が用いられるがこれに限られず、気体を用いてもよい。
【0034】
上記のように構成されたアシスト装置1において、図1に示すように引き戸Mがストライカ10に到達していない第1状態では、ラッチ22はハウジング21の端部の待機位置に保持されている。この第1状態から操作者が引き戸Mを戸当り側の枠F2に向かってスライド方向一方(図1中左方)に移動させ、引き戸Mが所定位置に至ると、ラッチ22がストライカ10に当接し、キャッチャがR1方向に回動してストライカ10の係合部12を捕捉することにより、ラッチ22とストライカ10が係合する。そして、引張コイルばね41によりハウジング21及び引き戸Mに対してスライド方向他方(図1中右方)にラッチ22が相対移動させられる。この移動に伴い支持体F及びストライカ10に対して引き戸M及びハウジング21がスライド方向一方(図1中左方)に相対的に強制移動させられる。このとき制動機構24により抵抗力が付与され、緩衝しながらゆっくり自動的に引き戸Mが閉まる方向に移動することとなる。
【0035】
一方、引き戸Mが戸当りに移動し切った第2状態から引き戸Mをスライド方向他方(図1中右方)に移動させる操作をすると、引張コイルばね41の付勢力に抗してラッチ22がストライカ10を捕捉したまま引き戸M及びハウジング21に対してスライド方向一方(図1中左方)に相対移動しながら、引き戸Mがスライド方向他方(図1中右方)に移動する。所定位置に至ると、キャッチャ22bがR2方向に回動し、ラッチ22とストライカ10との係合が解除されると同時にラッチ22は再びハウジング21の端部の待機位置に保持される。この後の引き戸Mの移動は引張コイルばね41の付勢力から開放される。
【0036】
本実施形態に係るアシスト装置1では、調整機構13の操作としてボルト15を回すことで容易にストライカ10の高さが調節可能である。このため、設置時の寸法ばらつきや設置後の温度、湿度、経年変化、振動、地震による寸法の変化に追従可能となる。したがって、アシスト装置1の寸法精度を高精度に維持することが可能となる。
【0037】
一般に、戸車で引き戸Mと戸枠Fとの高さを調整した場合にアシスト装置が動作できる位置から外れてしまうことがあるが、本実施形態にかかるアシスト装置1によれば、許容高さを外れた場合でもストライカ10の高さ調整により位置を調整することでアシスト装置1が動作可能となる。
【0038】
また本実施形態では、ストライカ10の係合片12と固定片11とを別部材で構成し、係合片12の揺動軸12cを固定片11の一端側に開口する凹部11cに嵌合して保持した構成により、係合片12が揺動可能であり、かつX方向の衝撃の伝達を防ぐことが可能となる。このため、引き戸M側に設けられたラッチ22等の部品が係合片12と衝突した場合に、固定片11や揺動軸12cへ外力が影響することを回避し、部品の破損や機能欠如を防止できる。
【0039】
また、支持部11bの回りを囲みX方向及びY方向に突出するとともにX方向に長くZ方向に厚く構成されたリブ部12aを設けたことにより、引き戸Mの操作により引き戸M側に設けられたラッチ22等の部品と衝突する場合にも、リブ部12aで圧力を受けることができ、固定片11や調整機構13への外力の影響を防止できる。
【0040】
さらに、スライド方向中央部分に係合片12を挟んで固定片11と連結する調整機構13を設け、この調整機構13の連結状態を調整することとしたので、係合片12に対する衝撃がボルト15や固定片11に伝達するのを防ぐことができる。このため、調整機構13等の機能欠如、破損、破壊を防止できる。
【0041】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態かかるストライカ110について、図5乃至図8を参照して説明する。なお、ストライカ110は、固定片111と係合片112の支持構造を変形して組み立て工程を変更しているが、その他の機能的な特徴、アシストユニット20の構成、アシスト装置1の動作などについては上記第1実施形態と同様であるため共通する説明を省略する。
【0042】
図5乃至図7に示すように、ストライカ110は、上枠F1に取り付けられる固定片111と、固定片111に回動調節可能に支持される係合片112と、係合片112を固定片111に位置調整可能に固定する調整機構113と、を備えて構成される。
【0043】
固定片111は、Z方向に直交する面を成し戸枠Fの引き戸溝F4に取り付けられる板状の取付部111aと、取付部111aの一端側から下方に突出して係合片112を軸支する支持部111bと、取付部111aの中央部分から下方に突出する板状の係合板111cと、を有し、例えば樹脂成型により一体に構成されている。
【0044】
取付部111aには、引き戸溝F4に固定される取付具が挿入される固定用孔111eや、調整機構113としてのボルト15の先端が挿入されるねじ孔111fが形成されている。取付部111aの先端側には、係合片112の突起112kが入り込む凹部111kが形成される。取付部111aの先端には係合部12bの上方に形成されたピン孔112lに挿入されるピン111l(図7に示す)が形成されている。
【0045】
図5及び図6に示すように、支持部111bは平面視コ字状に構成され、対向する一対の支持片111gを有している。一対の支持片111gにはY方向内側に突出する軸体111hが形成されている。軸体111hはY方向に沿う揺動軸心c1を中心としている。一対の支持片111g間に係合片112の軸支部112aが配置され、軸体111hが軸凹部112eに嵌合することにより、係合片112が固定片111に回動可能に支持されるようになっている。
【0046】
図7に示すように、係合板111cはX方向に沿って延び、係合片112のスリット112d内に収められて位置決めされる。係合板111cは中央部分においてY方向の幅が大きく構成され、調整機構13の一部としてのナット16を収容するナット装着部111i(ナット支持部)が形成されている。さらに係合板111cには、ナット装着部111iに連通するとともにボルト115のねじ部が挿入可能な挿入孔111jが形成されている。
【0047】
図5乃至図7に示すように、係合片112は、X方向において一端側に軸支部112a、中央に受け部112b、他端側に係合部112c、を有し、例えば樹脂成型により一体に構成されている。係合片112のY方向中央部分にはX方向に沿うスリット12dが形成されている。
【0048】
軸支部112aは一対の支持片111g間よりも小さく、一対の軸体111hの先端同士の間よりも大きい幅寸法を有し、Y方向両側面に軸凹部112eが形成されている。軸凹部112eはY方向に沿う揺動軸心c1を中心としている。この軸凹部112eに軸体111hが嵌合することにより軸支部112aが一対の支持片111g間に揺動可能に軸支される。
【0049】
中央の受け部112bにはボルト115を収容するとともにボルト115の頭部115aに装着されたフランジ117を受けるボルト装着部112g(ボルト支持部)が形成されている。このボルト装着部112gはスリット12dに連通し、ナット装着部111iとボルト孔111jに連通している。ボルト装着部112gの下方は開口され、この開口112hを通じて下側からボルト15を回す調整操作が可能となっている。ボルト装着部112gの側方には、フランジ117が出し入れ可能な寸法を有するフランジ開口112iが形成されている。
【0050】
受け部112bの上方には凹部111kに入り込む突起112kが形成されている。さらに係合部12bの上方にはピン孔112lが形成されている。
【0051】
係合部112cは、先端側から下方に突出して形成されている。この係合部112cは、引き戸Mの移動により、引き戸Mの上部の溝M1を通ってラッチ22に捕捉されてアシストユニット20内に入り込み、あるいはアシストユニット20から出て解放されるようになっている。係合部112cは、係合板111dの先端側及び両側方を囲んでおり、ラッチ22等の部品との衝突の際に圧力を受けるようになっている。
【0052】
スリット112dの先端側の端部は円弧状の曲面112fを形成し、このスリット12dに支持部111b及びボルト115が挿通されるようになっている。
【0053】
調整機構113は、ボルト装着部112gに保持されるボルト115と、ナット装着部111iに配置されるナット116と、ボルト115の頭部115bに装着されるフランジ117とを有している。フランジ117が受け部112bに保持され、先端の雄ねじ部115aがスリット112dを通ってナット116に羅合される。
【0054】
以上のように構成された調整機構113によって、係合片112のX方向中央部分が下方から支持される。すなわち、ナット116とフランジ117の間に係合片112が挟持され、ボルト115のねじ締めによって係合片112が下方から固定片111に対して支持される。
【0055】
次に、本実施形態にかかるストライカ110の組立工程について、図7を参照して説明する。図7<a>の分解状態において、係合片112のボルト装着部112gにフランジ開口112iからフランジ117を設置し、開口112hからボルト115を挿入して設置する。一方、固定片111のナット装着部111iにナット116を配置する。
【0056】
次に図7<b>に示すように、係合片112と固定片111との位置を合わせて、ボルト115をナット116に螺合して仮止めを行う。このとき、スリット112d内に係合板111bが挿入されるように位置合わせをする。このとき、係合片112と固定片111を平行に配置させたまま仮止めが可能となる。
【0057】
さらに図7<c>に示すように、軸支部112aを一対の支持片111g間に押し込み、軸凹部112eに軸体111hを嵌合させる。このとき、樹脂製の支持部111bにおいて支持片111g間が一時的に広がるように弾性変形することによりワンタッチでの嵌合が可能となる。以上により、係合片112が固定片111に対して回動調節可能に軸支される。
【0058】
この状態で、図8<a><b><c>に示すように、ボルト15を締めたり緩めたりして連結状態を調整する操作を行うと、ナット部115とフランジ117の距離が変化し、係合片112の中央部分が固定片111のナット装着部111iに対して上下に移動する。このとき、揺動軸c1を中心として係合片112が回動することにより係合部112cの上下位置が変化する。
【0059】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。さらに、軸支部12aを支持部111bに嵌合させる構成とし、先に調整機構13の羅合により中央部分を仮止めした後に端部の軸部分をワンタッチで係合させることが可能となる。このため、固定片111と係合片112の姿勢をボルト115とナット116の軸を合わせながら仮締めすることができるため、固定片111と係合片112のガタを少なくすることができる。さらに部品点数が少なく組み付け工程も単純となる。
【0060】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。また、各部の具体的構成や材質等は上記実施形態に例示したものに限られるものではなく適宜変更可能である。
【0061】
例えば上記実施形態においては、可動体側にアシストユニット20を備え、支持体側にストライカ10を設けた場合について例示したが、これに限られるものではなく、可動体側にストライカ10を、支持体側にアシストユニット20を、それぞれ設けてもよい。
【0062】
また、上記実施形態においては可動体が引き戸Mである場合について例示したが、吊り度、昇降式のスライドドア等、他の可動体にも本発明を適用可能である。
【0063】
さらに、上記実施形態の構成要件のうち一部を省略しても本発明を実現可能である。
【符号の説明】
【0064】
F…戸枠(支持体)、M…引き戸(可動体)、1…アシスト装置、
10…ストライカ(当受体)、11…固定片、11a…取付部、11b…支持部、
11c…凹部、11d…ナット部、12…係合片、12a…リブ部、12b…係合部、
12c…揺動軸(被支持部)、12d…スリット、13…調整機構、14…受け部材、
14a…挿通孔、14b…挿入隙、14c…溝部、15…ボルト、15b…頭部、16…ワッシャ、20…アシストユニット、21…ハウジング、22…ラッチ(当接体)、22a…ラッチベース、22b…キャッチャ、23…付勢機構、24…制動機構、
41…引張りコイルばね、50…ピストンダンパ、51…シリンダ、52…ピストンロッド、110…ストライカ(当受体)、111…固定片、111h…軸体、111i…ナット装着部(ナット支持部)、112…係合片、112e…軸凹部、112g…ボルト装着部(ボルト支持部)、113…調整機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と前記支持体に相対的に第1方向にスライド移動する可動体とのいずれか一方側に固定される固定片と、
一方の端部に形成され前記固定片に揺動可能に係合支持される被支持部と、他方の端部に形成され前記支持体と前記可動体とのいずれか他方側に設けられた当接体と係合する係合部と、を有する係合片と、
前記係合片の係合部の位置を調整する調整機構と、
を備えることを特徴とする当受体。
【請求項2】
前記被支持部は前記一方の端部に揺動軸を有し、
前記固定片の一方の端部には、一端側に開口する凹部が設けられ、
前記凹部に前記揺動軸が係合することにより前記係合片が前記固定片に揺動可能に係合し、
前記調整機構は前記第1方向における前記被支持部と前記係合部との間の位置で前記係合片を挟んで前記固定片と連結するとともにその連結状態を調整することにより前記係合片の揺動の角度を調節することを特徴とする請求項1記載の当受体。
【請求項3】
前記固定片は、前記第1方向と交差する第2方向に突出する支持部を備え、
前記係合片は、前記支持部の外周を囲み第1方向に突出するリブ部を有し、
前記係合部は前記リブ部の他方の端部において第2方向に突出形成されたことを特徴とする請求項1または2記載の当受体。
【請求項4】
前記調整機構は、前記固定片に形成されたナット部と、
前記係合片に形成された孔部を通って前記ナット部に羅合されるボルトと、
前記第2方向において前記係合片を挟んで前記ナット部の反対側に設けられ、前記ボルトの基端部分を支持する受け部材と、
を備え、
前記ボルトの羅合状態を調節することにより前記係合片の揺動角度を調節することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の当受体。
【請求項5】
前記調整機構は、ボルトと、前記ボルトが羅合されるナットと、を備え、
前記固定片に、前記ナットを支持するナット支持部が形成され、
前記係合片に、前記ボルトを支持するボルト支持部が形成されることを特徴とする請求項1記載の当受体。
【請求項6】
前記固定片及び前記係合片の一方において、端部に軸体が設けられ、
前記固定片及び前記係合片の他方において、端部に前記軸体を収容する軸凹部が形成され、
前記軸体が前記軸凹部に嵌合可能に構成されたことを特徴とする請求項1または5記載の当受体。
【請求項7】
前記固定片に前記係合片を組み合わせ、
前記調整機構を仮止めして前記固定片に前記係合片を支持した後に、
前記軸部を前記軸凹部に嵌合して前記固定片に前記係合片を軸支させることにより、前記係合片を前記固定片に揺動可能に組み付けることを特徴とする請求項6記載の当受体。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか記載の当受体と、
前記支持体と前記可動体とのいずれか他方側に設けられた基体と、前記当受体と係合及び係合解除可能であり、前記基体に対して待機位置と引込位置との間でスライド移動可能に設けられる当接体と、
前記当接体を引込方向に付勢する付勢機構と、
前記当接体のスライド移動に抵抗力を付与する制動機構と、
を備えたことを特徴とする可動体のアシスト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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