説明

形彫放電加工機及びジャンプ制御方法

【課題】1回目のジャンプ制御から減速開始位置の最適化を行える放電加工機及びジャンプ制御方法を得ること。
【解決手段】支持部材に交換可能に保持された電極13を移動させてワーク2との間隔を変化させる駆動源としてのモータ12を備え、電極13をワーク2から遠ざける引上げ動作と、ワーク2から遠ざけた電極13を、放電加工を行う加工位置よりもワーク2から離れた減速開始位置まで第1の速度で移動させる引下げ動作と、減速開始位置から加工位置まで第1の速度よりも低速の第2の速度で電極13を移動させる減速接近動作とを含むジャンプ制御を放電加工の合間に行う形彫放電加工機1であって、引上げ動作におけるモータ12の駆動電流をフィードバックデータとして検出する電流フィードバック検出部103と、支持部材に保持された電極13の重量に応じた減速開始位置を、フィードバックデータに基づいて決定する減速開始位置決定部102とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形彫放電加工機及びジャンプ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放電加工機では、極間の加工屑の排出を目的として、加工中にジャンプ制御を間歇的に行っている。ジャンプ制御は、加工中に電極間距離を一旦広げてから戻す制御であり、加工工程→ジャンプ引上げ工程(ジャンプ引上げ動作)→ジャンプ引下げ工程(ジャンプ引下げ動作)→減速工程(減速接近動作)→加工工程という手順で行われる。
【0003】
ジャンプ制御の減速工程は、ジャンプ引下げ工程から加工工程へ移行する際に、電極を支持している支持部材が弾性変形することによって電極がオーバシュートし、電極と被加工物とが衝突してしまうことを防ぐための工程である。減速工程では、被加工物まである距離の位置(減速開始位置)から微小速度で電極間距離を縮めていく。
【0004】
電極のオーバシュート量は、電極の重量と正の相関関係にあるため、電極の重量に応じて減速開始位置を最適化することが理想的である。しかし、電極重量の測定は、放電加工機本来の目的とは異なるため、放電加工機はこのような機能を備えていない。したがって、電極と被加工物との衝突を防ぐために、用いる可能性のある電極の中で重量が最大のものを基準として減速開始位置を設定することとなる。このため、軽い電極を使用すると減速開始位置が必要以上に被加工物から遠ざかってしまい、減速期間が長くなって、実際に加工している時間の割合が小さくなってしまう。
【0005】
この問題の解決を目的とする技術として、特許文献1には、ジャンプ制御の際に、ジャンプ引下げ工程における終了目標位置と実際に電極が停止した位置との位置偏差を求め、この位置偏差に基づいて次回のジャンプ制御における終了目標位置を補正する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−172525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の発明は、初回のジャンプ制御時には、位置偏差が得られていないため、終了目標位置の補正を行えない。したがって、初回のジャンプ制御時に減速開始位置と被加工物との距離が小さすぎれば、電極と被加工物が衝突して電極や被加工物を破損する恐れがある。電極の破損は、交換作業による加工の中断で生産性が低下したり、電極の修理・再作成によるコスト増の原因となる。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、1回目のジャンプ制御から減速開始位置の最適化を行える放電加工機及びジャンプ制御方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、交換可能に電極を保持する電極保持手段と、該電極保持手段に保持された電極を移動させて被加工物との間隔を変化させる駆動源としてのモータとを備え、電極を予め設定された速度で被加工物から遠ざける引上げ動作と、被加工物から遠ざけた電極を、放電加工を行う加工位置よりも被加工物から離れた減速開始位置まで第1の速度で移動させる引下げ動作と、減速開始位置から加工位置まで第1の速度よりも低速の第2の速度で電極を移動させる減速接近動作とを含むジャンプ制御を放電加工の合間に行う形彫放電加工機であって、引上げ動作におけるモータの駆動電流をフィードバックデータとして検出する手段と、電極保持手段に保持された電極の重量に応じた減速開始位置を、フィードバックデータに基づいて決定する手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、1回目のジャンプ制御から減速開始位置の最適化を行い、減速期間の長期化や、電極の破損を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかる形彫放電加工機の構成を示す図である。
【図2】図2は、駆動電流値と減速開始距離との関係を示す図である。
【図3】図3は、放電加工時の電極間距離の変化の一例を模式的に示す図である。
【図4】図4は、駆動電流と減速開始位置との関係を示すテーブルの一例を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態2にかかる形彫放電加工機の構成を示す図である。
【図6】図6は、制御部からサーボアンプへ出力される位置指令データが示す位置と、実際の電極の位置との関係を示す図である。
【図7】図7は、減速開始距離とドループ量との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる形彫放電加工機及びジャンプ制御方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる形彫放電加工機の構成を示す図である。実施の形態1に係る形彫放電加工機1は、制御装置10、サーボアンプ11、モータ12、及び電極13を有する。制御装置10は、形彫放電加工機1を制御する装置であり、制御部101、減速開始位置決定部102、電流フィードバック検出部103を備えている。制御部101は、放電加工時の電極13の動きや、電極13に印加するパルス電圧の制御などを行う。電流フィードバック検出部103は、サーボアンプ11の電流検出器111から入力される電流値を電流フィードバックデータとして取得する。減速開始位置決定部111は、電流フィードバック検出部103が取得した電流フィードバックデータに基づいて、電極13の重量に応じた減速開始位置を決定する。
【0014】
サーボアンプ11は、制御部101からの指令に基づいてモータ12を駆動し、被加工物としてのワーク2と電極13との間の距離を変化させる。サーボアンプ11は、制御部101からの指令に応じてモータ12を駆動させる際に、実際にモータ12へ送られる電流(駆動電流)の電流値を検出する電流検出器111を備えている。電流検出器111が検出した電流値は、電流フィードバック検出部103へと出力される。
【0015】
電極13は、電極保持手段としての不図示の支持部材によって支持された上で、モータ12の駆動によって回転するボールネジ14に取り付けられており、モータ12の駆動によってワーク2との距離(電極間距離)が変化する。なお、モータ12の駆動によって電極13とワーク2との距離を変化させる構成であれば、図示した例とは異なる構成を採用することも可能である。支持部材には2種類以上の電極のうちの一つが取り外し可能に装着される。すなわち、形状や重量が異なる複数の電極の中から任意に選択したものを電極13として装着することが可能であり、一度装着した電極13を他のものと交換することも可能である。
【0016】
定格トルク以下の領域では、モータ12が発生させるトルクは、駆動電流の電流値と比例関係にある。また、電極を移動させるのに必要な力(モータ12が発生させるトルク)は、可動部分重量(電極重量+支持部材重量)と比例関係にある。したがって、駆動電流値と可動部分の重量とは比例関係にある。これにより、電流検出器111の検出値を基に電極13の重量を特定することが可能である。そして、電極13の重量が既知であれば、最適な減速開始位置を決定可能である。
【0017】
本実施の形態において、減速開始位置決定部102は、ジャンプ引上げ工程中に電流検出器111が検出した駆動電流の電流値に基づいて、減速開始位置を決定する。図2は、駆動電流値と減速開始距離との関係を示す図である。具体的には、駆動電流値−トルクと、トルク−可動部分重量と、可動部分重量−減速開始距離(被加工物から最適減速開始位置までの距離)とがいずれも比例関係にあることから、駆動電流値−減速開始距離は図2に示すように一次関数で近似できることとなり、最適減速開始距離xは、x=αI+βで算出可能である。ここで、αは予め定められた係数、Iは駆動電流値、βはオフセット値である。
【0018】
係数α及びオフセット値βの求め方について説明する。係数α及びオフセット値βは、モータ12やサーボアンプ11の性能、支持部材の重量によって値が変化するため、実測値に基づいて決定する。具体的には、重量が既知の電極13を支持部材に設置した上で、制御部101からサーボアンプ11へ既知の指令値を送り、そのときの駆動電流の電流値を電流検出器111で検出し、電流フィードバック検出部103が電流フィードバックデータとして電流値(フィードバック電流値)を得る。そして、電極重量を変えて電流フィードバックデータの取得を繰り返す。さらに、別の指令値でも同様に電極重量を変化させて電流フィードバックデータの取得を繰り返す。このようにして、取得したフィードバック電流値に基づいて、電極重量−フィードバック電流値の直交座標系上における近似式を求め、この近似式の傾きを係数αとする。また、電極13を未設置の状態でのフィードバック電流値(電極重量−フィードバック直交座標系におけるフィードバック電流値軸の切片)をオフセット値βとする。
【0019】
以上のようにして求めた一次関数x=αI+βを用いて、減速開始位置決定部102は、電流フィードバック検出部103から入力される電流フィードバックデータを基に電極13の重量に応じた減速開始位置を決定する。制御部101は、電極13の重量に応じた減速開始位置を設定し、ジャンプ引下げ工程及び減速工程を実行する。これにより、ジャンプ引下げ工程では電極13をその重量に応じた距離まで近づけることが可能となり、減速工程での電極の移動距離を短くできる。
【0020】
図3は、放電加工時の電極間距離の変化の一例を模式的に示す図である。図3において、縦軸は電極間距離、横軸は時間を示している。時刻tにおいて制御部101は加工を開始している。加工を開始すると、制御部101はモータ12を駆動して電極13をワーク2へ近づける。
【0021】
時刻tにおいて、ワーク2から所定の電極間距離まで電極13が到達する。これを受けて、制御部101は電極13−ワーク2間に電圧を印加し、放電加工を開始する。
【0022】
時刻tにおいて、制御部101はジャンプ制御を開始する。ジャンプ制御を開始すると、制御部101は電極13−ワーク2間の電圧の印加を停止するとともに、モータ12を駆動して、電極13をワーク2から所定の電極間距離まで遠ざけるジャンプ引上げ工程を行う。この際のモータ12の駆動電流は、電極重量とリニアな関係にある。減速開始位置決定部102は、ジャンプ引上げ工程中に電流フィードバックデータに基づいて電極13の重量に応じた減速開始位置を決定する。
【0023】
時刻tにおいて、制御部101はジャンプ引下げ工程を開始する。ジャンプ引下げ工程では、制御部101は、モータ12を駆動し、電極13をその重量に応じた減速開始位置まで移動させる。
【0024】
時刻tにおいて、電極13がその重量に応じた減速開始位置まで到達している。よって、制御部101は、モータ12の回転数をジャンプ引下げ工程よりも小さくし、微速で電極13をワーク2に近づける減速工程を開始する。
【0025】
時刻tにおいて、ワーク2から所定の電極間距離まで電極13が到達する。これを受けて、制御部101は電極13−ワーク2間の電圧の印加を再開して放電加工を行う。
【0026】
時刻tにおいて開始する2回目以降のジャンプ制御においても同様に、減速開始位置決定部102は、ジャンプ引上げ工程中に取得した電流フィードバックデータに基づいて電極13の重量に応じた減速開始位置を決定し、ジャンプ引下げ工程では電極13をその重量に応じた減速開始位置まで移動させる。
【0027】
なお、ここでは減速開始位置決定部102が近似計算によって電極13の重量に応じた減速開始距離を算出する場合を例としたが、駆動電流と減速開始位置との関係を示すテーブルを制御装置100内に保持させておき、減速開始位置決定部102がこれを参照して電極13の重量に応じた減速開始位置を決定することも可能である。図4は、駆動電流と減速開始位置との関係を示すテーブルの一例である。
【0028】
このように、本実施の形態にかかる形彫放電加工機1は、1回目のジャンプ制御から減速開始位置の最適化を図れる。これにより、空走時間の短縮を実現できる。例えば、1回目のジャンプ制御時に減速開始距離を半分にすることができれば、空走時間も半分となり、機械動作時間中に対して加工時間が占める割合を増加させることができる。
【0029】
一例として、1回目のジャンプ制御で減速開始位置の最適化を行わない場合に放電加工の時間が250msec、ジャンプ制御の時間が600msec(ジャンプ引上げ工程+ジャンプ引下げ工程(図3での時刻tからtまでの時間)が400msec、減速工程(図3での時刻tからtまでの時間)が200msec)であり、減速開始距離が30μmであったとする。この場合、1サイクル(ジャンプ引上げ工程+ジャンプ引下げ工程+減速工程+加工工程)中に加工時間が占める割合は、250/(400+200+250)=0.29=29%である。減速開始位置の最適化によって減速開始距離を15μmにすることができたならば、減速工程の所要時間を半分の100msecに短縮し、その分加工時間を増やすことができる。すなわち、減速工程の所要時間を100msec、加工時間を350msecとすることができる。このため、1サイクル中に加工時間が占める割合は、350/(400+100+250)=0.47=47%となる。したがって、1サイクル中に加工時間が占める割合が約16%増加する。これにより、1回目のジャンプ制御で減速開始位置の最適化を行わない場合よりも短時間で加工を終えることができ、形彫放電加工機1の動作時間を短縮して消費エネルギーを低減できる。
【0030】
また、本実施の形態にかかる形彫放電加工機1は、1回目のジャンプ制御の際に電極13が破損することを確実に防止できる。これにより、破損した電極を廃棄する必要が無くなり、生産設備としての形彫放電加工機1の環境負荷を低減できる。
【0031】
なお、以上の説明においては、モータ12がトルクを発生させる通常のモータである場合を例としたが、モータ12がリニアモータである場合も、駆動電流値は電極重量と正の相関関係にあるため、同様の手法で電極13の重量に応じた減速開始位置を決定可能である。
【0032】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2にかかる形彫放電加工機の構成を示す図である。本実施の形態に係る形彫放電加工機1は、制御装置10、サーボアンプ11、モータ12、電極13、ボールネジ14及びエンコーダ15を有する。
【0033】
本実施の形態においては、制御装置10は、電流フィードバック検出部の代わりに位置フィードバック検出部104を備えており、エンコーダ15から出力される位置フィードバックデータに基づいて減速開始位置決定部102が電極13の重量に応じた減速開始位置を決定する点で実施の形態1とは相違する。
【0034】
図6は、制御部101からサーボアンプ11へ出力される位置指令データが示す位置と、実際の電極13の位置との関係を示す図である。電極13や不図示の支持部材には慣性力が作用するため、図6に示すように制御部101からサーボアンプ11へ出力される位置指令データが示す位置と、実際の電極位置とは一致せず、ドループ量と呼ばれるずれが生じる。このドループ量は、位置指令データが同じであれば、電極13に作用する慣性力、すなわち可動部分の質量に比例するため、電極13の重量に応じた減速開始距離はドループ量を変数とする一次関数として表すことができる。図7は、減速開始距離とドループ量との関係を示す図である。
【0035】
減速開始位置決定部102は、位置フィードバック検出部104から入力される位置フィードバック値を基に、上記一次関数により電極13の重量に応じた減速開始距離を決定する。制御部101は、減速開始距離に電極13の重量に応じた減速開始位置までの距離を設定し、ジャンプ引下げ工程及び減速工程を実行する。これにより、ジャンプ引下げ工程では電極13の重量に応じた距離まで電極を近づけることが可能となり、減速工程での電極13の移動距離を短くできる。
【0036】
減速開始位置決定部102が位置フィードバックデータを基に電極13の重量に応じた減速開始位置を決定することを除いては実施の形態1と同様であるため、重複する説明は割愛する。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明にかかる形彫放電加工機及びジャンプ制御方法は、1回目のジャンプ制御から減速開始位置を最適化でき、電極を破損させる恐れが無い点で有用である。
【符号の説明】
【0038】
1 形彫放電加工機
2 ワーク
10 制御装置
11 サーボアンプ
12 モータ
13 電極
14 ボールネジ
15 エンコーダ
101 制御部
102 減速開始位置決定部
103 電流フィードバック検出部
104 位置フィードバック検出部
111 電流検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能に電極を保持する電極保持手段と、該電極保持手段に保持された前記電極を移動させて被加工物との間隔を変化させる駆動源としてのモータとを備え、前記電極を予め設定された速度で前記被加工物から遠ざける引上げ動作と、前記被加工物から遠ざけた電極を、放電加工を行う加工位置よりも前記被加工物から離れた減速開始位置まで第1の速度で移動させる引下げ動作と、前記減速開始位置から前記加工位置まで前記第1の速度よりも低速の第2の速度で前記電極を移動させる減速接近動作とを含むジャンプ制御を放電加工の合間に行う形彫放電加工機であって、
前記引上げ動作における前記モータの駆動電流をフィードバックデータとして検出する手段と、
前記電極保持手段に保持された電極の重量に応じた前記減速開始位置を、前記フィードバックデータに基づいて決定する手段とを有することを特徴とする形彫放電加工機。
【請求項2】
交換可能に電極を保持する電極保持手段と、該電極保持手段に保持された前記電極を位置指令データに基づいて移動させて被加工物との間隔を変化させる駆動源としてのモータとを備え、前記電極を予め設定された速度で前記被加工物から遠ざける引上げ動作と、前記被加工物から遠ざけた電極を、放電加工を行う加工位置よりも前記被加工物から離れた減速開始位置まで第1の速度で移動させる引下げ動作と、前記減速開始位置から前記加工位置まで前記第1の速度よりも低速の第2の速度で前記電極を移動させる減速接近動作とを含むジャンプ制御を放電加工の合間に行う形彫放電加工機であって、
前記電極の位置を検出する電極位置検出手段と、
前記位置指令データが示す位置と、前記電極位置検出手段が検出した前記電極の実際の位置との差をドループ量として検出する手段と、
前記引上げ動作における前記ドループ量をフィードバックデータとして検出する手段と、
前記電極保持手段に保持された電極の重量に応じた前記減速開始位置を前記フィードバックデータに基づいて決定する手段とを有することを特徴とする形彫放電加工機。
【請求項3】
前記フィードバックデータの値と前記被加工物からの距離との関係を示すテーブルを格納する手段をさらに有し、
前記減速開始位置決定手段は、前記テーブルに基づいて、前記電極保持手段に保持された電極の重量に応じた減速開始位置を決定することを特徴とする請求項1又は2記載の形彫放電加工機。
【請求項4】
前記フィードバックデータの値と前記被加工物からの距離との関係を示す近似式を格納する手段をさらに有し、
前記減速開始位置決定手段は、前記フィードバックデータを前記近似式に代入して、前記電極保持手段に保持された電極の重量に応じた減速開始位置を決定することを特徴とする請求項1又は2記載の形彫放電加工機。
【請求項5】
交換可能に電極を保持する電極保持手段と、該電極保持手段に保持された前記電極を移動させて被加工物との間隔を変化させる駆動源としてのモータとを備えた形彫放電加工機に、前記電極を予め設定された速度で前記被加工物から遠ざける引上げ動作と、前記被加工物から遠ざけた電極を、放電加工を行う加工位置よりも前記被加工物から離れた減速開始位置まで第1の速度で移動させる引下げ動作と、前記減速開始位置から前記加工位置まで前記第1の速度よりも低速の第2の速度で前記電極を移動させる減速接近動作とを含むジャンプ制御を行わせるジャンプ制御方法であって、
前記引上げ動作中に前記モータの駆動電流を検出する工程と、
前記電極保持手段に保持された電極の重量に応じた減速開始位置を、前記駆動電流に基づいて決定する工程と、
前記被加工物から遠ざけた電極を、前記電極の重量に応じた減速開始位置まで移動させるように前記引下げ動作を行う工程と、
前記電極の重量に応じた減速開始位置から加工位置まで前記電極を移動させるように前記減速接近動作を行う工程とを有することを特徴とするジャンプ制御方法。
【請求項6】
交換可能に電極を保持する電極保持手段と、該電極保持手段に保持された前記電極を位置指令データに基づいて移動させて被加工物との間隔を変化させる駆動源としてのモータとを備えた形彫放電加工機に、前記電極を予め設定された速度で前記被加工物から遠ざける引上げ動作と、前記被加工物から遠ざけた電極を、放電加工を行う加工位置よりも前記被加工物から離れた減速開始位置まで第1の速度で移動させる引下げ動作と、前記減速開始位置から前記加工位置まで前記第1の速度よりも低速の第2の速度で前記電極を移動させる減速接近動作とを含むジャンプ制御を行わせるジャンプ制御方法であって、
前記引上げ動作中に、前記位置指令データが示す位置と、前記電極の実際の位置との差をドループ量として検出する工程と、
前記電極保持手段に保持された電極の重量に応じた減速開始位置を、前記ドループ量に基づいて決定する工程と、
前記被加工物から遠ざけた電極を、前記電極の重量に応じた減速開始位置まで移動させるように前記引下げ動作を行う工程と、
前記電極の重量に応じた減速開始位置から加工位置まで前記電極を移動させるように前記減速接近動作を行う工程とを有することを特徴とするジャンプ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−218459(P2011−218459A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87074(P2010−87074)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】