説明

形質転換バチルス・リケニフォルミス細胞からの脂質アシルトランスフェラーゼの製造

本発明は、(i)バチルス・リケニフォルミス細胞を提供するステップと、(ii)脂質アシルトランスフェラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列でバチルス・リケニフォルミス細胞を形質転換するステップと、(iii)プロモーター配列の制御下で前記細胞において脂質アシルトランスフェラーゼを発現させるステップとを含む、脂質アシルトランスフェラーゼの製造方法に関する。本発明はさらに、脂質アシルトランスフェラーゼを発現させるためのバチルス・リケニフォルミスの使用、異種の脂質アシルトランスフェラーゼを含むバチルス・リケニフォルミス宿主細胞、及びバチルス・リケニフォルミスと相同性を有するプロモーター配列に作動可能に連結された脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含むベクターに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
以下の関連出願、即ち、米国特許出願第2002−0009518号明細書、米国特許出願第2004−0091574明細書、国際公開第2004/064537号パンフレット、国際公開第2004/064987号パンフレット、国際公開第2005/066347号パンフレット、国際公開第2005/066351号パンフレット、2006年2月2日に出願した米国仮出願第60/764,430号及び国際公開第2006/008508号パンフレットを参照されたい。これらの各出願、及びこれらの各出願において引用された各文献(「出願引用文献」)、及び出願引用文献において文中で又はこれらの出願の審査手続の間で参照又は引用された各文献、並びにこのような審査手続中に提出された特許性を支持するすべての主張は、参照により本明細書に組み込まれる。様々な文献が本明細書でも引用されている(「本明細書引用文献」)。各本明細書引用文献、及び本明細書引用文献中で引用又は参照された各文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
[技術分野]
【0002】
本発明は脂質アシルトランスフェラーゼの製造に関する。特に、バチルス(Bacillus)宿主細胞、好ましくはバチルス・リケニフォルミス(B. licheniformis)宿主細胞において脂質アシルトランスフェラーゼを発現させることにより脂質アシルトランスフェラーゼを製造する方法。加えて、本発明は、脂質アシルトランスフェラーゼを発現させるためのバチルス(好ましくはバチルス・リケニフォルミス)の使用、及び脂質アシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子をゲノム中に含むバチルス宿主細胞、好ましくはバチルス・リケニフォルミス宿主細胞に関する。
【背景技術】
【0003】
脂質アシルトランスフェラーゼは、食品への適用において有利であることが知られている。脂質アシルトランスフェラーゼは、食品中で著しいアシルトランスフェラーゼ活性を有することが見出された。この活性は、食品の調製方法において驚くべき有益な用途を有する。
【0004】
例えば、国際公開第2004/064537号パンフレットは、脂質アシルトランスフェラーゼの使用による乳化剤のインサイチュでの製造方法、及びこれに伴う利点を開示している。
【0005】
したがって、脂質アシルトランスフェラーゼの商業的な製造方法が必要とされる。
【0006】
しかし、一般に、遺伝子は異種宿主で発現させることが難しい場合があり、宿主細胞での脂質アシルトランスフェラーゼの発現は難題となり得る。
【0007】
国際公開第2004/064537号パンフレットは、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及び大腸菌(Escherichia Coli)での2種類のアエロモナス(Aeromonas)脂質アシルトランスフェラーゼの発現を開示する。しかし、バチルス・サブチリスでの発現は低く、一方、大腸菌はGRAS生物ではないため、食品産業で使用される酵素の宿主には適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2004/064537号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
米国特許第6,255,076号明細書は、バチルス宿主細胞でポリペプチドを製造する方法を開示する。しかし、このような方法は、各プロモーター配列がポリペプチド配列をコードする核酸配列のシングルコピーに作動可能に連結されているタンデムプロモーターの使用を必要とする。したがって、脂質アシルトランスフェラーゼの改善された製造方法が当技術分野では必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様は、特許請求の範囲及び以下の説明に提示される。
【0011】
本発明の一態様は、
(i)宿主細胞、好ましくは、バチルス・サブチリス以外の細胞、好ましくはバチルス・リケニフォルミス細胞であるバチルス宿主細胞を提供するステップと、
(ii)脂質アシルトランスフェラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列で、宿主細胞、好ましくは、バチルス・サブチリス以外の細胞、好ましくはバチルス・リケニフォルミス細胞であるバチルス宿主細胞を形質転換するステップと、
(iii)プロモーター配列の制御下で細胞において脂質アシルトランスフェラーゼを発現させるステップと
を含む、脂質アシルトランスフェラーゼの製造方法に関する。
【0012】
別の態様では、本発明は、異種の脂質アシルトランスフェラーゼを含むバチルス・サブチリス以外の細胞、好ましくはバチルス・リケニフォルミス宿主細胞であるバチルス宿主細胞に関する。
【0013】
さらなる態様では、本発明は、異種の脂質アシルトランスフェラーゼの製造におけるバチルス・サブチリス以外の細胞、好ましくはバチルス・リケニフォルミス宿主細胞であるバチルス宿主細胞の使用に関する。
【0014】
適切には、バチルス・サブチリス以外の宿主であり、好ましくはバチルス・リケニフォルミスであるバチルス宿主での発現により、バチルス・サブチリスでの発現と比べて発現が増加し得る。
【0015】
さらに別の態様では、本発明は、適切な宿主又は宿主細胞、好ましくは、バチルス・サブチリス以外の宿主(又は細胞)であるバチルス宿主(又は細胞)、好ましくはバチルス・リケニフォルミス又はバチルス・リケニフォルミス細胞において、調節配列が、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を発現できるように、1又は複数の調節配列に作動可能に連結された脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターに関する。
【0016】
適切には、脂質アシルトランスフェラーゼは、組換え脂質アシルトランスフェラーゼであってよい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の態様では、
(i)宿主細胞、好ましくは、バチルス・サブチリス以外の細胞、好ましくはバチルス・リケニフォルミス細胞であるバチルス宿主細胞を提供するステップと、
(ii)脂質アシルトランスフェラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列で、宿主細胞、好ましくは、バチルス・サブチリス以外の細胞、好ましくはバチルス・リケニフォルミス細胞であるバチルス宿主細胞を形質転換するステップと、
(iii)プロモーター配列の制御下で細胞において脂質アシルトランスフェラーゼを発現させるステップと
を含む、脂質アシルトランスフェラーゼの製造方法が提供される。
【0018】
さらに、シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列は、脂質アシルトランスフェラーゼをコードする前記異種ヌクレオチド配列に作動可能に連結していてよい。
【0019】
適切には、本発明の方法はさらに、脂質アシルトランスフェラーゼを単離/回収する追加のステップを含んでよい。
【0020】
別の態様では、本発明は、異種の脂質アシルトランスフェラーゼを含むバチルス・リケニフォルミス宿主細胞に関する。
【0021】
適切には、脂質アシルトランスフェラーゼは、組換え脂質アシルトランスフェラーゼであってよい。
【0022】
適切には、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び/又は使用に応じて用いられるプロモーター配列は、宿主細胞と同種であってよい。「宿主細胞と同種である」とは宿主生物由来であること、即ち、宿主生物に自然に見出されるプロモーター配列を意味する。適切には、プロモーター配列は、α−アミラーゼプロモーター、プロテアーゼプロモーター、サブチリシンプロモーター、グルタミン酸特異的プロテアーゼプロモーター及びレバンスクラーゼプロモーターをコードするヌクレオチド配列からなる群から選択することができる。適切には、プロモーター配列は、LAT(例えばAmyLとしても知られる、バチルス・リケニフォルミス由来のα−アミラーゼプロモーター)、AprL(例えばサブチリシンカールスバーグプロモーター(Carlsberg promoter))、EndoGluc(例えばバチルス・リケニフォルミス由来のグルタミン酸特異的プロモーター)、AmyQ(例えばバチルス・アミロリケファシエンス(B. amyloliquefaciens)アルファ−アミラーゼプロモーター由来のアルファ−アミラーゼプロモーター)及びSacB(例えばバチルス・サブチリスレバンスクラーゼプロモーター)をコードするヌクレオチド配列であってよい。
【0023】
本発明の一実施形態では、プロモーター配列は、アルファアミラーゼプロモーターの−35〜−10配列、好ましくはバチルス・リケニフォルミスα−アミラーゼプロモーターの−35〜−10配列である。「−35〜−10配列」は、転写開始部位に対する位置を示す。「−35」及び「−10」はいずれも、ボックス、即ちいくつかのヌクレオチドであり、それぞれが6個のヌクレオチドを含み、これらのボックスは17個のヌクレオチドで隔てられている。これらの17個のヌクレオチドはしばしば「スペーサー」と呼ばれる。これは図55に図示されており、−35及び−10ボックスに下線が引かれている。誤解を避けるため、「−35〜−10配列」が本明細書で使用される場合、これは−35ボックスの開始から−10ボックスの終わり、即ち−35ボックス、17個のヌクレオチド長スペーサー及び−10ボックスを共に含む配列を指す。
【0024】
いくつかの態様では、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、GDSxモチーフ及び/又はGANDYモチーフを含み得る。
【0025】
好ましくは、脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、アシルトランスフェラーゼ活性を有し、アミノ酸配列モチーフGDSX(Xは、アミノ酸残基L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M又はSの1又は複数である)を含む酵素であることを特徴とする。
【0026】
適切には、本発明のベクター、宿主細胞、方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、1又は複数の以下の属、即ち、アエロモナス、ストレプトマイセス(Streptomyces)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ラクトコッカス(Lactococcus)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、デスルフィトバクテリウム(Desulfitobacterium)、バチルス、カンピロバクター(Campylobacter)、ビブリオナシエ(Vibrionaceae)、キシレラ(Xylella)、スルホロブス(Sulfolobus)、アスペルギルス(Aspergillus)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、リステリア(Listeria)、ナイセリア(Neisseria)、メソリゾビウム(Mesorhizobium)、ラルストニア(Ralstonia)、ザントモナス(Xanthomonas)及びカンジダ(Candida)に属する生物から得ることができ、好ましくは得られる。好ましくは、脂質アシルトランスフェラーゼは、アエロモナス属由来の生物から得ることができ、好ましくは得られる。
【0027】
本発明のいくつかの態様では、本発明のベクター、宿主細胞、方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、配列番号35で示されるアエロモナス・ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila)の脂質アシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列のN−80に対応する位置にアスパラギン酸残基を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。
【0028】
さらに又は別法として、本発明のベクター、宿主細胞、方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、配列番号16で示されるアミノ酸配列、又はこれと75%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み得る脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。適切には、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、配列番号16で示されるアミノ酸配列を含み得る脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。
【0029】
本明細書では用語「異種の」とは、別個の遺伝源又は種に由来する配列を意味する。異種配列は、非宿主配列、修飾配列、異なる宿主細胞株由来の配列、又は宿主細胞の異なる染色体位置由来の相同配列である。
【0030】
「同種」配列は、同じ遺伝源又は種で見出される、即ち宿主細胞の関連種において自然発生する配列である。
【0031】
本明細書では用語「組換え脂質アシルトランスフェラーゼ」とは、脂質アシルトランスフェラーゼが遺伝子組換えにより製造されたことを意味する。例えば、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、クローニングベクターに挿入され、異種の脂質アシルトランスフェラーゼの存在を特徴とするバチルス・リケニフォルミス細胞をもたらす。
【0032】
宿主細胞
本発明の一実施形態では、本発明の方法及び/又は使用に用いる宿主細胞は、バチルス・リケニフォルミス宿主細胞である。
【0033】
バチルス・リケニフォルミス宿主細胞の使用は、バチルス・サブチリスなど他の生物と比べて脂質アシルトランスフェラーゼの発現が増加することが見出されている。
【0034】
アエロモナス・サルモニシダ(Aeromonas salmonicida)由来の脂質アシルトランスフェラーゼは、バチルス・サブチリス、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)及びアスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubigensis)での発現にそれぞれ最適となるように設計された、いくつかの従来の発現ベクターに挿入された。しかし、ハンゼヌラ・ポリモルファ、シゾサッカロミセス・ポンベ及びアスペルギルス・ツビゲンシスでは、きわめて低いレベルのみが検出された。発現レベルは1μg/ml未満であり、量産を始めるのに十分なタンパク質を産出する細胞を検出することはできなかった(結果は示さず)。反対に、バチルス・リケニフォルミスは、経済的に実現可能な生産にとって魅力的なタンパク質レベルを製造することができた。
【0035】
特に、バチルス・リケニフォルミスでの発現は、aprEプロモーター制御下でのバチルス・サブチリスにおける発現より約100倍高く、又はA4プロモーター制御下でのストレプトマイセス・リビダンス(S. lividans)における発現より約100倍高く、セルロースに融合されることが見出された(本明細書では結果は示さず)。
【0036】
別の実施形態では、宿主細胞はバチルス・サブチリス以外のいずれかのバチルス細胞であってよい。好ましくは、前記バチルス宿主細胞は、以下の種、即ち、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・アルカロフィラス(B. alkalophilus)、バチルス・アミロリクエファシエンス(B. amyloliquefaciens)、バチルス・サーキュランス(B. circulans)、バチルス・クラウジ(B. clausii)、バチルス・コアグランス(B. coagulans)、バチルス・フィルムス(B. firmus)、バチルス・ロータス(B. lautus)、バチルス・レンタス(B. lentus)、バチルス・メガテリウム(B. megaterium)、バチルス・プミルス(B. pumilus)又はバチルス・ステアロサーモフィルスの1つに由来する。
【0037】
本発明に関して、用語「宿主細胞」には、本明細書に記載されている脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列又は上述のような発現ベクターのいずれかを含む、本明細書に定義されている特定の特性を有する脂質アシルトランスフェラーゼの組換え生産に使用される、任意の細胞が含まれる。
【0038】
したがって、本発明のさらなる実施形態は、本発明のヌクレオチド配列、又は本明細書に定義されている特定の特性を有するポリペプチドを発現するヌクレオチド配列を含む(例えばヌクレオチド配列で形質転換された又はこれをトランスフェクトされた)宿主細胞を提供する。
【0039】
適切には、いくつかの実施形態では、宿主細胞はプロテアーゼ欠損若しくはプロテアーゼ陰性株、及び/又はα−アミラーゼ欠損若しくはα−アミラーゼ陰性株であってよい。
【0040】
調節配列
いくつかの適用では、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ配列は、選択された宿主細胞(バチルス・リケニフォルミス細胞など)などによって、ヌクレオチド配列の発現を提供することができる調節配列に作動可能に連結することができる。
【0041】
一例として、本発明は、こうした調節配列に作動可能に連結された本発明のヌクレオチド配列を含むベクターを含む。即ち、前記ベクターは発現ベクターである。
【0042】
用語「作動可能に連結された」とは、記載された構成要素が意図された様式で機能することを可能にする関係にある近位を指す。コード配列に「作動可能に連結された」調節配列は、制御配列に適合する条件下で前記コード配列の発現が達成されるように連結(ligate)される。
【0043】
用語「調節配列」には、プロモーター及びエンハンサー及び他の発現調節シグナルが含まれる。
【0044】
用語「プロモーター」は、例えばRNAポリメラーゼ結合部位など、当技術分野の通常の意味で使用される。
【0045】
本明細書に定義されている特定の特性を有する酵素をコードするヌクレオチド配列の発現増強はまた、本来は前記酵素をコードするヌクレオチド配列に対する調節領域ではない、例えばプロモーター領域、分泌リーダー領域及びターミネーター領域などの調節領域を選択して達成することもできる。
【0046】
適切には、本発明のヌクレオチド配列は、少なくともプロモーターに作動可能に連結することができる。
【0047】
適切には、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、ターミネーター配列をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結することができる。本発明のベクター、宿主細胞、方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる適切なターミネーター配列の例には、α−アミラーゼターミネーター配列(例えば、CGGGACTTACCGAAAGAAACCATCAATGATGGTTTCTTTTTTGTTCATAAA(配列番号64))、アルカリプロテアーゼターミネーター配列(例えば、CAAGACTAAAGACCGTTCGCCCGTTTTTGCAATAAGCGGGCGAATCTTACATAAAAATA(配列番号65))、グルタミン酸特異的ターミネーター配列(例えば、ACGGCCGTTAGATGTGACAGCCCGTTCCAAAAGGAAGCGGGCTGTCTTCGTGTATTATTGT(配列番号66))、レバナーゼターミネーター配列(例えば、TCTTTTAAAGGAAAGGCTGGAATGCCCGGCATTCCAGCCACATGATCATCGTTT(配列番号67))及びサブチリシンEターミネーター配列(例えば、GCTGACAAATAAAAAGAAGCAGGTATGGAGGAACCTGCTTCTTTTTACTATTATTG)が含まれる。適切には、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、バチルス・リケニフォルミスα−アミラーゼターミネーターなど、α−アミラーゼターミネーターに作動可能に連結することができる。
【0048】
プロモーター
本発明により使用されるプロモーター配列は、脂質アシルトランスフェラーゼをコードする配列にとって異種又は同種であってよい。
【0049】
前記プロモーター配列は、最適な宿主細胞において脂質アシルトランスフェラーゼの発現を誘導することができる任意のプロモーター配列であってよい。
【0050】
適切には、前記プロモーター配列は、バチルス種、例えばバチルス・リケニフォルミスと同種であってよい。好ましくは、プロモーター配列は最適な宿主細胞と同種である。
【0051】
本発明での使用に適切なプロモーター配列には、バチルス・リケニフォルミスアルファ−アミラーゼ遺伝子のプロモーター、バチルス・リケニフォルミスサブチリシン遺伝子のプロモーター、バチルス・サブチリスサブチリシン遺伝子のプロモーター、バチルス・リケニフォルミスアルカリプロテアーゼ遺伝子(サブチリシンカールスバーグ遺伝子)のプロモーター、バチルス・リケニフォルミスグルタミン酸特異的プロテアーゼ遺伝子のプロモーター、バチルス・アミロリクエファシエンスアルファ−アミラーゼ遺伝子のプロモーター、バチルス・サブチリスレバンスクラーゼのプロモーター、及びアルファ−アミラーゼ遺伝子の「−35」領域に対し配列TTGACAを、「−10」領域に対し配列TATAATを有する「コンセンサス」プロモーター(即ち−35〜−10プロモーター)が含まれる。
【0052】
本発明の方法において核酸配列の転写を誘導するのに適切なプロモーターのその他の例には、バチルス・レンタスアルカリプロテアーゼ遺伝子(aprH)のプロモーター、バチルス・サブチリスアルファ−アミラーゼ遺伝子(amyE)のプロモーター、バチルス・ステアロサーモフィルスマルトジェニック・アミラーゼ遺伝子(amyM)のプロモーター、バチルス・リケニフォルミスペニシリナーゼ遺伝子(penP)のプロモーター、バチルス・サブチリスxylA及びxylB遺伝子のプロモーター、及び/又はバチルス・チューリンゲンシス亜種テネブリオニス(Bacillus thuringiensis subsp. tenebrionis)CryIIIA遺伝子のプロモーターが含まれる。
【0053】
好ましい実施形態では、プロモーター配列はα−アミラーゼプロモーター(バチルス・リケニフォルミスα−アミラーゼプロモーターなど)である。好ましくは、プロモーター配列は、バチルス・リケニフォルミスα−アミラーゼプロモーターの−35〜−10配列を含む(図53及び55参照)。
【0054】
シグナルペプチド
脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列の発現により宿主細胞により生成される脂質アシルトランスフェラーゼは、使用される配列及び/又はベクターに応じて細胞内に分泌又は含有され得る。
【0055】
シグナル配列は、特定の細胞膜を介したコード配列の分泌を誘導するのに使用することができる。シグナル配列は、脂質アシルトランスフェラーゼコード配列に対し天然性又は外来性であってよい。例えば、シグナルペプチドコード配列は、バチルス種由来、好ましくはバチルス・リケニフォルミス由来のアミラーゼ又はプロテアーゼ遺伝子から得ることができる。
【0056】
適切なシグナルペプチドコード配列は、以下の遺伝子、即ち、マルトジェニックα−アミラーゼ遺伝子、サブチリシン遺伝子、ベータ−ラクタマーゼ遺伝子、中性プロテアーゼ遺伝子、prsA遺伝子、及び/又はアシルトランスフェラーゼ遺伝子の1又は複数から得ることができる。
【0057】
好ましくは、シグナルペプチドは、バチルス・リケニフォルミスα−アミラーゼ、アエロモナスアシルトランスフェラーゼ(例えば、mkkwfvcllglialtvqa(配列番号21))、バチルス・サブチリスサブチリシン(例えば、mrskklwisllfaltliftmafsnmsaqa(配列番号22))又はバチルス・リケニフォルミスサブチリシン(例えば、mmrkksfwfgmltafmlvftmefsdsasa(配列番号23))のシグナルペプチドである。適切には、シグナルペプチドは、バチルス・リケニフォルミスα−アミラーゼのシグナルペプチドであってよい。
【0058】
しかし、発現した脂質アシルトランスフェラーゼを選択したバチルス宿主細胞(好ましくはバチルス・リケニフォルミス宿主細胞)の分泌経路に誘導することができる、任意のシグナルペプチドコード配列を用いるのがよい。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態では、シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列は、最適な脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結することができる。
【0060】
最適な脂質アシルトランスフェラーゼは、本明細書に定義されている宿主細胞において融合タンパク質として発現することができる。
【0061】
発現ベクター
用語「発現ベクター」は、インビボ又はインビトロで発現することができる構築物を意味する。
【0062】
好ましくは、発現ベクターは、バチルス・リケニフォルミス宿主などの生物のゲノムに組み込まれる。用語「組み込まれた」は、好ましくはゲノムへの安定な組み込みを含む。
【0063】
本明細書に定義されている脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、調節配列が適切な宿主生物(バチルス・リケニフォルミスなど)にヌクレオチド配列を発現させることができるように、前記ヌクレオチド配列が調節配列に作動可能に連結されているベクターにおいて存在し得る。即ち、ベクターは発現ベクターである。
【0064】
本発明のベクターは、本明細書に定義されている脂質アシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドの発現を提供するため、上述のような適切な宿主細胞に形質転換することができる。
【0065】
例えばプラスミド、コスミド、ウイルス又はファージベクター、ゲノムインサートなど、ベクターの選択は、ベクターが導入される宿主細胞によってしばしば決まる。本発明は、同等の機能を果たす、及び同等の機能である、又は同等の機能になる、当技術分野で既知の、発現ベクターの他の形態を含むことができる。
【0066】
最適な宿主細胞に形質転換されると、前記ベクターは、宿主細胞のゲノムとは無関係に複製及び機能することができ、又はゲノムにそれ自体を組み込むことができる。
【0067】
ベクターは、1又は複数の選択可能なマーカー遺伝子(抗生物質耐性、例えばアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール又はテトラサイクリン耐性を与える遺伝子など)を含有することができる。或いは、選択は、(国際公開第91/17243号パンフレットに記載されている)同時形質転換により実現することができる。
【0068】
ベクターは、例えばRNA生成のためインビトロで使用する、又は宿主細胞をトランスフェクト若しくは形質転換するのに使用することができる。
【0069】
したがって、さらなる実施形態では、本発明は、ヌクレオチド配列を複製可能なベクターに導入し、そのベクターを適合する宿主細胞に導入し、ベクターの複製をもたらす条件下でその宿主細胞を増殖させることにより、本発明のベクター、宿主細胞、他の方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる、本発明のヌクレオチド配列又は本明細書に定義されている特定の特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を作製する方法を提供する。
【0070】
ベクターは、さらに、ベクターの当該宿主細胞での複製を可能にするヌクレオチド配列を含むことができる。こうした配列の例は、プラスミドpUC19、pACYC177、pUB110、pE194、pAMB1及びpIJ702の複製起点である。
【0071】
脂質アシルトランスフェラーゼ
本発明の方法、ベクター及び/又は使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、天然脂質アシルトランスフェラーゼ又は変異体脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。
【0072】
例えば、本発明で用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、国際公開第2004/064537号パンフレット、国際公開第2004/064987号パンフレット、国際公開第2005/066347号パンフレット、又は国際公開第2006/008508号パンフレットに記載されているものであってよい。これらの文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
本明細書では用語「脂質アシルトランスフェラーゼ」は、好ましくは(一般にE.C.2.3.1.x、例えば2.3.1.43に分類される)アシルトランスフェラーゼ活性を有する酵素を意味する。アシルトランスフェラーゼ活性により、酵素はアシル基を脂質から、以下の、即ち、ステロール、スタノール、糖質、タンパク質、タンパク質サブユニット、アスコルビン酸及び/又はグリセロールなどの糖アルコール−好ましくはグリセロール及び/又はコレステロールなどのステロールの1又は複数など、1又は複数のアクセプター基質へ転移させることができる。
【0074】
好ましくは、本発明のベクター、宿主細胞、方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、(本明細書に定義されている)リン脂質からアスコルビン酸及び/又はグリセロールなどの糖アルコール、最も好ましくはグリセロールへアシル基を転移させることができる脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。
【0075】
いくつかの態様では本発明による「アシルアクセプター」は、例えば、グリセロールを含む多価アルコール;ステロール;スタノール;糖質;フルーツ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、及びアスコルビン酸を含むヒドロキシ酸;例えばアミノ酸、タンパク質加水分解物及びペプチド(部分的に加水分解されたタンパク質)などのタンパク質又はこのサブユニット;及びこれらの混合物及び誘導体など、ヒドロキシ基(−OH)を含む任意の化合物であってよい。好ましくは、本発明による「アシルアクセプター」は水ではない。好ましくは、本発明による「アシルアクセプター」は、ポリオール、最も好ましくはグリセロールなどの糖アルコールである。本発明の目的のためにはアスコルビン酸も糖アルコールと見なされる。
【0076】
アシルアクセプターは、好ましくはモノグリセリドではない。
【0077】
アシルアクセプターは、好ましくはジグリセリドではない。
【0078】
一態様では、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、アシル基を脂質からグリセロールへ転移させることができるだけでなく、さらに、アシル基を脂質から以下の、即ち、糖質、タンパク質、タンパク質サブユニット、ステロール及び/又はスタノールの1又は複数へ転移させることもでき得る脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。好ましくは、前記脂質アシルトランスフェラーゼは、アスコルビン酸及び/又はグリセロールなどの糖アルコール、最も好ましくはコレステロール、及び/又は植物ステロール/スタノールなどのステロールの両方へ転移させることができる。
【0079】
好ましくは、脂質アシルが作用する脂質基質は、以下の脂質、即ち、レシチンなどのリン脂質、例えばホスファチジルコリンの1又は複数である。
【0080】
この脂質基質は、本明細書では「脂質アシル供与体」と呼ばれる場合がある。本明細書ではレシチンという用語は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、及びホスファチジルグリセロールを包含する。
【0081】
いくつかの態様では、好ましくは本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、トリグリセリド及び/又は1−モノグリセリド及び/又は2−モノグリセリドに作用することができない、又は作用することが実質的にできない脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。
【0082】
いくつかの態様では、好ましくは本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、トリアシルグリセロールリパーゼ活性(E.C.3.1.1.3)を示さない、又は著しいトリアシルグリセロールリパーゼ活性(E.C.3.1.1.3)を示さない脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。
【0083】
トリグリセリドを加水分解する能力(E.C.3.1.1.3活性)は、リパーゼ活性により決定することができ、オリーブ油及びpH6.5の代わりにヒマワリ油及びpH5.5に修正した食品化学規格(Food Chemical Codex) (3rd Ed., 1981, pp 492-493)により決定される。リパーゼ活性は、リパーゼ単位ヒマワリ(LUS, lipase units sunflower)として測定される(1LUSは、上記アッセイ条件下でヒマワリ油から1分あたり1[mu]molの脂肪酸を放出することができる酵素量として定義される)。或いは国際公開第9845453号パンフレットに定義されているLUTアッセイを使用することができる。この参照は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、トリグリセリドに作用することが実質的にできない、1000未満のLUS/mg、例えば500未満(300未満など)、好ましくは200未満、より好ましくは100未満、より好ましくは50未満、より好ましくは20未満、より好ましくは10未満(5未満、2未満など)、より好ましくは1未満のLUS/mgを有し得る脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。或いはLUT/mg活性は、500未満(300未満など)、好ましくは200未満、より好ましくは100未満、より好ましくは50未満、より好ましくは20未満、より好ましくは10未満(5未満、2未満など)、より好ましくは1未満のLUT/mgである。
【0085】
本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、モノグリセリドに作用することが実質的にできない、LUSアッセイでのヒマワリ油の代わりにモノオレエート(M7765 1−オレオイル−rac−グリセロール 99%)を用いて決定され得る脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。1MGHUは、該アッセイ条件下でモノグリセリドから1分あたり1[mu]molの脂肪酸を放出することができる酵素量として定義される。
【0086】
本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、トリグリセリドに作用することが実質的にできない、5000未満のMGHU/mg、例えば1000未満、例えば500未満(300未満など)、好ましくは200未満、より好ましくは100未満、より好ましくは50未満、より好ましくは20未満、より好ましくは10未満(5未満、2未満など)、より好ましくは1未満のMGHU/mgを有し得る脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。
【0087】
適切には、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、以下のホスホリパーゼ活性、即ち、ホスホリパーゼA2活性(E.C.3.1.1.4)及び/又はホスホリパーゼA1活性(E.C.3.1.1.32)の1又は複数を示し得る脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。前記脂質アシルトランスフェラーゼは、ホスホリパーゼB活性(E.C.3.1.1.5)も有し得る。
【0088】
適切には、いくつかの態様では脂質アシルトランスフェラーゼは、リン脂質から糖アルコール、好ましくはグリセロール及び/又はアスコルビン酸へアシル基を転移させることができ得る。
【0089】
いくつかの態様では、好ましくは本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、リン脂質からステロール及び/又はスタノールへアシル基を転移させて少なくともステロールエステル及び/又はスタノールエステルを形成することができる脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。
【0090】
前記脂質アシルトランスフェラーゼは、脂質からグリセロールなどのポリオール、及び/又はコレステロール若しくは植物ステロール/スタノールなどのステロールへアシル基を転移させることができる。したがって、一実施形態では本発明による「アシルアクセプター」は、グリセロール及び/又はコレステロール若しくは植物ステロール/スタノールであってよい。
【0091】
好ましくは、脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、以下の基準、即ち、
酵素が、エステル転移活性として定義することができるアシルトランスフェラーゼ活性を有し、これにより、脂質アシル供与体の最初のエステル結合のアシル部分が、アシルアクセプター、好ましくはグリセロール又はコレステロールに転移して新たなエステルを形成すること、及び
酵素が、アミノ酸配列モチーフGDSX(Xは、アミノ酸残基L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M又はSの1又は複数である)を含むこと
により特徴づけることができる。
【0092】
好ましくは、GDSXモチーフのXは、L又はYである。より好ましくは、GDSXモチーフのXは、Lである。したがって、好ましくは本発明による酵素は、アミノ酸配列モチーフGDSLを含む。
【0093】
GDSXモチーフは、4つの保存アミノ酸からなる。好ましくは、モチーフ内のセリンは、脂質アシルトランスフェラーゼ酵素の触媒セリンである。適切には、GDSXモチーフのセリンは、Brumlik & Buckley (Journal of Bacteriology Apr. 1996, Vol. 178, No. 7, p 2060-2064)に教示されたアエロモナス・ヒドロフィラ脂質アシルトランスフェラーゼ酵素のSer−16に対応する位置にあってよい。
【0094】
タンパク質が本発明によるGDSXモチーフを有するかどうかを決定するには、配列を、好ましくは、参照により本明細書に組み込まれている、国際公開第2004/064537号パンフレット又は国際公開第2004/064987号パンフレットに教示された手順により、pfamデータベースの隠れマルコフモデルプロファイル(HMM, hidden markov model プロファイル)と比較する。
【0095】
好ましくは、脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、Pfam00657コンセンサス配列を用いて整列させることができる(詳細は国際公開第2004/064537号パンフレット又は国際公開第2004/064987号パンフレット参照)。
【0096】
好ましくは、pfam00657ドメインファミリーの隠れマルコフモデルプロファイル(HMMプロファイル)との正の一致(positive match)は、本発明によるGDSL又はGDSXドメインの存在を示す。
【0097】
好ましくは、Pfam00657コンセンサス配列と整列させた場合、本発明の方法又は使用に用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、少なくとも1個、好ましくは2以上、好ましくは3以上の以下のGDSxブロック、GANDYブロック、HPTブロックを有し得る。適切には、脂質アシルトランスフェラーゼは、GDSxブロック及びGANDYブロックを有し得る。或いは、その酵素はGDSxブロック及びHPTブロックを有し得る。好ましくは、その酵素は、少なくともGDSxブロックを含む。さらなる詳細については、国際公開第2004/064537号パンフレット又は国際公開第2004/064987号パンフレットを参照されたい。
【0098】
好ましくは、GANDYモチーフ残基は、GANDY、GGNDA、GGNDL、最も好ましくはGANDYから選択される。
【0099】
好ましくは、Pfam00657コンセンサス配列と整列させた場合、本発明の方法又は使用に用いる酵素は、参照アエロモナス・ヒドロフィラポリペプチド配列、即ち配列番号1と比べて少なくとも1個、好ましくは2以上、好ましくは3以上、好ましくは4以上、好ましくは5以上、好ましくは6以上、好ましくは7以上、好ましくは8以上、好ましくは9以上、好ましくは10以上、好ましくは11以上、好ましくは12以上、好ましくは13以上、好ましくは14以上、好ましくは15以上の以下のアミノ酸残基、即ち、28hid、29hid、30hid、31hid、32gly、33Asp、34Ser、35hid、130hid、131Gly、132Hid、133Asn、134Asp、135hid、309Hisを有する。
【0100】
pfam00657 GDSXドメインは、このドメインを有するタンパク質を他の酵素と区別する唯一の識別子である。
【0101】
pfam00657コンセンサス配列は、配列番号2として図3に示されている。これは、Pfamファミリー00657、データベースバージョン6(本明細書ではpfam00657.6と呼ばれる場合もある)の同定から得られる。
【0102】
コンセンサス配列は、Pfamデータベースのさらなる発表を用いて更新することができる(例えば国際公開第2004/064537号パンフレット又は国際公開第2004/064987号パンフレット参照)。
【0103】
一実施形態では、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、以下の基準、即ち、
(i)酵素が、エステル転移活性として定義することができるアシルトランスフェラーゼ活性を有し、これにより、脂質アシル供与体の最初のエステル結合のアシル部分が、アシルアクセプター、好ましくはグリセロール又はコレステロールへ転移されて新たなエステル、好ましくはそれぞれモノグリセリドエステル又はコレステロールエステルを形成すること、
(ii)酵素が、アミノ酸配列モチーフGDSX(Xは、アミノ酸残基L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M又はSの1又は複数である)を含むこと、
(iii)酵素がHis−309を含む、又は図2及び4(配列番号1又は配列番号3)に示されたアエロモナス・ヒドロフィラ脂質アシルトランスフェラーゼ酵素のHis−309に対応する位置にヒスチジン残基を含むこと
により特徴づけることができる脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。
【0104】
好ましくは、GDSXモチーフのアミノ酸残基はLである。
【0105】
配列番号3又は配列番号1では、最初の18個のアミノ酸残基はシグナル配列を形成する。完全長配列、即ちシグナル配列を含むタンパク質であるHis−309は、タンパク質の成熟部分、即ちシグナル配列のない配列のHis−291に等しい。
【0106】
一実施形態では、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、以下の触媒3つ組残基(catalytic triad)、即ち、Ser−34、Asp−306及びHis−309を含むか、又は図4(配列番号3)若しくは図2(配列番号1)に示されたアエロモナス・ヒドロフィラ脂質アシルトランスフェラーゼ酵素のSer−34、Asp−306及びHis−309に対応する位置に、それぞれセリン残基、アスパラギン酸残基及びヒスチジン残基を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。上述の通り、配列番号3又は配列番号1に示された配列では、最初の18個のアミノ酸残基はシグナル配列を形成する。完全長配列、即ちシグナル配列を含むタンパク質であるSer−34、Asp−306及びHis−309は、タンパク質の成熟部分、即ちシグナル配列のない配列のSer−16、Asp−288及びHis−291に等しい。Pfam00657コンセンサス配列では、図3(配列番号2)に示されているように、活性部位残基は、Ser−7、Asp−345及びHis−348に相当する。
【0107】
一実施形態では、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、以下の基準、即ち、
酵素が、エステル転移活性として定義することができるアシルトランスフェラーゼ活性を有し、これにより、第1の脂質アシル供与体の最初のエステル結合のアシル部分が、アシルアクセプターへ転移されて新たなエステルを形成すること、及び
酵素が、少なくともGly−32、Asp−33、Ser−34、Asp−134及びHis−309を含む、又は配列番号3若しくは配列番号1に示されたアエロモナス・ヒドロフィラ脂質アシルトランスフェラーゼ酵素の、それぞれGly−32、Asp−33、Ser−34、Asp−306びHis−309に対応する位置にグリシン、アスパラギン酸、セリン、アスパラギン酸及びヒスチジン残基を含むこと
により特徴づけることができる脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。
【0108】
適切には、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、以下のヌクレオチド配列、即ち、
(a)配列番号36で示されるヌクレオチド配列(図29参照)、
(b)配列番号38で示されるヌクレオチド配列(図31参照)、
(c)配列番号39で示されるヌクレオチド配列(図32参照)、
(d)配列番号42で示されるヌクレオチド配列(図35参照)、
(e)配列番号44で示されるヌクレオチド配列(図37参照)、
(f)配列番号46で示されるヌクレオチド配列(図39参照)、
(g)配列番号48で示されるヌクレオチド配列(図41参照)、
(h)配列番号49で示されるヌクレオチド配列(図57参照)、
(i)配列番号50で示されるヌクレオチド配列(図58参照)、
(j)配列番号51で示されるヌクレオチド配列(図59参照)、
(k)配列番号52で示されるヌクレオチド配列(図60参照)、
(l)配列番号53で示されるヌクレオチド配列(図61参照)、
(m)配列番号54で示されるヌクレオチド配列(図62参照)、
(n)配列番号55で示されるヌクレオチド配列(図63参照)、
(o)配列番号56で示されるヌクレオチド配列(図64参照)、
(p)配列番号57で示されるヌクレオチド配列(図65参照)、
(q)配列番号58で示されるヌクレオチド配列(図66参照)、
(r)配列番号59で示されるヌクレオチド配列(図67参照)、
(s)配列番号60で示されるヌクレオチド配列(図68参照)、
(t)配列番号61で示されるヌクレオチド配列(図69参照)、
(u)配列番号62で示されるヌクレオチド配列(図70参照)、
(v)配列番号63で示されるヌクレオチド配列(図71参照)
の1つ、
(w)又は
配列番号36、配列番号38、配列番号39、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62又は配列番号63で示される配列のいずれか1つと70%以上、好ましくは75%以上の同一性を有するヌクレオチド配列
であってよい。
【0109】
適切にはヌクレオチド配列は、配列番号36、配列番号38、配列番号39、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62又は配列番号63で示される配列のいずれか1つと80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上及びさらにより好ましくは95%以上の同一性を有し得る。
【0110】
一実施形態では、脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号62、及び配列番号63で示される配列のいずれか1つと70%以上、好ましくは75%以上の同一性を有するヌクレオチド配列である。適切にはヌクレオチド配列は、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号62、及び配列番号63で示される配列のいずれか1つと80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上及びさらにより好ましくは95%以上の同一性を有し得る。
【0111】
一実施形態では、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、配列番号49で示される配列と70%以上、75%以上、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上及びさらにより好ましくは95%以上の同一性を有するヌクレオチド配列である。
【0112】
適切には、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、以下のアミノ酸配列、即ち、
(i)配列番号3で示されるアミノ酸配列
(ii)配列番号4で示されるアミノ酸配列
(iii)配列番号5で示されるアミノ酸配列
(iv)配列番号6で示されるアミノ酸配列
(v)配列番号7で示されるアミノ酸配列
(vi)配列番号8で示されるアミノ酸配列
(vii)配列番号9で示されるアミノ酸配列
(viii)配列番号10で示されるアミノ酸配列
(ix)配列番号11で示されるアミノ酸配列
(x)配列番号12で示されるアミノ酸配列
(xi)配列番号13で示されるアミノ酸配列
(xii)配列番号14で示されるアミノ酸配列
(xiii)配列番号1で示されるアミノ酸配列
(xiv)配列番号15で示されるアミノ酸配列
の1若しくは複数又は
配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、若しくは配列番号15で示される配列のいずれか1つと75%、80%、85%、90%、95%、98%以上の同一性を有するアミノ酸配列
を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。
【0113】
適切には、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、配列番号3若しくは配列番号4若しくは配列番号1若しくは配列番号15で示されるアミノ酸配列を含む、又は配列番号3で示されるアミノ酸配列、若しくは配列番号4で示されるアミノ酸配列、若しくは配列番号1で示されるアミノ酸配列、若しくは配列番号15で示されるアミノ酸配列と75%以上、好ましくは80%以上、好ましくは85%以上、好ましくは90%以上、好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。
【0114】
適切には、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号1、又は配列番号15で示される配列のいずれか1つと80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上及びさらにより好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。
【0115】
適切には、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、以下のアミノ酸配列、即ち、
(a)配列番号3又は配列番号1のアミノ酸残基1〜100で示されるアミノ酸配列、
(b)配列番号3又は配列番号1のアミノ酸残基101〜200で示されるアミノ酸配列、
(c)配列番号3又は配列番号1のアミノ酸残基201〜300で示されるアミノ酸配列、又は
(d)上記(a)〜(c)に定義されたアミノ酸配列のいずれか1つと75%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列
の1又は複数を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。
【0116】
適切には、本発明の方法及び使用に用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、以下のアミノ酸配列、即ち、
(a)配列番号3又は配列番号1のアミノ酸残基28〜39で示されるアミノ酸配列、
(b)配列番号3又は配列番号1のアミノ酸残基77〜88で示されるアミノ酸配列、
(c)配列番号3又は配列番号1のアミノ酸残基126〜136で示されるアミノ酸配列、
(d)配列番号3又は配列番号1のアミノ酸残基163〜175で示されるアミノ酸配列、
(e)配列番号3又は配列番号1のアミノ酸残基304〜311で示されるアミノ酸配列、又は
(f)上記(a)〜(e)に定義されたアミノ酸配列のいずれか1つと75%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列
の1又は複数を含むことができる。
【0117】
一態様では、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、欧州特許第1275711号に教示されているカンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)由来の脂質アシルトランスフェラーゼであり得る脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。したがって、一態様では本発明の方法及び使用に用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、配列番号17又は配列番号18に教示されたアミノ酸配列の1つを含む脂質アシルトランスフェラーゼであってよい。
【0118】
きわめて好ましくは、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、配列番号16で示されるアミノ酸配列、又は配列番号16と75%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、若しくはさらにより好ましくは98%以上、若しくはさらにより好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシル基転移酵素(lipid acyl transferase)(脂質アシルトランスフェラーゼ(lipid acyltransferase))であり得る脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。この酵素は変異体酵素と見なすことができる。
【0119】
一態様では、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT, lecithin:cholesterol acyltransferase)又はこの変異体(例えば分子進化により作られた変異体)であり得る脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。
【0120】
適切なLCATは、当技術分野で既知であり、以下の生物、例えば、哺乳類、ラット、マウス、ニワトリ、キイロショウジョウバエ、シロイヌナズナ及びイネ(Oryza sativa)を含む植物、線虫、真菌並びに酵母の1又は複数から得ることができる。
【0121】
一実施形態では本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、それぞれ受託番号NICMB 41204及びNCIMB 41205のもとに、2003年12月22日付で、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約下で、Langebrogade 1, DK-1001 Copenhagen K, DenmarkのDanisco A/S社よりNational Collection of Industrial, Marine and Food Bacteria(NCIMB)23 St. Machar Street, Aberdeen Scotland, GBに寄託されたpPet12aAhydro及びpPet12aASalmoを有する大腸菌株TOP 10から得ることができる脂質アシルトランスフェラーゼ、好ましくは得られる脂質アシルトランスフェラーゼであってよい脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。
【0122】
本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、リン脂質グリセロールアシルトランスフェラーゼをコードすることができる。リン脂質グリセロールアシルトランスフェラーゼには、アエロモナス種、好ましくはアエロモナス・ヒドロフィラ又はアエロモナス・サルモニシダ、最も好ましくはアエロモナス・サルモニシダ若しくはこの変異体から単離されたものが含まれる。本発明での使用に最も好ましい脂質アシルトランスフェラーゼは、配列番号1、3、4、15及び16によりコードされている。アシルトランスフェラーゼのシグナルペプチドは、該トランスフェラーゼの発現中に切断されることが好ましいことは、当業者に認識されよう。配列番号1、3、4、15及び16のシグナルペプチドは、アミノ酸1〜18である。したがって最も好ましい領域は、配列番号1及び配列番号3(アエロモナス・ヒドロフィラ)についてはアミノ酸19〜335、並びに配列番号4、配列番号15及び配列番号16(アエロモナス・サルモニシダ)についてはアミノ酸19〜336である。アミノ酸配列の同一性の相同性を決定するのに使用される場合、本明細書で記載されているアラインメントは、成熟配列を使用することが好ましい。
【0123】
したがって相同性(同一性)を決定するのに最も好ましい領域は、配列番号1及び3(アエロモナス・ヒドロフィラ)についてはアミノ酸19〜335、並びに配列番号4、15及び16(アエロモナス・サルモニシダ)についてはアミノ酸19〜336である。配列番号34及び35は、それぞれアエロモナス・ヒドロフィラ及びアエロモナス・サルモニシダ由来の脂質アシルトランスフェラーゼの成熟タンパク質配列である。
【0124】
本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、サーモビフィダ(Thermobifida)、好ましくはサーモビフィダ・フスカ(T. fusca)、最も好ましくは配列番号28によりコードされているものから単離することもできる脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。
【0125】
本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、ストレプトマイセス、好ましくはストレプトマイセス・アベルミチス(S. avermitis)、最も好ましくは配列番号32によりコードされているものから単離することもできる脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。ストレプトマイセス由来の、本発明に用いる可能性のある他の酵素には、配列番号5、6、9、10、11、12、13、14、 31、及び33によりコードされているものが含まれる。
【0126】
本発明に用いる酵素は、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、好ましくはコリネバクテリウム・エフィシエンス(C. efficiens)、最も好ましくは配列番号29によりコードされているものから単離することもできる。
【0127】
適切には、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、配列番号37、38、40、41、43、45若しくは47で示されるアミノ酸配列のいずれか1つ、又はこれらと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%若しくは98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、又は配列番号36、39、42、44、46、若しくは48で示されるヌクレオチド配列のいずれか1つ、又はこれらと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%若しくは98%の同一性を有するヌクレオチド配列によりコードされた、脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。
【0128】
一実施形態では、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードする核配列は、
a)配列番号36に示されるヌクレオチド配列を含む核酸、
b)遺伝子コードの変性により配列番号36のヌクレオチド配列と関連した核酸、及び
c)配列番号36に示されるヌクレオチド配列と少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸
からなる群から選択される。
【0129】
一実施形態では、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、配列番号37に示されるようなアミノ酸配列、又はこれと少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。
【0130】
さらなる実施形態では本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、配列番号37、38、40、41、43、45若しくは47で示されるアミノ酸配列のいずれか1つ、又はこれらのアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%若しくは98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、又は配列番号39、42、44、46若しくは48で示されるヌクレオチド配列のいずれか1つ、又はこれらと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%若しくは98%の同一性を有するヌクレオチド配列によりコードされた脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。
【0131】
さらなる実施形態では本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、配列番号38、40、41、45若しくは47で示されるアミノ酸配列のいずれか1つ、又は本明細書に記載の使用のため該アミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%若しくは98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。
【0132】
さらなる実施形態では本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、本明細書に記載の使用のため、配列番号38、40、若しくは47で示されるアミノ酸配列のいずれか1つ、又は該アミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%若しくは98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。
【0133】
より好ましくは、一実施形態では、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、配列番号47で示されるアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%若しくは98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。
【0134】
別の実施形態では、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、配列番号43又は44で示されるアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%若しくは98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。
【0135】
別の実施形態では、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、配列番号41で示されるアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%若しくは98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。
【0136】
一実施形態では、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、
a)配列番号36に示されるヌクレオチド配列を含む核酸、
b)遺伝子コードの変性により配列番号36のヌクレオチド配列と関連した核酸、及び
c)配列番号36に示されるヌクレオチド配列と少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸
からなる群から選択される。
【0137】
一実施形態では、本発明による脂質アシルトランスフェラーゼは、それぞれ受託番号NICMB 41226及びNCIMB 41227のもとに、2004年6月25日、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約下で、Langebrogade 1, DK-1001 Copenhagen K, DenmarkのDanisco A/S社よりNational Collection of Industrial, Marine and Food Bacteria(NCIMB)23 St. Machar Street, Aberdeen Scotland, GBに寄託されたストレプトマイセス株L130又はL131から得ることができ、好ましくは得られる脂質アシルトランスフェラーゼであってよい。
【0138】
本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードする適切なヌクレオチド配列は、脂質アシルトランスフェラーゼ(配列番号16)をコードするポリヌクレオチドをコードすることができ、又は脂質アシルトランスフェラーゼ(配列番号17)のアミノ酸配列をコードすることができる。
【0139】
本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードする適切なヌクレオチド配列は、デフォルト設定によるVectorNTIのClustal WペアワイズアラインメントアルゴリズムのAlign Xを用いて、L131(配列番号37)配列とのアラインメントにより同定することができるアミノ酸配列をコードすることができる。
【0140】
L131のアラインメント並びにストレプトマイセス・アベルミチリス(S. avermitilis)及びサーモビフィダ・フスカ由来の相同体は、GDSxモチーフ(L131及びストレプトマイセス・アベルミチリス及びサーモビフィダ・フスカにおけるGDSY)、GGNDA又はGGNDLのいずれかであるGANDYボックス、及びHPTブロック(保存された触媒ヒスチジンと考えられる)の保存を示す。これらの3つの保存ブロックは、図42にハイライトされている。
【0141】
pfamのPfam00657コンセンサス配列(国際公開第04/064987号パンフレットに記載されている)及び/又は本明細書に開示されたL131配列(配列番号37)のいずれかと整列させた場合、3つの保存領域である、GDSxブロック、GANDYブロック及びHTPブロックを同定することができる(さらなる詳細は国際公開第04/064987号パンフレット参照)。
【0142】
pfamのPfam00657コンセンサス配列(国際公開第04/064987号パンフレットに記載されている)及び/又は本明細書に開示されたL131配列(配列番号37)のいずれかと整列させた場合、
i)本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、GDSxモチーフ、より好ましくはGDSL又はGDSYモチーフから選択されるGDSxモチーフを有する脂質アシルトランスフェラーゼをコードし得、
且つ/又は
ii)本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、GANDYブロック、より好ましくはアミノ基GGNDx、より好ましくはGGNDA又はGGNDLを含むGANDYブロックを有する脂質アシルトランスフェラーゼをコードし得、
且つ/又は
iii)本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、好ましくはHTPブロックを有する脂質アシルトランスフェラーゼをコードし、
好ましくは、
iv)本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、好ましくはGDSx又はGDSYモチーフ、及びアミノ基GGNDx、好ましくはGGNDA又はGGNDLを含むGANDYブロック、及びHTPブロック(保存されたヒスタジン)を有する脂質アシルトランスフェラーゼをコードし得る。
【0143】
変異体脂質アシルトランスフェラーゼ
好ましい実施形態では本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、変異体脂質アシルトランスフェラーゼである脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。
【0144】
リン脂質に対する加水分解活性の増加及び/又はトランスフェラーゼ活性の増加、好ましくはトランスフェラーゼ活性の増加など、リン脂質に対する活性が増加した変異体を使用することができる。
【0145】
好ましくは変異体脂質アシルトランスフェラーゼは、上記に定義されている脂質アシルトランスフェラーゼの1又は複数のアミノ酸修飾により調製される。
【0146】
適切には、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列が、変異体脂質アシルトランスフェラーゼであってよい脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができるとき、この場合酵素は、酵素がアミノ酸配列モチーフGDSXを含むことを特徴とすることができる。ここで、Xは、アミノ酸残基L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M又はSの1又は複数であり、変異体酵素は、(国際公開第2005/066347号パンフレット及び以下に定義されている)セット2又はセット4又はセット6又はセット7に規定されたアミノ酸残基のいずれか1又は複数において、親配列と比べて1又は複数のアミノ酸修飾を含む。
【0147】
例えば変異体脂質アシルトランスフェラーゼは、酵素がアミノ酸配列モチーフGDSXを含むことを特徴とすることができる。ここで、Xは、アミノ酸残基L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M又はSの1又は複数であり、変異体酵素は、本明細書に定義されたP10480の構造モデルと構造的に整列された親配列(好ましくは国際公開第2005/066347号パンフレット及び以下に定義されている1IVN.PDB及び/又は1DEO.PDBとのP10480結晶構造座標の構造アラインメントにより得られる)により同定される、(国際公開第2005/066347号パンフレット及び以下に定義されている)セット2又はセット4又はセット6又はセット7に詳述されたアミノ酸残基のいずれか1又は複数において、前記親配列と比べて1又は複数のアミノ酸修飾を含む。
【0148】
さらなる実施形態では本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、酵素がアミノ酸配列モチーフGDSXを含むことを特徴とすることができる変異体脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。ここで、Xは、アミノ酸残基L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M又はSの1又は複数であり、変異体酵素は、親配列が、pfamコンセンサス配列(配列番号2−図3)と整列され、並びに国際公開第2005/066347号パンフレット及び以下に定義されているように最も一致した重複を確保するためP10480の構造モデルにより修飾された場合に同定されるセット2に教示されたアミノ酸残基のいずれか1又は複数において、前記親配列と比べて1又は複数のアミノ酸修飾を含む。
【0149】
適切には本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、配列番号34との配列アラインメントにより同定される、(国際公開第2005/066347号パンフレット及び以下に定義されている)セット2又はセット4又はセット6又はセット7に規定されたアミノ酸残基のいずれか1又は複数における1又は複数のアミノ酸修飾を除き、アミノ酸配列が、配列番号34、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号19、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号1、配列番号15、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号32、又は配列番号33で示される、アミノ酸配列を含み得る変異体脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードすることができる。
【0150】
或いは、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、本明細書に定義されたP10480の構造モデルと構造的に整列させた前記親配列(好ましくは国際公開第2005/066347号パンフレット及び以下に教示されている1IVN.PDB及び/又は1DEO.PDBとのP10480結晶構造座標の構造アラインメントにより得られる)により同定される、国際公開第2005/066347号パンフレット及び以下に定義されているセット2又はセット4又はセット6又はセット7に規定されたアミノ酸残基のいずれか1又は複数における1又は複数のアミノ酸修飾を除き、アミノ酸配列が、配列番号34、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号19、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号1、配列番号15、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号32、又は配列番号33で示される、アミノ酸配列を含む変異体脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードすることができる。
【0151】
或いは、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、前記親配列が、pfamコンセンサス配列(配列番号2)と整列され、並びに国際公開第2005/066347号パンフレット及び以下に教示されているように最も一致した重複を確保するためP10480の構造モデルにより修飾された場合に同定されるセット2に教示されたアミノ酸残基のいずれか1又は複数における1又は複数のアミノ酸修飾を除き、アミノ酸配列が、配列番号34、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号19、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号1、配列番号15、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号32、又は配列番号33で示される、アミノ酸配列を含む変異体脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードすることができる。
【0152】
好ましくは、親酵素は、配列番号34及び/又は配列番号15及び/又は配列番号35で示されるアミノ酸配列を含む、又はそれと相同である酵素である。
【0153】
好ましくは、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、国際公開第2005/066347号パンフレット及び以下に定義されているセット2又はセット4又はセット6又はセット7に規定されたアミノ酸残基のいずれか1又は複数における1又は複数のアミノ酸修飾を除き、アミノ酸配列が、配列番号34、配列番号35で示される、アミノ酸配列を含む変異体酵素をコードすることができる。
【0154】
セットの定義
アミノ酸セット1:
アミノ酸セット1(これらは1IVNでのアミノ酸であることに注意−図53及び図54)
Gly8、Asp9、Ser10、Leu11、Ser12、Tyr15、Gly44、Asp45、Thr46、Glu69、Leu70、Gly71、Gly72、Asn73、Asp74、Gly75、Leu76、Gln106、Ile107、Arg108、Leu109、Pro110、Tyr113、Phe121、Phe139、Phe140、Met141、Tyr145、Met151、Asp154His157、Gly155、Ile156、Pro158
【0155】
GDSx及び触媒残基など、高度に保存されたモチーフは、セット1から除外された(下線を引いた残基)。重複を避けるため、セット1は、1IVNモデルの活性部位におけるグリセロールの中心炭素原子から10Å以内にあるアミノ酸残基を規定する。
【0156】
アミノ酸セット2:
アミノ酸セット2(アミノ酸の番号付けはP10480成熟配列でのアミノ酸を指すことに注意)
Leu17、Lys22、Met23、Gly40、Asn80、Pro81、Lys82、Asn87、Asn88、Trp111、Val112、Ala114、Tyr117、Leu118、Pro156、Gly159、Gln160、Asn161、Pro162、Ser163、Ala164、Arg165、Ser166、Gln167、Lys168、Val169、Val170、Glu171、Ala172、Tyr179、His180、Asn181、Met209、Leu210、Arg211、Asn215、Lys284、Met285、Gln289及びVal290。
【0157】
【表1】


【0158】
アミノ酸セット3:
アミノ酸セット3はセット2と同一であるが、アエロモナス・サルモニシダ(配列番号4)コード配列を指し、即ちアミノ酸残基番号数は、セット3では18多い。これは、シグナル配列(配列番号25)を含むタンパク質に比べた成熟タンパク質(配列番号34)でのアミノ酸番号付け間の差を反映するためである。
【0159】
アエロモナス・サルモニシダGDSX(配列番号4)及びアエロモナス・ヒドロフィラGDSX(配列番号34)の成熟タンパク質は、5つのアミノ酸において異なる。これらは、Thr3Ser、Gln182Lys、Glu309Ala、Ser310Asn、及びGly318−であり、サルモニシダ残基が最初に挙げられ、ヒドロフィラ残基は最後に挙げられている。ヒドロフィラタンパク質は317アミノ酸長のみであり、318位の残基を欠いている。アエロモナス・サルモニシダGDSXは、アエロモナス・ヒドロフィラタンパク質よりもガラクトリピド基質などの極性脂質に対しかなり高い活性を有する。すべての5つのアミノ酸位置に対し部位スキャニングが行われた。
【0160】
アミノ酸セット4:
アミノ酸セット4は、S3、Q182、E309、S310、及び−318である。
【0161】
アミノ酸セット5:
F13S、D15N、S18G、S18V、Y30F、D116N、D116E、D157N、Y226F、D228N Y230F。
【0162】
アミノ酸セット6:
アミノ酸セット6は、Ser3、Leu17、Lys22、Met23、Gly40、Asn80、Pro81、Lys82、Asn87、Asn88、Trp111、Val112、Ala114、Tyr117、Leu118、Pro156、Gly159、Gln160、Asn161、Pro162、Ser163、Ala164、Arg165、Ser166、Gln167、Lys168、Val169、Val170、Glu171、Ala172、Tyr179、His180、Asn181、Gln182、Met209、Leu210、Arg211、Asn215、Lys284、Met285、Gln289、Val290、Glu309、Ser310、−318である。
【0163】
セット6でのアミノ酸の番号付けは、P10480(配列番号25)におけるアミノ酸残基を指し、即ち他の配列骨格(sequence backbone)での対応するアミノ酸は、P10480及び/又は1IVNとの相同性アラインメント及び/又は構造アラインメントにより決定することができる。
【0164】
アミノ酸セット7:
アミノ酸セット7は、Ser3、Leu17、Lys22、Met23、Gly40、Asn80、Pro81、Lys82、Asn87、Asn88、Trp111、Val112、Ala114、Tyr117、Leu118、Pro156、Gly159、Gln160、Asn161、Pro162、Ser163、Ala164、Arg165、Ser166、Gln167、Lys168、Val169、Val170、Glu171、Ala172、Tyr179、His180、Asn181、Gln182、Met209、Leu210、Arg211、Asn215、Lys284、Met285、Gln289、Val290、Glu309、Ser310、−318、Y30X(Xは、A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、又はWから選択される)、Y226X(Xは、A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、又はWから選択される)、Y230X(Xは、A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、又はWから選択される)、S18X(Xは、A、C、D、E、F、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、W又はYから選択される)、D157X(Xは、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W又はYから選択される)である。
【0165】
セット7でのアミノ酸の番号付けは、P10480(配列番号25)におけるアミノ酸残基を指し、即ち他の配列骨格での対応するアミノ酸は、P10480及び/又は1IVNとの相同性アラインメント及び/又は構造アラインメントにより決定することができる。
【0166】
適切には、変異体酵素は、親酵素と比べて以下のアミノ酸修飾、即ち
S3E、A、G、K、M、Y、R、P、N、T又はG
E309Q、R又はA、好ましくはQ又はR
−318Y、H、S又はY、好ましくはY
の1又は複数を含む。
【0167】
好ましくは、GDSXモチーフのXはLである。したがって、好ましくは、親酵素はアミノ酸配列モチーフGDSLを含む。
【0168】
適切には、前記最初の親脂質アシルトランスフェラーゼは、以下のアミノ酸配列、即ち、配列番号34、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号19、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号1、配列番号15、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号32又は配列番号33のいずれか1つを含むことができる。
【0169】
適切には、前記第2の関連した脂質アシルトランスフェラーゼは、以下のアミノ酸配列、即ち、配列番号3、配列番号34、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号19、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号1、配列番号15、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号32又は配列番号33のいずれか1つを含むことができる。
【0170】
変異体酵素は、親酵素と比べて少なくとも1つのアミノ酸修飾を含まなければならない。いくつかの実施形態では、変異体酵素は、親酵素と比べて少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つ、好ましくは少なくとも6つ、好ましくは少なくとも7つ、好ましくは少なくとも8つ、好ましくは少なくとも9つ、好ましくは少なくとも10のアミノ酸修飾を含むことができる。
【0171】
本明細書で特定のアミノ酸残基を指す場合、番号付けは、配列番号34又は配列番号35で示される参照配列との変異体配列のアラインメントから得られるものである。
【0172】
一態様では、好ましくは、変異体酵素は以下のアミノ酸置換、即ち、
S3A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、又はY;及び/又は
L17A、C、D、E、F、G、H、I、K、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
S18A、C、D、E、F、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、W、又はY;及び/又は
K22A、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
M23A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
Y30A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、又はW;及び/又は
G40A、C、D、E、F、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
N80A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
P81A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
K82A、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
N87A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
N88A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
W111A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY;及び/又は
V112A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、又はY;及び/又は
A114C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
Y117A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、又はW;及び/又は
L118A、C、D、E、F、G、H、I、K、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
P156A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
D157A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
G159A、C、D、E、F、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
Q160A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
N161A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
P162A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
S163A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、又はY;及び/又は
A164C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
R165A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、S、T、V、W、又はY;及び/又は
S166A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、又はY;及び/又は
Q167A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
K168A、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
V169A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、又はY;及び/又は
V170A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、又はY;及び/又は
E171A、C、D、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
A172C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
Y179A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、又はW;及び/又は
H180A、C、D、E、F、G、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
N181A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
Q182A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W、又はY、好ましくはK;及び/又は
M209A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
L210A、C、D、E、F、G、H、I、K、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
R211A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
N215A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
Y226A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、又はW;及び/又は
Y230A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はW;及び/又は
K284A、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
M285A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
Q289A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
V290A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、又はY;及び/又は
E309A、C、D、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
S310A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、又はY
の1又は複数を含む。
【0173】
それに加えて、又はその代わりに、1又は複数のC末端伸長があり得る。好ましくは追加のC末端伸長は、1又は複数の脂肪族アミノ酸、好ましくは非極性アミノ酸、より好ましくはI、L、V又はGを含む。したがって、本発明はさらに、以下のC末端伸長、即ち、318I、318L、318V、318Gの1又は複数を含む変異体酵素を提供する。
【0174】
好ましい変異体酵素は、ホスファチジルコリン(PC,phosphatidylcholine)などのリン脂質に対する加水分解活性が低下している場合があり、リン脂質からのトランスフェラーゼ活性も増加している場合がある。
【0175】
好ましい変異体酵素は、ホスファチジルコリン(PC)などのリン脂質からのトランスフェラーゼ性が増加している場合があり、リン脂質に対する加水分解活性も増加している場合がある。
【0176】
以下の残基の1又は複数の修飾は、リン脂質に対する絶対トランスフェラーゼ活性が増加する変異体酵素をもたらし得る:
S3、D157、S310、E309、Y179、N215、K22、Q289、M23、H180、M209、L210、R211、P81、V112、N80、L82、N88;N87
【0177】
リン脂質からのトランスフェラーゼ活性が改善する変異体酵素を提供し得る特定の好ましい修飾は、以下の、即ち、
S3A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W又はY;好ましくはN、E、K、R、A、P又はM、最も好ましくはS3A
D157A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはD157S、R、E、N、G、T、V、Q、K又はC
S310A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W又はY;好ましくはS310T〜318E
E309A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W又はY;好ましくはE309R、E、L、R又はA
Y179A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はW;好ましくはY179D、T、E、R、N、V、K、Q又はS、より好ましくはE、R、N、V、K又はQ
N215A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはN215S、L、R又はY
K22A、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはK22E、R、C又はA
Q289A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W又はY;好ましくはQ289R、E、G、P又はN
M23A、C、D、E、F、G、H、I、K、L N、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはM23K、Q、L、G、T又はS
H180A、C、D、E、F、G、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはH180Q、R又はK
M209A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはM209Q、S、R、A、N、Y、E、V又はL
L210A、C、D、E、F、G、H、I、K、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはL210R、A、V、S、T、I、W又はM
R211A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、S、T、V、W又はY;好ましくはR211T
P81A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはP81G
V112A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W又はY;好ましくはV112C
N80A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはN80R、G、N、D、P、T、E、V、A又はG
L82A、C、D、E、F、G、H、I、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはL82N、S又はE
N88A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはN88C
N87A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはN87M又はG
の1又は複数から選択することができる。
【0178】
以下の残基の1又は複数の好ましい修飾は、リン脂質に対する絶対トランスフェラーゼ活性が増加する変異体酵素をもたらす:
S3N、R、A、G
M23K、Q、L、G、T、S
H180R
L82G
Y179E、R、N、V、K又はQ
E309R、S、L又はA
【0179】
1つの好ましい修飾は、N80Dである。これは特に、参照配列(配列番号35)を骨格として用いた場合に当てはまる。したがって、参照配列は、配列番号16であってよい。この修飾は、1又は複数のさらなる修飾と組み合わせることができる。したがって本発明の好ましい実施形態では、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、配列番号35、又は配列番号35と75%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上、若しくはより好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。
【0180】
上述の通り、本明細書で特定のアミノ酸残基に言及する場合、番号付けは、配列番号34又は配列番号35で示される参照配列との変異体配列のアラインメントから得られたものである。
【0181】
きわめて好ましくは、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、配列番号16で示されるアミノ酸配列、又は配列番号16と75%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上、若しくはより好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質をコードすることができる。この酵素は変異体酵素と見なすことができる。
【0182】
本発明の目的では、同一性の程度は、同一である配列要素の数に基づく。アミノ酸配列に関する、本発明による同一性の程度は、適切にはVector NTI 10(Invitrogen Corp.社製)など、当技術分野で既知のコンピュータプログラムにより決定することができる。ペアワイズアラインメントに用いられるスコアは、好ましくはギャップオープンペナルティーを10.0、及びギャップ伸長ペナルティーを0.1としたBLOSUM62である。
【0183】
適切には、アミノ酸配列に関する同一性の程度は、少なくとも20個の隣接するアミノ酸で、好ましくは少なくとも30個の隣接するアミノ酸で、好ましくは少なくとも40個の隣接するアミノ酸で、好ましくは少なくとも50個の隣接するアミノ酸で、好ましくは少なくとも60個の隣接するアミノ酸で決定される。
【0184】
適切には、アミノ酸配列に関する同一性の程度は、配列全体で決定することができる。
【0185】
適切には、本発明による脂質アシルトランスフェラーゼ/脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、以下の属、即ち、アエロモナス、ストレプトマイセス、サッカロミセス、ラクトコッカス、マイコバクテリウム、ストレプトコッカス、ラクトバチルス、デスルフィトバクテリウム、バチルス、カンピロバクター、ビブリオナシエ、キシレラ、スルホロブス、アスペルギルス、シゾサッカロミセス、リステリア、ナイセリア、メソリゾビウム、ラルストニア、ザントモナス、カンジダ、サーモビフィダ及びコリネバクテリウムの1又は複数から得ることができてよく、好ましくは得られてよい。
【0186】
適切には、本発明による脂質アシルトランスフェラーゼ/脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、以下の生物、即ち、アエロモナス・ヒドロフィラ、アエロモナス・サルモニシダ、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・リモサス(Streptomyces rimosus)、マイコバクテリウム、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトマイセス・サーモサッカリ(Streptomyces thermosacchari)、ストレプトマイセス・アベルミチリス、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、デスルフィトバクテリウム・デハロゲナンス(Desulfitobacterium dehalogenans)、バチルス種、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、ビブリオナシエ、キシレラ・ファスティディオサ(Xylella fastidiosa)、スルホロブス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、シゾサッカロミセス・ポンベ、リステリア・イノキュア(Listeria innocua)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitides)、メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)、ラルストニア・ソラナセラム(Ralstonia solanacearum)、ザントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)、ザントモナス・アクソノポディス(Xanthomonas axonopodis)、カンジダ・パラプシロシス、サーモビフィダ・フスカ及びコリネバクテリウム・エフィシエンスの1又は複数から得ることができてよく、好ましくは得られてよい。
【0187】
一態様では、好ましくは、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、1又は複数のアエロモナス種、アエロモナス・ヒドロフィラ又はアエロモナス・サルモニシダから得ることができ、好ましくは得られ又は由来する。
【0188】
本発明による脂質アシルトランスフェラーゼとして機能する酵素は、国際公開第2004/064537号パンフレットの実施例12に教示されたアッセイを用いて一般的な方法で同定することができる。約95%というきわめて高い含水量があるこのアッセイを用いると、本発明による脂質アシルトランスフェラーゼ/脂質アシル基転移酵素は、少なくとも2%のアシルトランスフェラーゼ活性(相対トランスフェラーゼ活性)、好ましくは少なくとも5%の相対トランスフェラーゼ活性、好ましくはなくとも10%の相対トランスフェラーゼ活性、好ましくは少なくとも15%、20%、25%、26%、28%、30%、40%、50%、60%又は75%の相対トランスフェラーゼ活性を有するものである。
【0189】
ホスホリパーゼは、低水分環境(water environment)ではアシル−トランスフェラーゼ酵素として作用することができる。したがって、食用油又は脂肪の改変過程が低水分環境で起こる場合、リン脂質アシルトランスフェラーゼ酵素の代わりに、又はリン脂質アシルトランスフェラーゼ酵素に加えて、ホスホリパーゼ酵素を用いることができると考えられる。
【0190】
本明細書では用語「高い含水量」は、3%を超える、好ましくは4%を超える、5%を超える、6%を超える、7%を超える、8%を超える、9%を超える、10%を超える、20%を超える、30%を超える、40%を超える、50%を超える、60%を超える、70%を超える、80%を超える又は90%を超える含水量を有する任意の基質又は食品を意味する。
【0191】
本明細書では用語「低い含水量」は、3%未満、好ましくは2%未満、1%未満、0.5%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満、又は0.01%未満の含水量を有する任意の基質又は食品を意味する。
【0192】
誤解を避けるため、乳汁は高水分環境であるのに対し乳脂肪は低水分環境である。
【0193】
本発明に用いる適切なホスホリパーゼには、ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2、又はホスホリパーゼBが含まれる。ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2、又はホスホリパーゼBは、脂質アシルトランスフェラーゼ活性と協調して使用することもできる。ホスホリパーゼC及び/又はDは、国際公開第2005/089562号パンフレットと同様に、脂質アシルトランスフェラーゼ活性/ホスホリパーゼA1、A2及び/又はB活性と協調して使用することもできる。好ましいホスホリパーゼには、国際公開第2004/97012号パンフレット(Novozymes/Chr. Hansen)に開示されたLecitase TM、即ちフザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)及びチューバー・アルビドゥム(Tuber albidum)ホスホリパーゼなどのホスホリパーゼA2を含めることができる。フザリウム・ベネナツムホスホリパーゼは、MAX YIELD(商標)としてNovozymes社より販売されている。
【0194】
単離
一態様では、本発明の方法は、脂質アシルトランスフェラーゼを回収する/単離する追加のステップを含む。したがって、製造された脂質アシルトランスフェラーゼは、単離された形態にあってよい。
【0195】
別の態様では、本発明に用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、単離された形態にあってよい。
【0196】
用語「単離された」は、配列又はタンパク質が天然には自然に結合する、及び天然に見出されるような、少なくとも1つの他の成分を、配列又はタンパク質が実質的に含まないことを意味する。
【0197】
精製
一態様では、本発明の方法は、脂質アシルトランスフェラーゼを精製する追加のステップを含む。
【0198】
別の態様では、本発明に用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、精製された形態にあってよい。
【0199】
用語「精製された」は、配列が比較的純粋な状態(例えば少なくとも約51%純粋、又は少なくとも約75%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%純粋、又は少なくとも約95%純粋又は少なくとも約98%純粋)にあることを意味する。
【0200】
本発明によるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のクローニング
本明細書に定義されている特定の特性を有するポリペプチド、又は修飾に適したポリペプチドのいずれかをコードするヌクレオチド配列は、前記ポリペプチドを生成する任意の細胞又は生物から単離することができる。ヌクレオチド配列を単離する様々な方法が当技術分野で知られている。
【0201】
例えば、ゲノムDNA及び/又はcDNAライブラリーは、ポリペプチドを生成する生物由来の染色体DNA又はメッセンジャーRNAを用いて構築することができる。ポリペプチドのアミノ酸配列が既知である場合、標識されたオリゴヌクレオチドプローブを合成及び使用して、該生物から調製されたゲノムライブラリーから、ポリペプチドをコードするクローンを同定することができる。或いは、別の既知のポリペプチド遺伝子と相同な配列を含有する標識されたオリゴヌクレオチドプローブを使用して、ポリペプチドをコードするクローンを同定することができる。後者の場合、ストリンジェンシーがより低いハイブリダイゼーション及び洗浄の条件が使用される。
【0202】
或いは、ポリペプチドをコードするクローンは、プラスミドなどの発現ベクターにゲノムDNA断片を挿入し、得られたゲノムDNAライブラリーで酵素陰性細菌を形質転換し、次いでポリペプチドにより阻害される酵素を含有する寒天に形質転換細菌をプレーティングし、これによってポリペプチドを発現するクローンの同定を可能にすることにより同定することができる。
【0203】
さらなる代替法では、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、確立された標準的方法、例えばBeucage S. L. et al (1981) Tetrahedron Letters 22, p 1859-1869により記載されたホスホラミダイト方法、又はMatthes et al (1984) EMBO J. 3, p 801-805に記載された方法により合成的に調製することができる。ホスホロアミダイト方法では、オリゴヌクレオチドは、合成され(例えば自動DNA合成機で)、精製され、アニールされ、ライゲートされ及び適切なベクター中でクローニングされる。
【0204】
ヌクレオチド配列は、標準的技術により、合成起源、ゲノム起源、又はcDNA起源(必要に応じて)の断片をライゲートして調製された、混合ゲノム及び合成起源、混合合成及びcDNA起源、又は混合ゲノム及びcDNA起源であり得る。ライゲートされた各断片は、ヌクレオチド配列全体の様々な部分に対応する。DNA配列は、例えば米国特許第4,683,202号又はSaiki R K et al (Science (1988) 239, pp 487-491)に記載されているように、特定のプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR, polymerase chain reaction)により調製することもできる。
【0205】
ヌクレオチド配列
本発明は、本明細書に定義されている特定の特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を包含することもできる。本明細書では用語「ヌクレオチド配列」は、オリゴヌクレオチド配列又はポリヌクレオチド配列、並びに変異体、相同体、断片及びこれらの誘導体(これらの部分など)を指す。ヌクレオチド配列は、ゲノム起源又は合成起源又は組換え起源であってよく、センス鎖に相当しようとアンチセンス鎖に相当しようと2本鎖又は1本鎖であってよい。
【0206】
本発明との関連では用語「ヌクレオチド配列」には、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA、及びRNAが含まれる。好ましくはヌクレオチド配列は、コード配列のDNA、より好ましくはcDNAを意味する。
【0207】
好ましい実施形態では、本明細書に定義されている特定の特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列自体は、天然環境中の天然ヌクレオチド配列が、天然では連結する同じく天然環境中の配列に結合している場合の天然ヌクレオチド配列を対象としない。参照を容易にするため、本発明者らはこの好ましい実施形態を「非天然(non-native)ヌクレオチド配列」と呼ぶ。この点で、用語「天然(native)ヌクレオチド配列」は、天然の環境にあるヌクレオチド配列全体を意味し、自然に結合されるプロモーター全体に作動可能に連結される場合、そのプロモーターも天然の環境にある。したがって、本発明のポリペプチドは、天然生物中のヌクレオチド配列により発現することができるが、ヌクレオチド配列は、前記生物中で自然に結合されるプロモーターの制御下にはない。
【0208】
好ましくはポリペプチドは、天然ポリペプチドではない。この点で、用語「天然ポリペプチド」は、天然の環境にある、及び該ペプチドがこの天然ヌクレオチド配列により発現された場合の、ポリペプチド全体を意味する。
【0209】
典型的には、本明細書に定義されている特定の特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、組換えDNA技術(即ち組換えDNA)を用いて調製される。しかし、本発明の別の実施形態では、ヌクレオチド配列は、当技術分野で周知の化学的方法を用いて、全体的に又は部分的に合成することができる(Caruthers MH et al (1980) Nuc Acids Res Symp Ser 215-23及びHorn T et al (1980) Nuc Acids Res Symp Ser 225-232参照)。
【0210】
分子進化
酵素をコードするヌクレオチド配列が単離され、又は酵素をコードする推定ヌクレオチド配列が同定された後、選択されたヌクレオチド配列を修飾することが望ましい場合があり、例えば本発明による酵素を調製するために配列を変異させることが望ましい場合がある。
【0211】
変異は、合成オリゴヌクレオチドを用いて導入することができる。これらのオリゴヌクレオチドは、所望の変異部位に隣接するヌクレオチド配列を含有する。
【0212】
適切な方法は、Morinaga et al (Biotechnology (1984) 2, p646-649)に開示されている。酵素をコードするヌクレオチド配列に変異を導入する別の方法は、Nelson and Long (Analytical Biochemistry (1989), 180, p 147-151)に記載されている。
【0213】
上述されたような部位特異的変異誘発の代わりに、例えばStratagene社製GeneMorph PCR変異誘発キット、又はClontech社製Diversify PCRランダム変異誘発キットなどの市販のキットを用いて、変異をランダムに導入することができる。欧州特許第0 583 265号は、PCRベースの変異誘発を最適化する方法に言及する。これは、欧州特許第0 866 796号に記載されたものなど変異原性DNAアナログの使用と組み合わせることもできる。エラープローンPCR技術は、好ましい特徴を有する脂質アシルトランスフェラーゼ変異体の製造に適している。国際公開第0206457号パンフレットは、リパーゼの分子進化に言及する。
【0214】
新規配列を得る第3の方法は、任意の数の制限酵素又はDnase Iなどの酵素を用いて同一でないヌクレオチド配列を断片化し、機能タンパク質をコードする完全なヌクレオチド配列を再構築することである。或いは、完全ヌクレオチド配列の再構築中に、1又は複数の同一でないヌクレオチド配列を使用し、変異を導入することもできる。DNAシャッフリング及びファミリーシャッフリング技術は、好ましい特徴を有する脂質アシルトランスフェラーゼ変異体の製造に適している。「シャッフリング」を実施する適切な方法は、欧州特許第0 752 008号、欧州特許第1 138 763号、欧州特許第1 103 606号に見出すことができる。シャッフリングは、米国特許第6,180,406号及び国際公開第01/34835号パンフレットに記載されているDNA変異誘発の別の形態と組み合わせることもできる。
【0215】
したがって、多数の部位特異的又はランダム突然変異を、インビボ又はインビトロでヌクレオチド配列中に製造し、続いて、コードされたポリペプチドの機能性の改善を様々な手段によりスクリーニングすることができる。インシリコ及びエキソ媒介(exo mediated)組換え方法(国際公開第00/58517号パンフレット、米国特許第6,344,328号、米国特許第6,361,974号参照)を用いて、例えば、製造された変異体が、既知の酵素又はタンパク質に対してきわめて低い相同性を保持する場所で、分子進化を実施することができる。これにより得られたこのような変異体は、既知のトランスフェラーゼ酵素と著しい構造類似性を有し得るが、きわめて低いアミノ酸配列相同性を有し得る。
【0216】
非限定的な例として、さらに、ポリヌクレオチド配列の変異又は天然変異体は、新たな変異体を生成するため、野生型又は他の変異又は天然変異体と組換えることができる。このような新たな変異体をスクリーニングすることによっても、コードされたポリペプチドの機能性の向上を調べることができる。
【0217】
上述の及び類似した分子進化方法を適用することにより、タンパク質構造又は機能が事前にわからなくても、好ましい特徴を有する本発明の酵素変異体の同定及び選択を可能になり、予測できない有益な変異又は変異体の製造が可能になる。酵素活性を最適化又は変更するのに、当技術分野には分子進化の多くの適用例がある。このような例には、以下の、即ち、宿主細胞又はインビトロでの最適化された発現及び/又は活性、酵素活性の増加、基質及び/又は生成物特異性の変化、酵素又は構造安定性の増加又は減少、好ましい環境条件(例えば温度、pH、基質)での酵素活性/特異性の変化の1又は複数が含まれるが、これらに限定されない。
【0218】
当業者には明らかなように、分子進化ツールを用いて酵素を変化させ酵素の機能性を向上させることができる。
【0219】
適切には、本発明に用いられる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、変異体脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができ、即ち、該脂質アシルトランスフェラーゼは、親酵素と比べて少なくとも1個のアミノ酸置換、欠失又は付加を含有することができる。酵素変異体は、親酵素と少なくとも1%、2%、3%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、99%の相同性を保持する。適切な親酵素は、エステラーゼ又はリパーゼ活性を有する任意の酵素が含まれ得る。好ましくは、親酵素は、pfam00657コンセンサス配列と整列させる。
【0220】
好ましい実施形態では、変異体脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、GDSx、GANDY及びHPTブロックに見出されるpfam00657コンセンサス配列アミノ酸残基の少なくとも1又は複数を保持し、又は包含する。
【0221】
水性環境では脂質アシルトランスフェラーゼ活性がない又は低いリパーゼなどの酵素は、分子進化ツールを用いて変異させトランスフェラーゼ活性を導入又は増大させることができ、これにより本発明の組成物及び方法で用いるのに適切な著しいトランスフェラーゼ活性を有する脂質アシルトランスフェラーゼ酵素を製造することができる。
【0222】
適切には、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、親酵素と比べて極性脂質、好ましくはリン脂質及び/又は糖脂質に対する酵素活性が増大した変異体であることができる脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。好ましくは、このような変異体はまた、リゾ極性脂質に対する活性が低い、又は活性を持たない。極性脂質、リン脂質及び/又は糖脂質に対する活性増大は、加水分解活性及び/若しくはトランスフェラーゼ活性又は両方の組合せの結果であり得る。
【0223】
変異体脂質アシルトランスフェラーゼは、親酵素と比べてトリグリセリド、及び/又はモノグリセリド及び/又はジグリセリドに対する活性が低下する場合がある。
【0224】
適切には変異体酵素は、トリグリセリド及び/又はモノグリセリド及び/又はジグリセリドに対する活性を持たない場合がある。
【0225】
或いは、変異体酵素は、トリグリセリドに対する活性が増加する場合があり、及び/又は以下の、極性脂質、リン脂質、レシチン、ホスファチジルコリン、糖脂質、ジガラクトシルモノグリセリド、モノガラクトシルモノグリセリドの1若しくは複数に対する活性も増加する場合がある。
【0226】
脂質アシルトランスフェラーゼの変異体は既知であり、このような変異体の1又は複数は、本発明による方法及び使用、並びに/又は本発明による酵素組成物に用いるのに適切な場合がある。一例にすぎないが、脂質アシルトランスフェラーゼの変異体は、以下の参考文献に記載されており、本発明により使用することができる:Hilton & Buckley J Biol. Chem. 1991 Jan 15: 266 (2): 997-1000; Robertson et al J. Biol. Chem. 1994 Jan 21; 269 (3): 2146-50; Brumlik et al J. Bacteriol 1996 Apr; 178 (7): 2060-4; Peelman et al Protein Sci. 1998 Mar; 7 (3): 587-99。
【0227】
アミノ酸配列
本発明はまた、本発明の宿主細胞、ベクター、方法及び/又は使用のいずれか1つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列も包含する。
【0228】
本明細書では、用語「アミノ酸配列」は用語「ポリペプチド」及び/又は用語「タンパク質」と同義である。いくつかの例では、用語「アミノ酸配列」は用語「ペプチド」と同義である。
【0229】
アミノ酸配列は、適切なソースから調製/単離することができ、又は合成することができ又は組換えDNA技術を用いて調製することができる。
【0230】
適切には、アミノ酸配列は、標準的技術により本明細書に教示された単離ポリペプチドから得ることができる。
【0231】
単離ポリペプチドからアミノ酸配列を決定する1つの適切な方法は以下の通りである。
【0232】
精製ポリペプチドは凍結乾燥させることができ、凍結乾燥した材料100μgは、8Mの尿素及び0.4Mの炭酸水素アンモニウム、pH8.4の混合物50μlに溶解させることができる。溶解したタンパク質は、窒素で覆い、45mMのジチオスレイトール5μlを添加した後に、50℃で15分間変性させ、還元させることができる。室温に冷却後、100mMのヨードアセトアミド5μlを添加し、窒素下暗所で室温で15分間システイン残基を誘導体化することができる。
【0233】
水135μl、及びエンドプロテアーゼLys−C5μgの水溶液5μlを上記の反応混合物に添加することができ、窒素下37℃で24時間消化を行うことができる。
【0234】
得られたペプチドは、溶媒A:0.1%TFA水溶液及び溶媒B:0.1%TFAのアセトニトリル溶液を用いて、VYDAC C18カラム(0.46×15cm;10μm;The Separation Group社製, California, USA)で、逆相HPLCにより分離することができる。選択されたペプチドは、N末端の配列決定前に、同じ溶媒系を用いてDevelosil C18カラムで再度クロマトグラフにかけることができる。配列決定は、製造者(Applied Biosystems社, California, USA)の指示に従いパルス液体高速サイクルによりApplied Biosystems 476A配列決定装置を用いて行うことができる。
【0235】
配列同一性又は配列相同性
本明細書では、用語「相同体」は、対象アミノ酸及び対象ヌクレオチド配列と特定の相同性を有する実体を意味する。本明細書では、用語「相同性」は、「同一性」と見なすことができる。
【0236】
相同なアミノ酸配列及び/又はヌクレオチド配列は、機能活性を保持し、且つ/又は酵素活性を高めるポリペプチドを提供及び/又はコードする。
【0237】
本文脈では、相同配列は、対象配列に少なくとも75、85又は90%同一、好ましくは少なくとも95又は98%同一であることができるアミノ酸配列を含むと解釈される。典型的には、相同体は、対象アミノ酸配列と同じ活性部位等を含む。相同性は、類似性の観点から考えることもできるが(即ち類似の化学的特性/機能を有するアミノ酸残基)、本発明の文脈では配列同一性の観点から相同性を表現することが好ましい。
【0238】
本文脈では、相同配列は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(対象配列)に少なくとも75、85又は90%同一、好ましくは少なくとも95又は98%同一であることができるヌクレオチド配列を含むと解釈される。典型的には、相同体は、活性部位等をコードする、対象配列と同じ配列を含む。相同性は、類似性の観点から考えることもできるが(即ち類似の化学的特性/機能を有するアミノ酸残基)、本発明の文脈では配列同一性の観点から相同性を表現することが好ましい。
【0239】
相同性比較は、目視、又はより通常は、容易に入手できる配列比較プログラムの助けを借りて行うことができる。これらの市販のコンピュータプログラムは、2つ以上の配列間の%相同性を計算することができる。
【0240】
%相同性は、隣接配列、即ち他の配列と整列した1つの配列で計算することができ、一方の配列における各アミノ酸は、他方の配列における対応するアミノ酸と、1回に1残基が直接比較される。これは、「ギャップなし(ungapped)」アラインメントと呼ばれる。典型的には、このようなギャップなしアラインメントは、比較的短い残基数で行われる。
【0241】
これはきわめて単純及び一貫した方法であるが、例えば、1つの挿入又は欠失があると、これ以外は同一の配列対では、続くアミノ酸残基がアラインメントから押し出される原因になることを考慮しておらず、したがってグローバルアラインメントが行われる場合、%相同性が大きく低下する可能性がある。この結果、ほとんどの配列比較方法は、全体の相同性スコアを過度に損なうことなく、起こり得る挿入及び欠失を考慮する最適なアラインメントをもたらすように設計されている。これは、配列アラインメントに「ギャップ」を挿入して局所の相同性を最大化するようにすることで実現される。
【0242】
しかし、これらのより複雑な方法は、同じ数の同一のアミノ酸では、できるだけギャップの少ない配列アラインメントが、(2つの比較される配列間の高い関連性を反映して)ギャップが多いものより高いスコアを達成するように、アラインメントに生じる各ギャップに対し「ギャップペナルティー」を割り当てる。典型的には、ギャップの存在に対しては比較的高いコストを、該ギャップ中の後続の各残基に対してはより小さいペナルティーを科す「アフィンギャップコスト」が使用される。これは、最も一般的に使用されるギャップスコアリングシステムである。高いギャップペナルティーは、当然のことながらギャップのより少ない最適なアラインメントをもたらす。ほとんどのアラインメントプログラムは、ギャップペナルティーを修正することができる。しかし、配列比較にこのようなソフトウェアを用いる場合は、デフォルト値を用いることが好ましい。
【0243】
したがって、最大%相同性の計算は、ギャップペナルティーを考慮しつつ、最適なアラインメントを行うことが先ず必要である。このようなアラインメントを実施するのに適したコンピュータプログラムは、Vector NTI(Invitrogen Corp.社製)である。配列比較を行うことができる他のソフトウェアの例には、BLASTパッケージ(Ausubel et al 1999 Short Protocols in Molecular Biology, 4thEd - Chapter 18参照)及びFASTA(Altschul et al 1990 J. Mol. Biol. 403-410)が含まれるが、これらに限定されない。BLAST及びFASTAはいずれも、オンライン及びオフライン検索で利用可能である(Ausubel et al 1999, pages 7-58 to 7-60参照)。しかし、いくつかの適用では、Vector NTIプログラムを用いることが好ましい。BLAST 2 Sequenceと呼ばれる新規のツールも、タンパク質及びヌクレオチド配列を比較するのに利用可能である(FEMS Microbiol Lett 1999 174 (2): 247-50;FEMS Microbiol Lett 1999 177 (1): 187-8及びtatiana@ncbi.nlm.nih.gov参照)。
【0244】
最終%相同性は、同一性の観点から測定することができるが、アラインメントプロセス自体は、典型的には絶対的な一対比較には基づかない。代わりに、化学的類似性又は進化距離に基づきペアワイズ比較ごとにスコアを割り合てる、相対的な(scaled)類似性スコアマトリックスが一般的に用いられる。このような一般に使用されるマトリックスの例は、BLOSUM62マトリックス(BLASTプログラムスイート用のデフォルトマトリックス)である。Vector NTIプログラムは、一般に、公開デフォルト値、又は提供されていればカスタムシンボル比較表を使用する(さらなる詳細はユーザマニュアル参照)。いくつかの適用では、Vector NTIパッケージ用のデフォルト値を使用することが好ましい。
【0245】
或いは、パーセンテージ相同性は、CLUSTAL(Higgins DG & Sharp PM (1988), Gene 73 (1), 237-244)に類似したアルゴリズムに基づき、Vector NTI(Invitrogen Corp.社製)の複数のアラインメント機能を用いて計算することもできる。
【0246】
ソフトウェアが最適なアラインメントを作成した後、%相同性、好ましくは%配列同一性を計算することができる。ソフトウェアは、典型的には、これを配列比較の一環として行い、数値結果を生成する。
【0247】
配列同一性を決定する場合は、ギャップペナルティーを使用すべきであり、次いで、好ましくは以下のパラメータがペアワイズアラインメントに使用される:
【0248】
【表2】

【0249】
【表3】

【0250】
一実施形態では、好ましくはヌクレオチド配列の配列同一性は、上記に定義されているギャップペナルティー及びギャップ伸長セットによりCLUSTALを用いて決定される。
【0251】
適切には、ヌクレオチド配列に関する同一性の程度は、少なくとも20個の隣接するヌクレオチドで、好ましくは少なくとも30個の隣接するヌクレオチドで、好ましくは少なくとも40個の隣接するヌクレオチドで、好ましくは少なくとも50個の隣接するヌクレオチドで、好ましくは少なくとも60個の隣接するヌクレオチドで、好ましくは少なくとも100個の隣接するヌクレオチドで決定される。
【0252】
適切には、ヌクレオチド配列に関する同一性の程度は、配列全体で決定することができる。
【0253】
一実施形態では本発明によるアミノ酸配列同一性の程度は、適切にはVector NTI 10(Invitrogen Corp.社製)など、当技術分野で既知のコンピュータプログラムにより決定することができる。ペアワイズアラインメントに用いられるマトリックスは、好ましくはギャップオープンペナルティーを10.0、及びギャップ伸長ペナルティーを0.1としたBLOSUM62である。
【0254】
適切には、アミノ酸配列に関する同一性の程度は、少なくとも20個の隣接するアミノ酸で、好ましくは少なくとも30個の隣接するアミノ酸で、好ましくは少なくとも40個の隣接するアミノ酸で、好ましくは少なくとも50個の隣接するアミノ酸で、好ましくは少なくとも60個の隣接するアミノ酸で決定される。
【0255】
適切には、アミノ酸配列に関する同一性の程度は、配列全体で決定することができる。
【0256】
配列は、サイレント変化を生じ、機能的に同等の物質をもたらすアミノ酸残基の欠失、挿入又は置換を有することもできる。意図的なアミノ酸置換は、物質の第2の結合活性が保持される限り、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性及び/又は両親媒性的性質における類似性に基づき実施することができる。例えば、負に帯電したアミノ酸には、アスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれ、正に帯電したアミノ酸には、リジン及びアルギニンが含まれ、並びに類似した親水性値を有する、非帯電極性頭部基を有するアミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、及びチロシンが含まれる。
【0257】
保存的置換は、例えば以下の表に従って行うことができる。2列目の同じブロック、及び好ましくは3列目の同じ行のアミノ酸を互いに置換することができる。
【0258】
【表4】

【0259】
本発明はまた、生じ得る相同置換(置換及び交換(replacement)は、いずれも本明細書では、代わりの残基との既存のアミノ酸残基の交換を意味するのに使用される)、即ち塩基性には塩基性、酸性には酸性、極性には極性などの同種(like-for-like)置換も包含する。非相同置換、即ち1つの残基クラスから別の残基クラスへの置換、或いはオルニチン(以後、Zと呼ぶ)、ジアミノ酪酸オルニチン(以後、Bと呼ぶ)、ノルロイシンオルニチン(以後、Oと呼ぶ)、ピリイルアラニン(pyriylalanine)、チエニルアラニン、ナフチルアラニン及びフェニルグリシンなどの非天然アミノ酸の包含を伴う置換も生じ得る。
【0260】
交換は非天然アミノ酸によっても行うことができる。
【0261】
変異体アミノ酸配列には、グリシン、又はβ−アラニン残基などのアミノ酸スペーサーのほか、メチル、エチル又はプロピル基などのアルキル基を含む配列の、任意の2個のアミノ酸残基間に挿入することができる適切なスペーサー基を含み得る。さらなる変異の形態は、ペプトイド型での1又は複数のアミノ酸残基の存在を含み、当業者には十分に理解されよう。誤解を避けるため、「ペプトイド型」は、α−炭素置換基が、α−炭素ではない残基の窒素原子上にある変異体アミノ酸残基を指すのに使用される。ペプトイド型のペプチドを調製する工程は、当技術分野で知られている(例えば、Simon RJ et al., PNAS (1992) 89 (20), 9367-9371及びHorwell DC, Trends Biotechnol. (1995) 13 (4), 132-134)。
【0262】
本発明で用いるヌクレオチド配列、又は本明細書に定義された特定の特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列には、合成又は修飾ヌクレオチドが含まれ得る。オリゴヌクレオチドに対するいくつかの異なるタイプの修飾が当技術分野で知られている。これらには、メチルホスホネート及びホスホロチオエート骨格、並びに/又は分子の3’及び/若しくは5’末端でのアクリジン鎖又はポリリジン鎖の付加が含まれる。本発明の目的では、本明細書に記載されたヌクレオチド配列は、当技術分野で利用可能な任意の方法により修飾できることを理解されたい。このような修飾は、ヌクレオチド配列のインビボ活性を高める、又は寿命を延ばすために実施することができる。
【0263】
本発明は、本明細書で論じられた配列、又は任意の誘導体、断片若しくはこれらの誘導体に相補的であるヌクレオチド配列の使用も包含する。配列がこれらの断片に相補的である場合、配列は、他の生物における類似したコード配列を同定するのにプローブとして使用することができる。
【0264】
本発明の配列に100%相同ではないが、本発明の範囲内にあるポリヌクレオチドは、いくつかの方法で得ることができる。本明細書に記載された配列の他の変異体は、例えば、様々な個体、例えば異なる集団由来の個体から作製されたDNAライブラリーをプローブして得ることができる。加えて、他の変異体/細菌、又は細胞相同体、特に哺乳類細胞(例えばラット、マウス、ウシ及びサル細胞)で見出される細胞相同体を得ることができ、このような相同体及びこの断片は、一般に、本明細書の配列リストに示された配列に選択的にハイブリダイズすることができる。このような配列は、他の動物種から作製されたcDNAライブラリー又は他の動物種由来のゲノムDNAライブラリーをプローブすること、及び中〜高ストリンジェンシー条件下で、添付配列リストのいずれか1つの配列の全部又は一部を含むプローブによりこのようなライブラリーを探索することで得ることができる。同様の考慮は、本発明のポリペプチド又はヌクレオチド配列の種相同体及び対立遺伝子変異体を得ることに当てはまる。
【0265】
変異体及び株/種相同体は、本発明の配列内の保存アミノ酸配列をコードする、変異体及び相同体内の配列を標的にするように設計されたプライマーを使用する縮重PCRにより得ることもできる。保存配列は、例えば、いくつかの変異体/相同体由来のアミノ酸配列を整列させて予測することができる。配列アラインメントは、当技術分野で既知のコンピュータソフトウェアを用いて実施することができる。例えばGCG Wisconsin PiIeUpプログラムが幅広く使用されている。
【0266】
縮重PCRで使用されるプライマーは、1又は複数の縮重位置を含有し、既知の配列に対し単一の配列プライマーで配列をクローニングするのに使用されるものより低いストリンジェンシー条件で使用されるであろう。
【0267】
或いは、このようなポリヌクレオチドは、特徴づけられた配列の部位特異的変異誘発により得ることができる。これは、例えばサイレントなコドン配列変化が、ポリヌクレオチド配列を発現している特定の宿主細胞に対するコドン選択を最適化するのに必要とされる場合に、有用となり得る。制限ポリペプチド認識部位を導入する、或いはポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチドの特性又は機能を変更するのに、他の配列変化が望まれる場合もある。
【0268】
本発明のポリヌクレオチド(ヌクレオチド配列)は、プライマー(例えば選択的増幅反応用プライマーであるPCRプライマー)、プローブ(例えば放射性又は非放射性標識を用いる従来の手段による顕示標識(revealing label)で標識された)を生成するのに使用することができ、又はポリヌクレオチドはベクターにクローニングすることができる。このようなプライマー、プローブ及び他の断片は、少なくとも15、好ましくは少なくとも20、例えば少なくとも25、30又は40ヌクレオチド長であり、これらもまた、本明細書では本発明のポリヌクレオチドという用語により包含される。
【0269】
本発明によるDNAポリヌクレオチドなどのポリヌクレオチド及びプローブは、組換え、合成、又は当業者に利用可能な任意の手段により製造することができる。これらは、標準的技術によりクローニングすることもできる。
【0270】
一般に、プライマーは、1回に1ヌクレオチドという所望の核酸配列の段階的な製造を含む合成手段により製造されるであろう。自動化技術を用いてこれを実現する方法は、当技術分野で容易に利用可能である。
【0271】
より長いポリヌクレオチドは、一般的に組換え手段により、例えばPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)クローニング技術により製造される。これは、クローニングが望まれる脂質標的配列の領域に隣接するプライマー対(例えば約15〜30ヌクレオチドの)を作製すること、該プライマーを動物又はヒト細胞から得られたmRNA又はcDNAと接触させること、所望の領域の増幅をもたらす条件下でポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、増幅された断片を単離(例えばアガロースゲルで反応混合物を精製して)すること、及び増幅されたDNAを回収することを含む。プライマーは、増幅されたDNAを適切なクローニングベクターにクローニングできるように、適切な制限酵素認識部位を含有するように設計することができる。
【0272】
ハイブリダイゼーション
本発明はまた、本発明の配列に相補的な配列、又は本発明の配列若しくはこれに相補的な配列にハイブリダイズできる配列も包含する。
【0273】
本明細書では用語「ハイブリダイゼーション」には、「核酸鎖が塩基対合を介して相補鎖と連結するプロセス」、及びポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)技術で実施されるような増幅プロセスが含まれるものとする。
【0274】
本発明はまた、本明細書で論じられた対象配列、又は任意の誘導体、断片若しくはこれらの誘導体に相補的である配列にハイブリダイズできるヌクレオチド配列の使用も包含する。
【0275】
本発明はまた、本明細書で論じられたヌクレオチド配列にハイブリダイズできる配列に相補的である配列も包含する。
【0276】
ハイブリダイゼーション条件は、Berger and Kimmel (1987, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology, Vol. 152, Academic Press, San Diego CA)に教示されている、ヌクレオチド結合複合体の融解温度(Tm)に基づいており、以下に説明されるような定義された「ストリンジェンシー」を付与する。
【0277】
最大ストリンジェンシーは、典型的には約Tm−5℃(プローブのTmより5℃低い温度)で、高ストリンジェンシーはTmより約5℃〜10℃低い温度で、中ストリンジェンシーはTmより約10℃〜20℃低い温度で、及び低ストリンジェンシーはTmより約20℃〜25℃低い温度で生じる。当業者には理解されるように、最大ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、同一のヌクレオチド配列を同定又は検出するのに使用することができるのに対し、中(又は低)ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、類似の又は関係するポリヌクレオチド配列を同定又は検出するのに使用することができる。
【0278】
好ましくは、本発明は、本明細書に定義されている特定の特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に、高ストリンジェンシー条件又は中ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズできる配列に相補的である配列を包含する。
【0279】
より好ましくは、本発明は、本明細書に定義されている特定の特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に、高ストリンジェントな条件下(例えば65℃及び0.1×SSC{1×SSC=0.15M NaCl、0.015M Na−クエン酸 pH7.0})でハイブリダイズできる配列に相補的である配列を包含する。
【0280】
本発明はまた、(本明細書で論じられた配列の相補配列も含めて)本明細書で論じられたヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列にも関する。
【0281】
本発明はまた、(本明細書で論じられた配列の相補配列も含めて)本明細書で論じられたヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができる配列に相補的であるヌクレオチド配列にも関する。
【0282】
中〜最大ストリンジェンシー条件下、本明細書で論じられたヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド配列も、本発明の範囲内に含まれる。
【0283】
好ましい態様では、本発明は、ストリンジェントな条件下(例えば50℃及び0.2×SSC)、本明細書で論じられたヌクレオチド配列又はこの補体にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を含む。
【0284】
より好ましい態様では、本発明は、高ストリンジェントな条件下(例えば65℃及び0.1×SSC)、本明細書で論じられたヌクレオチド配列又はこの補体にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を含む。
【0285】
ポリペプチドの発現
本発明に用いるヌクレオチド配列、又は本明細書に定義されている特定の特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、複製可能な組換えベクターに組み込むことができる。ベクターは、適合した宿主細胞中で及び/又は宿主細胞から、ポリペプチドの形態で、ヌクレオチド配列を複製し、発現させるのに使用することができる。発現は、プロモーター/エンハンサー及び他の発現調節シグナルを含む制御配列を用いて制御することができる。原核生物プロモーター、及び真核細胞で機能するプロモーターを使用することができる。組織特異的又は刺激特異的プロモーターを使用することができる。上述の2つ以上の異なるプロモーター由来の配列要素を含むキメラプロモーターも使用することができる。
【0286】
ヌクレオチド配列の発現により宿主組換え細胞により生成されたポリペプチドは、使用される配列及び/又はベクターに応じて分泌されてよく、又は細胞内に含有されてよい。コード配列は、特定の原核又は真核細胞膜を介して物質コード配列の分泌を誘導するシグナル配列により設計することができる。
【0287】
構築物
「結合体」、「カセット」及び「ハイブリッド」などの用語と同義である用語「構築物」は、プロモーターに直接又は間接的に結合した、本発明により用いる、本明細書に定義されている特定の特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。間接結合の例は、プロモーター及び本発明のヌクレオチド配列の中間にある、イントロン配列(Sh1−イントロン又はADHイントロンなど)などの適切なスペーサー基の提供である。同じことが、本発明に関して用語「融合された」にも当てはまり、直接又は間接結合を含む。いくつかのケースでは、これらの用語は、これらがどちらも自然環境にある場合、通常は野生型遺伝子プロモーターに関連するタンパク質をコードするヌクレオチド配列の自然の組合せを含まない。
【0288】
構築物は、遺伝子構築物の選択を可能にするマーカーを含有する、又は発現することもできる。
【0289】
いくつかの適用では、好ましくは構築物は、少なくとも本発明のヌクレオチド配列、又はプロモーターに作動可能に連結された、本明細書に定義されている特定の特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0290】
生物
本発明に関して用語「生物」は、本発明によるヌクレオチド配列、又は本明細書に定義されている特定の特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、及び/又はこれらから得られる生成物を含み得る任意の生物を含む。
【0291】
本発明に関して用語「トランスジェニック生物」は、本明細書に定義されている特定の特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、及び/若しくはこれから得られる生成物を含む、並びに/又はプロモーターが、本明細書に定義されている特定の特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の生物内での発現を可能にすることができる、任意の生物を含む。好ましくは、ヌクレオチド配列は、生物のゲノムに組み込まれる。
【0292】
用語「トランスジェニック生物」は、自然環境での配列が、同じく自然環境にある天然プロモーターの制御下にある場合、その配列をコードする天然ヌクレオチドを含まない。
【0293】
したがって、本発明のトランスジェニック生物には、本明細書に定義されている特定の特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、本明細書に定義されている構築物、本明細書に定義されているベクター、本明細書に定義されているプラスミド、本明細書に定義されている細胞、若しくはこれらの生成物のいずれか1つ又は組合せを含む生物が含まれる。例えば、トランスジェニック生物は、脂質アシルトランスフェラーゼを天然にコードする配列には関連のないプロモーターの制御下で、本明細書に定義されている特定の特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むこともできる。
【0294】
宿主細胞/生物の形質転換
原核生物宿主の形質転換に関する教示は、当技術分野では十分に記載されており、例えば、Sambrook et al (Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition, 1989, Cold Spring Harbor Laboratory Press)を参照されたい。原核生物宿主が使用される場合、ヌクレオチド配列は、イントロン除去によるなど、形質転換前に適切に修飾する必要があり得る。
【0295】
バチルス種の形質転換に関しては様々な方法が知られている。
【0296】
分泌
ポリペプチドは、発現宿主から、酵素をより容易に回収することができる培養培地に分泌されることが望ましい場合が多い。本発明によれば、分泌リーダー配列は、所望の発現宿主に基づき選択することができる。ハイブリッドシグナル配列も、本発明の文脈で使用することができる。
【0297】
脂質アシルトランスフェラーゼを天然にコードするヌクレオチド配列には関連のない、分泌リーダー配列の典型例は、真菌のアミログルコシダーゼ(AG, amyloglucosidase)遺伝子(例えばアスペルギルス由来のglaA−18及び24アミノ酸型)、α−因子遺伝子(酵母、例えばサッカロミセス、クルイベロミセス(Kluyveromyces)及びハンゼヌラ)又はα−アミラーゼ遺伝子(バチルス)に由来するものである。
【0298】
検出
アミノ酸配列発現を検出及び測定する様々なプロトコルが当技術分野で知られている。例には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA, enzyme-linked immunosorbent assay)、放射性免疫アッセイ(RIA, radioimmunoassay)及び蛍光活性化細胞選別法(FACS, fluorescent activated cell sorting)が含まれる。
【0299】
多種多様な標識及び結合技術が当業者に知られており、様々な核酸及びアミノ酸アッセイで使用することができる。
【0300】
Pharmacia Biotech社(Piscataway, NJ)、Promega社(Madison, Wl)、及びUS Biochemical Corp社(Cleveland, OH)などいくつかの会社が、これらの手順のための市販のキット及びプロトコルを供給している。
【0301】
適切なレポーター分子又は標識には、放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発光剤、又は発色剤、並びに基質、補因子、阻害剤、磁性粒子などが含まれる。このような標識の使用を教示している特許には、米国特許第3,817,837号、米国特許第3,850,752号、米国特許第3,939,350号、米国特許第3,996,345号、米国特許第4,277,437号、米国特許第4,275,149号及び米国特許第4,366,241号が含まれる。
【0302】
同様に、組換え免疫グロブリンは、米国特許第4,816,567号に示されているように製造することができる。
【0303】
融合タンパク質
本発明の方法では、脂質アシルトランスフェラーゼは、融合タンパク質として生成して、例えばこの抽出及び精製に役立つことができる。融合タンパク質パートナーの例には、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、6×His、GAL4(DNA結合及び/又は転写活性化ドメイン)及びβ−ガラクトシダーゼが含まれる。融合タンパク質配列の除去を可能にするため、融合タンパク質パートナーと所望のタンパク質配列との間にタンパク質分解性切断部位を含めることも好都合となり得る。好ましくは、融合タンパク質は、タンパク質配列の活性を妨げない。
【0304】
大腸菌での遺伝子融合発現系は、Curr. Opin. Biotechnol. (1995) 6 (5): 501-6に概説されている。
【0305】
本発明の別の実施形態では、本明細書に定義されている特定の特性を有するポリペプチドのアミノ酸配列は、非天然配列にライゲートして融合タンパク質をコードすることができる。例えば、物質の活性に影響することができる薬剤に関してペプチドライブラリーをスクリーニングするには、市販抗体により認識される非天然エピトープを発現するキメラ物質をコードすることが有用であり得る。
【0306】
本発明を、これより、以下の図及び実施例を単なる例として参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0307】
【図1】Asn80Aspの変異を有する変異体アエロモナス・サルモニシダ成熟脂質アシルトランスフェラーゼ(GCAT)のアミノ酸配列を示す(特に、アミノ酸80は成熟配列にある)(配列番号16)図である。
【図2】アエロモナス・ヒドロフィラ(ATCC #7965)由来の脂質アシルトランスフェラーゼであるアミノ酸配列(配列番号1)を示す図である。
【図3】データベースバージョン6からのpfam00657コンセンサス配列(配列番号2)を示す図である。
【図4】生物アエロモナス・ヒドロフィラ(P10480;GI:121051)から得られるアミノ酸配列(配列番号3)を示す図である。
【図5】生物アエロモナス・サルモニシダ(AAG098404;GI:9964017)から得られるアミノ酸配列(配列番号4)を示す図である。
【図6】生物ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)(Genbank受託番号NP_631558)から得られるアミノ酸配列(配列番号5)を示す図である。
【図7】生物ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)(Genbank受託番号:CAC42140)から得られるアミノ酸配列(配列番号6)を示す図である。
【図8】生物サッカロミセス・セレビシエ(Genbank受託番号P41734)から得られるアミノ酸配列(配列番号7)を示す図である。
【図9】生物ラルストニア(Genbank受託番号:AL646052)から得られるアミノ酸配列(配列番号8)を示す図である。
【図10】配列番号9 Scoe1 NCBIタンパク質受託コードCAB39707.1 Gl:4539178の保存された仮想タンパク質[ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)]を示す図である。
【図11】配列番号10 Scoe2 NCBIタンパク質受託コードCAC01477.1 Gl:9716139の保存された仮想タンパク質[ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)]で示されるアミノ酸を示す図である。
【図12】アミノ酸配列(配列番号11)Scoe3 NCBIタンパク質受託コードCAB88833.1 Gl:7635996の推定分泌タンパク質[ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)]を示す図である。
【図13】アミノ酸配列(配列番号12)Scoe4 NCBIタンパク質受託コードCAB89450.1 Gl:7672261の推定分泌タンパク質[ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)]を示す図である。
【図14】アミノ酸配列(配列番号13)Scoe5 NCBIタンパク質受託コードCAB62724.1 Gl:6562793の推定リポタンパク質[ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)]を示す図である。
【図15】アミノ酸配列(配列番号14)Srim1 NCBIタンパク質受託コードAAK84028.1 Gl:15082088のGDSL−リパーゼ[ストレプトマイセス・リモサス]を示す図である。
【図16】アエロモナス・サルモニシダ亜種サルモニシダ(Aeromonas salmonicida subsp. Salmonicida)(ATCC#14174)由来の脂質アシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列(配列番号15)を示す図である。
【図17】配列番号19 Scoe1 NCBIタンパク質受託コードCAB39707.1 Gl:4539178の保存された仮想タンパク質[ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)]を示す図である。
【図18】アエロモナス・ヒドロフィラ脂質アシルトランスフェラーゼ遺伝子の変異誘発に使用される融合構築物のアミノ酸配列(配列番号25)を示す図である。下線を引いたアミノ酸は、キシラナーゼシグナルペプチドである。
【図19】ストレプトマイセス由来の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素のポリペプチド配列を示す(配列番号26)図である。
【図20】サーモビフィダ由来の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素のポリペプチド配列を示す(配列番号27)図である。
【図21】サーモビフィダ由来の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素のポリペプチド配列を示す(配列番号28)図である。
【図22】コリネバクテリウム・エフィシエンスGDSx 300アミノ酸(配列番号29)由来の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素のポリペプチドを示す図である。
【図23】ノボスフィンゴビウム・アロマチシボラン(Novosphingobium aromaticivorans)GDSx 284アミノ酸(配列番号30)由来の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素のポリペプチドを示す図である。
【図24】ストレプトマイセス・セリカラーGDSx 269アミノ酸(配列番号31)由来の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素のポリペプチドを示す図である。
【図25】ストレプトマイセス・アベルミチリス\GDSx 269アミノ酸(配列番号32)由来の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素のポリペプチドを示す図である。
【図26】ストレプトマイセス(配列番号33)由来の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素のポリペプチドを示す図である。
【図27】生物アエロモナス・ヒドロフィラ(P10480;GI:121051)から得られるアミノ酸配列(配列番号34)を示す図である(特に、これは成熟配列である)。
【図28】変異体アエロモナス・サルモニシダ成熟脂質アシルトランスフェラーゼ(GCAT)のアミノ酸配列(配列番号35)を示す図である(特に、これは成熟配列である)。
【図29】ストレプトマイセス・サーモサッカリ由来のヌクレオチド配列(配列番号36)を示す図である。
【図30】ストレプトマイセス・サーモサッカリ由来のアミノ酸配列(配列番号37)を示す図である。
【図31】サーモビフィダ・フスカ/GDSx 548アミノ酸由来のアミノ酸配列(配列番号38)を示す図である。
【図32】サーモビフィダ・フスカ由来のヌクレオチド配列(配列番号39)を示す図である。
【図33】サーモビフィダ・フスカ/GDSx由来のアミノ酸配列(配列番号40)を示す図である。
【図34】コリネバクテリウム・エフィシエンス/GDSx 300アミノ酸由来のアミノ酸配列(配列番号41)を示す図である。
【図35】コリネバクテリウム・エフィシエンス由来のヌクレオチド配列(配列番号42)を示す図である。
【図36】ストレプトマイセス・セリカラー/GDSx 268アミノ酸由来のアミノ酸配列(配列番号43)を示す図である。
【図37】ストレプトマイセス・セリカラー由来のヌクレオチド配列(配列番号44)を示す図である。
【図38】ストレプトマイセス・アベルミチリス由来のアミノ酸配列(配列番号45)を示す図である。
【図39】ストレプトマイセス・アベルミチリス由来のヌクレオチド配列(配列番号46)を示す図である。
【図40】サーモビフィダ・フスカ/GDSx由来のアミノ酸配列(配列番号47)を示す図である。
【図41】サーモビフィダ・フスカ/GDSx由来のヌクレオチド配列(配列番号48)を示す図である。
【図42】L131のアラインメント並びにストレプトマイセス・アベルミチリス及びサーモビフィダ・フスカ由来の相同体は、GDSxモチーフ(L131及びストレプトマイセス・アベルミチリス及びサーモビフィダ・フスカにおけるGDSY)、GGNDA又はGGNDLのいずれかであるGANDYボックス、及びHPTブロック(保存された触媒ヒスチジンと考えられる)の保存を示す図である。これらの3つの保存ブロックがハイライトされている。
【図43】カンジダ・パラプシロシス由来の脂質アシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列である配列番号17を示す図である。
【図44】カンジダ・パラプシロシス由来の脂質アシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列である配列番号18を示す図である。
【図45】活性部位にグリセロールを有する1IVN.PDB結晶構造のリボン表現(ribbon representation)を示す図である。図は、Deep View Swiss-PDBビューアを用いて作成された。
【図46】活性部位にグリセロールを有する1IVN.PDB結晶構造(Deep View Swiss-PDBビューアを用いた側面)を示す図である。グリセロールの活性部位から10Å以内にある残基が黒く塗られている。
【図47】活性部位にグリセロールを有する1IVN.PDB結晶構造(Deep View Swiss-PDBビューアを用いた上面)を示す図である。グリセロールの活性部位から10Å以内にある残基が黒く塗られている。
【図48】アラインメント1を示す図である。
【図49】アラインメント2を示す図である。
【図50−1】図50及び51は、P10480との1IVNのアラインメントを示す図である(P10480はアエロモナス・ヒドロフィラ酵素のデータベース配列である)。このアラインメントは、PFAMデータベースから得られモデル構築過程で使用された。
【図50−2】図50及び51は、P10480との1IVNのアラインメントを示す図である(P10480はアエロモナス・ヒドロフィラ酵素のデータベース配列である)。このアラインメントは、PFAMデータベースから得られモデル構築過程で使用された。
【図51】図50及び51は、P10480との1IVNのアラインメントを示す図である(P10480はアエロモナス・ヒドロフィラ酵素のデータベース配列である)。このアラインメントは、PFAMデータベースから得られモデル構築過程で使用された。
【図52】P10480がアエロモナス・ヒドロフィラのデータベース配列であるアラインメントを示す図である。この配列は、モデル構築及び部位選択に使用される。完全なタンパク質(配列番号25)が描かれ、成熟タンパク質(配列34に等しい)は残基19で開始する。A.salはアエロモナス・サルモニシダ(配列番号4)GDSXリパーゼであり、A.hydはアエロモナス・ヒドロフィラ(配列番号34)GDSXリパーゼである。コンセンサス配列は、リストされた配列間で違いのある位置に*を含む。
【図53】実施例1で使用された遺伝子構築物を示す図である。
【図54】実施例1で使用されたコドン最適化遺伝子構築物(no. 052907)を示す図である。
【図55】LAT−KLM3’前駆体遺伝子を含有するXhoIインサートの配列を示す図である。−35及び−10ボックスに下線が引かれている。
【図56】1%トリブチリン寒天で37℃にて48時間増殖させた後のBML780KLM3’CAP50(配列番号16を含む−上のコロニー)及びBML78(空の宿主株−下のコロニー)を示す図である。
【図57】シグナル配列(preLAT−位置1〜87)を含むアエロモナス・サルモニシダ(配列番号49)由来のヌクレオチド配列を示す図である。
【図58】生物アエロモナス・ヒドロフィラから得られた本発明による脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(配列番号50)を示す図である。
【図59】生物アエロモナス サルモニシダから得られた本発明による脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(配列番号51)を示す図である。
【図60】生物ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)(Genbank受託番号NC_003888.1:8327480..8328367)から得られた本発明による脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(配列番号52)を示す図である。
【図61】生物ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)(Genbank受託番号AL939131.1:265480..266367)から得られた本発明による脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(配列番号53)を示す図である。
【図62】生物サッカロミセス・セレビシエ(Genbank受託番号Z75034)から得られた本発明による脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(配列番号54)を示す図である。
【図63】生物ラルストニアから得られた本発明による脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(配列番号55)を示す図である。
【図64】NCBIタンパク質受託コードCAB39707.1 Gl:4539178の保存された仮想タンパク質[ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)]をコードする配列番号56で示されるヌクレオチド配列を示す図である。
【図65】Scoe2 NCBIタンパク質受託コードCAC01477.1 Gl:9716139の保存された仮想タンパク質[ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)]をコードする配列番号57で示されるヌクレオチド配列を示す図である。
【図66】Scoe3 NCBIタンパク質受託コードCAB88833.1 Gl:7635996の推定分泌タンパク質[ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)]をコードする配列番号58で示されるヌクレオチド配列を示す図である。
【図67】Scoe4 NCBIタンパク質受託コードCAB89450.1 Gl:7672261の推定分泌タンパク質[ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)]をコードする配列番号59で示されるヌクレオチド配列を示す図である。
【図68】Scoe5 NCBIタンパク質受託コードCAB62724.1 Gl:6562793の推定リポタンパク質[ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)]をコードする、配列番号60で示されるヌクレオチド配列を示す図である。
【図69】Srim1 NCBIタンパク質受託コードAAK84028.1 Gl:15082088のGDSL−リパーゼ[ストレプトマイセス・リモサス]をコードする配列番号61で示されるヌクレオチド配列を示す図である。
【図70】アエロモナス・ヒドロフィラ(ATCC#7965)由来の脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(配列番号62)を示す図である。
【図71】アエロモナス・サルモニシダ亜種サルモニシダ(ATCC#14174)由来の脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(配列番号63)を示す図である。
【図72】キシラナーゼシグナルペプチドを含むアエロモナス・ヒドロフィラ由来の酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号24)を示す図である。
【実施例1】
【0308】
バチルス・リケニフォルミスにおけるKLM3’の発現
脂質アシルトランスフェラーゼ(配列番号16、以後KLM3’と呼ぶ)をコードするヌクレオチド配列(配列番号49)を、バチルス・リケニフォルミス[アルファ]−アミラーゼ(LAT)のシグナルペプチドを有する融合タンパク質としてバチルス・リケニフォルミスで発現させた(図53及び54参照)。バチルスでの最適な発現のため、コドン最適化遺伝子構築物(no. 052907)をGeneart社(Geneart AG, Regensburg, Germany)で注文した。
【0309】
構築物(no. 052907)は、LAT−KLM3’前駆体遺伝子の前に不完全なLATプロモーター(−10配列のみ)を、LAT−KLM3’前駆体遺伝子の下流にLAT転写(Tlat)を含有する(図53及び55参照)。5’末端で完全なLATプロモーターに、及び3’末端でLATターミネーターに隣接されるLAT−KLM3’前駆体遺伝子を含有するXhoI断片を作製するため、プライマーPlat5XhoI_FW及びEBS2XhoI_RVにより、遺伝子構築物052907をテンプレートとして、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)増幅を行った。
Plat5XhoI_FW:
ccccgctcgaggcttttcttttggaagaaaatatagggaaaatggtacttgttaaaaattc ggaatatttatacaatatcatatgtttcacattgaaagggg
EBS2XhoI_RV:tggaatctcgaggttttatcctttaccttgtctcc
【0310】
PCRは、製造者の指示に従いPhusion High FidelityDNAポリメラーゼ(Finnzymes OY社製、Espoo, Finland)によりサーモサイクラーで実施した(アニーリング温度55[度]C)。
【0311】
得られたPCR断片を、供給者(Invitrogen社、Carlsbad, Calif. USA)の指示により制限酵素XhoIで消化し、T4 DNAリガーゼでXhoI消化plCatHにライゲートした。
【0312】
ライゲーション混合物を、米国特許出願第2002182734号明細書(国際公開第02/14490号パンフレット)に記載されているようにバチルス・サブチリス株SC6.1に形質転換した。LAT−KLM3’前駆体遺伝子を含有するXhoIインサートの配列を、DNA配列決定(BaseClear社製、Leiden, The Netherlands)により確認し、正しいプラスミドクローンの1つをplCatH-KLM3' (ori1)に指定した(図53)。plCatH-KLM3' (ori1)を、許容温度(37[度]C)でバチルス・リケニフォルミス株BML780(BRA7及びBML612の誘導体、国際公開第2005111203号パンフレット参照)に形質転換した。
【0313】
1つのネオマイシン耐性(neoR)及びクロラムフェニコール耐性(CmR)形質転換体を選択し、BML780 (plCatH-KLM3' (ori1))に指定した。BML780 (plCatH-KLM3' (ori1))中のプラスミドを、バチルス・リケニフォルミスゲノムのcatH領域に、5[mu]g/mlクロラムフェニコールを有する培地で非許容温度(50[度]C)にて該株を増殖させることにより組み込んだ。1つのCmR耐性クローンを選択し、BML780-plCatH-KLM3' (ori1)に指定した。BML780-plCatH-KLM3' (ori1)を、抗生剤なしで許容温度にて数世代再び増殖させてベクター配列をループアウトさせ、次いで1つのネオマイシン感受性(neoS)の、CmRクローンを選択した。このクローンでは、染色体上のplCatHのベクター配列を切除し(ネオマイシン耐性遺伝子を含め)、catH-LATKLM3'カセットのみを残す。次に、染色体上のcatH-LATKLM3'カセットを、クロラムフェニコール濃度を上げながら培地中/上で該株を増殖させることにより増幅した。様々な増幅ラウンドの後、1つのクローン(50[mu]g/mlクロラムフェニコールに対して耐性)を選択し、BML780-KLM3' CAP50に指定した。KLM3’発現を検証するため、catH-LATKLM3'及びBML780(空の宿主株)を、1%トリブチリンを有するHeart Infusion(Bacto社製)寒天プレートで37[度]Cにて48時間増殖させた。脂質アシルトランスフェラーゼ活性を示すクリアなゾーンは、宿主株BML780の周辺ではなくcatH-LATKLM3'コロニーの周辺で明らかに見られた(図56参照)。この結果は、相当量のKLM3’がバチルス・リケニフォルミス株catH-LATKLM3'において発現していること、これらのKLM3’分子が機能性であることを示している。
【0314】
比較例1
ベクター構築物
プラスミド構築物は、pCS32new N80Dである。これは、p32プロモーターの制御下、位置80でAsnがAspに置換する、及びCGTaseシグナル配列を有する、天然のアエロモナス・サルモニシダグリセロリン脂質−コレステロールアシルトランスフェラーゼの成熟形態をコードする配列を保有するpCCmini誘導体である。
【0315】
発現に使用される宿主株は、バチルス・サブチリスOS21ΔAprE株にある。
【0316】
発現レベルは、トランスフェラーゼ活性として測定され、%エステル化コレステロールで表され、供与体分子であるPC(Tpc)及びアクセプター分子であるコレステロールとの反応において、参照試料中の遊離コレステロールと酵素試料中の遊離コレステロールの差から計算される。
【0317】
培養条件
50mg/lカナマイシンを補充した、LBブロス(カゼイン酵素消化物、10g/l;低ナトリウム酵母抽出物、5g/l;塩化ナトリウム、5g/l;不活性錠剤化助剤、2g/l)5mlを単一のコロニーに播種し、205rpmで6時間30℃にてインキュベートした。この培養物0.7mlを用いて、カナマイシン50mg/l及び高マルトースデンプン加水分解物溶液(60g/l)を補充したSAS培地(KHPO、10g/l;MOPS(3−モルホリノプロパンスルホン酸)、40g/l;塩化ナトリウム、5g/l;消泡剤(Sin260)、5滴/l;脱脂大豆粉、20g/l;Biospringer 106(100%dw YE)、20g/l)50mlをインキュベートした。インキュベーションを30℃、180rpmで40時間継続した後、培養上清を30分間19000rpmで遠心分離により分離した。上清をクリーンな試験管に移し、トランスフェラーゼ活性測定に直接使用した。
【0318】
基質の調製及び酵素反応
PC(Avanti Polar Lipid社製#441601)及びコレステロール(Sigma社製C8503)を比9:1でスケーリングし、クロロホルムに溶解し、蒸発乾固した。基質は、3%PC:コレステロール9:1を50mM HepesバッファーpH7に分散させて調製した。0.250ml基質溶液をネジ蓋付き3mlガラス試験管に移した。0.025ml培養上清を添加し、混合物を40℃で2時間インキュベートした。酵素の代わりに水を有する参照試料も調製した。反応混合物を沸騰水浴中で10分間加熱し、酵素反応を停止させた。99%エタノール2mlを反応混合物に添加した後、コレステロールアッセイ分析に供した。
【0319】
コレステロール アッセイ
コレステロールオキシダーゼ(SERVA Electrophoresis GmbH社製、cat.No 17109)1.4U/ml、ABTS(Sigma社製A-1888)0.4mg/ml、ペルオキシダーゼ(Sigma社製6782)6U/mlを含有する基質100μlの0.1M Tris−HCl、pH6.6及び0.5%Triton X-100(Sigma社製X-100)溶液を、37℃で5分間インキュベートした後、反応混合物試料5μlを添加し混合した。反応混合物をさらに5分間インキュベートし、OD405を測定した。コレステロール含量を、0.4mg/ml、0.3mg/ml、0.20mg/ml、0.1mg/ml、0.05mg/ml、及び0mg/mlコレステロールを99%EtOHに含有するコレステロール標準溶液の分析から計算した。
【0320】
結果
表は8種類の別個の発現培養物の平均を示す。
【0321】
【表5】

【0322】
上記明細書で言及されたすべての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の記載された方法及びシステムの様々な修正及び変更は、本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく当業者には明白であろう。本発明は特定の好ましい実施形態と関連して記載されたが、特許請求に係る発明が、このような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことを理解すべきである。実際、生化学及びバイオテクノロジー又は関連分野の当業者に明白な、本発明を実施するための記載された方法の様々な修正は、以下の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)バチルス・リケニフォルミス細胞を提供するステップと、
(ii)脂質アシルトランスフェラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列でバチルス・リケニフォルミス細胞を形質転換するステップと、
(iii)プロモーター配列の制御下で前記細胞において脂質アシルトランスフェラーゼを発現させるステップと
を含む、脂質アシルトランスフェラーゼの製造方法。
【請求項2】
プロモーター配列が、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列と天然には結合しない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列が、脂質アシルトランスフェラーゼをコードする前記異種ヌクレオチド配列に作動可能に連結されている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
脂質アシルトランスフェラーゼを単離/回収する追加のステップを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記プロモーター配列が宿主細胞と同種である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記プロモーター配列が、α−アミラーゼプロモーター配列、プロテアーゼプロモーター配列、サブチリシンプロモーター配列、グルタミン酸特異的プロテアーゼプロモーター配列及びレバンスクラーゼプロモーター配列からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記プロモーター配列が、α−アミラーゼプロモーター配列である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列が、GDSxモチーフ及び/又はGANDYモチーフを含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列が、アシルトランスフェラーゼ活性を有し、且つアミノ酸配列モチーフGDSX(Xは、アミノ酸残基L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M又はSの1又は複数である)を含む酵素であることを特徴とする脂質アシルトランスフェラーゼをコードする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列が、1又は複数の以下の属、即ち、アエロモナス、ストレプトマイセス、サッカロミセス、ラクトコッカス、マイコバクテリウム、ストレプトコッカス、ラクトバチルス、デスルフィトバクテリウム、バチルス、カンピロバクター、ビブリオナシエ、キシレラ、スルホロブス、アスペルギルス、シゾサッカロミセス、リステリア、ナイセリア、メソリゾビウム、ラルストニア、ザントモナス及びカンジダに属する生物から得ることができる脂質アシルトランスフェラーゼをコードする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列が、アエロモナス属に属する生物から得ることができる脂質アシルトランスフェラーゼをコードする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列が、配列番号35で示されるアエロモナス・ヒドロフィラ脂質アシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列のN−80に対応する位置にアスパラギン酸残基を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列が、配列番号16で示されるアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列と少なくとも75%の相同性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列が、配列番号16で示されるアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
異種の脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含むバチルス・リケニフォルミス宿主細胞。
【請求項16】
脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列が、GDSxモチーフ及び/又はGANDYモチーフを含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードする、請求項14に記載の宿主細胞。
【請求項17】
脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列が、アシルトランスフェラーゼ活性を有し、且つアミノ酸配列モチーフGDSX(Xは、アミノ酸残基L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M又はSの1又は複数である)を含む酵素であることを特徴とする脂質アシルトランスフェラーゼをコードする、請求項15又は16に記載の宿主細胞。
【請求項18】
脂質アシルトランスフェラーゼが、1又は複数の以下の属、即ち、アエロモナス、ストレプトマイセス、サッカロミセス、ラクトコッカス、マイコバクテリウム、ストレプトコッカス、ラクトバチルス、デスルフィトバクテリウム、バチルス、カンピロバクター、ビブリオナシエ、キシレラ、スルホロブス、アスペルギルス、シゾサッカロミセス、リステリア、ナイセリア、メソリゾビウム、ラルストニア、ザントモナス及びカンジダに属する生物から得ることができる、請求項15〜17のいずれかに記載の宿主細胞。
【請求項19】
脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列が、アエロモナス属に属する生物から得ることができる脂質アシルトランスフェラーゼをコードする、請求項15〜17のいずれかに記載の宿主細胞。
【請求項20】
脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列が、配列番号35で示されるアエロモナス・ヒドロフィラ脂質アシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列のN−80に対応する位置にアスパラギン酸残基を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードする、請求項15〜19のいずれかに記載の宿主細胞。
【請求項21】
脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列が、配列番号16で示されるアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列と75%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードする、請求項15〜20のいずれかに記載の宿主細胞。
【請求項22】
脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列が、配列番号16で示されるアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードする、請求項15〜21のいずれかに記載の宿主細胞。
【請求項23】
異種の脂質アシルトランスフェラーゼの製造におけるバチルス・リケニフォルミス宿主細胞の使用。
【請求項24】
バチルス・サブチリス宿主細胞での発現と比べて発現が増加する、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
バチルス・リケニフォルミスと同種のプロモーター配列に作動可能に連結された脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクター。
【請求項26】
プロモーターが、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列と天然には結合しない、請求項25に記載の発現ベクター。
【請求項27】
シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列が、脂質アシルトランスフェラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列に作動可能に連結されている、請求項25又は26に記載の発現ベクター。
【請求項28】
プロモーター配列が、α−アミラーゼプロモーター配列、プロテアーゼプロモーター配列、サブチリシンプロモーター配列、グルタミン酸特異的プロテアーゼプロモーター配列及びレバンスクラーゼプロモーター配列からなる群から選択される、請求項1〜27のいずれかに記載の発現ベクター。
【請求項29】
プロモーター配列がα−アミラーゼプロモーター配列である、請求項1〜28のいずれかに記載の発現ベクター。
【請求項30】
(i)バチルス・サブチリス以外のバチルス細胞を提供するステップと、
(ii)脂質アシルトランスフェラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列で、バチルス・サブチリス以外のバチルス細胞を形質転換するステップと、
(iii)プロモーター配列の制御下で前記細胞において脂質アシルトランスフェラーゼを発現させるステップと
を含む、脂質アシルトランスフェラーゼの製造方法。
【請求項31】
異種の脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む、バチルス・サブチリス以外の細胞であるバチルス宿主細胞。
【請求項32】
異種の脂質アシルトランスフェラーゼの製造における、バチルス・サブチリス以外のバチルス宿主細胞の使用。
【請求項33】
実施例及び図面を参照して本明細書に実質的に記載された使用。
【請求項34】
実施例及び図面を参照して本明細書に実質的に記載された発現ベクター。
【請求項35】
実施例及び図面を参照して本明細書に実質的に記載されたバチルス・リケニフォルミス宿主細胞。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate

【図47】
image rotate

【図48】
image rotate

【図49】
image rotate

【図50−1】
image rotate

【図50−2】
image rotate

【図51】
image rotate

【図52】
image rotate

【図53】
image rotate

【図54】
image rotate

【図55】
image rotate

【図56】
image rotate

【図57】
image rotate

【図58】
image rotate

【図59】
image rotate

【図60】
image rotate

【図61】
image rotate

【図62】
image rotate

【図63】
image rotate

【図64】
image rotate

【図65】
image rotate

【図66】
image rotate

【図67】
image rotate

【図68】
image rotate

【図69】
image rotate

【図70】
image rotate

【図71】
image rotate

【図72】
image rotate


【公表番号】特表2010−516271(P2010−516271A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546822(P2009−546822)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際出願番号】PCT/IB2007/000558
【国際公開番号】WO2008/090395
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(397060588)ダニスコ エイ/エス (67)
【Fターム(参考)】