説明

形質転換植物体、植物体の細胞壁厚み増大方法、及び、セルロース系バイオマスからのアルコール製造方法

【課題】植物体の細胞壁の厚みを増大させる。
【解決手段】糖ヌクレオチド輸送体130をコードする遺伝子を植物体に組み込み、形質転換により、糖ヌクレオチド140を細胞質基質からゴルジ体120の内腔まで輸送させて、植物体の細胞壁の厚みを増大させる。糖ヌクレオチド140は、例えば、UDP141とガラクトース143とを有するUDP−ガラクトースである。糖ヌクレオチド輸送体130はUDP−ガラクトース輸送体であり、UDP−ガラクトース輸送体をコードする遺伝子は、hUGT1である。細胞壁の厚みが増大した形質転換植物体は、例えばエタノールを得るためのセルロース系バイオマス資源として有効利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物体の細胞壁の厚みを増大させる方法、細胞壁の厚みが増大している形質転換植物体、及び、そのような形質転換植物体を利用したセルロース系バイオマスからのアルコール製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマスは、光合成生物が太陽光のエネルギーを利用して二酸化炭素と水とから合成した有機物、及びそれらが他の生物によって変換されて生成した有機物の総体である。
【0003】
バイオマスは、有機物の生成に関与した生物が生育できる環境を維持することにより、繰り返し再生産することができる。
【0004】
また、バイオマスを燃焼させて熱エネルギーを得る場合でも、発生する二酸化炭素を再び同じ有機物として固定することができるため、地球温暖化の原因とされる大気中の二酸化炭素濃度の上昇を引き起こさない。
【0005】
近年、植物バイオマスからのエネルギー生産が注目されており、例えば自然界に豊富に存在するセルロース系のバイオマス資源からエタノール等のアルコールに代表されるバイオ燃料を生成する技術開発が進められている。
【0006】
セルロース系バイオマスとしては、繊維系バイオマス、木質系バイオマス 、又は一般的には食用に適さない植物に由来する材料などがあり、セルロース 、ヘミセルロース、リグニン等から構成される。
【0007】
特許文献1や特許文献2には、セルロース系バイオマス資源からエタノールを製造するプロセスとして、セルロース系バイオマスを超臨界または亜臨界水処理して糖類を生産し、その後、酵素反応によりエタノールを製造する技術が記載されている。
【0008】
しかし、このような技術ではバイオ燃料の効率的な抽出は不十分であり、カーボンニュートラルな燃料源としての技術的期待に応えることは困難である。
【0009】
一方、ヒトのUDP−ガラクトース輸送体遺伝子を導入したタバコ植物体については、植物高、葉数、葉面積、クロロフィル含有量が増加するうえ、さらに、葉及び茎の物理的強度も増加することが、非特許文献1に記載されているが、植物体の細胞構造については未だ明らかにされていない。
【特許文献1】特開2003−212888号公報
【特許文献2】特開2005−206468号公報
【非特許文献1】ヒトUDPガラクトース輸送体(hUGT1)で形質転換したタバコ植物体の性状 日本生物工学会平成18年度大会(大阪)の予稿集 2006年9月12日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、バイオ燃料の効率的な抽出等を可能とする形質転換植物体を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、植物体の細胞壁の厚みを増大させる方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、細胞壁の厚みを増大させた形質転換植物体を利用する、セルロース系バイオマスからのアルコール製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、この発明の第1の観点に係る植物体の細胞壁厚み増大方法は、
糖ヌクレオチド輸送体をコードする遺伝子を植物体に組み込み、前記植物体を形質転換することにより、糖ヌクレオチドを細胞質基質からゴルジ体の内腔まで輸送させて、前記植物体の細胞壁の厚みを増大させる、ことを特徴とする。
【0012】
また、前記糖ヌクレオチドは、UDP−ガラクトース、UDP−N−アセチルグルコサミン、UDP−グルクロン酸、UDP−マンノース、UDP−フコース、UDP−アラビノピラノース、UDP−アラビノフラノース、UDP−ラムノース、UDP−アピオース、及び、UDP−グルコースのうち少なくとも何れか一つとする、ことも可能である。
【0013】
また、前記糖ヌクレオチドはUDP−ガラクトースであり、
前記糖ヌクレオチド輸送体はUDP−ガラクトース輸送体である、ことも可能である。
【0014】
また、前記UDP−ガラクトース輸送体をコードする遺伝子は、hUGTである、ことも可能である。
【0015】
また、前記hUGTは、hUGT1及びhUGT2のうち少なくとも何れか一つである、ことも可能である。
【0016】
また、前記植物体は、タバコ植物体である、ことも可能である。
【0017】
また、前記タバコ植物体は、バレー種、黄色種、及び、東洋種のうち少なくとも何れか一つである、ことも可能である。
【0018】
上記目的を達成するため、この発明の第2の観点に係るセルロース系バイオマスからのアルコール製造方法は、
糖ヌクレオチド輸送体をコードする遺伝子を植物体に組み込み、前記植物体を形質転換することにより、糖ヌクレオチドを細胞質基質からゴルジ体の内腔まで輸送させて、植物体の細胞壁の厚みを増大することのできる形質転換植物体としての植物バイオマスを準備する、植物バイオマス準備工程と、
前記植物バイオマス準備工程で得られた形質転換植物体のセルロース系バイオマス原料を糖化する糖化工程と、
前記糖化工程で得られた糖から、微生物を用いてアルコールを生産する発酵工程と、を有する、ことを特徴とする。
【0019】
また、前記糖ヌクレオチドは、UDP−ガラクトース、UDP−N−アセチルグルコサミン、UDP−グルクロン酸、UDP−マンノース、UDP−フコース、UDP−アラビノピラノース、UDP−アラビノフラノース、UDP−ラムノース、UDP−アピオース、及び、UDP−グルコースのうち少なくとも何れか一つである、ことも可能である。
【0020】
また、前記糖ヌクレオチドはUDP−ガラクトースであり、
前記糖ヌクレオチド輸送体はUDP−ガラクトース輸送体である、ことも可能である。
【0021】
また、前記UDP−ガラクトース輸送体をコードする遺伝子は、hUGTである、ことも可能である。
【0022】
また、前記hUGTは、hUGT1及びhUGT2のうち少なくとも何れか一つである、ことも可能である。
【0023】
また、前記植物体は、タバコ植物体である、ことも可能である。
【0024】
また、前記タバコ植物体は、バレー種、黄色種、及び、東洋種のうち少なくとも何れか一つである、ことも可能である。
【0025】
また、前記アルコールは、エタノールである、ことも可能である。
【0026】
上記目的を達成するため、この発明の第3の観点に係る形質転換植物体は、
糖ヌクレオチド輸送体をコードする遺伝子が組み込まれることにより形質転換され、糖ヌクレオチドが細胞質基質からゴルジ体の内腔まで輸送されることにより、細胞壁の厚みが増大している、ことを特徴とする。
【0027】
また、前記糖ヌクレオチドは、UDP−ガラクトース、UDP−N−アセチルグルコサミン、UDP−グルクロン酸、UDP−マンノース、UDP−フコース、UDP−アラビノピラノース、UDP−アラビノフラノース、UDP−ラムノース、UDP−アピオース、及び、UDP−グルコースのうち少なくとも何れか一つである、ことも可能である。
【0028】
また、前記糖ヌクレオチドはUDP−ガラクトースであり、
前記糖ヌクレオチド輸送体はUDP−ガラクトース輸送体である、ことも可能である。
【0029】
また、前記UDP−ガラクトース輸送体をコードする遺伝子は、hUGTである、ことも可能である。
【0030】
また、前記hUGTは、hUGT1及びhUGT2のうち少なくとも何れか一つである、ことも可能である。
【0031】
また、前記形質転換植物体は、タバコ植物体である、ことも可能である。
【0032】
また、前記タバコ植物体は、バレー種、黄色種、及び、東洋種のうち少なくとも何れか一つである、ことも可能である。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る植物体の細胞壁厚み増大方法において用いられる形質転換植物体は、細胞壁の厚みが従来の植物体と比較して極めて増大しており、細胞壁中のセルロース含有量が多く、植物バイオマスとして優れている。そのため、本発明に係る形質転換植物体を利用すれば、効率的にエタノール等のアルコールが得られ、各種燃料や化学原料等を極めて効率よく製造できる。また、燃料から放出される二酸化炭素は、もともと植物体が光合成により取り込んだものなので、地球温暖化防止に役立ち、さらには、本発明に係る形質転換植物体を植物バイオマスとして利用することにより、サトウキビやとうもろこし等の食用植物の植物バイオマスとしての利用を相対的に減らすことにもなる。このように、本発明から得られる利益は計り知れない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(植物体の細胞壁厚み増大方法及び形質転換植物体)
本実施形態に係る植物体の細胞壁厚み増大方法は、図1に示されるように、糖ヌクレオチド輸送体(Nucleotide-sugar transporter(NST))130をコードする遺伝子を植物体に組み込むことにより、糖ヌクレオチド140を細胞質基質(Cytosol)からゴルジ体120の内腔まで積極的に輸送させることが可能となる。
【0035】
本発明者は、糖ヌクレオチド輸送体130にて糖ヌクレオチド140を、細胞質基質からゴルジ体120の内腔まで輸送させた植物体の細胞構造のうち、その細胞壁の厚みが増大しているという新知見に基づいて本発明を完成させた。
【0036】
糖ヌクレオチド140は、例えば、UDP(ウリジンジホスフェート)141とガラクトース(Gal)143とを有するUDP−ガラクトースである。また、例えば、UDP141とN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)142とを有するUDP−GlcNAcである。
【0037】
また、糖ヌクレオチド140は、例えば、UDP−グルクロン酸、UDP−マンノース、UDP−フコース、UDP−アラビノピラノース、UDP−アラビノフラノース、UDP−ラムノース、UDP−アピオース、若しくは、UDP−グルコースとすることも可能である。
【0038】
糖ヌクレオチド輸送体130は、例えばヒトの糖ヌクレオチド輸送体である。
【0039】
糖ヌクレオチド140には種々の分子種が存在するが、それぞれの糖ヌクレオチド140に特異的な糖ヌクレオチド輸送体130が存在する。なお、UDP−グルコースは、例えばUDP−ガラクトース輸送体により、ゴルジ体の内腔まで輸送されると考えられうる。
【0040】
糖ヌクレオチド輸送体130は、例えばUDP−ガラクトース輸送体である。また例えばUDP−N−アセチルグルコサミン輸送体である。
【0041】
UDP−ガラクトース輸送体をコードする遺伝子は、例えば、hUGT1である。hUGT1は、図2に示されるように、CaMV35S(カリフラワーのモザイクウイルス由来の35Sプロモーター)をプロモーターとし、Nost(ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター)をターミネーターとする。HAはタグであり、抗体で検出するためのものである。
【0042】
糖ヌクレオチド140は、ゴルジ体膜を透過できない。そのため、糖ヌクレオチド輸送体130が、糖ヌクレオチド140をゴルジ体120の内腔へ運び込む。なお、小胞体110の内腔へ運び込むことも可能である。
【0043】
図3(a)に示されるように、ゴルジ体120の内腔へ運び込まれた糖ヌクレオチド140は、例えばUDP(ウリジンジホスフェート)141とガラクトース(Gal)143とに別れ、ガラクトース(Gal)143は糖転移酵素によって糖タンパク質、糖脂質、多糖類等の糖鎖合成の糖供与体として使用される。
【0044】
図3(b)に示されるように、糖ヌクレオチド輸送体130は、N末端とC末端とをゴルジ体120のゴルジ膜の細胞質基質側に露出させた状態で、糖ヌクレオチド140をゴルジ体120の内腔へ運び込む役割を果たす。
【0045】
なお、糖ヌクレオチド輸送体130は小胞体110の内腔において、グルクロン酸抱合の基質であるUDP−グルクロン酸を供給している。
【0046】
ゴルジ体120の内腔に運び込まれたUDP(ウリジンジホスフェート)141は、UMPとしてゴルジ体120の内腔外に排出される。
【0047】
ここで細胞壁とは、植物細胞の外側を取り囲んでいる厚さ数μmの構造であり、その内側にある細胞膜とは区別されるものである。
【0048】
細胞壁を増大させる植物体は特に限定されるものではないが、バイオマスの生産において効率が良いため、例えばNicotiana属のタバコ植物体が好適に使用される。
【0049】
タバコ植物体としては、例えば、バレー種、黄色種、東洋種等を使用することができる。なお、一般には、バレー種のニコチンレベルが最も高く、黄色種、東洋種がこれに続く。
【0050】
(セルロース系バイオマスからのアルコール製造方法)
本実施形態に係るセルロース系バイオマスからのアルコールの製造方法は、糖ヌクレオチド輸送体130をコードする遺伝子を植物体に組み込み、前記植物体を形質転換することにより、糖ヌクレオチド140を細胞質基質からゴルジ体120の内腔まで輸送させて、植物体の細胞壁の厚みを増大することのできる形質転換植物体としての植物バイオマスを準備する、植物バイオマス準備工程と、植物バイオマス準備工程で得られた形質転換植物体のセルロース系バイオマス原料を糖化する糖化工程と、糖化工程で得られた糖から、微生物を用いてアルコールを生産する発酵工程と、を有する。
【0051】
まず、植物バイオマス準備工程にて、糖ヌクレオチド輸送体130をコードする遺伝子を植物体に組み込み、形質転換することにより、糖ヌクレオチド140を細胞質基質からゴルジ体120の内腔まで輸送させて、細胞壁の厚みが増大している形質転換植物体としての植物バイオマスを準備する。
【0052】
形質転換の対象となる植物体は、特に限定されるものではないが、例えばバレー種、黄色種、東洋種等のタバコ植物体を用いることができる。このようなタバコ植物体に、例えばUDP−ガラクトース輸送体をコードするhUGT1を組み込むことにより、UDP−ガラクトース等をゴルジ体内腔まで輸送させる。例えばhUGT1と呼ばれるUDPガラクトース輸送体をコード化するヒト遺伝子(Genbank BAA95615番)は、ヒト前立腺cDNA(マラソンレディdDNA、Clontech)から増幅される。
【0053】
こうして植物バイオマス準備工程で得られた植物体の細胞壁にはセルロースが多量に含有されている。糖化工程ではこの植物体の細胞壁に含有されるセルロースを糖化する。
【0054】
なお、セルロース以外の成分であるヘミセルロースやリグニン等が含まれていても良い。
【0055】
糖化工程では、特に限定されるものではないが、例えば酵素を使用してセルロースを糖化することができる。酵素としては特に限定されるものではないが、例えばセルラーゼ、セロビアーゼ等を使用することができる。
【0056】
酵素の使用量は、特に制限はなく、例えば、植物体の細胞壁1gに対して、0.01〜10mgとすることができる。
【0057】
酵素糖化の温度は、特に制限はなく、例えば、20℃〜60℃とすることができる。
【0058】
酵素糖化のpHとしては、特に制限はなく、例えば、pH3.5〜pH7.0とすることができる。
【0059】
なお、糖化工程では、セルロースを酸で加水分解することにより、糖を生成させることも可能である。
【0060】
こうして糖化工程では、セルロース由来の糖であるグルコースを含む糖液を得ることができる。また、その他にも得られる糖液は、ヘミセルロース由来の糖を含んでいてもよい。へミセルロース由来の糖は、例えば、キシロース、アラビノースといった五単糖や、グルコース、ガラクトース、マンノースといった六単糖が挙げられる。
【0061】
発酵工程では、糖化工程で得られた糖を微生物にてアルコールへ発酵させる。
【0062】
微生物は、特に限定されるものではないが、例えば酵母等のアルコール発酵微生物を使用することができる。
【0063】
発酵工程における酵母の使用量、発酵温度、pH、発酵時間等については、特に制限はなく、例えば、アルコール発酵に供する糖の量、使用する酵母の種類等に応じて、適宜選択することができる。
【0064】
また、得られるアルコールとしては、エタノールやメタノール等の種々のアルコールを製造することができる。中でもエタノールは、燃料用エタノール 、工業用エタノール等として好適に利用可能である。燃料用エタノールは近年特に、ガソリンに混合し、環境に優しい自動車燃料として使用することが期待されている。
【0065】
(その他の実施形態)
上述の実施形態において、糖化工程を経由してアルコールを製造したが、このような実施形態に限定されず、バクテリアを用いて、セルロースから直接アルコールを生産することも可能である。バクテリアとしては、例えば好熱性嫌気性菌のクロストリジウム・サーモセラムや、常温嫌気性菌のルミノコッカス・アルブス等を使用することができる。
【0066】
また、上述の糖化工程にて得られた糖を、発酵させて、乳酸を得ることも可能である。乳酸の製造方法において、前記糖を発酵させる方法としては、特に制限はなく、例えば、糖液に乳酸菌等の乳酸発酵微生物を添加して、乳酸発酵を行わせることができる。乳酸菌としては、特に制限はなく、例えば、ラクトバチルス・マニホティヴォランス、ラクトバチルス・プランタラム等を使用できる。
【実施例】
【0067】
〔植物体の細胞壁の増大〕
バイナリープラスミドベクターpBIN19のT-DNAを制限酵素HindIIIとEcoRIで切断し、CaMV35Sプロモータ−、hUGT1遺伝子、HAタグ、Nostターミネーターの順で繋いだDNA断片(35SP-hUGT1-HA-NosT)を挿入して、プラスミドベクターpBIN−hUGT1を作製した。このベクターをアグロバクテリウム・ツメファシエンスLBA4404株に導入した。
【0068】
1ヶ月間無菌培養したタバコ植物(ニコチアナ・タバカムSR−1品種)の葉から約5mm角の切片を切り出し、一晩培養したpBIN−hUGT1を保有するアグロバクテリウムの培養液につけて接種し、35SP-hUGT1-HA-NosTを含むT-DNAをタバコ細胞の染色体に組み込ませた。
【0069】
この形質転換細胞を植物ホルモンのサイトカイニンを1mg/L、オーキシンを0.1mg/L含むムラシゲ・スクーグ培地で1ヶ月間培養して、実施例としてのhUGT1形質転換植物体(hUGT1−形質転換植物体)を再生させた。
【0070】
比較例として35SP-hUGT1-HA-NosT断片を含まないpBIN19で形質転換したタバコ植物体(pBIN19−形質転換対照植物体)を作製した。
【0071】
なお、再生された個々の形質転換植物体では、hUGT1が組み込まれた場所により遺伝子の発現量が異なるので、hUGT1による効果が異なる。再生された30系統以上の形質転換植物体のうち、特にhUGT1の効果が顕著であったhUGT1−2、hUGT1−4、hUGT1−14、hUGT1−23(いずれも再生個体の系統名)を実施例として選択した。
【0072】
pBIN19タバコ植物体の葉と、hUGT1にてヒトUDP−ガラクトースをゴルジ体内腔へ輸送させたタバコ植物体(hUGT1−形質転換植物体)の葉と、をそれぞれ1g切り取り、60℃の空気中にて24時間乾燥させて乾燥重量サンプルとし、その重量を測定した。
【0073】
また、pBIN19タバコ植物体の葉と、hUGT1−形質転換植物の葉と、をそれぞれ1g採取し、各々のサンプルを冷やした250mM燐酸カリウム緩衝液(pH7.0)中でテフロンホモジナイザー(テフロンは登録商標)を用いて十分に摩砕し、2000×g、4℃、10分間の遠心分離後、沈殿を同じ緩衝液中で再度摩砕し、遠心分離を繰り返して沈殿を得た。さらに、沈殿を冷水に懸濁し、同じ遠心分離を行った。この懸濁と遠心分離を再度繰り返した。
【0074】
沈殿を10倍量のメタノールに懸濁し、80℃で30分間保温した。その後、2000×g、4℃、10分間の遠心分離後、沈殿を再度メタノールに懸濁し遠心分離を行った。沈殿を冷水に懸濁し、2000×g、4℃、10分間の遠心分離を行い、メタノールを除去した。
【0075】
沈殿を10倍量のα−amylase 溶液(0.1ml α−amylase TypeI−A〔シグマ−アルドリッチ、A6255-10MG〕を100mlの6mM NaClを含む20mM燐酸ナトリウム緩衝液[pH7.0]に添加)に懸濁し、28℃で24時間デンプン消化を行った。2000×g、4℃、10分間の遠心分離のあと、沈殿を2回冷水への懸濁と遠心分離で洗浄し、細胞壁を得た。これを細胞壁ポリマーサンプルとした。
【0076】
少なくとも3個のサンプルから標準偏差を求めて、比較例に係るタバコ植物体の葉と実施例に係るタバコ植物体の葉とについて、それぞれ乾燥重量と、細胞壁ポリマーとを測定した。この標準偏差(単位は、乾燥後mg/乾燥前g、細胞壁ポリマーmg/乾燥前g)の結果を表1に示す。なお、有意確率P<0.01である。
【0077】
【表1】

【0078】
実施例に係るタバコ植物体の葉は、コントロールと比較して、いずれも細胞壁ポリマーの合計が増大しており、細胞壁の厚みが増大していることが実証された。
【0079】
次に、pBIN19タバコ植物体の葉と、hUGT1−形質転換植物の葉とのそれぞれについて、細胞壁中に含有される糖の分類解析を行った。
【0080】
サンプルの細胞壁ポリマーは、ピリジン/メタノールと無水酢酸との混合媒体にてアセチル化をした後、4Mのトリフロオロ酢酸溶液中で加水分解を行った。
【0081】
アセチル化された糖類はABEE(p-Amino benzoic ethyl ester)にてラベル化された。ラベル化された糖類は高速液体クロマトグラフィーにて分析された。条件は、移動相にて、0.2M臭化カリウムバッファ(pH8.9)、アセトニトリル溶媒(93:7,v/v)、フローレイト1.0ml/min、励起波長305nm,蛍光波長360nmの蛍光検出器であった。標準偏差(単位は、mg/乾燥前g)の結果を表2に示す。なお、有意確率P<0.05、有意確率P<0.01である。
【0082】
【表2】

【0083】
GalAはガラクツロン酸、Galはガラクトース、Manはマンノース、Gluはグルコース、Araはアラビノース、Xylはキシロース、Rhaはラムノースである。ここで、括弧内の割合は、グルコースを除いた合計に対する割合である。標準偏差は少なくとも3個のサンプルから求めた。
【0084】
実施例に係るタバコ植物体の葉は、コントロールと比較して、いずれもグルコース含有割合が増大しており、また、その他の糖類においても増大していることが判明した。
【0085】
次に、pBIN19タバコ植物体の葉と、hUGT1−形質転換植物体の葉とのそれぞれについて、細胞壁中のペクチンと、ヘミセルロースIと、ヘミセルロースIIと、において、糖の分類解析を行った。
【0086】
サンプルの細胞壁ポリマーは、ピリジン/メタノールと無水酢酸との混合媒体にてアセチル化をした後、4Mのトリフロオロ酢酸溶液中で加水分解を行った。
【0087】
アセチル化された糖類はABEEにてラベル化された。ラベル化された糖類は高速液体クロマトグラフィーにて分析された。条件は、移動相にて、0.2M臭化カリウムバッファ(pH8.9)、アセトニトリル溶媒(93:7,v/v)、フローレイト1.0ml/min、励起波長305nm,蛍光波長360nmの蛍光検出器であった。標準偏差(%)の結果を表3に示す。なお、有意確率P<0.05である。標準偏差は少なくとも3個のサンプルから求めた。
【0088】
【表3】

【0089】
ヘミセルロースIを見ると、実施例に係るタバコ植物体の葉は、コントロールと比較して、いずれもグルコース含有割合が増大していることが判明した。
【0090】
次に、pBIN19タバコ植物体の葉の細胞壁と、hUGT1−形質転換植物体の葉の細胞壁とのそれぞれについての光学顕微鏡写真にて比較した。
【0091】
比較例に係るタバコ植物体及び実施例に係るタバコ植物体は、それぞれ2月間土壌で栽培したものであった。これらのタバコ植物体の茎の第5番目の節間をプラントミクロトーム(日本医科器械社製)で20μmの厚さで輪切りにした切片を、β-D-グルコシル・ヤリブ(glucosyl Yariv)試薬(Biosupplies Australia, Pty.Ltd., Victoria, Australia)を滴下してアラビノガラクタンを染色した。対照としては、切片をα-D-ガラクトシル・ヤリブ(galactosyl Yariv)試薬(Biosupplies Australia)を用いた。そして、30%(v/v)グリセリン液を一滴たらして、スライドグラスに載せ、光学顕微鏡下(ニコンDS-L1)で組織染色を観察した。
【0092】
比較例に係るタバコ植物体(pBIN19−形質転換対照植物)の葉の細胞壁を、図4(a)、(c)、(e)に示す。実施例に係るタバコ植物体(hUGT1−形質転換植物)の葉の細胞壁を、図4(b)、(d)、(f)に示す。
【0093】
図4(a)、(b)は、α-galactosyl Yariv試薬による染色されない対照染色である。図4(c)、(d)は、β-glucosyl Yariv試薬によるアラビノガラクタンタンパク質の赤色染色である。図4(e)、(f)は、β-glucosyl Yariv試薬によって赤色染色された組織の高倍率観察である。
【0094】
スケールバーは、図4(a)から(d)までは100μmであり、図4(e),(f)は50μmである。図4中において、icpは、inner cortical parenchyma(内皮層柔組織)である。eppは、externalphloem arenchyma(外師部組織)である。caは、cambium(形成層)である。xpは、xylem parenchyma(木部柔組織)である。ipは、internal phloem(内師部組織)である。
【0095】
図4から明らかなように、実施例に係るタバコ植物体の葉は、コントロールと比較して、細胞壁の厚みが増大していることが実証された。
【0096】
次に、pBIN19タバコ植物体の葉の細胞壁と、hUGT1−形質転換植物体の葉の細胞壁とのそれぞれについて、透過型電子顕微鏡写真にて比較した。
【0097】
比較例に係るタバコ植物体の葉と、実施例に係るタバコ植物体の葉とをそれぞれ小片に切り、真空ポンプによる減圧下で前固定液(0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝液、pH7.2、0.01M塩化カルシウム、4%[v/v] ホルマリン、5%[v/v]グルタルアルデヒド)につけ、その後一晩放置した。
【0098】
次に、equently washed with10.5及び1.8%(w/v)のショ糖を含む0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝液で順次洗浄した。サンプルは1.5%(w/v)酸化オスミウムを含む0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝液中にて氷上で2時間固定し、その後50、70、80、90、95、100%(v/v)に順次つけることによって脱水し、エタノール:酸化プロピレン(1:1、v/v)に一度つけ、Epon812樹脂中に60℃で24時間つけることで、樹脂包埋した。
【0099】
ダイアモンドナイフを装着したウルトラミクロトーム(Ultramicrotome Reichert-Jung,Depew,NY)で切り出した約70nmの超薄切片を0.2%(w/v) ウーロン茶抽出物で60分間染色し、クエン酸鉛で5分間処理した後、電子顕微鏡(JEM 1200EX transmission electron microscope[JEOL])で80kVで電子顕微鏡観察した。
【0100】
比較例に係るタバコ植物体(pBIN19−形質転換対照植物)の葉の細胞壁を、図5(a)、(c)に示し、実施例に係るタバコ植物体(hUGT1−形質転換植物系統23)の葉の細胞壁を、図5(b)、(d)に示す。図5(a)、(b)は、いずれも葉の表側の表皮細胞である。図5(a)において四角で囲んでいる部分の拡大図が図5(c)であり、図5(b)において四角で囲んでいる部分の拡大図が図5(d)である。
【0101】
cwは、cellwall(細胞壁)である。vは、vacuole(液胞)である。cpは、chloroplast(葉緑体)である。図5(c)、(d)における矢印は細胞壁を示す。
【0102】
スケールバーは、図5(a)、(b)が2μmであり、図5(c)、(d)が0.5μmである。比較例に係るタバコ植物体の葉の細胞壁は、0.2μmであったが、実施例に係るタバコ植物体の葉の細胞壁は、0.5μmであった。
【0103】
図5から明らかなように、実施例に係るタバコ植物体の葉は、コントロールと比較して、細胞壁の厚みが増大していることが判明した。
【0104】
〔セルロース系バイオマス原料からのアルコール生産〕
セルロース系バイオマス原料としては、比較例では、pBIN19形質転換コントロールタバコ植物の乾燥葉粉末0.25g(新鮮葉重量5.475g)を用いた。実施例では、hUGT1形質転換タバコ植物系統23の乾燥葉粉末0.25g(新鮮葉重量1.875g)を用いた。
【0105】
それぞれのサンプルを冷やした250mM燐酸カリウム緩衝液(pH7.0)中でテフロンホモジナイザー(テフロンは登録商標)を用いて十分に摩砕し、2000×g、4℃、10分間の遠心分離後、沈殿を同じ緩衝液中で再度摩砕し、遠心分離を繰り返して沈殿を得た。
【0106】
さらに、沈殿を冷水に懸濁し、同じ遠心分離を行った。この懸濁と遠心分離を再度繰り返した。沈殿を10倍量のメタノールに懸濁し、80℃で30分間保温した。
【0107】
その後、2000×g、4℃、10分間の遠心分離後、沈殿を再度メタノールに懸濁し遠心分離を行った。沈殿を冷水に懸濁し、2000×g、4℃、10分間の遠心分離を行い、メタノールを除去した。
【0108】
沈殿を10倍量のα−amylase 溶液(0.1mlα−amylase Type I−A[シグマ−アルドリッチ、A6255-10MG]を100mlの6mMのNaClを含む20mM燐酸ナトリウム緩衝液[pH7.0]に添加)に懸濁し、28℃で24時間デンプン消化を行った。
【0109】
2000×g、4℃、10分間の遠心分離のあと、沈殿を2回冷水への懸濁と遠心分離で洗浄し、細胞壁を得た。
【0110】
50mMのEDTA溶液(50mM EDTA、50mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液、pH4.5)を取得した細胞壁に加え、100℃で4時間処理し、1000×gで10分間の遠心分離を行った。
【0111】
さらに、沈殿を20mMのEDTA溶液 (20mM EDTA、50mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液、pH4.5)に懸濁し、100℃で4時間処理し、1000×gで10分間の遠心分離を行った。
【0112】
次に、沈殿を5%KOH溶液(5%[w/w]KOH、1%[w/v]水酸化ホウ素ナトリウム)に懸濁し、28℃で24時間処理した1000×gで10分間の遠心分離を行った。
【0113】
さらに、24%KOH溶液(24%[w/w]KOH、1%[w/v]水酸化ホウ素ナトリウム)に懸濁し、28℃で24時間処理した1000×gで10分間の遠心分離を行い、沈殿をセルロース画分とした。
【0114】
このセルロース画分の全量を160mlのセルラーゼ(セルラーゼオノヅカRS)に懸濁し、50℃で3日間消化し、グルコースを遊離させた。
【0115】
グルコース量は、下記表4に示すようなグルコース分析キット(シグマ−アルドリッチ、GAHK20)で定量した。
【0116】
【表4】

【0117】
次に、この反応液を3500回転、10分間の遠心分離で分離後、グルコースを含む酵素液を回収した。この液にドライイースト2gを加え、十分に懸濁後、40℃で2時間発酵させ、エタノールを生産させた。
【0118】
エタノール量は、下記表5に示すようなエタノールテストキット(ロシュ)で定量した。
【0119】
【表5】

【0120】
その結果、新鮮なhUGT1形質転換タバコ植物の葉からは、新鮮なコントロールのpBIN19形質転換植物の葉の3.69倍量のグルコースが回収され、3.37倍量のエタノールが生産できることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明の形質転換植物体から、バイオエタノール等を抽出し、その抽出物は、燃料、化学原料、芳香剤、化粧品、染色剤等の様々な産業分野で利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】糖ヌクレオチドをNSTにてゴルジ体内腔へ輸送する様子を説明する図である。
【図2】hUGT1を説明する図である。
【図3】NSTを介して糖ヌクレオチドがゴルジ体内腔へ侵入した状態を説明する図であり、そのうち(a)はゴルジ体内腔を説明する物であり、(b)はゴルジ体膜を説明するものである。
【図4】細胞壁の写真を説明する図であり、そのうち(a)、(c)、(e)はコントロールであり、(b)、(d)、(f)は実施例である。
【図5】細胞壁の写真を説明する図であり、そのうち(a)、(c)はコントロールであり、(b)、(d)は実施例である。
【符号の説明】
【0123】
110 小胞体
120 ゴルジ体
130 糖ヌクレオチド輸送体
140 糖ヌクレオチド
141 UDP
142 GLcNAc
143 ガラクトース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖ヌクレオチド輸送体をコードする遺伝子を植物体に組み込み、前記植物体を形質転換することにより、糖ヌクレオチドを細胞質基質からゴルジ体の内腔まで輸送させて、前記植物体の細胞壁の厚みを増大させる、
ことを特徴とする、植物体の細胞壁厚み増大方法。
【請求項2】
前記糖ヌクレオチドは、UDP−ガラクトース、UDP−N−アセチルグルコサミン、UDP−グルクロン酸、UDP−マンノース、UDP−フコース、UDP−アラビノピラノース、UDP−アラビノフラノース、UDP−ラムノース、UDP−アピオース、及び、UDP−グルコースのうち少なくとも何れか一つである、
ことを特徴とする請求項1記載の植物体の細胞壁厚み増大方法。
【請求項3】
前記糖ヌクレオチドはUDP−ガラクトースであり、
前記糖ヌクレオチド輸送体はUDP−ガラクトース輸送体である、
ことを特徴とする請求項1記載の植物体の細胞壁厚み増大方法。
【請求項4】
前記UDP−ガラクトース輸送体をコードする遺伝子は、hUGTである、
ことを特徴とする請求項3記載の植物体の細胞壁厚み増大方法。
【請求項5】
前記hUGTは、hUGT1及びhUGT2のうち少なくとも何れか一つである、
ことを特徴とする請求項4記載の植物体の細胞壁厚み増大方法。
【請求項6】
前記植物体は、タバコ植物体である、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の植物体の細胞壁厚み増大方法。
【請求項7】
前記タバコ植物体は、バレー種、黄色種、及び、東洋種のうち少なくとも何れか一つである、
ことを特徴とする請求項6記載の植物体の細胞壁厚み増大方法。
【請求項8】
糖ヌクレオチド輸送体をコードする遺伝子を植物体に組み込み、前記植物体を形質転換することにより、糖ヌクレオチドを細胞質基質からゴルジ体の内腔まで輸送させて、植物体の細胞壁の厚みを増大することのできる形質転換植物体としての植物バイオマスを準備する、植物バイオマス準備工程と、
前記植物バイオマス準備工程で得られた形質転換植物体のセルロース系バイオマス原料を糖化する糖化工程と、
前記糖化工程で得られた糖から、微生物を用いてアルコールを生産する発酵工程と、を有する、
ことを特徴とする、セルロース系バイオマスからのアルコール製造方法。
【請求項9】
前記糖ヌクレオチドは、UDP−ガラクトース、UDP−N−アセチルグルコサミン、UDP−グルクロン酸、UDP−マンノース、UDP−フコース、UDP−アラビノピラノース、UDP−アラビノフラノース、UDP−ラムノース、UDP−アピオース、及び、UDP−グルコースのうち少なくとも何れか一つである、
ことを特徴とする請求項8記載のセルロース系バイオマスからのアルコール製造方法。
【請求項10】
前記糖ヌクレオチドはUDP−ガラクトースであり、
前記糖ヌクレオチド輸送体はUDP−ガラクトース輸送体である、
ことを特徴とする請求項8記載のセルロース系バイオマスからのアルコール製造方法。
【請求項11】
前記UDP−ガラクトース輸送体をコードする遺伝子は、hUGTである、
ことを特徴とする請求項10記載のセルロース系バイオマスからのアルコール製造方法。
【請求項12】
前記hUGTは、hUGT1及びhUGT2のうち少なくとも何れか一つである、
ことを特徴とする請求項11記載のセルロース系バイオマスからのアルコール製造方法。
【請求項13】
前記植物体は、タバコ植物体である、
ことを特徴とする請求項8乃至12の何れか1項に記載のセルロース系バイオマスからのアルコール製造方法。
【請求項14】
前記タバコ植物体は、バレー種、黄色種、及び、東洋種のうち少なくとも何れか一つである、
ことを特徴とする請求項13記載のセルロース系バイオマスからのアルコール製造方法。
【請求項15】
前記アルコールは、エタノールである、
ことを特徴とする請求項8乃至14の何れか1項に記載のセルロース系バイオマスからのアルコール製造方法。
【請求項16】
糖ヌクレオチド輸送体をコードする遺伝子が組み込まれることにより形質転換され、糖ヌクレオチドが細胞質基質からゴルジ体の内腔まで輸送されることにより、細胞壁の厚みが増大している、
ことを特徴とする形質転換植物体。
【請求項17】
前記糖ヌクレオチドは、UDP−ガラクトース、UDP−N−アセチルグルコサミン、UDP−グルクロン酸、UDP−マンノース、UDP−フコース、UDP−アラビノピラノース、UDP−アラビノフラノース、UDP−ラムノース、UDP−アピオース、及び、UDP−グルコースのうち少なくとも何れか一つである、
ことを特徴とする請求項16記載の形質転換植物体。
【請求項18】
前記糖ヌクレオチドはUDP−ガラクトースであり、
前記糖ヌクレオチド輸送体はUDP−ガラクトース輸送体である、
ことを特徴とする請求項16記載の形質転換植物体。
【請求項19】
前記UDP−ガラクトース輸送体をコードする遺伝子は、hUGTである、
ことを特徴とする請求項18記載の形質転換植物体。
【請求項20】
前記hUGTは、hUGT1及びhUGT2のうち少なくとも何れか一つである、
ことを特徴とする請求項19記載の形質転換植物体。
【請求項21】
前記形質転換植物体は、タバコ植物体である、
ことを特徴とする請求項16乃至20の何れか1項に記載の形質転換植物体。
【請求項22】
前記タバコ植物体は、バレー種、黄色種、及び、東洋種のうち少なくとも何れか一つである、
ことを特徴とする請求項21記載の形質転換植物体。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−51252(P2010−51252A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220356(P2008−220356)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【Fターム(参考)】