説明

後燃焼室を有するガスタービン用のコジェネレーション方法および装置

本発明は、1つの圧縮ゾーン14と、少なくとも1つの膨張ゾーン18、52、102と、1つの燃焼室20とを備える、タービン、特にガスタービンによるコジェネレーション方法および装置に関する。本発明の方法は、酸素を含む支燃剤を圧縮ゾーン14内で圧縮する工程と、燃焼室20内で、圧縮支燃剤と燃料との混合物の加圧燃焼を実施する工程と、外部設備34、70での交換を実現するために、加圧燃焼により得られた高温ガスの少なくとも一部分を使用する工程と、交換の結果生じた高温ガスと燃料との混合物を後燃焼する少なくとも1つの工程を実施することで、交換がない時に実現される条件に近い温度および圧力条件下で、膨張ゾーン18、52、102に送られる高温ガスを得る工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕事と熱とのコジェネレーション方法およびコジェネレーション装置に関する。より詳細には、タービン、特にガスタービンを使用して実現されるコジェネレーション方法に関する。より正確には、この方法は、たとえば吸熱反応を実行するために産業設備で熱を交換するガスタービンで生じた高温燃焼ガスを使用することにある。
【背景技術】
【0002】
従来のコジェネレーション方法では、高熱のガスが通過するとともに水のような流体が通過する交換器の中で行われる熱交換により加圧蒸気等を発生させるため、タービンから出される一般に大気圧に近い圧力の高温燃焼ガスが使用されている。これらのシステムは、蒸留塔のリボイラーの加熱など様々な産業設備に用いることが可能な蒸気分配システムに利用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのような方法での欠点は、高温ガスの温度が、たとえば500℃を超えるような比較的高い温度で作動する産業設備を加熱するのに不十分なことである。
【0004】
一方、ガスタービンからのガスは大気圧に近い圧力で排出され、また、負荷の損失が比較的少ないとしてもガスタービンの性能が大幅に阻害されるので、ガスタービンの出口側での負荷の損失は極めて小さいことが求められ、このため、ガスタービンから出る高温ガスを直接使用することは困難である。
【0005】
また、たとえば出願人のフランス特許出願第2825995号またはフランス特許出願第2675498号においてよりよく記述されているように、ガス状フィラーの改質を実現するために、高温燃焼ガスを使用することも提案されていたが、熱交換後、高温ガスがタービンに送られると、ガスが熱を放出して著しく冷却されることが欠点である。このような状況下ではタービンによって発生する機械的出力はきわめて低い。さらに、タービンの初期寸法および膨張タービンにあるフィンの初期寸法は、ここに送られてくる加圧高温ガスの新規な導入条件に適合していない。
【0006】
したがって本発明は、ガスタービンで出力をほぼ一定に保つことができ、かつ、膨張タービンの入口において、熱交換がない場合の初期導入温度にきわめて近い高温燃焼ガスの温度を得ることができる方法および装置により、上述の欠点を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって本発明は、1つの圧縮ゾーンと、少なくとも1つの膨張ゾーンと、1つの燃焼室とを備える、タービン、特にガスタービンによるコジェネレーション方法において、
(a)前記圧縮ゾーン内で、酸素を含む支燃剤を圧縮する工程と、
(b)前記燃焼室内で、圧縮された前記支燃剤と燃料との混合物を加圧燃焼する工程と、
(c)外部設備を用いた交換を実現するために、前記加圧燃焼により得られた高温ガスの少なくとも一部分を使用する工程と、を含み、
(d)交換の結果生じた前記高温ガスと燃料との混合物を後燃焼する少なくとも1つの工程を実施し、前記工程(c)がない時に実現される条件に近い温度および圧力条件で、前記膨張ゾーンに送られる高温ガスを得ることを特徴とする方法に関する。
【0008】
また、交換を実施する前に、燃焼の結果生じた高温ガスと燃料との混合物を後燃焼する工程が実施されてもよい。
【0009】
後燃焼工程は、膨張ゾーンの入口において、交換がない場合の初期導入温度にきわめて近い温度の高温ガスを得るように量が調節された燃料を投入することにより実施されるものであってもよい。
【0010】
また、交換がない場合の初期導入温度にきわめて近い温度の高温ガスを膨張ゾーンの入口において得るように量が調節された高温ガスを投入することにより、上記後燃焼工程を実施することもできる。
【0011】
外部設備での交換により、蒸気の生成作業またはフィラーの改質作業が実施されてもよい。
【0012】
本発明は、1つの圧縮ゾーンと、少なくとも1つの膨張ゾーンと、1つの燃焼室と、燃焼によって生じた高温ガスと加熱すべき流体との間の交換手段を備え、交換手段から出された高温ガスが供給される少なくとも1つの後燃焼室を備えることを特徴とする、タービン、特にガスタービンによるコジェネレーション装置にも関する。
【0013】
本装置は、高温ガスを交換手段に供給する後燃焼室を備えていてもよい。
【0014】
本装置は、燃焼室の出口および/または後燃焼室の出口における高温ガスの温度を調節することが可能な短絡管路を備えていてもよい。
【0015】
本装置は、燃焼室を交換手段に直接接続する高温ガス管路を備えていてもよい。
【0016】
交換手段は、熱交換器および/または反応器を備える。
【0017】
本装置は、第1の膨張ゾーンと第2の膨張ゾーンを備え、第1のゾーンを第2のゾーンに接続する高熱ガス管路を備えていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1の例は、ダブルシャフトタービンと呼ばれる特別なタイプのガスタービンを有する装置を示す。
【0020】
この構成においてガスタービンは、第1の膨張工程で燃焼空気を圧縮することができる膨張−圧縮セル10と、機械的出力および/または電気的出力を発生することができる第2の膨張工程を有する膨張セル12とを備える。
【0021】
膨張−圧縮セル10は、膨張タービン18備えた第1の膨張ゾーンにシャフト16で連結されたコンプレッサ14と、燃焼室20とを備える。一般に酸素を含む外気からの流体は、管路22を経てコンプレッサ14に導入され、圧縮された状態で、コンプレッサから管路24を経て出力される。燃焼室20には管路26から天然ガスなどの燃料が供給されるとともに、ここへは、管路24を通って流通される、全体または一部が圧縮空気である支燃剤が供給される。燃焼室20内において燃料と圧縮空気との混合物が燃焼することで発生する高温ガスは、管路28により膨張タービン18内に送られ、そこで膨張し、管路30から排気される。図1の例では、コンプレッサから出される圧縮空気の一部が管路24を経て燃焼室20内に送られ、残りの部分は、以下の記述において動作を説明する短絡管路32を通って高温ガス管路28側に直接送られる。
【0022】
本装置は、チューブ式およびグリル式の熱交換器のような交換手段、特に熱交換手段34も備えており、導入管路36から入る加熱すべき流体は、この交換手段内を通過し出力管路38を経てこの交換器から出る。この交換器は管路30を経由する高温燃焼ガスの導入口40を含む。これらの高温ガスは交換器34を横断し、流体にその熱量を伝達して加熱する。いったん熱交換が行われると、高温ガスは排気口42から交換器の外に出るが、この排気口は管路44により後燃焼室46に接続され、後燃焼室には管路48から燃料が供給され、この燃料は燃焼室20に供給される燃料と同じものであってもよい。燃焼室20から出る高温ガスの循環方向を考慮すると、後燃焼室46は交換手段34の下流側に位置するので、以下の記述ではこの後燃焼室を下流側後燃焼室と呼ぶことにする。管路44の高温燃焼ガスと、燃料との混合物が後燃焼されることによって生じる高温ガスは、管路50を通って、膨張セル12に含まれる膨張タービン52を有する第2の膨張ゾーン内に送られ、膨張した後、管路54からゾーンの外に出る。このタービンは、たとえばオルタネータ58などの機械的出力および/または電気的出力を発生する任意の手段にシャフト56により連結されている。図1に示すように、交換器34から出た高温ガスの一部は、管路44により後燃焼室46内に送られ、ガスの残りの部分は、以下の記述において動作を説明する短絡管路60によって高温後燃焼ガスの排気管路50側に直接送られる。
【0023】
上で記述した設備の動作は以下の通りである。
【0024】
管路22から導入された空気がコンプレッサ14内で圧縮され、圧縮された状態で管路24からコンプレッサの外に出る。この圧縮空気の一部は燃焼室20に送られ、そこで、管路26を経て到達する燃料と混合される。この室内での燃焼により高温燃焼ガスが発生し、高温燃焼ガスは、この燃焼室20の出口で、コンプレッサから出て燃焼室には送られずに短絡管路32を経由して到達した圧縮空気と混合される。それにより、燃焼の結果生じる高温ガスの温度を、たとえば1000℃から1300℃といった、第1の膨張タービン18の入口において求められる温度と適合するレベルに調節することが可能となる。
【0025】
管路30を経由してタービン18の外に出る650℃程度の高温ガスは交換器34に送られ、そこで、管路36から交換器内に入りたとえば水蒸気など所望する形態で交換器から管路38を経て外に出る、水などの外部流体に熱を与えることにより、冷却される。これらの高温ガスは、たとえば4バール程度の圧力で加圧されている。
【0026】
このような条件では、大気圧に近い圧力までの最終的な膨張で使用高温ガスが生じる時に必要な体積と比較してはるかに小さな体積の容器内で、熱交換が、通常、実現可能となる。実際、通過速度が同じ場合、高温ガスが占める断面積は、圧力にほぼ反比例する。許容可能な負荷損失が大きくなると、通過速度を増加させることが可能となり、それにより、通路断面積をさらに小さくして熱伝達係数を増加させることが可能となる。
【0027】
交換器34の出口では、高温ガスは、入口における温度よりも著しく低い温度になっており、入口40との温度差はたとえば100℃以上である。これらの高温ガスは、次いで、下流側後燃焼室46内に送られる。管路22を経由してコンプレッサ14内に入る空気の量が、管路48を経由して到達する燃料の燃焼に必要な化学量論的な空気量よりもはるかに多いため、交換器34から出る高温ガスの一部分を支燃剤として使用することにより、室46内で後燃焼を実現することが可能となり、残りの部分は、短絡管60を通過し、後燃焼の結果生じる高温ガスの混合物の温度が、第2の膨張タービン52の入口において求められる温度と適合するレベルに調節される。この後燃焼を実現するのに使用される、管路48を経由して到達する燃料の量も、短絡管路60内を流れる高温ガスの量と組み合わせて調節され、その結果、第2の膨張タービン52の入口において、たとえば1000℃から1300℃といった、交換器34内で行われる交換がない場合に得られる温度に近い温度が得られる。このようにして得られた高温の後燃焼ガスは膨張タービン52内で膨張し、交換器34内で行われる交換がない場合に得られる出力に近い機械的出力を発生する。本実施例では、この機械的出力はオルタネータ58を駆動するのに使われる。
【0028】
膨張した後、高温ガスは、大気圧に近い圧力で管路54から排気される。
【0029】
図2は図1の実施の変形形態を示し、したがって同じ符号を含む。
【0030】
この変形形態で、交換器34に比較的高温の熱を供給する必要がある場合には、2つの後燃焼工程が行われてもよい。
【0031】
より詳細には、後燃焼室46内で行われる後燃焼工程に先立って、上記同様の後燃焼工程が実施されるようになっている。
【0032】
この事前の工程は後燃焼室62内で実施され、これにより、第1の膨張タービン18から出た高温ガスが、交換器34に入る前に加熱され得る。燃焼室20から出る高温ガスの循環方向を考慮すると、後燃焼室が交換手段34の上流側に位置するので、以下の記述ではこの後燃焼室を上流側後燃焼室と呼ぶことにする。
【0033】
この後燃焼を実施するために、上流側後燃焼室に、天然ガスなどの燃料が管路64を経由して供給されるとともに、膨張タービン18をこの燃焼室に接続する管路30を経由して高温ガスが供給される。後燃焼室62を出た高温ガスは管路66により熱交換器34の入口40に送られる。室20、46に関連して既述したように、短絡管路32、60の機能と同じ機能の短絡管68が設けられている。
【0034】
したがって、管路64を経由して到達する燃料と、管路30から膨張タービン18の外に出る高温ガスの一部分との燃焼により、燃焼室62内で第1の後燃焼工程が行われ、高温ガスの残りの部分は、高温ガスが交換器34に入る前に短絡管路68を通り、この室から出る高温ガスの温度の調節を行う。第2の後燃焼工程は後燃焼室46内で行われ、交換器34を出た高温ガスと、膨張タービン52の入口で必要な温度が得られるように量が調節された、管路48を経由して到達した燃料とが使用される。
【0035】
図2に図示された配置例は、ガス、特に天然ガスを主成分とするフィラーから水素を発生させるための、たとえば蒸気改質反応など、比較的高温で発生する吸熱反応にて加熱を行うのにきわめて適している。
【0036】
このことにより、この吸熱反応を行うために熱を供給しながら、機械的または電気的出力を発生させることが可能となる。水素とともに発生する二酸化炭素を分離し隔離することで、こうして発生した水素の少なくとも一部分を、二酸化炭素の放出を伴なわずに、燃焼および/または後燃焼を行うのに使用することが可能となる。
【0037】
そのような吸熱反応は、メタノールなどのアルコールや石油留分といった他のフィラー、または、別のフィラーと組み合せて使用することもできる。
【0038】
そのような適用例を、ガスを主成分とするフィラーから水素を発生させる、蒸気改質反応のための図3の設備の略図により図示する。この設備は、基本的に図2の要素と同じ要素を有する装置を含むので、同じ符号を有する。
【0039】
この設備内の交換手段は反応装置−交換器型の反応装置70であり、反応装置70は、ガス、好ましくは天然ガスの取込み管路72と、水蒸気のような流体74の取込み管路74とを含む。この2つの流体は2つの管路の交点で混合し、管路76により反応装置の入口に送られる。得られた合成ガスは管路78から出て、任意かつ既知の処理装置に送られる。この反応装置は、上流側後燃焼室62から管路66を経由して供給される高温ガスの取入口80と、管路44から下流側後燃焼室46側に高温ガスを排出する口82も含む。
【0040】
この設備の運転中、天然ガスは管路72を通って送られる。天然ガスは、図示しない熱交換器により予め加熱されている。水蒸気は、管路74を通って送られ、2つの管路の交点で天然ガスと混ざり合う。管路72から投入される天然ガスの量に対する、管路74から投入される水の量のモル比は2〜4の間である。その結果生じた混合物は、管路76を経由して反応装置内に入る。反応装置70内で行われる改質吸熱反応によって、一酸化炭素COと水素H2との混合物が生じることとなる。例えば、カリウムドープシリカ−アルミナ酸カルシウム上またはマグネシウム上に付着したニッケルを、あるいは、アルミナ担体のニッケルを主材とするような触媒が存在しているため、管路内では気体混合物が生じる。反応ゾーン出口での到達温度は850〜940℃の間である。反応は、20〜40バールの間の圧力で行われる。たとえば4バール程度の圧力で管路66を経由して到達しグリル内を全体として向流で流れる高温ガスにより、反応装置の加熱が維持される。また、並流加熱を実施して、管路の壁部の温度を制限することも可能である。得られた、一酸化炭素と水素との混合物は、管路78から排出される。
【0041】
水素の生成量を増やすために、水蒸気を使用する第2の変換工程が行われてもよい。この第2の変換工程の終了時には、たとえば溶媒を用いた洗浄など当業者にとって既知の様々な方法により、二酸化炭素を分離することができる。吸着または膜によって未変換の炭化水素を分離することにより、発生した水素を、次いで純化することが可能であり、未変換の炭化水素は天然ガスの取入口の方に再循環させることが可能である。
【0042】
こうして発生した水素の少なくとも一部は、燃料として、オルタネータが電気を発生させるようなやり方でガスタービンに供給されてもよく、二酸化炭素の発生量が大幅に低減する。
【0043】
支燃剤として管路22内で空気を使用する代わりに、酸素と再生二酸化炭素との混合気を使用することもできる。燃料が、たとえば天然ガス由来の炭化水素である場合、それにより二酸化炭素の濃縮排気ガスが得られるので、二酸化炭素を容易に分離することができる。
【0044】
上で記述した本方法は、
(a)タービンの圧縮ゾーン14内で酸素を含む支燃剤を圧縮する工程と、
(b)圧縮支燃剤と燃料との混合物の加圧燃焼を実施する工程と、
(c)外部設備34または70を用いた交換を実現するために、加圧燃焼により得られた高温ガスの少なくとも一部分を使用する工程と、
(d)交換の結果生じた高温ガスと燃料との混合物を後燃焼する少なくとも1つの工程を実施し、工程(c)がない時に実現される条件に近い温度および圧力条件下で、タービン52に送られる高温ガスを得る工程と、を含む。
【0045】
このようにして本方法によれば、機械的エネルギーの発生過程において発生した加圧高温ガスを、ガスタービンの性能を保持しつつ使用することが可能となる。また、ガスタービンによって発生する出力をほぼ一定に維持することが可能となる。さらに、交換手段の入口と出口の間における負荷の損失を最小限にするために、この交換手段の出口に、昇圧器などの圧力増加手段が設けられていてもよい。
【0046】
この方法は、図4の略図にて例として示した改質設備で用いることができる。
【0047】
この例では、使用されるタービンは製造者General Electric社の用語を使用すればGE Frame7型のガスタービンである。そのような機械は、ISOの条件のもと80MWまでの機械的出力を発生することができる。軸流コンプレッサ14は、およそ18バールの圧力まで圧縮された周囲空気を、管路22からおよそ958t/時で吸引する。管路24内を循環するこのような圧縮空気は、管路26を経由して到達する水素の濃度が高い燃料と、燃焼室20内でおよそ7t/時の割合で混合され、得られた混合気は、燃焼室20内で燃焼される。燃焼室20を出たところで、およそ1200℃の温度の高温ガスの混合気が得られる。高温ガスは、次いで、管路28を経由して第1の膨張タービン18内に送られ、そこから管路30を経由して、およそ4バールの圧力およそ750℃の温度でタービン外に出る。高温ガスは、次いで、管路64を経由して到達する、水素の濃度が高い追加的な量の燃料と、後燃焼室62内でおよそ4t/時の割合で混合される。こうして、後燃焼室62の出口で、およそ1150℃の温度の高温ガスの混合気が得られ、この混合気は管路66を経由して、反応装置−交換器型の反応装置70の加熱に使用される。交換の後、管路44を経由して反応装置−交換器70から出た高温ガスは、管路48を経由して到達した、水素の濃度が高い第3の部分の燃料と、下流側後燃焼室46内でおよそ1t/時の割合で混合される。下流側後燃焼室46を出て管路50内を循環する高温ガスは、再びおよそ750℃の温度になる。高温ガスは、第2の膨張タービン52内で膨張し、そこから、およそ1.3バールの圧力およそ565℃の温度で管路54を経由してタービンの外に出る。膨張タービン内で発生する出力は55MWである。
【0048】
水素濃度が高い燃料は、水蒸気が管路74を経由しておよそ170t/時の割合で到達するとき、管路72を経由して到達するおよそ50t/時の割合の天然ガスが改質されることによって発生する。この水蒸気は、管路54を経由して第2の膨張タービン52から出た高温ガスの熱を回収することにより、回収ボイラー84内で発生する。水蒸気は、管路86を経由して到達し交換ループ88内を再循環する脱塩水から発生する。
【0049】
得られた合成ガスは、反応装置−交換器70を出た後、管路78内を循環し、当該分野の専門家によって「シフトコンバージョン」と呼ばれる第2の変換工程を経るようになっており、この工程の途中で、合成ガスは、発生するCOの一部を二酸化炭素に変換しつつ、追加的な量の水素を発生させるよう水蒸気と反応する。これを行うために、管路90を経由して56t/時の流量の水が供給され、この水は反応装置92内の「シフトコンバージョン」反応に消費される。この「シフトコンバージョン」反応は、主な改質反応を実行するのに必要な温度よりも低い温度で実行しなければならない。その温度はおよそ400℃に維持され、水蒸気が46t/時で発生する。
【0050】
回収ループ88内で発生する蒸気は164t/時となるが、そのうち124t/時は合成ガスを生成するのに使われる。合成ガスの生成に使われない40t/時の流量は、送り出されてもよいし、凝縮サイクルで使用されてもよい。
【0051】
管路94を経由して反応装置92から出る合成ガスは、次に、水素洗浄ゾーンおよび精製ゾーン(図示せず)に送られる。
【0052】
こうして25t/時の純水素が発生し、その一部はガスタービン、および、後燃焼工程への供給用として直接使用することができる。他の一部は、装置、たとえばPSA型吸着精製装置内で、追加の精製処理を受けることが可能である。
【0053】
図3の変形形態である図5を参照すると、燃焼室20内での燃焼によって生じる高温ガスは、管路96から、たとえば反応装置70の入口80側に直接排出され、その圧力は例えば10〜40バールの間であってもよい。この場合、酸素を含むガスが反応剤側に移動するリスクを避けるように、反応装置70内で、少なくとも若干高い圧力で実現される反応を行うことが好ましいこともある。管路44を通って反応装置70から出た高温ガスは、その後、後燃焼室46の方に送られる。下流側後燃焼室と第1の膨張タービン18とを接続する管路98を通るガスであって、タービンによって供給され得る最大出力に近い機械的出力を得るのに必要な温度の高温ガスが、第1の膨張タービン18の入口において得られるように、管路48によって送られる燃料の量が調節される。この膨張タービン18から出る高温ガスは、その後、管路100を経由して、オルタネータ58を駆動する第2膨張タービン52に送られる。
【0054】
前出の図に示した構成例は、図6に略図を示すようなシングルシャフト型タービンの場合にも適用される。
【0055】
この場合、単一のシャフト16により、1つのタービン102がコンプレッサ14とオルタネータ58の双方に接続されている。
【0056】
例として図5の構成を再度示すこの変形形態では、下流側燃焼室46から出る高温ガスは、管路98を経由して、コンプレッサ14とオルタネータ58とを駆動する膨張タービン102に送られる。
【0057】
また、本発明の方法の原理は、交換手段内で熱交換を行うだけでなく、反応装置−交換器のような交換手段内を循環する2つの気体流の間で物質交換を行う形態にも適用可能である。
【0058】
適用可能な第1の形態は、酸素の移動である。そのような形態では、反応装置−交換器は、酸素を選択的に透過するセラミック材の管を使用して作製されていてもよい。この場合、酸素イオンが移動するのであれば、ペロブスカイト型セラミックを使用してもよい。そのような構成は、比較的重い炭化水素フィラーから合成ガスを生成する場合、あるいは、たとえばFischer−Tropsch合成の反応への供給を行うために、適切な割合のCOを含む、COと水素との混合物を得る場合に有利となることがある。
【0059】
適用可能な第2の形態は、水素の移動である。この場合、反応装置−交換器は、たとえばパラジウム選択層を含む管など、水素を選択的に透過するセラミック材の管を使用して作製されていてもよい。
【0060】
それにより反応の進行が促進され、水素への変換率を増加させることができる。
【0061】
後燃焼工程を行うために、水素が直接分離され、支燃剤に混合されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による装置の構成例を示す図である。
【図2】図1に示したような装置の第1の変形形態を示す図である。
【図3】図2の装置の変形形態を示す図である。
【図4】フィラーの改質設備内における本発明による装置の配置を示す略図である。
【図5】図1による装置の構成の別の変形形態を示す図である。
【図6】本発明による装置の構成の別の変形形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの圧縮ゾーン(14)と、少なくとも1つの膨張ゾーン(18、52、102)と、1つの燃焼室(20)とを備える、タービン、特にガスタービンによるコジェネレーション方法において、
(a)前記圧縮ゾーン(14)内で、酸素を含む支燃剤を圧縮する工程と、
(b)前記燃焼室(20)内で、圧縮された前記支燃剤と燃料との混合物を加圧燃焼する工程と、
(c)外部設備(34、70)を用いた交換を実現するために、前記加圧燃焼により得られた高温ガスの少なくとも一部分を使用する工程と、を含み、
(d)交換の結果生じた前記高温ガスと燃料との混合物を後燃焼する少なくとも1つの工程を実施し、前記工程(c)がない時に実現される条件に近い温度および圧力条件で、前記膨張ゾーン(18、52、102)に送られる高温ガスを得ることを特徴とするコジェネレーション方法。
【請求項2】
前記交換を実施する前に、燃焼の結果生じた前記高温ガスと燃料との混合物を後燃焼する工程を実施することを特徴とする、請求項1に記載のコジェネレーション方法。
【請求項3】
交換がない場合の初期導入温度にきわめて近い温度の高温ガスを前記膨張ゾーン(18、52、102)の入口において得るように調節された量の燃料を投入することにより、前記後燃焼工程を実施することを特徴とする、請求項1または2に記載のコジェネレーション方法。
【請求項4】
交換がない場合の初期導入温度にきわめて近い温度の高温ガスを前記膨張ゾーン(18、52、102)の入口において得るように調節された量の高温ガスを投入することにより、前記後燃焼工程を実施することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のコジェネレーション方法。
【請求項5】
前記外部設備(34)での交換により、蒸気の生成作業が実施されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記外部設備(70)での交換により、フィラーの改質作業が実施されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
1つの圧縮ゾーン(14)と、少なくとも1つの膨張ゾーン(18、52、102)と、1つの燃焼室(20)と、燃焼によって生じた高温ガスと加熱すべき流体との間の交換手段(34、70)を備え、
前記交換手段から出された前記高温ガスが供給される少なくとも1つの後燃焼室(46)を備えることを特徴とする、タービン、特にガスタービンによるコジェネレーション装置。
【請求項8】
前記高温ガスを前記交換手段(34、70)に供給する後燃焼室(62)を備えることを特徴とする、請求項7に記載のコジェネレーション装置。
【請求項9】
前記燃焼室(20)の出口および/または前記後燃焼室(46、62)の出口における高温ガスの温度を調節することが可能な短絡管路(32、60)を備えることを特徴とする、請求項7または8に記載のコジェネレーション装置。
【請求項10】
燃焼室(20)を交換手段(34、70)に直接接続する高温ガス管路(98)を備えることを特徴とする、請求項7に記載のコジェネレーション装置。
【請求項11】
前記交換手段が前記熱交換器(34)を備えることを特徴とする、請求項7から10のいずれか1項に記載のコジェネレーション装置。
【請求項12】
前記交換手段が前記反応器(70)を備えることを特徴とする、請求項7から11のいずれか1項に記載のコジェネレーション装置。
【請求項13】
第1の膨張ゾーン(18)と第2の膨張ゾーン(52)とを備え、前記第1のゾーン(18)を前記第2のゾーン(52)に接続する高熱ガス管路(100)を備えることを特徴とする、請求項7から11のいずれか1項に記載のコジェネレーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−520442(P2006−520442A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505720(P2006−505720)
【出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000600
【国際公開番号】WO2004/083729
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(591007826)アンスティテュ フランセ デュ ペトロール (261)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT FRANCAIS DU PETROL