説明

復帰処理装置、印刷システム及びプログラム

【課題】省電力モード中の画像形成装置に対する印刷指示情報がクラウドプリントサービスで生成された場合であっても、その画像形成装置が印刷指示情報を確認可能にする。
【解決手段】端末装置10が、画像形成装置45での文書の印刷をクラウドプリントサーバ50に要求し(1A)、クラウドプリントサーバ50が、画像形成装置45に対する印刷指示情報を生成する(1B)。一方で、省電力モードに移行しない画像形成装置40が、同じネットワーク内の画像形成装置に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に蓄積されていないかチェックし(1C)、画像形成装置45に対する印刷指示情報が蓄積されていれば、省電力モードから復帰させるパケットを画像形成装置45に出力する(1D)。すると、画像形成装置45は、省電力モードから復帰し、クラウドプリントサーバ50から文書を取得して印刷する(1E)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、復帰処理装置、印刷システム、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷クライアント装置が、印刷要求があったとき、印刷データを作成し、プリンタ装置に転送する前に、印刷クライアント装置上にグループ登録されているプリンタ装置の省電力状態を解除するコマンドを発信し、省電力状態を解除するプリントシステムは、知られている(例えば、特許文献1参照)。
省エネ状態でホスト装置からプリントデータを受信した場合、ネットワーク内の他のプリンタ装置の状態を調べ、省エネ状態ではないため直ちに印刷可能な他のプリンタ装置を選択し、ホスト装置から受信したプリントデータを、選択した他のプリンタ装置に転送するプリンタ装置も、知られている(例えば、特許文献2参照)。
通常データ処理待機状態からスリープモード移行時に代理応答サーバにスリープモード移行要求を通知した後、いずれかのクライアントデバイスから発行される所定のスリープ移行中の周辺装置に対する周辺装置検索要求に基づき、代理応答サーバからのスリープ解除要求を受け付けた場合に、スリープモードを解除してデータ処理待機状態に復帰する周辺装置も、知られている(例えば、特許文献3参照)。
ネットワークを介して受信した画像形成命令に基づき画像を形成する複数の画像形成装置を備え、複数の画像形成装置の中の一の画像形成装置が、複数の画像形成装置の中の他の画像形成装置を代理装置として設定し、ネットワークを介して自装置に対して送信される信号に含まれる画像形成命令以外の役務の提供を他の画像形成装置に代理させ、自装置は稼動状態よりも消費電力が低い省電力状態に移行する画像形成システムも、知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−022550号公報
【特許文献2】特開2002−113925号公報
【特許文献3】特開2004−334793号公報
【特許文献4】特開2010−176424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、省電力状態にある印刷装置に対する印刷指示情報が役務で生成された場合であっても、その印刷装置が印刷指示情報を確認可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、指定された印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報を生成する役務に、特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が保持されているかどうかを、当該特定の印刷装置が確認していないことを検知すると、当該特定の印刷装置が当該役務に印刷指示情報が保持されているかどうかを断続的に確認する確認状態にないと判定する判定手段と、前記判定手段により前記特定の印刷装置が前記確認状態にないと判定された場合に、当該特定の印刷装置を前記確認状態に復帰させるための処理を行う処理手段とを備えたことを特徴とする復帰処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記処理手段は、前記特定の印刷装置を前記確認状態に復帰させるための処理として、当該特定の印刷装置にデータを送信する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の復帰処理装置である。
請求項3に記載の発明は、自装置及び前記特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が前記役務に保持されているかどうかを断続的に確認する確認手段と、自装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が保持されていることが前記確認手段により確認された場合に、当該文書を印刷する印刷手段とを更に備え、前記判定手段は、前記特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が保持されていることが前記確認手段により確認された場合に、当該特定の印刷装置が前記確認状態にないと判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の復帰処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記処理手段は、前記特定の印刷装置を前記確認状態に復帰させるための処理として、当該特定の印刷装置にデータを送信するための情報を、当該特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報の生成を前記役務に要求した要求装置に通知する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の復帰処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記判定手段は、前記特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が前記役務に蓄積されていることを予め定めた回数以上連続して検知すると、当該特定の印刷装置が前記確認状態にないと判定することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の復帰処理装置である。
請求項6に記載の発明は、指定された印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報を生成して当該印刷指示情報が生成されたことが当該指定された印刷装置によって確認されるまで当該印刷指示情報を蓄積する役務に、自装置が管理する特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が蓄積されているかどうかを確認する確認手段と、前記特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が蓄積されていることが前記確認手段により確認された場合に、通常状態よりも消費電力が低下した省電力状態にある印刷装置を当該省電力状態から当該通常状態に復帰させるデータを当該特定の印刷装置に送信する送信手段とを備えたことを特徴とする復帰処理装置である。
請求項7に記載の発明は、指定された印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報を生成する役務で、特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が生成されると、当該特定の印刷装置が通常状態よりも消費電力が低下した省電力状態にあるかどうかを判定する判定手段と、前記判定手段により前記特定の印刷装置が前記省電力状態にあると判定された場合に、当該特定の印刷装置を前記省電力状態から前記通常状態に復帰させるために接続すべきURL(Uniform Resource Locator)の情報を、当該特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報の生成を前記役務に要求した要求装置に通知する通知手段とを備えたことを特徴とする復帰処理装置である。
請求項8に記載の発明は、文書を印刷する印刷装置と、前記印刷装置が文書の印刷を指示する印刷指示情報が保持されているかどうかを断続的に確認する確認状態にない場合に、当該印刷装置を当該確認状態に復帰させる復帰処理装置とを備え、前記復帰処理装置は、前記印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報を生成する役務に、当該印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が保持されているかどうかを、当該印刷装置が確認していないことを検知すると、当該印刷装置が前記確認状態にないと判定する判定手段と、前記判定手段により前記印刷装置が前記確認状態にないと判定された場合に、当該印刷装置を前記確認状態に復帰させるための処理を行う処理手段とを備え、前記印刷装置は、自装置を前記確認状態に復帰させるための処理が前記処理手段により行われた場合に、自装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が前記役務に保持されているかどうかを断続的に確認する確認手段と、自装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が保持されていることが前記確認手段により確認された場合に、当該文書を印刷する印刷手段とを備えたことを特徴とする印刷システムである。
請求項9に記載の発明は、コンピュータに、指定された印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報を生成する役務に、特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が保持されているかどうかを、当該特定の印刷装置が確認していないことを検知すると、当該特定の印刷装置が当該役務に印刷指示情報が保持されているかどうかを断続的に確認する確認状態にないと判定する機能と、前記特定の印刷装置が前記確認状態にないと判定された場合に、当該特定の印刷装置を前記確認状態に復帰させるための処理を行う機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、印刷指示情報が役務に保持されているかどうかを断続的に確認する確認状態にない印刷装置に対する印刷指示情報が役務に保持されている場合であっても、その印刷装置が印刷指示情報を確認可能にすることができる。
請求項2の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、確認状態にない印刷装置に対する印刷指示情報が役務に保持されている場合に、その印刷装置が印刷指示情報を確認するまでの時間を短縮できる。
請求項3の発明によれば、確認状態にない印刷装置に対する印刷指示情報が役務に保持されている場合に、その印刷装置を確認状態に復帰させるための特別な装置を用意することなく、その印刷装置が印刷指示情報を確認可能にすることができる。
請求項4の発明によれば、確認状態にない印刷装置に対する印刷指示情報が役務に保持されている場合に、その印刷装置が印刷指示情報を確認するまでの時間を、印刷指示情報の生成を要求した要求装置から制御できる。
請求項5の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、印刷装置が確認状態にないことを精度よく判定できる。
請求項6の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、省電力状態にある印刷装置に対する印刷指示情報が役務で生成された場合に、その印刷装置が印刷指示情報を確認するまでの時間を短縮できる。
請求項7の発明によれば、省電力状態にある印刷装置に対する印刷指示情報が役務で生成された場合に、その印刷装置が印刷指示情報を確認するまでの時間を、印刷指示情報の生成を要求した要求装置から制御できる。
請求項8の発明によれば、印刷指示情報が役務に保持されているかどうかを断続的に確認する確認状態にない印刷装置に対する印刷指示情報が役務に保持されている場合であっても、その印刷装置が印刷指示情報を確認可能にすることができる。
請求項9の発明によれば、印刷指示情報が役務に保持されているかどうかを断続的に確認する確認状態にない印刷装置に対する印刷指示情報が役務に保持されている場合であっても、その印刷装置が印刷指示情報を確認可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態が適用されるクラウドプリントシステムの構成例を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態における端末装置のハードウェア構成例を示した図である。
【図3】本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成例を示した図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の概略動作について説明するための図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の第1の機能構成例を示したブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の第2の機能構成例を示したブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態における画像形成装置の第1の動作例を示したフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態における画像形成装置の第2の動作例を示したフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態の概略動作について説明するための図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるクラウドプリントサーバの機能構成例を示したブロック図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態におけるクラウドプリントサーバの動作例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用されるクラウドプリントシステムの全体構成例を示したものである。
図示するように、このクラウドプリントシステムは、端末装置10と、画像形成装置30a,30b,30cとがネットワーク90に接続されることにより構成されている。また、ネットワーク90は、例えば、図示しないゲイトウェイサーバを介して、ネットワーク70に接続されており、ネットワーク70には、クラウドプリントサーバ50が接続されている。
尚、図では、画像形成装置30a,30b,30cを示したが、これらを区別する必要がない場合は、画像形成装置30と称する。また、図には、3つの画像形成装置30しか示していないが、4つ以上の画像形成装置30を設けてもよい。
【0009】
端末装置10は、クラウドプリントサーバ50に文書の印刷を要求するコンピュータ装置である。ここで、端末装置10としては、PC(Personal Computer)、携帯端末、携帯電話等を用いるとよい。本実施の形態では、要求装置の一例として、端末装置10を設けている。
【0010】
画像形成装置30は、記録媒体に画像を形成し、印刷媒体として出力する装置である。ここで、画像形成装置30としては、プリンタ機能のみを備えた装置を用いてもよいし、これに加えてスキャナ機能、ファクシミリ機能等の他の画像処理機能を備えた装置を用いてもよい。
【0011】
クラウドプリントサーバ50は、端末装置10として様々なデバイスを用い、自宅、オフィス、公共の場所等に設置された画像形成装置30で文書を印刷できるようにするサービス(以下、「クラウドプリントサービス」という)を提供するサーバコンピュータである。具体的には、画像形成装置30での文書の印刷を指示する印刷指示情報の生成が端末装置10から要求されると印刷指示情報を生成し、その画像形成装置30から印刷指示情報の存在の問い合わせがあるまで蓄積しておき、問い合わせがあると、全ての画像形成装置30で共通に処理可能な形式の文書画像を生成してその画像形成装置30に提供する。本実施の形態では、印刷指示情報を生成する役務の一例として、クラウドプリントサービスを用いている。
【0012】
ネットワーク70は、端末装置10とクラウドプリントサーバ50との間の情報通信や、画像形成装置30とクラウドプリントサーバ50との間の情報通信に用いられる通信手段であり、例えば、インターネットである。
ネットワーク90は、端末装置10と画像形成装置30との間の情報通信に用いられる通信手段であり、例えば、LAN(Local Area Network)である。
【0013】
次に、端末装置10のハードウェア構成について説明する。
図2は、端末装置10のハードウェア構成を示した図である。
図示するように、端末装置10は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)11と、記憶手段であるメインメモリ12及びHDD(Hard Disk Drive)13とを備える。ここで、CPU11は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行し、後述する各機能を実現する。また、メインメモリ12は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、HDD13は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
更に、端末装置10は、外部との通信を行うための通信インターフェース(以下、「通信I/F」と表記する)14と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構15と、キーボードやマウス等の入力デバイス16とを備える。
【0014】
尚、図2は、クラウドプリントサーバ50のハードウェア構成を示した図として捉えることもできる。この場合、CPU11、メインメモリ12、HDD13、通信I/F14、表示機構15、入力デバイス16は、それぞれ、CPU51、メインメモリ52、HDD53、通信I/F54、表示機構55、入力デバイス56と表記するものとする。
【0015】
図3は、画像形成装置30のハードウェア構成例を示した図である。
図示するように、画像形成装置30は、CPU31と、RAM(Random Access Memory)32と、ROM(Read Only Memory)33と、HDD34と、操作パネル35と、画像読取部36と、画像形成部37と、通信インターフェース(以下、「通信I/F」と表記する)38とを備える。
【0016】
CPU31は、ROM33等に記憶された各種プログラムをRAM32にロードして実行することにより、後述する各機能を実現する。
RAM32は、CPU31の作業用メモリ等として用いられるメモリである。
ROM33は、CPU31が実行する各種プログラム等を記憶するメモリである。
HDD34は、画像読取部36が読み取った画像データや画像形成部37における画像形成にて用いる画像データ等を記憶する例えば磁気ディスク装置である。
操作パネル35は、各種情報の表示やユーザからの操作入力の受付を行う例えばタッチパネルである。
【0017】
画像読取部36は、紙等の記録媒体に記録された画像を読み取る。ここで、画像読取部36は、例えばスキャナであり、光源から原稿に照射した光に対する反射光をレンズで縮小してCCD(Charge Coupled Devices)で受光するCCD方式や、LED光源から原稿に順に照射した光に対する反射光をCIS(Contact Image Sensor)で受光するCIS方式のものを用いるとよい。
【0018】
画像形成部37は、記録媒体に画像を形成する。ここで、画像形成部37は、例えばプリンタであり、感光体に付着させたトナーを記録媒体に転写して像を形成する電子写真方式や、インクを記録媒体上に吐出して像を形成するインクジェット方式のものを用いるとよい。本実施の形態では、印刷手段の一例として、画像形成部37を設けている。
通信I/F38は、ネットワークを介して他の装置との間で各種情報の送受信を行う。
【0019】
ところで、一般に、画像形成装置30には、省電力の観点から、通常状態の一例としての通常モードと、省電力状態の一例としての省電力モードという2つの動作モードが備わっている。このうち、通常モードとは、画像読取部36、画像形成部37等による動作が行われている稼動モードと、要求があればその動作へ移行可能な待機モードとを含むモードである。また、省電力モードとは、通常モードにおいて要求が予め定めた期間来ない場合に、画像形成装置30における要求を検出する部分以外の部分への電力の供給を停止することで、通常モードよりも消費電力を低減するモードである。尚、省電力モードは、スリープモードとも呼ばれ、電源がオフされている状態も含むものとする。
【0020】
しかしながら、図1のクラウドプリントシステムのように、クラウドプリントサーバ50側で印刷データを生成し、画像形成装置30がクラウドプリントサーバ50で印刷データが生成されたことを検知して印刷データを取得するシステムにおいては、画像形成装置30が省電力モードに移行すると、画像形成装置30はクラウドプリントサーバ50で印刷データが生成されたことを検知できなくなる場合がある。このような場合は、ユーザが印刷物を入手するために画像形成装置30の前に行っても処理が開始されておらず、ユーザの通常モードへの復帰指示によって、画像形成装置30がクラウドプリントサーバ50で印刷データが生成されているか問い合わせ、クラウドプリントサーバ50が文書画像を生成し、画像形成装置30が文書画像を取得して印刷することになるため、ユーザの待ち時間が長くなってしまう。
尚、このような事態は、画像形成装置30が省電力モードに移行していても頻繁にクラウドプリントサーバ50に問い合わせることで回避可能ではあるが、省電力性能が大幅にダウンするため現実的ではない。
【0021】
そこで、本実施の形態では、画像形成装置30が少なくとも定期的にクラウドプリントサーバ50にアクセスしない状態の省電力モードに移行していても、印刷を要求したユーザが待つことなく印刷物を入手できるようにする。
【0022】
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態の概略動作について説明する。尚、本実施の形態で「省電力モード」というときは、少なくとも定期的にクラウドプリントサーバ50にアクセスしない状態になる省電力モードを指すものとする。
図4は、第1の実施の形態の概略動作について示した図である。尚、この第1の実施の形態では、ネットワーク90に接続された画像形成装置30a,30b,30cの中で、例えばファクシミリと装置と併用している等の事情により省電力モードに移行しない画像形成装置30を設定してこれを復帰処理装置の一例としての画像形成装置40とし、それ以外の画像形成装置30を印刷装置の一例としての画像形成装置45としている。
【0023】
まず、ユーザの操作に応じて、端末装置10は、クラウドプリントサーバ50に、画像形成装置45での文書の印刷を要求する(1A)。
次に、クラウドプリントサーバ50は、画像形成装置45に対する印刷指示情報を生成し、画像形成装置45からのポーリングを待機する(1B)。
このとき、画像形成装置40は、省電力モードに移行することがないため、クラウドプリントサーバ50に定期的にポーリングを行い、その際、同じネットワーク内にある何れかの画像形成装置に対する印刷指示情報が蓄積されていないかをチェックする(1C)。
そして、画像形成装置40は、画像形成装置45に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に蓄積されていることを検知すると、画像形成装置45に対し、省電力モードから復帰させるパケット(以下、「復帰パケット」という)を出力する(1D)。
画像形成装置45は、画像形成装置40からのパケットに反応して省電力モードから復帰し、クラウドプリントサーバ50に対してポーリングを行い、印刷指示情報に基づいて生成された文書を取得して印刷を行う(1E)。
【0024】
尚、1Dで出力する復帰パケットは、ポーリングを指示するような特殊なパケットである必要はなく、例えばプリンタの管理のためのウェブページ(以下、単に「管理ページ」という)にアクセスするパケットでよい。画像形成装置45は、省電力モード時に計時されないタイマがセットされることによって予め定めた時間間隔でポーリングを行っていたとすると、省電力モードに移行した後はポーリングを行わなくなるが、例えば、上記の管理ページにアクセスするパケットを受信することにより、タイマが計時され始めるため、ポーリングを再開する。
【0025】
また、復帰処理装置の一例としては、画像形成装置40に代えて、ネットワーク90に接続されたプリントサーバを採用し、このプリントサーバが定期的にクラウドプリントサーバ50にポーリングを行って、画像形成装置45に対する印刷指示情報の有無を確認するようにしてもよいが、本実施の形態では、画像形成装置40がこのような動作を行うものとして説明を続ける。
【0026】
次に、第1の実施の形態の詳細な構成及び動作について説明する。
まず、第1の実施の形態のクラウドプリントシステムでは画像形成装置40,45が中心となって動作することから、画像形成装置40,45の構成について説明する。
図5は、画像形成装置40の機能構成例を示したブロック図である。
図示するように、画像形成装置40は、問い合わせ部41と、文書取得部42と、文書出力部43と、パケット出力部44とを備えている。
【0027】
問い合わせ部41は、クラウドプリントサーバ50に、印刷指示情報が存在しているかどうかを通信I/F38を介して問い合わせる。また、この問い合わせに対する応答を通信I/F38を介して取得すると、この応答に基づいて、ネットワーク90内の何れかの画像形成装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に存在しているかどうか、及び、印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に存在している場合はその印刷指示情報が自装置での文書の印刷を指示するものかどうかを判定する。本実施の形態では、印刷指示情報が役務に保持されているかどうかを断続的に確認する確認手段の一例として、また、役務に印刷指示情報が蓄積されているかどうかを確認する確認手段の一例として、問い合わせ部41を設けている。
【0028】
文書取得部42は、クラウドプリントサーバ50から、印刷指示情報に基づいて生成されたPDF形式の文書(以下、「PDF文書」という)を通信I/F38を介して取得する。尚、このPDF文書は、印刷指示情報がPDF形式以外の文書の印刷を指示するものであれば、クラウドプリントサーバ50が印刷指示情報に基づく画像をPDF形式に変換することによって生成されたものである。
文書出力部43は、文書取得部42が取得したPDF文書を印刷するために、PDF文書を画像形成部37に出力する。
【0029】
パケット出力部44は、問い合わせ部41による問い合わせに対する応答に基づいて、クラウドプリントサーバ50に印刷指示情報が存在しており、その印刷指示情報がネットワーク90内の画像形成装置45での文書の印刷を指示するものであると判定すると、画像形成装置45に復帰パケットを送信するために、復帰パケットを通信I/F38に出力する。本実施の形態では、省電力状態から通常状態に復帰させるデータを送信する送信手段の一例として、パケット出力部44を設けている。
【0030】
図6は、画像形成装置45の機能構成例を示したブロック図である。
図示するように、画像形成装置45は、問い合わせ部46と、文書取得部47と、文書出力部48とを備えている。
【0031】
問い合わせ部46は、クラウドプリントサーバ50に、印刷指示情報が存在しているかどうかを通信I/F38を介して問い合わせる。また、この問い合わせに対する応答を通信I/F38を介して取得すると、この応答に基づいて、自装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に存在しているかどうかを判定する。本実施の形態では、印刷指示情報が役務に保持されているかどうかを断続的に確認する確認手段の一例として、問い合わせ部46を設けている。
【0032】
文書取得部47は、クラウドプリントサーバ50から、印刷指示情報に基づいて生成されたPDF文書を通信I/F38を介して取得する。尚、このPDF文書は、印刷指示情報がPDF形式以外の文書の印刷を指示するものであれば、クラウドプリントサーバ50が印刷指示情報に基づく画像をPDF形式に変換することによって生成されたものである。
文書出力部48は、文書取得部47が取得したPDF文書を印刷するために、PDF文書を画像形成部37に出力する。
【0033】
次に、画像形成装置40,45の動作について説明する。
図7は、画像形成装置40の動作例を示したフローチャートである。尚、この動作に先立ち、端末装置10が、文書を印刷したい画像形成装置45を指定してクラウドプリントサーバ50に印刷指示情報の生成を要求しているものとする。また、この動作は、予め定められた時間間隔で実行されるものとする。
【0034】
動作を開始すると、画像形成装置40では、まず、問い合わせ部41が、ネットワーク90内の何れかの画像形成装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が何れかの端末装置10からの要求に応じて生成され蓄積されているかどうかを問い合わせるための問い合わせ情報を通信I/F38を介してクラウドプリントサーバ50に送信する(ステップ401)。具体的には、問い合わせ部41が、ネットワーク90内の全ての画像形成装置の識別子を保持しておき、これらの識別子に関連付けられた印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に存在するかどうかを問い合わせるための問い合わせ情報を通信I/F38に出力し、通信I/F38がこれをクラウドプリントサーバ50に送信する。
【0035】
この問い合わせ情報に対してクラウドプリントサーバ50から応答があると、問い合わせ部41は、応答内容が、ネットワーク90内の何れかの画像形成装置に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に蓄積されていることを示すものであるかどうかを判定する(ステップ402)。具体的には、問い合わせ部41は、ネットワーク90内の何れかの画像形成装置の識別子について、その識別子に関連付けられた印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に存在する旨の応答が返って来たかどうかを判定する。
【0036】
その結果、応答内容が、ネットワーク90内の何れかの画像形成装置に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に蓄積されていることを示すものでないと判定されれば、処理は終了する。具体的には、ネットワーク90内の何れの画像形成装置の識別子についても、その識別子に関連付けられた印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に存在しない旨の応答が返って来れば、処理は終了する。
【0037】
一方、応答内容が、ネットワーク90内の何れかの画像形成装置に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に蓄積されていることを示すものであると判定されれば、問い合わせ部41は、その印刷指示情報が自装置での文書の印刷を指示するものであるかどうかを判定する(ステップ403)。具体的には、ネットワーク90内の何れかの画像形成装置の識別子について、その識別子に関連付けられた印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に存在する旨の応答が返って来れば、その識別子が自装置の識別子であるかどうかを判定する。
【0038】
その結果、その印刷指示情報が自装置での文書の印刷を指示するものであると判定されれば、文書取得部42が、クラウドプリントサーバ50でその印刷指示情報に基づいて生成されたPDF文書を通信I/F38を介して取得する(ステップ404)。そして、文書出力部43が、そのPDF文書を画像形成部37に出力し、画像形成部37が、PDF文書を印刷する(ステップ405)。
一方、その印刷指示情報が自装置での文書の印刷を指示するものでないと判定されれば、パケット出力部44が、その印刷指示情報が文書の印刷を指示する画像形成装置45に、通信I/F38を介して復帰パケットを送信する(ステップ406)。尚、その印刷指示情報が画像形成装置45での文書の印刷を指示するものであることは、その印刷指示情報に関連付けられた識別子によって判別される。
【0039】
このように画像形成装置40が画像形成装置45に対して復帰パケットを送信すると、画像形成装置45は復帰パケットを受信することにより省電力モードから復帰し、クラウドプリントサーバ50に対する問い合わせを再開する。
図8は、その後の画像形成装置45の動作例を示したフローチャートである。尚、この動作も、予め定められた時間間隔で実行されるものとする。
【0040】
動作を開始すると、画像形成装置45では、まず、問い合わせ部46が、自装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が何れかの端末装置10からの要求に応じて生成され蓄積されているかどうかを問い合わせるための問い合わせ情報を通信I/F38を介してクラウドプリントサーバ50に送信する(ステップ451)。具体的には、問い合わせ部46が、自装置の識別子を保持しておき、この識別子に関連付けられた印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に存在するかどうかを問い合わせるための問い合わせ情報を通信I/F38に出力し、通信I/F38がこれをクラウドプリントサーバ50に送信する。
【0041】
この問い合わせ情報に対してクラウドプリントサーバ50から応答があると、問い合わせ部46は、応答内容が、自装置に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に蓄積されていることを示すものであるかどうかを判定する(ステップ452)。具体的には、問い合わせ部46は、自装置の識別子に関連付けられた印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に存在する旨の応答が返って来たかどうかを判定する。
【0042】
その結果、応答内容が、自装置に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に蓄積されていることを示すものでないと判定されれば、処理は終了する。
【0043】
一方、応答内容が、自装置に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に蓄積されていることを示すものであると判定されれば、文書取得部47が、クラウドプリントサーバ50でその印刷指示情報に基づいて生成されたPDF文書を通信I/F38を介して取得する(ステップ453)、そして、文書出力部48が、そのPDF文書を画像形成部37に出力し、画像形成部37が、PDF文書を印刷する(ステップ454)。
【0044】
尚、本実施の形態では、画像形成装置40の問い合わせ部41が、ネットワーク90内の何れかの画像形成装置に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に蓄積されているかどうかを判定するようにした。しかしながら、必ずしも、ネットワーク90内の何れかの画像形成装置に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に蓄積されているかどうかを判定する必要はなく、画像形成装置40が管理する何れかの画像形成装置に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に蓄積されているかどうかを判定してもよい。
【0045】
また、本実施の形態では、画像形成装置40の問い合わせ部41が、ネットワーク90内の何れかの画像形成装置に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に蓄積されていると判定した場合に、画像形成装置40のパケット出力部44が、その印刷指示情報が文書の印刷を指示する画像形成装置45に対する復帰パケットを出力するようにした。即ち、画像形成装置40の問い合わせ部41は、ネットワーク90内の何れかの画像形成装置に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に蓄積されていれば画像形成装置45が省電力モードに移行している可能性が高いものと推測し、画像形成装置45が省電力モードに移行しているかどうかを厳密に判定することなく、画像形成装置45に対する復帰パケットを出力するようにした。しかしながら、画像形成装置40の問い合わせ部41は、画像形成装置45が省電力モードに移行しているかどうかを厳密に判定し、省電力モードに移行していると判定された場合にのみ、画像形成装置45に対する復帰パケットを出力してもよい。ここで、画像形成装置45が省電力モードに移行しているかどうかの厳密な判定は、例えば、画像形成装置40の問い合わせ部41が、ネットワーク90内の何れかの画像形成装置に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に蓄積されているかどうかを複数回問い合わせ、予め定めた回数以上の連続した問い合わせにおいて印刷指示情報が蓄積されていたかどうかを調べることによって行うとよい。
【0046】
更に、本実施の形態では、画像形成装置40の問い合わせ部41が、自装置に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に蓄積されていると判定した場合に、画像形成装置40の文書出力部43が、印刷指示情報に基づいて生成されたPDF文書を画像形成部37に出力し、画像形成装置45の問い合わせ部46が、自装置に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50に蓄積されていると判定した場合に、画像形成装置45の文書出力部48が、印刷指示情報に基づいて生成されたPDF文書を画像形成部37に出力した。しかしながら、画像形成装置40の文書出力部43又は画像形成装置45の文書出力部48は、PDF文書を、画像形成部37ではなく、ユーザが例えばユーザID及びパスワードを入力するまでPDF文書を格納しておくための親展ボックスに出力するようにしてもよい。ここで、親展ボックスは、端末装置10がクラウドプリントサーバ50に印刷指示情報の生成を要求したときにクラウドプリントサーバ50へのログインで用いるユーザID及びパスワードを端末装置10から受け取りこのユーザID及びパスワードに関連付けて新たに作成したものでもよいし、クラウドプリントサーバ50へのログインで用いるユーザID及びパスワードに関連付けて予め作成しておいたものでもよい。
【0047】
更にまた、本実施の形態において、省電力モードに移行しない画像形成装置40が他の画像形成装置(例えば画像形成装置45)の省電力モードへの移行状況を把握する以下のような仕組みを採用してもよい。
即ち、画像形成装置45が省電力モードに移行する前に、省電力モードに移行したことを画像形成装置40に通知する(画像形成装置45が省電力モードから復帰した場合には、省電力モードから復帰したことを通知する)。通知を受けた画像形成装置40は、画像形成装置45が省電力モードに移行したことをテーブル等で管理する。そして、クラウドプリントサーバ50にアクセスした際に、画像形成装置45に対する印刷指示情報があれば、管理しているテーブル等を参照して、画像形成装置45が省電力モードにあるかどうかを判定する。
【0048】
ところで、ここまで、本実施の形態では、画像形成装置45が少なくとも定期的にクラウドプリントサーバ50にアクセスしない状態の省電力モードに移行しているかどうかを判定するようにしたが、定期的にクラウドプリントサーバ50にアクセスしない状態に移行しているかどうかを判定するものであれば、省電力モードに移行しているかどうかを判定するものでなくてもよい。この場合、定期的にクラウドプリントサーバ50にアクセスしない状態にあることは、役務に印刷指示情報が保持されているかどうかを断続的に確認する確認状態にないことの一例である。また、上述した画像形成装置45が省電力モードに移行していると厳密に判定する問い合わせ部41は、印刷装置が確認状態にないと判定する判定手段の一例である。
また、ここまで、本実施の形態では、画像形成装置45を少なくとも定期的にクラウドプリントサーバ50にアクセスしない状態の省電力モードから復帰させるようにしたが、定期的にクラウドプリントサーバ50にアクセスする状態に復帰させるものであれば、省電力モードから復帰させるものでなくてもよい。この場合、画像形成装置40のパケット出力部44は、確認状態に復帰させるための処理を行う処理手段の一例である。
【0049】
[第2の実施の形態]
まず、第2の実施の形態の概略動作について説明する。尚、本実施の形態でも「省電力モード」というときは、少なくとも定期的にクラウドプリントサーバ50にアクセスしない状態になる省電力モードを指すものとする。
図9は、第2の実施の形態の概略動作について示した図である。尚、この第2の実施の形態では、ネットワーク90に接続された画像形成装置30a,30b,30cの何れかを印刷装置の一例としての画像形成装置30としている。
【0050】
まず、ユーザの操作に応じて、端末装置10は、クラウドプリントサーバ50に、画像形成装置30での文書の印刷を要求する(2A)。
次に、クラウドプリントサーバ50は、画像形成装置30に対する印刷指示情報を生成し、画像形成装置30からのポーリングを待機すると共に、画像形成装置30が省電力モードに移行しているかどうかを判断する(2B)。
そして、復帰処理装置の一例としてのクラウドプリントサーバ50は、画像形成装置30が省電力モードに移行していると判断した場合、端末装置10に対し、印刷要求の結果として、画像形成装置30が省電力モード中である旨と、管理ページのURL(Uniform Resource Locator)と、省電力モードから復帰させるには管理ページのURLにアクセスすればよい旨とを含むHTTP(HyperText Transfer Protocol)レスポンスを返す(2C)。
これにより、端末装置10は、管理ページのURLを含むページをブラウザに表示し、ユーザがこのURLをクリックすると、端末装置10は、管理ページに対するGETリクエストを画像形成装置30に送信して画像形成装置30を復帰させる(2D)。
画像形成装置30は、管理ページに対するGETリクエストに反応して省電力モードから復帰し、クラウドプリントサーバ50に対してポーリングを行い、印刷指示情報に基づいて生成された文書を取得して印刷を行う(2E)。
【0051】
次に、第2の実施の形態の詳細な構成及び動作について説明する。
まず、第2の実施の形態のクラウドプリントシステムではクラウドプリントサーバ50が中心となって動作することから、クラウドプリントサーバ50の構成について説明する。
図10は、クラウドプリントサーバ50の機能構成例を示したブロック図である。
図示するように、クラウドプリントサーバ50は、モード判定部61と、文書生成部62と、文書出力部63と、応答出力部64とを備えている。
【0052】
モード判定部61は、画像形成装置30からの定期的なポーリングを監視することにより、画像形成装置30が省電力モードに移行しているかどうかを判定する。本実施の形態では、印刷装置が省電力状態にあるかどうかを判定する判定手段の一例として、モード判定部61を設けている。
【0053】
文書生成部62は、画像形成装置30からポーリングがあった場合に、画像形成装置30での文書の印刷を指示する印刷指示情報に基づいてPDF文書を生成する。このとき、印刷指示情報がPDF形式以外の文書の印刷を指示するものであれば、印刷指示情報に基づく画像をPDF形式に変換することによってPDF文書を生成する。
文書出力部63は、文書生成部62が生成したPDF文書を画像形成装置30に送信するために通信I/F54に出力する。
【0054】
応答出力部64は、PDF文書が画像形成装置30に送信された場合には、印刷が完了した旨の応答を端末装置10に送信するために通信I/F54に出力し、画像形成装置30が省電力モード中であると判定された場合には、画像形成装置30を復帰させるための応答を端末装置10に送信するために通信I/F54に出力する。本実施の形態では、省電力状態から通常状態に復帰させるために接続すべきURLの情報を通知する通知手段の一例として、応答出力部64を設けている。
【0055】
次に、クラウドプリントサーバ50の動作について説明する。
図11は、クラウドプリントサーバ50の動作例を示したフローチャートである。尚、この動作に先立ち、端末装置10が、文書を印刷したい画像形成装置30を指定してクラウドプリントサーバ50に印刷指示情報の生成を要求しているものとする。また、この動作は、予め定められた時間間隔で実行されるものとする。
【0056】
動作を開始すると、クラウドプリントサーバ50では、まず、モード判定部61が、端末装置10で指定された画像形成装置30が省電力モードに移行しているかどうかを判定する(ステップ601)。この判定は、例えば、画像形成装置30からポーリングがあったかどうかを調べることによって行えばよい。具体的には、モード判定部61が、端末装置10で指定された画像形成装置30の識別子に関連付けられた印刷指示情報が存在するかどうかを問い合わせるための問い合わせ情報を、前回の判定以降にクラウドプリントサーバ50が受信したかどうかを判定する。或いは、この判定は、画像形成装置30から、省電力モードに移行することを通知する省電力モード移行通知、及び、省電力モードから通常モードへ復帰したことを通知する省電力モード終了通知を受信することによって行ってもよい。
【0057】
その結果、画像形成装置30が省電力モードに移行していないと判定されれば、文書生成部62が、その印刷指示情報に基づいてPDF文書を生成する(ステップ602)。そして、文書出力部63が、画像形成装置30からのポーリングに応じて、そのPDF文書を通信I/F54に出力し、通信I/F54がこれを画像形成装置30に送信する(ステップ603)。その後、応答出力部64が、印刷が完了した旨の応答を通信I/F54に出力し、通信I/F54がこれを端末装置10に送信する(ステップ604)。
【0058】
一方、画像形成装置30が省電力モードに移行していると判定されれば、応答出力部64が、画像形成装置30を復帰させるための応答を通信I/F54に出力し、通信I/F54がこれを端末装置10に送信する(ステップ605)。ここで、画像形成装置30を復帰させるための応答としては、上述したように、画像形成装置30が省電力モード中である旨と、管理ページのURLと、省電力モードから復帰させるには管理ページのURLにアクセスすればよい旨とを含むHTTPレスポンスが考えられる。
【0059】
ところで、ここまで、本実施の形態では、画像形成装置30が少なくとも定期的にクラウドプリントサーバ50にアクセスしない状態の省電力モードに移行しているかどうかを判定するようにしたが、定期的にクラウドプリントサーバ50にアクセスしない状態に移行しているかどうかを判定するものであれば、省電力モードに移行しているかどうかを判定するものでなくてもよい。この場合、定期的にクラウドプリントサーバ50にアクセスしない状態にあることは、役務に印刷指示情報が保持されているかどうかを断続的に確認する確認状態にないことの一例である。また、モード判定部61は、印刷装置が確認状態にないと判定する判定手段の一例である。
また、ここまで、本実施の形態では、画像形成装置45を少なくとも定期的にクラウドプリントサーバ50にアクセスしない状態の省電力モードから復帰させるようにしたが、定期的にクラウドプリントサーバ50にアクセスする状態に復帰させるものであれば、省電力モードから復帰させるものでなくてもよい。この場合、応答出力部64は、確認状態に復帰させるための処理を行う処理手段の一例である。
【0060】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0061】
10…端末装置、30,40,45…画像形成装置、41,46…問い合わせ部、42,47…文書取得部、43,48…文書出力部、44…パケット出力部、50…クラウドプリントサーバ、61…モード判定部、62…文書生成部、63…文書出力部、64…応答出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報を生成する役務に、特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が保持されているかどうかを、当該特定の印刷装置が確認していないことを検知すると、当該特定の印刷装置が当該役務に印刷指示情報が保持されているかどうかを断続的に確認する確認状態にないと判定する判定手段と、
前記判定手段により前記特定の印刷装置が前記確認状態にないと判定された場合に、当該特定の印刷装置を前記確認状態に復帰させるための処理を行う処理手段と
を備えたことを特徴とする復帰処理装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記特定の印刷装置を前記確認状態に復帰させるための処理として、当該特定の印刷装置にデータを送信する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の復帰処理装置。
【請求項3】
自装置及び前記特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が前記役務に保持されているかどうかを断続的に確認する確認手段と、
自装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が保持されていることが前記確認手段により確認された場合に、当該文書を印刷する印刷手段と
を更に備え、
前記判定手段は、前記特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が保持されていることが前記確認手段により確認された場合に、当該特定の印刷装置が前記確認状態にないと判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の復帰処理装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記特定の印刷装置を前記確認状態に復帰させるための処理として、当該特定の印刷装置にデータを送信するための情報を、当該特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報の生成を前記役務に要求した要求装置に通知する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の復帰処理装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が前記役務に蓄積されていることを予め定めた回数以上連続して検知すると、当該特定の印刷装置が前記確認状態にないと判定することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の復帰処理装置。
【請求項6】
指定された印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報を生成して当該印刷指示情報が生成されたことが当該指定された印刷装置によって確認されるまで当該印刷指示情報を蓄積する役務に、自装置が管理する特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が蓄積されているかどうかを確認する確認手段と、
前記特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が蓄積されていることが前記確認手段により確認された場合に、通常状態よりも消費電力が低下した省電力状態にある印刷装置を当該省電力状態から当該通常状態に復帰させるデータを当該特定の印刷装置に送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする復帰処理装置。
【請求項7】
指定された印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報を生成する役務で、特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が生成されると、当該特定の印刷装置が通常状態よりも消費電力が低下した省電力状態にあるかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記特定の印刷装置が前記省電力状態にあると判定された場合に、当該特定の印刷装置を前記省電力状態から前記通常状態に復帰させるために接続すべきURL(Uniform Resource Locator)の情報を、当該特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報の生成を前記役務に要求した要求装置に通知する通知手段と
を備えたことを特徴とする復帰処理装置。
【請求項8】
文書を印刷する印刷装置と、
前記印刷装置が文書の印刷を指示する印刷指示情報が保持されているかどうかを断続的に確認する確認状態にない場合に、当該印刷装置を当該確認状態に復帰させる復帰処理装置と
を備え、
前記復帰処理装置は、
前記印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報を生成する役務に、当該印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が保持されているかどうかを、当該印刷装置が確認していないことを検知すると、当該印刷装置が前記確認状態にないと判定する判定手段と、
前記判定手段により前記印刷装置が前記確認状態にないと判定された場合に、当該印刷装置を前記確認状態に復帰させるための処理を行う処理手段と
を備え、
前記印刷装置は、
自装置を前記確認状態に復帰させるための処理が前記処理手段により行われた場合に、自装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が前記役務に保持されているかどうかを断続的に確認する確認手段と、
自装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が保持されていることが前記確認手段により確認された場合に、当該文書を印刷する印刷手段と
を備えたことを特徴とする印刷システム。
【請求項9】
コンピュータに、
指定された印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報を生成する役務に、特定の印刷装置での文書の印刷を指示する印刷指示情報が保持されているかどうかを、当該特定の印刷装置が確認していないことを検知すると、当該特定の印刷装置が当該役務に印刷指示情報が保持されているかどうかを断続的に確認する確認状態にないと判定する機能と、
前記特定の印刷装置が前記確認状態にないと判定された場合に、当該特定の印刷装置を前記確認状態に復帰させるための処理を行う機能と
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−14097(P2013−14097A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149446(P2011−149446)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】