説明

復旧支援システム、復旧支援方法、復旧支援装置、並びにプログラム

【課題】ガス導管内の漏水滞留箇所を、迅速かつ高精度に特定することが可能な復旧支援システム等を提供する。
【解決手段】ガス管経路画面P1には、メッシュ形状の標高値データDが重ね合わせられている。管理者により、ガス管経路画面P1上で所定区間(点A、点B)が指定されると、サーバは、点Aと点Bを通る最短経路を探索し、最短経路上に該当する標高値を連続的に取得するとともに、データベースから最短経路上のガス導管の埋設深さ情報を取得する。サーバ1は、取得した所定区間の標高値とガス導管の埋設深さ情報に基づいてガス導管の標高値を算出し、その算出結果に基づいて、ガス導管の高低形状を模式的に表わす縦断面図P2を生成する。縦断面図P2には、標高値L1およびガス導管の標高値L2が表示されている。これにより、標高値の低い箇所に埋設しているガス導管に漏水の滞留箇所があると特定することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、復旧支援システム等に関し、特に、都市ガスなどのガスを供給するガス導管内の漏水滞留箇所と漏水位置を、迅速かつ高精度に特定することが可能な復旧支援システム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス導管外周部に開口部が生じ、ガス導管内に水が流入してくる、いわゆる、差し水に起因して、ガス供給に支障が生じることがある。このような支障が生じると、復旧作業として、漏水滞留箇所を推定し、水抜き作業を行う。
【0003】
そこで、特許文献1には、ガスメータによる湿度変化検知により、差し水の滞留箇所=採水箇所を推定し、漏水の侵入範囲を特定することで、迅速な復旧を行うようにする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−283400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、ガス導管の埋設深さ(地表からの深さ)を一定と仮定して、地表面の標高が低い位置に漏水が溜まりやすいと推定している。しかしながら、実際には、ガス導管の埋設深さは一定ではないため、漏水滞留箇所を高精度に推定することが困難である課題があった。
【0006】
また、漏水箇所を、2次元領域(漏水流入範囲)として特定しているに過ぎず、漏水位置(ガス導管外周部に生じた開口部の位置)を高精度に推定することが困難である課題があった。
【0007】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、ガス導管内の漏水滞留箇所と漏水位置を、迅速かつ高精度に特定することが可能な復旧支援システム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、第1の発明は、サーバとクライアント端末がネットワークを介して接続される復旧支援システムにおいて、前記サーバが、ガス導管の埋設深さ情報を含むガス導管データ、および標高値を含む標高データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている前記ガス導管データおよび前記標高データに基づいて、前記ガス導管の標高値を算出する算出手段とを備え、前記クライアント端末が、前記サーバの前記記憶手段から受信した前記ガス導管データに基づいて、ガス管経路の表示を制御する第1の表示制御手段と、前記ガス管経路の表示上で所定の区間を指定する入力手段と、前記入力手段により所定の区間が指定された場合、指定された所定の区間を通る最短経路上における前記ガス導管の標高値を前記サーバから受信し、前記ガス導管の標高値の縦断面図上における表示を制御する第2の表示制御手段とを備えることを特徴とする復旧支援システムである。
第1の発明によって、ガス導管が埋設されている標高値を表示することができ、ガス導管内の漏水滞留箇所を、迅速かつ高精度に特定することができる。
【0009】
前記サーバの記憶手段は、ガス供給状況情報を含む顧客データをさらに記憶し、前記クライアント端末の第2の表示制御手段は、前記サーバから前記顧客データを受信し、前記ガス導管の標高値の縦断面図上に、ガス供給停止箇所に関する情報を重ね合わせて表示する(重畳表示する)。
これにより、ガス供給停止箇所を容易に把握することが可能となり、ひいては、漏水滞留箇所と漏水位置の正確な特定が可能となる。
【0010】
前記サーバの記憶手段が記憶する前記ガス導管データは、前記ガス導管の埋設年月および管種をさらに含み、前記クライアント端末は、前記入力手段によりガス導管の抽出条件が入力された場合、前記サーバから受信した前記ガス導管データの中から、前記抽出条件に合致するデータを抽出する抽出手段をさらに備え、前記クライアント端末の第1の表示制御手段は、前記抽出手段により抽出された前記ガス導管データに基づいて、前記ガス管経路の表示上に、特定の管に関する情報を強調表示する。
【0011】
第2の発明は、サーバとクライアント端末がネットワークを介して接続される復旧支援システムの復旧支援方法において、前記サーバが、ガス導管の埋設深さ情報を含むガス導管データ、および標高値を含む標高データを記憶する記憶ステップと、前記記憶ステップで記憶された前記ガス導管データおよび前記標高データに基づいて、前記ガス導管の標高値を算出する算出ステップとを含み、前記クライアント端末が、前記サーバから受信した前記ガス導管データに基づいて、ガス管経路の表示を制御する第1の表示制御ステップと、前記ガス管経路の表示上で所定の区間を指定する入力ステップと、前記入力ステップにより所定の区間が指定された場合、指定された所定の区間を通る最短経路上における前記ガス導管の標高値を前記サーバから受信し、前記ガス導管の標高値の縦断面図上における表示を制御する第2の表示制御ステップとを含むことを特徴とする復旧支援方法である。
【0012】
第3の発明は、ガス導管の埋設深さ情報を含むガス導管データ、および標高値を含む標高データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている前記ガス導管データおよび前記標高データに基づいて、前記ガス導管の標高値を算出する算出手段と、前記記憶手段から読み出した前記ガス導管データに基づいて、ガス管経路の表示を制御する第1の表示制御手段と、前記ガス管経路の表示上で所定の区間を指定する入力手段と、前記入力手段により所定の区間が指定された場合、指定された所定の区間を通る最短経路上における前記ガス導管の標高値を前記記憶手段から読み出し、前記ガス導管の標高値の縦断面図上における表示を制御する第2の表示制御手段とを備えることを特徴とする復旧支援装置である。
第3の発明によって、ガス導管が埋設されている標高値を表示することができ、ガス導管内の漏水滞留箇所を、迅速かつ高精度に特定することができる。
【0013】
前記記憶手段は、ガス供給状況情報を含む顧客データをさらに記憶し、前記第2の表示制御手段は、前記記憶手段から前記顧客データを読み出し、前記ガス導管の標高値の縦断面図上に、ガス供給停止箇所に関する情報を重畳表示する。
これにより、ガス供給停止箇所を容易に把握することが可能となる。
【0014】
前記記憶手段が記憶する前記ガス導管データは、前記ガス導管の埋設年月および管種をさらに含み、前記入力手段によりガス導管の抽出条件が入力された場合、前記記憶手段に記憶されている前記ガス導管データの中から、前記抽出条件に合致するデータを抽出する抽出手段をさらに備え、前記第1の表示制御手段は、前記抽出手段により抽出された前記ガス導管データに基づいて、前記ガス管経路の表示上に、特定の管に関する情報を強調表示する。
【0015】
第4の発明は、ガス導管の埋設深さ情報を含むガス導管データ、および標高値を含む標高データを記憶する記憶手段を有するコンピュータにより読み取り可能な形式で記述されたプログラムであって、前記記憶手段に記憶されている前記ガス導管データおよび前記標高データに基づいて、前記ガス導管の標高値を算出する算出ステップと、前記記憶手段から読み出した前記ガス導管データに基づいて、ガス管経路の表示を制御する第1の表示制御ステップと、前記ガス管経路の表示上で所定の区間を指定する入力ステップと、前記入力ステップにより所定の区間が指定された場合、指定された所定の区間を通る最短経路上における前記ガス導管の標高値を前記記憶手段から読み出し、前記ガス導管の標高値の縦断面図上における表示を制御する第2の表示制御ステップとを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、ガス導管が埋設されている標高値を表示することができ、ガス導管内の漏水滞留箇所を、迅速かつ高精度に特定することが可能な復旧支援システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態としての復旧支援システムの構成例を示す図である。
【図2】データベースに記憶されるデータ例を示す図である。
【図3】ガス管経路画面およびガス導管の高低形状を模式的に表わす縦断面図の表示例を説明するための図である。
【図4】表示制御処理を説明するフローチャートである。
【図5】縦断面図の表示例を示す図である。
【図6】顧客情報画面の表示例を示す図である。
【図7】ガス管情報の表示制御処理を説明するフローチャートである。
【図8】ガス管経路画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
[本発明の実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態としての復旧支援システムの構成例を示す図である。この復旧支援システムは、地理情報システム(Geographic Information
System)の機能を有している。地理情報システムは、コンピュータ上に地図情報やさまざまな付加情報を持たせ、作成・保存・利用・管理し、地理情報を参照できるように表示・検索機能を兼ね備えている。
【0019】
図1に示すように、復旧支援システムは、サーバ1、クライアント端末2、マイコン3−1、マイコン3−Nが、ネットワーク4を介して相互に接続されることで構成される。なお、クライアント端末2の数は、任意であり、複数設けることも勿論可能である。
【0020】
サーバ1は、CPU(Central Processing
Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)などを実装したコンピュータであり、少なくとも、制御部11、算出部12、情報取得部13、データベース14、および通信制御部15の機能を有する。
【0021】
制御部11は、プログラムの実行を行うCPUと、プログラム命令あるいはデータ等を格納するためのRAM、ROM等で構成される。制御部11は、ROMや図示せぬ記憶部等に格納されたプログラムに従って各部を制御する。
【0022】
算出部12は、制御部11の制御の下、データベース14に記憶されているデータの中からガス導管データおよび標高値データを読み出し、ガス導管の標高値を算出する。
【0023】
情報取得部13は、ネットワーク4を介して接続されたマイコン3−1、3−Nから顧客メータ稼働状況情報および顧客情報などを取得する。情報取得部13は、これらの情報を、ネットワーク4を介して取得するだけでなく、例えば、管理者が顧客からの入電結果を入力することによっても取得することができる。
【0024】
データベース14は、図2に示すように、標高データ14A、本支管のガス導管データ14B、供給管のガス導管データ14C、および顧客データ14Dを記憶している。
【0025】
標高データ14Aは、メッシュ単位にそれぞれ標高値が格納されているデータであり、例えば、国土地理院発行の数値地図(5mメッシュ)や基盤地図情報(10mメッシュ)が採用されている。つまり、標高データ14Aは、少なくとも標高メッシュIDおよび標高値を含む。標高メッシュIDは、メッシュの位置を一意に特定するための識別情報(ユニークキー)である。標高値は、地表からの高さを表す情報であり、0.1m単位で記録している。
【0026】
本支管のガス導管データ14Bは、本支管ID、埋設深さ情報、座標点列、管種、口径、および埋設年月を含む。本支管IDは、当該本支管を一意に特定するための識別情報(ユニークキー)である。埋設深さ情報は、当該本支管の埋設深さを表す情報である。座標点列は、当該本支管が埋設されている位置を表すための座標の配列である。管種は、当該本支管の種別である。口径は、当該本支管の内径である。埋設年月は、当該本支管が埋設された年月である。
【0027】
供給管のガス導管データ14Cは、供給管ID、接続本支管ID、座標点列、管種、口径、および埋設年月を含む。供給管IDは、当該供給管を一意に特定するための識別情報(ユニークキー)である。接続本支管IDは、当該供給管に接続されている本支管を一意に特定するための識別情報である。座標点列は、当該供給管が埋設されている位置を表すための座標の配列である。管種は、当該供給管の種別である。口径は、当該供給管の内径である。埋設年月は、当該供給管が埋設された年月である。
【0028】
顧客データ14Dは、顧客ID、供給管ID、および顧客メータ稼働状況情報を含む。顧客IDは、顧客を一意に特定するための識別情報である。供給管IDは、当該顧客に供給している供給管を一意に特定するための識別情報である。顧客メータ稼働状況情報は、マイコン3−1、3−Nから取得したガスメータの稼働状況を表す情報である。
【0029】
図1の説明に戻る。通信制御部15は、通信制御装置、通信ポート等を有し、クライアント端末2やマイコン3−1、3−Nとネットワーク4間の通信を媒介する通信インターフェースであり、ネットワーク4を介して、クライアント端末2とサーバ1間の通信制御を行うとともに、マイコン3−1、3−Nとサーバ1間の通信制御を行う。
【0030】
クライアント端末2は、CPU、ROM、RAMなどを実装したコンピュータであり、少なくとも、制御部21、入力部22、表示部23、および通信制御部24の機能を有する。
【0031】
制御部21は、プログラムの実行を行うCPUと、プログラム命令あるいはデータ等を格納するためのRAM、ROM等で構成される。制御部21は、ROMに格納されたプログラムに従って各部を制御する。
【0032】
入力部22は、例えば、キーボード、マウス、ボタン、スイッチ、タッチパッドなどで構成され、ユーザにより入力された操作内容を、通信制御部24を介してサーバ1に送信する。操作内容には、ガス管経路画面の表示要求、ガス導管の高低形状を模式的に表わす縦断面図の表示要求等がある。
【0033】
表示部23は、サーバ1から受信したガス管経路画面を表示したり、ガス導管の高低形状を模式的に表わす縦断面図を表示したり、その他各種操作画面等を表示する。
【0034】
通信制御部24は、通信制御装置、通信ポート等を有し、サーバ1とネットワーク4間の通信を媒介する通信インターフェースであり、ネットワーク4を介して、サーバ1とクライアント端末2間の通信制御を行う。
【0035】
クライアント端末2は、例えば、営業所に設置されるパーソナルコンピュータや、作業者が携帯する携帯端末(スマートフォン、携帯電話機、携帯タブレット型端末、携帯型パーソナルコンピュータ等)である。
【0036】
マイコン3−1は、顧客先に設置されており、少なくとも、メータ稼働状況検知部31−1、顧客情報記憶部32−1、および通信制御部33−1の機能を有する。
【0037】
メータ稼働状況検知部31−1は、ガス供給量を計測するとともに、ガス供給に支障が生じている場合には、メータ稼働状況を検知する。計測したガス供給量や、メータ稼働状況は、サーバ1からの要求に応じて、通信制御部33−1およびネットワーク4を介して送信される。
【0038】
顧客情報記憶部32−1は、当該顧客を一意に特定するための顧客ID、当該顧客先に供給されている供給管を一意に特定するための供給管IDなどを記憶する。これら顧客情報は、サーバ1からの要求に応じて、通信制御部33−1およびネットワーク4を介して送信される。ここで、供給管IDは、ガスメータのメータIDによって特定されるIDである。供給管とメータが1対多に対応付けられており、供給管IDは、複数のメータIDによって特定される。
【0039】
通信制御部33−1は、通信制御装置、通信ポート等を有し、サーバ1とネットワーク4間の通信を媒介する通信インターフェースであり、ネットワーク4を介して、サーバ1とマイコン3−1間の通信制御を行う。
【0040】
マイコン3−Nの構成は、上述したマイコン3−1の構成と同様であるため、その説明は省略する。なお、Nは、顧客数を表す。
【0041】
ネットワーク4は、インターネットやローカルエリアネットワーク(LAN)等のネットワークであり、有線、無線は特に問わない。
【0042】
次に、図3を参照して、ガス管経路画面およびガス導管の高低形状を模式的に表わす縦断面図の表示例について説明する。
【0043】
クライアント端末2の表示部23は、図3の左側に示すように、サーバ1から受信したガス管経路画面P1を表示する。ガス管経路画面P1には、ガス管経路が表示されている(図中実線)。
【0044】
またこのガス管経路画面P1には、図3の右側に示すような、メッシュ形状の標高値データDが重ね合わせられている。標高値データDには、例えば、5m×5mのメッシュ毎に標高値が格納されている。
【0045】
さらにガス管経路画面P1には、図示していないが、色調の変化(赤色〜黄色〜青色)で標高が表現されている。例えば、標高値が高いほど赤色(R)が強調され、標高値が地表に近いほど青色(B)が強調されることで、2次元画面上でも標高値を容易に視認することが可能となる。
【0046】
クライアント端末2の管理者は、入力部22を用いて、ガス管経路画面P1上で点Aと点Bを指示することにより所定の区間を指定する。サーバ1は、クライアント端末2で指定された点Aと点Bの情報を受信し、点Aと点Bを通る最短経路を探索する(図中太実線)。そして、サーバ1は、データベース14を参照し、探索した最短経路上に該当するメッシュ標高値を標高データ14Aから連続的に取得する。これにより、図3の例では、標高メッシュIDであるD1〜D5に格納されている標高値が連続的に取得される。またサーバ1は、探索した最短経路上のガス導管の埋設深さ情報をデータベース14のガス導管データ14B、14Cから取得する。
【0047】
サーバ1は、取得した所定の区間の標高値とガス導管の埋設深さ情報に基づいて、ガス導管の標高値を算出する。そして、サーバ1は、算出結果に基づいて、矢印#1と矢印#2の先に示すように、ガス導管の高低形状を模式的に表わす縦断面図P2を生成する。縦断面図P2には、標高値L1(図中実線)およびガス導管の標高値L2(図中点線)が表示されている。
【0048】
以上のように、ガス導管の標高値を示す縦断面図P2を容易に表示することができ、迅速かつ高精度に、標高値の低い箇所に埋設しているガス導管に漏水の滞留箇所があると特定することが可能となる。
【0049】
図3の表示例では、ガス管経路(実線)と、クライアント端末2により指定された最短経路(太実線)の線種を変えるようにしたが、これに限らず、例えば、ガス管経路を青色で表示し、最短経路を赤色で表示するといったように、経路の表示色を変えるようにしてもよい。
【0050】
次に、図4のフローチャートを参照して、復旧支援システムが実行する表示制御処理について説明する。
【0051】
管理者がクライアント端末2の入力部22を用いてガス管経路の表示を指示すると、ステップS1において、クライアント端末2の制御部21は、サーバ1からネットワーク4を介してガス管経路画面P1(図3)のデータを受信し、表示部23に表示させる。
【0052】
ステップS2において、クライアント端末2の制御部21は、サーバ1からネットワーク4を介して標高値データD(図3)をさらに受信し、ガス管経路画面P1上に重ね合わせる。なお、ステップS1とステップS2の処理を分けて説明したが、実際には、ガス管経路画面P1のデータと標高値データDは同時に受信される。
【0053】
ステップS3において、サーバ1の制御部11は、ガス管経路画面P1上で所定区間(始点および終点)が指定されたか否かを判定し、所定区間が指定されるまで待機する。すなわち、クライアント端末2の制御部21は、管理者が入力部22を用いて所定区間(図3の例では点Aと点B)を指定すると、その所定区間の情報を、ネットワーク4を介してサーバ1に送信する。サーバ1の制御部11は、この所定区間の情報を受信したか否かによって、ステップS3の処理を判定する。
【0054】
そして、ステップS3において、サーバ1の制御部11は、ガス管経路画面P1上で所定区間が指定されたと判定した場合、ステップS4に進み、ガス管経路画面P1上で指定された2点を通る最短経路を探索し、経路を確定する(図3の太実線)。
【0055】
ステップS5において、サーバ1の制御部11は、ガス管経路画面P1上に重ね合わせられた標高値データDのうち、ステップS4の処理で確定した経路上の標高メッシュIDを取得する(図3のD1〜D5)。ステップS6において、サーバ1の制御部11は、データベース14を参照し、ステップS5の処理で取得した標高メッシュIDに基づいて、標高データ14Aから標高値を取得する。ステップS7において、サーバ1の制御部11は、縦断面図P2上にステップS6の処理で取得した標高値を表現する。
【0056】
ステップS8において、サーバ1の制御部11は、ステップS4の処理で確定した経路上の導管IDを取得する。ステップS9において、サーバ1の制御部11は、データベース14を参照し、ステップS8の処理で取得した導管IDに基づいて、ガス導管データ14B、14Cからガス導管の埋設深さ情報を取得する。
【0057】
ステップS7とステップS9の処理の後、ステップS10において、サーバ1の制御部11は、ステップS6の処理で取得した標高値、および、ステップS9の処理で取得したガス導管の埋設深さ情報に基づいて、ガス導管の標高値を算出する。
【0058】
ステップS11において、サーバ1の制御部11は、ステップS7の処理で標高値が表現された縦断面図P2上にガス導管の埋設深さ情報を加味する。すなわち、サーバ1の制御部11は、標高値が表現された縦断面図P2上に、ステップS10の処理で算出したガス導管の標高値をさらに表現する。
【0059】
ステップS12において、サーバ1の制御部11は、データベース14を参照し、ステップS4の処理で確定した経路上の座標値に基づいて、ガス導管データ14Bに含まれる本支管ID、およびガス導管データ14Cに含まれる供給管IDを抽出する。ステップS13において、サーバ1の制御部11は、さらにデータベース14を参照し、ステップS12の処理で抽出した供給管IDに基づいて、顧客データ14Dに含まれる顧客メータ稼働状況情報を取得する。すなわち、サーバ1の制御部11は、抽出した供給管IDに関する供給管によってガスが供給されている複数の顧客に関する顧客メータ稼働状況情報を取得する。
【0060】
ステップS14において、サーバ1の制御部11は、縦断面図P2上に、ステップS13の処理で取得した顧客メータ稼働状況を反映させる。そして、サーバ1の制御部11は、標高値およびガス導管の標高値が表現され、かつ、顧客メータ稼働状況が反映された縦断面図P2のデータを、通信制御部15およびネットワーク4を介してクライアント端末2に送信する。これにより、クライアント端末2の制御部21は、通信制御部24を介して、例えば、図5に示すような縦断面図P3のデータを受信する。そして、クライアント端末2の制御部21は、表示部23において、ガス導管の標高値の縦断面図P3に、顧客メータ稼働状況(ガス供給停止箇所に関する情報)を重畳表示する。
【0061】
図5に示す縦断面図P3の表示例では、標高値L1(図中実線)およびガス導管の標高値L2(図中点線)が表示されているとともに、ガス導管の標高値L2上に、供給管取出地点がマークM1(○)で表示され、他の本支管と交わる地点がマークM2(△)で表示され、ガス供給が停止中の供給管がマークM3(●)で表示されている。
【0062】
図5の表示例では、供給管取出地点のマークM1(○)、他の本支管と交わる地点のマークM2(△)、ガス供給が停止中の供給管のマークM3(●)の形状を変えるようにしたが、これに限らず、例えば、マークM1を赤色の丸印、マークM2を青色の丸印、マークM3を黄色の丸印でそれぞれ表示するといったように、マークの表示色を変えるようにしてもよい。
【0063】
クライアント端末2の管理者は、図5に示した縦断面図P3において、入力部22を用いてマークM3を選択すると、例えば、図6に示すような顧客情報画面Wを表示させることができる。
【0064】
図6に示す顧客情報画面Wの表示例では、お客様情報、お客さま名、ガスメータ号数、およびメータ稼働状況が表示されている。これにより、お客様情報を得ることができる。
【0065】
以上のように、標高値とガス導管の埋設深さ情報からガス導管の標高値を表示することができ、さらに、顧客メータ稼働状況をも表示することが可能となる。
【0066】
以上においては、ステップS12乃至S14の処理を一連の流れで説明したが、これらの処理は必須ではなく、クライアント端末2からの要求に応じて行われるようにしてもよい。
【0067】
次に、図7のフローチャートを参照して、ガス導管情報の表示制御処理について説明する。
【0068】
クライアント端末2の管理者は、図示せぬ条件入力画面にて、ガス導管の埋設年月および管種のうち、少なくとも1つを抽出条件として入力することにより、特定のガス導管を抽出し、ガス導管情報を表示することができる。
【0069】
ステップS21において、サーバ1の制御部11は、クライアント端末2から、ガス導管の埋設年月および管種のうち、少なくとも1つが条件として入力されたか否かを判定し、条件が入力されるまで待機する。そして、ステップS21において、サーバ1の制御部11は、クライアント端末2から条件が入力されたと判定した場合、ステップS22に進み、データベース14を参照し、ガス導管データ(本支管)14B、ガス導管データ(供給管)14Cの中から、入力条件(埋設年月・管種)に合致するIDを取得する。
【0070】
ステップS23において、サーバ1の制御部11は、ステップS22の処理で抽出されたIDに基づいて、特定のガス導管を強調表示させたガス導管情報画面のデータを生成する。そして、サーバ1の制御部11は、ガス導管情報画面のデータを、通信制御部15およびネットワーク4を介してクライアント端末2に送信する。これにより、クライアント端末2の制御部21は、通信制御部24を介して、例えば、図8に示すようなガス導管情報画面P4のデータを受信し、表示部23に表示させることができる。
【0071】
図8に示すガス導管情報画面P4の表示例では、ガス管経路が表示されており(図中点線)、入力条件で抽出された特定のガス導管が強調表示されている(図中太実線)。
【0072】
以上のように、特定の条件に合致するガス導管を抽出することで、水流入箇所の推定を行うことができる。
【0073】
[発明の実施の形態における効果]
1.以上のように、標高値とガス導管の埋設深さ情報からガス導管の標高値を算出することで、ガス導管の標高値を示す縦断面図P2(図3)を容易に表示することができる。これにより、迅速かつ高精度に、標高値の低い箇所に埋設しているガス導管に漏水の滞留箇所があると特定することが可能となる。
【0074】
2.また、ガス導管の標高値を示す縦断面図P2上に、さらに、供給管取出地点、他の本支管と交わる地点、およびガス供給が停止中の供給管を表示することで(図5)、水滞留可能性箇所をより推測しやすいものにすることができる。
【0075】
3.ガス管経路画面P1に座標点列からなる標高値データDを重ね合わせることで、メッシュ標高値を連続的に取得することができ、ガス導管の漏水の滞留箇所を細かい単位で確認することが可能となる。
【0076】
4.顧客情報を利用することにより、ガス導管の漏水の滞留箇所と漏水位置の正確な特定が可能となる。
【0077】
[変形例]
以上においては、ガス導管経路画面P1や縦断面図P2などをクライアント端末2の表示部23に表示させるようにしたが、これに限らず、サーバ1側に表示部や入力部を設け、サーバ1側で画面表示や、所定区間の指定を行うようにしてもよい。この場合、クライアント端末2は特に必要としない。
【0078】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る復旧支援システム等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0079】
1………サーバ
2………クライアント端末
4………ネットワーク
11………制御部
12………算出部
14………データベース
22………入力部
23………表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバとクライアント端末がネットワークを介して接続される復旧支援システムにおいて、
前記サーバは、
ガス導管の埋設深さ情報を含むガス導管データ、および標高値を含む標高データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記ガス導管データおよび前記標高データに基づいて、前記ガス導管の標高値を算出する算出手段と
を備え、
前記クライアント端末は、
前記サーバの前記記憶手段から受信した前記ガス導管データに基づいて、ガス管経路の表示を制御する第1の表示制御手段と、
前記ガス管経路の表示上で所定の区間を指定する入力手段と、
前記入力手段により所定の区間が指定された場合、指定された所定の区間を通る最短経路上における前記ガス導管の標高値を前記サーバから受信し、前記ガス導管の標高値の縦断面図上における表示を制御する第2の表示制御手段と
を備えることを特徴とする復旧支援システム。
【請求項2】
前記サーバの記憶手段は、ガス供給状況情報を含む顧客データをさらに記憶し、
前記クライアント端末の第2の表示制御手段は、前記サーバから前記顧客データを受信し、前記ガス導管の標高値の縦断面図上に、ガス供給停止箇所に関する情報を重畳表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の復旧支援システム。
【請求項3】
前記サーバの記憶手段が記憶する前記ガス導管データは、前記ガス導管の埋設年月および管種をさらに含み、
前記クライアント端末は、前記入力手段によりガス導管の抽出条件が入力された場合、前記サーバから受信した前記ガス導管データの中から、前記抽出条件に合致するデータを抽出する抽出手段をさらに備え、
前記クライアント端末の第1の表示制御手段は、前記抽出手段により抽出された前記ガス導管データに基づいて、前記ガス管経路の表示上に、特定の管に関する情報を強調表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の復旧支援システム。
【請求項4】
サーバとクライアント端末がネットワークを介して接続される復旧支援システムの復旧支援方法において、
前記サーバは、
ガス導管の埋設深さ情報を含むガス導管データ、および標高値を含む標高データを記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップで記憶された前記ガス導管データおよび前記標高データに基づいて、前記ガス導管の標高値を算出する算出ステップと
を含み、
前記クライアント端末は、
前記サーバから受信した前記ガス導管データに基づいて、ガス管経路の表示を制御する第1の表示制御ステップと、
前記ガス管経路の表示上で所定の区間を指定する入力ステップと、
前記入力ステップにより所定の区間が指定された場合、指定された所定の区間を通る最短経路上における前記ガス導管の標高値を前記サーバから受信し、前記ガス導管の標高値の縦断面図上における表示を制御する第2の表示制御ステップと
を含むことを特徴とする復旧支援方法。
【請求項5】
ガス導管の埋設深さ情報を含むガス導管データ、および標高値を含む標高データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記ガス導管データおよび前記標高データに基づいて、前記ガス導管の標高値を算出する算出手段と、
前記記憶手段から読み出した前記ガス導管データに基づいて、ガス管経路の表示を制御する第1の表示制御手段と、
前記ガス管経路の表示上で所定の区間を指定する入力手段と、
前記入力手段により所定の区間が指定された場合、指定された所定の区間を通る最短経路上における前記ガス導管の標高値を前記記憶手段から読み出し、前記ガス導管の標高値の縦断面図上における表示を制御する第2の表示制御手段と
を備えることを特徴とする復旧支援装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、ガス供給状況情報を含む顧客データをさらに記憶し、
前記第2の表示制御手段は、前記記憶手段から前記顧客データを読み出し、前記ガス導管の標高値の縦断面図上に、ガス供給停止箇所に関する情報を重畳表示する
ことを特徴とする請求項5に記載の復旧支援装置。
【請求項7】
前記記憶手段が記憶する前記ガス導管データは、前記ガス導管の埋設年月および管種をさらに含み、
前記入力手段によりガス導管の抽出条件が入力された場合、前記記憶手段に記憶されている前記ガス導管データの中から、前記抽出条件に合致するデータを抽出する抽出手段をさらに備え、
前記第1の表示制御手段は、前記抽出手段により抽出された前記ガス導管データに基づいて、前記ガス管経路の表示上に、特定の管に関する情報を強調表示する
ことを特徴とする請求項5に記載の復旧支援装置。
【請求項8】
ガス導管の埋設深さ情報を含むガス導管データ、および標高値を含む標高データを記憶する記憶手段を有するコンピュータにより読み取り可能な形式で記述されたプログラムであって、
前記記憶手段に記憶されている前記ガス導管データおよび前記標高データに基づいて、前記ガス導管の標高値を算出する算出ステップと、
前記記憶手段から読み出した前記ガス導管データに基づいて、ガス管経路の表示を制御する第1の表示制御ステップと、
前記ガス管経路の表示上で所定の区間を指定する入力ステップと、
前記入力ステップにより所定の区間が指定された場合、指定された所定の区間を通る最短経路上における前記ガス導管の標高値を前記記憶手段から読み出し、前記ガス導管の標高値の縦断面図上における表示を制御する第2の表示制御ステップと
を含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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