説明

復水回収装置

【課題】 復水に混入している錆などの異物を確実に捕捉して、ボイラー等の復水回収先へ復水を直接に回収することのできる復水回収装置を得ること。
【解決手段】 復水タンク2に復水供給管1を接続する。復水タンク2内の復水流入管路11,12で復水圧送手段3,4と接続する。復水圧送手段3,4の復水流出口13,14に復水回収管5,6を介してフィルター部材7,8を取り付ける。フィルター部材7,8に逆洗パイプ31,32,33,34を接続する。
復水圧送手段4から排出される復水はフィルター部材8で異物が除去され、一方、復水圧送手段3から排出される復水はフィルター部材7で異物が除去されて、復水回収先へ圧送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気使用機器で発生した蒸気の凝縮水としての復水を、ボイラー等の復水回収先へ回収する復水回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の復水回収装置は、蒸気使用機器の二次側すなわち出口側に設けたスチームトラップと復水流入管と、放圧管に取り付けた制御弁と、復水流出管に取り付けた復水ポンプとで構成したもので、放圧管に取り付けた制御弁で、スチームトラップから排出された復水の再蒸発蒸気の一部を系外へ排出することによって、スチームトラップの必要圧力差を維持しつつ、復水ポンプで高温復水を所定箇所へ回収することができるものである。
【0003】
上記従来の復水回収装置では、復水流出管から復水回収先へ回収される復水に、ゴミや錆やスケール等の異物が混入していると、ボイラー等の復水回収先へ復水を直接に回収することができなくなってしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭60−42846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、復水に混入している錆などの異物を確実に捕捉して、ボイラー等の復水回収先へ復水を直接に回収することのできる復水回収装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、蒸気使用機器で発生した復水を一旦溜め置く復水タンクと、当該復水タンクに接続した復水圧送手段とからなり、復水圧送手段からの圧送復水の一部を復水回収管から復水回収先へ回収するものにおいて、復水圧送手段を複数台配置して、当該複数台の復水圧送手段の復水回収管にそれぞれ復水中の異物を捕捉するフィルター部材を取り付けると共に、当該フィルター部材に逆洗パイプを接続したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、復水タンクと接続した複数台の復水圧送手段の復水回収管にそれぞれフィルター部材を取り付けたことによって、このフィルター部材で復水に混入している錆などの異物を捕捉することで除去して、異物の除去された復水を、ボイラー等の復水回収先へ直接に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る復水回収装置の実施例を示す構成図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の復水回収管に取り付けるフィルター部材としては、復水に混入している異物に応じて、多数の細孔を貫通させたパンチングプレートや、細い金属繊維を積層させた金属積層フィルター、あるいは、多数の貫通細孔を設けた焼結金属等従来公知のフィルター部材を用いることができる。
【実施例】
【0010】
図1において、復水供給管1と、復水タンク2と、復水圧送手段3,4と、復水回収管5,6に取り付けたフィルター部材7,8、及び、フィルター部材7,8に接続した逆洗パイプ31,32,33,34とで復水回収装置を構成する。
【0011】
復水供給管1は、左端部を図示しない蒸気使用機器などの高温復水発生源と接続し、右端部を復水タンク2と接続する。復水タンク2は、密閉の円筒状で、内部に復水圧送手段3,4の復水流入口9,10と接続した復水流入管路11,12を鉛直状に配置する。復水流入管路11,12の上端は開口することで、復水タンク2内に溜まった復水が、この上端開口から復水流入口9,10を経て、復水圧送手段3,4内へ流下するものである。
【0012】
復水圧送手段3,4には、それぞれ復水流入口9,10と復水流出口13,14、及び、高圧操作流体導入口15,16と高圧操作流体排出口17,18を配置する。復水流入管路11,12には逆止弁19,20を取り付ける。逆止弁19,20は、復水タンク2から復水圧送手段3,4側への復水の流下は許容するが、反対方向への復水の通過は阻止する機能を有するものである。
【0013】
復水回収管5,6にも逆止弁21,22を取り付ける。これらの逆止弁21,22は、復水圧送手段3,4からフィルター部材7,8側への復水の流下を許容し、反対方向の流れは阻止する機能を有する。
【0014】
高圧操作流体導入口15,16には、それぞれ、高圧蒸気供給管23,24を接続すると共に、高圧操作流体排出口17,18には、高圧蒸気排出管25,26を接続する。
【0015】
復水圧送手段3,4は、内部に配置した図示しないフロートが下方部に位置する場合に、高圧操作流体導入口15,16を閉口し、一方、高圧操作流体排出口17,18を開口して、復水流入管路11,12から復水を逆止弁19,20と復水流入口9,10を通して復水圧送手段3,4内に流下させる。
【0016】
復水タンク2内の復水流入管路11は、管路12よりも上方で上端部を開口することで、復水タンク2内の復水は、優先的に復水流入管路12を通って復水圧送手段4内へ流入する。
【0017】
復水圧送手段4内に優先的に復水が溜まって図示しないフロートが所定上方部に位置すると、高圧操作流体排出口18を閉口し、一方、高圧操作流体導入口16を開口して、高圧蒸気供給管24から高圧圧送用蒸気を内部に流入させることにより、内部に溜まった復水を復水流出口14と逆止弁22とフィルター部材8と復水回収管6を通してボイラー等の復水回収先へ圧送する。
【0018】
復水流出口14から排出される復水は、フィルター部材8を通過することで、復水に混入している錆などの異物が除去されて復水回収先へ圧送される。
【0019】
復水が圧送されて復水圧送手段4内の液位が低下すると、再度、高圧操作流体導入口16を閉口し、高圧操作流体排出口18を開口することにより、復水流入口10から復水を内部へ流下させる。このような作動サイクルを繰り返すことによって復水を回収する。
【0020】
復水圧送手段4の作動に伴いフィルター部材8内の図示しないフィルターが目詰まり状態になると、復水圧送手段4からは復水を排出することができなくなり、復水タンク2内の液位が上昇して、復水流入管路11から復水圧送手段3内へ復水が流下し、上述した復水圧送手段4と同様の作動サイクルを繰り返すことによって復水を回収する。復水圧送手段3から排出される復水もフィルター部材7を通過することで異物が除去される。
【0021】
復水圧送手段3から復水を回収している間に、逆洗パイプ31からフィルター部材8の内部に逆洗用の流体、具体的には水、を供給することによってフィルター部材8を逆洗することで、再度、復水圧送手段4から復水を回収することができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、蒸気使用機器で発生した蒸気の凝縮水としての復水を、ボイラー等の復水回収先へ回収する復水回収装置として適用できる。
【符号の説明】
【0023】
1 復水供給管
2 復水タンク
3,4
復水圧送手段
5,6
復水回収管
7,8 フィルター部材
9,10 復水流入口
11,12 復水流入管路
13,14 復水流出口
15,16 高圧操作流体導入口
17,18 高圧操作流体排出口
23,24 高圧蒸気供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気使用機器で発生した復水を一旦溜め置く復水タンクと、当該復水タンクに接続した復水圧送手段とからなり、復水圧送手段からの圧送復水の一部を復水回収管から復水回収先へ回収するものにおいて、復水圧送手段を複数台配置して、当該複数台の復水圧送手段の復水回収管にそれぞれ復水中の異物を捕捉するフィルター部材を取り付けると共に、当該フィルター部材に逆洗パイプを接続したことを特徴とする復水回収装置。

【図1】
image rotate