説明

復調装置、復調制御方法およびコンピュータ・プログラム

【課題】複数の受信端末に対する情報が連結多重されて送信される物理チャネルの復調において、無駄な復調処理を減らす。
【解決手段】受信端末ごとに指定される物理チャネルからのデータの取り出し位置の範囲(サーチスペース)に関する情報を保持するサーチスペース情報メモリ14と、受信信号の復調時に、受信信号の入力位置であるマッピング位置から復調結果の出力先位置であるデマッピング位置を計算するとともに、サーチスペース情報メモリ14を参照して、計算により得られたデマッピング位置がサーチスペースに含まれることを条件として復調処理部12に復調の指示を与えるデマッピング計算部15とを備え、復調処理部12は、デマッピング計算部15からの復調の指示があることを条件として受信信号を復調し、復調結果をデマッピング計算部15により計算されたデマッピング位置に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル通信システムの復調装置、復調制御方法およびコンピュータ・プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(Third Generation Partnership Project)で標準化されているLTE(Long Time Evolution)の物理チャネルの一つに、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)がある。このチャネルは、セル上のUE(User Equipment)が基地局との通信を行うために受信を行う制御チャネルであり、Sub−frame(1ms)のTTI(Transmit Time Interval)となっている。また、その送信仕様には特徴があり、複数のUE向けの情報を連結多重して送信する(特許文献1〜3、非特許文献1〜3参照)。
【0003】
PDCCHは、DCI(Downlink Control Information)に対して、CRC(Cyclic Redundancy Check)付加、CRC部マスキング、畳み込み符号化、レートマッチング(Rate matching)、データ多重、スクランブル(Scrambling)といった符号化処理(符号化の詳細は、非特許文献1および非特許文献2参照)の後、QPSK(quadrature phase-shift keying)変調、レイヤーマッピング(Layer Mapping)とプレコーディング(Precoding)、ブロックインターリーブ(Block Interleave)、巡回シフト(Cyclic Shift)といった変調処理(変調の詳細は、非特許文献1参照)が施されて、送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−279053号公報
【特許文献2】特許第4569788号
【特許文献3】特表2010−525725号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TS 36.211 V8.7.0 pp.58-60
【非特許文献2】3GPP TS 36.212 V8.7.0 pp.43-56
【非特許文献3】3GPP TS 36.213 V8.7.0 pp.64-65
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
制御チャネルであるPDCCHを復号するため、従来、UEでは、受信した信号のPDCCHマッピング領域全体を復調し、復調されたPDCCHのデータ全体のうち、自UEのDCI(Downlink Control Information)が配置されている可能性のあるデータ範囲であるサーチスペースを対象として、復号処理を実行していた。すなわち、復調されたデータ全体が使用されるわけではないにかかわらず、復調する必要のないデータまで復調が行われている。これは、復調の段階では、どの部分が後段の復号処理で必要な信号かを判断できないためである。
【0007】
本発明は、このような課題を解決し、無駄な復調処理を減らすことのできる復調装置、復調制御方法およびコンピュータ・プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点によると、複数の受信端末に対する情報が連結多重されて送信される物理チャネルを復調する復調装置において、受信信号を復調する復調処理部と、復調装置が設けられる受信端末ごとに指定される物理チャネルからのデータの取り出し位置の範囲(サーチスペース)に関する情報を保持するサーチスペース情報メモリと、受信信号の復調時に、受信信号の入力位置であるマッピング位置から復調結果の出力先位置であるデマッピング位置を計算するとともに、サーチスペース情報メモリを参照して、計算により得られたデマッピング位置がデータの取り出し位置の範囲に含まれることを条件として復調処理部に復調の指示を与えるデマッピング計算部と、を備え、復調処理部は、デマッピング計算部からの復調の指示があることを条件として受信信号を復調し、復調結果をデマッピング計算部により計算されたデマッピング位置に出力することを特徴とする復調装置が提供される。
【0009】
本発明の第2の観点によると、複数の受信端末に対する情報が連結多重されて送信される物理チャネルを受信して復調する復調処理部の動作を制御する方法において、受信端末ごとに指定される物理チャネルからのデータの取り出し位置の範囲に関する情報をサーチスペース情報としてメモリに保持し、復調処理部による受信信号の復調時に、受信信号の入力位置であるマッピング位置から復調処理部による復調結果の出力先位置であるデマッピング位置を計算するとともに、サーチスペース情報を参照して、計算により得られたデマッピング位置がデータの取り出し位置の範囲に含まれることを条件として復調処理部に復調の指示を与え、復調処理部は、復調の指示があることを条件として受信信号を復調し、復調結果を計算によれ得られたデマッピング位置に出力することを特徴とする復調制御方法が提供される。
【0010】
本発明の第3の観点によると、コンピュータにインストールすることにより、そのコンピュータを複数の受信端末に対する情報が連結多重されて送信される物理チャネルを復調する復調装置として動作させるコンピュータ・プログラムであり、コンピュータに、受信信号の復調時に、受信信号の入力位置であるマッピング位置から復調結果の出力先位置であるデマッピング位置を計算するステップと、メモリに保持されている受信端末ごとに指定される物理チャネルからのデータの取り出し位置の範囲に関する情報を参照して、計算により得られたデマッピング位置がデータの取り出し位置の範囲に含まれるか否かを判定するステップと、計算により得られたデマッピング位置がデータの取り出し位置の範囲に含まれることを条件として受信信号を復調し、復調結果を計算により得られたデマッピング位置に出力するステップと、を実行させることを特徴とするコンピュータ・プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、受信端末ごとのサーチスペース情報を保持し、受信信号の復調時に受信信号のマッピング位置からデマッピング位置を計算し、そのデマッピング位置がサーチスペースに含まれることを条件として、復調処理を実行する。これにより、無駄な復調処理をなくすことができる。また、復調処理結果を格納するための記憶領域の必要量も低減される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る復調装置のブロック構成図である。
【図2】通信方式の規格であるLTEの物理チャネルPDCCHのサーチスペース種別とアグリゲーションレベルとの組合せごとのCCE探索候補数を説明する図である。
【図3】通信方式の規格であるLTEにおいて、異なるUEのサーチスペース例を示す図である。
【図4】図1に示す復調装置の動作フローを示す図である。
【図5】本発明をコンピュータ・プログラムにより実施するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る復調装置のブロック構成図である。この復調装置10は、複数の受信端末に対する情報が連結多重されて送信される物理チャネルを復調する装置であり、受信信号メモリ11、復調処理部12、復調データメモリ13、サーチスペース情報メモリ14およびデマッピング計算部15を備える。以下では、LTEで本発明を実施するものとして、受信端末がUEであり、物理チャネルがPDCCHである場合を例に説明する。
【0015】
受信信号メモリ11は、受信信号を格納する。復調処理部11は、受信信号メモリ12のデータを入力として受信信号の復調処理を行い、復調結果を出力する。復調データメモリ13は、復調結果を格納する。サーチスペース情報メモリ14は、この復調装置10が設けられる受信端末としてのUEごとに指定される物理チャネルPDCCHからのデータの取り出し位置の範囲に関する情報、すなわちサーチスペース情報を保持する。デマッピング計算部15は、受信信号の復調時に、受信信号の入力位置であるマッピング位置から復調結果の出力先位置であるデマッピング位置を計算するとともに、サーチスペース情報メモリ14を参照して、計算により得られたデマッピング位置がデータの取り出し位置の範囲に含まれることを条件として、復調処理部11に復調の指示を与える。復調処理部11は、デマッピング計算部15からの復調の指示があることを条件として受信信号を復調し、復調結果をデマッピング計算部15により計算されたデマッピング位置に出力する。
【0016】
上述したように、PDCCHは、複数のUE向けのデータが多重化されて送信される。このため、PDCCHを受信するUEは、各々でデータの取り出し位置が異なる。このデータの取り出し位置はサーチスペース(Search Space)と呼ばれ、UEごとに指定されるRNTI(Radio Network Temporary ID)を基に計算される。以下、サーチスペースについて説明する(非特許文献1および非特許文献3より抜粋)。
【0017】
PDCCHは、DCIの符号化処理の結果が複数のUE向けのデータを連結多重する際のデータブロックの基本単位であるCCE(Control Channel Element)に合わせられ、CCE数が1、2、4、8のいずれかのサイズにレートマッチング(Rate matching)される。ここで、1CCEのサイズは72ビットであり後のデータサイズは、1CCEの場合72ビット、2CCEの場合144ビット、4CCEの場合288ビット、8CCEの場合576ビットになる。このレートマッチングされるCCE数をアグリゲーションレベル(aggregation level)という。多重化の際、アグリゲーションレベルがNのデータは、多重化後のCCE番号iについて、i mod N =0(iをNで割ったときの余りが0)を満たす位置にマッピングされる。なお、CCE番号iは、全体のCCE数をNcceとしたとき、0〜Ncce−1までの値をとる。また、何のDCIもマッピングされなかったCCEは、振幅0として変調される。
【0018】
一方、復号を行う各UEでは、自UE向けデータのアグリゲーションレベルがいくつであるかは未知であり、1、2、4、8のすべてのアグリゲーションレベルについて、探索を行う。各アグリゲーションレベルLのサーチスペースSk(L)は、式(1)のとおりに計算される。
Sk(L)=L*{(Yk+m) mod floor(Ncce/L)}+i
…(1)
式(1)において、kはサブフレーム番号で0〜9、Lはアグリゲーションレベル、iは0〜L-1である。mは候補番号であり、サーチスペースの種別(Common、UE−−Specific)によって、候補数が異なる。
【0019】
図2に、3GPP-LTEにおけるPDCCHのサーチスペース種別とアグリゲーションレベルとの組合せごとのCCE探索候補数を示す。
【0020】
また、Ykも候補番号と同様で、全UEが探索するコモンサーチスペース(Common Search Space)の場合は0、UE毎に探索位置が異なるUEスペシフィックサーチスペース(UE−Specific Search Space)の場合はRNTIからその値が求まり、式(2)のとおりに決定される。
Yk=(A*Yk-1) mod D …(2)
ただし、Y-1はRNTI、A=39827、D=65537である。
【0021】
図3は、式(1)および式(2)より計算されるUEのサーチスペースをRNTIが異なる2つのUEについて示す。図3よりわかるように、コモンサーチスペースは各UEで同じ領域になるが、UEスペシフィックサーチスペースはUEごとに異なっており、各UEがすべてのCCE領域を探索する必要はない。
【0022】
たとえば帯域幅20MHzの場合、CCE数の最大88に対して、コモンサーチスペースは先頭16CCE、UEスペシフィックサーチスペースについてはL=1が6CCE、L=2が12CCE、L=4が8CCE、L=8が16CCEである。このため、コモンサーチスペースとUEスペシフィックサーチスペースがすべて重ならなかったと仮定しても、各UEの探索対象は、58CCE(=16+6+12+8+16)ということになる。つまり、復調データ全体が探索の対象となるわけではない。
【0023】
そこで本実施の形態では、受信信号の復調に際し、あらかじめサーチスペースを計算し、復号対象のCCEを特定するとともに、受信信号の入力位置と復調信号のCCEにおける出力位置を取得しておくことで、余計な復調をスキップし、処理量とデータ格納領域を抑制させる。
【0024】
図4は、図1に示す復調装置の動作フローを示す図である。
【0025】
まず、各サブフレームの復調開始前に、この復調装置10が設けられるUE内の動作(復調装置10を含む一部の動作、あるいはUE全体の動作)を制御するCPU(Central Processing Unit)等の処理回路において、そのUEに割り当てられたRNTIから、そのUEのサーチスペースが計算される(ステップS1)。この計算において、上述した式(1)および式(2)と、図2に示すPDCCHのサーチスペース種別とアグリゲーションレベルとの組合せと、CCE探索候補数との関係から、サーチスペースが算出される。この算出されたサーチスペースに関する情報として、たとえばCCE番号ごとのフラグが、サーチスペース情報メモリ14に保存される。CCE数は最大88であるため、サーチスペース情報メモリ14は、88ビットのフラグ情報(たとえば、1:サーチスペースに含まれる、0:サーチスペースに含まれない)を保持していればよい。
【0026】
受信信号が受信信号メモリ11に格納されると、デマッピング計算部15は、受信信号のマッピング位置を取得し、その値および帯域幅や基地局ID、PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)やPHICH(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel)等の条件から、PDCCHのデマッピング位置を計算する(ステップS2、図4では、このステップを「PDCCH受信信号を取得」として示す)。
【0027】
デマッピング位置の計算は、たとえば、本願出願人による先の出願、特願2010−001251、特願2010−116104、あるいは特願2010−285663(いずれも本願出願時未公開)に示された技術を用いることができる。
【0028】
すなわち、周波数軸上でのマッピング単位であるRE(Resource Element)のグループであるREG(Resource Element Group)であって、順に通し番号が付されているREGのうちの、通し番号の順に注目されたREGである注目REGに、PCFICHまたはPHICHの少なくとも一方がマッピングされているか否かを判定し、注目REGに、PCFICHおよびPHICHがいずれもマッピングされていないと判定された場合、注目REGにPDCCHをデマッピングする。
【0029】
あるいは、PCFICHまたはPHICHの少なくとも一方がマッピングされているか否かを判定した後、注目REGに付された通し番号が、ひとつのOFDM symbolが受信されるごとに入力される現在のOFDM symbol番号に対応するか否かを判定し、注目REGにPCFICHおよびPHICHがいずれもマッピングされておらず、かつ注目REGに付された通し番号が現在のOFDM symbol番号に対応する場合に、注目REGのPDCCHをデマッピングする。
【0030】
また、PDCCHのデマッピングに並行して、復調データに施されているサイクリックシフト量をその復調データが得られる前に算出し、算出されたサイクリックシフト量を用いて、デインターリーブマトリックス上の位置番号を算出する行カウンタおよび列カウンタの初期値を計算してそれらのカウンタを初期化し、デインターリーブマトリクス上の位置番号を行カウンタおよび列カウンタを用いて算出し、復調データを書き込む先のアドレスを、算出された位置番号に変更する。
【0031】
以上の技術により、PDCCHのマッピング位置を探索しながら、デマッピング位置の計算を行うことができる。すなわち、マッピング位置とデマッピング位置の両方を、同時に取得することができる。
【0032】
この後、デマッピング計算部15は、デマッピング位置とサーチスペース情報メモリ14に格納されているサーチスペース情報とを比較し、デマッピング位置がサーチスペースに含まれる場合に、復調処理部12に復調の指示とデマッピング位置を通知する(ステップS3〜ステップS7)。一方、デマッピング位置がサーチスペースに含まれない場合、デマッピング計算部15は、復調処理部12に復調の指示を出さない。
【0033】
デマッピング位置とサーチスペース情報との比較において、デマッピング計算部15は、受信信号のデマッピング位置をCCEのデータサイズである72で除算し、得られる値に対応する値がサーチスペース情報メモリ14に保持されているか否か、すなわち、その値に対応するサーチスペース情報のフラグが立っているか否か、を判別する。つまり、受信信号のマッピング位置をi、そのデマッピング位置をM(i)、サーチスペース情報の配列をS[88]とすると、該当のフラグはS[M(i)/72]として得られる。ここで、受信信号はQPSK変調されているため、復調後のデマッピング位置は連続する2アドレス分となる。
【0034】
復調処理部12は、デマッピング計算部15からの復調指示があった場合に動作し、受信信号メモリ11から該当の信号入力を得て、復調を行う(ステップS5)。復調結果は、復調データメモリ13のデマッピング出力位置に書き込まれる。
【0035】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、復調処理部12は、デマッピング計算部15からの復調指示があった場合だけ動作し、復号対象でない受信信号の復調をスキップすることができる。これにより、処理量および格納領域を削減することができる。たとえば、帯域20MHzの最大CCE数88に対し、コモンサーチスペース(16CCE)のみが復号対象である場合、復調処理量は16/88=18.2%となる。同様に、格納領域は、最大のCCE数88に対し、各サーチスペース領域の和の最大が58CCEであるため、58/88=65.9%となる。携帯移動端末であれば、処理量およびメモリ容量削減による省電力効果も期待できる。
【0036】
以上の説明においては、サーチスペース情報メモリ14が、サーチスペース情報として、PDCCHのビット番号を保持するものとした。これとは別に、サーチスペース情報メモリ14が、サーチスペース情報として、PDCCHのビット番号、あるいはPDCCHのビット番号範囲を保持する構成とすることもできる。
【0037】
PDCCHのビット番号を保持する場合、PDCCHのビット番号は、0〜6335の6336個(=88×72=CCE数×CCEサイズ)である。この場合、サーチスペース情報メモリ14は6336ビットの情報を持ち、デマッピング計算部15は、デマッピング位置のビット番号に対応する値がサーチスペース情報メモリ14に保持されているか否か、すなわち、デマッピング位置のビット番号に対応するサーチスペース情報のフラグが立っているか否か、を判別する。この場合、サーチスペース情報の配列はS[6336]となり、情報量が増えてしまう。一方、この場合には、デマッピング計算部15において、デマッピング位置M(i)を72で除算する操作は必要としない。
【0038】
PDCCHのビット番号範囲を保持する場合、サーチスペース情報メモリ14は、コモンサーチスペースとUEスペシフィックサーチスペースの範囲情報のみを保持する。たとえば、コモンサーチスペースの範囲はCCE番号0〜15であるため、0≦ビット番号<1080(=15×72)を満たすデマッピング位置がサーチスペースとなる。そのため、サーチスペース情報メモリ14としては(MIX,MAX)の組で、(0,1080)という情報を保持する。UEスペシフィックサーチスペースも同様であるが、L=1,2,4,8の4つの領域があるため、コモンとUEスペシフィックを合わせて、全部で5つの範囲の情報として保持することになる。PDCCHのビット番号情報は2進数表記で13ビットに収まるため、情報量としては、130ビット(=13bit×2データ×5組)程度となる。この場合も、デマッピング計算部15においてデマッピング位置M(i)を72で除算する操作は必要ない。デマッピング計算部15は、デマッピング位置のビット番号に対応する値がサーチスペース情報メモリ14に格納されているビット番号範囲のどこに含まれているか、すなわち、デマッピング位置M(i)が5つの範囲のどこかに含まれているか、を判別すればよい。
【0039】
以上説明した実施の形態では、受信信号メモリ11、復調処理部12、復調データメモリ13、サーチスペース情報メモリ14およびデマッピング計算部15を、個別の構成として説明した。受信信号メモリ11、復調データメモリ13およびサーチスペース情報メモリ14は、少なくともその一部を共通化することもできる。また、復調処理部12およびデマッピング計算部15は、汎用のマイクロプロセッサや信号処理プロセッサを用いて、ソフトウェアにより実現することもできる。
【0040】
復調処理部12およびデマッピング計算部15をソフトウェアにより実現する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、たとえば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0041】
図5は、本発明をコンピュータ・プログラムにより実施するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0042】
このコンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)51,ROM(Read Only Memory)52,RAM(Random Access Memory)53は、バス54により相互に接続されている。
【0043】
バス54には、さらに、入出力インタフェース55が接続されている。入出力インタフェース55には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部56、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部57、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部58、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部59、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリなどのリムーバブルメディア61を駆動するドライブ60が接続されている。
【0044】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU51が、たとえば、記憶部58に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース55及びバス54を介して、RAM53にロードして実行することにより、復調処理部12およびデマッピング計算部15としての処理が行われる。また、RAM53が、受信信号メモリ11、復調データメモリ13およびサーチスペース情報メモリ14として動作する。
【0045】
CPU51が実行するプログラムは、コンピュータにインストールすることにより、そのコンピュータを複数のUEに対する情報が連結多重されて送信される物理チャネルPDCCHを復調する復調装置として動作させるコンピュータ・プログラムである。このプログラムは、コンピュータに、受信信号の復調時に、受信信号の入力位置であるマッピング位置から復調結果の出力先位置であるデマッピング位置を計算するステップと、メモリ(RAM53)に保持されているUEごとに指定されるPDCCHからのデータの取り出し位置の範囲に関する情報を参照して、計算により得られたデマッピング位置がデータの取り出し位置の範囲に含まれるか否かを判定するステップと、計算により得られたデマッピング位置がデータの取り出し位置の範囲に含まれることを条件として受信信号を復調し、復調結果を計算により得られたデマッピング位置に出力するステップと、を実行させる。
【0046】
コンピュータ(CPU51)が実行するプログラムは、たとえば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア61に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
【0047】
そして、プログラムは、リムーバブルメディア61をドライブ60に装着することにより、入出力インタフェース55を介して、記憶部58に記憶することで、コンピュータにインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部59で受信し、記憶部58に記憶することで、コンピュータにインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM52や記憶部58にあらかじめ記憶しておくことで、コンピュータにあらかじめインストールしておくことができる。
【0048】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0049】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 復号装置
11 受信信号メモリ
12 復調処理部
13 復調データメモリ
14 サーチスペース情報メモリ
15 デマッピング計算部
51 CPU
52 ROM
53 RAM
54 バス
55 入出力インタフェース
56 入力部
57 出力部
58 記憶部
59 通信部
60 ドライブ
61 リムーバブルメディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受信端末に対する情報が連結多重されて送信される物理チャネルを復調する復調装置において、
受信信号を復調する復調処理部と、
前記復調装置が設けられる受信端末ごとに指定される物理チャネルからのデータの取り出し位置の範囲(サーチスペース)に関する情報を保持するサーチスペース情報メモリと、
受信信号の復調時に、受信信号の入力位置であるマッピング位置から復調結果の出力先位置であるデマッピング位置を計算するとともに、前記サーチスペース情報メモリを参照して、前記計算により得られたデマッピング位置が前記データの取り出し位置の範囲に含まれることを条件として前記復調処理部に復調の指示を与えるデマッピング計算部と、
を備え、
前記復調処理部は、前記デマッピング計算部からの前記復調の指示があることを条件として前記受信信号を復調し、復調結果を前記デマッピング計算部により計算されたデマッピング位置に出力する
ことを特徴とする復調装置。
【請求項2】
請求項1記載の復調装置において、
前記サーチスペース情報メモリは、前記データの取り出し位置の範囲に関する情報として、物理チャネル内で連結多重される際のデータブロックの基本単位の番号を保持し、
前記デマッピング計算部は、受信信号のデマッピング位置を前記基本単位のデータサイズで除算して得られる値に対応する値が前記サーチスペース情報メモリに保持されているか否か判別する
ことを特徴とする復調装置。
【請求項3】
請求項1記載の復調装置において、
前記サーチスペース情報メモリは、前記データの取り出し位置の範囲に関する情報として、物理チャネルのビット番号を保持し、
前記デマッピング計算部は、デマッピング位置のビット番号に対応する値が前記サーチスペース情報メモリに保持されているか否か判別する
ことを特徴とする復調装置。
【請求項4】
請求項1記載の復調装置において、
前記サーチスペース情報メモリは、前記データの取り出し位置の範囲に関する情報として、物理チャネルのビット番号範囲を保持し、
前記デマッピング計算部は、デマッピング位置のビット番号に対応する値が前記サーチスペース情報メモリに保持されているビット番号範囲のどこに含まれているかを判別する
ことを特徴とする復調装置。
【請求項5】
複数の受信端末に対する情報が連結多重されて送信される物理チャネルを受信して復調する復調処理部の動作を制御する復調制御方法において、
受信端末ごとに指定される物理チャネルからのデータの取り出し位置の範囲に関する情報をサーチスペース情報としてあらかじめメモリに保持し、
前記復調処理部による受信信号の復調時に、受信信号の入力位置であるマッピング位置から前記復調処理部による復調結果の出力先位置であるデマッピング位置を計算するとともに、前記サーチスペース情報を参照して、前記計算により得られたデマッピング位置が前記データの取り出し位置の範囲に含まれることを条件として、前記復調処理部に復調の指示を与え、
前記復調処理部は、前記復調の指示があることを条件として前記受信信号を復調し、復調結果を前記計算により得られたデマッピング位置に出力する
ことを特徴とする復調制御方法。
【請求項6】
コンピュータにインストールすることにより、そのコンピュータを複数のUEに対する情報が連結多重されて送信される物理チャネルを復調する復調装置として動作させるコンピュータ・プログラムであり、
前記コンピュータに、
受信信号の復調時に、受信信号の入力位置であるマッピング位置から復調結果の出力先位置であるデマッピング位置を計算するステップと、
メモリに保持されている受信端末ごとに指定される物理チャネルからのデータの取り出し位置の範囲に関する情報を参照して、前記計算により得られたデマッピング位置が前記データの取り出し位置の範囲に含まれるか否かを判定するステップと、
前記計算により得られたデマッピング位置が前記データの取り出し位置の範囲に含まれることを条件として前記受信信号を復調し、復調結果を前記計算により得られたデマッピング位置に出力するステップと、
を実行させる
ことを特徴とするコンピュータ・プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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