説明

微小流路構造体およびそれを用いた微小粒子製造方法

【課題】
微小粒子を均一な大きさで安定生成、および微小粒子の大量生成を実現するための微小流路構造体および微小粒子生成方法を提供する。
【解決の手段】
分散相導入口と連通した分散相導入流路と、連続相導入口と連通した連続相導入流路と、排出口と連通した排出流路と、微小粒子生成流路と、複数の微小流路からなる分散相導入枝流路と、を備えた微小流路構造体であって、微小粒子生成流路の流体進行方向における一方の端で連続相導入流路が連通すると共にもう一方の端で排出流路が連通しており、分散相導入流路の側部と微小粒子生成流路の側部とが分散相導入枝流路を介して連通した1組の微小流路構造を構成する、微小流路構造体、およびこの微小流路構造体を用いて、分散相導入枝流路と微小粒子生成流路との交差部において分散相と連続相を合流させて、分散相を微小粒子化する微小粒子製造方法を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分取・分離用カラム充填剤に用いられる微小粒子や医薬品、含酵素カプセル、化粧品、香料、表示・記録材料、接着剤、農薬等に利用されるマイクロカプセル、化学反応・溶媒抽出等に用いられる微小粒子を均一な大きさで安定して大量に生成する方法であり、また、その微小粒子を生成するための微小流路構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、数cm角のガラス基板上に長さが数cm程度で、幅と深さがサブμmから数百μmの微小流路を有する微小流路構造体を用い、流体を微小流路へ導入することにより化学反応あるいは微小粒子の生成を行う研究が注目されている。このような微小流路は、微小空間の短い分子間距離および大きな比界面積の効果により、効率の良い化学反応を行なうことができることが示唆されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、界面張力の異なる2種類の液体を、交差部分が存在する流路に導入することにより極めて粒径が均一な微小粒子を生成することができる(例えば、非特許文献2、特許文献1、及び特許文献2参照)。なおここでいう微小粒子とは、固体状の微小粒子の他にも微小液滴や微小液滴の表面だけが硬化した微小粒子(以下、「半硬化」という。)や、非常に粘性が高い半固体状の微小粒子も含む。
【0004】
例えば図1および図1のA−A’断面である図2と図1のB−B’断面である図3から示されるように、微小流路基板(1)の上に、連続相導入口(2)、連続相導入流路(3)、分散相導入口(4)、分散相導入流路(5)、排出流路(7)及び排出口(8)を有したT字型の微小流路構造体であり、導入された連続相と分散相とが合流する部分(以下、「交差部」という。)に交差部(6)が存在する。各流路の深さは100μmであり、分散相を導入する導入流路幅が100μm、連続相を導入する導入流路幅は300〜500μmのT字型微小流路を用いて、分散相と連続相の流れの速さを制御して送液を行うと、交差部において極めて均一な微小粒子の生成が可能となる。また、分散相及び連続相の流量を制御することで生成する微小粒子の粒径を制御することも可能となる。
【0005】
しかしながらこの方法は、微小粒子の大きさを制御する方法として、分散相と連続相の流量をそれぞれの送液速度を変えて制御しているため、分散相と連続相の送液速度のわずかな変動でも粒径が変化してしまうため安定した粒径制御が難しく、均一な粒径の微小粒子を得ることが難しいという課題があった。
【0006】
また、前述した微小空間の短い分子間距離および大きな比界面積の効果により、効率の良い化学反応を行なうことができることや、界面張力の異なる2種類の液体を、交差部分が存在する流路に導入することにより極めて粒子系が均一な微小粒子を生成することができるような微小空間の特性を生かしたまま、微小流路での化学反応、微小粒子を工業生産に適用しようとする試みも行われている。この場合、微小空間の小ささ故に、単一の微小流路では、単位時間当りの生成量が少なくならざるを得ないが、多数の微小流路を並列に配置することができれば、前記微小流路の特性を生かしたまま単位時間当たりの生成量を増加させることができる(例えば、非特許文献3あるいは非特許文献4参照)。非特許文献3に示されるように、1本の微小流路を有する微小流路基板を、反応溶液の入り口や反応生成物の出口などの共通部分を貫通した縦穴でつないで積層することなどが試みられている。 このように、微小空間の特徴を生かしたまま、大量に化学合成や微小粒子の生成を行なう場合には、最小単位である微小流路の集積度を平面的に高める、あるいは立体的に積層することで可能であると言われているが、平面的あるいは立体的に配置された微小流路へ均一に流体を分配することは、従来非常に困難であり、改善が求められていた上、更なる集積度の向上が求められていた。
【0007】
【特許文献1】特許第2975943号公報
【特許文献2】特許第3746766号公報
【非特許文献1】H.Hisamoto et.al.(H.ひさもと ら著)「Fast and high conversion phase−transfer synthesis exploiting the liquid−liquid interface formed in a microchannel chip」, Chem.Commun., 2001年発行, 2662−2663頁
【非特許文献2】西迫貴志ら、「マイクロチャネルにおける液中微小液滴生成」、第4回化学とマイクロシステム研究会講演予稿集、59頁、2001年発行
【非特許文献3】菊谷ら、「パイルアップマイクロリアクターによる高収量マイクロチャンネル内合成」、第3回化学とマイクロシステム研究会公演予稿集、9頁、2001年発行
【非特許文献4】A.Kawai et.al.「MASS−PRODUCTION SYSTEM OF NEARLY MONODISPERSE DIAMETER GEL PARTICLES USING DROPLETS FORMATION IN A MICROCHANNEL」,μ−TAS 2002 vol.1 p368−370
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、かかる従来の実情に鑑みて提案されたものであり、微小粒子を均一な大きさで安定生成、および微小粒子の大量生成を実現するための微小流路構造体および微小粒子生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するものとして、分散相導入口と連通した分散相導入流路と、連続相導入口と連通した連続相導入流路と、排出口と連通した排出流路と、微小粒子生成流路と、複数の微小流路からなる分散相導入枝流路と、を備えた微小流路構造体であって、前記微小粒子生成流路の流体進行方向における一方の端で前記連続相導入流路が連通すると共にもう一方の端で前記排出流路が連通しており、前記分散相導入流路の側部と前記微小粒子生成流路の側部とが前記分散相導入枝流路を介して連通した1組の微小流路構造を構成する、微小流路構造体を用いて、前記分散相導入枝流路と前記微小粒子生成流路との交差部において分散相と連続相を合流させて、前記分散相を微小粒子化する微小粒子製造方法を用いることにより、上記の従来技術の課題を解決することができることを見出し、遂に本発明を完成するに至った。以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明の微小流路構造体は、分散相導入口と連通した分散相導入流路と、連続相導入口と連通した連続相導入流路と、排出口と連通した排出流路と、微小粒子生成流路と、複数の微小流路からなる分散相導入枝流路と、を備えた微小流路構造体であって、前記微小粒子生成流路の流体進行方向における一方の端で前記連続相導入流路が連通すると共にもう一方の端で前記排出流路が連通しており、前記分散相導入流路の側部と前記微小粒子生成流路の側部とが前記分散相導入枝流路を介して連通した1組の微小流路構造を構成する、微小流路構造体である。
【0011】
また本発明の微小流路構造体は、分散相導入枝流路と前記微小粒子生成流路とが任意の角度で合流する構造である、上記の微小流路構造体である。
【0012】
また本発明の微小流路構造体は、分散相導入枝流路の断面積が前記微小粒子生成流路の断面積よりも小さい、上記の微小流路構造体である。
【0013】
また本発明の微小流路構造体は、微小粒子生成流路の断面積が、前記連続相導入流路との連通位置から前記排出流路との連通位置に向かって次第に大きくなるかあるいは同じである、微小流路構造体である。
【0014】
また本発明の微小流路構造体は、分散相導入枝流路の長さが、前記分散相導入枝流路と前記分散相導入流路との連通位置が前記分散相導入口から離れるに従って、次第に長くなるかあるいは同じである、上記の微小流路構造体である。
【0015】
また本発明の微小流路構造体は、分散相導入口に最も近い分散相導入枝流路Yから前記分散相導入口から最も遠い分散相導入枝流路Yまでn本の分散相導入枝流路が分散相導入流路から微小粒子生成流路へ連通した微小流路構造体において、分散相導入口位置をX、分散相導入口に最も近い分散相導入枝流路Yと分散相導入流路との連通位置をX、XとXとの間の分散相導入流路に沿った長さをa、分散相導入流路から最も遠い分散相導入枝流路Yと分散相導入流路との連通位置をX、Xn−1とXとの間の分散相導入流路に沿った長さをaとしたとき、aからaが全て等しい、上記の微小流路構造体である。
【0016】
また本発明の微小流路構造体は、上記の1組の微小流路構造が微小流路構造体の基板上に2以上形成され、かつ前記1組の微小流路構造が等間隔で配置されている、上記の微小流路構造体である。
【0017】
また、本発明の微小流路構造体は、上記1組の微小流路構造が微小流路構造体の基板上に2以上形成されている、上記の微小流路構造体である。
【0018】
また、本発明の微小流路構造体は、上記1組の微小流路構造体が複数組基板上に等間隔で配置されている、上記の微小流路構造体である。
【0019】
また本発明の微小流路構造体は、分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路及び分散相導入枝流路の全てが、1枚の基板上に形成されている、上記の微小流路構造体である。
【0020】
また本発明の微小流路構造体は、分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路及び分散相導入枝流路が、2枚以上の基板上に分散して形成されている、上記の微小流路構造体である。
【0021】
また本発明の微小流路構造体は、上記分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路及び分散相導入枝流路がそれぞれ異なる、あるいは2種以上の異なる流路幅、流路深さである、上記の微小流路構造体であり、すなわち分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路及び分散相導入枝流路の流路幅および流路深さが同一または相異なる構造体である。
【0022】
また本発明の微小流路構造体は、上記の微小流路構造体が2以上積層された微小流路構造体であって、当該微小流路構造体中の分散相導入口と連続相導入口と排出口とが微小流路構造体の微小流路基板を貫通してなる、上記の微小流路構造体であり、すなわち積層構造を有する構造体である。
【0023】
また本発明の微小流路構造体は、分散相導入枝流路と前記微小粒子生成流路とが合流する交差部又はその近傍において、分散相導入枝流路の幅が一部狭くなっている、あるいは、微小粒子生成流路の幅が一部狭くなっている、上記の微小流路構造体である。
【0024】
また本発明の微小粒子製造方法は、上記の微小流路構造体を用いて微小粒子を生成する方法であって、分散相導入枝流路と前記微小粒子生成流路との交差部において分散相と連続相を合流させて、前記分散相より微小粒子を生成させることを特徴とする微小粒子の製造方法である。
【0025】
また本発明の微小粒子製造方法は、分散相導入枝流路と微小粒子生成流路との合流する角度を変化させ、生成する微小粒子の粒径を制御する、上記の微小粒子の製造方法である。
【0026】
以下では、図を用いて本発明の微小流路構造体をさらに詳細に説明する。
【0027】
図4に本発明の微小流路構造体の最も基本的な概念図を示す。図4に示すように、本発明の微小流路構造体は、分散相導入口(4)と連通した分散相導入流路(5)と、連続相導入口(2)と連通した連続相導入流路(3)と、排出口(8)と連通した排出流路(7)と、微小粒子生成流路(9)と、複数の微小流路からなる分散相導入枝流路(10)とを備えた微小流路構造体であり、微小粒子生成流路(9)の流体進行方向における一方の端で連続相導入流路(3)が連通すると共にもう一方の端で排出流路(7)が連通しており、分散相導入流路(5)の側部(基板の面方向)と微小粒子生成流路(9)の側部(基板の面方向)とが分散相導入枝流路(10)を介して連通した1組の微小流路構造を構成するものである。これらは微小流路構造体の基板上に配置されている。
【0028】
本発明における「微小流路」とは、流路の幅がサブミクロン〜1mm程度、流路の深さがサブミクロン〜1mm程度、流路の長さは特に制限はないが、数mm〜数cm程度を意味する。また、本発明における「流路」とは、微小流路以上の流路幅、流路深さ、流路長を有する流路を意味するが、微小流路を含めて「流路」と称することもある。前述した分散相導入流路、連続相導入流路、排出流路、微小粒子生成流路は微小流路であっても流路であってもよい。また、前述した分散相導入枝流路は微小流路であることが好ましい。
【0029】
本発明の微小流路構造体は、分散相導入枝流路の断面積が前記微小粒子生成流路の断面積よりも小さい微小流路構造体であるが、さらに好ましくは、分散相導入枝流路の幅と深さは、数〜数十μm程度であることが好ましく、微小粒子生成流路の幅と深さは数十μm〜1mm程度であることが望ましい。また、分散相導入流路及び連続相導入流路の幅と深さは、特に制限はないが、微小粒子生成流路と同様に数十μm〜1mm程度であることが望ましい。また排出流路の幅と深さも特に制限はないが、微小粒子生成流路と同様に数十μm〜1mm程度が望ましい。
【0030】
分散相導入口及び連続相導入口は、所定の流体をそれぞれ分散相導入流路及び連続相導入流路に導入できればその大きさと形状に特に制限はなく、例えば直径1.5mm程度の円形などの態様であればよい。また、排出口は、連続相及び生成した微小粒子を含有する連続相を排出できればその大きさと形状に制限はなく、例えば、分散相導入口及び連続相導入口と同様に直径1.5mm程度の円形などの態様であればよい。ここで本発明の流体とは、分散相、連続相、及び生成した微小粒子を含有する連続相を意味する。
【0031】
本発明における微小粒子とは、微小流路内で連続相が分散相をせん断することで生成される微小粒子であり、その微小粒子サイズは特に制限はないが、特に本発明においては、数μm〜数百μmのサイズの微小粒子を生成することに適しており、さらに10μm〜100μmのサイズの微小粒子を生成することに適している。また本発明における微小粒子は、固体状の微小粒子の他にも微小液滴や微小液滴の表面だけが硬化した半硬化の微小粒子や、非常に粘性が高い半固体状の微小粒子も含む。
【0032】
本発明において用いられる分散相とは、本発明の微小流路構造体によって生成される微小粒子を構成するための液状物であり、例えば、スチレンなどの重合用のモノマー、ジビニルベンゼンなどの架橋剤、重合開始剤等のゲル製造用の原料を適当な溶媒に溶解した媒体を指す。ここで分散相としては、本発明が微小な微小粒子を効率的に生成させることを目的としており、この目的を達成させるためであれば微小流路構造体中の流路を送液できるものであれば特に制限されず、さらに微小粒子を形成させることができればその成分も特に制限されない。また、分散相中に例えば微小な粉末の様な固体状物が混在したスラリー状のものであっても差し支えないし、分散相が複数の流体から形成される層流であっても良いし、複数の流体から形成される混合流体であっても懸濁液(エマルション)であっても良い。
【0033】
本発明において用いられる連続相とは、本発明の微小流路構造体によって分散相より微小粒子を生成させるために用いられる液状物であり、例えば、ポリビニルアルコールのゲル製造用の分散剤を適当な溶媒に溶解した媒体を指す。ここで連続相としては分散相と同様に、微小流路構造体中の流路を送液できるものであれば特に制限されず、さらに微小粒子を形成させることができればその成分は特に制限されない。また、連続相中に例えば微小な粉末の様な固体状物が混在したスラリー状のものであっても差し支えないし、連続相が複数の流体から形成される層流であっても良いし、複数の流体から形成される混合流体であっても懸濁液(エマルション)であっても良い。生成する微小粒子組成の観点から見た場合は、微小粒子の最外層が有機相であれば連続相の最外層は水相となり、微小粒子の最外層が水相であれば連続相の最外層は有機相となる。
【0034】
さらに、分散相と連続相とは微小粒子を生成させるために、実質的に交じり合わないあるいは相溶性がないことが好ましく、例えば、分散相として水相を用いた場合には連続相としては水に実質的に溶解しない酢酸ブチルといった有機相が用いられることとなる。また、連続相として水相を用いた場合にはその逆となる。
【0035】
また本発明の微小粒子の用途の例としては、高速液体クロマトグラフィー用カラムの充填剤、粉砕用ジルコニアビーズあるいは触媒担体や分離剤、ゼオライト粒子等の触媒、シールロック剤などの接着剤、金属粒子の絶縁粒子、圧力測定フィルム、ノーカーボン(感圧複写)紙、トナー、熱膨張剤、熱媒体、調光ガラス、ギャップ剤(スペーサ)、サーモクロミック(感温液晶、感温染料)、磁気泳動カプセル、農薬、人工飼料、人工種子、芳香剤、マッサージクリーム、口紅、ビタミン類カプセル、活性炭、含酵素カプセル、DDS(ドラッグデリバリーシステム)などのマイクロカプセルやゲルが挙げられる。
【0036】
さらに、本発明の微小流路構造体においては、複数の分散相導入枝流路と微小粒子生成流路とが、任意の角度で合流する構造であることが好ましく、また、この複数の分散相導入枝流路は、互いに平行であってもなくてもよいが、分散相枝導入流路と微小粒子生成流路との合流する角度が全て等しいことが好ましい。さらに複数の分散相導入枝流路がいずれも直線状であって互いに平行した微小流路からなるときには、分散相導入枝流路と微小粒子生成流路とが任意の角度で合流する構造であることが好ましい。尚、「任意の角度」とは、微小流路構造体を設計する段階で目的とする液滴粒径、分散相および連続相の供給量などの設定に応じて、予め定められる「所定の角度」を意味する。
【0037】
分散相導入枝流路を平行に複数形成した構造とすることで、全ての分散相導入枝流路と微粒子生成流路との交差部で微小粒子を生成することができ、大量の微小粒子を1組の微小流路構造で生成することが可能となる。例えば、20本の分散相導入枝流路を備えた本発明の微小流路構造体は、1本の分散相導入枝流路を備えた構造体に対し、単位時間あたり20倍の微小粒子を生成する能力を有する。ただし、この場合、微小粒子生成量に見合った量の分散相及び連続相を供給する必要があることは言うまでもない。
【0038】
また本発明の微粒子製造方法は、前述した分散相と連続相とを本発明における微小流路構造体へ導入し、両者が合流する、分散相導入枝流路と微粒子生成流路との交差部で分散相を連続相でせん断し微小粒子を生成させるものである。ここで、分散相導入枝流路と微小粒子生成流路とが任意の角度で合流する構造であることが好ましい。これは、分散相導入枝流路と微小粒子生成流路との合流する角度を変化させ、生成する微小粒子の粒径を制御することができるためである。
【0039】
例えば、図21に分散相導入枝流路と微小粒子生成流路の角度を22°と44°にした場合の連続相の流速と生成する微小粒子の粒径の関係を示した。横軸は連続相の流速を、縦軸は生成する微小粒子の粒径を示す。図21に示すように、連続相の流速が5μl/min以下の低い場合は粒径が大きく変化するが、連続相の流速が7μl/min以上になると連続相の流速が変化しても粒径が大きく変化しない状態を得られる。すなわち図21の例では、角度が22°の場合の粒径は約85μm前後、角度が44°の場合は粒径は約65μm前後と、分散相導入枝流路と微小粒子生成流路の角度で変化させることができる。従って、連続相の流速を、粒径が大きく変化しない条件に設定し、分散相導入枝流路と微小粒子生成流路の角度を変化させて生成する微小粒子の粒径を制御することができる。これは、従来の分散相と連続相の流速を変えて微小粒子の粒径を制御する場合よりも、微小粒子の粒径を制御しやすく、工業的な量産に適している。すなわち、分散相の流速と連続相の流速が多少変動したとしても生成する微小粒子の粒径には大きな影響を与えないことを意味している。このようにすることで、安定した粒径の微小粒子を生成することができ、工業的な量産が可能となる。交差部の角度の設定については、目的とする微小粒子の粒径に応じて適宜決めればよい。
【0040】
また、分散相枝流路の配置については、連続相導入口及び排出口とは異なる位置で微小粒子生成流路と連通しておれば特に制限はない。この点をさらに具体的に示せば、図4に示すように、分散相導入口に最も近い分散相導入枝流路Yから分散相導入口から最も遠い分散相導入枝流路Yまでn本の分散相導入枝流路が分散相導入流路から微小粒子生成流路へ連通した微小流路構造体において、分散相導入口位置をX、分散相導入口に最も近い分散相導入枝流路Yと分散相導入流路との連通位置をX、XとXとの間の分散相導入流路に沿った長さをa、分散相導入流路から最も遠い分散相導入枝流路Yと分散相導入流路との連通位置をX、Xn−1とXとの間の分散相導入流路に沿った長さをaとしたとき、aからaが全て等しいことが好ましい。
【0041】
図6〜図18には、本発明のいくつかの形態の概念図を示す。なお本発明は、これらの形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更が可能であることは言うまでもない。
【0042】
図6は、微小粒子生成流路(9)の断面積が、連続相導入流路(3)との連通位置から排出流路(7)との連通位置に向かって次第に大きくなる、及び、複数の分散相導入枝流路(10)の長さが、分散相導入枝流路と前記分散相導入流路との連通位置が前記分散相導入口から離れるに従って、次第に長くなる例である。
【0043】
この場合、連続相導入流路付近の微小粒子生成流路(9)の断面積は5000μm〜10000μm程度であり、排出流路付近の微小粒子生成流路の断面積は9000μm〜20000μm程度である。また、分散相導入口に最も近い位置の分散相導入枝流路(10)の長さは、3〜4mm程度であり、分散相導入口から最も遠い位置の分散相導入枝流路の長さは、3〜6mm程度である。
【0044】
このように、上記に示される微小流路構造体を用いた場合、複数の分散相導入枝流路に均等に連続相を分配することができ、全ての微小流路に同じ条件で、極めて粒子径が均一な微小液滴を生成することができる。
【0045】
この点をさらに詳しく述べると、図4の場合、微小粒子生成流路では、連続相導入流路との連通位置から排出流路との連通位置に向かって、次第に圧力損失が大きくなり、連続相導入流路との連通位置に近いほど、分散相導入枝流路へ連続相が逆流しやすい。一方、分散相導入枝流路では、分散相導入枝流路と分散相導入流路との連通位置が分散相導入口から離れるに従って、圧力損失が小さく分散相が流れやすい。一方、微小粒子生成流路は、連続相導入流路との連通位置から排出流路との連通位置に向かって圧力損失が大きくなり、連続相導入流路との連通位置に近いほど、分散相導入枝流路へ連続相が逆流しやすい。
【0046】
そこで図6のように、微小粒子生成流路の断面積が、連続相導入流路との連通位置から排出流路との連通位置に向かって、次第に大きく、及び複数の分散相導入枝流路の長さが、分散相導入枝流路と前記分散相導入流路との連通位置が前記分散相導入口から離れるに従って、次第に長くなるようにすることにより、分散相導入枝流路のそれぞれの圧力損失が等しく、及び微小粒子生成流路における分散相導入枝流路との各交差部での圧力損失が等しくなり、複数の分散相導入枝流路に均等に連続相を分配することができ、全ての微小流路に同じ条件で、極めて粒子径が均一な微小液滴を生成することが可能となる。
【0047】
また、このような微小流路構造体において、前述した分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路、分散相導入枝流路からなる1組の微小流路構造が、微小流路構造体の基板上に2以上形成された微小流路構造体であって、あるいは、複数組の微小流路を構成する分散相導入流路が等間隔で配置されていてもよい。例えば、円形の微小流路基板の場合、分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路、分散相導入枝流路からなる1組の微小流路構造を円形の微小流路基板の円周に沿って放射状に等間隔に配置することで、平面的に多数の微小流路を集積する際に効果的である。ここで、1組の微小流路構造を等間隔に配置することによって、各微小流路に分散相や連続相を均一に流すことができる。
【0048】
図7はこれを集積化したものの一例である。分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路、40本の分散相導入枝流路からなる1組の微小流路構造を1単位として、5インチ基板に、放射状に50組配置している。これより、分散相と連続相の交差部が2000箇所存在し、1枚の基板上で同時に2000個の微小粒子の生成が可能となる。なお、分散相導入口と排出口の数を減らすため、隣合う2組の微小流路ごとに、図8に示すように、2本の分散相導入流路(5)を1つの分散相導入口(4)で連通させ、さらに、2つの排出流路(7)を1つの排出口(8)に連通させている。なお、上記微小流路構造体において、図9のように、分散相導入流路(5)の長さを長くしてもよい。すなわち、分散相導入流路の圧力損失を上げることにより、上記微小流路構造体1単位へ、分散相をより均一に送液することが可能となり、好ましい態様となる。
【0049】
この点をさらに詳しく述べると、図4のような微小流路構造体において、例えば分散相にトルエン(粘度:約0.59cp)を、連続相にポリビニルアルコール4%水溶液(粘度:約40cp)をそれぞれ送液した場合、前者の粘度が後者に比べ1/60〜1/70程度低いため、連続相導入流路に比べ、分散相導入流路の圧力損失が1/60〜1/70程度低い。このため、図7のように、1枚の基板に微小流路を集積化する場合、上記微小流路構造体各単位での圧力変動が起こった場合、1組の微小流路構造へ、分散相を均一に送液することが困難となる。そこで図9のように、分散相導入流路5の長さを長くすることで、分散相導入流路の圧力損失を上げると、各分散相導入枝流路での圧力損失の変動が相対的に小さくなるため、1組の微小流路構造の圧力変動が大きく影響を及ぼさなくなる。つまり、1組の微小流路構造へ、分散相をより均一に送液することが可能となる。この場合、分散相導入流路の長さの目安としては、分散相導入枝流路と液滴生成流路の交差部において、分散相の圧力損失が連続相の圧力損失と等しいか、あるいは分散相の圧力損失が連続相の圧力損失より若干大きくなるように、分散相導入流路の長さを調整すればよい。なお、分散相導入流路の長さだけでなく、分散相導入流路の深さや分散相導入枝流路の長さや深さを変更することで、分散相導入流路の圧力損失を調整してもよい。
【0050】
ここで本発明に用いる微小流路構造体の基板(以下、微小流路基板ということがある。)とは、基板上に流路や微小流路及び、分散相導入口や連続相導入口、排出口に相当する貫通孔を有した基板を示す。また、本発明で用いる微小流路構造体とは、流路及び微小流路の蓋として機能するカバー体を、微小流路基板と一体化させたものや、2以上の微小流路基板を重ね合わせて一体化させ、最上部の微小流路基板の流路及び微小流路が形成されている面にカバー体を取り付けたものや、それをさらに積層化した構造体を示す。なお、カバー体にも分散相導入口や連続相導入口、排出口に相当する貫通孔があってもよい。ここで、微小流路が形成された基板及びカバー体の材質としては、微小流路や貫通孔の形成加工が可能であって、耐薬品性に優れ、適度な剛性を備えたものが望ましい。例えば、ガラス、石英、セラミック、シリコン、あるいは金属や樹脂等であっても良い。微小流路基板やカバー体の大きさや形状については特に限定はないが、厚みは数mm以下程度とすることが望ましい。
【0051】
微小流路基板に形成する流路及び微小流路の加工は、微小流路基板の材質によって適切な加工方法を選べばよい。例えばガラスや石英、セラミックス、シリコン、あるいは金属や樹脂等の基板材料を、機械加工やレーザー加工、エッチングなどにより直接加工することによって製作できる。また、基板材料がセラミックスや樹脂の場合は、流路形状を有する金属等の鋳型を用いて成形することで製作することもできる。
【0052】
カバー体に配置された小穴は、微小流路と微小流路構造体外部とを連通し、流体の導入口または排出口として用いる場合には、その径が例えば数mm程度であることが望ましい。カバー体の小穴の加工には、化学的に、機械的に、あるいはレーザー照射やイオンエッチングなどの各種の手段によって可能とされる。
【0053】
また本発明の微小流路構造体において、微小流路基板と微小流路基板、または、微小流路基板とカバー体は、熱処理接合あるいは光硬化樹脂や熱硬化樹脂などの接着剤を用いた接着等の手段により積層一体化することができる。
【0054】
また、カバー体により、微小流路構造体外部から微小流路へ流体を導入し、再び微小流路構造体外部へ流体を排出することができ、流体が微小量であったとしても、流体を安定して微小流路内を通過させることが可能となる。流体の送液は、一般的な送液ポンプを用いればよく、マイクロポンプやシリンジポンプなどの機械的手段によって可能となる。
【0055】
また、本発明の微小流路構造体は、以上に述べた構造、性能を有しているが、分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路、分散相導入枝流路の全てが図11のように1枚の基板上に形成されていてもよい。このようにすることで、1枚の基板上にすべての流路及び微小流路を形成することができ、微小流路構造体を構成する微小流路基板の枚数を減らすことが可能となり、より安価に微小流路構造体を製造することが可能となる。
【0056】
また、図12のように、分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路及び分散相導入枝流路が、2枚以上の基板上に分散して形成されていてもよい。例えば図11のようにすべての流路を1枚の基板上に形成するとき、各流路の深さが異なる場合は、1枚の微小流路基板に対して複数の加工条件で流路を加工する必要があり、異なった加工条件で別の流路を加工する際、一度加工した流路を保護するなどの加工工程が加わるため加工工程が複雑かつ煩雑になる。しかしながら、同じ深さの流路ごとに別々の微小流路基板に加工すれば、それぞれの微小流路基板の加工条件は同一であり、加工工程をより簡略化できる。
【0057】
また本発明の微小流路構造体は、上記の微小流路構造体が2以上積層された微小流路構造体であって、微小流路構造体中の分散相導入口と連続相導入口と排出口とが微小流路構造体の微小流路基板を貫通してなる構造としてもよく、図16〜図18は、前述した微小流路基板(1)を重ねあわせた例である。連続相導入口(2)、分散相導入口(4)、排出口(8)は、それぞれの微小流路基板を貫通して形成されている。この形態は、微小流路基板を積層し、立体的に多数の微小流路を集積する際に効果的である。このようにすることで、流路を平面的に集積化するだけでなく、立体的に集積化することができ、より大量の微小粒子を生成することが可能となる。なお、図16〜図18では1枚の微小流路基板にすべての流路を形成した例であるが、複数の微小流路基板に流路を形成した微小流路構造体を積層してもよい。
【0058】
また本発明の微小流路構造体は、分散相導入枝流路と微小粒子生成流路とが合流する交差部又はその近傍において、図14に示すように分散相導入枝流路の幅が一部狭くなっている、あるいは、図15に示すように微小粒子生成流路の幅が一部狭くなっていてもよい。このようにすることで、分散相導入枝流路と微小粒子生成流路とが合流する交差部において分散相を連続相でよりせん断しやすくなるため、均一な液滴をより生成しやすい態様となる。
【発明の効果】
【0059】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0060】
本発明は、分散相導入口と連通した分散相導入流路と、連続相導入口と連通した連続相導入流路と、排出口と連通した排出流路と、微小粒子生成流路と、複数の微小流路からなる分散相導入枝流路と、を備えた微小流路構造体であって、微小粒子生成流路の流体進行方向における一方の端で連続相導入流路が連通すると共にもう一方の端で排出流路が連通しており、分散相導入流路の側部と微小粒子生成流路の側部とが分散相導入枝流路を介して連通した1組の微小流路構造を構成する、微小流路構造体、及びこの微小流路構造体の分散相導入枝流路の断面積が、微小粒子生成流路の断面積よりも小さく、また分散相導入枝流路と、微小粒子生成流路とが任意の角度で交わり、さらに微小粒子生成流路の断面積が連続相導入流路との連通位置より排出流路との連通位置に向かって次第に大きくなるかあるいは同じである、または分散相導入枝流路の長さが、連続相導入流路との連通位置より排出流路との連通位置に向かって次第に長くなるかあるいは同じである微小流路構造体である。
【0061】
また本発明は、分散相導入口に最も近い分散相導入枝流路Yから前記排出口に最も近い分散相導入枝流路Yまでn本の分散相導入枝流路が分散相導入流路と連通した微小流路構造体において、分散相導入口位置をX、分散相導入口に最も近い分散相導入枝流路Yの連通位置をX、XとXとの間の分散相導入流路に沿った長さをa、排出口に最も近い分散相導入枝流路Yの連通位置をX、Xn−1とXとの間の分散相導入流路に沿った長さをa、また連続相導入口位置をZ、連続相導入口に最も近い分散相導入枝流路Yの連通位置をZ、排出口位置をZn+1、排出口に最も近い分散相導入枝流路Yの連通位置をZ、ZとZn+1との間の微小粒子生成流路に沿った長さをcn+1としたとき、aからaが全て等しいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の微小流路構造体である。
【0062】
このような微小流路構造体とすることで、微小粒子を均一な大きさで安定して大量に生成することが可能となる。
【0063】
また、本発明は、分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路、及び分散相導入枝流路を備えた1組の微小流路構造を、2以上1つの構造体に等間隔に配置した微小流路構造体であり、このような微小流路構造体とすることにより、1つの構造体に多数の微小流路を集積化することが可能になり、かつ1組の微小流路構造への均一な送液が可能となる。
【0064】
また本発明は、微小流路構造体が重ねあわせて構成されており、分散相導入口と連続相導入口と排出口とが微小流路基板を貫通してなる微小流路構造体であり、このような微小流路構造体とすることにより、微小流路基板の積層化が容易に可能となる。
【0065】
また本発明は、前記微小流路構造体において、分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路、分散相導入枝流路の全てが1枚の基板から構成されている微小流路構造体とすることにより、微小流路基板の積層化を行うにあたり、基板枚数が少なくてすむ。
【0066】
また、本発明は、分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路及び分散相導入枝流路がそれぞれ異なる、あるいは2種以上の異なる流路幅、流路深さをかえることにより、特に微小粒子の生成に最適な狭い断面積となる微小粒子生成流路以外の流路の圧力損失を低減できる構造を可能とする。
【0067】
また本発明は、分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路、分散相導入枝流路が少なくとも2枚以上の基板から構成されている微小流路構造体とすることにより、このような微小流路構造体の作製が容易となる。
【0068】
また本発明は、分散相と連続相との交差部において分散相と連続相を合流させて、分散相を微小粒子化することを特徴とする微小粒子製造方法であり、このような手法により、より確実に微小粒子を均一な大きさで安定して大量に生成することが可能となる。
【0069】
また本発明は、分散相導入枝流路と微小粒子生成流路とが合流する角度を変化させて、生成する微小粒子の粒径を制御する微小粒子製造方法であり、このような手法により、生成する微小粒子の粒径を容易に、かつより安定して制御することが可能となる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更が可能であることは言うまでもない。
【0071】
(実施例1)
実施例1に使用した微小流路の概念図を図4に示した。図4に示すように、本実施例に使用した微小流路は、分散相導入口(4)と連通した分散相導入流路(5)、連続相導入口(2)と連通した連続相導入流路(3)、排出口(8)と連通した排出流路(7)、及び液滴生成流路(9)とを備えており、前記液滴生成流路の一方の端に連続相導入流路が、もう一方の端に排出流路が連通しており、分散相導入流路は、0.1mmの間隔で40本の平行した分散相導入枝流路(10)を介して液滴生成流路と連通している。ここで分散相導入流路は、幅95μm、深さ45μm、長さ9.45mmの微小流路、連続相導入流路は、幅333μm、深さ45μm、長さ11.8mmの微小流路、排出流路は、幅275μm、深さ45μm、長さ11.2mmの微小流路、液滴生成流路は、幅195μm、深さ45μm、長さ3.92mmの微小流路、分散相導入枝流路は、幅19μm、深さ7μm、長さ3.5mmの微小流路として形成した。また、図4中、aは9.45mm、bは11.8mm、cは11.2mm、aからaはいずれも0.1mmと形成した。なお分散相導入枝流路と液滴生成流路は、70°の角度にて交わるように形成した。
【0072】
また図12に示したように、分散相導入枝流路のみを1枚の基板に作製した微小流路基板を蓋基板(17)とし、分散相導入流路、連続相導入流路、排出流路、液滴生成流路を1枚の基板に作製した微小流路基板を底基板(18)とし、蓋基板と底基板を貼り合わせて微小流路構造体を形成した。蓋基板と底基板には、それぞれ70mm×30mm×1mm(厚さ)のパイレックス(登録商標)基板を用いた。
【0073】
また蓋基板、底基板のそれぞれに形成した微小流路は、一般的なフォトリソグラフィーとウエットエッチングにより形成し、蓋基板と底基板を一般的な熱融着により接合した。また蓋基板には、連続相導入口(2)、分散相導入(4)、排出口(8)にあたる位置に予め直径0.6mmの小穴を、機械的加工手段を用いて設けた。なお、本微小流路構造体の製作方法および基板材料はこれに限定するものではない。
【0074】
また、微小流路構造体の連続相導入口及び、分散相導入口に、テフロン(登録商標)(登録商標)(登録商標)チューブを介して連続相及び分散相を送液するマイクロシリンジポンプをそれぞれ接続し、微小流路構造体に連続相と分散相を送液した。また、排出口にもテフロン(登録商標)(登録商標)チューブを接続し、このテフロン(登録商標)(登録商標)チューブを介して生成した微小液滴を含有するスラリーを排出し回収した。なお、分散相としてトルエン、連続相としてポリビニルアルコール4%水溶液を用いた。
【0075】
本微小流路構造体に分散相の送液速度を8μl/min、連続相の送液速度を12μl/minで送液したところ、送液速度が共に安定した状態で、微小流路構造体の分散相及び連続相が交わる合流部にて、図19および図20に示すような微小粒子(13)の生成が観察された。図20に示すように、生成された微小粒子(13)を観察すると、微小粒子の平均粒径は32.2μm、粒径の分散度を示すCV値(%)は10.9%となり、比較的均一な微小粒子(13)であった。ここで、CV値とは、粒径の標準偏差を平均粒径で除算した値である。また、送液して得られる微小液滴を含有するスラリーの生成速度は20μl/minであった。ここで、分散相導入枝流路が1本である比較例1に対し、分散相導入枝流路を40本集積化した微小流路である実施例1は、比較例1で得られる微小粒子を含有するスラリーのちょうど約40倍となっていることから、分散相導入枝流路を集積化することにより、1組の微小流路構造で生成した微小粒子を集積した分散相導入枝流路の本数に応じて大量に生成することができることが示された。
【0076】
次に、分散相の送液速度を8μl/min連続相の送液速度を8μl/minで送液したところ、生成した微小粒子の平均粒径は34.5μm、粒径の分散度を示すCV値(%)は12.3%となり、比較的均一な微小粒子であった。すなわち、本実施例1では連続相の送液速度が50%程度変動しても粒径は7%程度の極めて小さい変動に抑えることができ、連続相が大きく変動した場合でも、目的粒径のほぼ許容範囲内(本実施例で想定した許容範囲は27〜37μmの範囲内)で微小粒子を安定して生成できた。
【0077】
(実施例2)
実施例1に使用した微小流路の概念図を図6に示した。図6に示すように、本実施例に使用した微小流路は、分散相導入口(4)と連通した分散相導入流路(5)、連続相導入口(2)と連通した連続相導入流路(3)、排出口(8)と連通した排出流路(7)、及び液滴生成流路(9)とを備えており、前記液滴生成流路の一方の端に連続相導入流路が、もう一方の端に排出流路が連通しており、分散相導入流路は、0.1mmの間隔で40本の平行した分散相導入枝流路(10)を介して液滴生成流路と連通している。ここで分散相導入流路は、幅95μm、深さ45μm、長さ21.4mmの微小流路、連続相導入流路は、幅279μm、深さ45μm、長さ15.8mmの微小流路、排出流路は、幅250μm、深さ45μm、長さ9.9mmの微小流路、液滴生成流路は、深さ45μm、長さ3.92mmの微小流路であって、液滴生成流路の幅は、連続相導入流路との連通位置から排出流路との連通位置に向かって、153μmから250μmへと次第に大きくなる微小流路とし、分散相導入枝流路は、幅19μm、深さ7μmの微小流路であって、分散相導入枝流路の長さが、分散相導入枝流路と分散相導入流路との連通位置が前記分散相導入口から離れるに従って、3.5mmから5.18mmへと次第に長くなる微小流路として形成した。なお分散相導入枝流路と液滴生成流路は、70°の角度にて交わるように形成した。
【0078】
また図12に示したように、分散相導入枝流路のみを1枚の基板に作製した微小流路基板を蓋基板(17)とし、分散相導入流路、連続相導入流路、排出流路、液滴生成流路を1枚の基板に作製した微小流路基板を底基板(18)とし、蓋基板と底基板を貼り合わせて微小流路構造体を形成した。蓋基板と底基板には、それぞれ70mm×30mm×1mm(厚さ)のパイレックス(登録商標)基板を用いた。
【0079】
また蓋基板、底基板のそれぞれに形成した微小流路は、一般的なフォトリソグラフィーとウエットエッチングにより形成し、蓋基板と底基板を一般的な熱融着により接合した。また蓋基板には、連続相導入口(2)、分散相導入(4)、排出口(8)にあたる位置に予め直径0.6mmの小穴を、機械的加工手段を用いて設けた。なお、本微小流路構造体の製作方法および基板材料はこれに限定するものではない。
【0080】
また、微小流路構造体の連続相導入口及び、分散相導入口に、テフロン(登録商標)(登録商標)チューブを介して連続相及び分散相を送液するマイクロシリンジポンプをそれぞれ接続し、微小流路構造体に連続相と分散相を送液した。また、排出口にもテフロン(登録商標)(登録商標)チューブを接続し、このテフロン(登録商標)(登録商標)チューブを介して生成した微小粒子を含有するスラリーを排出し回収した。なお、分散相としてトルエン、連続相としてポリビニルアルコール4%水溶液を用いた。
【0081】
本微小流路構造体に分散相の送液速度を8μl/min、連続相の送液速度を12μl/minで送液したところ、送液速度が共に安定した状態で、微小流路構造体の分散相及び連続相が交わる合流部にて、微小粒子の生成が観察された。生成された微小粒子を観察すると、微小粒子の平均粒径は32.2μm、粒径の分散度を示すCV値(%)は8.8%となり、極めて均一な微小粒子であった。また、送液して得られる微小液滴を含有するスラリーの生成速度は20μl/分であった。ここで、分散相導入枝流路が1本である比較例1に対し、分散相導入枝流路を40本集積化した微小流路である実施例1は、比較例1で得られる微小液滴を含有するスラリーのちょうど約40倍となっていることから、分散相導入枝流路を集積化することにより、1組の微小流路構造で生成した微小粒子を集積した分散相導入枝流路の本数に応じてして大量に生成することができることが示された。
【0082】
次に、分散相の送液速度を8μl/min連続相の送液速度を8μl/minで送液したところ、生成した微小粒子の平均粒径は33.1μm、粒径の分散度を示すCV値(%)は9.9%となり、極めて均一な微小粒子であった。すなわち、本実施例1では連続相の送液速度が約30%程度変動しても粒径は3%程度の極めて小さい変動に抑えることができ、連続相が大きく変動した場合でも、目的粒径のほぼ許容範囲内(本実施例で想定した許容範囲は27〜37μmの範囲内)で微小粒子を安定して生成できた。
【0083】
(実施例3)
本実施例3で使用した微小流路基板の概念図を図7に示した。図7は実施例2で用いた微小流路を1枚の円形の基板上に集積化した微小流路基板として作製した。すなわち、分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路、40本の分散相導入枝流路からなる1組の微小流路構造を1単位として、直径5インチ、厚さ1.2mmのパイレックス(登録商標)基板の円周上に50組の微小流路を等間隔に配置した。ここで微小流路に導入する連続相導入口(2)は半径30mmの同心円上の位置に、分散相導入口(4)は半径35mmの同心円上の位置に、排出口(8)は半径55mmの同心円上の位置に配置した。このような構造とすることで、実質上1枚の微小流路基板に、分散相と連続相の合流部が2000箇所存在し、前記2000箇所の合流部で同時に微小粒子の生成を可能とする微小流路基板とすることができた。なお、分散相導入口と排出口の数を減らすため、図8に示したように、隣り合う2組の微小流路ごとに、2本の分散相導入流路(5)を1つの分散相導入口(4)で連通させ、さらに、2つの排出流路(7)を1つの排出口(8)に連通させた。また、この微小流路を有する微小流路基板は、実施例1と同様に一般的なフォトリソグラフィーとウェットエッチングにより作製した。微小流路の連続相導入口、分散相導入口、排出口の貫通孔は機械加工により直径1mmの貫通穴を形成した。
【0084】
次に本実施例3で使用した微小流路構造体の概念図を図23に示した。図23のように、前述した微小流路基板(1)の上面に連続相を供給するリザーバー(19)及び供給流路(21)を有する連続相供給用流路基板(22)を接合し、前述した微小流路基板(1)の下面に分散相を供給するリザーバー(20)及び供給流路(21)を有する分散相供給用流路基板(23)を接合した微小流路構造体とした。微小流路基板の上下に接合した連続相供給用流路基板と分散相供給用流路基板は、微小流路基板と同様に直径5インチ、厚さ1.2mmのパイレックス(登録商標)基板を用いた。また、連続相供給用流路基板と分散相供給用流路基板に形成したリザーバーと供給流路は、一般的なフォトリソグラフィーとウェットエッチングにより形成し、微小流路基板と、連続相供給用流路基板及び分散相供給用流路基板の接合は、一般的な熱融着により接合した。なお、連続相供給用流路基板のリザーバーの貫通孔A(24)、及び分散相供給用流路基板のリザーバーの貫通孔B(25)と流体排出口(26)の貫通孔は機械加工により直径1mmの貫通穴を形成した。また、連続相供給用流路基板及び分散相供給用流路基板のリザーバーの形状は直径30mm、深さ300μmの円筒形とした。またリザーバーの外周部から放射状に直線的に供給流路を形成した。連続相供給用構造体のリザーバーからの供給流路の長さは15mm、流路幅1mm、流路深さ300μmであり、等間隔に50本形成し、分散相供給用構造体のリザーバーからの供給流路の長さは20mm、流路幅1mm、流路深さ300μmであり、等間隔に25本形成した。分散相供給用流路基板の流体排出口(26)の貫通孔は、微小流路基板(1)の排出口(8)の位置と一致するように半径55mmの同心円上の位置に25個配置した。
【0085】
このような微小流路構造体とすることで、微小流路基板に形成した各々の微小流路の連続相導入口と分散相導入口は、微小流路基板の上下に接続した連続相供給流路基板と分散相供給流路基板に備えられたリザーバーから放射状に直線的に配置された供給流路を介して連通させることができた。また、微小流路構造体の連続相供給用流路基板のリザーバーの貫通孔A及び、分散相供給用流路基板のリザーバーの貫通孔Bに、テフロン(登録商標)(登録商標)チューブを介して連続相及び分散相を送液する送液ポンプをそれぞれ接続し、微小流路構造体に連続相と分散相を送液した。また、分散相供給用流路基板に形成した25個の流体排出口にもそれぞれテフロン(登録商標)(登録商標)チューブを接続し、このテフロン(登録商標)(登録商標)チューブを介して生成した微小液滴を含有するスラリーを排出し回収した。なお、分散相としてトルエン、連続相としてポリビニルアルコール4%水溶液を用いた。
【0086】
本微小流路構造体に分散相の送液速度を0.4ml/min、連続相の送液速度を0.6ml/minで送液したところ、送液速度が共に安定した状態で、微小流路構造体の分散相及び連続相が交わる合流部にて、微小粒子の生成が観察された。生成された微小粒子を観察すると平均粒径は32.5μm、粒径の分散度を示すCV値(%)は11.7%となり、比較的均一な微小粒子を得られた。また、送液して得られる微小液滴を含有するスラリーの生成速度は1ml/minであった。従って、実施例2の微小流路を50本集積化した微小流路構造体である実施例3は、実施例2で得られる微小液滴を含有するスラリーのちょうど約50倍となっていることから、微小流路を集積化することにより、1組の微小流路構造で生成した微小粒子を集積した微小流路の本数に応じてして大量に生成することができることが示された。
【0087】
次に、分散相の送液速度を0.4ml/min、連続相の送液速度を0.4ml/minで送液したところ、生成した微小粒子の平均粒径は33.2μm、粒径の分散度を示すCV値(%)は9.8%となり、極めて均一な微小粒子であった。すなわち、本実施例3では連続相の送液速度が約30%程度変動しても粒径は2%程度の極めて小さい変動に抑えることができ、連続相が大きく変動した場合でも、目的粒径のほぼ許容範囲内(本実施例で想定した許容範囲は27〜37μmの範囲内)で微小粒子を安定して生成できた。
【0088】
(実施例4)
本実施例4は、実施例3で用いた微小流路基板を5枚積層し、最上部の微小流路基板の上面に実施例3で使用した連続相供給用流路基板を接合し、最下部の微小流路基板の下面に実施例3で使用した分散相供給用流路基板を接合した微小流路構造体とした。微小流路基板と、連続相供給用流路基板及び分散相供給用流路基板の接合は、一般的な熱融着により接合した。このような構造とすることで、実質上1組の微小流路構造体に、分散相と連続相の合流部が10000箇所存在し、前記10000箇所の合流部で同時に微小粒子の生成を可能とする微小流路基板とすることができた。また、微小流路構造体の連続相供給用流路基板のリザーバーの貫通孔A及び、分散相供給用流路基板のリザーバーの貫通孔Bに、テフロン(登録商標)(登録商標)チューブを介して連続相及び分散相を送液する送液ポンプをそれぞれ接続し、微小流路構造体に連続相と分散相を送液した。また、分散相供給用流路基板に形成した25個の流体排出口にもそれぞれテフロン(登録商標)(登録商標)チューブを接続し、このテフロン(登録商標)(登録商標)チューブを介して生成した微小液滴を含有するスラリーを排出し回収した。なお、分散相としてトルエン、連続相としてポリビニルアルコール4%水溶液を用いた。
【0089】
本微小流路構造体に分散相の送液速度を2ml/min、連続相の送液速度を3ml/minで送液したところ、送液速度が共に安定した状態で、微小流路構造体の分散相及び連続相が交わる合流部にて、微小粒子の生成が観察された。生成された微小粒子を観察すると平均粒径は34.3μm、粒径の分散度を示すCV値(%)は10.8%となり、比較的均一な微小粒子を得られた。また、送液して得られる微小液滴を含有するスラリーの生成速度は5ml/minであった。従って、実施例3の微小流路基板を5枚積層した微小流路構造体である実施例4は、実施例3で得られる微小液滴を含有するスラリーのちょうど約5倍となっていることから、微小流路基板を積層化することにより、1組の微小流路構造体で生成した微小粒子を集積した微小流路基板の枚数に応じて大量に生成することができることが示された。
【0090】
次に、分散相の送液速度を2ml/min、連続相の送液速度を2ml/minで送液したところ、生成した微小粒子の平均粒径は36.6μm、粒径の分散度を示すCV値(%)は9.4%となり、極めて均一な微小粒子であった。すなわち、本実施例4では連続相の送液速度が約30%程度変動しても粒径は6%程度の極めて小さい変動に抑えることができ、連続相が大きく変動した場合でも、目的粒径のほぼ許容範囲内(本実施例で想定した許容範囲は27〜37μmの範囲内)で微小粒子を安定して生成できた。
【0091】
(実施例5)
本実施例5は、実施例3で用いた微小流路基板を20枚積層し、最上部の微小流路基板の上面に実施例3で使用した連続相供給用流路基板を接合し、最下部の微小流路基板の下面に実施例3で使用した分散相供給用流路基板を接合した微小流路構造体とした。微小流路基板と、連続相供給用流路基板及び分散相供給用流路基板の接合は、一般的な熱融着により接合した。このような構造とすることで、実質上1組の微小流路構造体に、分散相と連続相の合流部が40000箇所存在し、前記40000箇所の合流部で同時に微小粒子の生成を可能とする微小流路基板とすることができた。また、微小流路構造体の連続相供給用流路基板のリザーバーの貫通孔A及び、分散相供給用流路基板のリザーバーの貫通孔Bに、テフロン(登録商標)(登録商標)チューブを介して連続相及び分散相を送液する送液ポンプをそれぞれ接続し、微小流路構造体に連続相と分散相を送液した。また、分散相供給用流路基板に形成した25個の流体排出口にもそれぞれテフロン(登録商標)(登録商標)チューブを接続し、このテフロン(登録商標)(登録商標)チューブを介して生成した微小液滴を含有するスラリーを排出し回収した。なお、分散相としてトルエン、連続相としてポリビニルアルコール4%水溶液を用いた。
【0092】
本微小流路構造体に分散相の送液速度を8ml/min、連続相の送液速度を12ml/minで送液したところ、送液速度が共に安定した状態で、微小流路構造体の分散相及び連続相が交わる合流部にて、微小粒子の生成が観察された。生成された微小粒子を観察すると平均粒径は34.3μm、粒径の分散度を示すCV値(%)は10.4%となり、比較的均一な微小粒子を得られた。また、送液して得られる微小液滴を含有するスラリーの生成速度は20ml/minであった。従って、実施例3の微小流路基板を20枚積層した微小流路構造体である実施例5は、実施例3で得られる微小液滴を含有するスラリーのちょうど約20倍となっていることから、微小流路基板を積層化することにより、1組の微小流路構造体で生成した微小粒子を集積した微小流路基板の枚数に応じて大量に生成することができることが示された。
【0093】
次に、分散相の送液速度を8ml/min、連続相の送液速度を8ml/minで送液したところ、生成した微小粒子の平均粒径は36.0μm、粒径の分散度を示すCV値(%)は9.8%となり、極めて均一な微小粒子であった。
【0094】
(実施例6)
実施例3に使用した微小流路の概念図を図4に示した。図4に示すように、本実施例に使用した微小流路は、分散相導入口(4)と連通した分散相導入流路(5)、連続相導入口(2)と連通した連続相導入流路(3)、排出口(8)と連通した排出流路(7)、及び液滴生成流路(9)とを備えており、前記液滴生成流路の一方の端に連続相導入流路が、もう一方の端に排出流路が連通しており、分散相導入流路は、0.1mmの間隔で40本の平行した分散相導入枝流路(10)を介して液滴生成流路と連通している。ここで分散相導入流路は、幅200μm、深さ140μm、長さ98mmの微小流路、連続相導入流路は、幅530μm、深さ140μm、長さ11.8mmの微小流路、排出流路は、幅480μm、深さ140μm、長さ11.2mmの微小流路、液滴生成流路は、幅300μm、深さ140μm、長さ3.9mmの微小流路、分散相導入枝流路は、幅41μm、深さ18μm、長さ3.5mmの微小流路として形成した。また、図4中、aは9.5mm、bは11.8mm、cは11.2mm、aからaはいずれも0.1mmと形成した。なお分散相導入枝流路と液滴生成流路は、70°の角度にて交わるように形成した。
【0095】
また図12に示したように、分散相導入枝流路のみを1枚の基板に作製した微小流路基板を蓋基板(17)とし、分散相導入流路、連続相導入流路、排出流路、液滴生成流路を1枚の基板に作製した微小流路基板を底基板(18)とし、蓋基板と底基板を貼り合わせて微小流路構造体を形成した。蓋基板と底基板には、それぞれ70mm×30mm×1mm(厚さ)のパイレックス(登録商標)基板を用いた。
【0096】
また蓋基板、底基板のそれぞれに形成した微小流路は、一般的なフォトリソグラフィーとウエットエッチングにより形成し、蓋基板と底基板を一般的な熱融着により接合した。また蓋基板には、連続相導入口(2)、分散相導入(4)、排出口(8)にあたる位置に予め直径0.6mmの小穴を、機械的加工手段を用いて設けた。なお、本微小流路構造体の製作方法および基板材料はこれに限定するものではない。
【0097】
上記微小流路を1枚の円形の基板上に集積化した微小流路基板として作製した。すなわち、分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路、40本の分散相導入枝流路からなる1組の微小流路構造を1単位として、直径5インチ、厚さ1.2mmのパイレックス(登録商標)基板の円周上に50組の微小流路を等間隔に配置した。ここで微小流路に導入する連続相導入口(2)は半径30mmの同心円上の位置に、分散相導入口(4)は半径35mmの同心円上の位置に、排出口(8)は半径55mmの同心円上の位置に配置した。このような構造とすることで、実質上1枚の微小流路基板に、分散相と連続相の合流部が2000箇所存在し、前記2000箇所の合流部で同時に微小粒子の生成を可能とする微小流路基板とすることができた。なお、分散相導入口と排出口の数を減らすため、図8に示したように、隣り合う2組の微小流路ごとに、2本の分散相導入流路(5)を1つの分散相導入口(4)で連通させ、さらに、2つの排出流路(7)を1つの排出口(8)に連通させた。また、この微小流路を有する微小流路基板は、実施例1と同様に一般的なフォトリソグラフィーとウェットエッチングにより作製した。微小流路の連続相導入口、分散相導入口、排出口の貫通孔は機械加工により直径1mmの貫通穴を形成した。
【0098】
次に本実施例3で使用した微小流路構造体の概念図を図23に示した。図23のように、前述した微小流路基板(1)の上面に連続相を供給するリザーバー(19)及び供給流路(21)を有する連続相供給用流路基板(22)を接合し、前述した微小流路基板(1)の下面に分散相を供給するリザーバー(20)及び供給流路(21)を有する分散相供給用流路基板(23)を接合した微小流路構造体とした。微小流路基板の上下に接合した連続相供給用流路基板と分散相供給用流路基板は、微小流路基板と同様に直径5インチ、厚さ1.2mmのパイレックス(登録商標)基板を用いた。また、連続相供給用流路基板と分散相供給用流路基板に形成したリザーバーと供給流路は、一般的なフォトリソグラフィーとウェットエッチングにより形成し、微小流路基板と、連続相供給用流路基板及び分散相供給用流路基板の接合は、一般的な熱融着により接合した。なお、連続相供給用流路基板のリザーバーの貫通孔A(24)、及び分散相供給用流路基板のリザーバーの貫通孔B(25)と流体排出口(26)の貫通孔は機械加工により直径1mmの貫通穴を形成した。また、連続相供給用流路基板及び分散相供給用流路基板のリザーバーの形状は直径30mm、深さ300μmの円筒形とした。またリザーバーの外周部から放射状に直線的に供給流路を形成した。連続相供給用構造体のリザーバーからの供給流路の長さは15mm、流路幅1mm、流路深さ300μmであり、等間隔に50本形成し、分散相供給用構造体のリザーバーからの供給流路の長さは20mm、流路幅1mm、流路深さ300μmであり、等間隔に25本形成した。分散相供給用流路基板の流体排出口(26)の貫通孔は、微小流路基板(1)の排出口(8)の位置と一致するように半径55mmの同心円上の位置に25個配置した。
【0099】
このような微小流路構造体とすることで、微小流路基板に形成した各々の微小流路の連続相導入口と分散相導入口は、微小流路基板の上下に接続した連続相供給流路基板と分散相供給流路基板に備えられたリザーバーから放射状に直線的に配置された供給流路を介して連通させることができた。また、微小流路構造体の連続相供給用流路基板のリザーバーの貫通孔A及び、分散相供給用流路基板のリザーバーの貫通孔Bに、テフロン(登録商標)(登録商標)チューブを介して連続相及び分散相を送液する送液ポンプをそれぞれ接続し、微小流路構造体に連続相と分散相を送液した。また、分散相供給用流路基板に形成した25個の流体排出口にもそれぞれテフロン(登録商標)(登録商標)チューブを接続し、このテフロン(登録商標)(登録商標)チューブを介して生成した微小液滴を含有するスラリーを排出し回収した。なお、分散相としてトルエン、連続相としてポリビニルアルコール4%水溶液を用いた。
【0100】
本微小流路構造体に分散相の送液速度を1.5ml/min、連続相の送液速度を3.0ml/minで送液したところ、送液速度が共に安定した状態で、微小流路構造体の分散相及び連続相が交わる合流部にて、微小粒子の生成が観察された。生成された微小粒子を観察すると平均粒径は85.5μm、粒径の分散度を示すCV値(%)は7.6%となり、均一な微小粒子を得られた。また、送液して得られる微小液滴を含有するスラリーの生成速度は4.5ml/minであった。微小流路の幅・深さを変更することで粒子径を変更でき、且つ大量に生成することができることが示された。
【0101】
(実施例7)
実施例3に使用した微小流路の概念図を図4に示した。図4に示すように、本実施例に使用した微小流路は、分散相導入口(4)と連通した分散相導入流路(5)、連続相導入口(2)と連通した連続相導入流路(3)、排出口(8)と連通した排出流路(7)、及び液滴生成流路(9)とを備えており、前記液滴生成流路の一方の端に連続相導入流路が、もう一方の端に排出流路が連通しており、分散相導入流路は、0.1mmの間隔で80本の平行した分散相導入枝流路(10)を介して液滴生成流路と連通している。ここで分散相導入流路は、幅85μm、深さ32μm、長さ9.5mmの微小流路、連続相導入流路は、幅1200μm、深さ100μm、長さ11.0mmの微小流路、排出流路は、幅700μm、深さ100μm、長さ11.0mmの微小流路、液滴生成流路は、幅170μm、深さ32μm、長さ4.0mmの微小流路、分散相導入枝流路は、幅13μm、深さ4μm、長さ1mmの微小流路として形成した。また、図4中、aは9.5mm、bは11.8mm、cは11.2mm、aからaはいずれも0.05mmと形成した。なお分散相導入枝流路と液滴生成流路は、70°の角度にて交わるように形成した。
【0102】
また図12に示したように、分散相導入枝流路のみを1枚の基板に作製した微小流路基板を蓋基板(17)とし、分散相導入流路、連続相導入流路、排出流路、液滴生成流路を1枚の基板に作製した微小流路基板を底基板(18)とし、蓋基板と底基板を貼り合わせて微小流路構造体を形成した。蓋基板と底基板には、それぞれ70mm×30mm×1mm(厚さ)のパイレックス(登録商標)基板を用いた。
【0103】
また蓋基板、底基板のそれぞれに形成した微小流路は、一般的なフォトリソグラフィーとウエットエッチングにより形成し、蓋基板と底基板を一般的な熱融着により接合した。また蓋基板には、連続相導入口(2)、分散相導入(4)、排出口(8)にあたる位置に予め直径0.6mmの小穴を、機械的加工手段を用いて設けた。なお、本微小流路構造体の製作方法および基板材料はこれに限定するものではない。
【0104】
上記微小流路を1枚の円形の基板上に集積化した微小流路基板として作製した。すなわち、分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路、40本の分散相導入枝流路からなる1組の微小流路構造を1単位として、直径5インチ、厚さ1.2mmのパイレックス(登録商標)基板の円周上に50組の微小流路を等間隔に配置した。ここで微小流路に導入する連続相導入口(2)は半径30mmの同心円上の位置に、分散相導入口(4)は半径35mmの同心円上の位置に、排出口(8)は半径55mmの同心円上の位置に配置した。このような構造とすることで、実質上1枚の微小流路基板に、分散相と連続相の合流部が2000箇所存在し、前記2000箇所の合流部で同時に微小粒子の生成を可能とする微小流路基板とすることができた。なお、分散相導入口と排出口の数を減らすため、図8に示したように、隣り合う2組の微小流路ごとに、2本の分散相導入流路(5)を1つの分散相導入口(4)で連通させ、さらに、2つの排出流路(7)を1つの排出口(8)に連通させた。また、この微小流路を有する微小流路基板は、実施例1と同様に一般的なフォトリソグラフィーとウェットエッチングにより作製した。微小流路の連続相導入口、分散相導入口、排出口の貫通孔は機械加工により直径1mmの貫通穴を形成した。
【0105】
次に本実施例3で使用した微小流路構造体の概念図を図23に示した。図23のように、前述した微小流路基板(1)の上面に連続相を供給するリザーバー(19)及び供給流路(21)を有する連続相供給用流路基板(22)を接合し、前述した微小流路基板(1)の下面に分散相を供給するリザーバー(20)及び供給流路(21)を有する分散相供給用流路基板(23)を接合した微小流路構造体とした。微小流路基板の上下に接合した連続相供給用流路基板と分散相供給用流路基板は、微小流路基板と同様に直径5インチ、厚さ1.2mmのパイレックス(登録商標)基板を用いた。また、連続相供給用流路基板と分散相供給用流路基板に形成したリザーバーと供給流路は、一般的なフォトリソグラフィーとウェットエッチングにより形成し、微小流路基板と、連続相供給用流路基板及び分散相供給用流路基板の接合は、一般的な熱融着により接合した。なお、連続相供給用流路基板のリザーバーの貫通孔A(24)、及び分散相供給用流路基板のリザーバーの貫通孔B(25)と流体排出口(26)の貫通孔は機械加工により直径1mmの貫通穴を形成した。また、連続相供給用流路基板及び分散相供給用流路基板のリザーバーの形状は直径30mm、深さ300μmの円筒形とした。またリザーバーの外周部から放射状に直線的に供給流路を形成した。連続相供給用構造体のリザーバーからの供給流路の長さは15mm、流路幅1mm、流路深さ300μmであり、等間隔に50本形成し、分散相供給用構造体のリザーバーからの供給流路の長さは20mm、流路幅1mm、流路深さ300μmであり、等間隔に25本形成した。分散相供給用流路基板の流体排出口(26)の貫通孔は、微小流路基板(1)の排出口(8)の位置と一致するように半径55mmの同心円上の位置に25個配置した。
【0106】
このような微小流路構造体とすることで、微小流路基板に形成した各々の微小流路の連続相導入口と分散相導入口は、微小流路基板の上下に接続した連続相供給流路基板と分散相供給流路基板に備えられたリザーバーから放射状に直線的に配置された供給流路を介して連通させることができた。また、微小流路構造体の連続相供給用流路基板のリザーバーの貫通孔A及び、分散相供給用流路基板のリザーバーの貫通孔Bに、テフロン(登録商標)(登録商標)チューブを介して連続相及び分散相を送液する送液ポンプをそれぞれ接続し、微小流路構造体に連続相と分散相を送液した。また、分散相供給用流路基板に形成した25個の流体排出口にもそれぞれテフロン(登録商標)(登録商標)チューブを接続し、このテフロン(登録商標)(登録商標)チューブを介して生成した微小液滴を含有するスラリーを排出し回収した。なお、分散相としてトルエン、連続相としてポリビニルアルコール4%水溶液を用いた。
【0107】
本微小流路構造体に分散相の送液速度を0.2ml/min、連続相の送液速度を0.4ml/minで送液したところ、送液速度が共に安定した状態で、微小流路構造体の分散相及び連続相が交わる合流部にて、微小粒子の生成が観察された。生成された微小粒子を観察すると平均粒径は22.3μm、粒径の分散度を示すCV値(%)は12.7%となり、比較的均一な微小粒子を得られた。また、送液して得られる微小液滴を含有するスラリーの生成速度は0.6ml/minであった。微小流路の幅・深さを変更することで粒子径を変更でき、且つ大量に生成することができることが示された。
【0108】
(比較例1)
比較例1に使用した微小流路の概念図を図24に示した。図24に示すように、本比較例に使用した微小流路は、分散相導入口(4)と連通した分散相導入流路(5)、連続相導入口(2)と連通した連続相導入流路(3)、排出口(8)と連通した排出流路(7)、及び液滴生成流路(9)とを備えており、前記液滴生成流路の一方の端に連続相導入流路が、もう一方の端に排出流路が連通しており、分散相導入流路は、1本の分散相導入枝流路(10)を介して液滴生成流路と連通している。ここで分散相導入流路は、幅30μm、深さ25μm、長さ9.45mmの微小流路、連続相導入流路は、幅30μm、深さ25μm、長さ11.8mmの微小流路、排出流路は、、長さ11.2mmの微小流路、液滴生成流路は、幅30μm、深さ25μm、長さ3.92mmの微小流路、分散相導入枝流路は、幅19μm、深さ7μm、長さ3.5mmの微小流路として形成した。なお分散相導入枝流路と液滴生成流路は、70°の角度にて交わるように形成した。
【0109】
また図12に示したように、分散相導入枝流路のみを1枚の基板に作製した微小流路基板を蓋基板(17)とし、分散相導入流路、連続相導入流路、排出流路、液滴生成流路を1枚の基板に作製した微小流路基板を底基板(18)とし、蓋基板と底基板を貼り合わせて微小流路構造体を形成した。蓋基板と底基板には、それぞれ70mm×30mm×1mm(厚さ)のパイレックス(登録商標)基板を用いた。
【0110】
また蓋基板、底基板のそれぞれに形成した微小流路は、一般的なフォトリソグラフィーとウエットエッチングにより形成し、蓋基板と底基板を一般的な熱融着により接合した。また蓋基板には、連続相導入口(2)、分散相導入(4)、排出口(8)にあたる位置に予め直径0.6mmの小穴を、機械的加工手段を用いて設けた。なお、本微小流路構造体の製作方法および基板材料はこれに限定するものではない。
【0111】
また、微小流路構造体の連続相導入口及び、分散相導入口に、テフロン(登録商標)(登録商標)チューブを介して連続相及び分散相を送液するマイクロシリンジポンプをそれぞれ接続し、微小流路構造体に連続相と分散相を送液した。また、排出口にもテフロン(登録商標)(登録商標)チューブを接続し、このテフロン(登録商標)(登録商標)チューブを介して生成した微小液滴を含有するスラリーを排出し回収した。なお、分散相としてトルエン、連続相としてポリビニルアルコール4%水溶液を用いた。
【0112】
本微小流路構造体に分散相の送液速度を0.2μl/min、連続相の送液速度を0.3μl/minで送液したところ、送液速度が共に安定した状態で、微小流路構造体の分散相及び連続相が交わる合流部にて微小粒子の生成が観察された。微小粒子の平均粒径は34.2μm、粒径の分散度を示すCV値(%)は10.5%となり、極めて均一な微小粒子(13)であった。また、送液して得られる微小液滴を含有するスラリーの生成速度は0.5μl/分であった。
【0113】
次に、分散相の送液速度を8μl/min連続相の送液速度を12μl/minで送液したところ、液滴は生成できなかった。
【0114】
(比較例2)
比較例2に使用した微小流路の概念図を図22に示した。図22に示すように、本実施例に使用した微小流路は、分散相導入口(4)と連通した分散相導入流路(5)、連続相導入口(2)と連通した連続相導入流路(3)、排出口(8)と連通した排出流路(7)、及び液滴生成流路(9)とを備えており、前記液滴生成流路の一方の端に連続相導入流路が、もう一方の端に排出流路が連通しており、分散相導入流路は、0.9mmの間隔で20本の平行した分散相導入枝流路(10)を介して液滴生成流路と連通している。ここで分散相導入流路は、幅1mm、深さ13μm、長さ6.64mmの微小流路、連続相導入流路は、幅2.1mm、深さ13μm、長さ2.73mmの微小流路、排出流路は、幅2.1mm、深さ13μm、長さ3.4mmの微小流路、液滴生成流路は、幅2.1μm、深さ13μm、長さ17.1mmの微小流路、分散相導入枝流路は、幅幅31μm、深さ13μm、長さ7.0mmの微小流路として形成した。なお分散相導入枝流路と液滴生成流路は、70°の角度にて交わるように形成した。また図11に示したように、分散相導入枝流路、分散相導入流路、連続相導入流路、排出流路、液滴生成流路を1枚の基板に作製した微小流路基板を底基板(18)とし、底基板に蓋基板(17)を貼り合わせて微小流路構造体を形成した。蓋基板と底基板には、それぞれ70mm×30mm×1mm(厚さ)のパイレックス(登録商標)基板を用いた。
【0115】
また底基板に形成した微小流路は、一般的なフォトリソグラフィーとウエットエッチングにより形成し、蓋基板と底基板を一般的な熱融着により接合した。また蓋基板には、連続相導入口(2)、分散相導入(4)、排出口(8)にあたる位置に予め直径0.6mmの小穴を、機械的加工手段を用いて設けた。なお、本微小流路構造体の製作方法および基板材料はこれに限定するものではない。
【0116】
また、微小流路構造体の連続相導入口及び、分散相導入口に、テフロン(登録商標)(登録商標)チューブを介して連続相及び分散相を送液するマイクロシリンジポンプをそれぞれ接続し、微小流路構造体に連続相と分散相を送液した。また、排出口にもテフロン(登録商標)(登録商標)チューブを接続し、このテフロン(登録商標)(登録商標)チューブを介して生成した微小液滴を含有するスラリーを排出し回収した。なお、分散相としてトルエン、連続相としてポリビニルアルコール0.5%水溶液を用いた。
【0117】
本微小流路構造体に分散相の送液速度を50μl/min、連続相の送液速度を50μl/minで送液したところ、微小粒子の生成が観察されたが、極めて不安定であり、均一な粒子径の微小粒子を安定して生成することは不可能であった。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】従来の微小粒子を生成する微小流路を示す概略図である。
【図2】図1のA−A’断面である。
【図3】図1のB−B’断面である。
【図4】本発明の基本的な微小流路を示した概念図である。
【図5】図4に示した微小流路を用いて、微粒子を生成する方法を示した概念図である。
【図6】本発明の微小流路の態様の1つを示した概念図である。
【図7】図6の微小流路構造体を円形基板の周方向に放射状に配置し集積化した概念図である。
【図8】図7に示した1組の微小流路構造の拡大図である。
【図9】図6に示した分散相導入流路の圧力損失を上げるため、分散相導入枝流路の長さを長くした例を示した概念図である。
【図10】分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路、分散相導入枝流路の全てが1枚の基板から構成されている例を示した概念図である。
【図11】分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路、分散相導入枝流路の全てが1枚の基板から構成される形成フローを示す図である。
【図12】分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路、分散相導入枝流路が少なくとも2枚以上の基板から構成される形成フローを示す図である。
【図13】本発明における微小流路構造体の1つの態様を示した概略図である。
【図14】図13の位置6の拡大図であり、本発明における交差部の1つの態様を示した概略図である。
【図15】本発明における交差部の別の態様を示した概略図である。
【図16】微小流路基板を重ねあわせた例を示した概略図である。
【図17】図16のD−D’断面である。
【図18】図1のE−E’断面である。
【図19】実施例1において、分散相と連続相とが合流する交差部において、微小粒子が生成する例を示した概念図である。
【図20】実施例1における生成した微小粒子を示す図である。
【図21】分散相導入流路と連続相導入流路の交差部での角度を22°と44°にした場合において、連続相の流速と生成する微小粒子の粒径との関係を表した図である。
【図22】比較例2における微小粒子構造体の概略図を示す図である。
【図23】実施例3における微小粒子構造体の概略図を示す図である。
【図24】比較例1における微小粒子構造体の概略図を示す図である。
【符号の説明】
【0119】
1:微小流路基板
2:連続相導入口
3:連続相導入流路
4:分散相導入口
5:分散相導入流路
6:交差部
7:排出流路
8:排出口
9:微小粒子生成流路
10:分散相導入枝流路
11:連続相
12:分散相
13:微小粒子
14:微小流路
15:貫通孔
16:カバー体
17:蓋基板
18:底基板
19:連続相リザーバー
20:分散相リザーバー
21:供給流路
22:連続相供給用流路基板
23:分散相供給用流路基板
24:連続相供給用流路基板のリザーバー貫通孔
25:分散相供給用流路基板のリザーバー貫通孔
26:流体排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散相導入口と連通した分散相導入流路と、連続相導入口と連通した連続相導入流路と、排出口と連通した排出流路と、微小粒子生成流路と、複数の微小流路からなる分散相導入枝流路と、を備えた微小流路構造体であって、前記微小粒子生成流路の流体進行方向における一方の端で前記連続相導入流路が連通すると共にもう一方の端で前記排出流路が連通しており、前記分散相導入流路の側部と前記微小粒子生成流路の側部とが前記分散相導入枝流路を介して連通した1組の微小流路構造を構成する、微小流路構造体。
【請求項2】
前記分散相導入枝流路と前記微小粒子生成流路とが任意の角度で合流する構造である、請求項1記載の微小流路構造体。
【請求項3】
前記分散相導入枝流路の断面積が前記微小粒子生成流路の断面積よりも小さい、請求項1または請求項2記載の微小流路構造体。
【請求項4】
前記微小粒子生成流路の断面積が、前記連続相導入流路との連通位置から前記排出流路との連通位置に向かって次第に大きくなるかあるいは同じである、請求項1〜3のいずれかに記載の微小流路構造体。
【請求項5】
前記分散相導入枝流路の長さが、前記分散相導入枝流路と前記分散相導入流路との連通位置が前記分散相導入口から離れるに従って、次第に長くなるかあるいは同じである、請求項1〜4のいずれかに記載の微小流路構造体。
【請求項6】
前記分散相導入口に最も近い分散相導入枝流路Yから前記分散相導入口から最も遠い分散相導入枝流路Yまでn本の分散相導入枝流路が分散相導入流路から微小粒子生成流路へ連通した微小流路構造体において、分散相導入口位置をX、分散相導入口に最も近い分散相導入枝流路Yと分散相導入流路との連通位置をX、XとXとの間の分散相導入流路に沿った長さをa、分散相導入流路から最も遠い分散相導入枝流路Yと分散相導入流路との連通位置をX、Xn−1とXとの間の分散相導入流路に沿った長さをaとしたとき、aからaが全て等しい、請求項1〜5のいずれかに記載の微小流路構造体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の1組の微小流路構造が微小流路構造体の基板上に2以上形成されている、微小流路構造体。
【請求項8】
請求項7記載の複数の微小流路構造体が基板上に等間隔で配置されている、微小流路構造体。
【請求項9】
分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路及び分散相導入枝流路の全てが、1枚の基板上に形成されている、請求項1〜8のいずれかに記載の微小流路構造体。
【請求項10】
分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路及び分散相導入枝流路が、2枚以上の基板上に分散して形成されている、請求項1〜8のいずれかに記載の微小流路構造体。
【請求項11】
分散相導入流路、連続相導入流路、微小粒子生成流路、排出流路及び分散相導入枝流路がそれぞれ異なる、あるいは2種以上の異なる流路幅および流路深さである、請求項1〜10のいずれかに記載の微小流路構造体。
【請求項12】
請求項9〜請求項11のいずれかに記載の微小流路構造体が2以上積層された微小流路構造体であって、当該微小流路構造体中の分散相導入口と連続相導入口と排出口とが微小流路構造体の微小流路基板を貫通してなる微小流路構造体。
【請求項13】
前記分散相導入枝流路と前記微小粒子生成流路とが合流する交差部又はその近傍において、前記分散相導入枝流路の幅が一部狭くなっている、あるいは、前記微小粒子生成流路の幅が一部狭くなっている、請求項1〜12のいずれかに記載の微小流路構造体。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の微小流路構造体を用いて微小粒子を生成する方法であって、前記分散相導入枝流路と前記微小粒子生成流路との交差部において分散相と連続相を合流させて、前記分散相より微小粒子を生成させることを特徴とする微小粒子の製造方法。
【請求項15】
分散相導入枝流路と微小粒子生成流路との合流する角度を変化させ、生成する微小粒子の粒径を制御することを特徴とする請求項14に記載の微小粒子製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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