説明

微生物の同定の電気化学的検定法

微生物の表現型同定の方法を提供する。この方法は、微生物の呼吸サイクル活性での各種化合物(エフェクター)の効果の評価に基づく。測定は、微生物が微生物サンプルに添加された外部の化学酸化剤(中間体)に電子を移動させる能力に基づく。呼吸経路の終末成分との中間体の相互作用とその消費の範囲は微生物が呼吸する能力に基づく。続いて、消費された中間体は電気化学的に測定される。エフェクターの有無で生成される電気化学的なシグナルを、生物に特有であるシグナルパターンを生成するために用いることができ、また、同定のために用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物を同定する検定法に関する。さらに詳しくは、本発明は、臨床、農業及び環境の試験で重要な培養の迅速な同定及び特徴づけのためにマルチテスト形式で原核微生物及び真核微生物を試験することに関する。
【背景技術】
【0002】
微生物の多くの種は、人間又は動物に対して有害であり、この理由によって、病気を引き起こす病原体を正確に同定することはとても重要である。微生物疾患は、世界の多くの発展途上国で主な死因を構成する。より多くの微生物病原体は、重要な食品及び水中病原体として同定されてきた。
【0003】
従来の微生物同定法は、事前増菌ステップと選択増菌ステップを含み、その後に、形態学的試験、生化学的スクリーニング、成長特徴づけ、血清型決定及び血清学的確認がある。増菌ステップは選択的な培地での成長からなる。形態学的試験は、コロニーの特性と染色の観察、染色(例えばグラム染色、抗酸性染色)後の顕微鏡試験、鞭毛の運動性及び配列の試験、胞子、カプセル、封入体の存在の試験、及び生物の形状の決定を含む。生化学的スクリーニングは、増菌された微生物培養での構成酵素又は代謝経路の有無のための試験からなり、いくつかの生化学的な試験が一般的に使用されるが(例えば、酸化酵素、硝酸塩還元、アミノ酸分解酵素、発酵及び炭水化物の利用)、他は制限される(例えば、staphylococcus spp.でのコアグラーゼ試験)。成長特徴づけは、生物が好気性であるか、嫌気性であるか、通性であるか又は微好気性であるか、成長のために必要な特有の温度及びpH状態、栄養要求量、及び抗生物質耐性を決める。血清型決定は、生物内に存在するO抗原(細胞壁)、H抗原(鞭毛)及びK抗原(カプセル)のタイプを決定するために抗体を使用し、種と株の両方の同定を許容する。血清学的確認は、単離した生物で患者血清(抗体を含む)のインビトロの反応からなる。
【0004】
現代の微生物同定方法は、遺伝子型又は表現型の方法として分類される。遺伝子型の方法は微生物DNA及びRNAの分析の全ての形式を含む。これらの方法は、もし発現するならば生化学的経路の構成要素(例えば、代謝、ストレス反応要因、抗生物質耐性メカニズム)の合成を許容する微生物内に存在する遺伝物質を検出する。
【0005】
遺伝子型の方法は、所定の時間で所定の微生物の培養で存在する活性な経路の評価を与えない。多くの遺伝子型の方法は、米国特許出願公開第2002/0187490号明細書(Tiedje他)、同第2003/0049636号明細書(Bergeron他)、同第2003/0124545号明細書(Rothman他)、同第2003/0180733号明細書(Bergeron他)、及び同第2004/0023208号明細書(Haydock他)を含む微生物同定及び抗生物質耐性試験で提案されてきた。
【0006】
表現型同定方法は、所定の微生物培養で現在発現される微生物ゲノムの部分を評価する。これらの方法は、代謝経路の存在のための生化学的スクリーニングと同様に、多様な状況下での成長の観察に基づいた従来の方法を含む。多くの発明がマルチテスト形式での成長の検出及び生化学的スクリーニングのための方法及び装置について提案している。これは、米国特許第3,957,586号明細書(Babson他)、同第4,118,280号明細書(Charles他)、同第4,129,483号明細書(Bochner)、同第4,235,964号明細書(Bochner)、同第4,456,380号明細書(Kondo他)、同第4,603,108号明細書(Bascomb)、同第4,604,351号明細書(Amaral)、同第4,724,215号明細書(Farber)、同第4,856,073号明細書(Farber他)、同第5,089,395号明細書(Snyder他)、同第5,164,301号明細書(Thompson他)、同第5,223,402号明細書(Abbas他)、同第5,340,747号明細書(Eden)、同第5,843,699号明細書(Strenkoski他)、同第5,888,760号明細書(Godsey他),同第6,372,485号明細書(Clark他),同第6,387,651号明細書(Bochner他)、同第6,436,631号明細書(Bochner他)、同第6,555,322号明細書(James他)、及び同第6,611,765号明細書(Boeufgras他)を含み、また、米国特許出願公開第2002/0064867号明細書(Clark他)、同第2003/0032171号明細書(Gemmell他)、同第2003/0162164号明細書(Bochner他)及び同第2004/0009572号明細書(Felice他)及び国際公開第2004/050675号パンフレット(Taintor)も含む。微生物の電気化学的測定方法は米国特許第6,391,577号明細書(Mikkelsen他)及びErtl,P.他(2000)、Analytical Chemistry 72,4957〜64で提案されている。
【0007】
別の表現型の方法は、米国特許第4,343,782号明細書(Shapiro)において、細胞膜電位変化が、生物活性な化学製品又は生化学製品への培養の露出の後、蛍光色素を用いて測定されると、開示された。米国特許出願公開第2002/0138210号明細書(Wilkes他)では、熱分解質量分析のデータのパターン認識による微生物の指紋法のためのデータベース方法が開示された。別の微生物の指紋法のためのデータベース方法が、米国特許出願公開第2003/0097059号明細書(Sorrell他)で、微生物の磁気共鳴のデータパターンの照合のために、開示された。第3のデータベース方法は、微生物の表面上で官能基を認識し結合するように設計された特定の化合物で修飾された表面上で微生物を収集することを含む。所定の生物のための結合パターンは、米国特許公報第6,780,602号明細書(Lloyd他)に開示されているような異なる生物のための結合パターンのデータベースと比較される。
【0008】
一般的に、単一の試験は、未知の微生物の信頼性のある同定を提供しない。さらに、現在利用可能な試験は時間がかかって、しばしば信頼性がない。未知の微生物を同定する迅速で効果的な方法の必要性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的の1つとしては、従来の微生物検定の少なくとも1つの問題を解決し又は軽減することである。
【0010】
本発明の一構成では、微生物を同定する方法であって、未知の微生物の試験サンプルを取得し、中間体又は中間体混合物を前記試験サンプルにエフェクターの存在下で添加し、前記微生物の呼吸速度のバラツキを所定時間で評価し、及び、前記微生物の前記呼吸速度のバラツキを前記エフェクターにさらされた既知の微生物の呼吸速度のバラツキと比較し、これによって前記試験サンプル中の前記未知の微生物を同定するステップを有する方法を提供する。
【0011】
本発明の他の構成では、グラム陽性及びグラム陰性のバクテリアを識別する方法であって、微生物の試験サンプルを取得し、脂溶性の酸化還元中間体を前記試験サンプルの一部分に添加し、前記微生物の呼吸速度のバラツキを所定時間で評価し、及び、前記試験サンプルのこの部分の呼吸速度を前記脂溶性の酸化還元中間体にさらされていない前記試験サンプルの他の部分の呼吸速度と比較するステップを有する方法を提供する。
【0012】
驚くべきことに、試験サンプルのエフェクター化合物との混合の後の呼吸速度測定を微生物の同定及び識別のために使用することができることがわかった。外部刺激に対する細胞反応を評価する方法は、適当な中間体又は中間体混合物を微生物のサンプルにエフェクターの存在下で添加し、及び、微生物の呼吸の結果である中間体の消費の電気化学的測定によって微生物の呼吸速度のバラツキを時間に対し評価することを含む。これを、同じエフェクターにさらされた別の微生物サンプル(ストック生物)の呼吸速度のバラツキと比較する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照して一例として説明する。
【0014】
図1は、実施例1からのEnterobacter aerogenes ATCC 13048eサンプルでの時間に対する消費電荷のプロットを示す。2つのプラチナ電極(領域=0.017cm)間の電位差は−100mVで固定される。示されるトレースは、繰り返し測定であり、10mMの(a)グルコース、(b)乳酸、(c)ピルビン酸、(d)アルギニンの存在下で、(e)硝酸カリウム中で得られた。
【0015】
図2は、10の微生物株を識別するために、22の異なるエフェクター化合物を用いて得られた、呼吸活性データの主成分分析からのスコアプロットを示す。
【0016】
図3は、10の微生物株を識別するために、16のエフェクター化合物を用いて得られた、呼吸活性データの主成分分析からのスコアプロットを示す。スコアプロットはPC2とPC4で見つけられたバラツキを用いて作成された。
【0017】
図4は、10の微生物株を識別するために、9のエフェクター化合物を用いて得られた、呼吸活性データの主成分分析からの3次元スコアプロットを示す。
【0018】
一般的に、本発明は、既知の同一性(identity)の微生物を用いて、サンプル中で、多様な微生物の識別と同定のため、又はグラム陽性とグラム陰性のバクテリアの間の識別のため、又はエフェクター化合物の存在と可能性の決定のために、迅速な新しい方法を提供する。より詳しくは、本発明は、微生物を同定する方法であって、未知の微生物の試験サンプルを得て、エフェクターの存在下で中間体又は中間体混合物を試験サンプルに添加し、所定の時間で微生物の呼吸速度のバラツキを評価し、及び微生物の呼吸速度のバラツキをエフェクターに露出した既知の微生物の呼吸速度のバラツキと比較し、これによって、試験サンプル中の未知の微生物を同定するステップを有する方法を提供する。
【0019】
本発明は、微生物の呼吸(respiration)(息をする(breathing))速度の測定に基づく。自然条件下では、微生物は分子酸素(それらが好気性の場合)又は別の酸化剤(それらが嫌気性の場合)を消費する。好気性生物では、生物の膜に存在するタンパク質によって、酸素は水に変換される。酸素は還元として知られるプロセスによって変換される。この還元では、4つの陽子と4つの電子が細胞の内部から供給され、酸素の水への変換を引き起こす。同様のプロセスが嫌気性生物で発生し、硝酸塩や硫酸塩のような酸化剤の還元を引き起こす。他の酸化剤、すなわち中間体で発生するように、これらの還元プロセスを行うことができる。それは、測定される電流を生成するために、細胞から電子を受け入れ、それらを導電性の電流測定用の電極に移動させることもできる。本発明で使用される電極及び測定機器は市販され特性が明らかである。
【0020】
本発明は、微生物サンプルに添加される外部の化学酸化剤(中間体)に電子を移動させる微生物の能力に基づいて、微生物上の多様な化合物の効果を評価するための迅速な方法を提供する。中間体は呼吸経路の終末成分と作用し、その消費の程度は微生物が呼吸する能力に関連する。しかしながら、ここで説明する検定条件下では、検定混合物に代謝化合物、又は呼吸活動に影響するその他の化合物が添加されるため、中間体消費の程度は、酸素又はその他の自然酸化剤を消費する微生物の能力と異なる。消費された中間体は、続いて、ほぼ等しい表面領域の2つの分極性プラチナ電極からなる2電極電気化学セルの作用電極で、電気化学的(複電流滴定的又は電量分析的)に測定される。この測定は、一方の電極が非分極性の参照電極であり、微生物が減少した中間体を再酸化するために十分な酸化電位を作用電極に(参照に対して)供給する2又は3電極セルを用いて行うこともできる。多様なエフェクター化合物の存在下でインキュベートされた微生物懸濁液で得られた電気化学シグナル(時間の関数として測定される電流又は電荷)はかなり異なる。これらのシグナルの違いは、微生物を識別し同定するパターンを生成するために使用することができる。
【0021】
本発明の方法は、さらに、微生物の細胞培養又は懸濁液が提案されたエフェクターの溶液と組み合わされ、一定期間でインキュベートされるサンプル準備ステップと、中間体又は中間体混合物が添加される第2ステップと、標準的で市販されている電気化学機器(ポテンシオスタット)と2電極電気化学セルを用いて複電流滴定測定法が一定の供給電位で行われる第3ステップとを含んでもよい。本発明の実施の形態では、最初の2つのステップは1つのステップにまとめてもよい。エフェクターがない場合では、中間体は、生物及びサンプル中の生物と中間体の濃度に特徴的な速度で、酸化型から還元型まで微生物によって変換される。測定ステップの間、還元中間体は、2つの電極間に異なる電圧を印加することで、作用電極で酸化型に再変換され、測定電流の大きさはサンプル中の還元中間体濃度に比例する。
【0022】
インキュベーションと測定ステップの間にエフェクターの存在下で、中間体の還元の速度、及び結果として測定されるシグナルは、それぞれのエフェクター化合物及び生物でかなり異なる。これらのエフェクターの化学的性質及び標的生物との相互作用によって、得られる呼吸活性は、エフェクターがない場合で試験した同じ生物のコントロールサンプルと比較すると、10から600%の間の値に到達することができる。
【0023】
サンプル中にエフェクター化合物が存在するか否かを決定するために、既知の反応を持った微生物を適当な中間体又は中間体混合物とともにサンプルに添加する。中間体消費の電気化学的測定によって、時間に対する微生物の呼吸速度のバラツキを評価する。この速度を試験サンプルに露呈していない同じ微生物の他の部分の呼吸速度のバラツキと比較する。
【0024】
中間体又は中間体混合物は、例えば次の1以上を含む任意の適当な酸化剤とすることができる。これは、フェリシアン化物(ヘキサシアノ鉄酸塩(III)はこれの別の名称である)と、ジクロロフェノール−インドフェノール(DCIP)と、フェロセン及びフェロセン誘導体と、メチレンブルーと、ヤーヌスグリーンと、トリス(ビピリジル)鉄(III)と、ベンゾキノン、ナフトキノン、メナジオン、アントラキノン、及びこれらの置換誘導体を含むキノン類と、フェノジンメトサルフェートとフェノジンエトサルフェートを含むフェノジン類とである。
【0025】
本発明の別の構成では、グラム陽性及びグラム陰性のバクテリアを識別する方法であって、微生物の試験サンプルを取得し、脂溶性の酸化還元中間体を含む中間体混合物を試験サンプルに添加し、微生物の呼吸速度のバラツキを所定の時間で評価し、及び、微生物の呼吸速度を、脂溶性の酸化還元中間体に露呈されていない同じ微生物の別のサンプルの呼吸速度と比較するステップを有する方法を提供する。この速度を、脂溶性の中間体化合物に露呈されていない別のサンプルの呼吸速度のバラツキと比較する。脂溶性の酸化還元中間体化合物DCIPの省略によって、バクテリアをグラム陽性とグラム陰性に分類するために、通常使用される細胞壁特性間の迅速な識別を可能とする。
【0026】
本発明を以下の実施例で説明する。
【0027】
(実施例1)
エフェクター化合物の存在下での呼吸サイクル活性
本実施例では、検定法は次のステップを使用する。(1)手順では、2電極電気化学セル中で一定期間(10min)及び一定温度(35℃)で、200μLのバクテリア培養物を1300μLのバッファ(エフェクターを含む又は含まないものであり、5μMDCIP)と混合することを含み、(2)この後に、一定期間(10min)及び一定温度(35℃)で、中間体(500μLの0.2Mフェリシアン化カリウム)の添加が続き、及び(3)一定電位差(voltage difference)(−100mV)及び一定期間(120sec)で電流を測定する。最終的なフェリシアン化物の濃度が50mMになるようにフェリシアン化物溶液を添加する。
【0028】
この構成では、検定法は、約0.017cmの表面積をそれぞれ有する2つのプラチナ電極を用いる。測定電流は、溶液中のレドックス対の最低濃度の種の濃度に比例する。本システムでは、フェリシアン化物(酸化型)は大幅に超過して存在し、微生物がそれらの呼吸活性の結果としてフェロシアン化物(還元型)を生成することを導く。測定電流の大きさは、検定溶液中に存在する還元中間体の量を示す。測定電流は、時間に対する全電荷のプロットを作成するために、時間に対して積分される。全電荷の変化は電位が供給された後に60から120秒の間で測定された。
【0029】
E. coli B、Enterobacter aerogenes ATCC 13048e、Pseudomonas aeruginasaとProteus vulgaris ATCC 6380の種は、市販のMacConkey寒天プレート上で一晩、35℃で成長させた。Bacillus cereus, Eneterococcus faecalisとStaphylococcus aureus ATCC 6538Pの種は、市販の5%羊血液寒天プレート上で一晩、35℃で成長させた。それぞれのバクテリアの株の5〜6のコロニーは、5.00mLのバッファ溶液(pH7.2)を含むガラス瓶中に移動された。このバッファ溶液は、4.4g/LのKHPO、2.88g/LのKHPO、0.48g/Lの硫酸マグネシウム・7水和物、0.048g/Lの塩化カルシウム、1.43g/Lの硫酸アンモニウム及び1.62g/Lの塩化アンモニウムからなる。バクテリアの懸濁液は、5.0のマクファーランド標準(5.0×10cfu/mL)又は625nmで測定した1.2の光学密度に適応し、細胞成長は、アイスバス中で最低限15分間でバクテリア懸濁液を冷却することで停止される。
【0030】
図1には、10mMのグルコース、乳酸、ピルビン酸、アルギニン及び硝酸カリウムの有無でインキュベートされたEnterobacter aerogenes ATCC 13048eで得られたトレースを示す。表1は、5つの異なるエフェクター化合物を用いてEnterobacter aerogenes ATCC 13048eとStaphylococcus aureus ATCC 6538Pで得られたこれらの測定の結果を示す。これらのエフェクターは、作用の既知の活性及びメカニズムの広域スペクトラムを提供する。ラクトースは、MacConkey寒天プレートで単一炭素源を提供し、結果としてMacConkey寒天プレートで成長された培養物が乳酸経路を通過する。ピルビン酸は、生物のトリカルボン酸サイクルの代謝性の副生成物であり、それぞれアミノ酸アラニン、バリン、ロイシン及びグルタミン酸塩の生合成のために必要とされる。また、ピルビン酸塩は、グルコース(グルコネオゲネシス)への変換のために用いることができる。アミノ酸発酵(アルギニン)は多くの微生物種で実行される。上述の基質の全ては、既存の成長ベースの方法を使用してバクテリア種間で同定して、識別するために適用された。これらのエフェクター化合物が存在する場合の呼吸サイクル活性の測定は、従来の成長ベースの方法又は生化学スクリーニング試験で得られる結果と同じでない点に注意することが重要である。その代わりに、呼吸サイクル活性測定は、特定の条件下で呼吸する生物の能力の現れである。
【0031】
表1に示される結果は、Enterobacter aerogenes ATCC 13048e(グラム陰性)とStaphylococcus aureus ATCC 6538P(グラム陽性)で得られ、これらは炭素源として乳酸を利用することで知られている。得られた電流信号は積分され、領域を正規化し、コントロール測定(バッファ)に対して相対呼吸サイクル活性がそれぞれの株及びエフェクター化合物でプロットされる。
【0032】
【表1】

【0033】
表2は、3つの異なる濃度で存在する2つの代謝性エフェクター化合物であるグルコースとマンノースを用いて、Staphylococcus aureus ATCC 6538PとEnterococcus faecalisで得られた結果を示す。結果では、グルコース又はマンノースの濃度を関数として測定した呼吸活性での増加を示す。呼吸速度で得られた相違は、エフェクター濃度に基づき、したがって、微生物の同定及び識別でさらに役立つように使用することができるということは明らかである。
【0034】
【表2】

【0035】
(実施例2)
グラム陽性とグラム陰性のバクテリア間での識別
次のステップを各試験で使用する。(1)1mMのグルコース(glc)を含むバッファの150μLの一定分量を5μMのDCIPと共に又はともなわずに一定時間(4min)で一定温度(35℃)で準備し、(2)続いて、50μLのバクテリア懸濁液をこのサンプルに一定時間(10min)で一定温度(35℃)で添加し、(3)続いて、中間体(50μLの0.4Mのフェリシアン化カリウム)を一定時間(10min)で一定温度(35℃)で添加し、及び(4)2つのプラチナ電極間の一定電位差(100mV)での電流を、一定時間(120sec)で一定温度(35℃)で測定する。微生物との反応の前のサンプル中の最終的なフェリシアン化物の濃度は40mMである。
【0036】
この構成では、検定法は約0.03cmの表面積をそれぞれ有する2つのプラチナ電極を使用する。測定電流は、溶液中のレドックス対の最低濃度の種の濃度に依存する。本システムでは、フェリシアン化物(酸化型)は大幅に超過して存在し、呼吸活性の結果として微生物がフェロシアン化物(還元型)を生成することを導く。測定電流の大きさは、検定溶液中に存在する還元中間体の量を示す。測定電流は、時間に対して全荷電のプロットを生成するために、時間に対して積分される。全荷電の変化は、電位が供給された後に、30〜120秒の間で測定される。
【0037】
E. coli B、E. coli Neotype、E.coli HB101、E.coli JM105、Enterobacter aerogenes ATCC 13048e、Presudomonas aeruginosa及びProteus vulgaris ATCC 6380の種は、市販のMacConkey寒天プレート上で35℃で一晩成長させる。Eneterococcus faecalisとStaphylococcus aureus ATCC 6538Pの種は市販の5%羊血液寒天プレート上で35℃で一晩成長させる。Saccharomyces cerevisiaeは市販のTrypton-Soy寒天プレート上で35℃で一晩成長させる。それぞれのバクテリアの株の5〜6のコロニーは、3.00mLのバッファ溶液(pH6.8)を含むガラス瓶中に移される。このバッファ溶液は、4.4g/LのKHPO、2.88g/LのKHPO、5.00g/Lの塩化ナトリウムからなる。
【0038】
脂溶性の酸化還元中間体化合物DCIPの省略は、グラム陽性及びグラム陰性としてバクテリアを分類するために一般的に使用される細胞壁特性間での迅速な識別を許容する。グラム陰性のバクテリアは、フェリシアン化物が呼吸経路の終末成分に直接相互作用することを許容する外側細胞膜中にポーリンタンパク質(チャンネル)を含む。グラム陽性のバクテリアは、ポーリンを所有しないで、ましてフェリシアン化物と反応しないで、DCIPのような脂溶性の酸化還元中間体が存在するならば、十分な呼吸活性シグナルが観察されのみする。表3は、バッファのエフェクター溶液中に脂溶性の酸化還元中間体DCIPがないために、10分のインキュベーション期間の後に、グラム陽性株で得られたより低い呼吸サイクル活性を示す。
【0039】
【表3】

【0040】
表3の結果では、酸化還元中間体とエフェクター化合物の適当な選択は、グラム陽性とグラム陰性のバクテリア間で迅速な識別を許容し、さらにこれはそれらの同定に役立つ。同様の結果が、1mMのマンノース又は1mMのコハク酸エステル(1mMのグルコースの代わりに)の存在下で得られ、これでは、5μMのDCIPがない場合では呼吸信号がそれぞれ60%と80%以下に落ちた。エフェクター化合物の適当な選択は、グラム陽性とグラム陰性のバクテリアの間の識別のために、呼吸活性での相違を最適化するために必要である。
【0041】
(実施例3)
呼吸活性データの主成分分析によるパターン認識を用いた10の微生物の株の識別
本実施例では、それぞれの微生物は、コントロール測定に加えて、22の異なるエフェクター化合物に当てられる。次のステップを各試験で用いる。(1)一定時間(4min)で一定温度(35℃)で、エフェクター化合物と5μmMのDCIPを含むバッファの150μLの一定分量を準備し、(2)続いて、50μLのバクテリア懸濁液を一定時間(10min)で一定温度(35℃)でサンプルに添加し、(3)続いて、中間体(50μLの0.4Mのフェリシアン化カリウム)を一定時間(10min)で一定温度(35℃)で添加し、及び(4)2つのプラチナ電極間での一定電位差(100mV)での電流を一定時間(120sec)で一定温度(35℃)で測定する。微生物との反応の前のサンプル中の最終的なフェリシアン化物の濃度は40mMである。各微生物で、繰り返し測定が22の異なるエフェクター化合物でなされた。また、繰り返し測定はエフェクター化合物を含まないコントロール試験を行った。1つの追加測定は、フェリシアン化合物と共にであるがエフェクター又はDCIPを伴わない微生物を含むコントロール溶液でなされた。
【0042】
この構成では、検定法は、約0.03cmの表面積を有する2つのプラチナ電極を使用する。測定電流は、溶液中のレドックス対の最低濃度の種の濃度に依存する。本システムでは、フェリシアン化合物(酸化型)は大幅に過剰に存在し、微生物がそれらの呼吸活性の結果としてフェロシアン化物(還元型)を生成することを導く。測定電流の大きさは、検定溶液中に存在する還元中間体の量を示す。測定電流は、時間に対する全電荷のプロットを生成するために、時間に対して積分され、電極エリアで正規化される。全電荷の変化は、電位が供給された後に、30〜120秒の間、測定される。
【0043】
E. coli B、E. coli Neotype、E.coli HB101、E.coli JM105、Enterobacter aerogenes ATCC 13048e、Pseudomonas aeruginosa及びProteus vulgaris ATCC 6380の種は、市販のMacConkey寒天プレート上で35℃で一晩成長させる。Enterococcus faecalis及びStaphylococcus aureus ATCC 6538Pの種は、市販の5%羊血液寒天プレート上で35℃で一晩成長させる。Saccharomyces cerevisiaeは、市販のTrypton-Soy寒天プレート上で35℃で一晩、成長させた。各バクテリアの株の5〜6のコロニーは、3.00mLのバッファ溶液(pH6.8)を含むガラス瓶の中に移される。このバッファ溶液は、4.4g/LのKHPO、2.88g/LのKHPO、5.00g/Lの塩化ナトリウムからなる。
【0044】
本実施例では、22のエフェクター化合物のそれぞれのために、繰り返し測定を含む各正規化されたデータセットは、バッチ間の比較を許容するために、繰り返し内部統制を参照する。繰り返し統制測定でのユニット電極領域ごとの電荷の得られたシグナルは、平均化され、100%の呼吸サイクル活性でセットされた。そして、各エフェクター化合物で得られたシグナルは平均化され、これらのコントロールサンプルと比較され、結果は相対的な%呼吸活性として表示される。パターン認識プロットを生成するために使用されるデータセットは、各細胞培養物(10の株)での5つの複製バッチ(各バッチは22のエフェクター化合物のそれぞれでの繰り返し測定を含む)からなる。これは、50(列)×22(行)のマトリックスを生成するために用いられる。マトリックスはMATLAB(Version6.0)にインポートされる。因子分析は、MATLAB Chemometric Toolbox (Version 2.3)を用いて実行され、因子の最適数を決定するために減少した固有ベクトルの生成、乱数での結果である残余プロットの試験、及び最初の4つの主成分でのスコアの生成を含む。
【0045】
【表4】

【0046】
まず、主要成分検定法では、種に従って反応を分類するために、表4に示される%−活性のデータに適用される。各列が22のエフェクター化合物のそれぞれでの1つの測定を含むように、個々の測定(10の株の5の複製)を22の要素の列としてマトリックスに組み入れる。次に、種によるグループ分けを試験するために、2次元のプロットで、PC1、PC2、PC3及びPC4での全ての可能なスコアの組合せを用いる。結果であるPC3とPC4を用いるスコアプロットを図2に示す。
【0047】
得られたパターン認識結果を最適化するために、順位の消去が続くエフェクターの順位付けが実行された。各エフェクター化合物の影響を評価するために、%−呼吸活性の標準偏差が表4における各行を通して計算される。この方法によれば、個々のエフェクターのそれらの寄与の重要性に対しての順位付けが10の生物の間で異なることを見つけることができる。
【0048】
【表5】

【0049】
個々のエフェクター化合物でのより高い標準偏差値は、スコアプロットでの生物のグループ分けでのエフェクターでのより大きな重要性を示すと考えられる。そして、エフェクター(行)は、データマトリックスから累積的に削除され、ベータ−グリセロリン酸塩で開始し、表5の下から上へ続く。
【0050】
図3は、最初の16のエフェクター化合物を用いて、換算行列から得られたPC3とPC4のスコアプロットを示す。さらに、E. coliの亜種(2つの野生型の株E. coli BとE. coli Neotype、及び2つの実験室株E. coli JM105とE. coli HB 101)は、他の種を表すクラスターに関して、互いに近接近でクラスター化される識別可能な部分集団を形成する。
【0051】
9のエフェクター化合物へのマトリックスのさらなる換算は、図4に示すように、PC2、PC3、PC4の3次元予測を用いることが可能である。これは、本発明の検定法は、より複雑な数学的方法を用いる微生物同定のために使用することができることを例証する。
【0052】
(実施例4)
未知の微生物サンプルの同定のための確立法
本実施例では、実験は、実施例3と同じに実施され、微生物の10の株での参照データベースを確立するために、表4に示すデータを用いた。参照データベースでは、各微生物との各エフェクター化合物での10の個々の測定が信頼区間にそって平均呼吸活性値の確立を許容する。未知の生物で実施されたバッチ実験(実施例3に記載されている)はエフェクター化合物あたり2つの測定をもたらす。これらの2つの値は平均化され、この平均は参照データベースでの各生物での同じエフェクターでの90%の信頼区間と比較される。「エフェクターマッチ」は、未知の生物での測定が参照データベースの1つの生物との同じエフェクター化合物での信頼区間内であるときに、エフェクターのために示される。「オーバーオールマッチ」は、エフェクターの全体数(22)によって除される任意の生物とのエフェクターマッチの数として簡単に計算される。
【0053】
表6は、確立したライブラリーに対して、10の未知のサンプルの3つの複製の測定の比較から得られた結果を示す。高いパーセンテージのマッチの値は、未知の培養物が参照データベースから既知のサンプルとしてエフェクター化合物との呼吸反応の同じパターンを本質的に提供することを示す。30の未知のもののそれぞれで最も高いパーセンテージのマッチの値は同じ生物に相当するデータベースの導入で得られることが表6でわかることができる。
【0054】
これらの結果は、エフェクター化合物と電気化学的に測定した呼吸活性反応のパターンを未知の微生物の同定で用いることができることを実証する。
【0055】
【表6】

【0056】
上述の実施例は例証のみである。本発明が上述の実施例に限定されることはない。多くの変形例は、この分野に知識を有するものにとって明らかであり、このような変形例は、本明細書で明らかに言及されているか否かに関わらず、記載されクレームされた本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、実施例1からのEnterobacter aerogenes ATCC 13048eサンプルでの時間に対する消費電荷のプロットを示す。2つのプラチナ電極(領域=0.017cm)間の電位差は−100mVで固定される。示されるトレースは、繰り返し測定であり、10mMの(a)グルコース、(b)乳酸、(c)ピルビン酸、(d)アルギニンの存在下で、(e)硝酸カリウム中で得られた。
【図2】図2は、10の微生物株を識別するために、22の異なるエフェクター化合物を用いて得られた、呼吸活性データの主成分分析からのスコアプロットを示す。
【図3】図3は、10の微生物株を識別するために、16のエフェクター化合物を用いて得られた、呼吸活性データの主成分分析からのスコアプロットを示す。スコアプロットはPC2とPC4で見つけられた変化を用いて作成された。
【図4】図4は、10の微生物株を識別するために、9のエフェクター化合物を用いて得られた、呼吸活性データの主成分分析からの3次元スコアプロットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物を同定する方法であって、
a)未知の微生物の試験サンプルを取得し、
b)中間体又は中間体混合物を前記試験サンプルにエフェクターの存在下で添加し、
c)前記微生物の呼吸速度のバラツキを所定の時間で評価し、及び、
d)前記微生物の前記呼吸速度のバラツキを前記エフェクターにさらされた既知の微生物の呼吸速度のバラツキと比較し、これによって前記試験サンプル中の前記未知の微生物を同定するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載された方法であって、中間体又は中間体混合物を前記試験サンプルに添加するステップは、前記中間体を添加する前に前記試験サンプルを前記エフェクターの溶液に一定時間で混合することを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載された方法であって、前記中間体又は中間体混合物は酸化剤を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載された方法であって、前記中間体又は中間体混合物は、フェリシアン化物、ジクロロフェノール−インドフェノール(DCIP)、フェロセン及びフェロセン誘導体、メチレンブルー、ヤーヌスグリーン、トリス(ビピリジル)鉄(III)、キノン、又はフェナジンであることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載された方法であって、前記キノンは、ベンゾキノン、ナフトキノン、メナジオン、アントラキノン、又はこれらの置換誘導体であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項4に記載された方法であって、前記フェナジンは、フェナジンメトサルフェート又はフェナジンエトサルフェートであることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載された方法であって、前記未知の微生物と既知の微生物の前記呼吸速度は電気化学的測定を用いて評価されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載された方法であって、前記電気化学的測定が複電流滴定又は電量分析であることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7に記載された方法であって、前記未知の微生物及び前記既知の微生物の呼吸速度が中間体の消費の電気化学的測定によって評価されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載された方法であって、前記所定の時間が15分以下であることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載された方法であって、前記未知の微生物が成長停止状態にあることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載された方法であって、呼吸速度のバラツキを評価するために複数のエフェクターが別々に用いられることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載された方法であって、前記エフェクターは、コハク酸塩、D−キシロース、D−ラクトース、オルニチン、アルファ−ケトグルタル酸塩、ベータ−グリセロリン酸塩、D−フルクロース、スクロース、L−リシン、乳酸、L−アルギニン、D−ソルビトール、ギ酸、L−トリプトファン、D−ガラクトース、L−ラムノース、D−アラビノース、ピルビン酸、クエン酸、マロン酸、D−マンノース、ベータ−サイクロデキストリン、硝酸塩及びグルコースからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項14】
グラム陽性及びグラム陰性のバクテリアを識別する方法であって、
a)バクテリアの試験サンプルを取得し、
b)脂溶性の酸化還元中間体を含む中間体混合物を前記試験サンプルに添加し、
c)前記バクテリアの呼吸速度のバラツキを所定の時間で評価し、及び、
d)前記バクテリアの前記呼吸速度を前記脂溶性の酸化還元中間体にさらされていない同じバクテリアの別のサンプルの呼吸速度と比較し、呼吸速度の有意な変化がグラム陽性のバクテリアの存在を示し、呼吸速度の有意でない変化がグラム陰性のバクテリアの存在を示すステップを有することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載された方法であって、前記脂溶性の酸化還元中間体が酸化剤を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載された方法であって、前記中間体又は中間体混合物は、フェリシアン化物、ジクロロフェノール−インドフェノール(DCIP)、フェロセン及びフェロセン誘導体、メチレンブルー、ヤーヌスグリーン、トリス(ビピリジル)鉄(III)、キニーネ、又はフェナジンであることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載された方法であって、前記キノンは、ベンゾキノン、ナフトキノン、メナジオン、アントラキノン、又はこれらの置換誘導体であることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16に記載された方法であって、前記フェナジンは、フェナジンメトサルフェート又はフェナジンエトサルフェートであることを特徴とする方法。
【請求項19】
複数株の微生物のうち個々の株の微生物を識別する方法であって、
a)各個々の株の微生物のうち複数のサンプルを複数のエフェクター化合物の存在下で培養し、各サンプルを別々に前記複数のエフェクター化合物のうち1つと中間体化合物の存在下で培養し、
b)各微生物の呼吸速度のバラツキを各エフェクター化合物の存在下で所定の時間で評価し、及び、
c)中間体化合物の存在下でエフェクター化合物で培養された各個々の株の微生物のうち各サンプルでの呼吸速度のバラツキのデータ測定を、前記個々の株の微生物間で識別特徴を強調するように変換するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載された方法であって、前記個々の株の微生物間の呼吸速度のバラツキに対する各個々のエフェクター化合物の寄与にしたがって個々のエフェクター化合物の有効性を順位付けすることをさらに有することを特徴とする方法。
【請求項21】
複数株の微生物のうち個々の株の微生物を識別する方法であって、
a)各個々の株の微生物のうち複数のサンプルを複数の中間体化合物の存在下で培養し、各サンプルを別々に前記複数の中間体化合物のうち1つとエフェクター化合物の存在下で培養し、
b)各微生物の呼吸速度のバラツキを各中間体化合物の存在下で所定時間に対し評価し、及び、
c)エフェクター化合物の存在下で中間体化合物で培養された各個々の株の微生物のうち各サンプルでの呼吸速度のバラツキのデータ測定を、前記個々の株の微生物間の識別特徴を協調するように変換するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載された方法であって、前記個々の株の微生物間の呼吸速度のバラツキに対する各個々の中間体化合物の寄与にしたがって個々の中間体化合物の有効性を順位付けすることをさらに有することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−513636(P2007−513636A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544185(P2006−544185)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【国際出願番号】PCT/CA2004/002076
【国際公開番号】WO2005/056818
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(506203718)ラピッド ラボラトリー マイクロシステムズ インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】RAPID LABORATORY MICROSYSTEMS INC.
【住所又は居所原語表記】69 Shanley Street, Kitchener, Ontario N2H 5N7 (CA)
【Fターム(参考)】