説明

微生物資材の培養・製造装置

【課題】 製造施設費全体及び運搬のコストダウンを図ると共に、製造及び運搬工程の短縮化を図る。
【解決手段】 第1の培養槽1と第2の培養槽2とは熱源機3に対して並列に接続され、第1及び第2の培養槽1,2はいずれも第1及び第2の保温箱11,21と、この第1及び第2の保温箱内に保温状態にそれぞれ収納してある第1及び第2の培養液タンク12,22を設け、第1及び第2の培養液タンク12,22は微生物資材を生成するための材料が調合された状態の培養液を貯留可能であって、内底部に第1及び第2の熱交換ユニット5,6を配置し、第1及び第2の熱交換ユニットは配管7A,7Bを通じて熱源機3に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、微生物を主体とした環境浄化材である微生物資材の培養・製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
愛媛県松山市久米窪田町487−2所在の愛媛県産業技術研究所は、自然界にある真正細菌の中で、特に、酵母・乳酸菌・納豆菌を主体に糖蜜等を用いて、独自の製法で発酵培養させた酵素を含む複合微生物菌群を開発して公開し、これを「環境浄化微生物」と呼んでいる。
上記真正細菌とは、いわゆる細菌・バクテリアのことであり、大腸菌、枯草菌、シアノバクテリア等を含む生物群のことである。
上記愛媛県産業技術研究所では、上記環境浄化微生物を海の浄化や、工場排水、生活排水の発生源汚濁防止対策として使用できないか、という目的で研究が始まり、開発の結果、環境浄化のための微生物としての「えひめ AI」(登録商標)が発表され、国内で多くの使用例や効能が報告されている。
「えひめ AI」には「AI−1」(商品名)と「AI−2」(商品名)の2種類存在する。この「AI−1」及び「AI−2」は、愛媛県産業技術研究所のホームページに、「環境浄化微生物利用マニュアル」及び「『えひめ AI−2』の作り方と使い方」として、公開されている。
一方の「AI−1」については、上記環境浄化微生物利用マニュアルによれば、活性汚泥処理、生ゴミ処理、魚肥製造及び家畜糞尿処理にそれぞれ利用されている浄化剤である。
また、他方の「AI−2」については、上記えひめAI−2の作り方と使い方によれば、その製造方法は次のとおりである。
1.原料(500mlを作る場合)
納豆(粘液でも可) 1粒
ヨーグルト(飲むヨーグルトも可) 25g
ドライイースト 2g
白砂糖や三温糖等 25g
水道水 約450ml
2.器材 ペットボトル(500ml)
3.製法
・ペットボトルに納豆、ヨーグルト、ドライイースト、砂糖を計量し、混入
する。
・水道水を約450ml加えてよく攪拌する。
・よく混ざったものを30〜40℃で1週間培養する。
・培養液のpHをpH試験紙で確認する。
培養開始時のpHは約4〜5であるが、1週間後にpH3〜4になり、
パンや酒のような香り(発酵臭)がすれば成功である。
4.使用範囲とその効果
・浄化槽での使用・・・・・消臭
・台所での使用・・・・・・ヌメリの除去
・浴槽での使用・・・・・・湯あか取り
・生ゴミ処理での使用・・・消臭や発酵促進剤
上記「AI−1」は酵母・乳酸菌・納豆菌を主体に糖蜜等を用いて発酵培養させたものであり、産業用として利用することを目的としている。
上記「AI−2」は納豆、ヨーグルト及びドライイーストを主体に砂糖等を用いて発酵培養させたものであり、家庭用として利用することを目的としている。
両者は製法及び原料に多少の相違があるものの、その効果は同じである。
【0003】
上記「AI−2」を量産するにあたっては、ヨーグルト等の乳酸菌飲料を製造する「湯せん」と呼ばれる製造方法を用いることが多い。それは、下記に示すとおり、微生物を急激に加熱することなく、徐々に均一に温め、増殖を促進できるからである。微生物を主体とした環境浄化材(以下「微生物資材」という。)の培養についても、この製造方法による培養が適しており、量産にも向いているといえる。
図9及び図10に示す製造装置は、上記微生物資材を培養・量産するのに適した構造を有している。
図示する製造装置は、複数の培養槽101及びヒートポンプ熱源装置102を備えている。
各培養槽101は、土台110上に設置した横に長い保温チェンバー103と、湯せん容器104と、この湯せん容器内に複数並べて配置してある培養液貯留タンク105とからなる。保温チェンバー103の上端に開口部を形成してあり、この開口部が保温蓋103aによって覆われている。保温チェンバー103の内壁面と湯せん容器104の内壁面との間には、図面上点で示している断熱材(又は保温材)106を充填してあって、湯せん容器の温度を一定に保っている。
湯せん容器104は保温チェンバー103に収納されている。湯せん容器104の内底部側には、すのこ状の保持台107を内底面より高い位置に設けてある。保持台107内には供給側の温水パイプ108及び戻り側の温水パイプ109が配管されており、温水パイプ108から温水が湯せん容器104内に供給され、この湯せん容器内には上端開口近いレベルまで温水が貯留されている。保持台107上には、培養液貯留タンク105が図左右方向に複数(図示の例では8個)並べられている。各培養液貯留タンク105内には各種の材料が調合された培養液が入れてある。培養液貯留タンク105は湯せん容器104内の温水中に配置されている。
ヒートポンプ熱源装置102は、図9に示す例では2列に配置してある培養槽101に接続されている。ヒートポンプ熱源装置102は、温水パイプ107から供給される温水の温度設定をする。
湯せん容器104内において、各培養液貯留タンク105の培養液は、温水パイプ108から供給される温水によって、全体が均一にゆっくりと加温され、常時全体を40℃前後に保つことにより、発酵培養の促進が図られ、微生物資材が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】愛媛県産業技術研究所発行の環境浄化微生物利用マニュアル
【非特許文献2】愛媛県産業技術研究所発行のえひめAI−2の作り方と使い方
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の製造装置では、製造施設の規模が大きいために、材料(原料)の調合や混合作業性、材料や製品の保管等の観点から、屋外における作業は事実上不可能で、建屋を伴った製造施設が必要である。また、製造工程において、湯せんを行うために、別途容器や機材により材料を混合、撹拌した後に個別容器に移し替え湯せん容器への装填といった工程が必要である。このため、建屋等の建設費や管理費を要し、製品原価が高くつく難点があり、製造に手間を要していた。
また、製品(製造した微生物資材)を使用場所へ運搬しなければならず、運搬費がかかる問題が生じる。使用場所が遠隔地の場合、製品のさらなる運搬コスト増が伴い割高になる。
この発明の目的は、製造施設費全体及び運搬のコストダウンを図ると共に、製造及び運搬工程の短縮化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る微生物資材の培養・製造装置は、第1の培養槽及び第2の培養槽と、第1及び第2の培養槽にそれぞれ接続されている熱源機等の熱源を備えている。上記第1の培養槽及び第2の培養槽は上記熱源に対して並列に接続されており、上記第1及び第2の培養槽は、いずれも第1及び第2の保温箱と、この第1及び第2の保温箱内に保温状態にそれぞれ収納してある第1及び第2の培養液タンクを設けてあり、上記第1及び第2の培養液タンクは、微生物資材を生成するための材料が調合された状態の培養液を貯留可能であって、内底部に第1及び第2の熱交換ユニットを配置してあり、上記第1及び第2の熱交換ユニットは配管を通じて上記熱源に接続されている。
上記第1及び第2の培養液タンクを保温する手段として、例えば、上記第1の培養槽及び第2の培養槽の各内面と第1及び第2の保温箱の各外面との間に保温材を充填して、上記第1及び第2の培養槽外からの外気温を遮断する。
上記第1及び第2の熱交換ユニットの構造としては、一例として、取付け受け台、複数の保持棒及び渦巻き状の熱交換チューブを備えているものを用いる。この例では、上記取付け受け台上に間隔を開けて保持棒を起立させてあり、上記熱交換チューブは保持棒間を挿通している。また、他の例として、第1及び第2の熱交換ユニットは、十字状に組み立てたベースフレームからなる取付け受け台、複数の保持棒及び渦巻き状の熱交換チューブを備えており、上記取付け受け台の各ベースフレーム上に間隔を開けて保持棒を起立させてあり、上記熱交換チューブは保持棒間を挿通しているものを用いる。
また、上記第1及び第2の培養槽の中に、培養液を撹拌し循環させる水中循環ポンプを設置して、培養・製造の短縮や品質向上を図るものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、第1及び第2の培養槽を用いる2槽式であるから装置の構造を単純化することができると共に従来例と比較して広い設置スペースが不要であり、製造施設費のコストダウンを図ることができ、屋外でも設置することができる。
この発明によれば、微生物資材の培養・製造と保管とを交互にすることができるから、常時、上記微生物資材を環境浄化のために利用をすることができ、利用時に培養・製造がされるまで待つ必要がない。
この発明によれば、必要な設置場所に設置できて、そこでの上記微生物資材の利用が可能となり、製造工程が簡略化することができ、製品の運搬の手間の問題を解決することができ、運搬費のコストダウンに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明に係る微生物資材の培養・製造装置を示す正面図であって、主要部分を断面にして示す図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】この発明に係る微生物資材の培養・製造装置に使用する第1の培養槽の断面を拡大して示す正面図である。
【図4】この発明に係る微生物資材の培養・製造装置に使用する第1の熱交換ユニットを示す拡大平面図である。
【図5】この発明に係る微生物資材の培養・製造装置に使用する第1の熱交換ユニットを示す拡大正面図である。
【図6】図4の第1の熱交換ユニットにおける取付け受け台を示す拡大平面図である。
【図7】この発明に係る微生物資材の培養・製造装置を示す正面図であって、主要部分を断面にし、かつ水中循環ポンプを組み込んでいる状態を示す図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】従来の微生物資材の製造装置の主要部を断面にして示す平面図である。
【図10】図9の第1列目の培養槽を断面にして示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1及び図2に示す微生物資材の培養・製造装置は、第1の培養槽1及び第2の培養槽2と、第1及び第2の培養槽にそれぞれ接続されている熱源である熱源機3を備えている。
第1及び第2の培養槽1,2及び熱源機3はいずれも設置台4に設置されている。
まず、第1及び第2の培養槽1,2について説明するが、これら培養槽は互いに実質的に同一構成であるので、第1の培養槽について具体的に説明し、第2の培養槽における具体的な構造説明を省略する。
【0010】
図1〜図3に示す第1の培養槽1は、外装ケースである第1の保温箱11と、この第1の保温箱内に収納してある第1の培養液タンク12とを設けてある。
第1の保温箱11は上側開口が上蓋11aで覆われている。保温箱11の底部は、その内底部に図示の例では井桁状に組み立てられているステー11bによって補強されている。各保温箱11は、その材質として、風雨防止を図り、また箱外の環境からの影響を遮断するために、例えばステンレス製のもの等が使用される。また、第1の保温箱11内には、発泡スチロールやウレタンフォーム等の部材からなる保温材11cを配置してある。保温材11cは図面上点(ドット)で示してある。保温材11cは、保温箱11の内面と、第1の培養液タンク12の外面との間に充填されており、この第1の培養液タンク全体を囲むようにその外側から覆っている。保温材11cによって、第1の保温箱11内の保温温度は外気温度に影響されることなく、所定の値に維持されることになる。
【0011】
第1の培養液タンク12について、図1〜図3を参照して説明する。
第1の培養液タンク12内には、微生物資材を生成するための材料が調合された状態の培養液8Aが、開口部12b(図3)から内部に所定量投入されている。図3に示す第1の培養液タンク12では、タンク容量が500l(リットル)の合成樹脂製の既製のタンクを使用している。
図3に示すように、第1の培養液タンク12の上端の開口部12bは開閉蓋12aによって封止されている。第1の培養液タンク12の内底部には第1の熱交換ユニット5を配置してある。
第1の培養液タンク12は、第1の熱交換ユニット5の存在によって培養液8Aの貯留タンクであると共に、培養タンクでもある。
なお、第1の培養液タンク12内は酸性の強い培養液8Aに浸される可能性があるので、腐食防止の観点から金属部分はステンレス製であることが望ましい。
【0012】
第1の熱交換ユニット5は、図4及び図5に示すように、十字状の取付け受け台51、保持棒52及び渦巻き状の熱交換チューブ53からなる。
図4〜図6において、取付け受け台51は2本のベースフレーム51a,51bと、各ベースフレームに起立させてある複数の保持棒52とからなる。ベースフレーム51a,51bは十字に組み合わせられたステンレス製のものであり、例えば一方51aには角棒状のフレーム、他方51bには丸棒状のフレームが使用されている。各ベースフレーム51a,51b上に外側の両端から交差する中心部に向けて所定の間隔を開けて等長の複数の保持棒52を並べて起立状態に配置してある。
熱交換チューブ53は不凍液循環用の管であって、所定長(例えば120m)の合成樹脂製管を用いている。熱交換チューブ53は、不凍液の入口側53aから出口側53bに向けてかつ下側から上側に向けて上昇しながら螺旋状に巻かれている。熱交換チューブ53の渦巻きの過程では、図4〜図6に示すように取付け受け台51の上下左右四箇所の隣接する保持棒52間を通るために、渦巻き状態は各ベースフレーム51a,51b上に保持棒52によって安定的に保持されることになる。
熱交換チューブ53は、入口側53a及び出口側53bがそれぞれ熱源機3に接続されている(図3)。熱交換チューブ53内には、その入口側53aに連通している熱源機3から加熱された熱媒体である不凍液が供給される。
【0013】
熱源機3にはヒートポンプ及びボイラー等が用いられる。熱源機3は第1の培養槽1の外側(図1右側)に配置され、設置台4の外側に張り出してある熱源機載置台部4b上に設置されている。
【0014】
図1及び図2に示す第2の培養槽2において、第2の保温箱21、上蓋21a、ステー21b、保温材21c、第2の培養液タンク22、開閉蓋22a、第2の熱交換ユニット6(取付け受け台61、ベースフレーム61a,61b、保持棒62、熱交換チューブ63、熱交換チューブの入口側63a、熱交換チューブの出口側63b)及び培養液8Bは、第1の培養槽1における第1の保温箱11、上蓋11a、ステー11b、保温材11c、第1の培養液タンク12、開閉蓋12a、第1の熱交換ユニット5(取付け受け台51、ベースフレーム51a,51b、保持棒52、熱交換チューブ53、熱交換チューブの入口側53a、熱交換チューブの出口側53b)及び培養液8Aにそれぞれ対応している。
図2に示すように、熱交換チューブ53と熱交換チューブ63とは渦巻き方向が互いに反対である。
【0015】
図1において、第1の培養槽1及び第2の培養槽2は、設置台4の載置台部4a上に並んでかつ隣接して設置されている。
第1の培養槽1及び第2の培養槽2は、熱源機3に対して配管7A,7Bを介して並列的に接続されている。一方の配管7Aは供給側であり、この配管の分岐管7A1,7A2が第1の培養槽1及び第2の培養槽2の熱交換チューブ53,63の入口側53a,63aに接続されている。他方の配管7Bは戻り側であり、この配管の分岐管7B1,7B2が第1の培養槽1及び第2の培養槽2の熱交換チューブ53,63の出口側53b,63bに接続されている。
熱源機3の温度設定制御は、第1の培養槽1の保温箱11の側壁に取付けてある制御盤9によって行われる。
図1に示す符号10A1は第1の培養槽1及び第2の培養槽2に設けてあって、それぞれが貯留している培養液8A,8Bを槽外に排出するため排出口である。図3に示す符号10A2は第1の培養槽1に設けてあって、製造された培養液の取り出し口であり、同様の取り出し口を図示していないが、第2の培養槽2にも設けてある。
【0016】
次に、微生物資材の培養・製造方法について説明する。
仮に、第1の培養槽1の第1の培養液タンク12内に貯留してある培養液8Aは、微生物資材用に調合された発酵培養前のものとし、第2の培養槽2の第2の培養液タンク22内に貯留してある培養液8Bは、製造された微生物資材のものであるとして説明する。
この例では、第1の培養槽1において微生物資材用に調合された微生物資材を培養して製造をする。製造時では、熱源機3から配管7Aを通じて熱交換チューブ53内に送られてくる所定温度に加温された不凍液は、入口側53aから出口側53bに向けて螺旋状に上昇し、この出口側から熱源機3側へ送られる過程を繰り返して、熱交換チューブ53内は約38℃前後の設定温度で循環される。熱交換チューブ53内の循環される不凍液の熱は、第1の培養液タンク12内の培養液8Aに効率良く伝導させることができ、培養液の材料の発酵が最大限発揮されることになる。同時に、第1の培養液タンク12内の培養液8Aは、第1の保温箱11内に保温材11cを通じて36℃〜38℃に保温され、管理される。培養必要期間として一週間経過すると、第1の培養液タンク12内の培養液8Aは、発酵培養が完了され、微生物資材の培養液として製品化される。
第1の培養槽1において微生物資材の発酵培養をしている間(上例では一週間)は、第2の培養槽2では微生物資材の保管をし、管理温度設定を熱源機3により行うと共に、取り出し口(図示せず。)から必要な量の培養液8Bを取り出して利用する。
微生物資材の発酵培養を終了した時点では、第2の培養槽2の管理されている培養液8Bはほぼ又は全くなくなるので、第2の培養槽で微生物資材の発酵培養を一週間かけて行い、その間、第1の培養槽1における第1の培養液タンク12内の培養液8Aを取り出し口10A2(図3)から必要な量の培養液を取り出して利用する。
このように、一方の培養槽(例えば第1の培養槽1)では上記微生物資材用に調合され材料を含む培養液を発酵培養して製造をしている間、他方の培養槽(例えば第2の培養槽2)では製造された上記微生物資材の培養液の保管をし、利用するものであり、熱源機3からの温度管理に基づいて第1の培養槽1及び第2の培養槽2が上記微生物資材の培養・製造と保管の役割を交互にする。
【0017】
本培養・製造装置は第1及び第2の培養槽1,2を用いる2槽式であって、1台の熱源機3によって上記微生物資材の培養・製造と保管とを交互にすることができるから、装置の構造を単純化することができると共に従来例と比較して広い設置スペースが不要であり、設備施工費のコストダウンを図ることができ、屋外でも設置することができる。第1及び第2の培養槽1,2によって培養・製造と保管とを交互にすることができるから、常時、上記微生物資材を環境浄化のために連続的かつ安定的に利用することができ、利用時に培養製造がされるまで待つ必要がない。また、環境浄化に必要な施設、例えば高速道路のサービスエリアでは、本培養・製造装置を設置しておけば、その場所で必要な微生物資材の培養・製造が行え、浄化槽の消臭や生ゴミ処理における消臭や発酵促進剤として、その設置場所での利用が可能となり、製造工程の短縮化が可能となり、製品の運搬の問題を解決することができ、製品の扱いが容易であり、特に、遠隔地でも本培養・製造装置を簡単に設置することできるから便利である。
【0018】
微生物資材の培養・製造の短縮や品質向上を図るために、図7及び図8に示すように、微生物資材の培養・製造装置の第1及び第2の培養液タンク12,22内に水中循環ポンプ200を組み込む構成としても良い。
水中循環ポンプ200は、図示の例によれば、第1及び第2の熱交換ユニット5,6の渦巻き状の熱交換チューブ53,63の中央部上部にそれぞれ配置されている。各水中循環ポンプ200は台板201上に固定されており、支持部材202を介して第1及び第2の培養液タンク12,22の底面から所定距離離れた上方の位置で保持されている。各水中循環ポンプ200は、その上部に吸い込み口203と吐出口204とを設けてある。各水中循環ポンプ200内には培養液8A,8Bを循環可能なポンプ本体(図示せず。)が内蔵されている。各水中循環ポンプ200のポンプ本体により吸い込み口203からポンプ内に吸い込まれた培養液8A,8Bは図示していない循環水路を経て吐出口204から第1及び第2の培養液タンク12,22に吐出され、還流される。培養液8A,8Bの吸い込みから吐出まではゆっくり時間をかけて行う。
こうすることにより、第1及び第2の培養液タンク12,22内の培養液8A,8Bは、水中循環ポンプ200の作動によって、撹拌され、循環される。
なお、水中循環ポンプ200の制御は、第1及び第2の培養槽,2の外部に設けてある制御手段及び電源(いずれも図示していない。)を通じて行う。
【0019】
製品の必要量や設置場所等により、第1及び第2の培養槽1,2における培養液タンク12,22の容量を適宜変更する。
本培養・製造装置は家庭、飲食店、公共施設その他環境浄化を必要とする場所に設置して、その利用を図ることができる。
本培養・製造装置において、前記「えひめ AI」に代表される環境浄化微生物資材の培養・製造のみならず、微生物を主体とする環境浄化材の培養・製造にも広く使用することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 第1の培養槽
11 第1の保温箱
11c 保温材
12 第1の培養液タンク
2 第2の培養槽
21 第2の保温箱
21c 保温材
22 第2の培養液タンク
3 熱源機
5 第1の熱交換ユニット
51 取付け受け台
52 保持棒
53 熱交換チューブ
6 第2の熱交換ユニット
61 取付け受け台
62 保持棒
63 熱交換チューブ
7A,7B 配管
8A,8B 培養液
200 水中循環ポンプ
203 吸い込み口
204 吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の培養槽及び第2の培養槽と、第1及び第2の培養槽にそれぞれ接続されている熱源を備えており、
上記第1の培養槽及び第2の培養槽は上記熱源に対して並列に接続されており、
上記第1及び第2の培養槽は、いずれも第1及び第2の保温箱と、この第1及び第2の保温箱内に保温状態にそれぞれ収納してある第1及び第2の培養液タンクを設けてあり、
上記第1及び第2の培養液タンクは、微生物資材を生成するための材料が調合された状態の培養液を貯留可能であって、内底部に第1及び第2の熱交換ユニットを配置してあり、
上記第1及び第2の熱交換ユニットは配管を通じて上記熱源に接続されている
ことを特徴とする微生物資材の培養・製造装置。
【請求項2】
第1の培養槽及び第2の培養槽の各内面と第1及び第2の保温箱の各外面との間に保温材を充填してあることを特徴とする請求項1記載の微生物資材の培養・製造装置。
【請求項3】
第1及び第2の熱交換ユニットは、取付け受け台、複数の保持棒及び渦巻き状の熱交換チューブを備えており、上記取付け受け台上に間隔を開けて保持棒を起立させてあり、上記熱交換チューブは保持棒間を挿通していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の微生物資材の培養・製造装置。
【請求項4】
熱源は熱源機であり、第1及び第2の熱交換ユニットは、十字状に組み立てたベースフレームからなる取付け受け台、複数の保持棒及び渦巻き状の熱交換チューブを備えており、上記取付け受け台の各ベースフレーム上に間隔を開けて保持棒を起立させてあり、上記熱交換チューブは保持棒間を挿通していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の微生物資材の培養・製造装置。
【請求項5】
第1及び第2の培養液タンク内に吸い込み口及び吐出口を有する水中循環ポンプを設けてあり、上記水中循環ポンプは渦巻き状の熱交換チューブの中央部分に配置されており、上記水中循環ポンプは内部に第1及び第2の培養液タンク内の培養液をポンプ本体により上記吸い込み口から吸い込みかつ上記吐出口から吐出可能であると共に、上記培養液を撹拌循環させるものであることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の微生物資材の培養・製造装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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