説明

微破砕品輸送用コンテナ

【課題】容器本体の底部を開いて内容物を排出するためのレバー操作を容易に行える微破砕品輸送用コンテナを提供する。
【解決手段】容器本体に内容物を貯留して輸送し、容器本体の底部を開いて内容物を排出する構成を備えたコンテナとして、容器本体11が内容物を貯留する容器部分12と、容器部分を取り囲んで設けられ、貯留されている内容物を含むコンテナ全体の荷重を負担するフレーム13とから成り、上記容器部分に設けられた排出口14を開閉するために、底蓋28を容器部分の底部に設け、底蓋とフレームの間には、概ね前後方向へ移動可能な底蓋開閉機構32、33を複数個設けるとともに、それら底蓋開閉機構の端部はフレームに軸支した複数個のレバー35に取り付け、上記複数個のレバーを左右方向の操作部材40を用いて連結した構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体に内容物を貯留して輸送し、容器本体の底部を開いて内容物を排出する構成を備えた微破砕品輸送用コンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
再利用することができる各種のプラスチック、ガラス、紙、金属などはいわゆる資源として積極的に回収されており、その回収再資源化のシステムも確立している。回収物は微小な破片に破砕され、微破砕品としてコンテナに貯留し輸送される。その輸送のために、従来は、ボックス型パレットなどと通称される容器が使用されており、微破砕品は外部から搬入されると、フォークリフトを用いて、選別ラインなどの投入設備から工程に投入される。
【0003】
この種の輸送に使用されているパレットは、例えば、特開2002−160734号に開示されているような構造のものが一般的であり、上記発明のものは文字通り箱形の構造であるので容量は大きいが重量も大きい。大重量のパレットにおいて底蓋が全体で開く構造であるため、その大重量を支えている底蓋の開閉に要する力も大きく、閉じている底蓋を開くにはボックスパレットの一側面にしか設けられていないレバーを操作する必要がある。このレバーは、フォークリフトを運転している者がフォークリフトに乗ったままで、操作できるようになっているが、より低い位置にいる者がレバー操作をするときは注意を要する。また、パレットへのフォークの差し込み方向が4方向から可能である場合など、レバーとの位置関係によってはドライバーと操作する者との2名を必要な場合もあり、作業上の負担になる。
【0004】
いわゆるボックスパレットの場合には立方体又は直方体の容器本体の内部の隅々にまで微破砕品が充填されているので、内容物を完全に排出するには底面全体を開放しなければならない。このため、底蓋の開放と同時に微破砕品が猛烈な勢いで落下し、粉塵を巻き散らすことになり、作業環境の悪化を招いている。また、ボックスパレットでは底蓋を片開きとすると、下方に十分な空所がなければ完全には開けず、両開きとすれば改善されるものの、開閉構造が複雑化するという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開2002-160734号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、容器本体の底部を開いて内容物を排出するためのレバー操作を容易に行える微破砕品輸送用コンテナを提供することである。また、本発明の他の課題は、作業環境の悪化を招くことがなく、かつ、作業性を向上することが可能な微破砕品輸送用コンテナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため、本発明は、容器本体に内容物を貯留して輸送し、容器本体の底部を開いて内容物を排出する構成を備えたコンテナとして、容器本体は内容物を貯留する容器部分と、容器部分を取り囲んで設けられ、貯留されている内容物を含むコンテナ全体の荷重を負担するフレームとから成り、上記容器部分に設けられた排出口を開閉するために、底蓋を容器部分の底部に設け、底蓋とフレームの間には、概ね前後方向へ移動可能な底蓋開閉機構を複数個設けるとともに、それら底蓋開閉機構の端部はフレームに軸支した複数個のレバーに取り付け、上記複数個のレバーを左右方向の操作部材を用いて連結した構成を有するものとするという手段を講じたものである。
【0008】
本発明の微破砕品輸送用コンテナは、特に、プラスチックやガラスの微破砕品を扱うものである。例えば、プラスチックの微破砕品には金や銅などの有用金属が混じっていることがあるので、それらを分離することが必要であり、分離作業を液中で行う湿式選別ライン等では、選別ラインの外部に設けられたホッパーから微破砕品の投入を行う。
【0009】
本発明における容器本体は、内容物を貯留する容器部分と、容器部分を取り囲んで設けられ、貯留されている内容物を含むコンテナ全体の荷重を負担するフレームとから成る。容器部分とフレームとから成るため、それらの間にレバーやその操作のための機構を設ける余地が生ずる。なお、本発明では底蓋の移動方向を前後方向とし、それと直交する方向を左右方向としたが、あくまで説明の便宜上の方向付けでありそれ以上の意味はない。
【0010】
上記容器部分に設けられた排出口を開閉するために、底蓋を容器部分の底部に設け、底蓋とフレームの間には、前後方向へ移動可能な底蓋開閉機構を複数個設けるとともに、それら底蓋開閉機構の端部はフレームに軸支した複数個のレバーに取り付け、上記複数個のレバーを左右方向の操作部材を用いて連結した構成を有するものとする。底蓋は容器部分の底部に設けるものとし、大面積の容器部分から小面積の排出口へ向かって、内容物が流出する構造であることが望ましい。
【0011】
容器部分は上部にて最大の横断面積を有し、内容物を排出する排出口は容器部分の上部よりも小さい開口面積を有しており、その面積の大きい容器部分の上部から面積の小さい排出口へ向けて内容物を誘導するように、容器本体の下方へすぼまった傾斜部を設けるとともに、上記傾斜部と容器部分を取り囲むフレームとの間に空所を設定し、上記空所の左右両端に底蓋開閉機構を配置し、左右方向の操作部材を空所内に配置する構成とする。このような構成は、輸送能力の過度の低下を防止し作業性を向上させるので、本発明の課題を達成するために最も望ましいものである。
【0012】
上記のように、容器本体の下方へすぼまった傾斜部は微破砕品を残留させず、しかもスムーズに排出するものであるが、また、傾斜部を設けることによって、上記傾斜部と容器部分を取り囲むフレームとの間に空所が発生する。そこで、上記空所の左右両端に底蓋開閉機構を設けるとともに、左右方向の操作部材を空所内に配置することが可能になる。しかし、傾斜部を設けることで重量の軽減が可能になるが、内容物の積載量を減少させることにもなるので、前後2面のみに傾斜部を設けるのが望ましい。従って、左右2面は垂直のままとすることになるが、その場合でも下部に部分的に傾斜部を設けて排出を促進することは許容される。
【0013】
また、上記の底蓋開閉機構としては、底蓋の左右両端部に設けたフックと係合可能なロック部と、ロック部を直線移動させるために、フレームに軸支した複数個のレバーの回転を直線移動に変換するガイド部とを備えているものとすることができる。左右方向の操作部材によって、コンテナ側面の全域において底板を開閉する操作が可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のように構成されかつ作用するものであるから、容器本体の底部を開いて内容物を排出するためのレバー操作を、コンテナ側面の全域において容易に行なうことができ、作業性を向上することが可能になるという効果を奏する。また、本発明によれば、面積の大きい容器部分の上部から面積の小さい排出口へ向けて下方へすぼまった傾斜部を設けて、内容物を誘導することが可能になるので、微破砕品はスムーズに流動して落下し粉塵を無用に舞い上がらせることがないので、作業環境の悪化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図示の実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。図は本発明に係る微破砕品輸送用コンテナ10の一例を示すものであり、11は容器本体であって、容器本体11は内容物を貯留する容器部分12と、内容物を含むコンテナ全体の重量を負担するフレーム13とから構成されている。図示の例における容器部分12は直方体の箱型を基本形状とし、下部に後述する傾斜部15、16を設けたもので、従って、容器部分12を取り囲んでいるフレーム13は、基本形状の箱型よりもやや大きい直方体構造を有している。
【0016】
各図に示したことからも明らかであるが、容器部分12は上部にて最大の横断面積を有し、内容物を排出するため底部に設けた排出口14は容器部分12の上部よりも小さい、前後方向の長さにして3分の1ほどの長さに狭められた開口面積を有しており、その面積の大きい容器部分12の上部から面積の小さい排出口14へ向けて内容物を誘導するように、容器本体12の下方へすぼまった傾斜部15、16が設けられている(図3及び図4参照)。便宜的に図2を本発明におけるコンテナ10の正面とすると、紙面に垂直な方向が前後方向で手前が前、紙面の左右方向がコンテナ10の左右となる。
【0017】
傾斜部15、16は、基本形状である直方体の箱型の容器部分12の高さの数分の1の上部を残して、それよりも下部の前後両面に設けられており、容器部分12の左右の側面はほとんど垂直面に形成されている。傾斜部15、16の度合いとしては、水平面からの起き上がり角度が数十度、特には約40度とすることが内容物のスムーズな排出のために望ましい角度である。同様の目的で、容器部分12の左右の側面にも、その下部の一部に少しばかりの小斜面17、18が設けられており、従って、排出口14は四周全てが傾斜部15、16と小斜面17、18で構成されているといって良いことになる。
【0018】
フレーム13は、容器部分12を取り囲む構造として必要な、基本形状の箱型よりもやや大きい直方体構造を形成するために、長方形状の上枠19及び下枠20と、それらの四隅に位置する縦柱21、22、23、24を有している。下枠20はフォークリフトのフォークによる支持のための支持枠25と最下位に位置する底部枠26及びフォーク差し込み口27を有している(図4参照)。なお、フォーク差し込み口27はコンテナ10の前後左右にあり、いわゆる四方差しが可能な構造になっている。
【0019】
また、縦柱21、22、23、24は本発明のコンテナ10を段積みにする支持体を兼ねており、そのため上端部には凸部21a、22a、23a、24aを設け、下端部には上端部の凸部21a、22a、23a、24aを受け支えるために、凹状に形成した受け部21b、22b、23b、24bを設けている。受け部21b、22b、23b、24bは下方及び外方へ開いた凹状に形成され、かつ、内方に傾斜した壁面を有しており、上段のコンテナ10を載せる作業を円滑に実施することができる。28は補強用縦枠を示しており、フレーム13の上枠19及び下枠20を結合している。
【0020】
上記の排出口14を開閉するために、上下方向に移動可能な底蓋28を容器部分12の底部に設けるとともに、容器部分12とフレーム13の間には前後方向へ移動可能な底蓋開閉機構32、33を左右2個所に夫々設置する。底蓋28は排出口14の下に位置する下枠20に後端部の上部にて、支軸29により上下動可能に軸支され、開放時に吊り下げ状態になったときに一定の角度を取るように後面に傾斜壁28bが形成されており、傾斜壁28bには緩衝材28aが取り付けられている。30は開閉端部に設けて接地の移動を滑らかにする小車輪、31はフックであり、排出口14を閉鎖状態に保つ位置に底蓋28をロックする。
【0021】
底蓋開閉機構32、33は、底蓋28の左右両端部に設けた上記フック31と係合可能なロック部34と、ロック部34を直線移動させるために、フレーム13に軸支した複数個のレバー35の回転を直線移動に変換するガイド部36とを備えている(図8参照)。ロック部34は排出口14に臨むフレーム13の左右両側部にそれぞれ設置された摺動部37に前後移動可能に組み込まれている。また、ガイド部36は摺動部37の移動方向前方に設置されたガイド片38を有し、その前後方向のガイド長溝38aに沿って移動するように設けられた移動子39a及び移動子39aを一端に有し他端にてレバー35に取り付けたコネクティングロッド39を備えている。
【0022】
上記左右2個のレバー35は、左右方向の操作部材40を用いて連結しており、操作部材40は容器部分12の左右方向のほぼ全幅に及ぶ長さを有している。そして、容器部分12の傾斜部15、16と容器部分12を取り囲むフレーム13との間には空所41、42が設定されており、底蓋開閉機構32、33はその一方の空所41の左右両端に配置されているので、 左右のレバー35、35を連結する左右方向の操作部材40は空所41の内部に配置されている。なお、レバー35は下端の支軸35aにてフレーム13に軸支され、レバー長さの中央よりも支点に近い点にコネクティングロッド39との接続部39bが位置している。よって、操作部材40を力点とし、作用点にてコネクティングロッド39にテコ作用による力が加えられる。
【0023】
このように構成されている本発明のコンテナ10は、例えば図9に示したように、回収された微破砕品のプラスチックを、フォークリフト43によって選別ラインなどの投入設備から工程に投入する際に使用される。図9において、本発明のコンテナ10はフォークリフト43によって所要の高さに保持されており、その状態でホッパー44の上方に進入して停止し、底蓋28を開放する作業を行う。コンテナ10は高い位置にあり、操作部材40は容器部分12の左右方向のほぼ全幅に及ぶ長さを有しているので、操作部材40がフォークリフト43に乗った操作者45の側にあるときは、乗ったまま底蓋28を開放する操作を行うことができる。操作部材40がフォークリフト43の反対側にあるときは、ラインの側にいる操作者45′が底蓋28を開放する操作を行うことになる。この操作者は45′フォークリフトの運転者でも良いし、別人でも良い。操作部材40がフォークリフト43の左右にあるときには、フォークリフト43に乗った操作者45が操作することも可能であり、また、別人が操作することもでき、いずれの場合でも操作は非常に容易である。
【0024】
操作部材40はコンテナ10の左右のほぼ全幅に及ぶ長さを有しているために、上記の操作において、左右の端部に近いところで無造作に操作をすると、左右の各レバー35、35に均等な作用力が加わり難くなる恐れがある。その場合、底蓋28の左右で開閉力に差を生じるとスムーズな開閉の障害となることが予測される。図示の例においては、このため操作部材40と平行な部材40′によって支軸35a、35a間を結合し、操作部材を長方形の枠として剛性を向上することによって、上記のような問題の発生を防止している。
【0025】
本発明のコンテナ10において、容器部分12は上部にて最大の横断面積を有し、内容物を排出する排出口14は容器部分12の上部よりも小さい開口面積を有しているので、投入された微破砕品は、容器部分12の傾斜部15、16にて排出口14に誘導され、排出口14からスムーズに排出されるので、粉塵を巻き上げることも少なく、作業環境を悪化させることが少ない。ホッパー44に投入された微破砕品は、スクリューフィーダー等の搬送手段46によって選別工程に搬送される。
【0026】
上記の図9は、本発明のコンテナ10に、別の容器46から微破砕品のプラスチックなどを投入する状態も説明している。建て枠47に装備されているホイスト48によって容器46が搬送され、上面が開放し底蓋28が閉じている本発明のコンテナ10に対して、微破砕品のプラスチックなどを投入するものである。なお、本発明のコンテナ10では、底蓋28が底蓋開閉機構32、33によって前後横方向へスライドするので、排出口14の下方に十分な空所がなくても、微破砕品の堆積物47に触れる恐れなしに、内容物を排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る微破砕品輸送用コンテナの一例を示す斜視図である。
【図2】同上のコンテナの全体を示す正面図である。
【図3】同上の容器本体を示す平面図である。
【図4】同上の側面を示すもので図2に対しては左側面図である。
【図5】同上のフレームを示す底面図である。
【図6】同上の側面図である。
【図7】同じく底蓋を示すもので、Aは平面図、Bは正面図、Cは右側面図である。
【図8】同上の底蓋開閉機構を示す拡大図である。
【図9】同様に本発明のコンテナの使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0028】
10 微破砕品輸送用コンテナ
11 容器本体
12 容器部分
13 フレーム
14 排出口
15、16 傾斜部
17、18 小斜面
19 上枠
20 下枠
21、22、23、24 縦柱
25 支持枠
26 底部枠
27 フォーク差し込み口
28 底蓋
29 支軸
30 小車輪
31 フック
32、33 底蓋開閉機構
34、ロック部
35 レバー
36 ガイド部
37 摺動部
38 ガイド片
39 コネクティングロッド
40 操作部材
41、42 空所


【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体に内容物を貯留して輸送し、容器本体の底部を開いて内容物を排出する構成を備えたコンテナであって、
容器本体は内容物を貯留する容器部分と、容器部分を取り囲んで設けられ、貯留されている内容物を含むコンテナ全体の荷重を負担するフレームとから成り、
上記容器部分に設けられた排出口を開閉するために、底蓋を容器部分の底部に設け、底蓋とフレームの間には、概ね前後方向へ移動可能な底蓋開閉機構を複数個設けるとともに、それら底蓋開閉機構の端部はフレームに軸支した複数個のレバーに取り付け、上記複数個のレバーを左右方向の操作部材を用いて連結した構成を有する
微破砕品輸送用コンテナ。
【請求項2】
容器部分は上部にて最大の横断面積を有し、内容物を排出する排出口は容器部分の上部よりも小さい開口面積を有しており、その面積の大きい容器部分の上部から面積の小さい排出口へ向けて内容物を誘導するように、容器本体の下方へすぼまった傾斜部を設けるとともに、上記傾斜部と容器部分を取り囲むフレームとの間に空所を設定し、上記空所の左右両端に底蓋開閉機構を配置し、左右方向の操作部材を空所内に配置した構成を有している
請求項1記載の微破砕品輸送用コンテナ。
【請求項3】
底蓋開閉機構は、底蓋の左右両端部に設けたフックと係合可能なロック部と、ロック部を直線移動させるために、フレームに軸支した複数個のレバーの回転を直線移動に変換するガイド部とを備えている
請求項1記載の微破砕品輸送用コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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