説明

微粉化アルカリ土類金属炭酸塩

【課題】結晶成長を防止する薬剤を添加しないで、または添加して製造される微粉化アルカリ土類金属炭酸塩ならびにその製造方法およびその使用を記載する。
【解決手段】製造される、3〜30m2/gの範囲のBET表面積を有する微粉化炭酸カルシウム、炭酸バリウムないしは3〜50m2/gの範囲のBET表面積を有する炭酸ストロンチウムは、特にコンデンサ、サーミスタおよびその他の酸化カルシウム、酸化バリウムまたは酸化ストロンチウムを含有する酸化物セラミックの電気部品ならびに高温超伝導体の製造に適切である。結晶成長を防止する薬剤として、合計で3〜12個の炭素原子ならびに少なくとも2個のCOOH基または少なくとも2個のOH基を有するカルボン酸のアンモニウム塩またはアルキルアンモニウム塩、例えばマレイン酸またはクエン酸の塩を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微粒子状のアルカリ土類金属炭酸塩、その製造およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸カルシウム、炭酸バリウムないしは炭酸ストロンチウムは、多くの工業目的のために、例えば別のカルシウム化合物、ストロンチウム化合物およびバリウム化合物を合成するための出発材料として使用される。炭酸塩は固体反応で使用するためにもまた、例えば電気的および磁気的応用のため、例えばサーミスタ、コンデンサを製造するための酸化物含有セラミック材料の製造のために適切である。炭酸塩はガラスの製造のために、および高温超伝導体材料の製造のために使用される。炭酸カルシウムは製紙の際にも使用される。
【0003】
特開平7−025611号公報は微粉化炭酸バリウムを開示しており、これは表面積5〜25m2/gを有する。製造のためには二酸化炭素を添加した水酸化バリウム水溶液を、直列に接続した3つのポンプに送り、かつ第3のポンプから出てくる反応生成物にさらにカルボン酸またはカルボン酸誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースを添加し、このことにより結晶成長を防止しなくてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−025611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、狭い粒子分布を有する微粒子状の微粉化炭酸カルシウム、炭酸バリウムおよび炭酸ストロンチウムの効果的な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は本発明による方法により解決される。
【0007】
微粒子状のアルカリ土類金属炭酸塩EaCO3(この場合EaはCa、SrまたはBaを表す)の、本発明による製造方法は、Ea(OH)2 0.1〜0.75モル/lの濃度を有するEa(OH)2溶液に二酸化炭素を添加して反応混合物を形成させ、この場合溶液1リットル当たり約2〜30lの二酸化炭素ガスを使用し、該反応混合物を連続的に運転する撹拌反応器に送り、該反応器内でローター−ステーター−原理(Rotor-Stator-Prinzip)による高い相対速度で、互いにかみ合う手段の剪断力および摩擦力を反応混合物に加え、該反応混合物から反応器の通過後に生じたアルカリ土類金属炭酸塩を分離し、かつ乾燥する。反応器内の剪断力および摩擦力により、できるだけ微細に分散した形で二酸化炭素をアルカリ土類金属水酸化物溶液に導入する。この場合、二酸化炭素ガスのリットルの記載は標準条件に対するものである。
【0008】
本発明による方法の実施の際に、微粉化したアルカリ土類金属炭酸塩が得られ、その際に炭酸バリウムまたは炭酸ストロンチウムの場合には、粒子の少なくとも90%が0.1〜1.0μmの範囲の、有利には0.2〜1.0μmの範囲の直径を有する。炭酸カルシウムの場合には粒子の少なくとも90%が0.2〜1.0μmの範囲の直径を有する。炭酸バリウムの場合、BET表面積は3〜30m2/g、有利には3〜20m2/g、特に8〜15m2/gの範囲である。炭酸カルシウムおよび炭酸ストロンチウムの場合には表面積は3〜50m2/gの範囲である。
【0009】
本発明による方法は極めて効果的である。すなわち実質的に定量の反応率を達成するために、1つの反応器を必要とするのみである。従来技術の方法では3つのポンプを直列で使用する。
【0010】
極めて好適であるのは、ローターが高い回転数で回転する装置である。ローター回転数は有利には2000〜8000回転/秒である。混合装置および均質化装置内での反応混合物の滞留時間は有利には5秒までである。
【0011】
このような方法で、例えば粒子の90%以上が0.2〜0.7μmの範囲の直径を有するBaCO3を製造することができる。
【0012】
BET表面積の測定は、Micro Meritics社の、ミクロ細孔の測定に適した装置で行う。吸着ガスはN2であり、測定は0.01〜0.1Prelの範囲の液体窒素の温度でBETの式を使用して行った。
【0013】
本発明の実施態様によれば、結晶成長防止剤を添加しないで作業できる。該実施態様をBaCO3の有利な製造に関してさらに詳しく説明する。
【0014】
有利には100〜120℃の範囲で行う乾燥の前に、反応器の通過直後に分離した炭酸バリウムを水で1回以上洗浄する。
【0015】
二酸化炭素を添加した水酸化バリウム溶液中での炭酸バリウムの沈殿は有利には40〜130℃の範囲の温度で実施する。
【0016】
ホモジナイザーから出ていく反応混合物の結晶成長を防止する薬剤の添加は行わない。炭酸塩は反応器から出た直後に分離する。
【0017】
本発明の別の対象は、本発明による方法により得られ、かつ3〜30m2/g、有利には3〜20m2/g、特に8〜15m2/gの範囲のBET表面積を有する、微粒子状の炭酸バリウムであり、この場合粒子の少なくとも90%が0.2〜1.0μmの範囲の直径を有し、かつ該炭酸塩は結晶成長を防止する薬剤を含有していない。
【0018】
本発明のもう1つの対象は、本発明による方法により得られ、3〜50m2/gの範囲のBET表面積を有する微粒子状の炭酸カルシウムであり、この場合粒子の少なくとも90%が0.1〜1.0μm、有利には0.2〜1.0μmの範囲の直径を有し、かつ結晶成長を防止する薬剤を含有していない。
【0019】
本発明の対象は、本発明による方法により得られる、3〜50m2/gの範囲のBET表面積を有する微粒子状の炭酸ストロンチウムでもあり、この場合粒子の少なくとも90%が0.1〜1.0μmの範囲の直径を有し、かつ該炭酸塩は結晶成長を防止する薬剤を含有していない。
【0020】
もう1つの実施態様は、反応器内での反応の前、反応の間および/または反応の後で、反応混合物に結晶成長を防止する薬剤を添加することを考慮に入れるものである。該実施態様の場合にもまた、前記の粒子直径およびBETの比表面積の特徴を有する炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウムないしは炭酸バリウムを製造することができる。これは有利には炭酸バリウムおよび炭酸ストロンチウムの製造に適している。この有利な実施態様に基づいてさらに詳しく説明する。その際に有利である特殊な結晶成長防止剤を使用する。酸自体または例えばアルカリ金属塩もまた使用可能である。
【0021】
粒子は針状で生じる。粒子の直径の記載は針の長さに対するものである。
【0022】
粒子の少なくとも95%、有利には少なくとも99%、特に100%が1.0μm以下の直径を有し、3〜30m2/g、有利には3〜20m2/gの範囲のBET表面積を有する微粒子状の炭酸バリウムおよび3〜50m2/gの範囲のBET表面積を有する炭酸ストロンチウムの本発明による有利な製造方法で考慮に入れることは、合計で3〜12個の炭素原子ならびに少なくとも2個のCOOH基または少なくとも2個のOH基を有するカルボン酸のアンモニウム塩およびアルキルアンモニウム塩の群から選択された、結晶成長を防止する薬剤の使用下で、Ba(OH)2ないしはSr(OH)2 0.1〜0.75モル/lの濃度を有する水酸化バリウム溶液または水酸化ストロンチウム溶液に二酸化炭素を添加して反応混合物を形成させることであり、この場合、溶液1リットル当たり約2〜30lの二酸化炭素ガスを使用し、反応混合物を撹拌反応器に送り、該反応器内で剪断力および摩擦力を反応混合物に加える。反応器内の剪断力および摩擦力により、二酸化炭素をできる限り微細に分散した形で水酸化バリウム溶液または水酸化ストロンチウム溶液に導入する。この場合二酸化炭素ガスのリットルの記載(有利には本方法では10〜20l)は標準条件に対するものである。全ての粒子の100%が1μm以下の直径を有する場合には、恐らく極わずかな、例えば粒子の0.1%よりも少ない、望ましくない量が、1μmよりも大きい直径を有することを意味する。
【0023】
結晶成長を防止する薬剤は少なくとも、粒子の少なくとも99%が1μm以下の、例えば0.2〜1.0μmの範囲の直径を有するようように、炭酸バリウムおよび炭酸ストロンチウムの結晶成長を制限するような量で使用する。該薬剤の量は、100重量%として設定したBaCO3ないしはSrCO3(乾燥物質)に対して、好ましくは少なくとも0.01重量%、有利には少なくとも0.1重量%である。この量は例えば、100重量%として設定した炭酸バリウムないしは炭酸ストロンチウムに対して、0.01〜5重量%の範囲であってもよい。有利には結晶化に影響を与えるカルボン酸塩を、100重量%として設定した炭酸バリウムないしは炭酸ストロンチウムに対して、0.2〜0.7重量%の量で使用する。カルボン酸塩を炭酸塩化の前、炭酸塩化の間または炭酸塩化の後で使用することができるので、カルボン酸塩の量の基準となる炭酸塩量の計算のために、使用される水酸化バリウムないしは水酸化ストロンチウムの100%の反応率から出発することができる。
【0024】
特に有利にはカルボン酸のアンモニウム塩を使用する。しかしまたカルボン酸のアルキルアンモニウム塩を使用してもよい。これは第1、第2、第3および第4アルキルアンモニウム塩であってもよい。例えば第1、第2および第3アンモニウム陽イオンは適切であり、この場合窒素原子は合計で18個までの炭素原子を有するアルキル基により置換されている。例えばメチルアンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩、エチルアンモニウム塩、ジエチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、n−プロピルアンモニウム塩、ジ−n−プロピルアンモニウム塩およびトリ−n−プロピルアンモニウム塩ならびに異なったアルキル基を置換基として有するアンモニウム陽イオンが使用可能である。
【0025】
前記のように合計で3〜12個、有利には3〜6個の炭素原子を有するカルボン酸の塩を使用し、この場合カルボキシル基の炭素原子も数に含めることとする。特に好適であるのは、リンゴ酸、アジピン酸、クエン酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、酒石酸およびマレイン酸のアンモニウム塩およびアルキルアンモニウム塩である。有利には、特にクエン酸およびマレイン酸のアンモニウム塩である。これらの有利な実施態様に基づいて本発明をさらに詳しく説明する。
【0026】
クエン酸およびマレイン酸のアンモニウム塩、特に水溶液に溶解する際に6〜8のpH値となるクエン酸およびマレイン酸のアンモニウム塩を有利には前記のように使用する。該アンモニウム塩は、カルボン酸溶液、例えばクエン酸溶液ないしはマレイン酸溶液にアンモニアまたはアンモニア水を添加し、pH値を6〜8の範囲にすることにより製造することができる。
【0027】
有利にはクエン酸塩ないしはマレイン酸塩を水溶液の形で使用する。クエン酸塩ないしはマレイン酸塩の濃度は有利には少なくとも10重量%である。該濃度は飽和濃度までであってもよい。
【0028】
反応混合物が炭酸塩化の際に使用した装置を通過した直後に、カルボン酸塩を混合することは有利である。このことにより特に効果的に望ましくない大きな炭酸バリウムないしは炭酸ストロンチウムの結晶の形成が防止される。炭酸塩を直ちに分離する必要はない。
【0029】
有利には100〜150℃の範囲で実施する乾燥の前に、ホモジナイザーの通過後に分離した炭酸塩を水で1回以上洗浄してもよい。このことにより、アンモニウム塩(例えばアンモニウムないしはアルキルアンモニウムの炭酸塩)を洗浄する。
【0030】
二酸化炭素を添加した水酸化バリウム溶液中での炭酸バリウムの沈殿は、有利には室温(例えば25℃)〜130℃の範囲の温度で実施し、炭酸ストロンチウムの沈殿も同様である。
【0031】
本発明のもう1つの対象は、本発明による方法により結晶成長を防止する薬剤を添加して得られ、かつ3〜30m2/g、有利には3〜20m2/gの範囲のBET表面積を有する微粒子状の炭酸バリウムであり、この場合、粒子の少なくとも95%が1.0μm以下の直径を有する。同様に本発明の対象は、結晶成長を防止する薬剤を添加して製造され、同様の粒度分布を有し、3〜50m2/gの比表面積を有する微粒子状のCaCO3およびSrCO3である。有利にはCaCO3粒子またはBaCO3粒子の少なくとも99%が1.0μm以下の直径を有する。粒度測定は沈降はかり(Sedigraph)で行う。
【0032】
本発明による炭酸カルシウム、炭酸バリウムないしは炭酸ストロンチウムは、これらの炭酸塩を工業的に使用するような全ての目的に極めて良好に使用することができる。
【0033】
好適であるのは、固体反応で使用するための微粉化炭酸カルシウム、炭酸バリウムないしは炭酸ストロンチウムである。該炭酸塩を有利には例えば、多くの場合には別の固体成分と一緒に焼結または溶融することにより、二酸化炭素の放出下で反応させるような固体反応で使用することができる。例えばBaOないしはSrOを含有する、電気的または磁気的応用のための酸化物セラミック部品を製造するために、例えばサーミスタおよびコンデンサの製造の際に、同様に酸化物セラミックの超伝導体を製造する際に、該炭酸塩を使用することができる。炭酸バリウムは例えばイットリウム−バリウム銅酸塩−超伝導体材料の製造に、炭酸ストロンチウムおよび炭酸カルシウムはビスマス含有酸化物セラミックの超伝導体の製造に適切である。酸化物セラミック製造の際に、例えばチタン酸バリウム、ニオブ酸バリウムまたはバリウムフェライトの製造の際に、微粉化炭酸塩の高い活性が観察される。同様のことがストロンチウムを含有し、微粉化炭酸ストロンチウムを有する酸化物セラミックの製造にも該当する。もちろん炭酸塩をその他の通常の目的に、例えばガラス製造または別のカルシウム化合物、バリウム化合物ないしはストロンチウム化合物の製造のために使用することもできる。
【0034】
結晶成長を防止する薬剤を添加した場合に本方法が有する利点は、生じたカルシウムの懸濁液、SrCO3の懸濁液ないしはBaCO3の懸濁液を直ちに後処理する必要がなく、所望の場合には数日間にわたり放置しておくことができ、その際に結晶成長は観察されないことである。
【0035】
以下の例は本発明をさらに詳しく説明するが、その範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0036】
例1:
微粉化炭酸バリウムの製造
炭素で還元した硫酸バリウムから得られた硫化バリウムを水で浸出した。生じた水酸化バリウム溶液は、Ba(OH)2約0.34モル/lの濃度を有していた。温度は約50℃であった。該溶液を1時間当たり400lならびに50℃に予熱した二酸化炭素を1時間当たり6m3の量でローター−ステーターの原理で運転するミキサーに導入した。該ミキサー中で、互いにかみ合う手段により加えられる剪断力および摩擦力を、沈殿する炭酸バリウムに加え、炭酸バリウムの極めて小さな粒子を形成させる。ホモジナイザーから出ていく該炭酸バリウムの懸濁液を後反応させずに脱イオン水で洗浄し、固体分離のために遠心分離し、かつ約110℃で乾燥した。結晶成長を防止する薬剤の添加は行わなかった。
【0037】
得られた生成物をBET表面積および粒度分布に関して調査した。平均的なBET表面積は9.8m2/gであり、粒度分布に関しては粒子の90%が0.2〜0.7μmの大きさの範囲であることが確認された。
【0038】
例2:
1リットル当たり0.5モルの濃度の溶液で例1を繰り返した。結果は例1で得られた結果と同様であった。
【0039】
例3:
例1を繰り返したが、ただしこの場合、溶液および二酸化炭素の接触前の温度は80℃であった。得られた結果は例1で得られた結果と同様であった。
【0040】
例4:
微粉化炭酸バリウムの製造;生成物中のクエン酸アンモニウムの濃度:100重量%として設定したBaCO3に対して0.5重量%。
【0041】
クエン酸アンモニウム溶液の製造:
クエン酸930gを脱イオン水2lに溶解し、かつ25重量%のNH3含有塩化アンモニウム溶液をpH値が6.8になるまで添加した(このために塩化アンモニウム溶液約1lを使用した)。
Ba(OH)2溶液の製造および炭酸塩化:
炭素で還元した硫酸バリウムから得られた硫化バリウムを水で浸出した。生じた水酸化バリウム溶液を、1l当たりBa(OH)2約0.34モルの濃度に調整した。温度は約50℃であった。該溶液を1時間当たり400lならびに50℃に予熱した二酸化炭素を1時間当たり6m3の量でホモジナイザーに導入した。該ホモジナイザー内で加えられる剪断力および摩擦力を沈殿する炭酸バリウムに加え、炭酸バリウムの極めて小さな粒子を形成させた。ホモジナイザーから出ていく該炭酸バリウム懸濁液にクエン酸アンモニウム溶液を添加した。該溶液の量は、100重量%として設定したBaCO3に対して、完成した生成物がクエン酸塩0.5重量%を含有するように量った。次いでBaCO3の懸濁液およびクエン酸塩溶液の混合物を脱イオン水で洗浄し、脱水のために遠心分離し、かつ約130℃で乾燥させた。引き続き粉砕した。
【0042】
得られた生成物をBET表面積および粒度分布に関して調査した。平均的なBET表面積は11m2/gであり、粒度分布に関しては粒子の90%が0.4μm以下、100%が0.7μm以下であることが確認された。
【0043】
例5:
生成物中のクエン酸塩濃度:100重量%として設定したBaCO3に対して2.0重量%。
【0044】
生成物中のクエン酸塩濃度を2.0重量%に調整して例4を繰り返した。該生成物は例4で得られた生成物と同様であった。
【0045】
例6:
生成物中のクエン酸塩濃度:0.2重量%
例4を繰り返したが、ただしこの場合100重量%として設定したBaCO3に対して、完成した生成物中のクエン酸塩濃度を、クエン酸塩0.2重量%に調整した。得られた生成物は例4で得られた生成物と同様であった。
【0046】
例7:
マレイン酸アンモニウムの使用下での微粉化BaCO3の製造
マレイン酸塩溶液の製造:
30重量%のマレイン酸含有水溶液に25重量%のNH3含有塩化アンモニウム溶液を添加し、pH値を6.8にした。
【0047】
その他の方法は例4と同様に行った。得られた微粉化BaCO3は例4の生成物と比較可能であったが、ただし100重量%として設定したBaCO3に対して、マレイン酸バリウムを0.5重量%の量で含有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子状のアルカリ土類金属炭酸塩EaCO3の製造方法において、粒子の少なくとも95%が1.0μm以下の直径を有し、かつEaがBaまたはSrを表し、この場合Ea(OH)2 0.1〜0.75モル/lの濃度を有するEa(OH)2溶液にCO2を添加して反応混合物を形成させ、その際に溶液1リットル当たり約2〜30lのCO2ガスを使用し、反応混合物を連続的に運転する撹拌反応器に送り、該反応器内で、互いにかみ合う手段の剪断力および摩擦力を高い相対速度で反応混合物に加え、反応器の通過後に反応混合物から生じたEaCO3を分離し、乾燥することを特徴とする、微粒子状のアルカリ土類金属炭酸塩の製造方法。
【請求項2】
BaCO3を製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分離したSrCO3ないしはBaCO3を乾燥の前に水で1回以上洗浄する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
SrCO3ないしはBaCO3の沈殿を、CO2を添加した溶液中0℃〜130℃、有利には40〜130℃の範囲の温度で実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ローターの回転数が2000〜8000回転/分である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
反応混合物の撹拌反応器内での滞留時間が5秒までである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
沈殿の前、沈殿の間および/または沈殿の後に結晶成長を防止する薬剤を添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
合計で3〜12個の炭素原子ならびに少なくとも2個のCOOH基または少なくとも2個のOH基を有するカルボン酸のアンモニウム塩およびアルキルアンモニウム塩を含む群から選択された結晶成長を防止する薬剤の使用下で、Ea(OH)2 0.1〜0.75モル/lの濃度を有するEa(OH)2溶液にCO2を添加して反応混合物を形成させ、その際に溶液1リットル当たり約2〜30lのCO2ガスを使用し、反応混合物を撹拌反応器に送り、該反応器内で剪断力および摩擦力を反応混合物に加え、該装置の通過後に反応混合物から生じたEaCO3、つまりBaCO3またはSrCO3を分離し、かつ乾燥させる、請求項1または7に記載の微粒子状のBaCO3またはSrCO3の製造方法。
【請求項9】
クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、酒石酸またはマレイン酸のアンモニウム塩またはアルキルアンモニウム塩、有利にはクエン酸またはマレイン酸のアンモニウム塩を使用する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
クエン酸水溶液またはマレイン酸水溶液にNH3を導入することにより、またはNH3水溶液を添加することによりpH値を6〜8にして製造したクエン酸アンモニウムまたはマレイン酸アンモニウムを使用する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
カルボン酸塩を水溶液の形で使用する、請求項8、9または10に記載の方法。
【請求項12】
製造したEaCO3または製造するべきEaCO3に対して、カルボン酸塩を少なくとも0.01重量%、有利には0.01〜5重量%の量で使用する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
反応混合物の反応器の通過後直ちにカルボン酸塩を添加する、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法により、合計で3〜12個の炭素原子ならびに少なくとも2個のCOOH基または少なくとも2個のOH基を有するカルボン酸のアンモニウム塩およびアルキルアンモニウム塩を含む群から選択された結晶成長を防止する薬剤の使用下で得られ、粒子の少なくとも95%、有利には少なくとも99%、特に100%が1.0μm以下の直径を有する、微粒子状の、3〜30m2/gの範囲のBET表面積を有するBaCO3、3〜50m2/gの範囲のBET表面積を有するSrCO3
【請求項15】
リンゴ酸、アジピン酸、クエン酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、酒石酸またはマレイン酸のアンモニウム塩またはアルキルアンモニウム塩が使用された、請求項1に記載のBaCO3またはSrCO3
【請求項16】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法により得られ、かつ結晶成長を防止する薬剤を含有せず、粒子の少なくとも90%が0.1〜1.0μmの範囲の直径を有し、3〜30m2/gの範囲のBET表面積を有する微粒子状のBaCO3、3〜50m2/gの範囲のBET表面積を有する微粒子状のSrCO3
【請求項17】
熱的な固体反応のため、特に電気的および磁気的応用のための酸化物含有セラミック材料の製造のため、特に酸化物の超伝導体、サーミスタ、コンデンサの製造のための、請求項14から16までのいずれか1項に記載の炭酸バリウムの使用。
【請求項18】
熱的な固体反応のため、特に電気的および磁気的応用のための酸化物含有セラミック材料の製造のために、特に酸化物の超伝導体、サーミスタ、コンデンサの製造のための、請求項14から16までのいずれか1項に記載の炭酸ストロンチウムの使用。

【公開番号】特開2010−132555(P2010−132555A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28518(P2010−28518)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【分割の表示】特願平9−516194の分割
【原出願日】平成8年10月22日(1996.10.22)
【出願人】(592058212)ゾルファイ バリウム ストロンチウム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【Fターム(参考)】