説明

微粒子感圧接着剤組成物

本発明は、(a)少なくとも一部が非石油源から誘導される重合性モノマー、(b)反応開始剤、(c)重合安定剤、の反応生成物から調製される接着剤であって、該反応が水中で起こると微粒子接着剤を生ずる接着剤を提供する。微粒子接着剤は、テープ、ノート、付箋、イーゼル等のような、接着剤コーティングされた再配置可能な接着剤を製造するために、紙及びポリマーフィルムなどの様々な基材に適用されることができる感圧接着剤組成物中に配合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2007年12月18日出願の米国特許仮出願第61/014,474号の優先権を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、感圧接着剤組成物に関し、特に、少なくとも一部が非石油源から誘導される1種類以上の重合性モノマーを含む感圧接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
感圧接着剤(「PSA」)の特定の組成物は、次の性質を有することが知られている:(1)強力かつ恒久的粘着性、(2)指圧以下での粘着性、(3)基材上への十分な保持力、及び(4)基材からきれいに除去するための十分な貼着力。PSAとして良好に機能することが分かっている材料としては、必須の粘弾性特性を示し、粘着、剥離接着、並びに剪断保持力の所望のバランスをもたらすように設計及び処方されたポリマーが挙げられる。PSAは、通常は、室温(例えば、20℃)で粘着性であることを特徴とする。
【0004】
微粒子接着剤は、PSAを有する物品を再配置可能にすることができる、即ち、異なる表面に複数回付着及び再付着させることができるので、PSAで使用するのに極めて有用であることが証明されている。したがって、微粒子接着剤は、貼り替え可能なノート、貼り替え可能な付箋又は見出しラベル、及び貼り替え可能なイーゼルパッド等であるがこれらに限定されない消耗品において使用されてきた。微粒子PSAの重要な特徴には、例えば、コスト、製造容易性、環境影響、及び、言うまでもなく、上記粘着性能が挙げられる。典型的には、このような接着剤は、(a)石油系源、例えば、C〜C14のアルキル(メタ)アクリレートから誘導される重合性モノマー、任意にコモノマーと、(b)反応開始剤と、(c)少なくとも1種類の安定剤と、の反応生成物を含む接着剤であって、該反応が水中で起こると微粒子接着剤を生ずる。このような接着剤の例示的な例は、米国特許第5,571,617号(コオプリダー(Cooprider)ら)及び同第5,714,237号(コオプリダーら)に開示されている。典型的には、このようなモノマーは石油系源から誘導されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再生可能な原材料から製造される新しい接着剤組成物及び他の製品の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
非石油源から誘導されるモノマーを使用することにより、非常に望ましい微粒子PSAを製造することができることが今では判明している。PSAで使用される微粒子は、この数十年間は石油から誘導されるモノマーに依存してきたが、非石油から誘導されるモノマーで作製される微粒子が優れたPSAをもたらすことが見い出された。具体的には、本明細書に記載のような非石油から誘導される微粒子、及びこの微粒子から作られるPSAは、石油から誘導されるモノマーから作られる微粒子に比べて、費用効率が高く、製造効率が良く、環境に優しく(石油系原料の使用の軽減、及び温室効果ガスの排出削減を可能とする)、紙への経時的な接着性蓄積が少なく、かつ垂直面に良好に留めることができる。したがって、本発明の接着剤組成物によってもたらされる利点のいくつかには、石油から誘導される材料の使用の削減、温室効果ガスの排出削減、及び優れた又は改善された接着性能が挙げられる。
【0007】
本発明は、いくつかある成分の中でも特に、モノマーの少なくとも一部分が非石油源から誘導される少なくとも1種類の重合性モノマーの反応生成物から調製される微粒子接着剤を製造するための溶液を提供する。重合性モノマー用の非石油源の非限定例にはヒマシ油が挙げられる。微粒子PSA組成物を形成するために、微粒子接着剤を他の構成成分と混合することができ、続いてこの微粒子PSA組成物を、テープ、ラベル、ノート、付箋等のような物品を得るために、様々な基材又は裏材に適用することができる。有利には、微粒子PSA組成物を含有する物品は再配置可能である。
【0008】
本明細書で使用するとき、用語「非石油」は、通常、原油又はその誘導体がその最終原材料(即ち、出発原料)でない化合物を指す。例示の非石油源には、植物から誘導される源などのバイオ源が挙げられるが、これに限定されない。本明細書で使用するとき、もしも物品が、意図する表示面上に接着剤の残渣を残さずに、又はその表面に損傷を与えずに、表示面に複数回貼り付けられる又はそこから取り外されることができれば、物品は「再配置可能である」。本明細書で使用するとき、用語(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートとを含む。例えば、2−オクチル(メタ)アクリレートは、2−オクチルアクリレートと2−オクチルメタクリレートとを含む。
【0009】
一態様において、本発明は、
(a)少なくとも一部が非石油源から誘導される1種類以上の重合性モノマーと、
(b)1種類以上の反応開始剤と、
(c)1種類以上の安定剤と、を含む、及びいくつかの実施形態では、これらから本質的になる反応生成物で製造される接着剤であって、
反応が水中で起こり、この接着剤が微粒子接着剤である、接着剤を提供する。安定剤は1種類以上の界面活性剤を含んでもよい。
【0010】
重合性モノマーが非石油であると考慮されるように、重合性モノマーがバイオベース含量を含有しているかどうかを決定するために、ASTM D 6866−06aのStandard Test Methods for Determining the Biobased Content of Natural Range Materials Using Radiocarbon and Isotope Ratio Mass Spectrometry Analysisを用いることができる。本明細書に記載されるように、このASTMに準拠して測定されたバイオベース炭素含有量が少なくとも約30%、好ましくは少なくとも約40%、最も好ましくは少なくとも約50%、いくつかの実施形態では少なくとも約65%である、本発明の接着剤組成物を調製することができる。「バイオベース炭素含有量」は、石油源から誘導されるアルキル(メタ)アクリレートなどの石油源材料から誘導されるのとは対照的に、生物的に生成された原料、例えば、植物の発酵から誘導される又は植物から直接抽出されるモノマー材料の使用に由来する組成物中の全炭素の割合を指す。
【0011】
別の態様において、本発明は、
(a)約92〜99.9重量%の、アクリル酸と非石油源から誘導される2−オクタノールとを反応させて調製された2−オクチル(メタ)アクリレート、
(b)約0.01〜4.0重量%の重合安定剤、及び
(c)約0.01〜4.0重量%の反応開始剤、の反応生成物を含み、及びいくつかの実施形態では、これらから本質的になる接着剤であって、
各成分の重量%が成分(a)〜(c)の総量に基づき、該反応が水中で起こると微粒子接着剤を生ずる接着剤に関する。
【0012】
更に別の態様において、本発明は、
(a)約87〜99.9重量%の、アクリル酸と非石油源から誘導される2−オクタノールとを反応させて調製された2−オクチル(メタ)アクリレート、
(b)約0.01〜5重量%の1種類以上の界面活性剤、
(c)約0.01〜4重量%の1種類以上の重合安定剤、
(d)約0.01〜4重量%の1種類以上の反応開始剤、
ここで、各成分の重量%は成分(a)〜(d)の総量に基づく、
(e)成分(a)に基づき最大約75重量%の、約1〜14個の炭素原子を有する少なくとも1種類のアルキル(メタ)アクリレートコモノマー、
(f)成分(a)に基づき約5重量%未満の少なくとも1種類の極性コモノマー、
(g)成分(a)に基づき最大約10重量%の少なくとも1種類のアミドコモノマー、
(h)成分(a)に基づき最大約10重量%の少なくとも1種類のポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、
(i)成分(a)に基づき最大約30重量%の少なくとも1種類の溶質ポリマー、
(j)成分(a)に基づき最大約0.2重量%の少なくとも1種類の連鎖移動剤、
(k)成分(a)に基づき最大約5重量%の少なくとも1種類のイオン性モノマー、及び
(l)成分(a)に基づき最大約1重量%の少なくとも1種類の架橋剤、の反応生成物を含む、及びいくつかの実施形態では、これらから本質的になる接着剤であって、
該反応が水中で起こると微粒子接着剤を生ずる、接着剤に関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願において、全ての数字は用語「約」で修飾されているとみなす。終点による数字範囲の詳細説明には、その範囲内に含まれる全ての数が包含される(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が包含される)。
【0014】
重合性モノマー
本発明者らは、微粒子PSAを非石油又はバイオ源から製造できること、及びこのような接着剤組成物が驚くべき結果をもたらすことを発見した。
【0015】
1つの例示の重合性モノマーは、2−オクチル(メタ)アクリレートである。このモノマーは、(メタ)アクリル酸と2−オクタノールを化学量論的に反応させて調製することができる。(メタ)アクリル酸は、石油源、好ましくは、非石油源から誘導され得る。
【0016】
2−オクタノールは、トウゴマの種子から採取及び抽出されるひまし油から誘導されたリシノール酸を水酸化ナトリウムで処理した後、セバシン酸の副産物から蒸留するなどして、非石油源から調製される。
【0017】
少なくとも一部が、及び好ましくは実質的に全部が非石油源から誘導される2−オクチル(メタ)アクリレートは、1つの例示の重合性モノマーであるが、その他の石油及び/又は非石油系重合性コモノマーを、2−オクチル(メタ)アクリレートに加えて又は2−オクチル(メタ)アクリレートの代わりに反応生成物中で使用することができる。好適な重合性コモノマーについて以下に詳細に論じる。
【0018】
重合安定剤
1種類以上の重合安定剤を反応混合物中で使用して微粒子接着剤を調製する。有利には、微粒子安定剤が存在することにより、界面活性剤の使用量が比較的少量でも微粒子を得ることができる。
【0019】
最終重合液滴を十分に安定化させ、かつ懸濁液重合プロセス内のアグロメレーションを防ぐような任意の重合安定剤は、本発明において有用である。使用する場合、重合安定剤成は反応混合物中に、典型的には、重合性モノマー100部に対して総重量で0.01〜約4重量部で存在し、いくつかの実施形態では、重合性モノマー100部に対して重量で約0.04〜約1.5重量部の量で存在する。
【0020】
好適な重合安定剤には、重量平均分子量が5000より大きいポリアクリル酸の塩(例えば、ポリアクリル酸のアンモニウム、ナトリウム、リチウム、及びカリウム塩)、カルボキシ変性ポリアクリルアミド(例えば、アメリカン・サイアナミド(American Cyanamid)のサイアナマー(CYANAMER)(登録商標)A−370)、アクリル酸とジメチルアミノエチルメタクリレート等のコポリマー、ポリマー第四級アミン(例えば、ジェネラル・アラニン・アンド・フィルム(General Alanine and Film)のガフクァット(GAFQUAT)(登録商標)755、四級化されたポリビニル−ピロリドン(pyrollidone)コポリマー、又はユニオン・カーバイド(Union Carbide)の「JR−400」、四級化されたアミン置換セルロース誘導体)、セルロース誘導体、及びカルボキシル基変性セルロース誘導体(例えば、ハーキュレス(Hercules)のナトロゾル(NATROSOL)(登録商標)CMCタイプ7L、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、並びにポリアクリルアミド(例えば、サイテック(Cytek)のサイアナマー(CYANAMER)N300)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
反応開始剤
1種類以上の反応開始剤を反応混合物中で使用して微粒子接着剤を調製する。重合に影響を及ぼす反応開始剤は、通常重合性モノマーのフリーラジカル重合に好適なものである。全部又は一部において、2−オクチル(メタ)アクリレート又は他の(メタ)アクリレートモノマーを重合性モノマーとして使用する場合、好適な反応開始剤には、アゾ化合物、ヒドロペルオキシド、ペルオキシド等の熱的に活性化された反応開始剤が挙げられるが、これらに限定されない。好適な光開始剤には、ベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンが挙げられるが、これらに限定されない。その他の好適な反応開始剤には、ラウロイルペルオキシド及びビス(t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシ−ジカーボネートが挙げられる。
【0022】
反応開始剤は、所定の期間及び温度領域で高いモノマー転化率をもたらすのに十分な触媒効果量で存在する。典型的には、反応開始剤成分は、重合性モノマー100重量部に対して合計で0.01〜約4重量部の範囲の総量で存在する。使用する反応開始剤の濃度に影響を及ぼすパラメータには、反応開始剤の種類、及び関連する特定のモノマーが挙げられる。実施形態によっては、触媒的に効果的な反応開始剤の全濃度は、典型的には、重合性モノマー100部に対して約0.03〜約2重量部の範囲であり、いくつかの実施形態では、約0.05〜約0.50重量部である。
【0023】
界面活性剤
微粒子接着剤を調製するために、例えば、所望の粒径を得るのを容易にするために、1種類以上の界面活性剤を反応混合物中で使用してもよい。当業者には理解されるように、界面活性剤は、典型的には、重合性モノマー含有量100重量部に対して総量で最大約5重量部、場合によっては重合性モノマー含有量100重量部に対して最大約3重量部、いくつかの実施形態では、重合性モノマー100重量部に対して0.2〜2重量部の範囲内で、反応混合物中に存在する。
【0024】
有用な界面活性剤には、アニオン性、カチオン性、非イオン性、又は両性の界面活性剤が挙げられる。有用なアニオン性界面活性剤には、アルキルアリールスルホン酸塩、例えば、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルサルフェートのナトリウム及びアンモニウム塩、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。有用な非イオン性界面活性剤には、エトキシル化オレオイルアルコール及びポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。有用なカチオン性界面活性剤には、アルキル鎖が10〜18個の炭素原子を含む、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド混合物が挙げられるが、これらに限定されない。有用な両性界面活性剤にはスルホベタインが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
N−アルキルアミノプロピオン酸及びN−アルキルベタイン。
【0026】
連鎖移動剤
所望の用途に応じて、微粒子の溶剤溶性部分(実収率)を調節するために、及び、得られる接着剤組成物の特性を制御するために、1種類以上の変性剤を使用してもよい。当業者には理解されるように、使用する場合、このような薬剤は多くの場合10〜98%の範囲内、好ましくは20〜80%の範囲内の溶剤溶性部分をもたらすのに十分な量で反応混合物に添加される。様々な変性剤を使用することができる。使用量は、溶剤溶性部分を有する微粒子をもたらすのに十分な量である。
【0027】
特に有用な変性剤は連鎖移動剤である。微粒子に形成されるポリマーの分子量を制御するために、連鎖移動剤を使用するのが望ましい。多くのハロゲン含有及びイオウ含有有機化合物は、フリーラジカル重合の際の連鎖移動剤として十分に作用する。このような薬剤の非限定例は、四臭化炭素、四塩化炭素、ドデカンチオール、イソオクチルチオグリコレート、ブチルメルカプタン、及び第三ドデシルメルカプタンである。これら微粒子重合に適した連鎖移動剤の量は、全重合性物質の含有量に基づき計算される。使用する場合、連鎖移動剤は、典型的には、重合性モノマーの量の全部で最大約0.2%、いくつかの実施形態では、全部で最大約0.12%、更に他の実施形態では、全部で最大約0.08%の量で添加される。これらのレベルは微粒子中の可溶性ポリマー含有量が最大約98%となるに十分なものである。
【0028】
架橋剤
当業者には理解されるように、所望であれば、得られる接着剤の特性を変更するために1種類以上の架橋剤を反応混合物中で使用してもよい。好適な架橋剤の非限定例は、多官能性(メタ)アクリレート、例えば、ブタンジオールジアクリレート若しくはヘキサンジオールジアクリレート、又はジビニルベンゼン及びその混合物などのその他の多官能性架橋剤を挙げることができる。使用する場合、架橋剤は、全反応混合物に対し最大約1当量パーセント、好ましくは最大約0.5当量パーセントの全濃度で添加されるが、架橋剤と変性剤の濃度の組み合わせは、溶剤溶性部分が微粒子の10から98%となるように選択される。
【0029】
重合性コモノマー
反応混合物は、次のような1種類以上の重合性コモノマーを更に含むことができる:アルキル基が1〜14個の炭素原子を含むアルキル(メタ)アクリレート、ビニルエステルモノマー、イオン性モノマー、極性モノマー、アミノ官能性モノマー、アミド官能性モノマー、及び核又は核の一部を有するモノマー。石油又は非石油源から誘導されるかどうかを問わず、各種重合性コモノマーが更に以下に詳細に記載される。
【0030】
所望の結果に応じて、2−オクチル(メタ)アクリレート含有量に基づいて、最大20重量%、いくつかの実施形態では最大50重量%、更に他の実施形態では最大75重量%のアルキル(メタ)アクリレートを使用することができる。好適なアルキル(メタ)アクリレートには、アクリル酸イソオクチル、イソノニル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4−メチル−2−ペンチル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
微粒子接着剤を製造するために反応混合物中で使用する場合、所望の特性に応じて、2−オクチル(メタ)アクリレート含有量に基づいて、最大0.5重量%、いくつかの実施形態では最大2重量%、及びいくつかの他の実施形態では最大5重量%の極性コモノマーを使用することができる。極性コモノマーは解離性水素を含有していてもよいし、していなくてもよい。極性コモノマーの非限定例には、3〜約12個の炭素原子を有し、一般に1〜約4個のカルボン酸部分を持つ、有機カルボン酸、及びヒドロキシル(アルキル)(メタ)アクリレートが挙げられる。このようなコモノマーの非限定例には、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、β−カルボキシエチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及びグリセリン(glyercol)モノ(メタ)アクリレートが挙げられる。極性コモノマーとして(メタ)アクリル酸を使用することができるが、典型的には、反応生成物中に0.5%未満で使用する。0.5%を超える(メタ)アクリル酸を反応混合物中で使用する場合、凝固問題が起きる場合がある。
【0032】
微粒子接着剤を生成するために反応混合物中で使用する場合、2−オクチル(メタ)アクリレート含有量に基づいて最大20重量%のビニル又はビニルエステルコモノマーを使用することができる。ビニルエステルコモノマーの非限定例には、2−エチルヘキサン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ペラルゴン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、デカン酸ビニル、オクタン酸ビニル(vinyl actanoate)、酢酸ビニル、及びその他の1から14個の炭素原子を持つ直鎖状又は分岐状のカルボン酸の単官能性不飽和ビニルエステルが挙げられる。ビニルコモノマーの非限定例には、スチレン及びα−メチルスチレンが挙げられる。
【0033】
微粒子接着剤を生成するために反応混合物中で使用する場合、所望の特性に応じて、2−オクチル(メタ)アクリレート含有量に基づいて最大1重量%、いくつかの実施形態では最大2重量%、いくつかの他の実施形態では最大5重量%のイオン性コモノマーを使用することができる。イオン性コモノマーの非限定例には、スチレンスルホン酸ナトリウム、ナトリウム(メタ)アクリレート、アンモニウム(メタ)アクリレート、トリメチルアミンp−ビニルベンズイミド、4,4,9−トリメチル−4−アゾニア−7−オキソ−8−オキサ−デセ−9−エンー1−スルホネート、N,N−ジメチル−N−(β−メタクリロキシエチル)アンモニウムプロピオネートベタイン、トリメチルアミン(メタ)クリルイミド、1,1−ジメチル−1(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミン(メタ)アクリルイミド、任意の双性イオン性モノマー等が挙げられる。
【0034】
微粒子接着剤を生成するために反応混合物中で使用する場合、2−オクチル(メタ)アクリレート含有量に基づいて最大5重量%のアミノ官能性コモノマーを使用することができる。アミノ官能性コモノマーは核又は核の一部を有することができる。アミノ官能性コモノマーの非限定例には、N,N−ジメチル−アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びN,N−ジエチルアミノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0035】
微粒子接着剤を生成するために反応混合物中で使用する場合、所望の特性に応じて、2−オクチル(メタ)アクリレート含有量に基づいて最大5重量%,いくつかの実施形態では最大8重量%、及びいくつかの他の実施形態では最大10重量%のアミド官能性コモノマーを使用することができる。アミド官能性コモノマーは核又は核の一部を有することができる。アミド官能性コモノマーの非限定例には、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム(caprolactom)、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0036】
微粒子接着剤を生成するために反応混合物中で使用する場合、所望の特性に応じて、2−オクチル(メタ)アクリレート含有量に基づいて最大5重量%、いくつかの実施形態では最大8重量%、及びいくつかの他の実施形態では最大10重量%の、次の重合性コモノマーの1つを使用することができる:2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート末端ポリ(エチレンオキシド);メトキシポリ(エチレンオキシド)メタクリレート;ブトキシポリ(エチレンオキシド)メタクリレート;(メタ)アクリレート末端ポリ(エチレングリコール);メトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレート;ブトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレート、及びこれらの組合せ。
【0037】
典型的には、重合性コモノマーが反応混合物中に存在する場合、2−オクチル(メタ)アクリレートモノマー及び重合性コモノマーの重量比は約99.5/0.5〜25/75の範囲内、好ましくは98/2〜50/50の範囲内である。
【0038】
溶質ポリマー
微粒子接着剤を調製するために反応生成物に添加してもよい別の成分は、米国特許第5,824,748号(ケスティ(Kesti)ら)に詳細に記載されている1種類以上の溶質ポリマーである。
【0039】
本質的に非水溶性の溶質ポリマーは、重合すると、2−オクチル(メタ)アクリレートモノマー、又は2−オクチル(メタ)アクリレートモノマーと上記の重合性コモノマーの混合物に溶解可能なポリマーとなる任意のモノマー又はモノマーの混合物から形成されていてもよい。典型的には、溶質ポリマーは少なくとも2000の重量平均分子量を有する。
【0040】
溶質成分には種々のクラスのポリマーが含まれる。例えば、溶質ポリマーの分枝、又は変性を行ってもよい。溶質ポリマーは、ラジカル重合できない水反応性又は水溶性のモノマー、及びこれらの組合せを使用して調製されてもよい。更に、当業者には周知であり得、かつ、一般に、「Principles of Polymerization」Ordian,3rd ed.,Wiley Interscienceなどの種々の文献中に見出される任意の重合法に従って溶質ポリマーを調製してもよい。
【0041】
有用な溶質ポリマーの非限定例には、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(スチレン)、ゴム(天然及び/又は合成)又はスチレン−ブタジエンブロックコポリマなどのエラストマー、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、結晶性及び非晶性のポリマー、例えば、結晶性及び非晶性のポリ−α−オレフィン、結晶性ポリ(メタクリレート)、並びに結晶性ポリ(アクリレート)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0042】
有利なことに、本発明は、モノマーの形態で使用した場合に、こうしたモノマーの懸濁重合を行う前に、通常は水相中で反応する部分を取り込むことのできる複合微粒子PSAを提供する。このような水反応性部分を含む溶質ポリマーの非限定例には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、2−ビニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン(「VDM」)、及び2−(イソシアナト)エチルメタクリレートを含有するポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
更に、(メタ)アクリル酸、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、ポリ(エチレン)オキシドマクロモノマー、(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1(2−ヒドロキシルプロピル)アミンメタクリルイミド、1,1,1−トリメチルアミンメタクリルイミド、1,1−ジメチル−1(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミンメタクリルイミドなどの水溶性の高い部分、及びN,N−ジメチル−N−(β−メタクリルオキシエチル)アンモニウムプロピオネートベタイン、4,4,9−トリメチル−4−アゾニア−7−オキソ−8−オキサ−デカ−9−エン−1−スルホネート、(メタ)アクリル酸ナトリウム、アクリル酸アンモニウム、及び無水マレイン酸などの他の水溶性の部分もまた、複合感圧接着性微小球の調製に使用される溶質ポリマー中に組み込むこともできるが、ただし、溶質ポリマーは本質的に水不溶性である。
【0044】
懸濁液重合プロセス
本発明の微粒子接着剤は懸濁重合によって調製される。懸濁重合は、モノマーを、それが溶解しない媒体(通常水性)に分散させて行う方法である。重合は各モノマー液滴内で進行する。モノマー可溶性フリーラジカル開始剤が好ましく用いられる。動力学及び機構は同様の温度及び開始剤濃度の条件のもとで行われるこれに相当するバルク重合のものと同じである。
【0045】
重合反応を開始するには、十分な数のフリーラジカルが存在しなくてはならない。これは熱又は放射線ラジカル開始反応などのいくつかの方法により行うことができる。例えば、熱あるいは放射線を発熱反応である、モノマーの重合を開始するために加える。しかしながら、開始剤の熱分解によって反応を開始するのに十分な数のフリーラジカルが生じるまで熱を加えることが好ましい。これが生じる温度は使用する開始剤に大きく依存して異なる。
【0046】
更に、重合反応混合物を脱酸素することが多くの場合望ましい。反応混合物に溶解している酸素が重合を抑制し得ることがよく知られており、この溶存酸素を追い出すことが望ましい。不活性ガスを反応容器中に吹き込む、又は反応混合物中に吹き込むことが脱酸素の有効な手段であるが、懸濁重合と両立するその他の脱酸素方法を使用することができる。典型的には、脱酸素には窒素を使用するが、VIIIA(CAS版)属の任意の不活性ガスもまた適している。
【0047】
特定の時間及び攪拌速度はモノマーと反応開始剤に依存するパラメータであるが、反応混合物の状態が、平均モノマー液滴径が約1〜300マイクロメートル、好ましくは20〜75マイクロメートルの間になるまで、反応混合物を予備分散することが望ましい場合がある。反応混合物を更にかつ長く攪拌するにつれ平均粒径は小さくなる傾向がある。
【0048】
好ましくは攪拌と窒素パージとを反応時間中維持する。反応混合物を加熱することによって反応が開始する。重合応の後、反応混合物を冷却する。
【0049】
一段階過程においては、2−オクチル(メタ)アクリレートモノマー、及びあらゆる任意のその他の重合性コモノマーは、両方とも重合開始時に懸濁物中に加えておく。その他の成分、例えば反応開始剤、安定剤(使用する場合)、界面活性剤及び変性剤を反応混合物中に加えておく。
【0050】
重合後、室温で安定な微粒子の水性懸濁物が得られる。この懸濁物の非揮発性の固形分含有量は約10〜約70重量パーセントであってもよい。微粒子懸濁液は特にアグロメレーション又は凝固に対して安定であるので、微粒子の水性懸濁液は重合後直ちに使用することができる。スロット・ダイ・コーティングなどの従来の塗布方法を用いて微粒子を水溶液からコーティングして、接着剤コーティングを設けることができる。
【0051】
微粒子は、様々なレオロジー調整剤及び/又はラテックス接着剤、あるいは「バインダー」と配合され得る。典型的には、接着剤コーティングは、乾燥すると、1平方フィートあたり0.2〜約2グラムの範囲内の乾燥被覆重量を呈して、接着剤コーティングが重合体微粒子と、重合体安定剤と、界面活性剤と、任意にレオロジー調整剤及び/又はラテックス接着剤とを含む、接着剤コーティングシート材料が得られる。
【0052】
本発明の微小球PSAの性質は、重合の後に粘着付与樹脂及び/又は可塑剤を添加することによって変えることができる。本明細書で使用するのに好適な粘着付与剤及び/又は可塑剤には、ハーキュリーズ社(Hercules, Inc.)などから商品名フォラル(FORAL)(登録商標)、レガールレズ(REGALREZ)(登録商標)、及びペンタリン(PENTALYN)(登録商標)で市販の水素添加ロジンエステルが挙げられる。粘着付与樹脂はまた、t−ブチルスチレンをベースとしたものも挙げられる。有用な可塑剤には、ジオクチルフタレート、2−エチルヘキシルホスフェート、トリクレジルホスフェート等が挙げられるが、これらに限定されない。このような粘着付与剤及び/又は可塑剤を使用する場合、接着剤混合物で中の使用量はこのような添加剤の公知の使用に対する有効量である。
【0053】
所望により、レオロジー調整剤、着色剤、充填剤、安定剤、感圧ラテックス結合剤、及び様々な重合体添加物のような変性剤を使用することが可能である。このような変性剤を使用する場合、接着剤混合物中の使用量はこのような変性剤の公知の使用に対する有効量である。
【0054】
基材
本発明で使用する好適な裏材又は基材の材料には、紙、プラスチックフィルム、酢酸セルロース、エチルセルロース、合成又は天然材料で構成される織物又は不織繊維、金属、金属化ポリマーフィルム、セラミックシート材料等が挙げられるが、これらに限定されない。多くの実施形態において、裏材又は基材の材料の厚さは50〜155マイクロメートルであるが、所望であれば、これより薄い裏材又は基材の材料を使用してもよい。典型的には、微粒子PSA組成物は、基材の第1の面の少なくとも一部分に塗布又はコーティングされる。いくつかの実施形態では、通常は微粒子PSAが塗布されたのと反対の領域にある基材の第2の面に、剥離コーティングを塗布する。
【0055】
応用例
本発明の微粒子接着剤を用いて作られる特に有用な物品としては、貼り替え可能なノート及び紙製品、貼り替え可能なテープ及びテープ付箋、イーゼルシート、貼り替え可能なスティックのり等などの貼り替え可能な接着剤製品が挙げられるが、その他の貼り替え可能なでない産業用、商業用及び医療用の接着剤製品を含むこともできる。
【実施例】
【0056】
以下の代表的な発明を用いて、本発明を更に説明する。
【0057】
試験方法
次の試験方法を用いて実施例1及び比較例C1の微粒子PSAの性能を評価した。
【0058】
ボンド紙に対する接着力
剥離接着は、特定の角度及び引き離し速度でコーティングされたシートをボンド紙基材から引き離すのに要する力である。実施例において、この力は、コーティングされたシートの幅2.54cm(1インチ)あたりのグラムで表わされている。手順は次の通りである。
【0059】
コーティングされたシートの幅2.54cm(1インチ)のストリップ(即ち、試料)を、9.1kg(20ポンド)のボンド紙の水平面に接合する。2.0kg(4.5ポンド)の硬質ゴムローラを使用して、ストリップをボンド紙にしっかりと接合させる。引き離し角度が90°になるように、コーティングされたシートの自由端を接着試験機のロードセルに取り付ける。次に、毎分30.5cm(12インチ)の一定速度でロードセルからプレートを引き離すことができる引張試験機のジョーに試験プレートを掴持する。ロードセルの読みをコーティングされたシート1インチあたりのグラムで記録する。試験を繰り返し、3回の実験の平均としてデータを報告する。
【0060】
ボンド紙に対する経時接着力
コーティングされたシートの幅2.5cm(1インチ)のストリップを、9.1kg(20ポンド)のボンド紙の水平面に接合する。2.0kg(4.5ポンド)の硬質ゴムローラを使用して、ストリップをボンド紙にしっかりと接合させる。積層体は、21℃(70°F)、相対湿度80%で72時間経時処理を行った。経時処理後、上記のボンド紙に対する接着力の試験方法に従って、試料の剥離接着を実施した。
【0061】
粘着性
粘着性測定には、テクスチャー・テクノロジーズ・コーポレイション(Texture Technologies Corp.)のTA−XT2iテクスチャーアナライザーを使用する。試料を接着面を上にして真ちゅうの試験装置で保持する。通常は100gである特定の力に達するまで、7mmのステンレススチールプローブを試料に接触させる。接触時間1秒後、プローブを速度0.5mm/秒で上昇させ、接着力を試料からのプローブの距離の関数として測定した。粘着性はピーク除去力である。
【0062】
静止角度試験(SAT)
SATは、一定の負荷状態下において特定の剥離角度で除去圧力を受けながら、試料が標準テストパネルに付着しとどまる能力を測定する。静止角度試験は、試料の脱離抵抗を測定する1つの定量的な手順である。
【0063】
静止角度試験を行うにあたって、以下の代表的な工程を使用して6個の試料を準備することができる。各試料は、幅18mm、長さ33mmの接着剤ストライプを含む。
【0064】
テストパネルは、塗装された表面を有するスチールパネルである。各試料を、水平配向された接着剤ストライプの長辺を有する塗装されたスチールパネルに貼り付ける。その後、試料を塗装されたスチールの表面に10.3kPa(平方インチあたり1.5ポンド(77.6mm Hg))の印加圧力で2パスのアプリケーションローラーにより圧着する。
【0065】
実装された試料は、垂直に向いた、地面に対してほぼ垂直である保持フレーム内に定置される。塗装されたスチールパネルは、垂直に向いたフレームを基準として下方30°の角度で保持される。100グラムの負荷を保持フレームの下部末端部に近いコーティングされたシートの下部末端部に加える。100グラムの負荷を加えると同時にタイマーをスタートし、コーティングされたシート試料をスチールパネルから脱離する前に試料がどの程度塗装されたスチールの表面に付着しとどまるかを測定する。SATは、通常、破壊、即ち試料が実際にスチールパネルから脱離するまで実施される。脱離時間は、通常6個の結果の平均として秒単位で測定される。
【0066】
実施例1及び比較実施例C1
【0067】
【表1】

【0068】
PM=重合性モノマー
N KエステルM90G:ポリエチレンオキシドメタクリレート、新中村化学工業株式会社及び東和薬品株式会社
ペルカドックス(PERKODOX)(登録商標)16:ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、アクゾ・ケミカルス社(Akzo Chemicals Inc.)
ルパロクス(LUPEROX)(登録商標)A75:過酸化ベンゾイル、アルケマ(Arkema)
ステパノール(STEPANOL)(登録商標)AMV:ラウリル硫酸アンモニウム、ステパン社(Stepan Co.)
ハイテノール(HITENOL)(登録商標)BC−1025:ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルアンモニウムサルフェート、モンテロ社(Montello)
サイアナマー(CYANAMER)(登録商標)N−300:ポリアクリルアミド、サイテック(Cytek)
実施例1−微粒子接着剤重合プロセス
2−オクチルアクリレート微粒子接着剤を懸濁液重合プロセスによって水中で調製した。実施例1の2−オクチルアクリレート微粒子接着剤を調製するために、表1に示される成分を、流冷却器、温度計、攪拌棒、及び窒素ガス入口を備える4球フラスコの中に投入した。次に、混合物を、1毎分350回転で30分間混合して、約50マイクロメートルの所望のモノマー液滴径を得た。モノマー液滴径が光学顕微鏡法で決定した仕様になった時点で、懸濁液を窒素雰囲気下で開始温度45℃に加熱して、重合を開始した。反応は発熱して進行した。重合の後、バッチを室温まで冷却し、チーズクロスでろ過して凝塊を除去した。ホリバ(Horiba)LA910粒径分析器で測定した微粒子の粒径は50マイクロメートルであった。
【0069】
比較例C1−微粒子接着剤重合プロセス
比較例C1の微粒子を、表1に示される成分を4球フラスコの中に投入して、実施例1と同様の懸濁重合によって水中で調製した。用いた2−エチルヘキシルアクリレートはアルドリッチ・ケミカルズ社(Aldrich Chemicals)から市販されており、石油源から誘導されていた。ホリバ(Horiba)LA910粒径分析器で測定した微粒子の粒径は47マイクロメートルであった。
【0070】
微粒子PSA組成物
次に、実施例1及び比較例C1の微粒子接着剤を、表2に示されるように、それぞれ、ラテックス結合剤のカーボタック(CARBOTAC)(登録商標)26222、及び増粘剤のケルザン(KELZAN)(登録商標)S及びアクリゾル(ACRYSOL)(登録商標)TT935と配合した。微粒子PSA組成物の粘度を、ブルックフィールド粘度計によって30rpmで測定して計約950cpsになるように、これら増粘剤で調整した。評価するために、配合された微粒子PSA組成物を、1平方フィートあたり0.35グラムの被覆重量で、紙の上にコーティングした。
【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
表3のデータが示すように、実施例1の配合接着剤は比較例C1と同様に、並びに、場合によっては、比較例C1よりも良好に機能する。特に、比較例C1の接着剤は高い経時的な接着性蓄積を有した。多くの用途において、接着性蓄積の増加は、試料が付着している表面から試料を除去するためにより大きな剥離力を必要とするので、望ましくない。例えば、比較例C1の微粒子PSAを1枚の紙に塗布して、後でそれをイーゼルパッドなどの表示面に貼り付ける場合、実施例1の微粒子PSAと比べて、時間がたつにつれてイーゼルからこの紙を引き剥がすのに必要な力が大きくなる。
【0074】
更に、実施例1の接着剤のSATは、比較例C1のそれをはるかに上回り、このことは、実施例1の微粒子PSAは、壁のような垂直面にて適用させた場合にずっと長い留め時間を有することを意味する。
【0075】
ASTM D 6866−06aに従って評価すると、実施例1の配合接着剤は約70%のバイオベース炭素含有量を有し、一方、比較例C1のの配合接着剤は約1%バイオベース炭素含有量を有することが見い出された。したがって、この驚くべき接着性能に加えて、本発明の組成物は、石油源の使用の減少、及び温室効果ガスの排出削減を可能にする。
【0076】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することのなく、本発明の様々な改良及び変更が、当業者には明らかとなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも一部が非石油源から誘導される少なくとも1種類の重合性モノマーと、(b)少なくとも1種類の反応開始剤と、(c)少なくとも1種類の安定剤と、の反応生成物を含む接着剤であって、該反応が水中で起こると微粒子接着剤を生ずる、接着剤。
【請求項2】
前記非石油源がヒマシ油である、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
前記接着剤が少なくとも約30%のバイオベース炭素含有量を有する、請求項1に記載の接着剤。
【請求項4】
前記接着剤が少なくとも約40%のバイオベース炭素含有量を有する、請求項1に記載の接着剤。
【請求項5】
前記接着剤が少なくとも約50%のバイオベース炭素含有量を有する、請求項1に記載の接着剤。
【請求項6】
前記接着剤が少なくとも約65%のバイオベース炭素含有量を有する、請求項1に記載の接着剤。
【請求項7】
前記反応生成物が界面活性剤を更に含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項8】
約92.0〜99.9重量%の成分(a)、約0.01〜4.0重量%の成分(b)、及び約0.01〜4重量%の成分(c)の前記反応生成物を含み、各成分の前記重量%が全前記成分の総重量に基づく、請求項1に記載の接着剤。
【請求項9】
感圧接着剤組成物であって、
(a)(i)少なくとも一部が非石油源から誘導される少なくとも1種類の重合性モノマー、(ii)少なくとも1種類の反応開始剤、及び(iii)少なくとも1種類の安定剤の反応生成物を含む微粒子接着剤であって、該反応が水中で起こる、微粒子接着剤と、
(b)少なくとも1種類の感圧接着結合剤と、
(c)少なくとも1種類の増粘剤と、を含む組成物。
【請求項10】
約90〜98重量%の成分(a)と、約1〜10重量%の成分(b)と、約0.1〜3.0重量%の成分(c)と、を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
紙、ポリマーフィルム、織布、合成又は天然材料の不織布、金属、金属化ポリマーフィルム、及びセラミックシートからなる群から選択される裏剤の第1の面の少なくとも一部分の上に配置される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
次の(a)〜(c)の反応混合物の反応生成物を含む接着剤であって:
(a)約92.0〜99.9重量%の、アクリル酸と非石油源から誘導される2−オクタノールとを反応させて調製した、2−オクチル(メタ)アクリレート;
(b)約0.01〜4.0重量%の少なくとも1種類の重合安定剤;及び
(c)約0.01〜4.0重量%の少なくとも1種類の反応開始剤;
各成分の該重量%が成分(a)〜(c)の総量に基づき、該反応が水中で起こると微粒子接着剤を生ずる、接着剤。
【請求項13】
前記反応混合物が、
(1)最大約75重量%の約1〜14個の炭素原子を有する少なくとも1種類のアルキル(メタ)アクリレートコモノマー、
(2)最大約30重量%の少なくとも1種類の溶質ポリマー、
(3)約5重量%未満の少なくとも1種類の極性コモノマー、
(4)最大約10重量%の少なくとも1種類のアミドコモノマー、
(5)最大約10重量%の少なくとも1種類のポリエチレンオキシド(メタ)アクリレートコモノマー、
(6)最大約5重量%の少なくとも1種類のイオン性コモノマー、
(7)最大約1重量%の少なくとも1種類の架橋剤、
(8)及びその混合物、
からなる群から選択される重合性コモノマーを更に含み、
該重量%が2−オクチル(メタ)アクリレート含有量に基づく、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記反応混合物が、2−オクチル(メタ)アクリレート含有量に基づいて最大約0.2重量%の少なくとも1種類の連鎖移動剤を更に含む、請求項12に記載の接着剤。
【請求項15】
微粒子接着剤組成物であって、
(a)約90〜98重量%の請求項12の微粒子接着剤と、
(b)約1〜10重量%の少なくとも1種類の結合剤と、
(c)約0.1〜3.0重量%の少なくとも1種類の増粘剤と、を含む微粒子接着剤組成物。
【請求項16】
紙、ポリマーフィルム、織布、合成又は天然材料の不織布、金属、金属化ポリマーフィルム、及びセラミックシートからなる群から選択される裏剤の第1の面の少なくとも一部分に配置される請求項12の微粒子接着剤を含む接着剤物品。
【請求項17】
剥離コーティングが前記接着剤組成物に実質的に対向するように位置するように、前記裏材の第2の面の少なくとも一部分の上に配置される該剥離コーティングを更に含む、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
(a)約87〜99.9重量%の、アクリル酸と非石油源から誘導される2−オクタノールとを反応させて調製された、2−オクチル(メタ)アクリレート、
(b)約0.01〜5重量%の少なくとも1種類の界面活性剤、
(c)約0.01〜4重量%の少なくとも1種類の重合安定剤、
(d)約0.01〜4.0重量%の少なくとも1種類の反応開始剤、
ここで、各成分の該重量%は成分(a)〜(d)の総量に基づく、
(e)成分(a)に基づき最大約75重量%の、約1〜14個の炭素原子を有する少なくとも1種類のアルキル(メタ)アクリレートコモノマー、
(f)成分(a)に基づき約5重量%未満の少なくとも1種類の極性コモノマー、
(g)成分(a)に基づき最大約10重量%の少なくとも1種類のアミドコモノマー、
(h)成分(a)に基づき最大約10重量%の少なくとも1種類のポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、
(i)成分(a)に基づき最大約30重量%の少なくとも1種類の溶質ポリマー、
(j)成分(a)に基づき最大約0.2重量%の少なくとも1種類の連鎖移動剤、
(k)成分(a)に基づき最大約5重量%の少なくとも1種類のイオン性モノマー、及び
(l)成分(a)に基づき最大約1重量%の少なくとも1種類の架橋剤、
の反応生成物から構成される接着剤であって、
該反応が水中で起こると微粒子接着剤を生ずる、接着剤。
【請求項19】
前記アルキル(メタ)アクリレートコモノマーが、アクリル酸イソオクチル、イソノニル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4−メチル−2−ペンチル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項18に記載の接着剤。
【請求項20】
前記極性コモノマーが、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項18に記載の接着剤。
【請求項21】
前記アミドコモノマーが、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項18に記載の接着剤。
【請求項22】
微粒子接着剤組成物であって、
(a)約90〜98重量%の請求項18の微粒子接着剤と、
(b)約1〜10重量%の少なくとも1種類の結合剤と、
(c)約0.1〜3.0重量%の少なくとも1種類の増粘剤と、を含む微粒子接着剤組成物。
【請求項23】
紙、ポリマーフィルム、織布、合成又は天然材料の不織布、金属、金属化ポリマーフィルム、及びセラミックシートからなる群から選択される裏材の第1の面の少なくとも一部分に配置される、請求項22の微粒子接着剤を含む接着剤物品。
【請求項24】
剥離コーティングが前記接着剤組成物に実質的に対向するように位置するように、前記裏材の第2の面の少なくとも一部分の上に配置される該剥離コーティングを更に含む、請求項23に記載の物品。

【公表番号】特表2011−508804(P2011−508804A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539748(P2010−539748)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/087232
【国際公開番号】WO2009/079582
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】