微粒子製造のための連続二重エマルジョン工程
微粒子をカプセル化する改善された方法を本明細書に記載する。一態様において、開示されている方法は実質的な連続二重エマルジョン工程を含む。さらなる態様では、生物活性剤を含む微粒子が開示された方法により調製される。本発明の方法は、例えば、(a)第1の水相に溶解または分散した生物活性剤を含む第1相を提供することと、(b)有機相に溶解または分散したポリマーを含む第2の相を提供することと、(c)第1と第2の相を第1の連続工程で混合して油中水型エマルジョンを形成することと、(d)ステップ(c)のエマルジョンと第2の水相を第2の連続工程で混合して水中油中水型二重エマルジョンを形成することと、(e)有機物を除去して微粒子を形成することとを含む、微粒子を形成する方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年1月23日に出願された米国仮出願第61/146、884号に基づき、その優先権の利益を主張するものであり、その出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
水溶性生物活性剤を含む微粒子の製剤は従来の剤形の有力な代替形態である。微粒子のカプセル化は、毒性を減らし、効能を向上させるなどの多くの利点を提供する。また、多くの微粒子のカプセル化プロトコルは薬理学的薬物放出プロファイルを向上するので患者コンプライアンスを向上させることができる。
【0003】
水溶性生物活性剤を微粒子内にカプセル化する多くの方法が存在する。それらのいくつかの例は、二重エマルジョン液抽出工程、有機相分離法、超臨界流体法、および噴霧乾燥法などである。しかしながら多くの場合、従来の方法は不連続工程によるものであり、単一の相、溶液、または分散液が、他の相、溶液、または分散液と分離して調製、混合、および/または処理されている。従って、このような工程は煩雑な時間制約に縛られ、不連続工程中に典型的に起こる他の課題に直面することになる。
【0004】
よって、微粒子のカプセル化へのより実用的で経済的なアプローチを提供する改良された工程へのニーズが存在する。本発明はこれらのニーズおよびその他のニーズを満たす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において、微粒子を形成する方法が記載され、その方法は、(a)第1の水相に溶解または分散した生物活性剤を含む第1相を提供することと、(b)有機相に溶解または分散したポリマーを含む第2の相を提供することと、(c)第1と第2の相を第1の連続工程で混合して油中水型エマルジョンを形成することと、(d)ステップ(c)のエマルジョンと第2の水相を第2の連続工程で混合して水中油中水型二重エマルジョンを形成すると、(e)有機物を除去して微粒子を形成することとを含む。さらに開示された方法により作製された微粒子も開示する。
【0006】
本発明の利点は以下の記載において部分的に説明され、部分的に本明細書から自明であるか、または以下に記載されている態様の実施によって確認することができる。以下に記載の利点は、別記の特許請求の範囲において特に指摘される要素および組合せにより実現および達成されるであろう。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、いずれも単に例示的および説明的なものであり、本発明を制限するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1a】図1a〜cは、実施例1に記載した不連続工程により形成された微粒子の典型的な微粒子断面のSEMおよび共焦点ラマン像を示す。
【図1b】図1a〜cは、実施例1に記載した不連続工程により形成された微粒子の典型的な微粒子断面のSEMおよび共焦点ラマン像を示す。
【図1c】図1a〜cは、実施例1に記載した不連続工程により形成された微粒子の典型的な微粒子断面のSEMおよび共焦点ラマン像を示す。
【図2a】図2a〜cは、実施例1(12,000RPM混合エネルギーを用いて1次エマルジョンを調製する不連続の二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から、運転の(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図2b】図2a〜cは、実施例1(12,000RPM混合エネルギーを用いて1次エマルジョンを調製する不連続の二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から、運転の(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図2c】図2a〜cは、実施例1(12,000RPM混合エネルギーを用いて1次エマルジョンを調製する不連続の二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から、運転の(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図3a】図3a〜cは、実施例2(12,000RPM混合エネルギーを用いて1次エマルジョンを調製する連続二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から、運転の(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図3b】図3a〜cは、実施例2(12,000RPM混合エネルギーを用いて1次エマルジョンを調製する連続二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から、運転の(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図3c】図3a〜cは、実施例2(12,000RPM混合エネルギーを用いて1次エマルジョンを調製する連続二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から、運転の(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図4a】図4a〜cは、実施例3(高い割合の内相水を用いて1次エマルジョンを調製する不連続の二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から、運転の(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図4b】図4a〜cは、実施例3(高い割合の内相水を用いて1次エマルジョンを調製する不連続の二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から、運転の(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図4c】図4a〜cは、実施例3(高い割合の内相水を用いて1次エマルジョンを調製する不連続の二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から、運転の(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図5a】図5a〜cは、実施例4(高い割合の内相水を用いて1次エマルジョンを調製する連続の二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から運転における(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図5b】図5a〜cは、実施例4(高い割合の内相水を用いて1次エマルジョンを調製する連続の二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から運転における(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図5c】図5a〜cは、実施例4(高い割合の内相水を用いて1次エマルジョンを調製する連続の二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から運転における(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(詳細な説明)
本化合物、組成物、複合材料、物品、デバイス、方法、または使用を開示し記述する前に、以下に記述される態様は特定の化合物、組成物、複合材料、物品、デバイス、方法、または使用に限定されるものではなく、したがって、当然のことながら変化してもよいことを理解されたい。さらに、本明細書で使用される用語は特定の態様を説明するためにのみ使用され、制限を加えることを意図するものではない。
【0009】
この明細書、およびそれに続く特許請求の範囲では、いくつかの用語が言及されるが、それらは次の意味を持つと定義される。
【0010】
本明細書を通じて、文脈上特に必要としない限り、用語「含む(comprise)」または、「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などの変形は、所定の完全体、またはステップ、または完全体もしくはステップの群が含まれることを意味するが、いかなる他の完全体、またはステップ、または完全体もしくはステップの群の除外をも意味しないものとする。
【0011】
本明細書中および添付の特許請求の範囲中で使用する場合、文脈が明らかにそうではないと示していないかぎり、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は複数形の参照対象を含んでいることに留意しなくてはならない。従って、例えば、「生物活性剤(a bioactive agent)」を参照する場合は2つまたはそれ以上の該活性剤などの混合物を含む。
【0012】
「任意の(optional)」または「任意に(optionally)」という表現は後に記述される事象又は状況が生ずることも有り得るし、生じないことも有り得ること、およびその説明は、そのような事象又は状況が生じる場合、および生じない場合を含むことを意味する。
【0013】
本明細書において範囲は「約」1つの特定値からおよび/または「約」別の特定値までのように表され得る。そのような範囲が表される場合、別の態様はその1つの特定値からおよび/またはその別の特定値までを含む。同様に、先行詞「約」の使用により値が近似値として表される場合、その特定の値が別の態様をなすことは理解されるであろう。さらに、範囲のそれぞれの端点が、他方の端点との関係でも、他方の端点とは独立しても、有意であることが理解されるであろう。
【0014】
具体的にそれに反する記述がない限り、成分の重量比は成分が含まれる製剤または組成物の合計重量に基づく。
【0015】
本明細書において「微粒子」という用語は約10nmから2000ミクロン(2ミリメータ)のサイズの様々な構造物を指すために使用され、マイクロカプセル、マイクロスフェア、ナノ粒子、ナノカプセル、ナノ球、および一般的に約2000ミクロン(2ミリメータ)以下の粒子を含む。一態様では、生物活性剤が微粒子の中にカプセル化される。
【0016】
「生体適合性」という用語は、対象に実質的に毒性を示さない物質を指す。
【0017】
「生分解性」とは、本発明では溶解種になるまで浸食するか、または、対象に毒性を示すことがなく(生体適合性)、ならびに対象により代謝され、除去され、または排泄される、生理学的条件下で小さな単位あるいは化学種に分解する物質を称する。
【0018】
「生物活性剤」とは生物活性がある薬剤を言う。生物学的剤は疾患、障害、感染等を治療、診断、治癒、緩和、予防(例えば予防的に)、改善、調節するために使用することができる、またはそれらに対して有益な効果を有し得る。「放出可能な生物活性剤」とは開示される微粒子から放出され得る製剤を指す。また、生物活性剤は、対象の構造または機能に影響する物質、または生理活性化するか、所定の生理学的環境下で置かれた後に生理活性化するプロドラッグを含む。
【0019】
本明細書には、開示された方法および組成物と共に使用できるか、それらを作るために使用できる化合物、組成物、成分が開示され、または開示された方法および組成物による生産物が開示される。これらおよびその他の材料が本明細書に開示され、当該材料の組み合わせ、その一部、相互作用、群などが記載される場合、それらの化合物の個々の、および全体としての様々な組み合わせや順序が明記されない場合があるが、その各々は、本明細書において具体的に企図され、記載されているものとする。例えばいくつかの異なるポリマー及び薬剤が開示・説明される場合、当該ポリマー及び生体分子の組み合わせや順序の全てが、否定する説明がある場合を除いて、具体的に企図される。従って、分子A、B、Cのクラスと分子D、E、Fのクラスと、例として組み合わせ分子A-Dとが開示される場合、たとえ個々の組み合わせが記載されていなくても、個々の組み合わせが、個々に、および全体として企図される。つまり、上記の例の場合、A-Eの組み合わせ、A-Fの組み合わせ、B-Dの組み合わせ、B-Eの組み合わせ、B-Fの組み合わせ、C-Dの組み合わせ、C-Eの組み合わせ及びC-Fの組み合わせが具体的に企図され、それらは、A、B、CとD、E、F、およびA-Dの組み合わせから開示されるものするべきである。同様に、これらのサブセット(部分組み合わせ)または組み合わせも具体的に企図される。つまり、例えばA-E、B-F、C-Eのサブグループが具体的に企図され、それらは、A、B、CとD、E、F、およびA-Dの組み合わせから開示されるものとするべきである。この考え方は本明細書の全ての記載に適用される。例えば開示される組成物をを製造、および使用する方法のステップに適用されるが、それらに限定されない。従って、行うことができる追加ステップがある場合、各追加ステップは本明細書に開示される、いかなる特定の実施形態、または実施形態の組み合わせで行うことができ、そのような各組み合わせは、具体的に企図され、開示されているものとみなされるべきである。
【0020】
一態様では、開示される方法は、微粒子のカプセル化する連続ステップを含み、各混合ステップまたは供給ステップは、次のステップに連続している。従って、一態様では、本方法は単一相、溶液、分散液が他の相、溶液、分散液と分離して調製、混合、および/または処理され、その後混合される不連続の(例えばバッチ)工程を回避する。連続工程を使用することにより、微粒子のカプセル化を行う経費効率的で時宜にかなったアプローチが可能となることは明白であろう。さらに、開示の方法によって可能となる速い生産時間により、生物活性剤の損失が少なくなり、これにより生活活性剤の装填効率が高くなる。さらに、連続工程を用いて1次エマルジョン(油中水型エマルジョン)の制御と再現性を実現することができ、それによって、最終微粒子生成物の制御と再現性を改善する可能性がある。驚くべきことに、本願明細書に記載の連続工程により調製される本発明の微粒子は初期バーストを減らすことが示された。明らかとなるように、本明細書に記載の連続二重エマルジョン工程により形成された、改善され、比較的一定の粒子形態により、微粒子中にカプセル化される生物活性剤における初期バーストの減少がもたらされた。これは、ポリマーマトリックスの全体に亘る生物活性剤の分布がコントロールされて、改善され、それに加えて生物活性剤の分布および粒子属性における優れた再現性と一貫性によるようであり、それらは連続工程の全体に亘ってよく維持された。本明細書記載の連続二重エマルジョン工程から形成される微粒子は、不連続(例えばバッチ)工程で形成された微粒子と比べて断面および形態がより一貫していることは、さらに明らかであろう。
【0021】
一態様では、微粒子を形成する方法は、(a)第1の水相に溶解または分散した生物活性剤を含む第1相を提供すること、(b)有機相に溶解または分散したポリマーを含む第2の相を提供すること、(c)第1と第2の相を第1の連続工程で混合して油中水型エマルジョンを形成すること、(d)ステップ(c)のエマルジョンと第2の水相を第2の連続工程で混合して水中油中水型二重エマルジョンを形成すること、および(e)有機物を除去し微粒子を形成することを含む。
【0022】
溶解または分散した生物活性剤を有する第1の水相を含む第1の相は、好適な手段を使用することで提供することができる。一態様では、所望の量の生物活性剤を、好適な水性溶液または溶媒中で溶解または分散する。微粒子中の生物活性剤の所望の装填に応じて、いかなる量の生物活性剤も使用することできる。同様に、好適な量の水性溶液または溶媒を使用することができる。生物活性剤は所望の重量%で水相中に存在することができる。例えば生物活性剤は、約1%から約90重量%で第1の水相中に存在することができる。これには、約5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、または80重量%などが含まれるが、これらに限定はされない。
【0023】
第1の相は好適な水性溶媒を含むことができる。好ましくは、水性溶媒は、生物活性剤の組成を大幅に変化させない水性溶媒である。水性溶媒の非限定的な1例は水である。一態様では、水は別の水混和性溶媒、他の多くの水混和性極性溶媒の中で例えばエタノール、メタノール、DMSO、DMF、イソプロピルアルコール、と混合することができる。様々な態様において、第1の相は緩衝液、塩、糖、界面活性剤および/または粘度調整剤などの他の賦形剤、またはそれらの組み合せを含むことができる。具体的な一態様において、第1の相は水と酢酸エチルを含むことができる。
【0024】
第2の相は好適な有機溶媒中でポリマーを混合することで提供することができる。一般に、有機溶媒は溶媒中のポリマー溶解度またはポリマー分散性に基づいて選択することができる。さらに、有機溶媒は水相との非混和性に基づいて選択することができる。従って、広範な種類の有機溶媒を使用することができる。非限定的な例は、他の多くの水非混和性有機溶媒の中で酢酸エチル、塩化メチレン、ヘキサン、またはそれらの組み合せなどの塩素化溶媒を含む。ポリマーは所望の重量%で第2の相に存在することができる。例えばポリマーは、約1%から約90重量%で第2の水相中に存在することができる。これには、約5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、または80重量%などが含まれるが、これらに限定されない。第2の相は 他の添加物の中で、共存溶媒、界面活性剤、乳化剤、2つ以上のポリマーのブレンド物、またはそれらブレンドなどの添加物をさらに含む。
【0025】
第1および第2の相は、第1の連続工程中で混合されて油中水型エマルジョンを形成する。油中水型エマルジョンは、ポリマーを含有する第2の相を含む油相で実質的に囲まれた内部相としての生物活性剤を含んでいる第1の水相を含む。一態様では、油中水型エマルジョンの形成は、典型的に連続工程に合わせたミキサーで補助することができる。一態様では、例えば第1および第2の相は連続ミキサーに至る供給ラインを独立して通ることができる。連続ミキサーは、静的および/または動的ミキサーを含む、好適な混合手段を含むことができる。ミキサーは機械的または非機械的混合部品を含むミキサーであり得る。一態様では、連続ミキサーは油中水型エマルジョンを形成するのに第1および第2の相が混合するように流れに乱流を起こす混合腕杵を有する静的ミキサーを含む。他の態様では、連続ミキサーは乳化剤、エマルション化デバイス、ホモジナイザー(例えばインラインあるいは連続ホモジナイザーまたはロータ/ステータホモジナイザー)を含む。例としては、充填床乳化剤、スクリーン、および膜乳化剤があげられるが、それらに限定されない。一態様では、連続ミキサーは、例えば12,000RPMを含めて、約8,000RPMから約15、000RPMなどの所望の毎分当たりの回転数で混合する混合部品を有する。
【0026】
油中水型エマルジョン(例えば1次エマルジョン)は、第2の連続工程において、第2の水相を含む第2の相と混合することができ、水中油中水型二重エマルジョンを形成する。油中水型エマルジョンは、形成されると、典型的には直後に連続的な方法で第2の連続工程に供給され、これにより第1の水相からの生物活性剤の損失を最小限にする。油中水型エマルジョンは、第2の水相で実質的に囲まれ、ポリマーを含有する第2の相を含む油相で実質的に囲まれた、内部相としての生物活性剤を含有する第1の水相を含む。第2の水相は典型的には、連続工程媒体と称される。従って、例えば、第2の水相としての水は、油中水型エマルジョンが第1の連続ミキサーを通過した後に、インライン工程に水を供給して油中水型エマルジョンに投入することができる。
【0027】
連続工程は数秒台の時間または、さらには毎ステップごとに1秒未満で迅速に実施され得る。第2の連続工程における水中油中水型二重エマルジョンの形成は、上記のミキサーを含む、静的または動的連続ミキサーを使用して補助することができる。第1および第2のミキサーは、分離した混合デバイスであることができ、同種類または異なる種類の混合デバイスを含むことができる。または、第1および第2の混合デバイスは、その横断方向に沿って、混合がなされる種々の相のための段階的な供給点を有する一つの連続混合デバイスであり得、第1および第2の連続工程が全て、一つの連続混合デバイスで実施される。
【0028】
第2の水相は任意の水性溶媒を含むことができる。水性溶媒の非限定的な1例は水である。一態様では、水は、例えば他の多くの水混和性極性溶媒、半混和性溶媒、または低水量混和溶媒の中でも、エタノール、メタノール、DMSO、DMF、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、ジクロロメタン等の、別の水混和性溶媒、半混和性溶媒、または低水量混和溶媒と混合することができる。一態様では、第2の水相は二重エマルジョンを安定化する安定剤を含むことができる。好適な安定剤の非限定の例は、ポリ(ビニルアルコール)、PVA、またはポリソルベート界面活性剤またはポロキサマー類などの界面活性剤または乳化助剤を含む。第1または第2の水相は、エマルジョンまたは二重エマルジョンの形成時に補助する乳化剤も含むことができる。乳化剤の非限定例は、界面活性剤のTween80またはポロキサマーのPluronics F168である。さらなる態様では、第2の水相は有機溶媒、共存溶媒、緩衝液、塩、糖、またはそれらの組み合せなどの他の添加物を含むことができる。特定の一態様では、第2の水相は添加した塩(塩化ナトリウムなど)に加え有機溶媒を含む。
【0029】
水中油中水型二重エマルジョンが形成されると、二重エマルジョンから微粒子を形成することができる。微粒子は典型的には有機溶媒を除去することにより形成される。有機溶媒は好適な方法で除去することができる。一態様では、水などの抽出液で有機物を抽出して有機物を除去することができる。他の態様では、有機物は、噴霧乾燥、減圧下での乾燥、溶媒の蒸発、またはこれらの組み合せにより乾燥することで除去することができる。典型的には、有機物の除去の工程は第1の水相からの生物活性剤の損失を最小限にするために迅速に実施するべきである。さらに、除去は連続液抽出工程などの連続工程を使用して実施することができる。
【0030】
別の形態では、ステップ(a)-(d)の連続工程は油中水中油型エマルジョン工程に応用することができる。例えば生物活性剤を油相で溶解または分散することができ、ポリマーを水相で溶解または分散することができる。次に、有機溶媒を添加して、二重エマルジョンを形成することができる。上記のステップのいずれもを開示された油中水中油型二重エマルジョン工程に従って使用することができる。
【0031】
広範なポリマーを本明細書に開示されている方法で使用することができる。一態様では、生物活性剤の所望の放出プロファイルがポリマーの選択に影響を及ぼし得る。例えば生体適合性ポリマーは、微粒子を対象に投与した後の所望の経過時間で生物活性剤が放出または放出を可能にするように選択することができる。例えばポリマーは、生物活性剤の活性の減弱が開始する前に、生物活性剤が活性の減弱を始めた際、生物活性剤の活性が部分的に減弱する際、例えば少なくとも25%、少なくとも50%、あるいは少なくとも75%の減弱した際、生物活性剤の活性が大幅に減弱した場合、または生物活性剤が完全に消失するか活性がもはやない時に、生物活性剤が放出または放出を可能にするように選択することができる。
【0032】
生分解性ポリマーが使用される場合、対象内に入ると所望の時間間隔内で分解するように微粒子を形成することができる。いくつかの態様において、この時間間隔は約1日未満から約1カ月の間になり得る。より長い時間間隔は、例えば約0以上6カ月の間で、または約1カ月から約6カ月の間で分解するポリマーマトリックスを含めて、6カ月まで延長できる。他の態様では、ポリマーは例えば約0以上約2年までの間、または約1カ月から約2年の間まで含めて最長2年またはそれ以上の長い時間間隔で分解することができる。
【0033】
好適なポリマーの非限定的な例は、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシ吉草酸塩、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリリン酸塩、ポリリン酸エステル、ポリジオキサノン、ポリリン酸エステル、ポリリン酸塩、ポリホスホン酸エステル、ポリリン酸塩、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミン、ポリペプチド、ポリウレタン、ポリアルキレンアルキレート、ポリアルキレンシュウ酸塩、ポリアルキレンコハク酸塩、ポリヒドロキシ脂肪酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリケタール、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリペプチド、多糖類、またはポリビニルピロリドンを含む。非生分解性であり耐久性のある他のポリマーとしては、限定しないが、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等があげられる。同様に、他の好適なる非生分解性ポリマーとしては、限定はしないが、シリコーンおよびポリウレタンがあげられる。
【0034】
さらなる態様では、ポリマーは修飾または置換された形態の多糖類を含む多糖類であり得る。非限定的な例は、修飾または置換された形のマルトデキストリンを含むマルトデキストリン、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン、キトサン、デキストリン、デキストラン、グリカン、グルカン、ヒアルロナン、およびこれらの修飾または置換された形態が含まれる。
【0035】
さらなる態様では、該ポリマーはポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド‐co‐グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(フォスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)であり得て、またはポリ(ヒドロキシブタレート)、ポリ(ラクチド‐co‐カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステル、生分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(ポリオキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリアセタール、ポリケタール、ポリリン酸エステル、ポリヒドロキシ吉草酸塩を含有するコポリマーであり得て、またはポリヒドロキシ吉草酸塩、ポリアルキレンシュウ酸塩、ポリアルキレンコハク酸塩、ポリ(マレイン酸)、およびコポリマー、ターポリマー、それらの組み合せまたはそれらのブレンドを含有するコポリマーであり得る。
【0036】
またさらなる一態様では、有用な生体適合性ポリマーは乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ジオキサノン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド、またはそれらの組み合せの1つまたはそれ以上の残基を含むものである。またさらなる一態様では、有用な生体適合性ポリマーはラクチド、グリコリド、カプロラクトンまたはそれらの組み合せの1つまたはそれ以上の残基を含むものである。
【0037】
一態様では、有用な生分解性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリビニルピロリドン(PVP)を含むが、それらに限定されない、親水性または水溶性ポリマーの一つまたはそれ以上のブロックを、ラクチド、グリコリド、カプロラクトンまたはそれらの組み合せを含む別の生体適合性あるいは生分解性ポリマーのブロックと組み合わせて含むものである。
【0038】
特徴的な態様において、生分解性ポリマーは1つまたはそれ以上のラクチド残基を含むことができる。その目的のために、ポリマーは、限定するものではないが、L-ラクチド、D-ラクチド、およびD,L-ラクチド、またはそれらの組み合せを含む、ラクチドのすべてのラセミおよび立体特異的な態様を含有するすべてのラクチド残基を含むことができる。ラクチドを含む有用なポリマーは、限定されないが、ポリ(L-ラクチド)、ポリ(D-ラクチド)、およびポリ(DL-ラクチド)、ならびに、ポリ(L-ラクチド‐co‐グリコリド)、ポリ(D-ラクチド‐co‐グリコリド)、およびポリ(DL-ラクチド‐co‐グリコリド)を含むポリ(ラクチド‐co‐グリコリド)、またはそれらのコポリマー、ターポリマー、組み合せまたはブレンドを含む。ラクチド/グリコリドポリマーは融解重合によりラクチドとグリコリドモノマーの開環を通して便宜的に調製することができる。さらに、ラセミDL-ラクチド、L-ラクチド、およびD-ラクチドポリマーは市販されている。L-ポリマーはDL-ポリマーと比べてより結晶性で再吸収する。グリコリドおよびDL-ラクチドまたはL-ラクチドを含むコポリマーに加えて、L-ラクチドおよびDL-ラクチドのポリマーが市販されている。ラクチドまたはグリコリドのホモポリマーは市販されている。
【0039】
生分解性ポリマーがポリ(ラクチド‐co‐グリコリド)、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)である場合、ポリマー中のラクチドとグルコリドの量は変わり得る。さらなる態様では、生分解性ポリマーは、0〜100モル%、40〜100モル%、50〜100モル%、60〜100モル%、70〜100モル%、または80〜100モル%のラクチドおよび0〜100モル%、0〜60モル%、10〜40モル%、20〜40モル%、または30〜40モル%のグルコリドを含み、ここでラクチドとグルコリドの量は100モル%である。さらなる態様では、生分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5(ラクチド‐co‐グリコリド)、85:15(ラクチド‐co‐グリコリド)、75:25(ラクチド‐co‐グリコリド)、65:35(ラクチド‐co‐グリコリド)、50:50(ラクチド‐co‐グリコリド)であってもよく、ここで比率はモル比である。さらなる態様では、ポリマーはポリ(カプロラクトン)またはポリ(ラクチド‐co‐カプロラクトン)であり得る。一態様では、ポリマーは、ポリ(ラクチド‐co‐カプロラクトン)であり得、様々な態様において、95:5(ラクチド-coカプロラクトン)、85:15(ラクチド-co‐カプロラクトン)、75:25(ラクチド-co‐カプロラクトン)、65:35(ラクチド-co‐カプロラクトン)、50:50(ラクチド-co‐カプロラクトン)、40:60(ラクチド-co‐カプロラクトン)、25:75(ラクチド-co‐カプロラクトン)、10:90(ラクチド-co‐カプロラクトン)、または5:95(ラクチド-co‐カプロラクトン)であってもよく、ここで比率はモル比である。
【0040】
上記の生分解性ポリマーの組み合わせ、限定されるものではないが、それらのコポリマー、またはそれらのブレンドを含む組み合せが使用され得ることが理解される。同様に、生分解性ポリマーの残基が開示される場合、開示される残基を含むいかなる好適なポリマー、コポリマー、混合物、またはブレンドも開示されるものと理解される。複数の残基が独立して(すなわち他との組み合わせではなく)開示される場合、いかなる独立した残基の組み合せも使用され得るものと理解される。
【0041】
一般に、いかなる微粒子も本明細書に開示された方法で生産することができる。微粒子は多様な形とサイズであり得る。一態様では、開示された微粒子は平均の粒子サイズは約20ミクロンから約125ミクロンであり得る。一実施形態では、平均の粒子サイズの範囲は約40ミクロンから約90ミクロンである。他の実施形態において、平均の粒子サイズの範囲は約50ミクロンから約80ミクロンである。粒子サイズに分布は、当業者に良く知られているレーザー回折技術により測定される。
【0042】
さらなる態様では、上述のように、記載した二重エマルジョン工程によって、カプセル化し、マイクロカプセル化し、または微粒子内に含有した生物活性剤を含む微粒子を提供する。当該技術分野で知られているように、微粒子は、第1の水相に存在する生物活性剤の量に依存して、生物活性剤の放出を調節することができる。微粒子は、例えば微粒子の重量に対して、1重量%、5重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%の生物活性剤を含むことができ、割合は、開示されたパーセンテージの間の任意の範囲を含む。一態様では、ここで開示される方法は、不連続工程で調製される微粒子と比較して、微粒子のより良い装填と放出プロファイルを提供することは明らかであろう。特定の態様において、微粒子は少なくとも約3重量%の生物活性剤、または例えば約3%〜約8%、または約4%〜約6%の生物活性剤を含むことができる。
【0043】
自明であるように、二重エマルジョン工程の状態に依存して、出発材料として使用するポリマーは最終微粒子に存在するポリマーと同じである場合もあり、または同じでない場合もある。例えば工程の中で使用されるポリマーは重合または解重合反応を経、最終的には、前工程で使用されたポリマーと異なるポリマーを産生し得る。従って、本明細書において使用する用語「ポリマー」は、出発材料として使用されるポリマー、ならびに記載された方法により生産された、デバイスに存在する最終ポリマーとを包含する。微粒子を生産する方法を、上述の乾燥方法と乾燥パラメータとの組み合せで使用することができる。
【0044】
幅広い種類の生物活性剤を本明細書において記載する方法で使用することができる。一態様では、生物活性剤は放出可能な生物活性剤、つまり、微粒子から対象の周辺組織または体液へ放出することができる生物活性剤であってもよい。特定の態様では、生物活性剤は微粒子の中または上にあってもよい。
【0045】
生物活性剤は、微粒子から周辺組織または体液へ放出することが可能な種々の形で使用されてもよい。その目的のため、液体または固体の生物活性剤を、本明細書において記載した微粒子に組込むことができる。生物活性剤は少なくとも僅かに水溶性で、好ましくは中程度に水溶性である。生物活性剤は有効成分の塩を含んでもよい。したがって、生物活性剤は酸性、塩基性または両性の塩であってもよい。それらは非イオン分子、極性の分子、または水素結合ができる分子複合体などであってもよい。生物活性剤は、例えば非荷電分子、分子複合体、塩、エーテル、エステル、アミド、高分子薬剤共役体、または有効な生物または生理作用を提供する他の形態で、組成物中に含まれてもよい。
【0046】
本明細書のシステムに組み込まれる生物活性剤の例には、ペプチド、ホルモンなどのタンパク質、酵素、抗体、抗体断片等、アプタマーiRNA、DNA,RNA,アンチセンス核酸などの核酸、アンチセンス核酸アナログ等、低分子量化合物、または高分子量化合物があるがこれらに限定されない。開示された微粒子中での使用が意図される生物活性剤は、同化剤、制酸剤、抗ぜん息薬、抗コレステロール血症および抗脂質剤、抗凝血剤、抗けいれん剤、止瀉薬、制吐剤、抗感染薬、抗菌性および抗菌剤、消炎鎮痛薬、抗躁薬、代謝拮抗薬、抗嘔吐剤、抗悪性腫瘍薬、抗肥満剤、解熱性および鎮痛剤、抗痙性剤、抗血栓薬、鎮がい薬、抗尿酸病剤、抗血管増殖剤、抗血管内皮成長剤、抗狭心症薬、抗ヒスタミン剤、食欲抑制、生物製剤、脳血管拡張薬、冠動脈拡張薬、気管支拡張剤類、細胞毒性物質、血管収縮剤、利尿薬、診断用薬、造血性剤、去たん剤、胃腸鎮静薬、高血糖症薬、睡眠薬、経口血糖降下薬、免疫抑制薬、イオン交換樹脂、緩下剤、ミネラル補給食品、粘液溶解剤、神経筋薬、末梢血管拡張剤、向精神薬、鎮静薬、刺激剤、抗甲状腺剤、組織成長剤、血管成長剤、血管内皮成長剤、子宮弛緩薬、ビタミン、または抗原的物質を含む。
【0047】
他の生物活性剤は、アンドロゲン抑制剤、多糖類、成長因子、ホルモン、抗血管新生因子、デキストロメトルファン、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、ノスカピン、クエン酸カルベタペンテン、クロフェジアノール塩酸塩、マレイン酸クロルフェニラミン、酒石酸フェニンダミン、マレイン酸ピリラミン、コハク酸ドキシラミン、クエン酸フェニルトロキサミン、塩酸フェニレフリン点眼剤、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、塩酸プソイドエフェドリン、エフェドリン、リン酸コデイン、硫酸コデインモルヒネ、ミネラル栄養補助食、コレスチラミン、N‐アセチルプロカインアミド、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、塩酸フェニルプロパノールアミン、カフェイン、グアイフェネシン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、アミノ酸、ホルモン、インターフェロン、サイトカイン、およびワクチンを含む。
【0048】
微粒子中の生物活性剤として使用できる代表的な薬は、限定されるものではないが、ペプチド医薬、蛋白質薬品、減感作物質、抗原、抗生物質、抗微生物薬、抗ウィルス薬、抗菌薬、抗寄生虫薬、抗真菌薬およびこれらの組み合せなどの感染治療剤、抗アレルギー剤、アンドロゲンステロイド、鼻充血除去薬、催眠薬、ステロイド消炎鎮痛薬、抗コリン薬、交感神経興奮薬、鎮痛薬、縮瞳薬、精神刺激薬、精神安定薬、ワクチン、エストロゲン、プロゲステロン剤、液素性薬剤、プロスタグランジン、鎮痛薬、鎮痙剤、抗マラリア薬、抗ヒスタミン、心臓作用薬、非ステロイド性抗炎症薬、病治療薬、血圧降下剤、β-アドレナリン作動性効果遮断薬、栄養剤、およびベンゾフェナントリジンアルカロイド類を含む。さらに、薬剤は刺激薬、鎮静薬、睡眠薬、鎮痛薬、抗けいれん薬等として働くことができる物質であってもよい。
【0049】
微粒子は単独もしくは組み合わせで多数の生物活性剤を含むことができる。他の生物活性剤は、限定されないが、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸等の鎮痛薬、リドカイン、キシロカイン等の麻酔薬、デキセドリン、酒石酸フェンジメトラジン等の食欲抑制薬、メチルプレドニソロン、イブプロフェン等の抗関節炎薬、テルブタリン硫酸塩、テオフィリンク、エフェドリン等の抗喘息剤、ルフィソキサゾール、ペニシリンG、アンピシリン、セファロスポリン、アミカシン、ゲンタマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、クリンダマイシン、イソニアジド、リファンピン等の抗生剤、アンホテリシンB、ナイスタチン、ケトコナゾール等の抗真菌薬、アシクロビル、アマンタジン等の抗ウイルス薬、シクロホスファミド、メトトレキサート、エトレチナート等の抗がん剤、ヘパリン、ワルファリン等の抗凝血剤、フェニトインナトリウム、ジアゼパム等の抗痙攣薬、イソカルボキサジド、アモキサピン等の抗うつ薬、ジフェンヒドラミンHCI、マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン、インシュリン、プロゲスチン、エストロゲン、コルチコイド、グルココルチコイド、アンドロゲン等のホルモン、ソラジン、ジアゼパム、クロルプロマジンHCI、レセルピン、クロルジアゼポキシドHCI等の精神安定剤、ベラドンナアルカロイド、塩酸ジサイクロミン等の鎮痙剤、非必須アミノ酸、カルシウム、鉄、カリウム、亜鉛、ビタミンB12等のビタミンとミネラル、プラゾシンHCl、ニトログリセリン、プロプラノロールHCl、ヒドララジンHCl、パンクレリパーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ等の心臓血管薬、LHRH、ソマトスタチン、カルシトニン、成長ホルモン、グルカゴン様ペプチド、成長ホルモン放出因子、アンギオテンシン、FSH、EGF、骨形成タンパク質(BMP)、エリスロポエチン(EPO)、インターフェロン、インターロイキンン、コラーゲン、フィブリノーゲン、インシュリン、第VIII因子、第IX因子、エンブレル(商標)、リツキサン(商標)、ハーセプチン、αグルコシダーゼ、Cerazyme/Ceredose(商標)、バソプレッシン、ACTH、ヒト血清アルブミン、ガンマグロブリン、構造タンパク質、血液製剤タンパク質、複合蛋白、酵素、抗体、モノクローナル抗体、抗体断片等のペプチドとタンパク質、プロスタグランジン、核酸、炭水化物、脂肪、モルヒネ、コデイン等の麻薬、精神障害治療剤、抗マラリア、L-ドーパ、フロセミド、スピロノラクトン等の利尿薬、ランチジンHCI、シメチジンHCl等の抗漬瘍剤が含まれる。
【0050】
また、生物活性剤は、例えばサイトカイン、インターロイキン、インターフェロン、コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子等の免疫調節物質、ネコのフケ、白樺花粉、家塵ダニ、牧草花粉等のアレルゲン、肺炎双球菌、ヘモフィラス・インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、化膿連鎖球菌、ジフテリア菌、リステリア・モノサイトゲネス、炭疽菌、破傷風菌、クロストリジウムボツリナム、ウェルシュ菌、髄膜炎菌、淋菌、ミュータンスレンサ球菌。緑膿菌、チフス菌、インフルエンザ菌、百日咳菌、野兎病菌、ペスト菌、コレラ菌、レジオネラニューモフィラ、結核菌、ライ菌、梅毒トレポネーマ、レプトスピラ・インテロガンス、ライム病ボレリア、カンピロバクター‐ジェジュニ等の微生物の抗原、天然痘、インフルエンザAおよびB、呼吸器合胞体、パラインフルエンザ、麻疹、HIV、SARS、水痘帯状疱疹、単純ヘルペス1および2、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バー、ロタウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、乳頭腫ウイルス、ポリオウイルス、おたふく風邪、狂犬病、風疹、コクサッキーウイルス、ベネズエラウマ脳炎、日本脳炎、黄熱病、リフトバレー熱、リンパ球脈絡髄膜炎、B型肝炎等のウイルスの抗原、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、ヒストプラスマ-カプスラーツム、カンジダ・アルビカンス、カンジダ‐トロピカリス、放線菌類、斑点熱リケッチア、発疹熱リケッチア、肺炎マイコプラズマ、クラミジア-シッタシ、クラミジア・トラコーマ、熱帯熱マラリア原虫、トリパノソーマ・ブルーセイ、赤痢アメーバ、トキソプラズマ原虫、膣トリコモナス、ンソン住血吸虫等の菌類、原生動物、および寄生生物の抗原であり得る。これらの抗原は全死菌、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、炭水化物、またはこれらの組み合せの形態であってよい。
【0051】
さらなる特定の態様において、生物活性剤は抗生物質を含む。抗生物質は、例えばアミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン、アンサマイシン、ゲルダナマイシン、ハービマイシン、セファマイシン、ロラカルベフ、カルバペネム、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、メロペネム、セファロスポリン(第一世代)、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン、セファロチン、セファレキシン、セファロスポリン(第二世代)、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セファロスポリン(第三世代)、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セファロスポリン(第四世代)、セフェピム、セファロスポリン(第五世代)、セフトビフロール、糖ペプチド、テイコプラニン、バンコマイシン、マクロライド、アジスロマイシン、クラシスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシ、テリトロマイシン、スペクチノマイシン、モノバクタム、アズトレオナム、ペニシリン、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンB、キノロン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサチン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、スルホンアミド、マフェニド、プロントジル(旧)、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファニルイミド(旧)、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、トリメトプリム、トリメトプリム−スルファメトキサゾール(コ・トリモキサゾール)(TMP-SMX)、テトラサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリンおよびその他を含有する、アルスフェナミン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン、エタンブトール、ホスホマイシン、フシジン酸、フラゾリドン、イソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、プラテンシマイシン、ピラジナミド、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、リファンピシン(米国ではリファンピシン)、チニダゾールのうちの1つ以上、またはこれらの組み合せであり得る。一態様では、生物活性剤は、リファンピシン(米国ではリファンピシン)およびミノサイクリンの組み合せであってもよい。
【0052】
特定の態様では、生物活性剤は、医薬組成物の成分として存在してもよい。医薬組成物は、所望の剤形で適宜調製されてもよく、例えば単位剤形またはコントロールされた放出剤形などであり、製剤技術で良く知られている方法で調製されてもよい。一般に、医薬組成物は、生物活性剤を、液体の担体または微細分割した固体の担体、または両方と均一に、かつ、密に、一緒になるようにして調製される。用いられる医薬担体は、例えば固体、液体、または気体であってもよい。固体担体の例はラクトース、ソフトシリカ、スクロース、タルク、ゼラチン、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸を含む。液体担体の例は糖シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、および水である。気体状の担体の例は炭酸ガスと窒素を含む。生物活性剤と混合することができる他の薬学的に許容される担体または成分は、例えば脂肪酸、糖、塩、ポリエチレングリコールなどの水溶性ポリマー、タンパク質、多糖類、カルボキシメチルセルロース、界面活性剤、可塑剤、ポリマーあるいは塩あるいは砂糖などの高または低分子量ポロシゲン、またはコレステロールまたはワックスなどの疎水性の低分子量化合物を含むことができる。
【0053】
微粒子は所望の対象に投与することができる。対象は哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類、両生類などの脊椎動物であり得る。本明細書に記載の方法における対象は、例えばヒト、霊長類、馬、ブタ、ウサギ、イヌ、羊、ヤギ、牛、ネコ、モルモット、またはげっ歯類であり得る。この用語は特定の年齢または性別を意味しない。従って、成人および新生児の対象、ならびに胎児が、雌雄のいずれであっても包含される。
【実施例】
【0054】
以下の例は当業者に本明細書中に記載して特許請求する化合物、組成物、方法がどのように作られ評価されるかの完全な開示と記載を提示しており、それらは純粋に例示であることを意図しており、発明者が発明とみなす範囲を限定するものではない。使用する数値(例えば量、温度など)に関して正確さを保証する努力がなされたが、幾分かの誤差および偏差は考慮されるべきである。特記のない限り、割合は重量により、温度は摂氏温度(℃)または周囲温度であり、圧力は大気圧またはその近傍である。反応条件には多くの変形および組み合わせがあり、それらの条件の例としては、成分濃度、成分の混合物、所望の溶媒、混合溶媒、温度、圧力、および記載の工程から得られる生成物の純度および収率を最適化するために用いられる他の反応の範囲と条件などが挙げられる。そのような工程の条件を最適化するには、妥当でか日常の実験が求められるのみである。以下の例で使用したポリマーは固有粘度が0.42dL/gの75:25ポリ(D,L-ラクチド‐CO‐グリコリド)であった。
【0055】
実施例1 不連続の二重エマルジョン(高速1次エマルジョン混合)
ポリマー溶液(DP1)を60グラムの塩化メチレン中で15グラムのポリマーを溶解させて調製した(全ポリマー重量濃度は20%)。ゴセレリン溶液(DP2)を、970mgの酢酸ゴセレリン(Genzyme Pharmaceuticals; Cambridge, MA)を6mLの水に溶解して調製した。別に、連続相(CP)溶液を、90グラムの酢酸エチルを1重量%ポリビニルアルコール(PVA)(Amresco, Solon, OH)を含有する1200グラムの水性溶液に添加して調製した。1次油中水型エマルジョン(1次エマルジョン)をドラッグ溶液DP2をポリマー溶液DP1に添加して、その後、粗目ロータ/ステータ翼を装着したDCA Ultra-Turrax UTL-25プローブミキサーによる、ロータスピード12,000RPMでの、3回の10秒間混合サイクルを使ってこれらの溶液を均質化して調製した。次に、この1次エマルジョン(分散相(DP)溶液)を60-mLの注射器に直ちに充填した後、注射器をCole-Parmer二重シリンジポンプに設置した。
【0056】
DP溶液(1次エマルジョン)およびCP溶液を高剪断粉砕ヘッドステータスクリーンを装着したSilverson L4R-Tホモジナイザーの試験室インラインミキサーヘッドの入口に別々に送出した。DP溶液は10g/分の速度で送出した。CP溶液は125g/分の速度で送出した。Silversonは1,000RPMの混合速度に設定した。次に、Silversonミキサーからの流出エマルジョンを、3500グラム/分の速度で流出エマルジョン流に送出される追加的な抽出相水(EP)で直ちに希釈した。得られた流出液を、約600-900RPMで懸濁液を撹拌するように設定した好適なミキサー(Lightnin G3U05Rまたは類似のもの)を装備した18ガロンタンクへ、管を通して送った。最初に、18ガロンタンクの底設バルブを開いたままにして、最初の1分間のエマルジョン生成物を通過させ、廃棄した。最初の1分後、エマルジョンの2L分を、出口チューブから、4Lのビーカに受け、磁気攪拌プレートを用いて磁気攪拌棒で撹拌した。この分量のエマルジョンを採取後、出口チューブを18ガロンタンクの方へ再び向け、そこでは、得られる流出液を開いている弁を通して廃棄した。
【0057】
運転の約半ばで、生成物の第2の2L分を第1のサンプルと同様に4Lのビーカに採取した。採取後、流出液を通過させて廃棄した。運転のほぼ最後に、18ガロンタンクの底設バルブを閉め、運転の最後の分量をこのタンクの中に採取した。このようにして、運転からの3つの分量を運転の初期、中間期、終期から採取した。また、サンプルのすべてについて同様に扱った。各サンプルは粒子から完全に溶媒を抽出させるために90分間撹拌した。この時点で、各サンプルは、25ミクロンのスクリーン上で取得した25-125ミクロンの生成物を回収するために、125ミクロンと25ミクロンのセットの試験ふるい(FisherBrand U.S. Standardステンレスの試験ふるい)を通過させた。4Lの脱イオン水で各サンプルを洗浄した。次に、生成物を200-mLの脱イオン水に懸濁させ、冷凍し、凍結乾燥して水を除去(約48時間)し乾燥粉末微粒子の生成物を得た。乾燥後、微粒子の生成物をシンチレーションバイアルに移し、次の解析に使うまで乾燥、凍結状態でしっかりと閉鎖し保管した。
【0058】
実施例2 連続の二重エマルジョン(高速1次エマルジョン混合)
ポリマー溶液(DP1)、水溶性ゴセレリン溶液(DP2)およびCP溶液を実施例1の記載のように調製した。実施例1で使用したのと同じIKAプローブをIKAインラインミキサーヘッドアダプターに挿入し連続混合モードで運転した。DP1ポリマー溶液とDP2水溶性ゴセレリン溶液DP2の両方が独立してインラインンミキサーヘッドアダプターの入口に導入されるようにチューブは構成した。DPとDP2の溶液をインラインンミキサーヘッドへ同時に送出することにより、1次エマルジョンを連続的に生成することができた。DP1ポリマー溶液は10g/分の速度でポンプで送られ、DP2ゴセレリン溶液は1mL/分の速度で送出され、ここでIKAミキサーは12,000RPMの混合速度に設定した。従って、得られた1次エマルジョン(DP溶液)は連続的に約11g/分の速度で調製した。次に、1次エマルジョン(DP溶液)を実施例1の記載のようにCP溶液と共に、Silverson L4R-Tホモジナイザーの試験室インラインミキサーヘッドの入口へ連続的に送出した。CP溶液は125g/分の速度で送出した。運転、および初期、中間期、終期からの3つの画分についての運転および採取は実施例1に記載のように実施した。サンプルを実施例1に記載のように採取し、洗浄し、かつ、乾燥した。
【0059】
薬物(ゴセレリン)含有量はHPLCによる選択されたサンプルで実施した。in vitro放出をリン酸緩衝生理食塩水溶液中で37℃でサンプルをインキュベートし、所望の時間間隔でHPLCにより放出媒体の一部を分析して実施した。それぞれにおいて、サンプルの部分は、加工条件が定常状態に達した各運転の中間期および終期の部分から分析した。
【0060】
走査電子顕微鏡(SEM)分析を選択したサンプルで実施した。微粒子の断面図をにクリオミクロトーム技術を使って作製した。独立した微粒子のバルク中からおよび全体にわたっている成分の分布を見るために共焦点ラマンを使用した。
【0061】
不連続1次エマルジョン工程で調製された生成物は、比較的大きな初期バーストを示し、これは、得られた微粒子の生成物の形態の変動性の結果である可能性が高い。粒子内に捕捉されて分布が不良の薬物を有する粒子の集団がゴセレリンの比較的大きなバーストを生成した。対照的に、連続二重エマルジョン工程により形成された粒子が向上して比較的一定の断面図の形態ではバーストが減少した。これは、ポリマーマトリックス全体を通じた薬物の制御され向上した分布とともに、運転全体を通じの薬物の分布と粒子の性質における優れた再生産性と一貫性と併の結果である可能性が高い。実施例1および2の微粒子の性能データを表1に要約する。
【0062】
【表1】
【0063】
実施例3 不連続の二重エマルジョン工程(高い割合の内相水を1次エマルジョンの調製に使用した)
製剤は、1次エマルジョンの調製中に使用した水の比率が大きいことを除いて、実施例1の不連続の二重エマルジョン工程に類似した方法で調製した。この場合、ポリマー溶液(DP1)を80グラムの塩化メチレン中で20グラムのポリマーを溶解させて調製した(全ポリマー重量濃度は20%)。ゴセレリン溶液(DP2)は20mLの水に1.29gを溶解して調製した。別に、連続相(CP)溶液を、90グラムの酢酸エチルを1重量%ポリ(ビニルアルコール)PVA(Amresco, Solon, OH)を含有する1200グラムの水性溶液に添加して調製した。IKAプローブミキサーを使用して12,000RPMで2つの溶液を均質化(実施例1に記載のように)し、分散相(DP)溶液(1次エマルジョン)を形成した。次に、このエマルジョンを100mLの注射器に配置し、これを次にCole-Parmer dual syringe pumpに配置した。次に、DP溶液およびCP溶液を、実施例1に記載のようにSilverson L4R-Tホモジナイザーを使用して送出して、かつ、均質化した。さらに残りのステップを、運転の初期、中間期、および終期から微粒子の生成物のサンプルを取得するために、実施例1に記載のように実施した。
【0064】
実施例4 連続の二重エマルジョン工程(高い割合の内相水を1次エマルジョンの調製に使用した)
製剤は、1次エマルジョンの調製中に使用した水の比率が大きいことを除いて、実施例2の連続の二重エマルジョン工程に類似した方法で調製した。この場合、ポリマー、ゴセレリンおよびCP溶液は実施例3に記載のように調製した。他の工程ステップは、実施例2に記載のように、微粒子の調製のために連続二重エマルジョン工程を使用して実施した。生成物の部分は実施例2に記載のように運転の初期、中間期、および終期から採取した。
【0065】
実施例4は比較的大きな量の内相水で調製されたにもかかわらず、高装填量の水溶性薬物(カプセル化効率)を有した。サンプルが不連続1次エマルジョン(実施例3)から調製された場合、このことは認められなかった。実施例4の連続工程は、in vitro放出システムの最初の48時間にわたってゆっくりと薬物を放出したのみの生成物を生成した。これは、連続二重エマルジョン工程による比較的向上して一貫した薬物分布とカプセル化を(実施例3で使用した不連続工程と比較して)示した。実施例3および4の微粒子の性能データを表2に要約する。薬物含有量、in vitro放出、およびSEMは上記の実施例1と2と同じプロトコルを用いて測定した。
【0066】
【表2】
【0067】
図1に関して、実施例1で記載した不連続工程により調製された微粒子は、孔または穴についての量および分布が変化していることがSEM断面図により認められた。図1aは、ココの微粒子の表面近くに形成された孔の代表的なSEM断面図を示す。図1bに示したように、共焦点ラマン分析はこれらの孔の周囲に薬物が集中していること、ならびに、図1cで示しているようにポリマーマトリックスの中および全体を通じて分布していることを裏づける証拠を提示する。図1において、灰色の領域はポリマーマトリックスを表し、黒は空気充満の空隙または孔を表し、薄灰色(白色から薄灰色)は薬物(ゴセレリン)を表す。
【0068】
この観察は、これらの孔が粒子形成期の間に形成された1次エマルジョン(薬物を含んだ水性溶液)の水相の大きな滴液の後に残された空隙を表す証拠を提示することができる。それ以外は、図1(c)で示すように、全ての場合の薬物がポリマーが豊富な(空隙が無い)マトリックスの残りの全体を通して均等に分布していたことが見出された。従って、粒子内のポリマーが豊富な領域は細かく分散した薬物を含む1次エマルジョンから形成される可能性が高い。対照的に、1次エマルジョンの質が徐々に低下するに従い、融合して大きな水性の小滴を形成する1次エマルジョンの滴液から空隙または孔が形成された。
【0069】
図2a〜cについて、実施例1の微粒子の種々の部分から除去された微粒子断面図は様々な性質を示すことが分かる。一部はほぼ均質(孔がない)である一方、大部分の粒子は一面に孔が表れている。さらに、孔のある粒子の孔のサイズについては様々であり、一部の粒子は細かな細孔を示すが、他の粒子では細かい孔から粗い孔の細孔を示す。一般に、しかしながら、不連続1次エマルジョン工程で調製された微粒子は様々であり、その内部形態は一貫していない。
【0070】
実施例1の不連続の二重エマルジョン工程とは対照的に、実施例2のサンプルを調製するのに使用した1次エマルジョンの連続調製は、これらの粒子の内部での空隙または孔の欠如で証明されるように比較的良好な形態の1次エマルジョンを生成した。図3a〜cについて、実施例2(1次エマルジョンの調製のために12,000RPMを使用した連続二重エマルジョン)からの粒子のSEM像を提供する。図1について述べたように、共焦点ラマン(データは示さず)像はサイズが類似した薬物粒子を示し、かつ、独立した粒子のバルクポリマーマトリックス全体にわたって均等に分布していた。さらに、運転の全体にわたって粒子の内部形態は粒子同士がほぼ同一である。この粒子間の一貫性は、連続の二重エマルジョン工程を使用することによる生成物の質における制御と再生産性の優位性を示している。
【0071】
図4a‐cおよび5a〜cについて、および図2と図3(実施例1と2)と同じように、不連続工程(実施例3)(図4a〜c)を使用して形成した粒子は断面図の形態が一貫性が無く様々であることが分かる。対照的に、連続二重エマルジョン工程(実施例4)(図5a〜c)を使用して形成した粒子には断面図の外観と形態に一貫性が有ることが分かる。
【0072】
本明細書において記載した化合物、混合物、キット、物品、デバイス、組成物、および方法に対して種々の修飾及び変形を行うことができる。本明細書において記載した化合物、混合物、キット、物品、デバイス、組成物、および方法の他の態様は、本明細書を検討すること、および本明細書において記載した化合物、混合物、キット、物品、デバイス、組成物、および方法を実践することにより明らかとなるであろう。明細書および例は単に例示的なものであるとみなされることが意図される。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年1月23日に出願された米国仮出願第61/146、884号に基づき、その優先権の利益を主張するものであり、その出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
水溶性生物活性剤を含む微粒子の製剤は従来の剤形の有力な代替形態である。微粒子のカプセル化は、毒性を減らし、効能を向上させるなどの多くの利点を提供する。また、多くの微粒子のカプセル化プロトコルは薬理学的薬物放出プロファイルを向上するので患者コンプライアンスを向上させることができる。
【0003】
水溶性生物活性剤を微粒子内にカプセル化する多くの方法が存在する。それらのいくつかの例は、二重エマルジョン液抽出工程、有機相分離法、超臨界流体法、および噴霧乾燥法などである。しかしながら多くの場合、従来の方法は不連続工程によるものであり、単一の相、溶液、または分散液が、他の相、溶液、または分散液と分離して調製、混合、および/または処理されている。従って、このような工程は煩雑な時間制約に縛られ、不連続工程中に典型的に起こる他の課題に直面することになる。
【0004】
よって、微粒子のカプセル化へのより実用的で経済的なアプローチを提供する改良された工程へのニーズが存在する。本発明はこれらのニーズおよびその他のニーズを満たす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において、微粒子を形成する方法が記載され、その方法は、(a)第1の水相に溶解または分散した生物活性剤を含む第1相を提供することと、(b)有機相に溶解または分散したポリマーを含む第2の相を提供することと、(c)第1と第2の相を第1の連続工程で混合して油中水型エマルジョンを形成することと、(d)ステップ(c)のエマルジョンと第2の水相を第2の連続工程で混合して水中油中水型二重エマルジョンを形成すると、(e)有機物を除去して微粒子を形成することとを含む。さらに開示された方法により作製された微粒子も開示する。
【0006】
本発明の利点は以下の記載において部分的に説明され、部分的に本明細書から自明であるか、または以下に記載されている態様の実施によって確認することができる。以下に記載の利点は、別記の特許請求の範囲において特に指摘される要素および組合せにより実現および達成されるであろう。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、いずれも単に例示的および説明的なものであり、本発明を制限するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1a】図1a〜cは、実施例1に記載した不連続工程により形成された微粒子の典型的な微粒子断面のSEMおよび共焦点ラマン像を示す。
【図1b】図1a〜cは、実施例1に記載した不連続工程により形成された微粒子の典型的な微粒子断面のSEMおよび共焦点ラマン像を示す。
【図1c】図1a〜cは、実施例1に記載した不連続工程により形成された微粒子の典型的な微粒子断面のSEMおよび共焦点ラマン像を示す。
【図2a】図2a〜cは、実施例1(12,000RPM混合エネルギーを用いて1次エマルジョンを調製する不連続の二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から、運転の(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図2b】図2a〜cは、実施例1(12,000RPM混合エネルギーを用いて1次エマルジョンを調製する不連続の二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から、運転の(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図2c】図2a〜cは、実施例1(12,000RPM混合エネルギーを用いて1次エマルジョンを調製する不連続の二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から、運転の(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図3a】図3a〜cは、実施例2(12,000RPM混合エネルギーを用いて1次エマルジョンを調製する連続二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から、運転の(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図3b】図3a〜cは、実施例2(12,000RPM混合エネルギーを用いて1次エマルジョンを調製する連続二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から、運転の(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図3c】図3a〜cは、実施例2(12,000RPM混合エネルギーを用いて1次エマルジョンを調製する連続二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から、運転の(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図4a】図4a〜cは、実施例3(高い割合の内相水を用いて1次エマルジョンを調製する不連続の二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から、運転の(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図4b】図4a〜cは、実施例3(高い割合の内相水を用いて1次エマルジョンを調製する不連続の二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から、運転の(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図4c】図4a〜cは、実施例3(高い割合の内相水を用いて1次エマルジョンを調製する不連続の二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から、運転の(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図5a】図5a〜cは、実施例4(高い割合の内相水を用いて1次エマルジョンを調製する連続の二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から運転における(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図5b】図5a〜cは、実施例4(高い割合の内相水を用いて1次エマルジョンを調製する連続の二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から運転における(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【図5c】図5a〜cは、実施例4(高い割合の内相水を用いて1次エマルジョンを調製する連続の二重エマルジョン工程)(250xの倍率)から運転における(a)初期、(b)中間期、および(c)終期から採取された微粒子断面のSEM像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(詳細な説明)
本化合物、組成物、複合材料、物品、デバイス、方法、または使用を開示し記述する前に、以下に記述される態様は特定の化合物、組成物、複合材料、物品、デバイス、方法、または使用に限定されるものではなく、したがって、当然のことながら変化してもよいことを理解されたい。さらに、本明細書で使用される用語は特定の態様を説明するためにのみ使用され、制限を加えることを意図するものではない。
【0009】
この明細書、およびそれに続く特許請求の範囲では、いくつかの用語が言及されるが、それらは次の意味を持つと定義される。
【0010】
本明細書を通じて、文脈上特に必要としない限り、用語「含む(comprise)」または、「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などの変形は、所定の完全体、またはステップ、または完全体もしくはステップの群が含まれることを意味するが、いかなる他の完全体、またはステップ、または完全体もしくはステップの群の除外をも意味しないものとする。
【0011】
本明細書中および添付の特許請求の範囲中で使用する場合、文脈が明らかにそうではないと示していないかぎり、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は複数形の参照対象を含んでいることに留意しなくてはならない。従って、例えば、「生物活性剤(a bioactive agent)」を参照する場合は2つまたはそれ以上の該活性剤などの混合物を含む。
【0012】
「任意の(optional)」または「任意に(optionally)」という表現は後に記述される事象又は状況が生ずることも有り得るし、生じないことも有り得ること、およびその説明は、そのような事象又は状況が生じる場合、および生じない場合を含むことを意味する。
【0013】
本明細書において範囲は「約」1つの特定値からおよび/または「約」別の特定値までのように表され得る。そのような範囲が表される場合、別の態様はその1つの特定値からおよび/またはその別の特定値までを含む。同様に、先行詞「約」の使用により値が近似値として表される場合、その特定の値が別の態様をなすことは理解されるであろう。さらに、範囲のそれぞれの端点が、他方の端点との関係でも、他方の端点とは独立しても、有意であることが理解されるであろう。
【0014】
具体的にそれに反する記述がない限り、成分の重量比は成分が含まれる製剤または組成物の合計重量に基づく。
【0015】
本明細書において「微粒子」という用語は約10nmから2000ミクロン(2ミリメータ)のサイズの様々な構造物を指すために使用され、マイクロカプセル、マイクロスフェア、ナノ粒子、ナノカプセル、ナノ球、および一般的に約2000ミクロン(2ミリメータ)以下の粒子を含む。一態様では、生物活性剤が微粒子の中にカプセル化される。
【0016】
「生体適合性」という用語は、対象に実質的に毒性を示さない物質を指す。
【0017】
「生分解性」とは、本発明では溶解種になるまで浸食するか、または、対象に毒性を示すことがなく(生体適合性)、ならびに対象により代謝され、除去され、または排泄される、生理学的条件下で小さな単位あるいは化学種に分解する物質を称する。
【0018】
「生物活性剤」とは生物活性がある薬剤を言う。生物学的剤は疾患、障害、感染等を治療、診断、治癒、緩和、予防(例えば予防的に)、改善、調節するために使用することができる、またはそれらに対して有益な効果を有し得る。「放出可能な生物活性剤」とは開示される微粒子から放出され得る製剤を指す。また、生物活性剤は、対象の構造または機能に影響する物質、または生理活性化するか、所定の生理学的環境下で置かれた後に生理活性化するプロドラッグを含む。
【0019】
本明細書には、開示された方法および組成物と共に使用できるか、それらを作るために使用できる化合物、組成物、成分が開示され、または開示された方法および組成物による生産物が開示される。これらおよびその他の材料が本明細書に開示され、当該材料の組み合わせ、その一部、相互作用、群などが記載される場合、それらの化合物の個々の、および全体としての様々な組み合わせや順序が明記されない場合があるが、その各々は、本明細書において具体的に企図され、記載されているものとする。例えばいくつかの異なるポリマー及び薬剤が開示・説明される場合、当該ポリマー及び生体分子の組み合わせや順序の全てが、否定する説明がある場合を除いて、具体的に企図される。従って、分子A、B、Cのクラスと分子D、E、Fのクラスと、例として組み合わせ分子A-Dとが開示される場合、たとえ個々の組み合わせが記載されていなくても、個々の組み合わせが、個々に、および全体として企図される。つまり、上記の例の場合、A-Eの組み合わせ、A-Fの組み合わせ、B-Dの組み合わせ、B-Eの組み合わせ、B-Fの組み合わせ、C-Dの組み合わせ、C-Eの組み合わせ及びC-Fの組み合わせが具体的に企図され、それらは、A、B、CとD、E、F、およびA-Dの組み合わせから開示されるものするべきである。同様に、これらのサブセット(部分組み合わせ)または組み合わせも具体的に企図される。つまり、例えばA-E、B-F、C-Eのサブグループが具体的に企図され、それらは、A、B、CとD、E、F、およびA-Dの組み合わせから開示されるものとするべきである。この考え方は本明細書の全ての記載に適用される。例えば開示される組成物をを製造、および使用する方法のステップに適用されるが、それらに限定されない。従って、行うことができる追加ステップがある場合、各追加ステップは本明細書に開示される、いかなる特定の実施形態、または実施形態の組み合わせで行うことができ、そのような各組み合わせは、具体的に企図され、開示されているものとみなされるべきである。
【0020】
一態様では、開示される方法は、微粒子のカプセル化する連続ステップを含み、各混合ステップまたは供給ステップは、次のステップに連続している。従って、一態様では、本方法は単一相、溶液、分散液が他の相、溶液、分散液と分離して調製、混合、および/または処理され、その後混合される不連続の(例えばバッチ)工程を回避する。連続工程を使用することにより、微粒子のカプセル化を行う経費効率的で時宜にかなったアプローチが可能となることは明白であろう。さらに、開示の方法によって可能となる速い生産時間により、生物活性剤の損失が少なくなり、これにより生活活性剤の装填効率が高くなる。さらに、連続工程を用いて1次エマルジョン(油中水型エマルジョン)の制御と再現性を実現することができ、それによって、最終微粒子生成物の制御と再現性を改善する可能性がある。驚くべきことに、本願明細書に記載の連続工程により調製される本発明の微粒子は初期バーストを減らすことが示された。明らかとなるように、本明細書に記載の連続二重エマルジョン工程により形成された、改善され、比較的一定の粒子形態により、微粒子中にカプセル化される生物活性剤における初期バーストの減少がもたらされた。これは、ポリマーマトリックスの全体に亘る生物活性剤の分布がコントロールされて、改善され、それに加えて生物活性剤の分布および粒子属性における優れた再現性と一貫性によるようであり、それらは連続工程の全体に亘ってよく維持された。本明細書記載の連続二重エマルジョン工程から形成される微粒子は、不連続(例えばバッチ)工程で形成された微粒子と比べて断面および形態がより一貫していることは、さらに明らかであろう。
【0021】
一態様では、微粒子を形成する方法は、(a)第1の水相に溶解または分散した生物活性剤を含む第1相を提供すること、(b)有機相に溶解または分散したポリマーを含む第2の相を提供すること、(c)第1と第2の相を第1の連続工程で混合して油中水型エマルジョンを形成すること、(d)ステップ(c)のエマルジョンと第2の水相を第2の連続工程で混合して水中油中水型二重エマルジョンを形成すること、および(e)有機物を除去し微粒子を形成することを含む。
【0022】
溶解または分散した生物活性剤を有する第1の水相を含む第1の相は、好適な手段を使用することで提供することができる。一態様では、所望の量の生物活性剤を、好適な水性溶液または溶媒中で溶解または分散する。微粒子中の生物活性剤の所望の装填に応じて、いかなる量の生物活性剤も使用することできる。同様に、好適な量の水性溶液または溶媒を使用することができる。生物活性剤は所望の重量%で水相中に存在することができる。例えば生物活性剤は、約1%から約90重量%で第1の水相中に存在することができる。これには、約5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、または80重量%などが含まれるが、これらに限定はされない。
【0023】
第1の相は好適な水性溶媒を含むことができる。好ましくは、水性溶媒は、生物活性剤の組成を大幅に変化させない水性溶媒である。水性溶媒の非限定的な1例は水である。一態様では、水は別の水混和性溶媒、他の多くの水混和性極性溶媒の中で例えばエタノール、メタノール、DMSO、DMF、イソプロピルアルコール、と混合することができる。様々な態様において、第1の相は緩衝液、塩、糖、界面活性剤および/または粘度調整剤などの他の賦形剤、またはそれらの組み合せを含むことができる。具体的な一態様において、第1の相は水と酢酸エチルを含むことができる。
【0024】
第2の相は好適な有機溶媒中でポリマーを混合することで提供することができる。一般に、有機溶媒は溶媒中のポリマー溶解度またはポリマー分散性に基づいて選択することができる。さらに、有機溶媒は水相との非混和性に基づいて選択することができる。従って、広範な種類の有機溶媒を使用することができる。非限定的な例は、他の多くの水非混和性有機溶媒の中で酢酸エチル、塩化メチレン、ヘキサン、またはそれらの組み合せなどの塩素化溶媒を含む。ポリマーは所望の重量%で第2の相に存在することができる。例えばポリマーは、約1%から約90重量%で第2の水相中に存在することができる。これには、約5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、または80重量%などが含まれるが、これらに限定されない。第2の相は 他の添加物の中で、共存溶媒、界面活性剤、乳化剤、2つ以上のポリマーのブレンド物、またはそれらブレンドなどの添加物をさらに含む。
【0025】
第1および第2の相は、第1の連続工程中で混合されて油中水型エマルジョンを形成する。油中水型エマルジョンは、ポリマーを含有する第2の相を含む油相で実質的に囲まれた内部相としての生物活性剤を含んでいる第1の水相を含む。一態様では、油中水型エマルジョンの形成は、典型的に連続工程に合わせたミキサーで補助することができる。一態様では、例えば第1および第2の相は連続ミキサーに至る供給ラインを独立して通ることができる。連続ミキサーは、静的および/または動的ミキサーを含む、好適な混合手段を含むことができる。ミキサーは機械的または非機械的混合部品を含むミキサーであり得る。一態様では、連続ミキサーは油中水型エマルジョンを形成するのに第1および第2の相が混合するように流れに乱流を起こす混合腕杵を有する静的ミキサーを含む。他の態様では、連続ミキサーは乳化剤、エマルション化デバイス、ホモジナイザー(例えばインラインあるいは連続ホモジナイザーまたはロータ/ステータホモジナイザー)を含む。例としては、充填床乳化剤、スクリーン、および膜乳化剤があげられるが、それらに限定されない。一態様では、連続ミキサーは、例えば12,000RPMを含めて、約8,000RPMから約15、000RPMなどの所望の毎分当たりの回転数で混合する混合部品を有する。
【0026】
油中水型エマルジョン(例えば1次エマルジョン)は、第2の連続工程において、第2の水相を含む第2の相と混合することができ、水中油中水型二重エマルジョンを形成する。油中水型エマルジョンは、形成されると、典型的には直後に連続的な方法で第2の連続工程に供給され、これにより第1の水相からの生物活性剤の損失を最小限にする。油中水型エマルジョンは、第2の水相で実質的に囲まれ、ポリマーを含有する第2の相を含む油相で実質的に囲まれた、内部相としての生物活性剤を含有する第1の水相を含む。第2の水相は典型的には、連続工程媒体と称される。従って、例えば、第2の水相としての水は、油中水型エマルジョンが第1の連続ミキサーを通過した後に、インライン工程に水を供給して油中水型エマルジョンに投入することができる。
【0027】
連続工程は数秒台の時間または、さらには毎ステップごとに1秒未満で迅速に実施され得る。第2の連続工程における水中油中水型二重エマルジョンの形成は、上記のミキサーを含む、静的または動的連続ミキサーを使用して補助することができる。第1および第2のミキサーは、分離した混合デバイスであることができ、同種類または異なる種類の混合デバイスを含むことができる。または、第1および第2の混合デバイスは、その横断方向に沿って、混合がなされる種々の相のための段階的な供給点を有する一つの連続混合デバイスであり得、第1および第2の連続工程が全て、一つの連続混合デバイスで実施される。
【0028】
第2の水相は任意の水性溶媒を含むことができる。水性溶媒の非限定的な1例は水である。一態様では、水は、例えば他の多くの水混和性極性溶媒、半混和性溶媒、または低水量混和溶媒の中でも、エタノール、メタノール、DMSO、DMF、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、ジクロロメタン等の、別の水混和性溶媒、半混和性溶媒、または低水量混和溶媒と混合することができる。一態様では、第2の水相は二重エマルジョンを安定化する安定剤を含むことができる。好適な安定剤の非限定の例は、ポリ(ビニルアルコール)、PVA、またはポリソルベート界面活性剤またはポロキサマー類などの界面活性剤または乳化助剤を含む。第1または第2の水相は、エマルジョンまたは二重エマルジョンの形成時に補助する乳化剤も含むことができる。乳化剤の非限定例は、界面活性剤のTween80またはポロキサマーのPluronics F168である。さらなる態様では、第2の水相は有機溶媒、共存溶媒、緩衝液、塩、糖、またはそれらの組み合せなどの他の添加物を含むことができる。特定の一態様では、第2の水相は添加した塩(塩化ナトリウムなど)に加え有機溶媒を含む。
【0029】
水中油中水型二重エマルジョンが形成されると、二重エマルジョンから微粒子を形成することができる。微粒子は典型的には有機溶媒を除去することにより形成される。有機溶媒は好適な方法で除去することができる。一態様では、水などの抽出液で有機物を抽出して有機物を除去することができる。他の態様では、有機物は、噴霧乾燥、減圧下での乾燥、溶媒の蒸発、またはこれらの組み合せにより乾燥することで除去することができる。典型的には、有機物の除去の工程は第1の水相からの生物活性剤の損失を最小限にするために迅速に実施するべきである。さらに、除去は連続液抽出工程などの連続工程を使用して実施することができる。
【0030】
別の形態では、ステップ(a)-(d)の連続工程は油中水中油型エマルジョン工程に応用することができる。例えば生物活性剤を油相で溶解または分散することができ、ポリマーを水相で溶解または分散することができる。次に、有機溶媒を添加して、二重エマルジョンを形成することができる。上記のステップのいずれもを開示された油中水中油型二重エマルジョン工程に従って使用することができる。
【0031】
広範なポリマーを本明細書に開示されている方法で使用することができる。一態様では、生物活性剤の所望の放出プロファイルがポリマーの選択に影響を及ぼし得る。例えば生体適合性ポリマーは、微粒子を対象に投与した後の所望の経過時間で生物活性剤が放出または放出を可能にするように選択することができる。例えばポリマーは、生物活性剤の活性の減弱が開始する前に、生物活性剤が活性の減弱を始めた際、生物活性剤の活性が部分的に減弱する際、例えば少なくとも25%、少なくとも50%、あるいは少なくとも75%の減弱した際、生物活性剤の活性が大幅に減弱した場合、または生物活性剤が完全に消失するか活性がもはやない時に、生物活性剤が放出または放出を可能にするように選択することができる。
【0032】
生分解性ポリマーが使用される場合、対象内に入ると所望の時間間隔内で分解するように微粒子を形成することができる。いくつかの態様において、この時間間隔は約1日未満から約1カ月の間になり得る。より長い時間間隔は、例えば約0以上6カ月の間で、または約1カ月から約6カ月の間で分解するポリマーマトリックスを含めて、6カ月まで延長できる。他の態様では、ポリマーは例えば約0以上約2年までの間、または約1カ月から約2年の間まで含めて最長2年またはそれ以上の長い時間間隔で分解することができる。
【0033】
好適なポリマーの非限定的な例は、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシ吉草酸塩、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリリン酸塩、ポリリン酸エステル、ポリジオキサノン、ポリリン酸エステル、ポリリン酸塩、ポリホスホン酸エステル、ポリリン酸塩、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミン、ポリペプチド、ポリウレタン、ポリアルキレンアルキレート、ポリアルキレンシュウ酸塩、ポリアルキレンコハク酸塩、ポリヒドロキシ脂肪酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリケタール、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリペプチド、多糖類、またはポリビニルピロリドンを含む。非生分解性であり耐久性のある他のポリマーとしては、限定しないが、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等があげられる。同様に、他の好適なる非生分解性ポリマーとしては、限定はしないが、シリコーンおよびポリウレタンがあげられる。
【0034】
さらなる態様では、ポリマーは修飾または置換された形態の多糖類を含む多糖類であり得る。非限定的な例は、修飾または置換された形のマルトデキストリンを含むマルトデキストリン、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン、キトサン、デキストリン、デキストラン、グリカン、グルカン、ヒアルロナン、およびこれらの修飾または置換された形態が含まれる。
【0035】
さらなる態様では、該ポリマーはポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド‐co‐グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(フォスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)であり得て、またはポリ(ヒドロキシブタレート)、ポリ(ラクチド‐co‐カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステル、生分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(ポリオキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリアセタール、ポリケタール、ポリリン酸エステル、ポリヒドロキシ吉草酸塩を含有するコポリマーであり得て、またはポリヒドロキシ吉草酸塩、ポリアルキレンシュウ酸塩、ポリアルキレンコハク酸塩、ポリ(マレイン酸)、およびコポリマー、ターポリマー、それらの組み合せまたはそれらのブレンドを含有するコポリマーであり得る。
【0036】
またさらなる一態様では、有用な生体適合性ポリマーは乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ジオキサノン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド、またはそれらの組み合せの1つまたはそれ以上の残基を含むものである。またさらなる一態様では、有用な生体適合性ポリマーはラクチド、グリコリド、カプロラクトンまたはそれらの組み合せの1つまたはそれ以上の残基を含むものである。
【0037】
一態様では、有用な生分解性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリビニルピロリドン(PVP)を含むが、それらに限定されない、親水性または水溶性ポリマーの一つまたはそれ以上のブロックを、ラクチド、グリコリド、カプロラクトンまたはそれらの組み合せを含む別の生体適合性あるいは生分解性ポリマーのブロックと組み合わせて含むものである。
【0038】
特徴的な態様において、生分解性ポリマーは1つまたはそれ以上のラクチド残基を含むことができる。その目的のために、ポリマーは、限定するものではないが、L-ラクチド、D-ラクチド、およびD,L-ラクチド、またはそれらの組み合せを含む、ラクチドのすべてのラセミおよび立体特異的な態様を含有するすべてのラクチド残基を含むことができる。ラクチドを含む有用なポリマーは、限定されないが、ポリ(L-ラクチド)、ポリ(D-ラクチド)、およびポリ(DL-ラクチド)、ならびに、ポリ(L-ラクチド‐co‐グリコリド)、ポリ(D-ラクチド‐co‐グリコリド)、およびポリ(DL-ラクチド‐co‐グリコリド)を含むポリ(ラクチド‐co‐グリコリド)、またはそれらのコポリマー、ターポリマー、組み合せまたはブレンドを含む。ラクチド/グリコリドポリマーは融解重合によりラクチドとグリコリドモノマーの開環を通して便宜的に調製することができる。さらに、ラセミDL-ラクチド、L-ラクチド、およびD-ラクチドポリマーは市販されている。L-ポリマーはDL-ポリマーと比べてより結晶性で再吸収する。グリコリドおよびDL-ラクチドまたはL-ラクチドを含むコポリマーに加えて、L-ラクチドおよびDL-ラクチドのポリマーが市販されている。ラクチドまたはグリコリドのホモポリマーは市販されている。
【0039】
生分解性ポリマーがポリ(ラクチド‐co‐グリコリド)、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)である場合、ポリマー中のラクチドとグルコリドの量は変わり得る。さらなる態様では、生分解性ポリマーは、0〜100モル%、40〜100モル%、50〜100モル%、60〜100モル%、70〜100モル%、または80〜100モル%のラクチドおよび0〜100モル%、0〜60モル%、10〜40モル%、20〜40モル%、または30〜40モル%のグルコリドを含み、ここでラクチドとグルコリドの量は100モル%である。さらなる態様では、生分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5(ラクチド‐co‐グリコリド)、85:15(ラクチド‐co‐グリコリド)、75:25(ラクチド‐co‐グリコリド)、65:35(ラクチド‐co‐グリコリド)、50:50(ラクチド‐co‐グリコリド)であってもよく、ここで比率はモル比である。さらなる態様では、ポリマーはポリ(カプロラクトン)またはポリ(ラクチド‐co‐カプロラクトン)であり得る。一態様では、ポリマーは、ポリ(ラクチド‐co‐カプロラクトン)であり得、様々な態様において、95:5(ラクチド-coカプロラクトン)、85:15(ラクチド-co‐カプロラクトン)、75:25(ラクチド-co‐カプロラクトン)、65:35(ラクチド-co‐カプロラクトン)、50:50(ラクチド-co‐カプロラクトン)、40:60(ラクチド-co‐カプロラクトン)、25:75(ラクチド-co‐カプロラクトン)、10:90(ラクチド-co‐カプロラクトン)、または5:95(ラクチド-co‐カプロラクトン)であってもよく、ここで比率はモル比である。
【0040】
上記の生分解性ポリマーの組み合わせ、限定されるものではないが、それらのコポリマー、またはそれらのブレンドを含む組み合せが使用され得ることが理解される。同様に、生分解性ポリマーの残基が開示される場合、開示される残基を含むいかなる好適なポリマー、コポリマー、混合物、またはブレンドも開示されるものと理解される。複数の残基が独立して(すなわち他との組み合わせではなく)開示される場合、いかなる独立した残基の組み合せも使用され得るものと理解される。
【0041】
一般に、いかなる微粒子も本明細書に開示された方法で生産することができる。微粒子は多様な形とサイズであり得る。一態様では、開示された微粒子は平均の粒子サイズは約20ミクロンから約125ミクロンであり得る。一実施形態では、平均の粒子サイズの範囲は約40ミクロンから約90ミクロンである。他の実施形態において、平均の粒子サイズの範囲は約50ミクロンから約80ミクロンである。粒子サイズに分布は、当業者に良く知られているレーザー回折技術により測定される。
【0042】
さらなる態様では、上述のように、記載した二重エマルジョン工程によって、カプセル化し、マイクロカプセル化し、または微粒子内に含有した生物活性剤を含む微粒子を提供する。当該技術分野で知られているように、微粒子は、第1の水相に存在する生物活性剤の量に依存して、生物活性剤の放出を調節することができる。微粒子は、例えば微粒子の重量に対して、1重量%、5重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%の生物活性剤を含むことができ、割合は、開示されたパーセンテージの間の任意の範囲を含む。一態様では、ここで開示される方法は、不連続工程で調製される微粒子と比較して、微粒子のより良い装填と放出プロファイルを提供することは明らかであろう。特定の態様において、微粒子は少なくとも約3重量%の生物活性剤、または例えば約3%〜約8%、または約4%〜約6%の生物活性剤を含むことができる。
【0043】
自明であるように、二重エマルジョン工程の状態に依存して、出発材料として使用するポリマーは最終微粒子に存在するポリマーと同じである場合もあり、または同じでない場合もある。例えば工程の中で使用されるポリマーは重合または解重合反応を経、最終的には、前工程で使用されたポリマーと異なるポリマーを産生し得る。従って、本明細書において使用する用語「ポリマー」は、出発材料として使用されるポリマー、ならびに記載された方法により生産された、デバイスに存在する最終ポリマーとを包含する。微粒子を生産する方法を、上述の乾燥方法と乾燥パラメータとの組み合せで使用することができる。
【0044】
幅広い種類の生物活性剤を本明細書において記載する方法で使用することができる。一態様では、生物活性剤は放出可能な生物活性剤、つまり、微粒子から対象の周辺組織または体液へ放出することができる生物活性剤であってもよい。特定の態様では、生物活性剤は微粒子の中または上にあってもよい。
【0045】
生物活性剤は、微粒子から周辺組織または体液へ放出することが可能な種々の形で使用されてもよい。その目的のため、液体または固体の生物活性剤を、本明細書において記載した微粒子に組込むことができる。生物活性剤は少なくとも僅かに水溶性で、好ましくは中程度に水溶性である。生物活性剤は有効成分の塩を含んでもよい。したがって、生物活性剤は酸性、塩基性または両性の塩であってもよい。それらは非イオン分子、極性の分子、または水素結合ができる分子複合体などであってもよい。生物活性剤は、例えば非荷電分子、分子複合体、塩、エーテル、エステル、アミド、高分子薬剤共役体、または有効な生物または生理作用を提供する他の形態で、組成物中に含まれてもよい。
【0046】
本明細書のシステムに組み込まれる生物活性剤の例には、ペプチド、ホルモンなどのタンパク質、酵素、抗体、抗体断片等、アプタマーiRNA、DNA,RNA,アンチセンス核酸などの核酸、アンチセンス核酸アナログ等、低分子量化合物、または高分子量化合物があるがこれらに限定されない。開示された微粒子中での使用が意図される生物活性剤は、同化剤、制酸剤、抗ぜん息薬、抗コレステロール血症および抗脂質剤、抗凝血剤、抗けいれん剤、止瀉薬、制吐剤、抗感染薬、抗菌性および抗菌剤、消炎鎮痛薬、抗躁薬、代謝拮抗薬、抗嘔吐剤、抗悪性腫瘍薬、抗肥満剤、解熱性および鎮痛剤、抗痙性剤、抗血栓薬、鎮がい薬、抗尿酸病剤、抗血管増殖剤、抗血管内皮成長剤、抗狭心症薬、抗ヒスタミン剤、食欲抑制、生物製剤、脳血管拡張薬、冠動脈拡張薬、気管支拡張剤類、細胞毒性物質、血管収縮剤、利尿薬、診断用薬、造血性剤、去たん剤、胃腸鎮静薬、高血糖症薬、睡眠薬、経口血糖降下薬、免疫抑制薬、イオン交換樹脂、緩下剤、ミネラル補給食品、粘液溶解剤、神経筋薬、末梢血管拡張剤、向精神薬、鎮静薬、刺激剤、抗甲状腺剤、組織成長剤、血管成長剤、血管内皮成長剤、子宮弛緩薬、ビタミン、または抗原的物質を含む。
【0047】
他の生物活性剤は、アンドロゲン抑制剤、多糖類、成長因子、ホルモン、抗血管新生因子、デキストロメトルファン、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、ノスカピン、クエン酸カルベタペンテン、クロフェジアノール塩酸塩、マレイン酸クロルフェニラミン、酒石酸フェニンダミン、マレイン酸ピリラミン、コハク酸ドキシラミン、クエン酸フェニルトロキサミン、塩酸フェニレフリン点眼剤、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、塩酸プソイドエフェドリン、エフェドリン、リン酸コデイン、硫酸コデインモルヒネ、ミネラル栄養補助食、コレスチラミン、N‐アセチルプロカインアミド、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、塩酸フェニルプロパノールアミン、カフェイン、グアイフェネシン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、アミノ酸、ホルモン、インターフェロン、サイトカイン、およびワクチンを含む。
【0048】
微粒子中の生物活性剤として使用できる代表的な薬は、限定されるものではないが、ペプチド医薬、蛋白質薬品、減感作物質、抗原、抗生物質、抗微生物薬、抗ウィルス薬、抗菌薬、抗寄生虫薬、抗真菌薬およびこれらの組み合せなどの感染治療剤、抗アレルギー剤、アンドロゲンステロイド、鼻充血除去薬、催眠薬、ステロイド消炎鎮痛薬、抗コリン薬、交感神経興奮薬、鎮痛薬、縮瞳薬、精神刺激薬、精神安定薬、ワクチン、エストロゲン、プロゲステロン剤、液素性薬剤、プロスタグランジン、鎮痛薬、鎮痙剤、抗マラリア薬、抗ヒスタミン、心臓作用薬、非ステロイド性抗炎症薬、病治療薬、血圧降下剤、β-アドレナリン作動性効果遮断薬、栄養剤、およびベンゾフェナントリジンアルカロイド類を含む。さらに、薬剤は刺激薬、鎮静薬、睡眠薬、鎮痛薬、抗けいれん薬等として働くことができる物質であってもよい。
【0049】
微粒子は単独もしくは組み合わせで多数の生物活性剤を含むことができる。他の生物活性剤は、限定されないが、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸等の鎮痛薬、リドカイン、キシロカイン等の麻酔薬、デキセドリン、酒石酸フェンジメトラジン等の食欲抑制薬、メチルプレドニソロン、イブプロフェン等の抗関節炎薬、テルブタリン硫酸塩、テオフィリンク、エフェドリン等の抗喘息剤、ルフィソキサゾール、ペニシリンG、アンピシリン、セファロスポリン、アミカシン、ゲンタマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、クリンダマイシン、イソニアジド、リファンピン等の抗生剤、アンホテリシンB、ナイスタチン、ケトコナゾール等の抗真菌薬、アシクロビル、アマンタジン等の抗ウイルス薬、シクロホスファミド、メトトレキサート、エトレチナート等の抗がん剤、ヘパリン、ワルファリン等の抗凝血剤、フェニトインナトリウム、ジアゼパム等の抗痙攣薬、イソカルボキサジド、アモキサピン等の抗うつ薬、ジフェンヒドラミンHCI、マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン、インシュリン、プロゲスチン、エストロゲン、コルチコイド、グルココルチコイド、アンドロゲン等のホルモン、ソラジン、ジアゼパム、クロルプロマジンHCI、レセルピン、クロルジアゼポキシドHCI等の精神安定剤、ベラドンナアルカロイド、塩酸ジサイクロミン等の鎮痙剤、非必須アミノ酸、カルシウム、鉄、カリウム、亜鉛、ビタミンB12等のビタミンとミネラル、プラゾシンHCl、ニトログリセリン、プロプラノロールHCl、ヒドララジンHCl、パンクレリパーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ等の心臓血管薬、LHRH、ソマトスタチン、カルシトニン、成長ホルモン、グルカゴン様ペプチド、成長ホルモン放出因子、アンギオテンシン、FSH、EGF、骨形成タンパク質(BMP)、エリスロポエチン(EPO)、インターフェロン、インターロイキンン、コラーゲン、フィブリノーゲン、インシュリン、第VIII因子、第IX因子、エンブレル(商標)、リツキサン(商標)、ハーセプチン、αグルコシダーゼ、Cerazyme/Ceredose(商標)、バソプレッシン、ACTH、ヒト血清アルブミン、ガンマグロブリン、構造タンパク質、血液製剤タンパク質、複合蛋白、酵素、抗体、モノクローナル抗体、抗体断片等のペプチドとタンパク質、プロスタグランジン、核酸、炭水化物、脂肪、モルヒネ、コデイン等の麻薬、精神障害治療剤、抗マラリア、L-ドーパ、フロセミド、スピロノラクトン等の利尿薬、ランチジンHCI、シメチジンHCl等の抗漬瘍剤が含まれる。
【0050】
また、生物活性剤は、例えばサイトカイン、インターロイキン、インターフェロン、コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子等の免疫調節物質、ネコのフケ、白樺花粉、家塵ダニ、牧草花粉等のアレルゲン、肺炎双球菌、ヘモフィラス・インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、化膿連鎖球菌、ジフテリア菌、リステリア・モノサイトゲネス、炭疽菌、破傷風菌、クロストリジウムボツリナム、ウェルシュ菌、髄膜炎菌、淋菌、ミュータンスレンサ球菌。緑膿菌、チフス菌、インフルエンザ菌、百日咳菌、野兎病菌、ペスト菌、コレラ菌、レジオネラニューモフィラ、結核菌、ライ菌、梅毒トレポネーマ、レプトスピラ・インテロガンス、ライム病ボレリア、カンピロバクター‐ジェジュニ等の微生物の抗原、天然痘、インフルエンザAおよびB、呼吸器合胞体、パラインフルエンザ、麻疹、HIV、SARS、水痘帯状疱疹、単純ヘルペス1および2、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バー、ロタウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、乳頭腫ウイルス、ポリオウイルス、おたふく風邪、狂犬病、風疹、コクサッキーウイルス、ベネズエラウマ脳炎、日本脳炎、黄熱病、リフトバレー熱、リンパ球脈絡髄膜炎、B型肝炎等のウイルスの抗原、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、ヒストプラスマ-カプスラーツム、カンジダ・アルビカンス、カンジダ‐トロピカリス、放線菌類、斑点熱リケッチア、発疹熱リケッチア、肺炎マイコプラズマ、クラミジア-シッタシ、クラミジア・トラコーマ、熱帯熱マラリア原虫、トリパノソーマ・ブルーセイ、赤痢アメーバ、トキソプラズマ原虫、膣トリコモナス、ンソン住血吸虫等の菌類、原生動物、および寄生生物の抗原であり得る。これらの抗原は全死菌、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、炭水化物、またはこれらの組み合せの形態であってよい。
【0051】
さらなる特定の態様において、生物活性剤は抗生物質を含む。抗生物質は、例えばアミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン、アンサマイシン、ゲルダナマイシン、ハービマイシン、セファマイシン、ロラカルベフ、カルバペネム、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、メロペネム、セファロスポリン(第一世代)、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン、セファロチン、セファレキシン、セファロスポリン(第二世代)、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セファロスポリン(第三世代)、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セファロスポリン(第四世代)、セフェピム、セファロスポリン(第五世代)、セフトビフロール、糖ペプチド、テイコプラニン、バンコマイシン、マクロライド、アジスロマイシン、クラシスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシ、テリトロマイシン、スペクチノマイシン、モノバクタム、アズトレオナム、ペニシリン、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンB、キノロン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサチン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、スルホンアミド、マフェニド、プロントジル(旧)、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファニルイミド(旧)、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、トリメトプリム、トリメトプリム−スルファメトキサゾール(コ・トリモキサゾール)(TMP-SMX)、テトラサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリンおよびその他を含有する、アルスフェナミン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン、エタンブトール、ホスホマイシン、フシジン酸、フラゾリドン、イソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、プラテンシマイシン、ピラジナミド、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、リファンピシン(米国ではリファンピシン)、チニダゾールのうちの1つ以上、またはこれらの組み合せであり得る。一態様では、生物活性剤は、リファンピシン(米国ではリファンピシン)およびミノサイクリンの組み合せであってもよい。
【0052】
特定の態様では、生物活性剤は、医薬組成物の成分として存在してもよい。医薬組成物は、所望の剤形で適宜調製されてもよく、例えば単位剤形またはコントロールされた放出剤形などであり、製剤技術で良く知られている方法で調製されてもよい。一般に、医薬組成物は、生物活性剤を、液体の担体または微細分割した固体の担体、または両方と均一に、かつ、密に、一緒になるようにして調製される。用いられる医薬担体は、例えば固体、液体、または気体であってもよい。固体担体の例はラクトース、ソフトシリカ、スクロース、タルク、ゼラチン、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸を含む。液体担体の例は糖シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、および水である。気体状の担体の例は炭酸ガスと窒素を含む。生物活性剤と混合することができる他の薬学的に許容される担体または成分は、例えば脂肪酸、糖、塩、ポリエチレングリコールなどの水溶性ポリマー、タンパク質、多糖類、カルボキシメチルセルロース、界面活性剤、可塑剤、ポリマーあるいは塩あるいは砂糖などの高または低分子量ポロシゲン、またはコレステロールまたはワックスなどの疎水性の低分子量化合物を含むことができる。
【0053】
微粒子は所望の対象に投与することができる。対象は哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類、両生類などの脊椎動物であり得る。本明細書に記載の方法における対象は、例えばヒト、霊長類、馬、ブタ、ウサギ、イヌ、羊、ヤギ、牛、ネコ、モルモット、またはげっ歯類であり得る。この用語は特定の年齢または性別を意味しない。従って、成人および新生児の対象、ならびに胎児が、雌雄のいずれであっても包含される。
【実施例】
【0054】
以下の例は当業者に本明細書中に記載して特許請求する化合物、組成物、方法がどのように作られ評価されるかの完全な開示と記載を提示しており、それらは純粋に例示であることを意図しており、発明者が発明とみなす範囲を限定するものではない。使用する数値(例えば量、温度など)に関して正確さを保証する努力がなされたが、幾分かの誤差および偏差は考慮されるべきである。特記のない限り、割合は重量により、温度は摂氏温度(℃)または周囲温度であり、圧力は大気圧またはその近傍である。反応条件には多くの変形および組み合わせがあり、それらの条件の例としては、成分濃度、成分の混合物、所望の溶媒、混合溶媒、温度、圧力、および記載の工程から得られる生成物の純度および収率を最適化するために用いられる他の反応の範囲と条件などが挙げられる。そのような工程の条件を最適化するには、妥当でか日常の実験が求められるのみである。以下の例で使用したポリマーは固有粘度が0.42dL/gの75:25ポリ(D,L-ラクチド‐CO‐グリコリド)であった。
【0055】
実施例1 不連続の二重エマルジョン(高速1次エマルジョン混合)
ポリマー溶液(DP1)を60グラムの塩化メチレン中で15グラムのポリマーを溶解させて調製した(全ポリマー重量濃度は20%)。ゴセレリン溶液(DP2)を、970mgの酢酸ゴセレリン(Genzyme Pharmaceuticals; Cambridge, MA)を6mLの水に溶解して調製した。別に、連続相(CP)溶液を、90グラムの酢酸エチルを1重量%ポリビニルアルコール(PVA)(Amresco, Solon, OH)を含有する1200グラムの水性溶液に添加して調製した。1次油中水型エマルジョン(1次エマルジョン)をドラッグ溶液DP2をポリマー溶液DP1に添加して、その後、粗目ロータ/ステータ翼を装着したDCA Ultra-Turrax UTL-25プローブミキサーによる、ロータスピード12,000RPMでの、3回の10秒間混合サイクルを使ってこれらの溶液を均質化して調製した。次に、この1次エマルジョン(分散相(DP)溶液)を60-mLの注射器に直ちに充填した後、注射器をCole-Parmer二重シリンジポンプに設置した。
【0056】
DP溶液(1次エマルジョン)およびCP溶液を高剪断粉砕ヘッドステータスクリーンを装着したSilverson L4R-Tホモジナイザーの試験室インラインミキサーヘッドの入口に別々に送出した。DP溶液は10g/分の速度で送出した。CP溶液は125g/分の速度で送出した。Silversonは1,000RPMの混合速度に設定した。次に、Silversonミキサーからの流出エマルジョンを、3500グラム/分の速度で流出エマルジョン流に送出される追加的な抽出相水(EP)で直ちに希釈した。得られた流出液を、約600-900RPMで懸濁液を撹拌するように設定した好適なミキサー(Lightnin G3U05Rまたは類似のもの)を装備した18ガロンタンクへ、管を通して送った。最初に、18ガロンタンクの底設バルブを開いたままにして、最初の1分間のエマルジョン生成物を通過させ、廃棄した。最初の1分後、エマルジョンの2L分を、出口チューブから、4Lのビーカに受け、磁気攪拌プレートを用いて磁気攪拌棒で撹拌した。この分量のエマルジョンを採取後、出口チューブを18ガロンタンクの方へ再び向け、そこでは、得られる流出液を開いている弁を通して廃棄した。
【0057】
運転の約半ばで、生成物の第2の2L分を第1のサンプルと同様に4Lのビーカに採取した。採取後、流出液を通過させて廃棄した。運転のほぼ最後に、18ガロンタンクの底設バルブを閉め、運転の最後の分量をこのタンクの中に採取した。このようにして、運転からの3つの分量を運転の初期、中間期、終期から採取した。また、サンプルのすべてについて同様に扱った。各サンプルは粒子から完全に溶媒を抽出させるために90分間撹拌した。この時点で、各サンプルは、25ミクロンのスクリーン上で取得した25-125ミクロンの生成物を回収するために、125ミクロンと25ミクロンのセットの試験ふるい(FisherBrand U.S. Standardステンレスの試験ふるい)を通過させた。4Lの脱イオン水で各サンプルを洗浄した。次に、生成物を200-mLの脱イオン水に懸濁させ、冷凍し、凍結乾燥して水を除去(約48時間)し乾燥粉末微粒子の生成物を得た。乾燥後、微粒子の生成物をシンチレーションバイアルに移し、次の解析に使うまで乾燥、凍結状態でしっかりと閉鎖し保管した。
【0058】
実施例2 連続の二重エマルジョン(高速1次エマルジョン混合)
ポリマー溶液(DP1)、水溶性ゴセレリン溶液(DP2)およびCP溶液を実施例1の記載のように調製した。実施例1で使用したのと同じIKAプローブをIKAインラインミキサーヘッドアダプターに挿入し連続混合モードで運転した。DP1ポリマー溶液とDP2水溶性ゴセレリン溶液DP2の両方が独立してインラインンミキサーヘッドアダプターの入口に導入されるようにチューブは構成した。DPとDP2の溶液をインラインンミキサーヘッドへ同時に送出することにより、1次エマルジョンを連続的に生成することができた。DP1ポリマー溶液は10g/分の速度でポンプで送られ、DP2ゴセレリン溶液は1mL/分の速度で送出され、ここでIKAミキサーは12,000RPMの混合速度に設定した。従って、得られた1次エマルジョン(DP溶液)は連続的に約11g/分の速度で調製した。次に、1次エマルジョン(DP溶液)を実施例1の記載のようにCP溶液と共に、Silverson L4R-Tホモジナイザーの試験室インラインミキサーヘッドの入口へ連続的に送出した。CP溶液は125g/分の速度で送出した。運転、および初期、中間期、終期からの3つの画分についての運転および採取は実施例1に記載のように実施した。サンプルを実施例1に記載のように採取し、洗浄し、かつ、乾燥した。
【0059】
薬物(ゴセレリン)含有量はHPLCによる選択されたサンプルで実施した。in vitro放出をリン酸緩衝生理食塩水溶液中で37℃でサンプルをインキュベートし、所望の時間間隔でHPLCにより放出媒体の一部を分析して実施した。それぞれにおいて、サンプルの部分は、加工条件が定常状態に達した各運転の中間期および終期の部分から分析した。
【0060】
走査電子顕微鏡(SEM)分析を選択したサンプルで実施した。微粒子の断面図をにクリオミクロトーム技術を使って作製した。独立した微粒子のバルク中からおよび全体にわたっている成分の分布を見るために共焦点ラマンを使用した。
【0061】
不連続1次エマルジョン工程で調製された生成物は、比較的大きな初期バーストを示し、これは、得られた微粒子の生成物の形態の変動性の結果である可能性が高い。粒子内に捕捉されて分布が不良の薬物を有する粒子の集団がゴセレリンの比較的大きなバーストを生成した。対照的に、連続二重エマルジョン工程により形成された粒子が向上して比較的一定の断面図の形態ではバーストが減少した。これは、ポリマーマトリックス全体を通じた薬物の制御され向上した分布とともに、運転全体を通じの薬物の分布と粒子の性質における優れた再生産性と一貫性と併の結果である可能性が高い。実施例1および2の微粒子の性能データを表1に要約する。
【0062】
【表1】
【0063】
実施例3 不連続の二重エマルジョン工程(高い割合の内相水を1次エマルジョンの調製に使用した)
製剤は、1次エマルジョンの調製中に使用した水の比率が大きいことを除いて、実施例1の不連続の二重エマルジョン工程に類似した方法で調製した。この場合、ポリマー溶液(DP1)を80グラムの塩化メチレン中で20グラムのポリマーを溶解させて調製した(全ポリマー重量濃度は20%)。ゴセレリン溶液(DP2)は20mLの水に1.29gを溶解して調製した。別に、連続相(CP)溶液を、90グラムの酢酸エチルを1重量%ポリ(ビニルアルコール)PVA(Amresco, Solon, OH)を含有する1200グラムの水性溶液に添加して調製した。IKAプローブミキサーを使用して12,000RPMで2つの溶液を均質化(実施例1に記載のように)し、分散相(DP)溶液(1次エマルジョン)を形成した。次に、このエマルジョンを100mLの注射器に配置し、これを次にCole-Parmer dual syringe pumpに配置した。次に、DP溶液およびCP溶液を、実施例1に記載のようにSilverson L4R-Tホモジナイザーを使用して送出して、かつ、均質化した。さらに残りのステップを、運転の初期、中間期、および終期から微粒子の生成物のサンプルを取得するために、実施例1に記載のように実施した。
【0064】
実施例4 連続の二重エマルジョン工程(高い割合の内相水を1次エマルジョンの調製に使用した)
製剤は、1次エマルジョンの調製中に使用した水の比率が大きいことを除いて、実施例2の連続の二重エマルジョン工程に類似した方法で調製した。この場合、ポリマー、ゴセレリンおよびCP溶液は実施例3に記載のように調製した。他の工程ステップは、実施例2に記載のように、微粒子の調製のために連続二重エマルジョン工程を使用して実施した。生成物の部分は実施例2に記載のように運転の初期、中間期、および終期から採取した。
【0065】
実施例4は比較的大きな量の内相水で調製されたにもかかわらず、高装填量の水溶性薬物(カプセル化効率)を有した。サンプルが不連続1次エマルジョン(実施例3)から調製された場合、このことは認められなかった。実施例4の連続工程は、in vitro放出システムの最初の48時間にわたってゆっくりと薬物を放出したのみの生成物を生成した。これは、連続二重エマルジョン工程による比較的向上して一貫した薬物分布とカプセル化を(実施例3で使用した不連続工程と比較して)示した。実施例3および4の微粒子の性能データを表2に要約する。薬物含有量、in vitro放出、およびSEMは上記の実施例1と2と同じプロトコルを用いて測定した。
【0066】
【表2】
【0067】
図1に関して、実施例1で記載した不連続工程により調製された微粒子は、孔または穴についての量および分布が変化していることがSEM断面図により認められた。図1aは、ココの微粒子の表面近くに形成された孔の代表的なSEM断面図を示す。図1bに示したように、共焦点ラマン分析はこれらの孔の周囲に薬物が集中していること、ならびに、図1cで示しているようにポリマーマトリックスの中および全体を通じて分布していることを裏づける証拠を提示する。図1において、灰色の領域はポリマーマトリックスを表し、黒は空気充満の空隙または孔を表し、薄灰色(白色から薄灰色)は薬物(ゴセレリン)を表す。
【0068】
この観察は、これらの孔が粒子形成期の間に形成された1次エマルジョン(薬物を含んだ水性溶液)の水相の大きな滴液の後に残された空隙を表す証拠を提示することができる。それ以外は、図1(c)で示すように、全ての場合の薬物がポリマーが豊富な(空隙が無い)マトリックスの残りの全体を通して均等に分布していたことが見出された。従って、粒子内のポリマーが豊富な領域は細かく分散した薬物を含む1次エマルジョンから形成される可能性が高い。対照的に、1次エマルジョンの質が徐々に低下するに従い、融合して大きな水性の小滴を形成する1次エマルジョンの滴液から空隙または孔が形成された。
【0069】
図2a〜cについて、実施例1の微粒子の種々の部分から除去された微粒子断面図は様々な性質を示すことが分かる。一部はほぼ均質(孔がない)である一方、大部分の粒子は一面に孔が表れている。さらに、孔のある粒子の孔のサイズについては様々であり、一部の粒子は細かな細孔を示すが、他の粒子では細かい孔から粗い孔の細孔を示す。一般に、しかしながら、不連続1次エマルジョン工程で調製された微粒子は様々であり、その内部形態は一貫していない。
【0070】
実施例1の不連続の二重エマルジョン工程とは対照的に、実施例2のサンプルを調製するのに使用した1次エマルジョンの連続調製は、これらの粒子の内部での空隙または孔の欠如で証明されるように比較的良好な形態の1次エマルジョンを生成した。図3a〜cについて、実施例2(1次エマルジョンの調製のために12,000RPMを使用した連続二重エマルジョン)からの粒子のSEM像を提供する。図1について述べたように、共焦点ラマン(データは示さず)像はサイズが類似した薬物粒子を示し、かつ、独立した粒子のバルクポリマーマトリックス全体にわたって均等に分布していた。さらに、運転の全体にわたって粒子の内部形態は粒子同士がほぼ同一である。この粒子間の一貫性は、連続の二重エマルジョン工程を使用することによる生成物の質における制御と再生産性の優位性を示している。
【0071】
図4a‐cおよび5a〜cについて、および図2と図3(実施例1と2)と同じように、不連続工程(実施例3)(図4a〜c)を使用して形成した粒子は断面図の形態が一貫性が無く様々であることが分かる。対照的に、連続二重エマルジョン工程(実施例4)(図5a〜c)を使用して形成した粒子には断面図の外観と形態に一貫性が有ることが分かる。
【0072】
本明細書において記載した化合物、混合物、キット、物品、デバイス、組成物、および方法に対して種々の修飾及び変形を行うことができる。本明細書において記載した化合物、混合物、キット、物品、デバイス、組成物、および方法の他の態様は、本明細書を検討すること、および本明細書において記載した化合物、混合物、キット、物品、デバイス、組成物、および方法を実践することにより明らかとなるであろう。明細書および例は単に例示的なものであるとみなされることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1の水相に溶解または分散した生物活性剤を含む第1相を提供することと、
(b)有機相に溶解または分散したポリマーを含む第2の相を提供することと、
(c)第1と第2の相を第1の連続工程で混合して油中水型エマルジョンを形成することと、
(d)ステップ(c)のエマルジョンと第2の水相を第2の連続工程で混合して水中油中水型二重エマルジョンを形成することと、
(e)有機物を除去して微粒子を形成することと
を含む、微粒子を形成する方法。
【請求項2】
生物活性剤が、水溶性または水分散性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1および第2の連続工程が、静的ミキサー、ロータ/ステータホモジナイザー、またはこれらの組み合わせを各々独立して含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
有機物を除去することが、有機物を抽出液で抽出することを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、またはそれらのコポリマーである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ポリマーが、ポリ(ラクチド‐co‐グリコリド)である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ポリマーが、75:25ポリ(D,L-ラクチド‐co‐グリコリド)である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ポリマーが、0.42dL/gの固有粘度を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の方法により調製される微粒子。
【請求項1】
(a)第1の水相に溶解または分散した生物活性剤を含む第1相を提供することと、
(b)有機相に溶解または分散したポリマーを含む第2の相を提供することと、
(c)第1と第2の相を第1の連続工程で混合して油中水型エマルジョンを形成することと、
(d)ステップ(c)のエマルジョンと第2の水相を第2の連続工程で混合して水中油中水型二重エマルジョンを形成することと、
(e)有機物を除去して微粒子を形成することと
を含む、微粒子を形成する方法。
【請求項2】
生物活性剤が、水溶性または水分散性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1および第2の連続工程が、静的ミキサー、ロータ/ステータホモジナイザー、またはこれらの組み合わせを各々独立して含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
有機物を除去することが、有機物を抽出液で抽出することを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、またはそれらのコポリマーである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ポリマーが、ポリ(ラクチド‐co‐グリコリド)である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ポリマーが、75:25ポリ(D,L-ラクチド‐co‐グリコリド)である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ポリマーが、0.42dL/gの固有粘度を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の方法により調製される微粒子。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【公表番号】特表2012−515790(P2012−515790A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548118(P2011−548118)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/021742
【国際公開番号】WO2010/085607
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(509121558)サーモディクス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/021742
【国際公開番号】WO2010/085607
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(509121558)サーモディクス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
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