説明

微細セル軟質ポリウレタンフォーム及びその製造方法

【課題】低通気性に優れた微細セル軟質ポリウレタンフォーム
【解決手段】数平均分子量が400〜1000で3官能以上の低分子量ポリオールと、数平均分子量が3000〜9000で3官能以上の高分子量ポリオールとを含み、低分子量ポリオールの含有割合が30重量%以上であるポリオール成分と、イソシアネートとを、NCO%が6〜14%となるように反応させたイソシアネート末端プレポリマーに、ポリオールを反応させることにより製造された微細セル軟質ポリウレタンフォーム。前記ポリオールは、エチレンオキサイド変性部位を有し、EO率が50%以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細セル軟質ポリウレタンフォーム及びその製造方法に係り、特に著しく微細なセル構造を有し、更に導電材を添加することにより優れた導電性を示す微細セル軟質ポリウレタンフォーム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリオールとイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート末端プレポリマーを原料とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法は公知である。この方法では、比較的高分子量のポリオールの1種類をポリイソシアネートと反応させてプレポリマー化してなるイソシアネート末端プレポリマーに、ポリオールと触媒や発泡剤を添加混合して発泡硬化させることにより軟質ポリウレタンフォームが製造される。
【0003】
このようにして製造される軟質ポリウレタンフォームの用途として、トナーシール材、エアーシール材、吸音材、OA機器部品(プリンター用のトナー供給ロール)、電極材等がある。これらの用途に用いられる軟質ポリウレタンフォームは、吸音材としての吸音性、電極材としての容量向上の点から、そのセル構造が微細であることが重要である。特に、軟質ポリウレタンフォームをトナー供給ロールに使用する場合は、トナーが軟質ポリウレタンフォーム内部に侵入し、目詰まりを起こすため、より一層微細化されたセル構造及び低通気性を備えた軟質ポリウレタンフォームが要求される。また、この用途にあっては更にトナーを搬送するための導電性が要求される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の軟質ポリウレタンフォームでは、最も微細なフォームであってもセル径250μm程度が限度であり、より一層の微細化が望まれる。
【0005】
本発明は低通気性に優れた微細セル軟質ポリウレタンフォーム、更には導電性を有する微細セル軟質ポリウレタンフォームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は種々の研究を重ねた結果、低分子量ポリオールと高分子量ポリオールとを混合したポリオールと、イソシアネートとを反応させてなるイソシアネート末端プレポリマーと、ポリオールとを反応させることにより、軟質ポリウレタンフォームのセル構造がより微細になることを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものであり、以下を要旨とする。
【0007】
本発明(請求項1)の微細セル軟質ポリウレタンフォームは、イソシアネート末端プレポリマーに、ポリオールを反応させて得られる微細セル軟質ポリウレタンフォームであって、該イソシアネート末端プレポリマーは、数平均分子量が400〜1000で3官能以上の低分子量ポリオールと、数平均分子量が3000〜9000で3官能以上の高分子量ポリオールとを含み、低分子量ポリオールの含有割合が30重量%以上であるポリオール成分と、イソシアネートとを、NCO%が6〜14%となるように反応させたものであり、前記ポリオールはエチレンオキサイド変性部位を有し、EO率が50%以上のポリオールであることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の微細セル軟質ポリウレタンフォームは、請求項1において、フォームの導電性を良化するため、前記ポリオールのEO率が50〜100%であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3の微細セル軟質ポリウレタンフォームは、請求項1又は2において、前記イソシアネート末端プレポリマー100重量部に対する前記ポリオールの添加量が50〜120重量部であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4の微細セル軟質ポリウレタンフォームは、請求項1ないし3のいずれか1項において、導電材を含むことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5の微細セル軟質ポリウレタンフォームは、請求項4において、前記導電材がカーボンブラックであることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6の微細セル軟質ポリウレタンフォームは、請求項4又は5において、前記導電材の含有量が2.5〜3.0重量%であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項7の微細セル軟質ポリウレタンフォームは、請求項1ないし6のいずれか1項において、前記ポリオール成分中の低分子量ポリオールの割合が30〜50重量%であることを特徴とするものである。
【0014】
請求項8の微細セル軟質ポリウレタンフォームは、請求項1ないし7のいずれか1項において、密度が0.08〜0.20g/cmで、平均セル径が100〜200μmであることを特徴とするものである。
【0015】
請求項9の微細セル軟質ポリウレタンフォームは、請求項4ないし8のいずれか1項において、抵抗値が10〜10Ωであることを特徴とするものである。
【0016】
本発明(請求項10)の微細セル軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の微細セル軟質ポリウレタンフォームの製造方法であって、前記ポリオール成分と前記イソシアネートとを反応させて前記イソシアネート末端プレポリマーを調製する工程と、該イソシアネート末端プレポリマーと前記ポリオールとを混合して反応させる工程とを備えることを特徴とするものである。
【0017】
請求項11の微細セル軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、請求項10において、前記反応系に前記導電材を添加する工程を備えることを特徴とするものである。
【0018】
請求項12の微細セル軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、請求項10において、前記反応系に前記導電材を複数回に分けて添加する工程を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、低分子量ポリオールと高分子量ポリオールとを混合したポリオールと、イソシアネートとを反応させてなるイソシアネート末端プレポリマーと、EO率が50%以上のポリオールとを反応させることにより、低通気性に優れた微細セル軟質ポリウレタンフォームが提供される(請求項1、10)。
【0020】
本発明において、イソシアネート末端プレポリマーと反応させるポリオールのEO率が50〜100%であることが好ましい(請求項2)。
【0021】
この場合、前記イソシアネート末端プレポリマー100重量部に対する前記ポリオールの添加量が50〜120重量部であることが好ましい(請求項3)。
【0022】
また、本発明の微細セル軟質ポリウレタンフォームは、反応系内に導電材を添加することにより、導電性が付与される(請求項4)。この導電材としては、カーボンブラックが好適であり(請求項5)、その添加量は、微細セル軟質ポリウレタンフォーム全重量に対して2.5〜3.0重量%が好ましい(請求項6)。
【0023】
本発明において、前記ポリオール成分中の低分子量ポリオールの割合は30〜50重量%であることが好ましく(請求項7)、本発明の微細セル軟質ポリウレタンフォームは、特に、密度が0.08〜0.20g/cmで、平均セル径が100〜200μmであり(請求項8)、抵抗値が10〜10Ωのフォームを得られることが好ましい(請求項9)。
【0024】
また、本発明の微細セル軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、前記反応系に前記導電材を添加する工程を備え(請求項11)、さらに前記導電材を複数回に分けて添加することにより、少量の導電材で導電性及び低通気性を有した微細セル軟質ポリウレタンフォームを得ることができる(請求項12)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明の微細セル軟質ポリウレタンフォーム及びその製造方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0026】
本発明の微細セル軟質ポリウレタンフォームは、低分子量ポリオールと高分子量ポリオールとを混合したポリオール成分と、イソシアネートとを反応させてなるイソシアネート末端プレポリマーと、EO率が50%以上のポリオールを含む発泡成分を配合し攪拌混合した後、発泡硬化させることにより製造される。このEO率が50%以上のポリオールを用いること、更にまた、反応系にカーボンブラック等の導電材を存在させることにより、導電性の微細セル軟質ポリウレタンフォームが得られる。
【0027】
本発明で用いるイソシアネート末端プレポリマーは、数平均分子量が400〜1000で3官能以上の低分子量ポリオールと、数平均分子量3000〜9000で3官能以上を含むポリオール成分と、イソシアネートとを、NCO%が6〜14%となるように反応させてなるものである。本発明では、このように、分子量の異なる2種類以上のポリオールとイソシアネートとを所定割合で反応させて得られたイソシアネート末端プレポリマーを用いることにより、低分子量ポリオール由来のイソシアネート末端プレポリマーと、高分子量ポリオール由来のイソシアネート末端プレポリマーとの反応性の差異を利用してセルの物理的会合を妨げ、微細セル構造の軟質ポリウレタンフォームを得ることができる。
【0028】
本発明において、プレポリマー化に用いるポリオールは、3官能以上のものであればポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールのいずれであってもよく、これらの混合物であっても良い。
【0029】
ポリエーテルポリオールとしては、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどを出発物質としてアルキレンオキシドを付加重合してなるものが好ましく、特にグリセリンにエチレンオキシド又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドを付加重合させたものが好適である。ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸やトリオールなどとの縮合により得られる縮合系ポリエステルポリオール、トリオールをベースとしてラクトンの開環重合により得られるラクトン系ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールの末端をラクトンでエステル変性したエステル変性ポリオールなどのポリオールが好ましく用いられる。
【0030】
低分子量ポリオールとしては、数平均分子量400〜1000、特に400〜700で、水酸基価160〜420、特に230〜420であるポリオールを用いることが好ましい。低分子量ポリオールは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0031】
高分子量ポリオールとしては、数平均分子量3000〜9000、特に3000〜5000で、水酸基価19〜56、特に34〜56であるポリオールを用いることが好ましい。高分子量ポリオールは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0032】
ポリオール成分中の低分子量ポリオールの割合は、30重量%以上、好ましくは40〜50重量%である。低分子量ポリオールを上記範囲内で配合することにより、架橋密度が向上し、残膜が多く、非常に低通気性で微細なセル構造を有する軟質ポリウレタンフォームを得ることができる。
【0033】
イソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)及びジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)よりなる群から選ばれる1種又は2種以上(例えば2,4−TDIと2,6−TDIとの混合物)を用いることができる。
【0034】
イソシアネートは、イソシアネート末端プレポリマーのNCO%が6〜14%となるように配合することが好ましい。このイソシアネート末端プレポリマーのNCO%が6%未満であると粘度が高く扱いにくくなり、14%を超えると微細なセルを得ることが困難である。
【0035】
ポリオールとしては、EO率が高いポリオールを用いることが好ましく、この様なポリオールを用いることにより、導電性を高めることができるため、少量の導電材で高い導電性及び低通気性を有した微細セル軟質ポリウレタンフォームが得られる。
【0036】
本発明で用いるポリオールのEO率は50%以上、好ましくは50〜100%、特に好ましくは90〜100%である。EO率が50%未満であると本発明の効果が十分に得られない。
【0037】
ポリオールの数平均分子量は400〜1200程度、特に400〜700程度が好ましい。ポリオールは1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。なお、ポリオールを2種以上用いる場合、これらの平均のEO率が50%以上となるようにすれば良い。
【0038】
ポリオールの使用量は、イソシアネート末端プレポリマー100重量部に対して50〜120重量部、特に50〜80重量部とすることが好ましい。このポリオールの添加量がイソシアネート末端プレポリマー100重量部に対して50重量部未満では、イソシアネート末端プレポリマーにポリオールを反応させることによるセルの微細化を十分に図ることができず、120重量部を超えるとフォームの適正な硬度が得られない。
【0039】
導電材としては、カーボンブラックが好適に使用されるが、一般的に軟質ポリウレタンフォームに添加される導電材であればこれに限定されない。
【0040】
カーボンブラックとしては、特に制限はないが、表面積が800〜1400m/g程度、一次粒子径が34〜40nm程度であるカーボンブラックを用いることが好ましい。
【0041】
カーボンブラック等の導電材の添加量は、軟質ポリウレタンフォーム全重量に対して、2.5〜3.0重量%、即ち、得られる軟質ポリウレタンフォームの導電材の含有量が2.5〜3.0重量%となる量であることが好ましい。カーボンブラック等の導電材の含有量が軟質ポリウレタンフォーム全重量に対して2.5重量%未満であると十分な導電性を得ることができず、3.0重量%を超えると原料の粘度が高くなり使用することが困難となる。
【0042】
カーボンブラック等の導電材は、反応系内に均一に分散するように添加することが、少量の導電材で所望の導電性を得る上で好ましいが、この導電材の均一分散のために、導電材は複数回に分けて反応系に添加することが好ましい。この場合、例えば、導電材をイソシアネート末端プレポリマー調製のための低分子量ポリオール、高分子量ポリオール、イソシアネート末端プレポリマーに反応させるポリオール、低粘性の可塑剤などの反応成分の2種以上に3.0〜5.0重量%程度の濃度に予め混合して反応系に供することが好ましい。
【0043】
本発明においては、前述のポリオール成分とイソシアネート成分との反応で予め調製されたイソシアネート末端プレポリマーに、触媒、シリコーン系整泡剤、ポリオール、可塑剤及び連通化剤等とを含む発泡成分を配合し、撹拌混合して発泡硬化させる。
発泡成分は、水を主成分とする発泡剤と、触媒、シリコーン系整泡剤、ポリオール、可塑剤及び連通化剤等を含むものであり、イソシアネート末端プレポリマー100重量部に対する発泡剤の添加量は、1.5〜2.7重量部とすることが好ましい。
【0044】
整泡剤としては、一般の軟質ポリウレタンフォーム用の整泡剤であればいずれも用いることができる。
【0045】
整泡剤の配合量は、微細セル構造を維持できる範囲で可能な限り少量配合とすることが好ましく、イソシアネート末端プレポリマー100重量部に対して通常1.5〜3.0重量部、好ましくは2.0〜2.5重量部である。
【0046】
可塑剤としては、特に制限はないが、導電材を配合した際の導電材の分散性を考慮すると、粘度の低い液体であることが好ましい。具体的には、花王社製のLS106p等が挙げられ、その添加量は、イソシアネート末端プレポリマー100重量部に対して10〜50重量部、特に15〜40重量部であることが好ましい。この可塑剤の添加量が少ないほど低導電性、高硬度であり、多いほど高導電性、低硬度である。
【0047】
触媒としては、軟質ポリウレタンフォームの製造に用いられている一般的なものを用いることができ、その添加量も、軟質ポリウレタンフォームの製造に通常採用される量で良い。
【0048】
連通化剤としては、特に制限はないが、例えば、東レダウ社製のXQ82211.00等が挙げられる。連通化剤の配合量は、イソシアナート末端プレポリマー100重量部に対して通常0.5〜3.0重量部、好ましくは1.5〜2.5重量部である。
【0049】
さらに、本発明の微細セル軟質ポリウレタンフォームの製造原料の発泡成分に対しては、必要に応じて各種添加剤を配合することができ、例えば、顔料等の着色剤、炭酸カルシウム等の充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌剤などを配合することができる。
【0050】
このような本発明の微細セル軟質ポリウレタンフォームは、密度が0.08〜0.20g/cmで、平均セル径が100〜200μmであることが好ましい。また、カーボンブラック等の導電材の配合で、抵抗値が10〜10Ω程度の導電性を有することが好ましい。このような本発明の微細セル軟質ポリウレタンフォームは、トナーシール材、エアーシール材、吸音材、OA機器部品(プリンター用のトナー供給ロール)、電極材等に有用であり、特に導電材を含む導電性微細セル軟質ポリウレタンフォームは、導電性ローラ等に適用して、その低通気性により、トナーの目詰まりを有効に防止することができる。
【実施例】
【0051】
次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0052】
なお、以下の実施例及び比較例で用いた材料は次の通りである。
【0053】
1.プレポリマー
(1)イソシアネート成分
a)三井武田ケミカル社製 2,4−TDIと2,6−TDIとを80:20(重量比)の割合で混合した混合物 商品名「コスモネート T−80」
b)住友バイエル社製 ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート 商品名「44V20」
(2)ポリオール成分
[低分子量ポリオール]
ポリプロピレンポリオール:三井武田ケミカル社製 商品名「アクトコール 32−160」(数平均分子量:1000、水酸基価:160)
[高分子量ポリオール]
ポリオキシアルキレンポリオール:三井武田ケミカル社製 商品名「アクトコール MF78」(数平均分子量:4800、水酸基価:34)
2.ポリオール
a)高エチレンオキサイド率(高EO率)ポリエーテルポリオール:第一工業製薬社 商品名「N1169」(数平均分子量:1000、水酸基価:160、EO率:90%)
b)低エチレンオキサイド率(低EO率)ポリエーテルポリオール:ライオン社製 商品名「レオコンGP700」(数平均分子量:700、水酸基価:221、EO率:0%)
3.可塑剤:花王社製 ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル 商品名「LS106P」
4.シリコーン系整泡剤:日本ユニカー社製 商品名「SZ1127」
5.発泡剤:水
6.触媒:東洋曹達社製 トリエチレンジアミン(主成分) 商品名「TOYOCAT TF」
7.連通化剤:東レダウコーニング社製 特殊ポリエーテルポリオール 商品名「XQ82211.00」
8.粉体カーボン:ライオン社製 商品名「ケッチェンブラック ECP600JD」(BET比表面積:1400m/g、一次粒子径:34.0nm)
【0054】
実施例1〜3、比較例1
表1に示す配合でポリオール成分とイソシアネートとを反応させてイソシアネート末端プレポリマーを製造し、このイソシアネート末端プレポリマーに対して、表1に示す割合で発泡剤、触媒、整泡剤、ポリオール、可塑剤、連通化剤、カーボンブラックを添加し、攪拌混合して微細セル軟質ポリウレタンフォームを製造した。この時のイソシアネート末端プレポリマーのNCO%と得られた微細セル軟質ポリウレタンフォームのカーボンブラック含有量は表1に示す通りである。
【0055】
得られた微細セル軟質ポリウレタンフォームの諸物性の評価方法は次の通りである。
【0056】
〔密度〕
試験片50mm×300mm×300mmの重量を体積で除した。(JIS K 6401に準拠)
〔平均セル径〕
ブロックの発泡の成長方向に対して交叉方向に裁断した試験片を実体顕微鏡及び走査型電子顕微鏡を用いて撮影し、100〜200個のセルのセル径を測定し平均値を算出した。
〔抵抗値〕
測定機器:ADVANTEST R8340を用いて印加電圧100Vで測定した。
〔通気性〕
測定機器:TEX TEST社製 FX3300を用いて測定した。
【0057】
得られた微細セル軟質ポリウレタンフォームの諸物性の評価結果を表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
上記表に示された結果から、実施例(本発明)の微細セル軟質ポリウレタンフォームは、従来の軟質ポリウレタンフォームと比較して、低通気性であることが分かる。さらに導電材を添加することにより、導電性及び低通気性を共に有する微細セル軟質ポリウレタンフォームが得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート末端プレポリマーに、ポリオールを反応させて得られる微細セル軟質ポリウレタンフォームであって、
該イソシアネート末端プレポリマーは、数平均分子量が400〜1000で3官能以上の低分子量ポリオールと、数平均分子量が3000〜9000で3官能以上の高分子量ポリオールとを含み、低分子量ポリオールの含有割合が30重量%以上であるポリオール成分と、イソシアネートとを、NCO%が6〜14%となるように反応させたものであり、
前記ポリオールはエチレンオキサイド変性部位を有し、EO(エチレンオキサイド)率が50%以上のポリオールであることを特徴とする微細セル軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
請求項1において、前記ポリオールのEO率が50〜100%であることを特徴とする微細セル軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記イソシアネート末端プレポリマー100重量部に対する前記ポリオールの添加量が50〜120重量部であることを特徴とする微細セル軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、導電材を含むことを特徴とする微細セル軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項5】
請求項4において、前記導電材がカーボンブラックであることを特徴とする微細セル軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項6】
請求項4又は5において、前記導電材の含有量が2.5〜3.0重量%であることを特徴とする微細セル軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、前記ポリオール成分中の低分子量ポリオールの割合が30〜50重量%であることを特徴とする微細セル軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項において、密度が0.08〜0.20g/cmで、平均セル径が100〜200μmであることを特徴とする微細セル軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項9】
請求項4ないし8のいずれか1項において、抵抗値が10〜10Ωであることを特徴とする微細セル軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の微細セル軟質ポリウレタンフォームの製造方法であって、前記ポリオール成分と前記イソシアネートとを反応させて前記イソシアネート末端プレポリマーを調製する工程と、該イソシアネート末端プレポリマーと前記ポリオールとを混合して反応させる工程とを備えることを特徴とする微細セル軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項11】
請求項10において、前記反応系に前記導電材を添加する工程を備えることを特徴とする微細セル軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項12】
請求項に10おいて、前記反応系に前記導電材を複数回に分けて添加する工程を備えることを特徴とする微細セル軟質ポリウレタンフォームの製造方法。

【公開番号】特開2008−201871(P2008−201871A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38081(P2007−38081)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】