説明

微細気泡発生ノズル及び微細気泡発生装置

【課題】効率よく微細気泡を発生させる微細気泡発生ノズルの提供
【解決手段】微細気泡発生ノズルは、液体と気体が混合される気液混合部12と、気液混合部12内に配設された攪拌部材14と、気液混合部12から気液混合流体が吐出される吐出部16とを備えている。さらに、吐出部16から吐出された気液混合流体の流体エネルギによって攪拌部材14を動作させる駆動機構18を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡を発生させるのに適した微細気泡発生ノズル及び微細気泡発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微細気泡は、例えば、液体と気体とを混合して加圧し、液体中に気体を溶け込ませた後、気液混合流体を急減圧させることで発生する。かかる微細気泡を発生させる装置としては、例えば、特開2003−117365(特許文献1)に開示されている。同公報で提案された装置は、液体及び気体の混合流体を吸引する気液混合ポンプに抵抗を付与する抵抗器と、気液混合ポンプの回転速度を制御するインバータとを備えている。そして、気液混合ポンプのケーシングの内周に径方向に狭い環状の流体通路が形成され、羽根車の外周に流体通路に突出する多数の撹拌羽根が設けられている。同公報では、抵抗器として障壁板の下部に半月形状のオリフィスが形成された構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−117365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、微細気泡発生装置は、気液混合流体を急減圧させる前に、液体中により多くの気体を溶け込ますことが望ましい。本発明は、効率よく微細気泡を発生させることができる微細気泡発生ノズル及び微細気泡発生装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る微細気泡発生ノズルは、液体と気体が混合された気液混合流体を吐出して微細気泡を発生させる。この微細気泡発生ノズルは、液体と気体が混合される気液混合部と、気液混合部内に配設された攪拌部材と、気液混合部から気液混合流体が吐出される吐出部と、吐出部から吐出された気液混合流体の流体エネルギによって攪拌部材を動作させる駆動機構とを備えている。
【0006】
かかる微細気泡発生ノズルによれば、駆動機構によって、吐出部から吐出された気液混合流体の流体エネルギで気液混合部内に配設された攪拌部材が動作する。そして、かかる攪拌部材の動作により、気液混合部内で液体に気体が溶け込みやすくなる。これにより、気液混合流体を急減圧させる前に、液体中により多くの気体が溶け込み、効率よく微細気泡を発生させることができる。
【0007】
駆動機構は、例えば、吐出部に水車を備え、水車で得られる動力によって攪拌部材を動作させる機構であるとよい。また、この場合、吐出部から吐出された気液混合流体を水車に向けて案内する案内部を備えているとよい。また、吐出部は、微細気泡発生ノズルの外部よりも気液混合部の内部が所定の圧力以上に高い場合に開かれる弁を備えているとよい。
【0008】
また、微細気泡発生ノズルは、気液混合部に液体を送る送水口と、気液混合部に気体を供給する気体供給口と、気液混合部内に設置したフロートと、フロートの動作に応じて気体供給口を開閉させる液位調整弁とを備えているとよい。この場合、送水口は、気液混合部の上部に配置されているとよい。
【0009】
微細気泡発生装置は、上記の微細気泡発生ノズルを備えているとよい。この場合、微細気泡発生装置は、気液混合部に液体と気体が混ざった気液混合流体を供給する送水ポンプを備えているとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る微細気泡発生ノズル及び微細気泡発生装置によれば、気液混合流体を急減圧させる前に、液体中により多くの気体が溶け込み、効率よく微細気泡を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る微細気泡発生ノズルの構造を示す断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る微細気泡発生ノズルの吐出部の構造を示す断面図。
【図3】本発明の他の実施形態に係る微細気泡発生ノズルの吐出部の構造を示す断面図。
【図4】本発明の一実施形態に係る微細気泡発生装置の構成例を示す図。
【図5】本発明の一実施形態に係る微細気泡発生装置の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る微細気泡発生ノズル及び微細気泡発生装置を図面に基づいて説明する。なお、異なる実施形態においても同一の作用を奏する部材、部位には同じ符号を付している。
【0013】
この実施形態では、微細気泡発生ノズル10は、図1に示すように、気液混合部12と、攪拌部材14と、吐出部16と、駆動機構18とを備えている。この微細気泡発生ノズル10は、液体と気体が混合された気液混合流体を吐出して微細気泡を発生させる。ここでは、水に圧縮空気を混合した気液混合流体を吐出して、微細気泡を発生させる場合を例に、微細気泡発生ノズル10を説明する。
【0014】
≪気液混合部12≫
気液混合部12は、液体と気体が混合される部位である。この実施形態では、気液混合部12は、管路形態で構成されている。また、気液混合部12を構成する管状部材30の一端には、送水配管42aと圧縮空気供給配管44aが接続されている。また、管状部材30の他端には吐出部16が構成されている。送水配管42a及び圧縮空気供給配管44aが接続された部位と、吐出部16が設けられた部位の間に、気液混合部12が設けられている。
【0015】
かかる気液混合部12には、攪拌部材14が配設されている。液体は、送水ポンプ42から送水配管42aを通して気液混合部12に供給される。また、圧縮空気は、コンプレッサ44から圧縮空気供給配管44aを通して気液混合部12に供給される。気液混合部12では、送水配管42aから供給された液体Aと、圧縮空気供給配管44aから供給された圧縮空気Bとが混ぜ合わされる。そして、気液混合部12で混ぜ合わされた気液混合流体Cは、吐出部16から吐出される。
【0016】
この実施形態では、気液混合部12を構成する管状部材30は、気液混合部12が設けられた部位に比べて吐出部16が設けられた部位の内径が小さくなっている。また、当該部位では、管状部材30の側面に吐出口16aが形成されている。管状部材30の端部には、開口34を有する壁32が設けられている。また、当該吐出部16が設けられた部位では、管状部材30の外側に、吐出口16aから吐出された気液混合流体Dを案内する案内部36が設けられている。
【0017】
≪案内部36≫
この実施形態では、案内部36は、吐出口16aが設けられた位置から管状部材30の当該端部までの外側を、径方向に対向するように覆う外壁で構成されている。この案内部36は管状部材30の軸方向において、外部に開口している。吐出口16aから吐出された気液混合流体は、案内部36に案内されて管状部材30の外周面に沿って流れて外部に放出される。案内部36の内側には、攪拌部材14を動作させる駆動機構18が配設されている。
【0018】
≪攪拌部材14≫
かかる気液混合部12に配設された攪拌部材14は、気液混合部12内の気液混合流体を掻き混ぜる部材である。この実施形態では、攪拌部材14は、回転軸14aと、掻き混ぜ部材14bとを備え、管状部材30に設けられた軸受22、24に回転可能に装着されている。攪拌部材14の回転軸14aは、断面円形の軸である。掻き混ぜ部材14bは、回転軸14aの外側に装着される円筒形状の部材である。掻き混ぜ部材14bの外周面には気液混合部12の内周面12aに向けて延びた複数の突起14cが設けられている。軸受22は、気液混合部12の中間部において、管状部材30の内側に延びた支持部22aに設けられている。他方、軸受24は吐出部16が設けられる側の管状部材30の壁32に設けられている。軸受22、24は、それぞれ管状部材30の横断中心に配置されている。
【0019】
この実施形態では、回転軸14aは軸受22、24に支持されて、気液混合部12の中心に沿って回転可能に支持されている。掻き混ぜ部材14bはかかる回転軸14aの外側に装着された状態で固定されている。回転軸14aの両端部は、ストッパ26、28で留められている。なお、ストッパ28は、管状部材30の壁32の外側に配設されており、後述するように駆動機構18を構成する水車60のボス部60aで構成されている。攪拌部材14が回転すると、掻き混ぜ部材14bに設けられた突起14cによって、気液混合部12内の気液混合流体が掻き混ぜられる。
【0020】
≪吐出部16≫
次に、吐出部16は、気液混合部12から気液混合流体が吐出される部位である。この実施形態では、吐出部16は、気液混合部12を構成する管状部材30の端部に設けられている。この実施形態では、かかる管状部材30の端部の側面に形成された吐出口16aから気液混合流体を吐出する。この実施形態では、かかる吐出部16には、弁50が設けられている。
【0021】
≪弁50≫
かかる弁50は、微細気泡発生ノズル10の外部よりも気液混合部12の内部が所定の圧力以上に高い場合に開かれる。この実施形態では、弁50は、図1及び図2に示すように、弁体50aと、シール材50bと、ばね50cとで構成されている。弁体50aは、攪拌部材14の回転軸14aに軸方向に移動可能に装着されている。弁体50aの外周面は、管状部材30の内周面に当接している。シール材50bは、弁体50aに装着されており、弁体50aと回転軸14aとの隙間をシールしている。ばね50cは、この実施形態では、コイルばねで構成されており、回転軸14aに装着されている。ばね50cは、弁体50aと、管状部材30の端部に設けられた壁32との間に、圧縮された状態で装着されている。管状部材30には、ばね50cによって、弁体50aが気液混合部12側に押し上げられたときに、弁体50aの移動を所定の位置で規制する弁座50dが設けられている。
【0022】
この実施形態では、弁座50dは、管状部材30の内周面に設けられた段差で構成されている。弁体50aがかかる弁座50dに着座した際、管状部材30の側面に形成された吐出口16aは封口される。また、管状部材30の壁32には開口34が形成されており、微細気泡発生ノズル10の外部の流体が流入する。したがって、弁体50aの一方の側面は気液混合部12から圧力を受け、反対側の側面は微細気泡発生ノズル10の外部から圧力を受ける。また、この弁体50aは、ばね50cによって、気液混合部12側に向けて常時押圧されている。この弁50は、気液混合部12側から受ける圧力によって、弁体50aが気液混合部12の反対側に移動させられた場合に開かれる。すなわち、この弁50は、気液混合部12の内部の気液混合流体から弁体50aが受ける力によって、弁体50aが動かされる場合に開かれる。すなわち、微細気泡発生ノズル10の外部の流体から受ける力及びばね50cの弾性反力に抗して、気液混合部12の内部の気液混合流体から弁体50aが受ける力によって弁体50aが動かされる場合に、弁50は開かれる。
【0023】
≪駆動機構18≫
次に、駆動機構18を説明する。駆動機構18は、吐出部16から吐出された気液混合流体Dの流体エネルギによって攪拌部材14を動作させる。ここで、流体エネルギには、例えば、流体の運動エネルギ、位置エネルギが含まれる。この実施形態では、駆動機構18は、図2に示すように、吐出部16に水車60を備え、水車60で得られる動力によって攪拌部材14を動作させる。詳しくは、この実施形態では、水車60は、攪拌部材14の回転軸14aの端部に取り付けられた円形の水車である。この水車60は、回転軸14aに取り付けられるボス部60aと、ボス部60aから外形方向に延びたリム部60bとを備えている。リム部60bには、微細気泡発生ノズル10の外部の液体を、弁体50aに向けて取り込む開口60dが設けられている。また、リム部60bの外周部分には、複数の翼部60cが設けられている。翼部60cは、管状部材30の吐出部16が設けられた部位の外周面と、案内部36の内周面との間に延びている。
【0024】
この実施形態では、吐出口16aから吐出された気液混合流体Dは、水車60の翼部60cに当たる。この場合、気液混合部12の内部は、微細気泡発生ノズル10の外部よりも圧力が高いので、気液混合流体Dは吐出口16aから勢い良く吐出される。水車60に設けられた複数の翼部60cは、周方向及び軸方向に一様に傾いている。水車60は、かかる翼部60cに当たった気液混合流体Dの流体エネルギによって、翼部60cの傾きに応じた所定の方向に回転する。また、この実施形態では、水車60のリム部60bには、管状部材30の外周面に沿って延びる外筒部60eを有している。このため、この実施形態では、吐出口16aから吐出された気液混合流体Dは、主として案内部36の内周面とリム部60bの外周面との間の領域を、複数の翼部60cに当たりながら通過する。
【0025】
≪微細気泡発生ノズル10≫
この微細気泡発生ノズル10によれば、かかる駆動機構18の作用によって、吐出部16から吐出された気液混合流体Dの流体エネルギによって、攪拌部材14が動作する。すなわち、この実施形態では、吐出部16から吐出された気液混合流体Dの流体エネルギによって、水車60が回転する。水車60は、攪拌部材14の回転軸14aに直結されており、攪拌部材14は水車60の回転に伴って回転する。これにより、気液混合部12内の気液混合流体Cが掻き混ぜられ、気液混合部12内で圧縮空気の溶け込みが良くなる。例えば、気液混合部12内で大きな気泡が存在する場合には、攪拌部材14によって気液混合流体Cが掻き回されることによって、気泡が細かくなり、液体と気体との接触面積が大きくなる。これにより、気液混合部12内で圧縮空気が溶け込み易くなる。このため、気液混合部12内の気液混合流体Cにより多くの空気が溶け込むようになり、気液混合流体Cが吐出部16から吐出されたときにより多くの微細気泡が発生する。
【0026】
また、この微細気泡発生ノズル10によれば、吐出部16に駆動機構18や案内部36が設けられている。吐出部16から吐出された気液混合流体Dは、かかる駆動機構18や案内部36に当たることよって、微細気泡の発生が促進される。例えば、この実施形態では、吐出部16から勢い良く吐出された気液混合流体Dは、案内部36、水車60の翼部60cに当たって放出される。この際、気液混合流体Dは、主として吐出口16aから放出される際の急減圧によって、微細気泡が発生する。また、気液混合流体Dは、駆動機構18や案内部36に当たった衝撃によって、さらに液中に溶け込んだ気体が湧き出る。これにより、微細気泡の発生が促進される。このように、吐出部16から吐出された気液混合流体Dが当たる駆動機構18や案内部36は、副次的には、気液混合流体Dから微細気泡が発生するのを促進させる作用を奏する。
【0027】
また、この微細気泡発生ノズル10では、図1に示すように、吐出部16に設けられた弁50の作用によって、微細気泡発生ノズル10の外部よりも気液混合部12の内部が所定の圧力以上に高い場合に吐出口16aが開かれる。また、気液混合部12の内部が、微細気泡発生ノズル10の外部に比べて所定以上に高い圧力にならないと、吐出口16aは開かない。このように、この微細気泡発生ノズル10は、弁50の作用によって、微細気泡発生ノズル10の外部よりも気液混合部12の内部が所定の圧力以上に高い場合に吐出部16が開かれる。このため、この微細気泡発生ノズル10では、気液混合部12の内部が、微細気泡発生ノズル10よりも高い状態により確実に保たれ、より確実に微細気泡を生じさせることができる。
【0028】
また、この微細気泡発生ノズル10は、攪拌部材14の作用により、気液混合部12での気体の溶け込みが促進される。攪拌部材14は、吐出部16から吐出される気液混合流体の流体エネルギによって動作するので、エネルギ効率よく気液混合部12での気体の溶け込みを促進させることができる。また、吐出部16から吐出された気液混合流体Dは、案内部36及び駆動機構18などに当たり、この衝撃によっても微細気泡が発生する。このように、この微細気泡発生ノズル10は、吐出部16から吐出される気液混合流体の流体エネルギが利用され、効率よく微細気泡を発生させることができる。
【0029】
次に、他の実施形態に係る微細気泡発生ノズル10Aを説明する。
【0030】
この微細気泡発生ノズル10Aは、図3に示すように、気液混合部12に液体を送る送水口82と、気体を供給する気体供給口84と、フロート86と、液位調整弁88とを備えている。
【0031】
この実施形態では、図3に示すように、気液混合部12は、送水口82から送られた液体と気体供給口84から供給された気体とが溜まるタンク90を備えている。この実施形態では、送水口82及び気体供給口84は、タンク90の上部に設けられている。フロート86は、タンク90内の気液混合流体C1上で浮いた状態で配設されている。液位調整弁88は、フロート86に連結され、フロート86の動作に応じて気体供給口84を開閉させる。この実施形態では、液位調整弁88は、弁体84aと、ばね84bと、連結部材84cとを備えている。弁体84aは、気体供給口84を開閉する部材である。この実施形態では、弁体84aは、気体供給口84に嵌り得るボール形状の部材が用いられている。ばね84bは、気体供給口84に圧縮された状態で装着されており、弁体84aはばね84bの弾性反力によって、気体供給口84に押し当てられる。連結部材84cは、フロート86に連結され、タンク90の液位が所定以上に上昇したときに、弁体84aを押し上げる。
【0032】
この微細気泡発生ノズル10Aは、送水ポンプ42から送水配管42aを通して送水口82からタンク90に液体Aが供給される。また、コンプレッサ44から圧縮空気供給配管44aを通して気体供給口84からタンク90に圧縮空気Bが供給される。この際、タンク90内は、フロート86によって、液位が保たれる。液位が所定以上に上がると液位調整弁88の作用によって、圧縮空気Bが供給される。そして、微細気泡発生ノズル10Aの外部に比べて、タンク90内(気液混合部12)の圧力が所定の圧力よりも高くなると、吐出部16に設けられた弁50が開き、気液混合流体が吐出される。そして、吐出部16から吐出される気液混合流体Dの流体エネルギによって、駆動機構18を介して攪拌部材14が動作し、気液混合部12内の気液混合流体Cが掻き混ぜられる。
【0033】
この微細気泡発生ノズル10Aは、上述したタンク90内において、気液混合流体C1の気液混合割合や、圧力が調整される。これにより、微細気泡を発生させるのに適切な気液混合流体を作成することができる。また、この実施形態では、送水口82は、タンク90(気液混合部12の一部をなすタンク90)の上部に配置されている。このため、送水口82から供給された液体Aがタンク90の液面に落下したときに、飛沫を生じさせる。このように、タンク90内で、飛沫を生じさせることができ、タンク90内の気体に液体が触れやすく、気液混合流体に気体が溶け込む量を多くすることができる。これにより、効率よく気液混合流体に気体を溶け込ますことができ、効率よく微細気泡を発生させることができる。
【0034】
なお、この実施形態では、気液混合部12は、攪拌部材14が配設された部位が、タンク90の下部から上下に延びているが、攪拌部材14が配設された部位は、例えば、タンク90の下部から横方向に伸びていてもよい。
【0035】
以上、本発明の実施形態に係る微細気泡発生ノズルを種々説明したが、本発明に係る微細気泡発生ノズルは、上述した実施形態に限定されない。
【0036】
例えば、攪拌部材は、気液混合部内の気液混合流体を掻き混ぜることができる形態であればよく、具体的構造など種々、変更してもよい、また、吐出部、吐出部に設けられる弁、駆動機構の構造についても、上記に限定されず、所要の機能を奏するように適宜、具体的構造を変更してもよい。かかる微細気泡発生ノズルで発生する微細気泡には、いわゆるマイクロバブル、ナノバブルなど種々の大きさの気泡が含まれる。また、上述した実施形態では、気体として圧縮空気を供給しているが、例えば、オゾンを供給して、オゾンの微細気泡を形成してもよい。また液体は、水を例示したが、海水などでもよい。
【0037】
かかる微細気泡発生ノズルは、送水ポンプ、コンプレッサを適宜に組み合わせて、微細気泡発生装置を構成することができる。かかる微細気泡発生装置は、ダムや湖、湾などにおいて水中に空気を送る暴気装置など、水質改善装置などにも利用可能である。また、太陽電池などの自然エネルギを利用して駆動するように構成してもよい。
【0038】
≪微細気泡発生装置100≫
例えば、図4に示すように、微細気泡発生装置100は、微細気泡発生ノズル10Aをダム110の水中に設置している。送水ポンプ42、コンプレッサ44は太陽電池120及び発電制御装置122に接続されたモータ124によって駆動する。この実施形態では、送水ポンプ42は、フィルタ132を通してダム110の水を汲み上げて微細気泡発生ノズル10Aに供給する。また、この実施形態では、送水ポンプ42は、エアクリーナ134を通して外気が導入され、ダム110の水と空気が混ざった気液混合流体を供給する。この場合、送水ポンプ42内で、液体中に気体を溶け込ますことができる。このため、より気体が溶け込んだ気液混合流体を気液混合部12に供給することができ、微細気泡発生ノズル10Aにて効率よく微細気泡を発生させることができる。また、コンプレッサ44は、タンク136に一度貯めた圧縮空気を、微細気泡発生ノズル10Aに供給する。これにより、圧縮空気の圧力を安定させることができる。このように、太陽電池を利用した微細気泡発生装置100を構成することができる。
【0039】
≪微細気泡発生装置100A≫
さらに、海上や、大きな湖などでは、図5に示すように、微細気泡発生装置100Aは、太陽電池パネル120や、送水ポンプ42、コンプレッサ44などを船200に設置してもよい。この場合、当該船200から海中(水中)に微細気泡発生ノズル10Aを設置し、送水ポンプ42で汲み上げた海水と、コンプレッサ44で圧縮した圧縮空気を微細気泡発生ノズル10Aに送るようにしてもよい。例えば、水中20メートルの深さに微細気泡発生ノズル10Aを設置する場合、微細気泡発生ノズル10Aの外部の水圧は約0.2MPaである。この場合、例えば、気液混合部12(図3参照)の水圧は0.5MPa程度に設定するとよい。これにより、吐出部16から吐出される気液混合流体は、約0.3MPaの差圧で勢い良く吐出される。駆動機構18は、かかる気液混合流体のエネルギで攪拌部材14を動作させることができる。
【0040】
送水ポンプ42の液体の供給量、圧縮空気の供給量、圧力などは、微細気泡発生ノズルを設置する場所などに応じて、適宜、設定するとよい。以上、微細気泡発生装置の構成例についても上記の実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0041】
10 微細気泡発生ノズル
10A 微細気泡発生ノズル
12 気液混合部
12a 気液混合部の内周面
14 攪拌部材
14a 回転軸
14b 掻き混ぜ部材
14c 突起
16 吐出部
16a 吐出口
18 駆動機構
22 軸受
22a 支持部
24 軸受
26、28 ストッパ
30 管状部材
32 壁
34 開口
36 案内部
42 送水ポンプ
42a 送水配管
44 コンプレッサ
44a 圧縮空気供給配管
50 弁
50a 弁体
50b シール材
50c ばね
50d 弁座
60 水車
60a ボス部
60b リム部
60c 翼部
60d 開口
60e 外筒部
82 送水口
84 気体供給口
84a 弁体
84b ばね
84c 連結部材
86 フロート
88 液位調整弁
90 タンク
100、100A 微細気泡発生装置
110 ダム
120 太陽電池(太陽電池パネル)
122 発電制御装置
124 モータ
132 フィルタ
134 エアクリーナ
136 タンク
200 船
A 液体
B 圧縮空気(気体)
C 気液混合流体(気液混合部内の気液混合流体)
C1 気液混合流体
D 気液混合流体(吐出部から吐出された気液混合流体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体と気体が混合された気液混合流体を吐出して微細気泡を発生させる微細気泡発生ノズルであって、
前記液体と気体が混合される気液混合部と、
前記気液混合部内に配設された攪拌部材と、
前記気液混合部から気液混合流体が吐出される吐出部と、
前記吐出部から吐出された気液混合流体の流体エネルギによって前記攪拌部材を動作させる駆動機構と、
を備えた、微細気泡発生ノズル。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記吐出部に水車を備え、前記水車で得られる動力によって前記攪拌部材を動作させる、請求項1に記載の微細気泡発生ノズル。
【請求項3】
前記吐出部から吐出された気液混合流体を水車に向けて案内する案内部を備えた、請求項2に記載の微細気泡発生ノズル。
【請求項4】
前記吐出部は、前記微細気泡発生ノズルの外部よりも前記気液混合部の内部が所定の圧力以上に高い場合に開かれる弁を備えている、請求項1から3までの何れか一項に記載された微細気泡発生ノズル。
【請求項5】
前記気液混合部に液体を送る送水口と、
前記気液混合部に気体を供給する気体供給口と、
前記気液混合部内に設置したフロートと、
前記フロートの動作に応じて前記気体供給口を開閉させる液位調整弁と、
を備えた、請求項1から4までの何れか一項に記載された微細気泡発生ノズル。
【請求項6】
前記送水口は、前記気液混合部の上部に配置されている、請求項5に記載の微細気泡発生ノズル。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載された微細気泡発生ノズルを備えた、微細気泡発生装置。
【請求項8】
前記気液混合部に液体と気体が混ざった気液混合流体を供給する送水ポンプを備えた、請求項7に記載の微細気泡発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−162457(P2010−162457A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5582(P2009−5582)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(392029971)LWJ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】