説明

微細気泡発生装置

【課題】 簡単に形成して浴槽などに付設することのできる微細気泡発生装置を提供する。
【解決手段】 微細気泡発生装置1の装置ハウジング2に、水を吸い込む水入口3と、水入口3に一端が連通される水流路4と、水流路4に水を圧送するポンプ部5と、水流路4に流れる水に気体を混入させて気体混入水を生成する気体混入部6と、水流路4の他端が連通されて気体混入水の気体を水に溶解させて気体溶解水を生成する溶解タンク部7と、気体溶解水の気体を析出させて微細気泡含有水を生成させる析出部8に対して気体溶解水を供給するための水出口9と、を一体に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、気体混入部で気体が混入された水をポンプ部で溶解タンク部に圧送してこの溶解タンク部で一旦気体を水に溶解した後に上記溶解している気体を析出させて微細気泡含有水を生成するといった微細気泡発生装置1が知られている。
【0003】
しかしながら、このような微細気泡発生装置1は、図8のように別体物であるポンプ部材5´や気体混入部材6´や溶解タンク部材7´等を適宜長さに切断した管材4´で逐次接続させて形成されるのであって、その形成施工はきわめて煩雑であるという問題があった。
【0004】
更に言うと、このような微細気泡発生装置1は、浴槽21などに付設されて多々使用されているが、浴槽21などの脇にわざわざ微細気泡発生装置1の専用の配設スペースSを確保しなければならないほど大型であり、装置の小型化が切望されている。特に、溶解タンク部には気体の水への良好な溶解効率を得るためには一定の容積を必要とするので溶解タンク部が装置の小型化を阻害する要因となっており、また図8(a)のように溶解タンク部材7´には余剰気体を抜く気体抜弁部15を外方へ突設するように形成してあるが、この外方に突設する気体抜弁部15によっても装置の大型化を助長してしまっている。また、微細気泡発生装置1の浴槽21などへの付設施工において左右勝手に合わせて行う管材4´の配管施工は施工の煩雑さに拍車をかけるものであった。
【特許文献1】特開2005−95605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単に形成して浴槽などに付設することのできる微細気泡発生装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1の微細気泡発生装置1は、下記構成を備えたことに特徴を有する。すなわち、微細気泡発生装置1の装置ハウジング2に、水を吸い込む水入口3と、水入口3に一端が連通される水流路4と、水流路4に水を圧送するポンプ部5と、水流路4に流れる水に気体を混入させて気体混入水を生成する気体混入部6と、水流路4の他端が連通されて気体混入水の気体を水に溶解させて気体溶解水を生成する溶解タンク部7と、気体溶解水の気体を析出させて微細気泡含有水を生成させる析出部8に対して気体溶解水を供給するための水出口9と、を一体に形成する。
【0007】
これによると、微細気泡発生装置1の装置ハウジング2にはポンプ部5と気体混入部6と溶解タンク部7とを水流路4で接続させたかたちで配設されているのであり、従来の別体物のポンプ部材5´や溶解タンク部材7´等を管材4´で適宜接続するものに比べ、格段に微細気泡発生装置1の形成にかかる施工性を向上できる。
【0008】
また、請求項2の微細気泡発生装置1は、更に下記構成を備えたことに特徴を有する。すなわち、溶解タンク部7に、水流路4の他端が連通された噴射ノズル部10から気体混入水が噴射されて気体混入水の気体を水に溶解させて気体溶解水を生成するための撹拌部11と、撹拌部11より供給された気体溶解水から溶解されない余剰気体を抜くための非撹拌部12とを備える。撹拌部11と非撹拌部12とを仕切る仕切壁13を形成する。非撹拌部12の上部に、余剰気体が溜まる余剰気体溜まり部14と、溶解タンク部7外に余剰気体を抜く気体抜弁部15とを備える。余剰気体溜まり部14と気体抜弁部15とを仕切る仕切板部16を形成する。
【0009】
このように気体抜弁部15を装置ハウジング2内(溶解タンク部7内)に配置したことによると、従来のように溶解タンク部材7´から気体抜弁部15を外方へ突設したものに比べて、微細気泡発生装置1を単純な形状にできて小型化を図ることができる。また、装置ハウジング2内(溶解タンク部7内)に気体抜弁部15を配置するにあたって、気体抜弁部15は非撹拌部12の上部に配置された(気体抜弁部15の下方には水を収容する非撹拌部12の下部が位置されている)ので、気体抜弁部15の下方域を利用して溶解タンク部7の容積を稼ぐことができ、溶解タンク部7、ひいては装置ハウジング2を左右方向に薄型にできたものであり、装置ハウジング2、ひいては微細気泡発生装置1の小型化を実現できる。
【0010】
また、請求項3の微細気泡発生装置1は、更に下記構成を備えたことに特徴を有する。略同一平面上に配設した水流路4とポンプ部5と気体混入部6と溶解タンク部7とを2つ割り状にする一対のハウジング半体2aを接合することで、装置ハウジング2を形成する。
【0011】
これによると、水流路4とポンプ部5と気体混入部6と溶解タンク部7とを一体に形成した装置ハウジング2の製造を実現できる。
【0012】
また、請求項4の微細気泡発生装置1は、更に下記構成を備えたことに特徴を有する。装置ハウジング2に水出口9と水入口3とを配置した管体装着部17を形成する。管体装着部17に、析出部8を有した水吐出流路18と水吸込流路19とを備えた管体20を着脱可能にする。このときには水吐出流路18の入口18aを水出口9に接続すると共に水吸込流路19の出口19aを水入口3に接続する。
【0013】
これによると、装置ハウジング2の管体装着部17に管体20を装着することで、微細気泡含有水を生成する機能を全うする微細気泡発生装置1を簡単に形成することができる。
【0014】
また、請求項5の微細気泡発生装置1は、更に下記構成を備えたことに特徴を有する。管体装着部17を装置ハウジング2に設けた貫通孔17aで構成する。貫通孔17aのいずれの開口から管体20を挿着した場合にも、水吐出流路18の入口18aに対応する箇所に水入口3が位置すると共に、水吸込流路19の出口19aに対応する箇所に水出口9が位置する。
【0015】
これによると、微細気泡発生装置1を浴槽21等の被取付部材Aに取り付ける際に左右勝手がある場合にも、管体20は装置ハウジング2の管体装着部17を構成する貫通孔17aのいずれかの開口から挿着させることで、上記左右勝手に容易に対応することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にあっては、微細気泡発生装置が簡単に形成できて浴槽などに簡単に付設することができる、という利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0018】
本例の微細気泡発生装置1は、気体混入部6で気体が混入された水をポンプ部5で溶解タンク部7に圧送してこの溶解タンク部7で一旦気体を水に溶解した後に上記溶解している気体を析出部8で析出させて微細気泡含有水を生成するタイプの装置であり、図3のように浴槽21の槽部21aの外面に施工性良く添設できると共に、槽部21aの周囲に設けたフランジ部21bの下方空間に収まるほどの小型化を実現したものである。
【0019】
つまり、本例の微細気泡発生装置1では、図1,2のように、左右方向に薄い略矩形箱状の装置ハウジング2に対して、水を吸い込む水入口3と、水入口3に一端が連通される水流路4と、水流路4に水を圧送するポンプ部5と、水流路4に流れる水に気体を混入させて気体混入水を生成する気体混入部6と、水流路4の他端が連通されて気体混入水の気体を水に溶解させて気体溶解水を生成する溶解タンク部7と、気体溶解水を供給するための水出口9と、を一体に形成してある。
【0020】
ここで、水流路4とポンプ部5と気体混入部6と溶解タンク部7とは装置ハウジング2内で略同一平面上に配設してあり、装置ハウジング2は水流路4とポンプ部5と気体混入部6と溶解タンク部7とを2つ割り状にする一対のハウジング半体2aをパッキン22を介在させてビス23にて接合することで形成してあり、これにより水流路4とポンプ部5と気体混入部6と溶解タンク部7とを一体に形成した装置ハウジング2の製造を実現している。なお、ポンプ部5はポンプ室24内に配置したインペラ25とインペラ25を回転駆動させるモータ26とで成り、モータ26は装置ハウジング2の外部に気体混入部6や溶解タンク部7等と同様に一対のハウジング半体2aの接合面の面内方向に沿うようにビス27を用いて付設してあり、良好なメンテナンス性能を確保している。
【0021】
また、装置ハウジング2には、図4のように、左右方向に貫通する貫通孔17aで構成した管体装着部17が形成されており、この管体装着部17に水出口9と水入口3とが開設されている。管体装着部17には、析出部8を有した水吐出流路18と水吸込流路19とを備えた管体20の挿着部28が挿入され、管体20の挿着部28に設けた水吐出流路18の入口18aと水吸込流路19の出口19aとをそれぞれ水出口9と水入口3に接続させた状態で、管体20を装着可能にしてある。すなわち、本例の微細気泡発生装置1は装置ハウジング2に管体20を装着した状態で微細気泡含有水を生成する機能を全うした1つのユニットとなる。
【0022】
ここで、管体20の外端部(管体装着部17に挿入される挿着部28以外の部位)には、水吐出流路18の出口18bや水吸込流路19の入口19bが設けられると共に、浴槽21の槽部21aなどの被取付部材Aに取り付ける取付部29が設けられている。詳しくは、取付部29は浴槽21の槽部21aを内外に貫通した取付孔21cに外方から挿入されるのであり、取付部29に設けたフランジ部31を浴槽21の槽部21aの外面に当接すると共に取付部29の外周に刻設した雄ねじ32に浴槽21の槽部21aの内側からナット材33を螺合させることで、ナット材33とフランジ部31とで浴槽21をその内外から強固に挟持できるのであり、これにより微細気泡発生装置1を浴槽21の槽部21aの外面に添わせて固定可能にしてある。なお、図中34、35は固定した管体20と浴槽21との間に介在されて水密性を確保するUパッキン、スリップパッキンであり、図中36は雄ねじ32に螺着されて浴槽21の槽部21a内に開口する水吐出流路18の出口18bや水吸込流路19の入口19bを保護するカバーである。
【0023】
このように本例の微細気泡発生装置1では、その装置ハウジング2にポンプ部5と気体混入部6と溶解タンク部7とが水流路4で接続されたかたちで一体に配設されているのであり、従来の別体物のポンプ部材5´や溶解タンク部材7´等を管材4´で適宜接続するものに比べ、格段に微細気泡発生装置1の形成にかかる施工性、ひいては浴槽21等の被取付部材Aへの付設施工の施工性を向上できたものである。具体的に、本例の微細気泡発生装置1ではその形成や被取付部材Aへの付設施工においては、ほとんど電気信号線を繋ぐだけの簡単な施工にできるため、従来の配管施工で生じる性能トラブルや水漏れトラブルを防止できる利点を有している。
【0024】
ここで、被取付部材Aである浴槽21に対して微細気泡発生装置1を取り付ける場合には、微細気泡発生装置1の構成物である管体20に設けた取付部29によって行うことができるので、微細気泡発生装置1の浴槽21への付設施工は殊に良好な施工性が確保されている。なお、上記浴槽21に付設した微細気泡発生装置1(のポンプ部5)を駆動させると、浴槽21の槽部21aに溜まる浴槽水が微細気泡発生装置1を循環し、微細気泡発生装置1を経て浴槽21の槽部21aに吐出される浴槽水に微細気泡が含有されて浴槽21内の浴槽水を白濁化できるのである。また、本例の微細気泡発生装置1では、上述のように配管施工を必要としないため、溶解タンク部7内に一定の高い圧力を確保できて良好な溶解効率を確保でき、良好な微細気泡含有水による白濁効果を確保できるのである。
【0025】
また、後に詳述するが、管体20の管体装着部17への挿着は貫通孔17aの左右の両開口から行うことが可能にされている。なお、貫通孔17aにおける管体20が挿入されない側の開口には蓋体37が着脱可能に取り付けされて該開口を閉塞可能にしてある。したがって、微細気泡発生装置1を浴槽21等の被取付部材Aに取り付ける際に左右勝手がある場合にも、管体20は装置ハウジング2の管体装着部17を構成する貫通孔17aのいずれかの開口から挿着させることで、上記左右勝手に容易に対応することが可能にされ、微細気泡発生装置1の浴槽21等の被取付部材Aへの付設施工の施工性の向上が図られている。殊に、微細気泡発生装置1を浴槽21に付設して成る浴槽付設型微細気泡発生装置にした場合には、装置ハウジング2の外部に付設されるモータ26をメンテナンスの行い易い洗い場側に配設することが容易に行える、という利点がある。
【0026】
以下、本例の微細気泡発生装置1の構造を詳述する。
【0027】
図1(a)には、装置ハウジング2における、一対のハウジング半体2aの接合面と略平行に断面を採った縦断面図を示し、図1(b)には図1(a)の概略の側断面図を示す。便宜上、図中矢印aを前方(モータ26の突設方向と同じ)とし、矢印bを後方として説明する。
【0028】
左右方向に薄い略矩形箱状の装置ハウジング2は、その内部空間を隔壁で区画することで、その前縁部及び下縁部及び前部上縁部に水流路4を形成し、それ以外のほとんどの部位を溶解タンク部7が占めるように区画形成されている。また、装置ハウジング2の下縁部には管体装着部17を構成する貫通孔17aが穿設され、貫通孔17aの下縁には水入口3が開設されると共に貫通孔17aの上縁には水出口9が開設されている。
【0029】
装置ハウジング2の下縁部に設けた水入口3を始端とする水流路4には、水流路4の流路径を絞ったエゼクター形状部38が形成されると共に、逆止弁39を有すると共に装置ハウジング2外に連通する気体流路40がエゼクター形状部38に接続されて成る気体混入部6が設けられている。この気体混入部6によると、エゼクター形状部38に水が流れることで発生するエゼクター効果(負圧効果)によって、気体流路40から吸入された外部空気が水流路4の流水に混入されて、気体混入水を生成可能にしている。
【0030】
気体混入部6を経た水流路4は続けて装置ハウジング2の前縁部に至るのであり、装置ハウジング2の前縁部の水流路4にはポンプ室24が形成されると共にポンプ室24にモータ26により回転駆動されるインペラ25が配設されてポンプ部5が設けられている。ポンプ部5を経た水流路4は続けて装置ハウジング2の前部上縁部に至るのであり、装置ハウジング2の前部上縁部で水流路4は溶解タンク部7に接続されるのであり、水流路4の終端(溶解タンク部7への接続部位)には溶解タンク部7内に水を噴射させる噴射ノズル部10が形成されている。
【0031】
溶解タンク部7は、その内部空間が前部域と後部域とに鉛直壁状の仕切壁13によって仕切られており、上記前部域には噴射ノズル部10から気体混入水が噴射されて気液撹拌状態をつくって気体を水に溶解させて気体溶解水を生成させるための撹拌部11が配置され、上記後部域には撹拌部11より流れ至る気体溶解水から溶解しきれなかった余剰気体を抜く(気液分離させる)ための非撹拌部12が配置されている。非撹拌部12を経た気体溶解水は非撹拌部12より下方位置に設けた水出口9に至るようにされている。
【0032】
また、非撹拌部12の上部(溶解タンク部7の後部域の上部)には、非撹拌部12で気体溶解水から抜かれた余剰気体が溜まる余剰気体溜まり部14と、微細気泡発生装置1の駆動に支障をきたすほどの過剰な余剰気体を溶解タンク部7外に抜くための気体抜弁部15とが設けられている。余剰気体溜まり部14と気体抜弁部15とは装置ハウジング2の上面壁2b(溶解タンク部7の天井壁)から垂下された鉛直壁板状の仕切板部16で仕切られており、過剰な余剰気体が余剰気体溜まり部14に溜まると溶解タンク部7内の水面を押し下げ、過剰な余剰気体が仕切板部16の下端をくぐるようにして気体抜弁部15に至り、気体抜弁部15を経て溶解タンク部7外(装置ハウジング2外)に排気されるようになっている。仕切板部16の下端高さは溶解タンク部7の略適水位高さに設定されるのである。
【0033】
このように気体抜弁部15を装置ハウジング2内(溶解タンク部7内)に配置したことによると、従来のように溶解タンク部材7´から気体抜弁部15を外方へ突設したものに比べて、微細気泡発生装置1(装置ハウジング2)を配置し易い単純な形状にできて、装置の小型化(収納容易化)を図ることができる利点を有するのであり、また、装置ハウジング2内(溶解タンク部7内)に気体抜弁部15を配置するにあたって、気体抜弁部15は非撹拌部12の上部に配置された(気体抜弁部15の下方には水を収容する非撹拌部12の下部が位置されている)ので、気体抜弁部15の下方域を利用して溶解タンク部7の容積を稼ぐことができ、本例のように溶解タンク部7、ひいては装置ハウジング2を左右方向に薄型にできたものであり、装置ハウジング2、ひいては微細気泡発生装置1の小型化を実現できたものである。
【0034】
なお、撹拌部11と非撹拌部12とを仕切る仕切壁13は、その上端部と下端部とにそれぞれ撹拌部11と非撹拌部12とを連通する通路部13a,13bが形成されており、下方の通路部13aを介して撹拌部11から非撹拌部12に気体溶解水が流入可能にされ、上方の通路部13bを介して余剰気体溜まり部14から撹拌部11の上部域に余剰気体が還流可能にされている。すなわち、撹拌部11では、噴射ノズル部10から噴射された気体混入水による撹拌部11に溜まる水のバブリング状態に、余剰気体溜まり部14から還流した余剰気体も取り込むことが可能にされており、効率の良い気泡溶解水の生成が可能にされている。
【0035】
ここで、仕切板部16の下端高さと略同一高さの撹拌部11の内面部位に、噴射ノズル部10から噴射された気体混入水の噴射域の外縁部10aが位置するように設定してある。すなわち、仕切板部16の下端高さにより溶解タンク部7内の適水位が決定されるのであり、仕切板部16の下端高さと略同一高さの撹拌部11の内面部位に噴射ノズル部10から噴射された気体混入水の噴射域の外縁部10aが位置するように設定したので、撹拌部11内の水面の略全域に噴射された気体混入水をぶつけることができて、撹拌部11に良好なバブリング状態を確保して気体溶解水の生成効率の向上が図られている。
【0036】
詳しくは、噴射ノズル部10の開口形状をその長辺側が前後方向にほぼ平行になる細長い形状に形成することで、噴射ノズル部10からの気体混入水の噴射角度が前後方向に広角で左右方向に狭角となって、噴射ノズル部10からの気体混入水の噴射形状が前後方向に長い長円錐状になるようにし、上記長円錐状の底面で構成される長形の噴射域が、左右方向に薄い空間に形成された撹拌部11における適水位の水面に対して略合致するようにされている。なお本例では噴射ノズル部10の開口形状を猫目形状に形成しているが、楕円形状、長方形形状等であってもよい。
【0037】
具体的に、仕切板部16の下端高さと略同一高さの撹拌部11の内面部位に、噴射ノズル部10から噴射された気体混入水の噴射域の外縁部10aが位置するためには、およそ、L=2tan(θ1/2)、W=2Htan(θ2/2)の寸法関係を有するのが好ましい。なお、上記Lは撹拌部11の適水位の水面における長手寸法であり、上記Wは撹拌部11の適水位の水面における短手寸法であり、上記Hは噴射ノズルの下端高さと仕切板部16の下端高さとの差分寸法であり、上記θ1は噴射ノズル部10からの気体混入水の広角側の噴射角度であり、上記θ2は噴射ノズル部10からの気体混入水の狭角側の噴射角度である。本例の溶解タンク部7では上記関係式を満たす寸法関係を有し、広角側の噴射角度θ1が120°であり、狭角側の噴射角度θ2が30°であり、噴射ノズルの下端高さと仕切板部16の下端高さとの差分寸法Hが約10cmであり、撹拌部11の適水位の水面における長手寸法Lが約40cmであり、撹拌部11の適水位の水面における短手寸法Wが約5cmに設定されている。
【0038】
図5には溶解タンク部7に設けた気体抜弁部15を示す。
【0039】
気体抜弁部15は、上述のように溶解タンク部7での気体の水への溶解効率の確保やポンプ部5でのエア噛み防止をするべく、溶解タンク部7内の余剰気体のみを自動的に抜くものであり、結果的に溶解タンク部7に溜まる水の適水位を確保する役割を果たしている。
【0040】
詳しくは、気体抜弁部15は、装置ハウジング2の上面壁2bと後面壁2cと左右の側面壁2dと仕切板部16とで囲繞されて区画された気体抜路41を有し、気体抜路41には弁体42が上下方向にフロート自在に配設されて、気体抜路41の上端(装置ハウジング2の上面壁2b)に開設した排気孔43を開閉自在にしている。なお、弁体42の上端にはゴム台座44が設けられ、気体抜路41に溶解タンク部7内に溜まる水が入って弁体42が浮き上げたときには、上記ゴム台座44が排気孔43の縁部に設けたゴムパッキン45に弾接して排気孔43の良好な閉塞状態を確保可能にしている。
【0041】
また、弁体42のフロート動作の確実性を向上させるべく、弁体42は気体抜路41にバネ46を介して連結されると共に、摺接する弁体42の側面と気体抜路41の内側面との間にガイド部47を備えている。ガイド部47は本例では図5(b)のように弁体42の側面に凹設した上下に延びる溝条48と、この溝条48にスライド自在に係合するための気体抜路41の内側面に突設した上下に延びる突条49とで構成されている。なお、弁体42側に突条49を、気体抜路41側に溝条48を設けることでもガイド部47を構成できる。特に弁体42と気体抜路41との間にガイド部47を設けたことによると、たとえ微細気泡発生装置1が浴槽21等の被取付部材Aに斜めに取り付けられたとしても、弁体42のフロート動作の確実性を向上できる。
【0042】
図4には装置ハウジング2への管体20の装着部位を示す。
【0043】
管体20は、軸心部に水吐出流路18が形成されており、軸心部の周囲に水吸込流路19が形成された構造を有している。装置ハウジング2の管体装着部17を構成する貫通孔17aの両端の開口内縁には雌ねじ50が刻設されており、貫通孔17aのいずれの開口から管体20を挿入した場合にも、上記雌ねじ50に挿着部28に刻設した雄ねじ51を螺合させることで、管体装着部17に対して一意の挿入深さ及び回転姿勢を確保して挿着可能にされる。ここで、水入口3や水出口9は管体装着部17における孔長さ方向の中央部に開設されており、水吐出流路18の入口18aや水吸込流路19の出口19aは挿着部28における長さ方向の中央部の管体20の周面にそれぞれ開口されているが、上記のように管体20は管体装着部17に対して一意の挿入深さ及び回転姿勢を確保して挿着されるのであり、水吐出流路18の入口18aは水出口9、水吸込流路19の出口19aは水入口3にそれぞれパッキン30を介して確実に接続される。ここで、管体20を挿入しない側の貫通孔17aの開口を閉塞する蓋体37の装置ハウジング2への取り付けは、上記貫通孔17aの開口内縁の雌ねじ50に対して蓋体37の外周面に刻設した雄ねじ37aを螺合させることで行われる。
【0044】
また、管体20の水吐出流路18の出口18b近傍には析出部8が着脱自在に設けられている。この析出部8としては本例では水吐出流路18に絞り流路部53を形成するベンチュリ管状のノズル体52aで構成しているが、たとえば図6のような水吐出流路18内に配置したディスク弁部材54にて水吐出流路18に絞り流路部53を形成するディスク弁状のノズル体52bで構成することもできる。要は、析出部8としては、ポンプ部5で約0.2MPaまで加圧溶解された気体を、水吐出流路18に形成した絞り流路部53で減圧して微細気泡として析出できる構造のものを適用できる。ここで、析出部8はその絞り流路部53で流水中のゴミなどが詰まり易い欠点を有するが、析出部8を構成するノズル体52は装置ハウジング2外に位置する管体20の他端部(取付部29)から取り外し自在にされており、そのメンテナンスも良好であるという利点を有している。
【0045】
なお、管体20としては図7のものも採用できる。この管体20は先のナット材33を用いず、管体20を管体装着部17に装着する際の雄ねじ50の雌ねじ51への締め付けによって、フランジ部31を浴槽21の槽部21aの内面にパッキン55を介して弾接させることで、管体20、ひいては微細気泡発生装置1を浴槽21に取り付けさせている。また、装置ハウジング2の水入口3及び水吸込流路19の出口19aはそれぞれ管体装着部17及び挿着部28の長さ方向における中央からの対称位置に2箇所設けられている。この管体20によっても先の管体20と同様の機能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態の例の微細気泡発生装置の装置ハウジングであり、(a)は縦断面図であり、(b)は概略の側断面図である。
【図2】同上の微細気泡発生装置の分解斜視図である。
【図3】同上の微細気泡発生装置を浴槽に付設した場合の斜視図である。
【図4】同上の装置ハウジングの要部の縦断面図である。
【図5】同上の装置ハウジングの要部であり、(a)は縦断面図であり、(b)は横断面図である。
【図6】同上の析出部の他例であり、(a)は縦断面図であり、(b)は要部の正面図である。
【図7】同上の他例の管体の縦断面図である。
【図8】従来技術の例の浴槽に付設した微細気泡発生装置であり、(a)は概略構成図であり、(b)は平面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 微細気泡発生装置
2 装置ハウジング
2a ハウジング半体
3 水入口
4 水流路
5 ポンプ部
6 気体混入部
7 溶解タンク部
8 析出部
9 水出口
10 噴射ノズル部
10a 噴射域の外縁部
11 撹拌部
12 非撹拌部
13 仕切壁
14 余剰気体溜まり部
15 気体抜弁部
16 仕切板部
17 管体装着部
17a 貫通孔
18 水吐出流路
18a 入口
19 水吸込流路
19a 出口
20 管体
21 浴槽
A 被取付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細気泡発生装置の装置ハウジングに、水を吸い込む水入口と、水入口に一端が連通される水流路と、水流路に水を圧送するポンプ部と、水流路に流れる水に気体を混入させて気体混入水を生成する気体混入部と、水流路の他端が連通されて気体混入水の気体を水に溶解させて気体溶解水を生成する溶解タンク部と、気体溶解水の気体を析出させて微細気泡含有水を生成させる析出部に対して気体溶解水を供給するための水出口と、を一体に形成したことを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項2】
溶解タンク部に、水流路の他端が連通された噴射ノズル部から気体混入水が噴射されて気体混入水の気体を水に溶解させて気体溶解水を生成するための撹拌部と、撹拌部より供給された気体溶解水から溶解されない余剰気体を抜くための非撹拌部とを備えると共に、撹拌部と非撹拌部とを仕切る仕切壁を形成し、非撹拌部の上部に、余剰気体が溜まる余剰気体溜まり部と、溶解タンク部外に余剰気体を抜く気体抜弁部とを備えると共に、余剰気体溜まり部と気体抜弁部とを仕切る仕切板部を形成したことを特徴とする請求項1記載の微細気泡発生装置。
【請求項3】
装置ハウジングを、略同一平面上に配設した水流路とポンプ部と気体混入部と溶解タンク部とを2つ割り状にする一対のハウジング半体を接合することで、形成して成ることを特徴とする請求項1又は2記載の微細気泡発生装置。
【請求項4】
装置ハウジングに水吐出口と水入口とを配置した管体装着部を形成し、管体装着部に、析出部を有した水吐出流路と水吸込流路とを備えた管体を、水吐出流路の入口を水吐出口に接続すると共に水吸込流路の出口を水入口に接続させて着脱可能にして成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の微細気泡発生装置。
【請求項5】
管体装着部を装置ハウジングに設けた貫通孔で構成し、貫通孔のいずれの開口から管体を挿着した場合にも、水吐出流路の入口に対応する箇所に水入口が位置すると共に、水吸込流路の出口に対応する箇所に水吐出口が位置するようにしたことを特徴とする請求項4記載の微細気泡発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−172558(P2009−172558A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16875(P2008−16875)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(505154956)パナソニック電工バス&ライフ株式会社 (306)
【Fターム(参考)】