説明

微細気泡発生装置

【課題】より微細な気泡を、十分な量において、より長期に亘って安定的に発生させることが出来る微細気泡発生装置を提供する。
【解決手段】外周面に開口する通気孔を備えた筒状基材に、高分子樹脂フィルムにクレーズを生成してなる通気性フィルムの円筒体が外挿されると共に、該円筒体の外周面上に親水性の不織布層48が積層形成されてなる微細気泡発生筒体10を、その軸心回りに、回転駆動手段14にて回転可能と為し、更に、該回転駆動手段14による該微細気泡発生筒体10の回転下において、気体導入機構15により、該筒状基材の筒内の空間に、外部から気体を導入し得るように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡発生装置に係り、特に、微細気泡を発生させて、それを水中に分散させる微細気泡発生装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、1mm以下のマイクロバブルと称される微細な気泡が多くの優れた特性を有することが明らかとなり、大いに注目を集めている。この微細気泡は、例えば、魚類や家畜、植物等の活性化や汚水や排水等の浄化等において極めて優れた効果を発揮することが知られている。そこで、最近では、そのような微細気泡を発生する装置を、鑑賞魚用水槽や活魚用生け簀等の水中に酸素等の気体を供給するための装置として、或いは排水処理槽や発酵槽、培養槽に対する通気手段等として、利用することが検討されている(例えば、下記特許文献1及び2参照)。
【0003】
かかる状況下、本願出願人は、先に、微細な気泡を発生する微細気泡発生装置に利用される分散器(微細気泡発生筒体)を提案した(下記特許文献3参照)。この分散器は、多孔質材を用いて形成された筒状体の外周面を親水性の不織布等で被覆してなる構造を有している。そして、この分散器を形成する多孔質材としては、高分子樹脂フィルムにクレーズを生成させてなる通気性フィルムが、好適に用いられている。
【0004】
このような構造を有する分散器は、水中に沈められた状態で使用される。そして、この分散器においては、その内部空間に、加圧された空気や酸素等の気体が送り込まれて、かかる気体が、通気性フィルム等の多孔質材と不織布とを通過することにより、微細気泡となって、不織布の表面から水中に放出されて、分散せしめられるようになっているのである。また、この分散器では、不織布が親水性を有するものであるため、通気性フィルムを透過して、不織布内に侵入した気泡が、不織布内に入り込んだ水により分断されるような状態となって、より微細な気泡を生成することが可能となっている。
【0005】
ところが、本発明者等が、そのような分散器について、その使用性の向上を目的として更に検討を加えたところ、水中で長期間使用した場合に、水中の微生物や浮遊物等の異物が、不織布の表面に付着し、或いはその内部に入り込み、それにより、不織布内の通孔が部分的に閉塞されて、微細気泡の発生量が減少する事態を生ずる恐れがあることが判明したのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3806008号公報
【特許文献2】特開2007−268390号公報
【特許文献3】実用新案登録第3130562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、水中での長期の使用によっても、より微細な気泡を十分な量において安定的に発生させることが出来る微細気泡発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した課題、又は本明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙する各種の態様において、好適に実施され得るものである。また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。そして、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0009】
<1> 水中に配置された状態で、微細な気泡を発生させて、該微細気泡を水中に放出し、分散させる微細気泡発生装置であって、(a)筒壁を貫通して外周面に開口する通気孔を備えた筒状基材の外周面に、高分子樹脂フィルムにクレーズを生成してなる通気性フィルムの円筒体が外挿され、更に該円筒体の外周面上に親水性の不織布層が積層形成されて、該筒状基材の前記通気孔から放出される気体が前記円筒体及び不織布層の通過中に微細化せしめられて、微細気泡が形成されるようにした微細気泡発生筒体と、(b)該微細気泡発生筒体を、その軸心回りに回転させて、該微細気泡発生筒体の回転下において、前記不織布層の外周部から前記微細化された気泡を切り出し、水中に分散せしめるようにした回転駆動手段と、(c)該回転駆動手段による前記微細気泡発生筒体の回転下において、前記筒状基材の筒内の空間に、外部から気体を導入する気体導入機構とを有することを特徴とする微細気泡発生装置。
【0010】
<2> 前記不織布層が、不織布の円筒体からなり、かかる円筒状不織布層が、前記通気性フィルムの円筒体に外挿されている上記態様<1>に記載の微細気泡発生装置。
【0011】
<3> 前記微細気泡発生筒体を水平方向に延びる回転軸回りに回転可能に支持する支持機構が、更に設けられている上記態様<1>又は<2>に記載の微細気泡発生装置。
【0012】
<4> 前記不織布層の外周部の全面に、親水性の糸状体が巻き付けられて、該不織布層の全体が、該糸状体にて緊締されている上記態様<1>乃至<3>のうちの何れか一つに記載の微細気泡発生装置。
【0013】
<5> 前記気体導入機構の気体を導入する導入口が大気に開放されて、該気体導入機構により、大気が前記筒状基材の筒内の空間に導入されるようになっている上記態様<1>乃至<4>のうちの何れか一つに記載の微細気泡発生装置。
【0014】
<6> 前記気体導入機構の気体を導入する導入口が、圧縮空気を供給する圧縮空気供給源に接続されて、該気体導入機構により、圧縮空気が前記筒状基材の筒内の空間に導入されるようになっている上記態様<1>乃至<4>のうちの何れか一つに記載の微細気泡発生装置。
【0015】
<7> 一軸回りの回転により水を撹拌する撹拌翼が、前記微細気泡発生筒体に対して、該微細気泡発生筒体と一体回転可能に設けられている上記態様<1>乃至<6>のうちの何れか一つに記載の微細気泡発生装置。
【発明の効果】
【0016】
かくの如き、本発明に従う微細気泡発生装置においては、筒状基材の外周面に、通気性フィルムと親水性の不織布とが、前者を内側として積層されて、微細気泡発生筒体が構成されている。これにより、かかる微細気泡発生筒体にて、微細化された気泡が形成されるようになっている。
【0017】
そして、本発明に係る微細気泡発生装置では、気体導入機構により、微細気泡発生筒体における筒状基材の筒内の空間に、外部から気体が導入されつつ、回転駆動手段にて、微細気泡発生筒体が水中で回転せしめられることにより、不織布層の外周部から微細化された気泡が切り出されるようにして、水中に分散せしめられるようになっている。それ故、不織布層の外周部から、より微細化された気泡を発生させることが可能となる。そして、特に、微細気泡発生筒体が回転せしめられつつ、水中で使用されるところから、例えば水中の微生物や浮遊物等の異物が、不織布層の外周部(表面)に付着したり、不織布層の通孔内に入り込んだりするのを困難と為し得る。また、たとえ、それらの異物が不織布層の外周部に付着したり、通孔内に入り込んだりしたとしても、微細気泡発生筒体の回転時に生ずる遠心力により、異物が不織布層の外周部や通孔内から有利に除去され得る。このため、微細気泡発生筒体が水中で長期間使用されていても、常時、不織布層の外周部での通孔の開口面積や通孔内の容積が、十分に且つ安定的に確保され得る。
【0018】
従って、かくの如き本発明に従う微細気泡発生装置にあっては、水中での長期の使用によっても、より微細な気泡を十分な量において安定的に発生して、水中に放出し、分散させることが出来る。そして、その結果として、微細気泡の水中への分散によって得られる、例えば魚類や家畜、植物等の活性化や汚水や排水等の浄化等の所望の効果が、より長期に亘って、極めて安定的に発揮され得るのである。
【0019】
加えて、本発明に係る微細気泡発生装置においては、微細気泡発生筒体の回転によって生ずる遠心力や微細気泡の吹出し圧力により、筒状基材内部の空間内の気体が、通気性フィルムや不織布層のそれぞれの通孔内に吸い上げられるようにして入り込み、不織布層の外周部から微細気泡となって放出されるようになる。このとき、筒状基材内部の空間内は減圧状態となる。それ故、微細気泡発生筒体の回転下では、筒状基材内部の空間内に加圧気体等を強制的に送り込むことなしに、例えば、気体導入機構の外部から気体を導入する導入口を大気に開放させておくだけで、筒状基材内部の空間内に気体が、自動的に且つ継続的に導入される。これによって、圧縮空気等の加圧気体を微細気泡発生筒体内に送り込むための気体供給源やそれに付随する気体供給路等を使用することなしに、微細気泡を不織布層の外周部から水中に分散させることが出来る。
【0020】
従って、このような本発明に従う微細気泡発生装置にあっては、より簡略且つコンパクトな構造が有利に実現され得ると共に、より微細な気泡を、より低いコストで水中に分散させることが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に従う微細気泡発生装置の一実施形態を示す、一部切欠図を含む正面説明図である。
【図2】図1に示された微細気泡発生装置に用いられる微細気泡発生筒体の軸方向断面図である。
【図3】図1のIII−III断面における端面拡大説明図である。
【図4】本発明に従う微細気泡発生装置の別の実施形態を示す、図1に対応する図である。
【図5】本発明に従う微細気泡発生装置の更に別の実施形態を示す、図1の部分拡大図に対応する図である。
【図6】図5のVI−VI断面における端面説明図である。
【図7】本発明に従う微細気泡発生装置の他の実施形態を示す、図1に対応する図である。
【図8】本発明に従う微細気泡発生装置の更に他の実施形態を示す、図1に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0023】
先ず、図1には、本発明に従う構造を有する微細気泡発生装置の一実施形態が、その正面形態において示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態の微細気泡発生装置は、微細気泡発生筒体10と、それを回転可能に支持する支持機構12と、微細気泡発生筒体10を回転駆動させる、回転駆動手段たる水中モータ14と、微細気泡発生筒体10の内部に気体を導入するための気体導入機構15とを含んで、構成されている。
【0024】
より具体的には、微細気泡発生筒体10は、図2に示されるように、筒状基材16を有している。この筒状基材16は、樹脂材料を用いて形成された長手円筒状の樹脂成形体からなっている。筒状基材16の形成に用いられる樹脂材料は、特に限定されるものではなく、水中での高速回転に耐え得る剛性を有するものであれば良い。本実施形態では、塩化ビニル樹脂が用いられている。筒状基材16を、樹脂材料以外の材料、例えば金属材料等を用いて形成することも、勿論可能である。
【0025】
筒状基材16の外周面の軸方向両側の端部には、所定高さで突出し且つ全周に亘って連続して延びる、半円状の軸方向断面を備えた係合突条18が、それぞれ一つずつ一体形成されている。また、それら各係合突条18の形成部位よりも軸方向内方に位置する部位には、断面矩形の周溝20が、それぞれ一つずつ形成されている。それら各周溝20,20内には、円環状のシールゴム22が、それぞれ嵌め込まれて、収容されている。一方、筒状基材16の軸方向中間部には、その周上の一箇所に、筒壁を貫通して、外周面に開口する通気孔23が、形成されている。この通気孔23は、筒状基材16に複数設けられていても良い。
【0026】
このような筒状基材16の軸方向両側の端部には、第一キャップ24と第二キャップ25とが、それぞれ取り付けられている。それら第一及び第二キャップ24,25は、何れも、底部26と筒部28とを一体的に備えた略浅底の有底円筒状の同一形状を有している。第一及び第二キャップ24,25においては、筒部28の開口側の内周面部分に、軸方向外方(筒部の開口方向)に開口する切欠溝30が周設されている一方、底部26側の内周面部分には、係合溝32が、周設されている。また、各キャップ24,25の底部26の内面の外周部には、円形の環状溝34が形成されており、この環状溝34内に、Oリング36が嵌め込まれて、収容されている。更に、第一キャップ24の底部26の中心部には、内周面に雌ねじ部が形成された貫通孔38が穿設されており、この貫通孔38に対して、連結スリーブ40が、その外周面に設けられた雄ねじ部を貫通孔38の内周面の雌ねじ部に螺合させて、固定されている。
【0027】
そして、かかる第一及び第二キャップ24,25が、底部26により筒状基材16の軸方向両側の開口部を閉塞し、且つ筒状基材16の軸方向両側端部に対して、筒部28を外嵌させた状態で、それぞれ取り付けられている。また、そのような取付状態下で、筒状基材16の軸方向両側端部にそれぞれ設けられた係合突条18が、筒部28の係合溝32内に突入して、係合溝32の内側側面に係合している。更に、筒状基材16の軸方向両側の端面が、各キャップ24,25の環状溝34内のOリング36に対して、それぞれ圧接されている。
【0028】
これにより、筒状基材16から第一及び第二キャップ24,25が簡単に離脱するのが効果的に阻止されるようになっていると共に、筒状基材16の内孔が、第一及び第二キャップ24,25にて液密に密閉された内側空間42とされている。そして、かかる内側空間42が、第一キャップ24に設けられる貫通孔38とそれに固定された連結スリーブ40の内孔とにて構成される導入孔44と、筒状基材16の軸方向中間部に設けられた前記通気孔23とのみにおいて、外部に連通している。また、第一及び第二キャップ24,25の各筒部28の切欠溝30の底面が、筒状基材16の軸方向両側端部の各周溝20,20内に嵌め込まれたシールゴム22の外周面に対して、軸直角方向において対向位置せしめられている。
【0029】
そして、そのような構造とされた筒状基材16には、通気性フィルムを用いて形成されたフィルム円筒体46が、外挿されている。ここでは、フィルム円筒体46を形成する通気性フィルムとして、高分子樹脂フィルムに従来と同様にクレーズを生成せしめてなる、所謂クレーズ生成通気性フィルムが用いられている。このクレーズ生成通気性フィルムは、一般に撥水性を呈し、気体は透過させるものの、水等の液体やゲル状の溶液は透過させない微細な連通孔を多数備えた公知の構造を有している。
【0030】
このようなクレーズ生成通気性フィルムを構成する高分子樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、スチレン系樹脂、ポリカーボネート、ハロゲン含有熱可塑性樹脂、ニトリル樹脂等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。それら例示された各種の熱可塑性樹脂のそれぞれの具体例としては、特許第3806008号公報に例示されたものと同様なものを挙げることが出来る。そして、それらの樹脂材料は、それぞれが単独で、或いは2種類以上のものが組み合わされて、クレーズ生成通気性フィルムの形成材料として使用される。なお、クレーズ生成通気性フィルムは、単層のものでも良く、或いは複数の層が積層されてなるものであっても良い。
【0031】
また、ここで用いられるクレーズ生成通気性フィルムの厚さも、特に限定されるものではないものの、一般には0.5〜1000μm、好ましくは1〜800μm、更に好ましくは2〜500μmの範囲内の値とされる。クレーズ生成通気性フィルムのクレーズは、基本的に、高分子樹脂フィルムの分子配向の方向と略平行に延びる縞状を呈し、その幅が、一般には0.5〜100μmとされており、好ましくは1〜50μmとされている。そして、この縞状クレーズは、フィルムの厚さ方向に貫通しているクレーズ数の割合が、全クレーズ数に対して10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上、更に好ましくは40%以上である。何故なら、貫通しているクレーズ数の割合が、上記の範囲より小さいと、通気性を十分に確保することが困難となるからである。なお、フィルム円筒体46を構成するクレーズ生成通気性フィルムのその他の特性やクレーズの構造、及びその生成方法等は、特許第3806008号公報に記載されたものと同様とされている。
【0032】
そして、本実施形態では、上記の如きクレーズ生成通気性フィルムが、例えば、筒状基材16の外周面に対して、端部同士が重なり合うように巻き付けられて、円筒形状とされた状態で、互いに重ね合わされた端部同士が熱溶着等にて接合されることにより、円筒形状に形成されて、フィルム円筒体46が形成されている。これにより、フィルム円筒体46が、その内周面において、筒状基材16の外周面に密接した状態で、筒状基材16に外挿されているのである。
【0033】
また、そのようなフィルム円筒体46は、その軸方向長さが、筒状基材16の軸方向両側端部に設けられた係合突条18,18間の軸方向長さに満たない寸法とされている。それによって、筒状基材16に外挿されたフィルム円筒体46の軸方向両側の端部が、筒状基材16の両端部に取り付けられた第一及び第二キャップ24,25の各筒部28の切欠溝30内に突入し、且つフィルム円筒体46の軸方向両側の端部の内周面部分が、筒状基材16の各周溝20,20内に嵌め込まれたシールゴム22,22の外周面に接触して、位置せしめられている。また、筒状基材16の軸方向中間部の筒壁部分を貫通して、筒状基材16の外周面において開口する通気孔23の外周面側開口部が、フィルム円筒体46の軸方向中間部にて覆蓋されている。
【0034】
さらに、フィルム円筒体46が外挿された筒状基材16には、親水性を有する不織布を用いて形成された円筒状不織布層48が、フィルム円筒体46の外周面上に積層された状態で、更に外挿されている。この円筒状不織布層48を構成する不織布は、親水性を有するものであれば、その種類が特に限定されるものではない。例えば、パルプを素材に利用したパルプ不織布や、化学繊維を素材に利用した化学繊維不織布、或いはパルプと化学繊維とガラス繊維と金属繊維のうちの2種類以上を組み合わせて素材に利用した複合不織布等が、何れも用いられる。また、素材に化学繊維を利用する場合には、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、アクリル樹脂等からなる化学繊維が用いられる。
【0035】
このような不織布が、例えば、筒状基材16に外挿されたフィルム円筒体46の外周面に対して、端部同士が重なり合うように巻き付けられて、円筒形状とされた状態で、互いに重ね合わされた端部同士が熱溶着等にて接合されることにより、円筒形状に形成されて、円筒状不織布層48が形成されている。また、それによって、かかる円筒状不織布層48が、その内周面において、フィルム円筒体46の外周面に密接した状態で、筒状基材16及びフィルム円筒体46に外挿されている。
【0036】
かかる円筒状不織布層48の厚さや軸方向長さは適宜に設定されるところであるが、一般的には、200〜300μm程度の厚さとされる。また、ここでは、円筒状不織布層48の軸方向長さが、フィルム円筒体46の軸方向長さと略同じ寸法とされている。それによって、フィルム円筒体46と同様に、円筒状不織布層48の軸方向両側の端部が、筒状基材16の両端部に取り付けられた第一及び第二キャップ24,25の各筒部28の切欠溝30内に突入し、且つ円筒状不織布層48の軸方向両側の端部の内周面部分が、筒状基材16の各周溝20,20内に嵌め込まれたシールゴム22,22の外周面に対して、フィルム円筒体48の軸方向両端部を介して接触位置せしめられている。
【0037】
また、筒状基材16に外挿されたフィルム円筒体46に対して更に外挿された円筒状不織布層48の外周部には、その全面に、親水性の糸状体50が巻き付けられている。この糸状体50は、親水性を有し、十分な引っ張り強度を有するものであれば、その材質が、何等限定されるものではない。例えば、絹や、綿、麻等の天然繊維からなるものであっても良く、或いは上記に例示した円筒状不織布層48を構成する化学繊維からなるものであっても良い。それらの中でも、耐薬品性に優れ、生物分解されないポリビニルアルコール繊維が、糸状体50の形成材料として好適に用いられる。また、糸状体50の直径(太さ)も、十分な引っ張り強度が確保され得る程度において、適宜に決定されるところであるが、一般には、その直径が50〜500μm程度とされる。
【0038】
このような親水性の糸状体50が、円筒状不織布層48の外周部の全面に巻き付けられることにより、円筒状不織布層48の全体が、かかる糸状体50にて、きつく締め付けられる。そうして、円筒状不織布層48を構成する繊維同士が密となって、かかる円筒状不織布層48内の通孔が、より微細となる。
【0039】
なお、糸状体50は、円筒状不織布層48の外周部の全面に巻き付けられていることが望ましいが、場合によっては、円筒状不織布層48に対して部分的に巻き付けられていても良い。また、糸状体50が、円筒状不織布層48に対して、隣り合うもの同士の間に隙間が形成されるように、粗に巻き付けられていても、或いは隣り合うもの同士の間に隙間がないように、密に巻き付けられていても良い。更に、糸状体50が、円筒状不織布層48に対して、二重以上の幾重にも重なるように巻き付けられていても良い。
【0040】
本実施形態では、円筒状不織布層48の軸方向両側端部に対して、糸状体50が、隙間無く、密に巻き付けられている一方、それ以外の部分に対しては、粗に巻き付けられている。これによって、フィルム円筒体46と円筒状不織布層48のそれぞれの軸方向両側端部が、筒状基材16の軸方向両側端部に対して強固に固定されて、それらフィルム円筒体46と円筒状不織布層48の筒状基材16からの離脱が阻止されるようになっている。また、それと共に、そのようなフィルム円筒体46と円筒状不織布層48のそれぞれの軸方向両側端部とそれらの軸方向両側端部に巻き付けられた糸状体50部分とが、第一及び第二キャップ24,25の切欠溝30の底面と、シールゴム22の外周面との間で挟圧保持されており、以て、フィルム円筒体46の内周面と筒状基材16の外周面との間における液密性、及びフィルム円筒体46の外周面と円筒状不織布層48の内周面との間における液密性が、それぞれ確保されるようになっている。
【0041】
このように、微細気泡発生筒体10は、筒状基材16に対して、フィルム円筒体46と円筒状不織布層48とが、前者を内側にして積層された状態で外挿されている。そのため、かかる微細気泡発生筒体10においては、筒状基材16の導入孔44を通じて内側空間42内に導入された気体が、筒状基材16の筒壁を貫通する通気孔23からフィルム円筒体46と円筒状不織布層48とを通過して、円筒状不織布層48の外周面から微細気泡(50μm以下程度)となって放出されるようになっている。また、ここでは、フィルム円筒体46を形成する通気性フィルムが撥水性を有する一方、円筒状不織布層48を形成する不織布が親水性を有するため、フィルム円筒体46を透過して、円筒状不織布層48内に侵入した気泡が、円筒状不織布層48内に入り込んだ水により分断されるような状態となって、より微細化されるようになっている。しかも、円筒状不織布層48の外周部の全面に、親水性の糸状体50が巻き付けられて、円筒状不織布層48内の通孔がより微細となっているところから、円筒状不織布層48内に侵入した気泡の更なる微細化が促進されるようになっているのである。
【0042】
一方、図1に示されるように、微細気泡発生筒体10を回転可能に支持する支持機構12は、ベース板52を有している。このベース板52は、微細気泡発生筒体10の軸方向長さよりも長く、且つその外径よりも大きな幅を有する長手矩形状のステンレス製やアルミニウム製の金属平板からなっている。また、かかるベース板52の長さ方向の両側の端部には、ベース板52と同一材質の矩形金属平板からなる第一支持板54と第二支持板56とが、ベース板52の長さ方向において互いに対向配置された状態で、溶接等により接合されて、固定されている。
【0043】
ベース板52の軸方向中央よりも第一支持板54側に偏寄した位置で、且つ第二支持板56から、微細気泡発生筒体10の軸方向長さより大きな距離を隔てた位置には、円筒状の支持筒体58が、ベース板52の長さ方向に延びるように配置されている。この支持筒体58は、第一及び第二支持板54,56と同一の材質からなっている。そして、支持筒部58においては、その軸方向両側端部のうちの第一支持板54側に位置する端部に、矩形枠状形態を呈する外フランジ部60を一体的に設けられており、かかる外フランジ部60の下端面において、ベース板52の上面に接合、固定されている。
【0044】
そのような支持筒体58の内孔内には、回転体62が、配置されている。この回転体62は、支持筒体58の内径よりも一周り小さな外径と、支持筒体58の軸方向長さよりも大きな軸方向長さとを備えた細長い略円柱状の全体形状を有している。かかる回転体62の内部には、軸方向に延びる連通路64が、回転体62の軸方向中間部の外周面部分と軸方向一方側の端面とにおいてそれぞれ開口して、設けられている。
【0045】
そして、この回転体62が、支持筒体58の内孔内に挿入され、且つ連通路64が開口する端面を備えた軸方向一方側の端部を、かかる内孔から軸方向外方に突出させた状態で、配置されている。また、そのような配置状態下で、支持筒体58の内周面に対して、軸方向に互いに離間して固定された二つのベアリング66,66を介して、軸心回りに回転可能に支持されている。
【0046】
さらに、そのような回転体62には、二つのベアリング66,66にて支持された部位の間に、ポリテトラフルオロエチレン製の二つのシールリング72,72が、軸方向に間隔を開けて、外挿されている。そして、それら各シールリング72,72が、その内外周面において、回転体62の外周面と支持筒体58の内周面とに摺動可能とされている。これによって、回転体62の外周面と支持筒体58の内周面との間に形成される間隙のうち、二つのシールリング72,72間に挟まれた部分が、外部から密閉された通気部67とされている。そして、回転体62の外周面に開口する連通路64の開口部が、かかる通気部67に向かって開口しており、以て、通気部67と連通路64とが相互に連通せしめられている。
【0047】
また、支持筒体58の内孔からの回転体62の突出部位の先端部には、有底円筒状のクランプ部材68が外挿、固定されている。つまり、このクランプ部材68は、その底部の中心部に中心孔70が穿設されており、この中心孔70を通じて、回転体62の突出部位の先端部が、クランプ部材68内に挿入されている。そして、かかる回転体62の中心孔70への挿通部分が、止めねじ71にて、中心孔70の内周面に固定されているのである。
【0048】
一方、第二支持板56の中央部には、それを板厚方向に貫通する挿通孔74が設けられており、この挿通孔74内に、軸部材76が挿通されている。この軸部材76は、高さの低い有底円筒状のクランプ部78と、かかる有底円筒状のクランプ部78の底部外面の中央部に一体的に立設された丸棒状の軸部80とを一体的に有している。
【0049】
また、かかる軸部材76のクランプ部78には、四つの撹拌翼82が、一体形成されている。図1及び図3に示されるように、それら四つの撹拌翼82は、それぞれ、クランプ部78の底部外面と筒部外面とに跨って延びる鉤形の平板からなり、クランプ部78の周方向において互いに等距離を隔てた位置に、一体的に立設されている。
【0050】
そして、そのような軸部材80が、支持筒体58の内孔に挿入された回転体62と所定距離を隔てて同軸的に配置され、また、かかる配置下で、軸部80において、第二支持板56の挿通孔74内に、ベアリング84を介して、軸心回りに回転可能な状態で、挿通固定されている。
【0051】
そして、本実施形態の微細気泡発生装置では、前記せる如き構造を有する微細気泡発生筒体10が、ベース板52上の支持筒体58と第二支持板56との間において、第一キャップ24側の端部を支持筒体58側に位置させ、且つ第二キャップ25側の端部を第二支持板56側に位置させた状態で、支持筒体58と同軸的に延びるように配置されている。また、かかる配置下において、微細気泡発生筒体10の第二キャップ25が、軸部材76のクランプ部78内に嵌め込まれて、図示しない止めねじにより、かかるクランプ部78に固定されている。一方、微細気泡発生筒体10の第一キャップ24に固定された連結スリーブ40の先端部が、支持筒体58の内孔内から突出する回転体62の突出部位の先端に固定されたクランプ部材68内に挿入されて、このクランプ部材68に対して、止めねじ86により固定されている。
【0052】
かくして、微細気泡発生筒体10が、ベース板52に固定された支持筒体58と第二支持板56とに支持された状態で、支持筒体58に回転可能に支持された回転体62と共に、その軸心回りに一体回転可能とされているのである。また、そのような微細気泡発生筒体10の回転体62との一体回転に伴って、軸部材76のクランプ部78に設けられた四つの撹拌翼82も同時に一体回転し得るようになっている。更に、回転体62の連通路64が、連結スリーブ40の内孔と第一キャップ24の貫通孔36とからなる前記導入孔44を通じて、微細気泡発生筒体10の内側空間42内に連通せしめられている。これらのことから明らかなように、本実施形態では、支持機構12が、ベース板52、第二支持板56、軸部材76、支持筒体58、回転体62、及びクランプ部材68を含んで構成されている。
【0053】
そして、ここでは、ベース板52に固定された第一支持板54と支持筒体58の外フランジ部60との互いの対向面間に、水中モータ14が、それら第一支持板54と外フランジ部60との間で挟持された状態で固定されている。この水中モータ14は、その駆動軸88の先端部を、支持筒体58の内孔内に突入位置させている。そして、かかる駆動軸88に対して、支持筒体58の内孔内に回転可能に配置された回転体62が、相対回転不能に取り付けられている。これによって、水中モータ14の駆動軸88が、微細気泡発生筒体10に対して、回転体62を介して一体回転可能に連結されている。以て、水中モータ14の回転駆動により、微細気泡発生筒体10が、回転体62と共に回転駆動せしめられるようになっている。
【0054】
また、支持筒体58の筒壁部の軸方向中間部分には、それを貫通する通孔90が設けられている。この通孔90は、支持筒体58の外周面において開口する外側開口部の側が大径とされる一方、支持筒体58の内周面において開口する内側開口の側の小径とされた段付形状を有している。そして、かかる通孔90の大径部内に、略円筒状の接続筒部92が挿入、固定されている。また、この接続筒部92の内孔の外部への開口部には、吸気チューブ94が取り付けられている。この吸気チューブ94は、接続筒部92への接続側とは反対側の開口部が、空気を導入する導入口96とされており、この導入口96が、大気に開放されている。一方、通孔90の小径部は、大径部に挿入、固定された接続筒部92の内孔と連通していると共に、支持筒体58の内孔内に設けられる通気部67に向かって開口せしめられている。
【0055】
これにより、吸気チューブ94の導入口96から導入された空気(大気)が、吸気チューブ94と接続筒部92の内孔と通孔90を経て、通気部67内に導入され、更に、この通気部67内から、回転体62の連通路64と微細気泡発生筒体10の導入孔44を通じて、内側空間42内に導入されるようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では、気体導入機構15が、吸気チューブ94と接続筒部92と通孔90と回転体62の連通路64と微細気泡発生筒体10の導入孔44とにて構成されている。
【0056】
かくして、かくの如き構造とされた本実施形態の微細気泡発生装置にあっては、例えば、観賞魚用水槽や活魚用生け簀等の水中に酸素等を供給するのに使用される場合において、図1に示されるように、支持機構12に対して、微細気泡発生筒体10が水平面内の回転軸回りに回転可能に支持されると共に、水中モータ14が固定された状態で、ベース板52が、水槽等の底面上に水平に載置される。このとき、吸気チューブ94の接続筒部92への接続側とは反対側の端部が、水上に位置せしめられて、その導入口96が、大気中に開放される。
【0057】
そして、そのような状態下において、水中モータ14が回転駆動させられることにより、微細気泡発生筒体10が高速で回転駆動せしめられて、使用されるのである。このとき、微細気泡発生筒体10の第二キャップ25に取り付けられる軸部材76に一体形成された撹拌翼82も、微細気泡発生筒体10と共に一体回転せしめられる。これによって、微細気泡発生筒体10の周囲の水が、撹拌されるようになる。
【0058】
このように、本実施形態の微細気泡発生装置にあっては、微細気泡発生筒体10が水中において水平方向に配置された状態で、この微細気泡発生筒体10の内側空間42内に大気が導入されるようになっている。これにより、内側空間42内の空気が、筒状基材16の通気孔23からフィルム円筒体46と円筒状不織布層48とを通過して、円筒状不織布層48の外周面から、微細気泡となって水中に放出されて、分散されるようになっている。また、前記せるように、微細気泡発生筒体10が、筒状基材16に対して、撥水性のフィルム円筒体46と親水性の円筒状不織布層48とが積層された状態で外挿されて、構成されていることに加えて、円筒状不織布層48の外周面の全面に親水性の糸状体50が巻き付けられていることにより、円筒状不織布層48の外周面から放出される気泡のより一層の微細化が実現されている。
【0059】
そして、特に、本実施形態では、気体導入機構15により、微細気泡発生筒体10の内側空間42内に外部から空気が導入されつつ、微細気泡発生筒体10が、水中モータ14にて高速回転せしめられるようになっている。これにより、フィルム円筒体46と円筒状不織布層48とを通過してきた気体が、円筒状不織布層48の外周面の通孔の開口部において切り出され、且つ円筒状不織布層48の親水機能にて、通孔の開口部から速やかに離脱させされる。そして、その結果として、微細気泡発生筒体10の円筒状不織布層48の外周面から、微細気泡が、更に一層微細化が促進された状態で放出され得ることとなる。
【0060】
また、かかる微細気泡発生装置10においては、微細気泡発生筒体10が高速回転せしめられるところから、円筒状不織布層48が親水性で、しかも微細気泡の放出により、水中の微生物や浮遊物(微生物以外のもの)等の異物が円筒状不織布層48の外周面に寄り集まって、付着することが可及的に防止され得る。そして、たとえ、それらの異物が、円筒状不織布層48の外周面に付着することがあっても、高速回転する微細気泡発生筒体10の遠心力により、円筒状不織布層48の外周面から効果的に除去され得る。
【0061】
それ故、本実施形態では、同じ微細気泡発生筒体10が水中で長期間使用されていても、円筒状不織布層48の外周面に付着した異物等により、円筒状不織布層48が有する多数の通孔の外周面での開口面積や各通孔内の容積が減少してしまうようなことが、有利に回避され得る。
【0062】
従って、かくの如き本実施形態の微細気泡発生装置10にあっては、水中での長期の使用によっても、より微細な気泡を十分な量において安定的に発生して、水中に放出し、分散させることが出来る。そして、その結果として、かかる微細気泡発生装置10を、観賞魚用水槽や活魚用生け簀等の水中に酸素等を供給するのに使用した際において、水中への酸素補給が、より長期間に亘って、極めて効率的に且つ確実に行われ得るのである。
【0063】
また、かかる微細気泡発生装置10は、例えば、家畜、植物等の活性化や汚水や排水等の浄化等を行う装置として利用される場合にあっても、所望の効果が、より長期に亘って、極めて安定的に発揮され得るのである。
【0064】
そして、本実施形態の微細気泡発生装置10では、微細気泡発生筒体10の回転によって生ずる遠心力により、微細気泡発生筒体10の内側空間42内の空気が、フィルム円筒体46や円筒状不織布層48のそれぞれの通孔内に吸い上げられるようにして入り込んで、内側空間42内が減圧状態となる。このため、吸気チューブ94の導入口96が大気に開放されており、例えば、圧縮空気等を供給するコンプレッサ等の圧縮空気供給源に対して、吸気チューブ96が接続されていないにも拘わらず、微細気泡発生筒体10の内側空間42内に、空気が継続的に導入されて、円筒状不織布層48の外周面から、微細気泡が安定的且つ継続的に放出され得る。
【0065】
従って、このような本実施形態の微細気泡発生装置10にあっては、圧縮空気供給源等の付属装置が用いられていない分だけ、構造の小型、簡略化が有利に実現され得るのであり、しかも、設置コストとランニングコストの低下が極めて有利に達成され得ることとなるのである。
【0066】
なお、上記の如き幾つかの効果を得るには、微細気泡発生筒体10を、水中で、その軸心回りに回転させることこそが重要で、その回転速度は、特に限定されるものではないが、好ましくは500rpm以上とされ、より好ましくは1000rpm以上とされる。そして、かかる回転速度は、実用上、5000rpm以下程度とされる。それによって、より優れた効果が、更に確実に発揮され得ることとなる。
【0067】
また、本実施形態においては、撹拌翼82の微細気泡発生筒体10との一体回転により、微細気泡発生筒体10の周囲の水が撹拌されるようになる。そのため、円筒状不織布層48の外周面から放出される微細気泡が、水中のより広い範囲に亘って、更に一層効率的に分散される。その結果として、水中への微細気泡の分散により得られる所望の効果が、より高いレベルで、確実に達成され得ることとなる。
【0068】
加えて、本実施形態の微細気泡発生装置10では、長手円筒状の微細気泡発生筒体10が、水中において、支持機構12により水平に延びる回転軸回りに回転可能に支持された状態で配置されるようになっている。これによっても、円筒状不織布層48の外周面から放出される微細気泡が、水中で効率的に分散され得る。
【0069】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0070】
例えば、前記実施形態では、気体導入機構15の吸気チューブ94の導入口96が大気に開放されていたが、図4に示されるように、かかる導入口96に対して、コンプレッサ等の圧縮空気供給源98を接続しても良い。これにより、微細気泡発生筒体10の内側空間42内に、圧縮空気が強制的に導入され、以て、微細気泡発生筒体10の非回転状態下でも、円筒状不織布層48の外周面から微細気泡を確実且つ安定的に放出させることが出来る。なお、図4に示される本実施形態、更には後述する図5乃至図8に示される幾つかの実施形態においては、前記第一の実施形態と同様な構造とされた部位及び部材について、図1乃至図3と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略した。
【0071】
また、吸気チューブ94の導入口96が、圧縮空気供給源98に接続されているか、又は大気に開放されているかに拘わらず、微細気泡発生筒体10の回転は、必ずしも連続的に実施される必要はなく、間欠的に行うようにしても良い。
【0072】
さらに、撹拌翼82は、微細気泡発生筒体10と一体回転して、微細気泡発生筒体10の周囲の水を撹拌し得るものであれば、その形状や形成位置、形成個数等が、何等限定されるものではない。
【0073】
すなわち、例えば、図5及び図6に示されるように、微細気泡発生筒体10の第二キャップ25に取り付けられる支持機構12の軸部材76のクランプ部78の底部外面に、矩形平板状の撹拌翼82を、複数個(ここでは4個)一体形成しても良い。
【0074】
また、図7に示されるように、微細気泡発生筒体10に対して、長手矩形平板状の撹拌翼82の複数個(ここでは2個)を、第一キャップ24と第二キャップ25との間に架け渡すように設けることも可能である。
【0075】
さらに、図8に示されるように、微細気泡発生筒体10に対して、螺旋状に延びる湾曲板からなる撹拌翼82の複数個(ここでは2個)を、第一キャップ24と第二キャップ25との間に架け渡すように設けることも可能である。
【0076】
それら図5乃至図8に示される如き構造をもって撹拌翼82が設けられる、何れの場合にあっても、円筒状不織布層48の外周面から放出される微細気泡が、水中のより広い範囲に亘って、更に一層効率的に分散される。そして、その結果として、水中への微細気泡の分散により得られる所望の効果が、より高いレベルで、確実に達成され得る。なお、図1、図5乃至図8に示される撹拌翼82は、その構造の理解を容易と為すために、実際よりも大きなサイズで誇張されて記載されていることが、理解されるべきである。
【0077】
微細気泡発生筒体10を、その軸心回りに回転駆動させる回転駆動手段としては、例示の水中モータ14以外にも、公知の各種の回転駆動機器が適宜に採用され得る。また、かかる回転駆動手段は、微細気泡発生筒体10を必ずしも自動的に回転させるものである必要はなく、十分な回転速度が得られるのであれば、例えば、ハンドル操作等によって、微細気泡発生筒体10を手動で回転させるものも、採用され得る。
【0078】
気体導入機構15の構造も、微細気泡発生筒体10の内側空間42内に、気体を外部から導入させ得るものであれば、例示のものに何等限定されるものでないことは、勿論である。
【0079】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0080】
10 微細気泡発生筒体 12 支持機構
14 水中モータ 15 気体導入機構
16 筒状基材 23 通気孔
42 内側空間 44 導入孔
46 フィルム円筒体 48 円筒状不織布層
50 糸状体 82 撹拌翼
94 吸気チューブ 96 導入口
98 圧縮空気供給源


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中に配置された状態で、微細な気泡を発生させて、該微細気泡を水中に放出し、分散させる微細気泡発生装置であって、
筒壁を貫通して外周面に開口する通気孔を備えた筒状基材の外周面に、高分子樹脂フィルムにクレーズを生成してなる通気性フィルムの円筒体が外挿され、更に該円筒体の外周面上に親水性の不織布層が積層形成されて、該筒状基材の前記通気孔から放出される気体が前記円筒体及び不織布層の通過中に微細化せしめられて、微細気泡が形成されるようにした微細気泡発生筒体と、
該微細気泡発生筒体を、その軸心回りに回転させて、該微細気泡発生筒体の回転下において、前記不織布層の外周部から前記微細化された気泡を切り出し、水中に分散せしめるようにした回転駆動手段と、
該回転駆動手段による前記微細気泡発生筒体の回転下において、前記筒状基材の筒内の空間に、外部から気体を導入する気体導入機構と、
を有することを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項2】
前記不織布層が、不織布の円筒体からなり、かかる円筒状不織布層が、前記通気性フィルムの円筒体に外挿されている請求項1に記載の微細気泡発生装置。
【請求項3】
前記微細気泡発生筒体を水平方向に延びる回転軸回りに回転可能に支持する支持機構が、更に設けられている請求項1又は請求項2に記載の微細気泡発生装置。
【請求項4】
前記不織布層の外周部の全面に、親水性の糸状体が巻き付けられて、該不織布層の全体が、該糸状体にて緊締されている請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載の微細気泡発生装置。
【請求項5】
前記気体導入機構の気体を導入する導入口が大気に開放されて、該気体導入機構により、大気が前記筒状基材の筒内の空間に導入されるようになっている請求項1乃至請求項4のうちの何れか1項に記載の微細気泡発生装置。
【請求項6】
前記気体導入機構の気体を導入する導入口が、圧縮空気を供給する圧縮空気供給源に接続されて、該気体導入機構により、圧縮空気が前記筒状基材の筒内の空間に導入されるようになっている請求項1乃至請求項4のうちの何れか1項に記載の微細気泡発生装置。
【請求項7】
一軸回りの回転により水を撹拌する撹拌翼が、前記微細気泡発生筒体に対して、該微細気泡発生筒体と一体回転可能に設けられている請求項1乃至請求項6のうちの何れか1項に記載の微細気泡発生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−188247(P2010−188247A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33479(P2009−33479)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(397010446)有限会社中島工業 (28)
【Fターム(参考)】