説明

微細流路構造体及び微細流路構造体の製造方法

【課題】 流路を流れる流体の温度を高精度に計測することができる微細流路構造体及び微細流路構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも1つの面に流路11が設けられた流路板2と、流路が設けられた面に積層された封止板30と、封止板30の流路板2に接する面に設けられた第1の金属22と、流路に対応する位置に第1の金属22との測温接点24が位置するように封止板30の流路板2に接する面に設けられた第2の金属23とを備える。また少なくとも1つの面に流路が設けられた流路板の前記流路が設けられた1つの面に積層される絶縁部材の表面上に第1の金属膜22を形成する工程と、第1の金属膜22上にその一部が接触する第2の金属膜23を形成し、第1の金属膜22と第2の金属膜23とが接触する部分に測温接点24を形成する工程と、絶縁部材の裏面上において、測温接点24に対峙する領域に加熱体31を形成する工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細流路構造体に関し、特に微量な化学物質の反応や合成分析を行うマイクロチップの微細流路構造体及び微細流路構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療や環境などの分析に用いるサンプルや試薬量の極小化、反応の高速化が可能なことからマイクロチップにおけるマイクロ空間で化学反応を行うことが注目を集めている。例えば遺伝子解析に用いられるマイクロチップとして、非特許文献1に示されているように、遺伝子増幅及び遺伝子解析を同一チップ上で行うようになされた高速かつ簡便なものが開発されている。
【0003】
化学分析に用いられるマイクロチップにおいては、微細流路を流れる試薬を、混合、加熱等の処理により反応させることにより、特定物質の検出や化学反応のメカニズムを分析するようになされている。このようなマイクロチップにおいては、微細流路を流れる試薬の温度を温度センサを用いて計測することにより温度管理するようにもなされている。
【0004】
微細流路を流れる試薬の温度を計測するための温度センサの実装形態として、例えば特許文献1に提案されているように、微細流路に隣接する構造体(メンブラン)の内部に熱電対等の温度センサを埋め込んだ構成のものが考えられている。
【非特許文献1】栄研化学株式会社、News Release「LAMP法を利用した簡便・高感度・迅速な新型マイクロチップ技術の開発に成功」、2004年6月21日、http://www.eiken.co.jp/news/pdf/2004621-1.pdf
【特許文献1】特開2003−35611号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、構造体の内部に温度センサを埋め込んだ構成では、微細流路を流れる試薬等に温度センサが直接触れることがなく、微細流路に隣接する構造体の温度により間接的に試薬の温度を計測することになる。このように従来の温度センサを実装したマイクロチップにおいては、微細流路を流れる試薬の正確な温度を計測することが困難であった。
【0006】
本発明は、このような技術的課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、流路を流れる流体の温度を高精度に計測することができる微細流路構造体及び微細流路構造体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態に係る特徴は、微細流路構造体において、少なくとも1つの面に流路が設けられた流路板と、流路が設けられた少なくとも1つの面に積層された封止板と、封止板の流路板に接する面に設けられた第1の金属と、流路に対応する位置に第1の金属との測温接点が位置するように封止板の流路板に接する面に設けられた第2の金属とを備えることである。
【0008】
また、本発明の実施の形態に係る特徴は、微細流路構造体において、少なくとも1つの面に流路が設けられた流路板と、流路が設けられた面に積層された可撓性部材と、可撓性部材を挟んで流路板に積層された封止板と、可撓性部材の流路板に接する面に設けられた第1の金属と、流路に対応する位置に第1の金属との測温接点が位置するように可撓性部材の流路板に接する面に設けられた第2の金属とを備え、測温接点は、可撓性部材において、部分的に切り起こして流路内に吊下げられた位置に配設されていることである。
【0009】
また、本発明の実施の形態に係る特徴は、微細流路構造体の製造方法において、少なくとも1つの面に流路が設けられた流路板の流路が設けられた少なくとも1つの面に積層される絶縁部材の表面上に第1の金属膜を形成する工程と、第1の金属膜上にその一部が接触する第2の金属膜を形成し、第1の金属膜と第2の金属膜とが接触する部分に測温接点を形成する工程と、絶縁部材の裏面上において、測温接点に対峙する領域に加熱体を形成する工程とを備えたことである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、微細流路を流れる流体の温度を高精度で計測することができる微細流路構造体を提供することができる。また本発明によれば、微細流路を流れる流体の温度を高精度で計測することができる微細流路構造体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率は現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0012】
(第1の実施形態)
[微細流路構造体の構成]
本発明の第1の実施形態に係る微細流路構造体であるマイクロチップ1は、図1に示すように、流体が移動するための流路11と、流路11内に測温接点24が配設された薄膜熱電対21とを備える。
【0013】
図1に示すマイクロチップ1は、その全体が概ね数mm〜数十mmオーダの大きさであり、試薬等の流体が移動するための微細流路11が内部に設けられ、この微細流路11を外部に連通させる試料導入孔12、13と、試料導出孔14とが設けられている。試料導入孔12、13から試薬等の流体を微細流路11に導入すると共に、微細流路11を流れた流体を試料導出孔14から導出するようになされている。微細流路11の幅、高さは数μm〜数百μmが好ましいが、用途に応じて数μm以下のもの及び数百μm以上のものも考えられる。
【0014】
マイクロチップ1においては、微細流路11の一部に微細流路11を流れる流体の温度を計測するための温度センサとして、薄膜熱電対21が設けられている。この薄膜熱電対21は、第1の金属膜22と第2の金属膜23とが接触部位(以下これを測温接点と呼ぶ)24において接触しており、第1の金属膜22及び第2の金属膜23の各出力端T1及びT2間において、測温接点24の温度に応じた熱起電力が得られるようになされている。この実施形態においては、第1の金属膜22の材質としてクロメルが使用され、第2の金属膜23の材質としてアルメルが使用される。測温接点24は、微細流路11内に配設され、これにより第1の金属膜22及び第2の金属膜23の各出力端T1及びT2間においては、微細流路11内の温度に応じた熱起電力が得られる。すなわちこの熱起電力により微細流路11内の温度を計測することができる。
【0015】
またマイクロチップ1には、微細流路11の第1の金属膜22と第2の金属膜23との測温接点24が配設された領域を加熱するための加熱体31が設けられている。この加熱体31には、電極32A、32Bが引き回されており、この電極32A、32Bを介して通電することにより、加熱体31を加熱させることができる。
【0016】
図2は、マイクロチップ1の構造を示し、このマイクロチップ1は、エッチングや転写成形により微細流路11が設けられた流路板2と、流路板2の微細流路11が設けられた面と接する面に第1の金属21及び第2の金属膜22でなる薄膜熱電対がパターニングされていると共に他方の面に加熱体31及びその電極32A、32Bが形成された封止板30とを積層した構成を有する。封止板30には、流路板2の微細流路11に連通する試料導入孔12A、13Aと、試料導出孔14Aが形成されている。
【0017】
流路板2は、材質として、石英又はホウ珪酸ガラス等のガラス材料やポリジメチルシロキサン(PDMS)等のシリコンゴムあるいはポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂などが使用可能である。さらに流路板2の材質としては、二重構造の上層には光を透過させるために透明なガラス材料が望まれているが、この場合には下層に用いられる材料の材質として、加工性がよく耐薬品性が高いPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、シリコン、ステンレス等の金属材料が用いられる。また全体に不透明なPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、シリコン、ステンレス等の金属材料が用いられる場合もある。
【0018】
封止板30の材質としては、石英又はホウ珪酸ガラス等のガラス材料やポリイミド等の樹脂材料が用いられる。
【0019】
封止板30の流路板2に接する面に形成された薄膜熱電対21は、その第1の金属21と第2の金属膜23との測温接点24が微細流路11に対して露出するように配設されている。また封止板30の他方の面には、薄膜熱電対21の接触部位21に対向する位置に加熱体31が形成されている。
【0020】
図3は、図1のA−A線を断面にとって示す断面図であり、流路板2に対して封止板30を積層した状態においては、薄膜熱電対21の第1の金属膜22と第2の金属膜23との測温接点24が微細流路11を流れる流体に直接接するようになされている。これにより流体の温度を高精度で計測することができる。
【0021】
また封止板30においては、微細流路11に接する面とは反対側の面において、薄膜熱電対21の測温接点24に対向する位置に加熱体31が形成されており、これにより、加熱体31による流体の加熱と、第1の金属膜22と第2の金属膜23との測温接点24による温度計測とが近接した位置においてなされる。かくして微細流路11においては、ほぼ同一地点において加熱及び温度計測が行われることにより、微細流路11における局所的な加熱及び温度計測を実現することができる。
【0022】
[薄膜熱電対及び加熱体の形成方法]
次に、本発明の実施形態に係るマイクロチップ1に用いられる薄膜熱電対21及び加熱体31の形成方法について、図4〜図8を用いて説明する。
【0023】
薄膜熱電対21の形成工程として、まず、封止板30の表面に第1の金属であるクロメルのパターンを形成する。すなわち、図4(a)に示すように、石英又はホウ珪酸ガラス等のガラス材料やポリイミド等の樹脂材料でなる封止板30に第1の金属膜22であるクロメルをスパッタリングにより成膜する。この膜厚は、薄すぎるとオーバーエッチングとなった際に断線し易くなる等、信頼性を確保することが難しくなり、これに対して厚すぎると生産性が落ちると共に膜の応力によって密着性が低下する原因となる。これによりクロメルの膜厚は、100nm〜1000nmが望ましい。この実施形態においては、この膜厚を100nm〜300nmに設定する。
【0024】
クロメルを成膜した後、図4(b)に示すように、クロメル層の表面にフォトレジストを滴下し、スピンコートによってレジスト膜41を形成する。そして図4(c)に示すように、石英ガラス上にCr等によってクロメルの必要なパターンが描かれたマスク42をフォトレジスト41の表面から離れた位置に配置し、紫外線を照射することにより、フォトレジスト41上にパターンを転写する。
【0025】
さらに図5(a)に示すように、紫外線が照射された露光部を現像液によって除去することにより、フォトレジスト41のパターンを形成する。その後、オーブン等を用いて加熱し、フォトレジスト41を焼結させる。
【0026】
そして図5(b)に示すように、エッチング液を用いて第1の金属膜22であるクロメルをエッチングした後、図5(c)に示すように、レジスト剥離剤を用いてフォトレジスト41を剥離させる。これにより、封止板30の表面に第1の金属膜22であるクロメルのパターンが形成される。
【0027】
次に、クロメルのパターンが形成された封止板30に第2の金属膜23であるアルメルのパターンを形成する。すなわち、図6(a)に示すように、第1の金属膜22であるクロメルのパターンが形成された封止板30の表面に対して、第2の金属膜23であるアルメルをスパッタリングにより成膜する。この場合、第2の金属膜(アルメル)23の膜厚は、第1の金属膜(クロメル)22の膜厚に対して同等以上にすることが好ましい。
【0028】
これは、封止板30に第1の金属膜(クロメル)22が形成されていない領域から、封止板30に第1の金属膜(クロメル)22が形成されている領域に、第2の金属膜(アルメル)23がまたがる部分において、第2の金属膜(アルメル)23の断線に対する信頼性が向上するためである。従って、この実施形態では、第2の金属膜(アルメル)23の膜厚は、第1の金属膜(クロメル)22の膜厚に対して3倍に設定されている。
【0029】
そして成膜された第2の金属膜(アルメル)23に対して、フォトレジスト塗布、露光、現像、エッチングの手順により、アルメルを選択エッチングすることにより、図6(b)に示すような第2の金属膜(アルメル)23のパターンを形成する。
【0030】
かくして封止板30の表面には、第1の金属膜(クロメル)22と第2の金属膜(アルメル)23とが測温接点24において接触した薄膜熱電対21が形成される。なお、微細流路11内を流れる流体が薄膜熱電対21を腐食しない場合は、この状態で薄膜熱電対21を用いることになるが、流体が薄膜熱電対21を腐食する可能性がある場合には、薄膜熱電対21を保護、絶縁するためのシリコン酸化膜をスパッタリングにより成膜する。これにより図6(c)に示すように、薄膜熱電対21が形成された封止板30の表面に保護膜43が形成される。なおこの保護膜43としては、ポリイミド等の樹脂材を用いてもよく、この場合には、樹脂材を表面に塗布することにより保護膜43を形成する。
【0031】
次に、薄膜熱電対21が形成された封止板30に対して、薄膜熱電対21が形成された面とは反対側の面に加熱手段としての加熱体31を形成する。この加熱体31の形成工程において、まず、図7(a)に示すように、封止板30の表面に電気抵抗体であるITO(酸化インジウムスズ)膜(透明抵抗膜)をスパッタリングにより成膜する。
【0032】
そしてITO膜に対して、フォトレジスト塗布、露光、現像、エッチングの手順によってエッチング処理を施すことにより、図7(b)に示すように、ITO膜でなる加熱体31を形成する。さらに加熱体31に電流を流すための電極32A、32Bを形成するため、図7(c)に示すように、抵抗値の低い金属膜(例えばAu膜)32をスパッタリングにより成膜する。但し成膜する金属としてAuを用いる場合、酸化膜や樹脂材等に対して十分な密着性を保つことが困難であることにより、下地としてCr等の薄膜を密着層として成膜することが好ましい。また、長期使用により封止板30と金属膜32とが金属拡散によって強度が低下する可能性がある場合、バリアメタルとしてTiやNi等を成膜することが好ましい。
【0033】
そして金属膜32に対して、フォトレジスト塗布、露光、現像、エッチングの手順によってエッチング処理を施すことにより、図7(d)に示すように、加熱体用の電極32A、32Bをパターニングする。これにより、封止板30において、薄膜熱電対21が形成された面とは反対側の面に加熱体31及び加熱体31の電極23A、32Bが形成される。
【0034】
なお、薄膜熱電対21から信号を取り出すための構成として、薄膜熱電対21の端子T1、T2(図1)に対してハンダにより補償導線を接続する構成が考えられるが、薄膜熱電対21が微細化、多点化した構成にあっては、熱圧着異方性導電膜を用いる。この場合、図8に示すように、封止板30の一辺に複数の薄膜熱電対21の各電極T1、T2を並列に形成し、この電極T1、T2に対して異方性導電膜(ACF)44を介してフレキシブル基板(FPC)45を熱圧着する。これにより電極T1、T2が微細化した構成においても、薄膜熱電対21の信号を確実に取り出すことができる。
【0035】
なお本実施形態においては、封止板30の一方の面に薄膜熱電対21を形成し、他方の面に加熱体31を形成する場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、薄膜熱電対21に保護膜43を形成した場合(図6(c))には、この保護膜43上に加熱体31を形成するようにしてもよい。
【0036】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るマイクロチップ1は、第1の実施形態に係るマイクロチップ1において、薄膜熱電対21の取り付け構造を代えた例を説明するものである。すなわち図9に示すように、第2の実施形態に係るマイクロチップ1は、加熱体31が形成された封止板30と流路板2との間に、薄膜熱電対21がパターニングされた可撓性を有する可撓性部材であるフィルム部材20を挿入した構成を有する。
【0037】
フィルム部材20の材質としては、ポリイミド等の樹脂材料が用いられ、その流路板2と接する面に薄膜熱電対21がパターニングされている。またフィルム部材20には、薄膜熱電対21の第1の金属膜22と第2の金属膜23との測温接点24を取り囲む位置に一辺を残して切り込み26が形成されている。この切り込み26の幅Lは、微細流路11の幅よりも小さく形成されており、この切り込み26に囲まれた部分を微細流路11側に折り曲げることにより、この折り曲げ部分27を微細流路11内の中央部分に配設することができる。この折り曲げ部分27には、第1の金属膜22と第2の金属膜23との測温接点24が含まれており、これによりこの測温接点24は、微細流路11内の中央部分に吊下される。
【0038】
図10は、微細流路11内へのフィルム部材20の折り曲げ状態を示し、微細流路11内に折り曲げられたフィルム部材20の折り曲げ部分27には、第1の金属膜22と第2の金属膜23との測温接点24がパターニングされており、この測温接点24が微細流路11の中央部分に配設される。これにより温度検出部を構成する測温接点24は、微細流路11を流れる流体のみに接触することとなり、微細流路11の周囲の構造体である封止板30の温度に影響されることなく、流体の温度を高精度で計測することができる。
【0039】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係るマイクロチップ1は、図11に示すように、微細流路11が設けられた第1の部材である流路板2を封止する第2の部材である封止板30の一部に微細流路11と外部とを連通させる貫通孔を形成し、この貫通孔を介して薄膜熱電対21を外部から微細流路11内に挿入した構成を有する。この場合、薄膜熱電対21の先端部の測温接点24は、微細流路11内の中央部に配設される。なお図11においては、加熱体31を省略して示しているが、封止板30の微細流路11に対峙する位置に加熱体31が設けられているものとする。
【0040】
この薄膜熱電対21は、ポリイミド樹脂等でなる絶縁部材としての基板50の表裏両面に第1の金属膜(クロメル)22と第2の金属膜(アルメル)とが成膜されてなり、このポリイミド基板50の一側面である端部においては、第1の金属膜22と第2の金属とが回り込んで互いに積層された構造を有する。
【0041】
この薄膜熱電対21の製造方法は、図12(a)に示すように、基板50の一方の面にPVD法(物理蒸着法)により第1の金属膜(クロメル)22を全面成膜した後、図12(b)に示すように、一方の面に第1の金属膜22が成膜された基板50の一方の面に対向する他方の面に、PVD法により第2の金属膜(アルメル)23を全面成膜する。このように、PVD法により第1の金属膜22と第2の金属膜23とを基板50の両面に成膜することにより、基板50の一方の面及び他方の面に続く端部をなす一側面である側縁部50Aにおいては、第1の金属膜22が回り込んで成膜された後、第2の金属膜23が第1の金属膜22の上に回り込んで成膜されることになる。これにより、この側縁部50Aにおいては、第1の金属膜22と第2の金属とが積層された測温接点24が構成される。なお、第1の金属膜22を一方の面(表面)に成膜する際には、他方の面(裏面)をマスクし、第2の金属膜23を他方の面(裏面)に成膜する際には、一方の面(表面)をマスクするようにしてもよい。
【0042】
その後、図13に示すように、第1の金属膜22と第2の金属膜23とが全面成膜された基板50を、第1の金属膜22と第2の金属膜23とが積層された側縁部50Aに直交する方向に設定された切断線K1、K2、K3に沿ってレーザー等の微細カッターにより切断することにより、薄膜熱電対21が得られる。
【0043】
第3の実施形態のマイクロチップ1において、薄膜熱電対21の測温接点24は、微細流路11を流れる流体のみに接触することとなり、微細流路11の周囲の構造体である封止板30の温度に影響されることなく、流体の温度を高精度で計測することができる。
【0044】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係るマイクロチップ1は、図14に示すように、微細流路11が設けられた流路板2と、この流路板2に対して微細流路11が設けられた部位に対峙する流体貯留部62が設けられてなる流体貯留部材61と、これらの間に介挿される封止部材としてのフィルム部材20及び絶縁部材66とを備える。
【0045】
このフィルム部材20は、ポリイミド等の樹脂材でなり、その表面には、図15(a)に示すように、第1の金属膜(クロメル)22と第2の金属膜(アルメル)23とが成膜され、その接触部位を測温接点24とした薄膜熱電対21を構成している。また図15(b)に示すように、フィルム部材20には、一方の面から他方の面に貫通する複数の貫通孔63が形成されている。
【0046】
また図16(a)に示すように、フィルム部材20に積層される絶縁部材66の表面には、フィルム部材20に形成された薄膜熱電対21の測温接点24に対峙する位置に加熱体31及びこの電極32A、32Bが形成されている。この絶縁部材66には、図16(b)に示すように、フィルム部材20に形成された複数の貫通孔63に連通する複数の貫通孔67が一方の面から他方の面に貫通するように形成されている。
【0047】
このようにして互いに積層されてなるフィルム部材20及び絶縁部材66を挟み込むように流体貯留部材61が設けられる。この流体貯留部材61は、流路板2と同様にして、石英又はホウ珪酸ガラス等のガラス材料やポリジメチルシロキサン(PDMS)等のシリコンゴムあるいはポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂などが使用可能である。
【0048】
流体貯留部材61の流体貯留部62は、フィルム部材20に形成された貫通孔63と、この貫通穴63に連通する絶縁部材66の貫通孔67とを介して、流路板2の微細流路11に連通するように構成される。
【0049】
第4の実施形態のマイクロチップ1においては、微細流路11を流れる流体が、フィルム部材20及び絶縁部材66に形成された貫通孔63、67を介して流体貯留部材61の流体貯留部62に貯留される。これにより流路11と流体貯留部62とが連通することとなり、この結果、薄膜熱電対21の測温接点24及び加熱体31は、流体内に浸漬された状態となる。かくして薄膜熱電対21においては、流体の温度を直接計測することができ、また加熱体31においては、絶縁部材66を挟んで測温接点24に対峙する位置に形成されていることにより、流路内において加熱及び温度計測を同一地点で行うことができる。
【0050】
なお第4の実施形態においては、流体貯留部62を設けて薄膜熱電対21の測温接点24及び加熱体31を流体内に浸漬する場合について述べたが、これに限られるものではなく、流体貯留部62を設けることなく、微細流路11内に直接浸漬するようにしてもよい。すなわち図18に示すように、このマイクロチップ1は、互いに連通する微細流路11A、11Bを有する流路板2A、2Bの間に、薄膜熱電対21及び加熱体31を形成したフィルム部材20を介挿する構成を有する。
【0051】
フィルム部材20において、一方の面には薄膜熱電対21が形成され、他方の面には、薄膜熱電対21に対峙するように加熱体31が形成されている。また加熱体31が形成された面には、絶縁部材71が積層されている。またフィルム部材21及び絶縁部材71には、複数の貫通孔72が形成されている。
【0052】
このようなフィルム部材20及び絶縁部材71を流路板2A、2B間に介挿することにより、図19に示すように、微細流路11A、11Bの連通部分に薄膜熱電対21の第1の金属膜22と第2の金属膜23との接触部位である測温接点と、加熱体31と、貫通孔72が配設される。これにより、微細流路11A、11Bを流れる流体は、貫通孔72を介して流れることにより、この流体内に測温接点及び加熱体31が浸漬されることになる。従って流体の温度を高精度で計測することができる。またフィルム部材20の一方の面に薄膜熱電対21の測温接点24を形成し、他方の面の測温接点24に対峙する位置に加熱体31を形成してこれらを流路内に配設するようにしたことにより、流路内において加熱及び温度計測を同一地点で行うことができる。
【0053】
因みに、図18及び図19に示すマイクロチップ1においては、薄膜熱電対21と加熱体31とを併設した構成を有しているが、薄膜熱電対21のみを設ける構成とする場合には、例えば図20に示すように、一方の面に薄膜熱電対21のみを形成したフィルム部材20を流路板2A、2B間に介挿するように構成すればよい。この場合、加熱体31が設けられていないことにより、図18及び図19について上述した絶縁部材71を設ける必要はない。
【0054】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係るマイクロチップ1は、図21に示すように、微細流路11が凹設された第1の部材である流路板2と、この流路板2に対して微細流路11が設けられた部位に対峙する空隙部82が設けられてなる空隙槽81と、これらの間に介挿される遮蔽部材であるフィルム部材20とを備える。
【0055】
フィルム部材20において、微細流路11に面した一方の面には第1の金属膜(クロメル)22と第2の金属膜(アルメル)23とが成膜されて薄膜熱電対21が形成されている。この薄膜熱電対21の第1の金属膜22と第2の金属膜23との接触部位である測温接点24が微細流路11に露出するように構成されている。またフィルム部材20において、空隙槽81の空隙部82に面した他方の面には、加熱体31及びこの電極32A、32Bが形成されており、加熱体31は、空隙部82に露出するように構成されている。
【0056】
これにより図22に示すように、空隙部82及び微細流路11に挟まれた位置に加熱体31と薄膜熱電対21の測温接点24が配設される。
【0057】
この第5の実施形態のマイクロチップ1においては、微細流路11内に薄膜熱電対21の測温接点24が配設されることにより、流路を流れる流体の温度を直接計測することができる。また、加熱体31が空隙部82に面した位置に配設されることにより、空隙部82が断熱層を構成することになり、これにより加熱体31の熱を効率良く流体に伝えることができる。またフィルム部材20の一方の面に薄膜熱電対21の測温接点24を形成し、他方の面の測温接点24に対峙する位置に加熱体31を形成するように構成したことにより、流路の同一地点において加熱及び温度計測を行うことができる。
【0058】
なお、薄膜熱電対21の表面に酸化シリコンやポリイミドの保護膜を形成するようにしてもよい。このようにすれば、薄膜熱電対21を侵食する流体を用いる場合に薄膜熱電対21の侵食を防止することができる。
【0059】
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態に係るマイクロチップ1は、図23に示すように、流体が移動するための流路11が設けられた流路板91と、流路11が設けられた面に積層された封止板95と、封止板95の流路板91に接する面の裏面側において、流路11外に絶縁部材94を介して測温接点24が配設された薄膜熱電対21と、一方の端部が測温接点24に接触すると共に他方の端部が流路11内に配設され、例えば銅のように薄膜熱電対21の金属膜に比べて熱伝導率が高い温度計測子93とを備える。
【0060】
第6の実施形態のマイクロチップ1においては、温度計測子93が微細流路11内の流体に直接接することにより、この温度計測子93を介して流体の熱が微細流路11外に設けられた薄膜熱電対21の測温接点24に伝達される。これにより、測温接点24を微細流路11内に設けることなく、流体の温度を高精度で計測することができる。
【0061】
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態に係るマイクロチップ1は、図24に示すように、第2の部材であるフィルム部材20の表面上において、第1の方向に延設し、第1の方向と交差する第2の方向に一定間隔を持って配列された複数の第1の金属線(線状の金属膜22)と、フィルム部材20の表面上において、第2の方向に延設し、第1の方向に一定間隔を持って配列された複数の第2の金属線(線状の金属膜23)と、を更に備え、複数の第1の金属線の一部の第1の金属線、及び複数の第2の金属線の一部の第2の金属線を切断し、この切断されない他部の第1の金属線と他部の第2の金属線との交差した領域を、薄膜熱電対21の測温接点24として使用する。
【0062】
すなわち図24において、マイクロチップ1は、複数の線状の第1の金属膜(クロメル)22と複数の線状の第2の金属膜(アルメル)23とがメッシュ状に形成されたポリイミド樹脂等の材料でなるフィルム部材20を、微細流路が設けられた流路板に積層された構成を有する。フィルム部材20において、複数の第1の金属膜22と複数の第2の金属とがメッシュ状に形成されていることにより、これらの接触部位である測温接点24が複数形成されている。
【0063】
図25に示すように、流路板2及びフィルム部材20は、複数の測温接点24のいずれかが微細流路11内に配設されるように積層されており、微細流路11内に配設された測温接点24によって微細流路11を流れる流体の温度を直接計測するようになされている。
【0064】
またフィルム部材20において、各測温接点24の配設位置の裏面側には、図21について上述した場合と同様にして、ITO等の電気抵抗体でなる加熱体(図示せず)が形成されており微細流路11を流れる流体を加熱することができる。
【0065】
因みに図25に示すように、フィルム部材20において、各測温接点24の配設位置の裏面側には、熱伝導率の低い構造部材101に囲まれた空隙部100が設けられており、さらにこの空隙部100は裏打ち構造部材102によって閉塞されている。このように各測温接点24に対して空隙部100が設けられていることにより、この空隙部100の断熱作用によって隣接する測温接点24への熱の伝達を抑制することができる。因みに、構造部材101の熱伝導率が十分に低い場合には、空隙部100を設ける必要はない。
【0066】
ここで、複数の測温接点24のいずれかを選択的に使用する場合、図26に示すように、微細流路11に配設される複数の第1の金属膜22と複数の第2の金属膜23との各接触部位のうち、微細流路11に配設される接触部位(測温接点24A、24B、24C)のみが導通状態となるように第1の金属膜22及び第2の金属膜23の必要個所を切断する。
【0067】
この場合、複数の第1の金属膜22と複数の第2の金属膜23の各接触部位間に設けられた複数の加熱体(図示せず)のいずれかを加熱することにより、この加熱体に隣接した第1の金属膜22又は第2の金属を蒸発させてこれらの金属を切断することができる。
【0068】
このようにして微細流路11に配設される測温接点24A、24B、24Cのみを導通状態とした後、計測部111、112、113によって各測温接点24A、24B、24Cの温度を計測する。
【0069】
かくして複数の測温接点24のうちいずれか1つ又は2つ以上を選択的に使用し得るフィルム部材20を用いれば、微細流路11の形成位置が異なる種々の流路板2に対して、容易に測温接点24を位置決めすることができる。
【0070】
なお図27に示すように、フィルム部材20においては、それぞれ複数の測温接点24が形成された複数のクラスタ20A、20B、……が並設されていることにより、クラスタ内での微細流路11に合わせた測温接点24の選択に加えて、広範囲での測温接点24の選択ができ、これにより例えば流路板2に形成された微細流路11の複数箇所での温度計測や、微細流路11が複数設けられている場合における各微細流路11の温度計測等を容易に行うことができる。なお図27においては、図24、図26において図示を省略した第1の金属膜22及び第2の金属膜23をそれぞれ切断する加熱体130を示している。
【0071】
なお上述の実施形態においては、加熱体によって第1の金属膜22及び第2の金属膜23の一部を切断して測温接点24を選択するようにしたが、測温接点24の選択方法はこれに限らず、例えば図28に示すように、複数の第1の金属膜22のいずれかを選択的に切り換える一端子選択ユニット121と、複数の第2の金属膜23のいずれかを選択的に切り替える一端子選択ユニット122を設け、これらによって選択した第1の金属膜22と第2の金属膜23とから得られる温度計測結果を計測部123によって計測するようにしてもよい。このようにすれば、第1の金属膜22及び第2の金属膜23を切断することなく、所望の測温接点24を使用することができ、必要に応じて温度計測位置を切り換えることができる。なお測温接点24を含む金属膜からの引出し線のループが複数あっても、各ループ相互に絶縁を図るようにすれば、金属膜の選択は1組に限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るマイクロチップの模式図である。
【図2】図1のマイクロチップの構成を示す斜視図である。
【図3】図1のマイクロチップのA−A線を断面にとって示す断面図である。
【図4】図1のマイクロチップに用いられる薄膜熱電対の製造工程を示す略線図である。
【図5】図1のマイクロチップに用いられる薄膜熱電対及び加熱体の製造工程を示す略線図である。
【図6】図1のマイクロチップに用いられる薄膜熱電対及び加熱体の製造工程を示す略線図である。
【図7】図1のマイクロチップに用いられる薄膜熱電対及び加熱体の製造工程を示す略線図である。
【図8】薄膜熱電対の電極の接続方法を示す斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るマイクロチップの構成を示す斜視図である。
【図10】図9のマイクロチップの断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るマイクロチップの構成を示す斜視図である。
【図12】図11のマイクロチップに用いられる薄膜熱電対の製造工程を示す略線図である。
【図13】図11のマイクロチップに用いられる薄膜熱電対の製造工程を示す略線図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係るマイクロチップの構成を示す斜視図である。
【図15】図14のマイクロチップに用いられる薄膜熱電対の構成を示す斜視図である。
【図16】図14のマイクロチップに用いられる加熱体の構成を示す斜視図である。
【図17】図14のマイクロチップの構成を示す斜視図である。
【図18】第4の実施形態の変形例を示す斜視図である。
【図19】第4の実施形態の変形例を示す斜視図である。
【図20】第4の実施形態の変形例を示す斜視図である。
【図21】本発明の第5の実施形態に係るマイクロチップの構成を示す断面図である。
【図22】図21のマイクロチップの空隙部を示す略線的平面図である。
【図23】本発明の第6の実施形態に係るマイクロチップの構成を示す断面図である。
【図24】本発明の第7の実施形態に係るマイクロチップの構成を示す略線的平面図である。
【図25】図24のマイクロチップの構成を示す断面図である。
【図26】図24のマイクロチップの測温接点の選択方法の説明に供する略線的平面図である。
【図27】図24のマイクロチップの薄膜熱電対の形成状態を示す略線的平面図である。
【図28】図24のマイクロチップの変形例を示す略線的平面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 マイクロチップ
2 流路板
11 微細流路
20 フィルム部材
22 第1の金属
23 第2の金属
24 測温接点
27 折り曲げ部分
30 封止板
31 加熱体
32A、32B 電極
44 異方性導電膜
45 フレキシブル基板
61 流体貯留部材
62 流体貯留部
63、67 貫通孔
81 空隙槽
82、100 空隙部
93 熱伝導部材
101 構造部材
102 裏打ち部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの面に流路が設けられた流路板と、
前記流路が設けられた少なくとも1つの面に積層された封止板と、
前記封止板の前記流路板に接する面に設けられた第1の金属と、
前記流路に対応する位置に前記第1の金属との測温接点が位置するように前記封止板の前記流路板に接する面に設けられた第2の金属と、
を備えることを特徴とする微細流路構造体。
【請求項2】
少なくとも1つの面に流路が設けられた流路板と、
前記流路が設けられた面に積層された可撓性部材と、
前記可撓性部材を挟んで前記流路板に積層された封止板と、
前記可撓性部材の前記流路板に接する面に設けられた第1の金属と、
前記流路に対応する位置に前記第1の金属との測温接点が位置するように前記可撓性部材の流路板に接する面に設けられた第2の金属と、
を備え、前記測温接点は、前記可撓性部材において、部分的に切り起こして前記流路内に吊下げられた位置に配設されていることを特徴とする微細流路構造体。
【請求項3】
少なくとも1つの面に流路が設けられた流路板と、
前記流路が設けられた少なくとも1つの面に積層された封止板と、
絶縁部材の一方の面から該一方の面に続く前記絶縁部材の端部をなす一側面に沿って配設された第1の金属と、前記絶縁部材の前記一方の面に対向する他方の面から該他方の面に続く前記一側面に沿って配設され、前記一側面において前記第1の金属上に積層され、前記第1の金属との測温接点を構成する第2の金属とを有し、前記流路内に前記測温接点が位置するように前記封止板の貫通孔に挿入された測温部と、
を備えることを特徴とする微細流路構造体。
【請求項4】
少なくとも1つの面に流路が設けられた流路板と、
前記流路が設けられた少なくとも1つの面に積層され、前記流路に対応する位置において前記流路板に接する面から該接する面の裏面側に貫通する貫通孔を有する封止部材と、
前記封止部材の一方の面に設けられた第1の金属と、
前記流路に対応する位置に前記第1の金属との測温接点が位置するように前記封止部材の前記一方の面に設けられた第2の金属と、
前記封止部材の貫通孔を介して前記流路に連通する流体貯留部を有する流体貯留部材と、
を備えることを特徴とする微細流路構造体。
【請求項5】
少なくとも1つの面に流路が設けられた流路板と、
前記流路が設けられた少なくとも1つの面に積層された封止部材と、
前記封止部材の前記流路板に接する面に設けられた第1の金属と、
前記流路に対応する位置に前記第1の金属との測温接点が位置するように前記封止部材の前記流路板に接する面に設けられた第2の金属と、
前記流路板に接する面の裏面側において前記流路に対応する位置に空隙部を有する空隙槽と、
前記第1及び第2の金属に対して絶縁膜を介して形成された加熱体と、
を備えることを特徴とする微細流路構造体。
【請求項6】
少なくとも1つの面に流路が設けられた流路板と、
前記流路が設けられた少なくとも1つの面に積層された封止板と、
前記封止板の前記流路板に接する面の裏面側に設けられた第1の金属と、
前記裏面側において前記流路に対応する位置に前記第1の金属との測温接点が位置するように設けられた第2の金属と、
一方の端部が前記測温接点に接触すると共に他方の端部が前記流路内に配設され、前記第1及び第2の金属に比べて熱伝導率が高い温度計測子と、
を備えることを特徴とする微細流路構造体。
【請求項7】
前記第1及び第2の金属に対して少なくとも絶縁部材を介して形成された加熱体を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4、請求項6のいずれかに記載の微細流路構造体。
【請求項8】
前記封止板の表面上において、第1の方向に延設し、前記第1の方向と交差する第2の方向に一定間隔を持って配列された線状の複数の前記第1の金属と、
前記封止板の表面上において、前記第2の方向に延設し、前記第1の方向に一定間隔を持って配列された線状の複数の前記第2の金属と、を更に備え、
前記複数の第1の金属のいずれか1つ又は2つ以上、及び前記複数の第2の金属のいずれか1つ又は2つ以上を切断し、この切断されない第1の金属と第2の金属との交差した領域を、前記測温接点として使用することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の微細流路構造体。
【請求項9】
前記複数の第1の金属と前記複数の第2の金属との各交差点間において、前記第1の金属に交差しこの第1の金属を溶融し切断する第1の発熱体と、
前記各交差点間において、前記第2の金属に交差しこの第2の金属を溶融し切断する第2の発熱体と、
を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の微細流路構造体。
【請求項10】
少なくとも1つの面に流路が設けられた流路板の前記流路が設けられた少なくとも1つの面に積層される絶縁部材の表面上に第1の金属膜を形成する工程と、
前記第1の金属膜上にその一部が接触する第2の金属膜を形成し、前記第1の金属膜と前記第2の金属膜とが接触する部分に測温接点を形成する工程と、
前記絶縁部材の裏面上において、前記測温接点に対峙する領域に加熱体を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする微細流路構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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