説明

微細部品外観自動検査装置

【課題】効率よく短時間で、かつ高精度で検査することが可能な微細部品外観自動検査装置を提供する。
【解決手段】本発明の微細部品外観自動検査装置は、外観検査前の微細部品が収容された供給トレイ、外観検査で良と判定された微細部品が収容される収納トレイ、検査対象の微細部品がセットされるインデックステーブル、検査対象の微細部品を前記供給トレイから前記インデックステーブルへと移動する供給ノズル、前記微細部品を前記供給トレイから前記インデックステーブルへと移動する途中で前記微細部品の裏面を撮影する裏面撮像カメラ、前記インデックステーブルにセットされた前記微細部品の表面を撮影する表面撮像カメラ、前記裏面撮像カメラおよび前記表面撮像カメラによって得られた画像情報と予め入力された前記微細部品の基準データとを比較して微細部品の外観検査の良否の判定を行う外観検査データ処理装置、および外観検査で良と判定された微細部品を前記インデックステーブルから前記収納トレイへと移動する収納ノズルを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブ等の微細部品の検査を行う微細部品外観自動検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プローブ等の微細部品の製造後に行う外観検査の方法の一つとして、目視により微細部品の表裏の外観検査を行う方法(特許文献1参照)がある。しかし、部品の微細化が進むと、検査を行うために、微細部品を検査台に乗せて、焦点の調整を行い、基準データとの照合を行い微細部品の良否を判定するために、微細部品の両面を検査する際に、2度の焦点調整および基準データとの照合を行う必要があり、部品の微細化がさらに進むと検査時間も増加する。
【0003】
検査時間の短縮を目的に、自動で検査を行う検査装置も用いられている。例えば、ベルトコンベアで搬送されている微細部品の外観をカメラで撮影し、撮影された微細部品の画像情報を基準データと比較して検査する装置が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−277389号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、手作業の場合には検査に時間と人手が掛ることから、部品の微細化が進むとさらなるコストの増加が問題になっている。そして自動検査装置を用いる場合にも、従来の装置では微細部品の両面を検査する際に微細部品を検査途中で裏返す必要があり、作業性が悪いという問題があった。また、微細部品を裏返さずに、透明な台に微細部品を載せる方法を用いた装置もあるが、その場合、カメラが微細部品に接近するには制限があり、微細部品の大きさによっては撮影した画像の精度が悪化し、検査の精度にも問題が生じている。
【0006】
そこで本発明では、効率よく短時間で、かつ高精度で検査することが可能な微細部品外観自動検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の微細部品外観自動検査装置は、外観検査前の微細部品が収容された供給トレイ、外観検査で良と判定された微細部品が収容される収納トレイ、検査対象の微細部品がセットされるインデックステーブル、検査対象の微細部品を前記供給トレイから前記インデックステーブルへと移動する供給ノズル、前記微細部品を前記供給トレイから前記インデックステーブルへと移動する途中で前記微細部品の裏面を撮影する裏面撮像カメラ、前記インデックステーブルにセットされた前記微細部品の表面を撮影する表面撮像カメラ、前記裏面撮像カメラおよび前記表面撮像カメラによって得られた画像情報と予め入力された前記微細部品の基準データとを比較して微細部品の外観検査の良否の判定を行う外観検査データ処理装置、および外観検査で良と判定された微細部品を前記インデックステーブルから前記収納トレイへと移動する収納ノズルを備えたことを特徴とする。
【0008】
さらに、前記裏面撮像カメラおよび前記表面撮像カメラが、それぞれ高倍率のカメラと低倍率のカメラを備え、前記低倍率のカメラによって前記微細部品の全体を撮影し、前記高倍率のカメラによって前記微細部品の所定の部分を撮影することもできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の微細部品外観自動検査装置は、外観検査前の微細部品が収容された供給トレイ、外観検査で良と判定された微細部品が収容される収納トレイ、検査対象の微細部品がセットされるインデックステーブル、検査対象の微細部品を前記供給トレイから前記インデックステーブルへと移動する供給ノズル、前記微細部品を前記供給トレイから前記インデックステーブルへと移動する途中で前記微細部品の裏面を撮影する裏面撮像カメラ、前記インデックステーブルにセットされた前記微細部品の表面を撮影する表面撮像カメラ、前記裏面撮像カメラおよび前記表面撮像カメラによって得られた画像情報と予め入力された前記微細部品の基準データとを比較して微細部品の外観検査の良否の判定を行う外観検査データ処理装置、および外観検査で良と判定された微細部品を前記インデックステーブルから前記収納トレイへと移動する収納ノズルを備えたことにより、自動的に微細部品の外観検査を行うことができ、さらに、不良品の自動選別も可能となるので、検査時間の短縮が実現できる。
【0010】
さらに、前記裏面撮像カメラおよび前記表面撮像カメラが、それぞれ高倍率のカメラと低倍率のカメラを備え、前記低倍率のカメラによって前記微細部品の全体を撮影し、前記高倍率のカメラによって前記微細部品の所定の部分を撮影することによって、微細部品の全体を検査すると同時に微細部品の一部を詳細に検査することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】微細部品外観自動検査装置の概略平面図である。
【図2】微細部品外観自動検査装置の概略正面図である。
【図3】微細部品であるプローブの側面図である。
【図4】微細部品外観自動検査装置の作動状況を示す概略正面図である。
【図5】微細部品外観自動検査装置の作動状況を示す概略正面図である。
【図6】微細部品外観自動検査装置の作動状況を示す概略正面図である。
【図7】微細部品外観自動検査装置の作動状況を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図を用いて本発明を以下に詳細に説明する。図1が本発明の微細部品外観自動検査装置1の概略平面図であり、図2が概略正面図である。また、ここでは微細部品として、図3に示すようなプローブ20を用いて説明を行う。
【0013】
本発明の微細部品外観自動検査装置1は、例えば、図3に示すプローブ20のような微細部品の外観を自動で検査する装置であり、微細部品の全体を検査すると同時に微細部品の一部を詳細に検査することが可能な装置である。前記微細部品外観自動検査装置1は、図1,2に示すように、外観検査前の微細部品が収容された複数の供給トレイ3を同時に搬送する供給アタッチトレイ2、外観検査で良と判定された微細部品が収容される複数の収納トレイ5を同時に搬送する収納アタッチトレイ4、検査対象の微細部品がセットされるインデックステーブル10、検査対象の微細部品を前記供給トレイ3から前記インデックステーブル10へと保持して移動する供給ノズル11、および、外観検査で良と判定された微細部品を前記インデックステーブル10から保持して前記収納トレイ5へと移動する、あるいは、外観検査で否と判定された微細部品を前記インデックステーブル10から保持して不良品回収ボックス14へと移動する収納ノズル12を備える。
【0014】
本発明の微細部品外観自動検査装置1は、さらに、前記微細部品の表面を撮影する表面撮像カメラ、前記微細部品の裏面を撮影する裏面撮像カメラ、前記インデックステーブル10にセットされた微細部品の表裏を反転させる収納反転ユニット13、および予め入力された前記微細部品の基準データと検査対象の微細部品の画像情報として得られる測定データとの比較を行い、比較の結果を判定基準と照合して微細部品の外観検査の良否の判定を行う外観検査データ処理装置19を備える。前記表面撮像カメラは、互いに異なる倍率を有する表面高倍率カメラ7と表面低倍率カメラ6から構成され、前記裏面撮像カメラは、互いに異なる倍率を有する裏面高倍率カメラ9と裏面低倍率カメラ8から構成される。
【0015】
前記供給アタッチトレイ2には複数のポケットが設けられ、外観検査前のプローブ20が収容された供給トレイ3が前記ポケットにセットされている。そして、前記アタッチトレイ2は2つのレール上をスライド可能に構成されており、別の場所で外観検査前のプローブ20が収容された供給トレイ3が全てのポケットにセットされると、供給ノズル11の下方へと移動される。前記収納アタッチトレイ4にも同様に複数のポケットが設けられ、外観検査によって良品と判断されたプローブ20を収容する複数の収納トレイ5が前記ポケットにセットされている。前記収納アタッチトレイ4も2本のレール上をスライド可能に構成されており、良品と判定されたプローブ20を次の工程へと搬送する。前記ポケットの大きさや個数、そして、スライドの構造等は適宜変更可能である。
【0016】
前記供給ノズル11によって前記供給トレイ3に収容されたプローブ20を掴む場所の近くには、前記供給ノズル11の位置決めに使用する供給認識カメラ15を配置する。また、前記収納ノズル12によって前記収納トレイ5にプローブ20を収納する場所には、前記収納ノズル12の位置決めに使用する収納認識カメラ16を配置する。
【0017】
前記供給ノズル11および前記収納ノズル12は、垂直方向および水平方向にスライド可能な構造であり、さらに、プローブ20を掴んで保持する構造となっている。これにより、プローブ20を保持して移動させることができる。前記供給ノズル11と前記収納ノズル12は同一のガイドを水平方向にスライド可能であり、前記供給ノズル11は前記供給アタッチトレイ2の上方と前記インデックステーブルの上方との間を水平方向にスライドし、前記収納ノズル12は前記インデックステーブル10の上方と前記収納アタッチトレイ4および前記不良品回収ボックス14の上方との間を水平方向にスライドする。
【0018】
前記裏面低倍率カメラ8および前記裏面高倍率カメラ9は、前記供給アタッチトレイ2とインデックステーブル10の間に上向きで配置されており、前記供給ノズル11に保持されて前記供給アタッチトレイ2からインデックステーブル10へと移動されるプローブ20の裏面を下方から撮影する。この時、前記裏面低倍率カメラ8は、前記プローブ20の裏面を撮影し、撮影された画像情報を基に、前記外観検査データ処理装置19によって、前記プローブ20の位置検出、前記プローブ20裏面の全体の外観検査を行う。
【0019】
また、前記裏面高倍率カメラ9は、前記プローブ20の裏面の一部分(ここではプローブ20のコンタクト部23)を撮影し、撮影された画像情報を基に、前記外観検査データ処理装置19によって、前記プローブ20のコンタクト部23の位置検出、前記コンタクト部23の裏面の外観検査を行う。ここでは、前記裏面高倍率カメラ9を、上述のようにコンタクト部23の外観検査に使用するが、倍率や撮影範囲の設定を変更してその他の部分の検査に使用することが可能である。また、前記裏面高倍率カメラ9は、撮影対象に応じて倍率を変更するために上下にスライド可能な構造を用いる。
【0020】
前記表面低倍率カメラ6および前記表面高倍率カメラ7は、インデックステーブル10の上方に下向きで配置されており、前記インデックステーブル10の台にセットされたプローブ20の表面を上方から撮影する。この時、前記表面低倍率カメラ6は、前記プローブ20の表面を撮影し、撮影された画像情報を基に、前記外観検査データ処理装置19によって、前記プローブ20の位置検出、前記プローブ20表面の全体の外観検査を行う。
【0021】
また、前記表面高倍率カメラ7は、前記プローブ20のコンタクト部23の表面を撮影し、撮影された画像情報を基に、前記外観検査データ処理装置19によって、前記プローブ20のコンタクト部23の位置検出、前記コンタクト部23の表面の外観検査を行う。そして、前記表面高倍率カメラ7も、前記裏面高倍率カメラ9と同様に、倍率を変更するために上下にスライド可能な構造を用いている。
【0022】
前記収納反転ユニット13は、前記インデックステーブル10の台にセットされ、外観検査が終了したプローブ20を前記収納ノズル12が掴む前に、前記プローブ20の向きを反転させるものであり、良と判定されたプローブ20を収納トレイ5に収納する際に表裏の向きを反転させる必要がある場合に作動させる。前記収納反転ユニット13の構造は、前記インデックステーブル10にセットされているプローブ20を掴んだら、そのままの状態で水平方向にスライドしてインデックステーブル10から離れ、その後プローブ20を掴んだ状態のアームを180°回転させることで、プローブ20の表裏を反転させる構造を用いている。これによりプローブ20は前記収納反転ユニット13のアームの上に裏面が上になった状態となり、裏面が上になった状態のプローブ20を前記収納ノズル12で掴んで移動させる。
【0023】
前記インデックステーブル10は、プローブ20をセットする複数の台が設けられた円形の回転テーブルから構成され、前記供給ノズル11によって前記台の上に微細部品がセットされたら、インデックステーブルのモータを用いた駆動装置によって回転テーブルを90°回転させて前記プローブ20を前記表面低倍率カメラ6と前記表面高倍率カメラ7の下方へと移動させて、プローブ20の表面の外観検査を行う。そして、前記プローブ20の表面の外観検査が完了したら、再び前記回転テーブルを90°回転させて、前記プローブ20を前記収納ノズル12あるいは前記収納反転ユニット13によってプローブ20を掴むことができる場所へと移動させる。
【0024】
次に、前記外観検査データ処理装置19による微細部品の外観検査における良否の判定方法について説明する。前記外観検査データ処理装置19には予め検査対象の微細部品の基準データを入力しておく。本実施形態では、プローブ20に関する基準データを予め入力してメモリに記憶させておく。前記基準データとは、例えばプローブ20の寸法、外観の形状、色合い、プローブ20の各部の寸法等であり、外観検査に必要な検査項目に関するプローブ20の基準となるデータである。基準データが微細部品の表裏で異なる場合、または検査項目が表裏で異なる場合には、表裏それぞれ必要な基準データを入力しておく。
【0025】
前記外観検査データ処理装置19では、前記基準データと測定データの比較を行い、判定基準と照合してプローブ20の外観検査の良否の判定を行うが、良否の判定の一例としては、前記基準データと前記測定データの差が判定基準の値よりも小さい、あるいは大きいかを判断することで行う。そこで、判定基準についても予めメモリに記憶させておく必要がある。また、判定基準は、判定を行う検査項目毎に必要であり、例えば、プローブ20の縦方向の寸法、横方向の寸法、あるいは傷の数といった検査項目毎に決められた判定基準を前記外観検査データ処理装置19に事前に入力しておく。
【0026】
前記測定データは、表面高倍率カメラ7、表面低倍率カメラ6、裏面高倍率カメラ9および裏面低倍率カメラ8によって撮影された画像情報から前記外観検査データ処理装置19に内蔵された画像解析装置を用いて得ることができる。このようにして、画像情報から得られる測定データ、例えば、前記プローブ20の縦方向の寸法の測定データを、前記プローブ20の縦方向の寸法の基準データと比較し、前記測定データと前記基準データとの差を求め、その差が前記プローブ20の縦方向の寸法の判定基準の値よりも小さければ良と判定し、大きければ否と判定する。このような判定を各検査項目で行い、各検査項目の判定を基にプローブ20の外観検査の良否の最終判定を行う。
【0027】
上述のような外観検査の良否の判定は、表面高倍率カメラ7、表面低倍率カメラ6、裏面高倍率カメラ9および裏面低倍率カメラ8によって撮影された4つの画像情報についてそれぞれ行う。そのために、撮影された画像を順に処理して測定データを求め、得られた測定データに応じて、適宜基準データおよび判定基準をメモリから順に呼び出し、各検査項目の判定を順番に行う。
【0028】
外観検査はプローブ20の裏面から行う。例えば、裏面低倍率カメラ8によって撮影された画像情報を基に、外観検査データ処理装置19によって、プローブ20の裏面の全体の形状および寸法、各部の寸法、傷の数、色合いに関する測定データを求めて、それぞれの基準データを呼び出して比較を行い、それぞれの差を求めて、メモリから呼び出した判定基準の値と照合して良否の判定を行う。
【0029】
次に、裏面高倍率カメラ9によって撮影されたコンタクト部23の画像情報を基に、外観検査データ処理装置19によって、プローブ20の裏面のコンタクト部23の寸法等の測定データを求めて、基準データを呼び出して比較を行い、得られた測定データとの差を求めて、メモリから呼び出した判定値と照らし合わせて良否の判定を行う。このようにして、プローブ20の外観検査が終わったら、次に、プローブ20の表面の外観検査を行う。
【0030】
プローブ20の表面の外観検査は、裏面の外観検査と同様の順番で行う。先ずは、表面低倍率カメラ6によって撮影された画像情報を基に、外観検査データ処理装置19によって、プローブ20の表面の全体の形状および寸法、各部の寸法、傷の数、色合いに関する測定データを求めて、それぞれの基準データを呼び出して比較を行い、それぞれの差を求めて、メモリから呼び出した判定基準の値と照らし合わせて良否の判定を行う。
【0031】
次に、表面高倍率カメラ7によって撮影されたコンタクト部23の画像情報を基に、外観検査データ処理装置19によって、プローブ20の表面のコンタクト部23の寸法等の測定データを求めて、基準データを呼び出して比較を行い、得られた測定データとの差を求めて、メモリから呼び出した判定基準の値と照らし合わせて良否の判定を行う。プローブ20の全体の外観検査と、コンタクト部23の外観検査の順番は特に限定するものではない。
【0032】
このようにして、全ての外観検査に関する検査項目の判定が終了したら、各検査項目の判定を基にプローブ20の外観検査の良否の最終判定を行う。判定の結果に応じて、インデックステーブル10にセットされたプローブ20を、収納ノズル12によって収納トレイ5あるいは不良品回収ボックス14へと移動させる。
【0033】
次に、本発明の微細部品外観自動検査装置1の具体的な作動方法について説明する。ここで検査対象となるプローブ20は、図3に示すように、支持部21、支持部21から延在する腕部22、前記腕部22の先端に設けられたコンタクト部23、および前記支持部21の底部に設けられたはんだバンプ24から構成される。そして、プローブ20において最も重要で精度が求められるコンタクト部23について、詳細な外観検査を行う。そのために、表面高倍率カメラ7および裏面高倍率カメラ9を用いて、前記コンタクト部23の外観検査を行う。
【0034】
まず初めに、外観検査前のプローブ20が収容された供給トレイ3を供給アタッチトレイ2のポケットにセットする。そして、前記供給アタッチトレイ2がレール上をスライドして、図2に示すように、プローブ20を供給する場所にセットされた供給ノズル11の下方へと移動される。
【0035】
前記供給アタッチトレイ2が所定の場所に停止されたら、前記供給ノズル11を作動させて、検査対象となるプローブ20の上方に移動させる。この時、図1,2の左右方向に供給ノズル11をスライドさせ、次に図2の上下方向に前記供給アタッチトレイ2をスライドさせることで、検査対象となるプローブ20の上方に供給ノズル11を移動させる。この時、前記供給認識カメラ15を用いて供給ノズル11の位置決めを行う。
【0036】
前記供給ノズル11の位置決めが完了したら、前記供給ノズル11を下方へとスライドさせて検査対象のプローブ20を掴む。前記供給ノズル11がプローブ20を掴んだら、前記供給ノズル11を上方へとスライドさせる。前記供給ノズル11が上方へとスライドしたら、次に、前記供給ノズル11を水平方向にスライドさせて、インデックステーブル10の上方に移動させる。
【0037】
この移動の途中で、前記供給ノズル11に保持されたプローブ20は、前記裏面低倍率カメラ8および前記裏面高倍率カメラ9の上方を通過する。この時、図4に示すように、前記供給ノズル11のスライドを一時停止して、前記裏面低倍率カメラ8によって前記プローブ20の裏面全体を撮影し、前記裏面高倍率カメラ9によって前記プローブ20のコンタクト部23の裏面を撮影する。前記供給ノズル11のスライドは、その速度、あるいは、検査対象の微細部品の大きさ等によっては一時停止せずに通過しながら撮影することも可能である。
【0038】
前記裏面低倍率カメラ8で撮影されたプローブ20の裏面全体の画像情報を、前記外観検査データ処理装置19に送り、前記外観検査データ処理装置19で前記画像情報を基にプローブ20の裏面の全体の形状および寸法、各部の寸法、傷の数、色合いに関する測定データを求める。前記裏面低倍率カメラ8からプローブ20の裏面全体の画像情報が送られてきたことが確認されたら、前記プローブ20の裏面全体の基準データおよび判定基準をメモリから呼び出す。そして、前記測定データと前記基準データとの差を各検査項目毎に求めて、各検査項目毎に判定基準の値と照合して良否の判定を行う。
【0039】
プローブ20の裏面全体の外観検査項目の一例として、全体形状、コンタクト部23を除く各部の形状(支持部21、腕部22、はんだバンプ24)、傷の数、色合い等が挙げられる。これらの各検査項目の測定データと基準データの比較を行い、その差を判定基準の値と照らし合わせて、良否の判定を行う。
【0040】
続いて、前記裏面高倍率カメラ9で撮影されたプローブ20のコンタクト部23の裏面の画像情報を、前記外観検査データ処理装置19に送り、前記外観検査データ処理装置19で前記画像情報を基にプローブ20のコンタクト部23の裏面の形状および寸法、傷の数、色合い等に関する測定データを求める。前記裏面高倍率カメラ9からプローブ20のコンタクト部23の裏面の画像情報が送られてきたことが確認されたら、前記プローブ20のコンタクト部23の裏面の基準データおよび判定基準をメモリから呼び出す。そして、前記測定データと前記基準データとの差を各検査項目毎に求めて、各検査項目毎に判定基準の値と照合して良否の判定を行う。
【0041】
前記外観検査データ処理装置19によって前記プローブ20の裏面の外観検査を行っている間に、図5に示すように、前記供給ノズル11に保持されたプローブ20はインデックステーブル10の台にセットされる。前記インデックステーブル10の台にプローブ20がセットされたら、インデックステーブル10の回転テーブルを90°回転させて、前記プローブ20を前記表面低倍率カメラ6と前記表面高倍率カメラ7の下方へと移動させる。そして、前記表面低倍率カメラ6によって前記プローブ20の表面全体を撮影し、前記表面高倍率カメラ7によって前記プローブ20のコンタクト部23の表面を撮影する。
【0042】
前記表面低倍率カメラ6で撮影されたプローブ20の表面全体の画像情報を、前記外観検査データ処理装置19に送り、前記外観検査データ処理装置19で前記画像情報を基にプローブ20の表面の全体の形状および寸法、各部の寸法、傷の数、色合いに関する測定データを求める。前記表面低倍率カメラ6からプローブ20の表面全体の画像情報が送られてきたことが確認されたら、前記プローブ20の表面全体の基準データおよび判定基準をメモリから呼び出す。そして、前記測定データと前記基準データとの差を各検査項目毎に求めて、各検査項目毎に判定基準の値と照合して良否の判定を行う。
【0043】
続いて、前記表面高倍率カメラ7で撮影されたプローブ20のコンタクト部23の表面の画像情報を、前記外観検査データ処理装置19に送り、前記外観検査データ処理装置19で前記画像情報を基にプローブ20のコンタクト部23の表面の形状および寸法、傷の数、色合い等に関する測定データを求める。前記表面高倍率カメラ9からプローブ20のコンタクト部23の表面の画像情報が送られてきたことが確認されたら、前記プローブ20のコンタクト部23の表面の基準データおよび判定基準をメモリから呼び出す。そして、前記測定データと前記基準データとの差を各検査項目毎に求めて、各検査項目毎に判定基準の値と照合して良否の判定を行う。
【0044】
前記表面高倍率カメラ7と前記表面低倍率カメラ6による撮影が終了したら、前記インデックステーブル10の回転テーブルを90°回転させて、前記プローブ20を移動させておく。そして、全ての外観検査が終了したら、検査結果に応じて前記収納ノズル12によって前記プローブ20を移動させる。この時、外観検査で良品と判定され、そして、収納トレイ5に収納する際に、プローブ20を反転させる必要がある場合には、前記収納反転ユニット13を作動させて、前記プローブ20を反転させる。
【0045】
前記収納反転ユニット13によって前記インデックステーブル10の台にセットされているプローブ20を掴み、図6に示すように、前記収納反転ユニット13を右側にスライドさせて前記プローブ20を掴んでいるアームを180°回転させる。すると、前記プローブ20は裏面が上になった状態で前記アームに載せられているので、前記収納ノズル12をプローブ20の上方へと水平方向に移動させ、さらに下方にスライドさせて、前記収納反転ユニット13にセットされたプローブ20を掴む。プローブ20を反転させる必要が無い場合、あるいは外観検査で否と判定された場合には、前記収納ノズル12によって前記インデックステーブル10にセットされているプローブ20を掴む。
【0046】
そして、前収納ノズル12を上方にスライドさせた後に、前記収納トレイ5の方へと水平方向にスライドさせて収納トレイ5の上方で停止させた後、収納認識カメラ16を用いて位置決めを行い、図7に示すように、前記収納ノズル12を下方へとスライドさせて所定の収納トレイ5にプローブ20を収納し、前記収納ノズル12による保持を解除する。外観検査によって検査対象のプローブ20が否と判定された場合には、前記収納ノズル12を不良品回収ボックス14の上方で停止させた後、下方へとスライドさせて前記プローブ20の保持を解除し、前記不良品回収ボックス14にプローブ20を入れる。
【0047】
また、外観検査で良品と判定され、そして、収納トレイ5に収納する際に、プローブ20を反転させる必要がある場合には、前記収納反転ユニット13を作動させて、前記プローブ20の裏表を反転させてから、前記収納ノズル12でプローブ20を掴み、前記収納トレイ5にプローブ20を移動させる。
【0048】
プローブ20の表面の外観検査を行っている間に、前記供給ノズル11を前記供給トレイ3の上方へと移動させ、その後下方にスライドさせて次の検査対象となるプローブ20を掴んでおく。そして、最初のプローブ20の表面の外観検査が完了し、前記収納トレイ5あるいは前記不良品回収ボックス14に検査後のプローブ20を移動させる間に、前記供給ノズル11によって次の検査対象となるプローブ20をインデックステーブル10の方へとスライドさせて、その途中で、図6に示すように、前記裏面低倍率カメラ8および前記裏面高倍率カメラ9により次の検査対象のプローブ20の裏面を撮影し外観検査を行う。このようにして、微細部品外観自動検査装置1によりプローブ20を連続して外観検査を行う。
【0049】
本発明の微細部品外観自動検査装置1により、プローブに限らず微細部品の外観検査を短時間で自動的に行うことが可能となる。また、異なる倍率のカメラを用いることで、微細部品全体の検査と同時に、微細部品の詳細な検査が必要な部分を高精度で検査することが可能となる。
【0050】
次に、前記微細部品外観自動検査装置1に、保留部品収納トレイ18を用いる場合について説明する。前記保留部品収納トレイ18は、図1に示すように、前記収納アタッチトレイ4の1つのポケットに設けられている。
【0051】
前記微細部品外観自動検査装置1によってプローブ20の外観検査を行った時に、前記プローブ20を撮影した画像が不鮮明な場合、外観検査で否と判定するのではなくエラーが発生したと判断して外観検査は判定不能として検査対象のプローブ20を前記収納ノズル12によって前記保留部品収納トレイ18に収納する。
【0052】
また、前記微細部品外観自動検査装置1が故障した時、例えば、表面高倍率カメラ6が故障して撮影できない場合、あるいは、メモリから基準データが読み込めない場合には、外観検査を適切に行うことができないので、エラーが発生したと判断して外観検査を保留して検査対象のプローブ20を前記収納ノズル12によって前記保留部品収納トレイ18に収納する。
【0053】
このようにして、何らかのエラーが発生して外観検査において適切な判定が行われなかったと判断した場合には、前記外観検査データ処理装置19による外観検査の判定を保留し、その時の検査対象のプローブ20を前記収納ノズル12によって前記保留部品収納トレイ18に収納する。前記保留部品収納トレイ18に収納されたプローブ20は、再び微細部品外観自動検査装置1によって再検査を行う。
【0054】
さらに、前記判定基準として、良否の他に良否の間となる第3の判定基準を設けて、外観検査の際に第3の判定基準と判定されたプローブ20は、前記収納ノズル12によって前記保留部品収納トレイ18に収納する。前記保留部品収納トレイ18に収納されたプローブ20は、手作業による外観検査を行い、第3の判定基準と判断された検査項目について再検査を行う。
【0055】
このようにして、保留部品収納トレイ18を設けることで、エラーが発生した場合にも検査対象の微細部品を否と判定しないで再検査することで、良と判定されるべき微細部品が否と判定されるのを防することが可能となる。また、良否の判定が微妙な微細部品については手作業の検査を行うことで外観検査の精度を高めることが可能となる。その結果、微細部品の歩留まりを高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0056】
1 微細部品外観自動検査装置
2 供給アタッチトレイ
3 供給トレイ
4 収納アタッチトレイ
5 収納トレイ
6 表面低倍率カメラ
7 表面高倍率カメラ
8 裏面低倍率カメラ
9 裏面高倍率カメラ
10 インデックステーブル
11 供給ノズル
12 収納ノズル
13 収納反転ユニット
14 不良品回収ボックス
15 供給認識カメラ
16 収納認識カメラ
18 保留部品収納トレイ
19 外観検査データ処理装置
20 プローブ
21 支持部
22 腕部
23 コンタクト部
24 はんだバンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外観検査前の微細部品が収容された供給トレイ、外観検査で良と判定された微細部品が収容される収納トレイ、検査対象の微細部品がセットされるインデックステーブル、検査対象の微細部品を前記供給トレイから前記インデックステーブルへと移動する供給ノズル、前記微細部品を前記供給トレイから前記インデックステーブルへと移動する途中で前記微細部品の裏面を撮影する裏面撮像カメラ、前記インデックステーブルにセットされた前記微細部品の表面を撮影する表面撮像カメラ、前記裏面撮像カメラおよび前記表面撮像カメラによって得られた画像情報と予め入力された前記微細部品の基準データとを比較して微細部品の外観検査の良否の判定を行う外観検査データ処理装置、および外観検査で良と判定された微細部品を前記インデックステーブルから前記収納トレイへと移動する収納ノズルを備えたことを特徴とする微細部品外観自動検査装置。
【請求項2】
前記裏面撮像カメラおよび前記表面撮像カメラが、それぞれ高倍率のカメラと低倍率のカメラを備え、前記低倍率のカメラによって前記微細部品の全体を撮影し、前記高倍率のカメラによって前記微細部品の所定の部分を撮影することを特徴とする請求項1に記載の微細部品外観自動検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−220806(P2011−220806A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89552(P2010−89552)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000232405)日本電子材料株式会社 (272)
【Fターム(参考)】