説明

微結晶セルロースを含有する飲料

【課題】保存安定性を維持したまま口当たりや喉越し等の風味が改善された、微結晶セルロース含有飲料を提供する。
【解決手段】飲料全体に対して、0.0001〜0.04重量%の微結晶セルロースと、0.1〜7.0重量%の糖アルコールとを含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期間に渡り飲料中の成分を安定的に分散させて沈降を防止するための微結晶セルロースを用いた飲料に関する。より詳細には、保存安定性を有し、かつ風味良好な微結晶セルロースを含有する飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱殺菌を経て製造されるミルクコーヒーやミルクティーなどの乳分を含有する飲料(以下、ミルク入り飲料という)は、長期保存中に、タンパク質を含有する沈降成分の容器底部への固着や、凝集による不均一さ(均質で滑らかな食感の欠如)等の問題が生じている。
【0003】
そこで、微結晶セルロースを配合することにより、これらの問題を解決することが提案されている。例えば、特許文献1には、コーヒー飲料の加熱殺菌により生クリームの乳蛋白質の沈殿や脂肪の分離を防止するために、蛋白質含量の少ない生クリームを使用し、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステルと微結晶セルロースを使用することが記載されている。特許文献2には、微結晶セルロースを10〜200ppm(0.001〜0.02重量%)含有する、ミルクコーヒーやミルクティーなどの乳成分含有飲料弱酸性飲料が開示されている。
【0004】
一方、低カロリー飲料において、エリスリトールを使用することが知られている。例えば、特許文献3には、エリスリトールと高甘味度甘味料を含有する密封容器入り炭酸飲料が開示され、エリスリトールが高甘味度甘味料の風味を改善するために用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−245703号公報
【特許文献2】特開2001−292750号公報
【特許文献3】特開平10−136953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、健康志向の高まりから、ゼロ又は低カロリー飲料の要望が大きくなっている。微結晶セルロースをゼロ又は低カロリー飲料に配合した場合、保存安定性が向上する一方、固形分が低いために飲んだときに口当たりが悪く、喉越しに違和感がある、という問題に直面した。
【0007】
本発明は、保存安定性を維持したまま口当たりや喉越し等の風味が改善された、微結晶セルロース含有飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、微結晶セルロースの沈殿抑制効果を糖アルコールが相乗的に高めるという、糖アルコールの量的相乗効果を見出した。この相乗効果により、従来用いられた所定の濃度の微結晶セルロースの量を減らすことが可能となった。また、低カロリー飲料に糖アルコールを配合することにより、微結晶セルロースの口当たりや喉越しといった好ましくない性質を改善できる、すなわち質的相乗効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、これに限定されるものではないが、本発明は以下に関する。
(1) 飲料全体に対して、0.0001〜0.04重量%の微結晶セルロースと、0.1〜7.0重量%の糖アルコールとを含有する飲料。
(2) 乳分及び甘味料を含有するミルク入り飲料である、(1)に記載の飲料。
(3) 糖アルコールがエリスリトールを含む、(1)又は(2)に記載の飲料。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、保存安定性を有するゼロ又は低カロリーの微結晶セルロース含有飲料で、口当たりや喉越し等の風味が改善された飲料(特に、ミルク入り飲料)が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の飲料は、微結晶セルロースの保存安定性を維持しつつ、風味が改善されたゼロ又は低カロリー飲料である。ここで、本明細書でいう「ゼロカロリーの飲料」とは、飲料100mL当たり5kcal未満の飲料をいい、「低カロリーの飲料」とは、飲料100mL当たり5kcal以上20kcal未満の飲料をいい、「フルカロリーの飲料」とは、飲料100mL当たり20kcal以上の飲料をいう。
【0012】
本発明における微結晶セルロースとは、木材パルプなど天然セルロースを加水分解して得られる結晶セルロースであり、結晶性部分が10重量%を超える(結晶化度が10%を超える)ものをいう。微結晶セルロースに期待する分散安定性の効果を一層顕著にするには、好ましくは結晶化度30%以上であり、より好ましくは50%以上である。なお、結晶性部分とは、X線回折においてバックグラウンドを生じる非晶性部分に対して、ブラッグ反射のピークを生じる部分をいう。微結晶セルロースとしては、例えば、インダストリアル・アンド・エンジニアリング・ケミストリー、第42巻、第502頁から第507頁(1950)の記載により定義されているものが挙げられる。
【0013】
微結晶セルロース自体が、ホモゲナイズ又は高速撹拌等により水中で安定に分散するものを用いると、微結晶セルロースの分散安定性の効果を一層顕著に発揮させることができるので好ましい。水中で安定に分散する微結晶セルロースとして、水溶性ガム又は水溶性ガム及び糖類の比較的少量をあらかじめ混合し、しかるのちに乾燥して得られる結晶セルロース複合体がある。本発明の飲料のゼロ又は低カロリー飲料という特徴からは、結晶セルロース複合体の各成分の質量比は、結晶セルロース:水溶性ガム及び糖類=50:50〜95:5(ただし、合計で100)の範囲であるものを用いるのが好ましい。このような微結晶セルロースとして、例えば、旭化成ケミカルズ社製の商品名セオラス(登録商標)のRC−591(成分:微結晶セルロース89.0%及びカルボキシメチルセルロース・ナトリウム11.0%)が挙げられる。
【0014】
本発明の飲料における微結晶セルロースの配合割合は、0.0001〜0.04重量%が好ましく、0.0005〜0.010重量がより好ましく、0.0005〜0.003重量%がより好ましい。0.04重量%を超えると、本発明の糖アルコールや後述する水溶性ガムを併用しても、ゼロ又は低カロリー飲料において口当たりや喉越しを改善する効果が十分に発揮されないことがあるばかりか、期待する効果とは逆に、分散安定性を悪化させることもある。また、0.0001重量%未満では、微結晶セルロースに期待する分散安定性が得られないことがある。
【0015】
上記の微結晶セルロース含有飲料の風味、具体的にはゼロ又は低カロリー飲料における口当たりや喉越しの悪さを改善するために、本発明の飲料では特定量の糖アルコールを用いる。糖アルコールとしては、例えば、エリスリトール、ソルビトール,キシリトール,マンニトール等の単糖アルコール類、マルチトール,イソマルチトール,ラクチトール等の2糖アルコール類、マルトトリイトール,イソマルトトリイトール,パニトール等の3糖アルコール類、オリゴ糖アルコール等の4糖以上アルコール類、粉末還元麦芽糖水飴などが挙げられる。これら糖アルコールは、単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。特にエリスリトールを用いると、本発明の微結晶セルロースとの量的及び/又は質的相乗効果を顕著に発揮する。本発明の飲料における糖アルコールの配合割合は、0.1〜7.0重量%が好ましく、0.1〜1.5重量%がより好ましい。0.1%未満では、微結晶セルロースとの相乗的な効果が得られないことがある。また、7.0%を超えて配合しても、微結晶セルロースとの相乗作用が高められず、効率的でない。
【0016】
上記の微結晶セルロース及び糖アルコールに加え、水溶性ガムを配合すると、微結晶セルロースと糖アルコールの分散安定性の効果をさらに高めることができる。ここで用いる水溶性ガムとしては、結晶セルロースと水中における相溶性がよい多糖類が好ましく、例えば、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タマリンド種子ガム、タラガントガム、ガッテーガム、寒天、アルギン酸およびその塩、カラギナン、カラヤガム、アラビアガム、ジェランガム、ペクチン、マルメロ等が例示される。中でもカラギナンが好ましい。水溶性ガムの配合量は、用いる水溶性ガムの種類により適宜選択すればよく、例えばカラギナンを用いた場合、結晶セルロース1重量部に対して1〜50重量部、好ましくは10〜40重量部程度とするのが好ましい。この範囲で水溶性ガムを併用すると、分散安定性の向上が明確になり、一方で粘度の上昇が適切な範囲に留まる。
【0017】
一般に、ミルク入り飲料は、コーヒーや紅茶などのベース飲料特有の香りとコクといった「飲料感」(コーヒー感や紅茶感)、ミルクのコクやまろやかさといった「乳感」、甘さや厚み(ボディ感)といった「甘味感」のバランスが重要視される飲料である。いわゆるゼロカロリー飲料の開発にあたっては、例えば、コーヒー飲料は、糖類や乳分を添加していなくても、コーヒーの抽出液自体が3kcal/100mL程度の熱量を有するため、風味の良いショ糖や乳分はカロリーが高く、ゼロカロリー飲料への処方は大きく制限される。そのため、ゼロカロリーのミルク入りコーヒー飲料は、コーヒー抽出液に高甘味度甘味料と、場合によって極めて少量の乳分を配合することによって調製されている場合がほとんどであり、フルカロリーのミルク入りコーヒー飲料のコーヒー感、乳感、甘味感のバランスを大きく欠いている。
【0018】
本発明の飲料は、このようなミルク入りでゼロカロリーの飲料としても、本発明の特徴である口当たり及び喉越しのよさと分散安定性を維持しながら、さらにベース飲料の風味(飲料感)、乳感、甘味感のバランスを有するフルカロリー飲料に類似したゼロカロリー飲料として提供できる。
【0019】
本明細書でいう「ミルク入り飲料」とは、乳分を原料として使用した飲料を意味する。本発明のミルク入り飲料は、長期保存性を高めるため、UHT殺菌やレトルト殺菌等の高温殺菌工程を経て製造することが好ましい。また、本発明の好ましい態様として、例えば、缶、紙パック、PETボトル等の保存容器に充填された、長期間の保存に適した容器詰め飲料が挙げられる。
【0020】
本発明において飲料との関連で用いられる「乳分」との用語は、飲料にミルク風味やミルク感を付与するために添加する成分を指し、主に乳等省令に定義されている乳、牛乳及び乳製品のことをいう。例えば、生乳、牛乳、特別牛乳、脱脂乳、加工乳、乳飲料等が挙げられ、乳製品としては、クリーム、調製クリーム、濃縮ホエイ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、調整粉乳などが挙げられる。なお、調製クリームとは、脂肪やタンパク質量を調製された加工クリームを意味する。本発明の飲料では、特にタンパク質が少ない乳分(クリーム若しくはバター等)を用い、これにカゼインナトリウムを添加したものが好適に用いられる。乳分は、ゼロ又は低カロリー飲料となる量で添加することができる。
【0021】
本発明の飲料は、上記乳分を原料として含む飲料であれば、その種類を限定されるものではなく、例えば、コーヒー分を含むミルク入りコーヒー飲料、紅茶分を含むミルク入り紅茶飲料の他、ココア、発酵乳風味飲料などが含まれる。ここで、「コーヒー分」とは、コーヒー豆由来の成分を含有する溶液のことをいい、例えば、コーヒー抽出液、すなわち、焙煎、粉砕されたコーヒー豆を水や温水などを用いて抽出した溶液や、コーヒー抽出液を濃縮したコーヒーエキス、コーヒー抽出液を乾燥したインスタントコーヒーなどを、水や温水などで適量に調整した溶液が挙げられる。また、「紅茶分」とは、紅茶葉由来の成分を含有する溶液のことをいい、例えば、紅茶葉抽出液、すなわち紅茶葉を温水などを用いて抽出した溶液や、紅茶葉抽出液を濃縮した紅茶エキス、紅茶葉抽出液を乾燥した粉末紅茶などを水や温水などで適量に調整した溶液が挙げられる。
【0022】
1つの態様において本発明の飲料がゼロカロリーのミルク入り飲料であれば、飲料中の(1)脂質、タンパク質及び炭水化物のエネルギー量、及び(2)ナトリウムイオン濃度、の条件を特定することにより、ゼロカロリーのミルク入り飲料でありながら、フルカロリー飲料に類似した風味を有するミルク入り飲料が得られる。具体的には、ミルク入りコーヒー飲料であれば、コーヒー感、乳感、甘味感のバランスがよく、セルロースに起因する風味低下が抑制された風味良好なゼロカロリー飲料が提供される。
【0023】
このような飲料は、飲料中に含まれる脂質、タンパク質及び炭水化物のエネルギー量が、それぞれ(a)脂質:0.3〜2.2kcal/100mL、(b)タンパク質:0.2〜1.4kcal/100mL、(c)炭水化物:0.9〜2.6kcal/100mL(好ましくは、(a)脂質:0.5〜1.8kcal/100mL、(b)タンパク質:0.6〜1.0kcal/100mL、(c)炭水化物:1.2〜1.8kcal/100mL)を満たすように調整され、飲料中のナトリウムイオン濃度が30〜70mg/100mL(好ましくは、40〜60mg/100mL)となるように調整される。
【0024】
飲料中の(a)脂質のエネルギー量は、ベースとなる飲料に含まれる油脂成分、乳分由来の脂質成分、その他必要に応じて添加される乳化剤等の由来成分、(b) タンパク質のエネルギー量は、ベースとなる飲料に含まれるタンパク質成分、その他必要に応じて添加される安定化剤等に含まれるタンパク質成分等の由来成分、(c) 炭水化物のエネルギー量は、ベースとなる飲料に含まれる炭水化物成分、乳分に含まれる炭水化物成分、甘味料に含まれる炭水化物成分等が挙げられる等の由来成分をそれぞれ計算してその配合割合を決定することにより調整することができる。また、飲料中の飲料中のナトリウムイオン濃度は、ベースとなる飲料に含まれるナトリウムイオン量や乳分由来のものに加え、その他の原材料、例えば、塩化ナトリウム、乳清ミネラル等のミネラル類、重曹(炭酸水素ナトリウム)、リン酸三ナトリウム等のpH調整剤、カゼインナトリウム等の安定剤などを配合して調整することができる。
【0025】
本発明の飲料には、上記成分に加えて各種ビタミン類、各種ミネラル類、食物繊維、香料、着色剤、乳化剤、安定化剤等を配合することもできる。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本発明において数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
また、実施例における脂質量、タンパク質量の測定方法及び炭水化物量の算出方法は、栄養表示基準別表第二(平一六厚労告一二六・一部改正)に示してある方法を用いた。エネルギー算出には、五訂(増補)日本食品標準成分表に掲載されているエネルギー換算係数を用いた。ただし、修正アトウォーター法に従い、タンニン(FOLIN−DENIS法にて測定)、カフェイン及び糖アルコール(エリスリトール)(高速液体クロマトグラフ法にて測定)も考慮した。ナトリウム濃度の測定方法は、栄養表示基準別表第二(平一六厚労告一二六・一部改正)に示してある方法を用いた。
<試験例1>
焙煎したコーヒー豆を粉砕し、豆に対して約8倍量の熱湯でドリップ抽出し、遠心処理後、500メッシュで濾過することで、コーヒー抽出液を得た。このコーヒー抽出液に殺菌後のpHが6.1〜6.5となるよう重曹を添加し、甘味料(サネット0.16g/L(キリン協和フーズ株式会社)及びスクラロース0.02g/L(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社))を加えた後、均質化処理した加工クリーム(乳脂肪分40%、たんぱく質1.0%、無脂乳固形分2.7%、灰分0.4%)1.5g/L、エリスリトール7.5g/L、及び乳化剤(脂質100%)0.18g/Lを加えた。さらに乳清ミネラル(株式会社ADEKA、商品名:みるくのミネラル)6g/L及び飲料中の微結晶セルロース濃度が表1の処方となるような微結晶セルロース製剤(旭化成ケミカルズ、商品名:セオラス(登録商標)RC−591(成分:微結晶セルロース89.0%及びカルボキシメチルセルロース・ナトリウム11.0%))を添加し、よく攪拌した後、さらに均質化処理を行い、各種ゼロカロリーのミルク入りコーヒー飲料を得た。
【0027】
この飲料185gを190g用飲料用缶に充填し、レトルト殺菌を行い、容器詰め飲料を製造した。なお、本飲料中の各栄養成分((a)脂質、(b)タンパク質、(c)炭水化物)に由来するエネルギー量は、それぞれ、(a)脂質由来:0.5kcal/100ml、(b)タンパク質由来:0.8kcal/100ml、(c)炭水化物由来:2.6kcal/100mlであった。また、実施例1の飲料のナトリウムイオン濃度は約50mg/100mlであった。
【0028】
これら飲料の風味を専門パネラーで評価した。評価は3段階で行い(○△×)、○が最も良好である。表1から明らかなように、本発明の飲料は、いずれもフルカロリーの飲料と同様に、コーヒー感、乳感、甘味感のバランスに優れた飲料であったが、微結晶セルロース量が500ppmを超えて配合すると、口当たりや喉越しが悪くなり、飲料の風味を低下させることが示唆された。ゼロカロリー飲料においては、その上限を400ppmとすべきであり、好ましくは100ppm以下、特に好ましくは10ppm程度であることが判明した。
【0029】
また、各飲料を70℃の温度下で2週間放置し、沈澱の様子を評価した。沈殿の形状は、○△×の3段階(○が最も良好)、沈殿の量は、+〜+++(+が最も沈殿量が少ない)の3段階で評価した。表1に結果を示す。微結晶セルロースが添加されて無い比較例1では、白い2mmほどの沈澱が発生した一方で、微結晶セルロースを使用した場合(実施例1〜5)、沈澱は発生するものの、非常に細かい粒子を形成しており、目立つものではなく、軽く振動を与えると分散するものであった。ただし、微結晶セルロースの添加量が多い場合(比較例2、3)、その沈澱の形状は雲のように大きな塊となり、悪化していた。これより、微結晶セルロースの配合量は、1ppm〜400ppm(=0.0001〜0.04重量%)とすべきであり、好ましくは5ppm〜100ppm、特に好ましくは5ppm〜30ppmであることが示された。
【0030】
【表1】

【0031】
<試験例2>
エリスリトールの濃度を表2に示す濃度に変更すること以外は、試験例1と同様にしてミルク入りコーヒー飲料を調製した。本試験例の飲料中の各栄養成分((a)脂質、(b)タンパク質、(c)炭水化物)に由来するエネルギー量は、それぞれ、(a)脂質由来:0.5kcal/100ml、(b)タンパク質由来:0.8kcal/100ml、(c)炭水化物由来:2.6kcal/100mlであった。また、飲料のナトリウムイオン濃度は50mg/100mlであった。
【0032】
試験例1と同様に、各飲料の風味及び70℃の温度下で2週間放置した後の保存安定性の状態を評価した。
結果を表2に示す。保存安定性は、エリスリトールを添加した実施例5〜9は、エリスリトール無添加の比較例4と比べ、微結晶セルロースの沈殿抑制効果が顕著に発揮されていた。すなわち、微結晶セルロースと糖アルコール(特にエリスリトール)とを組み合わせると、沈殿抑制効果ついて量的相乗効果があることが確かめられた。また、比較例4と比べ本実施例では、飲料の風味も改善されていた。すなわち、微結晶セルロースと糖アルコール(特にエリスリトール)とを組み合わせると、微結晶セルロースの口当たりや喉越しといった好ましくない性質を改善できる風味改善作用について質的相乗効果があることが確かめられた。
【0033】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料全体に対して、0.0001〜0.04重量%の微結晶セルロースと、0.1〜7.0重量%の糖アルコールとを含有する、飲料。
【請求項2】
乳分及び甘味料を含有するミルク入り飲料である、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
糖アルコールがエリスリトールを含む、請求項1又は2に記載の飲料。