説明

微量化学臭気検出のためのセンサを備えるパーソナルケア製品

吸収性物品における身体排泄物の存在を検出することができる1つ又はそれ以上のセンサを含む吸収性物品が記載される。詳細には、吸収性物品は、身体排泄物に関連する揮発性有機化合物の存在を検出することができる少なくとも1つのケミレジスタを含む。身体排泄物が検出されると、指標手段は、介護者及び/又は吸収性物品の使用者に、放出発作が起こったことを示す信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿、糞便、又は月経のような身体排泄物が吸収性物品に存在することを検出することができる1つ又はそれ以上のセンサを含むおむつ、トレーニングパンツ、失禁用衣類、及び女性用衛生製品のような吸収性物品に関する。更に詳細には、本開示は、身体排泄物に関連する揮発性の有機化合物が存在することを検出することができる少なくとも1つのケミレジスタを含む吸収性物品に関する。身体排泄物の存在が検出されると、指標手段が介護者及び/又は吸収性物品の着用者に、吸収性物品を取り替えることが必要であると合図する。
【0002】
おむつ、失禁用衣類、及び女性用衛生製品のような使い捨ての吸収性物品は、広く用いられている。このような物品は着用されて、長期間、尿、糞便、及び月経流体のような身体排泄物を捕捉して保持する。しかし、身体排泄物は、種々の種類の細菌の主要供給源であることに加え、皮膚に刺激がある可能性がある。その結果、身体排泄物が長期間皮膚に接触して保持されると、皮膚が炎症を起こして刺激性となる可能性があり、例えば、水分、熱、刺激源、酵素、細菌、細菌作用の産物、及び/又は圧力に長時間暴露されることにより引き起こされる可能性がある皮膚の発疹(例えば、おむつかぶれ、刺激性発疹等)又は他の関連する状態を発症することがある。
【0003】
皮膚発疹のような皮膚の状態を引き起こすことに加え、廃棄物に存在する細菌が相当な量の揮発性有機化合物を生成する可能性がある。ヒトの廃棄物は、極めて多数の細菌を含み、それが、放出された後には皮膚に隣接して置かれる可能性があるため、これらの揮発性有機化合物は、皮膚の刺激源の主要な供給源でもある可能性があり、おむつ環境及び膣環境での皮膚刺激作用に関わる可能性がある。
【0004】
更に、揮発性有機化合物は、不快な臭気の重要な供給源である可能性がある。例えば、ある細菌では、尿の分解により、アンモニア、メルカプタン、又は他の匂い物質の化合物を生成する。例えば、尿は、細菌が栄養性基質として利用することができ、その結果、細菌の繁殖が増加し、アンモニアの産生が増大する。
【0005】
従って、介護者及び/又は吸収性物品の着用者が吸収性物品に身体排泄物の放出発作がおこるときを知り、それによって、介護者及び/又は着用者が吸収性物品と取り替えることができ、従って長時間吸収性物品を着用することに伴う不快な臭気及び皮膚刺激の発生が減少又は排除されるようにすることは有利とされることになる。従って、乳児用ケア、大人用ケア、創傷管理、及び女性用ケア製品業界では、吸収性物品に身体排泄物が存在することを素早く正確に識別する方法が必要とされている。
【0006】
【特許文献1】PCT特許出願WO00/37009号公報
【特許文献2】米国特許第4,940,464号公報
【特許文献3】米国特許第5,766,389号公報
【特許文献4】米国特許第6,645,190号公報
【特許文献5】米国特許第4,704,116号公報
【特許文献6】米国特許第5,883,028号公報
【特許文献7】米国特許第5,116,662号公報
【特許文献8】米国特許第5,114,781号公報
【特許文献9】米国特許出願第09/563,417号公報
【特許文献10】米国特許出願第09/698,512号公報
【特許文献11】米国特許第4,100,324号公報
【特許文献12】米国特許第5,284,703号公報
【特許文献13】米国特許第5,350,624号公報
【特許文献14】米国特許第5,964,743号公報
【特許文献15】米国特許第5,645,542号公報
【特許文献16】米国特許第6,231,557号公報
【特許文献17】米国特許第6,362,389号公報
【特許文献18】国際特許出願WO03/051254号公報
【特許文献19】米国特許第5,486,166号公報
【特許文献20】米国特許第5,490,846号公報
【特許文献21】米国特許第6,902,701号公報
【発明の開示】
【0007】
本開示は、吸収性物品における身体排泄物の存在を検出することができる1つ又はそれ以上のセンサを含む吸収性物品に関する。更に詳細には、本開示は、身体排泄物に関連する揮発性有機化合物の存在を検出することができる少なくとも1つのケミレジスタを含む吸収性物品に関する。身体排泄物が検出されると、指標手段が、介護者及び/又は吸収性物品の使用者に、放出発作が起こったと合図する。その結果、着用者及び/又は介護者は、いつ吸収性物品を取り替える必要があるかを素早く正確に判断することができる。
【0008】
実施形態の1つでは、本開示は、1対の間隔を置いた電極にわたって配置されており、複数の導電性の粒子及びポリマー材料と、ケミレジスタの電気抵抗の変化を検出することができるマイクロプロセッサと、吸収性物品内のケミレジスタに電気抵抗の変化が存在することを示す信号を送出するための手段と、を含むケミレジスタを含む吸収性物品に関する。ケミレジスタの抵抗は、ケミレジスタが、水蒸気と、尿、月経流体、糞便、血液、及びその組合せから成る群から選択される放出物中に存在する揮発性有機化合物と、その組合せと、からなる群から選択される分析物に暴露されたとき、変化することができる。
【0009】
別の実施形態では、本開示は、1対の間隔を置いた電極にわたって配置されており、複数の導電性の粒子及びポリマー材料と、ケミレジスタの電気抵抗の変化を検出することができるマイクロプロセッサと、吸収性物品から遠隔の部位で受信器に信号を送信することができる送信器と、吸収性物品内にケミレジスタの電気抵抗の変化が存在することを示す信号を送出する手段を含む受信器と、を含むケミレジスタを含む吸収性物品に関する。ケミレジスタの抵抗は、ケミレジスタが、水蒸気と、尿、月経流体、糞便、血液、及びその組合せから成る群から選択される放出物中に存在する揮発性有機化合物と、その組合せと、から成る群から選択される分析物に暴露されると変化することができる。
【0010】
また、本開示は、吸収性物品内における放出発作の存在を検出する方法にも関する。方法は、1対の間隔を置いた電極にわたって配置され、複数の導電性の粒子及びポリマー材料を含むケミレジスタを含む吸収性物品を着用者に与える段階と、吸収性物品が着用者により着用されているときに、ケミレジスタの電気的特性を監視し、その場合に、ケミレジスタの抵抗が、ケミレジスタが、水蒸気と、尿、月経流体、糞便、血液、及びその組合せから成る群から選択される放出物中に存在する揮発性有機化合物と、その組合せと、から成る群から選択される分析物に暴露されると変化することができる段階と、時間の経過に伴う電気的特性の比例較差を求め、求めた比例較差に対応する較差指標値を得る段階と、較差指標値を較差閾値に比較し、吸収性物品における放出物及び/又は水蒸気の存在を判断する段階と、を含む。
【0011】
また、吸収性物品内における放出物の存在を検出する方法も提供される。方法は、1対の間隔を置いた電極にわたって配置されて、複数の導電性の粒子及びポリマー材料を含むケミレジスタを含む吸収性物品を着用者に与える段階と、吸収性物品が着用者により着用されているときにケミレジスタの電気的特性を監視し、その場合に、ケミレジスタの抵抗が、ケミレジスタが、水蒸気と、尿、月経流体、糞便、血液、及びその組合せから成る群から選択される放出物中に存在する揮発性有機化合物と、その組合せと、から成る群から選択される分析物に暴露されると変化することができる段階と、時間の経過に伴う電気的特性の変化レートを求め、求めた変化レートに対応するレート指標値を与える段階と、レート指標値をレート閾値に比較し、吸収性物品における放出物及び/又は水蒸気の存在を判断する段階と、を含む。
対応する参照記号は、図面を通して対応する部品を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本開示は、吸収性物品に、尿、糞便、月経、及び/又は血液のような身体排泄物又は滲出物が存在することを検出することができる1つ又はそれ以上のセンサを含む吸収性物品に関する。吸収性物品は、身体排泄物に関連する揮発性有機化合物の存在を検出することができる少なくとも1つのケミレジスタを含む。身体排泄物が検出されると、指標手段は、介護者及び/又は吸収性物品の着用者に、放出発作が起こったことを示す信号を送出する。その結果、着用者及び/又は介護者は、放出発作が起こるときを素早く正確に判断することができる。
【0013】
本開示は、主に、小児のトイレトレーニングパンツと組み合わせて論じる。しかし、本開示事項に基づき、本明細書に記載するケミレジスタは、多数の他の吸収性物品と組み合わせて用いることができることは、当業者には容易に明らかとなる。本明細書で用いる場合、「吸収性物品」という語句は、一般に、体液を吸収して含む装置をいい、更に詳細には、皮膚に接触するか近接して配置され、身体から放出された種々の流体を吸収して含む装置をいう。他の吸収性物品の例には、おむつのような個人的に着用されることが意図される吸収性物品と、失禁用製品と、医療用衣類と、女性用ナプキン、パンティーライナ、タンポン、及び陰唇間パッドのような女性用衛生製品と、創傷管理製品と、外科用パッド及び包帯と、他のパーソナル又はヘルスケア衣類と、その他と、が含まれる。
【0014】
今度は図面、特に図1を参照すると、本発明の吸収性物品が小児用トイレトレーニングパンツの形で代表的に示されており、その全体が参照番号20で示される。吸収性物品20は、使い捨てであってもそうでなくてもよく、使い捨てとは、限定的期間の使用後に、再使用するために洗濯その他の方法で状態を整えられる代わりに、廃棄されることが意図されたる物品をいう。
【0015】
説明のためにのみ挙げると、本開示の種々の側面によるパンツ20のようなトレーニングパンツを構成するための種々の材料及び方法は、2000年6月29日に公開されたA.FletcherらによるPCT特許出願WO00/37009号、1990年7月10日にVan Gompelらに付与された米国特許第4,940,464号、1998年6月16日にBrandonらに付与された米国特許第5,766,389号、及び2003年11月11日にOlsonらに付与された米国特許第6,645,190号に開示されており、これらは、引用により本明細書に組み入れられる。
【0016】
図1には、部分的に締結した状態で1対のトレーニングパンツ20が示されている。パンツ20は、図4に示すように、パンツの縦方向48及び縦方向に垂直な横方向49を定める。パンツ20は、一対の端部領域、別の言い方では、ここで全体的に22で示される前部ウエスト領域及び全体的に24で示される背部ウエスト領域と、これら前部及び背部ウエスト領域22、24の間に縦方向に延びてこれらを相互に連結する中央領域、別の言い方では、ここで全体的に26で示された股領域と、を更に定める。前部及び背部ウエスト領域22、24は、着用時に着用者のウエスト又は中部下部胴を全体的又は部分的に覆うか囲むパンツ20の部分を含む。股領域26は、一般に、着用時に着用者の脚間に配置されて着用者の下部胴及び股を覆うパンツ20の部分である。また、パンツ20は、パンツが着用されているときに着用者に面する内側表面28、及び内側表面に対向する外側表面30をも定める。図4を更に参照すると、トレーニングパンツ20は、1対の横方向に対向する側縁36、及びそれぞれ前部ウエスト縁38及び背部ウエスト縁39とよばれる1対の縦方向に対向するウエスト縁(広い意味で、縦方向端部)を有する。
【0017】
図1〜図4の実施形態では、トレーニングパンツ20は、全体的に32で示されるほぼ長方形の中央吸収性組立体と、該中央吸収性組立体とは別個に形成されてそれに固定された側部パネル34A、34Bと、を含む。側部パネル34A、34Bは、パンツ20の前部及び背部ウエスト領域22及び24それぞれで、継ぎ目に沿って中央吸収性組立体32に永久的に接着される。更に詳細には、前部側部パネル34Aは、前部ウエスト領域22に永久的に接着されて吸収性組立体32の側部マージン47を超えて横方向外向きに延びることができ、背部側部パネル34Bは、背部ウエスト領域24に永久的に接着されて吸収性組立体の側部マージンを超えて横方向外向きに延びることができる。側部パネル34A及び34Bは、接着剤、熱又は超音波接着のような当業者に公知の取り付け手段を用いて吸収性組立体32に接着することができる。
【0018】
従って、前部及び背部側部パネル34A及び34Bは、パンツ20を着用すると、着用者の臀部に配置されるトレーニングパンツ20の部分を含む。前部及び背部側部パネル34A及び34Bは、互いに永久的に接着してパンツ20の3次元構成を形成することもでき、図示した外観を有する締結システム59等により互いに取外し可能に連結することもできる。当技術分野では公知のように、側部パネル34A、34Bは、弾性材料又は伸張可能であるが非弾性材料を含むことができる。
【0019】
吸収性組立体32は、図1〜図3には、長方形の形状を有するように示される。しかし、吸収性組立体32は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の形状(例えば、砂時計形、T形、I形等)とすることができることも意図されている。また、側部パネル34A、34Bは、その代わりに、本開示の範囲から逸脱することなく吸収性組立体32と一体的に形成することができることも理解できる。
【0020】
図4及び図5に最もよく示されるように、吸収性組立体32は、外側カバー40及び外側カバー40に重ね合わせ(対向する)関係で接着剤、超音波接着、熱接着、圧力接着、又は他の従来の技術により取り付けられた身体側ライナ42を含む。ライナ42は、パンツ20の縦方向端部の少なくとも一部に沿って外側カバー40に適切に接合される。また、ライナ42は、外側カバー40に適切に接合される。ライナ42は、パンツが着用されている状態で着用者の皮膚と近接する関係になるように、パンツ20の他の構成要素に対して適切に適合、即ち配置される。また、吸収性組立体32は、着用者から滲出される液体身体滲出物を吸収するための外側カバー40と身体側ライナ42との間に配置された吸収性構造44と、吸収性構造と身体側ライナとの間に配置されたサージ管理層45と、を含む。身体滲出物の横方向流れを阻害するために、1対の閉じ込めフラップ46が身体側ライナ42に固定される。
【0021】
図1に部分的に示したように締結した位置のトレーニングパンツ20では、前部及び背部ウエスト領域は、締結システム59により互いに接続され、ウエスト開口部50及び1対の脚開口部52を有する3次元パンツ構成を定める。トレーニングパンツ20の前部及び背部ウエスト縁38及び39(例えば縦方向端部)は、着用者のウエストを取り囲んでパンツのウエスト開口部50(図1)を定めるように構成される。
【0022】
図4に示すように、フラップ弾性部材53は、当技術分野で公知のあらゆる適切な様式で各閉じ込めフラップ46と作動可能に接合することができる。閉じ込めフラップ46の適切な構成及び配列は、一般に、当業者には公知であり、1987年11月3日にEnloeに付与された米国特許第4,704,116号に記載されており、これは、引用により本明細書に組み入れられる。
【0023】
身体滲出物の閉じ込め及び/又は吸収を更に向上させるために、トレーニングパンツ20は、当業者に公知のように、前部ウエスト弾性部材54(図1)、後部ウエスト弾性部材56、及び脚弾性部材58(図2〜図4)を含むことができる。フラップ弾性部材53、ウエスト弾性部材54及び56、及び脚弾性部材58は、当業者に公知の適切な弾性材料のいずれかで形成することができる。
【0024】
図示した実施形態の締結システム59は、対応する横方向に対向する第2の締結構成要素62に再締結可能に係合するようにされた横方向に対向する第1の締結構成要素60を含む。実施形態の1つでは、各締結構成要素60、62の前部又は外側表面は、複数の係合要素を含む。第1の締結構成要素60の係合要素は、第2の締結構成要素62の対応する係合要素に繰り返し係合したり外れたりし、パンツ20を3次元構造に取外し可能に固定するようにされる。締結構成要素60、62は、接着剤締結装置、粘着性締結装置、機械的締結装置等のような吸収性物品に適切なあらゆる再締結可能な締結装置を含むことができる。また、適切な締結システムは、先に組み入れた2000年6月29日にFletcherらにより公開されたPCT特許出願WO00/37009号及び先に組み入れた2003年11月11日にOlsonらに付与された米国特許第6,645,190号に開示されている。
【0025】
外側カバー40は、適切には、実質的に液体不透過性である材料を含む。外側カバー40は、液体不透過性材料の単一の層を含むことができ、更に適切には、層の少なくとも1つが液体不透過性である多層ラミネート構造を含むことができる。外側層は、必ずしも液体透過性である必要はないが、着用者に比較的布様の感触を与えるものであることが適切である。或いは、外側カバー40は、吸収性構造に隣接又は近接する選択した領域に望ましいレベルの液体不透過性を付与するように完全に又は部分的に構成又は処理された織又は不織繊維ウェブ層を含むことができる。また、外側カバー40は、伸張可能とすることもでき、実施形態のいくつかでは、エラストマーとすることができる。Mormanらに付与された米国特許第5,883,028号、Mormanに付与された米国特許第5,116,662号及びMormanに付与された米国特許第5,114,781号を参照し、その全てを適切な外側カバー材料に関する付加的な情報のための参照として本明細書に組み入れる。
【0026】
身体側ライナ42は、従順で、柔らかい感触のものであり、着用者の皮膚に刺激がないことが適切である。また、身体側ライナ42は、液体身体滲出物が容易にその厚さを吸収性構造44まで通過することができるほど十分に液体透過性である。また、身体側ライナ42は、伸張可能とすることもでき、実施形態のいくつかでは、エラストマーとすることもできる。身体側ライナ材料に関する付加的な情報のために、2000年5月3日にRoesslerらにより出願された米国特許出願第09/563,417号、2000年10月27日にVukosらにより出願された米国特許出願第09/698,512号を参照し、この両方を参照により本明細書に組み入れる。
【0027】
吸収性構造44は、接着剤、超音波接着、熱接着等のような適切な手段で互いに接合することができる外側カバー40と身体側ライナ42との間に配置される。図示した吸収性構造44は、本明細書では、股領域26から前部及び背部ウエスト領域22及び24まで延びるように示して説明されているが、吸収性構造は、本発明の範囲から逸脱することなく、股領域から前部ウエスト領域のみに、又は背部ウエスト領域のみに延びることもできることも意図されている。
【0028】
吸収性構造44は、圧縮可能、従順性で、着用者の皮膚に刺激がなく、液体及び特定の身体排泄物を吸収して保持することができるものであることが適切である。例えば、吸収性構造44は、セルロース繊維(例えば木材パルプ繊維)、他の天然繊維、合成繊維、織又は不織シート、スクリム網状結合又は他の安定化構造、超吸収性材料、結合剤材料、界面活性剤、選択された疎水性の材料、顔料、ローション、臭気調節剤等のほか、その組み合わせを含むことができる。
【0029】
これらの材料は、当技術分野で公知の種々の従来の方法及び技術を用いて吸収性ウェブ構造に形成することができる。例えば、吸収性構造44は、乾式形成技術、空気式形成技術、湿潤式形成技術、発泡式形成技術等のほか、その組み合わせにより形成することができる。このような技術を実行するための方法及び装置は、当技術分野では公知である。或いは、吸収性構造44は、Andersonらに付与された米国特許第4,100,324号、Everhartらに付与された第5,284,703号及びGeorgerらに付与された第5,350,624号に開示される材料のようなコフォーム材料を含むこともでき、これらは、引用により本明細書に組み入れられる。
【0030】
超吸収性材料は、吸収性構造の総重量に基づき約0〜約90重量パーセントの量で吸収性構造44内に存在するようにすることが適切である。吸収性構造44の密度は、約0.10〜約0.35グラム/立方センチメートルの範囲内とすることができることが適切である。超吸収性材料は、当技術分野では公知であり、天然、合成、及び改質天然ポリマー及び材料から選択することができる。
【0031】
実施形態の1つでは、吸収性構造44は、該吸収性構造が接着剤接着されることになる場合がある外側カバー40及び身体側ライナ42のような他の構成要素の伸長可能性を阻害しないように伸張可能とすることができる。例えば、吸収性構造は、米国特許第5,964,743号、第5,645,542号、第6,231,557号、第6,362,389号、及び国際特許出願WO03/051254号に開示される材料を含むことができ、その各々の開示事項は引用により本明細書に組み入れられる。
【0032】
サージ管理層45は、接着剤、超音波又は熱接着のような当技術分野で公知の方法により、吸収性構造44及び/又は身体側ライナ42のような物品20の種々の構成要素に取り付けることができる。サージ管理層45は、物品20の吸収性構造44に急速に導入される可能性がある液体のサージ又は噴出を減速させ及び拡散させるのに役立つ。望ましくは、サージ管理層45は、液体が吸収性構造44の貯留又は保持部分に放出される前に、該液体を迅速に受け取って一時的に保持することができる。適切なサージ管理層45の例は、米国特許第5,486,166号及び米国特許第5,490,846号に記載されている。他の適切なサージ管理材料は、米国特許第5,820,973号に記載されている。これらの特許の全開示事項は、引用により本明細書に組み入れられる。
【0033】
任意的に、実質的に液体透過性のラップシート(図示せず)で吸収性構造44を取り囲み、吸収性構造44の一体性を維持するのを助けることができる。
【0034】
本開示の吸収性物品は、吸収性物品内の放出物(例えば、尿、糞便、月経流体、及び/又は血液等)の存在を検出するための監視システムを含む。一般に、1つ又はそれ以上の化学センサを用いて、放出物に付随する化合物の存在を検出する。システムは、化学センサの電気的特性(例えば、抵抗及び/又は伝導性等)を監視し、電気的特性の変化に基づき、吸収性物品が放出発作を受けたかどうかを判断する。放出物の存在を検出した後、介護者及び/又は吸収性物品の着用者は、放出物の存在に関する信号を受ける。信号は、例えば、歌のような聴覚信号、温度変化のような触覚信号、圧力、及び/又は振動、及び/又は点滅(各)光のような視覚信号、視覚メッセージ等の何れかとすることができる。本開示の範囲に他の信号も含まれることは理解される。
【0035】
放出物の存在を検出することに関して主に論じたが、監視システムは、吸収性物品における水蒸気の存在を検出するのに用いることもできる。当業者には理解されるように、高レベルの水蒸気は、吸収性物品の着用者の快適性のレベルに有害な影響を及ぼす可能性がある。水蒸気は、着用者からの汗又は発汗の結果として吸収性物品に存在する可能性もあり、及び/又は尿のような特定の放出物の結果とすることもできる。吸収性物品中の水蒸気のレベルを検出することにより、着用者及び/又は介護者は、吸収性物品の着用者の快適性のレベルを監視することができる。
【0036】
更に、監視システムを用い、異なる種類の放出物を区別することができる。本明細書で論じるように、吸収性物品は、2つ以上のセンサを含むことができる。特定の実施形態では、同じ吸収性物品内の異なるセンサは、異なる放出物に関連する化合物に感受性を有することができる。例えば、吸収性物品は、1つの種類の放出物に関連する化合物を検出することができる1つのセンサを含むことができ、更に、異なる種類の放出物に関連する化合物を検出することができる異なるセンサを含むことができる。この例では、介護者及び/又は吸収性物品の着用者は、一方又は両方の放出物の存在が検出されると合図を受けることができる。特定の実施形態では、信号は、放出物に応じて異ならせ、介護者及び/又は着用者が、信号の種類によりどの種類の放出物が検出されたかを判断することができるようにすることができる。
【0037】
本明細書で用いるセンサは、ケミレジスタである。一般に、「ケミレジスタ」は、1つ又はそれ以上の化学種の分子に暴露されるとその電気抵抗が変化するレジスタである。ケミレジスタは、少なくとも1対の間隔を置いて配置された電極にわたるかその間に配置されたケミレジスト性材料を含む。ケミレジスト性材料は、特定の分析物(例えば、揮発性有機化合物、水蒸気等)の吸収又は吸着に感受性があるポリマー材料中に懸濁した複数の導電性粒子を含む。分析物がポリマー材料に吸収又は吸着されると、ポリマー材料は膨潤する。この膨潤により、ケミレジスタに存在する隣接する導電性粒子間の間隔が増大し、その結果、ケミレジスタの電気抵抗が増大する。この抵抗の変化(又はコンダクタンスのような別の電気的特性に対応する変化)を測定して記録し、これを用いて、放出発作が起こると介護者及び/又は吸収性物品の着用者に合図する。この工程は可逆的である(即ち、分析物が、ポリマー材料から脱着し、従って、ケミレジスタの抵抗を減少させることができる)ため、ケミレジスタを用いて、複数の放出物を検出することができる。
【0038】
本開示のケミレジスタは、特定の揮発性有機化合物(VOC)の吸収又は吸着に感受性があるように選択され、詳細には、尿、糞便、月経流体、及び/又は血液のような特定の身体排泄物又は滲出物に関連するVOCに感受性があるように選択される。本明細書で用いる場合、「揮発性有機化合物」という用語は、身体排泄物又は滲出物に存在する微生物が生成する有機及び無機代謝ガス及び化合物の両方を含むことを意味する。
【0039】
特定のVOCは、1つ又はそれ以上の種類の身体排泄物に関連することができる。一般に、尿に関連するVOCには、例えば、他にもあるが、アンモニア化合物(例えば、水酸化アンモニア)、短鎖(C1〜C2)酸(例えば、酢酸)、中鎖(C8〜C10)アルデヒド(例えば、ノナナール)、ケトン(例えば、メチルエチルケトン)、クレゾール(例えば、メチルフェノール)、ジメチルジスルフィド、トリメチルアミン、リモネン(例えば、4−イソプロピル−1−メチルシクロヘキサン)、酢酸、メチルベンゾエート、ベンゾアミド、ベンズアルデヒド、及びトリエチルアミンが含まれる。一般に、糞便に関連するVOCには、例えば、他にもあるが、スカトール(例えば、3−メチル−1H−インドール、3−メチルインドール等)、メルカプタン(例えば、2−メルカプトエタノール)、硫化水素、短鎖脂肪酸(例えば、ミリスチン酸)、メタンチオール(例えば、2−メルカプトエタノール)、及びジメチルスルフィドが含まれる。一般に、月経流体に関連するVOCには、例えば、他にもあるが、トリメチルアミンが含まれる。
【0040】
特定のVOCに対するケミレジスタの特異性は、ケミレジスタに用いられるポリマー材料によって決まる。一般に、異なるポリマーは、種々の程度の特異性を備えるVOCを吸収又は吸着することになる。適切なポリマー材料は、典型的には、検出されるVOCの化学特性例えば、VOCが親水性であるか疎水性であるか、VOCの極性、VOCの官能性等を最初に判断することにより選択される。好ましくは、選択されるポリマー材料の化学特性は、検出されるVOCの特性と同様である。
【0041】
実施形態の1つでは、ポリマー材料は、その溶解度パラメータδに基づいて選択することができ、これは、ポリマー材料に収着されるVOCの溶解度パラメータとほぼ同じであることが好ましい。ポリマー材料及びVOCの溶解度パラメータδがほぼ同じである場合には、ポリマー材料及びVOCの分子間に実質的な相互作用が存在し、それによって、VOCがポリマー材料に実質的に収着されることになる。種々のポリマー及びVOCに対する溶解度パラメータδは、単純な実験で決定することができるか、容易に計算することができるか、化学参考図書の表から決定することができる(米国特許第6,902,701号も参照されたい。この特許は、引用により本明細書に組み入れられる)。
【0042】
また、VOCを検出するための特定のポリマーの適合性も、実験的に部分的に本明細書の開示事項に基づき、当業者により容易に直ちに決定することができる。例えば、検出するVOCと同様の化学特性を有するポリマーが選択されると、次に、(例えば、本明細書の例に記載したような方法を用いることにより)ポリマーを含むケミレジスタを試験し、ケミレジスタがVOCに暴露されるときに抵抗の変化があるかどうかを判断することができる。ケミレジスタには、大きく抵抗が変化することになるポリマーを用いることが好ましい。
【0043】
標的VOCが存在する際のケミレジスタの抵抗(又は上に記載したような他の電気的特性)の変化は、部分的に、VOCの濃度によって決まる。例えば、ケミレジスタの抵抗は、一般に、標的VOCの増大する濃度に暴露されると増大することになる。この例は、図13に示されており、これは、VOCジメチルジスルフィドの濃度と、ポリ(エチレン−ビニルアセテート)(PEVA)を含むケミレジスタの抵抗との間の関係を示す。一般に、本開示のケミレジスタは、少なくとも約1ppmの標的VOC濃度で、標的VOCを検出する(例えば、標的VOCが存在するときに抵抗の増大を示すか、伝導性のような別の電気的特性の変化を示す)ことができることが好ましい。
【0044】
本開示に用いられるケミレジスタを形成するのに用いることができる特定のポリマー材料には、他にもあるが、ポリエピクロロヒドリン(PECH)、ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVNP)、ポリイソブチレン(PIB)、ポリ(エチレン−ビニルアセテート)(PEVA)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、エチルセルロース(EC)、及びポリ(ジフェノキシホスファジン)(PDPP)が含まれる。好ましくは、ポリマー材料は、PECH、PVNP、PIB、及びPEVAから成る群から選択される。
【0045】
特定のVOCを収着することに加え、特定のポリマーは、水蒸気にも感受性がある可能性がある。その結果、水蒸気(例えば、着用者の発汗から又は外部環境からのもの)もポリマー材料に収着されてケミレジスタの抵抗に影響を及ぼす可能性がある。VOCに関して上に論じたように、ポリマー材料の水蒸気に対する感受性は、ポリマー材料の化学特性によって決まることになる。例えば、PNVPを含むケミレジスタは、水蒸気に感受性がある(即ち、飽和水蒸気に暴露されると抵抗が変化する)が、PEVA、PIB、及びPECHを含むケミレジスタは、飽和水蒸気に暴露されても抵抗が殆ど変化しない。ケミレジスタに、吸収性物品に入る水蒸気に対する感受性を組み入れることにより、吸収性物品の着用者の快適性のレベルも監視することができる。
【0046】
上に論じたように、ポリマー材料は、ポリマー材料の化学特性と検出するVOCの化学特性とを一致させることにより特定のVOCを検出するための高感受性又は選択性を生じるように選択することができる。従って、実施形態の1つでは、本開示の吸収性物品は、特定の種類のVOCに感受性がある単一のケミレジスタを含むことができる。例えば、PECHは、芳香性及び塩素化炭化水素のほか、ベンズアルデヒドに特に感受性がある。極性化合物であるPVNPは、トリメチルアミン、ベンズアルデヒド、アンモニア、メルカプタン、及び水蒸気のような極性VOCに感受性がある。PIB及びPEVAは、疎水性であり、リモネン及びベンズアルデヒドのような疎水性VOCに感受性がある。また、PIBは、非極性VOCにも感受性がある。
【0047】
また、本開示の吸収性物品は、2種類以上のVOCの存在に感受性がある単一のケミレジスタを含むことができる。例えば、特定のポリマー材料は、その構造内に同様の官能性又は化学亜族を共有するVOCの階級に感受性を有することができる。そのようなポリマーを含むケミレジスタは、その階級の多数のVOCの何れか1つに暴露されると抵抗が変化することができる。しかし、変化の程度は、典型的には、各個々のVOCに対して異なることになる。例えば、ポリマーは、典型的には、その階級の2つ以上のVOCである程度抵抗が変化しても、1つの特定のVOCに他のVOCより良好に応答することになる。その結果、複数の種類のVOCを検出する必要がある場合には、一般に、各個々のVOCに対して異なるケミレジスタを用いることが好ましい。
【0048】
別の実施形態では、本開示の吸収性物品は、2つ以上のケミレジスタを含むことができる。この実施形態では、ケミレジスタは、各々異なるVOCに感受性を有することもでき、或いは、ケミレジスタの一部又は全てが、同じVOCに感受性を有することもできる。例えば、吸収性物品は、複数のケミレジスタを含むことができ、その一部又は全ては、同じVOCに感受性を有し、ケミレジスタは、以下に論じるように吸収性物品の異なる領域に配置される。別の例では、吸収性物品は、ケミレジスタの一部又は全てが異なる種類の放出物に関連するVOCに感受性を有する2つ又はそれ以上のケミレジスタを含むことができる。この例では、ケミレジスタを用いて、検出されるVOCに基づき、異なる種類の放出物を区別することができる。
【0049】
ポリマー材料に加え、ケミレジスト性材料は、複数の導電性粒子を更に含む。導電性粒子は、間隔を置いて配置された電極間に電圧が印加されると電流が流れるための複数の伝導路を設ける。典型的には、導電性粒子は、ケミレジスト性材料の全容量にわたって均一に分配される。
【0050】
好ましくは、ケミレジスト性材料は、約20重量%〜約60重量%、更に好ましくは約30重量%〜約50重量%の導電性材料を含む。一般に、あらゆる導電性材料を用いることができる。適切な導電性材料は、当技術分野では公知であり、例えば、炭素(例えば、グラファイト)、銀のような金属粒子、半導体材料等が含まれる。好ましくは、導電性材料は、炭素粒子を含む。前記導電性粒子の正確な大きさは、決定的ではないが、一般に、約1マイクロメートル〜約10マイクロメートルである。
【0051】
ケミレジスト性材料は、典型的には、ポリマー材料及び導電性粒子を溶媒に溶解することにより調製することができる。典型的には、溶媒は、ポリマー材料とほぼ同じ溶解度パラメータを有することになる。適切な溶媒は、用いたポリマー材料に基づき、当業者は容易に識別することができる。例えば、水は、PNVPのような極性ポリマーに特に適切な溶媒である。トリクロロエチレン(TCE)は、PECH、PEVA、及びPIBの溶媒として用いることができる。他の適切な溶媒は、当業者には容易に判断することができる。
【0052】
非制限的な例の1つでは、ケミレジスト性材料は、ポリマー材料を溶媒に溶解することにより調製することができる。これは、ポリマー材料及び溶媒を混合し、得られる混合物をほぼ40°Cに加熱することにより行うこともでき、或いは、ポリマー材料は、加熱することなく溶媒に溶解させることもできる。ポリマー材料を溶解した後、この混合物にある量の導電性粒子を加え、液体ケミレジスト性材料を形成することができる。例の1つとして、導電性粒子及びポリマーの質量は、合計約0.1gであり、約5mlの溶媒に混合されている。
【0053】
上に論じたように、導電性粒子は、ポリマー材料を通して均一に分配されることが好ましい。実施形態の1つでは、非イオン性界面活性剤のような界面活性剤を任意的に液体ケミレジスト性材料混合物に加え、ケミレジスタに電圧が印加されるときに導電性粒子が凝集又は凝塊形成したり、これらの粒子が電極に向かって移動したりすることを防止するように助けることができる。更に、液体ケミレジスト性材料は、任意的に超音波処理し、導電性粒子をポリマー材料中に分散させ、凝塊形成コロイドの形成を防止するように助けることができる。また、任意的に、液体ケミレジスト性材料をろ過し、導電性粒子により形成されたあらゆる凝塊形成コロイドを除去することができる。ろ過は、例えば、孔の大きさが約5μmのフィルタを用いて行うことができる。
【0054】
液体ケミレジスト性材料は、次に、吸収性物品の1対の間隔を置いた電極にわたって又はその間に配置される(deposed)。「間隔を置いて配置される」とは、電極が互いに直接接触しないことを意味する。ケミレジスト性材料は、一般に、電極にわたって配置されるが、ケミレジスト性材料は、電極間に配置することもできることは理解されることになる。この例では、ケミレジスト性材料は、ケミレジスト性材料が電極と電気的に接続する(例えば、下に論じるように回路を形成する)ように、各電極に十分に近接する必要がある。従って、本明細書で用いる場合、「1対の間隔を置いた電極にわたって配置される」という語句は、ケミレジスト性材料が、電極と電気的に接続するように電極にわたって及び/又はその間に配置される例を含むものとする。
【0055】
電極は、一般に導電性であるあらゆる材料で構成することができる。例えば、電極は、他にもあるが、金属ストリップ(例えばアルミニウムストリップ)、金属フィルム、金属ワイヤ、ホイル、コーティングフィルム、伝導性ポリマー、伝導性インク、又は伝導性糸で構成することができる。他の電極も本開示の範囲に含まれる。電極は、例えば、接着剤を用いるか、電極を吸収性物品の適切な表面に印刷することなどを含むあらゆる適切な手段により吸収性物品に取り付けることができる。液体ケミレジスト性材料は、例えば、スピンコーティング、スプレーコーティング、インクジェット堆積、印刷等を含むあらゆる適切な手段により、電極にわたって堆積することができる。好ましくは、ケミレジスト性材料は、印刷により電極にわたって堆積(deposed)する。
【0056】
ケミレジスタは、吸収性物品のあらゆる適切な表面に配置することができる。好ましくは、ケミレジスト性材料は、例えば、外側カバーのような吸収性物品の非極性表面に堆積される。実施形態の1つでは、ケミレジスト性材料は、外側カバーの吸収体側表面に堆積され、ケミレジスタを形成する。外側カバーは、依然として液体滲出物が外側カバーを通過しないようにしつつ、蒸気を吸収性本体から逃がすことができる「通気可能な」材料で構成することができるため、吸収性物品の放出物中のVOCは、依然として外側カバーを通ってケミレジスタに到達することができる。従って、ケミレジスト性材料は、或いは又はそれに加えて、外側カバーの外側表面に堆積し、ケミレジスタを形成することができる。
【0057】
任意的に、ケミレジスタが、吸収性物品の外側カバーの外側表面に配置されるときには、ケミレジスタは、例えば、フィルム又は印刷又は積層材料のような非多孔性で非通気可能な基質を含むコーティングで覆うことができる。このようなコーティングは、ケミレジスト性材料を外部環境から隔離し、ポリマー材料が外部から何らかのVOC又は水蒸気を収着する尤度を減少させるのを助ける。
【0058】
吸収性物品でのケミレジスタの特定の部位は限定されず、検出されるVOC及び身体排泄物及び吸収性物品の種類に応じて種々とされることになる。例えば、好ましい実施形態の1つでは、ケミレジスタは、図2〜図4に示すように、吸収性物品の股領域に配置することができる。或いは又はそれに加えて、ケミレジスタは、吸収性物品の他の領域に配置することもできる。
【0059】
本明細書に記載した1つ又はそれ以上のケミレジスタは、湿潤度監視システムの一部を形成する。一般に、監視システムは、回路を含む。ケミレジスト性材料は、電流源に電気的に接続される1対の間隔を置いた電極にわたって配置される。測定装置は、回路の電気的特性例えば、抵抗、伝導性、電圧等を測定し、電気的特性に関する情報を含む信号をマイクロプロセッサに送る。マイクロプロセッサは、信号を分析し、放出が起こったかどうかを判断する。マイクロプロセッサが、放出が起こったと判断すれば、指標手段(本明細書では放出警報ともいう)は、介護者及び/又は吸収性物品の着用者に、放出が起こったという信号を送るように活性化される。或いは、マイクロプロセッサは、放出が起こったと判断すると、送信器を活性化することができ、これが、次に、縁郭部位の受信器に、放出が起こったという信号を送ることができる。次に、受信器は、指標手段を活性化し、介護者又は吸収性物品の着用者に放出物が存在するという信号を送る。
【0060】
本明細書の考察から明らかなように、監視システムの構成要素(例えば、測定装置、マイクロプロセッサ、アナログデジタル変換装置、指標手段、及び/又は送信器等)は、共に又は別個に収容し、吸収性物品に取り付けることができる。或いは、監視システムの特定の構成要素は、遠隔部位に存在することができる。例えば、実施形態の1つでは、測定装置、マイクロプロセッサ、アナログデジタル変換装置、及び/又は送信器は、共に又は別個に収容して吸収性物品に取り付けられ、受信器及び/又は指標手段が、遠隔部位に共に又は別個に収容される。本明細書で用いる場合、「遠隔部位」とは、吸収性物品に取り付けられていない構成要素を意味する。例えば、実施形態の1つでは、受信器及び/又は指標手段は、介護者が保持することができる可搬形ユニットに収容することができる。このようなユニットの例には、枕元の警報器、目覚まし時計、ビーパー、又はポケットベルのような警報、ランプ、掛け時計等を含むことができる。
【0061】
図2〜図4に示す特に適切な実施形態では、湿潤度監視システムの例の1つは、全体に、参照番号70で示される。監視システム70は、上に論じたように放出物に関連するVOCの存在を検出するためのケミレジスタ72を含む。ケミレジスタ72は、1対の間隔を置いた電極E1、E2にわたって股領域26に配置される。電極E1、E2は、股領域26のケミレジスタ72からパンツ20の前部ウエスト領域22まで延びる。図5に最も良好に示されるように、電極E1、E2は、外側カバーの外側表面に配置することができるが、電極(及びケミレジスタ)は、上に論じるように、本開示の範囲から逸脱することなく、他の部位に配置することもできる。
【0062】
電流源B(図6に概略的に示す)の電流iは、電極E1、E2を通って流れる。電流源iは、(図示する)電池のような直流電力源とすることもでき、交流電流源とすることもできる。図示する実施形態では、電極E1、E2は、導電性スナップ締結装置79により電流源に電気的に接続される。しかし、例えば、クランプコネクタ、伝導性フック及びループ締結装置、伝導性接着剤(例えば、伝導性テープ)等のような電極を電流源に電気的に接続するあらゆる適切な手段は、本開示の範囲に含まれる。図3に示すように、各電極E1、E2の各対応する端部は、パンツ20の前部ウエスト領域22に配置された第1のスナップ締結装置部材79Aに接続される。或いは、第1のスナップ締結装置部材(又は他の接続手段)は、背部ウエスト領域24に配置することもでき、パンツ20の他の適切な部位に配置することもできる。電流源iを収容する収容ユニット82は、第1のスナップ締結装置79Aに係合し、収容部をパンツ20に固定するための対応する第2のスナップ締結装置要素79Bを有する。電流源iに加え、本実施形態の収容ユニット82は、以下に記載する湿潤度監視システム70の残りの構成要素を収容することもできるが、上に論じたように、収容ユニットは、残りの構成要素の一部のみを含んでもよく全く含まなくてもよいことを意図する。図示する実施形態では、収容ユニット82は、スナップ締結装置79によりパンツ20に取外し可能に固定されるが、収容ユニットは、クランプ、伝導性フック及びループ締結装置、伝導性接着剤(例えば伝導性テープ)等のような他の手段により吸収性物品に取外し可能に固定することもでき、或いは、本開示の範囲から逸脱することなく、あらゆる適切な手段により吸収性物品に永久的に固定することもできることは理解される。実施形態の1つでは、収容ユニットが吸収性物品に取外し可能に固定される場合には、収容ユニットは、例えば、古い吸収性物品を交換する時に収容ユニットを新しい吸収性物品に取り付けることにより再使用することができる。
【0063】
特定の実施形態では、吸収性物品は、2つ又はそれ以上のケミレジスタを含むことができる。この例では、第1のケミレジスタのケミレジスト性材料は、間隔を置いて配置された第1の対の電極にわたって配置することができ、少なくとも1つの付加的なケミレジスタのケミレジスト性材料は、少なくとも1つの異なる対の間隔を置いて配置された電極にわたって配置することができる。各対の間隔を置いて配置された電極は、次に、上に論じたように電流源に接続することができる。
【0064】
測定装置85(図6)は、回路の電気的特性を測定する。実施形態の1つでは、ケミレジスタ72の抵抗Rが測定される。電極E1、E2は、間隔を置いて配置されているため、電流源からの電流iは、ケミレジスタ72を通過して回路を完成させる必要がある。上に論じたように、VOCがケミレジスタのポリマー材料に吸収又は吸着されると、ポリマー材料は膨潤する。この膨潤により、ケミレジスタに存在する導電性粒子の間の間隔が増大し、これにより、ケミレジスタの電気抵抗が増大することになる。この抵抗の変化を監視し、これを用いて吸収性物品に放出物が存在するかどうかを判断することができる。抵抗に関して主に論じたが、他にもあるが、電圧、伝導性、及びインピーダンスを含む回路の他の電気的性質は、ケミレジスタの抵抗の変化に基づいて変化することができる。従って、本開示の範囲から逸脱することなく、これらの電気特性を測定し、これを用いて、吸収性物品に放出物が存在するかどうかを判断することができる。
【0065】
測定装置85は、測定されている回路の電気的特性を示すアナログ出力信号(図6)を生成する。例えば、測定装置85は、ケミレジスタ72にわたる電圧の低下を測定し、電圧の低下に対応するアナログ出力信号を生成することができる。出力電圧信号を用い、当技術分野で公知の適切な計算を行うことによるか、基準表を用いることにより抵抗又は伝導性のような他の電気的特性を求めることができる。例えば、当技術分野では公知のように、電圧の低下は、電流が一定の場合にはケミレジスタの抵抗を示す。従って、以下に更に詳細に説明するように、ケミレジスタ72の抵抗は、測定装置85のアナログ出力信号を用いて求めることができる。
【0066】
図7に示す実施形態の1つでは、アナログデジタル変換装置89は、測定装置85からアナログ出力信号を受け取り、この信号をデジタル出力信号に変換する。マイクロプロセッサ93は、電気的特性(例えば、電圧、抵抗、伝導性等)の大きさを表すデジタル出力信号を受け取り、それを分析して放出物の存在を判断する。マイクロプロセッサ93は、放出物の存在を検出すると、放出警報95を活性化する。或いは、マイクロプロセッサが、遠隔部位の受信器に信号を送る送信器(図示せず)を活性化し、受信器(別個の装置とすることもでき、放出警報の構成要素とすることもできる)が、放出警報を活性化する。放出警報(即ち指標手段)は、次に、介護者及び/又は吸収性物品の着用者に放出物が存在することを示す信号を送出する。上に論じたように、信号は、他にもあるが、聴覚性、視覚性、及び/又は触覚性とすることができる。
【0067】
アナログデジタル変換装置89は、アナログ信号をマイクロプロセッサで読み取ることができるデジタル信号に変換するための従来の装置である。本実施形態のアナログデジタル変換装置89は、別個の装置とすることもでき、マイクロプロセッサ93の構成要素とすることもできる。説明のために、電気的特性は、以降、抵抗と呼ぶことにするが、上に記載したように、多数の適切な特性の何れとすることもできる。
【0068】
実施形態の1つでは、測定装置85からのアナログ出力信号は、図7に示し、上に説明したように、デジタル出力信号に変換され、マイクロプロセッサ93に送られる。本明細書に記載したこれ及び他の図示した実施形態は、全デジタルの方法を用いるが、他の例では、一般に、当業者には理解されるように、部分的又は全体的にアナログの方法を用いることもできることは理解される。図12を参照すると、マイクロプロセッサ93は、命令200で、デジタル出力信号からの抵抗値(R1)(又は他の電気的特性)を収集して記憶する。命令202では、マイクロプロセッサ93は、測定した抵抗値(R1)(広い意味では、大きさの指標値)を大きさの閾値(MTV)に比較し、測定した抵抗が放出物の存在を示しているかどうかを判断する(広い意味では、第1の試験)。
【0069】
このように比較して、放出物の測定が示されない(即ち、測定した抵抗値R1が、大きさ閾値未満である)場合には、マイクロプロセッサ93は、大きさの閾値への比較で放出物の存在が示される(即ち、測定した抵抗値R1が、大きさの閾値MTV以上であることを示す)まで、上の段階を繰り返し、次の抵抗値を収集して記憶し、比較する段階を継続するように命令される。比較により、放出物の存在が示されれば、マイクロプロセッサ93は、命令210で放出警報を活性化する。或いは、上に論じたように、マイクロプロセッサが、遠隔部位の受信器に信号を送る送信器(図示せず)を活性化し、受信器が、放出警報を活性化する。
【0070】
典型的には、大きさ閾値は、標的VOCが存在するときにはケミレジスタの抵抗に対応することになる。上に論じたように、ケミレジスタは、ケミレジスタに用いるポリマー材料及び検出するVOCに応じて異なるVOCに種々の程度の感受性を有することになる。従って、大きさ閾値は、用いるケミレジスタ及び検出するVOCの両方に応じて変化することになる。ケミレジスタ及びVOCの異なる組合せの大きさ閾値は、例えば、検出するVOCが存在する時に(例えば、本明細書の例に記載するような方法を用いて)ケミレジスタの抵抗を求めることにより実験的に求めることができる。
【0071】
例えば、大きさ閾値は、VOCが存在しないときのケミレジスタに対する基線抵抗レベル及び標的VOCが存在するときのケミレジスタの抵抗レベルを求めることにより求めることができる。その特定のケミレジスタ/VOC組合せに対する大きさ閾値は、次に、これらの2つの値の間のあらゆる抵抗レベルで設定することができる。特定の大きさ閾値の選択は、ケミレジスタの望ましい感受性により種々とされることになる。典型的には、放出物が存在するか否かについて偽陽性決定されることを避けることを望む場合には、大きさ閾値を高く選択し、ケミレジスタの感受性が大きいことを望む場合には閾値を低く選択する。非制限的な例の1つでは、ケミレジスタの基線抵抗が10キロオームと測定され、標的VOCが存在する場合に同じケミレジスタの抵抗が3メガオームである場合には、大きさ閾値は、その特定のケミレジスタ/VOCの組合せには1メガオームとし、本質的に偽陽性であることを避けることが適切とすることができる。
【0072】
本開示の実施形態の1つでは、測定したケミレジスタ72の抵抗にパーセント較差試験を行い、吸収性物品が着用者に着用されるときに吸収性物品に放出物が存在する(又は不在である)と判断する。この実施形態では、時間の経過に伴い測定したケミレジスタの電気的特性の比例較差(例えば、パーセント較差)を求め、この比例較差を較差閾値に比較し、パンツに放出物が存在するかどうかを判断する。
【0073】
図8は、概略的に、ケミレジスタ72の抵抗のパーセント較差を求め、このパーセント較差を較差閾値に比較して放出物が存在することを判断するためのマイクロプロセッサ93の命令を示す。命令100では、マイクロプロセッサ93は、デジタル出力信号からそのメモリに第1の抵抗値(R1)を収集して記憶する。マイクロプロセッサ93は、次に、命令102で一定期間サンプリングを遅延し、その後、命令104で第2の抵抗値(R2)を収集して記憶する。遅延は、プログラムすることもでき、A/D変換装置89及び/又はマイクロプロセッサ93のサンプリングレートの関数とすることもできる。
【0074】
記憶した第1及び第2の抵抗値(R1、R2)を用い、命令106では、マイクロプロセッサ93は、第2の値(R2)から第1の値(R1)を引き、得られる差を第1の値(R1)で割って得られる商に100%を掛ける。得られる値は、命令108で較差指標値(DIV)として記憶される。
【0075】
命令110では、得られる較差指標値(DIV)を次に較差閾値(DTV)に比較し、放出物が存在するかどうかを判断する。例えば、較差指標値(DIV)が較差閾値(DTV)より大きければ、これは、放出物が存在することを示す。例として、較差閾値(DTV)は、10%と20%との間の値とすることもでき(標的VOCがケミレジスタに収着されるため抵抗が10%及び20%増大することを示す)、更に詳細には、較差閾値は、約15%とすることができる。較差指標値を較差閾値に比較し、放出物が存在することが示される場合には、他に指標が無ければ、マイクロプロセッサ93は、命令112で放出警報95を活性化し、介護者及び/又は着用者に放出物の存在を知らせる。しかし、較差指標値(DIV)を較差閾値(DTV)に比較して、放出物が存在することが示されない場合には、他の指標がなければ、マイクロプロセッサ93は、放出が示されるまで、新しい較差指標値を決定してそれを較差閾値に比較する上の段階を繰り返すように命令される。
【0076】
パーセント較差試験は、ケミレジスタの抵抗の大きさと独立であるため、VOCを吸収又は吸着する前には従来の大きさ閾値試験より更に正確である(即ち、放出物中を良好に検出し、偽陽性を検出する頻度が低い)ことが意図されている。パーセント較差試験は、抵抗の変化量に焦点を合わせており、複数の排尿を更に正確に検出することができる。
【0077】
較差実施形態の別の例では、マイクロプロセッサ93の命令は、前の連続抵抗値を現在の値に比較したパーセント較差、例えば、第3の抵抗値(R3)と第2の抵抗値(R2)との間の較差及び第3の値(R3)と第1の抵抗値(R1)との間の較差を求める段階を含むことができる。
【0078】
図9は、概略的に、この実施形態でのマイクロプロセッサの命令を示す。命令116では、マイクロプロセッサ93は、最初にデジタル出力信号からそのメモリに第1の抵抗値(R1)に収集して記憶する。次に、マイクロプロセッサは、命令118で一定時間遅延し、その後、命令120で第2の抵抗値(R2)を収集して記憶する。命令122でマイクロプロセッサ93は遅延し、その後、命令124で第3の抵抗値(R3)を収集して記憶する。命令126では、記憶した値を用い、マイクロプロセッサ93が、第3の値(R3)から第2の値(R2)を引き、得られる差を第2の値(R2)で割り、パーセント較差を得る。パーセント較差は、命令128で第1の較差指標値(DIV1)として記憶され、命令130で較差閾値(DTV)に比較され、この比較により放出物の存在が示されるかどうかを判断する。
【0079】
第1の較差指標値(DIV1)を比較して放出物が存在することが示される場合には、命令132で放出警報95が活性化される。比較して放出物が存在することが示されない場合には、マイクロプロセッサは、134で第3の値(R3)から第1の値(Rl)を引き、その差を第1の値(R1)で割ることにより第2の較差指標値(DIV2)を計算するように命令される。この第2のパーセント較差(DIV2)は、命令136で第2の較差指標値(DIV2)として記憶される。命令138では、第2の較差指標値(DIV2)は、次に、較差閾値(DTV)に比較される。
【0080】
第2の較差指標値(DIV2)を較差閾値(DTV)に比較し、放出物が存在することが示される場合には、命令132で放出警報が活性化される。比較して放出物が存在することが示されない場合には、マイクロプロセッサは、放出物が示されるまで、新しい較差指標値を較差閾値に比較するための上の段階を繰り返すように命令される。
【0081】
上の例では、第1の指標値(DIV1)又は第2の指標値(DIV2)の何れかが較差閾値(DIV)より大きい場合には、マイクロプロセッサ93は、放出警報95を活性化する。また、第1の指標値及び第2の指標値の両方が閾値より大きい場合(即ち、比較の両方で放出物が存在すると示される場合)のみに警報95が示されることになることも意図される。
【0082】
本開示の別の実施形態では、測定した回路の電気的特性に変化レート試験を行い、放出物が存在する(又は存在しない)と判断する。この実施形態では、時間の経過に伴う測定した電気的特性の変化レートを求め、この変化レートをレート閾値に比較して吸収性物品に放出物が存在するかどうかを判断する。
【0083】
この実施形態の例の1つでは、測定装置からの出力信号は、上に説明し、図7に示すように(例えばアナログデジタル変換装置89を介して)デジタル出力信号に変換され、マイクロプロセッサ93に受け取られる。図10は、例えば、ケミレジスタ72の抵抗の変化レートを求め、その変化レートをレート閾値に比較して放出物が存在すると判断するためのマイクロプロセッサ93の命令の例の1つを概略的に示す。命令142で、マイクロプロセッサ93は、そのメモリに最初にデジタル出力信号からの第1の抵抗値(R1)を収集して記憶する。マイクロプロセッサ93は、次に、命令144で一定時間遅延し、その後、命令146で第2の抵抗値(R2)を収集して記憶する。上に説明するように、遅延は、A/D変換装置89のサンプリング期間により求められるか及び/又は命令によりマイクロプロセッサ93にプログラム可能である。
【0084】
記憶した第1及び第2の値(R1、R2)を用い、命令148で、マイクロプロセッサ93は、第2の値から第1の値を引き、得られる較差をサンプリング期間で割る。得られる値は、命令150でレート指標値(RIV)として記憶される。命令152では、マイクロプロセッサ93は、得られるレート指標値(RIV)を比率閾値(RTV)に比較して放出物が存在するかどうかを判断する。例えば、レート指標値(RIV)がレート閾値(RTV)より大きい場合には、これは、放出物が存在することを示す。レート指標値をレート閾値に比較して放出物が存在することが示される場合には、他に指標がなければ、マイクロプロセッサ93は、命令154で、放出警報95を活性化し、介護者及び/又は着用者に放出物が存在すると知らせる。しかし、レート指標値をレート閾値に比較して放出物が存在することが示されない場合には、他に指標がなければ、マイクロプロセッサ93は、放出物の存在が示されるまで、新しいレート指標値を求め、それをレート閾値に比較するための上の段階を繰り返すように命令される。
【0085】
特定のケミレジスタ/VOC組合せのための適切なレート閾値は、ケミレジスタの望ましい感受性に応じて種々とすることができる。例えば、特定のケミレジスタ/VOC組合せのためのレート閾値は、VOC(R1)が存在しないときにケミレジスタの抵抗レベルを測定し、ケミレジスタを標的VOCに暴露し、標的VOC(R2)が存在するときにケミレジスタのピーク抵抗レベルを測定することにより求めることができる。R1値は、次に、R2値から引き、得られる較差を標的VOCに暴露した後にケミレジスタがピーク抵抗レベルに到達するのにかかる時間で割ることができる(或いは、抵抗の変化は、例えば予め決定した量の時間に対して測定することができ、3秒にわたる抵抗の変化を用いて抵抗の変化レートを計算することができる)。この値(オーム/秒)は、標的VOCが存在するときに観察されたケミレジスタの抵抗の増加レートである。この観察された増加レートより低い値は、レート閾値として選択することができる。典型的には、放出物が存在するか否かについて偽陽性の判断を避けることを望む場合には、高いレート閾値を選択し、ケミレジスタの感受性を大きくすることを望む場合には低いレート閾値を選択する。非制限的な例の1つでは、特定のケミレジスタ/VOCの組合せに対する観察された抵抗の増加レートが100キロオーム/秒である場合には、レート閾値は、観察される増加レートより低い何らかの値、例えば80キロオーム/秒のような値とされることになる。
【0086】
上に論じたパーセント較差試験のように、変化レート試験は、VOCが吸収又は吸着される前にはケミレジスタの抵抗の大きさに独立であり、特性がどれだけ素早く変化するかに焦点を合わせているため、変化レート試験は.従来の大きさ閾値試験より更に正確であることが意図される(即ち、放出物の検出に優れ、偽陽性を検出する頻度が少ない)。
【0087】
図11に示すように、変化レート実施形態の別の例では、マイクロプロセッサの命令は、前の連続する値を現在の値に比較した変化レート(例えば、第3の値と第2の値との間及び第3の値と第1の値との間の変化レート)を求める段階を含むことができる。この例は、第3の値(R3)と第2の値(R2)との間の第1のレート指標値(RIV1)が命令160で求められて命令162でレート閾値(RTV)に比較され、第3の値(R3)と第1の値(R1)との間の第2のレート指標値(RIV2)が命令164で求められて命令166でレート閾値(RTV)に比較されることを除き、パーセント較差実施形態に関して図9で与えられる命令と実質的に同様である。
【0088】
別の実施形態では、パーセント較差の実施形態及び変化レートの実施形態の両方を組み合わせて単一の実施形態にすることができ、それによって、較差指標値(DIV)の較差閾値(DTV)に対する比較及びレート指標値(RIV)のレート閾値(RTV)に対する比較の両方が、放出物の存在を示す場合に限り、放出警報95が活性化される。或いは、放出警報は、較差指標値の較差閾値に対する比較又はレート指標値のレート閾値に対する比較の何れかが放出物の存在を示す場合に活性化することができる。
【0089】
この実施形態(図示せず)の例の1つは、図8及び図10(R2−R1を用いる)又は図9及び図11(R3−R2及びR3−R1を用いる)の例の組合せであり、この場合、測定装置からのアナログ出力信号は、デジタル出力信号に変換され、マイクロプロセッサは、レート指標値及び較差指標値の両方を計算して両方の値をそれぞれの閾値に比較し、デジタル出力信号を用いて放出物の存在を判断するように命令される。
【0090】
先に論じたように、特定のポリマー材料は、特定のVOCに加えて水蒸気に感受性がある。その結果、着用者の発汗又は外部環境からの水蒸気がポリマー材料に収着され、ケミレジスタの抵抗に影響を及ぼす可能性がある。従って、実施形態の1つでは、この水蒸気は、基線水蒸気レベルが存在するときにケミレジスタの抵抗を判断することにより明らかにされる。例えば、ケミレジスタの抵抗は、一定時間にわたって測定し、これを用いて平均抵抗値を計算することができる。この平均抵抗値は、放出物が存在しないときにケミレジスタに収着することができる水蒸気を明らかにする。次に、例えば、変化レート又はパーセント較差試験でR1値としてこの平均を用いる。
【0091】
当業者には明らかなように、マイクロプロセッサにより上に記載した試験の多数の変形形態のほか、他の従来の公知の試験を行い、吸収性物品に放出物が存在するかどうかを判断することができる。
【0092】
前記較差閾値(DTV)、レート閾値(RTV)、大きさの閾値(MTV)に与えられる例示的な値を含む上の試験/検査に与えられる例示的な値及び値の範囲及び本開示に実際に用いられる値及び期間は、ケミレジスタの材料特性及び検出するVOC、用いる電極の種類、吸収性物品内の電極の位置、使用者の好み、及び種々の試験に用いられる指示値及び期間に影響を及ぼすあらゆる他の変数のような変数に応じて変化する可能性があることは理解される。
【0093】
本開示又はその実施形態の要素について言及する場合には、不定冠詞と定冠詞及び「前記」は、1つ又はそれ以上の要素が存在することを意図するものである。用語「備える」、「含む」及び「有する」は、包括的であるものとし、列記した要素以外に付加的な要素が存在する可能性があることを意味する。
上記を考慮すると、本発明の目的のいくつかが達成されると、他の有利な結果が得られることがわかるであろう。
本発明の範囲から逸脱することなく、上記の構造、製品、及び方法には種々の変更を行うことができるため、上述の記載に含まれ、添付の図面に示される全ての事項は、実例を示すものであり、限定的な意味で解釈されるものではないことが意図されている。
実施例
【実施例1】
【0094】
種々の種類のポリマー材料を含むケミレジスタを試験し、ケミレジスタが、尿及び糞便に通常存在する種々のVOCの存在を検出する能力を求めた。
【0095】
ポリマー材料として(1)ポリ(エチレン−ビニルアセテート)(PEVA)、(2)ポリ(N−ビニルピロリドン)(PNVP)、(3)ポリイソブチレン(PIB)、又は(4)ポリエピクロロヒドリン(PECH)の何れかを含み、導電性材料として炭素を含むケミレジスタは、8つの異なるVOC(表1に列記する)、及び水蒸気の存在を検出する能力を評価した。ケミレジスタは、チップ(即ち、集積回路パッケージ)上に配置し、4つのケミレジスタを含むチップは、Sandia National Laboratories(ニューメキシコ州アルバカーキ)から得た。
【0096】
各VOC25マイクロリットルを独立に別個の500ミリリットルビンに入れ、ビンを密封した。化合物を約37°Cまで約20分間温めた。次に、室温に戻るまでビンを放置した。
【0097】
ケミレジスタは、チップの特定のケミレジスタから抵抗計まで走る標準測定リード線を用いて抵抗計に接続し、抵抗計は、データを取得するためにシリアルポートによりコンピュータに接続した。4つ全てのケミレジスタを含むチップは、トリメチルアミンを含む第1のビンの上部から抵抗計のリード線により吊るし、パラフィルムでビンを密封し、フィルムをリード線の周りに圧迫密封した。ケミレジスタは、室温で約2〜3分間、密封した第1のビンに保存し、第1のケミレジスタ(即ち、リード線に接続されたケミレジスタ)の抵抗の実時間測定値をコンピュータにより記録した。トリメチルアミンに暴露した後、ケミレジスタを含むチップをビンから取り出し、ケミレジスタからトリメチルアミンを約2〜3分間脱着させた。ケミレジスタを含むチップは、次に、抵抗計のリード線によりトリエチルアミンを含むビンの上部から吊るし、上に記載するようにビンを密封した。ケミレジスタは、室温で密封ビンに約2〜3分間保存し、第1のケミレジスタの抵抗の実時間測定値をコンピュータにより記録した。トリエチルアミンに暴露した後、ケミレジスタを含むチップをビンから取り出し、約2〜3分間ケミレジスタからトリエチルアミンを脱着させた。この工程は、ケミレジスタが、表1に列記された各化合物に暴露されるまで、各付加的な化合物に対して繰り返し、その度に第1のケミレジスタの抵抗の測定値を記録した。次に、全工程を更に3回繰り返し、その度に、異なるケミレジスタに対して抵抗測定を行った。
【0098】
結果は図14〜図17に示しており、これは、PEVA(図14)、PVNP(図15)、PIB(図16)、又はPECH(図17)を含むケミレジスタが各化合物に暴露されるときの抵抗の変化を示す。一般に、抵抗値が高ければ、VOCの存在に対するケミレジスタの感受性が高まった。ケミレジスタがVOCの1つに暴露される時点の間の抵抗の低下は、図14〜図17にみられ、これは、VOCをケミレジスタから脱着させた時間を表す。これらの結果からわかるように、PEVA及びPIBケミレジスタは、リモネン及びベンズアルデヒドに特に感受性が高く、PECHケミレジスタは、ベンズアルデヒドに特に感受性が高く、PNVPケミレジスタは、トリメチルアミン、ベンズアルデヒド、水酸化アンモニア、メルカプトエタノール、及び水蒸気を含むいくつかの異なる化合物に感受性があった。
表1

【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】トレーニングパンツの片側が締結され、対向する側が締結されていない機械的締結システムを有するトレーニングパンツの形で示される本発明の吸収性物品の側面斜視図である。
【図2】図1のパンツの斜視図である。
【図3】物品から除去された監視システムの収容部を示す図2と同様のパンツの斜視図である。
【図4】パンツが締結されずに広げられて平たくされた状態であり、着用時に着用者に面するトレーニングパンツの表面を示し、その下の特徴を示すために一部切り欠かれた図1のトレーニングパンツの平面図である。
【図5】図4の線5−5を含む平面でとったパンツの断面図である。
【図6】パンツ及び本開示の監視システムの実施形態の1つの略図である。
【図7】パンツの電気的特性を測定するための測定装置及び測定装置からのアナログ出力をマイクロプロセッサに読まれるデジタルの値に変換するためのアナログデジタル変換器を含む本開示の構成要素/装置の作業の順序を示す本開示の実施形態の1つのブロック図である。
【図8】パンツの測定した抵抗の比例較差を用いて放出物が存在するかを判断する本開示のマイクロプロセッサのための例示的な命令のブロック図である。
【図9】連続する抵抗値を用い、測定したパンツの抵抗の比例較差を求める本開示のマイクロプロセッサのための例示的な命令のブロック図である。
【図10】測定したパンツの抵抗の変化レートを用いて放出物が存在するかを判断する本開示のマイクロプロセッサのための例示的な命令のブロック図である。
【図11】連続する抵抗値を用い、測定したパンツの抵抗の変化レートを求める本開示のマイクロプロセッサのための例示的な命令のブロック図である。
【図12】放出発作が起こったかどうかを判断するためのマイクロプロセッサに対する命令を示す本開示の別の実施形態のブロック図である。
【図13】ジメチルジスルフィドの濃度(g/L)とポリ(エチレン−ビニルアセテート)(PEVA)を含むケミレジスタの抵抗(オーム)との間の関係を示す図である。
【図14】実施例1で論じたように、ポリ(エチレン−ビニルアセテート)(PEVA)を含むケミレジスタが一般に尿及び/又は糞便に関連する種々の化合物に暴露される場合の抵抗の変化を示す図である。
【図15】実施例1で論じたように、ポリ(N−ビニルピロリドン)(PVNP)を含むケミレジスタが一般に尿及び/又は糞便に関連する種々の化合物に暴露される場合の抵抗の変化を示す図である。
【図16】実施例1で論じたように、ポリイソブチレン(PIB)を含むケミレジスタが一般に尿及び/又は糞便に関連する種々の化合物に暴露される場合の抵抗の変化を示す図である。
【図17】実施例1で論じたように、ポリエピクロロヒドリン(PECH)を含むケミレジスタが一般に尿及び/又は糞便に関連する種々の化合物に暴露される場合の抵抗の変化を示す図である。を含む場合の抵抗の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
20 パンツ
22 前部ウエスト領域
24 背部ウエスト領域
26 股領域
42 身体側ライナ
50 ウエスト開口部
52 脚開口部
58 脚弾性部材
70 湿潤度監視システム
72 ケミレジスタ
79 スナップ締結装置
82 収容ユニット
E1、E2 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の間隔を置いた電極にわたして配置され、複数の導電性粒子及びポリマー材料を含むケミレジスタと、
前記ケミレジスタの電気的特性の変化を検出することができるマイクロプロセッサと、
吸収性物品内に前記ケミレジスタの電気的特性の変化が存在することを示す信号を送出する手段と、
を含む吸収性物品であって、
前記ケミレジスタは、水蒸気と、尿、月経流体、糞便、血液、及びその組合せから成る群から選択される放出物中に存在する揮発性有機化合物と、それらの組合せと、から成る群から選択される分析物に暴露されたとき、その抵抗が変化することができるものであることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記マイクロプロセッサと、前記前記吸収性物品内における前記ケミレジスタの電気抵抗の変化が存在することを示す信号を送出するための手段と、を含む収容ユニットを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収性物品に前記ケミレジスタの電気的特性に変化が存在することを示す信号を送出する手段が、聴覚信号、触覚信号、視覚信号、及びその組合せから成る群から選択される信号を生成するものであることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記ポリマー材料が、ポリエピクロロヒドリン、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリイソブチレン、ポリ(エチレン−ビニルアセテート)、ポリ(ビニルアルコール)、エチルセルロース、ポリ(ジフェノキシホスファジン)、及びその組合せから成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記揮発性有機化合物が、水酸化アンモニア、短鎖(C1〜C2)酸、中鎖(C8〜C10)アルデヒド、ケトン、クレゾール、ジメチルジスルフィド、トリメチルアミン、リモネン、酢酸、メチルベンゾエート、ベンズアミド、ベンズアルデヒド、トリエチルアミン、スカトール、メルカプタン、硫化水素、短鎖脂肪酸、メタンチオール、ジメチルスルフィド、及びその組合せから成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記ケミレジスタが、約20重量%〜約60重量%の前記導電性粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性物品が着用されるとき着用者に面するように向く身体側表面及び前記身体側表面とは反対側の吸収体側表面を有するライナと、
吸収体側表面及び外側表面を有する外側カバーと、
前記ライナと前記外側カバーとの間に配置され、前記ライナを透過する身体滲出物を吸収するための吸収性構造と、
を更に含み、
前記ケミレジスタが、前記外側カバーの前記外側表面上にある
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記ケミレジスタが、コーティングで覆われることを特徴とする請求項7に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記吸収性物品が着用されるとき着用者に面するように向く身体側表面及び前記身体側表面とは反対側の吸収体側表面を有するライナと、
吸収体側表面及び外側表面を有する外側カバーと、
前記ライナと前記外側カバーとの間に配置され、前記ライナを透過する身体滲出物を吸収するための吸収性構造と、
を更に含み、
前記ケミレジスタが、前記外側カバーの前記吸収体側表面上にある
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記吸収性物品が、第1のケミレジスタ及び少なくとも1つの付加的なケミレジスタを含み、前記第1のケミレジスタは、第1の放出物中に存在する揮発性有機化合物に暴露されたとき、その抵抗が変化することができ、前記少なくとも1つの付加的なケミレジスタは、前記第1の放出物とは異なる少なくとも1つの付加的な放出物中に存在する揮発性有機化合物に暴露されたとき、その抵抗が変化することができるものであることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項11】
1対の間隔を置いた電極にわたして配置され、複数の導電性粒子及びポリマー材料を含むケミレジスタと、
前記ケミレジスタの電気的特性の変化を検出することができるマイクロプロセッサと、
吸収性物品内に前記ケミレジスタの電気的特性の変化が存在することを示す信号を送出する手段と、
前記吸収性物品から離れた位置にある受信器に信号を送ることができる送信器と
を備え、
前記受信機が、前記前記吸収性物品内に前記ケミレジスタにおける電気的特性の変化を知らせることができる放出警報を含む吸収性物品であって、
前記ケミレジスタは、水蒸気と、尿、月経流体、糞便、血液、及びその組合せから成る群から選択されるものである放出物中に存在する揮発性有機化合物と、それらの組合せと、から成る群から選択される分析物に暴露されたとき、その抵抗が変化することができるものであることを特徴とする吸収性物品。
【請求項12】
前記マイクロプロセッサ及び前記送信器を含む収容ユニットを更に含むことを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記放出警報が、聴覚信号、触覚信号、視覚信号、及びその組合せから成る群から選択される信号を生成することを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記ポリマー材料が、ポリエピクロロヒドリン、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリイソブチレン、ポリ(エチレン−ビニルアセテート)(PEVA)、ポリ(ビニルアルコール)、エチルセルロース、及びポリ(ジフェンオキシホスファジン)、及びその組合せから成る群から選択されることを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記揮発性有機化合物が、水酸化アンモニア、短鎖(C1〜C2)酸、中鎖(C8〜C10)アルデヒド、ケトン、クレゾール、ジメチルジスルフィド、トリメチルアミン、リモネン、酢酸、メチルベンゾエート、ベンズアミド、ベンズアルデヒド、トリエチルアミン、スカトール、メルカプタン、硫化水素、短鎖脂肪酸、メタンチオール、ジメチルスルフィド、及びその組合せから成る群から選択されることを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項16】
前記ケミレジスタが、約20重量%〜約60重量%の前記導電性粒子を含むことを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項17】
前記吸収性物品が着用されると着用者に面するように向く身体側表面及び前記身体側表面とは反対側の吸収体側表面を有するライナと、
吸収体側表面及び外側表面を有する外側カバーと、
前記ライナと前記外側カバーとの間に配置され、前記ライナを透過する身体滲出物を吸収するための吸収性構造と、
を更に含み、
前記ケミレジスタが、前記外側カバーの前記外側表面上にある
ことを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項18】
前記ケミレジスタが、コーティングで覆われることを特徴とする請求項17に記載の吸収性物品。
【請求項19】
前記吸収性物品が着用されるとき着用者に面するように向く身体側表面及び前記身体側表面とは反対側の吸収体側表面を有するライナと、
吸収体側表面及び外側表面を有する外側カバーと、
前記ライナと前記外側カバーとの間に配置され、前記ライナを透過する身体滲出物を吸収するための吸収性構造と、
を更に含み、
前記ケミレジスタが、前記外側カバーの前記吸収体側表面上にある
ことを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項20】
前記吸収性物品が、第1のケミレジスタ及び少なくとも1つの付加的なケミレジスタを含み、前記第1のケミレジスタは、第1の放出物中に存在する揮発性有機化合物に暴露されたとき、その抵抗が変化することができ、前記少なくとも1つの付加的なケミレジスタは、前記第1の放出物とは異なる少なくとも1つの付加的な放出物中に存在する揮発性有機化合物に暴露されたとき、その抵抗が変化することができるものであることを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項21】
吸収性物品に放出物中が存在することを検出する方法であって、前記方法が、
1対の間隔を置いた電極にわたして配置され、複数の導電性粒子及びポリマー材料を含むケミレジスタを含む吸収性物品を、着用者にあてがう段階と、
前記吸収性物品が前記着用者に着用されているときに前記ケミレジスタの電気的特性を監視する段階と、
を含み、
該監視段階において、前記ケミレジスタの抵抗は、前記ケミレジスタが水蒸気と、尿、月経流体、糞便、血液、及びその組合せから成る群から選択される放出物中に存在する揮発性有機化合物と、それらの組合せと、から成る群から選択される分析物に暴露されたとき変化することができ、さらに、
時間の経過に伴う前記電気的特性の比例較差を求め、前記求めた比例較差に対応する較差指標値を生成する段階と、
前記較差指標値を較差閾値と比較して、前記吸収性物品に、前記放出物、前記水蒸気、又はその組合せが存在することを判断する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
前記較差指標値を前記較差閾値に比較して前記放出物、前記水蒸気、又はその組合せが存在することが示される場合には、前記放出物、前記水蒸気、又はその組合せが存在することを介護者及び/又は着用者に通信する段階を更に含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
吸収性物品に放出物が存在することを検出する方法であって、前記方法が、
1対の間隔を置いた電極にわたして配置され、複数の導電性粒子及びポリマー材料を含むケミレジスタを含む吸収性物品を、着用者にあてがう段階と、
前記吸収性物品が前記着用者に着用されているときに前記ケミレジスタの電気的特性を監視する段階と、
を含み、
前記監視段階において、前記ケミレジスタの抵抗は、前記ケミレジスタが、水蒸気と、尿、月経流体、糞便、血液、及びその組合せから成る群から選択される放出物中に存在する揮発性有機化合物と、それらの組合せと、から成る群から選択される分析物に暴露されたとき、変化することができ、さらに、
時間の経過に伴う前記電気的特性の変化レートを求め、前記求めた変化レートに対応するレート指標値を生成する段階と
前記レート指標値をレート閾値と比較して、前記吸収性物品に、前記放出物、前記水蒸気、又はその組合せが存在することを判断する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
前記レート指標値を前記レート閾値と比較して、前記放出物、前記水蒸気、又はその組合せが存在することが示される場合には、前記放出物、前記水蒸気、又はその組合せが存在することを介護者及び/又は着用者に通信する段階を更に含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2009−521259(P2009−521259A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547219(P2008−547219)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/038835
【国際公開番号】WO2007/073428
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】