微量種の分光測定のための光ファイバ共振器における拡張されたエバネッセントフィールド露出の方法と装置
【課題】サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種を検出して測定するための改良された装置を提供する。
【解決手段】受動共振光ファイバ・リングと、上記光ファイバ・リングと一直線に配置されると共に、サンプル気体またはサンプル液体に露出されるテーパー部を有する少なくとも1つのセンサと、放射線を発射するコヒーレント放射源と、コヒーレント放射源によって発射される放射線の少なくとも一部を上記受動共振ファイバ・リングの第1のセクションへ供給するための第1の光カプラと、放射線の一部を上記共振ファイバ・リングの第2のセクションから受動共振ファイバ・リングにおいて受信するための第2の光カプラを備え、第2の光カプラに結合されて、第2の光カプラによって受信される放射線の減衰率に基づいて気体サンプルまたは液体サンプル内の微量種のレベルを決定する。
【解決手段】受動共振光ファイバ・リングと、上記光ファイバ・リングと一直線に配置されると共に、サンプル気体またはサンプル液体に露出されるテーパー部を有する少なくとも1つのセンサと、放射線を発射するコヒーレント放射源と、コヒーレント放射源によって発射される放射線の少なくとも一部を上記受動共振ファイバ・リングの第1のセクションへ供給するための第1の光カプラと、放射線の一部を上記共振ファイバ・リングの第2のセクションから受動共振ファイバ・リングにおいて受信するための第2の光カプラを備え、第2の光カプラに結合されて、第2の光カプラによって受信される放射線の減衰率に基づいて気体サンプルまたは液体サンプル内の微量種のレベルを決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して吸収分光法に関し、特に、リングダウン・キャビティ分光法のための光ファイバ共振器によって使用するための拡張されたエバネッセントフィールド領域を有する光ファイバ・センサに関する。
【背景技術】
【0002】
まず図面を参照すると、同じ参照数字が全体を通じて同じエレメントを指し、図1は、対数目盛上の電磁スペクトルを示す。分光学の研究対象は、スペクトルである。スペクトルの他の部分に関連する科学に対して、光学は特に、約1mmから約1nmまでの波長に及ぶ極めて狭い範囲の有効スペクトルである可視及び近可視光に関連している。近可視光は、赤より赤い色(赤外線)及び紫より紫である色(紫外線)を含む。この領域は、光が通常の材料製のほとんどのレンズ及びミラーによってでも処理されることが可能なほどどちら側の可視性にも及んで伸長する。材料の光学特性の波長依存性については、考慮されなければならない場合が多い。
【0003】
吸収型分光法は、高感受性、マイクロ秒台の応答時間、毒に対する不感受性及び研究対象種以外の分子種による限定的干渉を提供する。吸収分光法は、様々な分子種を検出または識別することができる。従って吸収分光法は、重要な微量種の一般的な検出方法を提供する。気相において、種はその吸収力を急なスペクトル線の集合に濃縮させることから、この方法の感受性及び選択性は最適化される。スペクトルにおける狭い線は、大部分の干渉種との区別化に使用されることが可能である。
【0004】
多くの産業プロセスにおいては、流れている気体流及び液体における微量種の濃度は、高度な速度及び精度で測定されかつ分析されなければならない。汚染物質の濃度は最終製品の品質にとって極めて重要である場合が多いことから、このような測定及び分析は必要とされる。N2、O2、H2、Ar及びHe等の気体は例えば集積回路の製造に使用され、これらの気体における不純物の存在は、10億分の1(ppb)のレベルであっても有害であり、演算回路の収率を下げる。従って、水を分光学的に監視することができる比較的高い感度は、半導体産業で使用される高純度ガスの製造業者にとって重要である。他の産業用途では、様々な不純物が検出されなければならない。さらに最近では、固有のものであれ故意に置かれるものであれ、液体中の不純物の存在が特に関心事となってきている。
【0005】
分光法は、高純度ガスにおける気体汚染物質の100万分の1(ppm)レベルの検出を達成している。ppbレベルでの検出感度は、幾つかのケースで達成可能である。従って、従来的な長い経路長のセルにおける吸収測定、光音響分光法、周波数変調分光法及びイントラキャビティ・レーザ吸収分光法を含む気体中の定量的汚染監視のようなアプリケーションに幾つかの分光法が適用されている。これらの方法は、その使用を困難にしかつ産業上のアプリケーションには非実用的である、Lehmannに発行された米国特許第5,528,040号において論じられている幾つかの特徴を有する。従ってこれらは、ほとんど実験室での研究に限定されてきた。
【0006】
これに対して、キャビティ・リングダウン分光法(CRDS)は、科学、産業プロセス制御及び大気微量ガス検出へのアプリケーションを伴う重要な分光技術となっている。CRDSは、従来方法が十分な感度を保有しない低吸収レジームに秀でた光吸収の測定技術として実証されている。CRDSは、高フィネス光共振器におけるフォトンの平均寿命を吸収感度可観測として使用する。
【0007】
典型的には、共振器は、安定した光共振器を形成するように適正に構成された1対の公称上等価の狭帯域超高反射性誘電ミラーから製造される。レーザ・パルスはミラーを介して共振器へ入射され、フォトンの往復経過時間、共振器の長さ、種の吸収断面及び密度及び共振器の内在的損失(回折損失が無視できる程度である場合に主として周波数依存のミラー反射率に起因して発生する)の原因となる要素に依存する平均寿命を生きる。従って、光吸収の決定は従来の電力比測定から減衰時間の測定へ変換される。CRDSの極限感度は共振器の内在的損失の規模によって決定されるが、これは、超低損失の光学素子の製造を許容する超研磨等の技術によって最小限に抑えられることが可能である。
【0008】
現時点では、CRDSは、高反射率の誘電ミラーを使用可能である分光領域に限定されている。十分に高い反射率を有するミラーは現在入手不可能であることから、これは、紫外及び赤外領域のほとんどにおいて本方法の有効性を著しく制限している。適切な誘電ミラーを使用可能である領域であっても、各ミラー・セットは、典型的には数パーセントの部分領域である小さい波長領域に渡るオペレーションしか見込んでいない。さらに、多くの誘電ミラーの構築は、特に化学的な腐食環境に曝されると経時的に品質が低下する可能性のある材料の使用を必要とする。現時点でのこれらの限定要素は多くの潜在的アプリケーションにおけるCRDSの使用を制限している、または妨げていることから、共振器の構築に関して現在の技術を改良するという明確に認識されたニーズが存在する。
【0009】
Pipino他の論文「内面全反射ミニキャビティを使用するエバネッセント波キャビティ・リングダウン分光法」Rev.Sci.Instrum.68(8)(1997年8月)は、改良された共振器構造への1つのアプローチを提示している。このアプローチは、少なくとも1つの凸型の小平面を有する正多角形幾何学形状(例えば正方形または八角形)のモノリシック内面全反射(TIR)リング共振器を使用して安定性を誘導する。光パルスは、共振器の外側へかつこれに隣接して位置づけられる第1のプリズムにより全反射されてエバネッセント波が生成され、これは共振器へ進入してフォトン・トンネリングを介して共振器の安定モードを励起する。光は、臨界角より大きい角度で伝搬媒体より屈折率が低い表面上へ当たると完全に反射する。J.D.Jackson著「古典電気力学」第7章、Jhoh Wiley & Sons社、ニューヨーク州ニューヨーク(1962年)。しかしながら、反射点を超えたところには、非伝搬性であって距離による干渉の形成に伴って指数関数的に減衰する場が存在する。このエバネッセントフィールドは純粋な誘電媒体内では電力を運ばないが、反射波の減衰はエバネッセントフィールド領域における吸収種の存在の観察を可能にする。F.M.Mirabella(編)「内反射分光法」第2章、Marcel Dekker社、ニューヨーク州ニューヨーク(1993年)。
【0010】
共振器の全反射面に位置づけられる物質の吸収スペクトルは、検出器において第2のプリズム(共振器の外側であるが共振器に近接して位置づけられる同じく全反射性のプリズム)とのアウトカップリングにより受信される信号の時間依存性から抽出されるモノリシック共振器内のフォトンの平均寿命から取得される。従って、光学放射線はフォトン・トンネリングにより共振器へ入ってこれを出るが、これは入力及び出力カップリングの精密制御を許容する。その結果CRDSの小型共振器が実現され、TIRリング共振器はCRDS概念を濃縮物質分光法へと拡大させる。TIRの広帯域的性質は、従来の気相CRDSにける誘電ミラーによって課される狭帯域幅制限を回避する。A.Pipino他による研究は、本質的に短い全吸収経路長に、よって強い吸収強度に限定されるTIR分光法にのみ適用可能である。これに対して、本発明は長い吸収経路長を供給し、よって弱い吸収強度の検出を見込んでいる。
【0011】
ミラーを基礎とするCRDSシステムに対する様々な新規手法は、Lehmann他に発行されかつ参照により本開示に含まれる米国特許第5,973,864号、第6,097,555号、第6,172,823号B1及び第6,172,824号B1に提供されている。これらの手法は、2つの反射素子またはプリズム素子によって形成される近共焦点共振器の使用を教示している。
【0012】
図2は、先行技術によるCRDS装置10を示す。図2に示すように、光は狭帯域可同調連続波ダイオード・レーザ20から発生される。レーザ20は温度制御器30によって温度を調節され、その波長がアナライトの所望されるスペクトル線上へ置かれる。アイソレータ40は、レーザ20から発射される放射線の前に、かつ放射線と一直線になるように配置される。アイソレータ40は一方向の透過経路を供給し、放射線をレーザ20から離れて進行させるが、放射線が反対方向へ進むことを防止する。シングルモードのファイバ・カプラ(F.C.)50は、レーザ20から発射される光を光ファイバ48にカップリングする。ファイバ・カプラ50は、アイソレータ40の前に、かつこれと一直線になるように配置される。ファイバ・カプラ50は光ファイバ48を受信してこれを保持し、かつレーザ20から発射される放射線を第1のレンズ46の方へ、当該レンズを介して方向づける。第1のレンズ46は、放射線を集めて集束させる。レーザ20によって発射されるビーム・パターンは光ファイバ48内を伝搬する光のパターンに完全には一致しないことから、不可避的な不一致損失が存在する。
【0013】
レーザ放射線は、リングダウン・キャビティ(RDC)セル60にモードをほぼ一致される。反射ミラー52は、放射線をビーム・スプリッタ54へ向けて方向づける。ビーム・スプリッタ54は、放射線の約90%を第2のレンズ56を通るように方向づける。第2のレンズ56は、放射線を集めてセル60へ集束させる。残りの放射線はビーム・スプリッタ54を通過し、反射ミラー58によってアナライト参照セル90内へ方向づけられる。
【0014】
アナライト参照セル90を透過される放射線は、第4のレンズ92の方へ、当該レンズを介して方向づけられる。第4のレンズ92は、アナライト参照セル90と第2の光検出器94(PD2)との間にインラインに組み込まれる。光検出器94は、コンピュータ及び制御エレクトロニクス100へ入力を供給する。
【0015】
セル60は、軸a沿いに近共焦点エタロンとしてインラインに組み込まれる2つの高反射ミラー62、64から製造される。ミラー62、64は、セル60の入力及び出力ウィンドウを構成する。調査されるサンプル・ガスは、セル60の光軸aと同軸である狭管66を通って流れる。ミラー62、64は、セル60の光学的整合の調節を可能にすべく真空密着ベローで密封される調節可能なフランジまたはマウント上へ配置される。
【0016】
ミラー62、64は高反射性の誘電被覆を有し、かつこの被覆がセル60によって形成されるキャビティの内側へ向くように配向される。レーザ光の極く一部はフロント・ミラー62を介してセル60へ入り、セル60のキャビティ内部で前後に「廻る」。セル60のリヤ・ミラー64(反射鏡)を透過した光は、第3のレンズ68の方へ、当該レンズを介して方向づけられ、次に第1の光検出器70(PD1)上へ結像される。光検出器70及び94の各々は、着信する光ビームを電流に変換し、よってコンピュータ及び制御エレクトロニクス100へ入力信号を供給する。入力信号は、キャビティ・リングダウンの減衰率を表す。
【0017】
図3は、先行技術によるCRDS共振器100内部の光路を示す。図3に示すように、CRDSのための共振器100は、2つのブルースター角再帰反射体プリズム50、52の使用を基礎としている。偏光角またはブルースター角θBは、プリズム50に対して示されている。入射光12及び出射光14は各々、プリズム52への入力及びプリズム52からの出力として示されている。共振性の光ビームは、各プリズム50、52において損失なしに、石英ガラス及び他のほとんどの一般的な光学プリズム材料の臨界角より大きい角度である約45゜で2つの内面全反射を受ける。光は、プリズム50、52間を光軸54に沿って進む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながらリングダウン・キャビティ分光法は、他の分光法に比べればより単純でありかつ実装費用も少ないが、リングダウン・キャビティ分光システムは1ユニット当たり約何千ドルもかかる可能性がある点でやはり高価である。さらに従来のCRDSデバイスは、製造中及び使用中に光学素子間の配置が狂いがちである。
【0019】
改良された共振器構造への周知のアプローチにおける上記欠点を克服するために、CRDSのための光ファイバを基礎とする新たな光共振器を提供する。本発明の目的は、従来の光ファイバ・センサを拡張されたエバネッセントフィールド部分を有するセンサに交換し、これにより、さらに感度の高い光ファイバ・センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的及び他の目的を達成するため、及びその目的に鑑みて、本発明は、サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種を検出して測定するための改良された装置を提供する。本装置は、受動共振光ファイバ・リングと、上記光ファイバ・リングとインラインに組み込まれると共に、サンプル気体またはサンプル液体に露出されるテーパー部を有する少なくとも1つのセンサと、放射線を発射するコヒーレント放射源と、上記コヒーレント放射源によって発射される放射線の少なくとも一部を上記受動共振ファイバ・リングの第1のセクションへ供給するための第1の光カプラと、上記放射線の一部を上記共振ファイバ・リングの第2のセクションから上記受動共振ファイバ・リングにおいて受信するための第2の光カプラと、上記第2の光カプラに結合されて、上記第2の光カプラによって受信される放射線の減衰率に基づいて気体サンプルまたは液体サンプル内の微量種のレベルを決定するためのプロセッサとを備える。
【0021】
上記装置において、好ましくは、第2の光カプラと上記プロセッサとの間に結合されて、上記第2の光カプラにより受信される放射線に応答する信号を発生させるための第1の光検出器をさらに備える。
【0022】
上記装置において、好ましくは、第1の光カプラと上記プロセッサとの間に結合されて、上記レーザからのエネルギーが上記受動光ファイバ・リングへ供給されるときを決定するための第2の光検出器をさらに備える。
【0023】
上記装置において、好ましくは、第2の光検出器が、上記コヒーレント放射源からの放射線の受信に応答して上記プロセッサへトリガ信号を発生させる。
【0024】
上記装置において、好ましくは、第1及び第2の光カプラが一体のカプラである。
【0025】
上記装置において、好ましくは、所定の半径を有する上記センサの一部を形成するために上記センサのテーパー部に結合される少なくとも1つの円筒形本体をさらに備え、上記サンプル液体またはサンプル気体の少なくとも一部は上記センサの形成される一部に接触する。
【0026】
本発明のさらに別の態様によれば、本装置は、受動共振光ファイバ・リングと、上記光ファイバとインラインに組み込まれると共に、サンプル気体またはサンプル液体に露出される「D」字形断面部分を有する少なくとも1つのセンサと、放射線を発射するコヒーレント放射源と、上記コヒーレント放射源によって発射される放射線の少なくとも一部を上記受動共振ファイバ・リングの第1のセクションへ供給するための第1の光カプラと、上記放射線の一部を上記共振ファイバ・リングの第2のセクションから上記受動共振ファイバ・リングにおいて受信するための第2の光カプラと、上記第2の光カプラに結合されて、上記第2の光カプラによって受信される放射線の減衰率に基づいて気体サンプルまたは液体サンプル内の微量種のレベルを決定するためのプロセッサとを備える。
【0027】
上記装置において、好ましくは、所定の半径を有する上記センサの一部を形成するために上記センサの「D」字形断面部分に結合される少なくとも1つの円筒形本体をさらに備え、上記サンプル液体またはサンプル気体の少なくとも一部は上記センサの形成される一部に接触する。
【0028】
本発明の別の態様によれば、サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方において微量種を検出しかつ測定するための方法であって、該方法は、光ファイバの一部をテーパー付けすることにより上記光ファイバからセンサを形成する工程と、上記光ファイバの上記テーパー部を上記サンプル気体またはサンプル液体に露出する工程と、コヒーレント放射源から放射線を発射する工程と、上記コヒーレント放射源から発射される放射線の少なくとも一部を上記光ファイバ・リングに結合させる工程と、上記光ファイバ・リング内を進む放射線の一部を受信する工程と、上記光ファイバ・リング内の放射線の減衰率に基づいて、気体または液体サンプルにおける微量種のレベルを決定する工程、とを備える。
【0029】
上記方法において、好ましくは、所定の半径で上記微量種の吸収周波数に基づいて上記受動光ファイバ・リングのテーパー部の少なくとも一部を形成する工程と、
上記センサの形成された部分を上記サンプル液体またはサンプル気体へ露出する工程とをさらに備える。
【0030】
本発明のさらに別の態様によれば、サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方において微量種を検出しかつ測定するための方法であって、該方法は、光ファイバのクラッドの一部を除去して「D」字形の断面を形成することにより、上記光ファイバからセンサを製造する工程と、上記光ファイバの「D」字形の断面部分を上記サンプル気体またはサンプル液体に露出する工程と、コヒーレント放射源から放射線を発射する工程と、
上記コヒーレント放射源から発射される放射線の少なくとも一部を上記光ファイバ・リングに結合させる工程と、上記光ファイバ・リング内を進む放射線の一部を受信する工程と、上記光ファイバ・リング内の放射線の減衰率に基づいて、気体または液体サンプルにおける微量種のレベルを決定する工程、とを備える。
【0031】
本発明のまたさらなる態様によれば、キャビティ・リングダウン分光法において使用する、サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種の検出のためのセンサであって、該センサは、それぞれが第1の直径を有する第1のコアとクラッドとを有する受動光ファイバと、上記光ファイバから形成されかつ上記光ファイバと一直線になるように配置されるテーパー部とを備え、上記テーパー部はそれぞれが第2の直径を有する第2のコアとクラッドとを有し、上記第2のコアの直径は上記第1のコアの直径より小さく、上記第2のクラッドの直径は上記第1のクラッドの直径より小さく、上記テーパー部は、上記微量種を検出するために上記少なくとも一方のサンプル液体及びサンプル気体へ露出される。
【0032】
本発明のさらに別の態様によれば、キャビティ・リングダウン分光法において使用する、サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種の検出のためのセンサであって、該センサは、個々の第1の直径を有するコアと第1のクラッドとを有する受動光ファイバと、上記光ファイバから形成されかつ上記光ファイバと一直線になるように配置される研磨された部分とを備え、上記研磨された部分は実質的に「D」字形である断面を有するクラッドを有し、上記研磨された部分は、上記微量種を検出するために上記少なくとも一方のサンプル液体及びサンプル気体へ露出される。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、キャビティ・リングダウン分光法において使用する、サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種の検出のためのセンサであって、該センサは、それぞれが第1の直径を有するコアと第1のクラッドとを有する受動光ファイバと、上記光ファイバから形成されかつ上記光ファイバと一直線になるように配置されるテーパー部とを備え、上記テーパー部は上記コアと第2のクラッドとを有し、上記第2のクラッドは上記第1のクラッドの直径より小さい直径を有し、上記テーパー部は上記微量種を検出するために上記少なくとも一方のサンプル液体及びサンプル気体へ露出される。
【0034】
前述の一般説明及び以下の詳細な説明は共に本発明を例示するものであって、限定的なものでない点は理解されるべきである。
【0035】
本発明は、添付の図面に関連する下記の詳細な説明を読めば最も良く理解される。また慣例により、図面の様々な特徴は縮尺通りでないことを強調しておく。反対に、様々な特徴の寸法は明確を期すために任意に拡大または縮小されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
2001年12月12日に提出された米国特許出願第10/017,367号の開示内容は全て、参照により明示的に本開示に含まれる。
【0037】
図4は、気体または液体内の微量種またはアナライトをそれによって検出することができる、本発明の第1の例示的実施形態による光ファイバを基礎とするリングダウン装置400を示す。図4において、装置400は、光ファイバ・ケーブル402と光ファイバ・ケーブル402の長さに沿って分布されるセンサ500(後に詳述する)とを有する共振光ファイバ・リング408を含む。共振光ファイバ・リング408の長さは、例えば物理的プラントの様々なセクションを検出する、または通過する全周等の様々な捕捉状況に容易に適合可能である。センサ500は、図に示すように共振光ファイバ・リング408の長さに沿って複数分布されるが、所望されれば本発明は、センサ500を1つだけ使用して実施されることも可能である。2つ以上のセンサ500の分布は、据付けサイトを通じた様々なポイントでの微量種のサンプリングを見込んでいる。本発明はまた、複数のセンサ500とサンプル液体または気体に露出されるファイバ402の直線部分との組み合わせを使用して、またはサンプル液体または気体に露出されるファイバ402の直線部分のみによって実施されることも可能である。共振光ファイバ・リングの長さは、約1メートルほどの小さいもの、または数キロメートルもある大きいものであり得ることが企図されている。
【0038】
例えば光パラメトリック発生器(OPG)、光パラメトリック増幅器(OPA)またはレーザ等であるコヒーレント放射源404は、調査対象であるアナライトまたは微量種の吸収周波数に合致する波長で放射線を発射する。コヒーレント放射源404は、調査対象である微量種を基礎とする狭帯域を有する可同調ダイオード・レーザであることが可能である。市販されている光パラメトリック増幅器の一例は、カリフォルニア州マウンテンビュー所在のSpectra Physicsから入手可能な型番OPA−800Cである。
【0039】
コヒーレント放射源404の周波数とアナライトとの関連の例を、表1に略示する。表1は単なる例示であり、本発明の範囲を限定すべく意図されたものではない。さらに、本発明は、人類及び/または動物にとって有害な様々な化学薬品及び生物学的因子を検出するために使用可能であることが企図されている。また、このような検出は、受動光ファイバ・リングの表面を、所望される抗原を特別に拘束する抗体で被覆することによって強化される可能性があることも企図されている。
【0040】
【表1】
【0041】
第1の例示的実施形態では、コヒーレント放射源404からの放射線は、任意選択的な光アイソレータ406、カプラ410及びエバネッセント入力カプラ412を介して共振光ファイバ・リング408へ供給される。コヒーレント放射源404がダイオード・レーザであるとき、光アイソレータ406の使用は、レーザへの逆反射を防止することによりレーザにおけるノイズを最小限に抑えるという恩恵をもたらす。エバネッセント入力カプラ412は、コヒーレント放射源404からの放射線の一定割合を共振光ファイバ・リング408へと供給することが可能である、または共振光ファイバ・リング408全体に存在する損失に基づいて調節可能であり得る。好適には、エバネッセント入力カプラ412により共振光ファイバ・リング408へ供給される放射線の量は、光ファイバ・ケーブル402及びコネクタ(図示されていない)内に存在する損失に一致する。放射線の1%カップリング(分割比99%/1%のカップリング)をもたらす市販のエバネッセント・カプラは、ニュージャージー州ニュートン所在のThorLabsによって製造され、部品番号10202A−99を有する。ある好適な実施形態では、エバネッセント入力カプラ412は上記コヒーレント放射源404からの放射線の1%未満をファイバ402へ結合する。
【0042】
ある例示的実施形態では、微量種またはアナライトを検出するために、光ファイバ・ケーブル402を被覆するジャケット402aの一部が除去され、光ファイバ・ケーブル402のコア402cを包囲するクラッド402bが露出される。代替として、ジャケット402a及びクラッド402bが共に除去されてコア402cが露出されるか、または光ファイバ・ケーブル402の被覆された部分がサンプル液体または気体に露出されるか、の何れかであることも可能である。後者の手法は、例えばエバネッセントフィールド(後述する)がジャケット内へ伸長して微量種(ジャケット内へ吸収または溶解されている)と相互作用するといったケースにおいて有益である可能性がある。しかしながらジャケットとクラッドとを共に除去する手法の方は、所定のタイプの光ファイバ・ケーブルにおいて使用されるコア402cは本質的に脆弱であることから最も好適であるとは言えない可能性がある。典型的な光ファイバ・ケーブルの断面を、図5Aに示す。
【0043】
内面全反射(TIR)素子を曲げると、入射する電磁波が反射面に接触する角度が変わる。光ファイバを円筒形本体を中心にして曲げる場合、本体の反対側のファイバ核の表面上の反射角は直角に近くなり、エバネッセントフィールドの透過度は増大される。円筒コア素子502の周りにファイバ402を数周巻くと(図5B参照)、エバネッセントフィールドの透過度は増大され、より小さい物理的容積内でより長いファイバを検出流体へ露出させることができる。変化する曲げ半径を介して検出する光ファイバの改良の実験的検証は、D.Littlejohn他により「近赤外線分光法のための曲げシリカ・ファイバ・エバネッセント吸収センサ」応用分光学53:845−849(1999年)において論じられている。
【0044】
図5Bは、液体または気体サンプル内の微量種を検出するために使用される例示的なセンサ500を示す。図5Bに示すように、センサ500はマンドレル等の(中実、中空またはそうでなければ透過性である)円筒コア素子502を含み、(この例では)露出されたクラッド402bを有する光ファイバ・ケーブル402の一部は、コア素子502の周りへ所定の長さ506に渡って巻き付けられている。また、光ファイバ・ケーブル402のコア402cが露出されてコア素子502に巻き付けられることによりセンサ500が製造されることも可能である。コア素子502の直径はコア402cが臨界半径rより小さい半径で形成される類のものであり、臨界半径rにおいて過剰放射線はコア素子502を囲みながらコア402cを介して失われる可能性があり、そうでなければファイバとしての完全性が危うくされる。臨界半径rは、光ファイバ・ケーブル402を通過する放射線の周波数及び/またはファイバの構成によって決まる。本発明のある好適な実施形態では、コア素子502の半径は約1cm乃至10cmであり、最も好適には少なくとも約1cmである。図に示すように、ファイバ402からの放射線は入力504で供給され、出力508で引き出される。円筒コア素子502は、その表面にファイバ402が配置される螺旋状の溝、及びファイバ402を円筒コア素子502へ固定するための手段を有することが可能である。このような固定手段は、円筒コア素子502内へ打ち込まれるねじ、エポキシまたはシリコンゴム等の接着剤、等の多くの形態をとることが可能である。本発明は、センサ500がファイバ402と一体式である場合、または市販の光ファイバ・コネクタを使用してファイバ402へ結合され得る場合にも実施されることが可能である。
【0045】
図6Aは、放射線が典型的な光ファイバ・ケーブルを介して如何に伝搬するかを示す。図6Aに示すように、放射線606は、コア402cとクラッド402bとの境界において内面全反射(TIR)を示す。放射線が反射されず、クラッド402b内へ吸収される僅かな損失(図示されていない)は幾分か存在する。図6Aは光ファイバ・ケーブルとして示されているが、図6A及び本発明の例示的実施形態は、クラッド402bが中空の核を包囲している中空の導波管のような中空ファイバにも等しく適用可能である。
【0046】
図6Bはセンサ500のある例示的実施形態の断面図であり、コア素子502の周囲への光ファイバ・ケーブル402の巻き付けによる効果を示している。図6Bに示すように、光ファイバ・ケーブル402からはジャケット402aのみが除去されている。放射線606は核402c内を進み、コア402cとコア素子502に隣接するクラッドの一部402b−1との境界で僅かな損失609を伴って内面全反射を示す。一方で、微量種またはアナライト610の存在下では、コア402cとクラッドの露出された部分402b−2との間のインタフェースをエバネッセントフィールド608が通過する。これは本質的に、存在する微量種610の量に基づいて放射線606を減衰させることから減衰内面全反射(ATR)と呼ばれる。放射線の波長に適合する吸収帯域を有する微量種の存在がなければ、放射線606は(ファイバ固有の損失以外には)減衰されないことは留意されるべきである。
【0047】
図6Cはセンサ500の別の例示的実施形態の断面図であり、ジャケット402aの一部は損なわれずにおかれた状態でのコア素子502の周囲への光ファイバ・ケーブル402の巻き付けによる効果を示している。図6Dに示すように、光ファイバ・ケーブル402からはジャケット402aの上部のみが除去されている。センサ500の第1の例示的実施形態に類似して、放射線606は核402c内を進み、コア402cとコア素子502に隣接するクラッドの一部402b−1との境界で僅かな損失609を伴って内面全反射を示す。一方で、微量種またはアナライト610の存在下では、コア402cとクラッドの露出された部分402b−2との間のインタフェースをエバネッセントフィールド608が通過する。
【0048】
(センサ500の何れの例でも)ジャケット402aの除去は、従来の光ファイバ剥離ツール等の機械的手段によって、またはクラッド402b及びコア402cに影響することなくジャケット402aを侵蝕しかつ溶解する溶剤内へファイバ・ケーブルの一部を浸漬することによって達成され得ることが企図されている。ジャケット402aの部分的除去の場合、溶剤手法は、除去することが意図されるジャケットの部分に溶剤を選択的に作用させることにより修正されることが可能である。
【0049】
液体サンプルにおける微量種のアナライト分子の吸引力を強化するために、受動光ファイバ・リングのジャケットのない部分は、光ファイバ・リングの被覆された部分における微量種の濃度を選択的に高める物質で被覆されることが可能である。このような被覆材の一例は、ポリエチレンである。さらに、抗原特異結合材を使用してファイバを被覆し、高い特異性を有する所望される生物学的アナライトを吸引することもできる。
【0050】
再度図4を参照すると、センサ500を通過後に残存する放射線はファイバ・ループ402を介して留まる。この残留する放射線の一部は、エバネッセント出力カプラ416によって光ファイバ・ループ402の外へ結合される。エバネッセント出力カプラ416は、検出器418及び信号線422を介してプロセッサ420へ結合される。プロセッサ420は、例えば検出器418のアナログ出力をデジタル信号に変換して処理するための手段を有するPCであることが可能である。プロセッサ420はまた、制御線424を介してコヒーレント放射源404を制御する。プロセッサ420によって検出器418から信号が受信されると、プロセッサは、受信された放射線の減衰率を基礎として存在する微量種の量及びタイプを決定することが可能である。
【0051】
任意選択的に、エバネッセント出力カプラ416と検出器418との間には波長セレクタ430を配置することができる。波長セレクタ430は、所定の範囲内でない放射線が検出器418へ入力されることを防止するフィルタとして作用する。
【0052】
入力カプラ412の出力には、検出器414が結合される。検出器414の出力は、信号線422を介してプロセッサ420へ供給され、共振光ファイバ・リング402が微量種分析を実行するに足る放射線を受信したときを決定する際に使用される。
【0053】
液体中の微量種またはアナライトを検出する場合、液体の屈折率は光ファイバ・ケーブルの屈折率より小さいものでなければならない。例えば、屈折率n=1.46を有する光ファイバ・ケーブルを所与とすれば、本発明は、水(n=1.33)及び例えばメタノール(n=1.326)、nヘキサン(n=1.372)、ジクロロメタン(n=1.4242)、アセトン(n=1.3588)、ジエチルエーテル(n=1.3526)及びテトラヒドロフラン(n=1.404)を含む多くの有機溶剤中に溶解している微量種の検出に使用されることが可能である。化学物質及びその個々の屈折率の広範なリストは、参照により本開示に含まれる「第52版CRC科学/物理学ハンドブック」Rober C.Weast編、The Chemical Rubber Company、オハイオ州クリーブランド、1971年、E−201ページ、に記述されている。異なる屈折率を有する利用可能な他のタイプの光ファイバも存在し、本発明は、光ファイバが液体より高い屈折率を有しかつ目標アナライトによる吸収帯域内で光を効果的に伝送させることを想定して、所与の液体マトリクスに合わせて調整されることが可能である。
【0054】
現時点で入手可能な光ファイバは、多くの異なるタイプが存在する。電気通信アプリケーションに標準用途を有するCorning社のSMF−28eヒューズ・シリカ・ファイバは、その一例である。多数の異なる波長で光を伝送する特殊ファイバは、テキサス州オースティン所在の3M社製488nm/514nmシングルモード・ファイバ(部品番号FS−VS−2614)、テキサス州オースティン所在の3M社製630nm可視波長シングルモード・ファイバ(部品番号FS−SN−3224)、テキサス州オースティン所在の3M社製820nm規格シングルモード・ファイバ(部品番号FS−SN−4224)及び日本国所在のKDD Fiberlabs製4ミクロン透過を有する0.28−NAフッ化物ガラスファイバ(部品番号GF−F−160)等が存在する。また、先にも述べたように、光ファイバ・ケーブル402は中空のファイバである場合もある。
【0055】
ファイバ402は、遙かに高いアナライト吸収強度を有するスペクトル領域へのアクセスを見込み、これにより装置400の感度を増加させる中赤外線透過ファイバであり得ることが企図されている。この領域で放射線を透過させるファイバは、典型的にはフッ化物ガラスから製造される。
【0056】
図7は、気体及び液体中の微量種またはアナライトがそれを介して検出され得る本発明の第2の例示的実施形態を示す。図7の説明に当たっては、第1の例示的実施形態に関連して説明したものに類似する機能を実行するエレメントは同じ参照番号を使用する。図7において、装置700は、光ファイバ・ケーブル402とセンサ500とを含む類似の共振光ファイバ・リング408を使用する。コヒーレント放射源404からの放射線は、任意選択的な光アイソレータ406、カプラ410及びエバネッセント入力/出力カプラ434を介して共振光ファイバ・リング408へ供給される。エバネッセント入力/出力カプラ434は、コヒーレント放射源404からの放射線の一定割合を共振光ファイバ・リング408へと供給することが可能である、または共振光ファイバ・リング404全体に存在する損失を基礎として調節可能であり得る。本例示的実施形態では、エバネッセント入力/出力カプラ434は本質的に、第1の例示的実施形態に関連して先に論じたエバネッセント入力カプラ412を再構成したものである。ある好適な実施形態では、エバネッセント入力/出力カプラ434はレーザ404からの放射線の1%未満をファイバ402へ結合する。
【0057】
微量種の検出は第1の例示的実施形態において説明したものと同様であり、よってここでは説明を省く。
【0058】
センサ500を通過後に残存する放射線はファイバ・ループ402を介して留まる。この残留する放射線の一部は、エバネッセント入力/出力カプラ434によって光ファイバ・ループ402の外へ結合される。エバネッセント入力/出力カプラ434は、検出器418及び信号線422を介してプロセッサ420へ結合される。また第1の例示的実施形態の場合のように、プロセッサ420は、制御線424を介してコヒーレント放射源404を制御する。プロセッサ420によって検出器418から信号が受信されると、プロセッサは、受信された放射線の減衰率を基礎として存在する微量種の量及びタイプを決定することが可能である。
【0059】
任意選択的に、エバネッセント入力/出力カプラ434と検出器418との間には波長セレクタ430を配置することができる。波長セレクタ430は、所定の範囲内でない放射線が検出器418へ入力されることを防止するフィルタとして作用する。波長セレクタ430はまた、コヒーレント放射源404からの放射線がファイバ402へとカップリングされた後の時間期間中にコヒーレント放射源404からの放射線が検出器418を「見えなくさせる」ことを防止するようにプロセッサ420によって制御されることが可能である。
【0060】
図8A乃至8Dは、液体または気体サンプル内の微量種を検出するために使用される別の例示的センサ800を示す。図8A及び8Dに示すように、センサ800はファイバ801から、コア804及びクラッド805を先細にして先細のコア808と先細のクラッド809とを有する先細の領域802を生成することにより製造される。先細の領域802の形成は、2つの技術の何れかを使用して達成されることが可能である。第1の技術は、ファイバ801の局所化されたセクションを加熱し、同時にセンサ800の形成が所望される当該領域の何れかの側を断熱的に引っ張るというものである。この手順は、ファイバ801内に連続したテーパを生成する。この先細のファイバは次に、例えば第1の例示的実施形態よる分光センサとして使用されることが可能である。第2の例示的技術では、先細の領域802は、化学薬品を使用して所定の厚さのファイバ・クラッド805を制御可能に除去し、先細のクラッド809を形成することによって製造されることが可能である。第2の技術を使用して製造されるセンサについては、図10A乃至10Cを参照して後に詳述する。
【0061】
図8Bは、テーパ前領域及びテーパ後領域におけるセンサ800の断面を示す。図8Bに示すように、コア804とクラッド805とは変更されない状態にある。光ファイバ・ケーブル801の少なくとも一部分にはこのようなジャケッティングの発生が想定されているが、単純さを期してこれらの図面及び説明は光ファイバ・ケーブル801のジャケッティングに言及していないことは留意されるべきである。
【0062】
図8Cは、先細の領域802におけるセンサ800の断面を示す。図8Cに示すように、先細のコア808及び先細のクラッド809は各々、コア804及びクラッド805に比べて大幅に低減された直径を有する。先細の領域802は、特定のアプリケーションを基礎として所望される任意の長さであることが可能である。本例示的実施形態では、例えば図8Dに示すように、先細の領域の長さは約4mmであり、くびれた部分の直径814は約12ミクロンである。
【0063】
再度図8Aを参照すると、コア804の領域におけるエバネッセントフィールド806は狭く、先細の領域802における拡張されたエバネッセントフィールド810に比べると限定されている。図に示すように、拡張されたエバネッセントフィールド810は、先の例示的実施形態に関して既に論じたように微量種(図示されていない)へ容易に露出され、よって領域812における微量種をより良く検出することができる。
【0064】
図9A乃至9Cは、液体または気体サンプル内の微量種を検出するために使用されるさらに別の例示的センサ900を示す。図9Aに示すように、センサ900はファイバ901から、クラッド905の一部を除去して実質的に「D」字形である断面領域902を生成することにより製造される。「D」字形の断面領域902の製造は、例えば研磨剤を使用して光ファイバ・クラッド905の片側を研磨することにより達成されることが可能である。研磨剤は、誘導されるモード品質を維持するようにクラッド905を領域902に沿って絶えず増大する深度で除去し、最終的には最小のクラッド厚さ909の先端で最大深度に到達するように使用される。最低のクラッド厚さであるこの領域は、最大エバネッセント露出領域910を表す。
【0065】
図10A乃至10Cは、液体または気体サンプル内の微量種を検出するために使用されるさらに別の例示的センサ1000を示す。センサ1000は、先細センサの例示的実施形態に関して先に説明した第2の技術を使用して製造される。図10Aに示すように、センサ1000は、当事者には周知の化学薬品を使用してクラッド1005の一部を除去し、先細のクラッド1009を有する先細の領域1002を生成することによりファイバ1001から製造される。コアの任意の部分が害される、または除去されるとセンサ1000に重大な損失がもたらされることから、化学薬品にこうした部分を一切害させない、または除去させないようにすることが重要である。
【0066】
図10Bは、テーパ前領域及びテーパ後領域におけるセンサ1000の断面を示す。図10Bに示すように、コア1004とクラッド1005とは変更されない状態にある。この場合もやはり、光ファイバ・ケーブル1001の少なくとも一部分にはこのようなジャケッティングの発生が想定されているが、単純さを期してこれらの図面及び説明は光ファイバ・ケーブル1001のジャケッティングに言及していないことは留意されるべきである。
【0067】
図10Cは、先細の領域1002におけるセンサ1000の断面を示す。図10Cに示すように、コア1004に影響はないが、先細のクラッド1009はクラッド1005に比べて大幅に低減された直径を有する。先細の領域1002は、特定のアプリケーションを基礎として所望される任意の長さであることが可能である。例えば本例示的実施形態では、先細の領域の長さは約4mmであり、くびれた部分の直径1014は約12ミクロンである。
【0068】
再度図10Aを参照すると、コア1004の領域におけるエバネッセントフィールド1006は狭く、先細の領域1002における拡張されたエバネッセントフィールド1010に比べると限定されている。図に示すように、拡張されたエバネッセントフィールド1010は、先の例示的実施形態に関して既に論じたように微量種(図示されていない)へ容易に露出され、よって領域1012における微量種をより良く検出することができる。
【0069】
上述のセンサ800、900及び1000に関連して、センサを製造することにより光ファイバ内に生成される損失は、ファイバ変更より前に所望される検出限度にふさわしいテーパ径または研磨深度を決定することによってエバネッセントフィールドの露出量と均衡されることが可能である。さらに、各々テーパリング及び研磨作業に起因して増大される脆弱性を補償するためにセンサ800、900及び/または1000のための防護マウンティングを供給することが望ましい可能性がある。
【0070】
センサ800、900及び/または1000は、(図5Bに示すような)マンドレル等の(中実、中空またはそうでなければ透過性であることが可能な)円筒コア素子502上の無制限のファイバとして、またはループもしくは曲がった構成(図示されていない)での何れかで使用され得ることが企図されている。
【0071】
センサ800、900及び1000は、調査対象のアナライトを吸引する生物学的因子等の濃縮物質で検出領域を被覆することによりさらに拡張されることが可能である。このような生物学的因子は、一般的な当事者には周知である。また、幾つかの検出領域800、900及び/または1000は分布されたリングダウン・センサを生成するように光ファイバ・ケーブルの長さに沿って形成され得ることも企図されている。
【0072】
本明細書では、所定の特定実施形態を参照して図示及び説明を行っているが、本発明が示された詳細事項に限定されることは意図されていない。請求内容の等価の範囲及び領域内で、かつ本発明の精神を逸脱することなく詳細事項の様々な変更を行うことは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】対数目盛上の電磁スペクトルを示す。
【図2】ミラーを使用する先行技術CRDSシステムを示す。
【図3】プリズムを使用する先行技術CRDSセルを示す。
【図4】本発明の第1の例示的実施形態を示す。
【図5A】従来型光ファイバの端面図である。
【図5B】本発明の例示的な一実施形態によるセンサの斜視図である。
【図6A】ケーブル内の放射線伝搬を示す光ファイバ・ケーブルの断面図である。
【図6B】本発明のある例示的実施形態によるエバネッセントフィールドを示す光ファイバ・センサの断面である。
【図6C】本発明の別の例示的実施形態によるエバネッセントフィールドを示す光ファイバ・センサの断面である。
【図6D】図6Cに示す光ファイバ・センサの光ファイバ・ケーブルからジャケットの上部のみが除去された断面を示す。
【図7】本発明の第2の例示的実施形態を示す。
【図8A】本発明の第3の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【図8B】本発明の第3の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【図8C】本発明の第3の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【図8D】本発明の第3の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【図9A】本発明の第4の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【図9B】本発明の第4の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【図9C】本発明の第4の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【図10A】本発明の第5の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【図10B】本発明の第5の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【図10C】本発明の第5の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【符号の説明】
【0074】
400 リングダウン装置、 402 光ファイバ・ケーブル、 402a ジャケット、 402b クラッド、 402c コア、 404 コヒーレント放射源、 406 光アイソレータ、 408 共振光ファイバ・リング、 410 カプラ、 412 エバネッセント入力カプラ、 500 センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は概して吸収分光法に関し、特に、リングダウン・キャビティ分光法のための光ファイバ共振器によって使用するための拡張されたエバネッセントフィールド領域を有する光ファイバ・センサに関する。
【背景技術】
【0002】
まず図面を参照すると、同じ参照数字が全体を通じて同じエレメントを指し、図1は、対数目盛上の電磁スペクトルを示す。分光学の研究対象は、スペクトルである。スペクトルの他の部分に関連する科学に対して、光学は特に、約1mmから約1nmまでの波長に及ぶ極めて狭い範囲の有効スペクトルである可視及び近可視光に関連している。近可視光は、赤より赤い色(赤外線)及び紫より紫である色(紫外線)を含む。この領域は、光が通常の材料製のほとんどのレンズ及びミラーによってでも処理されることが可能なほどどちら側の可視性にも及んで伸長する。材料の光学特性の波長依存性については、考慮されなければならない場合が多い。
【0003】
吸収型分光法は、高感受性、マイクロ秒台の応答時間、毒に対する不感受性及び研究対象種以外の分子種による限定的干渉を提供する。吸収分光法は、様々な分子種を検出または識別することができる。従って吸収分光法は、重要な微量種の一般的な検出方法を提供する。気相において、種はその吸収力を急なスペクトル線の集合に濃縮させることから、この方法の感受性及び選択性は最適化される。スペクトルにおける狭い線は、大部分の干渉種との区別化に使用されることが可能である。
【0004】
多くの産業プロセスにおいては、流れている気体流及び液体における微量種の濃度は、高度な速度及び精度で測定されかつ分析されなければならない。汚染物質の濃度は最終製品の品質にとって極めて重要である場合が多いことから、このような測定及び分析は必要とされる。N2、O2、H2、Ar及びHe等の気体は例えば集積回路の製造に使用され、これらの気体における不純物の存在は、10億分の1(ppb)のレベルであっても有害であり、演算回路の収率を下げる。従って、水を分光学的に監視することができる比較的高い感度は、半導体産業で使用される高純度ガスの製造業者にとって重要である。他の産業用途では、様々な不純物が検出されなければならない。さらに最近では、固有のものであれ故意に置かれるものであれ、液体中の不純物の存在が特に関心事となってきている。
【0005】
分光法は、高純度ガスにおける気体汚染物質の100万分の1(ppm)レベルの検出を達成している。ppbレベルでの検出感度は、幾つかのケースで達成可能である。従って、従来的な長い経路長のセルにおける吸収測定、光音響分光法、周波数変調分光法及びイントラキャビティ・レーザ吸収分光法を含む気体中の定量的汚染監視のようなアプリケーションに幾つかの分光法が適用されている。これらの方法は、その使用を困難にしかつ産業上のアプリケーションには非実用的である、Lehmannに発行された米国特許第5,528,040号において論じられている幾つかの特徴を有する。従ってこれらは、ほとんど実験室での研究に限定されてきた。
【0006】
これに対して、キャビティ・リングダウン分光法(CRDS)は、科学、産業プロセス制御及び大気微量ガス検出へのアプリケーションを伴う重要な分光技術となっている。CRDSは、従来方法が十分な感度を保有しない低吸収レジームに秀でた光吸収の測定技術として実証されている。CRDSは、高フィネス光共振器におけるフォトンの平均寿命を吸収感度可観測として使用する。
【0007】
典型的には、共振器は、安定した光共振器を形成するように適正に構成された1対の公称上等価の狭帯域超高反射性誘電ミラーから製造される。レーザ・パルスはミラーを介して共振器へ入射され、フォトンの往復経過時間、共振器の長さ、種の吸収断面及び密度及び共振器の内在的損失(回折損失が無視できる程度である場合に主として周波数依存のミラー反射率に起因して発生する)の原因となる要素に依存する平均寿命を生きる。従って、光吸収の決定は従来の電力比測定から減衰時間の測定へ変換される。CRDSの極限感度は共振器の内在的損失の規模によって決定されるが、これは、超低損失の光学素子の製造を許容する超研磨等の技術によって最小限に抑えられることが可能である。
【0008】
現時点では、CRDSは、高反射率の誘電ミラーを使用可能である分光領域に限定されている。十分に高い反射率を有するミラーは現在入手不可能であることから、これは、紫外及び赤外領域のほとんどにおいて本方法の有効性を著しく制限している。適切な誘電ミラーを使用可能である領域であっても、各ミラー・セットは、典型的には数パーセントの部分領域である小さい波長領域に渡るオペレーションしか見込んでいない。さらに、多くの誘電ミラーの構築は、特に化学的な腐食環境に曝されると経時的に品質が低下する可能性のある材料の使用を必要とする。現時点でのこれらの限定要素は多くの潜在的アプリケーションにおけるCRDSの使用を制限している、または妨げていることから、共振器の構築に関して現在の技術を改良するという明確に認識されたニーズが存在する。
【0009】
Pipino他の論文「内面全反射ミニキャビティを使用するエバネッセント波キャビティ・リングダウン分光法」Rev.Sci.Instrum.68(8)(1997年8月)は、改良された共振器構造への1つのアプローチを提示している。このアプローチは、少なくとも1つの凸型の小平面を有する正多角形幾何学形状(例えば正方形または八角形)のモノリシック内面全反射(TIR)リング共振器を使用して安定性を誘導する。光パルスは、共振器の外側へかつこれに隣接して位置づけられる第1のプリズムにより全反射されてエバネッセント波が生成され、これは共振器へ進入してフォトン・トンネリングを介して共振器の安定モードを励起する。光は、臨界角より大きい角度で伝搬媒体より屈折率が低い表面上へ当たると完全に反射する。J.D.Jackson著「古典電気力学」第7章、Jhoh Wiley & Sons社、ニューヨーク州ニューヨーク(1962年)。しかしながら、反射点を超えたところには、非伝搬性であって距離による干渉の形成に伴って指数関数的に減衰する場が存在する。このエバネッセントフィールドは純粋な誘電媒体内では電力を運ばないが、反射波の減衰はエバネッセントフィールド領域における吸収種の存在の観察を可能にする。F.M.Mirabella(編)「内反射分光法」第2章、Marcel Dekker社、ニューヨーク州ニューヨーク(1993年)。
【0010】
共振器の全反射面に位置づけられる物質の吸収スペクトルは、検出器において第2のプリズム(共振器の外側であるが共振器に近接して位置づけられる同じく全反射性のプリズム)とのアウトカップリングにより受信される信号の時間依存性から抽出されるモノリシック共振器内のフォトンの平均寿命から取得される。従って、光学放射線はフォトン・トンネリングにより共振器へ入ってこれを出るが、これは入力及び出力カップリングの精密制御を許容する。その結果CRDSの小型共振器が実現され、TIRリング共振器はCRDS概念を濃縮物質分光法へと拡大させる。TIRの広帯域的性質は、従来の気相CRDSにける誘電ミラーによって課される狭帯域幅制限を回避する。A.Pipino他による研究は、本質的に短い全吸収経路長に、よって強い吸収強度に限定されるTIR分光法にのみ適用可能である。これに対して、本発明は長い吸収経路長を供給し、よって弱い吸収強度の検出を見込んでいる。
【0011】
ミラーを基礎とするCRDSシステムに対する様々な新規手法は、Lehmann他に発行されかつ参照により本開示に含まれる米国特許第5,973,864号、第6,097,555号、第6,172,823号B1及び第6,172,824号B1に提供されている。これらの手法は、2つの反射素子またはプリズム素子によって形成される近共焦点共振器の使用を教示している。
【0012】
図2は、先行技術によるCRDS装置10を示す。図2に示すように、光は狭帯域可同調連続波ダイオード・レーザ20から発生される。レーザ20は温度制御器30によって温度を調節され、その波長がアナライトの所望されるスペクトル線上へ置かれる。アイソレータ40は、レーザ20から発射される放射線の前に、かつ放射線と一直線になるように配置される。アイソレータ40は一方向の透過経路を供給し、放射線をレーザ20から離れて進行させるが、放射線が反対方向へ進むことを防止する。シングルモードのファイバ・カプラ(F.C.)50は、レーザ20から発射される光を光ファイバ48にカップリングする。ファイバ・カプラ50は、アイソレータ40の前に、かつこれと一直線になるように配置される。ファイバ・カプラ50は光ファイバ48を受信してこれを保持し、かつレーザ20から発射される放射線を第1のレンズ46の方へ、当該レンズを介して方向づける。第1のレンズ46は、放射線を集めて集束させる。レーザ20によって発射されるビーム・パターンは光ファイバ48内を伝搬する光のパターンに完全には一致しないことから、不可避的な不一致損失が存在する。
【0013】
レーザ放射線は、リングダウン・キャビティ(RDC)セル60にモードをほぼ一致される。反射ミラー52は、放射線をビーム・スプリッタ54へ向けて方向づける。ビーム・スプリッタ54は、放射線の約90%を第2のレンズ56を通るように方向づける。第2のレンズ56は、放射線を集めてセル60へ集束させる。残りの放射線はビーム・スプリッタ54を通過し、反射ミラー58によってアナライト参照セル90内へ方向づけられる。
【0014】
アナライト参照セル90を透過される放射線は、第4のレンズ92の方へ、当該レンズを介して方向づけられる。第4のレンズ92は、アナライト参照セル90と第2の光検出器94(PD2)との間にインラインに組み込まれる。光検出器94は、コンピュータ及び制御エレクトロニクス100へ入力を供給する。
【0015】
セル60は、軸a沿いに近共焦点エタロンとしてインラインに組み込まれる2つの高反射ミラー62、64から製造される。ミラー62、64は、セル60の入力及び出力ウィンドウを構成する。調査されるサンプル・ガスは、セル60の光軸aと同軸である狭管66を通って流れる。ミラー62、64は、セル60の光学的整合の調節を可能にすべく真空密着ベローで密封される調節可能なフランジまたはマウント上へ配置される。
【0016】
ミラー62、64は高反射性の誘電被覆を有し、かつこの被覆がセル60によって形成されるキャビティの内側へ向くように配向される。レーザ光の極く一部はフロント・ミラー62を介してセル60へ入り、セル60のキャビティ内部で前後に「廻る」。セル60のリヤ・ミラー64(反射鏡)を透過した光は、第3のレンズ68の方へ、当該レンズを介して方向づけられ、次に第1の光検出器70(PD1)上へ結像される。光検出器70及び94の各々は、着信する光ビームを電流に変換し、よってコンピュータ及び制御エレクトロニクス100へ入力信号を供給する。入力信号は、キャビティ・リングダウンの減衰率を表す。
【0017】
図3は、先行技術によるCRDS共振器100内部の光路を示す。図3に示すように、CRDSのための共振器100は、2つのブルースター角再帰反射体プリズム50、52の使用を基礎としている。偏光角またはブルースター角θBは、プリズム50に対して示されている。入射光12及び出射光14は各々、プリズム52への入力及びプリズム52からの出力として示されている。共振性の光ビームは、各プリズム50、52において損失なしに、石英ガラス及び他のほとんどの一般的な光学プリズム材料の臨界角より大きい角度である約45゜で2つの内面全反射を受ける。光は、プリズム50、52間を光軸54に沿って進む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながらリングダウン・キャビティ分光法は、他の分光法に比べればより単純でありかつ実装費用も少ないが、リングダウン・キャビティ分光システムは1ユニット当たり約何千ドルもかかる可能性がある点でやはり高価である。さらに従来のCRDSデバイスは、製造中及び使用中に光学素子間の配置が狂いがちである。
【0019】
改良された共振器構造への周知のアプローチにおける上記欠点を克服するために、CRDSのための光ファイバを基礎とする新たな光共振器を提供する。本発明の目的は、従来の光ファイバ・センサを拡張されたエバネッセントフィールド部分を有するセンサに交換し、これにより、さらに感度の高い光ファイバ・センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的及び他の目的を達成するため、及びその目的に鑑みて、本発明は、サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種を検出して測定するための改良された装置を提供する。本装置は、受動共振光ファイバ・リングと、上記光ファイバ・リングとインラインに組み込まれると共に、サンプル気体またはサンプル液体に露出されるテーパー部を有する少なくとも1つのセンサと、放射線を発射するコヒーレント放射源と、上記コヒーレント放射源によって発射される放射線の少なくとも一部を上記受動共振ファイバ・リングの第1のセクションへ供給するための第1の光カプラと、上記放射線の一部を上記共振ファイバ・リングの第2のセクションから上記受動共振ファイバ・リングにおいて受信するための第2の光カプラと、上記第2の光カプラに結合されて、上記第2の光カプラによって受信される放射線の減衰率に基づいて気体サンプルまたは液体サンプル内の微量種のレベルを決定するためのプロセッサとを備える。
【0021】
上記装置において、好ましくは、第2の光カプラと上記プロセッサとの間に結合されて、上記第2の光カプラにより受信される放射線に応答する信号を発生させるための第1の光検出器をさらに備える。
【0022】
上記装置において、好ましくは、第1の光カプラと上記プロセッサとの間に結合されて、上記レーザからのエネルギーが上記受動光ファイバ・リングへ供給されるときを決定するための第2の光検出器をさらに備える。
【0023】
上記装置において、好ましくは、第2の光検出器が、上記コヒーレント放射源からの放射線の受信に応答して上記プロセッサへトリガ信号を発生させる。
【0024】
上記装置において、好ましくは、第1及び第2の光カプラが一体のカプラである。
【0025】
上記装置において、好ましくは、所定の半径を有する上記センサの一部を形成するために上記センサのテーパー部に結合される少なくとも1つの円筒形本体をさらに備え、上記サンプル液体またはサンプル気体の少なくとも一部は上記センサの形成される一部に接触する。
【0026】
本発明のさらに別の態様によれば、本装置は、受動共振光ファイバ・リングと、上記光ファイバとインラインに組み込まれると共に、サンプル気体またはサンプル液体に露出される「D」字形断面部分を有する少なくとも1つのセンサと、放射線を発射するコヒーレント放射源と、上記コヒーレント放射源によって発射される放射線の少なくとも一部を上記受動共振ファイバ・リングの第1のセクションへ供給するための第1の光カプラと、上記放射線の一部を上記共振ファイバ・リングの第2のセクションから上記受動共振ファイバ・リングにおいて受信するための第2の光カプラと、上記第2の光カプラに結合されて、上記第2の光カプラによって受信される放射線の減衰率に基づいて気体サンプルまたは液体サンプル内の微量種のレベルを決定するためのプロセッサとを備える。
【0027】
上記装置において、好ましくは、所定の半径を有する上記センサの一部を形成するために上記センサの「D」字形断面部分に結合される少なくとも1つの円筒形本体をさらに備え、上記サンプル液体またはサンプル気体の少なくとも一部は上記センサの形成される一部に接触する。
【0028】
本発明の別の態様によれば、サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方において微量種を検出しかつ測定するための方法であって、該方法は、光ファイバの一部をテーパー付けすることにより上記光ファイバからセンサを形成する工程と、上記光ファイバの上記テーパー部を上記サンプル気体またはサンプル液体に露出する工程と、コヒーレント放射源から放射線を発射する工程と、上記コヒーレント放射源から発射される放射線の少なくとも一部を上記光ファイバ・リングに結合させる工程と、上記光ファイバ・リング内を進む放射線の一部を受信する工程と、上記光ファイバ・リング内の放射線の減衰率に基づいて、気体または液体サンプルにおける微量種のレベルを決定する工程、とを備える。
【0029】
上記方法において、好ましくは、所定の半径で上記微量種の吸収周波数に基づいて上記受動光ファイバ・リングのテーパー部の少なくとも一部を形成する工程と、
上記センサの形成された部分を上記サンプル液体またはサンプル気体へ露出する工程とをさらに備える。
【0030】
本発明のさらに別の態様によれば、サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方において微量種を検出しかつ測定するための方法であって、該方法は、光ファイバのクラッドの一部を除去して「D」字形の断面を形成することにより、上記光ファイバからセンサを製造する工程と、上記光ファイバの「D」字形の断面部分を上記サンプル気体またはサンプル液体に露出する工程と、コヒーレント放射源から放射線を発射する工程と、
上記コヒーレント放射源から発射される放射線の少なくとも一部を上記光ファイバ・リングに結合させる工程と、上記光ファイバ・リング内を進む放射線の一部を受信する工程と、上記光ファイバ・リング内の放射線の減衰率に基づいて、気体または液体サンプルにおける微量種のレベルを決定する工程、とを備える。
【0031】
本発明のまたさらなる態様によれば、キャビティ・リングダウン分光法において使用する、サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種の検出のためのセンサであって、該センサは、それぞれが第1の直径を有する第1のコアとクラッドとを有する受動光ファイバと、上記光ファイバから形成されかつ上記光ファイバと一直線になるように配置されるテーパー部とを備え、上記テーパー部はそれぞれが第2の直径を有する第2のコアとクラッドとを有し、上記第2のコアの直径は上記第1のコアの直径より小さく、上記第2のクラッドの直径は上記第1のクラッドの直径より小さく、上記テーパー部は、上記微量種を検出するために上記少なくとも一方のサンプル液体及びサンプル気体へ露出される。
【0032】
本発明のさらに別の態様によれば、キャビティ・リングダウン分光法において使用する、サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種の検出のためのセンサであって、該センサは、個々の第1の直径を有するコアと第1のクラッドとを有する受動光ファイバと、上記光ファイバから形成されかつ上記光ファイバと一直線になるように配置される研磨された部分とを備え、上記研磨された部分は実質的に「D」字形である断面を有するクラッドを有し、上記研磨された部分は、上記微量種を検出するために上記少なくとも一方のサンプル液体及びサンプル気体へ露出される。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、キャビティ・リングダウン分光法において使用する、サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種の検出のためのセンサであって、該センサは、それぞれが第1の直径を有するコアと第1のクラッドとを有する受動光ファイバと、上記光ファイバから形成されかつ上記光ファイバと一直線になるように配置されるテーパー部とを備え、上記テーパー部は上記コアと第2のクラッドとを有し、上記第2のクラッドは上記第1のクラッドの直径より小さい直径を有し、上記テーパー部は上記微量種を検出するために上記少なくとも一方のサンプル液体及びサンプル気体へ露出される。
【0034】
前述の一般説明及び以下の詳細な説明は共に本発明を例示するものであって、限定的なものでない点は理解されるべきである。
【0035】
本発明は、添付の図面に関連する下記の詳細な説明を読めば最も良く理解される。また慣例により、図面の様々な特徴は縮尺通りでないことを強調しておく。反対に、様々な特徴の寸法は明確を期すために任意に拡大または縮小されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
2001年12月12日に提出された米国特許出願第10/017,367号の開示内容は全て、参照により明示的に本開示に含まれる。
【0037】
図4は、気体または液体内の微量種またはアナライトをそれによって検出することができる、本発明の第1の例示的実施形態による光ファイバを基礎とするリングダウン装置400を示す。図4において、装置400は、光ファイバ・ケーブル402と光ファイバ・ケーブル402の長さに沿って分布されるセンサ500(後に詳述する)とを有する共振光ファイバ・リング408を含む。共振光ファイバ・リング408の長さは、例えば物理的プラントの様々なセクションを検出する、または通過する全周等の様々な捕捉状況に容易に適合可能である。センサ500は、図に示すように共振光ファイバ・リング408の長さに沿って複数分布されるが、所望されれば本発明は、センサ500を1つだけ使用して実施されることも可能である。2つ以上のセンサ500の分布は、据付けサイトを通じた様々なポイントでの微量種のサンプリングを見込んでいる。本発明はまた、複数のセンサ500とサンプル液体または気体に露出されるファイバ402の直線部分との組み合わせを使用して、またはサンプル液体または気体に露出されるファイバ402の直線部分のみによって実施されることも可能である。共振光ファイバ・リングの長さは、約1メートルほどの小さいもの、または数キロメートルもある大きいものであり得ることが企図されている。
【0038】
例えば光パラメトリック発生器(OPG)、光パラメトリック増幅器(OPA)またはレーザ等であるコヒーレント放射源404は、調査対象であるアナライトまたは微量種の吸収周波数に合致する波長で放射線を発射する。コヒーレント放射源404は、調査対象である微量種を基礎とする狭帯域を有する可同調ダイオード・レーザであることが可能である。市販されている光パラメトリック増幅器の一例は、カリフォルニア州マウンテンビュー所在のSpectra Physicsから入手可能な型番OPA−800Cである。
【0039】
コヒーレント放射源404の周波数とアナライトとの関連の例を、表1に略示する。表1は単なる例示であり、本発明の範囲を限定すべく意図されたものではない。さらに、本発明は、人類及び/または動物にとって有害な様々な化学薬品及び生物学的因子を検出するために使用可能であることが企図されている。また、このような検出は、受動光ファイバ・リングの表面を、所望される抗原を特別に拘束する抗体で被覆することによって強化される可能性があることも企図されている。
【0040】
【表1】
【0041】
第1の例示的実施形態では、コヒーレント放射源404からの放射線は、任意選択的な光アイソレータ406、カプラ410及びエバネッセント入力カプラ412を介して共振光ファイバ・リング408へ供給される。コヒーレント放射源404がダイオード・レーザであるとき、光アイソレータ406の使用は、レーザへの逆反射を防止することによりレーザにおけるノイズを最小限に抑えるという恩恵をもたらす。エバネッセント入力カプラ412は、コヒーレント放射源404からの放射線の一定割合を共振光ファイバ・リング408へと供給することが可能である、または共振光ファイバ・リング408全体に存在する損失に基づいて調節可能であり得る。好適には、エバネッセント入力カプラ412により共振光ファイバ・リング408へ供給される放射線の量は、光ファイバ・ケーブル402及びコネクタ(図示されていない)内に存在する損失に一致する。放射線の1%カップリング(分割比99%/1%のカップリング)をもたらす市販のエバネッセント・カプラは、ニュージャージー州ニュートン所在のThorLabsによって製造され、部品番号10202A−99を有する。ある好適な実施形態では、エバネッセント入力カプラ412は上記コヒーレント放射源404からの放射線の1%未満をファイバ402へ結合する。
【0042】
ある例示的実施形態では、微量種またはアナライトを検出するために、光ファイバ・ケーブル402を被覆するジャケット402aの一部が除去され、光ファイバ・ケーブル402のコア402cを包囲するクラッド402bが露出される。代替として、ジャケット402a及びクラッド402bが共に除去されてコア402cが露出されるか、または光ファイバ・ケーブル402の被覆された部分がサンプル液体または気体に露出されるか、の何れかであることも可能である。後者の手法は、例えばエバネッセントフィールド(後述する)がジャケット内へ伸長して微量種(ジャケット内へ吸収または溶解されている)と相互作用するといったケースにおいて有益である可能性がある。しかしながらジャケットとクラッドとを共に除去する手法の方は、所定のタイプの光ファイバ・ケーブルにおいて使用されるコア402cは本質的に脆弱であることから最も好適であるとは言えない可能性がある。典型的な光ファイバ・ケーブルの断面を、図5Aに示す。
【0043】
内面全反射(TIR)素子を曲げると、入射する電磁波が反射面に接触する角度が変わる。光ファイバを円筒形本体を中心にして曲げる場合、本体の反対側のファイバ核の表面上の反射角は直角に近くなり、エバネッセントフィールドの透過度は増大される。円筒コア素子502の周りにファイバ402を数周巻くと(図5B参照)、エバネッセントフィールドの透過度は増大され、より小さい物理的容積内でより長いファイバを検出流体へ露出させることができる。変化する曲げ半径を介して検出する光ファイバの改良の実験的検証は、D.Littlejohn他により「近赤外線分光法のための曲げシリカ・ファイバ・エバネッセント吸収センサ」応用分光学53:845−849(1999年)において論じられている。
【0044】
図5Bは、液体または気体サンプル内の微量種を検出するために使用される例示的なセンサ500を示す。図5Bに示すように、センサ500はマンドレル等の(中実、中空またはそうでなければ透過性である)円筒コア素子502を含み、(この例では)露出されたクラッド402bを有する光ファイバ・ケーブル402の一部は、コア素子502の周りへ所定の長さ506に渡って巻き付けられている。また、光ファイバ・ケーブル402のコア402cが露出されてコア素子502に巻き付けられることによりセンサ500が製造されることも可能である。コア素子502の直径はコア402cが臨界半径rより小さい半径で形成される類のものであり、臨界半径rにおいて過剰放射線はコア素子502を囲みながらコア402cを介して失われる可能性があり、そうでなければファイバとしての完全性が危うくされる。臨界半径rは、光ファイバ・ケーブル402を通過する放射線の周波数及び/またはファイバの構成によって決まる。本発明のある好適な実施形態では、コア素子502の半径は約1cm乃至10cmであり、最も好適には少なくとも約1cmである。図に示すように、ファイバ402からの放射線は入力504で供給され、出力508で引き出される。円筒コア素子502は、その表面にファイバ402が配置される螺旋状の溝、及びファイバ402を円筒コア素子502へ固定するための手段を有することが可能である。このような固定手段は、円筒コア素子502内へ打ち込まれるねじ、エポキシまたはシリコンゴム等の接着剤、等の多くの形態をとることが可能である。本発明は、センサ500がファイバ402と一体式である場合、または市販の光ファイバ・コネクタを使用してファイバ402へ結合され得る場合にも実施されることが可能である。
【0045】
図6Aは、放射線が典型的な光ファイバ・ケーブルを介して如何に伝搬するかを示す。図6Aに示すように、放射線606は、コア402cとクラッド402bとの境界において内面全反射(TIR)を示す。放射線が反射されず、クラッド402b内へ吸収される僅かな損失(図示されていない)は幾分か存在する。図6Aは光ファイバ・ケーブルとして示されているが、図6A及び本発明の例示的実施形態は、クラッド402bが中空の核を包囲している中空の導波管のような中空ファイバにも等しく適用可能である。
【0046】
図6Bはセンサ500のある例示的実施形態の断面図であり、コア素子502の周囲への光ファイバ・ケーブル402の巻き付けによる効果を示している。図6Bに示すように、光ファイバ・ケーブル402からはジャケット402aのみが除去されている。放射線606は核402c内を進み、コア402cとコア素子502に隣接するクラッドの一部402b−1との境界で僅かな損失609を伴って内面全反射を示す。一方で、微量種またはアナライト610の存在下では、コア402cとクラッドの露出された部分402b−2との間のインタフェースをエバネッセントフィールド608が通過する。これは本質的に、存在する微量種610の量に基づいて放射線606を減衰させることから減衰内面全反射(ATR)と呼ばれる。放射線の波長に適合する吸収帯域を有する微量種の存在がなければ、放射線606は(ファイバ固有の損失以外には)減衰されないことは留意されるべきである。
【0047】
図6Cはセンサ500の別の例示的実施形態の断面図であり、ジャケット402aの一部は損なわれずにおかれた状態でのコア素子502の周囲への光ファイバ・ケーブル402の巻き付けによる効果を示している。図6Dに示すように、光ファイバ・ケーブル402からはジャケット402aの上部のみが除去されている。センサ500の第1の例示的実施形態に類似して、放射線606は核402c内を進み、コア402cとコア素子502に隣接するクラッドの一部402b−1との境界で僅かな損失609を伴って内面全反射を示す。一方で、微量種またはアナライト610の存在下では、コア402cとクラッドの露出された部分402b−2との間のインタフェースをエバネッセントフィールド608が通過する。
【0048】
(センサ500の何れの例でも)ジャケット402aの除去は、従来の光ファイバ剥離ツール等の機械的手段によって、またはクラッド402b及びコア402cに影響することなくジャケット402aを侵蝕しかつ溶解する溶剤内へファイバ・ケーブルの一部を浸漬することによって達成され得ることが企図されている。ジャケット402aの部分的除去の場合、溶剤手法は、除去することが意図されるジャケットの部分に溶剤を選択的に作用させることにより修正されることが可能である。
【0049】
液体サンプルにおける微量種のアナライト分子の吸引力を強化するために、受動光ファイバ・リングのジャケットのない部分は、光ファイバ・リングの被覆された部分における微量種の濃度を選択的に高める物質で被覆されることが可能である。このような被覆材の一例は、ポリエチレンである。さらに、抗原特異結合材を使用してファイバを被覆し、高い特異性を有する所望される生物学的アナライトを吸引することもできる。
【0050】
再度図4を参照すると、センサ500を通過後に残存する放射線はファイバ・ループ402を介して留まる。この残留する放射線の一部は、エバネッセント出力カプラ416によって光ファイバ・ループ402の外へ結合される。エバネッセント出力カプラ416は、検出器418及び信号線422を介してプロセッサ420へ結合される。プロセッサ420は、例えば検出器418のアナログ出力をデジタル信号に変換して処理するための手段を有するPCであることが可能である。プロセッサ420はまた、制御線424を介してコヒーレント放射源404を制御する。プロセッサ420によって検出器418から信号が受信されると、プロセッサは、受信された放射線の減衰率を基礎として存在する微量種の量及びタイプを決定することが可能である。
【0051】
任意選択的に、エバネッセント出力カプラ416と検出器418との間には波長セレクタ430を配置することができる。波長セレクタ430は、所定の範囲内でない放射線が検出器418へ入力されることを防止するフィルタとして作用する。
【0052】
入力カプラ412の出力には、検出器414が結合される。検出器414の出力は、信号線422を介してプロセッサ420へ供給され、共振光ファイバ・リング402が微量種分析を実行するに足る放射線を受信したときを決定する際に使用される。
【0053】
液体中の微量種またはアナライトを検出する場合、液体の屈折率は光ファイバ・ケーブルの屈折率より小さいものでなければならない。例えば、屈折率n=1.46を有する光ファイバ・ケーブルを所与とすれば、本発明は、水(n=1.33)及び例えばメタノール(n=1.326)、nヘキサン(n=1.372)、ジクロロメタン(n=1.4242)、アセトン(n=1.3588)、ジエチルエーテル(n=1.3526)及びテトラヒドロフラン(n=1.404)を含む多くの有機溶剤中に溶解している微量種の検出に使用されることが可能である。化学物質及びその個々の屈折率の広範なリストは、参照により本開示に含まれる「第52版CRC科学/物理学ハンドブック」Rober C.Weast編、The Chemical Rubber Company、オハイオ州クリーブランド、1971年、E−201ページ、に記述されている。異なる屈折率を有する利用可能な他のタイプの光ファイバも存在し、本発明は、光ファイバが液体より高い屈折率を有しかつ目標アナライトによる吸収帯域内で光を効果的に伝送させることを想定して、所与の液体マトリクスに合わせて調整されることが可能である。
【0054】
現時点で入手可能な光ファイバは、多くの異なるタイプが存在する。電気通信アプリケーションに標準用途を有するCorning社のSMF−28eヒューズ・シリカ・ファイバは、その一例である。多数の異なる波長で光を伝送する特殊ファイバは、テキサス州オースティン所在の3M社製488nm/514nmシングルモード・ファイバ(部品番号FS−VS−2614)、テキサス州オースティン所在の3M社製630nm可視波長シングルモード・ファイバ(部品番号FS−SN−3224)、テキサス州オースティン所在の3M社製820nm規格シングルモード・ファイバ(部品番号FS−SN−4224)及び日本国所在のKDD Fiberlabs製4ミクロン透過を有する0.28−NAフッ化物ガラスファイバ(部品番号GF−F−160)等が存在する。また、先にも述べたように、光ファイバ・ケーブル402は中空のファイバである場合もある。
【0055】
ファイバ402は、遙かに高いアナライト吸収強度を有するスペクトル領域へのアクセスを見込み、これにより装置400の感度を増加させる中赤外線透過ファイバであり得ることが企図されている。この領域で放射線を透過させるファイバは、典型的にはフッ化物ガラスから製造される。
【0056】
図7は、気体及び液体中の微量種またはアナライトがそれを介して検出され得る本発明の第2の例示的実施形態を示す。図7の説明に当たっては、第1の例示的実施形態に関連して説明したものに類似する機能を実行するエレメントは同じ参照番号を使用する。図7において、装置700は、光ファイバ・ケーブル402とセンサ500とを含む類似の共振光ファイバ・リング408を使用する。コヒーレント放射源404からの放射線は、任意選択的な光アイソレータ406、カプラ410及びエバネッセント入力/出力カプラ434を介して共振光ファイバ・リング408へ供給される。エバネッセント入力/出力カプラ434は、コヒーレント放射源404からの放射線の一定割合を共振光ファイバ・リング408へと供給することが可能である、または共振光ファイバ・リング404全体に存在する損失を基礎として調節可能であり得る。本例示的実施形態では、エバネッセント入力/出力カプラ434は本質的に、第1の例示的実施形態に関連して先に論じたエバネッセント入力カプラ412を再構成したものである。ある好適な実施形態では、エバネッセント入力/出力カプラ434はレーザ404からの放射線の1%未満をファイバ402へ結合する。
【0057】
微量種の検出は第1の例示的実施形態において説明したものと同様であり、よってここでは説明を省く。
【0058】
センサ500を通過後に残存する放射線はファイバ・ループ402を介して留まる。この残留する放射線の一部は、エバネッセント入力/出力カプラ434によって光ファイバ・ループ402の外へ結合される。エバネッセント入力/出力カプラ434は、検出器418及び信号線422を介してプロセッサ420へ結合される。また第1の例示的実施形態の場合のように、プロセッサ420は、制御線424を介してコヒーレント放射源404を制御する。プロセッサ420によって検出器418から信号が受信されると、プロセッサは、受信された放射線の減衰率を基礎として存在する微量種の量及びタイプを決定することが可能である。
【0059】
任意選択的に、エバネッセント入力/出力カプラ434と検出器418との間には波長セレクタ430を配置することができる。波長セレクタ430は、所定の範囲内でない放射線が検出器418へ入力されることを防止するフィルタとして作用する。波長セレクタ430はまた、コヒーレント放射源404からの放射線がファイバ402へとカップリングされた後の時間期間中にコヒーレント放射源404からの放射線が検出器418を「見えなくさせる」ことを防止するようにプロセッサ420によって制御されることが可能である。
【0060】
図8A乃至8Dは、液体または気体サンプル内の微量種を検出するために使用される別の例示的センサ800を示す。図8A及び8Dに示すように、センサ800はファイバ801から、コア804及びクラッド805を先細にして先細のコア808と先細のクラッド809とを有する先細の領域802を生成することにより製造される。先細の領域802の形成は、2つの技術の何れかを使用して達成されることが可能である。第1の技術は、ファイバ801の局所化されたセクションを加熱し、同時にセンサ800の形成が所望される当該領域の何れかの側を断熱的に引っ張るというものである。この手順は、ファイバ801内に連続したテーパを生成する。この先細のファイバは次に、例えば第1の例示的実施形態よる分光センサとして使用されることが可能である。第2の例示的技術では、先細の領域802は、化学薬品を使用して所定の厚さのファイバ・クラッド805を制御可能に除去し、先細のクラッド809を形成することによって製造されることが可能である。第2の技術を使用して製造されるセンサについては、図10A乃至10Cを参照して後に詳述する。
【0061】
図8Bは、テーパ前領域及びテーパ後領域におけるセンサ800の断面を示す。図8Bに示すように、コア804とクラッド805とは変更されない状態にある。光ファイバ・ケーブル801の少なくとも一部分にはこのようなジャケッティングの発生が想定されているが、単純さを期してこれらの図面及び説明は光ファイバ・ケーブル801のジャケッティングに言及していないことは留意されるべきである。
【0062】
図8Cは、先細の領域802におけるセンサ800の断面を示す。図8Cに示すように、先細のコア808及び先細のクラッド809は各々、コア804及びクラッド805に比べて大幅に低減された直径を有する。先細の領域802は、特定のアプリケーションを基礎として所望される任意の長さであることが可能である。本例示的実施形態では、例えば図8Dに示すように、先細の領域の長さは約4mmであり、くびれた部分の直径814は約12ミクロンである。
【0063】
再度図8Aを参照すると、コア804の領域におけるエバネッセントフィールド806は狭く、先細の領域802における拡張されたエバネッセントフィールド810に比べると限定されている。図に示すように、拡張されたエバネッセントフィールド810は、先の例示的実施形態に関して既に論じたように微量種(図示されていない)へ容易に露出され、よって領域812における微量種をより良く検出することができる。
【0064】
図9A乃至9Cは、液体または気体サンプル内の微量種を検出するために使用されるさらに別の例示的センサ900を示す。図9Aに示すように、センサ900はファイバ901から、クラッド905の一部を除去して実質的に「D」字形である断面領域902を生成することにより製造される。「D」字形の断面領域902の製造は、例えば研磨剤を使用して光ファイバ・クラッド905の片側を研磨することにより達成されることが可能である。研磨剤は、誘導されるモード品質を維持するようにクラッド905を領域902に沿って絶えず増大する深度で除去し、最終的には最小のクラッド厚さ909の先端で最大深度に到達するように使用される。最低のクラッド厚さであるこの領域は、最大エバネッセント露出領域910を表す。
【0065】
図10A乃至10Cは、液体または気体サンプル内の微量種を検出するために使用されるさらに別の例示的センサ1000を示す。センサ1000は、先細センサの例示的実施形態に関して先に説明した第2の技術を使用して製造される。図10Aに示すように、センサ1000は、当事者には周知の化学薬品を使用してクラッド1005の一部を除去し、先細のクラッド1009を有する先細の領域1002を生成することによりファイバ1001から製造される。コアの任意の部分が害される、または除去されるとセンサ1000に重大な損失がもたらされることから、化学薬品にこうした部分を一切害させない、または除去させないようにすることが重要である。
【0066】
図10Bは、テーパ前領域及びテーパ後領域におけるセンサ1000の断面を示す。図10Bに示すように、コア1004とクラッド1005とは変更されない状態にある。この場合もやはり、光ファイバ・ケーブル1001の少なくとも一部分にはこのようなジャケッティングの発生が想定されているが、単純さを期してこれらの図面及び説明は光ファイバ・ケーブル1001のジャケッティングに言及していないことは留意されるべきである。
【0067】
図10Cは、先細の領域1002におけるセンサ1000の断面を示す。図10Cに示すように、コア1004に影響はないが、先細のクラッド1009はクラッド1005に比べて大幅に低減された直径を有する。先細の領域1002は、特定のアプリケーションを基礎として所望される任意の長さであることが可能である。例えば本例示的実施形態では、先細の領域の長さは約4mmであり、くびれた部分の直径1014は約12ミクロンである。
【0068】
再度図10Aを参照すると、コア1004の領域におけるエバネッセントフィールド1006は狭く、先細の領域1002における拡張されたエバネッセントフィールド1010に比べると限定されている。図に示すように、拡張されたエバネッセントフィールド1010は、先の例示的実施形態に関して既に論じたように微量種(図示されていない)へ容易に露出され、よって領域1012における微量種をより良く検出することができる。
【0069】
上述のセンサ800、900及び1000に関連して、センサを製造することにより光ファイバ内に生成される損失は、ファイバ変更より前に所望される検出限度にふさわしいテーパ径または研磨深度を決定することによってエバネッセントフィールドの露出量と均衡されることが可能である。さらに、各々テーパリング及び研磨作業に起因して増大される脆弱性を補償するためにセンサ800、900及び/または1000のための防護マウンティングを供給することが望ましい可能性がある。
【0070】
センサ800、900及び/または1000は、(図5Bに示すような)マンドレル等の(中実、中空またはそうでなければ透過性であることが可能な)円筒コア素子502上の無制限のファイバとして、またはループもしくは曲がった構成(図示されていない)での何れかで使用され得ることが企図されている。
【0071】
センサ800、900及び1000は、調査対象のアナライトを吸引する生物学的因子等の濃縮物質で検出領域を被覆することによりさらに拡張されることが可能である。このような生物学的因子は、一般的な当事者には周知である。また、幾つかの検出領域800、900及び/または1000は分布されたリングダウン・センサを生成するように光ファイバ・ケーブルの長さに沿って形成され得ることも企図されている。
【0072】
本明細書では、所定の特定実施形態を参照して図示及び説明を行っているが、本発明が示された詳細事項に限定されることは意図されていない。請求内容の等価の範囲及び領域内で、かつ本発明の精神を逸脱することなく詳細事項の様々な変更を行うことは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】対数目盛上の電磁スペクトルを示す。
【図2】ミラーを使用する先行技術CRDSシステムを示す。
【図3】プリズムを使用する先行技術CRDSセルを示す。
【図4】本発明の第1の例示的実施形態を示す。
【図5A】従来型光ファイバの端面図である。
【図5B】本発明の例示的な一実施形態によるセンサの斜視図である。
【図6A】ケーブル内の放射線伝搬を示す光ファイバ・ケーブルの断面図である。
【図6B】本発明のある例示的実施形態によるエバネッセントフィールドを示す光ファイバ・センサの断面である。
【図6C】本発明の別の例示的実施形態によるエバネッセントフィールドを示す光ファイバ・センサの断面である。
【図6D】図6Cに示す光ファイバ・センサの光ファイバ・ケーブルからジャケットの上部のみが除去された断面を示す。
【図7】本発明の第2の例示的実施形態を示す。
【図8A】本発明の第3の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【図8B】本発明の第3の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【図8C】本発明の第3の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【図8D】本発明の第3の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【図9A】本発明の第4の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【図9B】本発明の第4の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【図9C】本発明の第4の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【図10A】本発明の第5の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【図10B】本発明の第5の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【図10C】本発明の第5の例示的実施形態による光ファイバ・センサを示す。
【符号の説明】
【0074】
400 リングダウン装置、 402 光ファイバ・ケーブル、 402a ジャケット、 402b クラッド、 402c コア、 404 コヒーレント放射源、 406 光アイソレータ、 408 共振光ファイバ・リング、 410 カプラ、 412 エバネッセント入力カプラ、 500 センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種の検出及び測定のための装置であって、
受動共振光ファイバ・リングと、
上記光ファイバ・リングとインラインに組み込まれると共に、サンプル気体またはサンプル液体に露出されるテーパー部を有する少なくとも1つのセンサと、
放射線を発射するコヒーレント放射源と、
上記コヒーレント放射源によって発射される放射線の少なくとも一部を上記受動共振ファイバ・リングの第1のセクションへ供給するための第1の光カプラと、
上記放射線の一部を上記共振ファイバ・リングの第2のセクションから上記受動共振ファイバ・リングにおいて受信するための第2の光カプラと、
上記第2の光カプラに結合されて、上記第2の光カプラによって受信される放射線の減衰率に基づいて気体サンプルまたは液体サンプル内の微量種のレベルを決定するためのプロセッサとを備える装置。
【請求項2】
上記第2の光カプラと上記プロセッサとの間に結合されて、上記第2の光カプラにより受信される放射線に応答する信号を発生させるための第1の光検出器をさらに備える請求項1記載の装置。
【請求項3】
上記第1の光カプラと上記プロセッサとの間に結合されて、上記レーザからのエネルギーが上記受動光ファイバ・リングへ供給されるときを決定するための第2の光検出器をさらに備える請求項1記載の装置。
【請求項4】
上記第2の光検出器が、上記コヒーレント放射源からの放射線の受信に応答して上記プロセッサへトリガ信号を発生させる請求項3記載の装置。
【請求項5】
上記第1及び第2の光カプラが一体のカプラである請求項1記載の装置。
【請求項6】
所定の半径を有する上記センサの一部を形成するために上記センサのテーパー部に結合される少なくとも1つの円筒形本体をさらに備え、上記サンプル液体またはサンプル気体の少なくとも一部は上記センサの形成される一部に接触する請求項1記載の装置。
【請求項7】
サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種の検出及び測定のための装置であって、
受動共振光ファイバ・リングと、
上記光ファイバとインラインに組み込まれると共に、サンプル気体またはサンプル液体に露出される「D」字形断面部分を有する少なくとも1つのセンサと、
放射線を発射するコヒーレント放射源と、
上記コヒーレント放射源によって発射される放射線の少なくとも一部を上記受動共振ファイバ・リングの第1のセクションへ供給するための第1の光カプラと、
上記放射線の一部を上記共振ファイバ・リングの第2のセクションから上記受動共振ファイバ・リングにおいて受信するための第2の光カプラと、
上記第2の光カプラに結合されて、上記第2の光カプラによって受信される放射線の減衰率に基づいて気体サンプルまたは液体サンプル内の微量種のレベルを決定するためのプロセッサとを備える装置。
【請求項8】
所定の半径を有する上記センサの一部を形成するために上記センサの「D」字形断面部分に結合される少なくとも1つの円筒形本体をさらに備え、上記サンプル液体またはサンプル気体の少なくとも一部は上記センサの形成される一部に接触する請求項7記載の装置。
【請求項9】
サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方において微量種を検出しかつ測定するための方法であって、
光ファイバの一部をテーパー付けすることにより上記光ファイバからセンサを形成する工程と、
上記光ファイバの上記テーパー部を上記サンプル気体またはサンプル液体に露出する工程と、
コヒーレント放射源から放射線を発射する工程と、
上記コヒーレント放射源から発射される放射線の少なくとも一部を上記光ファイバ・リングに結合させる工程と、
上記光ファイバ・リング内を進む放射線の一部を受信する工程と、
上記光ファイバ・リング内の放射線の減衰率に基づいて、気体または液体サンプルにおける微量種のレベルを決定する工程、とを備える方法。
【請求項10】
所定の半径で上記微量種の吸収周波数に基づいて上記受動光ファイバ・リングのテーパー部の少なくとも一部を形成する工程と、
上記センサの形成された部分を上記サンプル液体またはサンプル気体へ露出する工程とをさらに備える請求項9記載の方法。
【請求項11】
上記ファイバ内を進む放射線のエバネッセントフィールドを上記サンプル気体またはサンプル液体へ露出する工程をさらに備える請求項10記載の方法。
【請求項12】
上記微量種による放射線の吸収に応答して上記ファイバ内の放射線の減衰率に基づいて上記サンプル気体またはサンプル液体における微量種のレベルを決定する工程をさらに備える請求項11記載の方法。
【請求項13】
サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方において微量種を検出しかつ測定するための方法であって、
光ファイバのクラッドの一部を除去して「D」字形の断面を形成することにより、上記光ファイバからセンサを製造する工程と、
上記光ファイバの「D」字形の断面部分を上記サンプル気体またはサンプル液体に露出する工程と、
コヒーレント放射源から放射線を発射する工程と、
上記コヒーレント放射源から発射される放射線の少なくとも一部を上記光ファイバ・リングに結合させる工程と、
上記光ファイバ・リング内を進む放射線の一部を受信する工程と、
上記光ファイバ・リング内の放射線の減衰率に基づいて、気体または液体サンプルにおける微量種のレベルを決定する工程、とを備える方法。
【請求項14】
所定の半径で上記微量種の吸収周波数に基づいて上記受動光ファイバ・リングの「D」字形断面部分の少なくとも一部を形成する工程と、
上記センサの形成された部分を上記サンプル液体またはサンプル気体へ露出する工程とをさらに含む請求項13記載の方法。
【請求項15】
上記ファイバ内を進む放射線のエバネッセントフィールドを上記サンプル気体またはサンプル液体へ露出する工程をさらに備える請求項14記載の方法。
【請求項16】
上記微量種による放射線の吸収に応答して上記ファイバ内の放射線の減衰率に基づいて上記サンプル気体またはサンプル液体における微量種のレベルを決定する工程をさらに備える請求項15記載の方法。
【請求項17】
キャビティ・リングダウン分光法において使用する、サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種の検出のためのセンサであって、
それぞれが第1の直径を有する第1のコアとクラッドとを有する受動光ファイバと、
上記光ファイバから形成されかつ上記光ファイバと一直線になるように配置されるテーパー部とを備え、上記テーパー部はそれぞれが第2の直径を有する第2のコアとクラッドとを有し、
上記第2のコアの直径は上記第1のコアの直径より小さく、上記第2のクラッドの直径は上記第1のクラッドの直径より小さく、上記テーパー部は、上記微量種を検出するために上記少なくとも一方のサンプル液体及びサンプル気体へ露出されるセンサ。
【請求項18】
上記テーパー部のエバネッセントフィールドは上記光ファイバのエバネッセントフィールドより大きい請求項17記載のセンサ。
【請求項19】
キャビティ・リングダウン分光法において使用する、サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種の検出のためのセンサであって、
個々の第1の直径を有するコアと第1のクラッドとを有する受動光ファイバと、
上記光ファイバから形成されかつ上記光ファイバと一直線になるように配置される研磨された部分とを備え、上記研磨された部分は実質的に「D」字形である断面を有するクラッドを有し、
上記研磨された部分は、上記微量種を検出するために上記少なくとも一方のサンプル液体及びサンプル気体へ露出されるセンサ。
【請求項20】
上記実質的に「D」字状である部分のエバネッセントフィールドは上記光ファイバのエバネッセントフィールドより大きい微量種への露出を有する請求項19記載のセンサ。
【請求項21】
キャビティ・リングダウン分光法において使用する、サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種の検出のためのセンサであって、
それぞれが第1の直径を有するコアと第1のクラッドとを有する受動光ファイバと、
上記光ファイバから形成されかつ上記光ファイバと一直線になるように配置されるテーパー部とを備え、上記テーパー部は上記コアと第2のクラッドとを有し、上記第2のクラッドは上記第1のクラッドの直径より小さい直径を有し、
上記テーパー部は上記微量種を検出するために上記少なくとも一方のサンプル液体及びサンプル気体へ露出されるセンサ。
【請求項22】
上記テーパー部のエバネッセントフィールドは上記光ファイバのエバネッセントフィールドより大きい請求項21記載のセンサ。
【請求項1】
サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種の検出及び測定のための装置であって、
受動共振光ファイバ・リングと、
上記光ファイバ・リングとインラインに組み込まれると共に、サンプル気体またはサンプル液体に露出されるテーパー部を有する少なくとも1つのセンサと、
放射線を発射するコヒーレント放射源と、
上記コヒーレント放射源によって発射される放射線の少なくとも一部を上記受動共振ファイバ・リングの第1のセクションへ供給するための第1の光カプラと、
上記放射線の一部を上記共振ファイバ・リングの第2のセクションから上記受動共振ファイバ・リングにおいて受信するための第2の光カプラと、
上記第2の光カプラに結合されて、上記第2の光カプラによって受信される放射線の減衰率に基づいて気体サンプルまたは液体サンプル内の微量種のレベルを決定するためのプロセッサとを備える装置。
【請求項2】
上記第2の光カプラと上記プロセッサとの間に結合されて、上記第2の光カプラにより受信される放射線に応答する信号を発生させるための第1の光検出器をさらに備える請求項1記載の装置。
【請求項3】
上記第1の光カプラと上記プロセッサとの間に結合されて、上記レーザからのエネルギーが上記受動光ファイバ・リングへ供給されるときを決定するための第2の光検出器をさらに備える請求項1記載の装置。
【請求項4】
上記第2の光検出器が、上記コヒーレント放射源からの放射線の受信に応答して上記プロセッサへトリガ信号を発生させる請求項3記載の装置。
【請求項5】
上記第1及び第2の光カプラが一体のカプラである請求項1記載の装置。
【請求項6】
所定の半径を有する上記センサの一部を形成するために上記センサのテーパー部に結合される少なくとも1つの円筒形本体をさらに備え、上記サンプル液体またはサンプル気体の少なくとも一部は上記センサの形成される一部に接触する請求項1記載の装置。
【請求項7】
サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種の検出及び測定のための装置であって、
受動共振光ファイバ・リングと、
上記光ファイバとインラインに組み込まれると共に、サンプル気体またはサンプル液体に露出される「D」字形断面部分を有する少なくとも1つのセンサと、
放射線を発射するコヒーレント放射源と、
上記コヒーレント放射源によって発射される放射線の少なくとも一部を上記受動共振ファイバ・リングの第1のセクションへ供給するための第1の光カプラと、
上記放射線の一部を上記共振ファイバ・リングの第2のセクションから上記受動共振ファイバ・リングにおいて受信するための第2の光カプラと、
上記第2の光カプラに結合されて、上記第2の光カプラによって受信される放射線の減衰率に基づいて気体サンプルまたは液体サンプル内の微量種のレベルを決定するためのプロセッサとを備える装置。
【請求項8】
所定の半径を有する上記センサの一部を形成するために上記センサの「D」字形断面部分に結合される少なくとも1つの円筒形本体をさらに備え、上記サンプル液体またはサンプル気体の少なくとも一部は上記センサの形成される一部に接触する請求項7記載の装置。
【請求項9】
サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方において微量種を検出しかつ測定するための方法であって、
光ファイバの一部をテーパー付けすることにより上記光ファイバからセンサを形成する工程と、
上記光ファイバの上記テーパー部を上記サンプル気体またはサンプル液体に露出する工程と、
コヒーレント放射源から放射線を発射する工程と、
上記コヒーレント放射源から発射される放射線の少なくとも一部を上記光ファイバ・リングに結合させる工程と、
上記光ファイバ・リング内を進む放射線の一部を受信する工程と、
上記光ファイバ・リング内の放射線の減衰率に基づいて、気体または液体サンプルにおける微量種のレベルを決定する工程、とを備える方法。
【請求項10】
所定の半径で上記微量種の吸収周波数に基づいて上記受動光ファイバ・リングのテーパー部の少なくとも一部を形成する工程と、
上記センサの形成された部分を上記サンプル液体またはサンプル気体へ露出する工程とをさらに備える請求項9記載の方法。
【請求項11】
上記ファイバ内を進む放射線のエバネッセントフィールドを上記サンプル気体またはサンプル液体へ露出する工程をさらに備える請求項10記載の方法。
【請求項12】
上記微量種による放射線の吸収に応答して上記ファイバ内の放射線の減衰率に基づいて上記サンプル気体またはサンプル液体における微量種のレベルを決定する工程をさらに備える請求項11記載の方法。
【請求項13】
サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方において微量種を検出しかつ測定するための方法であって、
光ファイバのクラッドの一部を除去して「D」字形の断面を形成することにより、上記光ファイバからセンサを製造する工程と、
上記光ファイバの「D」字形の断面部分を上記サンプル気体またはサンプル液体に露出する工程と、
コヒーレント放射源から放射線を発射する工程と、
上記コヒーレント放射源から発射される放射線の少なくとも一部を上記光ファイバ・リングに結合させる工程と、
上記光ファイバ・リング内を進む放射線の一部を受信する工程と、
上記光ファイバ・リング内の放射線の減衰率に基づいて、気体または液体サンプルにおける微量種のレベルを決定する工程、とを備える方法。
【請求項14】
所定の半径で上記微量種の吸収周波数に基づいて上記受動光ファイバ・リングの「D」字形断面部分の少なくとも一部を形成する工程と、
上記センサの形成された部分を上記サンプル液体またはサンプル気体へ露出する工程とをさらに含む請求項13記載の方法。
【請求項15】
上記ファイバ内を進む放射線のエバネッセントフィールドを上記サンプル気体またはサンプル液体へ露出する工程をさらに備える請求項14記載の方法。
【請求項16】
上記微量種による放射線の吸収に応答して上記ファイバ内の放射線の減衰率に基づいて上記サンプル気体またはサンプル液体における微量種のレベルを決定する工程をさらに備える請求項15記載の方法。
【請求項17】
キャビティ・リングダウン分光法において使用する、サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種の検出のためのセンサであって、
それぞれが第1の直径を有する第1のコアとクラッドとを有する受動光ファイバと、
上記光ファイバから形成されかつ上記光ファイバと一直線になるように配置されるテーパー部とを備え、上記テーパー部はそれぞれが第2の直径を有する第2のコアとクラッドとを有し、
上記第2のコアの直径は上記第1のコアの直径より小さく、上記第2のクラッドの直径は上記第1のクラッドの直径より小さく、上記テーパー部は、上記微量種を検出するために上記少なくとも一方のサンプル液体及びサンプル気体へ露出されるセンサ。
【請求項18】
上記テーパー部のエバネッセントフィールドは上記光ファイバのエバネッセントフィールドより大きい請求項17記載のセンサ。
【請求項19】
キャビティ・リングダウン分光法において使用する、サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種の検出のためのセンサであって、
個々の第1の直径を有するコアと第1のクラッドとを有する受動光ファイバと、
上記光ファイバから形成されかつ上記光ファイバと一直線になるように配置される研磨された部分とを備え、上記研磨された部分は実質的に「D」字形である断面を有するクラッドを有し、
上記研磨された部分は、上記微量種を検出するために上記少なくとも一方のサンプル液体及びサンプル気体へ露出されるセンサ。
【請求項20】
上記実質的に「D」字状である部分のエバネッセントフィールドは上記光ファイバのエバネッセントフィールドより大きい微量種への露出を有する請求項19記載のセンサ。
【請求項21】
キャビティ・リングダウン分光法において使用する、サンプル気体及びサンプル液体の少なくとも一方における微量種の検出のためのセンサであって、
それぞれが第1の直径を有するコアと第1のクラッドとを有する受動光ファイバと、
上記光ファイバから形成されかつ上記光ファイバと一直線になるように配置されるテーパー部とを備え、上記テーパー部は上記コアと第2のクラッドとを有し、上記第2のクラッドは上記第1のクラッドの直径より小さい直径を有し、
上記テーパー部は上記微量種を検出するために上記少なくとも一方のサンプル液体及びサンプル気体へ露出されるセンサ。
【請求項22】
上記テーパー部のエバネッセントフィールドは上記光ファイバのエバネッセントフィールドより大きい請求項21記載のセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【公開番号】特開2009−31312(P2009−31312A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287894(P2008−287894)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【分割の表示】特願2004−513715(P2004−513715)の分割
【原出願日】平成14年12月30日(2002.12.30)
【出願人】(500184305)トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【分割の表示】特願2004−513715(P2004−513715)の分割
【原出願日】平成14年12月30日(2002.12.30)
【出願人】(500184305)トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ (8)
【Fターム(参考)】
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