説明

心肺バイパスおよび心停止用の濃縮潅水回路

心肺バイパスと心停止用トータル簡約回路と、これを使用する方法を提供する。トータル回路は、実質的に短い通路長と好ましくは800ml以下の注入量を有するチューブとコンポネントを供える心肺バイパス部を有する。したがって、血液がプラスチックに接触することによって生じる炎症反応を抑えることができる。バイパス回路は、トータル回路の血液リザーバをバイパスするシャントを具える。心停止回路はバイパス回路の酸素供給器から引いた血液に心停止剤を注入する。本発明の方法によれば、心臓/肺臓バイパスと心停止のいずれかあるいは両方を、患者に注入する等張性注入液を最小限にするかあるいは全く注入することなく実行することができる。更に、シャントとリザーバをともに使用することで、回路システムにねじれが生じてもエアが回路システムに入り込む可能性をなくすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1. 発明の属する技術分野
本発明は、広くは医療システムに関するものである。特に、本発明は心肺バイパスおよび心停止用の潅水回路、およびこれを用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2. 関連技術
従来の開胸心臓手術では、患者の胸骨を切り開き、開創器を用いて胸部を開き、患者の胸部に大きな開口を作って心臓にアクセスする。患者は心肺バイパスにつながれ、胸部の大きな開口を介して心臓に取り付けた大きな動脈及び静脈内に直接挿入したカテーテルとカニューレを用いて患者の心臓を停止させる。
【0003】
図1を参照すると、従来のバイパス潅水回路10は、通常、上行性大動脈14の壁を通る動脈カニューレ12を具える。静脈カニューレ16は、患者から血液を排出するために右心房18を通っている。この静脈カニューレ16は、長さ約8フィート、直径1/2インチのポリビニルクロライド(PVC)チューブ20(容積304ml)に接続されている。従来技術のシステムはすべて、正しい血流を確実にするために、この位置で少なくとも直径1/2インチのチューブの使用を要求している。チューブ20は、容積300から600mlの血液を保存するのに適した血液リザーバ22に接続されている。長さ1フィート、直径3/8インチのチューブ24(容積21ml)がこのリザーバ22を、容積80mlの遠心ポンプ26に接続している。遠心ポンプ26は、ポンプを駆動する心肺コンソール(図示せず)に接続されている。長さ1フィート、直径3/8インチのチューブ28(容積21ml)が、ポンプ26から酸素供給器30(容積280ml)へ血液を搬送する。別の長さ1フィート、直径3/8インチのチューブ32(容積21ml)が、酸素供給器30から40ミクロンの動脈フィルタ34(容積50ml)へ血液を搬送する。動脈フィルタ34は、ガス状あるいは脂肪状の血栓形成物を捕獲するように構成されている。フィルタ34から、長さ8フィート直径3/8インチのチューブ36(容積168ml)が動脈カニューレ12に戻って回路を完成させている。リザーバ22、酸素供給器30、および動脈フィルタ34は、一体的なユニット38である。いずれにせよ、チューブ24、28、32は、様々なセクションを連結することが必要である。静脈カニューレ16を通って患者から血液が抜かれ、まとめて潅水回路10と呼ばれるチューブ、リザーバ、ポンプ、酸素供給器、フィルタを循環し、動脈カニューレ12を通って患者に戻ってゆく。バイパス回路10全体が、遠心ポンプ26を駆動するコンソール(図示)に固定されたポールに装着されており、したがって、コンソールの位置に対して制約されている。
【0004】
使用に先立って、回路10の長さ8フィートの2本のチューブ20、36が、容積80mlのプレバイパスフィルタ(図示せず)で互いに連結されている。このチューブの一方の長さは、プレバイパスフィルタのあたりで切り離されており、回路に例えば生理食塩水などの等張溶液を注入して、コンポネントとチューブ内からエアやその他の不純物を除去するようにしている。注入容量は比較的高く、上述したチューブとコンポネントの個々の容積から、約1325から1625ml(カニューレは含まず)であると計算される。直径1/2インチのチューブは容積38ml/フィート、直径3/8インチのチューブは容積21ml/フィートである。
【0005】
潅水回路10に生理食塩水を注入した後、プレバイパスフィルタが除去され、回路の両端部が動脈カニューレ12と静脈カニューレ16につながれる。
【0006】
従来技術を示す図2を参照すると、心停止回路40が心臓に接続されている。心停止回路40は一般的に、酸素供給器から血液を抜いてその血液を心臓に送るローラポンプ42を具える。回路40に心停止流体44が加えられる。この心停止流体44は、通常、1リットルの等張溶液に懸濁させたカリウムである。フレキシブルチューブ46の長さは、ローラポンプ42からバブルトラップ48へ延びており、カテーテル50はバブルトラップ48から心臓15へ延在している。心停止回路のコンポネントとチューブも、約300〜400mlの等張液を注入して、使用前にエアと異物を除去する必要がある。注入した後、ローラポンプ42を動作させて、心停止状態にする。
【0007】
潅水回路ポンプが動作すると心停止が生じ、患者の血液に身体の外で酸素が供給されて患者に戻ってくる。潅水ポンプが動作すると、注入する生理食塩水も患者の身体を巡回する。
【0008】
この標準的手順は、いくつかの理由で好ましくない。まず、システムの比較的大きな注入容量、特に、チューブの長さが、患者の血液を比較的長時間、広い非脈管表面領域に接触させる。血液がチューブなどのプラスチックコンポネントに接触すると身体に炎症反応が起こる傾向がある。このことは、チューブとその他のコンポネントが最近の抗炎症性コーティング剤で被覆されていても生じる。この反応は、患者の回復を弱める。
【0009】
第2に、従来の潅水回路はチューブまたはカニューレの一部がねじれる場合があり、潅水回路を通る血流を妨げる。このような場合、ポンプが大気に開放されているリザーバを通してエアを引き込んで、このエアを患者の脈管システムに循環させることがある。このことは、患者にとって非常に危険であり、死に至らしめることもある。
【0010】
第3に、手順の前に患者に投与される血液ユニットに加えて潅水バイパスと心停止回路に必要な大量の等張液体が患者の身体を循環する。人間の身体内のこの異常な容量の液体は、腎臓が相当量の追加液体を処理しなければならないといった負担を患者にかけることになる。
【0011】
発明の概要
本発明の目的は、注入量を最小限に抑えた潅水バイパス回路を提供することである。
【0012】
本発明の更なる目的は、カニューレやチューブがねじれた場合に回路を通ってエアが注入されることを防止する潅水回路を提供することである。
【0013】
本発明の更なる目的は、注入量を最小限に抑えた潅水と心停止を組み合わせた回路を提供することである。
【0014】
本発明の更なる目的は、注入液が身体を循環しない心肺バイパス用潅水回路の使用方法を提供することである。
【0015】
本発明の更なる目的は、チューブまたはカニューレが一時的にあるいは永久に閉鎖してしまったとしても、エアが患者を循環しないようにした心肺バイパス用潅水回路の使用方法を提供することである。
【0016】
本発明の更なる目的は、あったとしても比較的わずかの追加等張液を患者に導入する心停止液の導入方法を提供することである。
【0017】
これらの目的に応じて、以下に詳細に述べるように、心肺バイパス及び心停止用潅水回路と、それを使用する方法が提供されている。潅水回路は、従来のバイパス潅水回路より実質的に短い通路長と少ない注入量を有するチューブとコンポネントを有するバイパス部を具える。好適な実施例におけるバイパス回路のトータル注入量は800ml以下であり、より好ましくは700ml以下である。この注入量の低減は、以下に述べるように、リザーバにプールされる血液の量を低減させることによって部分的に実行される。回路の長さと容積は、従来技術に比べて比較的短く、小さいので、プラスチックに血液が接触することによって生じる炎症反応が低減する。
【0018】
本発明のその他の好ましい特徴によれば、静脈側を長さ1フィートのチューブでポンプにつなぐためにシャントが設けられている。このシャントはリザーバをバイパスする。このシャントに開放可能なクランプが設けられている。開放可能なクランプは、リザーバの前と後に設けられており、シャントが開いたときのリザーバへまたはリザーバからの血流を防止している。
【0019】
本発明の更なる好ましい特徴であり、選択的な特徴によれば、簡約した心停止回路が提供されている。心停止回路は、酸素供給器の出力ポートに接続された入力と、非常に短いチューブピースでバブルトラップに接続された出力を有するローラポンプを具える。カテーテルがバブルトラップに接続されており、その端部に心臓に挿入する針を具えている。本発明によれば、通常であれば患者に注入されるであろう大量の等張溶液を必要とせず、濃縮した心停止液を回路に注入する注入ポンプが設けられている。したがって、この回路はバイパスと心停止の双方に用いられるトータル回路である。
【0020】
本発明の好ましい方法によれば、回路に生理食塩水が注入され、この生理食塩水をプレバイパスフィルタを通して循環させるように動作する。生理食塩水を循環させた後、静脈側および動脈側のチューブがプレバイパスフィルタから別れて、心臓に挿入される静脈カニューレと動脈カニューレにそれぞれ接続される。
【0021】
次いで、生理食塩水が患者自身の血液で置き換えられる。すなわち、血液が静脈及び動脈側からバイパス回路に引かれ、生理食塩水がコンポネントから分離されているチューブによってあるいはバルブを介して排出される。これは、バイパス回路のわずかな注入量であるため、差し支えない。従来のシステムでは、回路に患者の血液を注入することが医学的に安全なものでないほど十分に大量の注入溶液が必要であった。患者の血液が注入液になりうる場合、身体に大量の非血液液体を循環させることに関連する負の副作用はない。好ましくは、0〜100mlの血液がリザーバにプールされる。
【0022】
バイパス回路に血液が注入されると、バイパス回路が活性化される。バイパス回路は患者の血液をリザーバから酸素供給器と、動脈フィルタに循環させ、患者に戻す。
【0023】
次いで、心停止ローラポンプが酸素供給器から血液を引き上げ、バブルトラップに送る。心停止回路内の血液は、注入ポンプから心停止液が注入され、心臓に送られる。特に、回路全体の心停止部分は生理食塩水が必要とされない。更に、注入ポンプを動作させる前に心停止回路内の生理食塩水を血液に置き換えることによって、生理食塩水はすべて患者に入り込むことがない。
【0024】
本発明の一の好ましい特徴によれば、手順の前に追加の血液ユニットが投与されている場合など、患者が十分な血液を持っている場合、リザーバに血液を確保しておくことができる。次いで、シャントクランプが開放され、リザーバクランプが閉じて、循環からリザーバの血液を除去することができる。潅水ポンプは患者から直接に、およびシャントを介して血液を抜く一方で、リザーバをバイパスする。したがって、ポンプの動脈側のチューブのいずれかがねじれた場合、静脈カニューレが心臓組織に対して吸引を行い、循環を閉鎖するであろう。エアはリザーバから入ってゆくことができない。更に、ポンプの静脈側のチューブのいずれかがねじれた場合も、外科医あるいは潅水係がリザーバクランプを開放して、ねじれが戻るまでポンプにリザーバから血液を引くことができる。バイパス手順の最後においてリザーバに血液が残っていれば、リザーバクランプを開放して、回路の動脈側をクランプして閉じて、実質的にすべてのリザーバの血液を患者に再び戻すことができる。
【0025】
上述したことより、簡約された安全な回路がバイパス及び心停止用に提供される。
【0026】
本発明の追加の目的及び利点は、添付の図面とともに詳細な説明を参照することによって当業者には明らかである。
【0027】
好適な実施例の詳細な説明
図3を参照すると、低注入量の心臓バイパスおよび心停止回路100(以下、トータル簡約回路という)が示されている。回路100は、バイパス部102と心停止部104を具えている。詳細を以下に説明する。
【0028】
バイパス部102は、長さ約1フィート、直径3/8インチのPVCチューブ106(容積21ml)で、第1のYコネクタ108に通じる静脈側を有する。Yコネクタ108からは、長さ約3インチ、直径3/8インチのチューブ110(容積5ml)が血液リザーバ112(後述するとおり好ましくは0ないし100mlの血液を保持する)に接続されている。チューブ110には開放可能なクランプ114が設けられている。別の長さ3インチ、直径3/8インチの、開放可能なクランプ118を設けた短いチューブ116(容積5ml)がリザーバ112から延在しており、第2のYコネクタ120に接続されている。別の長さ3インチ、直径3/8インチの短いチューブ122(容積5ml)が第2のYコネクタ120から第1の潅水ポンプ124(容積80ml)へ延在しており、これによってリザーバ112とポンプ124を液通させている。長さ6インチ、直径3/8インチのチューブ126(容積10ml)がポンプ124から酸素供給器128(容積280ml)へ血液を搬送する。別の長さ6インチ、直径3/8インチのチューブ130(容積10ml)が酸素供給器128から動脈フィルタ132(容積50ml)へ血液を搬送する。ポンプ124と酸素供給器128間にこのような長さの短いチューブを用いるために、ポンプ124の位置が動脈フィルタ132近傍に移されている。動脈側の長さ1フィート、直径3/8インチのチューブ134(容積21ml)は、動脈フィルタ132から延在している。注入の前に、静脈側チューブ106と動脈側チューブ134が、プレバイパスフィルタ(図示せず、容積80ml)で接続される。したがって、好ましい実施例におけるバイパス回路102の全体の注入容量は800ml以下であり、より好ましくは700ml以下、最も好ましくは約567乃至670mlの間である。この注入容量の低減は、以下に説明する方法において述べるとおり、静脈側のチューブの直径を(従来技術に比較して)低減させたこと、チューブの長さを低減したこと、コンポネントを互いに配置しなおしたこと、リザーバにプールする血液量を低減させたことによって実現される。バイパス回路の長さと容積は、従来技術より相対的に短く小さいので、血液がプラスチックに接触することによって炎症反応が生じる機会が少なくなる。
【0029】
バイパス回路102は、好ましくは、選択的にではあるがシャント136が設けられている。シャント136は、好ましくは長さ12ないし18インチ、直径3/8インチのチューブ(容積20〜30ml)であり、第1のYコネクタ108と第2のYコネクタ120に接続しており、これによってリザーバ112をバイパスする。開放可能なクランプ138がシャント136に設けられている。シャント136の使用を本発明の方法に関連して以下に述べる。
【0030】
心停止回路104は、長さが比較的短く、直径3/16ないし1/4インチの、酸素供給器128の出力ポート152に接続されたチューブ154を有する。チューブ154またはそれに接続されたチューブ158は、チューブに対抗してローラを移動するように構成されたローラポンプ150内を延在しており、これによって血液をチューブ内に引き込んでその中を移動させる。ローラポンプ150を出たチューブ158は、バブルトラップ156に接続されている。カテーテル160はバブルトラップ156に接続されており、針164がカテーテル160の端部に設けられて、心臓166内に挿入されるようになっている。回路104も注入ポンプ168を具えており、チューブ158内に少量の高濃度の心停止液(例えば、カリウム溶液)をゆっくりと注入する。従来技術における、1乃至2リットルの心停止溶液とは異なり、5ないし40mlの濃縮心停止液のみがバイパスコースから患者に導入されるのが好ましい。チューブ154、158およびカテーテル160が患者自身の血液を酸素供給器128から搬送するように構成されているので、注入ポンプ168は濃縮心停止液を血液内に注入するように適用される。心停止回路は、最小注入容量、好ましくは30ないし40mlを超えない容量を有する。
【0031】
バイパス回路102はバー172を有するポール170上に縦方向に装着されている。心停止回路104は、ポール170の上のバー174と176上に装着されている。このポールはホイール184の上に自立している。その他の装着手段を使用することもできる。しかしながら、どの装着手段も、バイパス回路102と心停止回路104をできる限り患者に近づけるようにして、回路のチューブの長さを最小限にすることが望ましい。
【0032】
図4を参照すると、本発明の好適な実施例によれば、ポール170が関節アーム182によって心臓/肺臓コンソール180に接続されている。その他の機能の中で、このコンソール180は遠心ポンプ124を駆動して、そのコントロールを行う。アーム182は、回路102、104とコンソール180の間の構造的関係を保持し、一方でコンソールに関連する回路の移動レンジを広くする。したがって、フットプリントが比較的大きいコンソール180を患者から離れて位置させて外科医が患者にアクセスできるようにし、フットプリントが比較的小さいポール170がホイール184上を患者の近くへ移動して、チューブ106と134の長さを非常に短いものにすることができる。アーム182は、ポール170がコンソール180に対して遠くへ動き過ぎないようにする、すなわち、ポールが遠心ポンプ124とコンソール180間をうっかり切り離してしまうような距離を移動するようなことはない。更に、アーム182は、回路102、104とコンソール180が集積ユニットの外観を維持するという点において、心理的な利点を提供する。代替的に、コンソールに装着した好ましいカンチレバースイングアーム(図示せず)を提供するようにしてもよく、回路102、104はこのスイングアームで支持されるポールに装着することができる。このシステムは、回路をコンソールに相対する距離、より重要な点は、患者により近い位置に配置することができる。
【0033】
図3を参照すると、本発明の好ましい実施例によれば、バイパス回路に等張性注入溶液、例えば生理食塩水が注入され、プレバイパスフィルタを介してポンプ124によって循環させる。注入及び循環が行われた後、静脈側および動脈側のチューブ106と134は、プレバイパスフィルタ(図示せず)から分かれる。プレバイパスフィルタは、ついで除去され、静脈カニューレ180と動脈カニューレ182がそれぞれの静脈側チューブ106と動脈側チューブ134に接続され、心臓166に挿入される。
【0034】
本発明の好ましい特徴によれば、等張性溶液が患者自身の血液に置き換えられている。すなわち、重力又は真空の助けを借りて、血液がバイパス回路102の静脈側及び動脈側に引き込まれ、コンポネント(すなわち、チューブ122およびチューブ134において)から、あるいはバルブを介してチューブを切り離すことによって、生理食塩水が開放される。このことは、バイパス回路102の注入量が少ないことによって可能になる。従来のシステムでは、回路を患者の血液で注入することが医学的に安全でなかったため十分に大量の注入溶液が必要である。しかし、本発明では、患者の血液が注入液になりえるので、血液でない液体を大量に身体に巡回させることに関連してなんら負の副作用が生じない。好ましくは、回路に注入することに加えて、0ないし100mlの血液がリザーバ112にプールされている。これも、バイパス回路の動作中に少なくとも300ml、最大600mlの血液をプールするのが標準である従来技術の方法論とは反対である。
【0035】
バイパス回路102に血液が注入されると、バイパス回路が活性化される。バイパス回路102のポンプ124は、患者の血液をリザーバ112から酸素供給器128、動脈フィルタ132へ循環させ、動脈側チューブ134とカニューレ182を通って患者へ戻す。
【0036】
バイパスが活性化された後、心停止が起こる。これは、簡約した心停止回路104を介して行われ、注入ローラポンプ150が酸素供給器128から血液を吸引して、バブルトラップ156へ送り、患者の心臓へ送り出す。回路内の血液、例えば、ローラポンプ150の前の血液、またはバブルトラップ156から出た血液のいずれかが、心停止液(濃縮カリウム溶液)を注入ポンプ168から注入され、心臓166を循環する。特に、回路100の心停止部分に等張性注入溶液は不要である。更に、遠心ポンプ150と注入ポンプ168を動作させる前に心停止回路104内の注入溶液を血液に変えることによってをすべての注入溶液を患者から除去することができる。このように、患者自身の血液が心停止液に代わる主キャリアである。
【0037】
本発明の好ましい特徴によれば、手順の前に追加の血液ユニットが輸血されているなど、患者が十分な血液を有している場合、保存されている血液の量は手順を行う間の患者のフロー及び酸素供給の必要性に依存するが、リザーバ112は血液リザーバを例えば最大3000mlまでプールすることができる。シャントクランプ138は開いて、リザーバクランプ114と118は閉じており、リザーバ112の血液を循環させないようにする。バイパス潅水ポンプ124がシャント136を介して患者から直接血液を抜く一方でリザーバ112をバイパスさせる。次いで、ポンプ124の動脈側のいずれかのチューブまたは動脈カニューレ182がねじれた場合、静脈カニューレ180が心臓組織166に対して吸引を行い回路を閉じる。リザーバ112からエアが入り込むことがなく、従って、エアが患者に循環できない。更に、静脈側のチューブ106のいずれかがねじれて、シャント内の血流が制限されたり、妨げられる場合、外科医あるいは潅水係はリザーバクランプ114と118を解放して、ねじれが解消するまでポンプ124が再度リザーバ112から血液を取ることができるようにする。
【0038】
バイパス手順の最後に血液がリザーバに残っている場合は、リザーバクランプを開放して回路の動脈側をクランプして閉塞し、リザーバの全血液を実質的に患者内に戻すことができる。
【0039】
上述したとおり、簡約した安全な回路がバイパスおよび心停止に提供される。
【0040】
これまで、トータル簡約回路、すなわち、注入量が実質的に小さいバイパス回路と心停止回路の組み合わせと、心臓−肺臓バイパスと心停止を含む方法について説明した。本発明の特定の実施例が説明されているが、これは発明がこの実施例に限定されることを意図したものではなく、当業者にできる限り広い範囲とすべきであり、明細書もそのように読むべきである。したがって、トータル簡約回路が開示されているが、バイパス回路を簡約して、心停止回路を使用しないようにすることもできる。更に、上述した低注入容量を有する回路は、患者の血液を回路に注入するのに使用されているが、患者の血液が回路に注入されるバイパス及び/又は心停止のどのような方法も、回路の大きさに関係なく、本発明の範囲内に入るものと解される。更に、長さ1フィートセクションのチューブが、回路の静脈側と動脈側をそれぞれのカニューレにつなぐのに使用されているが、これより長いチューブ、例えば約2フィートまでのチューブを使用して、患者に対する回路の配置を容易なものにしてもよい。このような長さにチューブを延長することによっては、40mlの注入容量が回路に加わるだけである。したがって、当業者は、請求項の精神と範囲から外れることなく更なる変形を本発明に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、従来のバイパス潅流回路を示す図である。
【図2】図2は、従来の心停止用潅流回路を示す図である。
【図3】図3は、本発明にかかる、バイパスおよび心停止用潅流を提供する全体的に簡約した回路を示す図である。
【図4】図4は、間接アームを供えた心臓/肺臓コンソールに接続されたポールに装填した図3の全体的に簡約した回路を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の外で血液に酸素供給し、酸素供給した血液を患者に循環させる心肺バイパス回路において、前記回路が:
a)血液リザーバと;
b)前記リザーバに液通した潅水ポンプと;
c)前記ポンプに液通した酸素供給器と;
d)前記酸素供給器に液通した動脈フィルタと;
e)前記リザーバを静脈側で患者と液通させるように配置した第1の長さのチューブと;
f)前記動脈フィルタを動脈側で患者と液通させるように配置した第2の長さのチューブと;
g)前記第1の長さのチューブと前記ポンプを前記血液リザーバと液通およびバイパスするように配置するシャントと;
h)前記回路に含めるべき前記シャントと前記血液リザーバの一方と、前記回路から排除すべき前記シャントと前記血液リザーバの他方を選択する手動選択構造と;
i)前記潅水ポンプが前記第1の長さのチューブから血液を抜いて前記血液リザーバ内に保存されているすべての血液をバイパスするように前記血液リザーバが前記回路から排除されている場合に、前記血液リザーバ内に保存されている全血液が前記潅水ポンプによって抜かれないようにする前記リザーバに外付けした構造と;を具え、
前記回路が約800ml未満の注入量を有することを特徴とする心肺バイパス回路。
【請求項2】
請求項1に記載の回路において、前記回路の注入量が約700ml未満であることを特徴とする心肺バイパス回路。
【請求項3】
請求項1に記載の回路において、前記回路が567mlから700mlの注入量を有することを特徴とする回路。
【請求項4】
請求項1に記載の回路が更に:
j)第2の潅水ポンプと;
k)前記第2の潅水ポンプと前記酸素供給器を接続するチューブ材と;
l)前記第2の潅水ポンプによって循環される液体に注入物質を注入する注入ポンプと;を具えることを特徴とする回路。
【請求項5】
請求項1に記載の回路において、前記第2の潅水ポンプと、前記チューブ材と、前記注入ポンプが、約40ml未満の注入量の注入回路を規定していることを特徴とする回路。
【請求項6】
患者の外で血液に酸素供給し、酸素供給した血液を患者に循環させる心肺バイパス回路において、前記回路が:
a)血液リザーバと;
b)潅水ポンプと;
c)血液酸素供給器と;
d)前記酸素供給器に液通した動脈フィルタと;
e)前記血液リザーバを静脈側で患者と液通させるように配置した第1の長さのチューブと;
f)前記血液リザーバと前記ポンプを液通状態にする第2の長さのチューブと;
g)前記ポンプと前記酸素供給器を液通状態にする第3の長さのチューブと;
h)前記酸素供給器と前記動脈フィルタを液通状態にする第4の長さのチューブと;
i)前記動脈フィルタを動脈側で患者と液通にする第5の長さのチューブと;
j)前記第1の長さのチューブと前記ポンプを前記血液リザーバと液通およびバイパスするように配置するシャントと;
k)前記回路に含めるべき前記シャントと前記血液リザーバの一方と、前記回路から排除すべき前記シャントと前記血液リザーバの他方を選択する手動選択構造と;
l)前記潅水ポンプが前記第1の長さのチューブから血液を抜いて前記血液リザーバ内に保存されているすべての血液をバイパスするように前記血液リザーバが前記回路から排除されている場合に、前記血液リザーバ内に保存されている全血液が前記潅水ポンプによって抜かれないようにする前記リザーバに外付けした構造と;を具え、
前記回路が約800ml未満の注入量を有することを特徴とする心肺バイパス回路。
【請求項7】
請求項6に記載の回路が更に:
m)第2の潅水ポンプと;
n)前記第2の潅水ポンプと前記酸素供給器を連結するチューブ材と;
o)前記第2の潅水ポンプによって循環される液体に注入物質を注入する注入ポンプと;を具えることを特徴とする回路。
【請求項8】
請求項7に記載の回路において、前記第2の潅水ポンプと、前記チューブ材と、前記注入ポンプが、約40ml未満の注入量の注入回路を規定していることを特徴とする回路。
【請求項9】
請求項6に記載の回路において、前記回路が567mlから700mlの注入量を有することを特徴とする回路。
【請求項10】
患者の外で血液に酸素供給し、酸素供給した血液を患者に循環させる心肺バイパス回路において、前記回路が:
a)静脈ラインと;
b)前記静脈ラインに直列に液通した血液リザーバと;
c)前記血液リザーバと直列に液通した潅水ポンプと;
d)前記ポンプと直列に液通した血液酸素供給器と;
e)前記酸素供給器と直列に液通した動脈フィルタと;
f)前記第1の長さのチューブと、前記ポンプを前記血液リザーバと液通及びバイパスするように配置するシャントと;
g)前記回路に含めるべき前記シャントと前記血液リザーバの一方と、前記回路から排除すべき前記シャントと前記血液リザーバの他方を選択する手動選択構造と;
h)前記潅水ポンプが前記第1の長さのチューブから血液を抜いて前記血液リザーバ内に保存されているすべての血液をバイパスするように前記血液リザーバが前記回路から排除されている場合に、前記血液リザーバ内に保存されている全血液が前記潅水ポンプによって抜かれないようにする前記リザーバに外付けした構造と;を具え、
前記回路が約800ml未満の注入量を有することを特徴とする心肺バイパス回路。
【請求項11】
請求項10に記載の回路が更に:
i)前記回路によって酸素供給された血液に直接注入物質を注入するように構成された注入システムと;
を具えることを特徴とする回路。
【請求項12】
請求項11に記載の回路において:
前記注入システムが、
(i) 第2の潅水ポンプと、
(ii) 前記第2の潅水ポンプと前記酸素供給器を接続するチューブ材と、
(iii) 前記第2の潅水ポンプで循環させた液体内に注入物質を注入するように構成した注入ポンプと、
を具えることを特徴とする回路。
【請求項13】
請求項10に記載の回路において:
前記回路の注入量が約700ml未満であることを特徴とする回路。
【請求項14】
請求項10に記載の回路において、前記回路が567mlから700mlの注入量を有することを特徴とする回路。
【請求項15】
患者の外で血液に酸素供給し、酸素供給した血液を患者に循環させるる心肺バイパス回路において、前記回路が:
a)血液リザーバと;
b)潅水ポンプと;
c)血液酸素供給器と;
d)前記酸素供給器と液通したフィルタと;
e)前記血液リザーバを患者と静脈側で液通にするように配置した、長さ約1ないし2フィート、直径3/8インチのチューブと;
f)前記血液リザーバと前記ポンプを液通する長さ約6インチ、直径3/8インチのチューブと;
g)前記ポンプと前記酸素供給器を液通する長さ約6インチ、直径3/8インチのチューブと;
h)前記動脈フィルタと液通する長さ約1ないし2フィート、直径3/8インチのチューブと;
i)前記第1の長さのチューブと前記潅水ポンプを血液リザーバと液通およびバイパスさせるシャントと;
を具えることを特徴とする回路。
【請求項16】
請求項15に記載の回路において、前記回路が約800ml未満の注入量を具えることを特徴とする回路。
【請求項17】
請求項15に記載の回路において、前記回路が約700ml未満の注入量を具えることを特徴とする回路。
【請求項18】
請求項15に記載の回路において、前記回路が567mlから700mlの注入量を有することを特徴とする回路。
【請求項19】
請求項15に記載の回路が更に:
j)前記回路によって酸素供給された血液中に注入物質を直接注入するように構成された注入システム;
を具えることを特徴とする回路。
【請求項20】
請求項19に記載の回路において:
前記注入システムが、
(i) 第2の潅水ポンプと、
(ii) 前記第2の潅水ポンプと前記酸素供給器を接続するチューブ材と、
(iii) 前記第2の潅水ポンプで循環させた液体内に注入物質を注入するように構成した注入ポンプと、
を具えることを特徴とする回路。
【請求項21】
患者の外で血液に酸素供給し、酸素供給した血液を患者に循環させる心肺バイパス回路において、前記回路が:
a)リザーバと;
b)潅水ポンプと;
c)血液酸素供給器と;
d)前記酸素供給器と液通したフィルタと;
e)前記血液リザーバに液通した第1の長さのチューブと;
f)前記血液リザーバと前記ポンプを液通する第2の長さのチューブと;
g)前記ポンプと前記酸素供給器を液通する第3の長さのチューブと;
h)前記動脈フィルタと液通した第4の長さのチューブと;を具え、
前記リザーバと、前記潅水ポンプと、前記血液酸素供給器と、前記フィルタが直列に配列されており、前記回路が約800ml未満の注入量を具えることを特徴とする回路。
【請求項22】
請求項21に記載の回路において、前記回路が約700ml未満の注入量を具えることを特徴とする回路。
【請求項23】
請求項21に記載の回路において、前記回路が567mlから700mlの注入量を有することを特徴とする回路。
【請求項24】
患者の外で血液に酸素供給し、酸素供給した血液を患者に循環させる心肺バイパス回路において、前記回路が:
a)リザーバと;
b)潅水ポンプと;
c)血液酸素供給器と;
d)前記酸素供給器と液通したフィルタであって、前記リザーバ、前記潅水ポンプ、前記血液酸素供給器、前記フィルタが直列に配列されているフィルタと;
e)前記血液リザーバを患者と静脈側で液通するように配置した長さ約1ないし2フィート、直径3/8インチのチューブと;
f)前記血液リザーバと前記ポンプを液通する長さ約6インチ、直径3/8インチのチューブと;
g)前記ポンプと前記酸素供給器を液通する長さ約6インチ、直径3/8インチのチューブと;
h)前記動脈フィルタと液通した長さ約1ないし2フィート、直径3/8インチのチューブと;
を具えることを特徴とする回路。
【請求項25】
請求項24に記載の回路において、直径3/8インチのある長さのチューブが前記フィルタを前記酸素供給器に接続していることを特徴とする回路。
【請求項26】
請求項24に記載の回路において、前記回路が約800ml未満の注入量を具えることを特徴とする回路。
【請求項27】
請求項24に記載の回路において、前記回路が約700ml未満の注入量を具えることを特徴とする回路。
【請求項28】
請求項24に記載の回路において、前記回路が567mlから700mlの注入量を有することを特徴とする回路。
【請求項29】
患者の外で血液に酸素供給し、酸素供給した血液を患者に循環させる心肺バイパス回路において、前記回路が:
a)リザーバと;
b)潅水ポンプと;
c)血液酸素供給器と;
d)前記酸素供給器と液通した動脈フィルタと;
e)前記血液リザーバを患者と静脈側で液通するように配置した第1の長さのチューブと;
f)前記血液リザーバと前記ポンプを液通する第2の長さのチューブと;
g)前記ポンプと前記酸素供給器を液通する第3の長さのチューブと;
h)前記酸素供給器と前記動脈フィルタと液通した第4の長さのチューブと;
i)前記動脈フィルタを前記患者に動脈側で液通した第5の長さのチューブと;
を具え、
前記リザーバと、注入ポンプと血液酸素供給器と、フィルタが直列に配列されており、前記回路が約800ml未満の注入量を具えることを特徴とする回路。
【請求項30】
請求項29に記載の回路において、前記回路が約700ml未満の注入量を具えることを特徴とする回路。
【請求項31】
請求項29に記載の回路において、前記回路が567mlから700mlの注入量を有することを特徴とする回路。
【請求項32】
請求項29に記載の回路において、前記第1の長さのチューブが直径3/8インチであることを特徴とする回路。
【請求項33】
患者の外で血液に酸素供給し、酸素供給した血液を患者に循環させる心肺バイパス回路において、前記回路が:
a)リザーバと;
b)前記リザーバと液通した潅水ポンプと;
c)前記ポンプと液通した血液酸素供給器と;
d)前記酸素供給器と液通した動脈フィルタと;
e)前記血液リザーバを患者と静脈側で液通するように配置した第1の長さのチューブと;
f)前記動脈フィルタを前記患者と動脈側で液通するように配置した第2の長さのチューブと;
g)前記第1の長さのチューブと前記ポンプを前記リザーバに液通およびバイパスするシャントと;
h)前記血液循環回路から前記リザーバを選択的に外す第1の開放可能なクランプ手段と;
i)前記シャントを前記血液循環回路に選択的に追加する第2の開放可能なクランプ手段と;
を具えることを特徴とする回路。
【請求項34】
請求項33に記載の回路において、前記回路が約800ml未満の注入量を具えることを特徴とする回路。
【請求項35】
請求項33に記載の回路において、前記回路が約700ml未満の注入量を具えることを特徴とする回路。
【請求項36】
患者用の心肺バイパスおよび心停止回路において:
a)リザーバと;
b)前記リザーバと液通する第1の潅水ポンプと;
c)前記第1の潅水ポンプと液通する血液酸素供給器と;
d)前記酸素供給器と液通する動脈フィルタと;
e)前記リザーバを前記患者と静脈側で液通する第1のチューブ材と;
f)前記動脈フィルタを前記患者と動脈側で液通する第2のチューブ材と;
g)第2の潅水ポンプと;
h)前記第2の潅水ポンプと前記酸素供給器を接続する第3のチューブ材と;
i)前記第2の潅水ポンプによって循環する液体に注入物質を注入するように構成した注入ポンプと;
を具えることを特徴とする回路。
【請求項37】
請求項36に記載の回路が更に:
j) 前記第3のチューブ材に接続したバブルトラップ;
を具えることを特徴とする回路。
【請求項38】
請求項36に記載の回路が更に;
k) 前記第1の長さのチューブと前記ポンプを前記リザーバと液通及びバイパスするシャント;
を具えることを特徴とする回路。
【請求項39】
患者に用いる心肺バイパス回路に注入する方法において:
a)心肺バイパス回路であって、
i)患者に接続可能なリザーバと
ii)前記リザーバに液通する潅水ポンプと
iii)前記ポンプに液通する血液酸素供給器と
iv)前記酸素供給器に液通する動脈フィルタと
v)前記リザーバを前記患者に静脈側で液通するように配置した第1の長さのチューブと
vi)前記動脈フィルタを前記患者に動脈側で液通するように配置した第2の長さのチューブと
を直列にして具えるバイパス回路で、注入量が800ml未満である回路を提供するステップと;
b)前記バイパス回路に等張性溶液を注入するステップと;
c)前記バイパス回路を患者に接続するステップと;
d)前記等張性溶液を患者に循環させることなく患者からの血液で前記等張性溶液のほぼすべてを置き換えるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法において、前記置き換えステップが800ml未満の血液を必要とすることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項39に記載の方法において、前記置き換えステップが、患者から血液を前記回路内に移動させるのに重力と真空のうち一方のアシストを具えることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項39に記載の方法において、前記置き換えステップが前記リザーバに最大100mlの血液を提供することを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項39に記載の方法において、前記回路を提供するステップが更に、前記第1の長さのチューブと前記ポンプを前記リザーバと液通及びバイパスさせるように活性化できるシャントを具える回路を提供するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項39に記載の方法が更に:
e)心停止回路を提供するステップと;
f)前記心停止回路に等張性溶液を注入するステップと;
g)前記心停止回路の前記等張性溶液の少なくとも一部を患者からの血液で置き換えるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法が更に:
前記酸素供給器に接続できる第2の潅水ポンプと、前記第2の潅水ポンプに液通するバブルトラップと、前記患者に接続可能なチューブ材と、前記酸素供給器から受け取った血液内に注入物質を注入するように構成した注入ポンプとを具える心停止回路を提供するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項46】
心肺バイパスを実行する方法において:
a)血液に酸素供給を行うように構成された心肺バイパス回路を提供するステップと;
b)前記バイパス回路に等張性溶液を注入するステップと;
c)前記バイパス回路を患者に接続するステップと;
d)前記患者に前記等張性溶液を循環することなく、前記等張性溶液のほぼすべてを前記患者からの血液で置き換えるステップと;
e)前記バイパス回路内を前記血液を循環させ、前記患者に戻すステップと;
f)前記回路内の血液の一部を迂回させるステップと;
g)前記血液内に心停止剤を注入するステップと;
h)前記心停止剤を伴う血液を患者に循環させるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項46に記載の方法において、前記バイパス回路が酸素供給器を具え、前記迂回させるステップが前記酸素供給器から血液を引き出すことを特徴とする方法。
【請求項48】
患者に心肺バイパスを実行する方法において:
a)前記バイパス回路を提供するステップが、
i)患者に接続可能なリザーバと;
ii)前記リザーバに液通した潅水ポンプと;
iii)前記ポンプに液通した血液酸素供給器と;
iv)前記酸素供給器と液通した動脈フィルタと;
v)前記リザーバを患者に静脈側で液通する第1の長さのチューブと;
vi)前記動脈フィルタを患者に動脈側で液通する第2の長さのチューブと;を具えるバイパス回路を提供するステップと:
b)前記患者の血液で前記バイパス回路を注入するステップと;
c)前記回路に患者の血液を巡回させるステップと;
d)前記リザーバにある量の血液をプールするステップと;を具え、
前記バイパス回路を提供するステップが、前記第1のチューブと前記ポンプを前記リザーバに液通およびバイパスするように活性化できるシャントを有するバイパス回路を提供するステップを具え、
前記循環ステップが前記シャントを活性化させて、前記リザーバをバイパスして前記リザーバからではなく患者から直接に前記ポンプに血液を引き入れるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項48に記載の方法において、前記循環ステップが前記リザーバにプールされている血液を循環回路に戻すステップを具えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−521884(P2006−521884A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509455(P2006−509455)
【出願日】平成16年3月30日(2004.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/009639
【国際公開番号】WO2004/091691
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(505359300)ブイケー カーディオバスキュラー テック,インク. (1)
【Fターム(参考)】