説明

心臓血管疾患の危険を評価するためのPAR1多型の解析および使用

本発明は、3090位および/または3329位にPAR1遺伝子の遺伝学的変異を含むポリヌクレオチド配列に関する。驚くべきことに、ヒトにおける前記変異体の存在は、特定の心臓血管疾患と関連する。本発明はまた、前記遺伝学的変異の検出方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PAR1遺伝子の3090および/または3329位に遺伝学的変異を含むポリヌクレオチド配列に関する。
【背景技術】
【0002】
プロテアーゼ活性化受容体1(PAR1)は、Gタンパク質共役受容体(GCPR)のクラスに属するトロンビン受容体であり、PAR1に関する遺伝子は、染色体5q13に位置し、2つのエキソンを含み、約27kbの領域をカバーしている。PAR1は、特に、内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞、ニューロンおよびヒト血小板で発現される。血小板において、PAR1は、血小板の凝集の開始に関与する重要なシグナル伝達受容体である。PARは、PARのN末端の一部をタンパク質分解で除去し、それにより新しいN末端配列が露出することによって活性化され、次に、受容体を活性化する。PAR1およびPAR4は、血小板の活性化において中心的な役割を果たす;血小板におけるこれら受容体の活性化により、形態学的な変化が起こり、ADPが放出され、前記血小板が凝集する。
【0003】
韓国人の患者群では、冠動脈心疾患と、PAR1のプロモーター領域における単一ヌクレオチド多型(SNP)との関係は確認されていない。他の研究において、PAR1プロモーターの変異体は、静脈の血栓塞栓症の発症に関する防御的な作用を有することを示した。
【0004】
ヒトPAR1遺伝子の配列は既知である。この遺伝子のポリヌクレオチド配列は、NCBIヌクレオチドデータベースにおいて、番号NM−001992で利用可能である。同様に、そのタンパク質配列は、NCBIタンパク質データベースにおいて、番号NP−001983で利用可能である。NCBIとは、国立バイオテクノロジー情報センターのことである(所在地:国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information),National Library of Medicine,Building 38A,ベセスダ,メリーランド州,20894,米国;ウェブアドレス:www.ncbi.nhm.nih.gov)。PAR1遺伝子のクローニングは、特に、「Schmidt等,J.Biol.Chem.271,9307〜9312,1996」で説明されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PAR1遺伝子の様々な新規の多型があり、それにより、個体の冠動脈心疾患に関する比較的強い素因を決定することができる。これによって、影響を受けた個体は、適切な時期に、例えば喫煙、アルコール摂取、コレステロール豊富な食物、高血圧などのようなその他の有害な影響をさらにコントロールして埋め合わせることにより生活様式を適宜に適合させて、この危険因子を中和することができる。
【0006】
このような健康に関連する予防的メカニズムは、PAR1多型の情報(以下でより詳細に説明される)と対応する方法におけるそれらの使用なしには不可能と予想される。
【0007】
1個単位の位置に置換を含む特定のヌクレオチド配列の変異体は、用語「SNP」(=単一ヌクレオチド多型)として当業者既知である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、NM−001992に記載のPAR1配列の3090位におけるTからCへの置換(従来技術として公共的に利用可能である)を含む、単離されたPAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列に関する。好ましい実施形態において、3090位におけるTからCへの置換を有するPAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列は、配列番号2に記載の配列を包含し、特に好ましい実施形態において、前記ポリヌクレオチド配列は、配列番号2の配列からなる。
【0009】
さらに本発明は、NM−001992に記載のPAR1配列の3329位にAからCへの置換(従来技術として公共的に利用可能である)を含む、単離されたPAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列に関する。好ましい実施形態において、3329位におけるAからCへの置換を有するPAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列は、配列番号3に記載の配列を包含し、特に好ましい実施形態において、前記ポリヌクレオチド配列は、配列番号3の配列からなる。
【0010】
本発明はまた、NM−001992に記載のPAR1配列の3090位にTからCへの置換、同時に、前記PAR1配列の3329位にAからVへの置換を含む、単離されたPAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列に関する。好ましい実施形態において、3090位にTからCへの置換、同時に3329位にAからCへの置換を有するPAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列は、配列番号4に記載の配列を包含し、特に好ましい実施形態において、前記ポリヌクレオチド配列は、配列番号4の配列を含む。
【0011】
本発明はまた、配列番号5に記載の配列を含む、単離されたPAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列の一部に関する。
【0012】
本発明はまた、NM−001992に記載のPAR1配列の3090位にTからCへの置換を含む、単離されたPAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列の一部に関し、前記一部は、配列番号6に記載の配列を含む。
【0013】
本発明はまた、NM−001992に記載のPAR1配列の3329位におけるAからCへの置換を含む、単離されたPAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列の一部に関し、前記一部は、配列番号7に記載の配列を含む。
【0014】
本発明は、NM−001992に記載のPAR1配列の3090位でのTからCへの置換、同時に、前記PAR1配列の3329位におけるAからCへの置換を含む、単離されたPAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列の一部に関し、前記一部は、配列番号8に記載の配列からなる。
【0015】
さらに本発明は、PAR1のcDNA遺伝子の3592塩基対のポリヌクレオチド配列の製造を含み、前記配列は、上記で定義された3090位および3329位での多型を、それぞれ、または組合せて含んでもよいし、含まなくてもよく、その製造は、以下の方法の工程を含む:
a]配列番号2に記載のPAR1配列、および/または、配列番号3に記載のPAR1配列、および/または、配列番号4に記載のPAR1配列を含むヒトDNAを提供すること、
b]配列番号9および配列番号10に記載の配列を有するプライマー対を提供すること、
c]ポリメラーゼ連鎖伸長反応(PCR)によってPAR1のポリヌクレオチド配列を増幅すること、
d]c]から得られた3.56kbのフラグメントを単離および/または精製すること、
e]d]からのフラグメントを配列解析すること。
【0016】
本発明はまた、配列番号5、配列番号6、配列番号7または配列番号8に記載のポリヌクレオチド配列の製造に関し、本製造は、以下の方法の工程を含む:
a]配列番号1に記載のPAR1配列、および/または、配列番号2に記載のPAR1配列、および/または、配列番号3に記載のPAR1配列、および/または、配列番号4に記載のPAR1配列を含むヒトゲノムDNAを提供すること、
b]配列番号11および配列番号12に記載のプライマー対を提供すること、
c]ポリメラーゼ連鎖伸長反応(PCR)によって、PAR1のポリヌクレオチド配列のフラグメントを増幅すること、
d]c]から得られたフラグメントを単離および/または精製すること、
e]d]からのフラグメントを配列解析すること。
【0017】
さらに本発明は、PAR1遺伝子において、NM−001992に記載の配列の3090位におけるTからCへの置換、および/または、NM−001992に記載の配列の3329位におけるAからCへの置換があるかないかを検出する方法に関し、本方法は、以下の方法の工程を含む:
a]ヒト細胞を含む生物材料を提供すること、
b]a]に記載の材料から染色体DNAを得ること、
c]PCR反応により、配列番号11および配列番号12に記載のプライマーを用いてポリヌクレオチドフラグメントを増幅すること、
d]c]からのポリヌクレオチドフラグメントを配列解析すること。
【0018】
さらに本発明は、PAR1遺伝子において、NM−001992に記載の配列の3090位におけるTからCへの置換、および/または、NM−001992に記載の配列の3329位におけるAからCへの置換があるかないかを検出する方法に関し、本方法は、以下の方法の工程を含む:
a]ヒト細胞を含む生物材料を提供すること、
b]a]に記載の材料からRNAを得ること、
c]逆転写酵素によって、前記RNAをcDNAに転写すること、
d]必要に応じて、前記PCR反応によって、配列番号10および配列番号11に記載のプライマーを用いてポリヌクレオチドフラグメントを増幅すること、
e]c]に記載のcDNA、および/または、d]に記載のポリヌクレオチドフラグメントを配列解析すること。
【0019】
本発明はまた、PAR1遺伝子において、NM−001992に記載の配列の3090位におけるTからCへの置換、および/または、NM−001992に記載の配列の3329位におけるAからCへの置換があるかないかを検出する方法に関し、本方法は、以下の方法の工程を含む:
a]ヒト細胞を含む生物材料を提供すること、
b]a]に記載の材料から染色体DNAを得ること、
c]b]に記載の染色体DNAをサザンブロットすること、
d]配列番号5、および/または、配列番号6、および/または、配列番号7、および/または、配列番号8に記載のプローブを提供すること、
e]ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、c]からのサザンブロットと、d]からのプローブとをハイブリダイズすること、
f]e]からのハイブリダイゼーションの結果を比較することによって、NM−001992の3090位および/または3329位における、PAR1遺伝子の遺伝学的変異があるかないかを決定すること。
【0020】
さらに本発明は、PAR1遺伝子において、NM−001992に記載の配列の3090位におけるTからCへの置換、および/または、NM−001992に記載の配列の3329位におけるAからCへの置換があるかないかを検出する方法に関し、本方法は、以下の方法の工程を含む;
a]ヒト細胞を含む生物材料を提供すること、
b]a]に記載の材料からRNAを得ること、
c]b]に記載のRNAをノーザンブロットすること、
d]配列番号5、および/または、配列番号6、および/または、配列番号7、および/または、配列番号8に記載のプローブを提供すること、
e]ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、c]からのノーザンブロットと、d]に記載のプローブとをハイブリダイズすること、
f]ハイブリダイゼーションの結果を比較することによって、NM−001992の3090位および/または3329位における、PAR1遺伝子の遺伝学的変異があるかないかを決定すること。
【0021】
PAR1遺伝子における3090位および/または3329位での遺伝学的変異または多型の検出は、(a)心房細動、急性冠症候群、心筋症および/または不安定狭心症の危険を評価するための遺伝子マーカー、(b)相当する遺伝子変異キャリアーの心房細動、急性冠症候群、心筋症および/または安定狭心症を予防的処置するためのマーカー、(c)投与しようとする心房細動、急性冠症候群、心筋症および/または不安定狭心症のための医薬活性物質の用量を調整するためのマーカー、(d)心房細動、急性冠症候群、心筋症および/または不安定狭心症のための医薬活性物質を同定するためのハイスループット−スクリーニング法を決定するためのマーカー、(e)心房細動、急性冠症候群、心筋症および/または不安定狭心症のための医薬物質の忍容性、安全性および有効性を試験する臨床研究のために、関連のある個体または患者を同定するマーカー、および、(f)PAR1遺伝子における遺伝学的変異をDNA、RNAまたはタンパク質レベルで解析するための分析システムを開発するための基礎として用いてもよい。
【0022】
本発明はまた、配列番号11に記載の配列を含む21〜50個のヌクレオチドを有する、単離されたポリヌクレオチド配列に関し、好ましくは、前記配列は、配列番号11を含む。さらに本発明は、配列番号12に記載の配列からなる20〜50個のヌクレオチドを有する単離されたポリヌクレオチド配列に関する。好ましくは、前記配列は、配列番号12を含む。
【0023】
本発明はまた、ポリメラーゼ連鎖伸長反応(PCR)によって対応するPAR1遺伝子のフラグメントを増幅するための、配列番号11に記載の配列を包含する、または、配列番号11に記載の配列を含む21〜50個のヌクレオチドを有する単離されたポリヌクレオチド配列と、配列番号12に記載の配列を包含する、または、配列番号12に記載の配列を含む20〜50個のヌクレオチドを有する単離されたポリヌクレオチド配列とを組合せた使用に関する。好ましくは、この使用は、NM−001992に記載の配列の3090位におけるTからCへの置換を有する、および/または、NM−001992に記載の配列の3329位におけるAからCへの置換を有するPAR1遺伝子のフラグメントの増幅に関する。
【0024】
その上、本発明は、成分のキットを含み、本キットは、以下を含む:
a]配列番号11に記載の配列を包含する、または、配列番号11に記載の配列からなる、単離された、長さが21〜50個のヌクレオチドのポリヌクレオチド配列、
b]配列番号12に記載の配列を包含する、または、配列番号12に記載の配列からなる、単離された、長さが20〜50個のヌクレオチドのポリヌクレオチド配列、
c]ポリメラーゼ連鎖伸長反応(PCR)を行うための少なくとも1種の酵素、
d]必要に応じて、ポリメラーゼ連鎖伸長反応を行うための物質および/または溶液、 e]必要に応じて、全長および/またはそれらの一部に、NM−001992に記載のPAR1配列の3090位、および/または、NM−001992に記載の3329位における置換を有する、または有さない、PAR1遺伝子を包含するポリヌクレオチド配列、
f]および、必要に応じて、配列解析反応を行うための試薬。
【0025】
ここで成分のキットとは、前記成分が、機能単位中で互いに空間的に近い位置に組み入れられた組合せを意味する。
【0026】
さらに本発明は、上述の成分のキットの製造に関し、以下を含む:
a]配列番号11に記載の配列を包含する、または、配列番号11に記載の配列からなる、単離された、長さが21〜50個のヌクレオチドのポリヌクレオチド配列を提供すること、
b]配列番号12に記載の配列を包含する、または、配列番号12に記載の配列からなる、単離された、長さが20〜50個のヌクレオチドのポリヌクレオチド配列を提供すること、
c]ポリメラーゼ連鎖伸長反応(PCR)を行うための酵素を提供すること、
d]必要に応じて、配列解析を行うための試薬を提供すること、
e]必要に応じて、前期ポリメラーゼ連鎖伸長反応(PCR)を行うための物質および/または溶液を提供すること、
f]必要に応じて、PAR1遺伝子を含むポリヌクレオチド配列を提供すること、ここで、前記ポリヌクレオチド配列は、いずれの場合においても、全長またはそれらの一部に、NM−001992に記載のPAR1配列の3090位におけるTからCへの置換、および/または、NM−001992に記載の3329位におけるAからCへの置換を含んでもよいし、または含まなくてもよい、
g]適切な容器中で、a]からの成分を、いずれの場合においても別々にf]に導入すること、
h]必要に応じて、g]に記載の容器を、1またはそれ以上のパック単位に合わせること。
【0027】
上述の成分のキットは、PAR1遺伝子のフラグメントを増幅するのに用いてもよい。
【0028】
本発明の技術的な形態を、以下の実施形態でより詳細に説明する。
【0029】
単離されたPAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列は、例えば、ポリメラーゼ連鎖伸長反応(PCR)によって増幅することにより製造してもよい。この目的に適切したプライマーは、配列番号9および配列番号10に記載される。
【0030】
PCRは、2種の既知の配列が両端にあるポリヌクレオチド断片を選択的に複製することに用いられるインビトロの技術である。増幅には、DNAまたはRNAテンプレートの定義された配列の末端に相補的な短い一本鎖DNA分子(プライマー)が必要である。DNAポリメラーゼは、正確な反応条件下で、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)の存在下で、一本鎖の変性したポリヌクレオチドテンプレートに沿ってプライマーを伸長させ、このようにして、前記テンプレートに配列が相補的な新しいDNA鎖が合成される。このプロセスの際、繰り返してポリヌクレオチド鎖が変性し、プライマーが付着し、伸長されるように、温度を規則的な間隔で変化させる。熱安定性DNAポリメラーゼ(例えばTaqポリメラーゼ)が用いられる。典型的なPCR反応混合物は、ポリヌクレオチドテンプレート以外に、2種の適切なプライマーヌクレオチド(例えば0.2〜2μMの濃度で)、さらに、dNTP(例えば各dNPTあたり200μMの濃度で)、さらに、MgCl2(1〜2mMの濃度で)、および、例えばTaqポリメラーゼ(サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)ポリメラーゼ)のような熱安定性DNAポリメラーゼ(1〜10ユニット)を含む。熱安定性DNAポリメラーゼや、上記PCRを行うための成分、さらにプロトコールは、例えばロシュ・ダイアグノスティックス(Roche Diagnostics)、クロンテック(Clontech)、ライフテクノロジーズ(Life Technologies)、ニューイングランドバイオラボ(New England Biolabs)、プロメガ(Promega)、ストラタジーン(Stratagene)などのような多数の会社から市販されている。
【0031】
単離しようとするポリヌクレオチド配列を増幅するためのポリヌクレオチドテンプレートは、RNAまたはDNAの形態で存在してもよい。次に、ポリヌクレオチドテンプレートがRNAの場合、実際のPCR反応の前に、そのRNAは逆転写酵素によってDNAに転写される。PCR反応を行うためのポリヌクレオチドテンプレートの量は、例えば0.01〜20ngの範囲であり得る。
【0032】
ポリヌクレオチドテンプレートは、生物材料からDNAおよび/またはRNAを得るための当業者既知の技術を用いて得られる。本発明における生物材料としては、特に、ヒトなどの脊椎動物の組織または器官の細胞(例えば脳、血液、肝臓、脾臓、腎臓、心臓、血管)、もしくは、真核細胞培養物由来の細胞(例えばHela細胞、CHO細胞、3T3細胞)、もしくは、単離しようとするDNA配列がクローンされた形態で存在する細菌または酵母などの細胞が挙げられる。
【0033】
ヒトなどの脊椎動物の組織集合体または器官の細胞は、血液の採取、組織の穿刺または外科的技術によって得てもよい。例えば、細胞を破壊し、必要に応じて個々の細胞器官(特に細胞核)を濃縮し、沈殿や遠心分離によりDNAまたはRNAを回収することによって、それらからポリヌクレオチドテンプレートを得てもよい。
【0034】
単離された、PAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列を製造するその他の方法は、PAR1遺伝子をクローニングし、続いてその遺伝子を細菌または酵母中で発現させ、発現されたポリヌクレオチドを精製することを含む。例えば、上述のPCR反応は、クローン可能なポリヌクレオチドフラグメントを製造するのに適している。フラグメントをクローニングするには、相補配列の反応酵素の5’の認識配列からなるプライマーを用いることが有利である。2種のプライマーには、それぞれ同一または異なる制限酵素の認識配列を用いることができる。
【0035】
一般的な制限酵素の例は、以下の通りである:BamHI(GGATCC)、ClaI(ATCGAT)、EcoRI(GAATTC)、EcoRV(GATATC)、HindIII(AAGCTT)NcoI(CCATGG)、SalI(GTCGAC)、XbaI(TCTAG1)。
【0036】
クローニングのために、ベクターは、プライマーに付加された認識配列に対応する制限酵素で処理される。フラグメントを単離し、同じ制限酵素で処理して、リガーゼによってベクターに連結する。ベクターは、例えばプラスミド、バクテリオファージまたはコスミドのようなDNA分子を意味し、それを用いることによって、遺伝子またはその他のDNA配列をクローニングし、複製のためにそれらを細菌または真核細胞に導入することができる。ベクターの例としては、pBR322、pUC18/19、pBluescript、pcDNA3,1のようなDNA分子が挙げられ、ベクターは、ロシュ・ダイアグノスティックス、ニューイングランドバイオラボ、プロメガ、ストラタジーンなどのようなバイオテクノロジー系材料専門の会社から市販されている。
【0037】
ポリヌクレオチドを提供するため、またはクローニング手順を行うためのPCR反応を行うのに必要な説明は、標準的なマニュアルで、配合表およびプロトコールの様式で当業者により見ることができ、このようなマニュアルとしては、例えば、a]“Current Protocols in Molecular Biology”,Frederick M.Ausubel(編集者),Roger Brent(編集者),Robert E.Kingston(編集者),David D,Moore(編集者),J.G.Seidman(編集者),Kevin Struhl(編集者),ルーズリーフ版,継続的に更新中,ジョン・ワイリー&サンズ社(John Wiley&sons,Inc.),ニューヨーク、または、b]Short Protocols in Molecular Biology,第五版,Frederick M.Ausubel(編集者),Roger Brent(編集者),Robert E.Kingston(編集者),David D.Moore(編集者),J.G.Seidman(編集者),John A.Smith(編集者),Kevin Struhl(編集者),2002年10月,ジョン・ワイリー&サンズ社,ニューヨーク”、または、c]“Molecular Cloning,J.Sambrock,E.F.Fritsch,T.Maniatis;コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)”が挙げられる。
【0038】
適切なプライマー配列は、例えばそれらを化学合成することによって提供されるが、これは、例えばMWGバイオテック(MWG Biotech)などの会社に注文して行ってもよい。
【0039】
様々な器官由来のヒトcDNAは、例えばプロメガ、ストラタジーンなどの会社から市販されている。
【0040】
ポリヌクレオチドの配列解析は、例えば、ライフテクノロジーズ、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)、バイオ・ラッド(BioRad)などのような会社製の実験用ロボットを用いて、当業者既知の習慣的な方法で行われる。
【0041】
PAR1変異体の単離されたポリヌクレオチド配列およびそれら由来のフラグメントはまた、様々なストリンジェンシーでのハイブリダイゼーションに用いてもよい。ストリンジェンシーは、2つの一本鎖核酸分子のハイブリダイゼーションまたは結合特異性に影響する反応条件を説明するものである。ストリンジェンシー、すなわち反応特異性は、温度を高くすること、および、イオン強度を低くすることによって高くすることができる。例えば、2×SSC溶液中で室温でハイブリダイゼーションが行われる場合、低ストリンジェンシー条件が提供される。例えば0.1×SSC/0.1%SDS溶液中で68℃でハイブリダイゼーションが行われる場合、高ストリンジェンシー条件が提供される。
【0042】
本願に係るストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でのハイブリダイゼーションは、以下を意味する:
1]65℃で(または、オリゴヌクレオチドの場合、融解温度から5℃低い温度で)、50mMトリス(pH7.5)、1NaCl、1%SDS、10%硫酸デキストラン、0.5mg/mlの変性したサケ精子DNA中で、一晩、標識されたプローブと研究しようとするサンプルとをハイブリダイズさせること、
2]室温で、2×SSC中で、10分間洗浄すること、
3]65℃で(または、オリゴヌクレオチドの場合、融解温度から5℃低い温度で)、1×SSC/1%SDS中で、30分間洗浄すること、
4]65℃で(または、オリゴヌクレオチドの場合、融解温度から5℃低い温度で)、0.2×SSC/0.1%SDS中で、30分間洗浄すること、
5]65℃で(または、オリゴヌクレオチドの場合、融解温度から5℃低い温度で)、0.1%SSC/0.1%SDS中で、30分間洗浄すること。
【0043】
この目的では、全長で20個の長さを有するヌクレオチドのDNAフラグメントがオリゴヌクレオチドとみなされる。融解温度は、式Tm=2(A+Tの数)+4(G+Cの数)℃より得られる。
【0044】
2×SSC、または、0.1×SSC溶液は、20×SSC溶液を適宜に希釈することによって製造される。20×SSC溶液は、3MのNaCl/0.3クエン酸ナトリウム・2H2O溶液を含み、SDSは、ドデシル硫酸ナトリウムである。
【0045】
ハイブリダイゼーションは、研究しようとするポリヌクレオチドを、電気泳動分画し、続いて変性させた後、ナイロンまたはニトロセルロースメンブレンにトランスファーすることによって行われる(サザンブロット−DNA;ノーザンブロット−RNA)。ハイブリダイゼーションは、放射標識されたプローブ、または、その他の方法(例えば蛍光色素を用いて)で標識されたプローブを用いて行われる、。プローブは、通常、一本鎖および/または変性DNAまたはRNAポリヌクレオチド配列を含み、再び一本鎖にした、および/または変性させた研究しようとするDNAまたはRNAポリヌクレオチド配列の相補ヌクレオチド配列に結合する。
【0046】
PAR1遺伝子の単一ヌクレオチド多型は、本発明のプライマーを用いて、または、SSCPの分析によって検出することができる、。SSCPとは、一本鎖高次構造多型(Single Stranded Conformation Polymorphism)の略であり、これは、個々の塩基対の置換を同定するための電気泳動技術である。研究しようとするポリヌクレオチドは、一本鎖に変性させた後に、標識されたプライマーを用いてPCRによって増幅され、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)で分画される。研究しようとするDNAフラグメントが個々の塩基対の置換を示す場合、それらは異なるコンフォメーションを有するため、PAGEにおいて異なる率で移動する。
【0047】
PCRを行うための物質の例は、緩衝液、例えばHepesまたはトリス、さらに、dAPP、dGTP、dTTP、dCTPおよびMg2+、必要に応じて、さらに二価または一価の鉄である。これら物質は、溶液に溶解させた状態で含まれる。
【実施例】
【0048】
PAR1遺伝子のゲノム領域の増幅
以下のプライマーを用いて、PAR1配列における、3090位におけるTからCへヌクレオチド置換、および、3329位におけるAからCへの置換を検出した:
プライマー1:5’−ACAGAGTGGAATAAGACAGAG−3’(配列番号11)
プライマー2:5’−CCAGTGCTAGCTTCTACTTAC−3(配列番号12)。
プライマー1(配列番号11)は、NM−001992参照配列の2767〜2789位に対応する。プライマー2は、PAR1遺伝子のエキソン番号1由来である。
【0049】
増幅のためのPCRプロトコール
用いられた試薬は、アプライド・バイオシステムズより得た(フォスターシティー,米国):
ゲノムDNA、20ng;TaqGold DNAポリメラーゼ、1ユニット;1×Taqポリメラーゼ緩衝液;500μMのdNTP;2.5mMのMgCl2:200nMの
各増幅プライマー対;H2O、5μlまで。
【0050】
遺伝子型解析のためのPCR増幅プログラム
95℃で10分間を、1サイクル;
95℃で30秒、70℃で30秒を、2サイクル;
95℃で30秒、65℃で30秒を、2サイクル;
95℃で30秒、60℃で30秒を、2サイクル;
95℃で30秒、56℃で30秒、72℃で30秒を、40サイクル;
72℃で10分、4℃で30秒を、1サイクル。
【0051】
SNPの同定
ミニシーケンス配列解析およびSNPの検出のためのプロトコール
全ての試薬は、アプライド・バイオシステムズ(フォスターシティー,米国)より得た。精製したPCR産物、2μl;BigDyeターミネーターキット(BigDye Terminator Kit)、1.5μl;200nMの配列解析用プライマー;H2O、10μlまで。
【0052】
配列解析のための増幅プログラム:
96℃で2分を、1サイクル;
96℃で10秒、55℃で10秒、65℃で4分間を、30サイクル;
72℃で7分、4℃で30秒を、1サイクル。
【0053】
配列解析産物の解析
まず、配列解析ソフトウェア(アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems),フォスターシティー,米国)を用いて配列を解析し、生データを得て、次に、Phred、Phrap、PolyphredおよびConsedを用いて加工した。Phred、Phrap、PolyphredとConsedは、ワシントン大学(Washington University)(http://www.genome.Washington.edu)で、Phil Greenによって作成されたソフトウェアである。
【0054】
PAR1のSNPの、冠動脈疾患への割り当て
臨床研究で、患者の同齢集団で、PAR1遺伝子の3’非コード領域からの2種のPAR1多型を、血栓および心臓血管系の合併症との関係に関して研究した。
【0055】
下記の略語は、以下のように用いられる(示された全ての位置は、参照配列NM−001992におけるヌクレオチド位置を意味する)。
PAR1T3090Tは、PAR1遺伝子の対立遺伝子が両方とも3090位にチミジン(T)を有する個体群を示す。これら個体は、このPAR1変異体に関して、ホモ接合型である。
PAR1T3090Cは、PAR1遺伝子の一方の対立遺伝子が3090位にシチジン(C)を有し、PAR1遺伝子の他方の対立遺伝子が3090位にチミジン(T)を有する個体群を示す。これらの個体は、このPAR1変異体に関して、ヘテロ接合型である。
PAR1C3090Cは、PAR1遺伝子の対立遺伝子が両方とも3090位にシチジン(C)を有する個体群を示す。これら個体は、このPAR1変異体に関して、ホモ接合型である。
PAR1A3329Aは、PAR1遺伝子の対立遺伝子が両方とも3329位にアデノシン(A)を有する個体群を示す。これら個体は、このPAR1変異体に関して、ホモ接合型である。
PAR1A3329Cは、PAR1遺伝子の一方の対立遺伝子が3329位にシチジン(C)を有し、PAR1遺伝子の他方の対立遺伝子が3329位にアデノシン(A)を有する個体群を示す。これら個体は、このPAR1変異体に関して、ヘテロ接合型である。
PAR1C3329Cは、PAR1遺伝子の対立遺伝子が両方とも3329位にシチジン(C)を有する個体群を示す。これら個体は、このPAR1変異体に関して、ホモ接合型である。
【0056】
解析された患者群において(図1)、PAR1変異体C3090Cのホモ接合型キャリアーと、心房細動および心筋症との統計学的に有意な関連が観察された。ロジスティック回帰を行ったところ、PAR1変異C3090Cのホモ接合型キャリアーにおいて、PAR1変異T3090/T3090Tのキャリアーと比較して心房細動の危険が1.97倍増加、心筋症の危険が1.84倍増加したことがわかった(図3)。
【0057】
PAR1変異C3329Cのキャリアーに関して、前記変異体は、心房細動の危険が、PAR1変異C3329A/A3329Aのキャリアーと比較して2.35倍増加したことに関連があることが示された。PAR1変異C3329Cのキャリアーにおいて、前記変異体は、急性冠症候群および不安定狭心症の出現の観点で、さらに防御的のようである。PAR1変異C3329Cのキャリアーにおいて、急性冠症候群および/または不安定狭心症の出現の危険が、PAR1変異A3329C/A3329Aのキャリアーと比較して2.78倍減少した(図4)。
【0058】
それゆえに、本発明の方法によって、および、特定のSNP型の単離されたPAR1配列またはそれらのフラグメントを用いて、ヒト個体が、提示された結果に関して、危険群に割り当てられるかどうかを決定することが可能である。
【0059】
プラスミドDNAの製造
細菌の一晩の培養物1mlを、エッペンドルフチューブに移し、ヘレウス・バイオフューズ(Heraeus Biofuge)で、遠心分離した(5000rpmで5分間)。細菌細胞ペレットを冷却した溶液I(100μl)に再懸濁し、次に、氷上に5分間置いた。
溶液I:25mMのトリス−HCl(pH8.0)、50mMのグルコース(滅菌ろ過した)、10mMのEDTA、100μg/mlのRNアーゼA。
溶液IIを200μl添加した後、混合物全体をよく混合したところ、DNAのアルカリ変性が起こった。
溶液II:200mMのNaOH,1%SDS。
その後氷上で5分間インキュベートした後に、その混合物に溶液IIIを150μl添加した。続いて再度混合し、さらに15分間氷上でインキュベートした。
溶液III:3Mの酢酸ナトリウム(pH4.8)。
12000rpmで15分間ヘレウス・バイオフューズで遠心分離して、細胞の破片、ゲノムDNAおよび変性タンパク質を除去した。得られたプラスミドDNAを含む上清を、第二のエッペンドルフチューブにデカントし、96%濃度のEtOH1ml(または、イソプロパノール300μl)と混合した。沈殿混合物を徹底的に混合し、再度遠心分離した(15分間、12000rpm、ヘレウス・バイオフューズで)。それにより、プラスミドDNAの沈殿が生じた。プラスミドDNAの沈殿を、氷冷した70%濃度のEtOHで洗浄し、次に、空気乾燥した。最後に、乾燥した沈殿を滅菌蒸留水50μlに溶解させた。
【0060】
DNAのアルコール沈殿
沈殿混合物:DNA溶液、10分の1容量の3Mの酢酸ナトリウム(pH5.4)、2〜3容量の96%EtOH(イソプロパノール1容量)。
この混合物をよく混合し、−20℃で保存したが、沈殿の生成量は増加しなかった。12000rpmで20分間遠心分離してプラスミドDNAを沈殿させた。
沈殿させた後、残留した用いられた酢酸ナトリウムを除去するために、プラスミドDNAを70%濃度のEtOH1mlで再度洗浄する必要があった。
【0061】
DNAのフェノール抽出
DNA溶液を、同量のフェノール(Rotiphenol(R)と混合し、TE緩衝液pH7.6(ロス(Roth),カールスルーエ,ドイツ)で平衡化し、5分間振盪し、5000rpm遠心分離した。目下変性しているタンパク質のほとんどが、界面に集積された。DNAを含む上部の水相を吸引によって慎重に除去し、次に、残留したフェノールを除去するためにクロロホルム/イソアミルアルコール混合物(24:1)と混合し。続いて、さらに遠心分離し、その後、水性の上清を除去し、アルコール沈殿によって溶液からDNAを単離した。
【0062】
増幅したDNA分子の精製
PCR精製キット(キアゲン(Qiagen))を用いてDNAアンプリコンを精製した。これにより、初発の分子、ヌクレオチド(dNTP)、ポリメラーゼおよび塩を除去した。この目的のために、PCR反応混合物を、5倍量のPB緩衝液と混合し、よく混合し、キアクイック(Qiaquick)カラムにアプライした。次に、増幅したDNAを選択的にカラム材に結合させ、PE緩衝液(750μl)で2回洗浄することによってdNPTを除去した。次に、増幅したDNAを望ましい量の水で溶出させた(最良の量は、PCR反応混合物の初発の材料の量と同じである)。
【0063】
制限酵素でのDNA切断
混合:DNAを3μl、10×切断用緩衝液を2μl、制限酵素(例えばEcoRI、BamHI、SalI、XbaI、XhoIなど)を2.5〜5U、蒸留水を添加して量を20μlにした。
切断反応は、制限酵素に応じて25〜55℃で1〜2時間行われた。解析のために、フラグメントを、アガロースまたはポリアクリルアミドゲルで、長さの標準と平行させて電気泳動で分画した。反応が二重の切断である場合、まず一方の酵素を混合物に添加した。1時間後、アリコートを適切なゲルにアプライし、切断が起こった場合、第二の酵素を添加した。同じ切断用緩衝液中で第二の酵素による切断が起こらない場合、まずアルコール沈殿が必要である。
【0064】
DNAのアガロースゲル電気泳動
アガロース(ロス)を望ましい濃度で1×アガロース緩衝液に溶解させ、アガロースが完全に溶解するまで高周波レンジで沸騰させた。次に、この溶液を、密封したプレキシガラス製の平床式ゲルチャンバーに注いだ。このDNAサンプルを、10分の1量のローディングブルー(50%v/vグリセロール;50mMのEDTA;0.005%w/vのBPB[メルク(Merck),ダルムシュタット,ドイツ]、および、0.005%キシレンシアノール)と混合し、コームを用いて作成したゲルのポケットにピペッティングした。
電気泳動は、ランニング緩衝液として1×アガロース緩衝液中で、ゲルのサイズや電極間の距離に応じて80〜140Vの定電圧で、水平に行われた。
1×アガロース緩衝液:40mMのトリス−HCl(pH7.8)、5mMの酢酸ナトリウム、1mMのEDTA。
【0065】
DNAのポリアクリルアミドゲル電気泳動
7.5%ポリアクリルアミドゲル溶液;40%濃度のアクリルアミド−ビスアクリルアミドストック溶液、0.94ml;10×TBE緩衝液(400mMのトリス−HCl、pH8.3;200mMの酢酸ナトリウム、20mMのEDTA)、0.5ml;1%AMPS、0.25ml;TEMED、10μl;蒸留水、3.33ml。
この混合物を、垂直の重合装置にマウントされた十分清潔な垂直のガラスプレートの間に注いだ(約10〜20分間)。1×TBE緩衝液中で、140Vの定電圧でゲルを泳動した。
【0066】
DNA配列解析
DNA(1〜2μg)を、蒸留水81μlに溶解させ、変性のために、NaOH(2N)9μlを添加した。室温で10分間インキュベートした後、この混合物を沈殿させ、得られたDNA沈殿を氷冷した80%濃度のエタノールで徹底的に洗浄した(これは、その後の配列解析反応にとって重要である)。5×配列解析用の緩衝液(200mMのトリス−Cl(pH7.5)/100mMのMgCl2/250mMのNaCl)2μl、オリゴヌクレオチド(1pM/μl)1μl、および、最後に蒸留水を、沈殿に添加し、総量を10μlにした。その後、37℃の水槽中で30分間インキュベートした際に、初発のオリゴヌクレオチドがDNAにハイブリダイズした。
配列解析反応のためのハイブリダイゼーション混合物に添加した試薬:DTT(0.1M)、1.0μl;標識混合物(1:5に希釈)、2.0μl;[α−35S]dATP、0.5μl;SequenaseTM(13U/μl,ユナイテッド・ステイツ・バイオケミカル(United States Biochemical))(酵素希釈緩衝液で1:8に希釈)、2μl。
【0067】
それに続いて室温で5分間インキュベートした際に、反対の鎖が合成され、合成されたDNAは、放射性同位体で標識されたdATPを取り込むことによって標識された。これに続き、いずれの場合も、4種の異なる停止用混合物2.5μlに標識混合物3.5μlを添加した。さらに37℃で5分間インキュベートしたところ、ランダムに分散した反対の鎖の合成の停止反応が起こった。停止緩衝液(4μl)を添加することによって反応を停止させ、その後、混合物を80〜90℃で変性させ、6%濃度の変性配列解析ゲルにアプライした。サンプルをローディングした後に、主要な泳動を、30〜50Wで、それぞれ1300〜1600Vで、2〜5時間行った。次に、ゲルを10%濃度の酢酸槽で固定し(15分間)、流水下で残留した尿素を除去し、乾燥した(ヒートガンを用いて45分間、または、70℃のインキュベーターで2時間)。続いてオートラジオグラフィを4℃で16〜24時間行った(フジ・メディカル(Fuji Medical)のX線フィルムRX(X−ray−Film RX),30×40;コダック・サイエンティフィック(Kodak Scientific)のイメージングフィルムX−omatAR)。
【0068】
標識混合物ストック溶液:それぞれ7.5μMのdATP、dTTP、dGTP、dCTP。
停止用混合物:それぞれ80μMのdATP、dTTP、dGTP、dCTP、および、それぞれ8μMの各ddNTP。
Sequenase希釈緩衝液:10mMのトリス/HCl(pH7.5)、5mMのDTT、0.5mg/mlのBSA。
停止緩衝液:95%ホルムアミド、20mMのEDTA、0.005%(w/v)キシレンシアノールFF。
【0069】
自動DNA配列解析
混合物:プラスミドDNA(PCRフラグメントの場合、例えば、100ng/500個(ヌクレオチド))、1μg;初発の分子(PCRプライマー、可能であれば、Tmは55℃)、3〜5pmol;ダイ・ターミネーター・レディミックス(Dye Terminator ready−mix,FddNTPs−Ampli−TaqFS混合物)4μl;蒸留水を加えて量を20μlにする。
PCR反応液[25×(94℃で15秒、50℃で15秒、60℃で4分]をアルコールで沈殿させ、ローディング緩衝液4μlに溶解させ、次に、サンプルを95℃で3分間変性させ、遠心分離で除去し、垂直のポリアクリルアミドゲル(長さ34cm、24個の平行なレーンを備える)にアプライした。
488nmのアルゴンレーザー光線で励起させた後に、色素から525nm〜605nmの範囲の異なる波長の光を放出させ、格子「分光写真器」によってそのスペクトル色に分離した。続いて、このスペクトル色を、CCDカメラの高解像度の画素フィールドを用いて同時に検出した。コンピューター(マッキントッシュ・クアドラ(Macintosh Quadra)/650Macllcxアップルシェア(Apple Share))、および、対応するデータ解析ソフトウェア(PEバイオシステムズ(PE Biosystems),ヴァイターシュタット,ドイツ)を用いてデータを記録した。
配列解析ゲル;尿素(シグマ(Sigma))、30g;蒸留水、21.5ml;10×TBE、6ml。
この混合物を、広口フラスコ中で、以下を添加しながら、50℃の加熱ブロック上で溶解させた:40%ビスアクリルアミド(ろ過済み)、9ml;10%APS、180μl;TEMED、24μl。
【0070】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR反応)
以下のDNAポリメラーゼを用いた:
Taq(サーマス・アクアティカス)DNAポリメラーゼ(組換え,ギブコ/BRL(Gibco/BRL))、および、10×PCR緩衝液[200mMのトリス/HCl(pH8.4)、500mMのKCl]、Tfl(サーマス・フラーブス(Thermus flavus))DNAポリメラーゼ(Master AmpTM,Biozym,オルデンドルフ,ドイツ)、および、20×PCR緩衝液[20mMの(NH2)SO4、1Mのトリス/HCl(pH9.0)。
【0071】
【表1】

【0072】
この場合、以下が適用された:1Uで、74℃で30分以内に、10nMのデオキシリボヌクレオシド三リン酸の、酸不溶性のDNA産物への変換が触媒された。PCR反応は通常、「ホットスタート」で開始される:まず、DNAを変性させるために、94℃で、ポリメラーゼ無しで混合物をインキュベートした。温度が80℃に達した後、非特異的な増幅を防ぐために、DNAポリメラーゼをさらに低い温度で混合物に添加した。その後、実際のPCR反応を25〜35サイクル行った。
【0073】
各サイクルでは、 以下の反応条件が適用された;
【表2】

【0074】
最終的に、さらに鎖の伸長を72℃で10分間行い、最後に冷却した。
【0075】
トータルRNAの単離
全ての遠心分離工程は、13000rpm、16℃で行われ、溶解緩衝液(100RLT緩衝液:1メルカプトエタノール)600μlで細胞を溶解させた。細胞の溶解産物を、QiaSchredderカラムにアプライし、2分間の遠心分離で除去した。
溶出液を、70%エタノール600μlと混合し、よく混合し、DNAをRNAイージー(RNAeasy)ミニスピンカラムにアプライし、15秒間遠心分離した(RNAをシリカマトリックスに結合させた)。カラムを3回洗浄した(1回はRW1緩衝液700mlで、2回はRPE緩衝液500μlで)。次に、カラムを、オートクレーブした1.5mlエッペンドルフチューブに移し、RNAを蒸留水15μlで溶出させた。この方法で得られたトータルRNAの平均濃度は、1μg/μlであった。
【0076】
アガロースゲル電気泳動によるRNA分画化
変性アガロースゲル:アガロース、1g;蒸留水、37ml;10×MOPS(0.2mMのMOPS、10mMのEDTAP、100mMのNaAc)、10ml;この混合物を沸騰させ、60℃に冷却した。37%濃度のホルムアルデヒド16mlを添加した。
ゲルが固化した後、ゲルを、RNAゲルランニング緩衝液と共に電気泳動装置に挿入した。RNAを特別なサンプル緩衝液と一緒にアプライした。
RNAゲルランニング緩衝液:10×MOPS、40ml;37%濃度のホルムアルデヒド、65ml;蒸留水、295ml。
RNAサンプル緩衝液:RNA、1〜5μg;RNA−新しい緩衝液(37%濃度のホルムアルデヒドを7.5μl、10×MOPSを4.5μl、ホルムアミドを25.9μl、蒸留水を7.5μl)、5μl;ホルムアミド色素マーカー[50%(v/v)グリセロール、1mMのEDTA(pH8.0)、0,25%(v/v)ブロモフェノールブルー、0,25%(v/v)キシレンシアノール]、2μl。
ゲルを、80Vで約3時間泳動した。この作業には、真核性RNAの単離物しか用いていないため、ゲル上で見ることができる優勢のバンドは、28Sおよび18SrRNAのバンドのはずである。
【0077】
MMLV−RT(マウスのモロニー白血病ウイルス逆転写酵素)を用いた逆転写酵素
逆転写酵素混合物;RNA、5μg;初発の分子、100μM。
RNAテンプレートにおける転写酵素を阻害する要因となり得る二次構造の形成を防ぐために、RNA調整物と初発の分子を、75℃で10分間インキュベートした。しかしながら、通常は、この工程を行わなくても転写反応は起こる。
逆転写酵素反応混合物:Rnasin(R)(プロメガ)、28U;25mMのdNTP;10×逆転写酵素緩衝液[10Mのトリス/HCl(pH8.3)、75mMのKCl、3mMのMgCl2]、5μl;逆転写酵素(StrataScriptTM,ストラタジーン)、50U;蒸留水で50μlにした。
混合物を42℃で15分間、および、37℃で45分間インキュベートすることによって逆転写を行った。比較的長いRNAテンプレートの場合、さらに、55℃で30秒中断しながら、42℃で2時間長くインキュベートすることが推奨される。続いて、95℃で5分間混合物をインキュベートすることにより、前記逆転写酵素が活性化された。続いて、逆転写混合物5〜20μlをPCR反応に用いた。
【0078】
組織からのゲノムDNAの製造
組織100mgを液体窒素中で破砕し、粉末を得た。この組織粉末を、反応緩衝液(直前に、プロテイナーゼK[20mg/ml]30μlを緩衝液に添加した)6mlを含むファルコン(Falcon)チューブに入れ、56℃で一晩、慎重に振盪しながらインキュベートした(12〜18時間)。インキュベート後に、RNアーゼA(10μg/μl)100μlを添加し、この混合物を、37℃で1時間さらに振盪しながらインキュベートした。
これに続いて、フェノール4mlを加え、チューブを手動で逆さまにひっくり返して、再び約5分間上に向けた。即座にCl(クロロホルム/イソアミルアルコール)4mlを添加し、チューブを逆さまにひっくり返し、再びさらに5分間上に向け、次に、15分間遠心分離した(3000rpm)。その上清を慎重に除去し、10mlファルコンチューブに移した。上清がまだ透明ではない場合、フェノール抽出を繰り返すか、または、Cl4mlを添加し、チューブを手動で逆さまにひっくり返し、5分間上に向け、続いて15分間遠心分離しなければならない(3000rpm)。その上清を慎重に除去し、Cl抽出を繰り返した。得られた最終的な上清を、10分の1量の酢酸ナトリウム溶液(3M,pH6)、および、2.5倍量のエタノール(99.8%)と混合した。DNAがもつれた状態で沈殿するまでチューブを慎重に回転させた。このDNAがもつれたものを、ガラス製のフックを用いてエタノール(70%)約25mlに移し、3分間静置した。洗浄を2回繰り返した。次に、DNAを空気乾燥させ、室温で再蒸留水0.5mlに溶解させた。
【0079】
サザンブロット
アガロースゲルによるDNAの分画化
より大きいDNA分子(>6kBp)で鎖の破壊を起こすために、ゲルを短波長のUV上に約5分間放置した。
DNA変性のために、変性溶液中で連続的にゲルを30分間傾けた。
中和のために、中和溶液中で連続的にゲルを30分間傾けた。
ブロットの構成(下から上へ):ゲル、ナイロンメンブレン、乾燥したろ紙、ブロッティングペーパー、プレート、重り(約1kg)。
20×SSCを用いて一晩ブロッティングした。
2×SSC中で10分間メンブレンを洗浄し、ろ紙上でメンブレンを乾燥させ、80℃で1時間ベーキングするか、またはUV架橋により核酸を固定した(例えば「Stratalinker」で、自動的に位置決定して)。次に、ハイブリダイゼーションまでメンブレンを保存した。
ハイブリダイゼーション溶液中で、メンブレンを約1〜2時間プレハイブリダイゼーションし、メンブレン上の非特異的結合部位を覆った。
ハイブリダイゼーション溶液:5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、100μg/mlのニシン精子DNA、
変性溶液:0.5MのNaOH(20g)、1MのNaCl、
中和溶液:1.5MのNaCl/0.5Mのトリス(pH7.4)。
20×SSCは、3MのNaCl、0.3Mのクエン酸ナトリウム;NaCl、175.3g;クエン酸ナトリウム×2H2O、88.2gであり、再蒸留水で1lにし、pHをHClで7に調整した。
50×デンハルト溶液:フィコール400、5g;PVP(ポリビニルピロリドン)、5g;BSAT、5g;再蒸留水で500mlにした。
【0080】
ノーザンブロット
ホルムアルデヒドアガロースゲルを用いたRNAの分画化
ブロットの構成(下から上へ):ゲル、ナイロンメンブレン、乾燥したろ紙、ブロッティングペーパー、プレート、重り(約1kg)。
20×SSC中で一晩ブロッティングした。80℃でベーキング(1時間)してろ紙上にRNAを固定した。RNAの脱グリオキシル酸化(deglyoxylation)のために、ろ紙を沸騰した20mMのトリス(pH8)に導入し、室温まで冷却した。
【0081】
図面の説明
図1:研究群の特徴付けである。
図2:解析した1362人の個体における、PAR1変異T3090C、および、A3329Cの分布である。
図3:PAR1変異C3090Cと、心房細動と心筋症との関連である。
図4:PAR1変異C3329Cと、心房細動、急性冠症候群および不安定狭心症との関連である。
図5:5’/3’方向のヒトPAR1遺伝子cDNAのポリヌクレオチド配列である。この配列は、公共的に製造された配列に相当し、NCBIヌクレオチドデータベースで番号NM−001992として利用可能である。製造された配列は、配列番号1と同一である。
図6:NM−001992に記載の配列の3090位にTからCへの置換を含む多型を有する、5’/3’方向のヒトPAR1遺伝子cDNAのポリヌクレオチド配列である。示された配列は、配列番号2と同一である。
図7:NM−001992に記載の配列の3329位にAからCへの置換を含む多型を有する、5’/3’方向のヒトPAR1遺伝子cDNAのポリヌクレオチド配列である。示された配列は、配列番号3と同一である。
図8:NM−001992に記載の配列の3090位にTからCへの置換を含む多型を有し、同時に、NM−001992に記載の配列の3329位にAからCへの置換を含む第二の多型を有する、5’/3’方向のヒトPAR1遺伝子cDNAのポリヌクレオチド配列である。示された配列は、配列番号4と同一である。
図9:5’/3’方向のヒトPAR1遺伝子のフラグメントのポリヌクレオチド配列である。示された配列は、配列番号5と同一である。
図10:NM−01992に記載の配列の3090位にTからCへの置換を含む多型を有する、5’/3’方向のヒトPAR1遺伝子のフラグメントのポリヌクレオチド配列である。示された配列は、配列番号6と同一である。
【0082】
図11:NM−001992に記載の配列の3329位にAからCへの置換を含む多型を有する、5’/3’方向のヒトPAR1遺伝子のフラグメントのポリヌクレオチド配列である。示された配列は、配列番号7と同一である、
図12:NM−001992に記載の配列の3090位にTからCへの置換を含む多型を有し、同時に、NM−001992に記載の配列の3329位にAからCへの置換を含む第二の多型を有する、5’/3’方向のヒトPAR1遺伝子のフラグメントのポリヌクレオチド配列である。示された配列は、配列番号8と同一である。
図13:ヒトPAR1遺伝子cDNAの5’末端の、5’/3’方向のポリヌクレオチド配列である。示された配列は、配列番号9と同一である。
図14:ヒトPAR1遺伝子cDNAの3’末端の、5’/3’方向のポリヌクレオチド配列である。示された配列は、配列番号10と同一である。
図15:NM−001992に記載の2767〜2789位に関するヒトPAR1遺伝子cDNAの、5’/3’方向のポリヌクレオチド配列である。示された配列は、配列番号11と同一である。
図16:ヒトPAR1遺伝子のエキソン番号1の、5’/3’方向のポリヌクレオチド配列である。示された配列は、配列番号12と同一である。
図17:ヒトPAR1受容体のタンパク質配列である。この配列は、公共的に製造された配列に相当し、NCBIタンパク質データベースで番号NP−001983として利用可能である。示された配列は、配列番号13と同一である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】研究群の特徴付けである。
【図2】解析した1362人の個体における、PAR1変異T3090C、および、A3329Cの分布である。
【図3】PAR1変異C3090Cと、心房細動と心筋症との関連である。
【図4】PAR1変異C3329Cと、心房細動、急性冠症候群および不安定狭心症との関連である。
【図5−1】5’/3’方向のヒトPAR1遺伝子cDNAのポリヌクレオチド配列である。
【図5−2】図5−1の続きである。
【図6−1】NM−001992に記載の配列の3090位にTからCへの置換を含む多型を有する、5’/3’方向のヒトPAR1遺伝子cDNAのポリヌクレオチド配列である。
【図6−2】図6−1の続きである。
【図7−1】NM−001992に記載の配列の3329位にAからCへの置換を含む多型を有する、5’/3’方向のヒトPAR1遺伝子cDNAのポリヌクレオチド配列である。
【図7−2】図7−1の続きである。
【図8−1】NM−001992に記載の配列の3090位にTからCへの置換を含む多型を有し、同時に、NM−001992に記載の配列の3329位にAからCへの置換を含む第二の多型を有する、5’/3’方向のヒトPAR1遺伝子cDNAのポリヌクレオチド配列である。
【図8−2】図8−1の続きである。
【図9】5’/3’方向のヒトPAR1遺伝子のフラグメントのポリヌクレオチド配列である。
【図10】NM−01992に記載の配列の3090位にTからCへの置換を含む多型を有する、5’/3’方向のヒトPAR1遺伝子のフラグメントのポリヌクレオチド配列である。
【図11】NM−001992に記載の配列の3329位にAからCへの置換を含む多型を有する、5’/3’方向のヒトPAR1遺伝子のフラグメントのポリヌクレオチド配列である。
【図12】NM−001992に記載の配列の3090位にTからCへの置換を含む多型を有し、同時に、NM−001992に記載の配列の3329位にAからCへの置換を含む第二の多型を有する、5’/3’方向のヒトPAR1遺伝子のフラグメントのポリヌクレオチド配列である。
【図13】ヒトPAR1遺伝子cDNAの5’末端の、5’/3’方向のポリヌクレオチド配列である。
【図14】ヒトPAR1遺伝子cDNAの3’末端の、5’/3’方向のポリヌクレオチド配列である。
【図15】NM−001992に記載の2767〜2789位に関するヒトPAR1遺伝子cDNAの、5’/3’方向のポリヌクレオチド配列である。
【図16】ヒトPAR1遺伝子のエキソン番号1の、5’/3’方向のポリヌクレオチド配列である。
【図17】ヒトPAR1受容体のタンパク質配列である。この配列は、公共的に製造された配列に相当し、NCBIタンパク質データベースで番号NP−001983として利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NM−001992に記載の配列の3090位におけるTからCへの置換を含む、単離されたPAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列。
【請求項2】
PAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列は、配列番号2に記載の配列を包含する、請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチド配列。
【請求項3】
PAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列は、配列番号2に記載の配列を含む、請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチド配列。
【請求項4】
NM−001992に記載の配列の3329位におけるAからCへの置換を含む、単離されたPAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列。
【請求項5】
PAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列は、配列番号3に記載の配列を含む、請求項4に記載の単離されたポリヌクレオチド配列。
【請求項6】
PAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列は、配列番号3に記載の配列を含む、請求項4に記載の単離されたポリヌクレオチド配列。
【請求項7】
3090位におけるTからCへの置換、および、3329位におけるAからCへの置換(いずれもNM−001992に基づく)を含む、単離されたPAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列。
【請求項8】
PAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列は、配列番号4に記載の配列を包む、請求項7に記載の単離されたポリヌクレオチド配列。
【請求項9】
PAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列は、配列番号4に記載の配列を含む、請求項7に記載の単離されたポリヌクレオチド配列。
【請求項10】
配列番号5に記載の配列を含む、単離されたPAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列の一部。
【請求項11】
配列番号6に記載の配列を含む、単離されたPAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列の一部。
【請求項12】
配列番号7に記載の配列を含む、単離されたPAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列の一部。
【請求項13】
配列番号8に記載の配列を含む、単離されたPAR1遺伝子のポリヌクレオチド配列の一部。
【請求項14】
以下の方法の工程:
a]配列番号2に記載のPAR1配列、および/または、配列番号3に記載のPAR1配列、および/または、配列番号4に記載のPAR1配列からなるヒトcDNAを提供すること、
b]配列番号9および配列番号10に記載のプライマー対を提供すること、
c]ポリメラーゼ連鎖伸長反応(PCR)によってPAR1のポリヌクレオチド配列を増幅すること、
d]c]から得られた3.56kbのフラグメントを単離および/または精製すること

e]d]に記載のフラグメントを配列解析すること
によって、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列を製造する方法。
【請求項15】
以下の方法の工程:
a]配列番号1に記載のPAR1配列、および/または、配列番号2に記載のPAR1配列、および/または、配列番号3に記載のPAR1配列、および/または、配列番号4に記載のPAR1配列を含むヒトゲノムDNAを提供すること、
b]配列番号11および配列番号12に記載のプライマー対を提供すること、
c]ポリメラーゼ連鎖伸長反応(PCR)によって、PAR1のポリヌクレオチド配列のフラグメントを増幅すること、
d]c]から得られたフラグメントを単離および/または精製すること、
e]d]に記載のフラグメントを配列解析すること
によって、請求項10〜13のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列を製造する方法。
【請求項16】
PAR1遺伝子において、NM−001992に記載の配列の3090位におけるTからCへの置換、および/または、NM−001992に記載の配列の3329位におけるAからCへの置換があるかないかを検出する方法であって、以下の工程:
a]ヒト細胞を含む生物材料を提供すること、
b]a]に記載の材料から染色体DNAを得ること、
c]PCR反応により、配列番号11および配列番号12に記載のプライマーを用いてポリヌクレオチドフラグメントを増幅すること、
d]c]からのポリヌクレオチドフラグメントを配列解析すること、
を含む、上記方法。
【請求項17】
PAR1遺伝子において、NM−001992に記載の配列の3090位におけるTからCへの置換、および/または、NM−001992に記載の配列の3329位におけるAからCへの置換があるかないかを検出する方法であって、以下の工程:
a]ヒト細胞を含む生物材料を提供すること、
b]a]に記載の材料からRNAを得ること、
c]RNAを逆転写酵素によってcDNAに転写すること、
d]必要に応じて、PCR反応により、配列番号10および配列番号11に記載のプライマーを用いてポリヌクレオチドフラグメントを増幅すること、
e]c]に記載のcDNA、および/または、d]に記載のポリヌクレオチドフラグメントを配列解析すること、
を含む、上記方法。
【請求項18】
PAR1遺伝子において、NM−001992に記載の配列の3090位におけるTからCへの置換、および/または、NM−001992に記載の配列の3329位におけるAからCへの置換があるかないかを検出する方法であって、以下の工程:
a]ヒト細胞を含む生物材料を提供すること、
b]a]に記載の材料から染色体DNAを得ること、
c]b]に記載の染色体DNAでサザンブロットを行うこと、
d]配列番号5、および/または、配列番号6、および/または、配列番号7、および/または、配列番号8に記載のプローブを提供すること、
e]ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、c]からのサザンブロットと、d]に記載のプローブとをハイブリダイズすること、
f]e]からのハイブリダイゼーションの結果を比較することによって、NM−001992の3090位および/または3329位における、PAR1遺伝子の遺伝学的変異があるかないかを決定すること、
を含む、上記方法。
【請求項19】
PAR1遺伝子において、NM−001992に記載の配列の3090位におけるTからCへの置換、および/または、NM−001992に記載の配列の3329位におけるAからCへの置換があるかないかを検出する方法であって、以下の工程:
a]ヒト細胞を含む生物材料を提供すること、
b]a]に記載の材料からRNAを得ること、
c]配列番号5、および/または、配列番号6、および/または、配列番号7、および/または、配列番号8に記載のプローブを提供すること、
e]ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、c]からのノーザンブロットと、d]に記載のプローブとをハイブリダイズすること、
f]ハイブリダイゼーションの結果を比較することによって、NM−001992の3090位および/または3329位における、PAR1遺伝子の遺伝学的変異があるかないかを決定すること、
を含む、上記方法。
【請求項20】
配列番号11に記載の配列を含む21〜50個のヌクレオチドを有する、単離されたポリヌクレオチド配列。
【請求項21】
配列番号11を含む、単離されたポリヌクレオチド配列。
【請求項22】
配列番号12に記載の配列を含む21〜50個のヌクレオチドを有する、単離されたポリヌクレオチド配列。
【請求項23】
配列番号12を含む、単離されたポリヌクレオチド配列。
【請求項24】
PCR反応により、PAR1遺伝子のフラグメントを増幅するための、請求項20または21に記載の単離されたポリヌクレオチド配列と、請求項22または23に記載の単離されたポリヌクレオチド配列とを組み合わせた使用。
【請求項25】
PAR1遺伝子は、NM−001992に記載の配列の3090位におけるTからCへの置換、および/または、NM−001992に記載の配列の3329位におけるAからCへの置換を有する、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
a]請求項20または21に記載のポリヌクレオチド配列、
b]請求項22または23に記載のポリヌクレオチド配列、
c]PCR反応を行うための少なくとも1種の酵素、
d]および、必要に応じて、ポリメラーゼ連鎖伸長反応(PCR)を行うための物質および/または溶液、
e]および、必要に応じて、さらに請求項1〜17のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列、
f]および、必要に応じて、配列解析を行うための試薬、
を含む、成分のキット。
【請求項27】
請求項26に記載の成分のキットを製造する方法であって、
a]請求項20または21に記載のポリヌクレオチド配列を製造すること、
b]請求項22または23に記載のポリヌクレオチド配列を提供すること、
c]PCR反応を行うための酵素を提供すること、
d]必要に応じて、配列解析を行うための試薬を提供すること、
e]必要に応じて、ポリメラーゼ連鎖伸長反応(PCR)を行うための物質および/または溶液を提供すること、
f]必要に応じて、請求項1〜13のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列を提供すること、
g]適切な容器に、a]〜e]に記載の成分を、それぞれ別々に導入すること、
h]必要に応じて、g]に記載の容器を、1またはそれ以上のパック単位に合わせること、
を含む、上記方法。
【請求項28】
PAR1遺伝子のフラグメントを増幅するため、および、必要に応じて、PAR1遺伝子において、遺伝学的変異が、NM−001992の3090位および/または3329位に存在するかどうかをさらに解析するための、請求項26または27に記載の成分のキットの使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

image rotate

【図6】
image rotate

image rotate

image rotate

【図7】
image rotate

image rotate

image rotate

【図8】
image rotate

image rotate

image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公表番号】特表2007−534293(P2007−534293A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505159(P2006−505159)
【出願日】平成16年4月16日(2004.4.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004035
【国際公開番号】WO2004/094470
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】