説明

心臓血管疾患の治療における脂肪組織由来細胞の使用方法

処理脂肪吸引物組織内に存在する細胞を用いて、心臓血管の疾患又は障害状態を有する患者を含む患者を治療する。患者の治療方法は、脂肪組織を処理して、この脂肪組織から得られる濃縮量の幹細胞を患者に送達することを含む。本方法は、閉じた系で実施できるので、患者に投与する前に幹細胞が外部環境に曝露されない。従って、好ましい方法では、処理脂肪吸引物内に存在する細胞を、治療的な心臓血管の利益を促し、生じさせ又は補助するために必要な添加剤と共にレシピエント内に直接置く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、2003年2月20日出願の表題“心臓血管状態の治療における脂肪組織由来細胞の使用方法”の米国仮出願第60/449,279号、及び2003年4月15日出願の表題“心臓血管状態の治療における脂肪組織由来細胞の使用方法”の米国仮出願第60/462,911号に対する優先権を主張する。上述したすべての出願の内容は、引用により本明細書に取り込まれるものとする。
(発明の背景)
1.発明の分野
この発明は、心臓血管の疾患及び障害を治療するために使用する、脂肪組織に由来する細胞、さらに詳細には、脂肪由来幹細胞及び前駆細胞、脂肪由来幹細胞及び前駆細胞の使用方法、脂肪由来幹細胞及び前駆細胞を含有する組成物、並びに脂肪由来幹細胞及び前駆細胞を製造及び使用するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の説明
心臓血管の疾患及び障害は、すべての工業国での死亡及び障害の主要な原因である。米国だけでは、心臓血管疾患は死亡率の約40%の理由であり、5800万人のアメリカ人を冒している(米国心臓協会、2002年)。特に荒廃的に心臓血管疾患を与える主な因子の1つは、損傷後に心臓自体を修復する能力が心臓にないことである。心臓の筋肉細胞、すなわち心筋細胞は分裂できず、損傷領域を再増殖できないので、傷害又は疾患の結果としての心臓の細胞損失はほとんど不可逆的である(Abbate et al., 2002; Remme, 2000)。
治療の利用可能形態のうち、ヒト-ヒト心臓移植が重症な心臓血管の疾患及び障害の治療で最も有効であった。実際、平均的な心臓移植レシピエントの1年及び5年生存率は現在70%を超える。しかし、不運なことに、移植は多くの理由、すなわち適切なドナーの不足、措置の費用及び移植片拒絶反応の高い可能性並びに感染症、腎不全及び免疫抑制薬関連癌のような付随問題のため治療形態が極度に制限される(米国心臓協会、2002年)。
移植療法の代替は、損傷した心筋細胞を修復かつ再生させるための再生医療の使用である。再生医療は、臨床目的の様式で、幹細胞(すなわち、体の非分化マスター細胞)の、自身を無限に再生させて成熟分化細胞に発生する能力を利用する。幹細胞は、胎児組織及びいくつかの成人の器官や組織内で、発生の初期段階の胚内で見られる(Peraら, 2000)。胚性幹細胞(以後“ESC”と称する)は、体のすべてではないが多くの細胞型及び組織型になることが分かっている。ESCは、個体の全遺伝情報のみならず、体の200+細胞及び組織のいずれかになるための発生期能力をも有する。従って、これら細胞には再生医療の莫大な可能性がある。例えば、ESCは心臓、肺、又は腎臓のような特有組織に成長するので、損傷器官及び疾患器官を修復するために使用することができる(Assady et al., 2001; Jacobson et al., 2001; Odorico et al., 2001)。しかし、ESC誘導組織は臨床的な限界がある。ESCは必ず別の個体、すなわち胚に由来するので、レシピエントの免疫系がその新しい生体材料を拒絶する危険がある。このような拒絶を防止するための免疫抑制薬を利用しうるが、このような薬物は細菌感染やウイルスに対する反応のような望ましくない免疫反応を遮断することも分かっている。さらに、ESCの起源、すなわち胚についての倫理的議論がよく列挙され、さらなる、かつおそらく当分の間克服できない障壁を示している。
成人の幹細胞(以後、互換的に“ASC”と称する)は、ESCの使用の代替という意味を持つ。ASCは、多くの非胚組織内に静かに存在し、おそらく外傷又は他の破壊的疾患プロセスに対する反応を待っているので、ASCは損傷組織を治癒することができる(Arvidsson et al., 2002; Bonner-Weir and Sharma, 2002; Clarke and Frisen, 2001; Crosby and Strain, 2001; Jiang et al., 2002a)。顕著には、判明している科学的証拠は、各個体がすべてではないにしろ多くのタイプの細胞及び組織になる能力をESCと共有しうるASCのプールを保有しているこを示している(Young et al., 2001; Jiang et al., 2002a; Jiang et al., 2002b; Schwartz et al., 2002)。従って、ASCには、ESCと同様、再生医療の臨床用途に莫大な可能性がある。
ASC集団は、骨髄、皮膚、筋肉、肝臓及び脳の1つ以上に存在することが分かっている(Jiang et al., 2002b; Alison, 1998; Crosby and Strain, 2001)。しかし、これら組織内に存在するASCの頻度は低い。例えば、骨髄中の間充織幹細胞頻度は、100,000個の有核細胞中の1から1,000,000個の有核細胞中の1と推定される(D'Ippolito et al., 1999; Banfi et al., 2001; Falla et al., 1993)。同様に、ASCの皮膚からの抽出は、数週間にわたる複雑な一連の細胞培養工程を含み(Toma et al., 2001)、かつ骨格筋誘導ASCの臨床用途は2〜3週間の培養期を必要とする(Hagege et al., 2003)。従って、このような組織からのいずれの提案されたASCの臨床用途も細胞精製及び細胞培養のプロセスで細胞数、純度、及び成熟度を増加させる必要がある。
細胞培養工程は細胞の数、純度、及び成熟度を増加させうるが、そのために犠牲を払っている。この犠牲には、以下の技術的困難の1つ以上が含まれる:細胞加齢による細胞機能の損失、潜在的に有用な非幹細胞集団の損失、患者への細胞の可能性のある適用の遅延、費用的犠牲の増加、及び培養中周囲の微生物によるコンタミネーションの危険上昇。骨髄誘導ASCの治療効果を調査する最近の研究は本質的に完全な骨髄を用いて細胞培養伴う問題を回避している(Horwitz et al., 2001; Orlic et al., 2001; Stamm et al., 2003; Strauer et al., 2002)。しかし、臨床利益は最適以下であり、結果は制限されたASC用量及び骨髄内で先天的に利用可能な純度にほとんど確実に関連している。
【0003】
最近、脂肪組織がASCの供給源であることが示された(Zuk et al., 2001; Zuk et al., 2002)。骨髄、皮膚、筋肉、肝臓及び脳と異なり、脂肪組織はかなり大量に収集することが比較的容易である(Commons et al., 2001; Katz et al., 2001b)。さらに、脂肪組織由来ASCは、骨、脂肪、軟骨、及び筋肉を含む複数の組織をin vitroで生成する能力を有することが分かった(Ashjian et al., 2003; Mizuno et al., 2002; Zuk et al., 2001; Zuk et al., 2002)。従って、脂肪組織は、再生医療で使用するためのASCの最適な供給源を与える。しかし、この分野では脂肪由来ASCを適切に収集する方法が欠けている。既存の方法は、多くの欠点を有している。例えば、既存の方法は脂肪組織を取り出すために吸引装置を最適に適合させることができない。既存の方法は、脂肪組織収集段階から組織処理段階までの部分的又は全体的自動化がなされていない(Katz et al., 2001a)。さらに、既存の方法は、100mlを超える脂肪組織の収容能力を欠いている。さらになお、既存の方法は、脂肪組織収集段階から組織処理段階までの部分的又は完全な閉鎖系を欠いている。最後に、既存の方法は、ある試料から別の試料への物質のクロス-コンタミネーションに伴うリスクを減ずるための構成要素のディスポーザビリティーを欠いている。要約すると、脂肪組織からASCを収集するための先行技術の方法は、上述した皮膚、筋肉、肝臓及び脳からASCを収集することに伴う技術的困難を克服していない。
従って、ASCの莫大な治療可能性を考えると、ASCの集団を高い収率、一貫性及び/又は純度で生じさせ、かつ抽出後操作の必要を低減又は無くして迅速かつ確実にそれを行う、脂肪組織からASCを収集する装置、システム又は方法に対する緊急な要望が本技術分野に存在する。理想的には、このような装置、システム又は方法は、レシピエント内に直接配置するのに適した様式でASCを生成させる。このような装置、システム又は方法が、心臓血管の疾患及び障害の治療のために脂肪由来ASCを使用する方法及び組成物と組み合わせて利用可能になると、このような障害の治療を変革するだろう。心臓血管疾患の罹患率及び現在の治療選択肢の不足を考慮すると、このような治療が緊急に必要である。
【発明の開示】
【0004】
(発明の概要)
本発明は、少なくとも部分的には、脂肪由来成人幹細胞を用いて心臓血管の状態、疾患又は障害を治療できるという発見に基づく。本発明は、さらに脂肪由来成人幹細胞及び前駆細胞を調製するための装置、システム及び方法の発見に基づく。本発明は、なおさらに心臓血管の状態、疾患又は障害を治療するための脂肪由来成人幹細胞及び前駆細胞の方法及び組成物の発見に基づく。従って、一実施態様では、本発明は、心臓血管の治療的利益を促し、生じさせ、又は補助するために必要な添加剤と共にレシピエント内に直接配置される、脂肪組織に由来する細胞を使用するための組成物、方法、及びシステムに関する。
一実施態様では、脂肪組織処理は、閉鎖された無菌流体/組織経路を維持するシステム内で起こる。これは、予め組み立てられた、閉じた無菌容器と、閉じた経路内での組織要素と流体要素の移動を可能にする管系との連結セットを使用して達成される。試薬の添加、温度、及び処理のタイミングをコントロールする装置内に挿入された一連の処理試薬(例えば、食塩水、酵素など)にこの処理セットを連結することによって、オペレーターが処理工程を手動で管理する必要を取り除くことができる。好ましい態様では、組織抽出から処理及びレシピエント内への配置までの全手順が同一設備内ですべて行われ、実際、措置を受ける患者の部屋と同一の部屋内でさえ行われる。
【0005】
本発明の一局面により、生の脂肪組織を処理して実質的に成熟脂肪細胞及び結合組織を除去することによって、レシピエントの体内に配置するのに適した不均一な多数の脂肪組織由来細胞を得る。これら細胞を他の細胞、組織、組織フラグメント、或いは細胞の成長及び/又は分化の他の刺激因子と共にレシピエント内に置くことができる。好ましい態様では、上述した添加物のいずれかと共に、レシピエントに対する治療利益を引き出すという意図で、単一の手術手順の下で得られたこれら細胞をそれらを得たヒト内に配置する。
一実施態様では、患者の治療方法は、以下の工程含む:
(a)組織取り出しシステムを供給する工程;(b)前記組織取り出しシステムを用いて、ある濃度の幹細胞を有する脂肪組織を患者から取り出す工程;(c)前記脂肪組織の少なくとも一部を処理して、処理前の該脂肪組織の幹細胞の濃度と異なる濃度の幹細胞を得る工程;及び(d)患者に前記幹細胞及び前駆細胞を投与する工程であって、投与前に前記幹細胞及び前駆細胞を前記組織取り出しシステムから取り出さずに、静脈内、冠内及び心内膜心筋投与を含む(限定するものではない)当業者に知られたのいくつかの方法で前記患者に投与する工程。
本明細書で開示する本発明のシステムは、(a)組織収集容器であって、(i)患者から取り出した脂肪組織を受ける構造をもつ組織収集入口ポートと、(ii)該容器内に配置され、かつ患者から取り出した脂肪組織を保持し、前記患者から取り出した非脂肪組織を通過させる構造をもつフィルターとを含む組織収集容器;(b)前記脂肪組織から得た幹細胞を、前記組織取り出しシステムから取り出さずに受けるため前記組織収集容器に連結された混合容器であって、その中に含まれる前記幹細胞と混合するための少なくとも1種の添加物の投与用添加ポートを含む混合容器;及び(c)前記混合容器内の前記細胞を前記組織収集システムから患者に投与するために取り出すことのできる構造をもつ出口ポート;を含む。
本明細書で述べるいずれの特徴又は特徴の組合せも、いずれかの該組合せに含まれる特徴が文脈、この明細書、及び当業者の知識から明白なように相互に矛盾しないことを条件として本発明の範囲に包含される。本発明のさらなる利点及び局面は、以下に詳述する説明で明らかである。
【0006】
(発明の詳細な説明)
本発明は、脂肪由来の幹細胞及び前駆細胞を用いて心臓血管の状態、疾患及び障害を治療するための実証された方法を初めて提供する。具体的には、本発明は、初めて、本発明の脂肪由来の幹細胞及び前駆細胞が、(1)胎盤成長因子(PIGF)及び血管内皮成長因子(VEGF)を含む血管形成成長因子及び動脈形成誘導成長因子を発現し、(2)血管形成でよく確立された機能を有する内皮前駆細胞(EPC)を含み、(3)in vitroで血管へ発生し、(4)in vovoで虚血性組織の生存を補助し、(5)後肢の閉塞/再潅流傷害後の再潅流を誘導し、(6)心臓傷害後の動物に注入されると心臓へホーミングし、かつ(7)心臓傷害後の動物に注入されると、心筋細胞への分化と一致するマーカーを発現する細胞に分化することを実証する。従って、本開示は、結論的に、本発明の脂肪由来幹細胞及び前駆細胞が心臓血管の疾患及び障害の治療に有用であることを実証する。
【0007】
本発明をさらに容易に理解してもらうため、まず特定用語を定義する。詳細な説明の全体にわたって、追加の定義を述べる。
本明細書では、用語“脂肪組織”は脂肪細胞と微小血管細胞を含む多細胞型を含有する組織を指す。脂肪組織には幹細胞及び内皮前駆細胞が含まれる。従って、脂肪組織は、脂肪を貯蔵する結合組織を含む脂肪を指す。
本明細書では、用語“脂肪組織の単位”は、分離した又は測定可能な量の脂肪組織を指す。1単位の脂肪組織は、その単位の重量及び/又は体積を決定することで測定しうる。上で特定したデータに基づき、患者から除去される場合、1単位の処理脂肪吸引物(lipoaspirate)は、その少なくとも0.1%が幹細胞である細胞成分を有する。本明細書の開示に関し、1単位の脂肪組織は、患者から除去された脂肪組織の全量、又は患者から除去された脂肪組織の全量に満たない量を表しうる。従って、1単位の脂肪組織は、別の単位の脂肪組織と結合して、個々の単位の合計である重量又は体積を有する単位の脂肪組織を形成しうる。
本明細書では、用語“部分(portion)”は全体より少ない物質の量を指す。小部分は50%未満である量を指し、大部分は50%を超える量を指す。従って、患者から取り出された脂肪組織の全量に満たない量である脂肪組織単位はその取り出された脂肪組織の部分である。
本明細書では、用語“幹細胞”は、1つ以上の特有機能を果たし、かつ自己再生する能力を有する、種々の他の細胞型に分化する可能性のある多能性(multipotent)細胞を指す。意味する。本明細書で開示する幹細胞のいくつかは多分化能性(pluripotent)でありうる。
本明細書では、用語“前駆細胞”は、1つ以上の特有機能を果たし、かつ自己再生する能力が制限され又は該能力がない1つ以上の細胞型に分化する能力を有する単能性細胞、二能性細胞、又は多能性細胞を指す。本明細書で開示する前駆細胞のいくつかは多分化能性でありうる。
【0008】
本明細書では、“幹細胞数”又は“幹細胞頻度”は、脂肪由来細胞(ADC)を低細胞密度(<10,000細胞/ウェル)でプレーティングしてMSC成長を補助する成長培地(例えば、10%ウシ胎児血清、5%ウマ血清、及び抗生物質/抗菌薬で補充したDMEM/F12培地)で成長させるクローン生成アッセイで観察されるコロニーの数を指す。培養をヘマトキシリンで染色後2週間細胞を成長させて50個より多い細胞のコロニーをCFU-Fとして数える。幹細胞頻度は、プレーティングした100個の有核細胞毎に観察されるCFU-Fの数として計算する(例えば、1,000個の有核ADC細胞で開始したプレート内で数えた15個のコロニーは、1.5%の幹細胞頻度を与える)。幹細胞数は、(幹細胞頻度)x(得られた有核ADC細胞の総数)として計算される。ADC細胞から成長したCFU-Fは高割合(約100%)で細胞表面分子CD105を発現しており、CD105は骨髄由来幹細胞によっても発現されている(Barry et al., 1999)。CD105は脂肪組織由来幹細胞によっても発現される(Zuk et al., 2002)。
本明細書では、“処理(processed)脂肪吸引物”は、処理して成熟脂肪細胞及び結合組織から活性な細胞成分(例えば、幹細胞及び前駆細胞を含有する成分)を分離した脂肪組織を指す。本明細書ではこの画分を“脂肪由来細胞”又は“ADC”とも称する。典型的に、ADCは脂肪組織から細胞を洗浄かつ分離することによって得られる細胞のペレットを指す。ペレットは、典型的に、細胞が遠心分離容器の底に凝集するように細胞の懸濁液を遠心分離することによって得られる。
【0009】
フレーズ“心臓血管の状態、疾患又は障害”は、不十分な望ましくない又は異常な心臓機能を特徴とするすべての障害を含むことを意図する。例えば、虚血性心臓疾患、高血圧性心臓疾患及び肺高血圧性心臓疾患、弁膜症、先天性心臓疾患、及び被験者、特にヒト患者のうっ血性心不全につながるいずれかの状態が挙げられる。不十分又は異常な心臓機能は、疾患、傷害及び/又は加齢の結果であり得る。背景として、心筋傷害に対する応答は、いくつかの細胞が死亡し、他の細胞がまだ死んでいないが機能不全である冬眠の状態に入る明確な経路に続く。これは、炎症性細胞の浸潤、瘢痕の一部としてのコラーゲンの沈着を伴い、すべて新しい血管の内殖及びある程度の連続した細胞死と並行して起こる。本明細書では、“虚血”は、血液の流入の減少に起因するいずれの局所化組織虚血も指す。用語“心筋虚血”は、アテローム性冠動脈硬化症及び/又は心筋への不十分な酸素供給によって引き起こされる循環障害を指す。例えば、急性心筋梗塞は、心筋組織に対する不可逆的な虚血性発作を意味する。この発作は、冠循環内の閉塞(例えば、血栓性又は塞栓性)事象の結果起こり、かつ心筋代謝要求が心筋組織への酸素の供給を超える環境を生じさせる。
【0010】
本明細書では、用語“血管形成”は、現存する脈管構造及び組織から新しい血管が生成される過程を指す(Folkman, 1995)。フレーズ“修復又は再構築”は、既存の脈管構造の再形成を指す。組織虚血の軽減は、決定的に血管形成依存性である。新しい血管の自発的な成長は、虚血領域の中や回りで側副循環を与え、血流を改善し、虚血に起因する症候を軽減する。本明細書では、用語“血管形成因子”又は“血管形成タンパク質”は、既存の脈管構造からの新しい血管の成長を促進しうる(“血管形成”)いずれの既知タンパク質をも指す。本発明で使うのに好適な血管形成因子として、限定するものではないが、胎盤成長因子(Luttun et al., 2002)、マクロファージコロニー刺激因子(Aharinejad et al., 1995)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(Buschmann et al., 2003)、血管内皮成長因子(VEGF)-A、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E(Mints et al., 2002)、ミューロピリン(neuropilin)(Wang et al., 2003)、線維芽細胞成長因子(FGF)-1、FGF-2(bFGF)、FGF-3、FGF-4、FGF-5、FGF-6(Botta et al., 2000)、アンギオポイエチン(Angiopoietin)1、アンギオポイエチン2(Sundberg et al., 2002)、エリスロポイエチン(Ribatti et al., 2003)、BMP-2、BMP-4、BMP-7(Carano and Filvaroff, 2003)、TGF-β(Xiong et al., 2002)、IGF-1(Shigematsu et al., 1999)、オステオポンチン(Asou et al., 2001)、プレイオトロピン(Pleiotropin)(Beecken et al., 2000)、アクチビン(Activin)(Lamouille et al., 2002)、エンドセリン-1(Bagnato and Spinella, 2003)及びこれらの組合せが挙げられる。血管形成因子は、独立的に又は別の因子と組み合わせて作用しうる。組合せの場合、血管形成因子は相乗的に作用することもでき、それによって因子の併用効果は、別々に考えられる個々の因子の効果の合計より大きい。用語“血管形成因子”又は“血管形成タンパク質”は、このような因子の機能類似体をも包含する。機能類似体は、該因子の受容体に結合し、こうして血管形成の促進及び/又は組織再構築で該因子の活性を模倣する抗イディオタイプ抗体をも包含する。このような抗イディオタイプ抗体の製造方法は技術的に周知であり、例えば、WO 97/23510(引用によって、本明細書に取り込まれる)に記載されている。
【0011】
本発明で用いる血管形成因子は、いずれの適切な供給源からも生産し、又は得ることができる。例えば、血管形成因子は、その天然源から精製し、或いは合成的又は組換え発現によって生産することができる。血管形成因子をタンパク質組成物として患者に投与することができる。代わりに、本因子をコードする発現プラスミドの形態で投与することができる。適切な発現プラスミドの構築は技術的に周知である。発現プラスミドの構築に好適なベクターとして、例えば、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター、RNAベクター、リポソーム、カチオン性脂質、レンチウイルスベクター及びトランスポゾンが挙げられる。
本明細書では、用語“動脈形成(arteriogenesis)”は、先在する細動脈コネクションから側副動脈及び/又は他の動脈の成長を促進する過程を指す(Carmeliet, 2000; Scholz et al., 2001; Scholz et al., 2002)。さらに詳細には、動脈形成は、虚血組織、腫瘍又は炎症部位に血液を供給する先在する細動脈コネクション由来の内皮細胞及び平滑筋細胞の増殖による動脈の in situ漸増及び伸長である。これら血管は患部組織の外側で大きく成長し、かつ虚血領域、腫瘍又は炎症部位に栄養素を送達するために重要である。動脈形成は、心筋虚血に対する正常な反応の一部である(Mills et al., 2000; Monteiro et al., 2003)。さらに、冠動脈バイパス移植(CABG)の一般的な外科手術手技は、事実上、人工側副血管の創造にすぎない(Sergeant et al., 1997)。従って、梗塞後の血管形成を促進する過程は、虚血組織への血流を改善し、細胞死の減少と梗塞サイズの低減をもたらすであろう。これらの改善は心機能を高め、かつ治療利益をもたらすだろう。
本明細書では、“治療する”は、心臓血管の状態、疾患又は障害、すなわち不十分又は望ましくない心機能を特徴とするいずれかの障害の少なくとも1つの有害な効果又は症候を減少させ又は軽減することを包含する。心臓障害の有害な効果又は症候は技術的によく知られており、限定するものではないが、呼吸困難、胸痛、動悸、めまい、失神、浮腫、水腫、チアノーゼ、蒼白、疲労及び死が挙げられる。
本明細書では、“投与する”、“導入する”及び“移植する”は互換的に用いられ、本発明のADCが所望部位に少なくとも部分的に局在化するようになる方法又は経路で本発明のADCを被験者内に配置することを意味する。被験者の所望位置(ADCの少なくとも一部分又はADCの成分が生存可能状態のままである)への送達をもたらすいずれの適切な経路によってもADCを投与することがでできる。被験者へ投与後のADCの存続できる期間は、数時間、例えば24時間と短いこともあり、数日、数年と長いこともある。
本明細書では、用語“被験者”として、温血動物、好ましくはヒトを含む哺乳類が挙げられる。好ましい態様では、被験者は霊長類である。なおさらに好ましい態様では、被験者はヒトである。
【0012】
さて、本発明の現在好ましい実施態様について、その例を添付図面に示して詳細に言及する。可能な場合は、図面及び同一又は同様の部分を指す説明では、同一又は同様の参照番号を使用する。図面は単純化形態であり、かつ正確な寸法でないことに留意すべきである。本明細書の開示に関し、便宜上及び明瞭さの目的だけのため、添付図面についてトップ、底、左、右、上へ、下へ、真上に、上方に、下方に、下に、後方、前方のような方向用語を使用する。いかなる場合にもこのような方向用語は本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
本明細書の開示は、特定の例示的態様に言及するが、これら態様は例として提示したものであり、限定でないことを理解すべきである。以下の詳細な説明の意図は、例示的態様について論じているが、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の精神及び範囲を逸脱することなく包含される前記態様のすべての変形、代替物、及び等価物をカバーするものと解釈すべきである。本発明は、当該技術で慣習的に使用される種々の細胞又は組織分離法と共に実施することができ、本明細書には本発明の理解を与えるのに必要なだけの一般的に実施されるプロセス工程が含まれる。
従って、一態様では、本発明は、脂肪細胞中に存在する細胞集団と、その細胞集団を心臓血管の疾患及び障害の治療のためヒト又は動物患者に投与するためのシステム及び方法に関する。脂肪組織の細胞集団を治療用途の細胞源として使用することができる。とりわけ、心臓血管の疾患及び障害を含む細胞を再生することで治療できる疾患のような再生医療で本細胞を使用しうる。他の含脂肪細胞又は結合組織なしで、心臓血管の疾患又は障害に苦しむ患者に該集団の細胞を投与することができる。
特に、本発明は、脂肪組織由来細胞及び該細胞の使用方法に関する。前記細胞は、かつ心筋の修復と再生を促進することに寄与し、その過程において損傷を最少にしうるいくつかの特性を有する。この特性として、とりわけ以下の特性:新しい血管形成を刺激する成長因子を合成かつ分泌する能力;細胞の生存と増殖を刺激する成長因子を合成かつ分泌する能力;増殖して新しい血管形成に直接関与する細胞に分化する能力;損傷心筋に植え付けられて瘢痕形成(コラーゲンの沈着と架橋)を阻害する能力;増殖して心筋の収縮性に寄与しうる筋細胞に分化する能力;及び増殖して心筋細胞に分化する能力;が挙げられる。
【0013】
I.発明の方法
1.処理脂肪吸引物(ADC)を得る方法
脂肪組織が幹細胞と前駆細胞に特に富む供給源であることが見出された。この知見は、少なくとも部分的には、脂肪組織の主要な非幹細胞成分である脂肪細胞の除去の容易さに起因しうる。従って、ヒト及び動物の両研究において、処理脂肪吸引物(ADC)は、少なくとも0.1%、さらに典型的には0.5%を超える頻度で幹細胞を含有する。本発明の特定の態様では、約2〜12%の幹細胞を含有するADCを得た。なおさらなる態様では、ADCを処理して、幹細胞が集団中の細胞の100%まで構成する細胞集団が得られる。本明細書で開示する本発明で得られる幹細胞の純度/頻度は、公表されている骨髄における100,000中の1(0.001%)より実質的に高い(D'Ippolito et al., 1999; Banfi et al., 2001; Falla et al., 1993; Muschler et al., 2001)。さらに、脂肪組織の収集は、同様の体積の骨髄の収集より低い罹患率を伴う(Nishimori et al., 2002)。さらに、脂肪組織は、患者に治療を提供しうる内皮前駆細胞を含有する((Asahara et al., 1999; Kaushal et al., 2001; Kawamoto et al., 2003; Kawamoto et al., 2001)参照)。
【0014】
本明細書で開示する方法の実施において、患者に投与する細胞は脂肪組織から得る。本技術の当業者に既知のいずれの方法によっても脂肪組織を得ることができる。例えば、吸引補助リポプラスティー(lipoplasty)、超音波補助リポプラスティー、及び切除術リポプラスティーによって患者から除去することができる。さらに、切除術リポプラスティーと吸引補助リポプラスティーの組合せのような、このような手段の組合せも挙げられる。組織及びそのいずれかの画分を患者に再移植することを意図する場合、細胞成分の生存度を保持し、かつ細菌及び/又はウイルスのような感染の可能性のある生物による該組織の汚染の可能性を最小限にする方法で脂肪組織を収集しなければならない。従って、無菌又は防腐様式で組織抽出を行って汚染を最小限にしなければならない。吸引補助リポプラスティーは、超音波補助リポプラスティーのような他の技法に付随しうる幹細胞損傷の可能性を最小限にして組織を収集する最少の侵襲性方法を提供するので、患者から脂肪組織を除去するのに望ましいだろう。
吸引補助リポプラスティー措置では、患者に存在する脂肪組織デポーの中又は近傍にカニューレを挿入後、吸引装置内に脂肪を吸引することによって脂肪組織を収集する。一態様では、小さいカニューレを注射器と結合し、手動で脂肪組織を吸引することができる(Asken, 1990)。注射器又は他の同様の装置を用いると、比較的中程度の量の脂肪組織(例えば、0.1ml〜数百mlの脂肪組織)を収集するのに望ましいだろう。これら比較的小さい装置を利用する措置は、全身麻酔と対照的に局所のみの麻酔でこの措置を行えるという利点を有する。ドナー及び収集措置を行う人の裁量で、この範囲を超える(例えば、数百ml)多量の脂肪組織は全身麻酔を必要とすることがある。多量の脂肪組織を取り出すことが望ましい場合、その措置では比較的大きいカニューレと自動吸引装置が利用される(Commons et al., 2001)。
【0015】
切除術リポプラスティー措置は、限定するものではないが、その措置の付随部分として脂肪組織含有組織(例えば、皮膚)を除去する。すなわち、この手術の主目的は組織(例えば、肥満又は美容手術における皮膚)の除去であり、主対象の組織と共に脂肪組織が除去される。
患者から取り出した脂肪組織をさらなる処理用装置内に収集する。本明細書で論じるように、かつ一態様では、この装置は、処理脂肪組織細胞集団(幹細胞及び/又は内皮前駆細胞を含む)の製造用に組織を収集する目的のために設計され、かつ該目的に供される。他の態様では、この装置は、抽出措置を行う医師が組織収集のために典型的に使用するいずれの慣用的装置であろう。
収集する組織の量はいくつかの変数によって決まり、変数としては、限定するものではないが、ドナーの肥満度指数、接近しうる脂肪組織収集部位、付随及び先在する投薬と状態(抗凝血療法のような)、並びに組織を収集する臨床目的が挙げられる。造血幹細胞(レシピエントの血液細胞形成能を再生するために使用する骨髄又は臍帯血液由来幹細胞)の移植の経験により、移植が閾値効果のある細胞用量依存性であることが示されている(Smith and Sweetenham, 1995; Barker et al., 2001)。従って、“多いほど良い”という一般原則が他の変量によって決まる限界内で適用されることはありそうなことであり、可能ならばできる限り多くの組織が収集される。
やせた個体から抽出した100mlの脂肪組織の幹細胞の割合は、肥満ドナーから抽出した場合より高いことが分かった(表1)。これは、肥満個体内の増加した脂肪含量の希釈効果を反映している。従って、本発明の一局面によれば、過体重ドナーからは、よりやせた患者から引き出す量に比し、多量の組織を得ることが望ましい。この観察は、この発明の有用性は、多量の脂肪組織を有する個体に限定されないことをも意味する。
【0016】
表1:組織及び細胞収率に及ぼす肥満度指数の影響

【0017】
実質的に成熟脂肪細胞及び結合組織のない、脂肪由来幹細胞及び/又は内皮前駆細胞を含む組成物として濃縮幹細胞を投与することができる。ある態様では、この組成物は、少なくとも0.1%の細胞が幹細胞である細胞成分を有する。他の態様では、本組成物は、幹細胞が細胞成分の約2%〜12%を構成する細胞成分を有する。また、異なった組成物では、100%までのような高濃度の幹細胞を含む。本組成物は、細胞分化因子、成長プロモーター、免疫抑制物質、又は本明細書で述べるような医用デバイスのような追加の成分を含みうる。組成物が主として1タイプの細胞(例えば、脂肪由来幹細胞又は脂肪由来内皮前駆細胞)を含有する特定の組成物を得るため、幹細胞又は内皮前駆細胞のどちらかの上に存在する抗原を認識してそれと結合する細胞特異的抗体の使用のような異なった細胞タイプを分離するいずれの適切な方法も使用しうる。
多くの用途で、活性細胞集団の調製は脂肪組織の成熟脂肪積載脂肪細胞成分の枯渇が必要である。これは、典型的に一連の洗浄及び脱凝集工程によって達成される。すなわち、まず組織をすすいで遊離脂質(破壊された脂肪細胞から放出される)と末梢血要素(組織収集に供した血管から放出される)の存在を減らしてからフリーな無傷の脂肪細胞と、結合組織マトリックス由来の他の細胞集団に脱凝集する。特定の態様では、完全脂肪細胞成分、つまり非幹細胞成分を脂肪組織の幹細胞成分から分離する。他の態様では、脂肪細胞成分の一部又はいくつかの部分だけを幹細胞から分離する。従って、特定の態様では、内皮前駆細胞と共に幹細胞を投与することができる。
【0018】
すすぎは任意であるが好ましい工程であり、組織を溶液と混合して遊離脂質及び単細胞成分(血液中の当該成分のような)を洗い流し、無傷の脂肪組織フラグメントを残す。一態様では、患者から取り出した脂肪組織を等張食塩水又は他の生理溶液(例えば、Baxter Inc.のPlasmalyte(登録商標)、又はAbbott LabsのNormoso(登録商標))と混合する。無傷の脂肪組織フラグメントは、限定するものではないが、ろ過、デカンテーション、沈降法、又は遠心分離を含む当業者に既知のいずれの手段によっても遊離脂質及び細胞から分離することができる。本発明の例示態様では、本明細書で述べるような組織収集容器内に配置したフィルターを用いて脂肪組織を非脂肪組織から分離する。他の態様では、デカンテーション、沈降法、及び/又は遠心分離法を利用して材料を分離する組織収集容器を用いて脂肪組織を非脂肪組織から分離する。
次に、機械的力(細刻力又はせん断力)、単一又は組合せのタンパク質分解酵素(例えば、コラーゲン、トリプシン、リパーゼ、リベラーゼH1、又は米国特許第5,952,215号に開示されているBlendzymeファミリーのメンバー、及びペプシン)による酵素的消化、又は機械的方法と酵素的方法の併用を含むいずれかの常法によって無傷の組織フラグメントを脱凝集する。例えば、米国特許第5,372,945号で開示されている脂肪組織中の微小血管内皮細胞を収集する方法のような脂肪組織のコラゲナーゼ媒介分離を用いる方法で無傷の組織フラグメントを脱凝集することができる。本発明の実施で使用しうるコラゲナーゼを用いるさらなる方法は米国特許第5,830,714号及び第5,952,215号、並びにWilliams et al., 1995 (Williams et al., 1995)によって開示されている。同様に、文献(Twentyman and Yuhas, 1980)に開示されているように、コラゲナーゼに代えて中性のプロテアーゼを使用しうる。さらに、文献(Russell et al., 1976)に開示されているようなコラゲナーゼとトリプシンの組合せのような酵素の組合せ;又は文献(Engelholm et al., 1985)に開示されているようなトリプシンのような酵素と機械的分離の組合せを利用することができる。
【0019】
次に、脱凝集した組織フラグメントから成熟脂肪細胞の存在を減らして活性細胞集団(処理脂肪吸引物)を得ることができる。処理脂肪吸引物と、脂肪組織が脱凝集されている液体との懸濁液を細胞収集容器のような別の容器に通す。組織収集容器から懸濁液を引いてそれを細胞収集容器へ進めるぜん動ポンプのようなポンプを用いて懸濁液を1つ以上の導管を介して細胞収集容器に流すことができる。他の態様は、閉鎖系を維持しながら重力又は真空を使用しうる。懸濁液中の細胞の分離は、浮遊密度沈降法、遠心分離、溶出、ろ過、固相成分への優先接着と固相成分からの溶出、抗体媒介選択、電荷の差異;免疫磁気ビーズ、蛍光活性化セルソーティング(fluorescence activated cell sorting)(FACS)、又は他の手段で達成することができる。これら種々の方法及びその方法を行う装置の例は、以下の文献に記載されている(Hemstreet et al., 1980; Schweitzer et al., 1995; Gryn et al., 2002; Prince et al., 2002; Watts et al., 2002; Mainwaring and Rowley, 1985; Greenberg and Hammer, 2001及び米国特許第6,277,060;6,221,315;6,043,066;6,451,207;5,641,622;及び6,251,295号)。
【0020】
例示的態様では、スピニングメンブランフィルターを用いて懸濁液の無細胞成分から懸濁液中の細胞を分離する。他の態様では、遠心分離機を用いて懸濁液の無細胞成分から懸濁液中の細胞を分離する。このような一例示態様では、細胞収集容器は遠心分離機内に置く(例えば、手動又はロボットで)ような構造のフレキシブルバッグでよい。他の態様では、フレキシブルバッグを使用しない。遠心分離後、細胞成分はペレットを形成し、そこで、本明細書で述べるような混合容器に1つ以上の導管を介して細胞が通過できるような緩衝溶液で再懸濁させうる。例えば、細胞収集容器上のポート内に緩衝液を注入することができ、或いは細胞収集容器が緩衝液の貯蔵部を含んでもよく、その貯蔵部を破壊することで細胞のペレットと緩衝液が混合しうる。スピニングメンブランフィルターを使用する場合、該分離措置後、一定体積の液体中に細胞が残存するので、再懸濁は任意である。
本発明の特定態様は、脂肪組織を完全に脱凝集して成熟脂肪細胞と結合組織から活性細胞を分離する方法に関しているが、本発明のさらなる態様は、脂肪組織を一部だけ脱凝集する方法に関する。例えば、部分的脱凝集は1種以上の酵素で行うことができ、該酵素は、完全に組織を脱凝集するために放置されるであろう時間よりも早く脂肪組織の少なくとも一部から除去される。このような方法は処理時間が少なくてすむ。
特定の一態様では、組織を無菌緩衝等張食塩水で洗浄し、適当な脱凝集を与えるために十分なコラゲナーゼ濃度、温度、及び時間でコラゲナーゼとインキュベートする。好ましい態様では、使用するコラゲナーゼ酵素は、関連当局によってヒト用途について承認されているものであろう(例えば、米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration))。好適なコラゲナーゼ製剤として組換えコラゲナーゼ及び非組換えコラゲナーゼが挙げられる。非組換えコラゲナーゼは、F. Hoffmann-La Roche Ltd, Indianapolis, IN及び/又はAdvance Biofactures Corp., Lynbrook, NYから得られる。組換えコラゲナーゼは、米国特許第6,475,764号で開示されているように得ることもできる。
一態様では、溶液は約10μg/ml〜約50μg/mlの濃度のコラゲナーゼを含み、かつ約30℃〜約38℃で約20分〜約60分インキュベートする。これらパラメーターは、コラゲナーゼ酵素の供給源によって変化し、系が所望の細胞集団を適切な時間枠内で抽出するのに効率的であることを確証するため、経験的研究で最適化される。特に好ましい濃度、時間及び温度は、20μg/mlのコラゲナーゼ(中性プロテアーゼディスパーゼ; Blendzyme 1, Roche)、45分間約37℃でインキュベートする。特に好ましい態様では、使用するコラゲナーゼ酵素は相応の権威者によってヒト用途について承認されている材料である(例えば、米国食品医薬品局)。使用するコラゲナーゼには、エンドトキシンのような微生物や汚染物があってはならない。
【0021】
脱凝集後、活性細胞集団を洗浄/リンスして脱凝集プロセスの添加物及び/又は副生物(例えば、コラゲナーゼ及び新たに放出された遊離脂質)を除去することができる。次いで、遠心分離又は上述したような当業者に既知の他の方法で活性細胞集団を濃縮することができる。処理後のこれらの洗浄/濃縮工程は別々又は同時に施すことができる。
一態様では、例えば、米国特許第5,034,135号及び第5,234,608号で開示されているシステムのような連続的フロースピニングメンブランシステム等に細胞集団を通して細胞を濃縮かつコラゲナーゼを除去する。
前述したものに加え、活性細胞集団をさらに精製するために適用しうる多くの後洗浄法がある。これには、ポジティブ選択(標的細胞を選択する)、ネガティブ選択(不要細胞の選択的除去)の両方、又はその組合せが含まれる。
一態様では、細胞洗浄工程後のシステムに、処理脂肪吸引物中の細胞の亜集団の優先接着及び/又は溶出を可能にするために選択される接着特性のある固相物質を挿入する。この一般的アプローチは臨床輸血で行われており、示差的に白血球を捕獲するフィルターを用いて、輸血赤血球から混入している白血球を枯渇させる(Soli et al., 2001)。このタイプのフィルターはPall Bedical(Leukogard RS及びPurecell RCQ)及びAsahi(RS2000)によって配給されている。示差的接着は単球(Berdel et al., 1982)及び上皮幹細胞(Bickenbach and Dunnwald, 2000)ポジティブ選択にも適用されている。この態様では、標的細胞集団と不要細胞集団の差次接着を促進するように予め決定した流動条件と緩衝条件下でフィルター材料に処理脂肪吸引物を通す。ポジティブ選択では、フィルター材料及び条件は標的細胞の優先接着を可能にし、一方で不要物質は自由にフィルターを通過させ、過剰の緩衝液で洗い流す。流速、pH、イオン強度、及び/又は接着に必要なカチオンの存在のような条件を変えることで標的細胞がフィルターから溶出される。フィルター材料は、三次元メッシュ、小粒子の充填カセット、中空繊維又は高表面積の他の機構の形態でよい。好ましい態様では、このフィルター装置は図1に示される使い捨てセットの必須部分であり、かつ図4に示される装置に挿入される。セットと装置は両方とも特定した図に示される当該例からわずかに修正しなければならない;図1はフィルターとハウジングを含めるため、図4は閉じた無菌流体経路の維持に必要なフィルターハウジングと管系(バルブを含む)の挿入を可能にするため。代わりに、混合チャンバー(図4の構成要素108;図1の構成要素30)はそれぞれ装置取付け部品及びフィルター/ハウジングで置き換えることができる。
【0022】
この差次接着アプローチの代替態様は、標的細胞と不要細胞上で示差的に発現される表面分子を認識する抗体及び/又は抗体の組合せの使用を包含する。特異的な細胞表面マーカー(又はその組合せ)の発現に基づく選択は、別の一般的に適用される技術で、そこでは抗体が固相支持体構造に(直接又は間接的に)結合している(Geiselhart et al., 1996; Formanek et al., 1998; Graepler et al., 1998; Kobari et al., 2001; Mohr et al., 2001)。このアプローチにはポジティブ及びネガティブの両選択で明白な用途があり、例えば、CD45抗体の使用によって残存白血球を除去しうる。同様に、Reyesらは、ヒト骨髄からの多分化能性成人前駆細胞の選択で抗体の複合ブレンドを適用した(Reyes et al., 2001)。例えば、特異的に脂肪細胞に結合するAP2のような抗体(Joynerら, 1999)を用いて残存脂肪細胞(未成熟脂肪細胞及び含脂肪細胞)を優先的に枯渇させる。ポジティブ選択は、標的細胞集団に特異的な抗体の使用によって適用することができる。例えば、Quiriciらは、神経成長因子受容体に対する抗体を用いて骨髄由来間充織幹細胞を富化した(Quirici et al., 2002)。
抗体ベースアプローチの一態様では、抗体(例えばAP2)又は抗体の混液(例えば、AP2、CD3、CD19、CD11b)を処理脂肪吸引物に添加した。多くの他の抗体及び抗体の組合せを当業者は認識しており、これらは単に例として与えられているに過ぎない。これらの抗体のその同族抗原への最適な結合を可能にするように予め決定した条件下でのインキュベーション後、スピニングメンブランフィルター又は細胞洗浄チャンバーの他の態様に通して細胞を洗浄して、結合していない過剰の抗体を除去する。次に、上記態様で述べた固相構造と同様であるが、この場合は固相が細胞表面に結合している一次抗体に対して高親和性結合が可能な二次抗体と結合している固相構造の上を通過させる。標的細胞、例えば脂肪組織由来幹細胞は、選択した抗体(抗体混液)によって認識される細胞表面抗原の発現がないため、このフィルターを自由に通過し、それによっってネガティブ選択系を作り出す。この態様では、使い捨てのセット(図3)及び装置(図4)を上記態様で述べたものとほとんど同様に少しの修正が必要である。
抗体媒介ポジティブ選択態様は、固相支持体からの細胞の脱着を促す第3の添加剤を含むことで非常に類似した様式で達成することができる。この態様では、酵素パパイン又はキモパパインを添加して抗体分子を切断し、固相支持体から分子を放出することができる(Civin et al., 1990)。別の選択肢は、Tseng-Lawらによって、米国特許第6,017,719号で開示されているような、抗体に結合するための細胞表面抗原と競合する特異的ペプチドの使用である。
別の態様では、細胞ペレットを再懸濁させ、連続的又は不連続的な密度勾配になる流体材料の上(又は下)で層にし、かつ細胞密度に基づいて細胞集団を分離するための遠心分離機内に置くことができる。このような勾配の形成に好適な媒体の例として、パーコール(Percoll)及びフィコール-パーク(Ficoll-Paque)(Qian et al., 1998)(Smits et al., 2000)又はフィコール-パーク(Lehner and Holter, 2002; Van, V et al., 2001)が挙げられる。この態様は、特定の残存血液細胞集団及び該細胞集団から未成熟脂肪細胞(プレ脂肪細胞)を分離することができる。
同様の態様では、アフェレーシス(apheresis)(Smith, 1997)、及び懸濁分離法(向流がある場合又はない場合)(Lasch et al., 2000)(Ito and Shinomiya, 2001)のような連続流アプローチも利用することができる。このような機構は、年齢に基づいた赤血球の分離を含む血液細胞を分別するために用いられており(Lasch et al., 2000)、処理脂肪吸引物から問題の細胞をさらに精製することにこの一般的アプローチを適用することは当業者に容易に分かるだろう。この態様は、図4の装置と使い捨てセット(図3)の変更(該装置がアフェレーシス又は懸濁分離能を提供する第2装置と統合するように)が必要だろう。
【0023】
プラスチックへの接着後の短期間細胞拡大増殖も、骨髄由来成人幹細胞集団内に施される(Jaiswal et al., 2000)。このアプローチは、ある集団を優先的に拡大増殖させ、一方他の集団は維持し(それによって、成長する選択細胞による希釈によって減少する)、又は必要な成長条件がないため失われる培養条件を使用する。Sekiyaらは、この点に関して骨髄由来幹細胞のために利用する条件を開示した(Sekiya et al., 2002)。このアプローチ(組織培養プラスチックへの差次接着があるか又はない)をこの発明のさらなる態様に適用することができる。この態様では、図4に示される装置から細胞を取り出し、細胞培養構成部を与える第2装置内に置く。これはTsaoらの米国特許第6,001,642号、又はArmstrongらの米国特許第6,238,908号に記載されている装置のような通常の実験室組織培養インキュベーター又はバイオリアクター型装置の形態でよい。代替態様では、混合構成要素(図4に示される装置の構成要素108;図3中の構成要素30)をバイオリアクター構成部で置き換えて、処理脂肪吸引物の短期間接着及び/又は細胞培養を可能にする。この代替態様は、バイオリアクター構成部の装置への組込みを可能にし、かつこの装置から細胞を除去する必要及び別の装置内に配置する必要性を取り除く。
【0024】
i.処理脂肪吸引物を得る例示的方法
患者から脂肪組織を取り出すための組織取り出しシステムの例について図1で説明する。広い態様では、組織取り出しシステム10は、組織収集容器12と、この組織収集容器12に連結された混合容器30を含む。混合容器30と組織収集容器12との連結は、好ましくは閉鎖系を画定し、この系では組織収集容器12から混合容器30に方向づけされる組織は外部環境にさらされない。システム10は、組織取り出しシステム10から濃縮幹細胞を取り出して患者に投与できる構造をもつ出口32をも含む。組織収集容器12は組織収集入口ポート14とフィルター16を含む。フィルター16は本容器内に配置され、脂肪組織を保持し、かつ(例えば該組織を患者から取り出す際に)非脂肪組織を通す構造をもつ。さらに詳細には、フィルター16は、脂肪組織の最初の収集の間、又は別の態様ではその後、遊離脂質、血液、及び食塩水の通過を可能にしながら、脂肪組織のフラグメントを保持する。その点において、フィルター16は、同一又は異なったサイズ(約20μm〜5mmの範囲のサイズ)の複数の孔を含む。好ましい態様では、フィルターは孔サイズ約265μmかつ約47%の開口面積を有する厚さ約200μmの医療等級ポリエステルメッシュである。この材料は、リンス中は組織を保持するが、組織の脱凝集後は、細胞がメッシュを通過することを可能にする。従って、組織を患者から吸引するとき、非脂肪組織を脂肪組織から分離することができる。混合容器30は、使用者が混合容器30に添加剤を投与して混合容器30内に含まれる幹細胞と混合できるような構造をもつ添加ポート31を含む。好ましい態様では、組織収集容器12の寸法は、フィルター内に約1リットルの組織フラグメントを保持できるような寸法であるべきだ。他の態様では、組織収集容器12は、より大量又は小量の組織フラグメントを保持するサイズでよく;例えば、組織収集容器12は少なくとも100mLの脂肪組織フラグメント、また約2リットルまでの脂肪組織フラグメントを貯蔵するサイズでよい。
【0025】
図1のシステム10内にあるさらなる特徴については、組織入口ポート14は管系22を介してカニューレ24に連結され、組織取り出しラインを画定している。例示的態様では、カニューレ24は組込み型単回使用脂肪吸引カニューレであり、管系はフレキシブル管系である。カニューレは、患者に挿入して患者から脂肪組織を取り出す寸法である。このシステムで用いる管系22は、吸引補助リポプラスティーに付随する負圧に耐えて圧潰の可能性を減らせなければならない。組織収集容器12は、フィルター16の組織入口ポート14と反対側に配置された吸引ポート18をも含む。吸引ポート18は、吸引装置20(手動又は自動操作しうる)に連結される構造をもつ。吸引装置20は注射器でよく、或いは電気バキューム等でよい。吸引装置20は、容器12とカニューレ24に十分な負圧を与えて、患者から組織を吸引できなければならない。図示されるように、吸引装置20は管系22を介して吸引ポート18に連結されている。
組織取り出しシステム10は、組織収集容器12と混合容器30の間に位置する細胞収集容器26をも含むように示されている。細胞収集容器26は、幹細胞のような細胞が組織収集容器12から細胞収集容器26を通過した後に、混合容器30に進むようにシステム10内に位置づけられている。例示的態様では、細胞収集容器26は細胞収集ポート48を介して組織収集容器12に連結されている。システム10の一態様では、細胞収集容器26は、懸濁液中の細胞の分離を容易にする細胞濃縮器(図示せず)を含む。細胞濃縮器の一例は、例えば、細胞のサイズ又は密度に基づいて細胞を他の物質から分離しうる遠心分離装置である。別の例は、上述したようなスピニングメンブランフィルターである。システム10は、細胞収集容器26から混合容器30に細胞を通過させ、かつ例えば、該細胞より大きい物質の通過を妨げる構造をもつフィルター28を含むように示されている。細胞収集容器26は、廃棄物容器36への出口をも含む。細胞収集容器26内に含まれる物質の流れの方向は、その物質が廃棄物容器36又は混合容器30のどちらに流れるかを制御しうる1つ以上のバルブの位置づけによって決定される。
【0026】
図示した態様では、細胞フィルター28は200μm未満の直径、又は長さを有する複数の孔を含む。特定の態様では、孔は200μ未満の直径を有しうる。他の態様では、孔は20〜200μmの直径を有する。細胞フィルター28は、細胞収集容器26から離れていても、或いは細胞収集容器26内に収容されていてもい。細胞フィルター28は、細胞収集容器26内に組み込んで形成されていてもよい。システム10のさらなる態様はフィルター28を含まない。細胞収集容器26はいずれの適切な材料製でもよい。例えば、細胞収集容器26は、血液バンクで血液を処理するときに通常用いられるもののようなプラスチックバッグでよく;或いは他の態様では、構造的に堅くてよい。ある態様では、細胞収集容器26は成分調製チャンバーと細胞洗浄/分離チャンバーを含みうる。
特定の態様では、成分調製チャンバーは、患者に投与するための幹細胞の分離プロセスを促進しうる物質(例えば上述したような成長因子又は細胞の再懸濁用緩衝液)の添加用の1つ以上のポートを含む。この態様では、成分調製チャンバーは、好ましくは容器内の細胞と添加剤を混合又は撹拌するための混合装置を含む。成分調製チャンバーは、その中に集めた細胞を取り出すための1つ以上のポートをも含む。混合容器30に細胞を進めるための1つのポートを備えうる。細胞、又は細胞の一部を、骨フラグメントを含む移植材料のような他の標的、又は細胞培養若しくは精製装置に方向づけるための他のポートを備えうる。一態様では、細胞洗浄/分離チャンバーは、遠心分離装置に加えて細胞濃縮器として、又は好ましくは遠心分離装置の代替として使用しうるスピニングメンブランフィルター構成要素を含む。
【0027】
システム10は、組織収集容器12から混合容器30への導管を与えるように配置された組織回収ライン34を含むとしても示されている。従って、組織回収ライン34は、組織収集容器12内に含まれる組織を混合容器30に送り、又は方向づけし、混合容器30内で、細胞収集容器26から得られた細胞と組織が混合される。図示した態様では、組織回収ライン34は組織収集容器12に伸長してフィルター16内に含まれる脂肪組織を取り出す。リンスした(必ずしも脱凝集は必要でない)脂肪組織を通すための1つ以上のポンプ又は吸引装置を用いて、組織を組織回収ライン34を通して送り、或いは方向づけする。
一態様では、システム10は、組織収集容器12内に含まれる物質の温度を調節するためにシステム10に対して位置づけられた温度調節装置を含む。特定の態様では、温度調節装置はヒーターであり、他の態様では、温度調節装置はクーラーである。さらなる態様では、温度調節装置はヒーターとクーラーを切り替えうる。温度調節装置は、組織収集容器12内に含まれる脂肪組織の温度を調節する装置でよく、或いは組織収集容器12に送達される流体の温度を変えるように位置づけられた装置でよい。脂肪組織を加熱すると該組織の脱凝集を容易にし、活性細胞成分の分離を促進することが分かっている。さらに、組織の一部、好ましくは活性細胞成分を冷却して細胞を保護することが望ましい。細胞を穏やかに冷やすことでさえ、処理中の細胞の生存を高めるために適した保護を与えうる。
【0028】
組織取り出しシステム10の出口32は、混合容器30の構成要素として示されている。さらなる態様では、出口32は混合容器30から離れている。出口32は、好ましくは組織取り出しシステム10の密閉構造を維持する蓋を含み、特定の態様では、出口32は、流体不浸透膜(例えば、液体及び空気に不浸透性である膜)を含む。出口32は、混合容器30内の組成物を適切な条件下で患者に送るための構造をもつべきである。例えば、注射器を用いて組成物を抜き出す場合、出口32は、システム又は組成物の無菌性を損なうことなく注射器の針に適合できなければならない。さらなる態様では、組成物を投与するためだが、組成物を抜き出すためではなく配置された装置、例えばカニューレ(正圧を与えてカニューレを通じて組成物を置き換えることによって組成物を投与する)に出口を連結する場合、出口32は、混合容器30内に含まれる組成物をカニューレに送ることができるように配置されなければならない。他の態様では、出口32は、正圧を与えて組成物を投与するための注射器又はカニューレの針のような組成物を投与するための装置を含み、或いはこのような装置に閉鎖系様式で連結されることがある。
組織取り出しシステム10は、組織収集容器12からの廃棄物を集めるように配置された廃棄物容器36を含むようにも示されている。図示した態様では、廃棄物容器36は細胞収集容器26からの廃棄物をも受けるように連結かつ配置されている。洗浄容器38は、食塩水又はいずれかの他の適切な緩衝液のような洗浄流体を洗浄ポート46を介して組織収集容器12に送達するための洗浄ライン39と流体連絡して備えられている。組織収集容器12は、組織収集容器12内の圧力の量を調節するための空気入口40をも含む。添加剤を組織収集容器12に添加できるように組織収集容器12上に添加ライン42を備える。本明細書で開示する方法に関し、1種以上の酵素を組織収集容器12に送達し、フィルター16内に含まれる脂肪組織の残りからの活性細胞成分の吸引を促すように添加ライン42が備えられている。図示されるように、添加ライン42は適切な容器から酵素を受けるために使用できる針44を含む。
【0029】
組織取り出しシステム10の構成要素の特定態様を図2及び3に示す。同じ符号は同じ部分を表す。図2及び3の特定態様では、組織収集容器12は、吸引を該容器に加えたときその形態を保持する本体を含む。さらに詳しくは、組織収集容器12は、剛体、例えば、メッシュサイズ275μmの医療等級ポリエステルの略円錐状のフィルターポケットを含有する医療等級ポリカーボネートで構成された本体を含む。この剛性の組織収集容器は、高さ約20cm(約8インチ)、直径約13cm(約5インチ)の大きさを有し;壁圧は約3.175mm(約0.125インチ)でよい。この円筒の内部は吸引管系用の2つのポート、無菌ドッキング技術接続のための管系を有する2つのポート、ゴム隔壁を介した針穿刺アクセス用の2つのポートを通じてアクセスされる。異なる材料、異なるメッシュサイズ、及び異なるポート数とタイプで同じ機能を達成することができる。例えば、100μm未満又は数千ミクロンのメッシュ孔サイズは、食塩水と血液細胞を通過させながら脂肪組織のアグロメレートやフラグメントを保持するという同じ目的を果たすだろう。同様に、この装置の目的は、代替剛性プラスチック材料を用いて、又は使い捨てカニューレを非使い捨て多回使用の無菌カニューレと置き換え、或いは当業者に知られている多くの他の変形によって達成することができる。しかし、組織取り出しシステム10の他の態様では、組織収集容器12は、組織収集バッグのような折りたたみ可能な本体を含んでよい。このような系では、バッグは、好ましくはバッグに吸引を加えたときバッグが圧潰する可能性を減らすのに役立つ支持体(例えば、内枠若しくは外枠)を備える。
組織取り出しシステム10内でのコンタミネーションを減らすため、1つ以上のクランプ23を種々のライン又は導管上に備えて、本システムの種々の構成要素へのラインを通る物質の流れを制御することができる。クランプ23は、使用者が組織取り出しシステム10の種々の領域を効率的に封鎖できるようにする。好ましい態様では、システム10の1つ以上の構成要素は使い捨てである。この態様で構成要素の再利用を回避することは、種々の構成要素の反復使用に付随しうるコンタミネーションを減らすのに役立つ。さらに、使い捨てセットの構成要素を備えると、1回ですべての構成要素を滅菌できるという利点を与え、本明細書で開示する方法の実施に必要な時間を実質的に減らすことができる。完全又は部分的に自動化した態様では、クランプ23に加え、又はクランプ23の代替としてコンピューター制御バルブを供給しうる。
【0030】
さらに、組織取り出しシステム10はさらなる装置又は構成要素を含んでよく、とりわけ、フィルター16内に保持される物質の量を決定でき、或いは抽出又は処理措置に関する情報を記録させ、或いは操作中スタンド若しくは土台への装置の取り付けのような他の補助機能を果たす装置又は構成要素を含みうる。
組織取り出しシステム10の構成要素は、生物学的な流体又は組織と非反応性であり、かつ生物学的な流体及び組織を処理するときに用いる薬剤と非反応性である材料で作るべきである。さらに、種々の構成要素を作る材料は、無菌化(例えば、オートクレーブ処理、及び限定するものではないが、β-又はγ-放射線を含む放射線による)に耐えられなければならない。管系及びカニューレハンドルは、ポリエチレンのようないずれの適切な材料によっても作りうる。カニューレはステンレススチールを含むいずれの適切な材料製でもよい。
本明細書で開示する本発明により、組織取り出しシステム10は、脂肪組織中に見られる成人幹細胞の取り出し、処理、及び投与に便利な閉鎖システムを提供する。本システムは、脂肪組織取り出しのため患者の近くに置くことができ、かつ本システムから組織を取り出す必要なしに組織を処理することができる。従って、新鮮な幹細胞増強組成物を患者に提供することができ、かつ培養又は幹細胞の保存に付随する可能性のあるリスクを低減するシステムが提供される。
従って、本開示に基づいて、本発明は、以下の工程を用いて患者から組織を抽出する方法を提供する:(i)従来のリポプラスティーのためのように患者を準備させる工程;(ii)カニューレと組織取り出しシステムを梱包材料から無菌フィールドに移す工程;(iii)組織収集容器からつながる管アダプターに脂肪吸引ポンプ(通常のトラップ及びインライン微生物フィルターを有する)を接続する工程;(iv)管系ねじクランプが、確実に前記組織収集容器の吸引ポート上で噛み合わないようにする工程;(v)通常の脂肪吸引カニューレのようにカニューレを用いて不要脂肪組織を取り出す工程;(vi)手動操作態様では、前記組織収集容器で所望量の脂肪組織が収集された後、2つの管系ねじクランプを施して前記組織収集容器を密閉する工程;(vii)組織収集容器を患者識別ラベルで正確に標識することを保証し、かつ施設慣例に従って前記ラベル上に他の情報(措置の日時など)を記録する工程;及び(viii)患者から脂肪組織を抽出する工程。
【0031】
図示した組織取り出しシステム10を参照すると、インライン流体トラップを有する吸引源20に管系22を取り付け、かつ収集部位にカニューレ24を挿入することによって、組織は直接処理構成要素内に集められる。次に、脂肪組織を組織収集容器12内に吸引すると、脂肪組織は組織収集容器12内に維持されているフィルター16によって保持される。組織収集後、洗浄容器38内に含まれており洗浄ライン39を介して組織収集容器12に添加される無菌等張食塩水のような洗浄流体で収集された脂肪組織をリンスすることができる。図示した態様において組織収集容器12を剛性材料で作って吸引下での収集を支持する場合、食塩水の添加中ハウジングから追い出される空気は、空気入口ポート40を通じて排気することができる。或いは、廃棄物容器36又は同様の保持場所中に空気を追い出すことができる。組織をリンスしたら、廃棄物質を廃棄物容器36に流すことができる。
組織を収集した後、コラゲナーゼ含有酵素溶液の無菌バイアルに針を挿入することができ、前記溶液は組織収集容器12内に送られ、そこで37℃又は37℃付近で15〜60分間脂肪組織と混合される。必要に応じて洗浄工程を繰り返してよく、活性細胞集団の溶出後、脱凝集した組織を洗浄して収量を最大にすることができる。組織の脱凝集の最後に、組織収集容器12を垂直に置いて脂肪組織の浮上を可能にする。活性細胞集団を細胞収集容器26内に流して、コラゲナーゼと残存遊離脂質から細胞を分離する。限定するものではないが、連続的遠心分離/再懸濁洗浄又は連続流動機構を含む当業者に知られているいずれかの方法で細胞を洗浄及び/又は濃縮することができる。濃縮された洗浄細胞を混合容器30内に流すと、それらは組織回収ライン34からの無傷の組織及び/又はいずれかの意図した添加剤と混合された後、患者に投与するための出口32を通じて取り出される。洗浄後、細胞収集容器26内に含まれる物質を細胞フィルター28でろ過して、適用すると塞栓形成につながりうる不要な残存細胞や組織凝集体の除去を促進することができる。
【0032】
処理中、結果を向上させるのに必要な場合、1種以上の添加剤を種々の容器に添加することができる。添加剤のいくつかの例として、洗浄及び脱凝集を最適化する薬剤、処理中の活性細胞集団の生存度を高める添加剤、抗菌剤(例えば、抗生物質)、脂肪組織及び/又は赤血球を可溶化する添加剤、又は問題の細胞集団を富化する添加剤(固相成分に対する差次接着によって、又は他のやり方で細胞集団の実質的な減少又は濃縮を促すため)が挙げられる。
上記態様では、組織収集容器12は組織取り出しシステム10の処理構成要素に内在している。代わりに、2002年9月12日出願、表題“非造血組織由来胚細胞の保存”の特許出願番号10/242,094(2001年9月14日出願の米国仮特許出願60/332,070の利益を主張し、共有されている。これら出願の内容は引用によって本明細書に明白に取り込まれる)に記載されている容器のような別個の組織収集容器を、処理構成要素への脱凝集物質の引き続く移動で全体的又は部分的に利用することができる。さらに可能性のある組織収集容器は、米国特許第6,316,247号及び第5,372,945号で開示されている。
【0033】
上述したように、本発明のある態様では、本方法の工程を自動的に実行しうる1つ以上の追加装置を与えることによって本方法を自動化することができる。このような態様では、処理装置(例えば、マイクロプロセッサー又はパーソナルコンピューター)は、上述した工程を部分的又は全体的に自動化するための装置である。このような自動化を受け入れられる工程の例として、限定するものではないが、システム又は処理装置のポンプとバルブを調節することによって特定の配管経路に沿った流体及び組織の出入りを調節する工程;圧力センサーで遮断を検出する工程;混合機構、計量機構を用いて特定経路に移動させる組織及び/又は流体の量を測定する工程;熱制御装置を用いて種々の構成要素の温度を維持する工程;細胞を洗浄及び濃縮する工程、及び処理をタイミング及びソフトウェア機構と統合する工程が挙げられる。一態様では、ソフトウェアは処理パラメーターを制御して、オペレーターが定義した特定のパラメーターに整えられた細胞集団の生産を可能にすることができる。従って、自動化装置(複数の自動化装置)は、措置の性能を高め、かつ脂肪組織の自動収集及び患者に投与するための脂肪組織の自動処理を与える。
1つの特定の自動化装置を図4に示す。カラーコード化ガイドマーク112〜118を用いて装置100内に組織取り出し容器(図示せず)を置き、適切な経路への管系を正確に並べて挿入する。装置100は、複数のバルブ105と110、及び複数のポンプ104と109を含む。管系を一連のバルブ105、110及びポンプ104、109に配置し、それらは組込み型マイクロプロセッサーシステムによって制御され、ユーザーが定義したプログラムに従って流体と組織の流れを調整する。プログラムの選択は、ユーザーインタフェースパネル106を通じて仲介される。食塩水容器を保持構造101上に置き、組織収集容器に取り付ける。コラゲナーゼ又は他の組織解離培地又は混合物(図示せず)のバイアル又は管を地点103で組織収集容器に挿入する。廃棄物バッグ(図示せず)を保持構造111に挿入し、細胞分離チャンバー/細胞収集容器を保持構造107内に置き、組織/細胞混合容器を保持構造108内に置く。組織収集溶液を撹拌/インキュベーションチャンバー102内に置く。
組織収集容器装置内に脂肪組織を集めることができる(該容器が装置の適所にあるか、又は装置内に置かれる前)。装置は、組織収集容器内の組織の量を決定できる任意の透明インサート119又は他の装置を含むことができる。或いは、撹拌/インキュベーションチャンバー102(組織収集容器12に対応する)内に含まれる物質の重量の測定によって量を決定することができる。この量は、ユーザーインタフェーススクリーン106上に表示させることができる。
次いで、収集チャンバー102への食塩水の導入及び廃棄物バッグ111への廃棄物115の除去のため、マイクロプロセッサーがライン114及び115上のバルブ105を開いてライン114上のポンプ104を活性化する。この処理の間、収集チャンバーは揺動によって撹拌され、チャンバー102に組み込まれた加温装置によってプログラムされた温度で維持される。ある態様では、組織処理は予め温めた食塩水を利用しうる。この場合、撹拌/インキュベーションチャンバーの加温装置の役割は、温度を上げることではなく、予めプログラムした所定の温度で維持することである。
【0034】
組織を洗浄したら、ライン116上のポンプ109とバルブ110を作動させることによって、無傷の洗浄済み脂肪細胞の0%〜100%にわたるいくらかの画分をインキュベーションチャンバー102から取り出すことができる。この時点で引き出した材料を混合チャンバー108内で保持する。ライン113上のバルブ105を開き、他のバルブを閉じ、かつライン113上のポンプ104を活性化することによって、チャンバー102内に残存する物質に解離培地103を添加する。解離培地の添加後、チャンバー102を撹拌し、上述したような温度で維持する。プログラムしたインキュベーション期間の終わりに、撹拌を止めて脂肪細胞の浮上を可能にする。さらに食塩水を添加してこの処理を促進することができる。脂肪細胞の浮上分離後、ライン112及び115上のバルブを開いて標的細胞集団をチャンバー102から細胞洗浄チャンバー107に移す。洗浄した細胞はライン117を通じて混合チャンバー108に移し、ライン118を介して上清と洗浄溶液を廃棄物チャンバー111に移す。ライン114を通じてさらに食塩水をシステム内に通して洗浄処理を完了させる。処理の初期にライン116を通じて取り出されたいずれの無傷組織とも細胞をチャンバー108内で混合する。混合は当業者に周知のいずれの手段によっても達成することができ、限定するものではないが、撹拌ロッキング/チャンバーの反転、又は圧縮パルスにより、又は動くローラーによって達成される。次に、使い捨てセットの混合チャンバー内のポートを通じて混合物質を除去しうる。
【0035】
この装置は、予めプログラムしたパラメーター106に従って処理を自動化するためのマイクロプロセッサー制御機構を含む。本システムは、遮断や同様の安全の検出ための圧力センサーの使用及び品質管理機構の使用を含む。好ましい態様では、本システムのソフトウェア構成部分は、“ランデータ”の自動収集を含むだろう。例えば、使い捨て構成要素のロット番号、温度と体積の測定値、組織体積と細胞数のパラメーター、適用する酵素の投与量、インキュベーション時間、オペレーターアイデンティティー、日時、患者アイデンティティー等が挙げられる。本装置の好ましい態様では、バーコード読取りシステムを組み込んで、これら変量(例えば、使い捨てセットのロット番号や有効期限、コラゲナーゼのロット番号や有効期限、患者/試料の識別子など)を処理の文書化情報の一部として装置コントローラーへのデータ入力を可能にする。これは、データ入力エラーの機会を減らすだろう。この装置は、USB又は他のインタフェースポート及び技術的に周知のシステムを用いてコントローラーシステムに容易に組み込むことができる。このようにして、本装置は、プロセスのデータ入力と文書化の統合管理を提供する。これらパラメーターのプリントアウトレポートは、装置のプログラム操作のユーザー定義パラメーターの一部である。もちろんこれらはプリンター部(ハードウェアとドライバー)又はソフトウェア中プリンタードライバー+装置のハードウェア内のプリンター用インタフェース出力コネクター(例えば、USBポート)の統合が必要だろう。
さらなる態様では、コントローラーに組み込まれたソフトウェアが、装置に管系及び他の要素の正確な挿入に必要なステップを通じてユーザーを促す。ソフトウェアは、管系の正確な挿入、遮断の不在などを確実にするための自動化試験をも開始する。
この装置での処理への一般的アプローチは、手動の細胞処理についての開示のどこかで述べたパラメーターと同じパラメーターを使用する。
細胞の処理で使用する段階化された機構の他の多くの構成が当業者には明らかだろう。本明細書の記載は一例として挙げられているだけである。例えば、洗浄及び脱凝集中の組織と食塩水の混合は、本実施例におけるように撹拌によって、或いは流体再循環によて起こりうる。細胞洗浄は、スピニングメンブランアプローチ、差次接着、差次遠心分離(限定するものではないが、差次沈降、速度、又は勾配分離を含む)のような連続的流動機構によって、又は手段の組合せによって仲介することができる。同様に、成長因子又は他の生物反応調節因子の添加(Lind, 1998)(Hanada et al., 1997)(Lieberman et al., 1998)、細胞と、レシピエントに該細胞と共に移植することを意図した天然又は合成成分との混合(Fukuda, 2001; Sodian et al., 2002; Ye et al., 2000)を含む細胞のさらなる操作を可能にするための追加構成要素。
後処理操作は細胞培養(Caplan and Bruder, 2001; De Ugarte et al., 2003; Zuk et al., 2001)、遺伝子導入(Luskey et al., 1990; Morizono et al., 2003)、又はさらなる細胞精製(Greenberg and Hammer, 2001; Mainwaring and Rowley, 1985; Schweitzer et al., 1995)を含み得る。このような機能を遂行する機構は、図4に示される装置内に組み込むことができ、或いは別の装置に組み込むことができる。
【0036】
本発明のさらなる態様では、通常の脂肪組織トラップ内に収集した組織を、他の組織を処理するために設計した処理セットに移動させることができる。例えば、Baxter社は骨髄移植片収集のセットで使うことを意図した一連のプラスチックバッグ及びフィルターを製造販売している(フレキシブルプレフィルター及びインラインフィルターを備えた骨髄収集キット“Bone Marrow Collection Kit with Flexible Pre-Filters and Inline Filters”)、製品コード4R2107、米国特許第4,346,703号及び第5,724,988号)。このバッグセットは、収集した脂肪組織を洗浄するために使用できる800μmフィルターが組み込まれた大きい円錐状バッグを含む。この例では、800μmより大きい脂肪組織フラグメントをバッグ内に保持する。次に、食塩水(又は他の洗浄溶液)を繰り返し添加してこれらフラグメントを洗浄後、フィルターの下のポートを通じて廃棄物を除去する。混合は手動又はベンチトップロッキング装置を用いて達成でき、加熱パッドで加温することができる。脱凝集はこのバッグのルーメン内で起こりうる。脱凝集後、細胞は、組み込まれた800μmフィルターを通過し(かつ任意に、該キットが備える、より小さいメッシュサイズの1つ以上のフィルターを通って)、収集バッグに収集される(これも備えている)。次に、このバッグを遠心分離機(例えばSorval RC-3C)内に置き、そこで細胞を連続的に洗浄かつ濃縮することができる。Baxter社(Cytomate又はBaxter CS3000)又はCobe社(Cobe Spectra)が販売している装置のような既存の細胞洗浄装置(多くはヒト血液産物を洗浄するために開発された)を用いて細胞を洗浄することもできる。製造業者によって提供された取付け部品を用いて使い捨て部品を組み込み、Terumo社製デバイスのような無菌の連結デバイスを用いて使い捨て部品を連結することができる。同様に、この統合性に劣るアプローチで述べた機構を中央コントローラーに連結してより統合化された装置の構成要素として組み立てることができる。ぜん動ポンプ又はポンプのバッテリーを用いて手動又は自動クランプで流体の流れを自動化して流体経路を開閉することができる。
【0037】
本発明の好ましい態様では、組織取り出しシステム及び処理セットは、手術室又は外来患者措置室のような治療を受ける患者の近傍に存在する(患者の近くで効率的に)。このことが迅速かつ効率的な組織の収集と処理を可能にし、検体の取扱い/標識エラーの機会を排除し、ひいては単一の外科的措置の流れにおいて全過程を行うことを可能にする。
以下の例は、この技術を適用しうる特定の状況と環境を例示するために提供するものであり、本発明の範囲及びこの開示に含まれる請求の範囲を制限することを意図しない。
【0038】
2.処理脂肪吸引物(ADC)を用いた心臓血管の疾患及び障害の治療方法
本開示で例示されるように、特に好ましい態様では、本発明のADCを用いて心臓血管の疾患及び障害を治療することができる。本発明の方法を実施して得られる脂肪組織由来の幹細胞及び前駆細胞は、損傷を減らし、及び/又は最小限にし、かつ損傷後の心筋又は心臓血管の修復及び再生を促進することに寄与しうるいくつかの特性を有する。これには、とりわけ新血管の形成を刺激する成長因子を合成かつ分泌する能力、細胞の生存と増殖を刺激する成長因子を合成かつ分泌する能力、増殖して新血管の形成に直接関与する細胞に分化する能力、損傷した心筋に移植されて瘢痕形成(コラーゲンの沈着と架橋)を阻害する能力、増殖して心筋の収縮性に寄与しうる筋肉細胞に分化する能力、及び増殖して心筋細胞に分化する能力が挙げられる。
以下の本開示の実施例部で、本発明の脂肪由来成人幹細胞を用いて損傷を減らし、及び/又は最小限にし、かつ損傷後の心筋又は心臓血管の修復及び再生を促進するための前述した手段について詳述する。具体的には、本発明は、初めて、本発明の脂肪由来幹細胞(つまりADC)が骨盤成長因子(PIGF)及び血管内皮成長因子(VEGF)を含む多数の血管形成成長因子を発現し、血管形成においてよく確立された機能を有する内皮前駆細胞(EPC)を含有し、in vitroで血管へと発生し、in vivoで虚血組織の生存を補助し、後肢の閉塞/再潅流傷害後の再潅流を誘導し、心臓傷害後の動物に注入すると心臓にホーミングし、かつ心臓傷害後の動物に注入すると、心筋細胞への分化と一致したマーカーを発現する細胞に分化することを実証する。
従って、本発明の一局面では、脂肪組織由来細胞をドナーの脂肪組織から抽出し、これらを用い、本明細書で明らかにされる1つ以上の機構を通じて損傷若しくは退化した心筋又は他の心臓血管組織に対して治療的利益を誘導する。好ましい態様では、細胞を移植する予定の人の脂肪組織から細胞を抽出することによって、移植に対する抗原性反応及び/又は免疫原性反応に付随する合併症の可能性を低減する。典型的には、患者を調べて、医師又は他の臨床治療供給者が行う以下の手段の1つ以上によって、心筋の傷害又は疾患について評価する:患者の健康歴、身体検査、及び客観的データ(限定するものではないが、EKG、血清心臓酵素プロファイル、及び心エコー図法を含む)。
【0039】
一態様では、患者が心筋梗塞の治療に伴う血液凝固を減らすように設計したいずれかの産物が与えられる前に収集措置を行う。しかし、ある態様では、患者は収集措置前にアスピリンを与えられていてもよい。さらに、1つの好ましい方法は、いずれの血管再生措置も試す前の脂肪組織の収集を含む。しかし、当業者には理解されるように、収集のタイミングは変わると予想され、いくつかの因子に依存する。限定するものではないが、患者の安定性、患者の血液凝固プロファイル、供給者アベイラビリティ、及び品質注意基準が挙げられる。究極的には、収集のタイミングは病気に冒された患者にケアを施す責任のある医師によって決定される。
患者から収集される脂肪組織の量は、約0cc〜約2000ccで変化し、態様によっては、約3000ccまでである。取り出される脂肪の量は、患者によって変わり、いくつかの因子によって決まる。限定するものではないが、年齢、体質、血液凝固プロファイル、血行力学的安定性、梗塞の重症度、共存症、及び医師の選択が挙げられる。
心筋機能が損なわれる何らかの背景の患者に細胞を投与することができる。このような背景の例として、限定するものではないが、とりわけ急性心筋梗塞(心臓発作)、うっ血性心不全(治療として又は移植片に対するブリッジとして)、及び冠動脈バイパス移植術の補充が挙げられる。細胞を予め抽出して凍結保存様式で貯蔵してもよく、或いは所定の必要な時又はその前後に抽出してもよい。本明細書で開示されるように、さらに処理せずに、或いはさらに精製、修飾、刺激、又は別のやり方で細胞を変えるためのさらなる措置後、細胞を患者に投与してよく、或いは損傷組織に直接、又は損傷組織の近傍に細胞を施してもい。例えば、患者から得た細胞は、患者に投与する前に培養することなく、それが必要な患者に投与することができる。一態様では、脂肪組織の収集は患者のベッドサイドで行う。血行力学的モニタリングを用いて患者の臨床状態をモニターすることができる。
【0040】
本明細書で開示される本発明により、患者から脂肪組織を収集直後に、脂肪由来細胞を患者に送達することができる。例えば、脂肪由来幹細胞の組成物を得るための脂肪組織の処理直後に細胞を投与することができる。一態様では、送達の好ましいタイミングは、梗塞後数時間から数日のオーダーで行い、心臓傷害後に存在する神経ホルモン環境を利用すべきである。究極的に、送達のタイミングは、患者のアベイラビリティと脂肪組織を処理するために必要な処理時間によって決まる。別の態様では、本明細書で論じたように、患者に再注入する細胞をさらなる改変、精製、刺激、又は他の操作に供する場合、送達のタイミングは長くなりうる。さらに、梗塞後、脂肪由来細胞を複数回投与しうる。例えば、長時間にわたって(例えば、数時間)連続的に細胞を投与してもよく、或いは一定時間にわたって持続的に複数回の大量注射で投与してもよい。ある態様では、梗塞後、細胞の最初の投与を12時間以内(例えば、6時間)に行い、12時間間隔で1又は複数回用量を投与する。
患者に投与する細胞数は、例えば、脂肪組織処理後の細胞収率に関連しうる。細胞の総数の一部を後で使用するため又は凍結保存用に保持しうる。心外膜又は内心膜送達システムを利用する場合、これらシステム及び方法は心臓血管状態を治療するための最も直接的な経路を与えうるので、小量の細胞しか必要としない。本発明の一態様では、患者に送達すべき細胞(例えば未精製細胞)の数は約5.5x104個の細胞と予測される。しかし、この数は、所望の治療効果を果たすための重要性によって調整することができる。
【0041】
また、意図した治療効果を高め、コントロールし、或いは別に方向づけするための添加剤と共に細胞を投与することができる。例えば、一態様では、かつ本明細書で述べたように、抗体媒介ポジティブ及び/又はネガティブ細胞選択を用いて細胞をさらに精製し、細胞集団を濃縮して効率を高め、罹患率を下げ、又は措置を容易にすることができる。同様に、移植した細胞の運命を支援及び/又は指揮することによってインビボ組織操作を容易にする生体適合性基質と共に細胞を投与することができる。同様に、細胞によって与えられる治療反応を促進すると考えられ、或いはそのように意図した遺伝子産物を細胞が発現するような遺伝子操作後に細胞を投与することができる。このような操作の例として、脈管形成又は血管形成を促進する因子(例えばVEGF)の発現、特有の細胞系統への分化を促進する発生遺伝子(例えばMyoD)の発現又は細胞の成長と増殖を刺激する因子(例えばbFGF-1)の発現をコントロール(増加又は減少させる)するための操作が挙げられる。
移植する前に細胞を骨格材料上の細胞培養に供することもできる。従って、レシピエントに挿入又は移植する前に、ADCを用いて天然若しくは合成の基質又は骨格上で、組織操作弁、心室パッチ、心膜、血管、及び他の構造を合成することができる(Eschenhagen et al., 2002; Zimmermann et al., 2004; Zimmermann et al., 2002; Nerem and Ensley, 2004)。実際に、脂肪由来の幹細胞及び前駆細胞の心筋伸縮性細胞の細胞発現マーカーへのインビトロ分化が実証されてい(Gaustad et al., 2004; Rangappa et al., 2003)。
【0042】
3.心臓血管の疾患及び障害の治療用ADCの投与経路
一態様では、意図した利益の部位に細胞を直接投与することが好ましい。これは、心臓の外面(心外膜)への直接注射、適切なカニューレの挿入による内面(心内膜)を通じた心筋への直接注射、動脈若しくは静脈注入(逆行流機構を含む)或いは本明細書で開示しした手段又は技術的に周知の他の手段によって達成することができる。当業者に知られる投与経路として、限定するものではないが、静脈内、冠内、心内膜心筋、心筋外膜、心室内、逆洞又は静脈内投与が挙げられる。
上述したように、静脈若しくは動脈注入(逆流注入を含む)による全身投与又は心臓内への直接注射を含む数経路で投与することができる。全身投与、特に末梢静脈アクセスによる全身投与は、心臓の自然潅流および損傷部位を標的にするという脂肪組織由来細胞の能力に依存する、最小限に侵襲性であるという利点を有する。1回の大量瞬時投与で、緩徐の注入によって、或いは数時間に分けて時差的な一連の投与によって、細胞を注射することができ、或いは与えられる細胞は適宜、数日又は数週間貯蔵される。バルーンの使用によって、心臓を通る細胞の最初の通過を促して心筋血流を管理できるように、カテーテル法を用いて細胞を投与してもよい。末梢静脈アクセスによる場合のように、1回の大量瞬時投与で、又は複数回の小分量でカテーテルを介して細胞を注射することができる。心外膜注射で心筋に直接細胞を投与してもよい。これは、開心措置(冠動脈バイパス移植術のような)又は血管アシストデバイスの載置という状況の直接可視化状態で利用することができる。針を備えたカテーテルを利用して内心膜様式で心筋中に直接細胞を送達することができ、この様式は直接投与の侵襲性が低い手段を可能にする。
【0043】
一態様では、送達経路は、標準的な末梢静脈カテーテル、中心静脈カテーテル、又は肺動脈カテーテルを介した静脈内投与を含む。他の態様では、現在一般に受け入れられている方法によってアクセスする冠内経路を介して細胞を送達することができる。細胞の流れは、患者の脈管構造内に配置した遠位及び近位バルーンを連続的に膨張/収縮させて細胞の移植又は細胞の治療作用を促す一時的なノンフローゾーンを生成することによって制御することができる。別の態様では、適合性カテーテルの使用のみならず意図した標的組織を画像処理又は検出する能力を必要としうる内心膜(心室の内面)法を介して細胞を投与することができる。代わりに、心外膜(心臓の外面)法で細胞を投与することができる。この送達は、開心措置時の直接可視化によって、又は特有の細胞送達装置を必要とする胸腔鏡検査アプローチによって達成することができる。さらに、以下の経路単独で、又は上で特定したアプローチの1つ又は2つ以上を組み合わせて細胞を投与することができる:皮下、筋肉内、舌下、逆行冠潅流、冠バイパス機械、膜型人工肺(ECMO)装具及び心膜窓経由。
一態様では、血管内大量瞬時投与又は持効性注入として患者に細胞を投与する。別の態様では、人工若しくは天然媒体又は患者に投与する前の組織骨格内に細胞を再懸濁させうる。
患者に投与する細胞用量は、収集した脂肪組織の量及びドナーの肥満度指標(有効脂肪組織の量の測定値として)によって決まる。収集した組織の量は、心筋傷害又は退化の程度によっても決まるだろう。複数組織収集物を用いるか又は投与間に細胞の適宜の貯蔵を伴う単一組織を用いる多治療は、この発明の範囲内である。
【0044】
患者に投与する前、処理脂肪吸引物の一部を貯蔵することができる。短期貯蔵(6時間未満)では、栄養溶液で補充又は補充しない密封容器内で室温以下の温度で細胞を貯蔵しうる。中期貯蔵(48時間未満)は、好ましくは細胞接着を防ぐ物質で構成された、又はそのような物質で被覆された容器内で等張緩衝溶液(例えばPlasmalyte(登録商標))中、2〜8℃で行う。長期貯蔵は、好ましくは、共有され、かつ譲渡された2002年9月13日提出のPCT出願番号PCT/US02/29207及び2001年9月14日提出の米国仮出願番号60/322,070(両内容は、引用によって本明細書に取り込まれる)に記載されているような、細胞機能の保持を促進する条件下における細胞の適切な凍結保存及び貯蔵によって行う。
本発明の一局面によれば、患者に投与する脂肪組織由来細胞は成長因子送達ビヒクルとして作用しうる。例えば、細胞を操作して心臓血管の障害又は疾患に付随する症候を軽減するために好適な1種以上の成長因子を発現させることによって、該細胞を患者に投与し、かつ操作して1種以上の成長因子を放出させることができる。この放出は、長期間コントロールされる様式で行うことができる。例えば、放出をコントロールして、組織の傷害領域近傍の成長因子の局部的上昇、及び/又はそのような因子の量の局部的後退があるようなパルス又は周期的様式で成長因子を放出することができる。
患者に投与する細胞は、損傷又は別のやり方で不健康な組織の機能修復に役立つのみならず、損傷組織の再形成を容易にする。
細胞送達は、限定するものではないが、以下の場所で行いうる:診療所、診療局、救急部、病棟、集中治療室、手術室、カテーテル処置室部、及び放射線室。
【0045】
一態様では、細胞送達療法の効果は、限定するものではないが、以下の臨床測定の1つによって実証することができる:増加した心臓駆出フラクション、減少した心不全率、減少した梗塞サイズ、減少した随伴罹患率(肺気腫、網膜不全、不整脈)、向上した運動耐性又は他の生命尺度の質、及び減少した脂肪率。細胞療法の効果は、措置後数日〜数週間にわたって明白だろう。しかし、措置後数時間という初期に有利な効果が観察され、数年間持続しうる。
通常、細胞の送達前と送達中に患者をモニターする。モニタリング手段として、限定するものではないが、血液凝固調査、酸素飽和、血行力学的モニタリング、及び心臓リズムモニタリングが挙げられる。細胞の送達後、患者は副作用のモニタリングの約24時間を必要とする。該措置の機能的改善を評価するための経過観察調査として、限定するものではないが、患者の機能キャパシティー(例えば、労作時の呼吸困難、発作性夜間呼吸困難、狭心症)、心エコー図法、核潅流検査、磁気共鳴画像診断、ポジトロン放射トポグラフィー、及び冠動脈造影法が挙げられる。
【0046】
上述したように、好ましい態様では、ADC、すなわち活性な脂肪由来幹細胞集団は直接患者に投与される。言い換えると、活性細胞集団(例えば、幹細胞及び内皮前駆細胞)は患者に投与する前にシステムから取り出されることなく、或いはシステムの外部環境にさらすことなく、患者に投与される。閉鎖系が提供されることにより、患者に投与する物質のコンタミネーションの可能性が減る。従って、閉鎖系内で脂肪組織を処理することは、活性細胞集団がより無菌的であり得るので、既存の方法を越えた利点を提供する。このような態様では、幹細胞及び/又は内皮前駆細胞がシステムの外部環境にさらされ、或いはシステムから取り出されるのは、細胞を投与装置内に引き出し患者に投与する時だけである。一態様では、処理装置が閉鎖系の一部でもよい。従って、これら態様で使用する細胞は培養又は凍結保存のために処理されず、さらなる処理をせずに或いは他の組織又は細胞と混合後、患者に投与することができる。
他の態様では、活性な細胞集団の少なくとも一部を後の移植/注入のために貯蔵する。集団を1より多い分量又は単位に分割して、幹細胞及び/又は内皮前駆細胞の一部は後の投与用に保持し、一部は患者に即座に投与する。2002年9月12日出願の表題“非造血組織由来胚細胞の保存”の米国特許出願番号10/242,094(2001年9月14日出願の米国仮特許出願60/332,070の利益を主張し、共同譲渡されており、これら出願の内容は引用によって本明細書に取り込まれる)に開示されているように、細胞バンク内の細胞のすべて又は一部の中期〜長期貯蔵もこの発明の範囲内である。処理の最後に、当業者に既知のいずれかの手段でレシピエントに配置するため、濃縮した細胞を注射器のような送達装置に装填する。
【0047】
II.医薬組成物
本活性細胞集団は、単独で、或いは他の細胞、組織フラグメント、VEGF及び他の既知の血管形成成長因子若しくは動脈形成成長因子のような成長因子、生物学的に活性若しくは不活性な化合物、再吸収性プラスチック骨格又は該集団の送達、効力、耐性、若しくは機能を向上させることを意図した他の添加剤と共に投与することができる。構造上若しくは治療上の目的の誘導のため細胞の機能を変え、高め、又は補充するように、DNAを挿入し、又は細胞培養内に置くことによって細胞集団を修飾することもできる。例えば、文献(Morizono et al., 2003; Mosca et al., 2000)に開示されているように、幹細胞のための遺伝子導入法は当業者に知られており、文献(Walther and Stein, 2000及びAthanasopoulos et al., 2000)に開示されているようなウイルストランスフェクション技術、さらに詳しくは、アデノ随伴ウイルス遺伝子伝達技術が挙げられる。文献(Muramatsu et al., 1998)に開示されているような非ウイルスベースの技術も実施することができる。
【0048】
別の局面では、心臓の修復又は再生の際に本細胞をそれ自身の成長因子の供給源として作用させることのできる血管形成誘導及び/又は心筋形成誘導成長因子をコードする遺伝子と組み合わせることができる。抗アポトーシス因子若しくは物質をコードする遺伝子を適用することもできる。遺伝子(又は遺伝子の組合せ)の導入は当分野で既知のいずれの技術によっても行うことができ、限定するものではないが、アデノウイルス形質導入、“遺伝子銃”、リポソーム媒介形質導入、及びレトロウイルス又はレンチウイルス媒介形質導入、プラスミド、アデノ随伴ウイルスが挙げられる。形質導入が継続され、又はin situで開始できるように、長期に亘って遺伝子を放出及び/又は細胞に遺伝子を提示できる遺伝子送達ビヒクルを保持する担体物質と共に細胞を移植することができる。特に、本細胞及び/又は本細胞を含有する組織を、本細胞及び/又は組織を得た患者以外の患者に投与するとき、本細胞を受ける患者に1種以上の免疫抑制剤を投与して、移植の拒絶反応を減らし、好ましくは防止することができる。本明細書では、用語“免疫抑制薬又は免疫抑制剤”は、通常の免疫機能を阻害又は妨害する医薬を包含することを意図する。本明細書で開示する方法に好適な免疫抑制剤の例として、米国特許公開番号20020182211に開示されているようなCTLA4及びB7経路によるT細胞とB細胞のカップリングを妨害する薬剤のようなT細胞/B細胞共刺激経路を阻害する薬剤が挙げられる。好ましい免疫抑制剤はシクロスポリンAである。他の例として、ミオフェニレートモフェチル(myophenylate mofetil)、ラパマイシン(rapamicin)、及び抗-胸腺細胞グロブリンが挙げられる。一態様では、免疫抑制薬は少なくとも1種の他の治療薬と共に投与される。免疫抑制薬は、投与経路に適合した形態の製剤で投与され、かつ所望の治療効果を果たすために十分な用量で患者に投与される。別の態様では、免疫抑制薬は、本発明のADCに対する耐性を誘導するために十分な時間、過渡的に投与される。
本発明の特定の態様では、本細胞は、サイトカインや成長因子のような1種以上の細胞分化薬と共に患者に投与される。種々の細胞分化薬の例は、文献(Gimble et al., 1995; Lennon et al., 1995; Majumdar et al., 1998; Caplan and Goldberg, 1999; Ohgushi and Caplan, 1999; Pittenger et al., 1999; Caplan and Bruder, 2001; Fukuda, 2001; Worster et al., 2001; Zuk et al., 2001)に開示されている。
以下の実施例によって、本発明をさらに説明するが、これら実施例はさらに限定するものと解釈すべきでない。この出願全体にわたって引用した参考文献、発行特許、公開特許出願、及び同時係属特許出願を含むすべての引用文献は、引用によって本明細書に明確に取り込まれる。
【0049】
(実施例)
以下に述べる実施例全体にわたって使用するADC又は脂肪由来幹細胞の活性集団は、本明細書の開示で述べた方法及び/又は2002年12月9日出願、表題“処理脂肪吸引物で患者を治療するためのシステム及び方法(SYSTEMS AND METHODS FOR TREATING PATIENTS WITH PROCESSED LIPOASPIRATE CELLS)”の米国出願番号10/316,127(2001年12月7日出願の米国仮出願番号60/338,856に対する優先権を主張し、共同譲渡されており、かつこれら内容はこの引用によって本明細書に明確に取り込まれる)に記載されている方法によって得た。
【0050】
実施例1:ADCによる血管形成成長因子、VEGFの発現
血管内皮成長因子(VEGF)は血管形成の重要な調節因子の1つである(Nagy et al., 2003; Folkman, 1995)。VEGFファミリーの別のメンバーである胎盤成長因子は、血管形成のみならず動脈形成の両過程、すなわち増加した潅流及びせん断力に応じて側副血管が補充かつ拡張される過程で同様の役割を果たす(Nagy et al., 2003; Pipp et al., 2003; Scholz et al., 2003)。詳細には、野生型(PlGF +/+)細胞のPlGFノックアウトマウスへの移植は、後肢虚血からの迅速な回復を誘導する能力を修復する(Scholz et al., 2003)。
血管形成と動脈形成の両者の血管再生プロセスに対する重要性が示されたので、3人のドナーから得たADC細胞を用いてELISAアッセイ(R&D Systems, Minneapolis, MN)でADC細胞によるPlGF及びVEGF発現を調べた。1人のドナーは高血糖症と2型糖尿病の病歴があった(ミクロ血管及びマクロ血管の疾患の非常に関連する状態、冠動脈疾患の患者を含む)。各ドナーから得たADC細胞を、10%のFCSと5%のHSで補充したDMEM/F-12培地に1,000個の細胞/cm2でプレーティングし、コンフルエントまで増殖させた。上清試料を取り、PIGF及びVEGFタンパク質の発現についてアッセイした。図5A及び5Bに示されるように、結果は、本発明の脂肪由来幹細胞によるVEGF(図5A)及びPIGF(図5B)の両タンパク質の強い発現を明らかにした。
これらのデータは、正常被験者と糖尿病患者の両者から得た脂肪由来の幹細胞及び前駆細胞が血管形成成長因子と動脈形成成長因子を発現することを明らかにしている。糖尿病の患者は心臓血管疾患の危険が高いので、このことは重要であり、これらのデータは、糖尿病環境においてADC細胞がその血管形成能力を保持していることを示している。従って、糖尿病患者は、自分自身のADC細胞から血管形成利益を引き出すことができる。
【0051】
実施例2:ADCは血管形成に関与する細胞集団を含有する
内皮前駆細胞(EPC)は血管形成に関与することが分かっている。循環する内皮前駆細胞は末梢血液、靱帯血液、骨髄、及び胎児肝臓内で検出されている(Takahashi, 1999; Asahara, 1999; Asahara, 1997; Loomans, 2004; Shintani, 2001; Vasa, 2001)。脂肪由来幹細胞内のEPCの頻度を決定するため、EPCアッセイを行った。ADC細胞をフィブロネクチン被覆プレート上に播き、内皮細胞培地中で3日間培養して成熟内皮細胞を除去した。非接着細胞を取り出し、再びプレーティングした。14日後、FITC-結合Ulex europaeus Agglutinin-1(Vector Labs, Burlingame, CA)及びジI-標識アセチル化LDL(Molecular Probes, Eugene, OR)で染色してコロニーを同定した。図6に示されるように、結果は、約500個のEPC/106個のADC細胞というEPC頻度を示す。
脂肪組織由来の幹細胞集団及び前駆細胞集団中のEPCの存在は、この集団が新しい血管の発生に直接関与し、かつ血管形成及び再潅流を促すことによって心筋梗塞後又はうっ血性心不全における虚血の持続時間を減らしうることを示す。
【0052】
実施例3:ADCにおける血管構造のインビトロ発生
この分野で認識されている血管形成のアッセイは、線維芽細胞の支持細胞層上で成長する内皮細胞が新生毛細血管ネットワークを思わせるCD31陽性の管の複雑なネットワーク構造を発達させるアッセイである(Donovan et al., 2001)。ADCは、支持細胞層の非存在下で同様のネットワーク構造を形成する(図7A)。特に、ストレプトゾトシン(STZ)誘発1型糖尿病の高血糖マウスから得たADC細胞は、STZの投与8週間後に未処置マウスの構造と同様の構造を同頻度で形成する。
このことは、糖尿病の患者は心臓血管疾患の危険が高いので重要であり、これらデータは、糖尿病環境でADC細胞がその血管形成能力を保持していることを示している。従って、糖尿病患者は、自分自身のADC細胞から血管形成利益を引き出すことができる。
要約すると、上記実施例1〜3の結果は、脂肪由来幹細胞は血管形成及び動脈形成を促進しうる細胞の集団を含むことを示している。この結果は、持続型高血糖を示す糖尿病のヒトドナー又はSTZ処理マウス由来の脂肪由来幹細胞が血管形成を促す細胞を欠いていないであろうことをも示す。従って、脂肪は、心臓血管疾患の危険が実質的に高い糖尿病環境によって損なわれない、再生細胞の貯蔵所(reservoir)という意味を持ちうる。
【0053】
実施例4:ADCにおける血管構造のインビボ発生
インビトロ血管形成の潜在能力は有望であるが、細胞がインビボ血管形成活性を発揮しなければほとんど価値がない。げっ歯類の重大な肢虚血の外科的誘発は、動脈形成(多くはせん断力の増加に応答した側副血管の補充及び拡張)と、血管形成(虚血に応答した新しい血管の発生)の同時過程を観察できるよく認識されているモデルである(Schatteman, 2000; Scholz, 2002; Takahashi, 1999)。このモデルは、再潅流を誘導するヒト細胞の能力を観察しうる免疫欠損(NON-SCID)マウスで開発された。詳しくは、ケタミンとキシラジンで動物を麻酔し(80mg.kg;7.5mg/kg)、仰臥位で手術面に置いた。後述するように手術前の血流値を両後肢について決定した。ベタジン(Betadine)で動物を準備し、通常の滅菌様式で被い、循環水浴上に置いた。後肢の起点から膝のちょうど近位に伸長して片側を1.5cm切開し、深大腿動脈及び浅大腿動脈への腸骨動脈の岐点に近い腸骨動脈を露出させた。この脈管構造を以下の部位で3-0絹結紮糸で縛って血行を止めた:1)その分岐点に近い腸骨動脈、2)深大腿動脈の起点に直遠位、3)浅大腿動脈の分岐に直近位。結紮後、脈管構造をまとめて除去した。結紮し、引き続き除去したいずれの明白な副行物をも同定する努力をした。創傷と筋肉層は4-0ビクリル(vicryl)で閉じ、皮膚は5-0ビクリルで閉じた。動物をブプレノルフィン(0.5mg/kg)で後処理し、循環水浴上で自発的横臥位まで戻した。手術の24時間後、尾静脈を介して動物に5x106個のADC細胞を注射した。NOD-SCIDマウスにヒトドナー細胞を注射し、ある研究では糖尿病患者由来の細胞を注射した。処理後14日の流れを画像化した。
これら研究では、ADC処理動物は、肢構造の保持(肢サルベージ(salvage);0/5のADC処理動物に比し、2/3の未処理マウスはすべて下方後肢構造を失った)及び流れの修復において統計的に有意な向上を示した(図8)。最も顕著には、糖尿病のヒトドナー細胞を受けたNOD SCIDマウスでは、第14日の流れが未処理動物の10±10%に比べて処理動物で50±11%に修復された(p<0.05)。第19日までに、対照の潅流より実験肢での潅流が多くなるように回復が起こった(136±37%)。この応答は、2匹の正常(非糖尿病)ドナーから得た細胞で観察される範囲内である(50〜90%)。
自己細胞導入の効果を決定できる免疫応答性マウス(129Sマウス)での同様の実験では、ADC細胞処理マウスは、第14日に未処理マウスの56±4%に比べて80±12%の流れ回復を示した。
このモデルでは、血流の修復は下肢における側副血管の補充と拡張および血管形成による。これら過程は梗塞後の心臓内での血流の修復にも重要である。従って、これら過程をインビボで刺激するADCの能力は、心筋梗塞環境におけるADC細胞の用途を強く支持する。糖尿病ドナー(心臓血管疾患の危険の高い患者集団のメンバー)から得たADC細胞もこの活性を示したことに留意することも重要である。
【0054】
実施例5:ADC用量増加は移植片生存と血管形成の向上に関連する
自己脂肪組織の移植は、形成外科手術でかなり一般的な手段である(Fulton, 1998; Shiffman, 2001)。しかし、この手段は、脂肪組織フラグメントが血管供給なしで導入され、その結果、移植片生存が新血管新生に依存するという事実によるという限界がある(Coleman, 1995; Eppley et al., 1990)。従って、限られた意味では、移植した組織は虚血組織に相当する。
フィッシャーラットでの研究を行い、外側大腿の筋肉の上の皮下スペースに脂肪組織フラグメントを移植した。右脚は0.2gの脂肪組織だけを移植し、左脚は3種の異なった用量(1.7x105〜1.3x106個の細胞/移植片;1用量毎に3匹の動物)で脂肪由来幹細胞を添加して補充した0.2gの脂肪組織フラグメントを移植した;この場合反対側の脚は対照として機能する。動物を1カ月間維持後、安楽死させた、秤量し、ホルマリン中で固定し、組織学分析用パラフィンに包埋した。
図9Aに示されるように、結果は、対照脚内での移植組織のごく僅かな維持と、処理脚内での移植片重量維持の用量依存性増加を示す。さらに、移植片の免疫組織化学分析により、脂肪由来幹細胞処理した移植片内でかなりの新血管形成と潅流が示された(図9b、矢印)。このことは、脂肪組織形態の維持にも関係があった(図9B)。
上述したように、ADC細胞が不十分に潅流される虚血組織の生存を促進することの実証は、心臓血管疾患の臨床可能性の重要な指標である。
【0055】
実施例6:ADCによる心筋移植
心筋に対する低温傷害は、心筋再生の細胞療法の役割を調査するためのよく確立された外科モデルである(Marchlinski et al., 1987)。ADC細胞の損傷心筋に組織を植え付け、それによって瘢痕形成(コラーゲンの沈着と架橋)を阻害する能力を実証するため、B6129SF1/Jマウスでの心筋の低温傷害を行った。傷害直後、lacZ遺伝子についてトランスジェニックであるROSA26マウスから収集した100万(1.0x106)個のADC細胞を心室内経路で注射した。B-ガラクトシダーゼで染色したレシピエントの心臓組織は、青色染色によってドナーの脂肪由来幹細胞の存在が検出されるだろう。マウスの心臓を収集し、注射後以下の5時点で処理した:第1日、第7日、第14日、第28日、第84日。図10に示されるように、結果は、上述したすべての時点において、梗塞した心筋の領域におけるドナー由来脂肪由来幹細胞の植え付けが明らかになった。図10は、移植の組織学タイムラインを示す。
重要なことに、ドナー由来(βガラクトシダーゼ-陽性)細胞の第14日の免疫組織化学分析により、多くのドナー由来細胞が心臓の伸縮性細胞マーカーミオシン重鎖を発現することが示された(図11)。このことは、ADC細胞が損傷した心臓内の傷害部位にホーミングすることができ、かつ心臓の伸縮性細胞に分化できることを表す。従って、ADC細胞は、心臓発作(心筋梗塞)によって失われた心臓の伸縮性細胞を補充することができるだろう。
これら知見を種を越えて拡張するため、ラットの閉塞/再潅流モデルにおけるドナー由来の処理脂肪吸引物の移植について研究した。この実験装備では、免疫応答性Wistarラットの主要な冠動脈(左前下行)を7-0プロレン(prolene)と、該動脈上のスネアとして作用する小片シラスティク(silastic)管とを用いて一時的に閉塞した。1時間後、閉塞を開放し、血液を虚血心筋に再潅流させる。このモデルは、より精密にヒト臨床パラダイムに存在する傷害と修復の機構を表す。再潅流直後、Rosa 26マウスから得た約100万(1x106)個のADC細胞を心室内経路で注射した。注射1週間後に心臓を収集した。図12に示されるように、ドナー由来ADC細胞の植え付けが明らかになった。
【0056】
実施例7:急性心臓損傷の治療
急性心筋梗塞(心臓発作)は、心筋にして虚血性傷害をもたらす。損傷組織の再潅流及び心筋組織の再生によって組織損傷を最小限にすることができる(Murry et al., 1996; Orlic et al., 2001; Orlic et al., 2003; Rajnoch et al., 2001; Strauer et al., 2002; Assmus et al., 2002)。本明細書で述べるような脂肪由来細胞療法は、例えば、大量の非培養細胞の使用および骨髄収集法に伴うような罹患率の低い高純度細胞を使用することの少なくとも1つ故に、非脂肪由来細胞療法より優れた再生細胞供給源を提供しようとするものである。
患者は心筋梗塞を患っている疑いがある。患者は1時間以内に梗塞を経験していると認められる。患者に脂肪由来細胞療法を処方する。脂肪組織収集に適した部位について患者の体質を調べる。収集部位は以下の少なくとも1つの特徴がある:通常の解剖学的構造によって限定される可能な空間、損傷の危険のある主要な血管や内臓構造がないこと、及び利用の容易さ。使われたことのない収集部位が好ましいが、以前の収集部位からさらに脂肪組織収集することも不可能ではない。可能性のある収集部位として、限定するものではないが、以下の部位が挙げられる:外側及び内側の大腿領域の両下端、前腹壁パンヌス、及び両側横腹領域。
患者は、例えば異なる標準化投与法でリドカイン、食塩水、及びエピネフリンの組合せを含有する腫張流体溶液の皮下注射を受ける。メス(例えば、11-刃メス)を用い、患者の真皮を横断するように患者の右及び/又は左脚の内側大腿領域に小さい穿刺傷を作る。刃を360度回して傷を完全にする。その切込みの下の皮下脂肪組織面内に平滑先端カニューレ(例えば、14-ゲージカニューレ)を挿入する。カニューレを動力補助吸引装置に連結する。カニューレを脂肪組織面全体にわたって動かして結合組織構造を破壊する。約500ccの吸引物を得る。脂肪組織の除去後、標準的外科技術で止血し、傷を閉じる。
本明細書で開示する本発明に従って脂肪吸引物を処理して、1単位の濃縮脂肪由来幹細胞を得る。梗塞約6時間後、患者に幹細胞を投与する。脂肪吸引物の処理に基づき、約5.5x104個の幹細胞〜5.5x105個の幹細胞の範囲で患者が受ける幹細胞の初期用量を見積もる。患者は、初期投与後12時間間隔で2回の補助投与を受ける。中心静脈カテーテルを介して患者に幹細胞を投与する。標的領域内での細胞移植を促進するため、標的部位の下流に位置するバルーンと標的部位の上流のバルーンによって幹細胞の流れをコントロールして、低いか又は最少の血流の領域を作り出す。
細胞投与措置後約6時間以内で患者の改善が認められる。細胞投与措置数日後に、増加した血量駆出フラクション、低下した心不全率、減少した梗塞サイズ、向上した運動耐性及び他の生命尺度の質によって証明される患者のさらなる改善が認められる。
【0057】
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【0078】
本明細書で述べたいずれの特徴又は特徴の組合せも、該組合せに含まれる特徴が文脈、この明細書、及び本技術の当業者の知識から明らかに相互に矛盾しないという条件で本発明の範囲に包含される。本発明を要約する目的のため、本明細書では本発明の特定の局面、利点及び新規な特徴について述べた。当然、必ずしもこのような局面、利点又は特徴すべてが本発明のいずれかの特定態様で具体化されるものでないことを理解すべきである。本発明のさらなる利点及び局面は詳細な説明及び特許請求の範囲で明白である。
上記態様は、例として与えたものであり、本発明はこれら実施例に限定されない。前記説明を考慮して、当業者には相互に排他的でない程度まで、開示した態様の多くの変形及び変更が頭に浮かぶだろう。さらに、本明細書の開示に照らして他の組合せ、省略、置換及び変更が当業者には明かだろう。従って、本発明は、開示した態様に限定することを意図しないが、添付の特許請求の範囲を参照して定義すべきである。
多数の刊行物及び特許を本明細書で引用した。引用した刊行物及び特許はそれぞれ引用によってその全体が本明細書に取り込まれる。
(均等物)
本技術の当業者は、日常的な実験だけで本明細書で述べた本発明の特有の態様に対する多くの均等物を認識し、又は確認することができるだろう。このような均等物は添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】脂肪組織を処理するための組織取り出しシステムを示す。
【図2】図1の組織取り出しシステムの組織収集容器を示す。
【図3】図2の組織収集容器の部分断面図である。
【図4】組織取り出しシステムの操作を自動化するための処理装置を示す。
【図5】培養脂肪由来幹細胞のVEGFタンパク質の発現(A)およびPIGFタンパク質の発現(B)を示す。
【図6】脂肪由来幹細胞集団内の内皮前駆細胞の検出を示す。
【図7】正常マウス(A)およびストレプトゾトシン処理したマウス(B)における血管構造のインビトロ発生を示す。
【図8】脂肪由来幹細胞で処理した後肢虚血マウスにおいて、負対照に比べて増加した血流の平均回復を示す。
【図9A】脂肪由来幹細胞投与量を増加すると移植片生存及び血管形成を改善することを示す。
【図9B】脂肪由来幹細胞投与量を増加すると組織検体内における脂肪組織構造の維持を示す。
【図10】梗塞心筋領域におけるドナー由来の脂肪由来幹細胞の移植の組織学的時系列を示す。
【図11】β-ガラクトシダーゼとミオシン重鎖の両方の陽性二重染色を示す。強調表示した細胞は、その起源がドナー脂肪組織細胞であることを明示する青色のβガラクトシダーゼと、心筋タンパク質ミオシン重鎖の発現を表す褐色染色の両方を示す。褐色及び青色の両方の染色を示す(矢印で示したような)細胞は、心筋細胞の表現型を呈した脂肪組織由来細胞である。
【図12】ラットにおける閉塞/再潅流傷害後の梗塞心筋領域におけるドナー由来脂肪由来幹細胞のクラスターを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の不十分な心臓機能を特徴とする障害を治療する方法であって、前記障害を治療するように、脂肪由来細胞を含む組成物を前記被験者に投与することを含む方法。
【請求項2】
被験者がヒトである、請求項1の方法。
【請求項3】
脂肪由来細胞が幹細胞を含む、請求項1の方法。
【請求項4】
脂肪由来細胞が前駆細胞を含む、請求項1の方法。
【請求項5】
脂肪由来細胞が幹細胞と前駆細胞の組合せを含む、請求項1の方法。
【請求項6】
障害がうっ血性心不全である、請求項1の方法。
【請求項7】
障害が心筋梗塞である、請求項1の方法。
【請求項8】
脂肪由来細胞を大量瞬時投与することを含む、請求項1の方法。
【請求項9】
脂肪由来細胞を複数回投与することを含む、請求項1の方法。
【請求項10】
組成物が1種以上の血管形成因子をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項11】
組成物が1種以上の動脈形成因子をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項12】
組成物が1種以上の免疫抑制薬をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項13】
組成物を心内膜心筋、心筋外膜、心室内、冠内、逆洞、動脈内、心膜内、又は静脈内投与経路によって投与する、請求項1の方法。
【請求項14】
組成物を被験者の脈管構造に投与することをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項15】
脂肪由来細胞を、前記被験者への投与に先立って細胞培養する、請求項1の方法。
【請求項16】
脂肪由来細胞を、筋細胞表現型への分化が促進される培養条件で成長させる、請求項1の方法。
【請求項17】
筋細胞表現型が心筋細胞表現型である、請求項16の方法。
【請求項18】
筋細胞表現型が骨格筋細胞表現型である、請求項16の方法。
【請求項19】
筋細胞表現型が血管平滑筋細胞表現型である、請求項16の方法。
【請求項20】
細胞培養条件が内皮表現型への分化を促進する条件である、請求項15の方法。
【請求項21】
細胞培養を骨格材料上で行い、心臓上又は心臓内に置くことができる二次元又は三次元構造物を生成する、請求項15の方法。
【請求項22】
骨格材料がインビボ再吸収性である、請求項21の方法。
【請求項23】
1以上の遺伝子の発現が変化するように遺伝子導入によって脂肪由来細胞が改変されている、請求項1記載の方法。。
【請求項24】
改変が被験者の血管形成レベルの変化をもたらす、請求項23の方法。
【請求項25】
改変が被験者の動脈形成レベルの変化をもたらす、請求項23の方法。
【請求項26】
改変が被験者のアポトーシスレベルの変化をもたらす、請求項23の方法。
【請求項27】
心筋細胞のアポトーシスが変化する、請求項26の方法。
【請求項28】
改変が脂肪由来細胞のホーミング特性の変化をもたらす、請求項23の方法。
【請求項29】
被験者の不十分な心臓機能を特徴とする障害を治療する方法であって、脂肪由来細胞を含む組成物を前記被験者に投与することを含み、前記脂肪組織が採取された患者と同じ患者に前記組成物が投与される、前記方法。
【請求項30】
被験者がヒトである、請求項29の方法。
【請求項31】
脂肪由来細胞が幹細胞を含む、請求項29の方法。
【請求項32】
脂肪由来細胞が前駆細胞を含む、請求項29の方法。
【請求項33】
脂肪由来細胞が幹細胞と前駆細胞の組合せを含む、請求項29の方法。
【請求項34】
障害がうっ血性心不全である、請求項29の方法。
【請求項35】
障害が心筋梗塞である、請求項29の方法。
【請求項36】
前記脂肪由来細胞を大量瞬時投与することを含む、請求項29の方法。
【請求項37】
方法が、前記脂肪由来細胞を複数回投与することを含む、請求項29の方法。
【請求項38】
組成物が1種以上の血管形成因子をさらに含む、請求項29の方法。
【請求項39】
組成物を心内膜心筋、心筋外膜、心室内、冠内、逆洞、動脈内、心膜内、又は静脈内投与経路によって投与する、請求項29の方法。
【請求項40】
組成物を被験者の脈管構造に投与することをさらに含む、請求項29の方法。
【請求項41】
組成物を異なる被験者に投与する、請求項29の方法。
【請求項42】
組成物が1種以上の免疫抑制薬をさらに含む、請求項29の方法。
【請求項43】
被験者の組織虚血を治療する方法であって、前記組成物の送達が無くなった後も安定に維持される血管を形成することによって虚血を治療するに充分な量で脂肪由来細胞を含む組成物を組織の領域へ送達することを含む、前記方法。
【請求項44】
組織虚血が心筋虚血である、請求項43の方法。
【請求項45】
被験者がヒトである、請求項43の方法。
【請求項46】
脂肪由来細胞が幹細胞を含む、請求項43の方法。
【請求項47】
脂肪由来細胞が前駆細胞を含む、請求項43の方法。
【請求項48】
脂肪由来細胞が幹細胞と前駆細胞の組合せを含む、請求項43の方法。
【請求項49】
組成物が1種以上の血管形成因子をさらに含む、請求項43の方法。
【請求項50】
組成物が1種以上の動脈形成因子をさらに含む、請求項43の方法。
【請求項51】
組成物が1種以上の免疫抑制薬をさらに含む、請求項43の方法。
【請求項52】
被験者の組織虚血を治療する方法であって、既存の血管の血液運搬能力を拡大し、前記能力を前記組成物の送達が無くなった後も安定に維持することによって虚血を治療するに充分な量で、脂肪組織由来細胞を含む組成物を組織の領域へ送達することを含む、前記方法。
【請求項53】
組織虚血が心筋虚血である、請求項52の方法。
【請求項54】
被験者がヒトである、請求項52の方法。
【請求項55】
脂肪由来細胞が幹細胞を含む、請求項52の方法。
【請求項56】
脂肪由来細胞が前駆細胞を含む、請求項52の方法。
【請求項57】
脂肪由来細胞が幹細胞と前駆細胞の組合せを含む、請求項52の方法。
【請求項58】
組成物が1種以上の血管形成因子をさらに含む、請求項52の方法。
【請求項59】
組成物が1種以上の動脈形成因子をさらに含む、請求項52の方法。
【請求項60】
組成物が1種以上の免疫抑制薬をさらに含む、請求項52の方法。
【請求項61】
組織の限定された領域と脂肪由来細胞を含む組成物を接触させ、前記組織の領域内に血管形成を誘導することを含む、血管形成を促進させる方法。
【請求項62】
脂肪由来細胞が幹細胞を含む、請求項61の方法。
【請求項63】
脂肪由来細胞が前駆細胞を含む、請求項61の方法。
【請求項64】
脂肪由来細胞が幹細胞と前駆細胞の組合せを含む、請求項61の方法。
【請求項65】
組成物が1種以上の血管形成因子をさらに含む、請求項61の方法。
【請求項66】
組成物が1種以上の免疫抑制薬をさらに含む、請求項61の方法。
【請求項67】
血管形成の誘導を用いて虚血を治療する、請求項61の方法。
【請求項68】
組織の限定された領域と脂肪由来細胞を含む組成物を接触させ、前記組織の領域内に動脈形成を誘導することを含む、動脈形成を促進させる方法。
【請求項69】
脂肪由来細胞が幹細胞を含む、請求項68の方法。
【請求項70】
脂肪由来細胞が前駆細胞を含む、請求項68の方法。
【請求項71】
脂肪由来細胞が幹細胞と前駆細胞の組合せを含む、請求項68の方法。
【請求項72】
組成物が1種以上の動脈形成因子をさらに含む、請求項68の方法。
【請求項73】
組成物が1種以上の免疫抑制薬をさらに含む、請求項68の方法。
【請求項74】
動脈形成の誘導を用いて虚血を治療する、請求項68の方法。
【請求項75】
組織の限定された領域と脂肪由来細胞を含む組成物を接触させ、前記組織の領域内に筋細胞の増殖を誘導することを含む、筋細胞増殖を促進させる方法。
【請求項76】
筋細胞が心筋細胞の収縮特性を有する、請求項75記載の方法。
【請求項77】
脂肪由来細胞が幹細胞を含む、請求項75の方法。
【請求項78】
脂肪由来細胞が前駆細胞を含む、請求項75の方法。
【請求項79】
脂肪由来細胞が幹細胞と前駆細胞の組合せを含む、請求項75の方法。
【請求項80】
組成物が1種以上の成長因子をさらに含む、請求項75の方法。
【請求項81】
組成物が1種以上の免疫抑制薬をさらに含む、請求項75の方法。
【請求項82】
筋細胞成長の促進を用いて虚血を治療する、請求項75の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−525422(P2007−525422A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503755(P2006−503755)
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/005117
【国際公開番号】WO2004/074457
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(503077877)サイトリ セラピューティクス インコーポレイテッド (32)
【Fターム(参考)】