説明

心電図解析装置

【課題】 心電図の自動解析結果を容易に評価可能な心電図解析装置を提供する。
【解決手段】 心電図の自動解析結果を評価する指標として、QT間隔のヒストグラムを生成する。この際、QT間隔の計測ができなかった心拍の頻度を、予め定められた計測値の頻度として含めたヒストグラムを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は心電図解析装置に関し、特には心電図を自動解析して各種のパラメータを計測する心電図解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、心臓疾患の診断指標として、心電図が広く用いられている。心電図は心臓の電気的な活動を体表面で検出した信号波形であり、心電図の解析により、心臓の活動に関する様々な情報を得ることが可能である。
【0003】
従来、心電図は紙に記録されるものであり、解析は専ら医師が波形を観察することにより行われていた。しかし、心電図をデータ化して記録するデジタル心電計の開発により、コンピュータを用いて心電図を自動解析することが可能になり、心電図から得られる様々なパラメータについて検討がなされている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−116207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、心電図は生体情報であるため個人差があり、また、測定環境などの要因によって波形がきれいに測定できないこともある。例えば、ホルタ心電計などにより、生活をしながら長時間測定した心電図は、被検者の動きや環境の変化により、様々な質の心拍波形を含んでいる。自動解析はある程度の品質で測定された心拍波形を想定して、形状やレベルの変化などを検出し、予め定められている条件に基づいて解析結果を導き出すものであるため、実環境で測定された様々な品質の心拍波形について正しい自動解析結果を得ることは容易でない。
【0006】
そのため、自動解析結果を利用する前に、自動解析結果の品質を評価することが望ましい。例えば、自動解析結果(波形分類など)を解析した心電図と見比べれば評価は可能である。しかし、ホルタ心電計で24時間測定した心電図には、1chあたり約10万回の心拍波形が含まれているため、心電図と見比べて自動解析結果を評価するのは現実的でない。
【0007】
本発明はこのような従来技術の課題に鑑みなされたものであり、心電図の自動解析結果を容易に評価可能な心電図解析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明による心電図解析装置は、複数の心拍波形についての自動解析結果であって、Q波開始点からT波終了点までの時間であるQT間隔の計測結果を含んだ自動解析結果、を取得する取得手段と、QT間隔のヒストグラムを生成する生成手段と、生成手段が生成したヒストグラムを出力する出力手段とを有し、生成手段が、QT間隔の計測ができなかったことを示す計測結果を有する心拍波形の頻度を、予め定められた計測値の頻度としてヒストグラム中に含めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このような構成により、本発明によれば、心電図の自動解析結果を容易に評価可能な心電図解析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る心電図解析装置の機能構成例を示すブロック図。
【図2】実施形態に係る心電図解析装置における自動解析処理を説明するためのフローチャート。
【図3A】、
【図3B】自動解析結果の評価指標としての、QT計測不能心拍の頻度を含めたQT間隔の測定結果のヒストグラムの例を示す図。
【図4】実施形態に係る心電図解析装置におけるQT間隔ヒストグラム表示処理を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の好適かつ例示的な実施形態について説明する。
(心電図解析装置の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る心電図解析装置の機能構成例を示すブロック図である。
データ入力部110は、例えばメモリカードリーダやネットワークインタフェースなどであり、予め記録された心電図データを記録媒体又は他の装置から読み出し、入力するインタフェースである。あるいは、データ入力部110はリアルタイムに心電図を測定して心電図データを出力する心電計であってもよい。フィルタ処理部120は、データ入力部110から入力された心電図データに対し、ノイズ除去や基線変動の除去といった波形整形処理を代表とするフィルタ処理を行い、処理後の心電図データを記憶部130へ書き込む。
【0012】
記憶部130は例えばハードディスクドライブなどの大容量記憶装置から構成され、入力された心電図データ(解析対象の心電図データ)を全時間分記憶する。
【0013】
波形メモリ140は、個々の心拍波形を構成するPQRSTUの各波を抽出したり、典型的な異常波形を検出するためのテンプレートを複数種記憶する不揮発性メモリであり、記憶部130の一部を利用することも可能である。なお、波形メモリ140に記憶されるテンプレートは波形そのものを保存しても良いが、波形に対応する特徴点などのデータを記憶しても良い。
【0014】
解析処理部150は、波形メモリ140に記憶されたテンプレートを用いた波形認識や、心電図データの特徴点の検出などに基づき、記憶部130に記憶された心電図データに含まれる全心拍について自動解析する。自動解析には、心拍波形の分類や、予め定められたパラメータ(心電パラメータ)の測定が含まれる。心拍波形の分類方法や測定する心電パラメータの種類や数に制限はなく、ユーザ設定等に応じて変更することも可能である。本実施形態で、解析処理部150が分類する心拍波形の例としては、正常心拍(N)、心室性期外収縮(V)、上室性期外収縮(S)、ペース心拍(P)、フュージョン(F)、脚ブロック(B)、補充収縮(E)、その他(?)がある。また、解析処理部150が測定する心電パラメータの例としては、RR間隔(隣接するR波頂点間の時間間隔)、QT間隔(Q波開始点(QB)からT波終了点(Tend)までの時間)、RT間隔や、心拍数とそれらから派生するパラメータ(例えばQTディスパージョン(QT間隔の最大値と最小値との差)や、QTc(QT間隔をRR間隔で補正した値))などであってよい。
【0015】
なお、本実施形態では、自動解析結果を評価するために、QT間隔(又はQTc)の測定結果を用いるため、少なくともQT間隔(又はQTc)は測定する。なお、QT間隔の測定は、正常心拍(N)と判定された心拍波形であり、かつ心室性期外収縮(V)と判定された心拍の前後を除く心拍波形のみを用いて実施するため、解析処理部150は少なくとも正常心拍(N)と心室性期外収縮(V)とは分類を行う。
【0016】
解析処理部150は、自動解析結果を、解析した心電図データと関連付けて記憶部130に保存する。
【0017】
編集処理部160は、自動解析結果の誤りを訂正する編集機能をユーザに提供する。ユーザは、編集処理部160が提供する編集機能により、自動解析によって誤って分類された心拍波形や、誤検出されたQB, Tendを修正等の波形編集を行うことができる。
【0018】
制御部170は例えばCPUであり、例えば記憶部130に記録された制御プログラムを実行して各部を制御することにより、心電図解析装置100全体の動作を制御する。入力部180はキーボードやマウスを代表とする少なくとも1つのインプットデバイスであり、ユーザが各種設定や指示を行う際に使用する。表示部190はLCDやCRT等の表示装置であり、制御部170の制御に従い、心電図をはじめとする各種情報を表示する。
【0019】
このような構成を有する本実施形態の心電図解析装置は、例えばパーソナルコンピュータとして市販されている汎用コンピュータ装置を用いて実現することが可能である。また、フィルタ処理部120、解析処理部150及び編集処理部160は個別のハードウェアによって実現されても良いし、CPUがプログラムを実行することによってソフトウェア的に各部の機能を実現しても良い。この場合、CPUは制御部170を兼ねていても良い。
【0020】
(自動解析処理)
次に、本実施形態の心電図解析装置における自動解析処理について、図2に示すフローチャートを用いて説明する。ここでは、自動解析を行う心電図データが、データ入力部110から記憶部130に既に読み込まれているものとする。また、自動解析処理は、制御部170が自動解析アプリケーションを実行することにより実現され、ユーザからの指示は、自動解析アプリケーションが表示部190に表示するGUI画面に対する入力部180の操作を通じて入力されるものとする。
【0021】
例えば、自動解析処理の開始指示がユーザから入力されると、制御部170は記憶部130に保存されている心電図データをユーザに選択させるGUI画面を表示部190に表示させる。そして、制御部170は、GUI画面を通じて心電図データの選択指示が入力されると、解析処理部150に対し、選択された心電図データの自動解析処理の実行を指示する。
【0022】
解析処理部150は、選択された心電図データを記憶部130から読み出す(S101)。そして、解析処理部150は、読み出した心電図データから、解析対象外の心拍波形を除去する(S103)。具体的には、解析処理部150は、記憶部130から読み出した予め定められた長さ(例えば15秒分)を単位として、心電図データが、計測対象外区間かどうかを判別する。ここで、解析対象外区間とは、自動解析に必要な精度で測定できていない区間であり、自動解析を行わない区間である。
【0023】
例えば、ドリフトが予め定められた値を超える場合、含まれているピーク数が予め定められた数よりも多い場合(例えばノイズ成分が多い場合)、正常な心拍波形の数が予め定められた数に達しない場合、解析処理部150はその区間を解析対象外区間とし、解析対象外区間に含まれる心拍波形を除去する。
【0024】
このようにして解析対象外の心拍波形が除去された心電図データが、自動解析の対象となる。解析処理部150は、S103において、解析対象の心電図データを記憶部130に保存しても良い。なお、解析処理部150は、解析対象外とした心拍波形について、その時刻(例えば開始時刻と終了時刻)と、解析対象外とした理由(例えばT波の頂点が検出できなかった、T波の振幅が小さかった、T波のピーク数が多すぎた、等)とを対応付けて記憶部130に保存することができる。
【0025】
次に解析処理部150は、解析対象の心電図データから心拍波形を1拍ずつ切り出し、解析処理(心拍の分類と、予め定められた心電パラメータの測定)を行う(S105)。ここで、解析処理部150は、各心拍について、開始及び終了時刻、波形分類結果、心電パラメータ計測結果を測定する。心電パラメータの中には、QT間隔、RR間隔を始め、それらを計測する際に用いられた区分点(Q波開始点、T波頂点位置、T波終了点)の情報などが含まれる。なお、QT間隔が測定できなかった心拍については、QT計測不能心拍を表す情報として、QT間隔の測定値を0msとする。
【0026】
上述の通り、本実施形態において、解析処理部150は、正常心拍(N)と判定された心拍波形のうち、心室性期外収縮(V)と判定された心拍の前後を除く心拍波形のみを用いてQT間隔の測定を行う。そのため、QT間隔の測定時には、正常心拍(N)以外と判定された心拍波形と、正常心拍(N)と判定された心拍波形のうち、心室性期外収縮(V)と判定された心拍の前後の心拍波形について、QT間隔の測定の対象から外す。
【0027】
S107で、解析処理部150は、解析対象の心電図データの全心拍波形について解析処理を行ったかどうかを判定し、未解析の心拍波形が残っていればS105に戻って解析処理を継続する。一方、全心拍波形の解析が終了したならば、解析処理部150は解析結果を解析対象の心電図データと対応付けて記憶部130に保存する(S109)。
【0028】
(自動解析結果の評価指標としてのQT間隔の測定結果の利用)
上述の通り、QT間隔は、Q波の開始点(QB)から、T波の終了点(Tend)までの時間として測定する。このうち、Q波の開始点はQ波のピークが検出し易いことから比較的容易かつ安定した検出が可能である。一方、T波は緩やかなピークを有し、かつ基線に向かってなだらかに下降する形状を有すること、ピークを2つ有することがあるなど、T波終点(Tend)の検出はQ点の開始位置ほど容易でない。T波終点は例えば、T波の頂点を越えてからの微分最大点での接線とQ波の開始点を水平に延長した直線の交点として求める(接線法)ことができるが、特にT波の振幅が小さい場合や、基線の変動がある場合には、T波の頂点が検出できず、その結果としてT波終点が検出できない場合がある。この場合、当然ながらQT間隔の測定もできない。また、T波のピーク数が多すぎる場合なども、頂点が判別できない。
【0029】
本実施形態の解析処理部150は、このように、QT間隔の測定の対象ではあるが、QT間隔の測定ができなかった心拍波形を、QT計測不能心拍として分類する。また、測定可能であったが、測定値が予め定めた範囲から外れる場合(長すぎる場合、短すぎる場合)にも、QT計測不能心拍として分類して良い。
【0030】
一般に、心拍波形の解析において検出する心拍波形の区分点のうち、T波終点(及びT波頂点)の検出が最も困難である。そのためQT間隔が測定できている心拍波形の割合が高ければ、自動解析の品質も高いと考えられる。そのため、本実施形態は、ユーザが自動解析結果の評価を行うための指標として、QT間隔の解析対象である心拍波形のうちQT計測不能心拍がどの程度含まれているかに関する情報を提示することを特徴とする。
【0031】
この、QT間隔の解析対象である心拍波形のうちQT計測不能心拍がどの程度含まれているかに関する情報としては、QT計測不能心拍の数であっても、QT間隔の解析対象である心拍波形に占める割合であってもよい。また、提示方法も、数値を直接示す方法であっても、割合を視覚的に示す方法であってもよい。
【0032】
図3A及び図3Bは、自動解析結果の評価指標としての、QT計測不能心拍の頻度を含めたQT間隔の測定結果のヒストグラムの例を示す図である。
【0033】
図3Aを参照すると、ヒストグラム画面310は、例えば、制御部170が記憶部130から自動解析結果を読み出して生成することができる。ヒストグラム画面310は、グラフ表示領域320、リスト表示領域330、リスト情報表示領域331及び統計値表示領域340を有している。
【0034】
グラフ表示領域320には、自動解析結果に含まれるQT間隔の値が、例えば平均値(図3Aの例では370.46ms)を中心として、例えば40ms刻みの頻度として棒状のマーク321により示されている。さらに、本実施形態では、QT計測不能心拍の総数を、QT間隔が0msの頻度としてマーク322で示している。
【0035】
これにより、自動解析対象の心拍波形におけるQT計測不能心拍の数や割合を視覚的に把握することが可能になる。なお、QT計測不能心拍の頻度をQT間隔=0msの頻度として示しているのは、実際の測定値の頻度との混在を回避するための一方法である。例えば図3Aの例において提示される最大のQT間隔(=780±20ms)の頻度とした提示した場合、QT間隔の測定値が780±20msだった心拍の頻度と、QT計測不能心拍の頻度との区別が付かなくなるおそれがあるからである。
【0036】
QT計測不能心拍は、QT間隔の測定ができなかった心拍波形であるため、通常のヒストグラムでは表示されず、その数や全体に占める比率を把握することができなかった。本実施形態では、QT計測不能心拍の頻度を予め定められた計測値の頻度として含めたヒストグラムを生成することで、QT計測不能心拍の数や全体に占める割合を把握することが可能になる。さらに、QT計測不能心拍の頻度をQT間隔=0msの頻度として提示することにより、測定ができた心拍の頻度と混在することなしに、QT計測不能心拍の総数や、解析対象心拍波形全体に占める割合を示すことが可能となる。
【0037】
もちろん、QT計測不能心拍の数や解析対象心拍波形全体に占める割合は、ヒストグラム以外の方法でも提示することが可能である。図3Aにおいては、リスト情報表示領域331において、リスト番号/リスト番号に対応する心拍総数、統計値表示領域340においてデータ数はQT計測した心拍の総数をそれぞれ数値で示している。よって、左右ボタン324を操作し、頻度カーソル323で0msの頻度のマーク322を選択すれば、図3Bに示すように、QT計測不能心拍の総数(20444)をリスト情報表示領域331に表示する。0msの頻度は計測不能心拍のリストに対応するため、図3Bにおいて、リスト表示領域330の計測値は空欄となる。なお、統計値表示領域340のデータ数とリスト情報表示領域331のリスト総数から、解析対象心拍波形全体に占める割合を計算することが可能である。
【0038】
なお、QT計測不能心拍の頻度を示すマーク322を、頻度だけでなく、QT測定ができなかった理由をも表すように構成することもできる。例えば、QT計測不能心拍の総数のうち、低振幅のためT波の頂点が検出できなかった心拍の比率を、マーク322の色分けなどによって示しても良い。T波が低振幅でT波の頂点が検出できなかった場合、編集操作により、実際の心拍波形を目視してT波の頂点を決定しようとしても困難であることが多い。そのため、編集操作によっても改善できない可能性のある心拍の量を把握できることはユーザの負担を軽減するために効果的である。
【0039】
図3Aに示したように、グラフ表示領域320には、頻度カーソル323が提示されており、ユーザは、左右ボタン324を操作することにより、頻度カーソル323を左右に移動させることができる。制御部170は、頻度カーソル323の位置に対応するQT間隔を有する心拍のリストを、リスト表示領域330に提示する。なお、図3Aに示したように、頻度カーソル323はマーク322単位で移動するようにしてもよい。この場合マーク322に対応する所定の範囲(例えば図3Aの例では361〜400ms)を有する心拍のリストが、リスト表示領域330に表示される。リスト表示領域330に示される心拍は上下ボタン335を操作することで1つずつ選択可能であり、制御部170は、選択された心拍を中心とした所定時間分の心拍波形を記憶部130から読み出し、図示しない波形表示ウィンドウに表示させる。また、リスト表示領域330において選択されている心拍について編集指示(例えばマウスのダブルクリック)が入力されると、制御部170は、選択されている心拍波形とその前後2拍の心拍波形を記憶部130から読み出し、編集ウィンドウに表示させる。ユーザは編集ウィンドウを通じ、指定した心拍について、T波終点やT波頂点、Q波開始点を変更する編集操作を行うことができる。
【0040】
なお、制御部170は、プルダウンメニュー315から選択された種類の心電パラメータについてヒストグラム表示を行うことが可能である。図3Aの例では、RR間隔で補正したQT間隔(QTc)が選択された状態を示している。
【0041】
図4は、本実施形態の心電図解析装置におけるQT間隔ヒストグラム表示処理を説明するためのフローチャートである。この処理は、ある心電図データについてQT間隔ヒストグラム表示を指示された場合はもちろん、ある心電図データの自動解析結果の評価指示が例えば自動解析アプリケーションのGUI画面を通じて入力部180から入力された場合に実行される。また、ここでは出力の一例として表示を行う場合を説明するが、印刷出力やデータファイル出力であってもよい。
【0042】
制御部170は、選択された心電図データと関連付けて記憶部130に記憶されている自動解析結果を読み出し、自動解析結果に含まれている心電パラメータの中から、QT間隔(QT又はQTc)を順次取得する(S401)。なお、上述の通り、自動解析結果には、各心拍について、開始及び終了時刻、波形分類結果、心電パラメータ計測結果が含まれており、心電パラメータの中には、QT間隔、RR間隔を始め、それらを計測する際に用いられた区分点(Q波開始点、T波頂点位置、T波終了点)の情報などが格納されている。また、QT間隔が測定できなかった心拍(QT計測不能心拍)については、QT間隔の値として0が格納されている。
【0043】
制御部170は、QT間隔の測定値と予め定められた測定値の区分とに応じて各心拍を分類し、各分類について頻度を計数する(S403)。この際、制御部170はQT計測不能心拍について、QT=0msの区分に分類し、頻度を計数する。
【0044】
制御部170は、自動解析結果に含まれる全心拍についての分類と頻度計数が終了したか判別し(S405)、未分類の心拍が残っていればS403に戻って処理を継続する。一方、全ての心拍についてQT間隔の分類と頻度計数が終了したならば、制御部170はS407で図3Aに示したようなヒストグラム画面を生成し、S409で表示部190に表示させる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、心電図データの自動解析結果を評価する指標として、QT間隔の測定結果、特にはQT間隔が測定できなかった心拍の数(及び/又は、自動解析対象の全心拍数に対する割合)を提示する。
【0046】
これは、T波の頂点や終了点はQRS波のピークに比べて検出が困難であるため、これらの検出が行え、QT間隔の測定ができた心拍の数又は比率が高い場合には、自動解析結果全体の精度が高いことが予期されるという新たな知見に基づくものである。特に、QT間隔のヒストグラムに、QT計測不能心拍の頻度を含めることで、どの程度QT計測不能心拍が存在するかを一目で把握することができる。
【0047】
また、QT計測不能心拍のうち、編集操作によってもQT計測不能であることを解消できない可能性が高い理由によるものの割合を、頻度を示すマークの色分け等によって示すことで、不要である可能性が高い編集操作をユーザが行ってしまうことを回避できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の心拍波形についての自動解析結果であって、Q波開始点からT波終了点までの時間であるQT間隔の計測結果を含んだ自動解析結果、を取得する取得手段と、
前記QT間隔のヒストグラムを生成する生成手段と、
前記生成手段が生成したヒストグラムを出力する出力手段とを有し、
前記生成手段が、前記QT間隔の計測ができなかったことを示す計測結果を有する心拍波形の頻度を、予め定められた計測値の頻度として前記ヒストグラム中に含めることを特徴とする心電図解析装置。
【請求項2】
前記生成手段が、前記QT間隔の計測ができなかったことを示す計測結果を有する心拍波形の計数結果をQT間隔が0の頻度として前記ヒストグラム中に含めることを特徴とする請求項1記載の心電図解析装置。
【請求項3】
前記自動解析結果には、前記QT間隔の計測ができなかった心拍波形の各々について、計測ができなかった理由を示す情報が含まれ、
前記生成手段は、前記QT間隔の計測ができなかったことを示す計測結果を有する心拍波形のうち、予め定められた理由により計測できなかったものの比率を、前記頻度を表すマークの色分けによって表すように前記ヒストグラムを生成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の心電図解析装置。
【請求項4】
前記予め定められた理由が、T波の振幅が小さいことによるT波頂点の検出不能であることを特徴とする請求項3記載の心電図解析装置。
【請求項5】
ユーザによる、自動解析結果の評価指示を検出すると、前記自動解析結果の評価の指標として、前記ヒストグラムの出力を行うように前記取得手段、前記生成手段及び前記出力手段を制御する制御手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の心電図解析装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3A】
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【図3B】
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