説明

急性白血病及びリンパ芽球性リンパ腫特異CD43抗原決定基及びその用途

本発明はヒトの急性白血病及びリンパ芽球性リンパ腫の細胞上で発現するCD43抗原決定基及びその用途に関するものである。より詳細には、本発明はヒトの急性白血病及びリンパ芽球性リンパ腫の細胞上では発現するが、成熟した造血細胞及び造血幹細胞上では発現しないCD43抗原決定基、そして前記CD43抗原決定基を急性白血病及びリンパ芽球性リンパ腫の診断及び治療に適用することに関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒトの急性白血病及びリンパ芽球性リンパ腫の細胞上で発現するCD43抗原決定基及びその用途に関するものである。特に、本発明はヒトの急性白血病及びリンパ芽球性リンパ腫の細胞上では発現するが、成熟した造血細胞及び造血幹細胞上では発現しないCD43抗原決定基(epitope)、そして前記CD43抗原決定基を急性白血病及びリンパ芽球性リンパ腫の診断及び治療に適用することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シアロフォリン(sialophorin)またはレウコシアリン(leukosialin)とも呼ばれるCD43は赤血球を除いた大部分の造血細胞上で発現する細胞−表面分子である。ヒトのCD43は235個のアミノ酸からなるムチン−類似細胞外領域、23個のアミノ酸からなる細胞膜領域及び123個のアミノ酸からなる細胞内領域を有し、それらは全て1つのエクソンによって暗号化される(非特許文献19(Pallantら, Proc Nall Acad Sci USA. 1989,86:1328-32);非特許文献20(Shelleyら, Proc Natl Acad Sci USA 1989, 86:2819-23))。前記細胞外領域には46個のセリン残基と47個のスレオニン残基が豊富に存在し、これらの残基は大部分約80個の酸素基−結合された糖鎖(O-linked carbohydrate chain)を有し、さらに1個の窒素基−結合された糖鎖(N-linked carbohydrate)を有している。このような多糖の構造は細胞に応じて多様である(非特許文献21(Carlssonら, JBiol Chem. 1986, 261:12787-95))。
【0003】
ヒトのCD43の遺伝子は2個のエクソンと、1個のイントロン(intron:378bp)で構成され、遺伝子全体翻訳産物(translation product)は全て2番目エクソンによって暗号化される(非特許文献22(Shelleyら, Biochem J. 1990, 270:569-76))。CD43は赤血球を除いた大部分の白血球、血小板及び造血幹細胞上に限定された特異な白血球−タイプマーカとして考えられてきた(非特許文献23(Remold-O'Donnellら, Blood. 1987, 70:104-9);非特許文献24(Fukuda、Glycobiology. 1991, 1:347-56))。前記CD43はヒトの子宮頸部癌細胞株(CaSKI)、ヒトの肺癌細胞株(例:A549)、ヒトの乳房腺癌種細胞株(例:MCF7)、ヒトの繊維肉腫細胞株(例:HT1080)及びヒトの結腸腺癌種細胞株(例:COLO205、HT29、Caco−2、DLD−1及びSW480)のような非造血細胞に由来するヒトの腫瘍細胞株で発現することが知られており(非特許文献25(Fernandez-Rodriguezら, Tumour Biol. 2002, 23:193-201))、またヒトの結腸癌組織でも発現することが報告された(非特許文献26(Sikutら, Int J Cancer. 1999, 82:52-8);非特許文献27(Jungら, Korean J Pathol. 38:8-14))。
【0004】
生合成研究を通じて、CD43の前駆体は約40kDa大きさ(1個のN−グリカン(glycan)を含む)を有し、電気泳動時に54kDaの分子量を示すことが確認された。前記CD43前駆体は多様な糖化過程によって115kDaから200kDa以上の大きさを有する成熟した糖化分子に転換される。胸腺細胞、CD4+Tリンパ球及び単核球は115kDa以上の亜型(isoform)を発現するが、130kDa大きさの亜型は大部分活性化したCD4+T細胞で発現する(非特許文献28(Rosensteinら, Immunol Res. 1999, 20:89-99))。つまり、1個以上の亜型は同一な細胞の表面で共に発現することができる。また、十分に制御された翻訳後O−糖分解パターンは、その結果としてこのような特徴的な分子量を有する亜型を招き、これによって前記亜型は細胞に応じて特異的に発現する。特に、胸腺細胞及びT細胞で発現するコア2β1、6N−アセチルガラトサミン転移酵素(C2GnT)は130kDa大きさのCD43亜型の発現を誘導する(非特許文献29(Pillerら, JBiol Chem.1988, 263:15146-50))。
【0005】
現在まで17個以上の抗−ヒトのCD43抗体が知られており、これら抗体の大部分は細胞外領域に存在する糖抗原決定基と反応し、通常の抗−CD43抗体は成熟した造血細胞上で発現するCD43抗原を認識する(表1)。したがって、前記抗体は白血病またはリンパ腫細胞を検出したり除去したりするのには効果的でない。
【表1】

【特許文献1】Cabilly, 米国特許第4,816,567号
【非特許文献1】Foxら, J Immunol. 1983, 131:762-7
【非特許文献2】Saitohら, Blood. 1991, 77:1491-9
【非特許文献3】Remold-O’Donnellら, Blood. 1987, 70:104-9
【非特許文献4】Borche etら, Eur Jlmmunol. 1987, 17:1523-6
【非特許文献5】Stefanovaら, Folia Biol (Praha). 1988, 34:255-65
【非特許文献6】Alvaradoら, Eur J Immunol. 1995, 25:1051-5
【非特許文献7】Strossら, J Clin Pathol. 1989, 42:953-61
【非特許文献8】Horejsiら, 1997, In Kishimoto T, ら, Leucocyte Typing, Vol. VI: White Cell Differentiation Antigens 494. Garland, New York and London
【非特許文献9】Tkaczukら, Tissue Antigens. 1999, 54:1-15
【非特許文献10】Sikutら, Int J Cancer. 1999, 82:52-8; 11. Mukasaら, Int Immunol. 1999, 11:259-68
【非特許文献11】Shaw、ら, J. Immun., 138:4534(1987), Sun, LK., ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84:214218(1987)
【非特許文献12】Borrebaeck, C. A., Antibody Engineering:A Practical Guide, W. H.Freeman and Company, New York, 1992
【非特許文献13】Queenら(1989)Proc. Nat'l Acad. Sci.USA86:10029-10033
【非特許文献14】ANTIBODY ENGINEERING:A PRACTICAL APPROACH(Oxford University Press 1996
【非特許文献15】Koeler & Milstein Nature, 1975, 256, 495-497
【非特許文献16】Haraguchiら, Proc.Natl.Acad.Sci.US.A.1994, 91:10455-9
【非特許文献17】Davisら, Methods in Molecular Biology、Elsevier Science、New York 1986:285-289
【非特許文献18】Wysockiら, Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1978, 75:2844-8
【非特許文献19】Pallantら, Proc Nall Acad Sci USA. 1989,86:1328-32
【非特許文献20】Shelleyら, Proc Natl Acad Sci USA 1989, 86:2819-23
【非特許文献21】Carlssonら, JBiol Chem. 1986, 261:12787-95
【非特許文献22】Shelleyら, Biochem J. 1990, 270:569-76
【非特許文献23】Remold-O'Donnellら, Blood. 1987, 70:104-9
【非特許文献24】Fukuda、Glycobiology. 1991, 1:347-56
【非特許文献25】Fernandez-Rodriguezら, Tumour Biol. 2002, 23:193-201
【非特許文献26】Sikutら, Int J Cancer. 1999, 82:52-8
【非特許文献27】Jungら, Korean J Pathol. 38:8-14
【非特許文献28】Rosensteinら, Immunol Res. 1999, 20:89-99
【非特許文献29】Pillerら, JBiol Chem.1988, 263:15146-50
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明の目的は、成熟した造血細胞及び造血幹細胞上では発現しないが、ヒトの急性白血病、母細胞危機(blast crisis)が発生した慢性白血病及びリンパ芽球性リンパ腫細胞上で特異的に発現するリンパ芽球性リンパ腫細胞関連CD43抗原決定基を提供することにある。したがって、本発明は配列番号1のアミノ酸配列を含むCD43抗原決定基の単離されたポリペプチドを提供する。
【0007】
本発明の他の目的は、CD43抗原決定基を認識する物質を提供することにある。好ましくは、本発明は配列番号1のアミノ酸配列を含むCD43抗原決定基に特異的に結合する抗体またはその断片を提供することにある。
【0008】
本発明の第3目的は、前記CD43抗原決定基を認識する物質を製造する方法を提供することにある。
【0009】
本発明の第4目的は、急性白血病、母細胞危機が発生した慢性白血病及びリンパ芽球性リンパ腫の診断用物質を提供することにある。
【0010】
本発明の第5目的は、急性白血病、母細胞危機が発生した慢性白血病及びリンパ芽球性リンパ腫を診断する方法を提供することにある。したがって、本発明は生物試料である白血病細胞と抗−CD43抗原決定基に対する抗体を使用して前記抗−CD43抗原決定基に対する抗体の陽性反応を検出することを含む急性白血病を診断する方法を提供する。本発明は生物試料である白血病細胞と抗−CD43抗原決定基に対する抗体を培養して前記抗−CD43抗原決定基に対する抗体の陽性反応を検出することを含む母細胞危機が発生した慢性白血病を診断する方法を提供する。本発明は生物試料であるリンパ腫細胞と抗−CD43抗原決定基に対する抗体を培養して前記抗−CD43抗原決定基に対する抗体の陽性反応を検出することを含むリンパ芽球性リンパ腫を診断する方法を提供する。
【0011】
本発明の第6目的は、白血病、母細胞危機が発生した慢性白血病及びリンパ芽球性リンパ腫の腫瘍細胞を死滅させる薬学組成物を提供することにある。
【0012】
本発明の第7目的は、本発明の診断用物質を使用する診断方法を提供することにある。
【0013】
追加的に、本発明は本発明による治療用物質を使用する治療方法を提供する。
【0014】
実施例の詳細な説明
本発明は急性白血病、母細胞危機が発生した慢性白血病及びリンパ芽球性リンパ腫細胞上では発現するが、成熟した造血細胞及び造血幹細胞上では発現しないCD43抗原決定基を提供する。本発明のCD43は好ましくはヒトのCD43であり、その配列順序はNCBI遺伝子バンク・アクセス番号M61827に登載されている。CD43抗原決定基は配列番号1のアミノ酸配列(以後EP6)を含むポリペプチドであり、好ましくは配列番号2のアミノ酸配列(以後EP9) を含むポリペプチドである。
【0015】
EP6:Pro Leu Trp Thr Ser Ile(配列番号1)
EP9:Glu Gly Ser Pro Leu Trp Thr Ser Ile(配列番号2)
好ましい実施例では、本発明はアミノ酸配列長さが200個未満のポリペプチドを提供し、更に好ましくはアミノ酸配列長さが100個未満、更に好ましくは配列長さが50個未満の配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0016】
また、本発明は配列番号1または配列番号2のアミノ酸配列を必須的に含むポリペプチドを提供する。本発明はまた、配列番号1または配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
【0017】
CD43抗原決定基(EP6及びEP9)はヒトの組織から精製したり、化学的に合成したり、または遺伝工学技術で生産することができる。
【0018】
また、本発明はCD43抗原決定基を認識する物質を提供する。前記物質は抗体、抗体断片、リガンドからなる群より選択することができ、好ましく、前記抗体はモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体からなる群より選択することができ、さらに好ましくは、前記抗体はヒトおよび動物に由来するものであり得る。
【0019】
CD43抗体は抗原を認識する部位、つまり、重鎖可変部位(V)及び軽鎖可変部位(V)を含むので、抗原を優先的に認識することができる。また、本発明はF(ab’)2Fab及びFvなどの抗体断片を含む。特に、Fvは前記重鎖可変部位(V)と軽鎖可変部位(V)をリンカーペプチドで連結して作った単鎖ポリペプチドの抗体断片(いわゆる単鎖Fv)であり、熱安定性を増加させたものである。
【0020】
本発明は、本発明のCD43抗原決定基を認識するキメラ抗体をさらに提供する。本発明で“キメラ抗体”とは1つの種に由来した抗体の可変領域と他の種に由来した抗体の不変領域が結合された抗体またはCDR移植抗体のことを言う。キメラ抗体は組換えDNA技術によって製造することができ、例示的な製造方法は非特許文献11(Shaw、ら, J. Immun., 138:4534(1987), Sun, LK., ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84:214218(1987))に記載されている。
【0021】
公知の他の技術を使用してCDR移植抗体及びキメラ抗体を製造することができる。“CDR”または“相補性決定領域”または“超可変領域”は抗原結合部位を形成するのに寄与する3次元ループ構造を形成する抗体の軽鎖及び重鎖に位置するアミノ酸配列順序のことである。
【0022】
本明細書で“CDR移植抗体”とは、不変ドメイン及び/または可変ドメインにある1つ以上のCDR配列順序の少なくとも一部が、与えられた抗原または受容体に対して相異なる結合特異性を有する抗体に由来したCDR配列順序の類似部分で置換されたアミノ酸配列順序を有する抗体のことである。
【0023】
本明細書で“軽鎖可変領域”及び“重鎖可変領域”とは各抗体の多様な1次アミノ酸配列順序をそれぞれ有する軽鎖及び重鎖のN−末端部分に位置した領域またはドメインのことである。前記抗体の可変領域は軽鎖及び重鎖のN−末端ドメインを含み、これらが共に折り畳まれて抗体の3次元結合部位を形成する。
【0024】
類似CDR配列順序は受血者抗体または基質上に“移植”される。“提供者”抗体はCDR配列順序を供給する抗体であり、前記置換された配列順序を受容する抗体は“基質”抗体である。本技術分野の公知の方法と本明細書に記載された技術を併合して、本技術分野の専門家は容易にCDR移植抗体を製造することができた(非特許文献12(Borrebaeck, C. A., Antibody Engineering:A Practical Guide, W. H.Freeman and Company, New York, 1992, 参照として含まれる))。
【0025】
本発明はまた、本発明のCD43抗原決定基を認識するヒト化抗体を提供する。本明細書で“ヒト化抗体”とはヒトの抗体だけでなく、非ヒトの(例:マウス)の抗体に由来した配列順序を含む抗体を形成することを言う。前記ヒト化抗体は非ヒトの免疫グロブリンに由来した最小の配列順序を含むキメラ抗体である。一般に、前記ヒト化抗体は少なくとも1つ、一般には2つの可変ドメインを含み、前記超可変ループの全てまたは実質的に全ての領域は非ヒトの免疫グロブリン配列順序に対応し、全てまたは実質的に全てのFR領域はヒトの免疫グロブリン配列順序である。選択的にヒト化抗体はまた少なくとも一部分の免疫グロブリン不変領域(Fc)、一般にヒトの免疫グロブリンを含む。例えば、特許文献1(Cabilly U.S.Pat.No.4,816,567);非特許文献13(Queen ら,(1989)Proc. Nat'l Acad. Sci.USA86:10029-10033);及び非特許文献14(ANTIBODY ENGINEERING:A PRACTICAL APPROACH(Oxford University Press 1996))を参照せよ。
【0026】
本発明の好ましい一例では、前記抗体は配列番号1のアミノ酸配列で構成されるペプチドに結合する。
【0027】
前記抗体または抗体の断片は、放射線同位元素、毒素、蛍光物質、クロモゲン及び染色物質からなる群より選択される物質で標識することをさらに含むことができる。前記蛍光物質としてはフルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリトリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)及びビオチンなどを使用することができるが、これに制限されるわけではない。
【0028】
CD43抗体または抗体断片は放射線同位元素、毒素化合物、毒素蛋白質及び抗癌剤からなる群より選択される毒性物質をさらに含むことができる。前記抗体または抗体断片は毒性物質と結合して融合蛋白質を形成する。前記毒素蛋白質としてはリシン、サポリン、ゲロニン、モモルディン、ジフテリア毒素及びシュードモナス毒素を含むことができるが、これに制限されるわけではない。
【0029】
また、本発明はCD43抗原決定基を選択的に認識する物質を製造する方法と、前記抗体を生産する細胞株を提供する。前記抗体または抗体断片の製造方法は、(a)CD43抗原決定基を含むポリペプチド、CD43抗原決定基を含む蛋白質、CD43抗原決定基を含むCD43蛋白質断片またはCD43抗原決定基を発現する細胞を動物に注入して免疫化させる段階、(b)前記免疫化された動物から脾臓細胞を収得する段階、(c)前記脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合させる段階、及び(d)CD43抗原決定基に対する抗体を生産するハイブリドーマ細胞を選別する段階を含むことができる。前記抗体は生体外で抗体生産細胞を培養したり、前記抗体を生産する細胞を動物に注入したりして分離することができる。前記抗体は培養上澄み液または腹水をイオン交換クロマトグラフィーまたは親和性クロマトグラフィーを利用して精製することができる。
【0030】
本発明の一例では、本発明は抗−CD43抗原決定基に対する抗体またはその断片と薬学的に許容可能な担体とを含む、急性白血病、母細胞危機が発生した慢性白血病及びリンパ芽球性リンパ腫を治療するための薬学的組成物を提供する。
【0031】
本発明による抗体または抗体断片の投与は薬学的組成物の利用可能な投与方法を使用して行うことができる。例えば、前記抗体は経口または好ましくは非経口で患者に投与することができる。投与剤形は固形、半固形、凍結乾燥粉末または液剤形態、例えば、錠剤、坐薬、丸薬、軟質及び硬質ゼラチンカプセル、粉末、溶液、懸濁液、エアロゾルなどのような形態であってもよく、好ましくは正確な投与量で簡単に投与できる形態であってもよい。
【0032】
本発明の薬学的組成物は通常の薬学的担体または賦形剤と本発明の抗体を活性成分として含むことができ、さらに、他の医薬剤、薬学的作用剤、担体、賦形剤、希釈剤、ベヒクルまたはこれらの混合物を含むことができる。前記薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または添加剤だけでなく、多様な投与方式で製造された薬学的組成物は本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によく知られている。活性成分の適した投与量は患者の状態に応じて決めることができ、例えば、1日当たり3mg乃至6,000mgであり得る。
【0033】
本発明の一例では、本発明は前記抗体または抗体断片を利用して急性白血病、母細胞危機が発生した慢性白血病またはリンパ芽球性リンパ腫を治療する方法を提供し、前記抗体または抗体断片は抗体、抗体断片、単鎖ポリペプチド抗体断片及びリガンドからなる群より選択される。好ましくは、前記抗体または抗体断片はモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体からなる群より選択されることができ、さらに好ましくはヒトおよび動物に由来したものであってもよい。前記抗体または抗体断片は放射線同位元素、毒素化合物、毒素蛋白質及び抗癌剤からなる群より選択される毒性物質を含むものであってもよい。
【0034】
さらに、本発明は前記抗体または抗体断片を利用して急性白血病、母細胞危機が発生した慢性白血病、またはリンパ芽球性リンパ腫を診断する方法を提供する。前記方法は(a)生物試料である細胞と前記抗体または抗体断片を反応させる段階、及び(b)前記抗体に陽性反応を示す試料を検出する段階を含む。本発明の腫瘍は好ましくは急性白血病、母細胞危機が発生した慢性白血病またはリンパ芽球性リンパ腫である。
【0035】
また、本発明は前記抗体または抗体断片を利用して急性白血病、母細胞危機が発生した慢性白血病またはリンパ芽球性リンパ腫を診断するキットを提供する。前記診断キットは、前記抗体物質に加えて、抗原−抗体反応を検出する方法を含むことができる。前記検出方法は好ましくは流動細胞測定法、免疫組織化学法、酵素結合免疫吸収分析法(ELISA)、放射免疫決定法(RIA)、酵素免疫測定法(EIA)、蛍光免疫測定法(FIA)及び発光免疫測定法(LIA)からなる群より選択される方法であり得る。前記検出方法は酵素(例:HRP)、蛍光物質(例:FITC)、発光物質(例:ルミノール、イソルミノール及びルシゲニン)及び同位元素(例;125I、H、14C及び131I)からなる群より選択される標識物質を含むことができるが、これに制限されるわけではない。前記抗原因植物質の反応度は酵素反応、蛍光、発光または放射線を検出する装置を利用して確認できる。前記診断キットは前記抗体または抗体断片を含む流動細胞測定キット、免疫化学的キット、ELISAキットまたはストリップキットで製造することができる。
【0036】
本発明を下記の実施例によってより詳しく説明する。但し、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるわけではない。
【実施例1】
【0037】
胸腺細胞の新規な表面蛋白質をスクリーニングするために、下記の実施例に記載された方法によってヒトの胸腺細胞をBalb/cマウスに接種して前記ヒトの胸腺細胞に対する抗体を製造した。
【0038】
Balb/cマウスに6週間の2週間隔で10個のヒトの胸腺細胞を腹腔内走査して免疫反応を誘導し、最後の追加接種後3日目に脾臓を摘出して脾臓細胞懸濁液を製造した。モノクローナル抗体はヒトの胸腺細胞で免疫化させたBalb/c脾臓細胞と9−アザグアニンに耐性を有するSP2/0−Ag14マウス骨髄種細胞を融合させて製造した。細胞融合蛋白質はKoeler及びMilsteinの方法(非特許文献15(Koeler & Milstein Nature, 1975, 256, 495-497))によって製造した。50%のポリエチレングリコール4000を利用して10個の脾臓細胞を10個の骨髄種細胞と融合させ、前記融合細胞を洗浄した後、20%の牛胎児血清アルブミン、100μMのヒポキサンチン、0.44μMのアミノプテリン及び16μMのチミジンを含むDMEM(Dulbeco's modified Eagle's medium)培地(HAT培養液)に再懸濁させた。前記細胞を4個の96−ウェルプレートに分株し、37℃、5%のCOが供給される培養器で培養した。2週後コロニーが形成されると上澄み液を取り、免疫組織化学染色及び流動細胞測定法を利用して前記抗体の力価を測定した。
【0039】
ウェル当たり10個以上の細胞を含む場合、そのウェルを陽性グループと定めた。高い抗体力価を示すウェルから細胞を取り、抗体力価の高い安定したハイブリドーマクローンを製造するために前記細胞を制限稀釈試験法によってサブクローニングした。このように製造されたハイブリドーマクローンは培地内で抗体を分泌し、このような培地はその後の実験のために保存した。
【実施例2】
【0040】
実施例1で製造されたハイブリドーマクローンの中で胸腺細胞の表面抗原を特異的に認識する抗体を分泌する単一クローンを選別するためにアビジンとビオチンとの結合によるアビジン−ビオチン複合体(ABC)染色法によって実施例1から得られたハイブリドーマクローンの上澄み液を使用して4μm厚さに剥片された新鮮な組織とホルマリン固定されたパラフィン包埋組織のスライドに免疫組織化学染色を実施した。前記モノクローナル細胞の上澄み液を1次抗体として使用した。前記パラフィン包埋組織はパラフィン除去過程を経た後、非特異的な染色反応を防止するために正常マウス血清で1時間処理した。1次抗体処理後、1日間反応させて燐酸塩緩衝食塩水(PBS)で3回洗浄した。2次抗体としてはビオチンが結合されたヤギ抗マウス免疫クルロブルリンを使用した。2次抗体処理後1時間室温で放置した後、PBSで3回洗浄した。その後、ストレプトアビジン及び西洋ワサビ過酸化酵素(HRP)接合体を処理し、3,3'−ジアミノベンジジンテトラヒドロクロリド(DAB)及びDAKO社のH溶液を前記染色された細胞に処理して20分間放置し、PBSで3回洗浄した。その後、前記スライドにカバーガラスを覆って光学顕微鏡で観察した。
【0041】
その結果、ヒトの胸腺細胞に特異的に反応する抗体を生産するハイブリドーマ単一クローン細胞株を選別し、これをEB−1と命名した。図1はEB−1抗体を生産するハイブリドーマクローンの上澄み液で胸腺を免疫組織化学染色した写真である。図1に示したように、大部分の胸腺細胞は陽性で染色され、胸腺細胞の表面は強く染色されてEB−1抗体によって認識される抗原が前記細胞表面の抗原であることを分かる。
【実施例3】
【0042】
胸腺細胞の発達段階によるEB−1抗体の反応性を確認するために流動細胞測定法を実施した。心臓手術によって摘出されたヒトの胸腺を細かく裂き、単一の細胞懸濁物を調製した。1x10細胞を100μlのPBSに懸濁させて実験用チューブに分配し、100μlのEB−1培養上澄み液を添加して攪拌した。前記溶液を4℃で30分間反応させ、1,500rpmで5分間遠心分離した後、ペレットをPBSで2回洗浄して未反応抗体を除去した。前記ペレットを希釈された2次抗体(FITC−結合されたヤギ抗−30マウスIg、Zymed社)を含む50μlの溶液に懸濁させ、4℃の暗室で30分間反応させた。2回洗浄した後、前記ペレットをフィコエリトリン(PE)−結合された抗−CD8抗体及びアロフィコシアニン(APC)−結合された抗−CD4抗体を含む50μlの溶液に懸濁させた後、4℃の暗室で30分間さらに反応させて2回洗浄した。
【0043】
遠心分離した後、200μlのPBSを前記ペレットに添加した。胸腺細胞をCD4及びCD8の発現パターン(つまり、CD4CD8二重陰性胸腺細胞、CD4+CD8+二重陽性胸腺細胞、CD+CD8またはCD4CD8+単一陽性胸腺細胞)によって4個のサブセットに分類し、EB−1陽性細胞の比率及びEB−1染色の強度を流動細胞測定器で分析した。図2は三色流動細胞測定法を利用してヒトの胸腺細胞に対するEB−1の反応性を示す結果で、胸腺細胞の全てのサブセット、特に二重陽性胸腺細胞上で最も強く染色されることを確認した。図2で実線はEB−1抗体による染色を示し、関係ない抗体による陰性染色を黒塗りのヒストグラムで示した。
【実施例4】
【0044】
EB−1抗体を分泌するハイブリドーマクローンから分泌された前記抗体を高濃度で収得するために腹水を準備した。0.5mlのプリスティンをBalb/cマウスの腹腔内に注射し、3週後10%の牛胎児血清が含まれたDMEM培地で培養された10個のEB−1ハイブリドーマクローンを前記マウスの腹腔内に接種した。2〜3週後腹水を採取し、前記腹水から5〜10mg/mlの高濃度の抗体を収得した。腹水にはアルブミンのような汚染蛋白質が複数存在するためにヒトの胸腺細胞に反応する免疫グロブリンのみを精製した。前記Balb/cマウスで収得した腹水から高濃度の抗体を精製するために、Q−セファロースクロマトグラフィー及びヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(Bio−gel HTP Gel, Pharmacia社)を行った。
【0045】
腹水10ml当り3.14gの硫酸アンモニウムを加えて氷上で徐々に溶かした(50%(NHSO沈澱)。前記混合物を15,000rpmで30分間遠心分離し、脱イオン水に再懸濁させた後、1Lの緩衝溶液(20mMのリン酸、pH7.4)で透析した。前記溶液を緩衝溶液(20mMのリン酸、pH7.4)で予め平衡化させたQ−セファロースコラムに通過させて吸着させた後、前記コラム上に存在する遊離蛋白質を除去するために前記緩衝溶液を再び前記コラムに通過させて吸着させた。その後、緩衝溶液I(20mMのリン酸、pH7.4)及び緩衝溶液II(20mMのリン酸、0.5MのNaCl、pH7.4)を利用してNaClの濃度勾配を0Mから0.8Mまで線状勾配に流して前記コラムに吸着した蛋白質を溶出した。各分画物に対してSDS−PAGEを実施し、これからEB−1抗体を含む分画物を収得した。
【0046】
前記分画物を緩衝溶液(20mMのリン酸、pH6.8)で透析し、緩衝溶液(20mMのリン酸、pH6.8)で予め平衡化させたヒドロキシアパタイトコラムに通過させて吸着させた後、前記コラム上に存在する遊離蛋白質を除去するために前記緩衝溶液を再び前記コラムに通過させて吸着させた。その後、緩衝溶液III(20mMのリン酸、pH6.8)及び緩衝溶液IV(300mMのリン酸、pH6.8)を利用して燐酸の濃度勾配を0Mから0.3Mまで線状勾配に流して前記コラムに吸着した蛋白質を溶出した。各分画物に対してSDS−PAGEを実施し、抗体の純度が95%以上である分画物を収得した。得られたEB−1抗体を適切な緩衝溶液で透析した後、保存した。反復実験を通じて腹水1ml当り5〜10mgのモノクローナル抗体を調製した。
【実施例5】
【0047】
本実施例では胸腺の代わりに正常白血球に対するEB−1抗体の反応有無を調査するために、1次抗体として実施例4で精製されたEB−1抗体を使用し、実施例3の流動細胞測定法によって分析した。前記分析のためにEB−1抗体をFITCまたはPEと直接結合して使用するか(この場合、前記抗体は蛍光のための2次抗体が必要ではない)、またはビオチン−結合されたEB−1抗体を蛍光物質−結合されたストレプトアビジンと結合して使用した。
【0048】
下記表2は10μg/mlのPHA(Phytohemagglutinin)または5μg/mlの抗−CD3抗体を含む培地で培養された正常末梢血液白血球、活性化した末梢血液単核細胞、正常脾臓細胞、正常胸腺細胞及び臍帯血内に存在するCD34+AC133+造血幹細胞の表面上に現れるEB−1抗体の反応性を示す。これらの全ては、胸腺細胞を除いて、EB−1抗体に対して陰性として現れた。図3は正常白血球に対する流動細胞測定結果を示すもので、この時、実線はEB−1抗体による染色を示し、関係ない抗体による陰性染色を黒塗りのヒストグラムで示した。
【表2】

【実施例6】
【0049】
本実施例では胸腺の代わりに正常組織に対するEB−1抗体の反応有無を調査するために、1次抗体として実施例4で精製されたEB−1抗体を使用し、実施例2の免疫組織化学染色法によって測定した。下記表3は多様な各組織で現れるEB−1抗体の反応性を示す。胸腺細胞を除いて、末梢リンパ組織、小脳、膵臓、卵巣及び睾丸、皮膚、肺、副腎及び腎臓を含む他の全ての組織はEB−1抗体に対して陰性として現れた。
【表3】

【実施例7】
【0050】
本実施例では正常骨髄細胞に対するEB−1抗体の反応有無を調査するために、1次抗体として実施例4で精製されたEB−1抗体を使用し、実施例3の流動細胞測定法によって分析した。前記分析のために、ビオチン−結合されたEB−1抗体及びAPC−結合されたストレプトアビジンをFITC−結合された抗−CD10、抗−CD33、抗−CD38、抗−CD71または抗−AC133抗体及びPE−結合された抗−CD34抗体と共に使用した。図4は三色流動細胞測定法で測定した結果であり、この時、CD34+細胞に対する結果は除いた。その結果、骨髄または臍帯血ではCD34+AC133+(図4A)またはCD34+CD38−/dim(図4B)細胞が多能性幹細胞であると確認され、これらはEB−1抗体と全く反応しなかった。さらに、顆粒区を形成する前駆細胞、赤血球、単核細胞、巨核細胞(CFU−GEMM)、CFU−GM、バースト形成単位赤血球、及びCD34+CD71bright赤芽球系委任(erythroid-committed)前駆細胞のような実質的にコロニーを形成する全ての細胞を含むCD34+CD33+細胞(図4D)はEB−1抗体によって染色されなかった(図4E)。これに反し、EB−1抗体によって染色される陽性細胞は大部分のリンパ系委任(lymphoid-committed)CD34+CD10+前駆細胞で確認された(図4C)。
【0051】
前記結果を総合してみると、EB−1抗体は胸腺細胞及び骨髄内一部造血幹前駆細胞でのみ制限的に反応し、その他に成熟した末梢血液細胞、造血幹細胞及び非−造血組織を含む造血幹細胞では反応しなかった。
【実施例8】
【0052】
EB−1抗体によって認識される抗原を調査するために、インビトロゲン(Invitrogen)によって製造されたpoly(A)+RNA及びpcDNA3発現ベクターを利用してヒトの胸腺細胞のcDNAライブラリーを製造した。前記ライブラリーは3.5x10個の独立したコロニーを含み、宿主細胞はバクテリアMC1061/P3菌株を使用した。制限酵素であるXhoIで処理されたGb3合成酵素cDNAクローン、pD3T31(非特許文献16(Haraguchiら, Proc.Natl.Acad.Sci.US.A.1994, 91:10455-9))の切片を、XhoI制限酵素認知部位を有するpMIK/Neo発現ベクターに挿入して、pMIK/D3T31プラスミドを製造した。
【0053】
前記cDNAライブラリーのプラスミドを増幅させてpMIK/D3T−31ベクターと共にDEAE−デキストリン(Pharmacia Biotech、Uppsala、Sweden)を利用して従来の方法(非特許文献17(Davisら, Methods in Molecular Biology、Elsevier Science、New York 1986:285-289))によって293T細胞に形質感染させた。具体的に、8μgの前記各cDNAライブラリーのプラスミドとpMIK/D3T−31プラスミドを10cm培養皿上に半分ほど満たされた293T細胞(1.5x10個の細胞数)に形質感染させた。60時間後、前記形質感染した細胞を培養皿から分離し、1:200に希釈したEB−1モノクローナル抗体と氷上で45分間反応させた。前記反応させた細胞を従来方法によって(非特許文献18(Wysockiら, Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1978, 75:2844-8))ヤギ抗−マウスIgMでコーティングされた培養版に移した。培養版に付着された細胞からプラスミドDNAを回収し、これを293T細胞に形質感染させ、拡張されたプラスミドDNAを再び293T細胞に形質感染させ、前記過程を4回以上繰り返した。その後、30個の各コロニーを含む96プールを調製し、EB−1抗体に対する反応性によってスクリーニングした。最終的に2個の陽性プールから17個のクローンを検出し、このうち293T細胞上でEB−1と直接反応する3個の単一コロニーをマイクロスケールDEAE−デキストリン形質感染及び免疫蛍光測定法を利用して分離した。
【0054】
前記で分離されたcDNAプラスミドを制限酵素であるXhoI及びHindIIIで切断して抽出した後、これをphagemid BlueScript(pBSK)KS(+)ベクターにクローニングした。前記クローンの欠損型突然変異はKilo−Sequence deletion kitを利用して準備した。
【0055】
ジデオキシヌクレオチドターミネーター配列順序はT3/T7dyeプライマーまたは4個の追加的なジオキシターミネーターと、PRISMdye terminator cycle sequencing kit及びApplied Biosystems社で製造されたModel377DNA配列順序分析器を利用して分析した。分析されたDNA塩基配列をBlast検索した結果、EB−1抗体によって認識された抗原はCD43であることが確認された。
【0056】
EB−1モノクローナル抗体がヒトのCD43抗原を認識するかどうかを確認するために、ヒトのCD43が形質感染された293T細胞をEB−1抗体及び通常使用される抗−CD43抗体であるDFT−1で染色した。図5に示したように、EB−1抗体は自然型293T細胞に対してはいかなる反応も示さなかったが、CD43−形質感染した293T細胞はEB−1及びDFT−1によって全て染色されることを確認した。したがって、EB−1はヒトのCD43抗原に特異的なモノクローナル抗体である。
【0057】
CD43は重糖鎖化蛋白質であるので、本発明者らはCD43−陽性Molt−4細胞にシアリダーゼ(sialidase)を処理する場合、シアリダーゼがCD43抗原に対するEB−1抗体の免疫反応を調節するかどうかを測定した。図6はシアリダーゼ処理前後のMolt−4細胞の流動細胞測定結果を示し、点線は関係ない抗体による陰性染色であり、細い実線および太い実線はそれぞれシアリダーゼ処理されなかったMolt−4細胞及びシアリダーゼ処理されたMolt−4細胞に対するEB−1抗体の免疫反応を示す。Molt−4細胞に対するEB−1抗体の免疫反応でシアリダーゼはいかなる影響度与えなかった。
【0058】
このような結果を確認するために、SDS−PAGE及びウェスタンブロッティング(Western blotting)を実施した。具体的には、シアリダーゼ処理または未処理された1x10'個のヒトの胸腺細胞またはMolt−4腫瘍細胞を1mlの細胞粉砕溶液(50mM Tris−HC1,pH7.4;150mM NaCl;0.5%w/v Nonidet P−40;1mM フェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF))に懸濁させて粉砕した後、13,000gで15分間遠心分離して上澄み液蛋白質を取った。
【0059】
前記蛋白質を還元状態の10%のSDS−ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動して分離した。前記分離ゲルのアクリルアミド濃度は10%であり、適切な分子量を示すマーカと共に使用した。前記ゲル上にある蛋白質をニトロセルロース膜に転写するために45Vで16時間電気泳動を行った。その後、前記ニトロセルロース膜を5%の脱脂乳及び0.05%のTween−20を含むPBSを含むブロッキング溶液で2時間培養した後、培養されたニトロセルロース膜に1ug/ml濃度で前記ブロッキング溶液に希釈されたEB−1抗体を処理して1日間培養した。前記膜を洗浄溶液(0.05%Tween−20を含むPBS)で3回洗浄した後、ブロッキング溶液に1:3000比率で希釈されたHRP−結合されたヤギ抗−マウス免疫グロブリンGを前記膜に処理して1時間培養した。3回洗浄した後、各反応蛋白質バンドをAmersham Pharmacia Biotech社で製造されたECLキットで検出した。図7はEB−1抗体を処理した胸腺細胞(AおよびB)及びMolt−4細胞(CおよびD)のSDS−PAGE及びウェスタンブロッティング分析結果を示す。レーンA及びCはシアリダーゼが未処理された細胞粉砕物の電気泳動写真を示し、レーンB及びDはシアリダーゼ処理された細胞粉砕物の電気泳動写真を示したものである。EB−1抗体はシアリダーゼ−処理及び未処理されたCD43分子を認識した。これからEB−1抗体はCD43分子の糖化されない部位も認識することが分かる。
【実施例9】
【0060】
EB−1抗体によって認識されるCD43抗原決定基を決めるために、CD43突然変異体を製造した。ヒトのCD43遺伝子のコーディング配列順序はCD43 cDNAから増幅し、発現ベクターを製造するのに使用した。例えば、GST−融合蛋白質を製造するためにPCRで増幅した前記CD43コーディング配列順序をPharmacia社で製造されたpGEX−2Tベクター内にクローニングしてCD43組換えプラスミドを製造した。前記PCR増幅に使用されたプライマーはGeneBankに登載された配列順序に基づいてして設計され、精製されたPCR産物を37°Cで1日中BamHIとBglIIまたはEcoRI制限酵素で処理されたpGEX−2Tベクター内に容易にクローニングするために、BamHI及びEcoRIまたはBglII制限酵素認知部位を含むように設計された。クローニングは前記PCR産物とベクターの混合物にT4連結酵素を添加して16℃で1日間反応させた後、大腸菌コンピテント(competent)TOP10F’細胞に形質転換した。図8は11種のCD43欠損突然変異体を図式化したものである。例えば、pGEX1−253はヒトのCD43蛋白質の1乃至253番目アミノ酸配列順序を含むベクターを意味する。
【0061】
ヒトのCD43コーディング配列順序を含むGST−融合蛋白質を発現させるために、前記形質転換されたTOP10バクテリア細胞を50μg/mlのアンピシリンが含まれたLB培地で37℃で1日間の培養した。培養された細胞を前記と同一濃度のアンピシリンを含む新鮮なLB培地に20倍で希釈して接種した後、吸光度が0.6になるまで37℃で314時間培養した。前記蛋白質発現を誘導するために、前記培養された培地に最終濃度が1mMになるようにIPTGを添加した。37℃で4時間の間に一定に攪拌した後、4℃、6000gで15分間遠心分離してペレットを得た。その後、前記ペレットを3mlの細胞粉砕溶液(50mMのTris−HCI、pH8.0;1mMのEDTA、100mMのNaCl)で再懸濁させた。前記懸濁物に最終濃度が0.2mMになるようにPMSFを添加した後、氷上で30分間培養した。
【0062】
CD43突然変異体に対するEB−1抗体の免疫反応を確認するためのウェスタンブロッティングを実施するために、GST−CD43融合蛋白質の各細胞粉砕物の一定の量を10%のSDS−ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動して分離した後、ニトロセルロース膜に転写した。前記ニトロセルロース膜をEB−1抗体または抗−GSTポリクローナル抗体で処理し、実施例8による強化された化学発光法で各反応蛋白質バンドを検出した。
【0063】
図9はCD43突然変異体とEB−1抗体(A)及びCD43突然変異体と抗−GST抗体(B)のウェスタンブロッティング結果を示す。レーン1はpGEX1−253で、レーン2はpGEX1−98で、レーン3はpGEX1−87、レーン4はpGEX1−81、レーン5はpGEX1−75、レーン6はpGEX1−70、レーン7はpGEX70−99、レーン8はpGEX71−81、レーン9はpGEX73−81、レーン10はpGEX76−81、レーン11はpGEX73−80、レーン12はpGEX−2T、及びレーン13はヒトの胸腺細胞の粉砕物である。図9に示したように、pGEX73−81はEB−1抗体によって認識されるCD43抗原の最少配列順序を含むので、EB−1抗体に対するCD43抗原決定基はCD43の73乃至81番目アミノ酸配列順序であることが分かる。前記配列順序はGlu Gly Ser Pro Leu Trp Thr Ser Ile(配列番号2)である。したがって、このような配列順序はEB−1抗体によって認識される前記抗原決定基が成熟した血液細胞、造血幹細胞、骨髄内の造血前駆細胞のサブセット、または非造血組織では全く発現されないという特徴を知るのに非常に有用である。
【実施例10】
【0064】
実施例3、5、6及び7の結果からEB−1抗体は造血幹細胞を除いた骨髄内の造血前駆細胞のサブセットでのみ制限的に免疫反応が現れることを確認した。したがって、本実施例ではEB−1抗体によって認識されるCD43抗原決定基が白血病細胞でも発現するかどうかを調査しようとし、そのために実施例3の流動細胞測定法を利用した。白血病患者から末梢血液を採血してEDATAチューブに入れ、Amersham Pharmacia Biotech社から製造されたFicoll−Hypaqueを利用した遠心分離によって赤血球及び成熟した顆粒区を分離した。精製された細胞をFITC−結合されたEB−1抗体で処理して流動細胞測定器で分析した。下記表4はEB−1抗体を利用して白血病試料の流動細胞測定結果を示したものである。全38個の白血病試料の中で31個の白血病試料(81.6%)、つまり、急性骨髄白血病(AML)の90.9%(22個のうちの20個)、急性リンパ性白血病(ALL)の69.2%(13個のうちの9個)及び母細胞危機が発生した慢性骨髄白血病(CML)の66.7%(3個のうちの2個)で陽性として現れ、腫瘍細胞でもEB−1抗体に対して陽性が現れた。図10はEB−1抗体で染色した代表的な白血病細胞の流動細胞測定結果である。実線はEB−1抗体によって染色された部分であり、関係ない抗体によって染色された部分を黒塗りのヒストグラムで示した。
【表4】

【0065】
また、本実施例では実施例4から精製されたEB−1抗体を1次抗体として使用する場合、リンパ芽球性リンパ腫組織に対して免疫反応を示すかどうかを調査するために、実施例2の免疫組織化学染色法を行った。図11はEB−1抗体によって染色された代表的なリンパ芽球性リンパ腫組織の免疫染色パターンを示したものである。全9個の中で4個(44.4%)のリンパ芽球性リンパ腫組織でEB−1抗体に陽性反応を示した。
【0066】
したがって、EB−1抗体及びそのCD43抗原決定基は急性白血病、母細胞危機が発生した慢性白血病及びリンパ芽球性リンパ種などの多様な疾患に有用な診断及び治療用道具として使用することができる。
【実施例11】
【0067】
EB−1抗体を治療目的として使用できるかどうかを調査するために、EB−1免疫毒素及びヒトの白血病を誘発するマウスモデルを開発した。免疫毒素を生産するためにEB−1抗体のSH基にSigmaで製造されたサポニンを結合した(Politoら, 2004)。ヒトの白血病を誘発するマウスモデルは300μlのPBSに2x10個のCCRF−CEM細胞を懸濁させた後、これをRAG−1欠乏マウスの尻尾静脈に注射して製造した。1週間後、2日間隔で全4回にかけてEB−1抗体単独、EB−1−サポリン免疫毒素または非関連性抗体を一度に100μg(300μlのPBS中)ずつ、尻尾静脈に投与した。4週後、各マウスの眼窩静脈叢で採血した血液を実施例3及び実施例10の流動細胞測定法によってFITC−結合されたEB−1抗体及びPE−結合された抗−ヒトのMHCクラスI抗体と反応させた。図12はマウスの血液内白血病細胞の代表的な流動細胞分析結果を示したものである。対照群マウスの場合、末梢血液内細胞中23.4%の細胞がCD43−及びヒトのMHCクラスI−陽性であるCCRF−CEM細胞であったが、EB−1−サポニン免疫毒素を処理したマウスの場合、CCRF−CEM細胞は1.3%以上減少し、EB−1抗体のみを処理したマウスの場合には対照群マウスに比べて約2倍程度白血病細胞の数が減少した。したがって、EB−1抗体は腫瘍細胞内への毒性物質伝達、抗体依存的細胞連携毒性(ADCC)、または他の機序によって急性白血病細胞を治療する効果的な道具として提供される。
【実施例12】
【0068】
EB−1抗体はCD43の前記73乃至81番目アミノ酸配列、つまり、Glu Gly Ser Pro Leu Trp Thr Ser Ile(配列番号2)を認識する。これに、本実施例では白血病及びリンパ腫の診断及び治療に有用な新規な抗−CD43抗体を開発するために、配列番号2を含むCD43の70乃至98番目アミノ酸配列順序を暗号化するDNA切片をpQE−40ベクターにクローニングし、これをコンピテント大腸菌TOP10F´細胞に形質転換した。形質転換されたTOP10F’細胞は実施例9に記載された方法によって培養し、Amersham Pharmacia Biotech社で製造されたNickelコラムを利用してバクテリア細胞粉砕物からCD43融合蛋白質を精製した。精製されたSY−CD43融合蛋白質100μgを完全フロイントアジュバント(complete Freund's adjuvant)と混合してBalb/cマウスの腹腔内に注射した。
【0069】
4週後、2週間隔で2回にわたって不完全フロイントアジュバントと混合したCD43融合蛋白質100μgをマウス腹腔内に再び注射した。最後の追加接種を行った後、3日目に免疫化されたマウスから脾臓を摘出し、ハイブリドーマ細胞を実施例1に記載された方法によって製造した。ハイブリドーマ細胞の培養上澄み液をヒトのCD43−形質感染したマウスEL4細胞と反応させて流動細胞分析を実施し、CD43−形質感染したEL4細胞と反応する2個のハイブリドーマクローンをそれぞれEB−2及びEB−3として命名した。図13はCD43−形質感染したEL4細胞株、ヒトの胸腺細胞、ヒトの末梢血液細胞及びヒトの急性白血病細胞をEB−2抗体及びEB−3抗体と反応させて測定した流動細胞分析結果を示したものである。その結果、EB−2及びEB−3抗体に対してCD43−形質感染したEL4細胞株、ヒトの胸腺細胞及びヒトの白血病細胞は全て陽性として現れたが、ヒトの末梢血液細胞は前記2つの抗体に対して陰性として現れた。したがって、EB−2及びEB−3抗体は全てEB−1抗体と類似な染色様相を示すことが分かる。
【実施例13】
【0070】
本実施例ではCD43欠損突然変異体を利用してEB−2及びEB−3抗体によって認識されるCD43抗原決定基を決めるために、実施例9によるSDS−PAGE及びウェスタンブロッティングを実施した。図14はEB−2及びEB−3とCD43突然変異体のウェスタンブロッティング結果を示したものである。EB−3抗体に対するCD43抗原決定基はEB−1抗体に対するCD43抗原決定基と類似する。つまり、EB−1及びEB−3抗体に対する最小抗原決定基は全てCD43の73乃至81番目アミノ酸配列順序(配列番号2;Glu Gly Ser Pro Leu Trp Thr Ser Ile)である。しかし、EB−2抗体はEB−1及びEB−3抗体より小さいペプチド配列順序を認識する。つまり、EB−2抗体に対する最小抗原決定基はCD43の76乃至81番目アミノ酸配列順序であり、その配列順序はPro Leu Trp Thr Ser Ile(配列番号1)である。
【0071】
本発明のCD43抗原決定基は胸腺細胞を除いた正常の非造血組織、成熟した血液細胞及び活性化した末梢血液細胞では発現しないので、CD43抗原決定基が組織検査または末梢血液検査の際に発現するかどうかを測定することにより、急性白血病、母細胞危機が発生した慢性白血病及びリンパ芽球性リンパ腫の診断に有用に用いることができる。また、本発明のCD43抗原決定基は胸腺細胞及び骨髄内の造血前駆細胞のサブセットを除いた造血幹細胞及び正常組織では発現しないために、急性白血病、母細胞危機が発生した慢性白血病及びリンパ芽球性リンパ腫の治療のための治療剤として有用に用いることができる。
【0072】
生物学的活性ポリペプチドの実施例の説明は本発明に例示されるが、当分野の熟練した者の明白な変形によって本発明が前記に記載した特定の実施例によって制限されるわけではない。本発明の範囲は下記請求項の範囲内で定められる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
下記発明の詳細な説明を下記添付図面と共に考慮することによって本発明及びその長所についてさらに容易に理解できる。
【図1】図1は、CD43抗原決定基に特異的なEB−1モノクローナル抗体を生産するハイブリドーマクローンの上澄み液で胸腺を免疫組織化学染色した写真である。
【図2】図2は、三色流動細胞測定法を利用してヒトの胸腺細胞の表面上に現れるEB−1モノクローナル抗体の反応性を測定した写真である。
【図3】図3は、三色流動細胞測定法を利用してヒトの末梢血液白血球及び造血幹細胞の表面上に現れるEB−1モノクローナル抗体の反応性を測定した写真である。
【図4】図4は、三色流動細胞測定法を利用してヒトの骨髄細胞の表面上に現れるEB−1モノクローナル抗体の反応性を測定した写真である。
【図5】図5は、三色流動細胞測定法を利用してヒトのCD43が形質感染された29T細胞株の表面上に現れるEB−1モノクローナル抗体の反応性を測定した写真である。
【図6】図6は、三色流動細胞測定法を利用してシアリダーゼ処理前後のヒトのMolt−4細胞株の表面上に現れるEB−1モノクローナル抗体の反応性を測定した写真である。
【図7】図7は、シアリダーゼ処理前後のヒトの胸腺細胞及びMolt−4細胞破砕物のSDS−PAGEを行った後、EB−1モノクローナル抗体で免疫ブロッティングして測定した写真である。
【図8】図8は、11種のCD43欠損突然変異体を図式化したものである。
【図9】図9は、11種のCD43欠損突然変異体のSDS−PAGEを行った後、EB−1モノクローナル抗体と抗−GSTポリクローナル抗体で免疫ブロッティングして測定した写真である。
【図10】図10は、単色流動細胞測定法を利用してヒトの白血病細胞の表面上に現れるEB−1モノクローナル抗体の反応性を測定した写真である。
【図11】図11は、リンパ芽球性リンパ腫組織をEB−1モノクローナル抗体で免疫組織化学染色した写真である。
【図12】図12は、CCRF−CEM細胞をマウスの尻尾静脈内に注入し、EB−1または対照区抗体を処理したRAG−1欠乏マウスの末梢血液内白血病細胞の表面上に現れるEB−1と抗−ヒトのMHCクラスIモノクローナル抗体の反応性を二重色流動細胞測定法を利用して測定した写真である。
【図13】図13は、CD43が形質感染されたETA細胞株、ヒトの胸腺細胞、ヒトの末梢血液白血球及びヒトの白血病細胞の表面上に現れるCD43抗原決定基で免疫化して製造された2個のさらなる抗−CD43抗体(EB−2及びEB−3)の反応性を単色流動細胞測定法を利用して測定した写真である。
【図14】図14は、5種のCD43欠損突然変異体のSDS−PAGEを行った後、EB−2及びEB−3モノクローナル抗体で免疫ブロッティングして測定した写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列を含むCD43抗原決定基として単離されたポリペプチド。
【請求項2】
前記ポリペプチドのアミノ酸配列個数が100個未満であることを特徴とする請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項3】
前記ポリペプチドのアミノ酸配列個数が50個未満であることを特徴とする請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項4】
前記CD43抗原決定基が胸腺細胞、骨髄細胞の造血前駆体サブセット、急性白血病細胞、母細胞危機が発生した慢性白血病の母細胞、及びリンパ芽球性リンパ腫細胞の表面に特異的に発現することを特徴とする、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項5】
前記CD43抗原決定基が配列番号2のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項6】
配列番号1のアミノ酸配列を含むCD43抗原決定基に特異的に結合する抗体または抗体の断片。
【請求項7】
配列番号1のアミノ酸配列で構成されるペプチドに結合する抗体または抗体の断片。
【請求項8】
前記CD43抗原決定基が胸腺細胞、骨髄細胞の造血前駆体サブセット、急性白血病細胞、母細胞危機が発生した慢性白血病の母細胞、及びリンパ芽球性リンパ腫細胞の表面に特異的に発現するが、成熟造血細胞、造血幹細胞、及び非造血細胞では発現しないことを特徴とする、請求項6または7に記載の抗体または抗体の断片。
【請求項9】
前記抗体が配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異的に結合することを特徴とする、請求項6または7に記載の抗体または抗体の断片。
【請求項10】
前記抗体が配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドで動物を免疫化し、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異的に結合する抗体をスクリーニングして製造されることを特徴とする、請求項6または7に記載の抗体または抗体断片。
【請求項11】
前記抗体がポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であることを特徴とする、請求項6または7に記載の抗体または抗体断片。
【請求項12】
前記抗体がヒトのモノクローナル抗体または動物のモノクローナル抗体であることを特徴とする、請求項11に記載の抗体または抗体断片。
【請求項13】
前記抗体がキメラ抗体またはヒト化抗体であることを特徴とする、請求項6または7に記載の抗体または抗体断片。
【請求項14】
前記抗体または抗体断片が放射線同位元素、蛍光物質、発光物質、酵素及び染色物質からなる群より選択される化合物で標識されたことを特徴とする、請求項6または7に記載の抗体または抗体断片。
【請求項15】
前記抗体または抗体断片が、放射線同位元素、毒素化合物、毒素蛋白質及び抗癌剤からなる群より選択される毒性物質と結合されたものであることを特徴とする、請求項6または7に記載の抗体または抗体断片。
【請求項16】
前記抗体または抗体断片が毒性物質と結合されて融合蛋白質を形成することを特徴とする、請求項15に記載の抗体または抗体断片。
【請求項17】
請求項6または7に記載の抗体または抗体断片を生産する細胞株。
【請求項18】
請求項6または7に記載のCD43に対する抗体と生物学的試料中の白血病細胞を反応させ、前記抗−CD43抗体に対する陽性免疫反応を検出することを含む急性白血病診断方法。
【請求項19】
前記陽性免疫反応の検出が酵素反応、蛍光、発光または放射線を検出して判断することを特徴とする、請求項18に記載の急性白血病診断方法。
【請求項20】
請求項6または7に記載のCD43に対する抗体と生物学的試料中の白血病細胞を反応させ、前記抗体に対する陽性免疫反応を検出することを含む、母細胞危機が発生した慢性白血病の診断方法。
【請求項21】
請求項6または7に記載のCD43に対する抗体と生物学的試料中のリンパ腫細胞を反応させ、前記抗体に対する陽性免疫反応を検出することを含む、リンパ芽球性リンパ腫の診断方法。
【請求項22】
請求項6または7に記載の抗−CD43抗体を治療に有効な量で投与することを含む急性白血病治療方法。
【請求項23】
前記抗−CD43抗体が放射線同位元素、毒素化合物、毒素蛋白質及び抗癌剤からなる群より選択される毒性物質と結合されたものであることを特徴とする、請求項22に記載の急性白血病治療方法。
【請求項24】
請求項6または7に記載の抗−CD43抗体を治療に有効な量で投与することを含む、母細胞危機が発生した慢性白血病の治療方法。
【請求項25】
請求項6または7に記載の抗−CD43抗体を治療に有効な量で投与することを含むリンパ芽球性リンパ腫治療方法。
【請求項26】
請求項6または7に記載の抗−CD43抗体と薬学的に許容可能な担体とを含む急性白血病治療用薬学組成物。
【請求項27】
請求項6または7に記載の抗−CD43抗体と薬学的に許容可能な担体とを含む母細胞危機が発生した慢性白血病治療用薬学組成物。
【請求項28】
請求項6または7に記載の抗−CD43抗体と薬学的に許容可能な担体とを含むリンパ芽球性リンパ腫治療用薬学組成物。
【請求項29】
請求項6または7に記載の抗−CD43抗体を含む白血病診断用キット。
【請求項30】
請求項6または7に記載の抗−CD43抗体を含むリンパ腫診断用キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−544956(P2008−544956A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511040(P2008−511040)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【国際出願番号】PCT/KR2006/000870
【国際公開番号】WO2006/121240
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(507373841)ダイノナ インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】