説明

恒温恒湿器及びその運転方法

【課題】 効率よく、確実に温度調節、湿度調節を行うことができ、加湿用水の消費量の低減も図れ、消費電力が15A未満で高温から低温までの広い範囲の温度調節、湿度調節が可能で、しかも、蒸発器への着霜による冷却不良の発生も抑えることができる恒温恒湿器及びその運転方法を提供する。
【解決手段】 冷却手段、加温手段及び加湿手段を備えた温調通路12の下方から上方に向けて恒温恒湿庫内のガス(空気)を循環ファン21で流通循環させて庫内の温度及び湿度を制御する恒温恒湿器において、加湿パン内の水を加湿用ヒータで加熱して蒸発させる加湿手段(加湿器14,16)を、冷凍サイクル31から供給される低温液冷媒を蒸発させる蒸発器15の上部及び下部にそれぞれ設け、冷凍サイクル31には、冷却能力を調節するための2個のキャピラリー34,35を設けるとともに、蒸発器15にホットガスを供給するホットガス経路36を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、恒温恒湿器及びその運転方法に関し、詳しくは、各種環境試験、耐久試験を行うために試験体を収容した庫内を所定の温度、所定の湿度に制御調節するための恒温恒湿器及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
恒温恒湿器は、恒温恒湿庫内のガス(空気)を、冷却用の蒸発器、加温用のヒータ及び加湿パン内の水を加湿用ヒータで加熱して蒸発させる加湿器を備えた温調通路に流通させて庫内に循環させるとともに、蒸発器に低温液冷媒を供給する冷凍サイクルの動作や加温用ヒータ及び加湿用ヒータへの通電を、所定位置で検出した温度及び湿度に基づいてPID制御等を行うことにより、庫内の温度及び湿度を設定された温度及び湿度に保つようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
前記温調通路における機器配置は、温度制御性が良好な加温用ヒータを蒸発器の下流側に配置するのは共通しているが、前述のような加湿器は、蒸発器の上流側に配置する場合と、下流側に配置する場合とがあり、それぞれ一長一短を有している。また、微小水滴を飛散させる補助加湿器を加温用ヒータの下流側に設置した環境試験装置も知られているが、この補助加湿器は冷却作用を有しているため、冷凍能力の制御に悪影響を与えたり、制御が複雑になるという欠点があった(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平11−83269号公報
【特許文献2】特開2000−111127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加湿パン内の水を加湿用ヒータで加熱して蒸発させる加湿器を蒸発器の下流側、すなわち、蒸発器の上部に配置した場合は、蒸発器で除湿された空気に加湿するため、湿度調節精度が良好であり、設定温度が低い場合でも蒸発器への着霜が少ないという利点を有している。しかしながら、蒸発器の除霜時に発生する水分を再利用する手段がない場合には、加湿のための水の消費量が多くなってしまい、さらに、加湿用水として水道水やイオン交換水を使用した場合、加湿パンに缶石等が蓄積してトラブル発生の原因となることがあった。
【0005】
一方、加湿器を蒸発器の上流側である下部に配置した場合は、加湿器で加湿された空気が蒸発器を通るときにある程度除湿されてしまうため、蒸発器上部に配置した場合に比べて湿度調節精度も加湿効率が悪く、湿度調節精度が低下することがあった。また、設定温度が低い場合には、蒸発器への着霜量が多くなり、冷却効率も低下することがある。しかし、蒸発器で除湿された水分が蒸発器下方の加湿パンに落下して加湿用に再利用されるため、加湿用水の消費量が少ないという利点はある。
【0006】
また、一つの冷凍サイクル、加湿器(加湿用ヒータ)、加温用ヒータで高温から低温までの幅広い温度調節、湿度調節を行うためには、各容量、能力を大きくしておかなければならず、電源容量の増加によって一般的なコンセント容量である15Aを超える製品仕様となってしまう。
【0007】
さらに、電源電圧が定格100Vに対して低下した場合、例えば90Vに低下した場合には、各ヒーター容量が0.81倍に低下するのに対し、冷凍サイクルの冷却能力はさほど低下しないため、温度、湿度の調節が困難になることがある。一方、110Vに上昇した場合には、各ヒーター容量が1.21倍に増加するため、消費電力が15A未満のものであっても、一般的なコンセント容量である15Aを超えるおそれがある。また、冷凍サイクルの冷却能力については、周囲環境温度、例えば室温によって冷却能力が異なってくるため、温度、湿度制御を行うためのヒーター容量の選定よりも難しくなってしまう。
【0008】
これらの電源電圧の増減や冷却能力の増減と、一般的なコンセント容量である15Aとを考慮すると、一つの冷凍サイクル、加湿器、加温用ヒータをPID制御し、冷凍サイクルをON・OFFするものでは、高温から低温までの幅広い温度制御、湿度制御を行うことが困難であり、冷却能力を抑えて温度、湿度の制御範囲を狭めるようになってしまう。
【0009】
また、冷凍サイクルを運転している比較的低い設定温度から、それよりも高い設定温度に変更された場合、冷凍サイクルをOFFにしたり、あるいは、冷凍サイクルをONのままで加温用ヒータで加温し、新たな設定温度に近付いた時点で通常の冷凍サイクルと加温用ヒータとによる温度調節が行われる。このとき、低い設定温度での運転時に蒸発器に付着した霜は、新たな設定温度にもよるが、冷凍サイクルが作動したままでは蒸発器に付着したまま残ってしまい、冷却不良の原因となる。一方、冷凍サイクルをOFFにして加温した場合は、蒸発器の霜は取れやすいが、昇温速度が速く加温時間が短くなるため、冷凍サイクルの停止時間も短く、霜が付着した状態で通常の冷凍サイクルと加温用ヒータとによる温度調節が始まってしまうことがあり、この場合も冷却不良の原因となってしまう。
【0010】
そこで本発明は、効率よく、確実に温度調節、湿度調節を行うことができ、加湿用水の消費量の低減も図れ、消費電力が15A未満で高温から低温までの広い範囲の温度調節、湿度調節が可能で、しかも、蒸発器への着霜による冷却不良の発生も確実に抑えることができる恒温恒湿器及びその運転方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の恒温恒湿器は、冷却手段、加温手段及び加湿手段を備えた温調通路の下方から上方に向けて恒温恒湿庫内のガスをガス循環手段で流通循環させて前記恒温恒湿庫内の温度及び湿度を制御する恒温恒湿器において、加湿パン内の水を加湿用ヒータで加熱して蒸発させる前記加湿手段を、冷凍サイクルから供給される低温液冷媒を蒸発させる蒸発器からなる前記冷却手段の上部及び下部にそれぞれ設け、前記冷凍サイクルに、前記蒸発器の冷却能力を調節する手段と、前記蒸発器の除霜を行うためのホットガスを蒸発器に供給する経路とを設けたことを特徴としている。
【0012】
また、本発明の恒温恒湿器の運転方法における第1の構成は、前記冷却手段の上部及び下部にそれぞれ設けた加湿器の加湿能力を、冷却手段の冷却能力及び恒温恒湿庫内の設定温度及び設定湿度に応じて調節することを特徴としている。
【0013】
さらに、本発明方法における第2の構成は、該恒温恒湿器の電流値を電流監視手段にて監視し、電流値があらかじめ設定された電流値を超えたときに、前記冷却手段の上部及び下部にそれぞれ設けた加湿器に設けた前記加湿用ヒータの作動を制御して電流値が前記あらかじめ設定された電流値を超えないように調節することを特徴としている。
【0014】
本発明方法における第3の構成は、恒温恒湿庫内の測定温度と、あらかじめ設定された設定温度との温度差及び設定湿度との湿度差とに基づいて前記蒸発器の冷却能力を調節することを特徴としている。
【0015】
本発明方法における第4の構成は、一定時間間隔で前記蒸発器の除霜運転を行うにあたり、冷却手段を継続運転した状態で加温手段を停止させることにより庫内温度を下げる冷却運転を行い、該冷却運転によって庫内温度があらかじめ設定された温度に達したときに前記蒸発器にホットガスを供給して蒸発器の除霜を行い、該ホットガスの供給によって庫内温度があらかじめ設定された温度に上昇したときに冷却手段の運転を停止し、該冷却手段及び前記加温手段の停止によって庫内温度があらかじめ設定された温度に上昇したときに、冷却手段及び加温手段をあらかじめ設定された庫内温度制御状態を再開することを特徴としている。
【0016】
本発明方法における第5の構成は、一定時間間隔で前記蒸発器の除霜運転を行うにあたり、冷却手段を継続運転した状態で加温手段を停止させることにより庫内温度を下げる冷却運転を行い、該冷却運転によって庫内温度があらかじめ設定された温度に達したときに前記蒸発器にホットガスを供給して蒸発器の除霜を行い、該ホットガスの供給によって庫内温度が上昇せずにあらかじめ設定された温度に下降したときに冷却手段の運転を停止し、該冷却手段及び前記加温手段の停止によって庫内温度があらかじめ設定された温度に上昇したときに、冷却手段及び加温手段をあらかじめ設定された庫内温度制御状態を再開することを特徴としている。
【0017】
本発明方法における第6の構成は、一定時間間隔で前記蒸発器の除霜運転を行うにあたり、冷却手段を継続運転した状態で加温手段を停止させることにより庫内温度を下げる冷却運転を行い、該冷却運転によって庫内温度があらかじめ設定された温度に達したときに前記蒸発器にホットガスを供給して蒸発器の除霜を行い、該ホットガスの供給による庫内温度の上昇が、あらかじめ設定された時間内にあらかじめ設定された温度に上昇しなかったときに前記加温手段を作動させ、該加温手段の作動によって庫内温度があらかじめ設定された温度に上昇したときに冷却手段の運転を停止し、該冷却手段及び前記加温手段の停止によって庫内温度があらかじめ設定された温度に上昇したときに、冷却手段及び加温手段をあらかじめ設定された庫内温度制御状態を再開することを特徴としている。
【0018】
本発明方法における第7の構成は、一定時間間隔で前記蒸発器の除霜運転を行うにあたり、冷却手段を継続運転した状態で加温手段を停止させることにより庫内温度を下げる冷却運転を行い、該冷却運転によって庫内温度があらかじめ設定された温度に達したときに前記蒸発器にホットガスを供給して蒸発器の除霜を行い、該ホットガスの供給によって庫内温度があらかじめ設定された温度に上昇したときに冷却手段の運転を停止し、該冷却手段及び前記加温手段の停止による庫内温度の上昇があらかじめ設定された時間内にあらかじめ設定された温度に上昇しなかったときに前記加温手段を作動させ、該加温手段の作動によって庫内温度があらかじめ設定された温度に上昇したときに、冷却手段及び加温手段をあらかじめ設定された庫内温度制御状態を再開することを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の恒温恒湿器及びその運転方法によれば、上下の加湿用ヒータの容量を適切に選択し、温度条件、湿度条件に応じて両ヒータを作動させることにより、湿度調節精度を向上させながら加湿用水の消費量の低減を図れ、消費電流の増加も抑えることができる。また、温度条件、湿度条件に応じて蒸発器の冷却能力を調節することにより、温度調節精度、湿度調節精度の向上が図れる。さらに、冷凍サイクルのホットガスを蒸発器に供給することにより、除霜時間の短縮、加温時間の短縮を図ることができ、冷却不良の発生防止も図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は本発明の一形態例を示す恒温恒湿器の説明図である。この恒温恒湿器は、恒温恒湿庫11に隣接配置した温調通路12に、下方から順に、空気流入口13,下部加湿器14,蒸発器(冷却器)15,上部加湿器16,加温用ヒータ17,湿球温度計測用の湿球温度センサ18,乾球温度計測用の乾球温度センサ19,空気流出口20,循環ファン21及び過昇温防止器22を設け、恒温恒湿庫11内の空気(庫内空気)を下部の空気流入口13から上部の空気流出口20に向けて流通させ、庫内に循環させることによって恒温恒湿庫11内の温度及び湿度を制御するようにしている。
【0021】
加湿手段である下部加湿器14及び上部加湿器16は、共に加湿パン14a、16a内の水を加湿用ヒータ14b,16bで加熱蒸発させることによって流通空気の加湿を行うものであって、両加湿器14,16には、給水管14c,16c、空焚き防止器14d,16d、オーバーフロー口14e,16eがそれぞれ設けられている。両加湿器14,16の各加湿用ヒータ14b,16bと、加温手段である前記加温用ヒータ17とは、図示しない電源部及び制御部に接続されている。
【0022】
冷却手段である蒸発器15は、冷凍サイクル(冷凍機)31を構成する一つの機器であって、この冷凍サイクル31は、蒸発器15で蒸発した冷媒ガスを吸引して圧縮する圧縮機32と、圧縮されて昇温した冷媒ガスを冷却して凝縮する凝縮器33と、凝縮した冷媒液を減圧して蒸発器15に供給する二つのキャピラリー34,35と、圧縮により昇温した前記冷媒ガスを除霜を行うためのホットガスとして蒸発器15に供給するホットガス経路36とを有している。
【0023】
二つのキャピラリー34,35は、蒸発器15の冷却能力を調節する手段として設けられたものであって、冷却能力を小さい状態とする第1キャピラリー34と、これよりも冷却能力が大きな状態とする第2キャピラリー35とで形成され、第1キャピラリー34側経路の電磁弁34Vを開いて第2キャピラリー35側経路の電磁弁35Vを閉じることにより、最小冷却能力状態(MIN)、第1キャピラリー34側経路の電磁弁34Vを閉じて第2キャピラリー35側経路の電磁弁35Vを開くことにより、中間冷却能力状態(MID)、両電磁弁34V,35Vを共に開くことによって最大冷却能力状態(MAX)が得られるようにしている。両電磁弁34V,35Vと、前記ホットガス供給用の経路36に設けられた電磁弁36Vとは、運転条件に応じて開閉制御される。
【0024】
湿球温度センサ18は、ウイックパン18a内の水に浸したウイック18bを介して温度を測定するものであり、ウイックパン18aには給水管18cが設けられている。この湿球温度センサ18及び前記乾球温度センサ19は制御部にそれぞれ接続されており、これらの計測値に基づいて各加湿用ヒータ14b,16b、加温用ヒータ17及び冷凍サイクル31がそれぞれ制御される。
【0025】
加湿パン14a、16a及びウイックパン18aには、給水タンク23内の水がポンプ24により供給され、パン内の水位は、加湿パン14a、16a及びウイックパン18aにそれぞれ付随するフロートスイッチ14F,16F,18F及び電磁弁14V,16V,18Vによって一定に保たれている。また、給水タンク23内の水位は、フロートスイッチ23F及び電磁弁23Vによって所定範囲内に保たれている。
【0026】
このように形成した恒温恒湿器において、両加湿器14,16における各加湿用ヒータ14b,16bのヒータ容量を、上部側を小さく、下部側を大きく設定し、例えば、上部側加湿用ヒータ16bのヒータ容量を200W、下部側加湿用ヒータ14bのヒータ容量を400Wにそれぞれ設定し、加温用ヒータ17のヒータ容量を650W、冷凍サイクル31として公称出力200Wのものを選択することにより、一般的なコンセント容量である15Aを超えない範囲で高温から低温までの広い範囲の温度調節、湿度調節が可能となる。
【0027】
図2は、前記恒温恒湿器における制御範囲の一例を示す図であって、温度0〜90℃、相対湿度0〜100%の範囲を6区分に分割して各区分毎に適した制御動作を行うように設定している。なお、説明中のPID制御区分におけるP,I,Dの各数値は、制御用の定数である。また、温度設定は、0.1℃刻み、設定湿度は0.1%RH刻みとしている。
【0028】
まず、制御区分Aは、50℃・100%−50℃・80%−55℃・75%−85℃・60%−90℃・60%−90℃・100%の点を結ぶ直線の範囲内であって、この制御区分Aは、高温、高湿の条件となっていることから、冷凍サイクル31はOFF、加湿用ヒータ14b,16bのPID制御区分は、P:40,I:200,D:20に設定し、上部加湿用ヒータ16bは0%(作動無し)、下部加湿用ヒータ14bは100%に設定する。この制御区分Aでは、蒸発器15が冷却作動していないため、下部加湿器14のみで十分な加湿を行うことができ、庫内の温度調節は加温用ヒータをON・OFF制御するだけで十分である。
【0029】
制御区分Bは、40.1℃・100%−40.1℃・95%−49.9℃・80%−49.9℃・100%の点を結ぶ直線の範囲内であって、この制御区分Bは、中高温で高湿度の条件となっていることから、冷凍サイクル31はMIN(電磁弁34Vを開いて電磁弁35Vを閉じた最小冷却能力状態)、加湿用ヒータ14b,16bのPID制御区分はP:15,I:400,D:80に設定し、上部加湿用ヒータ16bは50%、下部加湿用ヒータ14bは100%に設定する。この制御区分Bでは、蒸発器15を最小能力で運転しながら加温用ヒータ17をON・OFF制御することで庫内温度を制御し、また、下部加湿器14を主として使用し、蒸発器15での除湿分を上部加湿器16で補うことにより庫内湿度を制御している。また、蒸発器15で凝縮した水は、下部加湿器14に滴下して再利用される。
【0030】
制御区分Cは、20.1℃・100%−30.1℃・95%−50.1℃・75%−55.1℃・72.5%−59.9℃・72.5%−54.9℃・75%−49.8℃・80%−40℃・95%−40℃・100%の点を結ぶ直線の範囲内であって、この制御区分Cは、常温乃至中高温で高湿度の条件となっている。この場合は、冷凍サイクル31はMID(電磁弁34Vを閉じて電磁弁35Vを開いた中間冷却能力状態)、加湿用ヒータ14b,16bのPID制御区分はP:15,I:400,D:80に設定し、上部加湿用ヒータ16b及び下部加湿用ヒータ14bは共に100%に設定する。この制御区分Cでは、蒸発器15を中間能力で運転しながら加温用ヒータ17をON・OFF制御することで庫内温度を制御し、蒸発器15で除湿されることを考慮して上下両加湿器14,16を100%で運転することにより、庫内を高湿度に保つようにしている。蒸発器15で凝縮した水は、制御区分Bのときと同様に、下部加湿器14に滴下して再利用される。
【0031】
制御区分Dは、0℃・100%−0℃・0%−9.9℃・0%−9.9℃・100%の点を結ぶ直線の範囲内であって、この制御区分Dは、湿度に関係なく低温の条件となっている。この場合は、冷凍サイクル31はMID、加湿用ヒータ14b,16bのPID制御区分はP:15,I:400,D:80に設定し、上部加湿用ヒータ16bは100%、下部加湿用ヒータ14bは50%に設定する。この制御区分Dでは、蒸発器15を中間能力で運転しながら加温用ヒータ17をON・OFF制御することで庫内温度を制御するのは、前記制御区分Cと同じであるが、蒸発器15が制御区分Cよりも低温状態となって着霜量が多くなりやすいので、着霜の直接的な原因ともなる下部加湿器14での加湿を抑えて上部加湿器16で庫内の湿度を保つようにしている。蒸発器15の除霜運転で生じた水は、前記同様に、下部加湿器14に滴下して再利用される。
【0032】
制御区分Eは、10℃・34.4%−10℃・0%−90℃・0%−90℃・39.9%−70℃・39.9%−60℃・34.4%の点を結ぶ直線の範囲内であって、この制御区分Eは、温度が10〜90℃の広い範囲で湿度が低い条件となっている。この場合は、冷凍サイクル31はMID、加湿用ヒータ14b,16bのPID制御区分はP:40,I:200,D:20に設定し、上部加湿用ヒータ16bは50%、下部加湿用ヒータ14bは100%に設定する。この制御区分Eでは、蒸発器15を中間能力で運転して除湿を図りながら加温用ヒータ17をON・OFF制御することで庫内温度を制御し、湿度制御については、下部加湿器14を主として使用し、蒸発器15での除湿分を上部加湿器16で補うようにしている。
【0033】
制御区分Fは、前記制御区分A〜Eを除く領域であって、温度が10〜90℃の広い範囲で湿度が比較的高い条件となっている。この場合は、冷凍サイクル31はMID、加湿用ヒータ14b,16bのPID制御区分はP:15,I:400,D:80、上部加湿用ヒータ16bは50%、下部加湿用ヒータ14bは100%に設定する。この制御区分Fでは、蒸発器15を中間能力で運転しながら加温用ヒータ17をON・OFF制御することで庫内温度を制御するとともに、下部加湿器14を主に使用して蒸発器15での除湿分を上部加湿器16で補うことにより庫内湿度を制御している。また、蒸発器15で凝縮した水は、前記同様に下部加湿器14に滴下して再利用される。
【0034】
このように、庫内の設定温度、設定湿度に応じていくつかの制御区分を設定し、設定条件に適した状態で冷凍サイクル31の蒸発器15の冷却能力及び上下の加湿器14,16の加湿能力を調節することにより、庫内雰囲気を設定された条件に確実に保持することができる。特に、設定温度及び設定湿度に応じて上下両加湿器14,16の加湿用ヒータ14b,16bの加湿能力を変化させることにより、加湿用水の消費量を低減しながら湿度調節精度を高めることができ、また、庫内温度が低い場合でも蒸発器15への着霜を少なくできるので、蒸発器15の冷却能力を十分に発揮させることができる。
【0035】
基本的には、前記制御区分に応じた運転を行うが、庫内の条件、例えば、試験体の発熱や吸熱、あるいは、水分の蒸発や吸着が激しいとき、さらに、冷凍サイクル31に与える周囲環境温度の影響等が大きい場合には、測定温度や測定湿度に応じて運転条件の変更を行う。例えば、試験体の吸熱作用等により、乾球温度センサ19での測定温度が設定温度に比べてあらかじめ設定された温度差範囲の下限を下回る状態となったとき、例えば、測定温度が設定温度よりも4℃以上低くなったときには、冷凍サイクル31をMID運転からMIN運転に切り換える。すなわち、電磁弁34Vを閉じて電磁弁35Vを開いた中間冷却能力状態から電磁弁34Vを開いて電磁弁35Vを閉じた最小冷却能力状態に切り換える。これにより、蒸発器15の冷却能力を下げることができるので、庫内温度を設定温度に調節することができる。同様に、湿度が上がらない場合も、蒸発器15の冷却能力、即ち除湿能力を下げることにより、庫内の湿度を上昇させることができる。また、必要に応じて冷凍サイクル31を停止することもできる。
【0036】
逆に、制御区分Bにおいて、試験体の発熱や試験体からの水分の蒸発等によって庫内温度が下がりにくくなったり、庫内湿度が下がりにくくなった場合には、冷凍サイクル31をMIN運転からMID運転に切り換えることにより、庫内温度や庫内湿度を容易に下げることができる。同様に、制御区分Aでは、停止している冷凍サイクル31をMIN運転状態とすることにより、庫内温度や庫内湿度を下げることができる。さらに、各制御区分において、必要に応じて冷凍サイクル31をMAXで運転することもできる。
【0037】
また、設定温度を、現設定温度より高い設定温度に変更する場合、新たに設定された温度が現在の庫内温度(測定温度)に対して所定温度差の範囲内、例えば、新たな設定温度が測定温度+3℃未満の場合は、原則として冷凍サイクル31の運転を継続しながら加温用ヒータ17によって庫内温度を新たな設定温度に上昇させる。一方、測定温度よりも新たな設定温度が3℃以上高い場合には、冷凍サイクル31を一時停止させて昇温させる。
【0038】
このように、庫内の測定温度や測定湿度とあらかじめ設定された設定温度や設定湿度との温度差及び湿度差に基づいて前記蒸発器15の冷却能力を調節することにより、設定温度が測定温度より高い場合でも、湿度調節を行いながら新たな設定温度まで庫内温度を迅速に上昇させることができる。また、新たな設定温度が測定温度+3℃未満の場合であっても、所定時間、例えば20分経過しても新たな設定温度まで上昇しなかった場合、あるいは、昇温速度が遅くて所定時間、例えば20分経過しても0.5℃しか昇温しなかった場合には、冷凍サイクル31を停止させて庫内温度を上昇させるように切り換えることにより、庫内温度を新たな設定温度にすることができる。
【0039】
逆に、設定温度を、現設定温度より低い設定温度に変更する場合、通常は加温用ヒータ17をOFFにするだけでよいが、降温速度が遅くて所定時間、例えば20分経過しても0.5℃しか降温しなかった場合には、冷凍サイクル31をMAX(両電磁弁34V,35Vを共に開いた最大冷却能力状態)に切り換えることにより、庫内温度を新たな設定温度まで迅速に降温させることができる。なお、制御区分Aの冷凍サイクル停止状態では、冷凍サイクル31をMINあるいはMIDとしてもよく、制御区分Bでは冷凍サイクル31を MINからMIDとしてもよい。
【0040】
また、設定温度を高く変更した場合には、温度移行時に同時に、蒸発器15の除霜運転を行うことができる。すなわち、設定温度が高い温度に切り換えられたときに、両電磁弁34V,35Vを共に閉じてキャピラリー34,35への流路を遮断するとともに、ホットガス供給用の経路36に設けた電磁弁36Vを開き、圧縮機32で圧縮されて昇温したホットガスを蒸発器15に供給することにより、新たな設定温度への昇温過程中に蒸発器15の除霜を行うことができる。また、ホットガスの供給によって昇温時間の短縮を図れるときもある。
【0041】
さらに、設定温度を低くした場合で、蒸発器15を所定時間以上、例えば30分以上冷却運転していて蒸発器15への着霜が懸念されるようなときには、庫内を降温させる前にホットガスによる除霜運転を所定時間、例えば90秒行ってから冷却を行うようにする。このようにして除霜運転を行ってから冷却運転に切り換えることにより、蒸発器15の冷却能力を十分に活用して庫内温度を迅速に下げることができる。
【0042】
ここで、前述のように、上部側加湿用ヒータ16bが200W、下部側加湿用ヒータ14bが400W、加温用ヒータ17が650W、冷凍サイクル31が公称出力200W(消費電流量約4A)の場合、特に、前記制御区分Cでは、当初から上下加湿用ヒータ14b,16bの制御量が共に100%に設定されているので、全てが100%で作動すると電流量が16.5Aとなり、一般的なコンセント容量である15Aを超えてしまう。また、この状態で電源電圧が上昇した場合などでは、更に電流量が大きくなってしまう。
【0043】
そこで、恒温恒湿器全体の電流値を電流監視手段であるカレントトランスにて監視し、電流値があらかじめ設定された電流値を超えたときに、前記両加湿用ヒータ14b,16bの作動を制御して電流値があらかじめ設定された電流値を超えないように調節する。例えば、電流値が14.5A以上の状態が0.5分以上継続した場合、あるいは、電流値が15Aを超えるおそれがある場合には、加湿用ヒータ14b,16bの制御量を下げたり、冷凍サイクル31を停止させたりすることにより、電流値の上昇を抑えるようにする。
【0044】
具体的には、上下の加湿用ヒータ14b,16bが同時にONにならないように、すなわち交互にONとすることによって電流を抑えるように制御したり、庫内湿度の低下が許容範囲内に収まる範囲で、上下加湿用ヒータ14b,16bの制御量を所定量、例えば、12.5%刻みで下げるようにしたり、前記制御区分Bのように、庫内温度が比較的高くて除湿能力もそれほど必要としない条件の場合には、各ヒータの作動時に冷凍サイクル31を停止させることによって電流値を低くしたりする。また、設定温度及び設定湿度を高く変更する場合で、冷凍サイクル31の運転を継続しながら各ヒータがONとなるような状態のときには、上部側加湿用ヒータ16bの制御量を下げるようにしてもよい。
【0045】
設定温度や設定湿度の変更に際して、温度勾配や湿度勾配が規定されている場合には、その時点での測定温度や測定湿度に応じて冷凍サイクル31の運転条件を選択する。例えば、制御区分Aで運転していた場合は、冷凍サイクル31を停止状態からMINで運転するように切り換えるが、その他の制御区分では、冷凍サイクル31がMINあるいはMIDのままで所定の冷却勾配、除湿勾配を得られることもあり、冷凍サイクル31をMINからMIDへ、あるいは、MIDからMAXへ切り換えなければならないこともある。逆に加湿勾配があるときには、冷凍サイクル31の運転状態を一段階下げて蒸発器15の除湿能力を弱めた状態(停止を含む)とするが、他の制御区分から制御区分A内の条件への設定変更の場合は、基本的に冷凍サイクル31は停止状態とする。
【0046】
このようにして消費電力を一般的なコンセント容量である15A以下に抑えることにより、恒温恒湿器を設置する際に200Vの専用電源等を別途用意する必要がなくなり、恒温恒湿器の設置場所の制限等が解消され、高性能な恒温恒湿器における汎用性を大幅に向上させることができる。
【0047】
図3乃至図5は、恒温恒湿器の連続運転時に、一定時間間隔でホットガスによる蒸発器15の除霜運転を行う設定としたときの冷凍サイクル31、ホットガス用電磁弁36V及び加温用ヒータ17の作動状態(ON・OFF状態)と庫内温度(測定温度)との関係の一例を示す図である。図中、Tは設定温度、taは温度精度、Taは冷却時下降温度設定値、Tbは加温時上昇温度設定値、Tcは除霜時上昇温度設定値、Tdは過冷却温度設定値、t1はサイクル時間、t2は除霜時温度上昇時間設定値、t3は加温時温度上昇時間設定値をそれぞれ表している。
【0048】
まず、図3において、ホットガスによる蒸発器15の除霜運転は、タイマーからの指令によって時間t1を1サイクルとして行われる。連続運転中にタイマーから除霜運転開始が指令されると、加温用ヒータ17がOFFとなり、継続運転される冷凍サイクル31によって除霜運転に備えた冷却運転が始まる。この冷却運転により、庫内温度が(T−Ta)に達すると、キャピラリー側の電磁弁が閉じるとともにホットガス用電磁弁36Vが開き、蒸発器15にホットガスが供給される。
【0049】
ホットガスによる蒸発器15の除霜運転は、庫内温度が(T−Tc)に達するまで行われ、庫内温度が(T−Tc)となったときに冷凍サイクル31がOFFとなり、ホットガス用電磁弁36Vも閉じられる。このあと、冷凍サイクル31のOFF及びホットガスの余熱、周囲環境温度や試験体からの熱負荷等による自然的な温度上昇を利用して蒸発器15の除霜を行う。このとき、蒸発器15で霜が溶けて生じた水は下部加湿器14に滴下する。この自然的な温度上昇は、庫内温度が(T+Tb)に達するまで行われる。
【0050】
庫内温度が(T+Tb)に上昇すると、冷凍サイクル31がONになるとともに加温用ヒータ17もON・OFF制御状態となり、冷凍サイクル31及び加温用ヒータ17による通常の温度制御が再開され、庫内温度を設定温度の(T)に保つようにする。この通常の温度制御は、除霜運転開始からの経過時間が(t1)になるまで行われ、除霜運転開始指令と同時にリセットされたタイマーの計測時間が(t1)に達すると、次の1サイクルが開始される。
【0051】
このように、一定時間(t1)毎にホットガスによる蒸発器15の除霜運転を行うことにより、冷却不良の発生を回避して確実な温度調整を行うことができる。また、湿度制御を行っている場合、特に、低湿度での湿度制御を行っている場合は、冷凍サイクル31のOFFによって庫内湿度が上昇することがあるので、冷凍サイクル31のOFFの時間をできるだけ短くする必要がある。このような場合は、加温時上昇温度設定値(Tb)を小さな値として、冷凍サイクル31のOFF時間を短くするように設定し、この場合でも蒸発器15の除霜を確実に行えるように、他の各設定値も必要に応じて調節する。
【0052】
このような運転を行うときに、周囲環境温度が低いときや設定温度が高い場合等には、ホットガスを蒸発器15に供給したときに、逆に庫内温度が低下する可能性がある。図4は、このような状態を示すもので、庫内温度が(T−Ta)に達して蒸発器15にホットガスが供給されたときに、庫内温度が(T−Ta)から更に低下している。このような状態になったときには、庫内温度が(T−Td)に低下したときに、冷凍サイクル31をOFFとしてホットガス用電磁弁36VもOFFとする。これにより、庫内が過冷却状態となることを防止できる。
【0053】
全てをOFFとした状態で庫内温度が自然的に上昇し、設定温度の(T)を超えて庫内温度が(T+Tb)に上昇すると、前記同様に、冷凍サイクル31がONになるとともに加温用ヒータ17もON・OFF制御状態となり、通常の温度制御によって庫内温度が設定温度の(T)に保持される。
【0054】
さらに、図5に示すように、ホットガスを蒸発器15に供給したときに、庫内温度が下がらないまでも、庫内温度が(T−Tc)にまで昇温するのに長時間を要するときがある。この場合は、ホットガスによる蒸発器15の除霜運転の時間が除霜時温度上昇時間設定値の(t2)を超えたときに、加温用ヒータ17をONとして加温を行い、庫内温度を上昇させる。そして、庫内温度が(T−Tc)に達したときに、前記同様に冷凍サイクル31をOFFとしてホットガス用電磁弁36VもOFFとし、加温用ヒータ17もOFFとする。
【0055】
また、全てがOFFの状態での自然的な温度上昇も十分ではなく、全てをOFFとした時点から加温時温度上昇時間設定値の(t3)を超えると、加温用ヒータ17をONとして庫内温度を(T+Tb)にまで上昇させ、温度が(T+Tb)になったときに、前記同様に、冷凍サイクル31をONとし、加温用ヒータ17もON・OFF制御状態とする。
【0056】
このように、除霜運転時の庫内温度の変動状況に応じて加温用ヒータ17を使用することにより、蒸発器15の除霜を確実に行うことができる。
【0057】
なお、運転制御における各設定値は、恒温恒湿器の構造や設定温度、設定湿度、冷凍サイクルや各ヒータの能力等に応じて適宜設定されるものであり、例えば、複数の蒸発器を切換使用可能な冷凍サイクルを使用することも可能であり、各ヒーターや冷凍サイクルの圧縮機の制御にインバータを使用することも可能である。また、冷却能力を調整する手段には、複数のキャピラリーだけでなく、調整弁を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一形態例を示す恒温恒湿器の説明図である。
【図2】恒温恒湿器における制御範囲の一例を示す図である。
【図3】恒温恒湿器の連続運転時における冷凍サイクル、ホットガス用電磁弁及び加温用ヒータの作動状態と測定温度との関係の一例を示す図である。
【図4】恒温恒湿器の連続運転時における冷凍サイクル、ホットガス用電磁弁及び加温用ヒータの作動状態と測定温度との関係の他の例を示す図である。
【図5】恒温恒湿器の連続運転時における冷凍サイクル、ホットガス用電磁弁及び加温用ヒータの作動状態と測定温度との関係の更に他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
11…恒温恒湿庫、12…温調通路、13…空気流入口、14…下部加湿器、14a…加湿パン、14b…加湿用ヒータ、15…蒸発器、16…上部加湿器、16a…加湿パン、16b…加湿用ヒータ、17…加温用ヒータ、18…湿球温度センサ、19…乾球温度センサ、20…空気流出口、21…循環ファン、22…過昇温防止器、23…給水タンク、24…ポンプ、31…冷凍サイクル、32…圧縮機、33…凝縮器、34…第1キャピラリー、35…第2キャピラリー、36…ホットガス経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却手段、加温手段及び加湿手段を備えた温調通路の下方から上方に向けて恒温恒湿庫内のガスをガス循環手段で流通循環させて前記恒温恒湿庫内の温度及び湿度を制御する恒温恒湿器において、加湿パン内の水を加湿用ヒータで加熱して蒸発させる前記加湿手段を、冷凍サイクルから供給される低温液冷媒を蒸発させる蒸発器からなる前記冷却手段の上部及び下部にそれぞれ設け、前記冷凍サイクルに、前記蒸発器の冷却能力を調節する手段と、前記蒸発器の除霜を行うためのホットガスを蒸発器に供給する経路とを設けたことを特徴とする恒温恒湿器。
【請求項2】
請求項1記載の恒温恒湿器の運転方法であって、前記冷却手段の上部及び下部にそれぞれ設けた加湿器の加湿能力を、冷却手段の冷却能力及び恒温恒湿庫内の設定温度及び設定湿度に応じて調節することを特徴とする恒温恒湿器の運転方法。
【請求項3】
前記請求項1記載の恒温恒湿器の運転方法であって、該恒温恒湿器の電流値を電流監視手段にて監視し、電流値があらかじめ設定された電流値を超えたときに、前記冷却手段の上部及び下部にそれぞれ設けた加湿器に設けた前記加湿用ヒータの作動を制御して電流値が前記あらかじめ設定された電流値を超えないように調節することを特徴とする恒温恒湿器の運転方法。
【請求項4】
前記請求項1記載の恒温恒湿器の運転方法であって、恒温恒湿庫内の測定温度及び測定湿度と、あらかじめ設定された設定温度との温度差及び設定湿度との湿度差とに基づいて前記蒸発器の冷却能力を調節することを特徴とする恒温恒湿器の運転方法。
【請求項5】
前記請求項1記載の恒温恒湿器の運転方法であって、一定時間間隔で前記蒸発器の除霜運転を行うにあたり、冷却手段を継続運転した状態で加温手段を停止させることにより庫内温度を下げる冷却運転を行い、該冷却運転によって庫内温度があらかじめ設定された温度に達したときに前記蒸発器にホットガスを供給して蒸発器の除霜を行い、該ホットガスの供給によって庫内温度があらかじめ設定された温度に上昇したときに冷却手段の運転を停止し、該冷却手段及び前記加温手段の停止によって庫内温度があらかじめ設定された温度に上昇したときに、冷却手段及び加温手段をあらかじめ設定された庫内温度制御状態を再開することを特徴とする恒温恒湿器の運転方法。
【請求項6】
前記請求項1記載の恒温恒湿器の運転方法であって、一定時間間隔で前記蒸発器の除霜運転を行うにあたり、冷却手段を継続運転した状態で加温手段を停止させることにより庫内温度を下げる冷却運転を行い、該冷却運転によって庫内温度があらかじめ設定された温度に達したときに前記蒸発器にホットガスを供給して蒸発器の除霜を行い、該ホットガスの供給によって庫内温度が上昇せずにあらかじめ設定された温度に下降したときに冷却手段の運転を停止し、該冷却手段及び前記加温手段の停止によって庫内温度があらかじめ設定された温度に上昇したときに、冷却手段及び加温手段をあらかじめ設定された庫内温度制御状態を再開することを特徴とする恒温恒湿器の運転方法。
【請求項7】
前記請求項1記載の恒温恒湿器の運転方法であって、一定時間間隔で前記蒸発器の除霜運転を行うにあたり、冷却手段を継続運転した状態で加温手段を停止させることにより庫内温度を下げる冷却運転を行い、該冷却運転によって庫内温度があらかじめ設定された温度に達したときに前記蒸発器にホットガスを供給して蒸発器の除霜を行い、該ホットガスの供給による庫内温度の上昇が、あらかじめ設定された時間内にあらかじめ設定された温度に上昇しなかったときに前記加温手段を作動させ、該加温手段の作動によって庫内温度があらかじめ設定された温度に上昇したときに冷却手段の運転を停止し、該冷却手段及び前記加温手段の停止によって庫内温度があらかじめ設定された温度に上昇したときに、冷却手段及び加温手段をあらかじめ設定された庫内温度制御状態を再開することを特徴とする恒温恒湿器の運転方法。
【請求項8】
前記請求項1記載の恒温恒湿器の運転方法であって、一定時間間隔で前記蒸発器の除霜運転を行うにあたり、冷却手段を継続運転した状態で加温手段を停止させることにより庫内温度を下げる冷却運転を行い、該冷却運転によって庫内温度があらかじめ設定された温度に達したときに前記蒸発器にホットガスを供給して蒸発器の除霜を行い、該ホットガスの供給によって庫内温度があらかじめ設定された温度に上昇したときに冷却手段の運転を停止し、該冷却手段及び前記加温手段の停止による庫内温度の上昇があらかじめ設定された時間内にあらかじめ設定された温度に上昇しなかったときに前記加温手段を作動させ、該加温手段の作動によって庫内温度があらかじめ設定された温度に上昇したときに、冷却手段及び加温手段をあらかじめ設定された庫内温度制御状態を再開することを特徴とする恒温恒湿器の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−78230(P2007−78230A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265145(P2005−265145)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(591245543)東京理化器械株式会社 (36)
【Fターム(参考)】