説明

患者の胸郭内容積区画を表すパラメータを決定するための患者モニタリング装置

【課題】特定の胸郭内容積区画の値から医学的結論を引き出す前に、しばしば、特定の患者の体寸法を考慮する必要がある。
【解決手段】患者モニタリング装置は、血管外肺水のような胸郭内容積区画を表すパラメータを決定し、患者が割り当てられるカテゴリに応じて複数のアルゴリズムから選択された一つのアルゴリズムを用いて、身長などの入力生物測定データに基づいて、決定されたパラメータを標準化する。好ましくは、そのパラメータは、患者の身長から計算される予測(理想)体重でそれを除算することにより標準化される(S6)。患者モニタリング装置のメモリは、予測体重を決定するためのいくつかのアルゴリズムの中の一つを選択的に実行するプログラムを格納している(S51、S52、S53、S54、S55)。標準化値を決定する前に、オペレータは、身長、患者の性別、および患者が大人であるか、特定の患者であるかを入力するよう促される(S1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者モニタリング装置に関し、特に、モニタされる患者の胸郭内容積区画を表すパラメータを決定するための患者モニタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、患者モニタリング装置は、重病患者の循環系の状態をモニタするために、現代の病院で利用されている。当業者にとって周知であるように、患者モニタリング装置は、(右心または経肺動脈)温度希釈、色素希釈、パルス輪郭分析などの様々な測定および評価原則の一つに従って機能すればよく、これらの測定および評価原則の2つ以上を組み合わせてもよい。これらの原則に従って適切な方法を適用することにより、担当医師が患者の現状を判断し、適切な対策をとることを可能にする種々のパラメータがもたらされる。これらのパラメータの中で特に重要なのは、全体拡張終期容積GEDV、肺血管外水分量EVLW、肺血液量PBVおよび胸郭内血液量ITBVなどの胸郭内容積区画(しばしば、単に「胸郭内容積」ともいう)である。例えば、GEDVは、患者の充填状態にアクセスするために用いられ、EVLWは、肺水腫の成長を観察するための重要なパラメータである。
【0003】
上記パラメータの1つ以上を決定するための患者モニタリング装置は、特に、米国特許第5,526,817号、米国特許第6,394,961号、米国特許第6,537,230および米国特許第6,736,782号に記述される。
【0004】
特定の胸郭内容積区画の値から医学的結論を引き出す前に、しばしば、特定の患者の体寸法を考慮する必要がある。例えば、肺血管外水分量の同一の値は、小さい患者のために決定されるとき、水腫の成長を示すかもしれないのに対し、大きい患者のために決定されるとき、重要ではない状態を提案するかもしれない。そのため、肺血管外水分量は、しばしば、患者の実際の体重で除算することにより標準化される(またはインデックスを付けられる)。しかしながら、非常に肥満の患者または非常に痩せた患者の場合にかなりの偏差が生じることが発見された。そのような偏差は、標準化された(またはインデックスを付けられた)値に基づく診断の間違いの原因となり得る。
【発明の開示】
【0005】
上記を考慮して、本発明の目的は、容易化された(それによって、より信頼できる)診断の解釈のための根拠を提供するために、さらなる医学的診断の起点として、患者モニタリング装置によって決定される胸郭内容積データの提供を技術的に改善することにある。
【0006】
本発明の一態様によれば、この目的は、請求項1の患者モニタリング装置を提供することにより達成される。本発明の有利な実施形態は、請求項2〜14のいずれかのように構成され得る。
【0007】
本発明の別の態様によれば、この目的は、請求項15の方法を提供することにより達成される。この方法の有利な実施形態は、請求項16〜25のいずれかのように実行され得る。
【0008】
本発明によれば、胸郭内容積区画を表すパラメータは、患者が割り当てられたカテゴリに応じて、複数のアルゴリズムから選択された一つのアルゴリズムを用いて、身長等の入力生体データに基づいて標準化される。この割り当てが基づく分類情報は、カテゴリ(性別、成人患者/小児患者、体重未満/体重より重い/体重以下ではない、など)を直接決定する不連続データから、あるいは患者の年齢、ウエスト回りまたは身長などの連続データ範囲から取られる。また、入力生体情報は、このように分類情報として利用されてもよい。
【0009】
また、読み易さのみのために、以下、患者の胸郭内容積区画を表すパラメータは胸郭内容積パラメータという。
【0010】
本発明において、アルゴリズムの選択は、複数の予め格納されたプログラムモジュールまたはサブルーチンから、それぞれ実行される一つのプログラムモジュールまたはサブルーチンを選択したり、計算式または補正関数に係数および定数の少なくとも一方を代入したり等の多くの異なる方法で実行され得る。
【0011】
実際には、データを分類する入力がどの計算パスを続けるべきかを決定する胸郭内容積パラメータを標準化するために実行される計算中のあらゆる分岐は、本発明におけるアルゴリズムの選択と考えられる。
【0012】
したがって、本発明は、患者の実際の体格を考慮することなく、胸郭内容積パラメータを考慮することにより引き起こされる間違いを減らし、あるいは除去さえすることができる。実際には、患者カテゴリに依存する標準化アルゴリズムを適用することによって、本発明は、異なるカテゴリ(例えば、異なる世代や性別)に属する二人の個人が標準化の基礎となる同じ生体データ(身長など)を共有しているとしても、彼らの間に期待されるべき一般的相違の考慮を自動的に含む。
【0013】
特に、本発明の好適な実施形態によれば、胸郭内容積パラメータを標準化するために実行されるアルゴリズムの1以上は、入力生体データから患者の概念(または仮想)特性を決定するための1つ(または複数)のアルゴリズムである。そのような概念(または仮想)特性は、例えば、概念体重(身長依存、年齢依存、あるいは性別依存の「予想体重」または「理想体重」のための公知の数式により決定されたような)あるいは概念体表面積を含んでもよい。後者は、例えば、Haycock, G. B.、Schwartz, G. J.およびWisotsky, D. H.の「体表面積を測定するための幾何学方法:乳児、子供および成人に有効な身長−体重式」(小児科学ジャーナル93(1978年)62〜66頁)やDu Bois, D.およびDu Bois, E.の「身長と体重が既知の際に隣接表面積を評価する数式」(内科学のアーカイブ121(1916年)、863〜872頁(しかしながら、ここでは、患者の体重は患者の概念体重により代用される)において公表されたもののような体表面積のための公知の数式によって決定されてもよい。
【0014】
例えば、体重の重い患者の格外血管肺水が実際の体重の代わりに「予想体重」または「理想体重」を用いて標準化されるならば、値は、水腫の成長に関しては危険であると正確に理解されるであろう。それは、他の方法で、正常であると誤って理解されたかもしれない。
【0015】
一般に、本出願で記述されるあらゆる実施形態やオプションは、特に、適用の実条件に応じて有利となる。また、一実施形態の構成要件は、技術的に可能な限り、また、別の方法で示されない限り、先行技術から本来公知の構成要件と同様に、別の実施形態の構成要件と組み合わせられてもよい。本発明は、そのいくつかまたはすべてが本発明の方法で標準化されるモニタされた患者の種々の胸郭内容積区画をそれぞれ表す一つだけでなく複数のパラメータを決定するために有利に実施され得ることは言うまでもない。
【0016】
概略図である添付図面は、本発明の特徴のより良い理解に役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
経肺動脈熱希釈測定のためのハードウェアとソフトウェアとに加え、図1に示す患者モニタリング装置は、パルス輪郭分析を実行するためのハードウェアおよびソフトウェアをさらに備えている。一般に、本発明は、そのような設定に限定されるわけではないが、色素希釈、熱希釈と色素希釈との組み合わせ、または他の公知の技術に基づいて、胸郭内容積区画を表すパラメータを決定するためのハードウェアおよびソフトウェアを用いて実施されてもよい。
【0018】
本装置は、患者3の中心静脈10に延伸する中心静脈カテーテル24を備える。中心静脈カテーテル24は、その末端開口が中心静脈(上大静脈)10内に位置する内腔に連結される別の基部ポート9を備える。この内腔は、患者の血液温度とは異なる温度(通常、患者の血液温度より低い)を有するボーラスを注入し、巡回する温度偏差を血流に誘引するために用いられる。その代わりに、温度偏差は、加熱手段(例えば、熱線)や冷却手段(例えば、ペルチェ素子)を備えるカテーテルを用いて、中心静脈内を局所加熱あるいは局所冷却することにより誘引されてもよい。温度希釈機構および中心静脈血を局所加熱する手段を備える中心静脈カテーテルは、米国特許第6,736,782号に開示され、右心カテーテル1のアセンブリと同様にこれらを相応して実装することができる。
【0019】
好ましくは、基部ポート9は、ボーラス温度と同様に、ボーラス注入時間に関して可能な限りうまく定義されるボーラス注入を達成する噴出導管11を備える。このため、噴出導管11は、圧力スイッチと、変換器12を介して患者モニタ4に接続される温度センサとを備えてもよい。噴出導管は、米国特許第6,491,640号に開示されるように構成されればよい。
【0020】
任意に、中心静脈カテーテル24は、中心静脈10の血圧を測定するためのデジタル圧力センサを備えてもよい。センサ信号は、近位カテーテルポート5と変換器26とを介して患者モニタ4に送出される。
【0021】
システムは、動脈カテーテル17をさらに備える。この動脈カテーテル17は、動脈18内の局所血液温度を測定する温度センサと、動脈血圧を測定する圧力センサとを備える。各センサは、それぞれ、基部カテーテルポート19、20および変換器21、22を介して患者モニタ4に接続される。図1の概略図では、動脈カテーテル17が大腿動脈に設置されているが、腋窩(えきか)動脈、上腕動脈、橈骨(とうこつ)動脈等の他の動脈にも、動脈カテーテル17を適切に設置してもよい。
【0022】
ボーラス注入または局所加熱により患者3の血流に誘引された温度偏差は、右心13、肺循環14、左心15および体循環16を通って循環している間に希釈する。この希釈は、動脈カテーテル17の温度センサで実行される温度−時間計測を用いて公知の温度希釈アルゴリズムを適用することにより評価される。患者モニタ4は、この患者モニタ4のメモリに格納されている評価プログラムを用いてこの評価を実行するように構成される。
【0023】
特に、全体拡張終期容積GEDVは、次の方法で決定される:
GEDV=ITTV−PTV
ここで、ITTVは胸腔内熱容積であり、PTVは肺熱容積である。
【0024】
これらのパラメータは以下のように決定される:
ITTV=CO×MTtTDa
PTV=CO×DStTDa
ここで、MTtTDaは平均循環時間であり、DStTDaはダウンスロープ時間(すなわち、希釈曲線が指数関数的減衰を示す因数1/eにより血液温度差ΔTB(t)が低下する時間)である。両パラメータは、肺循環構成により測定される希釈曲線から決定される。COは、心拍出量であり、動脈カテーテル17の圧力センサで測定される圧力−時間信号に基づき、公知のアルゴリズム(例えば、米国特許第6,315,735号に開示されるようなアルゴリズム)を用いて脈拍波形解析により決定されてもよい。その代わりに、COは、以下のスチュアート−ハミルトン(Stewart)式に基づき公知の温度希釈アルゴリズムにより(動脈カテーテル17の温度センサで測定される温度−時間信号を用いて)決定されてもよい。
【数1】

ここで、TBは初期血液温度であり、TLは熱指針として用いられる液体ボーラスの温度である。また、VLは熱指針値であり、K1およびK2は特定の測定構成を考慮する定数であり、ΔTB(t)は基準血液温度TBに対する時間関数としての血液温度である。
【0025】
肺血管外水分量EVLWを表すパラメータは、胸郭内熱量ITTVと胸郭内血液量ITBVとの差として決定され得る。
EVLW=ITTV−ITBV
本実施形態では、EVLWは、患者3の身長から計算される予想(理想)体重PBWで標準化される:
EVLWi=EVLW/PBW
ここで、EVLWiは標準化値である。
【0026】
患者モニタ4のメモリは、予想体重を決定するための6つのアルゴリズムの一つを選択的に実行するためのプログラムをその中に格納する。
第1アルゴリズムは、患者の身長の第1の閾値より高い身長を持つ成人女性の予想体重を決定するために最適化される。
第2アルゴリズムは、患者の身長の第2の閾値より高い身長を持つ成人男性の予想体重を決定するために最適化される。
第3アルゴリズムは、患者の身長の第3の閾値より高い身長を持つ女児患者の予想体重を決定するために最適化される。
第4アルゴリズムは、患者の身長の第4の閾値より高い身長を持つ男児患者の予想体重を決定するために最適化される。
第5アルゴリズムは、患者の身長の第3の閾値より低い身長を持つ女児患者の予想体重を決定するために最適化される。
第6アルゴリズムは、患者の身長の第4の閾値より低い身長を持つ男児患者の予想体重を決定するために最適化される。
【0027】
一例として、予想体重アルゴリズムは、急性呼吸促迫症候群ネットワークからの周知の基礎となる経験的データ(医学のニューイングランドジャーナル342(2000年)1301〜1308頁における「急性肺障害および急性呼吸促迫症候群のための従来の1回換気量に比較して低い1回換気量を有する換気」)から引き出された利用可能な有効な公式に基づいてもよい。
第1アルゴリズム:予想体重[kg]=50+0.91×(身長[cm]−130)
第2アルゴリズム:予想体重[kg]=45.5+0.91×(身長[cm]−130)
および、病院薬剤の米国ジャーナル37(1980年)195〜201頁における「子供のクレアチンクリアランスを評価する方法の比較」(Traub、Scott L.およびJohnson, Cary E.)から、
第3アルゴリズム:予想体重[kg]=39+0.89×(身長[cm]−152.4)
第4アルゴリズム:予想体重[kg]=42.2+0.89×(身長[cm]−152.4)
第5アルゴリズム:予想体重[kg]=((身長[cm])2×1.65)/1000
第6アルゴリズム:予想体重[kg]=((身長[cm])2×1.65)/1000
【0028】
この場合、第1および第2の閾値は、152.4cmに達し、したがって、互いに全く同一であり、以下、単に「成人閾値」という。同様に、第3および第4の閾値は、152.4cmに達し、したがって、互いに全く同一であり、以下、単に「小児閾値」という。しかしながら、変化する閾値が利用可能になるならば、それらを用いてもよいことを理解されたい。また、第5アルゴリズムおよび第6アルゴリズムは、互いに全く同一であり、以下、単に「第5アルゴリズム」という。しかしながら、上述のように、異なるアルゴリズムが利用可能になるならば、それらを用いてもよいことを理解されたい。
【0029】
また、第1、第2、第3および第4アルゴリズムが基づく上記公式がすべて
「予想体重[kg]=A+B×(身長[cm]−C)」
の形式を共有することを理解することができる。したがって、所望のアルゴリズムを選択することは、ある値を係数Bまたは定数AおよびCにそれぞれ単に割り当てることにより実行され得る。
【0030】
アルゴリズム選択手順は、図2に概略的に示される。
【0031】
肺血管外水分量EVLWの標準化値を決定する前に、オペレータは、例えば、ディスプレイ23に表示される各ダイアログボックスによって、患者3の入力身長および性別に対して、患者3が成人(成人モード)であるか、小児患者(小児モード)であるかを促される(図2のステップS1)。この入力のために、キーボード1またはあらゆる他の適切な入力手段(タッチスクリーン、トラックボールなど)が用いられればよい。
【0032】
そして、患者モニタ4は、図2に示すように、上記アルゴリズムの一つに対応するカテゴリに患者3を割り当て、それぞれのアルゴリズム(第1、第2、第3、第4または第5アルゴリズム)を用いて、患者3の身長から予想体重(「予想体重」PBW)を決定する。
【0033】
成人モードが選択され、患者3の身長が成人閾値(本例では、130cm(あるいは、それぞれ第1または第2の閾値))未満であり、したがって、第1および第2アルゴリズムが有効な範囲外であると決定されるならば(ステップS2およびS3a)、成人モードの選択は拒絶され(ステップS5)、患者3が小児患者として取り扱われるべきか否かを決定することが医師に残される。
【0034】
しかしながら、そのようなアルゴリズムが利用可能であれば、成人閾値(あるいは、それぞれ第1または第2の閾値)未満の身長を持つ成人のために有効にされたアルゴリズムが成人モードの選択を拒絶することなく用いられてもよい。
【0035】
成人モードが選択され、患者3の身長が上記成人閾値(本例では、130cm(あるいは、それぞれ第1または第2の閾値))以上であり、したがって、第1および第2アルゴリズムが有効な範囲内であると決定されるならば(ステップS2およびS3a)、第1アルゴリズムは、性別が女性である場合に選択され、第2アルゴリズムは、性別が男性である場合に選択される(ステップS4a)。
【0036】
小児モードが選択され、患者3の身長が小児閾値(本例では、152.4cm(あるいは、それぞれ第3または第4の閾値))以上であり、したがって、第3および第4アルゴリズムが有効な範囲内であると決定されるならば(ステップS2およびS3b)、第3アルゴリズムは、性別が女性である場合に選択され、第4アルゴリズムは、性別が男性である場合に選択される(ステップS4b)。
【0037】
小児モードが選択され、患者3の身長が小児閾値(本例では、152.4cm(あるいは、それぞれ第3または第4の閾値))未満であり、したがって、第5アルゴリズムが有効な範囲内であると決定されるならば(ステップS2およびS3b)、第5アルゴリズムが選択される。
【0038】
予想体重PBWは、適切な各アルゴリズムを用いて決定される(ステップS51、S52、S53、S54、S55)。
【0039】
そして、上述のように決定された格外血管肺水は、予想体重PBWにより除算することにより標準化される(ステップS6)。標準化値EVLWiは、ディスプレイ23に表示されるか、他の方法で出力され、メモリまたは適切な外部記憶媒体に格納されればよい。
【0040】
また、全体拡張終期容積GEDVは、標準化値GEDViをもたらすために、概念体表面積(「予想体表面」)PBSAにより除算することによって標準化される。
GEDVi=GEDV/PBSA
予想体表面積PBSAは、PBWが15kg未満ならば、例えば、以下の式を用いて決定され得る。
PBSA=(PBW0.5378×身長[cm]0.3964)×0.24265
そして、PBWが15kg以上ならば、以下の公式を用いて決定され得る。
PBSA=(PBW0.425×身長[cm]0.725)×0.007184
ここで、PBWは、上述のように決定された予想体重である。
【0041】
一般に、予想体表面積は、体表面積のための公知の公式に依存する体重を用いて、実際の体重を予想体重で代用することにより決定され得る。そのため、予想体重を決定するための種々のアルゴリズムは、体表面積を決定するための各アルゴリズムのサブアルゴリズムであると考えることができる。
【0042】
したがって、標準化値は、ディスプレイ23上に表示されるか、他の方法で出力され、メモリまたは適切な外部記憶媒体に格納されればよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】胸郭内容積区画を表すパラメータの決定が経肺動脈熱希釈測定に基づく本発明における患者モニタリング装置の一例を概略的に示す。
【図2】本発明に従ってアルゴリズムを決定する予想体重を選択する例示的手順を示す。
【符号の説明】
【0044】
3 患者
4 患者モニタ
5 近位カテーテルポート
10 中心静脈
11 噴出導管
24 中心静脈カテーテル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者(3)の胸郭内容積区画を表すパラメータを決定するための患者モニタリング装置であって、
時間関数として、患者(3)の循環系の所定の位置で測定された少なくとも一つの物理量を表すセンサデータを読み込み、かつ、該センサデータを用いて、前記胸郭内容積区画を表す前記パラメータを決定するように構成された計算手段
を備えた前記患者モニタリング装置において、
該患者モニタリング装置が、分類情報および生体情報を含む患者(3)の特定の情報を入力するための入力手段(1)をさらに備え、
前記計算手段は、前記分類情報に応じて、前記患者(3)をある患者カテゴリに割り当て、前記生体情報を用いて、前記パラメータを前記胸郭内容積区画に標準化するために利用可能な複数のアルゴリズムから、前記患者カテゴリに応じて、一つのアルゴリズムを選択し、前記アルゴリズムを用いて、前記胸郭内容積区画を表す前記パラメータを標準化するようにさらに構成されている
ことを特徴とする患者モニタリング装置。
【請求項2】
前記胸郭内容積区画は、肺血管外水分量、胸郭内血液量、肺血液量または全体拡張終期容積であることを特徴とする請求項1に記載の患者モニタリング装置。
【請求項3】
前記物理量の少なくとも一つは局所的血液温度であり、前記計算手段は、前記患者(3)の循環系の別の所定の位置の近くにおいて最初の局所温度変化を特徴付ける情報を処理し、熱希釈アルゴリズムを用いて、前記センサデータと前記最初の局所温度変化を特徴付ける前記情報とから前記胸郭内容積区画を表す前記パラメータを決定するように構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の患者モニタリング装置。
【請求項4】
前記計算手段は、前記計算手段が前記情報に従って前記最初の局所温度変化をもたらすよう制御するような方法で、該最初の局所温度変化を特徴付ける情報を処理するように構成されることを特徴とする請求項3に記載の患者モニタリング装置。
【請求項5】
前記計算手段は、処理のために前記最初の局所温度変化を特徴付ける情報を読み込むように構成されることを特徴とする請求項3に記載の患者モニタリング装置。
【請求項6】
前記患者(3)の循環系の前記別の位置の近くにおいて前記最初の局所温度変化をもたらし、該患者(3)の血流に巡回温度偏差を導入するための温度影響手段(11)と、
前記計算手段に接続され、前記局所的血液温度を測定して、前記センサデータを提供するための温度感知手段(21)と
をさらに備えることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の患者モニタリング装置。
【請求項7】
前記アルゴリズムは、前記生体情報を用いて、前記患者(3)の概念体重を決定するためのアルゴリズムであり、
前記計算手段は、前記胸郭内容積区画を表す前記パラメータを前記概念体重で標準化するように構成されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の患者モニタリング装置。
【請求項8】
前記アルゴリズムは、前記生体情報を用いて、前記患者(3)の概念体表面積を決定するためのアルゴリズムであり、
前記計算手段は、前記胸郭内容積区画を表す前記パラメータを前記概念体表面積で標準化するように構成されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の患者モニタリング装置。
【請求項9】
前記患者(3)の概念体表面積を決定するための前記アルゴリズムは、前記生体情報を用いて、前記患者(3)の概念体重を決定するためのサブアルゴリズムを含むことを特徴とする請求項8に記載の患者モニタリング装置。
【請求項10】
前記生体情報の少なくとも一部は、前記分類情報の少なくとも一部と全く同一であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の患者モニタリング装置。
【請求項11】
前記生体情報は前記患者(3)の身長を含むことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の患者モニタリング装置。
【請求項12】
前記分類情報は前記患者(3)の性別を含むことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の患者モニタリング装置。
【請求項13】
前記分類情報は、前記患者(3)が成人の患者として取り扱われるべきであるか、小児患者として取り扱われるべきであるかを示すモード情報を含み、
前記複数のアルゴリズムは、少なくとも一つの小児モードアルゴリズムと、少なくとも一つの成人モードアルゴリズムとを含むことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の患者モニタリング装置。
【請求項14】
前記患者モニタリング装置は、前記モード情報を拒絶するように構成され、前記患者(3)が成人患者として取り扱われるべきであると前記モード情報が示すならば、前記生体情報は、前記少なくとも一つの成人モードアルゴリズムが有効である所定の範囲外に生体値を含み、前記患者(3)が小児患者として取り扱われるべきであると前記モード情報が示すならば、前記生体情報は、前記少なくとも一つの小児モードアルゴリズムが有効である所定の範囲外に生体値を含むことを特徴とする請求項13に記載の患者モニタリング装置。
【請求項15】
患者(3)の胸郭内容積区画を表すパラメータを決定する方法であって、
時間関数として、前記患者(3)の循環系の所定の位置において測定される少なくとも一つの物理量を表すセンサデータが提供され、
前記胸郭内容積区画を表す前記パラメータは、前記センサデータを用いて決定され、
前記方法は、
分類情報と生体情報とを含む患者特定の情報を取得するステップ(S1)と、
前記分類情報に応じて、前記患者(3)をある患者カテゴリに割り当てるステップ(S2、S3a、S3b、S4a、S4b)と、
前記生体情報を用いて、前記胸郭内容積区画を表す前記パラメータを標準化するために使用可能な複数のアルゴリズムから、前記患者カテゴリに応じて、一つのアルゴリズムを選択するステップと、
前記アルゴリズムを用いて、前記胸郭内容積区画を表す前記パラメータを標準化するステップ(S51、S52、S53、S54、S55、S6)と
を有することを特徴とする方法。
【請求項16】
前記胸郭内容積区画は、肺血管外水分量、胸郭内血液量、肺血液量または全体拡張終期容積であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記物理量の少なくとも一つは局所的血液温度であり、前記胸郭内容積区画を表す前記パラメータは、前記センサデータと、熱希釈アルゴリズムを用いて前記患者(3)の循環系の別の所定の位置の近くにおける最初の局所温度変化を特徴付ける情報とから決定されることを特徴とする請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記アルゴリズムは、前記生体情報を用いて、前記患者(3)の概念体重を決定するためのアルゴリズムであり、
前記胸郭内容積区画を表す前記パラメータは、前記概念体重で標準化されることを特徴とする請求項15ないし17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記アルゴリズムは、前記生体情報を用いて、前記患者(3)の概念体表面積を決定するためのアルゴリズムであり、
前記胸郭内容積区画を表す前記パラメータは、前記概念体表面積で標準化されることを特徴とする請求項15ないし18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記患者(3)の概念体表面積を決定するための前記アルゴリズムは、前記生体情報を用いて、前記患者(3)の概念体重を決定するためのサブアルゴリズムを含むことを特徴とする請求項15ないし19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記生体情報の少なくとも一部は、前記分類情報の少なくとも一部と全く同一であることを特徴とする請求項15ないし20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記生体情報は前記患者(3)の身長を含むことを特徴とする請求項15ないし21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記分類情報は前記患者(3)の性別を含むことを特徴とする請求項15ないし22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記分類情報は、前記患者(3)が成人患者として取り扱われるべきであるか、小児患者として取り扱われるべきであるかを示すモード情報を含み、
前記複数のアルゴリズムは、少なくとも一つの小児モードアルゴリズムと、少なくとも一つの成人モードアルゴリズムとを含むことを特徴とする請求項15ないし23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記モード情報は拒絶され(S5)、前記患者(3)が成人患者として取り扱われるべきであると前記モード情報が示すならば、前記生体情報は、前記少なくとも一つの成人モードアルゴリズムが有効である所定の範囲外に生体値を含み、前記患者(3)が小児患者として取り扱われるべきであると前記モード情報が示すならば、前記生体情報は、前記少なくとも一つの小児モードアルゴリズムが有効である所定の範囲外に生体値を含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−178675(P2008−178675A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−328160(P2007−328160)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(500180813)プウルジョン メデカル システムズ アクチエンゲゼルシャフト (14)
【氏名又は名称原語表記】PULSION Medical Systems AG
【住所又は居所原語表記】Stahlgruberring 28, D−81829 Munchen, Germany
【Fターム(参考)】